説明

制動性の改善を可能にする液圧伝達装置

液圧伝達装置(10)は、供給配管(22A)と排出配管(22B)とを有する基礎モータ(22A)と、供給・排出配管がバイパスリンク(62)を経由して相互接続されるバイパス位置をとるのに適した変位量セレクタと、前記バイパスリンクを狭める狭窄手段(70,72)とを有する。セレクタがバイパス位置にあるとき、排出配管内の吐出圧力が、制御チャンバ(58)内の制御圧力に応じて変化する狭窄閾値を超えていれば、狭窄手段が駆動してバイパスリンク内の流体の流れを制限する。この構成により、基礎モータはバイパスリンクを介してブレーキトルクを発生することができ、このトルクは制御チャンバ内の圧力によって容易に制御可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給配管を介して流体の供給を受け排出配管を介して流体を排出する第1基礎モータ(elementary motor)と、変位量セレクタとを有する液圧伝達装置に関し、変位量セレクタは、前記供給配管がバイパスリンクを介して前記排出配管と接続されるバイパス位置をとるのに適しており、前記装置は前記バイパスリンクを狭めるための狭窄手段をさらに有する。
【背景技術】
【0002】
前記基礎モータが液圧回路と組み合わされる場合、基礎モータが駆動トルクを発生すると、供給・排出配管は、第1基礎モータに供給される又はそこから排出される流体が通過する筐体として機能する。
【0003】
基礎モータがバイパスされる場合、このモータはいかなる駆動トルクも供給しない。逆に、狭窄手段が作動している場合、このモータは回転駆動していればブレーキトルクを発生する。例えば、装置が車両に設置されこの装置の第1基礎モータが車輪と結合している場合、制動を行う際には、狭窄手段が作動して、基礎モータが車輪にブレーキトルクを与え、車両の制動に寄与する。
【0004】
より一般的には、本発明は、第1基礎モータを有し、車輪、部品等の運動体であって前記モータが結合している負荷から独立した、液圧伝達装置に関する。バイパスリンクの狭窄および狭窄動作の制御については、既に様々な解決策が提案されている。
【0005】
特許文献1は、モータの供給・排出配管をバイパスリンクを介して相互接続されることが可能な装置を開示している。前記バイパスリンクは狭窄手段、具体的には、下流の圧力によって制御される減圧器を有する。この構成では、モータの供給配管内の圧力である下流圧力と、圧力定格(pressure rating)が可変のばねによって発生する力とのバランスをとるように制御が行われる。
【0006】
前記装置の問題点は、ばねの圧力定格の調整が困難なことにより制動の調整が難しい点である。さらに、ばねの圧力定格が低すぎる場合、バイパスリンクにおける過剰に高い圧力損失が起こり、キャビテーションが発生するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】フランス2907528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、序論で示した装置よりも制御が容易な装置であって、特に制動時にモータが供給するブレーキトルクの変更が容易な装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的は、前記狭窄手段は排出配管の吐出圧力が狭窄閾値を超えている場合にはバイパスリンクを通る流体の流れを制限するように駆動することが可能であり、前記閾値は制御チャンバ内の制御圧力に応じて変化し、前記狭窄手段は吐出圧力が狭窄閾値を下回る場合にはバイパスリンクを流体が実質的に自由に流れるように非駆動状態となり得ることにより達成される。
【0010】
液圧装置または車両の制動の際、つまりスピードを落とす際に取りうる動作は色々あるが、いずれも基本的には液圧回路内の通常時の圧力に変化をおこす、特に、圧力を上昇させる変化、排出用にダクト内に背圧を生成する変化をおこすものである。
【0011】
有利な点として、本発明の液圧伝達装置は、基礎モータのロータが制動時に回転する場合には、この装置を備える車両または機械の制動時に起こる圧力上昇を、液圧ブレーキの作動に用いることで利用することに適している。
【0012】
狭窄手段の動作が制御チャンバ内の制御圧力に依存することから、制御圧力の値を操作することで容易に動作を変更することができる。
【0013】
「狭窄閾値」は、これを上回ると狭窄手段が動作して狭窄が行われる圧力を示す。
【0014】
「変位量セレクタ」は、複数の部材、特に、装置の変位量(シリンダ容量)をある値から別の値に変更可能な流体分配部材を意味する。特に、前記装置は、第1基礎モータに加えて一つ以上の他の基礎モータ(例えばツインロック型の回路)を有している。変位量セレクタは、一つ以上の基礎モータをバイパスするようにして装置の変位量を変更する。
【0015】
有利な点として、制御チャンバは変位量セレクタのチャンバである。
【0016】
本発明の第二の目的は、モータが発生するブレーキトルクを、例えば定数を割り当てることにより制御することである。第1基礎モータを流れる流体の流量からトルクを独立させることは、望ましいブレーキトルクは一般的に流量に依存しないという点から、特に好適である。
【0017】
前記目的は、一実施形態において、駆動状態のとき、前記狭窄手段が、第1モータの供給圧力を、制御圧力に応じて変化するバランス圧力、さらに詳細には、制御圧力と実質的に比例するバランス圧力に調整することが可能であることにより達成される。
【0018】
この実施形態では、バランス圧力がモータを流れる流体の流量から独立していることが分かる。
【0019】
