説明

円柱状インゴットの複合面取り加工装置ならびにそれを用いてワークに円筒研削加工およびオリフラ研削加工をする方法

【課題】円筒状インゴットブロックの外周面の円筒研削加工を短くしたい。およびワークの結晶方位を高精度に検出したい。
【解決手段】 XRD機600を挟んで同一タイプのn(n=2〜4の整数)台の円筒研削
装置500を配置した複合面取り加工装置1とし、円筒研削装置500でワーク外周面の皺を取り除いた後に、円筒研削加工されたワークの結晶方位をXRD機600で検出、マーキング
する。
その後、前記円筒研削装置500を用いてワークのオリフラ研削加工を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サファイア、単結晶シリコン等の円柱状インゴット(ワーク)の円筒研削加工およびオリフラ研削加工をする複合面取り加工装置および、それを用いてワークの円筒外周面を円筒研削加工した後、ワークの結晶方位をX線回析結晶方位測定装置(XRD機)で検出、レーザーマーキングし、ついで、ワークのオリフラ方向を芯出しした後にオリフラ研削加工するワークの面取り加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LED基板用のサファイア基板の原材料の円柱状サファイア・インゴットブロック(ワーク)は、チョクラルスキー法(CZ法)あるいはベルニューイ法で育成したインゴットを適当な長さ(例えば、250mm、500mm、1,000mm)に結晶方向に切断してインゴットブロックとなしている。サファイア・インゴットの結晶方位は、a面、r面、m面およびc面配向を有する。円柱状サファイア・インゴットブロックの直径は、2インチ、4インチ、および6インチのものが、単結晶シリコンインゴットブロックの直径は、8インチ、10インチ、12インチ、20インチのものが市場より入手できる。
【0003】
特開2009−298676号公報(特許文献1)の0008段落は、「円柱状インゴットブロックは、その外周面をカップホイール型砥石により円筒研削され、さらに、オリエンテーションフラット(通称「オリフラ」と言う)またはインデックスフラット(通称「インフラ」と言う)が研削または切削された後、インゴットブロックのワイヤーカットソウによる厚み200〜900μmの厚みにスライス加工されウエハを製造している。」と記載する。さらに、段落0020−0023は、「オリフラとは、円形の半導体基板の外周の一部を結晶方位と平行な方向にきり欠いて結晶方位を特定されるものであり、インフラとはオリフラと共に円形の半導体基板の外周に形成され、表裏を判別するためのものである。ただし、半導体基板の表裏を判別するためには、オリフラとインフラが半導体基板の中心に対して非対称となる位置に形成される必要がある。サファイア基板のオリフラは、結晶方位(11−20方向)を特定する。」と記載する。
【0004】
また、特開2008−207992号公報(特許文献2)は、段落0002から0004において、「サファイアは、六方晶の結晶構造を有する酸化アルミニウムの単結晶(融点:約2050℃)である。サファイア単結晶は、例えば、青色LED用のGaN成膜基板などの基板材料として使用される。サファイア単結晶は異方性を有する材料であり、サファイア単結晶のインゴットからGaN成膜用のウエハを切り出す場合、ウエハの主面がサファイア単結晶のc軸<0001>に垂直な面(c面)となるように切り出すことが一般的である。また、サファイアは光学的に一軸性の透明材料であることから液晶プロジェクタ用フィルムなどの光学材料としても使用される。光学材料として使用する場合、着色がなく透明であることが要求される。また、サファイア単結晶の偏光特性から、上記の基板材料の場合と同様、c軸に垂直な面を主面とするc面基板が主に使用される。
【0005】
サファイア単結晶のインゴットからc面基板を切り出す場合、材料をなるべく無駄にしないためには、c軸方向に結晶を育成して略円柱状のインゴットを得るとともに、このインゴットをc軸方向(インゴットの軸方向)に対して垂直に切断することが望ましい。しかしながら、c軸方向に結晶を育成した場合、泡欠陥が生じやすいことが知られている。インゴット内に泡欠陥があると、加工時に割れが生じやすく、また、基板材料や光学材料として使用した場合にそれらの特性が不十分となりやすい。泡欠陥の発生を低減する方法として、サファイア単結晶の育成方向をc軸から所定角度ずらした方向としたり、c軸に
垂直なa軸又はm軸方向とすることが知られている(例えば、特開2004−83316号公報参照)。」と記載する。
【0006】
また、サファイア・インゴットブロックは、特開2008−971号公報(特許文献3)に開示されるように、大きな厚い板状のサファイア結晶からボーリングコアビット(刃物)で型抜き切り出しして製造されているのもある。
【0007】
さらに、特表2010−514581号公報(特許文献4)は、インゴットブロックをスライス加工されたサファイア基板の表面加工方法を開示し、a面、r面、m面、及びc面配向からなる群から選択される結晶配向を有し且つ約0.037μm/cm2以下のn
