説明

分析装置、分析方法および収容部材

【課題】迷光が他の測光部の受光部に入るのを防止し分析精度を確保して分析できる分析装置、分析方法および収容部材を提供する。
【解決手段】分析装置1は、特定成分の分離を行う分離流路21を有する少なくとも2つのマイクロチップ20と、分離流路21の両端に電圧を印加する電極と、マイクロチップ20の分離流路21に光を照射する、個々のマイクロチップ20に対応して備えられる照射用導光部および受光用導光部と、分析測定部40に形成されるマイクロチップ20の光経路相互の間にあって他のマイクロチップ20への光を遮る遮光壁42と、照射用導光部で照光した光量および受光用導光部で受光した光量を用いて測光し、マイクロチップ20で分離した特定成分を検出する検出部30と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置、分析方法および収容部材に関する。より詳しくは、試料の成分を光学的手法により検出する分析装置、分析方法および収容部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マイクロチップデバイス(マイクロ流体デバイス)を用いて、遺伝子解析、臨床診断、薬物スクリーニングなどの化学、生化学、薬学、医学、獣医学の分野における分析が行われている。
【0003】
試料に含まれる特定成分の濃度もしくは量を分析する分析方法には、試料から特定成分を分離する分離工程と、分離された特定成分を検出する検出工程とを有する方法がある。例えば、キャピラリ電気泳動法を用いた分析方法においては、マイクロチップデバイスの分離流路に泳動液を充填し、さらに分離流路の一端寄りに試料を導入する。分離流路の両端に電圧を加えると、電気泳動により泳動液が正極側から負極側へと移動する電気浸透流が生じる。また、上記電圧が印加されることにより特定成分は、それぞれの電気泳動移動度に応じて移動しようとする。従って、特定成分は、電気浸透流の速度ベクトルと電気泳動による移動の速度ベクトルとを合成した速度ベクトルにしたがって移動する。この移動によって、特定成分が他の成分から分離される。この分離された特定成分を例えば光学的手法によって検出することにより、特定成分の量や濃度を分析することができる。
【0004】
特許文献1には、分析測定装置における交換可能な部品を識別するための装置が記載されている。その方法は、識別モジュールが取り付けられ、送受信装置によってモジュールと信号のやりとりをおこない、送受信装置と接続する制御装置はモジュールからの信号を評価し、ある条件(部品の品質等)を満たさない場合、表示装置に警告する方法である。
【0005】
特許文献2には、電気泳動分離の稼働率を上げるとともに、分離バッファ液や電気泳動条件を試料ごとに設定できるマイクロチップ電気泳動方法や微量液体クロマトグラフィなどの分析を行なうマイクロチップ処理方法が記載されている。電気泳動用高圧電源部は電気泳動流路のそれぞれに独立して泳動用電圧を印加し、1つの電気泳動流路への分離バッファ液充填及び試料注入が終了すると次の電気泳動流路への分離バッファ液充填及び試料注入に移行し、試料注入が終了した電気泳動流路では泳動電圧が印加されて電気泳動分離と蛍光測定部による検出動作が開始される。
【0006】
特許文献3には、マイクロチップの位置ばらつきを許容しながらも、簡単な構成で試料の分析精度を確保するマイクロチップ及び分析装置が記載されている。その方法は、マイクロチップに、マイクロチップに形成した流路と流路との間に、隣接する流路への光の入り込みを抑制する遮光部を備え、そのマイクロチップを分析装置に用いる方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−171022号公報
【特許文献2】特開2005−214710号公報
【特許文献3】国際公開第2010/010904号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1では、マイクロチップなどの部品を交換して分析を行う方法について記載されているが、交換時の装置の待機時間について、特に考慮されていない。特許文献2では、連続して分析処理を行うための方法が記載されているが、前処理と分析・測定処理を並行して行っているが、分析・測定処理を並行処理することについて記載されていない。
【0009】
同時に複数の分析・測定を行う分析装置の開発は進んでおり、分析にかかる時間を短縮するための改良が行われている。しかしながら、複数の分析を並行して行う場合に、同時刻に測定することは少なく、測定時間の一部を重複させるのみである。そうして、同時刻に測定を行った場合に、他の分析へ与える影響が考慮されていない。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、迷光が他の測光部の受光部に入るのを防止し分析精度を確保して分析できる分析装置、分析方法および収容部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の観点に係る分析装置は、
測光部に載置する試料の成分を光学的手法により検出する分析装置であって、
それぞれ1つ以上の前記測光部が形成された2つ以上のマイクロチップと、
前記測光部に光を照射する光照射部と、
前記光照射部から照射された光を、前記測光部ごとに受光する受光部と、
前記2つ以上のマイクロチップの光経路相互の間に備えられた遮光部材と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
