説明

内装材及び成形材料の製造方法

【課題】本発明の課題は、剛性の高い内装材とすることのできる成形材料を提供することである。
【解決手段】疎水性繊維99.5〜50重量%と親水性繊維0.5 〜50重量%とを含む混合繊維集合体に熱硬化性合成樹脂を含浸せしめた成形材料中の熱硬化性合成樹脂を硬化してなる基材32と、該基材の表面に貼着されている表皮材33とからなり、該基材と該表皮材とは、接着面に点状に散在されている接着剤層34Aによって接着されているものを内装材とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車や建材等に使用される内装材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の内装材に使用する成形材料としては、ポリエチレンテレフタレート繊維等の合成繊維からなる繊維シートにフェノール樹脂の粉末を混合し、加熱プレスしたもの、あるいは該繊維シートにフェノール樹脂の初期縮合物溶液を含浸せしめ、加熱乾燥させたものが使用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の成形材料を成形したものは剛性が十分でなく、例えば自動車の内装材である天井材として使用すると、経時により該天井材が垂れてくるという問題があった。
したがって、本発明の課題は、剛性の高い内装材とすることのできる成形材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明は、疎水性繊維99.5〜50重量%と親水性繊維0.5 〜50重量%とを含む混合繊維集合体に熱硬化性合成樹脂を含浸せしめた成形材料中の熱硬化性合成樹脂を硬化してなる基材と、該基材の表面に貼着されている表皮材とからなり、該基材と該表皮材とは、接着面に点状に散在されている接着剤層によって接着されていることを特徴とする内装材を提供するものである。上記接着面に点状に散在されている接着剤層は、ホットメルト接着剤粉末分散液を接着面にスプレー塗布することによって形成されることが望ましく、この場合、上記ホットメルト接着剤粉末分散液には増粘剤が使用されていることが望ましい。更に該成形材料中の熱硬化性合成樹脂は、B状態とされていることが望ましく、また一般に、該熱硬化性合成樹脂は、フェノール系化合物とアルデヒド及び/又はアルデヒド供与体とを縮合させたフェノール系樹脂である。前記成形材料は疎水性繊維を含む繊維集合体と親水性繊維を含む繊維集合体とを、疎水性繊維が99.5〜50重量%、親水性繊維が0.5 〜50重量%となるように混合し、得られた繊維集合体の混合物に熱硬化性合成樹脂の初期縮合物溶液を含浸せしめた後、該繊維集合体の混合物を加熱乾燥するとともに解繊して綿状の混合繊維集合体とすることによって製造されているものを使用してもよく、この場合も該成形材料の製造過程における加熱乾燥時に、該熱硬化性合成樹脂の初期縮合物はB状態にされていることが望ましい。
【発明の効果】
【0005】
〔作用〕
本発明の内装材に使用する該成形材料では、該親水性繊維の存在により、該熱硬化性合成樹脂の該混合繊維集合体に対する親和性が高くなり、該熱硬化性合成樹脂と該混合繊維集合体との絡み付きが良くなるため、該成形材料を成形した成形物は剛性の高いものとなる。
上記熱硬化性合成樹脂がB状態とされている場合には、該成形材料は安定性に優れ、長期間保管できるとともに、短時間のホットプレスにより良好な成形性を有し、得られる内装材は形状保持性及び耐熱性に優れるものとなる。
更に、本発明においては該基材と該表皮材とは、接着面に点状に散在されている接着剤層によって接着されているから、該接着剤層の剛性は内装材の成形形状や表面の凹凸形状に影響せず、該内装材の成形形状や凹凸形状がシャープに成形されるし、該表皮材が通気性を有する場合には接着剤層も通気性を有するので、優れた換気性を有する内装材が得られる。
【0006】
〔効果〕
本発明にあっては内装材に使用する成形材料中の親水性繊維によって熱硬化性合成繊維と混合繊維との絡み付きが良好になり、したがって剛性の高い内装材が得られ、該内装材は接着剤層の剛性に関係なく、成形性も極めて良好でかつ吸音性にも優れたものになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
A.成形材料
〔疎水性繊維〕
本発明で使用する疎水性繊維とは、水との相互作用の弱い繊維をいい、例えば、ナイロン、アラミド等のポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル繊維、アクリル等のポリアクリロニトリル繊維、ビニロン等のポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維等の合成繊維;ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、シリコンカーバイド繊維、岩石繊維、鉱滓繊維、金属繊維等の無機繊維などが挙げられ、それぞれ単独で又は2種以上混合して使用される。
【0008】
〔親水性繊維〕
本発明で使用する親水性繊維とは、水との相互作用の強い繊維をいい、例えば、綿花、麻類(亜麻、大麻、ラミー、ジュート、ケナフ、マニラ麻等)繊維、木材繊維、竹繊維等の天然セルロース繊維;キワタ、ガマ繊維等の種子繊維;靱皮繊維;羊毛、モヘア、カシミア、ラクダ毛、アルパカ、ビキュナ、アンゴラ等の獣毛繊維;蚕糸等のタンパク繊維;石綿等の鉱物繊維;レーヨン(人絹,スフ)、ポリノジック、キュプラ、アセテート、トリアセテート等のセルロース系人造繊維などが挙げられ、それぞれ単独で又は2種以上混合して使用される。
【0009】
〔混合繊維集合体〕
本発明における混合繊維集合体は、疎水性繊維99.5〜50重量%と親水性繊維0.5 〜50重量%とを含む。親水性繊維をこのように含有させることにより、熱硬化性合成樹脂の該混合繊維集合体に対する親和性が高くなって該熱硬化性合成樹脂と該混合繊維集合体との絡み付きが良くなるため、該混合繊維集合体に熱硬化性合成樹脂を含浸せしめた成形材料を成形すると、剛性の高い成形物が得られる。親水性繊維の混合量が0.5 重量%未満では、剛性の高い成形物を得ることができず、50重量%を超えると得られる成形物の耐水性が低下する。