第1モータの供給圧力は様々な手段で制御できるが、特に、バイパスリンクの狭窄手段を適切に構成することにより達成できる。
【0020】
このため、一実施形態において、狭窄手段は、それぞれのチャンバに対して開放した互いに逆方向に向く面を有し、その内部の圧力が制御圧力と供給圧力とである圧力バランス部と、第1基礎モータの供給配管と排出配管との間の通過断面積を変化させることが可能なヘッドロス部とを有し、バランス部の移動によってヘッドロス部の移動が制御される。主にこの目的のため、これら2つの部分は互いに強固に固定されるか、又は単一の部材の二部分である。
【0021】
バランス部は第1面において制御圧力、第2面において供給圧力を受け、これら二面は、例えば平行かつ逆方向を向いて配置されている。この構成において、バランス圧力は、第1面と第2面との面積比を制御圧力に掛けた積と同じ圧力となる。前記バランス圧力は、よって制御圧力に比例する。
【0022】
供給圧力はヘッドロス部によってバランス圧力と同じに制御され、これによって、供給圧力がバランス圧力を超えることでバランス部が移動するとすぐに流体が供給配管から排出され、これ以外の場合は流体が供給配管に供給される。
【0023】
一実施形態において、駆動状態のとき、狭窄手段は、バイパスリンクの通過断面積を、第1モータの供給圧力の増加が通過断面積の減少をもたらすように変更することが可能である。
【0024】
一実施形態において、前記装置は流体ディストリビュータをさらに有し、セレクタが第1基礎モータの回転軸上のディストリビュータ内に配置される。これにより、前記装置は小型化される。
【0025】
一実施形態において、セレクタが制御チャンバの壁を構成する外面を有する移動部を有し、制御チャンバ内の外面にかかる圧力が移動部を移動させて変位量を変化させる。例えば、この移動部は孔の中で並進可能に設けられたスライダであってもよい。
【0026】
有利な点として、前記制御チャンバは、狭窄手段を駆動・制御する制御チャンバの機能と、変位量を選択する制御チャンバの機能とを併せ持っている。これにより装置の部品数が削減される。
【0027】
一実施形態において、セレクタは部材を有し、狭窄手段はセレクタの部材内部に設けられる。「部材」は、その内部で所望の機能が行われる部品または部品の集合を意味する。機能とは、前記セレクタの場合であれば変位量の選択である。例えば、部材は一つまたは複数のケーシング部分であり、カバー等の閉鎖体であってもよい。
【0028】
好適な点として、前記実施形態は高度に統合され、変位量セレクタがバイパスリンクの狭窄も行う。しかし、いくつか又は全ての狭窄手段はセレクタの部材の外部に設置されてもよい。
【0029】
一実施形態において、セレクタは部材と、この部材内の孔の中に設けられたスライダとを有し、狭窄手段を制御する制御チャンバ内において、制御圧力がスライダに与えられることで、前記スライダをバイパス位置に移動させる、または前記スライダをバイパス位置に移動させないことが可能となる。バイパス位置にスライドするスライダは、特にバイパス位置では基礎モータが出力する駆動トルクの変位量がゼロであることにより、装置の変位量を変更する。
【0030】
一実施形態において、装置は主ポンプをさらに有し、セレクタの部材は少なくとも3つの溝を有し、第1溝(と第2溝とが第1基礎モータの排出配管の少なくとも一部分と供給配管の少なくとも一部分とを形成し、第1溝は主ポンプの主オリフィスのような流体供給又は流体排出回路との接続に適し、第2溝は、セレクタのスライダがバイパス位置である第1位置又は第2位置にあるとき、第1溝又は第3溝との接続に適し、第3溝は主ポンプの主オリフィスのような流体供給又は流体排出回路との接続に適し、狭窄手段は、移動狭窄部を有し、バイパス位置において、狭窄部が第1位置にある場合、第2溝が第1溝と実質的に狭窄することなく連通し、狭窄部が少なくともひとつの別の位置にある場合、第2溝が第1溝に連通し、狭窄部が第1溝と第2溝都の間の通路を狭くする。
【0031】
流体排出回路の一例は無圧リザーバで、これに対して流体が一般的には定格バルブ等の圧力制限器を経由して排出される。
【0032】
狭窄部がとる位置により、第1溝と第2溝との間の通路の狭窄の度合いが変わる。
【0033】
一実施形態において、前記装置は、それぞれ少なくとも部分的に第1溝と第3溝からなる排出配管と供給配管とを有する第2基礎モータをさらに有する。そして、二つの基礎モータは、バイパスリンクが開放されているか否かに依存して、異なるシリンダ容量で動作することが可能である。
【0034】
一実施形態において、前記装置は、少なくとも部分的に第1溝によって形成された排出配管と、付加的な変位量選択手段によって流体供給または流体排出回路と連通するのに適した供給配管とを有する。前記付加的な変位量選択手段はセレクタ内に配置されてもよい。特に、この手段は、第1セレクタとは異なる、前記装置の第2変位量セレクタであってもよい。
【0035】
一実施形態において、二つの基礎モータは同じ液圧モータの部分であり、液圧モータの共通出口部の駆動に適している。一般的に、多くの場合前記装置は、装置の様々な基礎モータが共通の液圧モータに組み合わせ可能な場合、共通モータに完全に内蔵されてよい。前記装置を共通モータのケーシングと一体化することで、よりコンパクト化が実現できる。
【0036】
このため、一実施形態において、狭窄部は、制御圧力と供給圧力とによって反対方向に押圧され、供給圧力がバランス圧力より上に上昇する場合は第1方向に移動して前記通路の断面積を減少し、これ以外の場合には第2方向に移動して前記通路の断面積を増加することで、供給圧力をバランス圧力に維持する。
【0037】
