説明

冷却装置

【課題】現状のラジエータや一体型ラジエータの大型化をしなくても、効果的な電気機器の冷却を可能とする冷却装置を提供する。
【解決手段】車両の走行源となる走行用モータ20と、走行用モータ20に関連して電力を出力する出力用機器30とを備える電機機器20、30の少なくとも一部を冷却する冷却装置であって、電気機器20、30は、車両の走行源として更にエンジン10を備える場合の、エンジン冷却回路11を循環するエンジン冷却水、あるいは電気機器20、30を冷却するために専用に設けられた専用冷却回路41を循環する専用冷却水のうち、いずれか一方の冷却水と、車両の室内空調用の冷凍サイクル60内を循環する低圧冷媒と、によって冷却されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばハイブリッド自動車、あるいは電気自動車における走行用モータ、およびインバータ等の電気機器を冷却する冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電気機器の冷却装置として、例えば特許文献1に示されるものが知られている。即ち、特許文献1の冷却装置は、エンジンとモータジェネレータとを走行用駆動源とするハイブリッド自動車において、モータジェネレータ、およびその制御機器(インバータ等)を冷却する装置となっている。特許文献1のインバータは、高耐熱性のSiC(シリコンカーバイト)系パワー素子によって構成されており、インバータ、およびモータジェネレータは、ラジエータを備えるエンジン冷却系回路の途中に配置されて、エンジンの冷却水によって冷却されるようになっている。
【0003】
また、例えば特許文献2のように、ハイブリッド自動車における電気部品群(走行モータ用インバータ、DC/DCコンバータ、エアコンインバータ等)を冷却するために、専用のEV冷却水回路が設けられた冷却装置が知られている。EV冷却水回路は、エンジン用ラジエータを備えるエンジン冷却水回路とは独立して設けられており、EVラジエータにEV冷却水が循環する回路となっている。そして、電気部品群は、このEV冷却水回路の途中に配置されて、EV冷却水によって冷却されるようになっている。尚、EVラジエータは、エンジン用ラジエータの下方側に配置されて、エンジン用ラジエータと一体的に形成されて、一体型ラジエータとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−199986号公報
【特許文献2】特開2004−203280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年の車両においては、車室内スペースを拡大するために、更には車両外観デザインを優先するために、エンジンルーム内スペースは非常に厳しい(狭い)ものとなっており、冷却に必要とされるラジエータや一体型ラジエータの体格を確保して搭載すること自体が困難な状況にある。このような状況下でも電気機器の信頼性確保のために、充分な冷却を可能とする冷却装置が望まれている。
【0006】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、現状のラジエータや一体型ラジエータの大型化をしなくても、効果的な電気機器の冷却を可能とする冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0008】
請求項1に記載の発明では、車両の走行源となる走行用モータ(20)と、走行用モータ(20)に関連して電力を出力する出力用機器(30)とを備える電気機器(20、30)の少なくとも一部を冷却する冷却装置であって、
電気機器(20、30)は、
車両の走行源として更にエンジン(10)を備える場合の、エンジン冷却回路(11)を循環するエンジン冷却水、あるいは電気機器(20、30)を冷却するために専用に設けられた専用冷却回路(41)を循環する専用冷却水のうち、いずれか一方の冷却水と、
車両の室内空調用の冷凍サイクル(60)内を循環する低圧冷媒と、によって冷却されることを特徴としている。
【0009】
この発明によれば、冷却水に加えて、冷凍サイクル(60)の低圧冷媒によっても電気機器(20、30)を冷却することができ、冷却能力を向上させることができるので、エンジン冷却回路(11)、あるいは専用冷却回路(41)に設けられる熱交換器(12、42)の大型化をしなくても、効果的な電気機器(20、30)の冷却が可能となる。
【0010】
請求項2に記載の発明では、冷却水は、電気機器(20、30)の上流側で分流されており、
分流された冷却水の一方は、電気機器(20、30)の冷却用に直接供給され、
分流された冷却水の他方は、低圧冷媒によって冷却された後に電気機器(20、30)の冷却用に供給されることを特徴としている。
【0011】
この発明によれば、分流された冷却水の一方は、エンジン冷却回路(11)におけるエンジン冷却水、あるいは専用冷却回路(41)の専用冷却水の温度をもって電気機器(20、30)を冷却できる。更に、分流された冷却水の他方は、低圧冷媒によって温度低下されたものとなり、この温度低下された冷却水によって効果的に電気機器(20、30)を冷却することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、更に、電気機器(20、30)を冷却するための別の冷却回路(51)を備えており、
別の冷却回路(51)を循環する別回路用冷却水が、低圧冷媒によって冷却された後に電気機器(20、30)の冷却用に供給されることを特徴としている。
【0013】
この発明によれば、エンジン冷却回路(11)あるいは専用冷却回路(41)に加えて、別の冷却回路(51)を備えるものにおいて、別回路用冷却水を低圧冷媒によって冷却することができ、エンジン冷却水あるいは専用冷却水による冷却に加えて、更に冷媒によって冷却された別回路用冷却水によっても電気機器(20、30)を冷却することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明では、冷却水は、低圧冷媒によって冷却された後に電気機器(20、30)の冷却用に供給されることを特徴としている。
【0015】
この発明によれば、エンジン冷却水あるいは専用冷却水の温度を低温冷媒によって低下させることができるので、エンジン冷却水あるいは専用冷却水だけで電気機器(20、30)を冷却する場合に比べて、効果的に電気機器(20、30)を冷却することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明では、冷却水が流れるエンジン冷却回路(11)あるいは専用冷却回路(41)の本来の流路(11、41)に対して、電気機器(20、30)の上流側でバイパスするバイパス流路(15、45)と、
本来の流路(11、41)、あるいはバイパス流路(15、45)への流路切替えを行う切替え手段(16、46)とを備え、
バイパス流路(15、45)を流通する冷却水が、低圧冷媒によって冷却されるようになっており、
切替え手段(16、46)によって、冷却水が本来の流路(11、41)からバイパス流路(16、46)に流通されて、冷却水が低圧冷媒によって冷却されることを特徴としている。
【0017】
