説明

内視鏡と共に使用するための挿管システム

【課題】柔軟な内視鏡の使用に適し、診断および治療行為、液体栄養物の消化管への供給、病変組織の切除およびガス抜きなど、多くの医療目的を有する器具を用いて内視鏡の対象となる組織へのアクセスが可能な、改善された器具および方法が必要である。
【解決手段】内視鏡とともに使用するために、挿管システムが提供される。この挿管システムは、管路の湾曲が内視鏡の湾曲と実質的に切離されるように、内視鏡と協働するように構成された管路を有する案内装置を含む。挿管システムはまた、遠位端に第1の結合部材を有する位置決め器具と、近位端に第2の結合部材を有する挿管器具とを備える。挿管器具および位置決め器具はそれぞれ、内視鏡の外側の管路とスライド可能に嵌合するように構成された対の部品を備え、これによって第1および第2の結合部材は互いに解放可能に接続されることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は下記の特許出願に関連しており、それら全ての内容を本明細書中に参照として組み込む。
米国特許2003年5月12日に出願された、米国特許出願第10/440,957号(米国特許公開公報第2004/0230095号として公開)
米国特許2003年5月12日に出願された、米国特許出願第10/440,660号(米国特許公開公報第2004/0230096号として公開)
米国特許2003年5月16日に出願された、米国特許出願第10/440,956号(米国特許公開公報第2004/0230097号として公開)
「ガイドワイヤーおよび追加型カテーテルを有する医療器具(Medical Instrument Having a Guidewire and Add-to Catheter)」(整理番号:END-5335USNP5)の名称で米国特許2005年5月12日にロング他(Long et al.)により出願された、米国特許出願第11/128,108号
【0002】
本出願は内視鏡の医療器具および方法に関し、特に、柔軟性を有する内視鏡医療処置に有益な器具および方法に関する。
【0003】
〔発明の背景〕
医師は、患者の自然な身体開口部を介して挿入された柔軟な内視鏡を用いて、多くの医療行為を行う。通常、柔軟な内視鏡は、医師が内視鏡近位端の作動装置を用いて制御可能な、関節運動遠位端を有する柔軟なシャフトを備える。胃鏡および結腸鏡など、多くの柔軟な内視鏡は、診断および治療器具とともに対象の組織へアクセスするために不可欠な作業チャネル(生検チャネルもしくは補助チャネルとも呼ばれる)を備える。作業チャネルの直径は、内視鏡のサイズと種類により1mm〜4mmの範囲とすることができる。
【0004】
作業チャネルの直径によって、医師が内視鏡を介して使用可能な医療器具、および医師が患者の身体から取り除ける対象物(血栓および生検サンプルなど)のサイズにおいて使用可能な医療器具が限定される。さらに、医師は、ただ1つの作業チャネル(複数の場合もあるが)を有し、処置中器具の挿入/取り外しに時間のかかる従来の内視鏡の使用時において、単体の器具の使用を制限することも可能である。特定の専門分野に特化した内視鏡は、特に大きな作業チャネルもしくは一対の作業チャネルが利用可能である。しかし、このように特化した内視鏡は、標準の内視鏡よりも、より高価で、直径がより大きく、より堅く、挿管作業性がより悪い。
【0005】
上部の消化管(GI)に関する医療処置の一例は、患者の小腸に経腸栄養チューブを配置することである。このような処置は通常、経皮内視鏡的胃瘻造設術(percutaneous endoscopic gastrojejunostomy(PEGJ)procedure)として解釈される。胃鏡支援のPEGJにおいて、医師は、視覚化された内視鏡によって栄養チューブの遠位端を空腸に配置し、腹壁および胃壁に栄養チューブの近位部を固定するために、胃鏡の上部消化管への頻度の高い挿入および取り外しをする可能性がある。これらの頻繁な挿入/取り外しは多大な時間を必要とし、結果的に組織に大きな外傷を残し、術後の患者にとって上部消化管の苦痛となる。
【0006】
下部消化管における患者の肛門を介した現在の挿管処置に関して同じ問題もある。例えば、患者の痛みを和らげるために、医師が結腸減圧チューブを患者の結腸に配置して、体内で生じるガスを抜くことが必要である。しかしながら、結腸の屈曲部を通して柔軟なチューブを案内する現在の技術は、多くの時間が必要であり、組織に損傷を与え、患者にとっては苦痛である。
【0007】
したがって、柔軟な内視鏡の使用に適し、診断および治療行為、液体栄養物の消化管への供給、病変組織の切除およびガス抜きなど、多くの医療目的を有する医療器具を用いて内視鏡の対象となる組織へのアクセスが可能な、改善された器具および方法が必要である。
【0008】
〔発明の概要〕
内視鏡とともに使用するために挿管システムが提供される。挿管システムは、管路の湾曲と内視鏡の湾曲とが実質的に切り離されるように、内視鏡と協働するように構成された管路を有する案内装置を備える。挿管システムはまた、遠位端に第1の結合部材を有する位置決め器具と、近位端に第2の結合部材を有する挿管器具とを備える。挿管器具および位置決め器具はそれぞれ、内視鏡の外側管路とスライド可能に嵌合するように構成された、対の部品、を備え、これによって第1および第2の結合部材は互いに解放可能に取りつけられることが可能である。
【0009】
内視鏡を用いた挿管システムの使用方法もまた提供される。この方法は、前のパラグラフで説明されたような、挿管システムを準備する工程を備える。この方法はさらに、案内装置を内視鏡に組み付け、案内装置および内視鏡を患者の内視鏡用の切開部に挿入し、挿管器具を案内装置とスライド可能に嵌合し、位置決め器具の第1の結合部材を挿管器具の第2の結合部材に解放可能に取り付け、位置決め器具を案内装置にスライド可能に嵌合し、位置決め器具に力を加えて案内装置に沿って挿管器具を移動させる工程を備える。
【0010】
挿管器具および方法の他の態様、変形および実施例は、以下の説明、添付の図面および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0011】