一実施形態において、狭窄部は孔に設けられスライド可能なブッシュを有し、ブッシュの溝に対する位置に応じて、第1、第2溝間の通路を部分的に遮断することが可能となる。前記ブッシュは、特にその(少なくとも部分的には)円筒形の外形を有することにより、ブッシュがスライドする孔の内面と実質的に密閉状態で接することが可能であるという特徴を有している。
【0038】
一実施形態において、ブッシュとスライダは同心の表面を有し、セレクタの孔の一軸上に配置されている。この実施形態により、円筒面の加工・回転が容易なことから、ブッシュとセレクタを低コストで製造可能となる。
【0039】
一実施形態において、前記装置は制御圧力を変化させる手段をさらに有する。この手段は制御圧力を段階的に変化させる、又はオン/オフで変化させるように設計されていてもよい。一実施形態において、この手段は、補助駆動源と制御チャンバとの間のリンク上の起動バルブを有し、バルブはポンプと前記チャンバとを相互接続する駆動位置と、前記チャンバが無圧リザーバと連通する非駆動位置とを有する。
【0040】
一実施形態において、制御チャンバは、装置のブースターポンプ等の、圧力下の流体の補助駆動源との接続に適している。ブースターポンプ自体が制御チャンバに接続されていることで、ポンプは変位量の選択とバイパスリンクにおける狭窄の制御に作用し、制御チャンバ内および特定の配管(enclosures)の圧力はブースト圧力に関連したものとなる。よって、前記構成により、制御チャンバ内および特定の配管の圧力はキャビテーションの発生を十分に避けるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本発明は、非限定的な例示および添付の図面とともに提示される本発明の実施形態の記載によって、よりよく理解されるであろう。本願は下記の添付図面を参照する。
【図1】前進用に第1変位量(displacement)に設定された本発明の第1実施形態の液圧伝達装置の線図である。
【図2】通常前進用の第2変位量に設定された図1の装置の線図である。
【図3】前進用の第2変位量に設定された図1の装置の制動時の線図である。
【図4】本発明の第2実施形態の液圧伝達装置の縦断面図である。
【図5】図4の装置の断面図である。
【図6】第1変位量に設定された図4の装置の部分縦断面図である。
【図7】第2変位量に設定された図4の装置の部分縦断面図である。
【図8】バイパス位置に設定された図4の装置の部分縦断面図である。
【図9】通常前進用の第3変位量に設定された図4の装置の部分縦断面図である。
【図10】通常前進用の第3変位量に設定された図4の装置の制動時の部分縦断面図である。
【図11】本発明の第3実施形態の液圧伝達装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、本発明の第1実施形態の液圧伝達装置を示す。この装置10は、共に共通の出力軸26に接続される第1基礎モータ22と第2基礎モータ24とを有する液圧モータ20と、部材56の孔54内でスライドするのに適した移動部またはスライダ52を有する変位量セレクタ50と、二つの主オリフィス84、86を有する主ポンプ82と、主ポンプと対になったブースターポンプ88とを有するポンプ80と、実質的に大気圧のリザーバである無圧リザーバ90と、起動バルブ92とを有する。
【0043】
変位量セレクタ50がとる位置により、装置の動作モードが決まる。
【0044】
セレクタの部材56の内部には、孔の端部に設けられた二つのチャンバ間を移動するようにスライダ52が取り付けられている。前記二つのチャンバは、制御チャンバ58と、低圧の低圧チャンバ60とであり、低圧チャンバ60は無圧リザーバ90に接続されている。
【0045】
制御チャンバ58は起動バルブ92のポートCに接続されている。バルブ92は、第1位置Iと第2位置IIとの間で移動するように設けられたスライダを有するソレノイドバルブである。ばねによってバルブ92は第1位置に留められる。
【0046】
バルブ92は、ブースターポンプ88の受渡オリフィスと無圧リザーバ90とにそれぞれ接続された、さらに別の2つのポートA、Bを有する。
【0047】
第1位置Iでは、ポートB、Cが相互接続される一方ポートAは隔離され、これによってチャンバ58とリザーバ90との接続が可能になる。
【0048】
第2位置IIでは、ポートA、Cが相互接続される一方ポートBは隔離され、これによってチャンバ58とブースターポンプとの接続が可能になる。
【0049】
このように、起動バルブは制御チャンバ58内の圧力制御を可能にする。
【0050】
スライダ52は、外径が孔54の内径と実質的に等しい、一般的な円柱棒形状を有する。その円柱外面には、孔54とスライダ52の軸D方向にある程度の幅を持つ円周方向溝62が形成されている。
【0051】
孔54には、互いに接続されず(disjoint in pairs)軸Dに沿って間隔をおいた、3つの円周方向溝G1、G2、G3が設けられている。
【0052】
スライダ52は、溝62が孔の溝G2、G3を相互接続する第1位置(図1)と、溝62が溝G1、G2を相互接続可能な第2位置(図2、3)とのいずれかに配置されてよい。
【0053】
第1溝G1はポンプ82の第1オリフィス84と接続され、第3溝G3は第2オリフィス86と接続されている。スライダ52はさらに、肩部64を有する。復帰手段、すなわち、ばね66は、スライダ52を図1の第1位置に留めたり、第1位置に戻す動作を行う。
【0054】
逆に、スライダ52は、制御チャンバ58内の圧力であって、スライダに対して直接的又は間接的に作用する圧力によって、第2位置に向かって付勢される。
【0055】