TTVを有する概ね平坦な表面を含むサファイア基板であって、nTTVが該概ね0平坦な表面の表面積で規格化された総厚みばらつきであり、該基板は約9.0cm以上の直径を有するサファイア基板を得ると開示する。その実施態様として、段落0005から0009において、「第1の固定研磨材を用いてサファイア基板の第1表面を研削加工すること、及び第1の固定研磨材よりも小さい平均粒径を有する第2の固定研磨材を用いてサファイア基板の第1表面を研削加工することを含むサファイア基板の機械加工方法を対象とする。他の実施態様は、第1表面がc面配向を有するように研磨材を用いてそれぞれのサファイア基板の第1表面を研削加工することを含む複数のサファイア基板を含むサファイア基板ロットを提供する方法を対象とし、サファイア基板ロットは少なくとも20個のサファイア基板を含む。それぞれのサファイア基板は(i)c面配向、(ii)結晶のm面ミスオリエンテーション角度(θm)、及び(iii)結晶のa面ミスオリエンテーショ
ン角度(θa)を有する第1表面を有し、ここでは、(a)ミスオリエンテーション角度
θmの標準偏差σmが約0.0130以下、及び(b)ミスオリエンテーション角度θa
標準偏差σaが約0.0325以下のうち少なくとも1つが成り立つ。他の実施態様は、
少なくとも20個のサファイア基板を含むサファイア基板ロットを対象とする。それぞれのサファイア基板は(i)c面配向、(ii)結晶のm面ミスオリエンテーション角度(θm)、及び(iii)結晶のa面ミスオリエンテーション角度(θa)を有する第1表面を有し、ここでは、(a)ミスオリエンテーション角度θmの標準偏差σmが約0.0130以下、及び(b)ミスオリエンテーション角度θaの標準偏差σaが約0.0325以下のうち少なくとも1つが成り立つ。」と記載する。
【0008】
特開2009−186181号公報(特許文献5)は、図2に円柱状インゴットの結晶方位を測定するX線回析結晶方位測定装置を、および図6においてX線回析結晶方位測定装置を備えた円柱状インゴットの円筒研削装置を示し、段落0070から0077および段落0085から0089記載で円柱状インゴットの結晶方位hを測定した後に、第一搬送ロボットでインゴットを図3に示すカット面取り機に移動させ、そこで、軸方向結晶方位hに対し垂直に第一カット面Waを研削して新たな第一カット面Waとし、反対方向の第二カット面Waを研削して新たな第二カット面Waとし、ついで、第一搬送ロボットで垂直カット面W,Wを有するインゴットを円筒研削装置のクランプ装置に移送し、円柱状砥石を用いて円柱状インゴットの外周面を円筒研削する方法が記載されている。さらに、特許文献5の図10および段落0090記載において、前記円筒研削加工されたインゴットの半径方向結晶方位kを前記X線回析結晶方位測定装置で測定し、前記円筒研削装置でインゴットの半径方向結晶方位kを基準としてオリフラ面を加工形成させることを開示する。
【0009】
特開2009−111260号公報(特許文献6)は、少なくとも、切断用トレーに載置されたインゴットを切断手段により切断してブロックに切り分ける切断部と、該切断部から前記切断用トレーを送出入するためのテーブルを有する送出入部と、該送出入部の動作を制御する制御部と、前記切断されたブロックを前記切断用トレーから搬送用トレーに移載する移載部とを具備するインゴット切断装置において、前記移載部は、少なくとも、
前記ブロックを挟持するアーム機構と、前記ブロックを前記搬送用トレーに倒置する倒置機構とを具備し、前記ブロックが所定長さに達している長いブロックは前記アーム機構により前記搬送用トレーに移載し、前記ブロックが所定長さに達していない短いブロックは前記アーム機構により前記倒置機構に載置して、該倒置機構により前記ブロックを倒して前記搬送用トレーに移載するものであることを特徴とするインゴット切断装置を開示する。
【0010】
さらに、株式会社ジェイシーエムは、単結晶シリコンインゴットのトップ、テールを切断した後に、指定した長さでブロックカットを自動で行うJBS−110全自動バンドソー装置(商品名)を販売している(非特許文献1)。
【0011】
特開2004−66734号公報(特許文献7)は、ワークをワイヤにより切断するインゴット(ワーク)の切断装置において、
YAGレーザー装置により結晶面が溝の深さ方向に平行となるようにワークの姿勢が調整されてインゴットが装着されたセットプレート上のワークの外周を局所的に加熱することにより、前記ワイヤの線径に応じた幅の溝を形成する溝加工装置と、
前記セットプレートが装着され、ワークの外周に形成された溝の深さ方向に沿ってワイヤを相対移動させてワークを切断するワイヤソー装置とを備えたことを特徴とするXRD機を備えた切断装置を開示する。
【0012】
一方、半導体基板にノッチやレーザー加工できるX線回析結晶方位測定器付きレーザー装置(XRD機)も基板やインゴットの結晶方位を測定するのに利用されている。例えば、JST−CRESTの田中 義人は、「放射光時間分解X線回折測定による光記録媒体の相変化構造計測」先端磁性材料研究会100316@東工大発表論文(非特許文献2)でXRD機の構造およびその利用方法を開示する。
【0013】
また、成蹊大学院の菊田 進作らは、「XRD結晶方位データベースを応用したレーザー加工材のスプリングバック量の推定」成蹊大学および株式会社アマダ共同発表論文(非特許文献3)でXRD機の構造およびその利用方法を開示する。
【0014】
