説明

分波器

【課題】高アイソレーションを得ることが可能な分波器を提供すること。
【解決手段】本発明は、上面に送信フィルタF2及び受信フィルタF1を搭載し、下面に送信フィルタF2及び受信フィルタF1の各々と電気的に接続するフットパッド層26を有する絶縁性基板10と、上面に設けられ、送信フィルタF2と電気的に接続される送信用パッド34と、上面に設けられ、受信フィルタF1と電気的に接続される受信用パッド32a及び32bと、上面に設けられ、送信用パッド34、受信用パッド32a及び32bを囲む環状電極30と、フットパッド層26に設けられた接地用フットパッド64eと、環状電極30の、送信用パッド34と受信用パッド32bとを結ぶ経路のうち短い経路Aに沿う領域30aに設けられ、環状電極30と、接地用フットパッド64eと電気的に接続するビア配線28aと、を具備する分波器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は分波器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話に代表される移動体通信端末が広く普及している。近年、端末のマルチバンド化が進む一方で、端末には小型化も要求されている。このため、端末に用いられる分波器等にも小型化が強く要求されている。しかしながら、分波器を小型化した場合、送信端子と受信端子とのアイソレーションが劣化する可能性がある。従って、分波器には、小型化と良好なアイソレーションとの両立が求められる。
【0003】
特許文献1には、配線間に仕切り用グランドパターンを備える技術が開示されている。特許文献2及び特許文献3には、SAW(Surface Acoustic Wave:弾性表面波)チップを絶縁性基板にフリップチップ実装し、絶縁性基板上に形成された環状電極によりSAWチップを封止する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−180192号公報
【特許文献2】特開2006−80921号公報
【特許文献3】特開2006−66978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の技術では、配線と仕切り用グランドパターンとの間の距離を大きくするため、送信端子と受信端子間のアイソレーションの確保が不十分となる可能性があった。特許文献2記載の技術、及び特許文献3記載の技術では、環状電極を設けたことにより、アイソレーションが劣化することがあった。本願発明は上記課題に鑑み、高アイソレーションを得ることが可能な分波器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上面に送信フィルタ及び受信フィルタを搭載し、下面に前記送信フィルタ及び前記受信フィルタの各々と電気的に接続するフットパッド層を有する絶縁性基板と、前記上面に設けられ、前記送信フィルタと電気的に接続される送信用パッドと、前記上面に設けられ、前記受信フィルタと電気的に接続される受信用パッドと、前記上面に設けられ、前記送信用パッド及び前記受信用パッドを囲む環状電極と、前記フットパッド層に含まれる接地用フットパッドと、前記環状電極の、前記送信用パッドと前記受信用パッドとを結ぶ経路のうち短い経路に沿う領域に設けられ、前記環状電極と、前記接地用フットパッドと電気的に接続するビア配線と、を具備する分波器である。本発明によれば、高アイソレーションを得ることが可能となる。
【0007】
上記構成において、前記環状電極の前記ビア配線と接続された領域は、前記環状電極の前記ビア配線と接続された領域以外の領域よりも、幅が広い構成とすることができる。この構成によれば、より効果的に高アイソレーションを得ることができる。
【0008】
上記構成において、前記絶縁性基板の上面に設けられ、前記送信用パッド及び前記受信パッドを含む上部導体層を備え、前記上部導体層及び前記フットパッド層は、電解メッキにより形成されたメッキ層を含み、各々が、前記絶縁性基板の内部に設けられ、かつ前記絶縁性基板の端部まで延び、前記上部導体層及び前記フットパッド層と電気的に接続された、前記電解メッキを行うための給電に用いられる複数の給電線を備え、前記複数の給電線のうち、前記送信用パッド又は前記受信用パッドと電気的に接続され、かつ前記環状電極の、前記送信用パッドと前記受信用パッドとを結ぶ経路のうち短い経路に沿う方向に延びる領域と重なる給電線は1本である構成とすることができる。この構成によれば、より効果的に高アイソレーションを得ることができる。
【0009】
本発明は、上面に上部導体層を備え、下面にフットパッド層を備え、内部に内部導体層を備え、前記上面に送信フィルタ及び受信フィルタを搭載する絶縁性基板と、前記上部導体層に含まれ、前記送信フィルタ及び前記受信フィルタの少なくとも一方と電気的に接続される信号用パッドと、前記上部導体層に含まれ、前記信号用パッドを囲む環状電極と、前記フットパッド層に含まれ、前記信号用パッドを介して、前記送信フィルタ及び前記受信フィルタの少なくとも一方と電気的に接続される信号用フットパッドと、前記内部導体層に含まれ、前記信号用パッド及び前記信号用フットパッドと電気的に接続された配線と、を具備し、前記配線は、前記絶縁性基板の上面から見て前記環状電極の前記配線の最も近い領域とは平行ではない分波器である。本発明によれば、高アイソレーションを得ることが可能となる。
【0010】
本発明は、上面に上部導体層を備え、下面にフットパッド層を備え、内部に内部導体層を備え、前記上面に送信フィルタ及び受信フィルタを搭載する絶縁性基板と、前記上部導体層に含まれ、前記送信フィルタ及び前記受信フィルタの少なくとも一方と電気的に接続される信号用パッドと、前記上部導体層に含まれ、前記信号用パッドを囲む環状電極と、前記フットパッド層に含まれ、前記信号用パッドを介して、前記送信フィルタ及び前記受信フィルタの少なくとも一方と電気的に接続される信号用フットパッドと、前記内部導体層に含まれ、前記信号用パッド及び前記信号用フットパッドと電気的に接続された配線と、を具備し、前記内部導体層と前記上面との間における前記絶縁性基板の厚さは、前記内部導体層と前記下面との間における前記絶縁性基板の厚さよりも大きい分波器である。本発明によれば、高アイソレーションを得ることが可能となる。
【0011】
上記構成において、前記絶縁性基板は、内部に前記内部導体層とは別の内部導体層を備え、前記別の内部導体層は、前記信号用パッド及び前記信号用フットパッドと電気的に接続された別の配線を含み、前記配線は、前記配線と前記別の配線とのうち、最も長い配線である構成とすることができる。この構成によれば、より効果的に高アイソレーションを得ることができる。
【0012】
本発明は、上面に上部導体層を備え、下面にフットパッド層を備え、内部に内部導体層を備え、前記上面に送信フィルタ及び受信フィルタを搭載する絶縁性基板と、前記上部導体層に含まれ、前記送信フィルタ及び前記受信フィルタの少なくとも一方と電気的に接続される信号用パッドと、前記上部導体層に含まれ、前記信号用パッドを囲む環状電極と、前記フットパッド層に含まれ、前記信号用パッドを介して、前記送信フィルタ及び前記受信フィルタの少なくとも一方と電気的に接続される信号用フットパッドと、前記内部導体層に含まれ、前記信号用パッド及び前記信号用フットパッドと電気的に接続された配線と、を具備し、前記配線は、前記絶縁性基板の上面から見て前記環状電極と重ならない分波器である。本発明によれば、高アイソレーションを得ることが可能となる。
【0013】
上記構成において、前記絶縁性基板の上面から見て前記環状電極と重ならないように設けられ、前記配線と電気的に接続されたビア配線を具備する構成とすることができる。この構成によれば、より効果的に高アイソレーションを得ることができる。
【0014】
上記構成において、前記信号用パッドは前記受信フィルタと電気的に接続される受信用パッドであり、前記信号用フットパッドは受信用フットパッドである構成とすることができる。
【0015】
上記構成において、前記送信フィルタと電気的に接続される送信用パッドと、
前記受信フィルタと電気的に接続される複数の受信用パッドとを含み、前記信号用パッドは、前記複数の受信用パッドのうち、前記送信用パッドに近い受信用パッドである構成とすることができる。この構成によれば、より効果的に高アイソレーションを得ることができる。
【0016】
上記構成において、前記信号用パッドは前記送信フィルタと電気的に接続される送信用パッドであり、前記信号用フットパッドは送信用フットパッドである構成とすることができる。
【0017】
上記構成において、複数の前記信号用パッドは、前記送信フィルタと電気的に接続される送信用パッド、及び前記受信フィルタと電気的に接続される受信用パッドを含み、複数の前記信号用フットパッドは、送信用フットパッド及び受信用フットパッドを含む構成とすることができる。この構成によれば、より効果的に高アイソレーションを得ることができる。
【0018】
上記構成において、前記上部導体層及び前記フットパッド層は、無電解メッキにより形成されたメッキ層を含む構成とすることができる。この構成によれば、より効果的に高アイソレーションを得ることができる。
【0019】
上記構成において、前記上部導体層及び前記フットパッド層は、電解メッキにより形成されたメッキ層を含み、前記上部導体層は、前記送信フィルタと電気的に接続される送信用パッドと、前記受信フィルタと電気的に接続される受信用パッドを含み、前記内部導体層に含まれ、かつ前記絶縁性基板の端部まで延び、前記配線と電気的に接続された、前記電解メッキを行うための給電に用いられる給電線を備え、1本の前記配線と電気的に接続され、かつ前記環状電極の、前記送信用パッドと前記受信用パッドとを結ぶ経路のうち短い経路の方向に延びる領域と重なる前記給電線は1本である構成とすることができる。この構成によれば、より効果的に高アイソレーションを得ることができる。
【0020】
