説明

処理装置および配管

【課題】液相処理をより均一に行うことができる処理装置等を提供する。
【解決手段】本発明に係る処理装置は底面と、前記底面に連続する側面と、前記側面と連続する第1開口と、前記側面に位置する第2開口と、を有する処理槽と、前記第2開口に設けられた導入部と、前記導入部から前記処理槽内に延び、末端部を有する配管と、前記配管に設けられた複数の吐出孔と、を含み、前記複数の吐出孔は、第1吐出孔と、第2吐出孔と、を含み、前記第2吐出孔は、前記第1吐出孔よりも前記末端部側に配置され、前記第1吐出孔の開口面積は前記第2吐出孔の開口面積より大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置および配管に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体デバイスの製造工程における半導体ウエハーに対するエッチング処理、めっき処理、洗浄処理などのウエットプロセスを行うための処理装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示されるように、このような処理装置は、半導体ウエハーなどの被処理体を収容する処理槽に処理液を供給する複数の吐出孔を備えた配管を有する。
【0004】
このような処理装置では、それぞれの吐出孔における処理液の吐出圧が異なるために、処理槽内において処理液の流量分布(流速分布)勾配が形成され、例えば、めっき処理を行う場合は、不均一なめっき膜厚が形成されることや、洗浄処理を行う場合は、全体を均一に洗浄することができないこと等の技術的課題が生じる。したがって、特許文献1に開示されるように、処理液を処理槽の底面に向けて吐出したり、配管と被処理体との間に整流板を設けたりする必要がある。
【0005】
しかしながら、整流板は、複数の孔が設けられているのみの構造であり、特定の領域において、配管からの高い吐出圧が加わった場合、上記課題を解決するこができない。言い換えれば、整流板は、液体の流入圧力を減圧することにより、流量分布の均一化を図るものであるが、供給される液体の流入圧が不均衡である場合、その効果は限定的となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−56321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、処理槽内に流入する処理液の流量(配管から吐出される処理液の吐出圧)をより均一化することにより、液相処理をより均一に行うことができる処理装置等を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本形態に係る処理装置は、底面と、前記底面に連続する側面と、前記側面と連続する第1開口と、前記側面に位置する第2開口と、を有する処理槽と、前記第2開口に設けられた導入部と、前記導入部から前記処理槽内に延び、末端部を有する配管と、前記配管に設けられた複数の吐出孔と、を含み、前記複数の吐出孔は、第1吐出孔と、と、を含み、前記第2吐出孔は、前記第1吐出孔よりも前記末端部側に配置され、前記第1吐出孔の開口面積は前記第2吐出孔の開口面積より大きい。
【0009】
本発明によれば、処理槽内に流入する処理液の流量(配管から吐出される処理液の吐出圧)をより均一化することにより、処理槽内での液相処理をより均一に行うことができる処理装置を提供することができる。
【0010】
(2)本形態に係る処理装置において、前記複数の吐出孔の開口面積は、前記末端部側に近づく程、小さくなっていてもよい。
【0011】
(3)本形態に係る処理装置において、前記複数の吐出孔の開口面積は、前記末端部側に近づく程、段階的に小さくなっていてもよい。
【0012】
(4)本形態に係る処理装置において、前記吐出孔は、前記配管の前記第1開口側を向くように設けられていてもよい。
【0013】
(5)本形態に係る処理装置において、前記導入部は、前記処理槽に処理液を供給する液体供給装置と連通していてもよい。
【0014】
(6)本形態に係る処理装置において、前記配管は、前記導入部から第1の方向に延びる第1の部分を有していてもよい。
【0015】
(7)本形態に係る処理装置において、前記配管は、前記第1の部分から分岐し、前記末端部を有する第2の部分を有していてもよい。
【0016】
