説明

出張サービス監視装置および輸送機

【課題】サービス状況を受取場所に行かなくとも確認することができ、出張サービスの過程を客観的に記録することを可能にする。
【解決手段】出張サービス監視装置は、自力走行可能な輸送機を運行して、受取場所で前記輸送機の庫内に被破砕物を受け取る出張サービスの監視装置であって、前記輸送機の運行状況を記録するドライビングレコーダ20と、前記出張サービスの過程の画像を取得するカメラ40とを備え、前記カメラ40の画像を前記輸送機の運行状況と関連付けて前記ドライビングレコーダ20に記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は出張サービス監視装置および輸送機に係り、特に機密文書などを細断する細断出張サービスを行うシュレッダ監視装置およびシュレッダ監視装置を搭載した自動車に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、シュレッダを搭載した車両がユーザに出向き、使用済み重要文書、機密文書などの被破砕物を現地(ユーザの所)で破砕、減容化する出張サービスが行われている(例えば、特許文献1)。これによれば、現地まで破砕に行くので効率的であり、ユーザの目の前で被破砕物を破砕するので機密の保持が万全であり、破砕物片はすべて持ち帰るのでリサイクルが可能である等のメリットがある。
【特許文献1】特開2005−81202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述した従来技術では、シュレッダの稼働状況を客観的に記録できないため、破砕現場にユーザが直接出向いて立ち合わなければならない。また、シュレッダで破砕する被破砕物は機密文書であることが多いため、機密保持の万全を図るために、現場での破砕状況の客観的な監視記録だけでは足りず、引渡場所での破砕物片の受け渡し監視記録(見届け)、破砕後破砕物片の紛失などの事故がないように現地から引渡場所までの運行状況の監視記録、さらには破砕前の運行状況の監視記録も要請されている。すなわち、運搬中の監視及びトレーサビリティが求められており、その改善が望まれていた。このことは、上述した破砕出張サービスと同様に、破砕を伴わない引取出張サービスにも共通する。
【0004】
本発明の課題は、上述した従来技術の問題点を解消して、ユーザが受取りに立合わなくても被破砕物の機密保持の万全を図ることが可能で、運搬中の監視及びトレーサビリティを実現することが可能な出張サービス監視装置および輸送機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、自力走行可能な輸送機を運行して、受取場所で前記輸送機の庫内に被破砕物を受け取る出張サービスの監視装置であって、前記輸送機の運行状況を記録するドライビングレコーダと、前記出張サービスの過程の画像を取得するカメラとを備え、前記カメラの画像を前記輸送機の運行状況と関連付けて前記ドライビングレコーダに記録するようにした出張サービス監視装置が提供される。
【0006】
好ましくは前記カメラを、前記輸送機の進行方向の画像を取得する前方カメラと、前記輸送機の側方出入口から前記庫内に搬入出される被破砕物の画像を取得する側方カメラと、前記輸送機の後方出入口から前記庫内に搬入出される被破砕物の画像を取得する後方カメラと、前記庫内の画像を取得する庫内カメラとから構成する。
【0007】
また、好ましくは前記輸送機が運行中のとき、モード1に入れて前記前方カメラ、前記後方カメラにより間欠画像を取得するようにする。
【0008】
また、好ましくは前記輸送機が前記受取場所に発着したことを検出する検出手段と、前記検出手段によって前記輸送機が前記受取場所に着いたことが検出された場合に、モード2に切り替えて前記前方カメラ、前記後方カメラ、前記庫内カメラ、および前記側方カメラにより高解像度画像を取得するようにし、前記検出手段によって前記輸送機が前記受取場所を発したことが検出された場合に、モード1に切り替えて前記前方カメラ、前記後方カメラにより間欠画像を取得するようにする。
【0009】