起動バルブ92の位置に応じて、制御チャンバ58内の圧力は、ゼロ(無圧リザーバ90内の圧力、すなわち大気圧)か、ブースト圧力、すなわちブースターポンプ88の受渡オリフィスにおける圧力と等しい圧力となる。チャンバ58内の圧力が大気圧の場合、スライダ52は第1位置をとり、チャンバ内の圧力が前記ブースト圧力と等しい場合、スライダは「起動」第2位置をとる。
【0056】
装置10の主ダクトに沿った矢印により、図1では図示の動作モードにおける流体の流れの方向が示される。この動作モードは回路の通常動作モードであり、二つの基礎モータ22、24がともに駆動する。このモードを「高変位量」モードと呼ぶ。動作モードが「通常」である場合、モータは動力を供給する状態にある(制動状態にないことを特に意味する)。各基礎モータ22、24は、各基礎モータがこれを介して流体を受ける供給配管22A、24Aと、各基礎モータがこれを介して流体を排出する排出配管22B、24Bとを有する。
【0057】
排出配管22B、24Bは、ともに部分的に第1溝G1によって形成されている。第1モータ22の供給配管22Aは部分的に第2溝G2によって形成され、第2モータ24の供給配管24Aは部分的に第3溝G3によって形成されている。前記では「部分的に」という表現が使われているが、これにより、上述した複数の配管に対応するものが、前記溝だけでなく、特に、セレクタ50がとる形態によって変わる対向面も含むことが強調されている。例えば、これらの対向面は、スライダ52の外周面の一部からなるものでもよい。
【0058】
図1の動作モードにおいて、モータ22、24は、それぞれ対となった出力軸26を介して駆動トルクを出力する。この駆動トルクは、装置10を有する(図示しない)車両を動かすために運動体(車輪)に伝えられる。モータの供給配管22A、24A内は「ポンプの高圧力」とされる比較的高い圧力となっている。一方、排出配管22B、24B内は比較的低い圧力となっている。
【0059】
図2、3は装置10の第2動作モードを示す。この第2動作モードは、モータ22がバイパスされて非駆動状態にありモータ24のみが駆動状態で駆動トルクを出力している点に特徴がある。このモードはよって「低変位量」モードと呼ばれる。
【0060】
高変位量モード(図1)からスタートして、この「低変位量」モードに切り替えるには、バルブ92を位置Iから位置IIへ動かせばよく、それによって変位量セレクタ50が起動される。
【0061】
これにより、制御チャンバ58内の圧力が「ゼロ圧力」(大気圧)からブースト圧力に変化する。スライダ52の肩部64に(特に)作用するブースト圧力により、ばね66による戻り力よりも強い力がスライダ51に作用する。よって、図2、3にあるようにスライダ52は第2位置に移動する。
【0062】
この動作モードでは、流体の流れの方向は高変位量モードにおける流体の流れの方向と同一となる。
【0063】
図2は装置の通常動作、つまり、モータ(この場合基礎モータ24のみ)が駆動トルクを発生する動作を示す。
【0064】
この状態では、ポンプの高圧が第2基礎モータ24の供給配管24Aのみに与えられる。第1基礎モータの供給配管22Aと二つの排出配管22B、24Bはポンプ82の低圧を受け、この圧力が前記ポンプの入り口オリフィス84の圧力となる。
【0065】
特に、モータ22の二つの配管22A、22Bは、第1溝G1と第2溝G2との間でスライダ52の溝62を介して相互に連通する。このように、バイパスリンクは二つの配管22A、22B間の溝62によって構成される。通常動作(図2)では、このリンクにはいかなる狭窄もなされず、流体は配管間を自由に流れることが可能である。
【0066】
図3は、液圧ブレーキに用いられる際の装置の動作を示す。
【0067】
このようなブレーキは、車両が図2に示すような通常前進を行なっている際に行われる。なんらかの理由により、装置10が設けられた車両のドライバーがブレーキをかけるとする。
【0068】
第1動作では主ポンプ84の流量が減少する。車両の慣性を考慮すると、車両のスピードの変化は比較的遅いものである。よって、ポンプの流量減少は、直ちにポンプの受渡オリフィス86における圧力低下と、入口オリフィス84における大幅な圧力上昇をもたらす。
【0069】
この第2モータ24の供給・排出配管間での圧力差により、第2モータがブレーキトルクを発生する。
【0070】
さらに、第1基礎モータにもブレーキトルクを発生させるために、狭窄手段が孔54内に設けられている。
【0071】
この手段は、共に軸Dと同軸に設けられたブッシュ70とプルロッド72とを主に有する。ブッシュは全体として筒型の形状で、その外径が孔54の内径と実質的に同一である。ブッシュはプルロッド72の表面およびスライダ52の孔54の表面と同心の外表面を有する。
【0072】
制御チャンバ58と同じ側のブッシュ70の端部は、ブッシュの外側とその内側の空間71との間で流体が流れることを可能にする複数の放射状通路74を有する。低圧チャンバと同じ側のスライダ52の端部は前記空間内をスライドし、特にセレクタが起動位置にある場合、つまりスライダ52が第2位置にある場合には、溝62の一部は空間内に位置する。
【0073】
放射状通路74は制御チャンバ58と同じ側のブッシュの端部にのみ形成されている。
【0074】
ブッシュ70は様々な位置を取ることが可能である。
【0075】
第1位置Iは図1に示されている。ブッシュは溝G1と一致し、かつ通路74が溝G1といずれも一致しないように配置される。ブッシュ70は、いかなる流体もスライダ52の溝62と溝G1との間を流れることがないようにするので、溝62とモータ22、24の排出配管22B、24Bとの間を流体が流れることはない。