この発明によれば、本来の流路(11、41)からバイパス流路(15、45)へ冷却水の流れを切替えることで、必要に応じた電気機器(20、30)の冷却が可能となる。即ち、通常時は、本来の流路(11、41)に冷却水を流し、本来の冷却水の温度をもって電気機器(20、30)を冷却する。また、より効果的に電気機器(20、30)を冷却したい場合は、バイパス流路(15、45)へ冷却水を流すことで、低圧冷媒によって冷却水の温度を低下させて、温度低下した冷却水によって電気機器(20、30)を冷却することができる。よって、低圧冷媒の冷熱を無駄に使用することがない。
【0018】
請求項6に記載の発明では、低圧冷媒が流通する低圧配管(66)が、電気機器(20、30)の外部に接触、あるいは電気機器(20、30)の内部を貫通しており、
低圧冷媒が、低圧配管(66)によって電気機器(20、30)の冷却用に供給されることを特徴としている。
【0019】
この発明によれば、主に冷凍サイクル(60)の低圧配管(66)の取り回しを変更することで低圧冷媒を用いた電気機器(20、30)の効果的な冷却が可能となり、対応が容易である。
【0020】
請求項7に記載の発明では、電気機器(20、30)における冷却水の温度を検出する温度検出手段(81)を備え、
温度検出手段(81)によって検出された冷却水温度(Tb)が、予め定められた閾値(T1)を超えた時に、冷凍サイクル(60)の圧縮機(61)が停止されている場合には圧縮機(61)を作動させ、あるいは圧縮機(61)が作動されている場合には圧縮機(61)の吐出能力を上げる制御手段(90)を備えることを特徴としている。
【0021】
この発明によれば、冷却水温度(Tb)が予め定められた閾値(T1)を超えた時に、電気機器(20、30)を効果的に冷却したい場合に、圧縮機(61)が停止されていると、圧縮機(61)を作動させることで低圧冷媒の温度を下げることができ、冷却水温度(Tb)を効果的に下げることができる。また、圧縮機(61)が作動されていると、圧縮機(61)の吐出能力を上げることで低圧冷媒の温度を下げることができ、冷却水温度(Tb)を効果的に下げることができる。よって、低圧冷媒の冷熱を無駄に使用することなく、冷却水温度(Tb)が予め定められた閾値(T1)を超えた時に、効果的な電気機器(20、30)の冷却が可能となる。
【0022】
請求項8に記載の発明では、電気機器(20、30)における冷却水の温度を検出する第1温度検出手段(81)と、
バイパス流路(15、45)を流通して、低圧冷媒によって冷却される前の冷却水の温度を検出する第2温度検出手段(82)とを備え、
第1温度検出手段(81)によって検出された冷却水温度(Tb)が、予め定められた第1閾値(T1)を超えた時に、切替え手段(16、46)によって、冷却水を本来の流路(11、41)からパイパス流路(15、45)に流すように切替え、
第2温度検出手段(82)によって検出された冷却水温度(Ta)が、第1閾値よりも低い側に予め定められた第2閾値(T2)を超えた時に、冷凍サイクル(60)の圧縮機(61)が停止されている場合には圧縮機(61)を作動させ、あるいは圧縮機(61)が作動されている場合には圧縮機(61)の吐出能力を上げる制御手段(90)を備えることを特徴としている。
【0023】
この発明によれば、電気機器(20、30)における冷却水の温度(Tb)が第1閾値(T1)を超えた時に、冷却水は切替え手段(16、46)によってバイパス流路(15、45)に流通される。そして、バイパス流路(15、46)を流通する冷却水の温度(Ta)が第2閾値(T2)を超えた時に、圧縮機(61)が停止されていると、圧縮機(61)を作動させることで低圧冷媒の温度を下げることができ、冷却水温度(Ta)を効果的に下げることができる。また、圧縮機(61)が作動されていると、圧縮機(61)の吐出能力を上げることで低圧冷媒の温度を下げることができ、冷却水温度(Ta)を効果的に下げることができる。そして温度低下された冷却水によって電気機器(20、30)を効果的に冷却することができる。よって、低圧冷媒の冷熱を無駄に使用することなく、冷却水温度(Ta)が第2閾値(T2)を超えた時に、効果的な電気機器(20、30)の冷却を可能とすることができる。
【0024】
請求項9に記載の発明では、冷却水を低圧冷媒によって冷却する二重管式の熱交換器(72)を備えることを特徴としている。
【0025】
この発明によれば、二重管式の熱交換器(72)は、外管および内管の間に冷却水あるいは低圧冷媒の一方を流し、内管の内側に冷却水あるいは低圧冷媒の他方を流して熱交換することができるので、冷却回路(11、41)を流通する冷却水と低圧配管(66)を流通する低圧冷媒とを熱交換させるために、通常の熱交換器を用いる場合に比べて小さなスペースでの対応を可能とすることができ、車両への搭載性を損なうことがない。
【0026】
請求項10に記載の発明では、電気機器(20、30)は、走行用モータ(20)の回転速度を制御するインバータ(30)であることを特徴としている。
【0027】
この発明によれば、電気機器(20、30)の中でもインバータ(30)は、重要な電気機器(20、30)であり、効果的な冷却によって、信頼性を充分に高めることができる。
【0028】
尚、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1実施形態における冷却装置を示す全体構成図である。
【図2】図1におけるインバータを示す詳細図である。
【図3】第1実施形態において制御装置が冷却制御を実行する際に使用されるフローチャートである。
【図4】第1実施形態の変形例1における冷却装置を示す全体構成図である。
【図5】第1実施形態の変形例2における冷却装置を示す全体構成図である。
【図6】第1実施形態の変形例3における冷却装置を示す全体構成図である。
【図7】第2実施形態における冷却装置を示す全体構成図である。
【図8】第2実施形態の変形例1における冷却装置を示す全体構成図である。
【図9】第2実施形態の変形例2における冷却装置を示す全体構成図である。
【図10】第2実施形態の変形例3における冷却装置を示す全体構成図である。
【図11】第3実施形態における冷却装置を示す全体構成図である。
【図12】第3実施形態において制御装置が冷却制御を実行する際に使用されるフローチャートである。
【図13】第3実施形態の変形例1における冷却装置を示す全体構成図である。
【図14】第3実施形態の変形例2における冷却装置を示す全体構成図である。
【図15】第3実施形態の変形例3における冷却装置を示す全体構成図である。
【図16】第4実施形態における冷却装置を示す全体構成図である。
【図17】第4実施形態の変形例1における冷却装置を示す全体構成図である。
【図18】第4実施形態の変形例2における冷却装置を示す全体構成図である。