上記構成において、前記上部導体層及び前記フットパッド層は、電解メッキにより形成されたメッキ層を含み、前記上部導体層は、前記送信フィルタと電気的に接続される送信用パッドと、前記受信フィルタと電気的に接続される受信用パッドを含み、各々が、前記内部導体層に含まれ、かつ前記絶縁性基板の端部まで延び、前記配線と電気的に接続された、前記電解メッキを行うための給電に用いられる複数の給電線を備え、前記複数の給電線のうち、前記送信用パッドと電気的に接続された給電線と、前記受信用パッドと電気的に接続された給電線とは、前記絶縁性基板の異なる辺において、前記絶縁性基板の端部に達する構成とすることができる。この構成によれば、より効果的に高アイソレーションを得ることができる。
【0021】
上記構成において、前記環状電極は、前記絶縁性基板の外周に沿って設けられている構成とすることができる。この構成によれば、分波器の小型化が可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、高アイソレーションを得ることが可能な分波器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1(a)は、RFブロックを例示する図である。図1(b)は、フィルタを少なくしたRFブロックを例示する図である。
【図2】図2(a)は、分波器を例示するブロック図であり、図2(b)は、分波器を例示する断面図である。
【図3】図3(a)は、分波器が備える絶縁性基板の上部導体層を例示する平面図であり、図3(b)は、分波器が備える絶縁性基板内の第1内部導体層を例示する平面図である。
【図4】図4(a)は、分波器が備える絶縁性基板内の第2内部導体層を例示する平面図であり、図4(b)は、分波器が備える絶縁性基板の下部導体層を例示する平面図である。
【図5】図5は、送信用パッド−受信用パッド間の磁界を示す模式図である。
【図6】図6(a)は、実施例1に係る分波器が備える絶縁性基板の上部導体層を例示する平面図であり、図6(b)は、実施例1に係る分波器が備える絶縁性基板内の第1内部導体層を例示する平面図である。
【図7】図7(a)及び図7(b)は、実施例1に係る分波器のアイソレーションの計算結果を示す図である。
【図8】図8は、実施例1の変形例に係る分波器が備える絶縁性基板の上部導体層を例示する平面図である。
【図9】図9(a)は、実施例2に係る分波器が備える絶縁性基板の上部導体層を例示する平面図であり、図9(b)は、実施例2に係る分波器が備える絶縁性基板内の第1内部導体層を例示する平面図である。
【図10】図10は、実施例2に係る分波器が備える絶縁性基板内の第2内部導体層を例示する平面図である。
【図11】図11(a)及び図11(b)は、実施例2に係る分波器のアイソレーションの計算結果を示す図である。
【図12】図12は、実施例3に係る分波器が備える絶縁性基板内の第2内部導体層を例示する平面図である。
【図13】図13は、実施例4に係る分波器が備える絶縁性基板内の第2内部導体層を例示する平面図である。
【図14】図14(a)は、実施例5に係る分波器が備える絶縁性基板内の第1内部導体層を例示する上面図であり、図14(b)は、実施例5に係る分波器が備える絶縁性基板内の第2内部導体層を例示する上面図である。
【図15】図15は、実施例5に係る分波器が備える絶縁性基板を例示する断面図である。
【図16】図16(a)は、実施例6に係る分波器が備える絶縁性基板の下部導体層を例示する平面図であり、図16(b)は、実施例6に係る分波器が備える絶縁性基板の上部導体層を例示する平面図である。
【図17】図17は、別の構成を有する環状電極を有する絶縁性基板の上部導体層を例示する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図面を用いて、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0025】
まず分波器を用いた装置及び分波器について説明する。装置の例として、RF(Radio Frequency)ブロックの構成について説明する。図1(a)及び図1(b)は、RFブロックを例示する図である。
【0026】
図1(a)に示すように、RFブロック90は、分波器100、アンテナ104、アンプ106、110、116、124、及び126、受信段間フィルタ108、ミキサ112及び120、ローパスフィルタ114及び122、局部発振器118、並びに送信段間フィルタ128、を備える。RFブロックは、例えば携帯電話用のRFブロックであり、例えばW−CDMA(Wideband Code Divided Multiple Access) Band1方式に対応している。W−CDMA Band1方式の受信帯域は2110〜2170MHz、送信帯域は1920〜1980MHzに位置する。
【0027】
分波器100は受信フィルタF1及び送信フィルタF2を備え、アンテナ104に接続されている。受信フィルタF1の通過帯域は、例えばWCDMA Band1方式の受信帯域と同一の周波数帯域に位置する。送信フィルタF2の通過帯域は、例えばWCDMA Band1方式の送信帯域と同一の周波数帯域に位置する。アンテナ104は信号を受信する。アンテナ104が受信した信号は、分波器100が備える受信フィルタF1に入力される。受信フィルタF1は、入力された信号のうち、周波数が受信フィルタF1の通過帯域内に位置する信号を通過させ、アンプ106に出力する。周波数が受信フィルタF1の通過帯域外に位置する信号は抑圧される。アンプ106は信号を増幅し、受信段間フィルタ108に出力する。受信段間フィルタ108は、例えば平衡入力端子及び平衡出力端子を有する。受信段間フィルタ108は、受信フィルタF1と同様に信号のフィルタリングを行い、アンプ110に信号を出力する。受信段間フィルタ108は、2つの出力端子を介して、アンプ110に信号を出力する。アンプ110は信号を増幅し、2つの出力端子から信号を出力する。アンプ110が出力した2つの信号の各々は、ミキサ112及び120の各々に入力される。局部発振器118は、ローカル信号をミキサ112及び120に出力する。ミキサ112に入力されるローカル信号と、ミキサ120に入力されるローカル信号とでは、位相が90°異なる。ミキサ112及び120の各々は、アンプ110から入力された信号とローカル信号とを混合し、信号の周波数をダウンコンバートする。ミキサ112が出力する信号は、ローパスフィルタ114において高周波成分が除去された後、アンプ116に入力される。ミキサ112が出力する信号は、ローパスフィルタ122において高周波成分が除去された後、アンプ124に入力される。アンプ116及びアンプ124は、信号を増幅して出力する。
【0028】
トランスミッタ130は、送信信号を生成し、送信段間フィルタ128に出力する。送信段間フィルタ128は、例えば不平衡入力端子と不平衡出力端子とを有する。送信段間フィルタ128は、信号をフィルタリングした後、アンプ126に信号を出力する。アンプ126は信号を増幅し、分波器100に出力する。分波器100が備える送信フィルタF2は、例えば不平衡入力端子と不平衡出力端子とを有する。送信フィルタF2は、周波数が送信フィルタF2の通過帯域内に位置する信号を通過させ、アンテナ104に出力する。周波数が送信フィルタF2の通過帯域外に位置する信号は抑圧される。アンテナ104は信号を送信する。
【0029】
RFブロックの小型化のためには、部品点数を少なくして、構成を簡略化することが好ましい。図1(b)はフィルタを少なくしたRFブロックを例示する図である。
【0030】
図1(b)に示すように、RFブロック90aは、図1(a)に示したRFブロック90から受信段間フィルタ108及び送信段間フィルタ128を取り除いた構成を有する。分波器100が備える受信フィルタF1は、アンプ106に接続された2つの平衡出力端子を有する。アンプ106は、入力された2つの信号を増幅し、2つの出力端子から信号を出力する。アンプ106から出力された信号は、受信段間フィルタ108を介さずにアンプ110に入力され、アンプ110においてさらに増幅される。また、トランスミッタ130から出力された信号は、送信段間フィルタ128を介さずにアンプ126に入力される。
【0031】
図1(b)のように、受信段間フィルタ108及び送信段間フィルタ128を取り除くことで、RFブロックの小型化が可能となる。しかし、フィルタの数を減らした場合、信号の抑圧度が劣化する恐れがある。このため、分波器100には性能の向上が求められる。具体的には、受信フィルタF1及び送信フィルタF2には、抑圧度の向上が要求される。抑圧度向上のためには、分波器100の受信端子と送信端子との間で、高アイソレーションを得ることが重要となる。特に、受信フィルタF1と送信フィルタF2とを1パッケージとして形成した場合には、フィルタ間の距離が小さくなるため、分波器は小型化されるが、送信端子と受信端子との間で、アイソレーションの劣化が生じる可能性もある。
【0032】
次に分波器の具体的な構成について説明する。図2(a)は、分波器を例示するブロック図であり、図2(b)は、分波器を例示する断面図である。
【0033】
図2(a)に示すように、分波器100は受信フィルタF1及び送信フィルタF2を備える。受信フィルタF1の一端はアンテナ端子Antに接続されている。送信フィルタF2の一端はアンテナ端子Antに接続されている。受信フィルタF1及び送信フィルタF2とアンテナ端子Ant間は、配線L1により接続されている。受信フィルタF1の他端は、配線L2及びL3を介して、受信端子Rx1及びRx2に接続されている。送信フィルタF2の他端は、配線L4を介して、送信端子Txに接続されている。受信端子Rx1及びRx2は、平衡端子であり、図1(b)に示したアンプ106に接続される。送信端子Txは、不平衡端子であり、図1(b)に示したアンプ126に接続される。アンテナ端子Antは、アンテナ104に接続される。後述するように、配線L1、L2、L3及びL4は、絶縁性基板が有するパッド、フットパッド、配線、及びビア配線により形成される。
【0034】
図2(b)に示すように、分波器100は、受信フィルタF1、送信フィルタF2、絶縁性基板10、リッド12、封止部14、上部導体層20、第1内部導体層22、第2内部導体層24、フットパッド層26、及びビア配線28を備える。リッド12は例えばコバール等の金属からなる。封止部14は、例えばSn−Pb等の半田からなる。絶縁性基板10は、第1層10−1、第2層10−2、及び第3層10−3の3つのセラミック層等の絶縁層を積層して形成される、多層構造の絶縁性基板である。各層は、例えば酸化アルミニウム(Al)等のセラミックからなる。