(8)本形態に係る配管は、導入部と、複数の吐出孔と、末端部と、を有し、処理液を前記吐出孔から排出する配管であって、前記複数の吐出孔は、第1吐出孔と、第2吐出孔と、を含み、前記第2吐出孔は、前記第1吐出孔よりも前記末端部側に配置され、前記第1吐出孔の開口面積は前記第2吐出孔の開口面積より大きい。
【0017】
本発明によれば、導入部からそれぞれ異なる距離を有する複数の吐出孔を備えた配管において、複数の前記吐出孔から排出される液体の流量(吐出圧)をより均一化することができる配管を提供することができる。
【0018】
(9)本形態に係る配管において、前記複数の吐出孔の開口面積は、前記末端部側に近づく程、小さくなっていてもよい。
【0019】
(10)本形態に係る配管において、前記複数の吐出孔の開口面積は、前記末端部側に近づく程、段階的に小さくなっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係る処理装置を模式的に説明する図。
【図2】本実施形態に係る配管を模式的に説明する図。
【図3】本実施形態に係る配管を模式的に説明する図。
【図4】本実施形態に係る配管を模式的に説明する図。
【図5】本実施形態に係る配管を模式的に説明する図。
【図6】第1比較例および第2比較例に係るシミュレーション結果を示すプロット図。
【図7】実施例および第2比較例に係るシミュレーション結果を示すプロット図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明を適用した実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の実施の形態のみに限定されるものではない。本発明は、以下の実施の形態および変形例を自由に組み合わせたものを含むものとする。
【0022】
1. 処理装置および配管
以下、図面を参照して、本実施の形態に係る処理装置および配管について説明する。
【0023】
図1は、本実施の形態に係る処理装置を模式的に説明する図である。図2〜図5は、本実施形態に係る配管を模式的に説明する図である。
【0024】
なお、図1においては、図示されないウエハーキャリアなどによって保持された半導体ウエハー120が、純水、薬液(エッチャントや洗浄液)、またはめっき液などの処理液110によって液相処理されている状態における処理装置100を模式的に示す。
【0025】
本実施の形態に係る処理装置100は、図1に示すように、処理槽10と、導入部21と、導入部21から処理槽10内に延び、末端部23を有する配管22と、配管22に設けられた複数の吐出孔24と、を含む。
【0026】
処理槽10は、図1に示すように、底面11と、底面11に連続する側面12と、側面12と連続する第1開口13と、側面12に位置する第2開口14と、を有する。言い換えれば、処理槽10は、底面11と側面12が内面を構成する凹部を有する。
【0027】
底面11および側面12の形状は、半導体ウエハーなどの被処理を処理槽10内に収容することができる限り特に限定されない。処理槽10内に供給された処理液110は、第1開口13から処理槽10外へ排出される。
【0028】
処理槽10の材質としては、使用される処理液110と反応性が低いものを好適に選択する。例えば、石英ガラス、フッ素樹脂、PVC(ポリ塩化ビニル)、SUS(ステンレス鋼)などが挙げられる。また、処理槽10としてフッ素樹脂を用いる場合、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)などを用いてもよい。
【0029】
第2開口14が側面12に設けられる位置は、第1開口13から収容された被処理体が液相処理される処理エリア16を上方に確保することができる限り、特に限定されない。また、図示はしないが、側面12には、複数の第2開口14が設けられていてもよい。
【0030】
導入部21は、図1に示すように、第2開口14に設けられる。導入部21は、処理槽100外に設けられた液体供給装置200から処理液110を処理装置100に導入する部分である。導入部21は、第2開口14において、液体供給装置200からの液体供給配管210と連続した配管であってもよい。
【0031】
ここで、液体供給装置200は、純水や薬液などの処理液を所定の圧力で供給することができる装置であって、例えば、処理液用タンクやポンプなどを備える。
【0032】