【0076】
ブッシュはさらに、軸Dに沿って移動して、一つ以上の通路74が溝G1と一致するように軸方向に様々な位置をとる(図3)。前記溝と一致した通路74の数に応じて、ブッシュ70は第1溝G1と第2溝G2との間の溝62を経由する通路(バイパスリンク)を異なる度合いで狭くする。
【0077】
特に、ブッシュが低圧チャンバ60に向けて最大限に移動した位置では、ブッシュは溝62から完全に分離され、これによって流体は自由に溝62を介して第1溝から第2溝に流れ込む(図2)。
【0078】
ブッシュ70の位置は、ピストン型でプルロッド72の一部であるバランス部76によって制御される。ブッシュ70とバランス部76はプルロッド72の端部、より詳細には、プルロッドの中央部の両側で互いに固定されている。プルロッドの中央部は実質的に円筒形の外形を有し、スライダ52内の内部軸方向通路78の中で延びている。
【0079】
プルロッド72の中央部の直径は通路78の直径よりも必ず短くなければならない。さらに、プルロッドの中央部には、通路78内で実質的に密閉状態でスライドするように中央肩部85が設けられている。この肩部85は通路78内の空間をさらに二つに分割する。
【0080】
チャンバ87は中央肩部85と(これも孔78内で実質的に密閉状態でスライドするように設けられた)バランス部76との間に形成されている。
【0081】
チャンバ89は中央肩部85とブッシュ70との間に形成されている。
【0082】
複数の放射状孔63が溝62内に設けられて溝62とチャンバ87とを接続している。これにより、溝62の圧力がチャンバ87にかかる。この圧力は特に、バランス部76のブッシュと同じ側の面65にかかる。
【0083】
バランス部76は、面65と反対側に制御チャンバ58に対向する面67を有する。
【0084】
これにより、バランス部76は(チャンバ58内で)面67に作用する制御圧力と、面65に作用する溝62内の圧力とである、互いに対向する力を受ける。
【0085】
溝62内の圧力が上昇すると、バランス部76にかかる力が増大し、バランス部を制御チャンバ58方向に移動させる(図3右方向)。これにより、溝G1と溝62とをつなぐ通路74の数が減ることでバイパスリンクが狭められる。
【0086】
さらに、スライダ52をブッシュ70から独立して移動させるために、低圧チャンバ60とブッシュ70の内部空間71であってチャンバ89と接続された空間との間には、複数の通路91が設けられている。
【0087】
最後に、ブッシュ70とプルロッド72は一体的に形成された一部品を構成するものであってもよいことに留意すべきである。
【0088】
変位量セレクタ50は以下のように動作する。
【0089】
起動バルブ92が位置Iにある場合、チャンバ58内の圧力は大気圧となっている。ばね66の作用により、スライダ52がチャンバ58に向かって第1位置に移動する。これにより溝G2、G3が互いに連通し、ポンプのオリフィス86と接続される。
【0090】
さらに、バランス部76には、面67、65にかかる高圧力(ポンプ82の受渡圧力)に対抗する低制御圧力(大気圧)が与えられる。バランス部76はこれにより制御チャンバに向かって移動し、よってブッシュ70は溝G1を分離するように、より詳細には、溝G1を溝G2、G3から分離するように配置される。
【0091】
これにより、二つのモータ22、24が起動される。
【0092】
起動バルブ92が位置IIにある場合、スライダ52は制御チャンバ58から離れて第2位置となり、この位置では溝G3が分離される。
【0093】
スライダ52がこの位置にある場合、プルロッド72によるブッシュ70の動作は、第1モータ22の吐出圧力、つまり溝G1にかかる圧力によって決まる。
【0094】
「狭窄閾値」という一定の値を下回ると、バランス部76の面65にかかる圧力、つまり第1モータ22の排出配管内の圧力は、面67にかかる制御圧力に対抗するには不十分なものとなる。ブッシュ70はこれにより第1位置に留まり(図2左側)、バイパスリンクは狭められない自由状態のままになる。
【0095】
逆に、狭窄閾値を上回る場合、バランス部76に引っ張られてプルロッド72経由でブッシュ70がバランスチャンバ58に向かって移動する。
【0096】
バランス部76、スライダ52、ブッシュ70、部材56の構成により、制御の実行が可能になり、溝G2の中及び第1モータの供給配管22A内のバランス圧力が保たれる。
【0097】
この圧力のほとんどは、特にバランス部76の両側における供給・制御圧力がかかる各面積に応じて決定される。
【0098】
本例では、前記圧力は制御圧力に比例し、その比例係数はバランス部の接液面積(65、67)の比と実質的に同一である。
【0099】
バランス圧力はモータ22、24のキャビテーションを回避するのに十分なものであることが望ましい。
【0100】
図4〜10は本発明の第2実施形態の装置を示す。
【0101】
単純化のため、第1実施形態と形状や機能が実質的に同一の部材については同じ参照符号を付す。
【0102】
液圧伝達装置100は、主に、部分100A、100B、100C、100Dの4つの部分からなるケーシングであって、内部にシリンダブロック110が回転可能に設けられるケーシングを有するモータ100からなる。前記シリンダブロックは、ベアリング114によってケーシングの部分100Aに対して支持される軸112を回転させるのに適している。ケーシング部分100A、100B、100Cはまとめてネジ止めされている(図示しない)。
【0103】
モータ100は、さらに、ケーシング部分100C内に固定される内部分配器130を有する。
【0104】