【0035】
第1層10−1の上面には、上部導体層20が設けられている。第1層10−1と第2層10−2との間には、第1内部導体層22が設けられている。第2層10−2と第3層10−3との間には、第2内部導体層24が設けられている。第3層10−3の下面には、フットパッド層26が設けられている。このように、絶縁性基板10の上面に上部導体層20が、内部に第1内部導体層22及び第2内部導体層が、下面にフットパッド層26が、それぞれ設けられている。各層は、絶縁性基板10の厚み方向(図中の上下方向)に延びるビア配線28により、電気的に接続されている。第1内部導体層22及び第2内部導体層24、及びビア配線28は、例えば銀(Ag)、銅(Cu)、又はタングステン(W)等の金属からなる。また、上部導体層20及びフットパッド層26は、例えば銀(Ag)、銅(Cu)、又はタングステン(W)等の金属からなる導体層と、金属層の上に形成された金(Au)、又はニッケル(Ni)等の金属からなるメッキ層を有する。導体層は例えば印刷により形成され、メッキ層は例えば電解メッキにより形成される。
【0036】
受信フィルタF1及び送信フィルタF2は、絶縁性基板10の上面に例えばフリップチップ実装されている。受信フィルタF1及び送信フィルタF2は、例えば金、又は半田等の金属からなるバンプにより、上部導体層20と電気的に接続される。受信フィルタF1及び送信フィルタF2は、リッド12及び封止部14により封止される。具体的には、受信フィルタF1及び送信フィルタF2の上にはリッド12が設けられ、絶縁性基板10とリッド12との間には、封止部14が設けられている。上部導体層20は、絶縁性基板10の外周に添って形成された環状電極30を有する。封止部14は、環状電極30とリッドとを接合する。これにより、受信フィルタF1及び送信フィルタF2は、気密性高く封止される。このように、環状電極30は、封止のために用いられる。このとき、封止部14は、受信フィルタF1及び送信フィルタF2とは電気的に接続しない。
【0037】
次に、絶縁性基板10に設けられた各層について詳しく説明する。図3(a)は、分波器が備える絶縁性基板の上部導体層を例示する平面図であり、図3(b)は、分波器が備える絶縁性基板内の第1内部導体層を例示する平面図である。図4(a)は、分波器が備える絶縁性基板内の第2内部導体層を例示する平面図であり、図4(b)は、分波器が備える絶縁性基板の下部導体層を例示する平面図である。図中の格子斜線は、紙面の奥行き方向に延びるビア配線28を表す。
【0038】
図3(a)に示すように、絶縁性基板10の第1層10−1の上面には上部導体層20が設けられている。上部導体層20は、環状電極30、受信用パッド32a及び32b、送信用パッド34(信号用パッド)、接地用パッド36a、36b及び36c、並びにアンテナ用パッド38を含む。図3(a)中の破線は受信フィルタF1が搭載される領域を示し、点線は送信フィルタF2が搭載される領域を示す。受信フィルタF1は、2つの受信用パッド32a及び32b、接地用パッド36a、並びにアンテナ用パッド38と電気的に接続される。受信用パッド32a及び32bは、平衡端子として機能する。送信フィルタF2は、送信用パッド34、接地用パッド36b及び36c、並びにアンテナ用パッド38と電気的に接続される。アンテナ用パッド38は、受信フィルタF1と送信フィルタF2とで共通化されている。環状電極30の幅(線幅)は、W1で一定である。環状電極30は、絶縁性基板10の外周に沿って設けられている。言い換えれば、環状電極30は、絶縁性基板10の端部に接している。環状電極30は、受信用パッド32a及び32b、送信用パッド34、接地用パッド36a、36b及び36c、並びにアンテナ用パッド38を囲む。また環状電極30は、封止部14(図2(b)参照)と接触する。また、上部導体層20は、第1層10−1を貫通するビア配線28を通じて、第1内部導体層22と電気的に接続されている。
【0039】
図3(b)に示すように、第2層10−2の上面には、第1内部導体層22が設けられている。第1内部導体層22は、受信用配線40a及び40b、送信用配線42、接地用配線44a、44b及び44c、並びにアンテナ用配線46を含む。図3(a)に示した上部導体層20が備える受信用パッド32aは、第1層10−1を貫通するビア配線28を介して、図3(b)に示した第1内部導体層22が備える受信用配線40aと電気的に接続されている。受信用パッド32bは、ビア配線28を介して、受信用配線40bと電気的に接続されている。送信用パッド34は、ビア配線28を介して、送信用配線42と電気的に接続されている。環状電極30は、ビア配線28を介して、接地用配線44a及び44cと電気的に接続されている。接地用パッド36aは、ビア配線28を介して、接地用配線44aと電気的に接続されている。接地用パッド36b及び36cは、ビア配線28を介して、接地用配線44bと電気的に接続されている。アンテナ用パッド38は、ビア配線28を介して、アンテナ用配線46と電気的に接続されている。また、第1内部導体層22は、第2層10−2を貫通するビア配線28を通じて、第2内部導体層24と電気的に接続されている。図中の破線は、絶縁性基板10を上から見た場合に、環状電極30が重なる領域を示す。各配線及びビア配線と、環状電極30との関係は、実施例2において説明する。また、領域30c及び30dについても実施例2において説明する。
【0040】
図4(a)に示すように、第3層10−3上面には、第2内部導体層24が設けられている。第2内部導体層24は、給電線29、受信用配線50a及び50b、送信用配線52、接地用配線54a、54b、54c、54d及び54e、並びにアンテナ用配線56を含む。図3(b)に示した第1内部導体層22が備える受信用配線40aは、第2層10−2を貫通するビア配線28を介して、図4(a)に示した受信用配線50aと電気的に接続されている。受信用配線40bは、複数のビア配線28のうちビア配線28bを介して、受信用配線50bと電気的に接続されている。送信用配線42は、複数のビア配線28のうちビア配線28cを介して、送信用配線52と電気的に接続されている。接地用配線44aは、ビア配線28を介して、接地用配線54aと電気的に接続されている。接地用配線44bは、ビア配線28を介して、接地用配線54bと電気的に接続されている。接地用配線44cは、ビア配線28を介して、接地用配線54cと電気的に接続されている。アンテナ用配線46は、ビア配線28を介して、アンテナ用配線56と電気的に接続されている。
【0041】
また、受信用配線50a及び50b、送信用配線52、接地用配線54a、54c、54d及び54e、並びにアンテナ用配線56の各々は、絶縁性基板10の端部まで延びた給電線29と、電気的に接続されている。給電線29は、例えば受信用配線50a及び50b、送信用配線52、接地用配線54a、54c、54d及び54e、並びにアンテナ用配線56等と同じ金属層からなる。給電線29は、上部導体層20及びフットパッド層26にメッキ層を形成する電解メッキ工程において、給電するために用いられる。なお、複数の給電線29のうち、受信用配線50aに接続されたものを給電線29a、受信用配線50bに接続されたものを給電線29b、送信用配線52に接続されたものを給電線29cとする。図中に示した、環状電極30の領域30b、及び給電線29b及び29cについては、実施例2において説明する。辺10a及び10bについては実施例3において説明する。ここでは、図4(b)を参照して、絶縁性基板10の構成についての説明を続ける。第2内部導体層24は、第3層10−3を貫通するビア配線28を介してフットパッド層26と電気的に接続されている。
【0042】
図4(b)に示すように、第3層10−3の下面にはフットパッド層26が設けられている。なお、図4(b)では第3層10−3を透視し、第3層10−3の下面を図示している。フットパッド層26は、受信用フットパッド60a及び60b、送信用フットパッド62(信号用フットパッド)、接地用フットパッド64a、64b、64c、64d及び64e、並びにアンテナ用フットパッド66を含む。図4(a)に示した第2内部導体層24が備える受信用配線50aは、第3層10−3を貫通するビア配線28を介して、図4(b)に示したフットパッド層26が備える受信用フットパッド60aと電気的に接続されている。受信用配線50bは、複数のビア配線28のうちビア配線28bを介して、受信用フットパッド60bと電気的に接続されている。送信用配線52は、複数のビア配線28のうちビア配線28cを介して、送信用フットパッド62と電気的に接続されている。接地用配線54aは、ビア配線28を介して、接地用フットパッド64a及び64bと電気的に接続されている。接地用配線54bは、ビア配線28を介して、接地用フットパッド64aと電気的に接続されている。接地用配線54cは、ビア配線28を介して、接地用フットパッド64cと電気的に接続されている。接地用配線54dは、ビア配線28を介して、接地用フットパッド64dと電気的に接続されている。接地用配線54eは、ビア配線28を介して、接地用フットパッド64eと電気的に接続されている。アンテナ用配線56は、ビア配線28を介して、アンテナ用フットパッド66と電気的に接続されている。
【0043】
図4(b)に示した受信用フットパッド60a及び60bは、図2(a)に示した受信端子Rx1及びRx2に相当する。送信用フットパッド62は、送信端子Txに相当する。アンテナ用フットパッド66は、アンテナ端子Antに相当する。アンテナ用パッド38、ビア配線28、アンテナ用配線46及び56は、図2(a)に示した配線L1に相当する。受信用パッド32a、ビア配線28、受信用配線40a及び50aは、図2(a)に示した配線L2に相当する。受信用パッド32b、ビア配線28b、受信用配線40b及び50bは、図2(a)に示した配線L3に相当する。送信フィルタF2と送信用フットパッド62とを接続する、送信用パッド34、ビア配線28c、送信用配線42及び52は、図2(a)に示した配線L4に相当する。
