説明

共沸混合物様トリフルオロヨードメタン組成物

ジフルオロエタンおよびトリフルオロヨードメタンを含む共沸混合物様組成物;ジフルオロエタン、テトラフルオロプロペンおよびトリフルオロヨードメタンを含む共沸混合物様組成物;および冷媒組成物、冷却システム、発泡剤組成物、エアゾール噴射剤およびその他での使用を含めたそれらの使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、概して、トリフルオロヨードメタンを含む共沸混合物様組成物およびそれらの使用に関する。より具体的には、本発明は、1,1−ジフルオロエタンおよびトリフルオロヨードメタンの二成分共沸混合物様組成物;1,1−ジフルオロエタン、trans−1,1,1,3−テトラフルオロプロペンおよびトリフルオロヨードメタンの三成分共沸混合物様組成物;およびそれらの使用を提供する。
【0002】
背景
フルオロカーボン基材流体は、工業界において、冷媒、エアゾール噴射剤、発泡剤、伝熱媒体および気体誘電体としてを含めた多数の用途に広範に用いられてきた。何等かのこれら流体の使用に関連した比較的高い地球温暖化係数を含めた、それに関連した考えられる環境問題ゆえに、ヒドロフルオロカーボン(「HFC」)のような、オゾン層破壊可能性が低いまたはゼロでさえもある流体を使用することが望まれる。したがって、クロロフルオロカーボン(「CFC」)またはヒドロクロロフルオロカーボン(「HCFC」)を含有していない流体の使用が望まれる。更に、若干のHFC流体は、それに関連した比較的高い地球温暖化係数を有することがありうるので、できるだけ低い地球温暖化係数を有すると同時に、使用性状の所望の性能を維持しているヒドロフルオロカーボンまたは他のフッ素化流体を使用することが望まれる。更に、沸騰および蒸発時に実質的に分別されない単一成分流体または共沸混合物様混合物の使用が望まれる。しかしながら、新しい、環境上安全な、非分別性の混合物の同定は、共沸混合物形成が容易に予想できないということのために、複雑である。
【0003】
工業界は、CFCおよびHCFCに代わるものを与え且つ環境上安全な代用品であると考えられる新しいフルオロカーボン基材混合物を探求し続けている。特に興味深いのは、オゾン層破壊可能性が双方とも低いヒドロフルオロカーボンおよび他のフッ素化化合物双方を含有する混合物である。このような混合物およびそれらの使用は、本発明の主題である。
【0004】
好ましい態様の説明
本発明者は、CFCおよびHCFCに代わるものへの継続した要求を満たすのに役立つ、トリフルオロヨードメタンを含むいくつかの組成物を開発した。ある態様により、本発明は、1,1−ジフルオロエタン(「HFC−152a」)およびトリフルオロヨードメタン(「CFI」)を含む共沸混合物様組成物を提供する。ある他の態様により、本発明は、1,1−ジフルオロエタン(「HFC−152a」)、trans−1,1,1,3−テトラフルオロプロペン(「transHFO−1234ze」)およびトリフルオロヨードメタン(「CFI」)を含む共沸混合物様組成物を提供する。
【0005】
本発明の好ましい組成物は、自動車用空調およびヒートポンプシステム中の、および定置空調および冷却における冷媒として、を含めた多数の用途での使用に、それらを特に望ましくする特性を示す傾向がある。具体的には、出願人は、本組成物が、比較的低い、好ましくは、約1000未満、より好ましくは、約500未満、そしてなお一層好ましくは、約150未満の地球温暖化係数(Global Warming Potential)(GWP)を示す傾向があるということを確認した。本組成物の好ましい態様は、更に、多数の慣用的なHFC冷媒、例えば、HFC−134aより高いまたはそれに類似した冷却能力を有する傾向がある。したがって、本組成物は、冷媒、エアゾールおよび他の用途において、ジクロロジフルオロメタン(CFC−12)などのCFC;クロロジフルオロメタン(HCFC−22)などのHCFC;およびテトラフルオロエタン(HFC−134a)などのHFC;およびCFC−12および1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)の組合せのような、HFCおよびCFCの組合せ(R−500として知られている73.8:26.2の質量比のCFC−12:HFC−152a組合せ)に代わるものとしてきわめて有利に用いるのに適している。
【0006】
更に、出願人は、驚くべきことに、HFC−152aおよびCFIの共沸混合物様組成物、およびHFC−152a、HFO−1234zeおよびCFIの共沸混合物様組成物を形成することができるということを確認した。したがって、ある態様において、本発明は、共沸混合物様組成物を製造する方法であって、HFC−152aおよびCFIを、共沸混合物様組成物を生じるのに有効な量で混合することを含む方法、そして他の態様において、HFC−152a、HFO−1234zeおよびCFIを、共沸混合物様組成物を生じるのに有効な量で混合することを含む方法を提供する。
【0007】
「HFO−1234」という用語は、本明細書中において、総てのテトラフルオロプロペンを意味するのに用いられる。テトラフルオロプロペンの中には、HFO−1234yfおよび cis−および trans−双方の1,1,1,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)が含まれる。HFO−1234zeという用語は、本明細書中において、cis−形であるかまたは trans−形であるかということには無関係に、1,1,1,3−テトラフルオロプロペンを意味するのに包括的に用いられる。「cisHFO−1234ze」および「transHFO−1234ze」という用語は、本明細書中において、それぞれ、cis−形および trans−形の1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを記載するのに用いられる。したがって、「HFO−1234ze」という用語は、その範囲内に、cisHFO−1234ze、transHFO−1234zeおよびこれらの組合せおよび混合物全てを包含する。
【0008】
cisHFO−1234zeおよび transHFO−1234zeの性状は、少なくとも何等かの点で異なるし、しかも本共沸混合物様組成物は、主として、transHFO−1234zeを基材としているが、cisHFO−1234ze形は、ある態様において、共沸混合物様組成物の不可欠な性質を無効にしない量で存在しうるということが考えられる。したがって、「HFO−1234ze」および1,1,1,3−テトラフルオロプロペンという用語は、双方の立体異性体を意味するということが理解されるはずであり、この用語の使用は、cis−形および trans−形各々が、特に断らない限り、述べられた目的に有用であるおよび/または当てはまるということを示すものである。
【0009】
HFO−1234化合物は、既知の材料であり、Chemical Abstracts データベースに挙げられている。種々の飽和および不飽和のハロゲン含有C化合物の接触蒸気相フッ素化によるCFCH=CHなどのフルオロプロペンの製造は、本明細書中に各々援用される米国特許第2,889,379号;第4,798,818号;および第4,465,786号に記載されている。本明細書中にも援用されるEP974,571号は、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)を、蒸気相中において高温でクロム基材触媒と接触させる、または液相中においてKOH、NaOH、Ca(OH)またはMg(OH)のアルコール性溶液と接触させることによる1,1,1,3−テトラフルオロプロペンの製造を開示している。更に、本発明による化合物を製造する方法は、概して、本明細書中にも援用される、代理人事件整理番号(H0003789(26267))を有する「Process for Producing Fluoropropenes」と称する係属米国特許出願に関連して記載されている。
【0010】
更に、出願人は、本発明の共沸混合物様組成物が、伝熱組成物(自動車用空調およびヒートポンプシステム中、および定置空調、ヒートポンプおよび冷却システム中の冷媒としてを含めた)、発泡剤、噴射剤および滅菌剤としてを含めた使用にまたは多数の用途にそれらを好都合にする性状を示すということを確認した。したがって、更に他の態様において、本発明は、冷媒組成物およびこれらおよび他の用途に関連した方法を提供する。
【0011】
共沸混合物様組成物
本明細書中で用いられる「共沸混合物様」という用語は、その広範な意味に、厳密に共沸混合物である組成物、および共沸混合物のように挙動する組成物双方を包含するものである。基本理論により、ある流体の熱力学的状態は、圧力、温度、液体組成および蒸気組成によって定義される。共沸混合物は、二つまたはそれを超える成分の系であって、その液体組成および蒸気組成が、規定の圧力および温度において等しい系である。実際に、これは、共沸混合物の成分が定沸点であり、しかも相転移中に分離され得ないということを意味する。
【0012】
本発明の共沸混合物様組成物は、新しい共沸混合物様系を形成しない追加の成分、または第一蒸留分中でない追加の成分を包含することができる。その第一蒸留分は、蒸留カラムが、全還流条件下において定常状態作業を示した後に得られる第一留分である。ある成分の添加が、本発明の範囲外であるように新しい共沸混合物様系を形成するか否かを決定する一つの方法は、その組成物の試料をその成分と一緒に、非共沸混合物をその別々の成分へと分離すると考えられる条件下で蒸留することである。追加の成分を含有する混合物が、非共沸混合物様である場合、その追加の成分は、共沸混合物様成分から分別されるであろう。混合物が共沸混合物様である場合、定沸点であるまたは単一物質として挙動する混合物成分を総て含有するある程度限られた量の第一蒸留分が得られるであろう。