好ましくは、前記遮光部材は、前記光照射部から前記マイクロチップまでの光経路相互の間、および/または、前記マイクロチップから前記受光部までの光経路相互の間、に備えられることを特徴とする。
【0013】
好ましくは、前記マイクロチップを収容する収容部材と、
前記遮光部材および前記収容部材を収容する閉空間が形成され、前記分析装置の外部の空間からの光を遮る遮蔽体と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
好ましくは、前記遮蔽体は、個々の前記マイクロチップに対応して形成され、独立して開閉可能であることを特徴とする。
【0015】
好ましくは、前記遮光部材は、絶縁体材料で形成されることを特徴とする。
【0016】
好ましくは、前記遮光部材は、断熱材料で形成されることを特徴とする。
【0017】
好ましくは、前記マイクロチップは、流路が形成された光透過性部材を有し、前記測光部は該流路であることを特徴とする。
【0018】
好ましくは、光学分析の反射率、透過率、吸光度、蛍光または発光のうち、少なくともいずれか1つの指標を用いて分析を行うことを特徴とする。
【0019】
本発明の第2の観点に係る分析方法は、
2つ以上のマイクロチップの測光部へ試料を充填する充填ステップと、
前記2つ以上のマイクロチップをそれぞれ遮光部材で隔てて測定位置に配置する配置ステップと、
前記試料を測定するための光照射部および受光部と、前記マイクロチップを含む空間を閉鎖する閉鎖ステップと、
前記光照射部から前記測光部に光を照射する光照射ステップと、
前記受光部で前記測光部からの光を受光する受光ステップと、
光学的手法により検出する検出ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0020】
好ましくは、前記配置ステップは、前記光照射部から前記マイクロチップまでの光経路相互の間、および/または、前記マイクロチップから前記受光部までの光経路相互の間、を前記遮光部材で隔てることを特徴とする。
【0021】
好ましくは、前記閉鎖ステップは、個々の前記マイクロチップを含む空間を個別に閉鎖し、
前記光照射ステップは、前記マイクロチップの測光部のそれぞれに独立に光を照射し、
前記受光ステップは、前記マイクロチップの測光部のそれぞれから独立に光を受光する、
ことを特徴とする。
【0022】
本発明の第3の観点に係る収容部材は、
2つ以上のマイクロチップを保持する収容部と、
前記収容部に保持されるマイクロチップへ光を照射する照射部から該マイクロチップまでの間、および/または、前記マイクロチップから光を受光する受光部までの間、に位置する遮光部材と、
を備えることを特徴とする。
【0023】
好ましくは、前記遮光部材は、絶縁体材料で形成されることを特徴とする。
【0024】
好ましくは、前記遮光部材は、断熱材料で形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、迷光が他の測光部の受光部に入るのを防止し分析精度を確保して分析できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態に係る分析装置の一例を示す構成概略図である。
【図2】実施の形態に係る分析装置の、分析測定部の一例を示す部分拡大図である。(a)は平面図、(b)は(a)のM−M線断面図である。
【図3】実施の形態に係る分析装置の、分析測定部の一例を示す構成概略図である。
【図4】実施の形態に係る分析装置の、分析測定部の一例を示す構成概略図である。
【図5】実施の形態に係る分析方法の工程の一例を示すフロー図である。
【図6】実施の形態に係る分析方法の処理時間の一例を示すタイミングチャートである。
【図7】実施の形態に係る分析装置の、マイクロチップの一例を示す構成概略図である。
【図8】実施の形態に係る分析装置の、マイクロチップの一例を示す構成概略図である。
【図9】従来の分析方法の処理時間の一例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明で迷光とは、測定に寄与しない余分な光をいう。
【0028】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る分析装置の構成概略図である。本実施の形態において分析装置1は、キャピラリ電気泳動法を用いた分析を行い、光学的手法により検出する分析装置とする。試料を測定する際には、例えば測光部、すなわちマイクロチップに形成された流路、に試料を注入し、その試料を光学分析し、透過率を算出して測定する。
【0029】
分析装置1は、貯液槽11、試料槽12、廃液槽13、分注部14、ピンチバルブ15、マニホールド16、マイクロチップ20、検出部30、分析測定部40、遮光壁42、流路51ないし流路53、三方バルブ55、56、制御部61および電源部62を備える。マイクロチップ20は、分離流路21、導入孔22、排出孔23、電極24および電極25を備える。
【0030】
分析装置1は、分離流路21に注入された試料の成分を光学的手法により分析測定部40の検出部30で検出する。分析装置1は、分離流路21を有するマイクロチップ20を複数備え、マイクロチップ20の光経路相互の間に遮光壁42を備える。遮光壁42は分析装置1と一体となるように備えられる。
【0031】
貯液槽11は、貯液L、例えば泳動液、精製水、洗浄液などが貯められる。泳動液は、バッファとして機能する液体であり、例えば、100mMりんご酸−アルギニンバッファ(pH5.0)+1.5%コンドロイチン硫酸Cナトリウムの水溶液がある。
【0032】