【0044】
図2(b)から図4(b)に示したように、受信フィルタF1と送信フィルタF2とを同一の絶縁性基板10にフリップチップ実装し、1パッケージとするとことで、分波器の小型化が可能となる。また、絶縁性基板10の内部に導体層を形成することで、絶縁性基板10の大型化は抑制され、分波器の小型化を図ることができる。さらに、環状電極30を絶縁性基板10の外周に沿って形成し、封止部14を環状電極30と接合させることで、気密性の高い封止をすることができる。しかしながら、受信フィルタF1と送信フィルタF2とを同一の絶縁性基板10に搭載するため、受信フィルタF1と送信フィルタF2との距離が小さくなる。また、1つの絶縁性基板内に多くのパッド、フットパッド、配線、及びビア配線が設けられる。このため、パッド間の距離、及びフットパッド間の距離が小さくなる。従って、送信端子Tx−受信端子Rx間のアイソレーションが劣化する恐れが大きくなる。また後述するように、環状電極30が設けられていることにより、特にアイソレーションが劣化しやすくなる。
【0045】
発明者は、アイソレーション劣化の原因を検証するため、絶縁性基板10に発生する磁界を測定する実験を行った。実験では、受信フィルタF1及び送信フィルタF2が実装されていない絶縁性基板10をサンプルとして用いた。絶縁性基板10を実験装置に配置し、送信用フットパッド62に、周波数が1920MHzであり、パワーが0dBmの信号を入力して、絶縁性基板10の上面に生じる磁界を測定した。図5は、絶縁性基板の上面に生じた磁界を示す模式図である。図中の実線は、同一の大きさを有する磁界を表す線である。図中の破線は、絶縁性基板10が配置された領域を示す線である。点線の丸印は、信号が入力された送信用フットパッド62、及び送信用パッド34の位置を示す。
【0046】
図5に実線で示すように、送信用パッド34に近い方から、磁界の強さは、−99.0dBm、−97.0dBm、−95.7dBm、−93.0dBmであった。このように、送信用パッド34が位置する絶縁性基板10の右下の領域から磁界が発生した。磁界は送信用パッド34に近いほど強かった。特に絶縁性基板10の外周に沿った方向では強い磁界が観測された。磁界が発生した原因について考察する。
【0047】
絶縁性基板10の下面に設けられた送信用フットパッド62(図4(b)参照)に入力された信号は、ビア配線28、送信用配線42及び52を介して、絶縁性基板10の上面に設けられた送信用パッド34(図3(a)参照)に到達する。送信用パッド34に到達した信号と、環状電極30との間で静電結合及び電磁結合の一方、又は両方が生じる。この結果、環状電極30に電流が流れる(図5の矢印参照)。環状電極30に電流が流れると、環状電極30の周辺には磁界が発生する。図5の左方向に延びる環状電極30に電流が流れると、静電結合により受信用パッド32a及び32bに電流が流れる。また、環状電極30に電流が流れることで、受信用パッド32a及び32b(図3(a)参照)付近の領域においても、磁界が発生する。このとき、電磁結合により、受信用パッド32a及び32bに電流が流れる。この結果、受信用パッド32a及び32bと、送信用パッド34との間のアイソレーションが劣化する。これにより、受信用フットパッド60a及び60bと、送信用フットパッド62間のアイソレーションが劣化する。図5に示すように、送信用パッド34に近いほど磁界は強い。従って、複数の受信用パッド32a及び32bのうち、送信用パッド34に近い受信用パッド32bの方が磁界の影響を受けやすい。従って、送信用フットパッド62−受信用フットパッド60b間のアイソレーションは特に劣化しやすい。
【0048】
実施例1は、アイソレーションを改善するために、環状電極30にビア配線を増設する例である。図6(a)は、実施例1に係る分波器が備える絶縁性基板の上部導体層を例示する平面図であり、図6(b)は、実施例1に係る分波器が備える絶縁性基板内の第1内部導体層を例示する平面図である。図3(a)から図4(b)において既述した構成と同じ構成については説明を省略する。
【0049】
図6(a)に示すように、第1層10−1の環状電極30には、ビア配線28aが接続されている。ビア配線28aは、環状電極30の、受信用パッド32bと送信用パッド34とを結ぶ経路のうち短い経路A(図中の矢印参照)に沿った領域30aに設けられている。環状電極30のビア配線28aが設けられた部分の幅W2は、環状電極30のビア配線28aが設けられていない部分の幅W1よりも大きい。
【0050】
図6(b)に示すように、ビア配線28aは、第1層10−1を貫通し、第1内部導体層22が有する接地用配線44dと電気的に接続されている。接地用配線44dは、ビア配線28aを介して、第2内部導体層24が有する接地用配線54e、及びフットパッド層26が有する接地用フットパッド64eと電気的に接続されている。つまり、環状電極30は、ビア配線28aを介して接地されている。このように、実施例1に係る分波器は、ビア配線28a及び接地用配線44dを増設し、環状電極30の幅を変更した以外は、図3(a)から図4(b)に示した分波器と同じ構成である。
【0051】
次に実施例1に係る分波器のアイソレーションを計算したシミュレーションについて説明する。シミュレーションでは、図2(a)に示したように、分波器をアンテナ104に接続し、送信端子Tx(図4(b)の送信用フットパッド62に相当)から信号を入力した際の、受信端子Rx1及びRx2(図4(b)の受信用フットパッド60a及び60bに相当)の各々から出力される信号を計算した。図3(a)から図4(b)に示す絶縁性基板10を有する分波器を比較例として、実施例1と比較例とで、計算結果を比較した。受信フィルタF1としては、SAW共振器とダブルモード結合型SAWフィルタ(DMS:Double Mode SAW filter)を組み合わせたフィルタを用いた。送信フィルタF2としてはラダー型SAWフィルタを用いた。分波器のパッケージの大きさは2.0×1.6mm、厚さは0.55mmとした。受信フィルタF1の通過帯域はW−CDMA Band1方式の受信帯域とし、送信フィルタF2の通過帯域はW−CDMA Band1方式の送信帯域とした。通過帯域の具体的な数値を以下に示す。
受信フィルタF1の通過帯域:2110〜2170MHz
送信フィルタF2の通過帯域:1920〜1980MHz
【0052】
図7(a)及び図7(b)は、実施例1に係る分波器のアイソレーションの計算結果を示す図である。図7(a)は受信用フットパッド60aから出力される信号の計算結果を示す図であり、図7(b)は受信用フットパッド60bから出力される信号の計算結果を示す図である。横軸は周波数、縦軸は減衰量をそれぞれ示す。減衰量は、送信用フットパッドから受信用フットパッドへ漏洩する信号の大きさを表す。また実線は実施例1に係る分波器、破線は比較例に係る分波器、それぞれにおける結果を示す。
【0053】
図7(a)に示すように、比較例よりも実施例1の方が、信号が抑圧された。特に送信帯域において信号が抑圧された。信号の抑圧は、送信用フットパッド62−受信用フットパッド60a間のアイソレーションが改善されたことを示している。送信フィルタF2の通過帯域である1920〜1980MHzの周波数帯域では、信号が大きく抑圧された。
【0054】
図7(b)に示すように、比較例よりも実施例1の方が、送信用フットパッド62−受信用フットパッド60b間のアイソレーションは改善された。また、図7(a)の結果と比較して、より広い周波数帯域にわたって、信号の抑圧が大きくなった。
【0055】
実施例1によれば、環状電極30の、受信用パッド32bと送信用パッド34とを結ぶ経路のうち短い経路Aに沿う領域30aに、接地用フットパッド64eと電気的に接続されたビア配線28aが設けられている。このため、送信信号に起因して環状電極30に流れる電流は、ビア配線28aを通じて接地用フットパッド64eに流れ込む。これにより環状電極30に流れる電流が小さくなるため、電流に起因する磁界も小さくなる。従って、受信用パッド32a及び32b付近に発生する磁界も小さくなる。このように、環状電極30を流れる電流が小さくなるため、環状電極30を流れる電流と受信用パッド32a及び32bとの静電結合及び電磁結合が抑制される。この結果、受信用フットパッド60a及び60bと送信用フットパッド62との間で、高アイソレーションを得ることが可能となる。
【0056】
図5に示したように、送信用パッド34に近いほど磁界は強くなる。このため、送信用フットパッド62−受信用フットパッド60b間のアイソレーションは劣化しやすい。図6(a)に示したように、実施例1では、ビア配線28aは、複数の受信用パッド32a及び32bのうち送信用パッド34に近い受信用パッド32bと、送信用パッド34との間に設けられる。環状電極30を流れる電流はビア配線28aに流れるため、受信用パッド32b付近に到達する電流は少なくなる。従って、受信用パッド32b付近に発生する磁界が小さくなり、送信用フットパッド62−受信用フットパッド60b間のアイソレーションが改善する。環状電極30に増設されるビア配線28aは1つに限定されず、2つ以上でもよい。
【0057】
環状電極30のビア配線28aが設けられた部分の幅W2は、環状電極30のビア配線28aが設けられていない部分の幅W1よりも大きい。言い換えれば、ビア配線28aを設ける場合でも、ビア配線28aが設けられていない部分の幅W1を大きくしなくてもよく、例えば比較例の場合と同一とすることができる。このため、環状電極30を流れる電流が増大することが抑制され、磁界の抑制も可能となる。
【0058】
絶縁性基板10は、上から見た場合、例えば長方形である。図3(a)において、受信用パッド32a及び32bは左下の角、送信用パッド34は右下の角、アンテナ用パッド38は上辺付近に位置するとした。しかし、各パッドの位置は変更可能である。また、絶縁性基板10は例えば正方形や、四角形以外の多角形等、他の形としてもよい。
【0059】
次に実施例1の変形例について説明する。図8は、実施例1の変形例に係る分波器が備える絶縁性基板の上部導体層を例示する平面図である。図6(a)及び図6(b)において既述した構成と同じ構成については説明を省略する。