また好ましくは、前記輸送機が、前記受け取った被破砕物を引渡す引渡場所に発着したことを検出する検出手段と、前記検出手段によって前記輸送機が前記引渡場所に着いたことが検出された場合に、モード3に切り替えて前記前方カメラ、前記後方カメラにより高解像度画像を取得するようにし、前記検出手段によって前記輸送機が前記引渡場所を発したことが検出された場合に、モード1に切り替えて前記前方カメラ、前記後方カメラにより間欠画像を取得するようにする。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、一の態様の出張サービス監視装置を搭載した輸送機が提供される。
【0011】
また、本発明の第3の態様によれば、自力走行可能な車両の庫内に搭載されるシュレッダと、前記車両の運行状況を記録するドライビングレコーダと、前記シュレッダによる出張サービスの過程の画像を取得するカメラとを備え、前記カメラの画像を前記車両の運行状況と関連付けて前記ドライビングレコーダに記録するようにしたシュレッダ監視装置が提供される。
【0012】
好ましくは、前記カメラを、前記車両の進行方向の画像を取得する前方カメラと、前記車両の側方出入口を開閉するサイドドアに設けられ、前記側方出入口から前記車両に搬入出される被破砕物の画像を取得する側方カメラと、前記車両の後方出入口を開閉するリアドア近傍に設けられ、後方出入口から前記車両から搬入出される破砕された破砕物片の画像を取得する後方カメラと、前記シュレッダが搭載される庫内に設けられ、前記シュレッダの画像を取得する庫内カメラとから構成する。
【0013】
また、好ましくは前記車両が運行中のとき、モード1に入れて前記前方カメラ、前記後方カメラにより間欠画像を取得するようにする。
【0014】
また、好ましくは、前記サイドドアの開閉を検出するサイドドアスイッチと、前記サイドドアスイッチによって前記サイドドアが開放されたと判断された場合に、モード2に切り替えて前記前方カメラ、前記後方カメラ、前記庫内カメラ、および前記側方カメラにより高解像度画像を取得するようにし、前記サイドドアスイッチによって前記サイドドアが閉じたと判断された場合に、モード1に切り替えて前記前方カメラ、前記後方カメラにより間欠画像を取得するようにする。
【0015】
また、好ましくは、前記リアドアの開閉を検出するリアドアスイッチと、前記リアドアスイッチによって前記リアドアが開放されたと判断された場合に、モード3に切り替えて前記前方カメラ、前記後方カメラにより高解像度画像を取得するようにし、前記リアドアスイッチによって前記リアドアが閉じたと判断された場合に、モード1に切り替えて前記前方カメラ、前記後方カメラにより間欠画像を取得するようにする。
【0016】
また、第4の態様によれば、第3の態様のシュレッダ監視装置を搭載した輸送機が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ユーザが被破砕物の引渡しに立ち合わなくても被破砕物の機密保持の万全を図ることが出来、運搬中の監視及びトレーサビリティを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
本発明に係る出張サービス監視装置は、自力走行可能な輸送機を運行して、予め登録した受取場所で、輸送機の庫内に被破砕物を受け取る出張サービスを監視する装置である。この出張サービスには、受取場所で被破砕物を破砕する細断出張サービスと、受取場所では被破砕物を引き取るだけで破砕しない引取出張サービスとがある。ここでは、前者の細断出張サービスを監視するシュレッダ監視装置について説明する。
実施の形態のシュレッダ監視装置は、図1に示すように、車両100の庫内121に搭載されるシュレッダ10と、ドライビングレコーダ20と、ドライビングレコーダ20に接続可能に設けられるカメラ40とを備える。
【0019】
シュレッダ10は、被破砕物を破砕して破砕物片とする。例えば不要になった機密文書等を細かく切断して細断紙片とする。ここでは、シュレッダ10として大量の機密文書を細断することが可能な業務用の大型シュレッダが用いられる。また、シュレッダは、紙だけでなく、電子記録媒体(カード、CD、DVD、FD、MO等)も細断できるハイブリッド型シュレッダが好ましい。
【0020】
