説明

内部アクチュエータを有する軸流制御弁

本明細書において、軸流制御弁について記載する。本明細書に記載される軸流制御弁例は、入口と出口との間に通路を画定する弁本体を含み、この通路は、弁本体の入口および出口における流体流路に対して実質的に平行である。制御弁例は、弁本体に着脱可能に結合され、かつ弁本体の入口と出口との間の通路内に配置されるカートリッジアセンブリを含む。このカートリッジアセンブリは、通路の実質的に軸方向に整合され、入口と出口との間の流体の流動を阻止する第1の位置と、入口と出口との間の流体の流動を可能にする第2の位置との間で軸流制御弁を作動させるためのモータを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して軸流弁に関し、より具体的には、インライン型の内部アクチュエータを有する軸流制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
プロセス流体の流動を制御するために、制御弁(例えば、スライドステム弁、回転弁、軸流弁等)が、プロセス制御システムで通常使用される。制御弁は、典型的に、制御弁の動作を自動化するアクチュエータ(例えば、空気圧式アクチュエータ、油圧式アクチュエータ等)を含む。典型的なアクチュエータは、制御弁の、弁本体の外面(例えば、弁帽)に結合される。サイズのより大きいスライドステム弁または回転弁は、弁の流量制御部材を作動するためにロングストロークアクチュエータをしばしば必要とするため、いくつかの応用は、特に、より大きな直径のスライドステム弁または回転弁を有するプロセス制御システムでは、その性能に制限を有する場合がある。そのようなロングストロークアクチュエータは、制御弁アセンブリの重さおよび外囲の寸法を増加させる。したがって、いくつかの応用では、大きなサイズのスライドステム弁または回転弁は、実用的ではない場合がある。
【0003】
軸流制御弁またはインライン流量制御弁は、スライドステム弁および回転弁の代替である。軸流弁は、弁本体を通る乱流を最小限にするために、流体流路に対して実質的に平行である流路または通路を有する。軸流制御弁は、典型的に、弁本体の外面に設置されるアクチュエータを含み、アクチュエータは流体流路に対して実質的に垂直に方向づけられる。このアクチュエータは、弁の流量制御部材に動作可能に結合され、開位置と閉位置との間で流量制御部材を移動させて、弁を通る流体の流動を可能に、または阻止する。いくつかの知られている軸流制御弁は、弁本体を通る流体の流動を制御するために、弁座環に関して弁本体内で流量制御部材を作動させる、外部に設置されたラックオンラック(すなわち、ラックアンドピニオンと対照的な)アクチュエータを含む。米国テキサス州ヒューストンのMokveld Valves BVは、そのような知られている軸流制御弁を提供する。
【0004】
しかしながら、外部に設置されたアクチュエータは、弁本体を通る、望ましくない漏れを起こしやすい場合がある。より具体的には、そのような外部に設置されるアクチュエータの構成は、弁本体の外側に延在してアクチュエータに結合する弁軸またはシャフトに対してパッキンを使用して密封することを必要とする。そのようなパッキンは、(例えば、摩耗によって)破損して弁本体の外側および弁を取り囲んでいる環境内に流体が漏れ、弁にさらなる費用が追加され、かつ/またはさらなる整備の必要性および費用が追加されるという結果をもたらす可能性がある。そのような配置では、アクチュエータが流体の流路に対して実質的に垂直であるため、アクチュエータを外部に設置する構成は、追加の空間を必要とする場合があるが、現実面では、多くの場合空間は非常に限られている。
【0005】
さらに、外部に設置されたアクチュエータを有する軸流制御弁、特に、サイズのより大きい軸流制御弁は、弁本体とアクチュエータとの間の、望ましくない漏れを防ぐために、より精密な整合を必要とする。そのような精密な整合と、正確かつ高い精度は、典型的に、より精密な製造および機械加工を要する。したがって、そのような知られている制御弁は複雑であり、従ってそれらは追加の機械加工を要し、さらには追加の整備を要する場合もあるため、製造に、より費用がかかる。
【発明の概要】
【0006】
