説明

凝固に対するレーザー変調

装置(100)は、ポンプ・エネルギーを供給するポンプ・モジュール(104)、共振器(106)及びコントローラ(187)を有する。その共振器(106)は、そのポンプ・モジュールからのポンプ・エネルギーを受け取り、光を生成する利得媒質(102);その利得媒質によって生成された光をその利得媒質に向けて反射し返す反射面(110、156、158、160、162);及びその利得媒質によって制し得された光を受けとる可変光減衰器(152)を含む。コントローラは、その可変光減衰器によって弱められた光の量を、装置が、レーザー光のパルスのウィンドウ(306、308、310)を間の開いた時間間隔で発するように制御し、各ウィンドウは、レーザー光の複数のパルスを含み、ウィンドウ間の各間隔(326、327)は、ウィンドウ内のパルス間の感覚(318)よりも大きい。その発せられたレーザー光のパルス(320、322)のウィンドウは、組織を、蒸発させずに凝固させる温度に加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
いくつかの治療において、組織を除去するためには、レーザー光が、その組織を蒸発するまで加熱することによって使用される。そのような蒸発の間、近辺の組織は、通常、凝固が起こる段階まで加熱され、その部位における出血を防ぐ。しかし、場合によっては、その処置は、その隣の組織において完全な凝固をもたらさず、いくらかの出血を起こす。
【背景技術】
【0002】
過去において、外科医は、他の組織を蒸発させずに凝固を誘導するために、より低い光度のレーザー光をその出血部位に加えることによって蒸発後に起こる如何なる出血も止めようと試みてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,025,446号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の考察は、一般的な背景情報を提供するのみであり、請求項に係る対象物の範囲を決定することに役立つものとして使用することを目的としていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
装置は、ポンプ・モジュール、共振器及びコントローラを有する。その共振器は、そのポンプ・モジュールからポンプ・エネルギーを受け取り、光を生成する利得媒質;その利得媒質によって生成された光を、その利得媒質に反射し返す反射面;及びその利得媒質によって生成された光を受け取る可変光減衰器;を含む。そのコントローラは、装置が、間隔が空いた時間間隔においてレーザー光のパルスのウィンドウを発するように、可変光減衰器によって減衰した光の量を制御し、各ウィンドウは、複数のレーザー光のパルスを含み、ウィンドウ間の各間隔は、ウィンドウ内におけるパルス間の間隔よりも大きい。その発せられたレーザー光のパルスのウィンドウは、蒸発せずに凝固を起こす温度に組織を加熱する。
【0006】
方法は、医用レーザー・システムが、蒸発モードに置かれるべきであることを示す入力を受けとる。その入力に基づいて、その医用レーザー・システムは、その医用レーザー・システムが、レーザー光の一連の連続的なマイクロパルスを発するように制御される。入力が受け取られ、その医用レーザー・システムが凝固モードに置かれるべきであることを示す。その入力に基づいて、その医用レーザー・システムは、レーザー光の一連のマクロパルスを発するように制御され、各マクロパルスは、レーザー光の一連のマイクロパルスを含み、その一連のパルスにおけるマクロパルスは、1つのマクロパルス内のマイクロパルス間の時間間隔よりも長い時間間隔によって離れている。
【0007】
方法は、レーザー・システムを、レーザー光のパルスのセットを生成するように凝固モードに設置する。1つのセット内のパルスは、第1時間間隔によって離れており、パルスのセットは、第2時間間隔によってお互いから離れている。第2時間間隔は、第1時間間隔よりも大きい。レーザー光は、組織の蒸発を起こさずに凝固を起こすようにその組織に向けられる。
【0008】
この概要は、以下の発明を実施するための形態にさらに記載される単純化した形において、概念の選択を紹介するように提供される。この概要は、請求項に係る対象物の重要な特徴又は基本的な特徴を識別することを目的としておらず、その請求項に係る対象物の範囲を決定することに役立つものとして使用することも目的としていない。その請求項に係る対象物は、背景において指摘された如何なる又は全ての欠点を解決する実装に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】レーザー・システムのブロック図である。
【図2】ユーザ・インターフェースの一例である。
【図3】凝固に対するマクロパルスを示す、レーザー光度の時間に対するグラフである。