ドライビングレコーダ20は、車両100の運行状況や、出張サービス過程の画像を各種センサ及びカメラで記録する機能を備える。ドライビングレコーダ20にはGセンサ(加速度センサ)ユニット30とGPSアンテナ31とが接続可能であり、GPSアンテナ31から車両100の走行位置情報(緯度・経度)が入力され、加速度センサ(Gセンサ)ユニット30から加速度情報が入力される。これにより、車両100の運行及び事故発生を記録できる。また、GPSアンテナ31が接続されていると、正確な年月日、時刻、場所(緯度・経度)が記録できる。また、このドライビングレコーダ20にはカメラ40が接続される。ドライビングレコーダ20は、上記センサユニットと同様に、カメラ40と本体とが接続可能なセパレートタイプである。ドライビングレコーダ本体には複数台のカメラ40が接続可能である。
【0021】
カメラ40は少なくともシュレッダ10を含むシュレッダ10の周辺の画像を取り込むようになっている。カメラ40は、例えばCCDカメラで動画像を取り込めるよに構成することができる。また、カメラ40は、実施の形態では、前方カメラ41と、側方カメラ43と、庫内カメラ44と、後方カメラ42との4台から構成される。
【0022】
前方カメラ41は運転席車両110の窓から進行方向の画像を取得する。側方カメラ43は車両100のサイドに設けられた文書置き場127に載置される被破砕物(機密文書)や、サイドドア123から庫内121内に搬入出される機密文書、あるいは視界に入る作業員の画像を取得する。庫内カメラ44はシュレッダ10や作業員を含む周辺画像を取得する。後方カメラ42はリアドア125の窓から、あるいはリアドア125が開放された後方出入口から、車両100より搬出入される細断紙片を含む車両100のリア方向の画像を取得する。このように4台のカメラ40によって、車両100の前方だけでなく後方や側方および庫内121の画像も同時に取得して、シュレッダ10による出張サービスの過程の画像を記録できるようになっている。
【0023】
カメラ40で取得した画像は、車両100の運行状況と関連付けられ、シュレッダ10による出張サービスの過程の画像としてドライビングレコーダ20に記録される。
このようにシュレッダ監視装置が構成される。
【0024】
輸送機、例えば自動車としての廃棄物破砕車は、上述したシュレッダ監視装置と、このシュレッダ監視装置を搭載した車両100とから構成される。
車両100は自力走行可能であり、運転席車両110と収納庫車両120とからなる。運転席車両110には、GPSアンテナ31とGセンサユニット30とが取り付けられる。また、前方カメラ41は運転席車両110のフロントガラスの近傍に設けられる。側方カメラ43は収納庫車両120の側方出入口を開閉するサイドドア123の内側に設けられる。後方カメラ42は庫内121であって、収納庫車両120の後方出入口を開閉するリアドア125の近傍に設けられる。庫内カメラ44はシュレッダ10が搭載される庫内121のシュレッダ10の近傍に設けられる。
前記カメラ41〜44は視野が定位置になるように各部位に固定して取り付けるようにしてもよいし、あるいは視野位置が変わるように可動自在に取り付けるようにしてもよい。
【0025】
ドライビングレコーダ20は、シュレッダ10と同様に収納庫車両120の庫内121に設けられる。庫内121には大型のシュレッダ10が搭載される。シュレッダ10は密閉空間である庫内121に搭載されるので、外部から覗かれることがなく、また不意の風などによって機密文書が散乱することがない。シュレッダ10は、車両走行時のバランスを良好にするために、庫内121の中央部に搭載される。本実施の形態では、機密文書はサイドドア123から搬入され、細断後の細断紙片はリアドア125から搬出されるように決められている。
【0026】
図3は、ドライビングレコーダ20とこれに接続される各種入出力部とから構成されるドライビングレコーダシステムのブロック図を示す。
【0027】
ドライビングレコーダ20は、バス24で接続されたCPU(制御部)21、ROM22、RAM23、I/Oポート25から主に構成される。ドライビングレコーダ20の電源は車両100に搭載された車載電源34から供給される。ドライビングレコーダ20には、外部記憶装置38として例えばSDカード32やリムーバブルHDD33が接続可能である。制御部21は、ROM22に書込まれたシステムプログラムによって各種入出力部を制御する。