望ましくは、上記混合繊維集合体は疎水性繊維98〜60重量%と親水性繊維2〜40重量%とを含み、特に望ましくは、疎水性繊維97〜65重量%と親水性繊維3〜35重量%とを含む。
【0010】
該混合繊維集合体の形態は特に限定されることなく、不織布、フェルト、編織物、それらの積層物等のシート状のものであってもよいし、綿状のもの、スライバ状のものであってもよいし、更には綿状の繊維をプレスしてシート状にしたもの等であってもよい。
【0011】
〔熱硬化性合成樹脂〕
本発明に使用される熱硬化性合成樹脂としては、フェノール系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素−メラミン共縮合樹脂等があり、通常初期縮合物の水溶液又は有機溶剤−水混合溶液として提供される。
本発明において望ましい熱硬化性合成樹脂は、フェノール系化合物とアルデヒド及び/又はアルデヒド供与体との縮合物であるフェノール系樹脂である。
【0012】
〔フェノール系化合物〕
上記フェノール系化合物は、一価フェノールであってもよいし、多価フェノールであってもよいし、一価フェノールと多価フェノールとの混合物であってもよい。また、本発明における熱硬化性合成樹脂は、一価フェノールとアルデヒド及び/又はアルデヒド供与体とを縮合させた初期縮合物と、多価フェノールとアルデヒド及び/又はアルデヒド供与体とを縮合させた初期縮合物とを共縮合させた初期共縮合物であってもよい。
【0013】
〔一価フェノール〕
一価フェノールとしては、フェノールや、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、エチルフェノール、イソプロピルフェノール、キシレノール、3,5−キシレノール、ブチルフェノール、t−ブチルフェノール、ノニルフェノール等のアルキルフェノール、o−フルオロフェノール、m−フルオロフェノール、p−フルオロフェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−ブロモフェノール、m−ブロモフェノール、p−ブロモフェノール、o−ヨードフェノール、m−ヨードフェノール、p−ヨードフェノール、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、p−ニトロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、2,4,6−トリニトロフェノール等の一価フェノール置換体、ナフトール等の多環式一価フェノールなどが挙げられ、これら一価フェノールは単独で又は二種以上混合して使用することができる。
【0014】
〔多価フェノール〕
多価フェノールとしては、レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノール、ジヒドロキシナフタリン等が挙げられ、これら多価フェノールは単独で又は二種以上混合して使用することができる。多価フェノールのうち好ましいものは、レゾルシン又はアルキルレゾルシンであり、特に好ましいものはレゾルシンよりもアルデヒドとの反応速度が速いアルキルレゾルシンである。
【0015】
アルキルレゾルシンとしては、例えば5−メチルレゾルシン、5−エチルレゾルシン、5−プロピルレゾルシン、5−n−ブチルレゾルシン、4,5−ジメチルレゾルシン、2,5−ジメチルレゾルシン、4,5−ジエチルレゾルシン、2,5−ジエチルレゾルシン、4,5−ジプロピルレゾルシン、2,5−ジプロピルレゾルシン、4−メチル−5−エチルレゾルシン、2−メチル−5−エチルレゾルシン、2−メチル−5−プロピルレゾルシン、2,4,5−トリメチルレゾルシン、2,4,5−トリエチルレゾルシン等がある。
エストニア産オイルシェールの乾留によって得られる多価フェノール混合物は安価であり、かつ5−メチルレゾルシンのほか反応性の高い各種アルキルレゾルシンを多量に含むので、本発明において特に好ましい多価フェノール原料である。
【0016】
〔アルデヒド及び/又はアルデヒド供与体〕
上記アルデヒド及び/又はアルデヒド供与体とは、アルデヒド、分解するとアルデヒドを生成供与する化合物又はそれらの混合物を意味し、このような化合物としては、ホルマリン、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等の単独又は二種以上の混合物が例示される。
【0017】
〔第三成分〕
上記熱硬化性合成樹脂の製造の際、必要に応じて、例えば塩酸、硫酸、オルト燐酸、ホウ酸、蓚酸、蟻酸、酢酸、酪酸、ベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ナフタリン−α−スルホン酸、ナフタリン−β−スルホン酸等の無機又は有機酸、蓚酸ジメチルエステル等の有機酸のエステル類、マレイン酸無水物、フタル酸無水物等の酸無水物、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、蓚酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、燐酸アンモニウム、チオシアン酸アンモニウム、イミドスルホン酸アンモニウム等のアンモニウム塩、モノクロル酢酸又はそのナトリウム塩、α,α’−ジクロロヒドリン等の有機ハロゲン化物、トリエタノールアミン塩酸塩、塩酸アニリン等のアミン類の塩酸塩、サルチル酸尿素アダクト、ステアリン酸尿素アダクト、ヘプタン酸尿素アダクト等の尿素アダクト、N−トリメチルタウリン、塩化亜鉛、塩化第2鉄等の酸性物質、アンモニア、アミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、石灰等のアルカリ土類金属の酸化物、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、燐酸ナトリウム等のアルカリ金属の弱酸塩類等のアルカリ性物質を触媒又はpH調整剤として混合してもよい。
【0018】
なお、触媒として上記アンモニア及び/又はアミン類を使用した場合には、該アンモニア及び/又はアミン類の添加量によって、得られるフェノール系樹脂の初期縮合物の硬化開始温度(硬化率が急激に大きくなる温度)を調整することができるため、該フェノール系樹脂の初期縮合物(B状態)を含浸した成形材料は、該所定の温度未満において保存安定性に優れ、該所定の温度以上において硬化速度に優れるものとなる。