【図19】第4実施形態の変形例3における冷却装置を示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0031】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を図1〜図3に示す。図1は冷却装置100Aを示す全体構成図、図2は図1におけるインバータ30を示す詳細図、図3は制御装置90が冷却制御を実行する際に使用されるフローチャートである。冷却装置100Aは、走行用駆動源として走行用モータ(モータジェネレータ)20を備える、例えばハイブリッド自動車あるいは燃料電池自動車等のいわゆる広義の電気自動車(EV)に適用されるものであって、走行用モータ20に関連する電気機器を冷却するための装置となっている。ここで電気機器とは、走行用モータ20自身、およびこの走行用モータ20に関連して電力を出力する、例えばインバータ30、DC/DCコンバータ(図示せず)等の出力用機器を総称したものである。
【0032】
第1実施形態の冷却装置100Aは、走行用駆動源としてエンジン10、および走行用モータ20の両者を備えるハイブリッド自動車に適用されて、エンジン冷却回路11のエンジン冷却水および冷凍サイクル60の低圧冷媒を用いて、電気機器としてのインバータ30を主に冷却するものとしている。インバータ30の冷却用には冷却器32、35、および熱交換器71が用いられている。そして、インバータ30の冷却は制御装置90によって制御されるようになっている。
【0033】
エンジン10には、エンジン10を冷却するエンジン冷却水が外部に流出して、再び内部に戻るように循環するエンジン冷却回路11が設けられている。エンジン冷却回路11の途中部位には、ラジエータ12が設けられている。ラジエータ12は、エンジン冷却水が流通するチューブと、放熱面積を拡大するための波形フィンとが交互に積層されて形成される熱交換部(コア部)を有しており、車両のエンジンルームの前方で、グリルの後方に配置されている。ラジエータ12は、グリルから流入される外部空気と、チューブ内を流通するエンジン冷却水との間で熱交換し、エンジン冷却水を冷却するようになっている。そして、エンジン冷却回路11のエンジン流入側には、エンジン冷却水を循環させるためのポンプ13が設けられている。
【0034】
更に、エンジン冷却回路11には、ラジエータ12の流出側から分岐して、後述する走行用モータ20の入口側に合流する分岐流路14が形成されており、ラジエータ12から流出されたエンジン冷却水は、分流して本来の流路11と、分岐流路14との両者を並列に流れるようになっている。本来の流路11を流れるエンジン冷却水は、分流された一方の冷却水に対応し、分岐流路14を流れる冷却水は、分流された他方の冷却水に対応する。
【0035】
走行用モータ20は、電気機器を構成する例えば3相交流式の回転機械であって、走行用駆動源としてのモータの機能に加えて、車両の走行条件に応じて発電機能も果たすモータジェネレータが採用されている。走行用モータ20は、上記エンジン冷却回路11におけるポンプ13の上流側に配置されている。つまり、走行用モータ20の内部においては、冷却用のオイルが循環されるようになっており、走行用モータ20の内部の下側に設けられたオイル溜まりの位置に対応する外部表面に、ポンプ13の上流側部位となるエンジン冷却回路11が接触している。
【0036】
インバータ30は、走行用モータ20の回転速度を制御する機器であり、図示しない車両用バッテリから直流電圧を受けて、スイッチング素子のオン−オフによって、その直流電圧を例えば3相の交流電圧に変換して、更に後述する制御装置90(モータ制御部)の指令に応じて電圧変換し、走行用モータ20に出力する。
【0037】
図2に示すように、インバータ30は、高発熱部品(上記スイッチング素子)31、冷却器32、低発熱部品(リアクトル、フォトカプラ等)33、基盤34、冷却器35等が筐体36内に収容されて形成されている。
【0038】
高発熱部品31は、上記のようなスイッチング素子であり、オン−オフ作動によって電圧変換する部品である。高発熱部品31は、オン−オフ作動による電力ロスを伴い、発熱する発熱源となりうるものであり、冷却器32の上面に当接するように固定されている。冷却器32は、扁平状の容器体を成す熱交換器であり、内部にエンジン冷却水が流通可能となる内部流路が形成されている。冷却器32の内部流路には、エンジン冷却回路11において、ラジエータ12から流出して本来の流路11を流れ、走行用モータ20に至る間のエンジン冷却水が流通するようになっている。冷却器32の内壁には、複数の凸状部が例えば千鳥状に配置されて、エンジン冷却水の流れに乱れを起して、熱伝達率が向上されるようになっている。
【0039】
低発熱部品33は、上記高発熱部品31の作動を制御する制御部を構成するものであり、基盤34の上面に当接するように固定されている。更に、基盤34は、冷却器35の上面に当接するように固定されている。冷却器35は、上記冷却器32と同様の構造にて形成された熱交換器である。冷却器35の内部には、エンジン冷却回路11において、ラジエータ12から流出して分岐流路14を流れ、走行用モータ20に至る間のエンジン冷却水が流通するようになっている。
【0040】
冷凍サイクル60は、車両室内の空調装置を構成すると共に、空調空気を冷却するサイクル装置であり、圧縮機61、凝縮器62、膨張弁63、および蒸発器64が冷媒配管65によって環状に接続されて形成されている。圧縮機61は、サイクル内の冷媒を高温高圧に圧縮機して吐出する流体機械であり、エンジン10の近傍に配置されている。圧縮機61の作動は後述する制御装置90(空調制御部)によって制御されるようになっている。
【0041】
凝縮器62は、圧縮機61から吐出された高温高圧の冷媒を外部空気との熱交換によって冷却して凝縮液化させる熱交換器である。凝縮器62は、ラジエータ12と同様にチューブおよびフィンから成るコア部を有しており、エンジンルーム内で、グリルとラジエータ12との間に配設されている。膨張弁63は、凝縮器62から流出される液相冷媒を減圧膨張させて、低温低圧にする減圧装置である。蒸発器64は、膨張弁63によって低温に減圧された冷媒と、空調空気との間で熱交換し、冷媒を蒸発させて空調空気を冷却する熱交換器である。
【0042】
冷凍サイクル60においては、圧縮機61の吐出側から膨張弁63の流入側に至る間が圧縮機61によって冷媒が高圧に圧縮された高圧領域となっており、また、膨張弁63の流出側から圧縮機61の吸入側に至る間が膨張弁63によって減圧された低圧領域となっている。ここでは、低圧領域における冷媒配管を低圧配管66としている。低圧配管66を流通する冷媒を以下、低圧冷媒と呼ぶ。そして、分岐流路14の冷却器35の上流側と、低圧配管66の蒸発器64の下流側との間には、熱交換器71が設けられている。
【0043】
熱交換器71は、例えば分岐流路14と低圧配管66との間に高熱伝導性部材が介在されて形成されたものであり、分岐流路14を流通するエンジン冷却水の熱が、低圧配管66を流通する低圧冷媒に伝達されるようになっている。即ち、分岐流路14を流通するエンジン冷却水が低圧冷媒によって冷却されるようになっている。尚、熱交換器71は、分岐流路14と低圧配管66とを所定距離間において、直接的に互いに接触させたものとしても良い。あるいは、熱交換器71は、近接して並列配置される2つの流路を有し、それぞれの流路にエンジン冷却水、低圧冷媒が流通されるようにしたものとしても良い。
【0044】
インバータ30の冷却器32の外表面には、高発熱部品31によって温度上昇されたエンジン冷却水の温度を検出する温度検出手段としての温度センサ81が設けられている。温度センサ81によって検出された温度信号(冷却水温度Tb)は、後述する制御装置90に出力されるようになっている。