【0060】
図8に示すように、環状電極30の、受信用パッド32bと送信用パッド34とを結ぶ経路のうち短い経路に沿う領域30aに、接地用フットパッドと電気的に接続されたビア配線28aが設けられている。また、環状電極30のビア配線28aが設けられた辺の幅は、W2で一定である。幅W2は、環状電極30のビア配線28aが設けられていない辺の幅W1よりも大きい。実施例1の変形例によれば、実施例1と同様に、高アイソレーションの確保が可能となる。しかしながら、環状電極30のビア配線28aが設けられた辺の幅W2が、他の辺の幅W1よりも大きい。従って、環状電極30を流れる電流が大きくなる可能性がある。環状電極302を流れる電流を抑制し、より効果的に高アイソレーションを得るためには、図6(a)に示したように、環状電極30のビア配線28aが設けられた部分の幅を大きくすることが好ましい。
【実施例2】
【0061】
実施例2は、絶縁性基板10内部の導体層の構成を変更する例である。まず、図3(a)から図4(b)に示した導体層の問題点について説明する。
【0062】
図3(b)に示すように、受信用配線40bの一部は、環状電極30の受信用配線40bに最も近い領域30b(図中の矢印及び一点鎖線参照)と平行である。図5に示したように、環状電極30付近には磁界が発生する。受信用配線40bと環状電極30とが平行である場合、環状電極30付近に発生する磁界によって、受信用配線40bに電流が流れやすくなる。このように、環状電極30を流れる電流は、受信用配線40bと結合しやすくなる。送信用配線42の一部は、環状電極30の送信用配線42に最も近い領域30c(図中の矢印及び一点鎖線参照)と平行である。このため、環状電極30を流れる電流は、送信用配線42と結合しやすい。
【0063】
また絶縁性基板10を上から見た場合、受信用配線40bの一部、及び送信用配線42の一部は、環状電極30と重なっている。図5に示したように、環状電極30に近い領域ほど磁界は強い。このため、環状電極30と受信用配線40bとの距離が小さいほど、受信用配線40bへの磁界の影響は大きくなる。また、静電結合も大きくなる。このことは、送信用配線42についても同様である。このように、受信用配線40b及び送信用配線42は、環状電極30と重なる部分を有するため、環状電極30と電磁的又は静電的に結合しやすい。さらに、受信用配線40bに接続されたビア配線28bの一部、及び送信用配線40に接続されたビア配線28cの一部は、環状電極30と重なっている。このため、環状電極30と、ビア配線28b及び28cとの電磁結合又は静電結合は大きくなる。以上のように、環状電極30を流れる電流と、受信用配線40b、送信用配線42、及びビア配線28b及び28c、の各々とは、結合しやすくなる。
【0064】
図4(a)に示すように、絶縁性基板10を上から見た場合、受信用配線50bの一部、及び送信用配線52の一部は、環状電極30と重なっている。さらに、受信用配線50bに接続されたビア配線28bの一部、送信用配線50に接続されたビア配線28cの一部は、環状電極30と重なっている。このため、環状電極30を流れる電流が、受信用配線50b、送信用配線52、及びビア配線28b及び28cの各々と結合しやすくなる。この結果、アイソレーションが劣化する。
【0065】
図4(a)に示した、給電線29a、29b、及び29cは、電解メッキの際の給電に用いられるものであり、受信用パッド32bと受信用フットパッド60b、又は送信用パッド34と送信用フットパッド62とを接続する配線ではない。つまり、給電線29a、29b、及び29cは、受信信号又は送信信号を伝送するための配線ではない。このため、給電線29a、29b、及び29cがアイソレーションに与える影響は、受信用配線50b及び送信用配線52がアイソレーションに与える影響よりも小さい。しかしながら、給電線間に結合が生じ、アイソレーションが悪化することがある。絶縁性基板10の受信用パッド32bと送信用パッド34とを結ぶ経路のうち短い経路Aの方向に延びる領域を領域30dとする(図中の矢印及び一点鎖線参照)。つまり領域30dは、環状電極30の辺であって、図6(a)に示した領域30aが属する辺である。複数の給電線29のうち、受信用配線50bに接続された2本の給電線29b、及び送信用配線52に接続された給電線29cは、環状電極30の領域30dと重なっている。図5に示したように、送信信号が入力されると、送信用配線52と環状電極30が電磁結合又は静電結合することで、環状電極30に電流が流れ、環状電極30付近に磁界が発生する。図4(a)のように給電線29cが環状電極30に重なっている場合、給電線29cと環状電極30との距離が近くなる。このため、送信用フットパッド64に入力された信号がより環状電極30に結合しやすくなる。結合によって生じた電流は環状電極30の領域30dを流れ、別の給電線29b付近に磁界を発生させる。磁界が発生することにより、給電線29bに電流が流れる。このように、給電線29b及び29cが環状電極30と重なっている場合、環状電極30を介して、送信用フットパッド62と受信用フットパッド60b間の結合がより大きくなる。この結果、アイソレーションが劣化する可能性がある。
【0066】
実施例2では、第1内部導体層22及び第2内部導体層24各々の構成を変更する。図9(a)は、実施例2に係る分波器が備える絶縁性基板の上部導体層を例示する平面図であり、図9(b)は、実施例2に係る分波器が備える絶縁性基板内の第1内部導体層を例示する平面図である。図10は、実施例2に係る分波器が備える絶縁性基板内の第2内部導体層を例示する平面図である。フットパッド層26は、例えば図4(b)に示したものと同じである。図3(a)から図4(b)において既述した構成については説明を省略する。
【0067】
図9(a)に示すように、図6(a)の場合と比較して、送信用パッド34の配置が変更されている。送信用パッド34を除いて、上部導体層20は図6(a)の例と同じ構成である。
【0068】
図9(b)に示すように、受信用配線40bは、ビア配線28bと接続されており、絶縁性基板10の平面方向に延びる部分は有していない。このように、絶縁性基板10を上から見た場合、受信用配線40bは、環状電極30の領域30bと平行になっていない。また、受信用配線40b、及びビア配線28bは、環状電極30と重ならない。送信用配線42は、図中の左右方向に延びる部分を有する。また、環状電極30の送信用配線42と最も近い領域30cは、送信用配線42の右側に位置している。従って、送信用配線42は、環状電極30の領域30cと平行になっていない。また、送信用配線42はビア配線28cと接続されている。絶縁性基板10を上から見た場合、送信用配線42、及びビア配線28cは、環状電極30と重ならない。
【0069】
図10に示すように、受信用配線50bはビア配線28dと接続され、送信用配線52はビア配線28eと接続されている。受信用配線50bは、環状電極30の受信用配線50bと最も近い領域30e(図中の矢印及び一点鎖線参照)と平行になっていない。絶縁性基板10を上から見た場合、受信用配線50bは、環状電極30と重ならない。また送信用配線52は、環状電極30の送信用配線52と最も近い領域30f(図中の矢印及び一点鎖線参照)と平行になっていない。絶縁性基板10を上から見た場合、送信用配線52は、環状電極30と重ならない。ビア配線28d及び28eは、環状電極30と重ならない。その一方で、受信用配線50bに接続された給電線29bは環状電極30と重なる。送信用配線52に接続された給電線29c及び29dは、環状電極30と重なる。しかし既述したように、給電線29b、29c及び29dは、電解メッキの際の給電に用いられるものであり、受信用パッド32bと受信用フットパッド60b、又は送信用パッド34と送信用フットパッド62とを接続する配線ではない。つまり、給電線29b、29c及び29dは、受信信号又は送信信号を流すための配線ではない。このため、給電線のアイソレーションへの影響は小さい。
【0070】
給電線29b及び給電線29cは、環状電極30の領域30dと重なる。このように、受信用配線50bと接続され、領域30dと重なる給電線は、給電線29bの1本である。また、送信用配線42と接続され、領域30dと重なる給電線は、給電線29cの1本である。なお、給電線29dは、送信用配線42に接続されているが、領域30dと重ならない。2本の給電線29aは、受信用配線40aに接続されているが、領域30dと重ならない。図9(a)から図10に示すように、実施例2に係る分波器は、配線及びビア配線の配置を変更した以外、実施例1に係る分波器と同じ構成である。
【0071】
次に実施例2に係る分波器のアイソレーションを計算したシミュレーションについて説明する。シミュレーションでは、送信端子Tx(図4(b)の送信用フットパッド62に相当)から信号を入力した際の、受信端子Rx1及びRx2(図4(b)の受信用フットパッド60a及び60bに相当)各々から出力される信号を計算した。受信フィルタF1としては、SAW共振器とダブルモード結合型SAWフィルタを組み合わせたフィルタを用いた。送信フィルタF2としてはラダー型SAWフィルタを用いた。分波器のパッケージの大きさは2.0×1.6mm、厚さは0.55mmとした。受信フィルタF1の通過帯域はW−CDMA Band1方式の受信帯域とし、送信フィルタF2の通過帯域はW−CDMA Band1方式の送信帯域とした。実施例1と実施例2とで、計算結果を比較した。なお既述したように、実施例1における第1内部導体層22及び第2内部導体層24は、ビア配線28a及び接地用配線44dを増設した以外、図3(b)及び図4(a)に示したものと同じである。
【0072】
図11(a)及び図11(b)は、実施例2に係る分波器のアイソレーションの計算結果を示す図である。図11(a)は受信用フットパッド60aから出力される信号の計算結果を示す図であり、図11(b)は受信用フットパッド60bから出力される信号の計算結果を示す図である。横軸は周波数、縦軸は減衰量をそれぞれ示す。また実線は実施例2に係る分波器、破線は実施例1に係る分波器、それぞれにおける結果を示す。