配管22は、図1に示すように、導入部21から処理槽10内に延び、末端部23を有する。また、配管22には、複数の吐出孔24が設けられている。したがって、導入部21から供給された処理液110は、吐出孔24から処理槽10内に流入する。配管22は、処理槽10内において、少なくとも被処理体が液相処理される処理エリア16とオーバーラップするように配置される。末端部23は、配管22の配管経路の長さ(流路の長さ)において、導入部21からの長さが最大となる部分である。なお、配管22は液体供給配管210及び導入部21と連続した配管であってもよい。
【0033】
複数の吐出孔24は、第1開口13側(処理エリア16側)を向くように、配管22に設けられてもよい。また、図示はされないが、複数の吐出孔24は、底面11側を向くように、配管22に設けられてもよい。複数の吐出孔24が設けられる間隔またその個数は、特に限定されない。
【0034】
配管22の材質としては、使用される処理液110と反応性が低い材質を好適に選択する。例えば、石英ガラス、フッ素樹脂、PVC(ポリ塩化ビニル)、SUS(ステンレス鋼)などが挙げられる。また、処理槽10としてフッ素樹脂を用いる場合、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)などを用いてもよい。
【0035】
複数の吐出孔24は、図2(A)および図2(B)に示すように、第1吐出孔24aと、第1吐出孔24aより孔径が小さい第2吐出孔24bと、を含み、第2吐出孔24bは、第1吐出孔24aよりも末端部23側に配置される。言い換えると、複数の吐出孔24は、第1吐出孔24aと、第2吐出孔24bと、を含み、第2吐出孔24bは第1吐出孔24aよりも末端部24側に配置され、第1吐出孔24aの開口面積は、第2吐出孔24bの開口面積よりも大きくなっている。
【0036】
例えば、図2(A)に示すように、複数の吐出孔24の孔径は、末端部23側に近づく程、小さくなるように形成されていてもよい。言い換えると、複数の吐出孔24の開口面積は、末端部23側に近づく程、小さくなるように形成されていてもよい。また、図2(B)に示すように、複数の吐出孔24の孔径は、末端部23側に近づく程、段階的に大きくなるように形成されていてもよい。言い換えると、複数の吐出孔24の開口面積は、末端部23側に近づく程、段階的に小さくなるように形成されていてもよい。具体的には、複数の吐出孔24は、第1の開口面積を有する複数の吐出孔24aと、第1の開口面積よりも小さい第2の開口面積を有する複数の吐出孔24bを有し、複数の吐出孔24bは複数の吐出孔24aよりも末端部側に配置されていてもよい。
【0037】
以上から、配管22の配管経路の長さ(流路の長さ)において、最も導入部21側に配置される吐出孔24の孔径が最大値となり、最も末端部23側に配置される吐出孔24の孔径が最小値となる。言い換えると、最も導入部21側に配置される吐出孔24の開口面積が最大値となり、最も末端部23側に配置される吐出孔24の開口面積が最小値となる。
【0038】
本発明では、それぞれの吐出孔24における孔径(言い換えると開口面積)の大きさは、それぞれの吐出孔24から吐出される処理液110の吐出圧(流量)がより均一化するように、処理液の粘度、使用温度、配管22の配管径および導入部21からの配管経路の長さ等を考慮して決定する。以下に詳細を説明する。
【0039】
供給される処理液の配管22に供給される流量(供給圧)および供給される処理液の物性(粘度)が、所定の値に決定される場合、吐出孔24から吐出される吐出流量は、実質的に、(1)吐出孔24の抵抗による圧力損失および(2)配管22の任意吐出孔入口の圧力を考慮することで決定することができる。
【0040】
(1)吐出孔24の抵抗による圧力損失とは、供給される処理液110の層流損失であって、所謂ハーゲン・ポアズイユ(Hagen・Poiseuille)の式を用いることで理論的に求めることができる。ハーゲン・ポアズイユの式において、圧力損失は粘度と流量の一乗に比例する。これによれば、吐出孔24の孔径が大きくすることで、吐出孔24の抵抗による圧力損失を小さくすることができる。言い換えれば、吐出孔24の孔径を大きくすることで、吐出孔24における抵抗が低くなり、吐出される流量を多くすることができる。
【0041】