【0028】
4台のカメラ41〜44から取得された各画像信号は、I/Oポート25を介してCPUを含む制御部21に入力される。制御部21はマルチプレクサおよび画像圧縮エンジンを有する。画像信号はマルチプレクサにより任意に組替えられ、組替えられた画像信号は圧縮エンジンにより画像圧縮されてRAM23上に展開される。圧縮量は、例えば12時間分の画像が1000kbpsで4.032GB(DVD1枚)へ記録できるような量とする。圧縮された画像は、RAM23から外部記憶装置38、SDカード32またはHDD33にデジタル記録される。例えば、SDカード32の記憶容量が2GBだと2時間、HDD33の記憶容量が60GBだと1週間分の動画像の録画が可能である。
【0029】
外部記憶装置38に記録された画像は読み出されて、制御部21によりRAM23上で展開(解凍)され、I/Oポート25を介してモニタ29に動画像として出力される。
また、マイク27から拾った音声信号がI/Oポート25を介して制御部21に入力され、外部記憶装置38に記録される。制御部21から出力される音声信号はI/Oポート25を介してスピーカ28に出力される。Gセンサユニット30から取得した加速度情報、およびはGPSアンテナ31から取得した走行位置などの情報は、それぞれI/Oポート25に入力され、制御部21を介して外部記憶装置38に記録される。
リモートコントロールなどの入力装置35からメニューセッティング信号が制御部21に入力され、制御部21からクロック信号により表示部36に時刻が出力される。
【0030】
また、制御部21には、車両100の発着を検出する検出手段としてのサイドドアスイッチ51とリアドアスイッチ52とが接続されている。サイドドアスイッチ51は、そのオン・オフにより、サイドドア123の開閉を検出し、リアドアスイッチ52は、そのオン・オフにより、リアドア125の開閉を検出する。
【0031】
また図示しないが、車両100の速度計からの速度、時計装置からの時刻、ブレーキから操作量、スロットルからの操作量、原動機に取り付けられた回転計からの回転数、変速機からのポジション、舵からの操作量などの情報は、それぞれI/Oポート25に入力され、制御部21を介して外部記憶装置38に記録される。
【0032】
システムが取り得るモードには、車両100が移動運行中であることを示す運転モード1、車両100が受取場所に着いて機密文書を細断中であることを示す細断モード2、細断紙片を引渡し中であることを示す引渡モード3の3つがある。本発明のシュレッダによる出張サービスの過程の画像とは、一態様においては、少なくともシュレッダの稼働状況を示す画像を意味するが、他の態様においては、単にシュレッダの稼働状況を示す画像に止まらず、上記3つのモード中に記録される機密文書や細断紙片の流れ、作業員の挙動等、あるいはシュレッダに関連する個々の状況の1つ又は複数、さらには全ての状況を示す画像を意味する。
【0033】
図4を用いて上述した3つのモードを用いた細断出張サービスについて説明する。
細断出張サービス会社(以下、提供業者Vという)から発進した廃棄物破砕車は、車両100の移動運行中は運転モード1に設定される。この運転モード1では前方カメラ41および後方カメラ42を有効(作動)にし、庫内カメラ44、側方カメラ43は無効(非作動)にする。第1の細断場所(以下、ユーザU1)までの運行ルートを録画するためである。
【0034】
車両100がユーザU1に着いてサイドドア123が開かれるとモードが細断モード2に変更される。細断モード2では、前方カメラ41、後方カメラ42、庫内カメラ44、および側方カメラ43の全てを有効にする。収納庫車両120のサイドドア123から被細断書類が庫内121に搬入されるのを録画(監視)することによって、不用意に機密書類ないし細断済の書類が持出されないように機密の万全を図るためである。第2の細断場所(以下、ユーザ2)に車両100が移動するときはモードは運転モード1に変更される。ユーザ2までの運行ルートを記録するためである。
【0035】