【図4】組織蒸発に対する連続的な一連のマイクロパルスを示す、レーザー光度の時間に対するグラフである。
【図5】Qスイッチ・ドライバへの大きさ入力の時間に対するグラフである。
【図6】Qスイッチ・ドライバへのオン/オフ入力の時間に対するグラフである。
【図7】図5及び6のオン/オフ入力及び大きさ入力に基づいたQスイッチ・ドライバ出力の大きさの時間に対するグラフである。
【図8】図7のQスイッチ・ドライバ出力の大きさのグラフに基づいて、レーザー光度の時間に対するグラフである。
【図9】レーザー・システムを使用した方法のフロー概略図である。
【図10】三角形のマクロパルスに関するQスイッチ・ドライバへの大きさ入力の時間に対するグラフである。
【図11】Qスイッチ・ドライバへのオン/オフ入力の時間に対する図である。
【図12】図10及び11の大きさ入力及びオン/オフ入力に基づいた、Qスイッチ・ドライバ出力の大きさの時間に対するグラフである。
【図13】図12のQスイッチ・ドライバ出力の大きさのグラフに基づいた、レーザー光度の時間に対するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0010】
図1は、いくつかの実施形態によるレーザー・システム100の概略図である。レーザー・システム100は、ポンプ・モジュール104、利得媒質102を持つ共振器106、光結合器166、光ファイバー168、及びデリバリー・チップ170を使用してレーザー光164を発する。
【0011】
1つの実施形態において、利得媒質102は、ポンプ・モジュール104によって生成されるポンプ・エネルギー108を吸収するように構成されたドープされた結晶であり、そのポンプ・モジュール104において、ポンプ・エネルギー108は、利得媒質102の作動波長(すなわち、吸収スペクトル)範囲内にある波長を有する。1つの実施形態において、利得媒質102は、ポンプ・エネルギー108によって端面励起され、ポンプ・エネルギーは、そのポンプ・エネルギーの波長で透過性である折り畳み式ミラー110を通して伝達される。利得媒質102は、ポンプ・エネルギー108を吸収し、自然放出及び誘導放出を通して光112を出力する。
【0012】
いくつかの実施形態において、利得媒質102は、ホスト(非表示)の横側に沿って水で冷やされる(非表示)。1つの実施形態において、利得媒質102は、利得媒質102の第1端部116に接着されたドープされていない端部キャップ114を含む。1つの実施形態において、第2端部120が、ポンプ・エネルギー波長で反射型であり、一方で、共振器106の共振モードで透過型であるようにコーティングされる。この方法では、第2端部120で吸収されていないポンプ・エネルギーは、吸収されるべき利得媒質102に戻るよう再び方向付けられる。
【0013】
共振器106は、利得媒質102からの光112出力の調波を生成するように構成されている。1つの実施形態において、共振器106は、利得媒質102によって発せられる光112の第2調波を生成するために、ホウ酸リチウム(LBO)結晶又はチタンリン酸カリウム(KTP)結晶などの非線形結晶(NLC)150も含む。
【0014】
1つの実施形態において、利得媒質102は、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)結晶ロッドを含み、そのYAGロッドにおいてネオジム原子が、Nd:YAG利得媒質102を形成するように拡散されている。そのNd:YAG利得媒質102は、ポンプ光を1064nmの主波長を有する光112に変換する。共振器106は、次に、532nmの波長を有する1064nmの光の第2調波を生成する。その532nm波長の1つの利点は、血液におけるヘモグロビンによって強く吸収されることであり、従って、血管組織を切断、蒸発及び凝固させる医療処置に役立つ。
【0015】
共振器106は、反射ミラー156、158及び162及び折り畳み式ミラー110及び出力結合器160の形での反射面も含む。ミラー110、156、158、及び162、及び出力結合器160は、主波長(例えば1064nm)において強い反射性を示す。その出力結合器160は、第2調波出力波長(例えば532nm)で強い透過性を示す。共振器106内の主波長レーザー光(例えば1064nm)は、ミラー158と162との間の経路に沿って前後に跳ね返り、周波数が2倍になり第2調波出力波長(例えば532nm)となるように、利得媒質102及び非線形結晶150を通り抜け、出力結合器160の中を通って出力レーザー光164として放出される。そのZ形状の共振空洞(resonant cavity)は、Kuizengaによる米国特許(特許文献1)において考察されているように構成することができる。
【0016】