【0013】
これにより、共沸混合物様組成物の別の特性は、共沸混合物様であるまたは定沸点であるいろいろな比率で同じ成分を含有する一定範囲の組成物が存在することであるということになる。このような組成物は総て、「共沸混合物様」および「定沸点」という用語で包含されるものである。一例として、いろいろな圧力において、ある与えられた共沸混合物の組成は、その組成物の沸点の場合のように、少なくとも僅かに異なるであろうということは周知である。したがって、AおよびBの共沸混合物は、独特のタイプの関係であるが、温度および/または圧力に依存して変化しうる組成を有する。共沸混合物様組成物については、共沸混合物様であるいろいろな比率で同じ成分を含有する一定範囲の組成物が存在するということになる。このような組成物は総て、本明細書中で用いられる共沸混合物様という用語で包含されるものである。
【0014】
共沸混合物の形成を予想することは不可能であるということは、当該技術分野において充分に理解される。(例えば、本明細書中に双方とも援用される米国特許第5,648,017号(カラム3の64〜65行)および米国特許第5,182,040号(カラム3の62〜63行)を参照されたい)。出願人は、予想外にも、HFC−152aおよびCFI、そして更には、HFC−152a、HFO−1234およびCFIが、共沸混合物様組成物を形成するということを発見した。
【0015】
HFC−152aおよびCFI組成物
ある好ましい態様により、本発明の共沸混合物様組成物は、共沸混合物様有効量のHFC−152aおよびCFIを含む、好ましくは、共沸混合物様有効量のHFC−152aおよびCFIから本質的に成る。本明細書中で用いられる「共沸混合物様有効量」という用語は、他方の成分と組み合わせた時に、本発明の共沸混合物様組成物の形成を引き起こす各々の成分の量を意味する。好ましくは、本共沸混合物様組成物は、約35重量%〜約55重量%のHFC−152aおよび約45重量%〜約65重量%のCFI、そしてなお一層好ましくは、約35重量%〜約43重量%のHFC−152aおよび約57重量%〜約65重量%のCFIを含む、好ましくは、それらから本質的に成る。特に断らない限り、本明細書中に開示された重量%は、組成物中のHFC−152aおよびCFIの全重量に基づく。
【0016】
本明細書中に記載の共沸混合物様組成物は、好ましくは、約14.42psiaの圧力で約−23℃〜約−28℃の沸点を有する。ある一層好ましい態様において、本共沸混合物様組成物は、約14.42psiaの圧力で約−24℃〜約−28℃、なお一層好ましい態様において、約14.42psiaの圧力で約−25℃〜約−28℃、そしてなお一層好ましい態様において、約14.42psiaの圧力で約−26℃〜約−27.5℃の沸点を有する。
【0017】
本発明の共沸混合物様組成物は、共沸混合物様有効量のHFC−152aおよびCFIを混合することによって製造することができる。二つまたはそれを超える成分を混合して組成物を形成するための当該技術分野において知られている広範囲の方法はいずれも、共沸混合物様組成物を製造する本方法での使用に適応することができる。例えば、HFC−152aおよびCFIは、バッチまたは連続反応および/または連続法の一部分として、または二つまたはそれを超えるこのような工程の組合せによって、手でおよび/または機械で混合する、ブレンドするまたはそれ以外に接触させることができる。本明細書中の開示に照らして、当業者は、過度の実験を伴うことなく、本発明による共沸混合物様組成物を容易に製造することができるであろう。
【0018】
HFC−152a、HFO−1234およびCFI組成物
ある好ましい態様により、本発明の共沸混合物様組成物は、共沸混合物様有効量のHFC−152a、HFO−1234(具体的には且つ好ましくは、trans−HFO−1234ze)およびCFIを含む、好ましくは、それらから本質的になる。好ましくは、本共沸混合物様組成物は、約10重量%〜約95重量%のHFC−152a、約1重量%〜約70重量%のCFI、および0より大〜約70重量%の transHFO−1234zeを含む、好ましくは、それらから本質的に成る。より好ましくは、本共沸混合物様組成物は、20重量%〜約95重量%のHFC−152a、約1重量%〜約65重量%のCFI、および0より大〜約65重量%の transHFO−1234zeを含む、好ましくは、それらから本質的に成る。あるなお一層好ましい組成物は、約20重量%〜約95重量%のHFC−152a、約1重量%〜約65重量%のCFI、および0より大〜約25重量%の transHFO−1234ze;そして約20重量%〜約40重量%のHFC−152a、約35重量%〜約65重量%のCFI、および0より大〜約15重量%の transHFO−1234zeを含む。特に断らない限り、本明細書中に開示された重量%は、組成物中のHFC−152a、CFIおよび transHFO−1234zeの全重量に基づく。
【0019】
本明細書中に記載の共沸混合物様組成物は、好ましくは、約14.42psiaの圧力で約−23℃〜約−28℃の沸点を有する。ある一層好ましい態様において、本共沸混合物様組成物は、約14.42psiaの圧力で約−24℃〜約−27℃、そしてなお一層好ましい態様において、約14.42psiaの圧力で約−24.5℃〜約−26.7℃の沸点を有する。
【0020】
本発明の共沸混合物様組成物は、共沸混合物様有効量のHFC−152a、HFO−1234およびCFIを混合することによって製造することができる。三つまたはそれを超える成分を混合して組成物を形成するための当該技術分野において知られている広範囲の方法はいずれも、共沸混合物様組成物を製造する本方法での使用に適応することができる。例えば、HFC−152a、HFO−1234およびCFIは、バッチまたは連続反応および/または連続法の一部分として、または二つまたはそれを超えるこのような工程の組合せによって、手でおよび/または機械で混合する、ブレンドするまたはそれ以外に接触させることができる。本明細書中の開示に照らして、当業者は、過度の実験を伴うことなく、本発明による共沸混合物様組成物を容易に製造することができるであろう。
【0021】
組成物添加剤
本発明の二成分および三成分共沸混合物様組成物は、潤滑剤、安定剤、金属不動態化剤、腐蝕抑制剤、引火性抑制剤等を含めた種々の任意の添加剤のいずれかを更に包含してよい。
【0022】
ある態様により、本発明の共沸混合物様組成物は、安定剤を更に含む。本発明の共沸混合物様組成物を安定化させるのに適する種々の化合物はいずれも、用いることができる。ある好ましい安定剤の例には、安定化ジエン基材化合物、および/またはフェノール化合物、および/または芳香族エポキシド、アルキルエポキシド、アルケニルエポキシドおよび二つまたはそれを超えるそれらの組合せから成る群より選択されるエポキシドを含む安定剤組成物が含まれる。
【0023】
本明細書中で用いられる「ジエン基材化合物」という用語は、C3〜C5ジエン、およびいずれか二つまたはそれを超えるC3〜C5ジエンの反応によって形成される化合物を意味する。C3〜C5ジエンの組合せによって形成されるジエン基材化合物の場合、組み合わされる分子は、同じでありうるしまたは異なることがありうる。ある種の好ましい組成物は、少なくとも一つのジエン基材化合物を、分解に対してヨードカーボンを安定化させる使用条件下において有効な量で含む。用いられる一つまたは複数のジエン基材化合物のタイプおよび性質は、少なくともある程度は、組成物中に用いられる一つまたは複数の具体的なヨードカーボン化合物、組成物について考えられる使用条件および関連因子に依存することがありうる。
【0024】
概して、本発明の組成物中に用いられるジエン基材安定剤の量は、数ある因子の中でも、組成物中のヨードカーボンのタイプ、組成物について考えられる使用条件などの因子に依存して、広く異なることがありうると考えられる。概して、用いられるヨードカーボンに相対して有効量のジエン基材安定剤を用いることは好適である。本明細書中で用いられる「有効量」という用語は、トリフルオロヨードメタンなどの関係のあるヨードカーボン化合物を含む組成物に加えられた場合に、ジエン基材化合物の不存在下を除いて、同じまたは類似した条件下において、同じ組成物に相対してより遅くおよび/またはより少ない程度にヨードカーボンが分解する安定化された組成物を生じる一つまたは複数のジエン基材化合物の量を意味する。トリフルオロヨードメタンの具体的な実施例において、ある激しい条件下の重要な可能性のある分解生成物の一つは、トリフルオロメタンであるが、それは、CFI分子中のヨウ素に代わる水素の置換によって形成される。同様に、水素は、他のヨードカーボン中のヨウ素に代わって置換され、それによって、150より大のGWP値を有することがありうる化合物を形成することができる。これら分解生成物は、ヨードカーボンを用いる冷媒ブレンドのGWPを上昇させる作用を有する。したがって、低い地球温暖化係数を有するという目的は挫折する。有効量の安定剤は、冷媒組成物のGWPが150未満であるように、ヨードカーボンの分解量を減少させるであろう。GWP値を考慮しないとしても、冷媒組成物の成分の分解は望ましくない。したがって、上記の分解生成物のレベルは、全冷媒組成物の1.0重量%未満であることが好適である。ある好ましい態様において、一つまたは複数のジエン基材化合物の量は、安定化された組成物であって、その中の一つまたは複数のヨードカーボンの少なくとも一つが、SAE J1662(1993年6月発行)および/またはASHRAE97−1983R標準試験にしたがって調べた場合、ジエン基材化合物の不存在下を除いて、同じ組成物に相対してより遅くおよび/またはより少ない程度に分解する組成物を生じるのに充分である。例えば、ある好ましい態様において、ヨードカーボン中のヨウ素に代わる水素の置換によって形成される生成物である分解生成物の量は、組成物が約300°Fで約2週間維持された後に約0.9重量%未満である。