【0045】
制御手段としての制御装置90は、車両走行時におけるインバータ30、および空調装置の作動要求に応じて冷凍サイクル60の圧縮機61の作動を制御すると共に、特にインバータ30の冷却が充分に必要とされる場合に、温度センサ81からの温度信号に応じて、圧縮機61の作動を制御して効果的なインバータ30の冷却を行うようになっている(詳細後述)。
【0046】
次に、上記構成に基づく冷却装置100Aの作動および作用効果について、図3のフローチャートを加えて説明する。
【0047】
車両走行時(作動時)においては、エンジン10および走行用モータ20が作動されて、両者の駆動トルクが図示しない動力分配機構(例えば遊星歯車)によって足し合わされて、駆動軸に出力される。車両の走行条件に応じて、例えば低速走行時は走行用モータ20が主となって車両は駆動され、また、高速走行時はエンジン10が主となって車両は駆動され、更に高負荷走行時にはエンジン10と走行用モータ20とによって車両は駆動される。
【0048】
エンジン10の作動に伴いポンプ13も作動され、分岐流路14を含むエンジン冷却回路11にはエンジン冷却水が循環する。そして、ラジエータ12によってエンジン冷却水は冷却され、エンジン10は適切な温度に制御される。この時、エンジン冷却水の循環に伴って、インバータ30における冷却器32と、冷却器35内をエンジン冷却水が流通し、冷却器32によって高発熱部品31が冷却され、また、冷却器35によって低発熱部品33が冷却され、総じてインバータ30が冷却されることになる。更に、エンジン冷却回路11においてインバータ30の下流側となる走行用モータ20もエンジン冷却水によって、冷却されることになる。
【0049】
また、乗員の要求によって空調装置のスイッチ(空調要求)が投入されると、制御装置90は、圧縮機61を作動させて、冷凍サイクル60内の冷媒を循環させて、蒸発器64による空調空気の冷却を行う。この時、分岐流路14を流通するエンジン冷却水は、熱交換器71(低圧配管66の低圧冷媒)によって冷却され温度低下する。インバータ30の低発熱部品33は、この温度低下されたエンジン冷却水によって効果的に冷却されることになる。つまり、インバータ30は、通常のエンジン冷却水と、冷凍サイクル60の低圧冷媒とによって冷却されるのである。
【0050】
ここで、上記エンジン冷却水によってインバータ30が冷却されている中で、ラジエータ12から流出されるエンジン冷却水自体の温度が高い場合、また、冷凍サイクル60の作動条件によっては、低圧冷媒によってエンジン冷却水の冷却が充分得られないような場合等が考えられ、本実施形態では、常に好適なインバータ30の冷却が可能となるように、以下のような制御を行うようにしている。
【0051】
即ち、図3のフローチャートにおいて、制御装置90は、まず、ステップS100で、温度センサ81から得られる冷却水温度Tbが、予め定められた閾値T1よりも高いか否かを判定する。閾値T1は、インバータ30の信頼性を維持するために制御すべきエンジン冷却水の上限温度(例えば105℃)として予め定められたものである。
【0052】
ステップS100で肯定判定すると、次にステップS110で、圧縮機61が作動状態にあるか否かを判定する。圧縮機61が作動していないと、分岐流路14において低温の低圧冷媒によるエンジン冷却水の冷却が行えず、また、圧縮機61が作動していても冷房負荷が低いと、圧縮機61による冷媒吐出量が抑えられて低圧冷媒の流量が少なくなり、分岐流路14におけるエンジン冷却水の冷却が充分に行えない。
【0053】
よって、ステップS110で否の判定、即ち圧縮機61が作動状態にないと判定すると、制御装置90は、ステップS120で、乗員の空調要求がないにもかかわらず、圧縮機61を意図的に作動させる。すると、冷凍サイクル60内を冷媒が循環して、低圧配管66に低圧冷媒が流通し、分岐流路14におけるエンジン冷却水が冷却され、インバータ30が効果的に冷却されることになる。そして、ステップS130で冷却水温度Tbが閾値T1以下となったか否かを監視し、閾値T1以下となれば、ステップS140で圧縮機61を停止させる。
【0054】
一方、ステップS110で、圧縮機61は作動状態にあると判定すると、制御装置90は、ステップS150で、空調に必要とされる現状の圧縮機61の吐出能力、つまり冷媒吐出量を意図的に増加させる。すると、冷凍サイクル60内を循環する冷媒流量が増加して、低圧配管66における低圧冷媒流量が増加し、分岐流路14におけるエンジン冷却水の温度低下が大きくなり、インバータ30が効果的に冷却されることになる。そして、ステップS160で、冷却水温度Tbが閾値T1以下となったか否かを監視し、閾値T1以下となれば、ステップS170で圧縮機61の冷媒吐出量をもとに戻す。
【0055】
以上のように、本実施形態では、エンジン冷却水に加えて、冷凍サイクル60の低圧冷媒も活用して電気機器を構成するインバータ30を冷却するようにしている。具体的には、エンジン冷却回路11を途中で分流させて分岐流路14を形成し、本来のエンジン冷却回路11を流通するエンジン冷却水でインバータ30を冷却すると共に、分岐流路14を流通するエンジン冷却水を低圧冷媒で冷却した後に、温度低下されたエンジン冷却水で更にインバータ30を冷却している。
【0056】
よって、通常のエンジン冷却水に加えて、冷凍サイクル60の低圧冷媒によってもインバータ30を冷却することができ、冷却能力を向上させることができるので、エンジン冷却回路11におけるラジエータ12の大型化をしなくても、効果的なインバータ30の冷却が可能となるのである。
【0057】
(第1実施形態の変形例1)
第1実施形態の変形例1における冷却装置100Bを図4に示す。第1実施形態の変形例1(図4)は、上記第1実施形態(図1)に対して、分岐流路14を流通するエンジン冷却水と、低圧配管66における低圧冷媒との間で熱交換する熱交換器71を二重管式の水冷媒熱交換器72としたものである。
【0058】
二重管式の水冷媒熱交換器72は、外管の内側に同心となるように内管が配置されると共に、外管の長手方向両端部が内管の外周面との間で閉塞され、外管と内管との間に外側流路が形成され、また、内管の内部に内側流路が形成された熱交換器である。外管の長手方向両端部近傍には、外側流路に対して連通する流入口、流出口が設けられている。
【0059】
第1実施形態の変形例1(図4)においては、流入口、流出口が分岐流路14と接続されて、外側流路に分岐流路14を流通するエンジン冷却水が流通するようになっている。また、内管の長手方向両端部は、低圧配管66と接続されて、内側流路に低圧冷媒が流通するようになっている。
【0060】
第1実施形態の変形例1(図4)によれば、二重管式の水冷媒熱交換器72においては、外側流路にエンジン冷却水を流し、内部流路に低圧冷媒を流して熱交換することができる。特に内管と低圧配管66とを接続することで、低圧冷媒が内側流路を流通する熱交換器とすることができるので、低圧配管66をそのまま活用するような形にすることができ、通常の熱交換器を用いる場合に比べて小さなスペースでの対応を可能とすることができるので、車両への搭載性を損なうことがない。