〔発明の詳細な説明〕
図1は、全般的に参照符合10で表される案内装置(医療装置とも呼ばれる)の等角図である。上記にて参照した米国特許出願第11/128,108号は、この装置10の詳細な説明を含む。しかしながら、一般的に、装置10は、ハンドル12、ハンドル12から延びる柔軟シース14、シース14に取り付けられた柔軟管路16、およびシース14の遠位端に取り付けられたエンドキャップ18を備えることができる。ハンドル12およびシース14は、柔軟な内視鏡を受け入れる大きさである。シース14は、ポリエチレンもしくはポリプロピレンのような薄い高分子フィルムで形成され、内視鏡全体を覆うに十分な長さを有する。管路16は、押出成形のポリプロピレンのような連続した柔軟な低摩擦ポリマーの構成要素で形成することができる。
【0012】
多くの種類の内視鏡は、関節運動遠位部を有する従来の柔軟な胃鏡、結腸鏡もしくは小児科用結腸鏡を備えた案内装置10とともに使用することが可能である。このような内視鏡は通常、作業チャネルを備えるが、作業チャネルを持たない内視鏡とともに装置10を使用することも可能である。装置10を内視鏡から取り外すことができる使い捨て可能なものとしてもよく、内視鏡の作業チャネル(具備される場合)を通過させるには大きすぎる少なくとも1つの柔軟な付属器具の使用を可能にしてもよい。付属器具は、管路の屈曲が実質的に内視鏡の屈曲から切り離されるように、内視鏡外部の装置の管路でスライドするように構成されてもよい。さらに、管路は、内視鏡の周囲を移動可能なように、内視鏡に対して支持されてもよい。
【0013】
図2は、内視鏡20に組み付けられた装置10の遠位部の等角図である。装置10は、管路16をスライド可能に嵌合するよう構成されたキャリア22を備える。キャリア22は、たとえばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)のような押出成形の低摩擦ポリマーで一体的に形成することができ、少なくとも管路16と同じ長さを有する。付属物23は、図示されるように、キャリア22をスライド可能に嵌合するよう構成されてもよい。付属物23は、身体に液体栄養素を供給し、診断および治療の医療器具のために対象の組織にアクセスし、身体からガスもしくは他の液体を排出または放出させ、あるいは、他の多くの医療目的に適するように構成される。
【0014】
図3は、装置10にスライド可能に嵌合された付属物23の、図2における断面線3−3に沿った断面図である。(内視鏡20の断面図は明確にするために図3には示されない。シース14が薄い高分子フィルムで形成されるので、シース14は、内部に配置する内視鏡20がなければ、図3に示すような円形形状を維持する必要がないことに注目すべきである。)管路16の断面の特徴は、T型の管路チャネル26を画定するC型形状であってもよい。キャリア22は、管路チャネル26をスライド可能に嵌合し得るT型レール28を有することができる。キャリア22はまた、付属物23のT型付属レール32(もしくは対部材ともいう)とスライド可能に嵌合するため、図3に示すように、T型キャリアチャネル30を有することができる。
【0015】
図4は挿管器具24の等角図であり、図1の案内装置10とともに使用可能である。挿管器具24は、本明細書中で述べるPEGJ処置において、患者に配置する経腸的な栄養チューブとして用いることができる。挿管器具24の遠位端は、空腸に配置される。挿管器具24は、小腸の空腸および十二指腸の近位部を介して、胃へと近位に延び、胃壁および腹壁を貫通することができるので、この近位端が栄養素もしくはその他の物を投与するために利用されることができる。
【0016】
挿管器具24は、遠位ポート36と流体連通する通路38(図3参照)を画定する細長チューブ34を備えてもよい。遠位ポート36は、挿管器具24の遠位端から約5cm〜15cmの距離に配置されるが、この距離は変更可能である。レール32の追加を除いて、挿管器具24の遠位部は、例えばヴィアシス・ヘルスケア社(Viasys Healthcare, Inc.)から入手可能な140cmの外径3.18mm(10フレンチ)のドブホッフ型栄養チューブ(Dobb-Hoff type feeding tube)のような、市販の様々な栄養チューブの遠位部と同様である。レール32およびチューブ34は、別個に形成して互いに接着させてもよく、もしくは医療用のグレードのポリウレタンなどの押出成形ポリマーによって一体に形成してもよい。チューブ34の長さは、約50cm〜約100cmの範囲とすることができる。レール32は、チューブ34の実質的に全長に沿ってもしくはチューブ34の1箇所以上の部分に沿って延在することができる。レール32は図3に示すように、キャリア22と着脱可能に嵌合するよう構成することができる。レール32は状況に応じて、管路16と着脱可能に嵌合するよう構成することも可能である。案内装置10に沿って挿管器具24を移動させるために必要な力を軽減するため、K−Yゼリー(商標)(ジョンソン・アンド・ジョンソン社(Johnson and Johnson Corp))のような医療用潤滑剤をレール32とその対の構成要素であるキャリア22もしくは管路16との間の接触面に塗布してもよい。
【0017】
挿管器具24の近位端および遠位端は閉じてもよい。挿管器具24の遠位端は、上部消化管を通じた前進を容易にするために、テーパー状としてもよい。
【0018】
図4に示すように、挿管器具24の近位端は、円錐形にテーパー形状を有する結合部材40を備えるが、他の形状であってもよい。結合部材40は図10に示すように、位置決め器具と互いに結合するように構成される。フィラメント42は、挿管器具24の遠位端に取り付けられる。フィラメント42は従来の外科用縫合材料である細い金属ワイヤー、高分子コードもしくは天然繊維で形成することができ、例えば、約20cm〜80cmの長さである。
【0019】
