説明

内燃機関の制御装置

【課題】触媒劣化抑制制御が実行可能な内燃機関に対し、この触媒劣化抑制制御による効果を得ながらも、触媒劣化抑制制御の実行に起因する運転者の違和感を軽減することが可能な内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】触媒温度が所定の閾値以上で且つアクセルOFF操作がなされて触媒劣化抑制制御実行条件が成立した際に、ISCVによる吸入空気量を従来の触媒劣化抑制制御開始時の吸入空気量βよりも少ない吸入空気量αに制限する。この吸入空気量をαに制限した状態をエンジン回転数に応じて設定したγ秒間だけ維持する。このγ秒の経過後、エンジン回転数に応じて設定した吸気増量補正量Xで吸入空気量を増量していき、吸入空気量を上記吸入空気量βまで徐変させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等に搭載される内燃機関の制御装置に係る。特に、本発明は、触媒劣化抑制制御が実行可能な内燃機関において、この触媒劣化抑制制御実行時における吸入空気量調整の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば下記の特許文献1〜特許文献3に開示されているように、排気系に備えられた触媒(例えば三元触媒)の劣化を抑制するための触媒劣化抑制制御が実行可能な自動車用内燃機関(以下、エンジンと呼ぶ場合もある)が知られている。
【0003】
この触媒劣化抑制制御は、上記触媒が比較的高温度にある状況でその内部がリーン雰囲気となることによる劣化を抑制するためものであって、本来、燃料噴射を停止する(以下、フューエルカットと呼ぶ場合もある)状況であっても、このフューエルカットを禁止して、燃焼室内での燃焼を継続させ、触媒が高温リーン雰囲気に晒されることを抑制するようにしたものである。
【0004】
具体的には、エンジン回転数が予め定められた所定値以上で且つアクセルOFFという条件(フューエルカット条件)が成立したときに、本来であれば燃料消費量削減のためにフューエルカットを実行するのに対し、触媒温度が所定温度以上である場合には、フューエルカットを禁止し、触媒が高温リーン雰囲気に晒されることを抑制する。これにより、触媒に流れ込む排気ガスの空燃比がリーンになることに伴う触媒内部の貴金属のシンタリング(粒成長)による劣化(粒成長により貴金属の表面積が減少して排気ガスが接触する機会が減少することによる触媒劣化)の進行を抑制する。また、この触媒劣化抑制制御では、吸入空気量の嵩上げを行って、混合気の空燃比を例えば理論空燃比とするように調整し、燃焼室内での失火を防止している。
【0005】
尚、特許文献1には、触媒劣化抑制制御の実行時において、エンジン回転数の変化率が閾値を超えた場合、つまり、エンジン回転数が閾値を超えて増加した場合に触媒劣化抑制制御を禁止してエンジン回転数が吹き上がるのを防止することが開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、エンジンの間欠運転が可能な(モータ駆動での走行によりエンジンを空転させる運転モードが可能な)ハイブリッド型車両に対し、エンジンを停止させる際(エンジンを空転させる際)に、混合気中の燃料比率を増加させる燃料増大処理を実施することが開示されている。この燃料増大処理の実施により、排気ガスをリッチにして、触媒がリーン雰囲気に曝されることを防止し、これによって触媒劣化の抑制を可能にしている。
【0007】
また、特許文献3には、触媒劣化抑制制御によってフューエルカットを禁止した場合、現在のエンジン回転数に基づき、失火が発生しない吸入空気量を確保することが開示されている。具体的には、フューエルカットを禁止した時点でのエンジン回転数が高いほど吸入空気量を多くして現在のエンジン回転数を維持し、これによって減速ショックを回避するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−112281号公報
【特許文献2】特開2004−176710号公報
【特許文献3】特開平10−252532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述した触媒劣化抑制制御にあっては以下に述べるような不具合があった。
【0010】
この触媒劣化抑制制御が実行される場合には、運転者がアクセルOFF操作を行ったとしてもフューエルカットが実行されることなくインジェクタからの燃料噴射が継続され且つ吸入空気量も比較的多く維持される。このため、たとえ変速機がニュートラル状態(車両が非駆動状態)となってもエンジン回転数としては殆ど低下しないことになる。即ち、運転者としては、アクセルOFF操作を行い且つ変速機がニュートラル状態となった(例えば手動変速機をニュートラルへシフト操作した)ことでエンジン回転数が急速に低下すると予測しているのに対して、実際には、エンジン回転数は殆ど低下しない。このような状況は、運転者に違和感を与えてしまう可能性がある。
【0011】
つまり、触媒劣化抑制制御が実行される状況にあるか否かによって、アクセルOFF操作などを行ったことに伴うエンジン回転数の変化状態が大きく異なることになり(触媒劣化抑制制御が実行されないときにはアクセルOFF操作及びニュートラルへのシフト操作に伴ってエンジン回転数が低下するのに対し、触媒劣化抑制制御が実行されるときにはアクセルOFF操作及びニュートラルへのシフト操作を行ってもエンジン回転数は殆ど低下しないことになり)、運転者に違和感を与えてしまう可能性がある。
【0012】
このような状況は、例えば、手動変速機を搭載した車両におけるシフトチェンジ時にアクセルOFF操作及びニュートラルへのシフト操作を行った場合や、車両の惰性走行時(アクセルOFFで且つ変速機がニュートラル状態での走行時)に生じる可能性がある。
【0013】
特に、上記変速機の変速段に応じて触媒劣化抑制制御の実施/非実施を切り換えるものにあっては、このような状況は顕著に現れる。例えば、5段変速の手動変速機を搭載した車両において、変速段が第1速段〜第3速段にある場合には触媒劣化抑制制御を非実施とし、第4速段及び第5速段にある場合には触媒劣化抑制制御を実施する場合、第1速段からシフトアップ操作を順次行っていく際に、第3速段までは、アクセルOFF操作及びニュートラルへのシフト操作に伴うエンジン回転数の低下を伴いながらシフトアップが行われる。これに対し、第4速段以降からはエンジン回転数の低下を伴うことなくシフトアップが行われることになり、運転者に大きな違和感を与えてしまうことになる。また、場合によっては、エンジンに異常が生じたと運転者が誤解してしまう虞もある。
【0014】
このような不具合を解消するための手法として、上記違和感が生じる期間にあっては触媒劣化抑制制御を禁止する、つまり、アクセルOFF操作及びニュートラルへのシフト操作がなされた際には、触媒温度が所定温度以上であったとしてもフューエルカットを実行することが考えられる。ところが、これでは、一時的ではあるが、フューエルカットに伴って排気ガスがリーンとなる。つまり、触媒が高温リーン雰囲気に晒されることになり、触媒の劣化が進んでしまうため好ましくない。
【0015】