【0019】
〔熱硬化性合成樹脂の製造〕
上記熱硬化性合成樹脂は常法により製造することができるが、特に該熱硬化性合成樹脂として、フェノール系化合物とアルデヒド及び/又はアルデヒド供与体(以下「アルデヒド類」という。)とを縮合させたフェノール系樹脂の初期縮合物を使用する場合、該初期縮合物は、(a) 一価フェノール及び/又は多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させる方法、(b) 一価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物及び/又は多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物と、一価フェノール及び/又は多価フェノールとを縮合させる方法、(c) 一価フェノールと多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物と、一価フェノール及び/又は多価フェノールとを縮合させる方法、(d) 一価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物と、多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物とを縮合させる方法、(e) 一価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物及び/又は多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物と、一価フェノールと多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物とを縮合させる方法等により製造することができる。
【0020】
例えば、上記(a) 一価フェノール及び/又は多価フェノールとアルデヒド類との縮合では、通常一価フェノール1モルに対し、アルデヒド類0.2 〜3モル、多価フェノール1モルに対し、アルデヒド類0.1 〜0.8 モルと、必要に応じて溶剤、第三成分とを添加し、液温55〜100 ℃で8〜20時間加熱反応させる。このときアルデヒド類は、反応開始時に全量加えてもよいし、分割添加又は連続滴下してもよい。
【0021】
溶媒としては通常水が用いられるが、必要ならば更にメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール、2−エチルブタノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、トリメチルノニルアルコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、アビエチルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルアセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、メチルオキシド、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、ショウノウ等のケトン類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の上記グリコール類のエステル類やその誘導体、1,4−ジオキサン等のエーテル類、ジエチルセロソルブ、ジエチルカルビトール、エチルラクテート、イソプロピルラクテート、ジグリコールジアセテート、ジメチルホルムアミド等の水可溶性又は親水性有機溶剤の単独又は二種以上の混合物を添加使用することができる。
アセトン等は溶剤であると同時に、アルキルレゾルシンの錯化剤としても作用し、より穏やかな反応をもたらす。
【0022】
〔熱硬化性合成樹脂の初期縮合物溶液〕
以上のようにして製造した熱硬化性合成樹脂は初期縮合物の溶液として提供されるが、該初期縮合物溶液はそのまま使用する(混合繊維集合体に含浸させる)こともできるし、硬化剤等の第三成分を加えて使用することもできる。
すなわち、該初期縮合物溶液を混合繊維集合体に含浸させるときに、必要に応じて、例えば塩酸、硫酸、オルト燐酸、ホウ酸、蓚酸、蟻酸、酢酸、酪酸、ベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ナフタリン−α−スルホン酸、ナフタリン−β−スルホン酸等の無機又は有機酸、蓚酸ジメチルエステル等の有機酸のエステル類、マレイン酸無水物、フタル酸無水物等の酸無水物、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、蓚酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、燐酸アンモニウム、チオシアン酸アンモニウム、イミドスルホン酸アンモニウム等のアンモニウム塩、モノクロル酢酸又はそのナトリウム塩、α,α’−ジクロロヒドリン等の有機ハロゲン化物、トリエタノールアミン塩酸塩、塩酸アニリン等のアミン類の塩酸塩、サルチル酸尿素アダクト、ステアリン酸尿素アダクト、ヘプタン酸尿素アダクト等の尿素アダクト、N−トリメチルタウリン、塩化亜鉛、塩化第2鉄等の酸性物質、アンモニア、アミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、石灰等のアルカリ土類金属の酸化物、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、燐酸ナトリウム等のアルカリ金属の弱酸塩類等のアルカリ性物質、あるいはホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンツアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サルチルアルデヒド、メチロール尿素、メチル化メチロール尿素、尿素樹脂、メチロールメラミン、メチル化メチロールメラミン、アルキロール化トリアゾン誘導体等を硬化剤として該初期縮合物溶液に添加してもよい。このような硬化剤は使用するのが通常であるが、相互架橋可能な官能基を多く導入した自己架橋型熱硬化性合成樹脂の場合には、該硬化剤は使用してもよいし、使用しなくてもよい。