【0025】
ある好ましい態様において、ジエン基材化合物は、ヨードカーボンを含んで成る冷媒組成物の全重量に基づく約0.001重量%〜約10重量%、より好ましくは、約0.01重量%〜約5重量%、そしてなお一層好ましくは、約0.3重量%〜約4重量%の量で組成物中に存在する。
【0026】
好ましい態様において、ジエン基材化合物は、アルキルエーテル、プロパジエン、ブタジエン、イソプレン、ミルセンなどのテルペン類、テルペン誘導体およびいずれか二つまたはそれを超えるこれらの組合せから成る群より選択される。本明細書中で用いられるように、この上のリストの同定された化合物は各々、その同定された化合物の置換された形および未置換の形双方を包含するものである。ある好ましい態様において、ジエン基材化合物は、大部分は、プロパジエンを含む、なお一層好ましくは、プロパジエンから本質的に成る。
【0027】
ある他の好ましい態様において、ジエン基材化合物は、大部分は、テルペン類、テルペン誘導体またはこれらの組合せを含む、なお一層好ましくは、それらから本質的に成る。本明細書中で用いられる「テルペン」という用語は、少なくとも10個の炭素原子を含んで成り且つ少なくとも一つ、好ましくは、少なくとも二つのイソプレン部分を含有する化合物を意味する。多くの好ましい態様において、本発明のテルペン化合物は、少なくとも二つのイソプレンC5単位(CH=C(CH)−CH=CH)(置換されているまたは未置換である各単位)の反応より形成されるので、本発明のテルペン化合物の多くは、好ましくは、少なくとも10個の炭素原子を有し且つ少なくとも一つのイソプレン部分を包含する。本明細書中で用いられる「イソプレン部分」という用語は、置換されたまたは未置換のイソプレンより形成されうるラジカルを包含する分子のいずれか一部分を意味する。ある好ましい態様において、未置換テルペン類が好適である。
【0028】
多くの好ましい態様において、本発明のテルペン化合物は、修飾されたまたは未修飾のイソプレン分子の頭−尾(head-to-tail)縮合生成物を少なくとも一つ含む。いずれか一つまたはそれを超えるテルペン化合物は、本発明による使用に適応しうるということ、および当業者は、本明細書中にある教示を考えて、過度の実験を伴うことなく、いずれか具体的な用途のための一つまたは複数のテルペン化合物の数およびタイプを選択することができるであろうということが考えられる。本発明の好ましいテルペン類は、環状または非環状の、飽和または不飽和の、置換されたまたは未置換の構造の分子式(Cを有する炭化水素であり、nは、好ましくは、2〜約6、そしてなお一層好ましくは、2〜4である。式C1016を有する(置換された形を含めた)本発明によるテルペン類は、本明細書中において時々、モノテルペンと称され、そして式C1524を有する(置換された形を含めた)テルペン類は、本明細書中において時々、セスキテルペンと称される。式C2032を有する(置換された形を含めた)本発明によるテルペン類は、本明細書中において時々、ジテルペンと称され、そして式C3048を有する(置換された形を含めた)テルペン類は、時々、トリテルペンと称される。30個またはそれを超える炭素を含有するテルペン類は、通常は、通常のパターンでの二つのテルペン前駆体の融合によって形成される。このようなテルペン類は全て、本発明による使用に適応しうると考えられるが、モノテルペンの使用が、概して、好適である。
【0029】
ある好ましい態様において、本組成物の、一つまたは複数のテルペン化合物は、好ましくは、大部分は、一つまたはそれを超える非環状テルペン化合物を含む、なお一層好ましくは、それらから本質的に成る。非環状テルペン類の中で、このような化合物は、頭−尾連結イソプレノイドとして同定される化合物のクラスの範囲内であってよい、またはその方式で接続されていない化合物のクラスの範囲内であってよいと考えられる。本発明のある側面による使用に好適である非環状テルペン類には、ミルセン(2−メチル−6−メチレンオクタ−1,7−ジエン)、allo−シメン(allo-cimene)、β−オシメンが含まれる。
【0030】
ある態様において、本発明のテルペン化合物は、環状テルペン化合物を含んでよい。環状テルペン類の中で、いろいろな不飽和度を有する単環式、二環式、三環式または四環式化合物は、本発明による使用が考えられる。
【0031】
本発明のいろいろな側面に関連した使用に適応しうるテルペン化合物の例には、テレベン、ミルセン、リモネン、レチナール、ピネン、メントール、ゲラニオール、ファルネゾール、フィトール、ビタミンA、テルピネン、δ−3カレン、テルピノレン、フェランドレン、フェンチェン等、更には、それらの異性体を全て含めたそれらのブレンドが含まれる。
【0032】
本発明によるテルペン誘導体の例には、ヒドロキシル基またはカルボニル基を含有するアルコール、アルデヒドまたはケトンのような、テルペン類の酸素含有誘導体、更には、水素化誘導体が含まれる。テルペン類の酸素含有誘導体は、本明細書中において時々、テルペノイドと称される。ある態様において、本発明のジエン基材化合物は、カルノシン酸(Carnosic acid)というテルペノイドを含む。カルノシン酸は、実験式C2028O4に該当するフェノール性ジテルペンである。それは、リビアテエ(Libiatae)科の植物中に天然に存在する。例えば、カルノシン酸は、ヤクヨウサルビア(Salvia officinalis)種(サルビア)およびマンネンロウ(Rosmarinus officinalis)種(ローズマリー)の構成成分であり、主に、それらの葉において見出される。カルノシン酸は、ジャコウソウおよびマヨラナにおいても見出される。それは、Linde により、Salvia officinalis[Helv. Chim Acta 47, 1234(1962)]中で、および Wenkert et al. により、Rosmarinus officinalis[J. Org. Chem. 30, 2931(1965)]中で発見された。次に、それは、サルビアのいろいろな他の種で、例えば、サルビア・カナリエンシス(Salvia canariensis)[Savona and Bruno, J. Nat. Prod. 46, 594(1983)]またはサルビア・ウィレアナ(Salvia willeana)[de la Torre et al., Phytochemistry 29, 668(1990)]などで明確に同定された。それは、サルビア・トリロバ(Salvia triloba)およびサルビア・スクラレア(Salvia sclarea)にも存在する。
【0033】
いずれか適する相対量の少なくとも一つのジエン基材化合物および一つまたは複数の補足的な任意の安定剤化合物を用いることができる。例えば、ある好ましい態様において、一つまたは複数のジエン基材化合物対一つまたは複数の他の安定剤化合物の重量比は、約1:99〜約100:0の範囲内である。より好ましい態様において、一つまたは複数のジエン基材化合物対任意の安定剤の重量比は、約10:1〜約1:1、より好ましくは、約2:1〜約1:1、そしてなお一層好ましくは、約1:1である。
【0034】
好ましいテルペン安定剤は、本明細書中に援用される、2004年12月12日出願の米国仮特許出願第60/638,003号に開示されている。
【0035】
種々のフェノール化合物および/またはエポキシドはいずれも、本組成物中の安定剤としての使用にも適している。出願人は、いずれの操作理論にもまたは、によっても拘束されたくはないが、本フェノールは、CFI組成物中のラジカル捕捉剤として作用し、それによって、このような組成物の安定性を増加させる傾向があると考えられる。本明細書中で用いられる「フェノール化合物」という用語は、概して、いずれか置換されたまたは未置換のフェノールを意味する。適するフェノール化合物の例には、一つまたはそれを超える置換されたまたは未置換の環状、直鎖または分岐状の脂肪族置換基を含むフェノールであって、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、トコフェロール等を含めたアルキル化モノフェノール;t−ブチルヒドロキノン、他のヒドロキノン誘導体等を含めたヒドロキノンおよびアルキル化ヒドロキノン;4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)等を含めたヒドロキシル化チオジフェニルエーテル;4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2−または4,4−ビフェニルジオールの誘導体、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)を含めたアルキリデンビスフェノール;2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)を含めた2,2−または4,4−ビフェニルジオール;ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT);2,6−ジ−tert−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、4,4−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)等を含めた、ヘテロ原子を含むビスフェノール;アシルアミノフェノール;2,6−ジ−tert−ブチル−4(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール);ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルベンジル)スルフィド、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド等を含めたスルフィド;更には、フェノール性UV吸収および光安定剤などが含まれる。ある好ましいフェノールには、トコフェロール、BHT、ヒドロキノン等のようなアルキル化モノフェノールが含まれる。ある特に好ましいフェノールには、トコフェロール等が含まれる。大部分のフェノール類は、商業的に入手可能である。単一フェノール化合物および/または二つまたはそれを超えるフェノール化合物の混合物を、本組成物中で用いることができる。種々のエポキシドはいずれも、本発明の組成物中で用いるのに適している。出願人は、いずれの操作理論にもまたは、によっても拘束されたくはないが、本発明のエポキシドは、CFI組成物中のラジカル捕捉剤として作用し、それによって、このような組成物の安定性を増加させる傾向があると考えられる。単一の芳香族エポキシドおよび/または二つまたはそれを超える芳香族エポキシドの混合物を、本組成物中で用いることができる。