従来の経腸栄養チューブは、通常、チューブの近位端が外部に出されて腹壁に固定されるとき、胃壁内部に接触して配置されるように近位端の近傍に取り付けられた組織止めまたはバンパーを備える。図4〜図9に示すように、挿管器具24は、改良された組織止めと、上部消化管への導入時に最小の大きさを有し、挿管器具24の近位端が腹壁に固定されるとき自動的に展開するか、または拡張する、組織受け材(tissue bolster)44とを備える。つぶれ可能(collapsible)な組織受け材44を備えることにより、内視鏡が上部消化管に配置される間、挿管器具24の挿入を可能にし、これによって胃内部の視覚化を行いながら上部消化管の傷つき易い上皮の損傷を最少に押さえ、従来のPEGJの処置で必要とされた、繰り返される内視鏡の挿入/取り出しを回避することができる。
【0020】
図4に示すように、組織受け材44の第1の形態が、挿管器具24の近位端につぶれ形状(collapsed configuration)で配置される。受け材44は、挿管器具24の近位端から例えば約10cm〜15cmの位置に配置される。図6および図7に示すように、医師が腹壁を介して挿管器具24の近位端を引くと、受け材44は胃壁内部に接触して配置され、図5に示すように自動的に拡張形状(expanded configuration)に広がる。
【0021】
組織受け材44は、挿管器具24のチューブ34をゆったりと覆って取り付けられる押出成形の短いポリウレタンチューブなどの生体適合ポリマーで形成することができる。レール32の一部は受け材44の位置でチューブ34から取り外すことができる。受け材44の第1の端部48は、接着剤などを利用してチューブ34に取り付けることが可能であり、第2の端部50はチューブ34を覆って自由にスライド可能にさせられている。受け材44は、第1の端部48と第2の端部50との間で受け材44の材料に入れられた複数の平行なスリット47によって形成される複数のアーム46を備えてもよい。第1および第2の端部48および50は図5に示すように、互いの方向に付勢されてアーム46が半径方向外側へ撓み、これによって展開時に胃壁に接触して配置される広い面を形成する。固定時は、腹壁の腔内への胃液の漏れを防ぐため、組織受け材44が胃壁の切開部を封鎖するように機能させることができる。
【0022】
図6は、挿管器具24の近位部が胃壁および腹壁の切開部を貫通するときの、つぶれ形状における組織受け材44の第1の形態を示す。図7は、拡張形状で胃壁内部に接触して配置された、図6の組織受け材44を示す。患者がそれ以上経腸栄養のためのチューブ34を必要としない場合、医師は、体壁の切開部を介して挿管器具24を外へ引き出すために、つぶれ不可能(non-collapsible)な組織受け材を利用した、現在行われている従来の経腸栄養チューブの使用と同様に、チューブ34の外在部を引くことができる。
【0023】
図8はつぶれ形状における組織受け材44の第2の形態を示し、受け材44の第2の端部50に取り付けられた受け材延長部52を備える。延長部52は、チューブ34を覆うように自由なスライドが可能に構成された、薄い壁の高分子チューブであってもよい。図9Aは、拡張形状で胃壁の内部に接触して配置される受け材44の第2の形態を示す。受け材44は、フィラメント42が引かれて受け材44が胃壁内部に接触すると、自動的に拡張形状へ展開し、腹壁内部に接触して配置される。延長部52は、つぶれ形状と拡張形状との間で受け材44を操作するために外部を保持し、これによって位置決めおよび/または患者からの挿管器具24の簡単な取り外しを容易にする。延長部52はまた、端部50に取り付けられた短いフィラメント、もしくはチューブ34の近傍の腹壁切開部を貫通する他の多くの細長い機構の任意の1つであってもよい。
【0024】
必要に応じてチューブ34の外径は、延長部52の内径より小さい約1.0mm〜3.0mmとしてもよく、これにより、図9Bのチューブ34と延長部52の詳細図に示すように、チューブ34と延長部52との間隔は通路53を画定することができる。医師は、例えば薬液などの液体の胃への投与、または、胃から胃液を排出する吸引器具と流体連通する延長部52の近位端を配置することができる。
【0025】
図9Bはまた、第1の移動止め開口部47と解放可能に嵌合可能な解除可能なロック機構43と、第2の移動止め開口部45を示す。医師は、拡張形状およびつぶれ形状のそれぞれにおいて組織受け材44を解除可能にロックするため、第1および第2の移動止め開口部47および45の間で、延長部52を縦方向に移動させる間、チューブ34を保持することができる。解除可能なロック機構43の位置は、患者の身体の外部へと延びるチューブ34の近位部に制限されず、身体内部の組織受け材44の近傍のチューブ34の部分にも提供される。ラッチ、移動止めなど同様のロック機構を図6に示す組織受け材44の第1の形態に利用することも可能なので、組織受け材44は、体壁に接触して引かれるときに拡張形状にロックされる。組織受け材44の第1の形態として説明したように、組織受け材44は、チューブ34を体壁に固定することなしに拡張形状を維持することが可能である。
【0026】
前記で指摘したように、挿管器具24は、他の付属物と結合するために、近位端に、結合部材40を備えることができる。図10は、図1に示す案内装置10とともに使用するための付属物としての位置決め器具54における等角図である。医師は、挿管器具24を案内装置10の管路16に沿って、または管路16に取り付けられたキャリア22に沿って、縦方向に遠隔的に動かすために、位置決め器具54を使用することができる。位置決め器具54によって、挿管器具24の近位端が患者の体内にあって医師が直接アクセスできないとき、医師は基本的に、挿管器具24を遠位方向に押したり近位方向に引いたりすることが可能になる。位置決め器具54の別の重要な機能は、挿管器具の遠位端の位置を変えることなく内視鏡と案内装置10とが近位方向に引かれて患者から外れるように、挿管器具24を患者に対して固定された位置に保つことである。
【0027】