試料槽12は、試料液Kが貯められる。試料液Kは、分析装置1で分析を行うための特定成分を含むサンプルであり、測定に適した処理、例えば、希釈や混合などが行われた状態に処理された状態とする。
【0033】
廃液槽13は、使用済みの液体を貯蔵するためのものである。
【0034】
分注部14は、試料槽12の試料液Kをマイクロチップ20の分離流路21へ注入が可能である。分注部14は、ピンチバルブの役割を備えており、各分離流路21へ試料液Kを分注する。ピンチバルブ15は、分注部14の開閉に合わせて開閉動作を行い、各分離流路21の通液動作を補助する。
【0035】
マニホールド16は、各分離流路21の間へかかる負荷が不均一となるのを抑制する。
【0036】
図2は、実施の形態に係る分析装置の、分析測定部の一例を示す部分拡大図である。図2(a)は平面図、図2(b)は図2(a)のM−M線断面図である。
【0037】
分析測定部40は、マイクロチップ20、検出部30を含む。
【0038】
マイクロチップ20は2枚の樹脂基板を接合し形成しており、微細な流路からなる分離流路21と、分離流路21へ溶液の導入・排出を行うための導入孔22および排出孔23を備える。マイクロチップ20は、例えば、シリコン樹脂、メタクリル酸メチル樹脂などのアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂などの樹脂を材料とする。
【0039】
マイクロチップ20の分離流路21は、キャピラリ電気泳動法を用いた分析が行われる場である。分離流路21の断面は、直径が25μmないし100μmの円形、または辺の長さが25μmないし100μmの矩形であることが好ましいが、キャピラリ電気泳動法を行うのに適した形状および寸法であればこれに限定されない。本実施の形態においては、分離流路21の長さは、30mm程度であるが、これに限定されるものではない。
【0040】
分離流路21には、導入孔22および排出孔23が形成されている。導入孔22は、分離流路21の一端に設けられており、分注部14より試料液Kが導入される部分である。また、本実施の形態においては、試料液Kの他に、泳動液、精製水、洗浄液などの貯液Lの導入が可能である。排出孔23は、分離流路21の他端に設けられており、分離流路21に充填された試料液Kや貯液Lが排出される部分である。
【0041】
また、分離流路21には、その両端に電極24と電極25が設けられている。本実施の形態においては、電極24は、導入孔22に露出しており、電極25は、排出孔23に露出している。
【0042】
検出部30は、照射用導光部31、受光用導光部32、光ファイバー33、34と、照射用制御ユニット(光源)35および受光用制御ユニット(受光部)36を備える。
【0043】
検出部30は、分離流路21において試料液Kから分離された特定成分を分析するためのものである。検出部30は、分離流路21のうち、導入孔22よりも排出孔23に近い側の部分に設けられている。
【0044】
照射用導光部31、受光用導光部32は例えばフェルールであり、ジルコニアなどのセラミックで形成される。光ファイバー33、34は例えば石英ガラス光ファイバーなどが用いられる。照射用制御ユニット35の光源は例えばLEDなどが用いられ、受光用制御ユニット36の受光部は例えばフォトダイオードなどが用いられる。
【0045】
照射用導光部31は、光を照射するための光源を備えた照射用制御ユニット35と光ファイバー33を介して接続する。受光用導光部32は、光を受光するための受光部を備えた受光用制御ユニット36と光ファイバー34を介して接続する。
【0046】
照射用導光部31と受光用導光部32は、マイクロチップ20を介して対向し、各々の光ファイバー33、34は同軸上となるように配設される。測定精度を向上させるために、照射用導光部31と受光用導光部32の光軸の差はできるだけ小さいことが好ましい。
【0047】
照射用制御ユニット35は照射用導光部31を、受光用制御ユニット36は受光用導光部32を、それぞれ制御することにより、検出部30は、照射用導光部31からの光を試料液Kに照射し、透過光を受光用導光部32によって受光することにより吸光度を測定する。そして、制御部61の演算部(図示せず)で、吸光度から特定成分の抽出や特定成分の濃度が算出され、分析処理が完了する。
【0048】
分析測定部40は、内部にマイクロチップ20を収容する収容部(トレー)41を備える。また、複数のマイクロチップ20の間は、それぞれが遮光壁42で区切られる。具体的に、図3を用いて説明する。図3は、実施の形態に係る分析装置の、分析測定部の一例を示す構成概略図である。
【0049】
複数のマイクロチップ20、ここでは2つのマイクロチップ20を、マイクロチップ20a、20bとする。図3(a)について、基本的な構造は図2と同じである。マイクロチップ20a、20bは収容部41に並列に並べられ、その間に遮光壁42が備えられる。収容部41は、遮光壁42と同じ素材、すなわち光を遮ることが可能な素材で形成されていてもよい。
【0050】
収容部41は、分析装置1へマイクロチップ20を配設しやすくし、位置決めを容易にするなどして、作業性を向上する。また、収容部41は複数のマイクロチップ20をまとめて収容できる。収容部41は分析装置1内に固定して備え付けずに、分析時以外は可動できるようにしておき、分析時は分析装置1に対して固定可能に設計する。例えば、分析装置1の側面に備えた開口部から収容部41を分析装置1内へ出し入れし、マイクロチップ20を配設する際など分析装置1から収容部41を取り出すときは、収容部41を横方向へスライドさせて引き出すように設計する。
【0051】