【0023】
上記硬化剤の他、更に必要ならば、一価フェノール系樹脂、多価フェノール系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂等のアミノ系樹脂;天然ゴム又はその誘導体;スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、イソプレンゴム、イソプレン−イソブチレンゴム等の合成ゴム;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、アクリルエステル、メタクリルエステル、アクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルピリジン等のビニル単量体の単独重合体又はこれらビニル単量体の二種以上の共重合体;ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、酢酸ビニル−エチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリエステル等の各種合成樹脂のエマルジョンやラテックス又は水溶液;ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、澱粉、澱粉誘導体、ニカワ、ゼラチン、血粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド等の水溶性高分子や天然ガム類;炭酸カルシウム、タルク、石膏、カーボンブラック、木粉、クルミ粉、ヤシガラ粉、小麦粉、米粉等の充填剤;界面活性剤;ステアリン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;ブチリルステアレート、グリセリンモノステアレート等の脂肪酸のエステル類;脂肪酸アミド類;カルナバワックス等の天然ワックス類、合成ワックス類;パラフィン類、パラフィン油、シリコンオイル、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルアルコール、グリス等の離型剤;ヘキサン、ブタン、n−ペンタン、アルコール、エーテル、塩化メチレン、四塩化炭素、クロルフルオロメタン、1,1,2−トリクロル−1,2,2−トリフルオルエタン等の低沸点溶剤;アゾジカーボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、P,P’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アゾビス−2,2’−(2−メチルグロピオニトリル)等のガスを発生するもの;炭酸ガスを発生しながら酸性硬化剤と反応する物質、例えば、炭素又は重炭酸ナトリウム、カリウム、アンモニウム又はカルシウム;n−ペンタン、イソペンタン、ブタン、イソブタン等をマイクロカプセル化した熱可塑性膨張性微小球等の発泡剤;シラスバルーン、パーライト、ガラスバルーン、発泡ガラス、中空セラミックス等の中空粒体;発泡ポリエチレン、発泡ポリスチレン、発泡ポリプロピレン等の発泡体や発泡粒;顔料、染料、難燃剤、防炎剤、防虫剤、防腐剤、老化防止剤、紫外線吸収剤;DBP、DOP、ジシクロヘキシルフタレートのようなフタール酸エステル系可塑剤やその他のトリクレジルホスフェート等の可塑剤などの第三成分を添加して、共縮合や混合等により上記硬化性樹脂を変性してもよい。
【0024】
〔成形材料の製造〕
本発明の内装材に使用する成形材料は、例えば、綿状の疎水性繊維99.5〜50重量%と綿状の親水性繊維0.5 〜50重量%とを混合し、得られた混合繊維集合体に熱硬化性合成樹脂の初期縮合物溶液を含浸せしめ、加熱乾燥する方法により製造することができる。
【0025】
該熱硬化性合成樹脂の初期縮合物溶液を該混合繊維集合体に含浸させる方法としては、浸漬法、スプレー法等公知の方法が適用される。浸漬法の場合、例えば、該初期縮合物溶液を含浸槽に充填した後、該含浸槽内に該繊維集合体を浸漬し、次いで該初期縮合物溶液が付着した繊維集合体を絞りロール又はプレス盤等で押圧することにより、所定量の初期縮合物を該混合繊維集合体に含浸させることができる。なお、該含浸槽に充填した初期縮合物溶液は、起泡及び/又は発泡させてもよい。
【0026】
上記初期縮合物を含浸した繊維集合体は加熱乾燥工程に付されるが、この工程において、該初期縮合物をB状態にするのが望ましい。該初期縮合物をB状態にとどめるには、加熱温度、加熱時間等を調節すればよく、通常加熱温度は50〜180 ℃程度、加熱時間は0.1 〜5時間程度とされる。該加熱乾燥には、通常熱風乾燥、遠赤外線乾燥、高周波加熱乾燥等が適用される。
【0027】
このように繊維集合体に含浸された熱硬化性合成樹脂の初期縮合物をB状態にすることにより、該熱硬化性合成樹脂の安定性が向上して成形材料の長期間保存が可能となるとともに、該熱硬化性合成樹脂の水分含有量が少なくなるため、成形時間が短縮され、かつホットプレスによって成形した際にも水分の蒸気によるパンク現象が起らない。また、該成形材料をホットプレス成形した後には、該熱硬化性合成樹脂は完全硬化するため、形状保持性及び耐熱性に優れた成形物が得られる。
【0028】
本発明の成形材料は、また、疎水性繊維を含む繊維集合体と親水性繊維を含む繊維集合体とを、疎水性繊維が99.5〜50重量%、親水性繊維が0.5 〜50重量%となるように混合し、得られた繊維集合体の混合物に熱硬化性合成樹脂の初期縮合物溶液を含浸せしめた後、該繊維集合体の混合物を加熱乾燥するとともに解繊して綿状の混合繊維集合体とする方法によっても製造することができる。
【0029】
該疎水性繊維を含む繊維集合体及び該親水性繊維を含む繊維集合体は、不織布、フェルト、編織物、それらの積層物等のシート状のものであってもよいし、該シート状繊維集合体を小さく切断して得られる繊維小片であってもよく、特にリサイクルの観点からは、衣服、カーペット等の繊維製品の端切れや裁断クズ、あるいは廃棄物等の廃材を小さく切断したものを使用するのが好ましい。