【0061】
(第1実施形態の変形例2)
第1実施形態の変形例2における冷却装置100Cを図5に示す。第1実施形態の変形例2(図5)は、上記第1実施形態(図1)に対して、インバータ30を冷却する基本の冷却水としてラジエータ冷却回路11を循環するラジエータ冷却水に代えて、EV冷却回路41を循環するEV冷却水としたものである。
【0062】
EV冷却回路41は、エンジン冷却回路11とは別に専用冷却回路として形成されたものであり、EVポンプ43によって内部のEV冷却水が環状の流路を循環するようになっている。EVポンプ43は、車両走行時(作動時)には、常時作動状態とされるようになっている。EVポンプ43の上流側には、走行用モータ20が配置されて、走行用モータ20の外部表面がEV冷却回路41に接触するようになっている。
【0063】
また、冷却回路41の途中部位であり、EVポンプ43の下流側には、EVラジエータ42が設けられている。EVラジエータ42は、EV冷却水が流通するチューブと、放熱面積を拡大するための波形フィンとが交互に積層されて形成される熱交換部(コア部)を有しており、ラジエータ12の下側に配置されている。EVラジエータ42は、グリルから流入される外部空気と、チューブ内を流通するEV冷却水との間で熱交換し、EV冷却水を冷却するようになっている。図5では、EVラジエータ42は、ラジエータ12に対して独立したラジエータとして形成されているが、ラジエータ12と一体的に形成されるものとしても良い。
【0064】
更に、EV冷却回路41には、EVラジエータ42の流出側から分岐して、走行用モータ20の入口側に合流するEV分岐流路44が形成されており、EVラジエータ42から流出されたEV冷却水は、分流して本来の流路41と、EV分岐流路44との両者を並列に流れるようになっている。本来の流路41を流れるエンジン冷却水は、本発明の分流された一方の冷却水に対応し、EV分岐流路44を流れる冷却水は、本発明の分流された他方の冷却水に対応する。
【0065】
インバータ30の冷却器32の内部には、EV冷却回路41において、EVラジエータ42から流出して本来の流路41を流れ、走行用モータ20に至る間のEV冷却水が流通するようになっている。また、冷却器35の内部には、EV冷却回路41において、EVラジエータ42から流出してEV分岐流路14を流れ、走行用モータ20に至る間のエンジン冷却水が流通するようになっている。
【0066】
本第1実施形態の変形例2(図5)は、冷却水としてエンジン冷却水に代えて、専用のEV冷却水としたものであり、基本的な作動および作用効果は上記第1実施形態(図1)と同一である。
【0067】
尚、本第1実施形態の変形例2(図5)では、エンジン冷却水に代えて、専用のEV冷却水を用いるものとしているので、エンジン10の冷却条件に関係なく、EV冷却水の温度設定が可能であり、図3で説明したフローチャートにおいて、冷却水温度Tbを判定する際の閾値T1は、第1実施形態の場合に比べて低い値(例えば65℃)に設定して対応する。本第1実施形態の変形例2(図5)では、実質的に、エンジン冷却水よりも低い温度のEV冷却水による対応が可能であり、インバータ30の冷却が容易となる。
【0068】
(第1実施形態の変形例3)
第1実施形態の変形例3における冷却装置100Dを図6に示す。第1実施形態の変形例3(図6)は、上記第1実施形態の変形例2(図5)に対して、EV分岐流路44を流通するEV冷却水と、低圧配管66を流通する低圧冷媒との間で熱交換する熱交換器71を二重管式の水冷媒熱交換器72としたものである。水冷媒熱交換器72は、上記第1実施形態の変形例1(図4)で説明したものと同一である。
【0069】
第1実施形態の変形例3(図6)の作動および作用効果は、上記第1実施形態の変形例2(図5)と同一である。
【0070】
(第2実施形態)
第2実施形態における冷却装置100Eを図7に示す。第2実施形態(図7)は、上記第1実施形態(図1)に対して、分岐流路14を廃止すると共に、別の冷却回路としてEV冷却回路51を設け、EV冷却回路51を循環するEV冷却水を低圧冷媒で冷却し、温度低下されたEV冷却水と、エンジン冷却回路11を循環するエンジン冷却水とによってインバータ30を冷却するようにしたものである。
【0071】
EV冷却回路51は、エンジン冷却回路11、およびEV冷却回路41(図1、図5)とは別の冷却回路として形成されたものであり、EVポンプ52によって内部のEV冷却水が環状の流路を循環するようになっている。EVポンプ52は、車両走行時(作動時)には、常時作動状態とされるようになっている。
【0072】
EV冷却回路51は、EVラジエータ42を備えるEV冷却回路41(図5、図6)とは異なり、EVラジエータ42を備えていない。EV冷却回路51と、冷凍サイクル60の低圧配管66との間には、熱交換器71が設けられている。つまり、EV冷却回路51内を循環するEV冷却水は低圧冷媒によって冷却されて温度低下されるようになっている。そして、熱交換器71によって温度低下されたEV冷却水は、インバータ30の冷却器35の内部を流通するようになっている。尚、冷却器32の内部には、エンジン冷却回路11を循環するエンジン冷却水が流通するようになっている。
【0073】
温度センサ81によって得られる冷却水温度Tbと、圧縮機61の作動状況とに基づく冷却制御の要領は、上記第1実施形態と同一である。ただし、冷却水温度Tbを判定する際の閾値T1は、第1実施形態の場合に比べて低い値(例えば65℃)に設定して対応する。
【0074】
本第2実施形態(図7)では、インバータ30は、エンジン冷却回路11を循環するエンジン冷却水によって冷却されると共に、低圧冷媒によって温度低下されたEV冷却回路51を循環するEV冷却水によって更に冷却されるようなっており、インバータ30の効果的な冷却が可能となる。
【0075】
尚、冷却制御の要領として、冷却器32の温度センサ81に代えて、冷却器35に温度センサを設け、この温度センサによって得られる冷却水温度が予め定められた閾値よりも低い時はEVポンプ52を停止状態としておき、冷却水温度が閾値よりも高い時に、EVポンプ52を作動させると共に、圧縮機61を作動させる、あるいは圧縮機61の吐出量を増加させる制御としても良い。
【0076】
(第2実施形態の変形例1)
第2実施形態の変形例1における冷却装置100Fを図8に示す。第2実施形態の変形例1(図8)は、上記第2実施形態(図7)に対して、EV冷却回路51を循環するEV冷却水と、低圧配管66を流通する低圧冷媒との間で熱交換する熱交換器71を二重管式の水冷媒熱交換器72としたものである。水冷媒熱交換器72は、上記第1実施形態の変形例1(図4)で説明したものと同一である。
【0077】
第2実施形態の変形例1(図8)の作動および作用効果は、基本的に上記第2実施形態(図7)と同一であり、更に、搭載性に優れる水冷媒熱交換器72を用いたインバータ30の効果的な冷却が可能となる。
【0078】
(第2実施形態の変形例2)
第2実施形態の変形例2における冷却装置100Gを図9に示す。第2実施形態の変形例2(図9)は、上記第2実施形態(図7)に対して、インバータ30を冷却する基本の冷却水(冷却器32を流通する冷却水)としてエンジン冷却回路11を循環するエンジン冷却水に代えて、EV冷却回路41を循環するEV冷却水としたものである。