【0036】
適する芳香族エポキシドの例には、下の式I:
【0037】
【化1】

(式中、Rは、水素、ヒドロキシル、アルキル、フルオロアルキル、アリール、フルオロアリール、または
【0038】
【化2】

であり;そして
Arは、置換されたまたは未置換のフェニレンまたはナフチレン(napthylene)部分である)
によって定義されるものが含まれる。式Iを有するある好ましい芳香族エポキシドには、Arが、フェニレンである、またはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルキルアリール基、ハロゲン基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルケニル基、ハロゲン化アルキニル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アリールアルキル基、ヒドロキシル基、ヘテロ原子部分等を含めた1個またはそれを超える置換基で置換されたフェニレンであるものが含まれる。Arが、未置換のまたは置換されたフェニレンである式Iの適する化合物の例には、ブチルフェニルグリシジルエーテル;ペンチルフェニルグリシジルエーテル;ヘキシルフェニルグリシジルエーテル;ヘプチルフェニルグリシジルエーテル;オクチルフェニルグリシジルエーテル;ノニルフェニルグリシジルエーテル;デシルフェニルグリシジルエーテル;グリシジルメチルフェニルエーテル;1,4−ジグリシジルフェニルジエーテル;4−メトキシフェニルグリシジルエーテル;それらの誘導体;等が含まれる。
【0039】
式Iを有するある他の好ましい芳香族エポキシドには、Arが、ナフチレンである、またはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルキルアリール基、ハロゲン基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルケニル基、ハロゲン化アルキニル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アリールアルキル基、ヒドロキシル基、ヘテロ原子部分等を含めた1個またはそれを超える置換基で置換されたナフチレンであるものが含まれる。Arが、未置換のまたは置換されたナフチレンである式Iの適する化合物の例には、ナフチルグリシジルエーテル;1,4−ジグリシジルナフチルジエーテル;それらの誘導体;等が含まれる。
【0040】
他の適する芳香族エポキシドの例には、2,2’[[[5−ヘプタデカフルオロオクチル]1,3フェニレン]ビス[[2,2,2トリフルオロメチル]エチリデン]オキシメチレン]ビスオキシラン等のようなビスオキシランが含まれる。
【0041】
ある好ましい態様において、本発明で用いるための芳香族エポキシドは、Arが、フェニレン、置換フェニレン、ナフチレンまたは置換ナフチレンである式Iのエポキシドを含む。より好ましくは、芳香族エポキシドは、Arが、フェニレンまたは置換フェニレンである式Iのエポキシドを含む。ある一層好ましい芳香族エポキシドの例には、ブチルフェニルグリシジルエーテル等が含まれる。
【0042】
種々のアルキルおよび/またはアルケニルエポキシドはいずれも、本発明での使用に適している。適するアルキルエポキシドおよびアルケニルエポキシドの例には、式II:
【0043】
【化3】

(式中、Ralkは、置換されたまたは未置換のアルキル基またはアルケニル基である)
を有するものが含まれる。式IIを有するある好ましいエポキシドは、Ralkが、約1〜約10個の炭素原子、より好ましくは、約1〜約6個の炭素原子を有するアルキル基であり、そしてここにおいて、そのアルキルは、未置換であってよいし、またはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルキルアリール基、ハロゲン基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルケニル基、ハロゲン化アルキニル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アリールアルキル基、ヒドロキシル基、ヘテロ原子部分等を含めた1個またはそれを超える置換基で更に置換されていてよいアルキルエポキシド化合物を含む。式IIを有するこのような好ましいアルキルエポキシドの例には、n−ブチルグリシジルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等、更には、フッ素化および過フッ素化されたアルキルエポキシド等が含まれる。ある一層好ましいアルキルエポキシドは、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等を含む。
【0044】
式IIを有するある他の好ましいエポキシドは、Ralkが、約1〜約10個の炭素原子、より好ましくは、約1〜約6個の炭素原子を有するアルケニル基であり、そしてここにおいて、そのアルケニルは、未置換であってよいし、またはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルキルアリール基、ハロゲン基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルケニル基、ハロゲン化アルキニル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アリールアルキル基、ヒドロキシル基、ヘテロ原子部分等を含めた1個またはそれを超える置換基で更に置換されていてよいアルケニルエポキシド化合物を含む。式IIを有するこのような好ましいアルケニルエポキシドの例には、アリルグリシジルエーテル、フッ素化および過フッ素化されたアルケニルエポキシド等が含まれる。より好ましいアルケニルエポキシドには、アリルグリシジルエーテル等が含まれる。単一のアルキルエポキシドまたはアルケニルエポキシドおよび/または二つまたはそれを超えるそれらの組合せを、本発明で用いることができる。
【0045】
ある他の好ましい態様において、本組成物中の酸捕捉剤として用いるためのアルキルエポキシドは、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルを含む。本発明での使用に適するポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルの例には、SACHEM,Europe より商業的に入手可能なエーテルが含まれる。
【0046】
更に、ある態様において、本発明で用いるためのエポキシドは、二つまたはそれを超える芳香族置換基、アルキル置換基および/またはアルケニル置換基の組合せを含む。このようなエポキシドを、概して、「多置換エポキシド」と称する。
【0047】
ある好ましい態様により、本発明で用いるための安定剤は、一つまたはそれを超えるジエン基材化合物、好ましくは、テルペンおよび/またはテルペン基材化合物を含む。ある態様において、安定剤は、一つまたは複数のこのようなジエン基材化合物を、少なくとも一つのホスフィット化合物、および/または少なくとも一つのフェノール化合物、および/または少なくとも一つの芳香族エポキシド、アルキルエポキシドまたはアルケニルエポキシドとの組合せで含む。適する組合せの例には、トコフェロールとアリルグリシジルエーテル、BHTとグリシジルブチルエーテル等を含む安定剤が含まれる。ある特に好ましい組合せには、トコフェロールとアリルグリシジルエーテル等を含む安定剤が含まれる。ある態様において、好ましい安定剤は、少なくとも一つのジエン基材化合物を、少なくとも一つのホスフィット化合物との組合せで含む。
【0048】
いずれか適する相対量の少なくとも一つのフェノール化合物および少なくとも一つの芳香族エポキシド、アルキルエポキシドまたはアルケニルエポキシドを、好ましい安定剤中で用いることができる。例えば、一つまたは複数のフェノール化合物対一つまたは複数の芳香族エポキシドまたはフッ素化アルキルエポキシドの重量比は、約1:99〜約99:1でありうる。ある好ましい態様において、一つまたは複数のフェノール化合物対一つまたは複数の芳香族エポキシド、アルキルエポキシド、アルケニルエポキシド、多置換エポキシドまたはフッ素化アルキルエポキシドの重量比は、約30対約1、より好ましくは、約7対約1、より好ましくは、約2対約1、そしてなお一層好ましくは、約1:1である。
【0049】