位置決め器具54は、本体56の全長に実質的に沿って取り付けられたレール58(対の部品(mating part)ともいう)を有する細長い本体56を備える。レール58は、キャリアチャネル30または管路チャネル26(図3参照)をスライド可能に嵌合するように構成することが可能である。本体56およびレール58は連続的な低摩擦の、押出成形のポリエチレンもしくはPTFEなどの高分子材料で一体的に形成することができる。位置決め器具54の長さは少なくとも装置10の管路16と同じであり、例えば約100cm〜200cmの範囲とすることができる。位置決め器具54は、上部消化管の装置10に沿って前進および引き抜きを行うために十分な柔軟性があるが、挿管器具24に比較して相対的に堅い。位置決め器具54の本体56における断面の特徴は、図11に示すように円形を含む多くの幾何学的形状の任意の1つである。本体56はまた、少なくとも部分的に本体56を貫通して延びるチャネル(図示せず)を備えることができ、例えば液体の投与もしくは排除、他の器具の上部消化管へのアクセス、もしくは他の目的などに利用することが可能である。
【0028】
位置決め器具54は、挿管器具24の近位端で結合部材40(第2の結合部材ともいう)に解放可能に取り付けるため、遠位端に結合部材60(第1の結合部材ともいう)を備えてもよい。図12に示すように、位置決め器具54の遠位端は、両方がスライド可能にキャリア22と嵌合する間、挿管器具24の近位端に解放可能に取り付けられ、その後、装置10の管路16にスライド可能に取り付けられる。図13は位置決め器具54と挿管器具24とが互いに結合された縦断面図である。図12および図13から解るように、位置決め器具54の結合部材60は、挿管器具24の結合部材40における円錐突起41を受け入れるための円錐状の受け部68を備える。所定の離脱力が加えられるまで、挿管器具24と位置決め器具54の対応する端部が引き離されないように、結合部材40に形成された切欠凹部66と嵌合するようラッチ64を結合部材60に形成することが可能である。これによって、医師は、位置決め器具54を押したり引いたりすることで、挿管器具24を縦方向に位置決めすることができる。医師は、切欠66からラッチ64を解放して器具24と54とを分離するために患者の口から延びる位置決め器具54の近位端を引く間、挿管器具24を保持するため、腹壁の経皮切開部に挿入される捕捉器具または他の種類の掴み器具を使用することができる。当業者は、本明細書中で説明される結合部材40および60の実施例が、単に、挿管器具24と位置決め器具54とを解放可能に取り付け、結合部材40と60とが器具24と54とを分離するための遠隔的に操作可能な解放機構を有するような、多くの等価な実施例の一例であることを理解するであろう。
【0029】
図11および図13に示すように、位置決め器具54はまた、結合部材40および60が互いに結合するときにフィラメント42の受け部68からの出口の隙間を提供するため、本体56の遠位端にスロット62を備えてもよい。
【0030】
図14は、内視鏡20に組み付けられた案内装置10の遠位部の等角図であり、挿管器具24の結合部材40に解放可能に取り付けられた位置決め器具54の結合部材60を示す。挿管器具24、位置決め器具54および案内装置10は、一括して挿管システム70として参照してもよい。図14に示すように、挿管器具24は、内視鏡20の遠位端へ遠位方向に前進することができ、位置決め器具54と整列し結合した状態に保たれ得る。したがって、挿管システム70によって、器具24と54とを互いに解放可能に取り付けることができるので、従来のシステムよりもさらに小腸内の奥への挿管器具24の位置決めが可能となる。すなわち、結合部材40および60なしで、位置決め器具54の遠位端は、挿管器具24の近位端から分離することができ、結果的に医師は、内視鏡20および案内装置10を引き出しながら空腸内部において挿管器具24の遠位端を正確に位置決めするために、もしくは挿管器具24を患者に対して固定して保つために、遠隔的に挿管器具24を押すことまたは引くことができなくなるであろう。さらに、挿管器具24を内視鏡20の遠位端の遠位に移動可能とすることにより、以下に説明するように、フィラメント42を、捕捉すること(snaring)および外に出すこと(externalization)に有利な位置に置くことが可能である。
【0031】
経腸栄養チューブを患者に配置するための医療処置はPEGJ(percutaneous endoscopic gastrojejunostomy)として従来技術で知られる。この処置はまた、JET−PEG(経腸チューブ内視鏡的胃瘻造設術(jejunal enteral tube-percutaneous endoscopic gastrostomy))とも呼ばれることがある。図15〜図20は、別の方法として標準的なPEGJの処置(すなわち、ポンスキーのプルPEG(Ponsky "Pull" PEG))として、挿管器具24を小腸に配置するための方法を示す。
【0032】
最初に図15を参照すると、ハンドル12、シース16およびエンドキャップ18を備えた案内装置10内に配置された内視鏡20が、患者の胃の内部に内視鏡20の遠位端およびエンドキャップ18を配置するために、口を介して前進させられている。光源(内視鏡の遠位端と協働する光源など)は、腹壁を光で透過させるために胃内部から利用するので、胃内部での内視鏡の位置が患者の外部から観察できる。小さな経皮的切開部が腹壁を介して形成され、針72(例えば14ゲージ針)およびカニューレ74が切開部を通して挿入されるので、針72の遠位先端およびカニューレ74の遠位端は胃の内部に位置される。
【0033】
図16を参照すると、針72は、患者の胃内部と外部との間に延在するアクセスチャネルを提供するために、カニューレ74を残して抜かれる。ループ状のガイドワイヤー76(ワイヤーループとも呼ぶ)は、カニューレ74を介して通されることができ、内視鏡20および案内装置10は、ガイドワイヤー76により提供されるこのループを通って延びるように方向付けされることができる。内視鏡20および案内装置10は、図17に示すように、胃から小腸へ遠位方向に前進することができる。
【0034】
図17に示すように、位置決め器具54は、解放可能に挿管器具24に取り付けられ、挿管器具24がガイドワイヤー76によって作られるループの中を通るように、案内装置10の長さに沿って挿管器具24を前進させるために用いられることができる。
【0035】