マイクロチップ20aの検出部30で測定が行われている場合、マイクロチップ20aについて、照射用導光部31からマイクロチップ20aへ向けて光が照射され、マイクロチップ20aへ入射した光はマイクロチップ20aを透過して出射し、受光用導光部32で受光される。
【0052】
照射用導光部31で照射してから受光用導光部32で受光するまでの間に、光の一部は反射したり散乱したりする。具体的には、マイクロチップ20aへ照射する時にマイクロチップ20a表面で反射したり、マイクロチップ20a内を透過し出射する際に反射や散乱が起こったり、受光用導光部32へ受光する際に反射したりする。また、光の一部は、乱反射により受光用導光部32の受光部へ光束は到達しない。
【0053】
遮光壁42は、マイクロチップ20aとマイクロチップ20bの間、詳しくは2つの分離流路21を通る光経路相互の間にあり、光経路相互の間を通過する光を遮る働きを有している。遮光壁42を備えることで、マイクロチップ20a側で測定の際に照射された一部の光が、マイクロチップ20b側へ向かい、測定に寄与しない余分な光として作用するのを防ぐことができる。同様に、マイクロチップ20b側で測定の際に照射された光が、マイクロチップ20a側へ向かうのを防止する。
【0054】
遮光壁42により、光経路相互の間を遮り、迷光が他の受光用導光部32に入るのを防止し、測定精度が低下することを防ぐことができる。遮光壁42は、マイクロチップ20a、20bの、それぞれの検出部30、すなわち対向する照射用導光部31と受光用導光部32を結ぶ光経路を含む検出部30、を互いに隔てるように形成されることが好ましい。また、遮光壁42は、照射用導光部31の光照射面の高さもしくはマイクロチップ20の高さのいずれか高い方の高さ以上で形成されることが好ましい。
【0055】
より好ましくは、遮光壁42を、マイクロチップ20a、20bの対向する側の面を覆うように形成することである。理由として、マイクロチップ20a、20b内部で光が散乱し、光経路以外の箇所から光が漏光するおそれがあるからである。
【0056】
また、図3(a)において、更に追加して、マイクロチップ20a、20bが対向しない側にそれぞれ、遮光外壁43を備える。遮光外壁43は、分析装置1が配置される環境下における光を遮り、測定に不要な光をできるだけ低減させることができる。
【0057】
図3(b)において、測定環境下における光を遮るために、図3(a)の遮光外壁43の代わりに遮光閉壁44を備える。遮光閉壁44は、検出部30を含むマイクロチップ20a、20bを閉空間で覆っており、遮光外壁43よりも効率よく、分析装置1が配置される環境下における光を遮ることができる。そのため、より、測定に不要な光を低減させることができる。
【0058】
図3(c)において、より確実にマイクロチップ20a、20bの光経路相互の間を遮り、かつ、測定環境下における光を遮るために、遮光壁42、遮光外壁43および遮光閉壁44の代わりに個別遮光閉壁45を備える。個別遮光閉壁45は、マイクロチップ20a、20bそれぞれに個別に設ける。
【0059】
個別遮光閉壁45の、マイクロチップ20a、20bが互いに対向する側の面が、遮光壁42の役割を兼ねる。また、個別遮光閉壁45のその他の面が、遮光外壁43および遮光閉壁44の役割を兼ねる。
【0060】
図3(c)では、個別遮光閉壁45を隣接して備える場合について記載しているが、個別遮光閉壁45どうしが隣接していなくてもよい。個別遮光閉壁45は、それぞれに開閉口を備え、独立して開閉操作が行えるようにしておくことが好ましい。独立して開閉操作が可能となることで、分析装置1でマイクロチップ20aを用いて分析を行っている際に、マイクロチップ20bの交換を行うことが可能となる。すなわち、いずれかのマイクロチップ20の交換作業の際に、分析装置1を停止させることなく、他のマイクロチップ20ではそのまま継続して作業を行うことができるので、分析装置1の待機時間が減り、全体の分析にかかる時間を短縮することができる。
【0061】
遮光壁42、遮光外壁43、遮光閉壁44および個別遮光閉壁45は、遮光性が高く、かつ、絶縁体材料であり、断熱材料であることが好ましい。例えば、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合合成樹脂)の、黒着色を施したものなどが用いられる。また、PVC(ポリ塩化ビニル)、PC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PF(フェノール樹脂)、PDAP(ジアリルフタレート樹脂)などに黒着色を施したものでもよい。
【0062】
図4は、実施の形態に係る分析装置の、分析測定部の一例を示す構成概略図である。マイクロチップ20が4つの場合における、遮光壁42、遮光外壁43、遮光閉壁44および個別遮光閉壁45と、マイクロチップ20の位置関係について、一例を示す。
【0063】
図4(a)は、1つの収容部41に4つのマイクロチップ20が収容された場合であり、対向するマイクロチップ20の間に遮光壁42を、対向するマイクロチップ20を有しない側に遮光外壁43を備える。また、分析測定部40全体を遮光閉壁44で囲んでいる。
【0064】
図4(b)は、2つずつマイクロチップ20を収容部41に収容し、収容部41ごと遮光閉壁44で囲んでいる。
【0065】
図4(a)および図4(b)の場合において、遮光閉壁44で測定環境下における光を遮ることが可能であるので、遮光外壁43を備えなくてもよい。しかし、収容部41に形成した遮光壁42および遮光外壁43に、マイクロチップ20を配設するための位置決めを補助する機能を備えさせる場合においては、遮光外壁43を備えておく。
【0066】