共振器106は、利得媒質102と共に作動するQスイッチ152及び共振器106の反射面を含み、高いピークパワーを持つレーザー光のパルスを形成する。Qスイッチ152は、共振器106の光を、それが利得媒質102に戻れないように減衰させるか又は利得媒質102に反射して戻ることを可能にするかのいずれか一方に設定することができる外部で制御される可変光減衰器である。光が利得媒質102へ戻ることを防止される場合、利得媒質102内の光の誘導放出は防止され、レーザー光は共振器106によって生成されない。Qスイッチ152がアクティブであり、共振器106における光を減衰させる間、利得媒質102は、ポンプ・モジュール104からエネルギーを吸収し続け、反転分布を生成する。Qスイッチ152が光を弱める方から弱めない方へ素早く切り替えられるとき、利得媒質102において大きな誘導放出が起こり、それによって高いピーク光度を持つレーザー光のパルスを形成する。
【0017】
Qスイッチ152は、シャッター、チョッパー・ホイール又は空洞内に置かれた回転するミラー/プリズムなどの機械装置であってよい。しかし、ほぼ全ての実施形態において、Qスイッチ152は、光音響装置又は電気光学装置などの何らかの形における変調器である。電気光学装置において、音波が散乱媒質において形成される。光線が、その媒質の中に、ブラッグ角を波面に対して形成する方向に入り、それによって光線が回折される。その音波は、通常、MHzの範囲にあり、Qスイッチ・ドライバ180によって生成されるドライバ信号178を、Qスイッチ152内の散乱材料に結合されたトランスデューサに加えることによって、その散乱材料において形成される。従って、ドライバ信号178がアクティブであるとき、光は、Qスイッチ152によって回折され、レーザー・システム100はレーザー光線を生成しない。ドライバ信号178がアクティブでない場合、光は、回折せずにスイッチQ152を通り抜け、レーザー・システム100はレーザー光164を生成する。Qスイッチ152によって供給される散乱の量は、レーザー光線のピーク光度が部分的に、レーザー光線の光度が最も低い間のドライバ信号178の大きさとレーザー光線の光度が最も高い間のドライバ信号178の大きさとの間の違いに依存する。その違いが増加すると、そのピーク光度が増加する。
【0018】
光結合器166は、出力レーザー光線164を受けとり、レーザー光線164を光ファイバー168の中へと導入する。その光ファイバーは、一般的に、外側のナイロン・ジャケット、バッファ又は硬いクラッディング、クラッディング及びコアなどを含む複数の同心の層を含む。そのクラッディングは、そのコアに接着されており、そのクラッディング及びコアは、レーザー光線164などの電磁エネルギーがそのコアを通って移動することを可能にする導波路として作動する。
【0019】
レーザー光線164は、いくつかの実施形態において光ファイバー168の軸に対して角度を成すレーザー光線を放つ片側だきデリバリー・チップ170へと光ファイバー168に沿って導かれる。使用中、そのデリバリー・チップ170は、レーザー光線164を、除去又は凝固させられる組織に入射するように位置付ける。
【0020】
Qスイッチ・ドライバ180は、大きさ入力182及びオン/オフ入力184に基づいてドライバ信号178を生成する。大きさ入力182は、大きさドライバ信号178を設定するアナログ入力であり、より大きい大きさドライバ信号は、より低い大きさドライバ信号よりも回折をもたらす。オン/オフ入力184は、ドライバ信号178がオンであるかオフであるかを制御するデジタル入力である。例えば、オン/オフ入力184が0の値を有するとき、ドライバ信号178はオフであり、回折は起こらない;オン/オフ入力184が1の値を有するとき、ドライバ信号178はオンであり、回折の量は、大きさ入力182の値によって制御される。
【0021】
図1において、大きさ入力182は、デジタル‐アナログ変換器186によって供給され、それは、大きさ記録器188に記憶されているデジタル大きさ値を、大きさ入力182に対するアナログ値へと変換する。そのデジタル大きさ値は、プロセッサ190によって実行される制御プログラム192におけるインストラクションに基づいて、そのプロセッサ190によって大きさ記録器188に記憶される。
【0022】