挿管器具24のポート36は、内視鏡20の視覚化の下で、消化管に栄養素を送るために適切な空腸内の位置に前進させられる。1つの実施例において、挿管器具24は患者の体外でキャリア22(図2)に配置することができ、挿管器具24およびキャリア22は、案内装置10の管路16に沿って一緒に前進させられる。別の実施例において、キャリア22は、内視鏡20および案内装置10の消化管への挿入の前に管路16に嵌合され、挿管器具24および位置決め器具54は、キャリア22上で前進することが可能である。他の実施例では、挿管器具24および位置決め器具54は、内視鏡20と案内装置10との消化管への挿入前に案内装置の管路16に嵌合される。別の実施例において、挿管器具24および位置決め器具54は、内視鏡20と案内装置10とが消化管へ挿入された後に管路16に嵌合されてもよい。
【0036】
位置決め器具54は、定位置に保持されることができ、挿管器具24が図14に示されるように位置決め器具54によって案内装置10の端部から押されて外されるように、内視鏡20および案内装置10を胃から近位方向に引くことができる。医師は、挿管器具24(図示せず)の近位端の周囲でワイヤーループ76をしっかりと閉じて保持し、第1および第2の結合部材40および60を分離するため、位置決め器具54を容易に引き戻すことができる。医師はこのとき、内視鏡20の視覚化の下で、挿管器具24の近位端から延びるフィラメント42を取り囲むようにわずかにワイヤーループ76を緩めて操作する。フィラメント42は、図18に示すようにループ形状にされたガイドワイヤー76を用いて捕捉される。
【0037】
図19を参照すると、フィラメント42および挿管器具24の近位端は、小腸(例えば空腸)に位置されて栄養素が供給されるポート36を有する挿管器具24の遠位部とともに、組織受け材44が胃壁内部に接触して位置されるまで、切開部を介して引き抜かれる。これまで説明した方法の間に、組織受け材44は、消化管における挿管器具24の挿入および位置決めを容易にするため、つぶれ形状とされている。医師がフィラメント42および挿管器具24の近位端を外部へ出し、胃壁内部に接触する受け材44を引くとき、受け材44は自動的に拡張形状に変形する。
【0038】
図20は、外部に出された挿管器具24の部分を切開部の皮膚に接触して挟み、これによって組織受け材44を、腹壁内部に接触して配置される胃壁内部に接触させてしっかりと保持する従来の外科用クランプ80を示す。これとは別に、外部のシール(図示せず)は、切開部近傍の患者の皮膚に対して適合するように、挿管器具24の近位部を覆うように前進させることができる。挿管器具24の近位端は切断可能であり、フィッティング78は、患者の外部の挿管器具24の端部に取り付けることができる。内視鏡20、案内装置10および位置決め器具54は、小腸内部の所望位置に配置された挿管チューブ24の遠位端およびポート36を残したまま、患者の身体から取り除くことが可能である。
【0039】
上記説明において、ワイヤーループ76は、胃壁および腹壁を通じてカニューレ74を介し、フィラメント42を捕捉して、挿管器具24の近位端を外部に出すために使用した。ワイヤーループ76は、単に、身体内における屈曲した通路の中を通るために適切な柔軟性を有する長さのガイドワイヤーであればよく、捕捉器具として用いるために最適である必要はない。これは、医師が、体腔内に配置されるときに開かれるワイヤーでループを作成することが必要なことがあり、挿管器具24のような器具の容易な挿入操作が可能だからである。経皮的なカニューレを通じて導入される従来のガイドワイヤーループは、つぶれる傾向があって体腔内部での方向付けは困難である。医師は、体腔内部にあるときに予想される直径を有する、比較的堅いループを形成する経皮的カニューレを通じて捕捉器具を導入し、ループを介して通すための器具に最適な対象を提供するために、カニューレの軸の周囲を回転することが好ましい。
【0040】
図21〜図23は、患者の体腔内部で器具または目標物を捕捉するため、図15〜図19に示すカニューレ76のような経皮的カニューレとともに用いる場合の、改善された捕捉器具82を示す。捕捉器具82は、従来の外科用ガイドワイヤーに比較して相対的に堅いバネ材料で形成された細長い屈曲可能部材84を備えてもよい。適切なバネ材料は、ステンレス鋼ワイヤー、生体適合可能な硬化鋼ワイヤー、耐食性の表面、ニッケルチタン形状記憶金属ワイヤーおよび高分子コードなどがある。屈曲可能部材84は、第1の屈曲可能部材端部85および第2の屈曲可能部材端部83を有する。
【0041】
捕捉器具82は、例えば細いワイヤー、糸、天然繊維、外科用縫合糸もしくは多くの生体適合材料のいずれか一つから形成されたフィラメントで形成される制御部材86をさらに備える。制御部材86は、柔軟であってもよいし、あるいは堅くてもよく、また、屈曲可能部材84と制御部材86とが直線状に互いに並行して位置するときに、これらの双方がカニューレ76の中を容易に通過するように、制御部材86は、屈曲可能部材84に比較して相対的に細くてもよい。制御部材86は、第1の制御部材端部95および第2の制御部材端部93を有する。
【0042】
第1の制御部材端部95は、例えば接着、緊縛、はんだもしくはクランプによって形成されるアタッチメント90により、第1の屈曲可能部材端部85と柔軟に接続することが可能である。アタッチメント90はまた、旋回運動、ピン止めもしくは蝶番の接続であってもよい。引き抜く力が第2の制御部材端部93にかかると、押し出す力が同時に第2の屈曲可能部材端部83にかかり、第1の屈曲可能部材端部85に生じる偶力はない。
【0043】
屈曲可能部材84および制御部材86の両方は、実質的に変化するが、好ましい長さは約20cm〜50cmの範囲とすることができる。捕捉器具82は、必要に応じて、第2の屈曲可能部材端部83の操作、保持および/または力を加えるために、第2の屈曲可能部材端部83に取り付けられたグリップ88を備えることができる。
【0044】