【0079】
本第2実施形態の変形例2(図9)では、インバータ30は、EV冷却回路41を循環するEV冷却水によって冷却されると共に、低圧冷媒によって温度低下されたEV冷却回路51を循環するEV冷却水によって更に冷却されるようなっており、インバータ30の効果的な冷却が可能となる。
【0080】
(第2実施形態の変形例3)
第2実施形態の変形例3における冷却装置100Hを図10に示す。第2実施形態の変形例3(図10)は、上記第2実施形態の変形例2(図9)に対して、EV冷却回路51を循環するEV冷却水と、低圧配管66を流通する低圧冷媒との間で熱交換する熱交換器71を二重管式の水冷媒熱交換器72としたものである。水冷媒熱交換器72は、上記第1実施形態の変形例1(図4)で説明したものと同一である。
【0081】
第2実施形態の変形例3(図10)の作動および作用効果は上記第2実施形態の変形例2(図9)と同一であり、更に、搭載性に優れる水冷媒熱交換器72を用いたインバータ30の効果的な冷却が可能となる。
【0082】
(第3実施形態)
第3実施形態における冷却装置100Iを図11に示す。第3実施形態(図11)は、上記第1実施形態(図1)に対して、分岐流路14を廃止すると共に、エンジン冷却回路11にバイパス流路15を設け、このバイパス流路15を流通するエンジン冷却水を低圧冷媒で冷却し、温度低下されたエンジン冷却水によってインバータ30を冷却するようにしたものである。
【0083】
エンジン冷却回路11において、ラジエータ12の流出側、且つインバータ30の上流側には、本来の流路11(図11中のB)に対してバイパスするバイパス流路15(図11中のA)が形成されている。本来の流路11を流通するエンジン冷却水は、インバータ30の冷却器32内を流通するようになっている。尚、本第3実施形態(図11)では、インバータ30の冷却器35は廃止されている。
【0084】
また、本来の流路11からバイパス流路15に分岐する分岐点には、三方切替え弁16が設けられている。三方切替え弁16は、内部に設けられた弁体の弁開度が制御装置90によって制御されて、エンジン冷却水を本来の流路11(B)に流す場合と、バイパス流路15(A)に流す場合とに切替え可能としている。そして、バイパス流路15の途中部位と、低圧配管66の蒸発器64の下流側との間には、熱交換器71が設けられている。
【0085】
更に、バイパス流路15の熱交換器71の上流側には、バイパス流路15を流通して、熱交換器71によって熱交換される前のエンジン冷却水の温度を検出する温度センサ82が設けられている。温度センサ82によって検出された温度信号(冷却水温度Ta)は、制御装置90に出力されるようになっている。第1実施形態(図1)で説明したインバータ30の冷却器32における温度センサ81は、本発明の第1温度検出手段に対応し、バイパス流路15における温度センサ82は、本発明の第2温度検出手段に対応する。
【0086】
第3実施形態(図11)においては、図12に示すフローチャートに基づいて冷却制御が実行される。図12に示すフローチャートは、第1実施形態で説明したフローチャート(図3)に対して、ステップS100とステップS110との間にステップS101〜ステップS103を追加すると共に、ステップS140、ステップS170をそれぞれステップS141、ステップS171に変更したものである。
【0087】
制御装置90は、ステップS100で、温度センサ81から得られるインバータ30における冷却水温度Tbが閾値T1以下であると判定すると、ステップS102で、三方切替え弁16の弁開度を制御し、エンジン冷却水が本来の流路11(B)を流通するようにする。つまり、冷却水温度Tbが閾値T1よりも低く、インバータ30の温度が適切に維持されている状態においては、インバータ30はエンジン冷却回路11を本来の形で循環するエンジン冷却水のみによって冷却されるようにしている。
【0088】
一方、ステップS100で肯定判定、つまり冷却水温度Tbが閾値T1よりも高いと判定すると、制御装置90はステップS101で、三方切替え弁16の弁開度を制御し、エンジン冷却水がバイパス流路15(A)を流通するようにする。すると、ラジエータ12から流出されたエンジン冷却水は、バイパス流路15を流通してインバータ30の冷却器32を流通する。そして、ステップS103で、温度センサ82から得られるバイパス流路15における冷却水温度Taが閾値T2よりも高いか否かを判定する。閾値T2は、閾値T1よりも低い側の値として設定されるものであり、インバータ30を冷却するために必要とされる温度(例えば100℃)として予め定められたものである。閾値T2は、本発明において閾値T1を第1閾値とした時の第2閾値に対応する。
【0089】
ステップS103で否、つまり冷却水温度Taが閾値T2以下であると判定すると、ステップS100に戻り、上記の制御を繰り返す。しかし、ステップS103で肯定判定、つまり冷却水温度Taが閾値T2よりも高いと判定すると、エンジン冷却水を温度低下させるために、第1実施形態(図3)と同様に、ステップS110以下のステップS120、ステップS130、あるいはステップS150、ステップS160に進む。
【0090】
ステップS120、ステップS130、あるいはステップS150、ステップS160の実行により、バイパス流路15を流通するエンジン冷却水は低圧冷媒によって冷却され、温度低下されたエンジン冷却水によってインバータ30は効果的に冷却されることになる。
【0091】
そして、ステップ130でインバータ30における冷却水温度Tbが閾値T1以下となれば、ステップS141で圧縮機61を停止させると共に、切替え三方弁16の弁開度を制御して、エンジン冷却水が本来の流路11(B)を流通するようにする。また、ステップ160でインバータ30における冷却水温度Tbが閾値T1以下となれば、ステップS171で圧縮機61の冷媒吐出量をもとに戻すと共に、切替え三方弁16の弁開度を制御して、エンジン冷却水が本来の流路11(B)を流通するようにする。
【0092】
以上のように、第3実施形態では、インバータ30における冷却水温度Tbが第1閾値T1を超えた時に、エンジン冷却水は三方切替え弁16によってバイパス流路15に流通される。そして、バイパス流路15における冷却水温度Taが第2閾値T2を超えた時に、圧縮機61が停止されていると、圧縮機61を作動させることで低圧冷媒の温度を下げることができ、冷却水温度Taを効果的に下げることができる。また、圧縮機61が作動されていると、圧縮機61の冷媒吐出量を上げることで低圧冷媒の温度を下げることができ、冷却水温度Taを効果的に下げることができる。そして温度低下されたエンジン冷却水によってインバータ30を効果的に冷却することができる。よって、低圧冷媒の冷熱を無駄に使用することなく、冷却水温度Taが第2閾値T2を超えた時に、効果的なインバータ30の冷却を可能とすることができる。
【0093】
(第3実施形態の変形例1)
第3実施形態の変形例1における冷却装置100Jを図13に示す。第3実施形態の変形例1(図13)は、上記第3実施形態(図11)に対して、バイパス流路15を流通するエンジン冷却水と、低圧配管66を流通する低圧冷媒との間で熱交換する熱交換器71を二重管式の水冷媒熱交換器72としたものである。水冷媒熱交換器72は、上記第1実施形態の変形例1(図4)で説明したものと同一である。