図4(c)および図4(d)は、図3(c)と同様に、それぞれのマイクロチップ20に個別遮光閉壁45を備える場合である。マイクロチップ20を並列に備えずに、分析装置1の設計に合わせて、縦列に備えたり、縦および横に多段に備えたり、と任意の構成を採ることができる。個別遮光閉壁45は、上部や側部に開閉口を備え、独立して開閉操作が行えるようにしておく。特に、分析装置1に備えるマイクロチップ20の数が多くなる場合、独立して開閉操作が可能とすることで、より効率よく分析処理を行うことができる。
【0067】
マイクロチップ20を繰り返し使用する場合に、その交換頻度は、それぞれのマイクロチップ20により異なる。マイクロチップ20の使用回数はできるだけ多い方がよく、いずれかのマイクロチップ20に交換が必要となったときに全てのマイクロチップ20を交換することは好ましくない。マイクロチップ20を1つずつ交換できる場合でも、交換の都度、分析装置1を分析処理を停止させると、交換の必要のないマイクロチップ20で行う測定を一旦停止することとなり、測定精度が低下するおそれがある。あるいは、交換する必要のないマイクロチップ20の分析処理を終えるまで、そのマイクロチップ20は交換・使用することができず、一度に分析できる数が少なくなる。さらに、一旦停止した後に、分析装置1で分析処理を再開させるための、初期待機時間がかかるなど、全体の分析にかかる時間が増え、分析効率が低下する。
【0068】
本実施の形態のように、個別遮光閉壁45の上部や側部に開閉口を備え、独立して開閉操作が行えるようにしておくことで、他のマイクロチップ20へ光による影響を及ぼさない。その結果、分析装置1のマイクロチップ20に交換の必要が発生したときなど、他のマイクロチップ20を考慮することなく、必要に応じてすぐにマイクロチップ20を交換でき、全体の分析処理時間を短縮し、効率よく作業をすることができる。
【0069】
以下に、図1ないし図4を参照して、分析装置1を用いて分析する動作を説明する。
【0070】
分析装置1の上述の各部の動作は、制御部61により制御される。一連の制御により、分析装置1による分析が行われる。制御部61は、例えばCPU、メモリ、入出力インターフェースなどによって構成される。
【0071】
分析装置1には、三方バルブ55、56が設けられている。三方バルブ55、56は、それぞれ3つの接続口を有しており、これらの接続口どうしの連通状態および遮断状態が、制御部61によって独立に制御される。
【0072】
貯液槽11および試料槽12は、三方バルブ55、56を介して流路51または流路53と接続している。制御部61によって開閉が制御されており、分離流路21との連通状態および遮断状態が独立に制御される。流路51はマイクロチップ20、すなわち分離流路21へ繋がり、流路53は廃液槽13に繋がる。
【0073】
電源部62は、分離流路21においてキャピラリ電気泳動法による分析を行うための電圧を印加するためのものであり、正極である電極24および負極である電極25に接続されている。印加される電圧は、例えば、1.5kV程度であり、正極と負極は反対の極性を印加する機能を備えていてもよい。
【0074】
電気泳動による分離は、具体的には、制御部61の指示により、正極である電極24および負極である電極25に電源部62から電圧を印加し、泳動液に電極24から電極25へと向かう電気浸透流を発生させる。このとき、特定成分には、固有の電気泳動移動度に応じて電極24から電極25に向かって移動が生じる。
【0075】
制御部61の指示により、検出部30は、分離流路21の特定の位置において、特定成分の濃度や量を検出することができる。より詳しくは、照射用導光部31を介して照射用制御ユニット35の光源から波長が415nmの光を照射し、その透過光を受光用導光部32を介して受光用制御ユニット36の受光部によって受光する。分離流路21の特定の位置を特定成分が通過すると、受光部で受光する光(吸光度)が変化し、その変化より特定成分の濃度や量を検出することができる。
【0076】
検出部30で検出する際に、照射用導光部31で照射してから受光用導光部32で受光するまでの間に、光の一部は反射したり散乱したりする。マイクロチップ20aとマイクロチップ20bの間にある遮光壁42により、光経路相互の間を遮り、迷光を防止し、測定精度が低下することを防ぐことができる。
【0077】
この分析結果が例えば記憶部(図示せず)に記憶されるなどして終える。以上の工程により、分析装置1を用いた分析が完了する。
【0078】
図5は、本実施の形態の分析方法の一例を示すフロー図である。分析は、大きく分けて、前処理工程(ステップS1)と分析工程(ステップS2)からなる。
【0079】
前処理工程(ステップS1)は、洗浄工程(ステップS11)、充填工程(ステップS12)、分注工程(ステップS13)の工程を含み、連続した工程から構成される。
【0080】
分析器具の洗浄工程(ステップS11)は、前処理工程(ステップS1)の最初に行う工程である。特に、分析装置1を連続して使用する場合において、前回使用した分析器具の洗浄を行う工程と、分析工程(ステップS2)に先立ち、分離流路21の内部に残存した前回の分析に用いられた試料液Kなどを洗浄する工程である。
【0081】
具体的には、制御部61からの指示によって、三方バルブ55、56は切り替えられ、貯液槽11は流路51および流路52を介して廃液槽13まで連通する。この状態で、分離流路21内へ例えば洗浄液や精製水などの貯液Lを充填し、廃液槽13へ排出することで、分離流路21内は洗浄される。なお、洗浄液で洗浄した後に精製水を流してもよく、充填し排出するという一連の流れを複数回行ってもよい。
【0082】