いずれか適する有効量の安定剤を、本発明のトリフルオロヨードメタン組成物中で用いることができる。本明細書中で用いられる「安定化有効量」という用語は、トリフルオロヨードメタンを含む組成物に加えられた場合に、その中のトリフルオロヨードメタンが、同じまたは類似した条件下において、元の組成物に相対してより遅くおよび/またはより少ない程度に分解する安定化された組成物を生じる本発明の安定剤の量を意味する。ある好ましい態様において、安定剤の「安定化有効量」は、トリフルオロヨードメタンを含む組成物に加えられた場合に、その中のトリフルオロヨードメタンが、SAE J1662(1993年6月発行)および/またはASHRAE97−1983R標準試験の少なくとも一方または双方の条件下において、元の組成物に相対してより遅くおよび/またはより少ない程度に分解する安定化された組成物を生じる量を構成する。ある一層好ましい態様において、安定剤の「安定化有効量」は、トリフルオロヨードメタンを含む組成物に加えられた場合に、SAE J1662(1993年6月発行)および/またはASHRAE97−1983R標準試験の少なくとも一方の下において、鉱油中にジクロロジフルオロメタン(R−12)を含む比較しうる組成物の安定性よりも良くないとしても、少なくとも同程度に良好である安定性を有する組成物を生じる量を構成する。本発明で用いるための安定剤のある好ましい有効量は、本発明の組成物中のトリフルオロヨードメタンの全重量に基づいて、約0.001〜約10重量%、より好ましくは、約0.01〜約5重量%、なお一層好ましくは、約0.3〜約4重量%、そしてなお一層好ましくは、約0.3〜約1重量%を構成する。
【0050】
ある好ましい態様において、本発明の組成物は、潤滑剤を更に含む。種々の慣用的なおよび慣用的でない潤滑剤はいずれも、本発明の組成物中で用いることができる。潤滑剤に重要な必要条件は、冷媒システム中で使用中の場合、圧縮機が潤滑であるように、システムの圧縮機に戻る充分な潤滑剤が存在すべきであるということである。したがって、ある与えられたシステムへの潤滑剤の適性は、一部分は冷媒/潤滑剤特性によって、および一部分は、それが用いられる予定のシステムの特性によって決定される。適する潤滑剤の例には、概して、ヒドロフルオロカーボン(HFC)冷媒、クロロフルオロカーボン冷媒およびヒドロクロロフルオロカーボン冷媒を用いたまたは用いるように設計された冷却機械装置で一般的に用いられるものが含まれ、鉱油、シリコーン油、ポリアルキルベンゼン(時々、PABと称される)、ポリオールエステル(時々、POEと称される)、ポリアルキレングリコール(時々、PAGと称される)、ポリアルキレングリコールエステル(時々、PAGエステルと称される)、ポリビニルエーテル(時々、PVEと称される)、ポリ(アルファ−オレフィン)(時々、PAOと称される)およびハロカーボン油、具体的には、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等が含まれる。パラフィン油またはナフテン油を含む鉱油は、商業的に入手可能である。商業的に入手可能な鉱油には、Witco製のWitco LP250(登録商標);Shrieve Chemical製のZerol 300(登録商標);Witco製のSunisco 3GS;Calumet製のCalumet R015が含まれる。商業的に入手可能なポリアルキルベンゼン潤滑剤には、Zerol150(登録商標)が含まれる。商業的に入手可能なエステルには、Emery2917(登録商標)およびHatcol2370(登録商標)として入手可能であるネオペンチルグリコールジペルアルゴネートが含まれる。商業的に入手可能なPAGには、Dow より入手可能である類似した製品とともに、Fordより入手可能なMotorcraft PAG Refrigerant Compressor Oilが含まれる。商業的に入手可能なPAOには、CPI Engineering製のCP−4600が含まれる。商業的に入手可能なPVEは、出光興産より入手可能である。商業的に入手可能なPAGエステルは、Chrysler より入手可能である。他の有用なエステルには、リン酸エステル、二塩基酸エステルおよびフルオロエステルが含まれる。
【0051】
HFCを用いたまたは用いるように設計された冷却システムについては、具体的には、圧縮冷却、空調(特に、自動車用空調について)およびヒートポンプを含むシステムについては、概して、潤滑剤としてPAG、PAGエステル、PVEおよびPOEを用いるのが好適である。CFCまたはHCFCを用いたまたは用いるように設計された冷却システムについては、概して、潤滑剤として鉱油またはPABを用いるのが好適である。ある好ましい態様において、本発明の潤滑剤は、炭素、水素および酸素を、酸素対炭素の比率で含んで成る有機化合物であり、用いられる量との組合せにおいて、冷媒との有効な溶解性および/または混和性を与えるように含まれて、圧縮機への潤滑剤の充分な戻りを確実にする。この溶解性または混和性は、好ましくは、約−30℃〜70℃の少なくとも一つの温度で存在する。
【0052】
PAGおよびPAGエステルは、元の装置移動空調システムなどの具体的な用途での使用に現在用いられていることから、ある態様においてきわめて好適である。ポリオールエステルは、住宅用、商用および工業用の空調および冷却などの具体的な非移動用途での使用に現在用いられていることから、他のある態様においてきわめて好適である。当然ながら、いろいろなタイプの潤滑剤のいろいろな混合物を用いることができる。
【0053】
組成物の用途
二成分CFI/HFC−152a共沸混合物様組成物および三成分CFI/HFC−152a/HFO−1234共沸混合物様組成物双方を含めた本発明の組成物は、広範囲の用途に有用である。例えば、本発明の一つの態様は、冷媒組成物などの伝熱組成物であって、本発明の共沸混合物様組成物を含む組成物に関する。
【0054】
本発明の伝熱組成物は、概して、伝熱用途において、すなわち、加熱および/または冷却媒体として用いるのに適応しうる。本発明の組成物は、本共沸混合物様組成物を、広範囲の量の一つまたはそれを超える他の化合物または化合物組合せとの組合せで包含しうると考えられるが、概して、冷媒組成物を含めた本発明の伝熱組成物は、本共沸混合物様組成物から本質的に成る、若干の態様においては、本共沸混合物様組成物から成る。
【0055】
本発明の伝熱組成物は、空調(定置および移動双方の空調システムを含めた)システム、冷却システム、ヒートポンプシステム、HVACシステム等を含めた広範囲の冷却システムのいずれにおいても用いることができる。ある好ましい態様において、本発明の組成物は、例えば、HFC−134aなどのHFC冷媒、または例えば、HCFC−22などのHCFC冷媒での使用に本来設計された冷却システムにおいて用いられる。本発明の好ましい組成物は、HFC−134aおよび他のHFC冷媒について、慣用的なHFC冷媒の場合と同様に低いまたはそれより低いGWP、およびこのような冷媒に実質的に類似したまたは実質的に匹敵する、好ましくは、それと同程度に高いまたはそれより高い能力を含めた多数の所望の特性を示す傾向がある。具体的には、出願人は、本組成物が、比較的低い、好ましくは、約1000未満、より好ましくは、約500未満、そしてなお一層好ましくは、約150未満の地球温暖化係数(「GWP」)を示す傾向があるということを確認した。更に、本発明の組成物の比較的定沸点の性質は、それらを、多数の用途において冷媒として用いるのに、R−404A、またはHFC−32、HFC−125およびHFC−134aの組合せ(約23:25:52重量比のHFC−32:HFC−125:HFC−134a組合せを、R−407Cと称する)のようなある種の慣用的なHFCよりもなお一層望ましくする。本発明の伝熱組成物は、HFC−32、HFC−125、HFC−134a、HFC−143a、HFC−152a、HFC−22、R−12およびR−500の代替品として特に好適である。本組成物は、更に、エアゾール、発泡剤等のような他の用途における上記組成物の代替品として適していると考えられる。
【0056】
ある他の好ましい態様において、本組成物は、概して、伝熱システムにおいて、具体的には、CFC冷媒での使用に本来設計された冷却システムにおいて用いられる。本発明の好ましい冷却組成物は、鉱油、ポリアルキルベンゼン、ポリアルキレングリコール等のような、CFC冷媒と一緒に慣用的に用いられる潤滑剤を含有する冷却システムにおいて用いることができるし、またはHFC冷媒と一緒に伝統的に用いられる他の潤滑剤と一緒に用いることができる。本明細書中で用いられる「冷却システム」という用語は、概して、冷却するのに冷媒を用いるいずれかのシステムまたは装置、またはこのようなシステムまたは装置のいずれかの部材または部分を意味する。このような冷却システムには、例えば、空調、電気冷蔵庫、冷却機(遠心圧縮機を用いた冷却機を含めた)、輸送用冷却システム、商用冷却システム等が含まれる。
【0057】