1つの例では、軸流制御弁は、入口と出口との間に通路を画定する弁本体を含み、この通路は、弁本体の入口および出口における流体流路に対して実質的に平行である。制御弁例は、弁本体に着脱可能に接続され、かつ弁本体の入口と出口との間の通路内に配置されるカートリッジアセンブリを含む。カートリッジアセンブリは、実質的に通路の軸方向に整合され、入口と出口との間の流体の流動を阻止する第1の位置と、入口と出口との間の流体の流動を可能にする第2の位置との間で軸流制御弁を作動させるための、インライン型の内部アクチュエータを含む。
【0007】
別の例では、本明細書に記載される制御弁は、入口と出口との間に通路を有する弁本体を含む。流量制御部材は、筐体に摺動可能に結合される。流量制御部材および筐体は、弁本体の通路内に配置される。インライン型の内部アクチュエータは、筐体に結合され、かつ弁本体の内側に設置される。インライン型の内部アクチュエータおよび流量制御部材は、入口と出口との間の流路の実質的に軸方向に整合される。インライン型の内部アクチュエータは、流量制御部材を弁座に向かって駆動して、弁本体を通る流体の流動を阻止し、弁座から離すように駆動して、弁本体を通る流体の流動を可能にする。
【0008】
さらに別の例では、軸流弁に使用するための弁トリム装置は、ケージを含み、ケージは、第1の端部で弁座に結合され、第2の端部で弁帽に結合され、それにより、弁帽およびケージは空洞を形成する。流量制御部材は、空洞内に摺動可能に配置され、弁座に係合するための第1の位置および弁座から離間する第2の位置へ駆動される。モータは、流量制御部材を、第1の位置と第2の位置との間で駆動する。弁軸は、第1の端部でモータに動作可能に結合され、第2の端部で流量制御部材に結合される。弁トリムアセンブリは、弁本体を通る流体流路に対して実質的に平行に、弁本体の内側に設置される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本明細書に記載される軸流制御弁例の、分解断面図である。
【図2】図1の軸流制御弁例に使用する駆動部材例を示す図である。
【図3】第1の制御位置における、図1の軸流制御弁例の、組立断面図である。
【図4】第2の制御位置における、図1および図3の軸流制御弁例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に記載される軸流制御弁例は、有利にも、製造コストおよび整備を低減し、軸方向に整合された通路を提供して流体の乱流を低減して、流量の能力を向上し、アクチュエータおよび弁本体の不整合による、望ましくない漏れに対する感受性を実質的に排除し、弁本体およびアクチュエータアセンブリの全体的な寸法または外囲を低減する。概して、本明細書に記載される制御弁例は、インライン型の内部アクチュエータ(例えば、歯車装置または動力伝達装置を有する内部モータアセンブリ)と、弁本体の流体流動通路の実質的に軸方向に(すなわち、流体流動通路に対して実質的に平行に)整合された、弁本体に着脱可能に結合される流量制御部材とを含む。
【0011】
具体的には、本明細書に記載される軸流制御弁例は、流量制御部材、ケージ、弁帽、弁座、内部モータアセンブリ、および弁軸を含む、カートリッジアセンブリ(例えば、弁トリム構成部品)を有する。カートリッジアセンブリは、弁本体内に着脱可能に結合され、弁を通る流体流動通路の実質的に軸方向に整合される。本明細書に記載される着脱可能なカートリッジアセンブリ例は、有利にも、弁トリム構成部品と弁本体との間の不整合を排除または実質的に低減する。これは、カートリッジアセンブリは、弁本体内に配置、または弁本体の内側に設置され、弁本体を通る流体流路の軸方向に整合されるからである。さらに、フランジ付きカートリッジの概念は、弁トリムを支持するために典型的に必要とされる、内部構造または弁本体内にウェブを付ける必要性を排除する。
【0012】