ピストン117をスライド可能に受けるシリンダ118はシリンダブロック110内に形成されている。ピストン117は、ケーシングの部分100Bの内端に形成された波状カム102に支持されている。図示のモータは固定のケーシングと回転軸を有するが、本発明は回転可能なケーシングを有するモータにも適用可能である。
【0105】
複数のシリンダダクト119はシリンダブロック110を通り、シリンダ117をディストリビュータ130に開口する分配ダクト132、134、136に接続されるように構成されている。
【0106】
ケーシング100Cはモータ100の流体分配部を内蔵する。このため、ケーシングは、ポンプの主オリフィスとの接続に適した外部コネクタ106、108を有する。
【0107】
ケーシングは、さらに、ケーシング部分100Cの孔121に設けられた第1変位量セレクタ120を有する。孔の第1端はシリンダブロックを内蔵する内部チャンバ122に対して開放されており、外部コネクタ124を介して図示しない無圧リザーバに接続されている。
【0108】
セレクタ120を内蔵する孔121の第2端は、ケーシング部分100Bに対向するケーシング部分100Cの外面に対して開放されており、キャップ126によって閉じられている。
【0109】
この第2端は液圧制御チャンバ128を形成し、外部コネクタ129を介してモータの外部と接続されている。孔121は3つの溝I1、I2、I3を有する。溝I1、I3はコネクタ106、108とそれぞれ接続されている。
【0110】
実質的に円筒形の外形を有するスライダ146は孔121内に配置されている。
【0111】
スライダ146には円周方向溝148が設けられている。スライダ146は、制御チャンバ128内の圧力と、制御チャンバ内に設けられたばね150の対抗力とにより二つの位置間を移動するように設けられている。「起動位置」であってチャンバ128内に十分な圧力がかかる第1位置では、スライダ146は溝I1とI2とを相互に接続し、チャンバ128内が低圧となる第2位置では、スライダは溝I2とI3とを相互接続する。
【0112】
ケーシング100Cは、さらに、ディストリビュータ130の孔154内のモータの回転軸E上に設けられた第2変位量セレクタ160を有する。セレクタ160の内部構造および動作は図1〜3に示すセレクタの内部構造および動作と同一なので、以下ではセレクタ160に特有な部分のみを記述する。
【0113】
ディストリビュータ130は、その内部孔154内に3つの円周方向溝G1、G2、G3を有する。ディストリビュータはさらに3つの外円周方向溝H1、H2、H3を有する。ケーシング部分100C内に設けられたリンクによって、溝I1が溝H1に接続され、溝I2が溝H2に接続され、溝I3が溝H3に接続される。
【0114】
ディストリビュータ130内に設けられた複数のリンクによって、溝H1が溝G1に接続され、溝H3が溝G3に接続される。
【0115】
複数の分配ダクト132、134、136は溝G1、G2、H2にそれぞれ接続される。ディストリビュータ130内において、分配ダクトは回転軸Eについて以下のように構成されている。すなわち、5つのダクト134は溝G2に接続されてこの溝とともにモータ100の第1基礎モータ1Aの供給配管を形成し、3つのダクト136は溝H2と接続されてこの溝とともに第2基礎モータ1Bの供給配管を形成する。最後に、ダクト132と溝G1とは、基礎モータ1A、1Bに共通の単一の排出配管を形成する。
【0116】
セレクタ160は、3つの部分からなる部材、すなわち、ディストリビュータ130と、ケーシング部分100Dと、ネジ144でケーシング部分100Dに固定されたカバー142とからなる部材の中に設けられている。
【0117】
セレクタ160は、ケーシング部分100D内の孔154の中に設置された制御チャンバ58を有する。チャンバ58は二端が閉じており、モータに近い方の端部においてこのチャンバはディストリビュータ130とスライダ52の表面およびプルロッド72のバランスピストン76の面67によって閉じられ、もう一方の端部において前記チャンバはカバー142によって閉じられている。よって、チャンバ58内の圧力が、スライダ52と、バランスピストン76を介してプルロッド72とに対して作用することがわかる。
【0118】
制御チャンバ58はリンクダクト59を経由してモータの端部と連通しており、これによってチャンバ内の圧力の制御が可能になっている。
【0119】
以下においては、モータ100が、主ポンプの受渡オリフィスと、そのコネクタ106を経由して接続され(これによって通常状態では高圧を受ける)、さらに、前記ポンプの入口オリフィスと、そのコネクタ108を経由して接続されている(これによって通常状態では低圧を受ける)と仮定する。
【0120】
モータ100の各主動作モードは通常状態では以下のとおりである。
【0121】
第1モード(図6)は第1変位量に対応し、低圧がチャンバ128、58に与えられる。
【0122】
よって、スライダ146、52はそれぞればね150、66により右側に移動する(方向は図6〜10を基準とする)。セレクタ120内では溝I2、I3が互いに連通し、セレクタ160内では溝G1、G3が互いに連通する。
【0123】
モータ100内では、二つのモータ1A、1Bがそれぞれの供給配管において高圧を受け、それぞれの排出配管において低圧を受けるので、両モータは駆動し、この動作モードでは駆動トルクを供給する。
【0124】
第2動作モード(図7)では、高圧がチャンバ128に与えられ、低圧がチャンバ58に与えられる。
【0125】
特にばね150、66の作用により、前記の高圧・低圧は、セレクタ120、160をそれぞれ駆動状態、非駆動状態とするように選択されることがわかる。