また、上記特許文献1では、エンジン回転数が吹き上がるのを防止するために触媒劣化抑制制御を禁止するものとしているが、この場合にも、一時的に、触媒が高温リーン雰囲気に晒される可能性があるため好ましくない。また、この特許文献1のものは、触媒劣化抑制制御中にエンジン回転数が所定の閾値以上に増加したことを検知した場合に触媒劣化抑制制御を禁止してエンジン回転数を低下させるものとなっている。このため、アクセルOFF操作を行ってもエンジン回転数が殆ど変化しない状況(上記閾値を超えない状況)では、触媒劣化抑制制御は継続されることになり、アクセルOFF操作及びニュートラルへのシフト操作を行ったにも拘わらずエンジン回転数が低下しないといった状況が発生して上述した運転者の違和感を招いてしまう可能性がある。
【0016】
また、上記特許文献2は、エンジンを停止させる際に、燃料増大処理を実施することで触媒がリーン雰囲気に曝されることを防止するものである。つまり、アクセルOFF操作及びニュートラルへのシフト操作を行ったにも拘わらずエンジン回転数が低下しないといった上記課題を解決する制御とはなっていない。
【0017】
また、上記特許文献3は、触媒劣化抑制制御によってフューエルカットを禁止した場合の吸入空気量を現在のエンジン回転数に基づいて調整し、この現在のエンジン回転数が維持されるようにしている。このため、この特許文献3に開示されている制御にあっても、アクセルOFF操作及びニュートラルへのシフト操作を行ったにも拘わらずエンジン回転数が低下しないといった上記課題を解決することはできない。
【0018】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、触媒劣化抑制制御が実行可能な内燃機関に対し、この触媒劣化抑制制御による効果を得ながらも、触媒劣化抑制制御の実行に起因する運転者の違和感を軽減することが可能な内燃機関の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決手段は、吸入空気量を調整する吸入空気量調整機構と、排気の浄化を行う触媒装置とを備える内燃機関の制御装置を対象とする。この内燃機関の制御装置に対し、所定のフューエルカット条件が成立した際に燃料噴射弁からの燃料噴射を停止させるフューエルカット制御手段と、上記触媒装置が所定温度以上である際には、上記フューエルカット制御手段の動作を禁止する触媒劣化抑制制御手段とを有する。また、上記吸入空気量調整機構は、触媒劣化抑制制御を実行していて且つ非駆動時の吸入空気量を、触媒劣化抑制制御を実行していて且つ駆動時の吸入空気量に比べ少なくする手段を有している。
【0020】
また、上記の目的を達成するために講じられた本発明の他の解決手段は、吸入空気量を調整する吸入空気量調整機構と、排気の浄化を行う触媒装置とを備える内燃機関の制御装置を対象とする。この内燃機関の制御装置に対し、所定のフューエルカット条件が成立した際に燃料噴射弁からの燃料噴射を停止させるフューエルカット制御手段と、上記触媒装置が所定温度以上である際には、上記フューエルカット制御手段の動作を禁止する触媒劣化抑制制御手段とを有する。また、上記内燃機関の出力側には手動変速機が設けられている。そして、上記吸入空気量調整機構は、「触媒劣化抑制制御を実行していて、且つ、上記手動変速機の変速段の変更時、もしくは、ニュートラル時における吸入空気量」を、「触媒劣化抑制制御を実行していて、且つ、上記手動変速機の変速段の非変更時及び非ニュートラル時における吸入空気量」に比べ少なくする手段を有している。
【0021】
これらの特定事項により、車両の非駆動時(または、手動変速機の変速段の変更時及びニュートラル時)における触媒劣化抑制制御としては、その吸入空気量を、車両の駆動時(または、手動変速機の変速段の非変更時及び非ニュートラル時)における触媒劣化抑制制御での吸入空気量よりも少なく設定する。つまり、少なく設定された吸入空気量に応じた燃料噴射量を得ながら燃焼室内での燃焼が継続して行われる。これにより、車両の非駆動時での触媒劣化抑制制御では内燃機関の回転数が低下することになる。このため、触媒劣化抑制制御の実行/非実行に関わりなく、アクセルOFF操作と変速機のニュートラル操作等に伴って内燃機関の回転数を低下させることが可能となり、運転者の違和感を生じさせることがなくなる。また、触媒劣化抑制制御による燃焼室内での燃焼が継続して行われるため、この触媒劣化抑制制御による効果(触媒が高温リーン雰囲気に晒されることを回避するといった効果)も十分に得ることができる。
【0022】
また、上記吸入空気量調整機構によって調整される上記吸入空気量を少なく設定した状態を所定時間だけ維持するようにしている。
【0023】
この場合、上記所定時間としては、内燃機関の回転数が高いほど短く設定される。
【0024】
これは、内燃機関の回転数が高いほど触媒温度は上昇しやすいため、上記所定時間としては短く設定し、比較的短時間のうちに吸気量を復帰(吸気量を増加)させ、触媒劣化抑制制御による十分な効果を比較的短期間のうちに発揮できるようにするための制御である。つまり、上記吸入空気量を少なく設定する時間が長すぎることに起因して触媒劣化が生じてしまうことが防止できる範囲内に上記所定時間を設定する。これにより、触媒劣化抑制制御による効果を得ながらも、触媒劣化抑制制御の実行に起因する運転者の違和感を軽減することが可能である。
【0025】
また、上記吸入空気量調整機構によって調整される上記吸入空気量を少なく設定した状態を、所定時間維持した後、その吸入空気量を予め設定された所定の単位時間当たりの吸気戻し量で徐々に増加させていくようにしている。
【0026】
この場合、上記単位時間当たりの吸気戻し量としては、内燃機関の回転数が高いほど多く設定される。
【0027】
これは、内燃機関の回転数が高いほど触媒温度は上昇しやすいため、比較的短時間のうちに吸気量を増加させていき(早期に本来の触媒劣化抑制制御に必要な吸気量に戻し)、触媒劣化抑制制御による十分な効果を比較的短期間のうちに発揮できるようにするための制御である。これによっても、触媒劣化抑制制御による効果を得ながらも、触媒劣化抑制制御の実行に起因する運転者の違和感を軽減することが可能である。また、このように吸入空気量を徐々に増加させていくことにより、内燃機関の回転数が急上昇してしまうといった状況が回避される。その結果、内燃機関の回転数の急上昇によって運転者に違和感を与えてしまうといったこともなくなる。
【発明の効果】
【0028】
本発明では、触媒劣化抑制制御を実行していて且つ非駆動時の吸入空気量を、触媒劣化抑制制御を実行していて且つ駆動時の吸入空気量に比べ少なくしている。また、触媒劣化抑制制御を実行していて、且つ、手動変速機の変速段の変更時及びニュートラル時における吸入空気量を、触媒劣化抑制制御を実行していて、且つ、手動変速機の変速段の非変更時及び非ニュートラル時における吸入空気量に比べ少なくしている。これによって、触媒劣化抑制制御による触媒劣化の抑制効果を得ながらも、アクセルOFF操作等に伴ってエンジン回転数を低下させることで運転者の違和感を軽減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施形態に係る車両の概略構成を示す側面図である。
【図2】実施形態に係るエンジンの概略構成を示すシステム構成図である。