多数の既存の冷却システムは、現在、既存の冷媒に関連した使用に適応されており、本発明の組成物は、多数のこのようなシステムでの使用に、システム改変を伴ってまたは伴うことなく、適応しうると考えられる。多数の用途において、本発明の組成物は、ある種の冷媒に現在基づいているより小さいシステム、例えば、小さい冷却能力を必要とし、それによって、比較的小さい圧縮機排気量への要求が示されるシステムにおける代替品としての利点を与えることができる。更に、効率の理由のために、例えば、より高い能力の冷媒を交換するように、本発明のより低い能力の冷媒組成物を用いることが望まれる態様において、本組成物のこのような態様は、可能性のある利点を与える。したがって、ある態様において、本発明の組成物、具体的には、次に挙げるような既存の冷媒、HFC−134a;CFC−12;HCFC−22;HFC−152a;ペンタフルオロエタン(HFC−125)、トリフルオロエタン(HFC−143a)およびテトラフルオロエタン(HFC−134a)の組合せ(約44:52:4重量比のHFC−125:HFC−143a:HFC−134aの組合せを、R−404Aと称する);HFC−32、HFC−125およびHFC−134aの組合せ(約23:25:52重量比のHFC−32:HFC−125:HFC134aの組合せを、R−407Cと称する);フッ化メチレン(HFC−32)およびペンタフルオロエタン(HFC−125)の組合せ(約50:50重量比のHFC−32:HFC−125の組合せを、R−410Aと称する);CFC−12および1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)の組合せ(約73.8:26.2重量比のCFC−12:HFC−152aの組合せを、R−500と称する);およびHFC−125およびHFC−143aの組合せ(約50:50重量比のHFC−125:HFC−143aの組合せを、R−507Aと称する)、の代替品として、実質的な比率の本共沸混合物様組成物を含む組成物、若干の態様においては、本共沸混合物様組成物から本質的に成る組成物を用いることは好適である。ある態様において、R−407Cと称される約20:40:40重量比の、またはR−407Dと称される約15:15:70重量比のHFC−32:HFC−125:HFC134a組合せより形成される冷媒の代替品に関連して本組成物を用いることも、有益でありうる。本組成物は、更に、エアゾール、発泡剤等のような他の用途における上記組成物の代替品として適していると考えられる。
【0058】
ある用途において、本発明の冷媒は、より大きい排気量圧縮機の有益な使用を潜在的に可能にし、それによって、HFC−134aなどの他の冷媒より良好なエネルギー効率を生じる。したがって、本発明の冷媒組成物は、冷媒交換用途について、エネルギー基準で競合的利点を達成する可能性を与える。
【0059】
本発明の組成物は、更に、商用空調および冷却システムに関連して典型的に用いられる冷却機において(元のシステムにおいてかまたは、CFC−12、HCFC−22、HFC−134a、HFC−152a、R−404A、R−410A、R−407C、R−500およびR−507Aなどの冷媒の代替品として用いられる場合に)利点を有すると考えられる。あるこのような態様において、本組成物中に、約0.5重量%〜約30重量%、ある場合に、より好ましくは、約0.5重量%〜約15重量%の補助引火性抑制剤を包含することが好適である。これに関して、本組成物のCFIおよびHFO−1234ze成分は、ある態様において、組成物中の他の成分に関して引火性抑制剤として作用しうるということが注目される。HFO−1234zeまたはCFIより引火性の他の成分が、組成物中に包含されている場合、HFO−1234zeおよびCFIは各々、このような他の成分の引火性を抑制するように機能することがありうる。したがって、組成物中の、引火性抑制機能を有するHFO−1234zeおよびCFI以外の成分は、本明細書中において時々、補助引火性抑制剤と称されるであろう。同様に、出願人は、本組成物のCFI成分が、ある態様において、潤滑剤として作用しうるということを理解することとなり、したがって、潤滑機能を有するCFI以外の成分は、本明細書中において時々、補助潤滑剤と称されるであろう。
【0060】
ある態様において、例えば、HFC、HCFCおよびCFCを含めた共冷媒(co-refrigerants)は、次の化合物:
トリクロロフルオロメタン(CFC−11)
ジクロロジフルオロメタン(CFC−12)
ジフルオロメタン(HFC−32)
ペンタフルオロエタン(HFC−125)
1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)
1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)
1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)
1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)
1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)

CO
のいずれかおよび総ての異性体を含めた一つまたはそれを超えるそれら化合物を含めた本発明の伝熱組成物中に包含されてよい。上記の成分のいずれか、更には、本組成物中に包含されてよいいずれかの追加の成分の相対量は、その組成物の具体的な用途に依存した量で本組成物中に包含されてよく、このような相対量は総て、好ましくは、このような成分が、本明細書中に記載のHFC−152aおよびCFI組成物またはHFO−1234、HFC−152aおよびCFI組成物の共沸混合物様の性質を無効にしないという条件付きで、本発明の範囲内であると考えられる。
【0061】
したがって、本方法、システムおよび組成物は、自動車用空調システムおよび装置、商用冷却システムおよび装置、冷却機(遠心圧縮機を利用するシステムを含めた)、住宅用冷蔵庫および冷凍庫、汎用空調システム、ヒートポンプ等に関連した使用に適応しうる。
【0062】
冷却システムに本冷媒組成物を導入する広範囲の方法はいずれも、本発明において用いることができる。例えば、一つの方法は、冷媒容器を、冷却システムの低圧側に取り付け、冷却システム圧縮機を作動させて、冷媒をシステム中に引き入れることを含む。このような態様において、冷媒容器は、システムに入る冷媒組成物の量を監視できるような規模で置くことができる。所望の量の冷媒組成物がシステム中に導入された時、装入を止める。或いは、当業者に知られている広範囲の装入手段が、商業的に入手可能である。したがって、上の開示に照らして、当業者は、本発明によって、過度の実験を伴うことなく、冷却システム中に本発明の冷媒組成物を容易に導入することができるであろう。
【0063】
ある他の態様により、本発明は、本発明の冷媒を含む冷却システム、および顕熱伝達によって加熱または冷却を生じる方法および/または本発明の組成物を凝縮させるおよび/または蒸発させる方法を提供する。ある好ましい態様において、他の流体を直接的にまたは間接的にかまたは物体を直接的にまたは間接的に冷却することを含めた冷却方法は、本発明の共沸混合物様組成物を含む冷媒組成物を凝縮させ、そしてその後、冷却される流体または物体の付近でその冷媒組成物を蒸発させることを含む。本明細書中で用いられる「物体」という用語は、無生物のみならず、概して、動物組織、具体的には、ヒト組織を含めた生きている組織をも意味するものである。例えば、本発明のある側面は、鎮痛技法のような一つまたはそれを超える治療目的のために、予備的麻酔薬として、または処置されている体温を低下させることを伴う療法の一部分として、ヒト組織への本組成物の適用を伴った。ある態様において、物体への適用は、本組成物を、圧力下において、好ましくは、ワンウェイ排出バルブおよび/またはノズルを有する加圧容器中において液体で提供し、その液体を加圧容器から、物体へと組成物を噴霧することまたはそれ以外で適用することによって放出することを含む。その液体が、噴霧されている表面から蒸発するにつれて、その表面は冷却される。
【0064】
流体または物体製品を加熱するある好ましい方法は、本発明の共沸混合物様組成物を含む冷媒組成物を、加熱される流体または物体の付近で凝縮させ、そしてその後、その冷媒組成物を蒸発させることを含む。本明細書中の開示に照らして、当業者は、本発明により、過度の実験を伴うことなく、製品を容易に加熱し且つ冷却することができるであろう。
【0065】
出願人は、本発明のシステムにおいて、重要な冷却システム性能パラメーターの多くが、HFC−134aのパラメーターに比較的近いということを発見した。多数の既存の冷却システムは、HFC−134aについて、またはHFC−134aに類似した性状を有する他の冷媒について設計されていることから、当業者は、HFC−134aの代替品として用いることができる低GWPおよび/または低オゾン層破壊性冷媒、またはシステムへの比較的最小限の改変を有する類似の冷媒の実質的な利点を理解するであろう。ある態様において、本発明は、改装方法であって、既存のシステム中の冷媒を、実質的なシステム改変を伴うことなく、本発明の組成物と交換することを含む方法を提供する。ある好ましい態様において、その交換工程は、本発明の冷媒に適合するために、システムの実質的な再設計を必要としないし且つ装置の主要品目を交換する必要がないという意味で、ドロップ・イン(drop-in)交換である。ある好ましい態様において、それら方法は、システムの能力が、交換前のシステム能力の少なくとも約70%、好ましくは、少なくとも約85%、そしてなお一層好ましくは、少なくとも約90%であるドロップ・イン交換を含む。ある好ましい態様において、それら方法は、システムの吸引圧力および/または排出圧力、なお一層好ましくは、双方が、交換前のシステム能力の少なくとも約70%、より好ましくは、少なくとも約90%、そしてなお一層好ましくは、少なくとも約95%であるドロップ・イン交換を含む。ある好ましい態様において、それら方法は、システムの質量流量が、交換前のシステム能力の少なくとも約80%、そしてなお一層好ましくは、少なくとも90%であるドロップ・イン交換を含む。
【0066】
別の態様において、本発明の共沸混合物様組成物は、噴霧可能組成物中の噴射剤として、単独でかまたは既知の噴射剤との組合せで用いることができる。噴射剤組成物は、本発明の共沸混合物様組成物を含む、より好ましくは、本発明の共沸混合物様組成物から本質的に成る、なお一層好ましくは、本発明の共沸混合物様組成物から成る。不活性成分、溶剤および他の材料と一緒に噴霧される活性成分は、噴霧可能混合物中に存在してもよい。好ましくは、噴霧可能組成物はエアゾールである。噴霧される適する活性材料には、制限されることなく、消臭剤、香水、ヘアスプレーなどの化粧品材料、洗浄溶剤および潤滑剤、更には、抗喘息薬などの医薬品材料が含まれる。医薬品材料という用語は、本明細書中において、治療的処置、診断処置、疼痛軽減処置および類似の処置に関連して有効である、または少なくとも有効であると考えられるいずれかおよび総ての材料を包含するその最も広範な意味で用いられ、それ自体、例えば、薬物および生物学的に活性な物質を包含すると考えられる。