オン/オフ入力184は、モード記録器197、パルス幅記録器196及び周波数記録器195においてプロセッサ190によって制御プログラム192におけるインストラクションに基づいて記憶された値に基づいてタイマー194によって生成される。モード記録器197は、タイマー194のモード入力193に接続され、そのタイマーを、3つの状態;静的オン状態、静的オフ状態、及び振動状態のうち1つの状態に設定することが出来る値を設定する。静的オン及びオフ状態において、タイマー194は、オン/オフ入力184をゼロ又は1の関連する値に固定する。振動状態において、タイマー194は、オン/オフ入力184を、タイマー194の期間入力191に接続されたパルス幅記録器196及びタイマー194の周波数入力189に接続された周波数記録器195における値に基づいて、ゼロと1との間で交互に切り替える。具体的には、タイマー194は、オン/オフ入力184を、周波数記録器195における周波数分の1に等しい時間周期によって分離された時間ポイントで0の値に設定する。タイマー194は、オン/オフ入力184をパルス幅記録器196における値によって表わされる時間周期の1つの値で維持し、次に、オン/オフ入力184を周波数記録器195における周波数によって設定される周期の残りに対して0の値に設定する。タイマー194及びQスイッチ・ドライバ180は、Qスイッチ152に対するコントローラ187を共に形成する。
【0023】
レーザー・システム100は、レージング作動の2つのモード:蒸発及び凝固を有する。蒸発モードにおいて作動するとき、レーザー・システム100は、組織を蒸発させるようにその組織に向けられる連続的な一連のレーザー・パルスを生成する。凝固モードにおいて作動するとき、レーザー・システム100は、組織を凝固させるが、その組織を蒸発させないようにその組織に向けられるレーザー光のマクロパルスを生成する。そのマクロパルスは、レーザー光の無い間隔によって分離され、各マクロパルスは、一連のマイクロパルスを含み、マクロパルス間の時間間隔は、マクロパルス内のマイクロパルス間の時間間隔よりも大きい。
【0024】
レーザー・システム100の操作者は、図1のモード選択入力装置198を使用して、そのレーザー・システムを蒸発モード又は凝固モードのいずれか1つに設定することができる。ユーザが、入力装置198を操作するとき、そのユーザによって望まれる作動モードを示す信号がプロセッサ190に供給される。この信号に基づいて、制御プログラム192におけるインストラクションが、モード記録器197における値を変更し、いくつかの実施形態においてはパルス幅記録器196、周波数記録器197及び大きさ記録器188における値を変更するために実行される。いくつかの実施形態において、入力装置198は、蒸発モード及び凝固モードにおいて個別の位置を持つ足踏みペダルである。制御プログラム192は、固体メモリ装置、光学ディスク、大きさディスクなどの有形的表現媒体、又は有形的表現媒体のいくつかの組み合わせにおいて記憶されたコンピュータで実行可能なインストラクションを含む。
【0025】
レーザー・システム100の操作者は、ディスプレイ199及び入力装置191を使用して蒸発モード及び凝固モードにおいて放出されるレーザー光の光度を制御することも出来る。図2に示されるように、ディスプレイ199におけるユーザ・インターフェース200は、操作者が、蒸発中のレーザーに対する1つのパワー・レベル202を凝固中のレーザーに対する第2パワー・レベル204に設定することを可能にする。図2の例において、その操作者は、蒸発に対して120ワットのパワー・レベルに設定し、凝固に対して20ワットのパワー・レベルに設定している。例えばキーボード又はマウスを含み得る入力装置191を使用して、その操作者は、各作動モードのパワー・レベルに対して異なる値を選択することが出来る。このパワー・レベルは、ポンプ・モジュール104によって供給されるポンプ・エネルギー108の量を各作動モードにおいて調節するために使用される。
【0026】
図3は、レーザー・システム100が凝固モードにおいて作動しているときのレーザー光線光度における変動を示すレーザー光度の時間に対するグラフを提供する。図3において、光度は、垂直軸300に沿って示され、時間は、横軸302に沿って示されている。3つのマクロパルス(ウィンドウ又はセットとしても呼ばれる)306、308及び310が示されており、各マクロパルスは、マクロパルス308のマイクロパルス312及びマクロパルス306のマイクロパルス316、320及び322などの一連のマイクロパルスを含む。各マイクロパルスは、マイクロパルス316に対する期間314などの期間を有し、一連のマイクロパルス内のマイクロパルスは、マイクロパルス320と322との間の時間間隔318などの時間間隔によって互いから離れている。各マクロパルスは、マクロパルス308に対する期間324などの持続時間を有し、それらのマクロパルスは、マクロパルス306と308との間の間隔326及びマクロパルス308と310との間の間隔327など、レーザー光を含まない間隔によって互いから離れている。
【0027】
間隔326などのマクロパルス間の間隔は、間隔318などのマイクロパルス間の間隔の期間よりも長い。1つの実施形態において、マイクロパルスは、持続時間314などの、0.1マイクロ秒と10マイクロ秒との間の持続時間を有し、間隔318などのマイクロパルス間の間隔は、マクロパルス内において5kHzと40kHzとの間の周波数でマイクロパルスが起こるようになっている。ほぼ全ての場合において、持続時間324などのマクロパルスの持続時間は、5ミリ秒と50ミリ秒との間であり、持続時間328などのマクロパルス間の間隔の持続時間は、10ミリ秒と1000ミリ秒との間である。1つの特定の実施形態において、それらのマクロパルスの各々は、20ミリ秒の持続時間を有し、その間隔は、60ミリ秒の持続時間を有し、マイクロパルス内のマイクロパルスは、15kHzの周波数で起こり、100ナノ秒の持続時間を有する。