より具体的には、本明細書に記載される軸流制御弁例において、内部モータアセンブリは、弁本体の内側に設置され、弁を通る流体流路の軸方向に、実質的に、すなわち流体流路に対して平行に、整合される。また、着脱可能なカートリッジアセンブリ例は、弁トリム構成部品の整備を単純に、または容易にする。さらに、本明細書に記載される軸流制御弁例は、パッキンの破損により起こる、望ましくない漏れに起因する環境汚染を低減する。これは、内部モータアセンブリは、弁本体内に配置される、または弁本体の内側に設置されることにより、破損して弁軸を通って流体が漏れる可能性のあるパッキンを介して弁軸を弁本体に貫通させる必要が排除されるからである。さらに、カートリッジアセンブリ例は、弁本体の内側または弁本体内に配置され、かつ弁本体を通る流動通路または流路の軸方向に整合されるため、製造および機械加工の必要条件が大幅に簡素化され、それにより、製造にかかる費用が減少する。本明細書に記載される弁の例の、内部に設置され、軸方向に整合されるモータはまた、より小型の弁を提供し、より小型の弁が必要とするのは、低減された設置面積および低減された寸法の外囲であり、したがって、必要とする空間は、実質的により小さい空間となる。加えて、本明細書に記載される弁の例の、軸方向に整合される通路は、弁を通る流量の制限を低減する。
【0013】
図1は、本明細書に記載される、軸流制御弁100例の分解図である。軸流制御弁100は、カートリッジアセンブリ104を受容するための、弁本体102を含む。弁本体102は、通路106を画定し、弁本体102が流体プロセスシステム(例えば、分配配管システム)に取り付けられたとき、通路106は、入口108と出口110との間の流体流路に対して、実質的に平行である。弁本体102は、弁本体102を上流パイプライン302に結合するための、第1のフランジ112を入口108において含み(図3および図4)、弁本体102を下流パイプライン304に結合するための、第2のフランジ114を出口110において含む(図3および図4)。
【0014】
弁本体102は、出口110に隣接する凹部116を含み、カートリッジアセンブリ104を弁本体102に着脱可能に結合するための、締結具120(例えば、ボルト)を受容する、開口部118を有する。別の例において、カートリッジアセンブリ104は、任意の、他の適切な締結機構(複数可)で弁本体102に着脱可能に結合されてもよい。いくつかの例では、第2のフランジ114と下流パイプライン304との間に、短い長さを有する管(図示せず)が配置されてもよい。このようにして、整備中に、カートリッジアセンブリ104へのアクセスを容易にするために、より短い長さの管を取り外してもよい。
【0015】
カートリッジアセンブリ104は、その縦軸121が、通路106および通路106を流れる流体の縦軸123の実質的に軸方向に整合されるように、すなわち縦軸123に対して実質的に平行になるように、弁本体102の通路106内に配置、または通路106の内側に設置される。図に示される例では、カートリッジアセンブリ104は、インライン型の一体型アクチュエータ200を備え、流量制御部材122は、筐体124に摺動可能に結合される。例に示されるように、筐体124は、ケージ130の第1の端部128に結合される弁座126と、ケージ130の第2の端部134に結合される弁帽132とを含む。いくつかの例において、弁座126は、実質的に単一の部品または構造として、ケージ130と一体的に形成されてもよい。
【0016】
弁座126は、出口110に隣接して配置され、カートリッジアセンブリ104が弁本体102に結合されるときに、弁本体102の凹部116に係合するフランジ部136を含む。しっかりとした密封を提供して、第2のフランジ114を通した望ましくない漏れを防ぐために、弁本体102の第2のフランジ114と、下流配管304との間にフランジ密封138(例えば、フランジガスケット)を配置してもよい。さらに、弁座126のフランジ部136と、弁本体102の表面142との間に密封部材140(例えば、フランジガスケット)を配置してもよい。
【0017】
ケージ130は、流量制御部材122を摺動可能に受容し、例えば、騒音の低減、弁本体102を通る流体の流動によって発生するキャビテーションの低減等の、ある特定の諸流体流量特性を提供する開口部144を含む。ケージ130は、特定の制御の用途の要求を満たす、任意の適切な、望ましい諸流量特性を提供するために、任意の適切な構成、設計、および/または形状を使用して実装されてもよい。
【0018】