【0067】
本発明のまた別の態様は、一つまたはそれを超える本発明の共沸混合物様組成物を含む発泡剤に関する。概して、発泡剤は、本発明の共沸混合物様組成物を広範囲の量で包含してよい。しかしながら、概して、それら発泡剤は、本共沸混合物様組成物を、発泡剤の少なくとも約5重量%、なお一層好ましくは、少なくとも約15重量%の量で含むのが好適である。ある好ましい態様において、発泡剤は、本組成物の少なくとも約50重量%を構成し、そしてある態様において、発泡剤は、本共沸混合物様組成物から本質的に成り、そして他の場合、本発明の共沸混合物様組成物から成る。ある好ましい態様において、発泡剤は、本組成物に加えて、共発泡剤、充填剤、蒸気圧調節剤、火炎抑制剤、安定剤および類似のアジュバントの内の一つまたはそれを超えるものを包含する。
【0068】
他の態様において、本発明は、発泡性組成物を提供する。本発明の発泡性組成物は、概して、一般的な気泡構造を有するフォームを形成しうる一つまたはそれを超える成分および本発明による発泡剤を包含する。ある態様において、その一つまたはそれを超える成分は、フォームを形成しうる熱硬化性組成物および/または発泡性組成物を構成する。熱硬化性組成物の例には、ポリウレタンおよびポリイソシアヌレートフォーム組成物、そして更に、フェノール樹脂フォーム組成物が含まれる。このような熱硬化性フォーム態様において、一つまたはそれを超える本組成物は、好ましくは、フォームまたは気泡構造を形成する適切な条件下で反応しうるおよび/または発泡しうる一つまたはそれを超える成分を包含する発泡性組成物中の発泡剤またはその一部分として、または二つまたはそれを超える部分発泡性組成物の一部分として包含される。ある他の態様において、その一つまたはそれを超える成分は、熱可塑性材料、具体的には、熱可塑性ポリマーおよび/または樹脂を構成する。熱可塑性フォーム成分の例には、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)およびポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリオレフィンおよびそれらから形成されるフォーム、好ましくは、低密度フォームが含まれる。ある態様において、熱可塑性発泡性組成物は、押出可能組成物である。
【0069】
本発明の発泡剤が形成されるおよび/または発泡性組成物に加えられる順序および方式は、概して、本発明の実施可能性に影響しないということは、特に、本明細書中にある開示を考えると、当業者に理解されるであろう。例えば、押出可能フォームの場合、発泡剤のいろいろな成分は、そしてなお本組成物の成分も、押出装置への導入に先んじて混合されることはないと考えられるし、またはそれら成分が、押出装置中の同じ部位に加えられることもないと考えられる。したがって、ある態様において、発泡剤成分が、押出機中で一緒になるおよび/またはこの方式で一層有効に働くであろうということを期待して、一つまたはそれを超える発泡剤成分を、一つまたはそれを超える他の発泡剤成分の添加場所より上流である押出機中の第一部位で導入するのが望ましいことがありうる。それにもかかわらず、ある態様においては、二つまたはそれを超える発泡剤成分を先に混合し、そして一緒に、発泡性組成物中へと直接的に導入するかまたは、プレミックスの一部分として導入した後、それを発泡性組成物の他の部分に加える。
【0070】
本発明は、更に、本発明の組成物を、好ましくは、発泡剤の一部分として含有するポリマーフォーム配合物から製造されるフォーム、好ましくは、独立気泡フォームに関する。
【0071】
ある好ましい態様において、分散助剤、気泡安定剤、界面活性剤および他の添加剤も、本発明の発泡剤組成物中に包含されてよい。界面活性剤は、場合によるが、好ましくは、気泡安定剤として役立つように加えられる。若干の代表的な材料は、DC−193、B−8404およびL−5340という名称で販売されているが、それらは、概して、本明細書中に各々援用される米国特許第2,834,748号、第2,917,480号および第2,846,458号に開示されたもののようなポリシロキサンポリオキシアルキレンブロックコポリマーである。発泡剤混合物のための他の任意の添加剤には、トリ(2−クロロエチル)ホスフェート、トリ(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリ(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリ(1,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、リン酸二アンモニウム、各種ハロゲン化芳香族化合物、酸化アンチモン、アルミニウム三水和物、ポリ塩化ビニル等のような難燃剤または火炎抑制剤が含まれてよい。
【0072】
本明細書中に援用される“Polyurethanes Chemistry and Technology,”Volumes I and II, Saunders and Frisch, 1962, John Wiley and Sons, New York, NY に記載されたもののような、当該技術分野において周知の方法はいずれも、本発明のフォーム態様によって用いることができるしまたは使用に適応することができる。
【0073】
本共沸混合物様組成物の他の用途には、溶剤、洗浄剤等のような使用が含まれる。当業者は、このような用途での使用について、過度の実験を伴うことなく、本組成物を容易に適応しうるであろう。
【0074】
実施例
本発明を、次の実施例で更に詳しく説明するが、それは、例示するものであり、いずれにせよ、制限するものではない。
【0075】
実施例1
冷却器を上部に有する真空ジャケット付き管から成り、Quartz Thermometer K96S4771を更に装備しているエブリオメーターを用いる。約15gのHFC−152aおよび約26gのCFIを、エブリオメーターに装入後、HFO−1234を、測定された少量ずつ加える。HFO−1234を、HFC−152a/CFI混合物に加えた時に、温度降下を認め、三成分最低沸点共沸混合物が形成されていることが示される。約0より大〜約14重量%のHFO−1234で、組成物の沸点は、約1℃またはそれ未満だけ変化した。表1に示される三成分混合物を研究し、それら組成物の沸点は、約1℃またはそれ未満だけ変化した。それら組成物は、この範囲にわたって共沸混合物および/または共沸混合物様の性状を示す。
【0076】
【表1】

実施例2
冷却器を上部に有する真空ジャケット付き管から成り、Quartz Thermometer K96S4771を更に装備しているエブリオメーターを用いる。約36gのCFIおよび約26gのHFO−1234を、エブリオメーターに装入後、HFC−152aを、測定された少量ずつ加える。HFC−152aを、HFO−1234/CFI混合物に加えた時に、温度降下を認め、三成分最低沸点共沸混合物が形成されていることが示される。約0より大〜約29重量%のHFC−152aで、組成物の沸点は、約1℃またはそれ未満だけ変化した。表2に示される三成分混合物を研究し、それら組成物の沸点は、約1℃またはそれ未満だけ変化した。それら組成物は、この範囲にわたって共沸混合物および/または共沸混合物様の性状を示す。
【0077】
【表2】

実施例3
冷却器を上部に有する真空ジャケット付き管から成り、Quartz Thermometer K96S4771を更に装備しているエブリオメーターを用いる。約17gのHFC−152aおよび約7gのHFO−1234を、エブリオメーターに装入後、CFIを、測定された少量ずつ加える。CFIを、HFC−152a/HFO−1234混合物に加えた時に、温度降下を認め、三成分最低沸点共沸混合物が形成されていることが示される。約0より大〜約29重量%のCFIで、組成物の沸点は、約3℃またはそれ未満だけ変化した。表3に示される三成分混合物を研究し、それら組成物の沸点は、約3℃またはそれ未満だけ変化した。それら組成物は、この範囲にわたって共沸混合物および/または共沸混合物様の性状を示す。
【0078】
【表3】

実施例4
冷却器を上部に有する真空ジャケット付き管から成り、Quartz Thermometer K96S4771を更に装備しているエブリオメーターを用いる。約15gのHFC−152aを、エブリオメーターに装入後、CFIを、測定された少量ずつ加える。CFIを、HFC−152aに加えた時に、温度降下を認め、三成分最低沸点共沸混合物が形成されていることが示される。約0より大〜約65重量%のHFO−1234で、組成物の沸点は、約3℃またはそれ未満だけ変化した。表4に示される三成分混合物を研究し、それら組成物の沸点は、約3℃またはそれ未満だけ変化した。それら組成物は、この範囲にわたって共沸混合物および/または共沸混合物様の性状を示す。
【0079】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
共沸混合物様組成物であって、共沸混合物様有効量のHFC−152aおよびCFIを含む共沸混合物様組成物。
【請求項2】
約35重量%〜約55重量%のHFC−152aおよび約45重量%〜約65重量%のCFIから本質的に成る、請求項1に記載の共沸混合物様組成物。
【請求項3】
約35重量%〜約43重量%のHFC−152aおよび約57重量%〜約65重量%のCFIから本質的に成る、請求項1に記載の共沸混合物様組成物。
【請求項4】