【0126】
この動作モードでは、セレクタ120のスライダ146は左に位置し、溝I1、I2が互いに連通する。セレクタ160は溝G2、G3を互いに連通状態にする。
【0127】
よって、モータ1Aは駆動状態で駆動トルクを供給し、一方モータ1Bはバイパスされ、その供給配管(溝H2)はその排出配管(溝G1)と同じく低圧となる。
【0128】
第3動作モード(図8)では、高圧がチャンバ128、58の両方に与えられる。スライダ146はセレクタ120内で左側に位置する。溝I1、I2は互いに連通する。セレクタ160は溝G1、G2を互いに連通させる。
【0129】
前記モードにおいて、モータ1A、1Bの両方がバイパスされ、これらの供給配管(溝G2、H2)はこれらの共通の排出配管(溝G1)と連通する。
【0130】
第4動作モード(図9)では、低圧がチャンバ128に与えられる一方高圧がチャンバ58に与えられる。よって、スライダ146はセレクタ120内の右側に位置する。溝I2、I3は互いに連通する。セレクタ160は溝G1、G2を互いに連通させる。
【0131】
前記モードにおいて、モータ1Bは駆動状態である一方、モータ1Aはバイパスされる。モータ1A、1Bが異なるシリンダ容量を有するので、この第4動作モードでは第2動作モードにおける変位量とは異なる変位量でモータを動作させることができる。
【0132】
前記4つの動作モードはモータの通常動作に関わるが、特別な動作モードについては以下に記述する(図10)。このモードは、モータが制動段階にある際の動作に関し、より詳細には、モータが第4動作モードで動作中に制動が行われる場合に関する。
【0133】
このような制動が行われると、モータ100内の圧力が大きく変動する。
【0134】
まず、ポンプのオリフィスにおける圧力が反転する。よって、高圧がコネクタ108に与えられる一方低圧がコネクタ106に与えられる。
【0135】
この供給・排出配管に与えられる圧力の反転により、第2基礎モータ1Bがブレーキとなってブレーキトルクを出力軸12に与える。
【0136】
第1基礎モータ1Aの動作はチャンバ58に与えられる制御圧力によって決まる。
【0137】
排出配管(溝G1)内の圧力が所定の「狭窄閾値」圧力を超えると、プルロッド72と組み合わされたブッシュ70からなる狭窄手段が起動し、これらが右方向へ移動して、ブッシュが溝G1、G2の連通を部分的に妨げる。
【0138】
結果として、溝G2が中間圧力となり、基礎モータ1Aはブレーキトルクを発生する。有利な点として、ブレーキトルクの値は、チャンバ58に対する制御圧力のみに依存することから、一定の制御圧力に対して常に一定である。
【0139】
図11は、主ポンプが開回路である本発明の第3実施形態を示す。
【0140】
ポンプと、ポンプ、セレクタ50、無圧リザーバ(290)間の流体分配回路とを除き、図11に図示される液圧伝達装置200は図1の装置10と同一である。
【0141】
一方、相違点は以下のとおりである。
【0142】
ポンプ280は、無圧リザーバ290(ダクトは図示されず)から受渡オリフィス286を介して第1ダクト212に流体を送る可変流量ポンプである。
【0143】
第2ダクト214は減圧器216を経由して第1ダクト212に接続され、これによって「低圧」と以下称する比較的低い圧力が第2ダクト214に与えられる。
【0144】
第1、第2ダクト212、214は反転バルブ220を介してセレクタ50の第1、第3溝と接続されるのに適している。バルブ220は、第1ダクトを第1溝G1と連通させ第2ダクトを第3溝G3と連通させることおよびその逆のことを実現する、3つの位置をとるソレノイドバルブである。第3位置では、バルブ220の複数のポートが互いに対して分離する。
【0145】
第2ダクト214内の圧力も、定格バルブ222が設けられた、リザーバ290へのリンクによって制限されている。バルブの定格によって「低圧」が大気圧より高い値に保たれる。
【0146】
最後に、起動バルブ292が、そのポートAに接続された第2ダクト214と、そのポートCに接続された制御チャンバ58との間に設けられている(バルブのポートBはリザーバ290に接続される)。バルブ292は第1実施形態のバルブ92と類似した構成を有する。
【0147】
装置200は、ポンプとモータとが開回路を経由して接続されている場合の本発明の可能な形態を示すものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給配管(22A,G2)を介して流体が供給され、排出配管(22B,G1)を介して流体を排出する第1基礎モータ(22,1A)と、変位量セレクタ(50,160)とを備えた液圧伝達装置(10,100,200)であって、
前記変位量セレクタは、前記供給配管が前記排出配管とバイパスリンク(62)を介して連通するバイパス位置をとることができ、
前記液圧伝達装置は前記バイパスリンクを狭窄する狭窄手段(70,72)をさらに有し、
前記変位量セレクタが前記バイパス位置にある場合、前記狭窄手段は前記排出配管の吐出圧力が制御チャンバ(58)内の制御圧力に応じて変化する狭窄閾値を超えているときには前記バイパスリンクを通る流体の流れを制限するように駆動され、前記狭窄手段は前記吐出圧力が前記狭窄閾値を下回るときには前記バイパスリンクを流体が実質的に自由に流れるように非駆動状態となり得る、液圧伝達装置。
【請求項2】
駆動状態のとき、前記狭窄手段(70,72)は、前記第1モータ(22,1A)の供給圧力を、前記制御圧力に応じて変化するバランス圧力、さらに詳細には、前記制御圧力と実質的に比例するバランス圧力にすることができる、請求項1に記載の液圧伝達装置。