【0028】
そのマクロパルスの持続時間及びマクロパルス間の間隔の持続時間は、放射されたレーザー光のマクロパルスが、組織が蒸発せずに凝固を起こす温度に加熱するようにされている。
【0029】
図4は、レーザー・システム100が蒸発モードにあるとき、レーザー光度の時間に対するグラフを提供する。図4において、光度は、垂直軸400に沿って示され、時間は、横軸402に沿って示されている。図4に示されるように、レーザー・システム100が蒸発モードにあるとき、連続的な一連のマイクロパルス404又はトレーンを生成する。各マイクロパルスは、持続時間406を有し、それらのマイクロパルスは、間隔408によってお互いから離れている。1つの実施形態において、マイクロパルスの持続時間は、1マイクロ秒と10マイクロ秒の間であり、マイクロパルス間の間隔は、それらのマイクロパルスが15kHzの周波数で起こるようにされている。
【0030】
図4の連続的な一連のマイクロパルス404を生成するために、制御プログラム192は、モード記録器197に値を設定し、タイマー194が、パルス幅記録器196におけるパルス幅及び周波数記録器195における周波数に従って、1と0との間で、オン/オフ入力184を振動させる振動モードに入るようにする。そのパルス幅記録器196におけるパルス幅は、オン/オフ入力184の量が1にあるべきであることを示し、周波数はオン/オフ入力184が1秒でゼロから1へと推移するべきである回数を供給する。
【0031】
図3及び4の例において、図3のマクロパルスにおけるマイクロパルスのピーク光度350及び図4の連続的な一連のパルス404におけるパルスのピーク光度450は、同じである。他の実施形態において、異なるピーク光度が、操作の異なるモードに対して使用されてよい。さらに、図3及び4において、マイクロパルスは、図3のマクロパルス及び図4のパルスの連続的なシリーズにおいて同じ周波数で起こる。他の実施形態において、その操作の2つのモードは、異なるパルスの周波数を使用してもよい。
【0032】
図5、6、7、及び8は、大きさ入力182の値、オン/オフ入力184の値、ドライバ信号178の大きさ及びレーザー光線164の光度を、それぞれ、レーザー・システム100が凝固モードにある間、同じ期間に対してグラフで示す。時間は、図5、6、7、及び8の各々における横軸に沿って示され、その図5、6、7、及び8において同時に起こる値が、それらの図を垂直に横切って整列している。例えば、図5のポイント500は、図6のポイント600、図7のポイント700及び図8のポイント800と同時に起こる。図5において、大きさ入力182におけるアナログ信号の大きさは、垂直軸502上に示されている。図6において、オン/オフ入力184における2進値は、垂直軸602上に示されている。図7において、ドライブ信号178の大きさは、垂直軸702上に沿って示されている。図8において、レーザー光線164の光度は、垂直軸802上に沿って示されている。
【0033】
図8において、レーザー光線164は、間隔810及び812によって離されているマクロパルス804、806及び808を含む。各マクロパルス804、806、及び808は、マイクロパルスのシリーズを含み、各間隔810及び812には、マイクロパルスは無い。
【0034】
間隔810及び812の間に、図6のオン/オフ入力184は、1に設定され、大きさ入力182は、OPRとして指定された高い作動値にある。これは、ドライバ信号178に対して一定した高い大きさをもたらし、それは、Qスイッチ152が光を回折するようにする。結果として、レーザー光線164は、間隔810及び812の間に存在しない。
【0035】
間隔810及び812などの長い間隔の後には、第1マイクロパルスを除いては、レーザー光線164におけるマイクロパルスは、オン/オフ入力184がパルス604などのパルスのシリーズを有するように、タイマー184が振動するようにする制御プログラム192によってトリガーされる。パルスのシリーズの各パルス・サイクルの間に、オン/オフ入力184は、一時的にゼロの落ち、それによってドライバ信号が、一時的にゼロに落ちる。ドライバ信号189がゼロに落ちるとき、利得媒質102におけるエネルギーが放出され、レーザー光線164は、対応する光のパルスを供給する。
【0036】