約14.42psiaの圧力において約−23℃〜約−28℃の沸点を有する、請求項1に記載の共沸混合物様組成物。
【請求項5】
約14.42psiaの圧力において約−24℃〜約−28℃の沸点を有する、請求項1に記載の共沸混合物様組成物。
【請求項6】
約14.42psiaの圧力において約−25℃〜約−28℃の沸点を有する、請求項1に記載の共沸混合物様組成物。
【請求項7】
約14.42psiaの圧力において約−26℃〜約−27.5℃の沸点を有する、請求項1に記載の共沸混合物様組成物。
【請求項8】
共沸混合物様組成物であって、共沸混合物様有効量のHFC−152a、HFO−1234およびCFIを含む共沸混合物様組成物。
【請求項9】
約10重量%〜約95重量%のHFC−152a、約1重量%〜約70重量%のCFI、および0より大〜約70重量%のHFO−1234から本質的に成る、請求項8に記載の共沸混合物様組成物。
【請求項10】
20重量%〜約95重量%のHFC−152a、約1重量%〜約65重量%のCFI、および0より大〜約65重量%のHFO−1234から本質的に成る、請求項9に記載の共沸混合物様組成物。
【請求項11】
20重量%〜約95重量%のHFC−152a、約1重量%〜約65重量%のCFI、および0より大〜約25重量%のHFO−1234から本質的に成る、請求項9に記載の共沸混合物様組成物。
【請求項12】
約20重量%〜約40重量%のHFC−152a、約35重量%〜約65重量%のCFI、および0より大〜約15重量%のHFO−1234から本質的に成る、請求項9に記載の共沸混合物様組成物。
【請求項13】
約14.42psiaの圧力において約−23℃〜約−28℃の沸点を有する、請求項9に記載の共沸混合物様組成物。
【請求項14】
約14.42psiaの圧力において約−24℃〜約−27℃の沸点を有する、請求項9に記載の共沸混合物様組成物。
【請求項15】
約14.42psiaの圧力において約−24.5℃〜約−26.7℃の沸点を有する、請求項9に記載の共沸混合物様組成物。
【請求項16】
組成物であって、HFC−152aおよびHFC−152aとHFO−1234の組合せから成る群より選択される共沸混合物様量の一つまたはそれを超える化合物およびCFIを含む共沸混合物様組成物を含む組成物。
【請求項17】
組成物であって、請求項16に記載の組成物と、補助潤滑剤、相溶化剤、界面活性剤、補助火炎抑制剤、可溶化剤、分散助剤、気泡安定剤、化粧品、艶出剤、医薬品、洗浄剤、難燃剤、着色剤、化学滅菌剤、安定剤、ポリオール、ポリオールプレミックス成分および二つまたはそれを超えるこれらの組合せから成る群より選択される少なくとも一つのアジュバントを含む組成物。
【請求項18】
伝熱組成物であって、請求項17に記載の組成物を含み、ここにおいて、前記アジュバントが、少なくとも一つの潤滑剤を含む伝熱組成物。
【請求項19】
前記補助潤滑剤が、鉱油、シリコーン油、ポリアルキルベンゼン(PAB)、ポリオールエステル(POE)、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリアルキレングリコールエステル(PAGエステル)、ポリビニルエーテル(PVE)、ポリ(アルファ−オレフィン)(PAO)およびこれらの組合せから成る群より選択される、請求項18に記載の伝熱組成物。
【請求項20】
前記アジュバントが、少なくとも一つの相溶化剤を更に包含する、請求項19に記載の伝熱組成物。
【請求項21】
約0.5重量%〜約5重量%の前記少なくとも一つの相溶化剤を含む、請求項20に記載の伝熱組成物。
【請求項22】
前記一つまたは複数の一緒になった補助潤滑剤が、伝熱組成物の約5重量%〜約50重量%の量で存在する、請求項19に記載の伝熱組成物。
【請求項23】
一つまたはそれを超える補助火炎抑制剤を含む、請求項18に記載の伝熱組成物。
【請求項24】
前記一つまたはそれを超える一緒になった火炎抑制剤が、伝熱組成物の約0.5重量%〜約30重量%の量で存在する、請求項23に記載の伝熱組成物。
【請求項25】
伝熱組成物であって、請求項16に記載の共沸混合物様組成物を含む伝熱組成物。
【請求項26】
伝熱組成物であって、少なくとも約50重量%の請求項16に記載の組成物を含む伝熱組成物。
【請求項27】
冷媒であって、請求項26に記載の伝熱組成物を含む冷媒。
【請求項28】
冷却システムであって、請求項27に記載の伝熱組成物を含む冷却システム。
【請求項29】
自動車用空調システム、住宅用空調システム、商用空調システム、住宅用冷蔵庫システム、住宅用冷凍庫システム、商用冷蔵庫システム、商用冷凍庫システム、冷却機空調システム、冷却機冷却システム、ヒートポンプシステムおよび二つまたはそれを超えるこれらの組合せから成る群より選択される、請求項28に記載の冷却システム。
【請求項30】
発泡剤であって、請求項16に記載の共沸混合物様組成物を含む発泡剤。
【請求項31】
発泡剤であって、少なくとも約5重量%の請求項16に記載の共沸混合物様組成物を含む発泡剤。
【請求項32】
発泡性組成物であって、フォームを成形可能な一つまたはそれを超える成分および請求項16に記載の共沸混合物様組成物を含む発泡性組成物。
【請求項33】
前記フォームを成形可能な一つまたはそれを超える成分が、熱可塑性フォーム、ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、低密度ポリエチレンフォーム、押出熱可塑性フォーム、ポリウレタンフォームおよびポリイソシアヌレートフォームから成る群より選択されるフォームを成形可能な一つまたはそれを超える成分を含む、請求項32に記載の発泡性組成物。
【請求項34】
分散助剤、気泡安定剤、界面活性剤、難燃剤および二つまたはそれを超えるこれらの組合せから成る群より選択される少なくとも一つの添加剤を更に含む、請求項33に記載の発泡性組成物。
【請求項35】
請求項32に記載の発泡性組成物より成形されたフォーム。
【請求項36】
請求項32に記載のフォームを含む独立気泡フォーム。
【請求項37】
冷媒システム中に含有された既存の冷媒を交換する方法であって、該既存の冷媒の少なくとも一部分を該システムから除去し、そして請求項16に記載の組成物を含む冷媒組成物を該システム中に導入することによって、該既存の冷媒の少なくとも一部分を交換することを含む方法。
【請求項38】
前記既存の冷媒が、HFC−134a、R−12、HFC−143a、HFC−125、HFC−32、R−500、HFC−152aおよびHFC−22、およびこれらの組合せから成る群より選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記既存の冷媒が、HFC−134a、HFC−143a、HFC−125、HFC−32およびこれらの組合せから成る群より選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記既存の冷媒が、HFC−143a、HFC−125、HFC−32およびこれらの組合せから成る群より選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記既存の冷媒システムが、第一排気量を有する第一圧縮機を少なくとも含み、そして更に、該第一圧縮機を該システムから除去し且つ該第一圧縮機より大きい排気量を有する少なくとも第二圧縮機を該システム中に挿入する工程を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
前記既存の冷媒システムが、自動車用空調システム、住宅用空調システム、商用空調システム、住宅用冷蔵庫システム、住宅用冷凍庫システム、商用冷蔵庫システム、商用冷凍庫システム、冷却機空調システム、冷却機冷却システム、ヒートポンプシステムおよび二つまたはそれを超えるこれらの組合せから成る群より選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
請求項1に記載の前記冷媒が、約1000以下の地球温暖化係数(Global Warming Potential)(GWP)を有する、請求項37に記載の方法。
【請求項44】
噴霧可能組成物であって、噴霧される材料と、請求項16に記載の共沸混合物様組成物を含む噴射剤を含む噴霧可能組成物。
【請求項45】
エアゾールの形の、請求項44に記載の噴霧可能組成物。
【請求項46】
前記噴霧される材料が、化粧品、洗浄溶剤、潤滑剤および医薬品材料から成る群より選択される、請求項45に記載の噴霧可能組成物。
【請求項47】
医薬品材料を含み、そしてここにおいて、該医薬品材料が、薬物または生物学的に活性な材料である、請求項46に記載の噴霧可能組成物。
【請求項48】
製品を滅菌する方法であって、該製品と、請求項16に記載の組成物を含む組成物とを接触させることを含む方法。
【請求項49】
製品を冷却する方法であって、請求項16に記載の伝熱組成物を凝縮させ、そしてその後、冷却される製品の付近で該組成物を蒸発させることを含む方法。
【請求項50】
製品を加熱する方法であって、請求項16に記載の伝熱組成物を、加熱される製品の付近で凝縮させ、そしてその後、該冷媒組成物を蒸発させることを含む方法。
【請求項51】
少なくとも約50重量%の請求項16に記載の組成物を含む発泡剤。

【公表番号】特表2008−505989(P2008−505989A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508635(P2007−508635)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/013198
【国際公開番号】WO2005/103191
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】