車両100がユーザ2に着いてサイドドア123が開かれるとモードは細断モード2に変更される。機密の万全を図るためである。そして、車両100の移動により古紙引渡場所、例えば製紙会社(以下、製紙会社P)に着いてリアドア125が開かれるとモードは引渡モード3に変更される。引渡モード3では、前方カメラ41、後方カメラ42を有効とし、庫内カメラ44、側方カメラ43を無効とする。収納庫車両120のリアドア125から細断紙片が搬出されるのを録画(監視)することにより、機密文書の機密性を保持したまま製紙会社に搬入したことを確認して、機密の万全を図るためである。第3の細断場所、あるいは提供業者Vへ移動するときはモードは運転モード1に変更される。
【0036】
図2は本実施の形態における制御部21のカメラ処理のシュレッダ監視動作を説明するフローチャートである。なお、Gセンサ30やGPSアンテナ31、カメラ40などからの情報に基づいて車両の運行状況を記録するドライビングレコーダ20の本来の動作は、公知の動作と同じであるため説明を省略する。
【0037】
システムスタートにより、制御部21は、まず、モードを運転モード1に設定する(ステップ201)。これにより前方カメラ41および後方カメラ42で車両100の前後を間欠画像で録画させる(ステップ202)。このとき庫内カメラ44および側方カメラ43では録画しない。ここで間欠画像とは、例えば320×240ピクセル、15フレーム/秒である。
【0038】
制御部21は、つぎに、サイドドアスイッチ51のオン・オフを検出することにより、サイドドア123が開いたか否かを判断する(ステップ203)。サイドドア123が開いたと判断された場合、車両100がユーザUの所に到着して細断が開始されるとして、モードを細断モード2に切り替える(ステップ204)。細断モード2に切り替わると、制御部21は、前方カメラ41、後方カメラ42、庫内カメラ44、側方カメラ43で車両100の前後、側方及び庫内121を高解像度画像で録画させる(ステップ205)。ここで高解像度画像とは、例えば640×480ピクセル、15フレーム/秒である。
【0039】
このモード2では、収納庫車両120のサイドに設けられた文書置き場127に載置される機密文書の画像が側方カメラ43によって高解像度で録画される。また、文書置き場127に載置された機密文書が庫内121に搬入される画像が側方カメラ43によって録画される。また、庫内121でシュレッダ10により機密文書を細断している状況、例えばシュレッダ10の稼働状況や作業員の挙動、またはシュレッダの周囲の画像が庫内カメラ44によって高解像度で録画される。
制御部21は、サイドドア123が閉じられたと判断した場合、細断が終了したものとして、モードを運転モード1に戻す。
【0040】
制御部21は、さらに、リアドアスイッチ52のオン・オフを検出することにより、リアドア125が開いたか否かを判断する(ステップ206)。リアドア125が開いたと判断した場合、車両100が製紙会社Pに到着して古紙である細断紙片が引渡しが開始されるとして、モードを引渡モード3に切り替える(ステップ207)。引渡モード3に切り替わると、制御部21は、前方カメラ41、後方カメラ42に高解像度録画させる(ステップ208)。このとき庫内カメラ44および側方カメラ43は停止して録画しない。
モード3では、リアドア125を介して庫内121から搬出されて製紙会社Pに引渡される細断紙片は、後方カメラ42によって録画される。また、細断紙片を庫内121から搬出する作業員の動きが後方カメラ42によって録画される。搬出された細断紙片は、製紙会社で溶解処理されてリサイクルされる。
制御部21は、リアドア125が閉じられたと判断した場合、古紙引渡しが完了したものとしてモードを運転モード1に戻す。
全ての運行スケジュールをこなし業務が終了すると、廃棄物破砕車は提供業者Vの所に帰社する。
【0041】
提供業者Vの所には、解析ソフト及び画像ビュアソフトを搭載した管理用サーバ61が設けられている。廃棄物破砕車に搭載したSDカード32又はリムーバブルHDD33に記録された運行データや画像データをユーザ毎に管理用サーバ61に保存する。解析ソフトを使って車両100の運行状況を運行データから解析する。例えば、電子地図上に運行ルートをプロットし、予め設定した運行ルートと比較して、運行管理をする。また、電子日報として、ドライバ管理、運行軌跡管理、車両100の関連情報と共に、データベースに記録して、運行管理データとして利用できるようにする。