【0030】
上記繊維集合体の混合物の加熱乾燥と解繊とは同時に行ってもよいし、該加熱乾燥を行った後解繊してもよいし、解繊した後加熱乾燥を行ってもよい。該解繊は、例えば解繊機を使用して行うことができる。
【0031】
なお、本発明の成形材料における混合繊維集合体は、上記製造方法に限定されることなく、例えば、疎水性繊維シートと親水性繊維シートとをニードルパンチ等によって交絡させることによって製造することもできる。また、該疎水性繊維として熱可塑性の繊維を使用した場合には、該疎水性繊維と親水性繊維とを混合した後、該疎水性繊維の融点以上の温度で該疎水性繊維の一部を溶融させ、各繊維を相互に結着させてシート状にし、これを混合繊維集合体とすることもできる。
【0032】
B.内装材
本発明の内装材は、上記成形材料中の熱硬化性合成樹脂を硬化してなる基材と、該基材の表面に貼着されている表皮材とからなるものである。
該表皮材としては、例えば、人工皮革、レザー、繊維編織物、不織布、あるいはこれらとポリウレタン発泡体、ポリエチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体、ポリスチレン発泡体、ポリ塩化ビニル発泡体等のプラスチック発泡体との積層材等がある。
【0033】
該表皮材は、該表皮材及び/又は基材の接着面に点状に散在されている接着剤層によって上記基材に貼着される。
該接着剤層に使用される接着性物質としては、通常、ホットメルト接着剤、アクリル系接着剤、合成ゴム系接着剤、エラストマー系接着剤、酢酸ビニル系接着剤、塩化ビニル系接着剤、尿素樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤等の接着剤が使用される。
【0034】
上記ホットメルト型接着剤としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のポリオレフィン系樹脂、あるいは該ポリオレフィン系樹脂の変性物、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等の単独又は二種以上の混合物が使用される。
該ホットメルト接着剤は溶液型、エマルジョン型として提供される他、該ホットメルト接着剤粉末を水に分散させた分散液型としても提供される。
【0035】
上記接着剤を塗布等により接着剤層とする場合、該接着剤層は表皮材及び/又は基材の接着面に点状に散在される。このように、表皮材と基材とを点状に散在している接着剤層によって接着すれば、該接着剤層の剛性は内装材の成形形状や表面の凹凸形状に影響せず、したがって該内装材の成形形状や凹凸形状がシャープに成形される。また表皮材が通気性を有する場合は、該接着剤層も通気性を有するので、優れた防音性を有する内装材が得られる。
【0036】
該表皮材及び/又は基材の接着面に接着剤層を点状に散在せしめるには、例えばスプレー塗装法、凸版印刷法、シルクスクリーン印刷法等が適用されるが、接着面にマスキングシートを被着しておいてからスプレー、ナイフコーター、ロールコーター、フローコーター等で接着剤を塗布し、その後マスキングシートを剥離する方法が適用されてもよい。
上記表皮材及び/又は基材の接着面に接着剤層を点状に散在させる望ましい方法としてはホットメルト接着剤粉末分散液をスプレー塗布する方法である。
【0037】
上記ホットメルト接着剤粉末分散液に使用される該ホットメルト接着剤粉末は通常20〜400 メッシュ程度のサイズの粉末とされ、該ホットメルト接着剤粉末は通常水に5〜60重量%の範囲で分散されるが、このとき、該ホットメルト接着剤粉末の沈降を防止するために増粘剤を使用するのが望ましい。
【0038】
該増粘剤としては、アルカリ増粘タイプのアクリル系共重合体のエマルジョンを使用するのが望ましい。該アルカリ増粘タイプのアクリル系共重合体としては、アクリル酸エステルとα,β−不飽和カルボン酸との共重合体や、アクリル酸エステルと、該アクリル酸エステルと共重合可能な他のビニル単量体と、α,β−不飽和カルボン酸との多元共重合体等を使用することができる。
【0039】
該アクリル酸エステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート、β−ヒドロキシプロピルアクリレート、β−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。
【0040】
該α,β−不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、アトロパ酸、シトラコン酸等が挙げられる。
【0041】
上記アクリル酸エステルと共重合可能な他のビニル単量体としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のエーテル類、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、(メタ)アクリロニトリル等のシアノ基含有単量体、(メタ)アクリロイルイソシアネート、m−イソプロペニル−α,α―ジメチルベンジルイソシアネート等のイソシアネート基含有単量体、ジアセトンアクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N―ビニルアセトアミド等のアミド基含有単量体、p−スルホン酸スチレン、2−(アクリロイルアミノ)−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン基含有単量体、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基含有単量体等が挙げられる。
【0042】
上記アクリル系共重合体エマルジョンにおいて、該α,β−不飽和カルボン酸は、該α,β−不飽和カルボン酸をアルカリによって塩にしたときに、該アクリル系共重合体が水溶性になるのに十分な量で該アクリル系共重合体に含まれる。該α,β−不飽和カルボン酸の量は、上記アクリル酸エステル、他のビニル単量体又は該α,β−不飽和カルボン酸の種類によって異なるが、通常、共重合体中に20〜60重量%、好ましくは30〜50重量%含まれる。
【0043】