屈曲可能部材84は通常直線形状もしくは通常湾曲形状とすることができる。図21に示すように、捕捉器具82の遠位部98(カニューレ76の遠位端から部分的に延びる)は、直線形状で体腔内に導入可能である。遠位部98の長さは、ループ99の全周と等しく規定される。図22に示すように、押出力を第2の屈曲可能部材端部83にかけ、引出力も同時に第2の制御部材端部93にかけると、屈曲可能部材84の遠位部98は、ほぼ円形のループ99を形成する。ループ99の直径は、カニューレ76の遠位端77から延びる遠位部98の長さによって決定される。もしグリップ88が図22に示すようにカニューレ76の近位端に対して押され、屈曲可能部材84およびカニューレ76のおおよその長さがわかると、遠位部98のおおよその長さおよびループ99のおおよその直径が計算できる。
【0045】
したがって、ループ99を形成する前に遠位部98の全長を体腔内に挿入すると、もしくはループ99を形成する前に遠位部98のほんの少しだけ体腔内に挿入すれば、屈曲可能部材84の柔軟性によってループ99を形成することができる。後者において、アタッチメント90はカニューレ76の遠位端77よりわずかに遠位となる。ユーザーが第2の屈曲可能部材端部83を押せば、遠位部98はさらにカニューレ76から体腔内に出され、ループ99を形成する。ループ99の直径は、全ての遠位部98がカニューレ76を押し出されるまで伸びる。
【0046】
遠位部98が図22に示すようにループ99を形成すると、屈曲可能部材84は矢印94で示されるようにカニューレ76の軸92の回りを回転させることができる。必要に応じて、グリップ88を合わせ、もしくはカニューレ76の近位端に対ししっかりと保持することができるので、カニューレ76および屈曲可能部材84は、共に軸92の周囲を回転可能である。このように、フィラメント42のような、ループ99を通り抜ける器具もしくは対象物に適切な対象となるよう、ループ99を配置することができる(図16で説明したように、内視鏡の遠位端は、PEGJの処置中にループを通すことができる。)その対象を取り巻けば、第2の屈曲可能部材端部83に対する押出力、および、第2の制御部材端部93に対する引出力を、図23に示すように遠位部98が直線形状に復帰するように取り除くことができる。捕捉器具82は、カニューレ76から外され、これによって捕捉された対象物(フィラメント42)の少なくとも一部を外部に出すことができる。
【0047】
図24は、内視鏡20、案内装置10および、案内装置10とともに利用するための、全体を100で示す挿管器具の別の実施例の遠位部の等角図である。挿管器具100はまた、結腸の減圧チューブとして、患者の結腸からガスや液体を主に排出するために用いることもできる。挿管器具100は、内部を通るチャネル108を画定する細長チューブ106を備えてもよい。また、挿管器具100は、チューブ106の一部もしくは実質的に全長に沿って取り付けるかまたは一体成形される、柔軟なレール102(対の部品ともいう)も備えることができる。チューブ106およびレール102は、ポリウレタンのような押し出し成形されたポリマーで形成することができ、図3に示す挿管器具24と同様の断面形状を有するが、多くの他の形状であってもよい。挿管器具24のように、挿管器具100は、キャリア22もしくは案内装置10の管路16とスライド可能に嵌合されるように構成される。
【0048】
挿管器具100は、チューブ106の少なくとも遠位部に、チャネル108と流体連通するための、離間した複数の開口部104を備えてもよい。開口部104の大きさと形状は有意に様々でよいが、通常結腸からのガスの排出に十分な大きさである。挿管器具100の遠位端は、図24に示すように、結腸への外傷を伴わない挿入を容易にするため、テーパー状とすることができる。挿管器具100(図示せず)の近位端は、単純に切離端もしくは液体回収システム(図示せず)と接続するように構成されてもよい。挿管器具100の長さは、少なくとも患者の肛門から結腸の盲腸へ達する長さであり、解放もしくは排出された液体の適切な管理のため、患者から外部に延びる追加的な長さを加えた長さとされる。例えば、挿管器具の長さは、約100cm〜200cmの範囲とすることができる。
【0049】
図25〜図27は、結腸から液体を解放および/または排出するために、内視鏡とともに案内装置10を用いて患者の結腸内に挿管器具100を配置するための方法を示す。内視鏡20は、図1の案内装置10を備えてもよく、結腸内に肛門を介して挿入することが可能である。図25に示すように、内視鏡20および案内装置10は、内視鏡20の遠位端が、結腸内、例えば結腸の盲腸内、の所望の領域に達するまで挿入可能である。
【0050】
挿管器具100は、挿管器具100の遠位端が結腸内の所望の位置となるまで、図26に示すように、案内装置10に沿って前進させることができる。必要に応じて、挿管器具100は、内視鏡20を結腸内に挿入する前に、案内装置10とスライド可能に嵌合させる。挿管器具100の遠位端は、挿入前、内視鏡20の遠位端の近傍、もしくは内視鏡20の遠位端近くのいかなる位置にあってもよい。
【0051】
内視鏡20および案内装置10は、挿管器具100の近位端が患者に対して固定して保持されたまま、結腸から引き抜かれることができ、これによって図27に示すように、結腸内の所望の位置で挿管器具100の遠位端を保持することができる。挿管器具100の近位端は、ガスの自然な解放のために配置されるか、もしくは液体回収システムに接続されてもよい。
【0052】
特定の態様、形態および実施例に関して挿管システムおよび方法を示し、説明したが、多くの変更が当業者によって思い付くであろうことを理解すべきである。
【0053】
〔実施の態様〕
(1)医療用挿管システムにおいて、
細長管路と、
前記細長管路とスライド可能に嵌合された挿管器具であって、前記挿管器具の近位端に配置された第1の結合部材を有する、挿管器具と、
前記細長管路とスライド可能に嵌合された位置決め器具であって、前記位置決め器具の遠位端に配置された第2の結合部材を有する、位置決め器具と、
を備え、
前記第1の結合部材は、前記第2の結合部材に嵌合されて、前記挿管器具を前記位置決め器具に解放可能に接続する、
医療用挿管システム。
(2)実施態様1に記載の医療用挿管システムにおいて、
前記細長管路は、内部に内視鏡を受け入れるように構成された案内装置に配置される、医療用挿管システム。
(3)実施態様1に記載の医療用挿管システムにおいて、