一方、4台のカメラ40で取得した動画像データを画像ビュアを使って確認しがら、シュレッダ稼働、作業者(監視対象者)、作業内容に問題がないか否か、不正な作業がないか否か等を運行管理データと関連づけて解析する。画像の解析内容としては、シュレッダの稼働状況、古紙引渡場所での細断紙片の引渡し、細断紙片の紛失、現地から古紙引渡場所までの運行状況、細断前の運行状況等でシュレッダに関連する画像情報である。これらの画像も前述したデータベースに記録する。
業務内容に問題がないときは、機密書類を安全に機密廃棄したとして、当該業務を認証してパスワードを発行する。出荷の管理データは、データベースから読み出して、パスワードを付して例えばDVD−RAM63に記録し、ユーザUに提供する。ユーザUは、提供業者Vではなく、シュレッダ監視装置を作製したメーカMが発行したパスワードによりビュワーソフト64を用いて自社のパソコン62でDVD−RAM63に記録したデータを確認し、現場に立ち合わず時と場所を選ばずにシュレッダサービス内容を自身で確認することができる。
【0042】
機密性をより向上するために、上述した提供業者VはメーカMのもとで会員事務所制をとり、ユーザUも提供業者V単位で会員登録することが好ましい。また、製紙会社Pには、製紙会社のみならず製紙原料会社や古紙問屋等も含まれる。
【0043】
以上述べたように本実施の形態によれば、自力走行可能な車両100の庫内121に搭載されるシュレッダ10と、車両100の運行状況を記録するドライビングレコーダ20と、ドライビングレコーダ20にシュレッダ10の関連情報を画像の取得によって記録させるカメラ40とを備えたシュレッダ監視装置を構築し、運行状況とサービス内容の画像をリンクさせるようにしたので、細断出張サービスの機密の保持をさらに万全にすることができる。
【0044】
特に取得する画像をデジタル画像などの静止画ではなく動画像とした場合には、デジタル静止画像等と異なり、改ざんが困難であるため、静止画と比べて証拠能力を高めることが出来る。また、連続した動画像とGPSアンテナからの車両位置情報とを関連付ければ、さらに証拠能力を高めることが出来る。
【0045】
また、シュレッダ監視装置において、カメラ40が、車両100の進行方向の画像を取得する前方カメラ41と、車両100の側方出入口を開閉するサイドドア123に設けられ、側方出入口から車両100に搬入出される機密文書の画像を取得する側方カメラ43と、車両100の後方出入口を開閉するリアドア125に設けられ、後方出入口から車両100から搬出入される細断された細断紙片の画像を取得する後方カメラ42と、シュレッダ10が搭載される庫内121に設けられ、シュレッダ10を含む画像を取得する庫内カメラ44とから構成されているので、シュレッダ10の稼働、シュレッダ10を操作している作業者の挙動、機密文書及び細断された細断紙片の動きを、後に解析によって、時と場所を選ばずに、居ながらにして動画像によって確認できる。
【0046】
また、車両100が運行中のとき、運転モード1に入れて前方カメラ41、後方カメラ42により間欠画像を取得するようにすることで、通常のドライビングレコードシステムと同等の外部記憶装置38のメモリ資源の有効利用を図ることができる。
【0047】
また、サイドドア123の開閉を検出するサイドドアスイッチ51と、サイドドアスイッチ51によってサイドドア123が開放されたと判断した場合に、細断モード2に切り替えて前方カメラ41、後方カメラ42、庫内カメラ44、および側方カメラ43により高解像度画像を取得するようにし、サイドドアスイッチ51によってサイドドア123が閉じたと判断した場合に、運転モード1に切り替えて前方カメラ41、後方カメラ42により間欠画像を取得するようにすることで、細断中のサービス内容は高解像度画像で監視でき、細断後は通常の解像度で監視できる。特に、細断中のサービス内容を解像度画像で監視できるようにしたので、監視精度が上がり、機密の万全性を高めることが出来る。
【0048】