間隔810及び812などの間隔の終わりで、大きさ入力182の大きさは、レーザー光線164のマクロパルスの第1マイクロパルスをトリガーするために、制御プログラム192によって低減される。第1マイクロパルスは、オン/オフ入力184をゼロに設定する代わりに、大きさ入力182を低減することによってトリガーされる。それは、マイクロパルス間に利得媒質102に保管されるよりも大量のエネルギーが、長い間隔の後において利得媒質102に保管されるからである。オン/オフ入力814が単純にゼロに設定される場合、保管された全てのエネルギーは放出され、そのマクロパルスにおいて残っているマイクロパルスよりもはるかに大きい光度を有する第1マイクロパルスをもたらす。大きさ入力182の大きさが低減されるとき、ドライバ信号178の大きさにおいて対応する降下が見られる。これは、Qスイッチ152によって生成される回折の量を低減し、十分な量の光が利得媒質102に戻り、レーザー光164のパルスをトリガーすることを可能にする。従って、大きさの減少など、大きさ入力182における減少は、マイクロパルス820などのレーザー光線マイクロパルスに至る、減少704などのドライバ信号178における減少をもたらす。
【0037】
図9は、レーザー・システム100の操作の方法のフロー概略図である。ステップ900において、レーザー・システム100の操作者は、レーザー・デリバリー・チップ170を治療される部位の近くに設定する。ステップ902において、その操作者は、プロセッサ190に信号を送信するために、モード選択入力装置198を使用し、レーザー・システム100を蒸発モードに設定する。ステップ904において、プロセッサ190は、その信号を受信し、そのレーザー・システムを蒸発モードに設定し、ステップ906において、制御プログラム192が、モード記録器197における値を、タイマー194がQスイッチ・ドライバ180に振動信号を供給するように設定する。
【0038】
ステップ908において、Qスイッチ・ドライバ180は、Qスイッチ152が組織を蒸発させるレーザー光の連続的な一連のパルスを生成するように、Qスイッチ152に対するドライバ信号178(制御信号とも呼ばれる)を生成する。
【0039】
ステップ910において、その操作者は、レーザー・システム100を凝固モードに設定するように信号を送信するためにモード選択入力装置178を使用する。そのレーザー・システム100を凝固モードに設定するための入力は、ステップ912においてプロセッサ190によって受信される。ステップ914において、制御プログラム192は、タイマー194がQスイッチ・ドライバ180に振動信号を供給するようにモード記録器197において値を設定するステップとタイマー194が静的「オン」信号を供給するようにモード記録器197において値を設定するステップとの間をループする。
【0040】
ステップ916において、Qスイッチ・ドライバ180は、Qスイッチ152がマクロパルス内のパルスよりも長い間隔によって離れているマクロパルスで、マイクロパルスのマクロパルスを生成するように、Qスイッチ152に対するドライブ信号178(制御信号とも呼ばれる)を生成する。
【0041】
上記に記載の実施形態において、マクロパルスは、四角形状を有する。しかし、他の実施形態において、他の形状がそれらのマクロパルスに対して可能である。図10、11、12、及び13は、大きさ入力182の値、オン/オフ入力184に対する値、ドライバ信号178の大きさ及びレーザー光線164の光度の、レーザー・システム100が三角形状のマクロパルスを持ち、凝固モードにある間の同じ期間に対してのグラフを提供する。時間は、図10、11、12、及び13の各々において横軸に沿って示され、図10、11、12、及び13において同時の起こる値は、それらの図において垂直に横切って整列している。例えば、図10のポイント1000は、図11のポイント1100と同時に起こり、図12のポイント1200は、図13のポイント1300と同時に起こる。図10において、大きさ入力182におけるアナログ信号の大きさは、垂直軸1002に示されている。図11において、オン/オフ入力184における2進値は、垂直軸1102に示されている。図12において、ドライバ信号178の大きさは、垂直軸1202に沿って示されている。図13において、レーザー光線164の光度は、垂直軸1302に沿って示されている。
【0042】
図13において、レーザー光線164は、間隔1310及び1312によって分離されている三角形状のマクロパルス1304、1306、及び1308を含む。各三角形状マクロパルス1304、1306及び1308は、一連のマイクロパルスを含み、各間隔1310及び1312には、マイクロパルスは無い。それらの三角形状マクロパルス1304、1306及び1308におけるマイクロパルスの大きさは、そのマクロパルスの期間を通して増加する。
【0043】