【請求項3】
駆動状態のとき、前記狭窄手段(70,72)は、前記バイパスリンク(62)の通過断面積を、前記第1モータの供給圧力が増加すると前記通過断面積が減少するように変更することが可能である、請求項1または2に記載の液圧伝達装置。
【請求項4】
流体ディストリビュータ(130)をさらに備え、
前記変位量セレクタ(160)が、前記ディストリビュータ内において前記第1基礎モータの回転軸(E)上に配置されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のいずれか1項に記載の液圧伝達装置。
【請求項5】
前記変位量セレクタ(50)が前記制御チャンバ(58)の壁を構成する外面を有する移動部(52)を有し、前記制御チャンバ内の前記外面にかかる圧力が前記移動部を移動させることによって、前記移動部の変位量を変更する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液圧伝達装置。
【請求項6】
前記変位量セレクタ(50)が部材(52)を有し、前記狭窄手段(70,72)が前記変位量セレクタの前記部材内に設けられている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の液圧伝達装置。
【請求項7】
前記変位量セレクタ(50,160)は、部材と、前記部材の孔(54,154)内に配置されたスライダ(52)とを有し、前記狭窄手段を制御する前記制御チャンバ(58)内において前記スライダ(52)に制御圧力が与えられて、前記スライダを前記バイパス位置に移動させる、又は、前記スライダを前記バイパス位置に移動させないようにすることが可能である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の液圧伝達装置。
【請求項8】
主ポンプ(82)をさらに備え、
前記変位量セレクタ(50,160)の前記部材が少なくとも3つの溝(G1,G2,G3)を有し、
第1溝(G1)と第2溝(G2)とが前記第1基礎モータの前記排出配管の少なくとも一部分と前記供給配管の少なくとも一部分とを形成し、
前記第1溝(G1)は、前記主ポンプの主オリフィス(84,86)のような流体供給又は流体排出回路と接続可能であり、
前記第2溝(G2)は、前記変位量セレクタの前記スライダ(52)が前記バイパス位置である第1位置又は第2位置にあるとき、それぞれ、前記第1溝(G1)又は第3溝(G3)と接続可能であり、
前記第3溝(G3)は、前記主ポンプの前記主オリフィス(84,86)のような流体供給又は流体排出回路と接続可能であり、
前記狭窄手段は、移動狭窄部(70)を有し、
前記バイパス位置において、
前記移動狭窄部がその第1位置にある場合、前記第2溝(G2)が前記第1溝(G1)と実質的に狭窄することなく連通し、
前記移動狭窄部がその第1位置以外の少なくともひとつの別の位置にある場合、前記第2溝が前記第1溝に連通し、前記移動狭窄部が前記第1溝と前記第2溝との間の通路を狭くする、請求項7に記載の液圧伝達装置。
【請求項9】
少なくとも部分的に前記第1溝(G1)及び前記第3溝(G3)からそれぞれ形成された排出配管(24B)及び供給配管(24A)を有する第2基礎モータ(24)をさらに備えている、請求項8に記載の液圧伝達装置。
【請求項10】
少なくとも部分的に第1溝(G1)によって形成された排出配管と、付加的な変位量選択手段(120)によって流体供給または流体排出回路と連通可能な供給配管(H2)とを有する第2基礎モータ(1B)をさらに備えている、請求項8の液圧伝達装置。
【請求項11】
前記二つの基礎モータ(1A,1B)は、同じ液圧モータ(100)の部分であって、前記液圧モータの共通出口部材(112)を駆動可能である、請求項9または10に記載の液圧伝達装置。
【請求項12】
前記狭窄手段(70)は、
前記制御圧力と前記供給圧力とによって反対方向に押圧され、
前記供給圧力が前記バランス圧力よりも大きい場合には第1方向に移動して前記通路の断面積を減少させ、これ以外の場合には第2方向に移動して前記通路の断面積を増加させることで、前記供給圧力を前記バランス圧力に維持する、請求項2、8〜11のいずれか1項に記載の液圧伝達装置。
【請求項13】
前記狭窄手段が前記孔内にスライド可能に取り付けられたブッシュ(70)を有し、前記ブッシュは、前記第1溝及び第2溝(G1,G2)に対する位置に応じて、前記第1溝と前記第2溝との間の前記通路を部分的に遮断することが可能である、請求項8〜12のいずれか1項に記載の液圧伝達装置。
【請求項14】
前記ブッシュ(70)及び前記スライダ(52)は、同心の表面を有すると共に、前記変位量セレクタ(50)の前記孔(54)の軸(D)上に配置されている、請求項13に記載の液圧伝達装置。
【請求項15】
前記制御圧力を変化させる手段(92,292)をさらに備えている、請求項1〜14のいずれか1項に記載の液圧伝達装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2013−508637(P2013−508637A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534746(P2012−534746)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【国際出願番号】PCT/FR2010/052228
【国際公開番号】WO2011/048327
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(502036262)
【Fターム(参考)】