【0094】
第3実施形態の変形例1(図13)の作動および作用効果は、基本的に上記第3実施形態(図11)と同一であり、更に、搭載性に優れる水冷媒熱交換器72を用いたインバータ30の効果的な冷却が可能となる。
【0095】
(第3実施形態の変形例2)
第3実施形態の変形例2における冷却装置100Kを図14に示す。第3実施形態の変形例2(図14)は、上記第3実施形態(図11)に対して、インバータ30を冷却する基本の冷却水(冷却器32を流通する冷却水)としてエンジン冷却回路11を循環するエンジン冷却水に代えて、EV冷却回路41を循環するEV冷却水としたものである。
【0096】
EV冷却回路41において、EVラジエータ42の流出側、且つインバータ30の上流側には、本来の流路41(図14中のB)に対してバイパスするEVバイパス流路45(図14中のA)が形成されている。本来の流路41を流通するエンジン冷却水は、インバータ30の冷却器32内を流通するようになっている。
【0097】
また、本来の流路41からEVバイパス流路45に分岐する分岐点には、三方切替え弁16が設けられている。三方切替え弁16は、内部に設けられた弁体の弁開度が制御装置90によって制御されて、EV冷却水を本来の流路41(B)に流す場合と、EVバイパス流路45(A)に流す場合とに切替え可能としている。そして、EVバイパス流路45の途中部位と、低圧配管66の蒸発器64の下流側との間には、熱交換器71が設けられている。
【0098】
本第3実施形態の変形例2(図14)では、インバータ30は、EV冷却回路41を循環するEV冷却水によって冷却されると共に、EVバイパス流路45を流通して、低圧冷媒によって温度低下されたEV冷却水によって更に冷却されるようなっており、インバータ30の効果的な冷却が可能となる。
【0099】
(第3実施形態の変形例3)
第3実施形態の変形例3における冷却装置100Lを図15に示す。第3実施形態の変形例3(図15)は、上記第3実施形態の変形例2(図14)に対して、バイパス流路45を流通するEV冷却水と、低圧配管66を流通する低圧冷媒との間で熱交換する熱交換器71を二重管式の水冷媒熱交換器72としたものである。水冷媒熱交換器72は、上記第1実施形態の変形例1(図4)で説明したものと同一である。
【0100】
第3実施形態の変形例3(図15)の作動および作用効果は上記第3実施形態の変形例2(図14)と同一であり、更に、搭載性に優れる水冷媒熱交換器72を用いたインバータ30の効果的な冷却が可能となる。
【0101】
(第4実施形態)
第4実施形態における冷却装置100Mを図16に示す。第4実施形態(図16)は、上記第1実施形態(図1)に対して、分岐流路14、および熱交換器71を廃止すると共に、低圧冷媒によって直接的にインバータ30を冷却するようにしたものである。
【0102】
エンジン冷却回路11において、ラジエータ12から流出されるエンジン冷却水は、インバータ30の冷却器32内を流通するようになっている。よって、インバータ30はエンジン冷却水によって冷却されるようになっている。尚、本第4実施形態(図16)では、インバータ30の冷却器35は廃止されている。
【0103】
そして、冷凍サイクル60の低圧配管66が、インバータ30の筐体36の外側表面に接触するように配置されており、インバータ30は、上記エンジン冷却水に加えて、低圧冷媒によっても冷却されるようになっている。
【0104】
第4実施形態における冷却制御は、上記第1実施形態(図1、図3)で説明した内容と同一である。
【0105】
第4実施形態では、主に冷凍サイクル60の低圧配管66の取り回しを変更することで低圧冷媒を用いたインバータ30の効果的な冷却が可能となり、対応が容易である。
【0106】
(第4実施形態の変形例1)
第4実施形態の変形例1における冷却装置100Nを図17に示す。第4実施形態の変形例1(図17)は、上記第4実施形態(図16)に対して、インバータ30を冷却する基本の冷却水(冷却器32を流通する冷却水)としてエンジン冷却回路11を循環するエンジン冷却水に代えて、EV冷却回路41を循環するEV冷却水としたものである。
【0107】
EV冷却回路41において、EVラジエータ42から流出されるEV冷却水は、インバータ30の冷却器32内を流通するようになっている。よって、インバータ30はEV冷却水によって冷却されるようになっている。そして、冷凍サイクル60の低圧配管66が、インバータ30の筐体36の外側表面に接触するように配置されており、インバータ30は、上記EV冷却水に加えて、低圧冷媒によっても効果的に冷却される。
【0108】
(第4実施形態の変形例2)
第4実施形態の変形例2における冷却装置100Oを図18に示す。第4実施形態の変形例2(図18)は、上記第4実施形態(図16)に対して、冷凍サイクル60の低圧配管66をインバータ30の筐体36の内部を貫通するようにしたものである。
【0109】
第4実施形態の変形例2(図18)では、第4実施形態(図16)と同様に、インバータ30は、エンジン冷却水に加えて、低圧冷媒によっても効果的に冷却される。
【0110】
(第4実施形態の変形例3)
第4実施形態の変形例3における冷却装置100Pを図19に示す。第4実施形態の変形例3(図19)は、上記第4実施形態の変形例1(図17)に対して、冷凍サイクル60の低圧配管66をインバータ30の筐体36の内部を貫通するようにしたものである。
【0111】
第4実施形態の変形例3(図19)では、第4実施形態の変形例1(図17)と同様に、インバータ30は、EV冷却水に加えて、低圧冷媒によっても効果的に冷却される。
【0112】
(その他の実施形態)
上記各実施形態では、冷却水(エンジン冷却水、あるいはEV冷却水)と低圧冷媒とを用いた電気機器の冷却対象としてインバータ30を例にして説明したが、冷却対象は、インバータ30に限らず、冷却の必要度合いに応じて、走行用モータ20、DC/DCコンバータ、あるいは、それらの組合せを対象として実施することができる。
【0113】
また、上記第1、第2実施形態(各変形例を含む)では、冷却器32に本来のエンジン冷却水あるいはEV冷却水を流通させ、冷却器35に低圧冷媒で冷却された冷却水を流通させるようにしたが、逆にしても良い。要するにインバータ30に対して、両冷却水で冷却するようにすれば良い。
【0114】
また、水冷媒熱交換器72を使用する実施形態において、水冷媒熱交換器72の流入口、流出口を低圧配管66に接続し、また、内管を分岐流路14、あるいはEV冷却回路51に接続して、外側流路に低圧冷媒が流通され、内側流路にエンジン冷却水あるいはEV冷却水が流通されるものとしても良い。
【0115】
また、第3実施形態(各変形例を含む)では、バイパス流路15、45を設けて、このバイパス流路15、45を流通するエンジン冷却水あるいはEV冷却水を低圧冷媒で冷却するようにしたが、バイパス流路15、45を廃止して、インバータ30の上流側におけるエンジン冷却回路11あるいはEV冷却回路41の各冷却水を低圧冷媒で冷却するようにしても良い。この場合は、図3で説明したフローチャートに基づいて冷却制御を実施すれば良い。