【図3】エンジンの制御ブロックの概略を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る触媒劣化抑制制御時におけるISCV制御の手順を示すフローチャート図である。
【図5】エンジン回転数と吸気減量ホールド時間との関係を示す図である。
【図6】エンジン回転数と単位時間当たりの吸気戻し量との関係を示す図である。
【図7】第1実施形態における触媒劣化抑制制御時の吸入空気量及びエンジン回転数の変化を示すタイミングチャート図である。
【図8】従来例における触媒劣化抑制制御時の吸入空気量及びエンジン回転数の変化を示すタイミングチャート図である。
【図9】第2実施形態に係る触媒劣化抑制制御時におけるISCV制御の手順を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、駆動源として多気筒(例えば4気筒)ガソリンエンジンを搭載し、変速装置として手動変速機を搭載した自動車に対して本発明を適用した場合について説明する。
【0031】
−車両の概略構成−
図1は、本実施形態に係る車両の概略構成を示す側面図であって、エンジン(内燃機関)1、クラッチ機構8、手動変速機9の配置レイアウトを示している。また、車体の外形を仮想線で示している。
【0032】
この図1に示すように、本実施形態に係る車両は、FR(フロントエンジン・リアドライブ)型車両である。上記クラッチ機構8は、運転者によるクラッチペダルの踏み込み操作および踏み込み解除操作に伴って離脱(解放)および継合(接続)される。このクラッチ機構8の継合状態ではエンジン1の駆動力が手動変速機9に伝達され、離脱状態では手動変速機9への駆動力の伝達が遮断されるようになっている。
【0033】
上記手動変速機9は、例えば前進5段階および後進1段階の変速が可能なギヤ構成を有する同期噛み合い式手動変速機(マニュアルトランスミッション)であり、運転者の手動操作によってシフトチェンジを行うためのシフトレバー91が車室内に突出配置されている。
【0034】
−エンジンの構成説明−
次に、図2を参照して、上記エンジン(内燃機関)1の概略構成について説明する。この図2に示すように、本実施形態に係るエンジン1は、4気筒分(図2では1気筒分のみを示す)のシリンダボア11aを有するシリンダブロック11と、シリンダヘッド12とを備えている。各シリンダボア11a内には上下動可能に設けられたピストン13が備えられ、このピストン13が、コンロッド(コネクティングロッド)14を介してエンジン1の出力軸であるクランクシャフト15に連結されている。そして、シリンダボア11aの内部において、ピストン13とシリンダヘッド12とにより囲まれた空間によって燃焼室16が区画形成されている。
【0035】
シリンダヘッド12には、各燃焼室16に対応して点火プラグ(点火栓)2が取り付けられている。また、シリンダヘッド12には、各燃焼室16に通じる吸気ポート12aおよび排気ポート12bがそれぞれ設けられ、これら吸気ポート12aおよび排気ポート12bには、吸気通路3および排気通路4がそれぞれ接続されている。吸気ポート12aおよび排気ポート12bにおいて燃焼室16に通じる各開口端には、吸気バルブ31および排気バルブ41がそれぞれ設けられている。吸気バルブ31および排気バルブ41は、クランクシャフト15の動力によってそれぞれ回転する吸気カムシャフト32および排気カムシャフト42によって開閉される。クランクシャフト15の動力は、タイミングベルト15aおよび各タイミングプーリー33,43を介して、上記吸気カムシャフト32および排気カムシャフト42に伝達されている。
【0036】
また、上記吸気ポート12aの近傍には、各気筒に対応して燃料噴射弁(インジェクタ)5がそれぞれ備えられている。各インジェクタ5には燃料供給系を介して所定圧力の燃料が供給されている。
【0037】
一方、吸気通路3にはサージタンク34が設けられ、このサージタンク34の上流側には、スロットルモータ36aの駆動により開度調整されるスロットルバルブ36が設けられている。このスロットルバルブ36の開度に応じて吸気通路3へ導入される吸入空気量が調整されるようになっている。更に、このスロットルバルブ36の上流側には、吸入空気を浄化するためのエアクリーナ37が設けられている。
【0038】
上記吸気通路3には、スロットルバルブ36を迂回してこのスロットルバルブ36の上流側と下流側とを連通させるバイパス通路38が設けられている。バイパス通路38の途中には、このバイパス通路38を流れる空気流量(吸入空気量)を調節するバイパス空気量調節弁としてのリニアソレノイド式のアイドルスピードコントロールバルブ(以下、「ISCV」という)39が設けられている。ISCV(吸入空気量調整機構)39は、ソレノイドコイル(図示省略)に出力されるデューティ駆動信号のデューティ比の大きさに応じてバルブ(図示省略)を変位させ、空気の流れる通路面積を調節する電磁弁により構成されている。また、このISCV39は、スロットルバルブ36が全閉となるエンジン1のアイドリング運転時に作動し、所定のデューティ駆動信号に基づいて制御されることにより、即ちISCV制御が行われることにより、バイパス通路38を流れる空気量(バイパス空気量)が調節され、燃焼室16へ取り込まれる吸入空気量が調節されるようになっている。
【0039】
エンジン1の運転が開始されると、吸気通路3内への吸入空気の導入とともにインジェクタ5から燃料が噴射されることにより、それら吸入空気と燃料とが混合されて混合気となる。そして、エンジン1の吸入行程において、吸気バルブ31により吸気ポート12aが開かれることにより混合気が吸気ポート12aを通じて燃焼室16に取り込まれる。この燃焼室16に取り込まれた混合気は、圧縮行程において圧縮された後、点火プラグ2によって着火され、その混合気が爆発・燃焼してクランクシャフト15に駆動力が付与される(膨張行程)。燃焼後の排気ガスは、排気バルブ41により排気ポート12bが開かれることによって排気通路4に排出され(排気行程)、更に触媒(触媒装置)44を経て浄化された後、外部に放出される。なお、上記点火プラグ2は、イグナイタ21から出力される高電圧の印加タイミングに応じて混合気への点火動作を実行している。
【0040】
上記触媒44は、白金(Pt)やパラジウム(Pd)などの酸化触媒と、ロジウム(Rh)などの還元触媒と、セリア(CeO2)などの助触媒などにより構成されている。そして、酸化触媒の作用により排気ガス中に含まれるCOやHCが水(H2O)や二酸化炭素(CO2)に浄化され、還元触媒の作用により排気ガス中に含まれるNOxが窒素(N2)や酸素(O2)などに浄化される。このような触媒44は、混合気の空燃比が理論空燃比(ストイキ)近傍にあるときには還元触媒によるNOxの吸着・分解反応とその際に生成する酸化成分によるHC,COの酸化反応とがバランス良く進み、HC,CO,NOxの全てに対して高い浄化率が得られる。一方、高温(例えば800℃以上)でリーン雰囲気に晒されると、酸化触媒や還元触媒が粒成長して表面積が低下することなどにより劣化し、その浄化機能が低下することになる。その対策として、本実施形態では触媒劣化抑制制御が行われるようになっている。この触媒劣化抑制制御の詳細については後述する。
【0041】
−制御ブロックの説明−