一体型アクチュエータ200は、モータ172および筐体124に結合される動力伝達装置171を含み、ここで、筐体124は、流量制御部材122の少なくとも一部を褶動可能に受容するための空洞148を有する円筒形の本体146を有する弁帽132を含む。円筒形の本体146の端部150は、弁帽132をケージ130に結合するための、ケージ130の第2の端部134に係合するねじ部152を含む。段差部152は、ケージ130の端部156に係合する肩部154を形成し、かつケージ130および弁帽132の係合および整合を容易にするための、ケージ130の第2の端部134の表面160に対して相補的である、ねじ面158を有する。別の例では、弁帽132は、締結具および/または任意の、他の適切な締結機構(複数可)で、ケージ130に結合されてもよい。しっかりとした密封を提供して、弁帽132と弁体122との間の、望ましくない漏れを防ぐために、例えば、C形シールのような、密封部材162を表面500と表面501との間に配置してもよい。弁帽132は、弁軸168を褶動可能に受容するための開口部166を有する突出部材164を、さらに含む。さらに、弁帽132は、弁軸168に沿った、または弁軸168を経由した、望ましくない漏れを防ぐために、パッキンシステム170を含んでもよい。
【0019】
流量制御部材122は、ケージ130内に、密接して納められるように寸法設定され、それにより、流量制御部材122は、ケージ130内および弁帽132内で褶動可能になる。流量制御部材122は、例えば、平衡の弁体、非平衡の弁体等のような、任意の、適切な流量制御部材であってよい。作動中、流量制御部材122は、弁本体102を通る流体の流動を制限または阻止するために、弁座126に向かう第1の方向へ駆動され、弁本体102を通る流体の流動を可能に、または増加させるために、弁座126から離れる第2の方向へ駆動される。
【0020】
流量制御部材122を、第1の方向と第2の方向との間で駆動させるために、一体型アクチュエータ200は、弁軸168を介して流量制御部材122に動作可能に結合される。弁軸168は、第1の端部174で、(例えば、締結具を介して)流量制御部材122に結合され、第2の端部176で、モータ172に動作可能に結合される。この例では、弁軸168の第2の端部176の少なくとも一部は、動力伝達装置171に螺合するねじを含み、それにより、第1の方向と第2の方向との間で流量制御部材122を駆動する。
【0021】
モータ172は、筐体178を含み、筐体178は、例えば、締結具182または任意の、他の適切な締結機構(複数可)を介して弁帽132の表面180に結合される。密封部材184(例えば、ガスケット)を、弁帽132の表面180と筐体178との間に配置してもよい。筐体178は、カートリッジアセンブリ104が弁本体102内に結合、または弁本体102の内側に設置されるときに、弁本体102の内側に形成される肩部188に係合するための、肩部186を含んでもよい。弁本体102の肩部188は、例えば、給気ホース、油圧ホース、電線管等のうちの1つまたは複数のような、モータ172に動力を供給するための手段を受容するポート190を含んでもよい。別の例では、上流の流圧は、モータ172に動力を供給するための手段を提供するために、モータ172に流体的に結合されてもよい。例えば、上流の流体圧は、流体圧が所定の圧力に達したときに、モータ172を作動または駆動し、その後、モータ172の作動後、下流の流体へ排出してもよい。
【0022】
図3に、より明らかに示されるように、弁本体102の肩部188は、カートリッジアセンブリ104が通路106内に配置、または通路106の内側に設置されるとき、カートリッジアセンブリ104を支持する。図2に戻り、保護部材192は、入口108を通って流れてくる流体からモータ172および弁軸168の第2の端部176を保護するために、モータ172の入口108側に結合されてもよい。保護部材192は、先細面194を有する円錐として示されており、先細面194は、入口108からの流体を、モータ172から離れ、かつ出口110に向かうように、導く、または転向させる。
【0023】
図に示される例では、モータ172は、空気圧モータとして示されている。空気圧モータは、例えば、天然ガスのような揮発性のプロセス流体に使用する場合、有利となる場合がある。とはいえ、別の例では、モータ172は、例えば、交流(AC)モータ、直流(DC)モータ、可変周波数モータ、ステッパモータ、サーボモータ、油圧モータ、アクチュエータ(例えば、油圧式、空気圧式等)等の、任意のモータ、または任意の他の適切なモータまたは駆動部であってもよい。