さらに、XRD機で単結晶インゴットの結晶方位を測定する方法は、特開平10−160688号公報(特許文献8)、特開2000−2672号公報(特許文献9)、特開2001−13092号公報(特許文献10)、特開2001−272359号公報(特許文献11)等で開示されるように、半導体基板メーカーでは行われていることである。
【0015】
一方、特開2005−255463号公報(特許文献12)は、図1において、インゴットの円筒研削加工(101)後にインゴットのオリフラ加工(102)を行い、次いで、インゴットをワイヤーソウでウエハースライス加工(103)し、その後にウエハー外周研削加工(104)を行う工程図を開示する。
【0016】
また、特開2011−136382号公報(特許文献13)は、図3で示す、角柱状インゴットの4隅Rコーナ部の円筒研削加工を1個の研削車9gで、角柱状インゴットの4側平面の面取りを一対の粗研削砥石10g,10gで同期制御研削加工行ったのち、その面取り面4面を一対の精密仕上げ研削砥石11g,11gで同期制御研削加工して面取りを完成させるインゴットの面取り加工装置500を開示する。
【0017】
また、特開2000−158123号公報(特許文献14)は、インゴット搬送用ロボットおよびインゴットの搬送方法を開示する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】株式会社ジェイシーエム、“太陽電池製造装置”、[online]、平成23年7月21日検索]、インターネット<URL:www.e-jcm.co.jp/SolarCell/Mono/JBS-110.html>
【非特許文献2】田中 義人、“放射光時間分解X線回折測定による光記録媒体の相変化構造計測”先端磁性材料研究会100316@東工大発表PDF論文、[online]、平成23年7月6日検索]、インターネット<URL:www.spring8.or.jp/ext/ja/iuss/htm/text/06file/.../tanaka.pdf>
【非特許文献3】菊田 進作、外3名、“XRD結晶方位データベースを応用したレーザ加工材のスプリングバック量の推定”、[online]、平成23年7月6日検索]、インターネット<URL:www.sd.seikei.ac.jp/lab/zairiki/_.../2011zairyo_powerpoint_kikuta.pdf>
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2009−298676号公報
【特許文献2】特開2008−207992号公報
【特許文献3】特開2008−971号公報
【特許文献4】特表2010−514581号公報
【特許文献5】特開2009−186181号公報
【特許文献6】特開2009−111260号公報
【特許文献7】特開2004−66734号公報
【特許文献8】特開平10−160688号公報
【特許文献9】特開2000−2672号公報
【特許文献10】特開2001−13092号公報
【特許文献11】特開2001−272359号公報
【特許文献12】特開2005−255463号公報
【特許文献13】特開2011−136382号公報
【特許文献14】特開2000−158123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
インゴット製造メーカーが半導体基板メーカーに出荷している結晶性インゴットブロック(ワーク)は、インゴットのC軸両端面がC軸に対し直角に切断されたインゴットブロックである。それゆえ、上記特許文献5記載のXDR機、ワークC軸端面カットおよびオリフラ研削加工用のカット面研削機、ならびに、円筒研削装置を備える複合面取り加工装置を用いて市販のワークの面取り加工する作業においては、カット面研削機のオリフラ研削加工工程が不要である。また、オリフラ研削加工するオリフラ方位を検出するためのXRD機によるワークの結晶方位の測定をワークの円筒研削加工前の外周面に皺のある出荷されたワークに対し行っているので、この皺の存在による結晶方位(サファイアインゴットの結晶は六角形)測定の精度がサファイア・インゴットではワークのC軸からオリフラ線に対し結んだ垂線(90度)の筈が88.5〜90度とばらついてしまう面取り加工ワークが得られる。さらに、上記特許文献5記載の複合面取り加工装置を用いて市販のワークの面取り加工する作業においては、ワークの円筒研削加工が律速工程であり、ワークC軸端面カットおよびオリフラ研削加工工程の2〜4倍を超える加工時間が費やされている。よって、基板製造メーカーからは、1機当たり3,000万円前後する高価なXDR機をもっと有効利用でき、面取り加工されたインゴットブロックの生産量がより増大するXDR機付複合面取り加工装置の出現が望まれている。
【0021】
本願発明者らは、特許文献13に開示されるインゴットの面取り加工装置は、ワークの円筒研削加工およびオリフラ研削加工できることに着目し、1台のXDR機に対して左右
にこのインゴットの面取り加工装置を配置すること、および、ワークの円筒研削加工後に、XRD機で円筒研削加工されたワークの結晶方位の測定およびマーキングを行う加工ソフトに切り替えることにより、半導体基板メーカーの要望を適える複合面取り加工装置となると想到し、本発明に到った。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の請求項1は、
左右方向に延びた第一案内レール(100)上を滑走できる搬送ロボット(200)、