以上のエンジン1の運転状態はエンジンECU(Electronic Control Unit)6によって制御される。このエンジンECU6は、図3に示すように、CPU(Central Processing Unit)61、ROM(Read Only Memory)62、RAM(Random Access Memory)63およびバックアップRAM64などを備えている。
【0042】
ROM62は、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。CPU61は、ROM62に記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。
【0043】
RAM63は、CPU61での演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAM64は、エンジン1の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。これらROM62、CPU61、RAM63およびバックアップRAM64は、バス67を介して互いに接続されるとともに、外部入力回路65および外部出力回路66と接続されている。
【0044】
外部入力回路65には、アクセル開度センサ70、水温センサ71、エアフローメータ72、吸気温センサ73、O2センサ74、スロットルポジションセンサ75、クランク角センサ76、カム角センサ77、ノックセンサ78、吸気圧センサ79がそれぞれ接続されている。
【0045】
一方、外部出力回路66には、上記インジェクタ5、イグナイタ21および、スロットルバルブ36を駆動するスロットルモータ36aなどが接続されている。
【0046】
アクセル開度センサ70は、運転者により操作されるアクセルペダル35の開度(操作量)を検知し、その開度信号をエンジンECU6に送信する。
【0047】
上記水温センサ71は、シリンダブロック11に形成されているウォータジャケット11b内を流れる冷却水の温度を検出し、その冷却水温信号をエンジンECU6に送信する。
【0048】
エアフローメータ72は、吸入空気量を検出し、その吸入空気量信号をエンジンECU6に送信する。
【0049】
吸気温センサ73は、上記エアフローメータ72と一体的に設けられ、吸入空気温度を検出して、その吸気温信号をエンジンECU6に送信する。
【0050】
2センサ74は、排気中の酸素濃度を検知するものであり、排気中の空燃比が理論空燃比にあるか否かを判定しその判定信号をエンジンECU6に送信する。
【0051】
スロットルポジションセンサ75は、スロットルバルブ36の開度を検出するものであって、そのスロットル開度検出信号をエンジンECU6に送信する。また、このスロットルポジションセンサ75はスロットルバルブ36が全閉位置にあるときにのみON状態となるアイドルスイッチ(図示省略)を内蔵しており、このアイドルスイッチがON状態となるのに伴ってスロットル全閉信号を出力する。
【0052】
クランク角センサ76は、クランクシャフト15の近傍に配設されており、クランクシャフト15の回転角(クランク角CA)および回転速度(エンジン回転数Ne)を検出するものである。具体的に、このクランク角センサ76は、所定のクランク角(例えば30°)毎にパルス信号を出力する。このクランク角センサ76によるクランク角の検出手法の一例としては、クランクシャフト15と回転一体のロータ(NEロータ)の外周面の30°おきに外歯を形成しておき、この外歯と対面して電磁ピックアップで成る上記クランク角センサ76を配置する。そして、クランクシャフト15の回転に伴って外歯がクランク角センサ76の近傍を通過した際に、このクランク角センサ76が出力パルスを発生するようになっている。尚、このNEロータとしては、外周面に形成される外歯が10°おきに形成されたものが適用される場合もある。この場合、エンジンECU6内で分周して30°CA毎の出力パルスを発生する。
【0053】
カム角センサ77は、吸気カムシャフト32の近傍に配設されており、例えば第1番気筒の圧縮上死点(TDC)に対応してパルス信号を出力することにより気筒判別センサとして使用される。つまり、このカム角センサ77は、吸気カムシャフト32の1回転毎にパルス信号を出力する。このカム角センサ77によるカム角の検出手法の一例としては、吸気カムシャフト32と回転一体のロータの外周面の1箇所に外歯を形成しておき、この外歯と対面して電磁ピックアップで成る上記カム角センサ77を配置し、吸気カムシャフト32の回転に伴って外歯がカム角センサ77の近傍を通過した際に、このカム角センサ77が出力パルスを発生するようになっている。このロータはクランクシャフト15の1/2の回転速度で回転するため、クランクシャフト15が720°回転する毎に出力パルスを発生する。言い換えると、ある特定の気筒が同一行程(例えば第1番気筒が圧縮上死点に達した時点)となる度に出力パルスを発生する構成である。
【0054】
ノックセンサ78は、シリンダブロック11に伝わるエンジンの振動を圧電素子式(ピエゾ素子式)または電磁式(マグネット、コイル)などによって検出する振動センサである。
【0055】
吸気圧センサ79は、サージタンク34に備えられており、吸気通路3内の圧力(吸気管内圧力)を検出し、その吸気圧信号をエンジンECU6に送信する。
【0056】
そして、エンジンECU6は、上記各種センサ70〜79の出力信号に基づいて、インジェクタ5、スロットルモータ36a、イグナイタ21等の各部を制御することにより、下記のフューエルカット制御およびアイドリング回転数制御を含むエンジン1の各種制御を実行する。
【0057】
その一例として、イグナイタ21による点火プラグ2の点火タイミングの基本制御としては、点火タイミングがMBT (Minimum Spark Advance for Best Torque:最適点火時期)に近付くように点火タイミングの進角補正を行っていきながら、ノックセンサ78によってノッキングが検知された場合には、点火タイミングの遅角補正を行ってノッキングを解消するといった制御が行われる。
【0058】
また、インジェクタ5の燃料噴射の制御としては、エンジン負荷やエンジン回転数等に基づいて目標空燃比を算出し、エアフローメータ72によって検出された吸入空気量に基づき、上記目標空燃比が得られるように燃料噴射量の制御(インジェクタ5の開弁時間の制御)が行われる。
【0059】
また、スロットルモータ36aの駆動制御としては、運転者により操作されるアクセルペダル35の開度に基づくアクセル開度信号を受けたエンジンECU6がスロットルモータ36aに制御信号を送り、上記スロットルポジションセンサ75からのスロットルバルブ36の開度のフィードバック信号に基づいて、スロットルバルブ36を適切な開度に制御する。これにより、エンジン1の気筒内へ導入する空気の量を制御する。
【0060】
また、上記フューエルカット制御としては、上記クランク角センサ76によって検出されるエンジン回転数が予め定められた所定値(フューエルカット回転数:例えば2000rpm)以上で且つアクセルペダル35の開度が「0」(アクセルOFF)とされた場合にフューエルカット条件が成立したと判断し、上記インジェクタ5からの燃料噴射を停止するようにしている(後述する触媒劣化抑制制御の非実行時)。これにより、インジェクタ5からの燃料噴射が停止されて燃料消費量の削減や排気エミッションの改善が図れる(フューエルカット制御手段による燃料噴射停止動作)。