また、リアドア125の開閉を検出するリアドアスイッチ52と、リアドアスイッチ52によってリアドア125が開放されたと判断した場合に、引渡モード3に切り替えて前方カメラ41、後方カメラ42により高解像度画像を取得するようにし、リアドアスイッチ52によってリアドア125が閉じたと判断した場合に、運転モード1に切り替えて前方カメラ41、後方カメラ42により間欠画像を取得するようにすることで、古紙引渡し時は高解像度で監視でき、引渡し後は通常の解像度で監視できる。特に、古紙引渡し時を高解像度で監視できるようにしたので、監視精度が上がり、細断紙片の引渡し時においても機密の万全性を高めることが出来る。
【0049】
また、動画には信号機の点灯タイミングや、他の交通機関や天気の要素も含まれる。したがって、この動画上に、さらに刻々と変わる時刻とGPSの緯度・経度との連続データを重ねると、3つの連続する一つのデータが形成される。このデータを偽造することは非常に困難になるので、機密の万全性をより高めることが出来る。
【0050】
また、車両100にシュレッダ監視装置を搭載して廃棄物破砕車を構成するようにすることで、単にシュレッダを搭載した廃棄物破砕車と比べて、車両の運行状況とシュレッダの画像関連情報とを関連づけて細断出張サービスの全過程を監視することができるので、サービス履歴が分かり、信頼性、機密性の高い細断出張サービスを提供できる。
【0051】
なお、上述した実施の形態では細断出張サービスを行う作業者に特に認証カード等を発行しない場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、認証カードを発行してドライビングレコーダでその照合を行うようにして、認証された作業者のみに出張サービス作業に従事させるようにすれば、さらに機密文書処理の機密性、信頼性を高めることが出来る。
【0052】
また、上述した実施の形態では、被破砕物をサイドドアから搬入し、破砕された破砕物片をリアドアから搬出するようにしたが、本発明はこれに限定されず、被破砕物をリアドアから搬入し、破砕物片をサイドドアから搬出するようにしてもよい。
【0053】
また、上述した実施の形態では、モード変更を行う検出手段としてドアの開閉を検出するドアスイッチを用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ドアスイッチに代えてGPSアンテナを用いることも可能である。GPSアンテナからの車両の走行位置情報から、予め登録した場所に車両が到着したことを検出して、モード変更するようにしてもよい。これによれば、ドアの開閉というメカニカルな動作を伴うことなく、自動的に録画を開始することができるので、誤動作などに起因する画像の撮りこぼしをより確実になくすことができ、また、不正作業者がシュレッダ等の機械を、より確実に触れられないようにすることができる。
【0054】
また、本実施の形態では、輸送機の一例として廃棄物破砕車について説明したが、車は自動車に限定されず、例えば電車、ディーゼル車、航空機、船舶など、輸送機能を有する移動体であればいずれでも良い。
【0055】
また、上記実施の形態では、現地に出向いて細断を行う細断出張サービスについて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、現地で被破砕物を細断することなくそのまま引き取る引取出張サービスにも適用できる。さらに、機密文書に関するサービスだけでなく、廃棄物の適正処理(不法投機)の監視、物品の搬送、物品のみならずVIPの送迎等にも適用可能である。物品には、例えば美術品、競走馬、重要文化財、高級乗用車等の重要物品、入試問題等の重要文書、あるいは現金等が含まれる。これらをまとめて搬送物という。
本発明を、これらの搬送物に適用することにより、搬送物の輸送中に、GPS位置情報とともに、車両の挙動(加速、減速、旋回情報)、画像情報を同期させて記録することによって、搬送物が、問題なく運ばれたという事実を証明できる。また、その証明書をメーカが発行できる。または、搬送物の破損状況が確認できる。特に紛失、破損してはいけない重要な搬送物に対して適用すればメリットは大きい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明における一実施の形態のシュレッダ監視装置の構成図である。