上記第一案内レールの右端に設けられた円柱状インゴットブロック(ワーク)の第一貯蔵棚(300)、
上記第一案内レールの左端に設けられたオリフラ加工されたワーク(最終加工製品)の第二貯蔵棚(400)、
前記搬送ロボットの滑走用第一案内レール(100)に対し、後ろ側に1台のX線回析結晶方位測定装置(600)を挟んでその左右に円筒研削装置(500,500)を間隔を空けて併設した面取り加工装置群、
より構成されるワークの複合面取り加工装置(1)であって、
上記の円筒研削装置(500)は、前後方向に延びる第二案内レール(3,3)上を滑走できる芯出し機能を備えた主軸台(7a)と心押台(7b)よりなるクランプ装置(7)を載置する移動テーブル(4)を設けとともに、前記クランプ装置の支持軸(7a,7b)に支架されるワークのC軸に対し直角方向に、かつ、C軸を挟んで一対の円筒研削用カップホイール型砥石(10g,10g)を軸承する砥石軸を前進後退可能に設けるとともに、オートローダー機器(13)およびワークストッカー(14)を備え、前記ワークストッカー(14)と前記オートローダー機器(13)と前記クランプ装置(7)とでワークローディング/アンローディングステージを構成し、前記クランプ装置(7)と前記一対の円筒研削用カップホイール型砥石(10g,10g)を軸承する砥石軸とでワークの円筒研削ステージおよびオリフラ研削加工ステージを構成する円筒研削装置(500)である、
ことを特徴とする複合面取り加工装置(1)を提供するものである。
【0023】
本発明の請求項2は、請求項1記載の複合面取り加工装置(1)を用い、円筒研削装置(500)の一対の円筒研削用カップホイール型砥石(10g,10g)で円柱状インゴットブロック(ワーク)を円筒研削加工した後に、X線回析結晶方位測定装置(600)でワークの結晶方位を測定、マーキングし、ついで、マーキングされたワークを前記円筒研削装置(500)のクランプ装置(7)に戻し、一方の円筒研削用カップホイール型砥石(10g)を用いてオリフラ研削加工を実施することを特徴とする、ワークの複合面取り加工方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明の複合面取り加工装置(1)は、1台のXRD機(600)に対し、複数の円筒研削装置(500)を配置したので、1台のXRD機を有効に利用できる。また、ワークの結晶方位を円筒研削加工して外周面の皺を取り去った平滑な面とした後にX線回析結晶方位測定装置(600)でワークの結晶方位を測定するので、結晶方位測定精度がより正確となる。
【0025】
また、円筒研削装置(500)のカップホイール型砥石一対(10g,10g)を同時に用いてワークを円筒研削加工できるので、特許文献5記載の複合面取り加工装置の円筒研削装置と比較して円筒研削加工時間を1/2に短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は複合面取り加工装置の平面図である。
【図2】図2は円筒研削装置の側面面である。
【図3】図3は円筒研削装置の平面面である。
【図4】図4はオートローダー機器の背面図である。
【図5】図5は円筒研削装置の平面図で、オートローダー機器は省略されている。
【図6】図6はワーク外周面を面取り加工している作業図であり、ワークの端面方向から見た図である。図6aは円筒粗研削加工作業を、図6bは円筒仕上げ研削加工作業を、図6cはオリフラ研削加工作業を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に示される本発明の複合面取り加工装置1は、左右方向に延びた第一案内レール100上を滑走できる搬送ロボット200、第一案内レールの右端に設けられたワークの第一貯蔵棚300、前記第一案内レール100の左端に設けられたオリフラ加工されたワークの第二貯蔵棚400、前記搬送ロボットの滑走用第一案内レール100に対し、後ろ側に平行に設けられた右端より左端側に向かって、円筒研削加装置500が2台、XRD機600が1台、および、円筒研削装置500の2台が間隔を空けて併設した複合面取り加工装置1である。
【0028】
4台の円筒研削装置500は、同一型の円筒研削装置である。この円筒研削装置500は一対のカップホイール型研削砥石10g,10gを具備するが、図2、図3に示す円筒研削装置のように、カップホイール型粗研削砥石10g,10gの一対、および、カップホイール型仕上げ研削砥石の一対11g,11gを備える円筒研削装置500としてもよい。
【0029】
図2、図3および図5に示すように、円筒研削装置500は、機枠(ベース)2に左右方向に延びて敷設された一対の案内レール3,3上を左右方向に往復移動できるように設けられたワークテーブル4を設けてある。このワークテーブル4の左右往復移動は、サーボモータ5による回転駆動をボールネジ6が受けて回転し、このボールネジに螺合された固定台(図示されていない)が左方向または右方向に前進することにより、この固定台表面にワークテーブル4の裏面が固定されているワークテーブル4が左方向または右方向に前進する。ワークテーブル4の左方向または右方向の前進は、サーボモータ5の回転軸が時計廻り方向か、逆時計廻り方向かに依存する。
【0030】