【0061】
なお、上記フューエルカット中に車両の速度が低下し、エンジン回転数が上記フューエルカット回転数よりも低くなったときには、エンジンストールを防止するためにフューエルカットを中止してインジェクタ5からの燃料噴射を再開する。また、フューエルカット中にアクセルペダル35が踏まれた場合(加速時)にも、フューエルカットを中止してインジェクタ5からの燃料噴射を行う。
【0062】
また、上記アイドリング回転数制御としては、上記アイドルスイッチがON状態となってスロットルポジションセンサ75からスロットル全閉信号が出力されると、上記水温センサ71からの冷却水温信号や補機類の駆動状態信号等に基づいて決定される目標アイドリング回転数と実際のアイドリング回転数とを比較し、その差に応じてエンジン回転数が目標アイドリング回転数に一致するように、インジェクタ5からの燃料噴射及びISCV39の開度調整による吸入空気量の調節が行われ、適切なアイドリング回転数を維持するようにしている。
【0063】
−触媒劣化抑制制御の概要−
次に、触媒劣化抑制制御の概要について説明する。本実施形態に係る車両では、手動変速機9の変速段が第1速段〜第3速段の何れかにある場合には、触媒劣化抑制制御を非実施とし、第4速段または第5速段にある場合には、他の触媒劣化抑制制御実行条件の成立に伴って触媒劣化抑制制御を実施するようにしている。
【0064】
上述したフューエルカット条件が成立した場合、基本的には上記フューエルカット制御を実行し、インジェクタ5からの燃料噴射を停止する。この場合、気筒内への燃料噴射が行われないため、排気通路4に設けられている触媒44に流れ込む排気ガスの空燃比はリーンとなる。この触媒44が比較的高温度にある状況で、空燃比がリーンな排気ガスが流入すると、上述した如く触媒44内部の貴金属のシンタリング(粒成長)による触媒劣化が進行し易くなる。
【0065】
そこで、手動変速機9の変速段が第4速段または第5速段にあり、且つ触媒温度が所定の閾値を超えている場合には、上記フューエルカット条件が成立している場合であっても、フューエルカットの実行を禁止し(触媒劣化抑制制御手段によるフューエルカット制御の禁止動作)、触媒44が高温リーン雰囲気に晒されることによる触媒劣化を抑制するようにしている。より具体的には、理論空燃比状況下での燃焼を継続させるようにしている。このような触媒劣化抑制制御を行うことで、触媒44が高温状態にある場合に、触媒44が酸化雰囲気となるのを回避して、触媒44の劣化の進行を抑制することができる。
【0066】
ところが、このような触媒劣化抑制制御が実行される場合、従来の触媒劣化抑制制御にあっては、運転者がアクセルOFF操作を行い且つ手動変速機9をニュートラル状態にシフト操作してもエンジン回転数としては殆ど低下しないことになる。即ち、運転者としては、アクセルOFF操作を行い且つ手動変速機9をニュートラルへシフト操作したことでエンジン回転数が急速に低下すると予測しているのに対して、実際には、エンジン回転数は殆ど低下しない状態となる。このような状況は、運転者に違和感を与えてしまう可能性がある。
【0067】
この点を考慮し、本実施形態では以下に述べるような触媒劣化抑制制御時のISCV制御を実施する。
【0068】
−触媒劣化抑制制御時のISCV制御−
(第1実施形態)
次に、本実施形態の特徴とする制御である触媒劣化抑制制御時のISCV制御についての第1実施形態を説明する。この実施形態は、手動変速機9にN(ニュートラル)判定スイッチやギヤ位置判定スイッチが備えられていないものに本発明を適用した場合である。
【0069】
上述したように触媒劣化抑制制御が行われる場合、本実施形態において特徴とするISCV39の開度調整による吸入空気量制御が行われる。この触媒劣化抑制制御実行時における吸入空気量制御の概略について説明すると、触媒温度が所定の閾値を超えており、運転者によるアクセルOFF操作がなされ、且つ手動変速機9の変速段が第4速段または第5速段(手動変速機9がニュートラル状態である場合に、エンジン回転数と車速(駆動輪の回転数)との比が上記第4速段または第5速段に相当する比になっている場合を含む)にある場合、触媒劣化抑制制御実行条件が成立する。この触媒劣化抑制制御実行条件の成立に伴い、上記ISCV39の開度を所定の微小開度に設定し、吸入空気量を制限する(後述する制御開始時吸気量αに制限する)。これにより、アクセルOFF操作に伴ってエンジン回転数の急速な低下が図れるようにしている。言い換えると、触媒劣化抑制制御を実行しており且つ非駆動時における吸入空気量を、触媒劣化抑制制御を実行しており且つ駆動時における吸入空気量に比べて少なくすることができるように上記ISCV39の開度を所定の微小開度に設定し、これにより、アクセルOFF操作に伴うエンジン回転数の急速な低下が行えるようにしている。
【0070】
以下、この触媒劣化抑制制御時のISCV制御について、図4のフローチャートに沿って具体的に説明する。この図4に示す制御ルーチンは、エンジン1の始動後の所定時間毎またはクランクシャフト15の所定角度回転毎に繰り返して実行される。
【0071】
先ず、ステップST1で、触媒44の温度が所定の閾値TA(例えば800℃)を超えているか否かを判定する。この判定は、エンジン1の運転状態(エンジン負荷等)に基づいて触媒44の温度を推定し、その推定された触媒温度が閾値TAを超えているか否かを判定することにより行われる。また、排気通路4における触媒44の上流側及び下流側にそれぞれ排気温センサを設けておき、これら排気温センサによって検出される排気温度から触媒44の温度を推定し、その推定された温度が閾値TAを超えているか否かを判定するようにしてもよい。更には、触媒温度センサによって触媒44の温度を直接的に検出し、その検出した温度が閾値TAを超えているか否かを判定するようにしてもよい。
【0072】
この閾値TAとしては、例えば排気ガスの空燃比がリーンとなった場合に上述した触媒44内部の貴金属のシンタリングによる触媒劣化が進行する温度範囲のうちの下限値が適用されている。
【0073】
上記触媒44の温度が閾値TAを超えておらず、ステップST1でNO判定された場合には触媒劣化抑制制御の実行条件は成立しないとして本ルーチンを一旦終了する。
【0074】
一方、上記触媒44の温度が閾値TAを超えており、ステップST1でYES判定された場合には、ステップST2に移り、アクセルOFF操作がなされたか否かを判定する。つまり、上記アクセル開度センサ70によって検知されるアクセルペダル35の開度(操作量)が「0」となったか否かを判定する。
【0075】
アクセルペダル35の開度が「0」でなく、アクセルON操作がされており、ステップST2でNO判定された場合には、たとえ上記触媒44の温度が閾値TAを超えていたとしても触媒44は高温リーン雰囲気に晒されることはなく、触媒劣化抑制制御は必要ない(触媒劣化抑制制御の実行条件は成立しない)として本ルーチンを一旦終了する。
【0076】