充填工程(ステップS12)は、分離流路21に電気泳動を実現するための泳動液を充填する工程である。洗浄を終えた分離流路21を泳動液で共洗いした後に、充填を行う。
【0083】
分注工程(ステップS13)は、分離流路21へ試料を分注する工程である。分注部14を用いて分離流路21の導入孔22より、試料槽12の試料液Kを泳動液が充填された分離流路21へ導入させる。以上より、前処理工程(ステップS1)が完了し、分離流路21での分析が可能な状態となる。
【0084】
前処理工程(ステップS1)を終えると、分析工程(ステップS2)を実行する。分析工程(ステップS2)は、分離工程(ステップS21)および検出工程(ステップS22)からなる。
【0085】
分離工程(ステップS21)は、分離流路21に充填された泳動液において試料液Kに含まれる特定成分を分離する工程である。具体的には、制御部61の指示により、正極である電極24および負極である電極25に電源部62から電圧を印加し、泳動液に電極24から電極25へと向かう電気浸透流を発生させる。このとき、特定成分には、固有の電気泳動移動度に応じて電極24から電極25に向かって移動が生じる。
【0086】
検出工程(ステップS22)は、分離された特定成分の量もしくは濃度などを検出する工程である。具体的には、照射用導光部31を介して照射用制御ユニット35の光源から波長が415nmの光を照射し、その透過光を受光用導光部32を介して受光用制御ユニット36の受光部によって受光する。分離流路21の特定の位置を特定成分が通過すると、受光部で受光する光(吸光度)が変化し、その変化より特定成分の濃度や量を検出することができる。
【0087】
検出工程(ステップS22)の、照射用導光部31で照射してから受光用導光部32で受光するまでの間に、光の一部は反射したり散乱したりする。マイクロチップ20aとマイクロチップ20bの間にある遮光壁42により、光経路相互の間を遮り、迷光を防止し、測定精度が低下することを防ぐことができる。
【0088】
この分析結果が例えば記憶部(図示せず)に記憶されるなどして、検出工程(ステップS22)を終える。以上の工程により、前処理工程(ステップS1)および分析工程(ステップS2)を終え、分析装置1を用いた分析が完了する。
【0089】
図6は、実施の形態に係る分析方法の処理時間の一例を示すタイミングチャートである。図中のS1およびS2は、図5の分析方法の一例を示すフロー図にある前処理工程(ステップS1)と分析工程(ステップS2)を指す。分析装置1は、4つの分離流路21a、21b、21c、21dを備え、それぞれの分離流路21(分離流路21a、21b、21c、21d)で行う処理のチャートをチャートA、B、C、Dで示す。
【0090】
前処理工程(ステップS1)は時間t1を要し、分析工程(ステップS2)までは時間t2を要する。また、各分離流路21は、前処理工程(ステップS1)を終え次第、分析工程(ステップS2)を行うものとする。
【0091】
例えば、分離流路21aで前処理工程(ステップS1)を終えると、他の分離流路21bで前処理工程(ステップS1)を開始する。このとき、分離流路21aは分析工程(ステップS2)を開始する。次に、分離流路21bで前処理工程(ステップS1)を終えると、他の分離流路21dで前処理工程(ステップS1)を開始する。このとき、分離流路21bは分析工程(ステップS2)を開始する。
【0092】
分析装置1は、前処理工程(ステップS1)について、分析装置1のそれぞれの分離流路21(分離流路21a、21b、21c、21d)のいずれかしか選択して行うことができない。例えば、分析装置1にマイクロチップ20を備えることができた順に、どの分離流路21においても前処理工程(ステップS1)の時間が重複しないように、次々に前処理工程(ステップS1)を行う。
【0093】
分析装置1は、分析工程(ステップS2)について、分析装置1のそれぞれの分離流路21(分離流路21a、21b、21c、21d)で、時間を重複して行うことができる。それぞれの分離流路21(分離流路21a、21b、21c、21d)で、光の照射・受光による光学的手法で検出する際に、遮光壁42を備え光経路相互の間を遮ることができる。その結果として、他の分離流路21へ漏光により与える影響、および他の分離流路21から漏光により受ける影響、のいずれの影響をも考慮する必要がなくなる。それぞれの分離流路21の分析工程(ステップS2)の時間が重複してもよく、前処理工程(ステップS1)を終え次第、分析工程(ステップS2)を開始することができる。図6では、全体にかかる処理時間は、各分離流路21での前処理工程(ステップS1)にかかる時間の和と、最後に前処理工程(ステップS1)を終えた分離流路21で分析工程(ステップS2)が処理される時間と、の総和(時間tE0)である。
【0094】
図9は、従来の分析方法の処理時間の一例を示すタイミングチャートである。他の分離流路21での測定へ影響を与えないために、それぞれの分離流路21(分離流路21a、21b、21c、21d)において、分析工程(ステップS2)は重複しないように処理を行う必要がある。分離流路21で前処理工程(ステップS1)を終えても、他の分離流路21で分析工程(ステップS2)を終えるまでは、その分離流路21で分析は行わず待機状態としておく。図9では、全体にかかる処理時間は、最初に処理を行う分離流路21の前処理工程(ステップS1)にかかる時間と、各分離流路21での分析工程(ステップS2)にかかる時間の和と、の総和(時間tE1)であり、時間tE0よりも要する時間が長い。
【0095】