【図2】本発明における一実施の形態の制御部の機能を説明するフローチャートである。
【図3】本発明における一実施の形態の制御部及び制御部の入出力系を示す説明図である。
【図4】本発明における一実施の形態の細断出張サービスの各モードを示す説明図である。
【図5】本発明における一実施の形態の出荷データ管理の説明図である。
【符号の説明】
【0057】
10 シュレッダ
20 ドライビングレコーダ
40 カメラ
41 前方カメラ
42 後方カメラ
43 側方カメラ
44 庫内カメラ
51 サイドドアスイッチ
52 リアドアスイッチ
100 車両
121 庫内
123 サイドドア
125 リアドア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自力走行可能な輸送機を運行して、受取場所で前記輸送機の庫内に被破砕物を受け取る出張サービスの監視装置であって、
前記輸送機の運行状況を記録するドライビングレコーダと、
前記出張サービスの過程の画像を取得するカメラと
を備え、
前記カメラの画像を前記輸送機の運行状況と関連付けて前記ドライビングレコーダに記録するようにした出張サービス監視装置。
【請求項2】
前記カメラが、
前記輸送機の進行方向の画像を取得する前方カメラと、
前記輸送機の側方出入口から前記庫内に搬入出される被破砕物の画像を取得する側方カメラと、
前記輸送機の後方出入口から前記庫内に搬入出される被破砕物の画像を取得する後方カメラと、
前記庫内の画像を取得する庫内カメラと
から構成されている請求項1に記載の出張サービス監視装置。
【請求項3】
前記輸送機が運行中のとき、モード1に入れて前記前方カメラ、前記後方カメラにより間欠画像を取得するようにした請求項2に記載の出張サービス監視装置。
【請求項4】
前記輸送機が前記受取場所に発着したことを検出する検出手段と、
前記検出手段によって前記輸送機が前記受取場所に着いたことが検出された場合に、モード2に切り替えて前記前方カメラ、前記後方カメラ、前記庫内カメラ、および前記側方カメラにより高解像度画像を取得するようにし、
前記検出手段によって前記輸送機が前記受取場所を発したことが検出された場合に、モード1に切り替えて前記前方カメラ、前記後方カメラにより間欠画像を取得するようにした請求項2に記載の出張サービス監視装置。
【請求項5】
前記輸送機が、前記受け取った被破砕物を引渡す引渡場所に発着したことを検出する検出手段と、
前記検出手段によって前記輸送機が前記引渡場所に着いたことが検出された場合に、モード3に切り替えて前記前方カメラ、前記後方カメラにより高解像度画像を取得するようにし、
前記検出手段によって前記輸送機が前記引渡場所を発したことが検出された場合に、モード1に切り替えて前記前方カメラ、前記後方カメラにより間欠画像を取得するようにした請求項2に記載の出張サービス監視装置。
【請求項6】
前記出張サービスが、前記庫内に搭載したシュレッダで前記被破砕物を破砕する細断出張サービスである請求項1ないし5のいずれかに記載の出張サービス監視装置。
【請求項7】
前記出張サービスが、前記輸送機の庫内に被破砕物を引取る引取出張サービスである請求項1ないし5のいずれかに記載の出張サービス監視装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の出張サービス監視装置を搭載した輸送機。
【請求項9】
前記輸送機が自動車である請求項8に記載の輸送機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−40824(P2008−40824A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−214801(P2006−214801)
【出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【出願人】(390006921)ナカバヤシ株式会社 (58)
【出願人】(506269507)株式会社あきば商会 (1)
【出願人】(596056830)株式会社マルチウエーブ (1)
【Fターム(参考)】