上記アクリル系共重合体は、その水溶性に悪影響を及ぼさない程度に架橋されていてもよい。この場合には、該共重合体中にジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパンメタクリレート、ジアリルフタレート等の多官能ビニル単量体を導入する。
【0044】
上記ホットメルト接着剤粉末分散液を調製するには、まず、上記アクリル系共重合体エマルジョン及びホットメルト接着剤の粉末を水に添加攪拌して、分散液とするのが好ましい。この段階では、該アクリル系共重合体エマルジョンは増粘していないため、均一に水に分散させることは極めて容易である。
なお、該ホットメルト接着剤の粉末は、アクリル系共重合体エマルジョンと同時に水に添加する必要はなく、任意の段階で水に添加すればよいが、好ましくは増粘前に添加する。
【0045】
上記ホットメルト接着剤粉末は、通常水に1〜60重量%の範囲で分散され、また上記アクリル系共重合体エマルジョンは、アルカリ増粘後の該ホットメルト接着剤分散液の粘度が50〜2000cps/25℃となるように該水に添加される。例えば、エチルアクリレートとメタクリル酸とを6:4の重量比で共重合させた共重合体の30重量%エマルジョンを使用する場合、該エマルジョンの添加量は0.1 〜10重量%程度である。
【0046】
上記のようにアクリル系共重合体エマルジョン及びホットメルト接着剤の粉末を水に添加し、均一に混合したら、アルカリを添加する。そうすると、該アクリル系共重合体に含まれるα,β−不飽和カルボン酸に由来するカルボン酸が塩となり、該共重合体は水溶性となって該分散液を増粘する。
【0047】
該アルカリとしては、アンモニア、アミン;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物;石灰等のアルカリ土類金属の酸化物;炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、燐酸ナトリウム等のアルカリ金属の弱酸塩類等を使用することができる。
該アルカリの添加量は、通常分散液のpHが6〜9程度になるのを目安として決定する。
【0048】
以上のようにしてアルカリ増粘タイプのアクリル系共重合体エマルジョンを増粘剤としたホットメルト接着剤粉末分散液は、塑性流動を示し、該ホットメルト接着剤粉末の沈降が実質的に防止される。
【0049】
上記ホットメルト接着剤粉末分散液には、例えば高級アルコールサルフェート(Na塩又はアミン塩)、アルキルアリルスルホン酸塩(Na塩又はアミン塩)、アルキルナフタレンスルホン酸塩(Na塩又はアミン塩)、アルキルナフタレンスルホン酸塩縮合物、アルキルホスフェート、ジアルキルスルホサクシネート、ロジン石鹸、脂肪酸塩(Na塩又はアミン塩)等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキロールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアマイド、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等のノニオン性界面活性剤、オクタデシルアミンアセテート、イミダゾリン誘導体アセテート、ポリアルキレンポリアミン誘導体又はその塩、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチルアミノエチルアルキルアミドハロゲニド、アルキルピリジニウム硫酸塩、アルキルトリメチルアンモニウムハロゲニド等のカチオン性界面活性剤等の界面活性剤の一種又は二種以上を分散剤として添加してもよい。
【0050】
また、上記ホットメルト接着剤粉末分散液には、更に、例えばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アルギン酸等のナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、ポリエチレンオキサイド等の水溶性合成高分子、トロロアオイ、グルテン、ビロウドアオイ、ノリウツギ等の植物性粘質物からなる水溶性天然高分子等の曳糸性増粘剤;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、スチレン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、熱可塑性アクリル系樹脂、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリアミド、熱可塑性ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、レゾルシン樹脂、アルキルレゾルシン樹脂等の熱硬化性樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等の合成樹脂エマルジョン;アクリルゴム、ブチルゴム、ケイ素ゴム、ウレタンゴム、フッ化物系ゴム、多硫化物系ゴム、グラフトゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、ポリブテンゴム、イソブテン−イソプレンゴム、アクリレート−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ピリジン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム、アクリロニトリル−クロロプレンゴム、スチレン−クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−水素添加ポリオレフィン−スチレン共重合体、ブタジエン−スチレンプロック共重合体、スチレン−ゴム中間ブロック−スチレン共重合体等のブロック共重合体等の合成ゴム又はエラストマーの粉末又はそれらのエマルジョンを添加してもよい。更に必要ならば、炭酸カルシウム、タルク、石膏、シリカ、カーボンブラック、木粉、クルミ粉、ヤシガラ粉、澱粉等の充填剤、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース類、顔料、染料、難燃剤、防炎剤、防虫剤、防腐剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、蛍光染料、界面活性剤、発泡剤、あるいはパラフィン、ワックス、シリコーン等の軟化剤、撥水剤、撥油剤、離型剤、可塑剤等を添加してもよい。