一方、アクセルOFF操作がなされおり、ステップST2でYES判定された場合には、ステップST3に移る。このステップST3では、触媒劣化抑制制御実行時における吸入空気量として、「制御開始時吸気量α」と「制御復帰時吸気量β」とをそれぞれセットしておく。これら吸気量α,βはエンジン回転数などをパラメータとして設定されるものであって、それぞれ上記ROM62に予め記憶された吸気量設定マップから読み出されることでセットされる。つまり、触媒劣化抑制制御実行条件が成立した時点では、上記ISCV39の開度によって設定される吸入空気量が上記制御開始時吸気量αとなるように、予めこの吸気量αが吸気量設定マップから読み出されてセット(待機)されている。また、後述する吸入空気量の復帰動作が開始される際には、上記ISCV39の開度によって設定される吸入空気量の目標値が上記制御復帰時吸気量βとなるように、予めこの吸気量βが吸気量設定マップから読み出されてセット(待機)されている。
【0077】
これら制御開始時吸気量α及び制御復帰時吸気量βとして具体的には、制御開始時吸気量αは、制御復帰時吸気量βよりも小さい値に設定されている。また。この制御開始時吸気量αは、従来の触媒劣化抑制制御の開始時における吸入空気量よりも大幅に少なく(例えば、従来の触媒劣化抑制制御の開始時における吸入空気量の半分程度に)設定されている。また、制御復帰時吸気量βは、従来の触媒劣化抑制制御において設定される吸入空気量と略同等の値に設定されている。尚、この制御復帰時吸気量βはエンジン回転数の変化に応じて変更されるべき値であり、エンジン回転数が低くなっていくほど小さな値に変更されるようになっている。
【0078】
このようにして各吸気量α,βがセットされた後、ステップST4に移り、エンジン回転数と車速(駆動輪の回転数)との比(エンジン回転数/車速)であるNVRが所定値Aを超えているか否かを判定する。この場合、エンジン回転数は上記クランク角センサ76によって検出され、車速は駆動輪に備えられた車輪速センサまたは手動変速機9の出力軸に備えられた出力軸回転数センサからの出力信号に基づいて検出または算出される。
【0079】
このステップST4の判定は、現在の手動変速機9の変速段を検知するための動作である。つまり、上述した如く、本実施形態では、手動変速機9の変速段が第1速段〜第3速段の何れかにある場合には触媒劣化抑制制御を非実施とし、第4速段または第5速段にある場合には他の触媒劣化抑制制御の実行条件(触媒温度条件及びアクセルOFF条件)が成立しておれば触媒劣化抑制制御を実施するようにしている。このため、現在の手動変速機9の変速段を検知することで触媒劣化抑制制御を実施すべきか否かを、このステップST4において判定している。このため、上記閾値Aとしては、手動変速機9の変速段が第4速段に設定されている場合のエンジン回転数と車速との比(エンジン回転数/車速)として設定されており、上記NVRがこの閾値Aよりも大きい場合(第4速段よりも変速比が大きい場合)には手動変速機9の変速段が第1速段〜第3速段の何れかにあると判定でき、上記NVRがこの閾値A以下である場合(第4速段での変速比以下の変速比である場合)には手動変速機9の変速段が第4速段または第5速段にあると判定できる。
【0080】
上記NVRが閾値Aよりも大きい場合、つまり、手動変速機9の変速段が第1速段〜第3速段の何れかにある場合には、ステップST4でYES判定され、ステップST5に移る。一方、上記NVRが閾値A以下である場合、つまり、手動変速機9の変速段が第4速段または第5速段にある場合には、ステップST4でNO判定され、ステップST6に移る。
【0081】
ステップST5では、手動変速機9の変速段が第1速段〜第3速段の何れかにあるため、触媒劣化抑制制御の実行条件は不成立であるとして、触媒劣化抑制制御を実行することなしに本ルーチンを終了する。
【0082】
一方、ステップST6では、手動変速機9の変速段が第4速段または第5速段にあることで触媒劣化抑制制御の実行条件が成立したとして、上記ISCV39の開度を所定の微小開度に設定し、吸入空気量を上記制御開始時吸気量αに制限する。上述した如く、この制御開始時吸気量αはエンジン回転数などをパラメータとして設定されるものであって、例えばエンジン回転数が高いほど大きな値(吸入空気量を多くする値)として設定される。尚、後述する吸気減量ホールド時間γの期間中は、ISCV39の開度は一定に維持され、つまり、吸入空気量は変更されることなく上記制御開始時吸気量αに維持される。
【0083】
また、この吸入空気量が制御開始時吸気量αに制限されたことに伴い、インジェクタ5からの燃料噴射量も制限される。例えば、混合気の空燃比がストイキ(理論空燃比)となるように燃料噴射量が制限される。これにより、エンジン回転数としては急速に低下することになる。
【0084】
また、この際、ISCV39の開度を所定の微小開度に設定して吸入空気量を上記制御開始時吸気量αに制限する時間(吸気減量ホールド時間)として所定時間γを設定する。この吸気減量ホールド時間γは、上記ROM62に予め記憶された吸気減量ホールド時間マップから読み出される。この吸気減量ホールド時間マップでは、図5に示すようにエンジン回転数と吸気減量ホールド時間との関係が予め実験やシミュレーションによって設定されている。つまり、エンジン回転数が高いほど吸気減量ホールド時間としては短く設定されるようなマップとなっている。
【0085】
これは、エンジン回転数が高いほど触媒温度は上昇しやすいため、吸気減量ホールド時間としては短く設定し、比較的短時間のうちに吸気量を復帰させ(上記制御復帰時吸気量βに復帰させ)、触媒劣化抑制制御による効果(吸気量を多くすることに伴って燃料消費量を多くすることで触媒44が高温リーン雰囲気に晒されることを回避するといった効果)を比較的短期間のうちに発揮できるようにするためである。言い換えると、上記吸入空気量を制御開始時吸気量αに設定する時間が長すぎることに起因して触媒劣化が生じてしまうことが防止できる範囲内で、可能な限り、吸入空気量が制御開始時吸気量αに設定できる時間を長く確保するように上記吸気減量ホールド時間γは設定される。
【0086】
上述の如く吸入空気量が制御開始時吸気量αに制限されている状態においてステップST7ではエンジン回転数と車速との比であるNVRが上記所定値A以下である状態が維持されているか否かを判定する。つまり、吸入空気量が制御開始時吸気量αに制限されている状態で手動変速機9の変速操作が行われて、変速段が第1速段〜第3速段の何れかに切り換えられた場合には、このステップST7でNO判定されることになり、ステップST5に移って触媒劣化抑制制御の実行条件が不成立になったとして、触媒劣化抑制制御を中止して本ルーチンを終了する。
【0087】
一方、NVRが所定値A以下である状態が維持されている場合、つまり、手動変速機9の変速段が第4速段または第5速段に維持されている場合には、触媒劣化抑制制御の実行条件は成立したままであるとして、吸入空気量を制御開始時吸気量αに制限する状態を上記吸気減量ホールド時間γが経過するまで維持する。
【0088】
このようにして吸入空気量を制御開始時吸気量αに制限した状態が上記吸気減量ホールド時間γが経過するまで維持された後には、ステップST8に移り、吸入空気量の復帰動作に移る。この吸入空気量の復帰動作では、上記ISCV39の開度を徐々に大きくしていき、吸入空気量を増大させていく。具体的には、現在の吸入空気量(初期値は上記制御開始時吸気量α)に対して、単位時間当たりの吸気戻し量Xだけ吸入空気量が増量補正されるようにISCV39の開度を大きくしていく。