【0024】
モータ172は、モータ172を第1の方向に回転させるための、加圧された流体(例えば、空気、油圧油等)を第1のポート196(例えば、ホース)を介して受容する第1の入口と、モータ172を第1の方向と反対の第2の方向に回転させるための、加圧された流体を第2のポート198(例えば、ホース)を介して受容する第2の入口とを含む。モータ172の回転は、第1のポート196または第2のポート198を介して受容される、加圧された流体に応じて、それぞれ第1の方向または第2の方向に、動力伝達装置171を介して弁軸168を直線的に移動させる。動力伝達装置171は、モータ172と弁軸168の第2の端部176とに動作可能に結合される。図示はされていないが、モータ172は、弁軸168がモータ172を通って動力伝達装置171まで届くようにするための、開口部を有する。動力伝達装置171は、モータ172の回転の動きを、弁軸168の直線的な変位に転換するための、例えば、アクメねじシステム、歯車装置システム、ボールねじシステム、親ねじシステム、および/または任意の、他の適切な動力伝達システムであってもよい。さらなる別の例において、モータ172は、弁軸168の第2の端部176に直接結合されてもよい。そのような直結駆動構成では、モータ172は、動力伝達装置等のような、他の装置またはデバイスを介在させずに弁シャフト168を直接駆動する。
【0025】
弁本体102例は、例えば、鋳鉄、炭素鋼、例えば、ステンレス鋼、高ニッケル鋼等の耐食材料等の任意の適切な材料、および/または任意の、他の適切な材料(複数可)、またはこれらの組み合わせで作られてもよい。同様に、カートリッジアセンブリ104は、例えば、鋳鉄、炭素鋼、例えば、ステンレス鋼、高ニッケル鋼等の耐食材料等の任意の適切な材料、および/または任意の、他の適切な材料(複数可)、またはこれらの組み合わせで作られてもよい。
【0026】
図2を参照すると、動力伝達装置171は、モータ172に動作可能に結合される歯車箱202を含む。具体的には、歯車箱202は、遊星歯車構成204を含む。モータ172は、第1の歯車である、太陽歯車206に係合する。そして、太陽歯車206は、固定された輪歯車210と太陽歯車206との間に配置される複数の遊星歯車208に結合される。以下でさらに詳しく記載されるように、モータ172によって太陽歯車206が軸214を中心として回転されると、遊星歯車208のそれぞれは、軸212を中心として回転し、軸214に対して放射状に変位される。
【0027】
この例では、輪歯車210は、歯車箱202の筐体216と一体的に形成され、かつ筐体216から軸214に向かって放射状に突出する歯218を含む。遊星歯車208は、アーム部材220を介して動作可能に結合され、それにより、遊星歯車208の放射状の変位または移動は、アーム部材220を軸214に対して回転させる。アーム部材220は、弁軸168の第2の端部176のねじ部に螺合するための、ねじ開口部222を含み、それにより、軸214を中心として回転するアーム部材220の回転は、弁軸168を軸214に沿って直線的に変位させる。第1のスラスト軸受224は、太陽歯車206とアーム部材220との間に配置されてもよく、第2のスラスト軸受226は、アーム部材220と筐体216との間に配置されてもよい。スラスト軸受224およびスラスト軸受226は、太陽歯車206および/またはアーム部材220の、軸214に沿った軸方向の移動を防ぎ、軸流制御弁100の作動中に、軸214に沿って発生する軸推力を吸収する。
【0028】
歯車箱202は、有利にも、モータ172によって生成される回転力を増幅させ、増幅された回転力を伝達して弁軸168を駆動する。弁軸168に伝達される、増幅された回転力によって、流量制御部材122は、より強い力で弁座126に係合することができ、したがって、弁本体102を通した流体の流動を防ぐための、弁座126との、よりしっかりとした密封係合が提供される。さらに、流量制御部材122を駆動するために、より小さいサイズのモータ172を使用してもよく、これは、歯車箱202は、モータ172によって生成される回転力を増幅させるからである。この例では、歯車箱202によって提供される回転力の増幅の量は、歯車206および歯車208の寸法(例えば、直径、歯の数等)に基づいて変化することができる。