【0051】
なお、上記ホットメルト接着剤の粉末を水に分散せしめた分散液が、上記第三成分によって又は別途添加されたアルカリによってアルカリ性になっている場合には、該分散液に上記アルカリ増粘タイプのアクリル系共重合体エマルジョンを添加混合することにより、増粘せしめることができる。
【0052】
上記ホットメルト接着剤粉末分散液の被塗面への塗布方法としては、該分散液に直接高圧を加えて該分散液をエアスプレーする方法が好ましい。かかる方法によれば、該ホットメルト接着剤粉末分散液の粘度が高い場合であっても、該分散液を効率よくスプレー塗布することができる。このとき、該ホットメルト接着剤粉末分散液は必ずしも攪拌する必要はないが、攪拌してもよい。
なお、上記ホットメルト接着剤粉末分散液は、あらかじめ高濃度で製造しておき、使用時に水で所望の濃度に希釈して使用してもよい。
【0053】
上記ホットメルト接着剤粉末分散液を表皮材及び/又は基材の接着面にスプレー塗布する場合、該表皮材及び/又は基材を裏側から吸引することによって該ホットメルト接着剤粉末のスプレー時の衝撃による跳ね返りを防止し、該ホットメルト接着剤粉末を接着面に吸着することが望ましい。該ホットメルト接着剤粉末分散液のスプレー塗布量は通常固形分として5〜100 g/m2である。
【0054】
上記増粘剤を使用したホットメルト接着剤粉末分散液は構造粘性を有するため、被塗面にけばがあっても該けばの間に入り込まず、該けば表面に付着し、乾燥後には被塗面の表面にホットメルト接着剤粉末が効率良く付着した状態が得られる。また、該ホットメルト接着剤粉末分散液は沈降のない状態で塗布されるため、該ホットメルト接着剤粉末は被塗面に均一に付着し得る。
【0055】
以上のように表皮材及び/又は基材の接着面にホットメルト接着剤粉末分散液をスプレー塗布した後、該表皮材及び/又は基材は加熱乾燥せしめられ、該ホットメルト接着剤粉末は接着面に融着する。該加熱乾燥の条件は通常使用されるホットメルト接着剤の融点以上の温度で100 〜200 ℃、5秒〜5分程度である。
【0056】
上記接着剤層によって該表皮材は該基材表面に貼着されるが、該接着剤が溶液型あるいはエマルジョン型の場合には、接着面に形成された接着剤層が完全に乾燥する前に両者を貼り合わせる。また該接着剤層がホットメルト型の場合には、接着面を加熱して接着面に形成された接着剤層を軟化させた上で両者を貼り合わせる。
該基材の成形は該表皮材を貼り合わせる前、あるいは該表皮材を貼り合わせる時同時に、あるいは該表皮材を貼り合わせた後のいずれの時点で行われてもよい。
【0057】
上記表皮材が通気性でありかつ基材に表皮材を貼り合わせてから成形する場合には、該基材に含まれている空気、あるいは該基材に含まれている合成樹脂から発生するガス(例えばフェノール樹脂の場合にはホルマリンガス、多価イソシアナートの場合には水又は炭酸ガス)は成形時に点状接着剤層を通過して表皮材から順調に外界へ排出されるので、製造される内装材にはパンク現象が発生せず、また残存ガスによる臭気の問題も解消される。
【0058】
本発明の内装材は剛性が高く、種々の用途に使用することができ、例えば、自動車のトランクルーム内装材やダッシュボード内装材等として好適である。該内装材において、特に表皮材と基材とを点状に散在している接着剤層によって接着した場合には、該接着剤層の剛性は内装材の成形形状や表面の凹凸形状に影響せず、したがって該内装材の成形形状や凹凸形状がシャープに成形される。また表皮材が通気性の場合は該接着剤層も通気性を有するので、得られる内装材は優れた防音性を有する。
【0059】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0060】
〔実施例1〕
粒度200 メッシュ全通のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)粉末15重量部に、分散剤としてジアルキルスルホコハク酸ナトリウムからなる界面活性剤0.1 重量部及び増粘剤としてアクリル酸エチル−メタクリル酸共重合体のエマルジョン1.5 重量部を加え、攪拌しながら更にアンモニア水を添加し、pH8.0 、粘度310 cp/25℃のホットメルト接着剤粉末分散液を得た。
得られた分散液を室温下で放置したところ、3ヶ月以上たっても分離することはなく、極めて安定していた。
【0061】
上記ホットメルト接着剤粉末分散液を使用し、次のようにして熱接着性の表皮材及び内装材を製造した。なお、表皮材(基材シート)としては、ポリエステル繊維からなるニードルパンチ不織布(目付量120 g/m2)にフェノール樹脂の初期縮合物を30重量%含浸した後、70℃で加熱乾燥せしめ、該初期縮合物を若干縮合してB状態としたものを使用した。
【0062】
図1に示すように該表皮材33はロール315 から引き出され、ネットやフェルトからなる通気性ベルトコンベア316 上に導入され、該ベルトコンベア316 裏面に当接されている吸引ボックス317 によって裏側から真空吸引される。該吸引ボックス317 にはバルブ319 付きの真空経路318 が連絡している。この状態で、該表皮材33表面に対して、上方からスプレー装置320 によって上記ホットメルト接着剤粉末分散液34がスプレーされた。該スプレー装置320 のスプレータンク321 には該分散液34が充填されており、該分散液34は攪拌機323 によって攪拌されつつ、圧力管322 から導入される高圧空気によって加圧され、スプレーされる。
【0063】
上記ホットメルト接着剤粉末分散液34は上記スプレーによって上記表皮材33表面に固形分として15g/m2の量で塗布されるが、上述したようにホットメルト接着剤粉末分散液のスプレー中、該表皮材33は裏側から吸引ボックス317 によって吸引されているので、該ホットメルト接着剤粉末は該表皮材33接着面でスプレー衝撃によって跳ね返り飛散することなく吸着される。このようにして該分散液をスプレー塗布した後、該表皮材33を乾燥室324 に導入し、150 ℃,2分間の加熱乾燥によって乾燥する。このようにして図2に示すようにポリエステル繊維ニードルパンチ不織布である表皮材33上にEVA粉末が固着され、接着面に点状に散在されている接着剤層34Aが形成され、該表皮材33はカッター325 によって所定寸法にカットされる。