図6および図9より、従来の分析方法の処理時間と比較して、本実施の形態にかかる分析方法の処理時間は、短くて済み、効率よく分析処理を行えることが分かる。また、本実施の形態では、分析工程(ステップS2)の開始時間を考慮せずに済むので、前処理工程(ステップS1)が終わり次第、工程を実施することができる。
【0096】
図7は、本実施の形態に係る分析装置の、マイクロチップの一例を示す構成概略図である。図7(a)は平面図、図7(b)は図7(a)のA−A線断面図である。
【0097】
マイクロチップ20は、検出部30を備える箇所の分離流路21の上部に、ガイド(凹部)26を備える。ガイド26は、間隙を有して、照射用導光部31を嵌合することができる。
【0098】
ガイド26は、分離流路21上の、所定の位置に形成されており、照射用導光部31から分離流路21へ決まった位置へ光を照射することができる。その結果、ガイド26へ照射用導光部31を嵌合するだけで、位置合わせをすることなく所定の位置に光を照射でき、容易にマイクロチップ20を収容部41へ配設することが可能となる。
【0099】
また、ガイド26を備えたマイクロチップ20を用いることで、照射用導光部31はマイクロチップ20に埋め込まれるような形となり、照射用導光部31から分離流路21へ向けて光を直接照射しやすくなり、不要光の発生を低減させることができる。さらに、照射用導光部31と分離流路21の距離を短くでき、すなわち分離流路21へ光を照射するときの高さを低くでき、遮光壁42や遮光外壁43の高さを充分に設計できない場合においても、遮光壁42や遮光外壁43を用いて遮光する効果を維持することが可能となる。
【0100】
図8は、本実施の形態に係る分析装置の、マイクロチップの一例を示す構成概略図である。図8(a)は平面図、図8(b)は図8(a)のB−B線断面図である。
【0101】
マイクロチップ20は、検出部30を備える箇所の分離流路21の下部に、アパーチャー(絞り)27を備える。アパーチャー27に対向する位置に、受光用導光部32は配置される。
【0102】
アパーチャー27は、照射用導光部31と受光用導光部32を結ぶ光軸上に、円錐台の形状で形成される。円錐台のテーパ状の面で出射光を散乱や反射させることにより、セルを通過する光束のみを受光部に到達させ、不要光を遮蔽することができる。
【0103】
アパーチャー27を備えることで、照射用導光部31から分離流路21へ照射した光をマイクロチップ20を介して受光用導光部32で受光する際に反射や散乱、位置(光軸)のずれにより発生する不要光を遮蔽することができ、測定の精度が向上する。
【0104】
分析装置1で分析する際に、図7や図8に示したマイクロチップ20のように、ガイド26やアパーチャー27、もしくはその両方を備えたマイクロチップ20を用いることで、より分析装置1へのマイクロチップ20の配設が容易となり、かつ、内部要因による迷光を除去することができる。本実施の形態における分析装置1の遮光壁42などを備えることによる迷光の除去効果や、処理効率の向上による分析時間の短縮効果を、より相乗的に高めることができる。
【0105】
以上説明したように、実施の形態に係る分析装置、分析方法および収容部材によれば、迷光が他の測光部の受光部に入るのを防止し分析精度を確保して分析できる。キャピラリ電気泳動法を用いる分析装置において、測光部は、マイクロチップの流路(分離流路)をいう。
【0106】
複数の、分離流路を有するマイクロチップ間に、光経路相互の間を遮る遮光壁などの遮光部材を備えることで、測定に寄与しない余分な光を取り込むのを防止し、また、漏光することを防ぐことができる。その結果、測定精度が低下するおそれが少なくなる。
【0107】
また、測定時における相互への検出に関する光の影響がなくなるので、複数のマイクロチップの分析工程の時間が重複してもよく、同時に分析することもできる。分離流路で測定する際に他の分離流路の状態を気にせず測定できるので、処理時間が短縮され分析効率がよくなる。
【0108】
さらに、個々のマイクロチップに対応する遮光部材(遮光空間)を備えることで、独立して分析が可能となり、マイクロチップを交換する際に、分析装置を停止させる必要がなく、また、他のマイクロチップの作業状況を考慮する必要もなく、容易に、効率よく、分析を行うことができ、結果として全体の分析にかかる時間を短縮することができる。
【0109】
また、本実施の形態に係る分析装置において、マイクロチップそのものに迷光除去のための遮光部材を備えずに、分析装置そのものに遮光部材を備えることができるので、マイクロチップの構造を簡易化でき、マイクロチップの低コスト化に寄与する。特に、1回もしくは所要回数使用して捨てる使い捨てタイプのマイクロチップにおいて、より低コスト化できる効果が大きい。
【0110】
本実施の形態に係る分析装置において、上述した例に限定されるものではない。本発明に係る分析装置の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。例えば、キャピラリ電気泳動法を用いた分析装置において、マイクロチップに備える測光部は分離流路であるが、他の分析装置においては、測光部は必ずしも流路であるとは限らない。また、流路の設計や貯槽部の数、各機能部を配置する位置、各機能の形状などがあり、用途に合わせて設計することができる。マイクロチップを交換する際における分析装置へのマイクロチップの交換・充填作業は自動であっても手動であってもよく、いずれにするかは任意に設計可能である。
【0111】
さらに、分析装置での分析については、光学分析の反射率、透過率、吸光度、蛍光または発光のうち、少なくともいずれか1つの指標を用いる分析に適用できる。
【0112】