【0029】
軸流制御弁100の第1の位置である、閉位置300を図3に示し、軸流制御弁100の第2の位置である、開位置400を図4に示す。図1、図2、図3、および図4を参照すると、軸流制御弁100は、上流管302を介する上流供給源と、下流管304を介する下流供給源との間の流体流路内に挿入される。プロセス流体は、例えば、天然ガスのような、任意のプロセス流体を含んでよい。作動中、カートリッジアセンブリ104は、図3に示される、入口108と出口110との間の流体の流動を阻止する、第1の位置300(例えば、閉位置)と、図4に示される、入口108と出口110との間の流体の流動を可能にする、第2の位置400(例えば、開位置)との間で作動する。
【0030】
作動中、軸流制御弁100を、図3に示される第1の位置300に移動するために、モータ172は、第1のポート196を介して制御流体(例えば、加圧された空気)を受容する。制御流体は、モータ172を第1の方向(例えば、反時計回りの方向)に軸214を中心として回転させて、回転力を生成させる。モータ172によって生成される回転力は、モータ172に対する制御流体の圧力を増加または減少させることによって変化する場合がある。具体的には、モータ172は、太陽歯車206を軸214を中心として回転させるために、回転力を伝達し、それにより、遊星歯車208のそれぞれは、それぞれの軸214を中心として回転する。太陽歯車206が軸214に対して回転すると、太陽歯車206の歯は、遊星歯車208の歯に係合する。したがって、太陽歯車206の、軸214を中心とした、第1の方向(例えば、反時計回りの方向)の回転は、遊星歯車208のそれぞれを、第1の方向(例えば、時計回りの方向)に、軸212を中心として回転させ、太陽歯車206の、第1の方向と反対の第2の方向(例えば、反時計回りの方向)の回転は、遊星歯車208のそれぞれを、第2の方向(例えば、時計回りの方向)に、それぞれの軸212を中心として回転させる。
【0031】
遊星歯車208の歯もまた、静止している輪歯車210の歯218に係合する。輪歯車210と太陽歯車206との両方が軸214に対して横方向に、拘束または固定されるため、遊星歯車208のそれぞれが、それぞれの軸212を中心として回転しながら、輪歯車210および太陽歯車206に対して、軸214を中心として放射状の経路で移動する。そのような遊星歯車208の軸214に対しての放射状の変位または移動は、アーム部材220を軸214を中心として回転させる。これは、アーム部材220は、遊星歯車208に結合されるからである。軸214を中心とする、アーム部材220の回転は、アーム部材220のねじ222を、弁軸168の第2の端部176のねじ部を中心として回転させる。アーム部材220、太陽歯車206、遊星歯車208、および輪歯車210は、軸214に対して、放射状に、横方向に拘束されるため、アーム部材220の第1の方向の回転は、太陽歯車206が軸214を中心として第1の方向(例えば、反時計回りの方向)に回転するとき、弁軸168を軸214に沿って第1の直線的な方向に駆動する。そして、弁軸168は、流量制御部材122を弁座126に向かって、第1の位置300まで駆動して、入口108と出口110との間の流体の流動を低減または阻止する。
【0032】
逆に、図4に示される第2の位置400に軸流制御弁100を移動させるために、モータ172は、第2のポート198を介して制御流体(例えば、加圧された空気)を受容する。制御流体は、モータ172を、第1の方向と反対の、第2の方向(例えば、時計回りの方向)に回転させて、回転力を生成し、モータ172によって生成される回転力は、太陽歯車206を、第2の方向(例えば、時計回りの方向)に駆動する。太陽歯車206が軸214に対して回転すると、太陽歯車206の歯は、遊星歯車208の歯に係合し、遊星歯車208のそれぞれを、それぞれの軸212を中心として第2の方向(例えば、時計回りの方向)に回転させる。上述のとおり、輪歯車210および太陽歯車206は軸214に対して放射状に固定されるため、遊星歯車208のそれぞれが、それぞれの軸212を中心として回転するとき、遊星歯車208は、軸214に対して放射状に移動する。