このワークテーブル4上に前後に分離して搭載された主軸台7aと心押台7bの一対よりなるクランプ装置7が搭載されている。よって、ワークテーブル4の前方向または後ろ方向の移動に付随してこのクランプ装置7も前方向または後ろ方向に移動し、クランプ装置7の主軸台センター支持軸7aと心押台センター支持軸7bにより支架(挟持)されて宙吊り状態となったワークwは、第一円筒研削ステージ10、第二円筒研削ステージ11、またはロードポート8位置へと移動することが可能となっている。
【0031】
クランプ装置7は公知のチャック機構であり、シリコンインゴットの円筒研削盤でよく使用されている。主軸台7aは主軸台センター支持軸7aをサーボモータ7aで回転させることによりワークwを360度回転させる機能を有する。心押台7bは空気シリンダー7e駆動でガイドレール上を左右に移動できる移動台7b上に設けられ、ワークをクランプ機構7で支架したのち、レバーを押し下げることにより固定し、ワークテーブル4の移動により心押台7bを搭載する移動台7bが移動するのを防ぐ。
【0032】
前記第一円筒研削ステージ10、第二円筒研削ステージ11、およびロードポート8の位置関係は、前記ワークテーブル4を側面側から直角に見る方向であって、かつ、前側方向より後ろ側方向へ向かって、第一円筒研削ステージ10、第二研削ステージ11、ロードポート8を設ける。第一円筒研削ステージ10および第二円筒研削ステージ11は密閉
カバー12で覆われている。また、ロードポート8は片手横スライド扉12aにより閉じられる。密閉カバー12で覆われた各研削10,11の空間には排気ダクト18が接続され、この空間内に浮遊するミストや研削屑を外部へ排出する。
【0033】
第一円筒研削ステージ10は、サーボモータ10m,10mの回転駆動により前後移動可能なツールテーブル10t,10t上に設けられた砥石軸の一対10a,10aに軸承されたカップホイール型砥石の一対10g,10gをその研削砥石面10g,10gが相対向するようにワークテーブル4を挟んでワークテーブル4前後に対称にかつ砥石軸芯10,10が同一線上となる位置に設け、これら砥石軸10a,10aはサーボモータ10,10の回転駆動により回転される構造となっている。
【0034】
サーボモータ10m,10mによる回転駆動をボールネジが受けて回転し、このボールネジに螺合された固定台が前方向または後方向に前進または後退することにより、この固定台表面にツールテーブル10t,10tの裏面が固定されているツールテーブル10t,10tが前進移動または後退移動する。このツールテーブルの前進または後退の移動方向は、サーボモータ10m,10mの回転軸が時計廻り方向か、逆時計廻り方向かに依存する。
【0035】
第二円筒研削ステージ11は、サーボモータ11m,11mの回転駆動により前後移動可能なツールテーブル11t,11t上に設けられた砥石軸の一対11a,11aに軸承されたカップホイール型砥石の一対11g,11gをその研削砥石面11g,11gが相対向するようにワークテーブル4を挟んでワークテーブル4前後に対称にかつ砥石軸芯11,11が同一線上となる位置に設け、これら砥石軸11a,11aはサーボモータ11,11の回転駆動により回転される構造となっている。
【0036】
サーボモータ11m,11mによる回転駆動をボールネジが受けて回転し、このボール
ネジに螺合された固定台が前方向または後方向に前進移動または後退移動することにより、この固定台表面にツールテーブル11t,11tの裏面が固定されているツールテーブル11t,11tが前進または後退する。このツールテーブルの前進または後退の移動方向は、サーボモータ11m,11mの回転軸が時計廻り方向か、逆時計廻り方向かに依存する。
【0037】
第二円筒研削ステージ11は、前記第一円筒研削ステージ10の後ろ側に平行に設けられる。即ち、両ステージ10,11の砥石軸芯10,11が平行である。
【0038】
カップホイール型円筒研削砥石10g,10g,11g,11gおよびオリフラ研削加工用カップホイール型砥石のカップホイール型砥石直径は、ワークが2〜6インチのサファイア基板用円柱状インゴットブロックであるときは、100〜240mmである。カップ砥石片の幅は3〜10mm、リング状砥石幅は5〜15mmであるのがワークの研削焼け防止の観点から好ましい。
【0039】
カップホイール型円筒研削砥石10g,11gの砥粒は、ダイヤモンド砥粒、CBN砥粒が好ましく、結合剤(ボンド)はメタルボンド、ビトリファイドボンド、エポキシレジンボンドがよい。例えば、カップホイール型円筒研削砥石は特開平9−38866号公報、特開2000―94342号公報や特開2004−167617号公報等に開示される有底筒状砥石台金の下部環状輪に砥石刃の多数を研削液が散逸する隙間間隔で環状に配置したカップホイール型砥石で、台金の内側に供給された研削液が前記隙間から散逸する構造のものが好ましい。このカップホイール型円筒研削砥石の環状砥石刃の直径は、ワーク直径の1.2〜1.5倍の直径であることが好ましい。前記カップホイール型粗研削砥石10gの環状砥石刃は、砥番100〜280番のダイヤモンドレジンボンド砥石、または
ダイヤモンドビトリファイドボンド砥石が好ましい。また、カップホイール型仕上げ研削砥石11gの環状砥石刃は、砥番300〜1,200番のダイヤモンドレジンボンド砥石、ダイヤモンドビトリファイドボンド砥石、またはダイヤモンドメタルボンド砥石が好ましい。
【0040】