前記第1および第2の結合部材は、解放可能に取り付けられ、患者の体内で分離されるように構成される、医療用挿管システム。
(4)実施態様1に記載の医療用挿管システムにおいて、
前記第1の結合部材は、離脱力を加えることによって前記第2の結合部材から取り外すことができ、これによって前記挿管器具を前記位置決め器具から分離することができる、医療用挿管システム。
(5)実施態様1に記載の医療用挿管システムにおいて、
前記第1の結合部材は、円錐形状の突起を有し、
前記第2の結合部材は、前記円錐形状の突起を受け入れるように構成された、円錐形状の受け部を有する、
医療用挿管システム。
(6)実施態様1に記載の医療用挿管システムにおいて、
前記第1の結合部材は、切欠凹部を有し、
前記第2の結合部材は、前記切欠凹部と嵌合するように構成されたラッチを有する、
医療用挿管システム。
(7)実施態様1に記載の医療用挿管システムにおいて、
前記挿管器具および前記第1の結合部材が、一体的に形成された、医療用挿管システム。
(8)実施態様1に記載の医療用挿管システムにおいて、
前記位置決め器具および前記第2の結合部材が、一体的に形成された、医療用挿管システム。
(9)実施態様1に記載の医療用挿管システムにおいて、
前記挿管器具および前記位置決め器具の少なくとも1つが、高分子材料で形成された、医療用挿管システム。
(10)実施態様1に記載の医療用挿管システムにおいて、
前記挿管器具は、前記挿管器具の内部に延在するチャネルを有する、医療用挿管システム。
【0054】
(11)実施態様1に記載の医療用挿管システムにおいて、
前記挿管器具は、前記挿管器具の前記近位端に接続された垂下フィラメント(trailing filament)を有する、医療用挿管システム。
(12)実施態様11に記載の医療用挿管システムにおいて、
前記垂下フィラメントは、外科用縫合材料、高分子コード、金属ワイヤー、糸および天然繊維の少なくとも1つを含む、医療用挿管システム。
(13)実施態様1に記載の医療用挿管システムにおいて、
前記位置決め器具は、前記位置決め器具の内部に延在するチャネルを有する、医療用挿管システム。
(14)実施態様1に記載の医療用挿管システムにおいて、
前記挿管器具は、前記管路と嵌合するように構成された概ねT型のレールを有する、医療用挿管システム。
(15)実施態様14に記載の医療用挿管システムにおいて、
前記管路は、前記概ねT型のレールを受け入れるように構成された、概ねC型のチャネル、を有する、医療用挿管システム。
(16)実施態様1に記載の医療用挿管システムにおいて、
前記挿管器具と前記管路との間に配置された、キャリア、
をさらに備えた、医療用挿管システム。
(17)挿管器具を患者の体腔内に配置する方法であって、前記挿管器具は、レール、および第1の結合部材、を有する、方法において、
案内装置を準備する工程であって、前記案内装置は、当該案内装置の表面に配置された細長管路を有する、工程と、
レール、および第2の結合部材を有する、位置決め器具を準備する工程と、
前記挿管器具の前記レールと前記細長管路とを接続することで、前記挿管器具を前記案内装置にスライド可能に接続する、工程と、
前記位置決め器具の前記レールと前記細長管路とを接続することで、前記位置決め器具を前記案内装置にスライド可能に接続する、工程と、
前記第1の結合部材と前記第2の結合部材とを嵌合させて、前記位置決め器具を前記挿管器具に解放可能に接続する、工程と、
前記患者の体腔内に前記案内装置を挿入する工程と、
前記位置決め器具に力をかけて、前記挿管器具を前記案内装置に沿って移動させる、工程と、
を備える、方法。
(18)実施態様17に記載の方法において、
前記体腔から前記案内装置を取り出す間、前記位置決め器具を前記体腔に対して固定して保持する工程、
をさらに備えた、方法。
(19)実施態様17に記載の方法において、
前記第1および第2の結合部材が前記体腔内部に配置されている間に、前記第1の結合部材を前記第2の結合部材から分離する工程、
をさらに備えた、方法。
(20)実施態様19に記載の方法において、
前記分離する工程の後、前記位置決め器具を前記体腔から引き出す工程、
をさらに備えた、方法。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】内視鏡を使用するための案内装置の等角図である。
【図2】内視鏡に取り付けられた図1の案内装置と、この案内装置とスライド可能に嵌合する付属物の遠位部の等角図である。
【図3】キャリアとスライド可能に嵌合する付属物、および案内装置の管路とスライド可能に嵌合するキャリアの図2における断面線3−3に沿った断面図であり、内視鏡は明確化のために除外されている。
【図4】図1に示す案内装置とともに使用するための挿管器具の等角図であり、挿管器具は、つぶれ形状で示される組織受け材の第1の形態を備える。
【図5】拡張形状で示される図4の組織受け材の等角図である。
【図6】つぶれ形状の組織受け材を示す、体壁を介して配置される図4の挿管器具における近位部の側面図である。
【図7】体壁に接触して配置され、拡張形状に変化した組織受け材を示す図6の挿管器具における近位部の側面図である。
【図8】体壁を介して配置されている挿管器具における近位部の側面図であり、挿管器具は、つぶれ形状で示される組織受け材の第2の形態を備える。
【図9A】体壁に接触して配置され、拡張形状に変化した組織受け材を示す図8の挿管器具における近位部の側面図である。
【図9B】つぶれ形状で組織受け材を保持するための移動止め開口部と嵌合する解放可能なロック機構を示す図9Aの挿管器具における近位部の詳細な側面図である。
【図10】図1の案内装置とともに使用するための位置決め器具の等角図である。
【図11】位置決め器具の図10における断面線11−11に沿った断面図である。
【図12】図4に示す挿管器具の遠位端に脱着可能に取り付けられた図10の位置決め器具の近位端の部分側面図であり、位置決め器具および挿管器具は、キャリアにスライド可能に嵌合され、案内装置の管路に同様にスライド可能に嵌合される。
【図13】挿管器具の遠位端に解放可能に取り付けられた位置決め器具の近位端の縦断面図である。