特に分析における検出の際の、遮光壁などについて、形状や配置する位置について、任意に設定可能であり、複数あるマイクロチップの光経路相互の間で、相互に遮光することができ、かつ、測定環境の遮光性を高めることができればよい。
【0113】
マイクロチップは、樹脂製に限らず、ガラス製などであってもよい。また、マイクロチップに備える分離流路の本数は、1本に限らず複数であってもよい。分離流路の構成は、いわゆるストレート形状に限定されず、2つの流路が公差したクロスインジェクション形状であってもよい。
【符号の説明】
【0114】
1 分析装置
11 貯液槽
12 試料槽
13 廃液槽
14 分注部
15 ピンチバルブ
16 マニホールド
20 マイクロチップ
21 分離流路
22 導入孔
23 排出孔
24、25 電極
26 ガイド(凹部)
27 アパーチャー(絞り)
30 検出部
31 照射用導光部
32 受光用導光部
33、34 光ファイバー
35 照射用制御ユニット(光源)
36 受光用制御ユニット(受光部)
40 分析測定部
41 収容部(トレー)
42 遮光壁
43 遮光外壁
44 遮光閉壁
45 個別遮光閉壁
51、52、53 流路
55、56 三方バルブ
61 制御部
62 電源部
L 貯液
K 試料液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測光部に載置する試料の成分を光学的手法により検出する分析装置であって、
それぞれ1つ以上の前記測光部が形成された2つ以上のマイクロチップと、
前記測光部に光を照射する光照射部と、
前記光照射部から照射された光を、前記測光部ごとに受光する受光部と、
前記2つ以上のマイクロチップの光経路相互の間に備えられた遮光部材と、
を備えることを特徴とする分析装置。
【請求項2】
前記遮光部材は、前記光照射部から前記マイクロチップまでの光経路相互の間、および/または、前記マイクロチップから前記受光部までの光経路相互の間、に備えられることを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記マイクロチップを収容する収容部材と、
前記遮光部材および前記収容部材を収容する閉空間が形成され、前記分析装置の外部の空間からの光を遮る遮蔽体と、
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の分析装置。
【請求項4】
前記遮蔽体は、個々の前記マイクロチップに対応して形成され、独立して開閉可能であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項5】
前記遮光部材は、絶縁体材料で形成されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項6】
前記遮光部材は、断熱材料で形成されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項7】
前記マイクロチップは、流路が形成された光透過性部材を有し、前記測光部は該流路であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項8】
光学分析の反射率、透過率、吸光度、蛍光または発光のうち、少なくともいずれか1つの指標を用いて分析を行うことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項9】
2つ以上のマイクロチップの測光部へ試料を充填する充填ステップと、
前記2つ以上のマイクロチップをそれぞれ遮光部材で隔てて測定位置に配置する配置ステップと、
前記試料を測定するための光照射部および受光部と、前記マイクロチップを含む空間を閉鎖する閉鎖ステップと、
前記光照射部から前記測光部に光を照射する光照射ステップと、
前記受光部で前記測光部からの光を受光する受光ステップと、
光学的手法により検出する検出ステップと、
を備えることを特徴とする分析方法。
【請求項10】
前記配置ステップは、前記光照射部から前記マイクロチップまでの光経路相互の間、および/または、前記マイクロチップから前記受光部までの光経路相互の間、を前記遮光部材で隔てることを特徴とする請求項9に記載の分析方法。
【請求項11】
前記閉鎖ステップは、個々の前記マイクロチップを含む空間を個別に閉鎖し、
前記光照射ステップは、前記マイクロチップの測光部のそれぞれに独立に光を照射し、
前記受光ステップは、前記マイクロチップの測光部のそれぞれから独立に光を受光する、
ことを特徴とする請求項9または10に記載の分析方法。
【請求項12】
2つ以上のマイクロチップを保持する収容部と、
前記収容部に保持されるマイクロチップへ光を照射する照射部から該マイクロチップまでの間、および/または、前記マイクロチップから光を受光する受光部までの間、に位置する遮光部材と、
を備えることを特徴とする収容部材。
【請求項13】
前記遮光部材は、絶縁体材料で形成されることを特徴とする請求項12に記載の収容部材。
【請求項14】
前記遮光部材は、断熱材料で形成されることを特徴とする請求項12または13に記載の収容部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−63159(P2012−63159A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205614(P2010−205614)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000141897)アークレイ株式会社 (288)
【Fターム(参考)】