間隔1310及び1312の間に、図11のオン/オフ入力184は、1に設定され、大きさ入力182は、OPRとして指定された高い作動値にある。これは、Qスイッチ152が光を回折するようにするドライバ信号178に対して一定の高い大きさをもたらす。結果として、レーザー光線164は、間隔1310及び1312の間に存在しない。
【0044】
マクロパルス1304、1306及び1308の間に、大きさ入力182は、高い作動レベルOPRとずっとより低いレベルとの間をゼロに到達するまで振動する。大きさ入力182における連続的なより低い降下の各々で、レーザー光線164におけるマイクロパルスの大きさは、マクロパルスの全体の形状が三角形状であるように増加する。
【0045】
対象物は、構造的特徴及び/または方法論的な段階に特有の言語で記載されてきたが、添付の請求項において定められている対象物は、必ずしも上記に記載された特有の特徴又は段階に限定されない。むしろ、上記に記載された特有の特徴及び段階は、請求項を実施する例の形として開示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって:
ポンプ・エネルギーを供給するポンプ・モジュール;
前記ポンプ・モジュールから前記ポンプ・エネルギーを受け取り、光を生成する利得媒質;
該利得媒質によって生成された光を、該利得媒質へ向けて反射し返す少なくとも2つの少なくとも部分的に反射型の表面;
前記利得媒質によって生成された光を受けとる可変光減衰器;
を含む共振器;
前記装置が、レーザー光のパルスのウィンドウを間が空いた間隔で発するように、前記可変光減衰器によって弱められる光の量を制御するコントローラ;
を含み、各ウィンドウは、レーザー光の複数のパルスを含み、ウィンドウ間の各間隔はウィンドウ内におけるパルス間の間隔よりも大きく、該ウィンドウの期間及びウィンドウ間の前記間隔の期間は、前記の発せられたレーザー光のパルスのウィンドウが、組織が凝固を起こす温度まで該組織を加熱するようになっている、装置。
【請求項2】
前記ウィンドウの期間及び前記ウィンドウ間の前記間隔の期間は、前記発せられたレーザー光のパルスのウィンドウが組織の蒸発を起こさないようになっている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であり、ユーザが、蒸発モードと凝固モードとの間で選択することを可能にするユーザ入力装置をさらに含み、前記ユーザが前記蒸発モードを選択する場合、レーザー生成システムは、組織を蒸発させるレーザー光のパルスの連続的なトレーンを生成し、前記ユーザが前記凝固モードを選択する場合、前記レーザー生成システムは、前記レーザー光のパルスのウィンドウを生成する、装置。
【請求項4】
前記可変光減衰器がさらに光を弱めるとき、前記装置はより少ないレーザー光を生成する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であり、前記コントローラが:
ドライバ信号を生成し、該ドライバ信号をオン及びオフにするための入力装置を有するドライバであり、前記ドライバ信号はオンのときに、前記可変光減衰器が、該ドライバ信号がオフのときよりもさらに光を弱めるようになっている、ドライバ;
前記ドライバ信号をオン及びオフにし、前記ドライバの前記入力装置に、該ドライバ信号をオン及びオフにするためにタイマー信号を加えるための、前記ドライバの入力装置に結合されたタイマーであり、第1作動モードにおいて周期的タイマー信号を供給し、第2作動モードにおいて静的タイマー信号を供給し、前記周期的タイマー信号の周波数を定義する周波数入力装置及び前記タイマー信号が、前記周期的タイマー信号の間に前記ドライバ信号をオフにする時間の長さを定義する期間入力装置を有する、タイマー;
を含む、装置。
【請求項6】
前記静的タイマー信号は、前記ドライバ信号をオンにする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であり、前記ドライバは、前記ドライバ信号の大きさを設定するために使用される大きさの値を受信する大きさ入力装置をさらに含み、大きさがより大きいドライバ信号は、前記可変光減衰器が、より小さい大きさのドライバ信号よりもさらに光を弱めるようにし、前記装置は、プロセッサをさらに含み、該プロセッサは、ウィンドウ間の間隔の終わりにおいて、該プロセッサが前記大きさの値を低減するようにするコンピュータで実行可能なインストラクションを実行する、装置。
【請求項8】
医用レーザー・システムが蒸発モードに置かれるべきであることを示す入力を受けとるステップ;
該医用レーザー・システムが前記蒸発モードに置かれるべきであることを示す前記入力に基づいて、該医用レーザー・システムが連続的な一連のレーザー光のマイクロパルスを発するように該医用レーザー・システムを制御するステップ;
該医用レーザー・システムが凝固モードに置かれるべきであることを示す入力を受けとるステップ;及び