【図14】内視鏡の遠位部に前進した挿管器具と、案内装置の管路でスライド可能に嵌合された位置決め器具を示した、挿管器具に解放可能に取り付けられた位置決め器具の部分等角図である。
【図15】図1の案内装置とともに組み立てられ、患者の上部消化管内に挿入された内視鏡の説明図であり、胃壁および腹壁の透光部を介して貫通させた針およびカニューレを示す図である。
【図16】図1の案内装置とともに組み立てられ、患者の上部消化管内に挿入された内視鏡の説明図であり、胃壁および腹壁を介して配置されたカニューレを通じて胃に導入されたワイヤーループを通り抜ける内視鏡の遠位端を示す図である。
【図17】図1の案内装置とともに組み立てられ、患者の上部消化管内に挿入された内視鏡の説明図であり、案内装置に沿って図10の位置決め器具により前進させられた図4の挿管器具を示し、挿管器具の遠位端は内視鏡の視覚範囲内で空腸内部に配置される図である。
【図18】図1の案内装置とともに組み立てられ、患者の上部消化管内に挿入された内視鏡の説明図であり、内視鏡の視覚範囲内で、位置決め器具によって案内装置が胃の内部に押し込まれた挿管器具の近位端に取り付けられた垂下フィラメントを捕らえるワイヤーループを示す図である。
【図19】図1の案内装置とともに組み立てられ、患者の上部消化管内に挿入された内視鏡の説明図であり、胃壁および腹壁を介して外部に出された、垂下フィラメントと挿管器具の近位端とを示す図である。
【図20】図1の案内装置とともに組み立てられ、患者の上部消化管内に挿入された内視鏡の説明図であり、胃壁内部に接触して配置され、拡張形状に変えられ、挿管器具の外部に出された部分に取り付けられた外科用クランプによって所定の位置に固定された組織受け材を示し、挿管器具の近位端に取り付けられたY型フィッティングと患者から取り外された内視鏡とを示す図である。
【図21】患者の腹壁および胃壁を介して配置された経皮カニューレとともに捕捉器具を使用する工程を示し、柔軟部材が直線形状の間、胃に延在する捕捉器具の柔軟部材の遠位部を示す図である。
【図22】患者の腹壁および胃壁を介して配置された経皮カニューレとともに捕捉器具を使用する工程を示し、柔軟部材が保持されるときに、テンション機構にかけられているテンションと、ループ形状を形成し、挿管器具の垂下フィラメントを巻いた捕捉器具の柔軟部材における遠位部とを示す図である。
【図23】患者の腹壁および胃壁を介して配置された経皮カニューレとともに捕捉器具を使用する工程を示し、テンション機構から解放されたテンションと、柔軟部材およびテンション機構の間で捕捉されたフィラメントとともに、直線形状における柔軟部材とを示す図である。
【図24】挿管器具の他の例における、図2の案内装置にスライド可能に嵌合した、遠位部の等角図を示す。
【図25】内視鏡に組み込まれ、患者の結腸内に肛門を介して挿入された図2の案内装置を示す図である。
【図26】案内装置に沿って患者の結腸に前進させられた、図24の挿管器具を示す図である。
【図27】患者の結腸内に配置された図24の挿管器具と、患者から取り外された内視鏡とを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用挿管システムにおいて、
細長管路と、
前記細長管路とスライド可能に嵌合された挿管器具であって、前記挿管器具の近位端に配置された第1の結合部材を有する、挿管器具と、
前記細長管路とスライド可能に嵌合された位置決め器具であって、前記位置決め器具の遠位端に配置された第2の結合部材を有する、位置決め器具と、
を備え、
前記第1の結合部材は、前記第2の結合部材に嵌合されて、前記挿管器具を前記位置決め器具に解放可能に接続する、
医療用挿管システム。
【請求項2】
請求項1に記載の医療用挿管システムにおいて、
前記細長管路は、内部に内視鏡を受け入れるように構成された案内装置に配置される、医療用挿管システム。
【請求項3】
請求項1に記載の医療用挿管システムにおいて、
前記第1および第2の結合部材は、解放可能に取り付けられ、患者の体内で分離されるように構成される、医療用挿管システム。
【請求項4】
請求項1に記載の医療用挿管システムにおいて、
前記第1の結合部材は、離脱力を加えることによって前記第2の結合部材から取り外すことができ、これによって前記挿管器具を前記位置決め器具から分離することができる、医療用挿管システム。
【請求項5】
請求項1に記載の医療用挿管システムにおいて、
前記第1の結合部材は、円錐形状の突起を有し、
前記第2の結合部材は、前記円錐形状の突起を受け入れるように構成された円錐形状の受け部を有する、
医療用挿管システム。
【請求項6】
請求項1に記載の医療用挿管システムにおいて、
前記第1の結合部材は、切欠凹部を有し、
前記第2の結合部材は、前記切欠凹部と嵌合するように構成されたラッチを有する、
医療用挿管システム。
【請求項7】
請求項1に記載の医療用挿管システムにおいて、
前記挿管器具および前記第1の結合部材が、一体的に形成された、医療用挿管システム。
【請求項8】
請求項1に記載の医療用挿管システムにおいて、
前記位置決め器具および前記第2の結合部材が、一体的に形成された、医療用挿管システム。
【請求項9】
請求項1に記載の医療用挿管システムにおいて、
前記挿管器具および前記位置決め器具の少なくとも1つが、高分子材料で形成された、医療用挿管システム。
【請求項10】
請求項1に記載の医療用挿管システムにおいて、
前記挿管器具は、前記挿管器具の内部に延在するチャネルを有する、医療用挿管システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2007−289667(P2007−289667A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−72941(P2007−72941)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(595057890)エシコン・エンド−サージェリィ・インコーポレイテッド (743)
【氏名又は名称原語表記】Ethicon Endo−Surgery,Inc.
【Fターム(参考)】