(2)配管22の任意吐出孔入口の圧力は、液体供給装置200の供給圧と、液体供給配管配210から任意吐出孔入口までの管断面形状による管路壁面と流体との摩擦損失、および配管の経路形状(曲がり、急拡大、急縮小など)により、例えば流体の流れが配管の壁面から剥離して渦ができることなどにより生じる圧力損失により決まる。また、配管22の任意吐出孔入口の圧力は、所謂ベルヌーイ(Bernoulli)の式を用いることで理論的に求めることができる。ベルヌーイの式において、圧力損失は、液体の密度の一乗と流量の二乗に比例する。これによれば、配管22の経路の長さが長くなるほど、配管22の抵抗による圧力損失は大きくなる。言い換えれば、導入部21から遠くなる程、配管22による圧力損失の影響が大きくなり、流体の流速が小さくなる。したがって、導入部21から遠い吐出孔24ほど、吐出孔24に加わる流体の圧力は大きくなる。
【0042】
以上から、配管22に供給される処理液110の流量(L/min)、密度(kg/m3)、質量流量(kg/s)、粘度(Pa・s)、想定される使用温度(℃)、配管22の配管断面形状、配管経路形状、吐出孔24の配管22に設けられる位置、個数および間隔、それぞれの吐出孔24における理想流量(均一化された場合の流量)などを設定することにより、各吐出孔24における理想孔径を理論的に決定することができる。
【0043】
上記の理論を用い、各吐出孔24における理想孔の形状を決定する方法の具体例の一つを図1を参照しながら説明する。まず、液体供給配管210及び配管22の形状(断面形状、経路形状などを含む)、液体供給配管210への処理液110の流入量、吐出孔24へ加えられる圧力(例えば大気圧)、処理液110の密度、粘度、想定される温度などを元にシミュレーションを行い、複数ある吐出孔24がすべて同一径だった場合の、吐出孔24の個々の平均流量(m/s)をそれぞれ求める。なお、このとき、処理液110の流入量、吐出孔24へ加えられる圧力、処理液110の密度、粘度、温度などを適宜設定し、平均流量を調節してもよい。また、配管22に設けられた吐出孔24の数nで、液体供給配管210への処理液110の流入量(m/s)を割り、吐出孔1個当たりの理想流量(m/s)を算出する。
【0044】
次に、吐出孔1個当たりの理想流量(m/s)を、吐出孔24の個々の平均流量(m/s)で割り、個々の吐出孔24の理想の開口面積A(m)をそれぞれ算出する。そして、算出された理想の開口面積A(m)を元に、個々の吐出孔24の理想の孔径dをそれぞれ求める。具体的には、A=πd/4となるので、この計算式を元に孔径dを求める。なお、吐出孔24が円形状である場合で説明してきたが、理想の開口面積Aを満たせば、吐出孔24の形状は円形に限られず、楕円形、多角形となっていてもよい。
【0045】
図2に示すように、配管22は、導入部21から第1の方向(X軸方向)に延びる第1の部分22aを有する。
【0046】
また、図3〜図5に示すように、配管22は、第1の部分22aから分岐し、末端部23を有する第2の部分22bを有する。図3〜図5に示すように、第2の部分22bは複数設けられていてもよい。
【0047】
例えば、図3および図4に示すように、第2の部分22bは、第1の部分22aから、第1の方向と交差する第2の方向(例えば、Y軸方向)に延びていてもよい。ここで、第2の部分22bは、図3に示すように、第1の部分22aの一方の側方にのみ設けられていてもよいし、図4に示すように、第1の部分22aの両方の側方に設けられていてもよい。言い換えれば、配管22は、所謂櫛歯状の形状を有していてもよい。
【0048】
例えば、図5に示すように、第2の部分22bは、第1の部分22aから、第1の方向と交差する第2の方向(例えば、Y軸方向)に延びる第3の部分22cと、第3の部分22cから、第1の方向(X軸方向)に延びる第4の部分22dと、をさらに含んでいてもよい。
【0049】
以上の場合、最も孔径(開口面積)の小さな吐出孔24は、第2の部分22bの末端部23に最も近い位置に配置された吐出孔24であり、最も孔径(開口面積)の大きな吐出孔24は最も導入孔21に近い位置に配置された吐出孔24である。ここで、上述のように、各吐出孔24における理想孔径(理想開口面積)は、導入孔21からの配管22の経路の長さにも依存する。したがって、隣り合う第2の部分22b間においても、それぞれの吐出孔24の孔径は互いに異なるように設定される。
【0050】