【0073】
図11(a)に示すように、実施例1よりも実施例2の方が、信号が抑圧された。信号の抑圧は、送信用フットパッド62−受信用フットパッド60a間のアイソレーションが改善されたことを示している。
【0074】
図11(b)に示すように、実施例1よりも実施例2の方が、信号が抑圧された。特にW−CDMA Band1方式の受信帯域である1920〜1980MHzの周波数帯域では、信号が大きく抑圧された。また、図11(a)の結果と比較して、より広い周波数帯域にわたって、信号の抑圧が大きくなった。
【0075】
実施例2によれば、受信用配線40b及び50b、送信用配線42及び52の4つの配線の各々は、環状電極30の当該4つの配線の各々と最も近い領域と平行ではない。このため、よって、受信用配線40b及び50b、送信用配線42及び52の各々には、環状電極30付近に発生する磁界に起因する電流が流れにくくなる。従って、環状電極30を流れる電流と、受信用配線40b及び50b、送信用配線42及び52の各々との結合が抑制される。この結果、受信用フットパッド60a及び60bと送信用フットパッド62との間で、高アイソレーションを得ることができる。
【0076】
図9(b)及び図10に示したように、受信用配線40b及び50b、並びに送信用配線42及び52の各々は、環状電極30と重ならない。つまり、受信用配線40b及び50b、並びに送信用配線42及び52の各々と、環状電極30との距離が大きくなる。このため、受信用配線40b及び50b、送信用配線42及び52の各々は、磁界の影響を受けにくくなる。従って、環状電極30を流れる電流と、受信用配線40b及び50b、並びに送信用配線42及び52の各々との結合が抑制され、高アイソレーションを得ることができる。また、絶縁性基板10を上から見た場合、ビア配線28b、28c、28d及び28eは、環状電極30と重ならない。従って、環状電極30を流れる電流と、ビア配線28b、28c、28d及び28eの各々との結合が抑制され、高アイソレーションを得ることができる。
【0077】
既述したように、給電線29b、29c及び29dは、受信用配線40b及び50b、並びに送信用配線42及び52よりも、アイソレーションに与える影響は小さい。しかしながら、給電線29が環状電極30を流れる電流と結合することにより、アイソレーションに影響を与えることもある。実施例2では図10に示すように、受信用配線50bに接続され、かつ領域30dと重なる給電線は、給電線29bの1本である。送信用配線52に接続され、かつ領域30dと重なる給電線は、給電線29cの1本である。言い換えれば、受信用パッド32bに接続され、かつ領域30dと重なる給電線は、給電線29bの1本である。言い換えれば、送信用パッド34に接続され、かつ領域30dと重なる給電線は、給電線29cの1本である。従って、例えば図4(a)のように、2本の給電線29bと、給電線29cとが領域30dと重なる場合より、給電線29bと給電線29cとの結合を抑制することができる。この結果、より効果的に高アイソレーションを得ることができる。
【0078】
図5において説明したように、送信用パッド34に近いほど磁界は強い。従って、送信用パッド34に近い受信用パッド32bの方が磁界の影響を受けやすい。実施例2では、受信用パッド32bに接続された、受信用配線40b及び50b、ビア配線28b及び28d、並びに給電線29c、各々の配置を変更した。この結果、アイソレーションをより効果的に改善することができる。
【0079】
なお、受信用パッド32aに接続された受信用配線40a及び50aの各々が、環状電極30の各々の配線に最も近い領域と平行でないとしてもよい。また、受信用配線40a及び50aが、環状電極30と重ならないとしてもよい。さらに、受信用配線40a及び50aに接続されたビア配線28が、環状電極30と重ならないとしてもよい。このように、受信用パッド32aに接続された受信用配線40a及び50a、並びにビア配線28の配置を変更してもよい。また、受信用配線40a及び50a、並びに受信用配線40a及び50aに接続されたビア配線28、各々の配置を変更し、かつ受信用配線40b及び50b、並びにビア配線28b及び28d、各々の配置を変更しないとしてもよい。つまり、受信用パッド32aに接続された受信用配線及びビア配線と、受信用パッド32bに接続された受信用配線及びビア配線との、少なくとも一方の配置を変更すればよい。ただし、効果的に高アイソレーションを得るためには、送信用パッド34に近い受信用パッド32bに接続された、受信用配線及びビア配線の配置を変更することが好ましい。また受信用パッドは1つでもよく、この場合は、1つの受信用パッドに接続された受信用配線及びビア配線の配置を変更すればよい。
【0080】
また、受信用配線40b及び50b、並びにビア配線28b及び28d各々の配置を変更し、送信用配線42及び52並びにビア配線28c及び28e各々の配置を変更しないとしてもよい。さらに、送信用配線42及び52、並びにビア配線28c及び28e各々の配置を変更し、受信用配線40b及び50b並びにビア配線28b及び28d各々の配置を変更しないとしてもよい。以上のように、受信用パッド32a及び32b、並びに送信用パッド34の少なくとも1つと電気的に接続された配線(受信用配線又は送信用配線)が、環状電極30の当該配線に最も近い領域と平行でなければよい。また受信用パッド32a及び32b、並びに送信用パッド34の少なくとも1つと電気的に接続された配線が、環状電極30と重ならなければよい。さらに受信用パッド32a及び32b、並びに送信用パッド34の少なくとも1つと電気的に接続されたビア配線が、環状電極30と重ならなければよい。
【0081】
受信用配線50bに接続された1本の給電線29bが領域30dと重なり、送信用配線52に接続された給電線29cは領域30dと重ならないとしてもよい。また、給電線29cが領域30dと重なり、給電線29bは領域30dと重ならないとしてもよい。このように、受信用配線50bに接続された1本の給電線29b、及び送信用配線52に接続された1本の給電線29cの少なくとも一方が領域30dと重なり、他方は領域30dと重ならないとしてもよい。言い換えれば、受信用パッド32b又は送信用パッド34のいずれか一方と電気的に接続され、かつ領域30dと重なる給電線は1本とすればよい。上部導体層20は図9(a)に示したもの以外に、例えば図3(a)に示したものを用いてもよい。ただし、より効果的に高アイソレーションを得るためには、図9(a)に示したように、ビア配線28aを有する上部導体層20を用いることが好ましい。
【実施例3】
【0082】
実施例3は、給電線の配置を変更する例である。まず、図4(a)を参照して、給電線間の結合によるアイソレーションの劣化について説明する。
【0083】
既述したように、複数の給電線は、環状電極30を通じて結合することがある。図4(a)に示すように、受信用配線50bに接続された給電線29b、及び送信用配線52に接続された給電線29cは、絶縁性基板10の辺10b(図中の下辺)において絶縁性基板10の端部に達する。このため、給電線29bと給電線29cとが、環状電極30を介して結合しやすい。この結果、アイソレーションが劣化する可能性がある。
【0084】
次に実施例3に係る分波器について説明する。図12は、実施例3に係る分波器が備える絶縁性基板内の第2内部導体層を例示する平面図である。上部導体層20は、例えば図9(a)に示したものと同じである。第1内部導体層22は、例えば図9(b)に示したものと同じである。フットパッド層26は、例えば図4(b)に示したものと同じである。なお、接地用配線54c及び54d、アンテナ用配線56の構成が、図4(a)の構成と異なる。しかし、接地用配線54c及び54d、アンテナ用配線56の構成を、例えば図4(a)と同じとしてもよい。
【0085】
図12に示すように、給電線29a及び給電線29bは、絶縁性基板10の辺10a(図中の左辺0)において、絶縁性基板10の端部に達する。給電線29cは、絶縁性基板10の別の辺10c(図中の右辺)において、絶縁性基板10の端部に達する。受信用配線50a接続された給電線29a、及び受信用配線50bに接続された給電線29bと、送信用配線52に接続された給電線29cとは、互いに異なる辺において絶縁性基板10の端部に達する。このため、給電線29a及び29bと、給電線29cとの距離が大きくなる。この結果、受信用フットパッド60a及び60bと送信用フットパッド62との間で、高アイソレーションを得ることが可能となる。
【0086】
また例えば、給電線29a及び29bは辺10aにおいて絶縁性基板10の端部に達し、給電線29cが辺10bにおいて端部に達するとしてもよい。ただし、高アイソレーションを得るためには給電線間の距離が大きいことが好ましい。従って、給電線29a及び29bと、給電線29cとは、辺10a及び辺10bのような対向する辺において、絶縁性基板10の端部に達することが好ましい。また、受信用配線が1本である場合も同様に、給電線が異なる辺において絶縁性基板10の端部に達すればよい。上部導体層20は図6(a)に示したものを用いたが、例えば図3(a)に示したものを用いてもよい。ただし、より効果的に高アイソレーションを得るためには、図6(a)に示した上部導体層20を用いることが好ましい。
【実施例4】
【0087】
実施例4は、無電解メッキによりメッキ層を形成する例である。既述したように、上部導体層20及びフットパッド層26は、保護層としてメッキ層を含む。メッキ層を形成するために電解メッキを行う場合、給電のために給電線29を用いる(例えば図4(b)参照)。給電線29は、絶縁性基板10の端部に達するため環状電極30と重なる。このため、環状電極30を流れる電流と、給電線29とが結合して、アイソレーションが劣化する恐れがある。
【0088】
実施例4では、メッキ層を無電解メッキにより設けるとした。図13は、実施例4に係る分波器が備える絶縁性基板内の第2内部導体層を例示する平面図である。。上部導体層20は、例えば図9(a)に示したものと同じである。第1内部導体層22は、例えば図9(b)に示したものと同じである。フットパッド層26は、例えば図4(b)に示したものと同じである。