研削液としては、純水、コロイダルシリカ水分散液、セリア水分散液、SC−1液、SC−2液、あるいは、これら水分散液に有機リン化合物を配合した水分散液を利用するのが好ましい。
【0041】
ロードポート8は、第二円筒研削ステージ11の後ろ側であってワークテーブル4の前側に位置するハウジング材にワークwを前記クランプ装置7への移出入を可能とする開口部を設けることにより形成される。
【0042】
前記円筒研削装置500のカップホイール型円筒研削砥石11gによるワークのオリフラ研削加工時には、前記第二円筒研削ステージ11は、オリフラ研削ステージと呼び変えられる。
【0043】
図2において符号20は制御装置を、符号21は操作盤を示す。また、図3において、符号9cは研削液供給管を示す。
【0044】
図1、図2、図3および図4に示すように、円筒研削装置(500)は、前記ワークテーブル4の前側であって前記ロードポート8と前記第二研削ステージ11との空間部にオートローダー機器(ワークローディング/アンローディング装置)13およびインゴットブロック3本を貯えるワークストッカー14を機枠2上に並設している。符号15は、脚立車を備えた運搬台車16のテーブル上に載置された予備のワークストッカー(保管棚)である。
【0045】
ワークストッカー(保管棚)14,15は、ワーク3本w,w,wを45度傾斜して収納できる断面が逆2等辺三角形状のV字棚段を備え、機枠から突き出した位置決めピン16上に載置されている。
【0046】
前記オートローダー機器(ワークローディング/アンローディング装置)13は、ワークストッカー14V字棚段に保管されているワーク1本を1対の爪13a,13bで挟持し、両爪を上昇させることによりワークを吊り上げ、ついで、後退、右方向への移動、下降してロードポート8前に位置させ、さらに後退させることによりこのロードポート8からワークをクランプ装置7の主軸台7aと心押台7b間へと搬送する。ワークの一端を主軸台7aのセンター支持軸7a1に当接させた後、心押台7bを空気シリンダー7eで右方向に移動させてセンター支持軸7b1に他端を当接させワークを45度V傾斜させかつ4面を宙吊り状態に支架する。ついで、前記爪13a,13bを離間させてワークの把持を開放し、ついで、両爪13a,13bを支持する固定台13fを上昇させ、左方向に移動させ、さらに、前方向に後退させ両爪13a,13bを待機位置へと戻る。
【0047】
また、前記クランプ装置7に宙吊り状態に支架されている面取り加工および洗浄・風乾されたワークを両爪13a,13bで把持し、ついで、両爪13a,13bを支持する固定台13fを上昇させ、左方向に移動させ、さらに、前方向に後退させ両爪13a,13bをワークストッカー14,15の空棚上方へ移動したのち、下降させてワークを前記空棚に載置下後、両爪13a,13bを離間してワークを開放したのち、前記待機位置へと両爪13a,13bを戻す。
【0048】
両爪13a,13bを支持する固定台13fの前後方向の移動は、サーボモータ13m
により回転駆動されたボールネジ13kに裏面を螺合させた固定台13fの滑走面13sをコラム13c側面に設けられた案内レール13g上を滑走させることにより行われる。両爪13a,13bを支持する固定台13fの上下方向の移動は、エアーシリンダー13pにより行われる。両爪13a,13bの離間は、図4の円内に示されるマイクロウイークエアシリンダ13eを用いて両爪13a,13bを離間させる。両爪13a,13bの僅かな昇降の微調整は、マイクロウイークエアシリンダ13lを用いて行う。両爪13a,13bの僅かな前後移動の微調整は、マイクロウイークエアシリンダ13を用いて行う。
【0049】
上記円筒研削装置500に設置されたワークストッカー14,15に保管されたワークwをオートローダー機器13のロボット爪13a,13bを用い、クランプ装置7の支持軸7a,7bに自動挟持(支架)する工程は次ぎのように行われる。
【0050】
オートローダー機器13のロボット爪13a,13bで直径がRmm、研削取り代(t)設定がtmm厚みの円筒状インゴットブロック(ワーク)の中央部を把持する。S01
【0051】
前記ロボット爪に把持されたワークを主軸台7aの支持軸7aと心押台7bの支持軸7b間へ搬入し、前記心押台7bを前進させて前記ワークwの長手方向(C軸方向)の両端を前記クランプ装置7の支持軸7a,7bで支架させる。なお、支持軸7a,7bの両軸心を結ぶ線をクランプ装置7のC軸心と呼ぶ。S02
【0052】
オートローダー機器13のロボット爪13a,13bをワークwより遠ざける。S03
【0053】
カップホイール型砥石11gに対するワークのオリフラ方向芯出しは、XRD機により結晶方位がマーキングされた値に基づき、主軸台7aの支持軸をサーボモータで回転させることによりワークのオリフラ方向がカップホイール型砥石11gの刃先面に平行となるようにワークを回転させて行う。
【0054】
一対のカップホイール型砥石10g,10gによるワークの円筒研削加工は、ワークを宙吊りに支架したクランプ機構7を搭載するワークテーブル4を左右方向に1〜15mm/分速度で移動させながら、かつ、主軸台のセンター支持軸7aを10〜300rpmの回転速度で回転させながら800〜3,000rpmの回転速度で回転しているカップホイール型砥石の一対10g,10gの砥石軸をクランプ装置7のC軸心側へ前進させてカップホイール型砥石10g,10gの刃先位置がクランプ装置7のC軸心から(R/2−t)の距離(研削開始点位置)までインフィードして研削加工を開始し、研削液を5〜100cc/分の量研削作業点に供給させながら前記カップホイール型砥石の一対10g,10gにより移動するインゴットブロック外周面厚みをtmmの取り代量除去するインフィード円筒研削加工である。