該医用レーザー・システムが凝固モードに置かれるべきであることを示す前記入力に基づいて、該医用レーザー・システムがレーザー光の一連のマクロパルスを発するように該医用レーザー・システムを制御し、各マクロパルスは、レーザー光の一連のマイクロパルスを含み、該一連のマクロパルスにおけるマクロパルスは、マクロパルス内のマイクロパルス間の時間間隔よりも長い時間間隔によって離れているように前記医用レーザー・システムを制御するステップ;
を含む、方法。
【請求項9】
前記医用レーザー・システムがレーザー光の一連のマクロパルスを発するように、該医用レーザー・システムを制御するステップが、該医用レーザー・システムにおいてqスイッチを制御するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
各マクロパルスが期間を有し、該マクロパルスの期間及びマクロパルス間の時間間隔は、前記医用レーザー・システムによって発せられたレーザー光が、組織蒸発を実施するには不十分であるようになっている、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
各マクロパルスの期間は、5ミリ秒と30ミリ秒との間にある、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
マクロパルス間の時間間隔は60ミリ秒である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
マクロパルス内における一連のマイクロパルスは、前記連続的な一連のマイクロパルスと同じ周波数にある、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
レーザー・システムが、レーザー光のパルスの複数のセットを生成するように、該レーザー・システムを凝固モードに設定するステップであり、1つのセットにおけるパルスは、第1時間間隔によって離れており、該複数のセットにおけるパルスは、第2時間間隔によってお互いから離れている、ステップ;及び
前記レーザー光を、組織の蒸発を起こさずに凝固を起こすように該組織に向けるステップ;
を含む、方法。
【請求項15】
前記レーザー・システムが、レーザー光の連続的な一連のパルスを生成するように該レーザー・システムを蒸発モードに設定するステップ;及び
組織の蒸発を起こすように該組織に前記レーザー光を向けるステップ;
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記蒸発モードの前記連続的な一連のパルスにおけるパルスは、前記凝固モードのパルスの複数のセットにおけるパルスと同じ周波数で発生する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記蒸発モードの前記連続的な一連のパルスにおけるパルスは、前記凝固モードのパルスの複数のセットにおけるパルスと同じピーク周波数で発生する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記蒸発モードにおいて発せられる前記レーザー光に対して第1パワー・レベルを設定し、前記凝固モードにおいて発せられる前記レーザー光に対して第2パワー・レベルを設定するためのインターフェースを使用するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記パルスの複数のセットは、5ミリ秒と30ミリ秒との間の期間を有し、前記第2時間間隔は、60ミリ秒と100ミリ秒との間である、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
パルスの1セット内のパルスは、15kHzの周波数で発生する、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−8】
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【図9】
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【図10−13】
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【公表番号】特表2012−521808(P2012−521808A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502289(P2012−502289)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/028847
【国際公開番号】WO2010/111604
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(504338069)エーエムエス・リサーチ・コーポレーション (6)
【Fターム(参考)】