【0089】
この吸気戻し量Xは、上記ROM62に予め記憶された吸気戻し量マップから読み出される。この吸気戻し量マップでは、図6に示すようにエンジン回転数と吸気戻し量Xとの関係が予め実験やシミュレーションによって設定されている。つまり、エンジン回転数が高いほど吸気戻し量Xとしては多く設定されるようなマップとなっている。
【0090】
これは、エンジン回転数が高いほど触媒温度は上昇しやすいため、比較的短時間のうちに吸気量を増加させていき(早期に上記制御復帰時吸気量βに復帰させ)、触媒劣化抑制制御による効果(吸気量を多くすることに伴って燃料消費量を多くすることで触媒44が高温リーン雰囲気に晒されることを回避するといった効果)を比較的短期間のうちに発揮できるようにするためである。
【0091】
このようにして吸入空気量の増量補正を行いながら、この増量補正された後の吸入空気量が上記制御復帰時吸気量β以上となったか否かをステップST9で判定し、この増量補正された後の吸入空気量が制御復帰時吸気量β以上となるまで、ステップST8において吸気戻し量Xだけ段階的に吸入空気量を増大させていく。
【0092】
そして、増量補正された後の吸入空気量が上記β以上となった場合にはステップST9でYES判定され、ステップST10に移る。このステップST10では、吸入空気量が上記制御復帰時吸気量βとなるように上記ISCV39の開度を設定する。そして、この制御復帰時吸気量βは、上記触媒劣化抑制制御の実行条件が不成立となるまで維持される。尚、この制御復帰時吸気量βは、上述した如くエンジン回転数をパラメータとして設定されるものであるので、エンジン回転数の変化に伴って、この制御復帰時吸気量βも変更されていく。つまり、エンジン回転数が低下していくに従って、この制御復帰時吸気量βも小さく設定されていくことになる。また、この制御復帰時吸気量βが小さく設定されていくに従って、インジェクタ5からの燃料噴射量も次第に減量されていく。この場合にも、触媒44が高温リーン雰囲気に晒されることを回避するために、混合気の空燃比(目標空燃比)としては例えばストイキに設定される。
【0093】
以上のようにしてISCV39により設定される吸入空気量が制御復帰時吸気量βに設定された触媒劣化抑制制御が行われている状態で、例えばアクセルON操作が行われるなどして触媒劣化抑制制御の実行条件が不成立になると、吸入空気量が制御復帰時吸気量βに設定されている状態が解除され、例えばアクセル開度に応じた吸入空気量(スロットルバルブ36の開度設定による吸入空気量)の調整動作に切り換えられることになる。
【0094】
図7は、本実施形態に係る触媒劣化抑制制御実行時における吸入空気量及びエンジン回転数の変化を示すタイミングチャート図である。この図7では、本実施形態に係る触媒劣化抑制制御実行時における吸入空気量の変化を実線で示し、従来の触媒劣化抑制制御実行時における吸入空気量の変化を破線で示している。また、実線で示すエンジン回転数の変化は車両非駆動状態(ニュートラル状態)での変化を示し、一点鎖線で示すエンジン回転数の変化は車両駆動状態(非ニュートラル状態)での変化を示している。また、図8は、従来例に係る触媒劣化抑制制御時における吸入空気量及びエンジン回転数の変化を示すタイミングチャート図である。
【0095】
これら図においては、タイミングT1でアクセルOFF操作がなされ、触媒劣化抑制制御が開始されている。
【0096】
そして、従来の触媒劣化抑制制御(図8)にあっては、アクセルOFF操作を行ってもISCV39の開度によって設定される吸入空気量としては殆ど変化せず、その結果、エンジン回転数も殆ど低下しないことになる。このため、運転者としては、アクセルOFF操作を行い且つ手動変速機9をニュートラルへシフト操作したことでエンジン回転数が急速に低下すると予測しているのに対して、実際には、エンジン回転数は殆ど低下しない状態となり、違和感を感じてしまうことになる。言い換えると、この従来の触媒劣化抑制制御にあっては、触媒劣化抑制制御の実行条件が成立すると、フューエルカットを禁止すると共にISCV39の開度によって設定される吸入空気量としては上記制御復帰時吸気量βと同等の比較的高い値に設定されるため、エンジン回転数は殆ど低下しないことになる。
【0097】
これに対し、本実施形態の触媒劣化抑制制御(図7)にあっては、触媒劣化抑制制御の実行条件の成立と略同時に、ISCV39の開度によって設定される吸入空気量としては上記制御開始時吸気量αに制限される。このため、触媒劣化抑制制御の開始と略同時にエンジン回転数を急速に低下させることができ、運転者に上述した違和感を感じさせることがない。
【0098】
また、本実施形態の触媒劣化抑制制御では、吸入空気量が制御開始時吸気量αに制限された状態が所定時間γだけ維持された後には、吸気量を増量するように徐変(吸気戻し量Xで徐変)させている。このように吸気量を増量させると共に燃料噴射量も増量させることで、触媒劣化抑制制御による効果(触媒44が高温リーン雰囲気に晒されることを回避するといった効果)を十分に確保できるようにもなっている。また、制御開始時吸気量αから制御復帰時吸気量βへの吸入空気量の戻し動作は徐々に行われるため、エンジン回転数が急上昇して運転者に違和感を与えてしまうといったこともない。
【0099】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。この実施形態は、手動変速機9にN(ニュートラル)判定スイッチまたはギヤ位置判定スイッチが備えられており、変速操作によって手動変速機9がニュートラル状態となったことが検出できるよう構成されたものに本発明を適用した場合である。つまり、「触媒劣化抑制制御を実行していて、且つ、上記手動変速機9の変速段の変更時及びニュートラル時における吸入空気量」を、「触媒劣化抑制制御を実行していて、且つ、上記手動変速機9の変速段の非変更時及び非ニュートラル時における吸入空気量」に比べ少なくするようにしている。車両及びエンジン1の構成は上述した第1実施形態のものと略同一であるので、ここでの説明は省略し、上記第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0100】
以下、図9のフローチャートに沿って本実施形態に係る触媒劣化抑制制御時のISCV制御を説明する。ここでは、第1実施形態において図4で示したISCV制御との相違点について説明する。この図9では、図4における各ステップの動作と略同一の動作については同じステップ番号を付しているので、これら共通のステップについては説明を省略する。
【0101】
上記ステップST3で、制御開始時吸気量αと制御復帰時吸気量βとがそれぞれセットされた後、ステップST11に移る。このステップST11では、車両が非駆動状態であるか否かを判定する。具体的には、手動変速機9がニュートラル状態であるか否かを判定している。これは、上記N判定スイッチやギヤ位置判定スイッチによって、手動変速機9がニュートラル状態となったことを検出することにより判定できる。
【0102】