本実施の形態に係る処理装置100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0051】
本実施の形態に係る処理装置100は、導入部21から処理槽10内に延び、末端部23を有する配管22と、配管22に設けられた複数の吐出孔24と、を含み、複数の吐出孔24は、第1吐出孔24aと、第2吐出孔24bと、を含み、第2吐出孔24bは第1吐出孔24aよりも末端部23側に配置され、第1吐出孔の開口面積は第2吐出孔24bの開口面積より大きい。これによれば、処理液110の吐出孔24への圧力が小さい導入部21側では、吐出孔24が大きくなるように設定されるため、吐出孔24における圧力損失が小さくなり、吐出孔24からの吐出流量を多くして、所望の流量の処理液110を処理槽10内に供給することができる。また、処理液110の吐出孔24への圧力が大きい末端部23側では、吐出孔24が小さくなるように設定されるため、吐出孔24における圧力損失が大きくなり、吐出孔24からの吐出流量を抑制し、所望の流量の処理液110を処理槽10内に供給することができる。したがって、処理槽10内に流入する処理液110の流量(配管22から吐出される処理液の吐出圧)をより均一化することにより、処理槽10内での液相処理をより均一に行うことができる処理装置100を提供することができる。
【0052】
また、本実施の形態に係る配管22によれば、導入部21からそれぞれ異なる距離を有する複数の吐出孔24を備えた配管において、複数の吐出孔24から吐出される液体の流量(吐出圧)をより均一化することができる配管22を提供することができる。
【0053】
処理装置100は、液体などの流体を被処理体に噴射することで、処理を行う処理装置である。
【0054】
例えば、処理装置100は、処理液110としてエッチャントを用いるウェットエッチング装置であってもよい。これによれば、半導体ウエハーなどの被処理体を均一にエッチングすることができるエッチング装置を提供することができる。
【0055】
また、例えば、処理装置100は、処理液110として純水などの洗浄水を用いる洗浄装置であってもよい。これによれば、半導体ウエハーなどの被処理体を均一に効率よく洗浄することができる洗浄装置を提供することができる。
【0056】
また、例えば、処理装置100は、処理液110として純水などのめっき液を用いるめっき装置であってもよい。これによれば、半導体ウエハーなどの被処理体に均一な金属膜を形成することができるめっき装置を提供することができる。
【0057】
2. シミュレーション例
次に、シミュレーション例について説明する。シミュレーションに係る配管22は、隣り合う吐出孔24のピッチ幅が6mmで、合計30個の吐出孔24(out1:導入部21側〜out30:末端部23側)が設けられた配管であると設定した。
【0058】
第1比較例に係るシミュレーションでは、30個の吐出孔24のすべての孔径をΦ2[mm]と設定した場合で、処理液の粘度が、0.001[Pa・s]である場合の吐出孔24(out1〜out30)における流量[L/min]を算出した。
【0059】
第2比較例に係るシミュレーションでは、30個の吐出孔24のすべての孔径をΦ2[mm]と設定した場合で、処理液の粘度が、0.01[Pa・s]である場合の吐出孔24(out1〜out30)における流量[L/min]を算出した。
【0060】
実施例に係るシミュレーションでは、30個の吐出孔24(out1〜out30)のそれぞれの孔径を、表1の理想流量を基に算出された理想孔径と設定した場合で、処理液の粘度が、0.01[Pa・s]である場合の吐出孔24(out1〜out30)における流量[L/min]を算出した。
【0061】
第1比較例、第2比較例および実施例で共通した諸条件を以下の表1に示す。
【0062】
【表1】

【0063】
また、上記条件から算出された実施例における30個の吐出孔24(out1〜out30)のそれぞれの理想孔径を以下の表2に示す。
【0064】
【表2】

【0065】
以上の条件の下、本シミュレーションを実施した。以下に、その結果を、図面を用いて説明する。図6は、第1比較例および第2比較例に係るシミュレーション結果をプロットした図であり、図7は、第2比較例および実施例に係るシミュレーション結果をプロットした図である。
【0066】