【0089】
図13に示すように、第2内部導体層24には給電線が含まれない。つまり、第2層10−2と第3層10−3との間には、受信用配線50a及び50b、又は送信用配線52のいずれかと接続され、かつ環状電極30と重なるような導体は設けられていない。また、上部導体層20、第1内部導体層22、及びフットパッド層26も給電線を含まない(図3(a)、図3(b)及び図4(b)参照)。
【0090】
実施例4によれば、上部導体層20及びフットパッド層26はメッキ層を含んでおり、メッキ層は無電解メッキにより形成される。このため、環状電極30と重なる給電線を設けなくてよい。従って、環状電極30を流れる電流と給電線との結合が抑制され、受信用フットパッド60a及び60bと送信用フットパッド62との間で、高アイソレーションを得ることが可能となる。
【0091】
上部導体層20として、図6(a)に示したものを用いたが、例えば図3(a)に示したものを用いてもよい。ただし、より効果的に高アイソレーションを得るためには、図6(a)に示した上部導体層20を用いることが好ましい。また、図13に示した第2内部導体層24以外に、例えば図4(a)又は図10に示した第2内部導体層24から、給電線を取り除いたものを用いてもよい。効果的に高アイソレーションを得るためには、図10に示したように、受信用配線50a及び送信用配線52、ビア配線28d及び28eの配置を変更したものを用いることが好ましい。
【実施例5】
【0092】
実施例5は、導体層間の距離を変更する例である。図14(a)は、実施例5に係る分波器が備える絶縁性基板内の第1内部導体層を例示する上面図であり、図14(b)は、実施例5に係る分波器が備える絶縁性基板内の第2内部導体層を例示する上面図である。上部導体層20は、例えば図9(a)に示したものと同じである。フットパッド層26は、例えば図4(b)に示したものと同じである。
【0093】
図14(a)に示すように、第1内部導体層22(別の導体層)に含まれる受信用配線40a及び40b、並びに送信用配線42の各々(別の配線)は、ビア配線28と接続するための配線であり、絶縁性基板10の平面方向に延びる部分は有していない。
【0094】
図14(b)に示すように、第2内部導体層24(内部導体層)に含まれる受信用配線50a及び50b、送信用配線52の各々(配線)は、絶縁性基板10の平面方向に延びる部分を有する。このため、受信用配線50aは受信用配線40aよりも長い。受信用配線50bは受信用配線40bよりも長い。送信用配線52は送信用配線42よりも長い。このように、第2内部導体層24は、受信用配線のうち最長の受信用配線、及び送信用配線のうち最長の送信用配線を有する導体層である。
【0095】
図15は、実施例5に係る分波器が備える絶縁性基板を例示する断面図である。図15に示すように、第2内部導体層24と絶縁性基板10の上面との間における絶縁性基板10の厚さT1は、第2内部導体層24から絶縁性基板10の下面との間における絶縁性基板10の厚さT2より大きい。言い換えれば、絶縁性基板10の厚さ方向において、第2内部導体層24と上部導体層20との距離が、第2内部導体層24とフットパッド層26との距離よりも大きい。受信用配線50a及び50b、並びに送信用配線52の各々と環状電極30との距離は大きい。従って、実施例5によれば、環状電極30を流れる電流と、受信用配線50a及び50b、並びに送信用配線52とは結合しにくくなる。この結果、受信用フットパッド60a及び60bと送信用フットパッド62との間で、高アイソレーションを得ることが可能となる。
【0096】
配線が長いほど、磁界にさらされる部分も長くなり、磁界の影響を受けやすくなる。第2内部導体層24が有する受信用配線50a及び50b、送信用配線52の各々は、第1内部導体層22が有する受信用配線40a及び40b、並びに送信用配線42の各々よりも長いため、より磁界の影響を受けやすい。言い換えれば、受信用配線50a及び50b、送信用配線52は、環状電極30を流れる電流と結合しやすい。実施例5では、長い配線を有する第2内部導体層24と環状電極30との距離を大きくするため、より効果的に高アイソレーションを得ることが可能となる。
【0097】
例えば、受信用配線のうち最長の受信用配線、及び送信用配線のうち最長の送信用配線を有する導体層が第1内部導体層22である場合、第1内部導体層22と絶縁性基板10の上面との間における絶縁性基板10の厚さを、第1内部導体層22と絶縁性基板10の下面との間における絶縁性基板10の厚さよりも大きくすればよい。また例えば、第1内部導体層22が、最長の送信用配線及び最長の受信用配線のいずれか一方を有し、第2内部導体層24が最長の送信用配線及び最長の受信用配線のいずれか他方を有する場合もある。この場合、第1内部導体層22と絶縁性基板10の上面との間における絶縁性基板10の厚さを、第1内部導体層22と絶縁性基板10の下面との間における絶縁性基板10の厚さよりも大きくする。また、第2内部導体層24と絶縁性基板10の上面との間における絶縁性基板10の厚さを、第2内部導体層24と絶縁性基板10の下面との間における絶縁性基板10の厚さよりも大きくすればよい。内部導体層が3つ以上の場合でも、上記と同様にすればよい。さらに、内部導体層が1つの場合、1つの導体層と絶縁性基板10の上面との間における絶縁性基板10の厚さを、1つの内部導体層22と絶縁性基板10の下面との間における絶縁性基板10の厚さよりも大きくすればよい。
【0098】
上部導体層20は図6(a)に示したものを用いたが、例えば図3(a)に示したものを用いてもよい。ただし、より効果的に高アイソレーションを得るためには、図6(a)に示した上部導体層20を用いることが好ましい。また、第2内部導体層24は、実施例2と同様に、配線、ビア配線、及び給電線の配置を変更したものを採用した。構成はこれに限定されず、例えば図4(a)に示したような第2内部導体層24を採用してもよい。ただし、効果的に高アイソレーションを得るためには、図14(b)に示したような第2内部導体層24を採用することが好ましい。
【実施例6】
【0099】
実施例6は、フットパッドの位置を変更する例である。図16(a)は、実施例6に係る分波器が備える絶縁性基板の下部導体層を例示する平面図であり、図16(b)は、実施例6に係る分波器が備える絶縁性基板の上部導体層を例示する平面図である。
【0100】
図16(a)に示すように、フットパッド層26が備える受信用フットパッド60aは、絶縁性基板10の辺10aに沿って設けられている。受信用フットパッド60bは、絶縁性基板10の辺10aと辺10bとが交わる角付近に設けられている。送信用フットパッド62は、絶縁性基板10の辺10cに沿って設けられている。言い換えれば、図4(b)の場合から、送信用フットパッド62の位置を辺10cの中央付近に変更した。このように、受信用フットパッド60a及び60bと、送信用フットパッド62とは、絶縁性基板10の異なる辺に沿って設けられている。この結果、受信用フットパッド60a及び60bと、送信用フットパッド62との距離が大きくなる。
【0101】
図16(b)に示すように、送信用フットパッド62の位置を変更したことに伴い、上部導体層20が備える送信用パッド34の位置も変更される。具体的には、図6(a)において辺10bと辺10cとが交わる角付近(図16(b)中の破線の楕円)に設けられていた送信用パッド34が、辺10cの中央付近に設けられる。このため、受信用パッド32a及び32bと、送信用パッド34との距離が大きくなる。この結果、高アイソレーションの確保が可能となる。また、受信用パッド32a及び32bと、送信用パッド34との間において、環状電極30は曲がる。環状電極30が曲がることで、環状電極30を流れる電流に損失が生じる。この結果、受信用フットパッド60a及び60bと送信用フットパッド62との間で、高アイソレーションを得ることが可能となる。
【0102】
図16(a)に示した構成以外でも、受信用フットパッド60a及び60bと、送信用フットパッド62とが異なる辺に沿って設けられていればよい。このとき、高アイソレーション確保のためには、受信用フットパッド60a及び60bと、送信用フットパッド62との距離が大きくなることが好ましい。このため、例えば図16(a)に示したように、受信用フットパッド60aと送信用フットパッド62とが、接地用フットパッド64aを挟んで対向することが好ましい。また、例えば送信用フットパッド62が、受信用フットパッド60bと対角線で結ばれるような位置(例えば図16(b)の接地用フットパッド64cの位置)に設けられるとしてもよい。
【0103】
上部導体層20として、図6(a)に示したものを用いたが、例えば図3(a)に示したものを用いてもよい。ただし、より効果的に高アイソレーションを得るためには、図6(a)に示した上部導体層20を用いることが好ましい。また、第2内部導体層24としては、例えば図4(a)又は図10に示した第2内部導体層24のどちらを用いてもよい。ただし、効果的に高アイソレーションを得るためには、図10に示したものが好ましい。
【0104】
次に、環状電極30が設けられる位置について説明する。図2(b)及び図3(a)において説明したように、環状電極30は封止のために用いられる。封止のためには、環状電極30が、受信用パッド32a及び32b、送信用パッド34、接地用パッド36a、36b及び36c、並びにアンテナ用パッド38を囲んでいればよい。このため、環状電極30は、実施例で説明した構成とは別の構成を有するとしてもよい。
【0105】
図17は、別の構成を有する環状電極を有する絶縁性基板の上部導体層を例示する平面図である。図の簡略化のため、受信用パッド32a及び32b、送信用パッド34、接地用パッド36a、36b及び36c、並びにアンテナ用パッド38は省略して図示した。
【0106】