そして、車両が非駆動状態であり、ステップST11でYES判定された場合には、ステップST4に移り、上述した如く、NVRが所定値Aを超えているか否かを判定し、NVRが所定値Aを超えている場合には、ステップST5において、触媒劣化抑制制御の実行条件は不成立であるとして、触媒劣化抑制制御を実行することなしに本ルーチンを終了する。一方、NVRが所定値Aを超えていない場合には上述したステップST6以降の動作を実行する。つまり、上記ISCV39の開度を所定の微小開度に設定して、吸入空気量を上記制御開始時吸気量αに制限し、これによってエンジン回転数を急速に低下させる。このステップST6以降の動作については上述した第1実施形態の場合と同様である。
【0103】
また、車両が非駆動状態でなく、ステップST11でNO判定された場合には、ステップST12に移る。このステップST12では、車両は駆動状態であり且つ減速状態であるとしたうえでステップST6に移ることになる。つまり、この場合、車両の減速駆動状態において、上記ISCV39の開度を所定の微小開度に設定し、吸入空気量を上記制御開始時吸気量αに制限して車両の減速度を高めるようにする。
【0104】
このように本実施形態では、触媒劣化抑制制御の実行条件として、上記第1実施形態における触媒劣化抑制制御の実行条件に対し、車両が非駆動状態であることを付加している(車両が非駆動状態であれば変速段に関わりなく吸入空気量を制御開始時吸気量αに制限する)。このため、触媒劣化抑制制御が実行されない場合のエンジン回転数の変化(変速機をニュートラル状態にするのと略同時にエンジン回転数が低下するといった変化)により近い変化状態となるよう吸入空気量を上記制御開始時吸気量αに制限するタイミングを得ることができ、運転者の違和感を殆ど無くすことが可能である。
【0105】
また、本実施形態において、触媒44の温度が所定の閾値TAを超えている状況で車両が駆動状態である場合には、吸入空気量を制御開始時吸気量αに制限することなく、上記制御復帰時吸気量βに設定するようにしてもよい。
【0106】
−他の実施形態−
以上説明した各実施形態は、駆動源として多気筒ガソリンエンジン1を搭載した自動車に対して本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限られるものではなく、例えばディーゼルエンジンを駆動源とした車両や、エンジンと電動モータとの両方を駆動源として備えるハイブリッド車両に対しても適用可能である。
【0107】
また、上述した各実施形態では、吸気系にISCV39を備えたエンジン1に対して本発明を適用し、このISCV39の開度調整によって触媒劣化抑制制御時の吸入空気量を調整するようにしていた。本発明はこれに限らず、ISCV39を備えておらず、スロットルバルブ36の開度調整によって触媒劣化抑制制御時の吸入空気量を調整するものに対しても適用が可能である。
【0108】
また、上述した各実施形態では、手動変速機9の変速段が第1速段〜第3速段の何れかにある場合には触媒劣化抑制制御を非実施としていた。本発明はこれに限らず、上述した第4速段または第5速段にある場合と同様に、他の触媒劣化抑制制御実行条件(アクセルOFF条件など)の成立に伴って、吸入空気量を制御開始時吸気量αに制限する触媒劣化抑制制御を実行するようにしてもよい。
【0109】
また、上述した各実施形態では、変速装置として手動変速機9を搭載した自動車に対して本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、自動変速機を搭載した自動車に対しても適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、触媒劣化抑制制御が実行可能なエンジンにおいて、触媒劣化抑制制御開始時における運転者の違和感を軽減する吸入空気量調整制御に適用可能である。
【符号の説明】
【0111】
1 エンジン(内燃機関)
3 吸気通路
3 ISCV(吸入空気量調整機構)
4 排気通路
44 触媒(触媒装置)
5 インジェクタ(燃料噴射弁)
9 手動変速機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入空気量を調整する吸入空気量調整機構と、
排気の浄化を行う触媒装置とを備える内燃機関の制御装置であって、
所定のフューエルカット条件が成立した際に燃料噴射弁からの燃料噴射を停止させるフューエルカット制御手段と、
上記触媒装置が所定温度以上である際には、上記フューエルカット制御手段の動作を禁止する触媒劣化抑制制御手段とを有するとともに、
上記吸入空気量調整機構は、触媒劣化抑制制御を実行していて且つ非駆動時の吸入空気量を、触媒劣化抑制制御を実行していて且つ駆動時の吸入空気量に比べ少なくする手段を有することを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項2】
吸入空気量を調整する吸入空気量調整機構と、
排気の浄化を行う触媒装置とを備える内燃機関の制御装置であって、
所定のフューエルカット条件が成立した際に燃料噴射弁からの燃料噴射を停止させるフューエルカット制御手段と、
上記触媒装置が所定温度以上である際には、上記フューエルカット制御手段の動作を禁止する触媒劣化抑制制御手段とを有するとともに、
上記内燃機関の出力側には手動変速機が設けられていて、
上記吸入空気量調整機構は、「触媒劣化抑制制御を実行していて、且つ、上記手動変速機の変速段の変更時、もしくは、ニュートラル時における吸入空気量」を、「触媒劣化抑制制御を実行していて、且つ、上記手動変速機の変速段の非変更時及び非ニュートラル時における吸入空気量」に比べ少なくする手段を有することを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の内燃機関の制御装置において、
上記吸入空気量調整機構によって調整される上記吸入空気量を少なく設定した状態を所定時間だけ維持するよう構成されていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項4】
請求項3記載の内燃機関の制御装置において、
上記所定時間を、内燃機関の回転数が高いほど短く設定するよう構成されていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項5】
請求項3または4記載の内燃機関の制御装置において、
上記吸入空気量調整機構によって調整される上記吸入空気量を少なく設定した状態を、所定時間維持した後、その吸入空気量を予め設定された所定の単位時間当たりの吸気戻し量で徐々に増加させていくよう構成されていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項6】
請求項5記載の内燃機関の制御装置において、
上記単位時間当たりの吸気戻し量を、内燃機関の回転数が高いほど多く設定するよう構成されていることを特徴とする内燃機関の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−281301(P2010−281301A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−137166(P2009−137166)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】