遊星歯車208の、軸214を中心とした、第2の方向への放射状の変位によって、アーム部材220もまた、軸214に対して第2の方向に回転する。アーム部材220の第2の方向の回転は、太陽歯車206が、軸214を中心として第2の方向(例えば、反時計回りの方向)に回転するとき、弁軸168を、軸214に沿って、第1の方向と反対の、第2の直線的な方向に、駆動する。そして、弁軸168の、軸214に沿った第2の方向への直線的な変位は、流量制御部材122を弁座126から離れるように、第2の位置400まで移動させて、入口108と出口110との間の流体の流動を可能に、または増加させる。
【0033】
本明細書に記載される軸流制御弁例100は、有利にも、製造コストを低減するとともに、軸流制御弁100の整備を簡素化し、軸方向に整合される通路を提供して、弁トリム構成部品の不整合による望ましくない漏れを実質的に起こしにくくする。軸流制御弁例100はまた、弁本体102が要するのは最小の機械加工であり、弁本体102は、例えば、鋳造によって形成されてもよいため、製造コストをも低減する。さらに、軸流制御弁例100は、望ましくない漏れを低減する。これは、カートリッジアセンブリ104は、弁本体102内に配置、または弁本体102の内側に設置され、それにより、弁本体102と、弁座126、流量制御部材122、およびケージ130との間の整合の問題が排除されるからである。その上、入口108と出口110との間の、軸方向に整合される通路106は、弁本体102を通る、最小限に制限される流路を提供する。
【0034】
特定の例示的な方法および装置が本明細書に記載されたが、本特許の適用範囲は、それらに限定されない。逆に、本特許は、文字通り、または均等論に従ってのいずれかで、添付の特許請求の範囲に適正に含まれる、全ての方法、装置、および製造品を包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸流制御弁であって、
入口と出口との間に通路を画定する弁本体であって、前記通路は、前記弁本体の前記入口および前記出口における流体流路に対して実質的に平行である、弁本体と、
前記弁本体と着脱可能に結合され、かつ前記弁本体の前記通路内の前記入口と前記出口との間に配置されるカートリッジアセンブリであって、実質的に前記通路と軸方向に整合され、前記入口と前記出口との間の流体の流動を阻止する第1の位置と、前記入口と前記出口との間の前記流体の流動を可能にする第2の位置との間で、前記軸流制御弁を作動させるためのモータを含む、カートリッジアセンブリと、を備える軸流制御弁。
【請求項2】
前記カートリッジアセンブリは、弁軸を介して前記モータに動作可能に結合される弁座と流量制御部材とをさらに備え、前記モータは、前記流量制御部材を前記弁座に向かって移動させて、前記入口と前記出口との間の前記流体の流動を阻止し、前記流量制御部材を前記弁座から離すように移動させて、前記入口と前記出口との間の前記流体の流動を可能にする、請求項1に記載の軸流制御弁。
【請求項3】
前記モータは、伝動システムを介して前記流量制御部材に動作可能に結合される、請求項2に記載の軸流制御弁。
【請求項4】
前記弁軸は、第1の端部で前記伝動システムに動作可能に結合され、第2の端部で前記流量制御部材に結合される、ねじ部を含む、請求項3に記載の軸流制御弁。
【請求項5】
前記カートリッジアセンブリは、前記弁座に結合され、前記流量制御部材を摺動可能に受容するための、ケージをさらに備える、請求項2に記載の軸流制御弁。
【請求項6】
前記ケージおよび前記弁座は、単一構造として一体的に形成される、請求項5に記載の軸流制御弁。
【請求項7】
前記カートリッジアセンブリは、第1の端部で前記モータに結合され、第2の端部で前記ケージに結合される弁帽であって、前記流量制御部材の少なくとも一部を摺動可能に受容するための空洞を含む弁帽、をさらに備える、請求項5に記載の軸流制御弁。
【請求項8】
前記弁座は、前記カートリッジアセンブリを前記弁本体に着脱可能に結合するための締結具を受容する開口部を有するフランジ部を含み、前記弁座は、前記弁本体の前記出口に隣接して配置される、請求項2に記載の軸流制御弁。