【0116】
また、エンジン冷却回路11、EV冷却回路41、51の各冷却水を冷却する低圧冷媒として、蒸発器64の下流側の低圧冷媒を用いたが、膨張弁63の流出側から蒸発器64に至る間の低圧冷媒を用いても良い。
【0117】
また、対象車両として、エンジン10、および走行用モータ20の両者を走行用駆動源として使用するハイブリッド車両としたが、これに限らず、走行用駆動源として主に走行用モータ20を使用し、エンジン10を主に発電用の駆動源として使用するハイブリッド車両に適用しても良い。
【0118】
更に、対象車両としてハイブリッド車両を例に挙げたが、これに限らず、エンジン10を備えない燃料電池車両を対象としても良い。この場合はエンジン冷却回路11を備えないため、冷却水としてはEV冷却回路41、あるいはEV冷却回路51のEV冷却水を使用する。
【符号の説明】
【0119】
10 エンジン
11 エンジン冷却回路(本来の流路)
15 バイパス流路
16 三方切替え弁(切替え手段)
20 走行用モータ(電気機器)
30 インバータ(電気機器、出力用機器)
40 EV冷却回路(専用冷却回路、本来の流路)
45 EVバイパス流路(バイパス流路)
46 EV三方切替え弁(切替え手段)
51 EV冷却回路(別の冷却回路)
60 冷凍サイクル
61 圧縮機
66 低圧配管
72 水冷媒熱交換器
81 温度センサ(温度検出手段、第1温度検出手段)
82 温度センサ(第2温度検出手段)
90 制御装置(制御手段)
100A〜100P 冷却装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行源となる走行用モータ(20)と、前記走行用モータ(20)に関連して電力を出力する出力用機器(30)とを備える電気機器(20、30)の少なくとも一部を冷却する冷却装置であって、
前記電気機器(20、30)は、
前記車両の走行源として更にエンジン(10)を備える場合の、エンジン冷却回路(11)を循環するエンジン冷却水、あるいは前記電気機器(20、30)を冷却するために専用に設けられた専用冷却回路(41)を循環する専用冷却水のうち、いずれか一方の冷却水と、
前記車両の室内空調用の冷凍サイクル(60)内を循環する低圧冷媒と、によって冷却されることを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記冷却水は、前記電気機器(20、30)の上流側で分流されており、
前記分流された冷却水の一方は、前記電気機器(20、30)の冷却用に直接供給され、
前記分流された冷却水の他方は、前記低圧冷媒によって冷却された後に前記電気機器(20、30)の冷却用に供給されることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
更に、前記電気機器(20、30)を冷却するための別の冷却回路(51)を備えており、
前記別の冷却回路(51)を循環する別回路用冷却水が、前記低圧冷媒によって冷却された後に前記電気機器(20、30)の冷却用に供給されることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記冷却水は、前記低圧冷媒によって冷却された後に前記電気機器(20、30)の冷却用に供給されることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記冷却水が流れる前記エンジン冷却回路(11)あるいは前記専用冷却回路(41)の本来の流路(11、41)に対して、前記電気機器(20、30)の上流側でバイパスするバイパス流路(15、45)と、
前記本来の流路(11、41)、あるいは前記バイパス流路(15、45)への流路切替えを行う切替え手段(16、46)とを備え、
前記バイパス流路(15、45)を流通する前記冷却水が、前記低圧冷媒によって冷却されるようになっており、
前記切替え手段(16、46)によって、前記冷却水が前記本来の流路(11、41)から前記バイパス流路(16、46)に流通されて、前記冷却水が前記低圧冷媒によって冷却されることを特徴とする請求項4に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記低圧冷媒が流通する低圧配管(66)が、前記電気機器(20、30)の外部に接触、あるいは前記電気機器(20、30)の内部を貫通しており、
前記低圧冷媒が、前記低圧配管(66)によって前記電気機器(20、30)の冷却用に供給されることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記電気機器(20、30)における前記冷却水の温度を検出する温度検出手段(81)を備え、
前記温度検出手段(81)によって検出された冷却水温度(Tb)が、予め定められた閾値(T1)を超えた時に、前記冷凍サイクル(60)の圧縮機(61)が停止されている場合には前記圧縮機(61)を作動させ、あるいは前記圧縮機(61)が作動されている場合には前記圧縮機(61)の吐出能力を上げる制御手段(90)を備えることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載の冷却装置。
【請求項8】
前記電気機器(20、30)における前記冷却水の温度を検出する第1温度検出手段(81)と、
前記バイパス流路(15、45)を流通して、前記低圧冷媒によって冷却される前の前記冷却水の温度を検出する第2温度検出手段(82)とを備え、
前記第1温度検出手段(81)によって検出された冷却水温度(Tb)が、予め定められた第1閾値(T1)を超えた時に、前記切替え手段(16、46)によって、前記冷却水を前記本来の流路(11、41)から前記パイパス流路(15、45)に流すように切替え、
前記第2温度検出手段(82)によって検出された冷却水温度(Ta)が、前記第1閾値よりも低い側に予め定められた第2閾値(T2)を超えた時に、前記冷凍サイクル(60)の圧縮機(61)が停止されている場合には前記圧縮機(61)を作動させ、あるいは前記圧縮機(61)が作動されている場合には前記圧縮機(61)の吐出能力を上げる制御手段(90)を備えることを特徴とする請求項5に記載の冷却装置。
【請求項9】
前記冷却水を前記低圧冷媒によって冷却する二重管式の熱交換器(72)を備えることを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれか1つに記載の冷却装置。
【請求項10】
前記電気機器(20、30)は、前記走行用モータ(20)の回転速度を制御するインバータ(30)であることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1つに記載の冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−240777(P2011−240777A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113197(P2010−113197)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】