【0055】
カップホイール型砥石10g,10gによるワークの研削取り代(t)は0.5〜1.0mmである。
【0056】
前述したように、第一案内レール100上を滑走する搬送ロボット200は、ワークロッカー14、貯蔵棚300,400、右側配置の円筒研削装置500、500、XDR機600、左側配置の円筒研削装置500,500間においてワークwを受け渡すのに使用される。
【0057】
X線回析結晶方位測定器付きレーザー装置(X-ray diffraction)600は、X線照射
器、X線回析器、CCDカメラ、ワーク台、時間回路を有するコントローラ等を備える。
ワークの撮像、ワークの結晶方位測定、ワークへのレーザーマーキング、ワークのC軸からワークの外周までの半径の算出などが可能である。
【0058】
図1および図2に示す複合面取り加工装置1を用い、円筒研削装置500の一対の円筒研削用カップホイール型砥石10g,10gで円柱状インゴットブロック(ワーク)を円筒研削加工した後に、X線回析結晶方位測定装置600でワークの結晶方位を測定し、ついで、ワークを前記円筒研削装置500に戻し、一方の円筒研削用カップホイール型砥石10gまたは11gでオリフラ研削加工を実施する工程は次の順序で行われる。
【0059】
1).第一貯蔵棚300に保管されているワークwを搬送ロボット200で把持し、ついで把持されたワークを円筒研削装置500のワークストッカー14上に移送する。(ワークの移送工程)
【0060】
2).円筒研削装置500のワークストッカー14上に載置されたワークをオートローダー機器13のハンド爪にワークを抱かえ込み、クランプ装置7の主軸台の支持軸7a1
と心押台の支持軸7b間にワークのC軸心がこのクランプ装置の主軸台の支持軸と心押台の支持軸を結ぶC軸心と一致するようにワークを支架させる。(ワークのローディング工程)
【0061】
3)前記クランプ装置7に支架されているワークを主軸台7aのサーボモータによりクランプ装置のC軸廻りに回転させ、前記カップホイール型砥石軸を回転させ、回転するこのカップホイール型砥石10g,10gを前記C軸廻りに回転しているワークの円周面に当接するよう前進(左方向移動)させて円筒粗研削加工を開始し、前記カップホイール型砥石を円筒粗研削取り代(tgr)を引いた半径(R/2)の円筒研削加工ワークが得られる距離まで前進(左方向移動)させる切込み加工を行った後、前記クランプ装置を前記カップホイール型砥石10g,10g側へさらに前進させ、通過させて前記クランプ装置に支架されているワークの外周面を円筒粗研削加工する。
【0062】
ついで、前記ワークテーブル4に搭載されているクランプ装置7を一対の回転しているカップホイール型砥石11g,11g側へ進行させ、前記クランプ装置7に支架されているC軸廻りに回転しているワークを前記カップホイール型砥石11g,11gの刃先に当接させ、円筒仕上げ研削加工を開始し、前記カップホイール型砥石(11g,11g)を円筒仕上げ研削取り代(tgf)を引いた半径(R/2)の円筒研削加工ワークが得られる距離まで前進(左方向移動)させる切込み加工を行った後、前記クランプ装置を前記一対のカップホイール型砥石11g,11g間をさらに前進させ、通過させて前記クランプ装置7に支架されているワークwの外周面を円筒仕上げ研削加工する。ついで、前記クランプ装置7を搭載するワークテーブル4を円筒研削開始点待機位置まで後退させたのち、円筒研削加工されたワークwをオートローダー機器13のハンド爪に把持し、ワークストッカー14へ移送する。(ワークの円筒研削工程)(図6a,図6b参照)
【0063】
4).前記円筒研削装置500のワークストッカー14に載置されたワークwを搬送ロボット200で把持し、X線回析結晶方位測定装置600の作業台上へと移送し、そこでワークの結晶方位をレーザー光でマーキングする。(ワークの結晶方位マーキング工程)
【0064】
5).結晶方位がマーキングされたワークを搬送ロボット200で把持し、前記円筒研削装置500のワークストッカー14に移送する。(マーキングワークの移送工程)
【0065】
6).前記円筒研削装置500のワークストッカー14上に載置されたワークをオートローダー機器13のハンド爪にワークを抱かえ込み、クランプ装置7の主軸台の支持軸7a1と心押台の支持軸7b間にワークのC軸心がこのクランプ装置の主軸台の支持軸と
心押台の支持軸を結ぶC軸心と一致するようにワークを支架させる。ついで、主軸台の支持軸7a1を回転させて支架されているワークをそのワークのオリフラ加工される方位が
カップホイール型砥石11gに対し平行に向くように回転させる芯出しを行う。(ワークのオリフラ方位芯出し工程)
【0066】