一方、ポリエステル繊維85重量%及び麻繊維15重量%を含む混合物を、該ポリエステル繊維の融点以上の温度で一部溶融・結着させシート状にした不織布に、フェノール樹脂の初期縮合物を30重量%含浸した後、70℃で加熱乾燥せしめ、該初期縮合物を若干縮合してB状態とし、基材32とする。
【0064】
図3に示すように、得られた基材32の上に上記表皮材33を重ねて下型327 と上型328 とからなるホットプレス装置326 にセットし、ホットプレスを行って該表皮材33及び該基材32表面を凹凸状に成形すると同時に、該表皮材33の接着剤層34Aを軟化させ、該表皮材33を該接着剤層34Aを介して該基材32に接着する。このようにして図4に示されるようにシャープな凹凸が形成された剛性の高い自動車のトランクルームの内装材31が製造される。
【0065】
〔実施例2〕
図5に示すようにポリ塩化ビニルシートである表皮材313 の接着面にポリエチレン溶融物をシルクスクリーン印刷することによって、斑点状に散在した接着剤層314 Aを形成する。
一方、ポリエチレン繊維80重量%及びレーヨンのスフ20重量%を含む不織布シートに30重量%のフェノール樹脂を含浸させ、100 ℃で7分間加熱乾燥し、該フェノール樹脂を若干縮合してB状態とする。得られたシートを250 ℃の温度で加熱プレス成形して図6に示すようなダッシュボードの基材312 とし、該基材312 を下型330 と上型331 とからなる表皮材圧着型329 にセットする。
【0066】
上記表皮材313 の接着剤層314 Aを加熱軟化させた状態で、該表皮材313 を該基材312 の上に重ね合わせ、該表皮材圧着型329 によって表皮材313 を該基材312 表面に圧着する。
このようにして図7に示すようにシャープな形状に成形された剛性の高い自動車のダッシュボードの表面材311 が製造される。
上記実施例9,10では表皮材側に接着剤層を形成したが、本発明では基材側に接着剤層を形成してもよい。
【0067】
〔実施例3〕
フェノール−レゾルシン−ホルムアルデヒドからなる初期共縮合物に硬化剤としてアルキロール化トリアゾン誘導体を添加した一価フェノール/多価フェノール/アルデヒド初期共縮合物を調製した。
ポリエチレンテレフタレート繊維99重量%及びマニラ麻1重量%を含む衣服の裁断屑に対し、上記初期縮合物を固形分で15重量%の含浸量となるようにスプレー塗布した。該スプレー塗布は、該裁断屑をミキサー中で攪拌しながら行った。
このようにして製造した初期共縮合物含浸裁断屑を120 ℃で3分間加熱し、該初期共縮合物をB状態にした後、解繊機を用いて該裁断屑を綿状に解繊した。得られた綿状物を180 ℃で2分間熱圧成形したところ、剛性が高く、形状保持性に優れた成形物が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の内装材によれば、剛性の高いかつ吸音性の良好な内装材が得られ、該内装材は特に自動車用として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】表皮材に接着剤層を形成する工程を示す説明図である。
【図2】表皮材の側断面図である。
【図3】本発明の内装材を製造する工程を示す説明図である。
【図4】本発明の一例による内装材(トランクルーム内装材)の側断面図である。
【図5】表皮材の裏側斜視図である。
【図6】表皮材を基材に圧着する工程を示す説明図である。
【図7】本発明の一例による内装材(ダッシュボード表面材)の側断面図である。
【符号の説明】
【0070】
32 …基材
34 …接着剤粉末分散液
33,313 …表皮材
311 …内装材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性繊維99.5〜50重量%と親水性繊維0.5 〜50重量%とを含む混合繊維集合体に熱硬化性合成樹脂を含浸せしめた成形材料中の熱硬化性合成樹脂を硬化してなる基材と、該基材の表面に貼着されている表皮材とからなり、該基材と該表皮材とは、接着面に点状に散在されている接着剤層によって接着されていることを特徴とする内装材。
【請求項2】
上記接着面に点状に散在されている接着剤層は、ホットメルト接着剤粉末分散液を接着面にスプレー塗布することによって形成される請求項1に記載の内装材。
【請求項3】
上記ホットメルト接着剤粉末分散液には増粘剤が使用されている請求項2に記載の内装材。
【請求項4】
該成形材料中の熱硬化性合成樹脂は、B状態とされている請求項1乃至3のいづれか1項に記載の内装材。
【請求項5】
該熱硬化性合成樹脂は、フェノール系化合物とアルデヒド及び/又はアルデヒド供与体とを縮合させたフェノール系樹脂である請求項1乃至3のいづれか1項に記載の内装材。
【請求項6】
前記成形材料は疎水性繊維を含む繊維集合体と親水性繊維を含む繊維集合体とを、疎水性繊維が99.5〜50重量%、親水性繊維が0.5 〜50重量%となるように混合し、得られた繊維集合体の混合物に熱硬化性合成樹脂の初期縮合物溶液を含浸せしめた後、該繊維集合体の混合物を加熱乾燥するとともに解繊して綿状の混合繊維集合体とすることによって製造されている請求項1乃至5のいづれか1項に記載の内装材。
【請求項7】
該成形材料の製造過程における加熱乾燥時に、該熱硬化性合成樹脂の初期縮合物はB状態にされている請求項6に記載の内装材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−15386(P2007−15386A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−207505(P2006−207505)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【分割の表示】特願平11−138300の分割
【原出願日】平成11年5月19日(1999.5.19)
【出願人】(000243892)名古屋油化株式会社 (78)
【Fターム(参考)】