図6に示すように、吐出孔24を全て2Φに設定した場合は、その粘度にかかわらず、導入部21側であるout1と、末端部23側であるout30との間において、連続的な流量の勾配が発生することが確認された。
【0067】
次に、図7に示すように、実施例に係るシミュレーションでは、導入部21側であるout1と、末端部23側であるout30との間において、上記の比較例にて確認された流量の勾配が均一化されていることが確認された。ここで、第2比較例に係るシミュレーションに結果における最大流量と最小流量との幅は、0.365[L/min]であったのに対し、実施例に係るシミュレーションに結果における最大流量と最小流量との幅は、0.056[L/min]であった。これによれば、本実施の形態に係る配管22によれば、導入部21からそれぞれ異なる距離を有する複数の吐出孔24を備えた配管において、複数の吐出孔24から吐出される液体の流量をより均一化することができることが確認された。
【0068】
上記のように、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には容易に理解できよう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0069】
10 処理槽、11 底面、12 側面、13 第1開口、14 第2開口、
16 処理エリア、21 導入部、22 配管、23 末端部、24 吐出孔、
100 処理装置、110 処理液、120 被処理体(半導体ウエハー)、
200 液体供給装置、210 液体供給配管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面と、前記底面に連続する側面と、前記側面と連続する第1開口と、前記側面に位置する第2開口と、を有する処理槽と、
前記第2開口に設けられた導入部と、
前記導入部から前記処理槽内に延び、末端部を有する配管と、
前記配管に設けられた複数の吐出孔と、
を含み、
前記複数の吐出孔は、第1吐出孔と、第2吐出孔と、を含み、前記第2吐出孔は、前記第1吐出孔よりも前記末端部側に配置され、前記第1吐出孔の開口面積は前記第2吐出孔の開口面積より大きい、処理装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記複数の吐出孔の開口面積は、前記末端部側に近づく程、小さくなる、処理装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記複数の吐出孔の開口面積は、前記末端部側に近づく程、段階的に小さくなる、処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項において、
前記吐出孔は、前記第1開口側を向くように、前記配管に設けられる、処理装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項において、
前記導入部は、前記処理槽に処理液を供給する液体供給装置と連通する、処理装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項において、
前記配管は、前記導入部から第1の方向に延びる第1の部分を有する、処理装置。
【請求項7】
請求項6項において、
前記配管は、前記第1の部分から分岐し、前記末端部を有する第2の部分を有する、処理装置。
【請求項8】
導入部と、複数の吐出孔と、末端部と、を有し、処理液を前記吐出孔から排出する配管であって、
前記複数の吐出孔は、第1吐出孔と、第2吐出孔と、を含み、前記第2吐出孔は、前記第1吐出孔よりも前記末端部側に配置され、前記第1吐出孔の開口面積は前記第2吐出孔の開口面積より大きい、配管。
【請求項9】
請求項8において、
前記複数の吐出孔の開口面積は、前記末端部側に近づく程、小さくなる、配管。
【請求項10】
請求項8において、
前記複数の吐出孔の開口面積は、前記末端部側に近づく程、段階的に小さくなる、配管。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−209313(P2012−209313A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71864(P2011−71864)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】