【請求項9】
制御弁であって、
入口と出口との間に通路を有する弁本体と、
筐体に摺動可能に結合される流量制御部材であって、前記流量制御部材および前記筐体は、前記弁本体内に配置される、流量制御部材と、
前記筐体に結合され、かつ前記弁本体の内側に設置されるモータと、を備え、前記モータおよび前記流量制御部材は、前記入口および前記出口において流路と実質的に軸方向に整合され、前記モータは、前記弁本体を通る流体の流動を阻止するために前記弁座に向かって駆動し、前記弁本体を通る前記流体の流動を可能にするために前記弁座から離れるように前記流量制御部材を駆動する、制御弁。
【請求項10】
第1の端部で前記モータに動作可能に結合され、第2の端部で前記流量制御部材に結合される、弁軸をさらに備える、請求項9に記載の制御弁。
【請求項11】
前記通路、前記入口、および前記出口は、実質的に軸方向に整合される、請求項9に記載の制御弁。
【請求項12】
前記筐体は、ケージに結合される弁帽を備え、前記弁帽は、前記流量制御部材の一部を部分的に受容するための空洞を含み、前記ケージは、前記流量制御部材を摺動可能に受容するための開口部を含む、請求項9に記載の制御弁。
【請求項13】
前記ケージの端部に結合される弁座をさらに備え、前記流量制御部材は、前記弁座に係合して前記弁を通る前記流体の流動を阻止し、前記弁座から離れるように移動して前記弁を通る前記流体の流動を可能にする、請求項12に記載の制御弁。
【請求項14】
前記弁座は、前記出口に隣接する、請求項13に記載の制御弁。
【請求項15】
前記流量制御部材および前記モータは、前記筐体を介して前記弁本体の前記通路内で着脱可能に結合し、前記筐体は、締結具を介して前記弁本体に着脱可能に結合される、請求項9に記載の制御弁。
【請求項16】
軸流弁に使用するための弁トリムアセンブリであって、
第1の端部で弁座に結合され、第2の端部で弁帽に結合される、ケージであって、前記弁帽および前記ケージは空洞を形成する、ケージと、
前記空洞内に摺動可能に配置され、前記弁座に係合するための第1の位置および前記弁座から離間する第2の位置へ駆動される、流量制御部材と、
前記流量制御部材を、前記第1の位置と前記第2の位置との間で駆動させるための、モータと、
第1の端部で前記モータに動作可能に結合され、第2の端部で前記流量制御部材に結合される弁軸と、を備え、前記弁トリムアセンブリは、前記弁本体を通過する流体流路に対して実質的に平行に、弁本体の内側に設置される、弁トリムアセンブリ。
【請求項17】
前記弁トリムアセンブリは、締結具を介して前記弁本体内に着脱可能に結合される、請求項16に記載の弁トリムアセンブリ。
【請求項18】
前記モータに結合される、歯車伝動装置をさらに備える、請求項16に記載の弁トリムアセンブリ。
【請求項19】
前記歯車伝動装置は、前記弁軸の前記第1の端部のねじ部を受容するためのねじ開口部を有するアーム部材に結合される、遊星歯車システムを備え、それにより、前記モータの第1の方向への回転は、前記弁軸を、前記流量制御部材を前記第1の位置に移動させる第1の方向に直線的に駆動し、前記モータの、前記第1の方向と反対の第2の方向への回転は、前記弁軸を、前記流量制御部材を前記第2の位置に移動させる第2の方向に直線的に駆動する、請求項18に記載の弁トリムアセンブリ。
【請求項20】
前記弁軸の軸に沿った前記遊星歯車システムの横方向の移動を制限するための、スラスト軸受をさらに備える、請求項19に記載の弁トリムアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−516419(P2012−516419A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−547948(P2011−547948)
【出願日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/069792
【国際公開番号】WO2010/087936
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(591055436)フィッシャー コントロールズ インターナショナル リミテッド ライアビリティー カンパニー (183)
【Fターム(参考)】