図17に示すように、環状電極30は、絶縁性基板10の外周から距離Xの位置に設けられている。環状電極30は、受信用パッド32a及び32b、送信用パッド34、接地用パッド36a、36b及び36c、並びにアンテナ用パッド38を囲んでいる。従って、気密封止は可能である。しかしながら、環状電極30が絶縁性基板10の外周に沿っていないため、環状電極30と絶縁性基板10の外周との間に、スペースが生じる。このようなスペースは、分波器の小型化の妨げとなる。従って、分波器の小型化のためには、例えば図6(a)、図8、図9(a)及び図16(b)に例示したように、環状電極30は絶縁性基板10の外周に沿って設けられていることが好ましい。また実施例では環状電極30がリング状である例を示したが、環状電極30はリング状でなくてもよい。つまり、環状電極30に切れ目が設けられていてもよい。
【0107】
受信フィルタF1及び送信フィルタF2としては、例えば圧電絶縁性基板にIDT(Inter Digital Transducer)を形成したSAWフィルタ、又は弾性境界波フィルタ、さらに圧電薄膜共振器(FBAR:Film Bulk Acoustic Resonator)を用いたフィルタを採用することができる。実施例では、分波器がW−CDMA Band1方式に対応するとしたが、例えばW−CDMA Band2方式、GSM(Global System for Mobile Communication)方式等、他の通信方式に対応しているとしてもよい。
【0108】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0109】
絶縁性基板 10
辺 10a、10b、10c
封止部 14
上部導体層 20
第1内部導体層 22
第2内部導体層 24
フットパッド層 26
ビア配線 28、28a、28b、28c
給電線 29、29a、29b、29c、29d
環状電極 30
領域 30a、30b、30c、30d、30e、30f
受信用パッド 32a、32b
送信用パッド 34
接地用パッド 36a、36b、36c
アンテナ用パッド 38
受信用配線 40a、40b、50a、50b
送信用配線 42、52
接地用配線 44a、44b、44c、54a、54b、54c、54d、54e
アンテナ用配線 46、56
受信用フットパッド 60a、60b
送信用フットパッド 62
接地用フットパッド 64a、64b、64c、64d、64e
分波器 100
アンテナ端子 Ant
受信フィルタ F1
送信フィルタ F2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に送信フィルタ及び受信フィルタを搭載し、下面に前記送信フィルタ及び前記受信フィルタの各々と電気的に接続するフットパッド層を有する絶縁性基板と、
前記上面に設けられ、前記送信フィルタと電気的に接続される送信用パッドと、
前記上面に設けられ、前記受信フィルタと電気的に接続される受信用パッドと、
前記上面に設けられ、前記送信用パッド及び前記受信用パッドを囲む環状電極と、
前記フットパッド層に含まれる接地用フットパッドと、
前記環状電極の、前記送信用パッドと前記受信用パッドとを結ぶ経路のうち短い経路に沿う領域に設けられ、前記環状電極と、前記接地用フットパッドと電気的に接続するビア配線と、を具備することを特徴とする分波器。
【請求項2】
前記環状電極の前記ビア配線と接続された領域は、前記環状電極の前記ビア配線と接続された領域以外の領域よりも、幅が広いことを特徴とする請求項1記載の分波器。
【請求項3】
前記絶縁性基板の上面に設けられ、前記送信用パッド及び前記受信パッドを含む上部導体層を備え、
前記上部導体層及び前記フットパッド層は、電解メッキにより形成されたメッキ層を含み、
各々が、前記絶縁性基板の内部に設けられ、かつ前記絶縁性基板の端部まで延び、前記上部導体層及び前記フットパッド層と電気的に接続された、前記電解メッキを行うための給電に用いられる複数の給電線を備え、
前記複数の給電線のうち、前記送信用パッド又は前記受信用パッドと電気的に接続され、かつ前記環状電極の、前記送信用パッドと前記受信用パッドとを結ぶ経路のうち短い経路に沿う方向に延びる領域と重なる給電線は1本であることを特徴とする請求項1又は2記載の分波器。
【請求項4】
上面に上部導体層を備え、下面にフットパッド層を備え、内部に内部導体層を備え、前記上面に送信フィルタ及び受信フィルタを搭載する絶縁性基板と、
前記上部導体層に含まれ、前記送信フィルタ及び前記受信フィルタの少なくとも一方と電気的に接続される信号用パッドと、
前記上部導体層に含まれ、前記信号用パッドを囲む環状電極と、
前記フットパッド層に含まれ、前記信号用パッドを介して、前記送信フィルタ及び前記受信フィルタの少なくとも一方と電気的に接続される信号用フットパッドと、
前記内部導体層に含まれ、前記信号用パッド及び前記信号用フットパッドと電気的に接続された配線と、を具備し、
前記配線は、前記絶縁性基板の上面から見て前記環状電極の前記配線の最も近い領域とは平行ではないことを特徴とする分波器。
【請求項5】
上面に上部導体層を備え、下面にフットパッド層を備え、内部に内部導体層を備え、前記上面に送信フィルタ及び受信フィルタを搭載する絶縁性基板と、
前記上部導体層に含まれ、前記送信フィルタ及び前記受信フィルタの少なくとも一方と電気的に接続される信号用パッドと、
前記上部導体層に含まれ、前記信号用パッドを囲む環状電極と、
前記フットパッド層に含まれ、前記信号用パッドを介して、前記送信フィルタ及び前記受信フィルタの少なくとも一方と電気的に接続される信号用フットパッドと、
前記内部導体層に含まれ、前記信号用パッド及び前記信号用フットパッドと電気的に接続された配線と、を具備し、
前記内部導体層と前記上面との間における前記絶縁性基板の厚さは、前記内部導体層と前記下面との間における前記絶縁性基板の厚さよりも大きいことを特徴とする分波器。
【請求項6】
前記絶縁性基板は、内部に前記内部導体層とは別の内部導体層を備え、
前記別の内部導体層は、前記信号用パッド及び前記信号用フットパッドと電気的に接続された別の配線を含み、
前記配線は、前記配線と前記別の配線とのうち、最も長い配線であることを特徴とする請求項5記載の分波器。
【請求項7】
上面に上部導体層を備え、下面にフットパッド層を備え、内部に内部導体層を備え、前記上面に送信フィルタ及び受信フィルタを搭載する絶縁性基板と、
前記上部導体層に含まれ、前記送信フィルタ及び前記受信フィルタの少なくとも一方と電気的に接続される信号用パッドと、
前記上部導体層に含まれ、前記信号用パッドを囲む環状電極と、
前記フットパッド層に含まれ、前記信号用パッドを介して、前記送信フィルタ及び前記受信フィルタの少なくとも一方と電気的に接続される信号用フットパッドと、
前記内部導体層に含まれ、前記信号用パッド及び前記信号用フットパッドと電気的に接続された配線と、を具備し、
前記配線は、前記絶縁性基板の上面から見て前記環状電極と重ならないことを特徴とする分波器。
【請求項8】
前記絶縁性基板の上面から見て前記環状電極と重ならないように設けられ、前記配線と電気的に接続されたビア配線を具備することを特徴とする請求項4から7いずれか一項記載の分波器。
【請求項9】
前記信号用パッドは前記受信フィルタと電気的に接続される受信用パッドであり、
前記信号用フットパッドは受信用フットパッドであることを特徴とする請求項4から8いずれか一項記載の分波器。
【請求項10】
前記上部導体層は、前記送信フィルタと電気的に接続される送信用パッドと、
前記受信フィルタと電気的に接続される複数の受信用パッドとを含み、
前記信号用パッドは、前記複数の受信用パッドのうち、前記送信用パッドに近い受信用パッドであることを特徴とする請求4から8いずれか一項記載の分波器。
【請求項11】
前記信号用パッドは前記送信フィルタと電気的に接続される送信用パッドであり、
前記信号用フットパッドは送信用フットパッドであることを特徴とする請求項4から8いずれか一項記載の分波器。
【請求項12】
複数の前記信号用パッドは、前記送信フィルタと電気的に接続される送信用パッド、及び前記受信フィルタと電気的に接続される受信用パッドを含み、
複数の前記信号用フットパッドは、送信用フットパッド及び受信用フットパッドを含むことを特徴とする請求項4から11いずれか一項記載の分波器。
【請求項13】
前記上部導体層及び前記フットパッド層は、無電解メッキにより形成されたメッキ層を含むことを特徴とする請求項4から12いずれか一項記載の分波器。
【請求項14】
前記上部導体層及び前記フットパッド層は、電解メッキにより形成されたメッキ層を含み、
前記上部導体層は、前記送信フィルタと電気的に接続される送信用パッドと、前記受信フィルタと電気的に接続される受信用パッドを含み、
前記内部導体層に含まれ、かつ前記絶縁性基板の端部まで延び、前記配線と電気的に接続された、前記電解メッキを行うための給電に用いられる給電線を備え、
1本の前記配線と電気的に接続され、かつ前記環状電極の、前記送信用パッドと前記受信用パッドとを結ぶ経路のうち短い経路の方向に延びる領域と重なる前記給電線は1本であることを特徴とする請求項4から13いずれか一項記載の分波器。
【請求項15】
前記上部導体層及び前記フットパッド層は、電解メッキにより形成されたメッキ層を含み、
前記上部導体層は、前記送信フィルタと電気的に接続される送信用パッドと、
前記受信フィルタと電気的に接続される受信用パッドを含み、
各々が、前記内部導体層に含まれ、かつ前記絶縁性基板の端部まで延び、前記配線と電気的に接続された、前記電解メッキを行うための給電に用いられる複数の給電線を備え、
前記複数の給電線のうち、前記送信用パッドと電気的に接続された給電線と、前記受信用パッドと電気的に接続された給電線とは、前記絶縁性基板の異なる辺において、前記絶縁性基板の端部に達することを特徴とする請求項4から14いずれか一項記載の分波器。
【請求項16】
前記環状電極は、前記絶縁性基板の外周に沿って設けられていることを特徴とする請求項1から15いずれか一項記載の分波器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−109865(P2012−109865A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258181(P2010−258181)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】