7).前記円筒研削装置500の一対のカップホイール型砥石軸の内のワークがオリフラ加工される位置に近い側にあるカップホイール型砥石11gを軸承する砥石軸を回転させ、回転するカップホイール型砥石11gを前記オリフラ加工される結晶方位に芯出しされたワークの円周面に当接(オリフラ研削加工開始点位置)するよう前進(左方向移動)させ、ついで、前記クランプ装置7を搭載するワークテーブル4を前記カップホイール型砥石11g側へ前進させてカップホイール型砥石11gとワークwを接触させてオリフラ研削加工を開始し、さらに前記カップホイール型砥石11gを前進させてオリフラ研削取り代(too)を研削する距離まで前進(左方向移動)させる切込み加工を行った後、前
記クランプ装置7を前記カップホイール型砥石11g,11g間を通過する移動を行ってワークの外周面にオリフラを形成する。ついで、前記クランプ装置7を搭載するワークテーブル4を円筒研削開始点待機位置まで後退させ、オートローダー機器13のハンド爪にワークを抱かえ込み、円筒研削装置500のワークストッカー14に移送する。(ワークのオリフラ研削加工工程)(図6c参照)
【0067】
および、
【0068】
8).前記ワークロッカー14に載置されたワークwを前記搬送ロボット200が受け取って第二貯蔵棚400に移送する。(ワークのアンローディング工程)
【0069】
各々の円筒研削装置500a,500b,500a,500bのクランプ装置7へのワークの支架させる時間をずらす面取り加工プログラムとすることにより、各々の円筒研削装置500a,500b,500a,500bを同時間帯に稼動させることができ、1台のXRD機を有効に利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の複合面取り加工装置1は、1台のXRD機600、および複数(2〜4台)台の円筒研削装置500の使用でインゴットブロックの円筒研削加工およびオリフラ研削加工できるので、複合面取り加工装置1の1台のXRD機当たりの1時間当たりの面取り加工ワークの生産量を約n倍以上向上させることができる。特に、一対のカップホイール型砥石(10g,10g)でワークの円筒研削加工を行うので、特許文献5記載のXDR機付き円筒研削装置1台当たりのワークの円筒研削加工時間を1/2に短縮できる。
【符号の説明】
【0071】
1 複合面取り加工装置
w ワーク(円柱状サファイア・インゴットブロック)
100 第一案内レール
200 搬送ロボット
300,400 貯蔵棚
500 円筒研削装置
4 ワークテーブル
6 第二案内レール
7 クランプ機構
7a 主軸台
7b 心押台
8 ロードポート
10 第一研削ステージ
10g カップホイール型円筒研削砥石
11 第二研削ステージ
11g カップホイール型円筒研削砥石
13 オートローダー機器
14 ワークストッカー
600 XRD機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向に延びた第一案内レール(100)上を滑走できる搬送ロボット(200)、
上記第一案内レールの右端に設けられた円柱状インゴットブロック(ワーク)の第一貯蔵棚(300)、
上記第一案内レールの左端に設けられたオリフラ加工されたワーク(最終加工製品)の第二貯蔵棚(400)、
前記搬送ロボットの滑走用第一案内レール(100)に対し、後ろ側に1台のX線回析結晶方位測定装置(600)を挟んでその左右に円筒研削装置(500,500)を間隔を空けて併設した面取り加工装置群、
より構成されるワークの複合面取り加工装置(1)であって、
上記の円筒研削装置(500)は、前後方向に延びる第二案内レール(3,3)上を滑走できる芯出し機能を備えた主軸台(7a)と心押台(7b)よりなるクランプ装置(7)を載置する移動テーブル(4)を設けとともに、前記クランプ装置の支持軸(7a,7b)に支架されるワークのC軸に対し直角方向に、かつ、C軸を挟んで一対の円筒研削用カップホイール型砥石(10g,10g)を軸承する砥石軸を前進後退可能に設けるとともに、オートローダー機器(13)およびワークストッカー(14)を備え、前記ワークストッカー(14)と前記オートローダー機器(13)と前記クランプ装置(7)とでワークローディング/アンローディングステージを構成し、前記クランプ装置(7)と前記一対の円筒研削用カップホイール型砥石(10g,10g)を軸承する砥石軸とでワークの円筒研削ステージおよびオリフラ研削加工ステージを構成する円筒研削装置(500)である、
ことを特徴とする複合面取り加工装置(1)。
【請求項2】
請求項1記載の複合面取り加工装置(1)を用い、円筒研削装置(500)の一対の円筒研削用カップホイール型砥石(10g,10g)で円柱状インゴットブロック(ワーク)を円筒研削加工した後に、X線回析結晶方位測定装置(600)でワークの結晶方位を測定、マーキングし、ついで、マーキングされたワークを前記円筒研削装置(500)のクランプ装置(7)に戻し、一方の円筒研削用カップホイール型砥石(10g)を用いてオリフラ研削加工を実施することを特徴とする、ワークの複合面取り加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−38111(P2013−38111A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170615(P2011−170615)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(391011102)株式会社岡本工作機械製作所 (161)
【Fターム(参考)】