制御システム、路面および制御装置
【課題】 屋外または屋内において、多大なメンテナンス作業を要することなく人の存在の有無または人の動作状態等を検知する技術を提供する。
【解決手段】 路面100には、バッテリを内蔵していない小型のワイヤレスの圧力センサ200Pが複数埋設されている。これらの圧力センサ200Pは、路面10の上面を均一に覆うように細かい間隔で設けられており、路面100上の任意の位置について圧力を測定できるようになっている。情報提供装置300の制御部310は、これらのワイヤレスセンサ200Pからの電波信号に基づいて、路面100上の通行者の有無や、通行者の位置、通行者の人数、通行者の種別(大人/子供)等を判定し、その判定結果に基づいて表示部340に表示される情報を変更する。これにより、通行者のニーズに応じた情報を表示部340に表示させることが可能となる。
【解決手段】 路面100には、バッテリを内蔵していない小型のワイヤレスの圧力センサ200Pが複数埋設されている。これらの圧力センサ200Pは、路面10の上面を均一に覆うように細かい間隔で設けられており、路面100上の任意の位置について圧力を測定できるようになっている。情報提供装置300の制御部310は、これらのワイヤレスセンサ200Pからの電波信号に基づいて、路面100上の通行者の有無や、通行者の位置、通行者の人数、通行者の種別(大人/子供)等を判定し、その判定結果に基づいて表示部340に表示される情報を変更する。これにより、通行者のニーズに応じた情報を表示部340に表示させることが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の有無や物体の状態等を検知するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
屋内または屋外において、物体の有無、またはその動作状態等をワイヤレスセンサ等で検知し、その検知結果に応じて各種の制御を行うシステムが開発されている。例えば、ワイヤレスセンサをビル内に設置し、ワイヤレスセンサの検知結果に基づいてビルの空調や照明等の管理を行ったり、一般家屋内に設置してセキュリティ管理を行ったり、あるいは屋外の道路等に設置して交通安全等に使用する技術が公開されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特表2004−515757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来用いられているワイヤレスセンサは、バッテリを搭載した構造であるため、設置後のバッテリ交換等のメンテナンスが必要である。そのため、大量のワイヤレスセンサを用いてシステムを構築した場合、そのメンテナンスに多大な手間がかかるという問題が発生する。また、大量のワイヤレスセンサを用いる場合は、センサ自体やそれに伴うコストが高くなってしまうという問題が発生する。
【0004】
本発明は上述した背景に鑑みてなされたものであり、その目的は、屋内または屋外において、多大なメンテナンス作業を要することなく物体の有無または物体の動作状態等を検知する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するために、本発明は、路面に設置されるとともに、所定の電波信号が供給されると、それをエネルギー源として周囲の物理量を反映した属性および識別情報を有する電波信号を生成して出力する複数のワイヤレス測定手段と、前記複数のワイヤレス測定手段に所定の電波信号を送信する送信手段と、前記複数のワイヤレス測定手段から出力される電波信号を受信する受信手段と、前記ワイヤレス測定手段の位置と識別情報との対応関係を記憶した記憶手段と、前記受信手段によって受信された電波信号から前記物理量を算出する算出手段と、前記算出手段によって算出された物理量の分布を前記識別情報に基づき前記記憶手段の記憶内容を参照して認識する認識手段と、前記認識手段によって認識された物理量の分布に基づいて、前記路面上の物体の状態を検知する検知手段と、前記検知手段によって検知された物体の状態に基づいて、予め定められた制御を行う制御手段とを備えることを特徴とする制御システムを提供する。
【0006】
本発明の好ましい態様においては、前記物理量は、圧力、光量、温度の少なくともいずれかひとつであることを特徴とする。
また、本発明の別の好ましい態様においては、情報を表示する表示手段を備え、前記制御手段は、前記検知手段によって検知された物体の状態に基づいて、前記表示手段に表示する情報の内容を変更することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の別の好ましい態様においては、前記認識手段は、前記算出手段によって算出された物理量を予め記憶されたデータと比較することによって、物体の有無、物体の位置、物体の重量の少なくともいずれかひとつを認識し、前記検知手段は、前記認識手段によって認識された物体の有無、物体の位置、物体の重量の少なくともいずれかひとつに基づいて、前記路面上の物体の状態を検知することを特徴とする。
また、本発明の別の好ましい態様においては、前記認識手段は、前記算出手段によって算出された物理量の分布に基づいて、物理量の経時変化を認識し、前記検知手段は、前記認識手段によって認識された物理量の経時変化に基づいて、前記路面上の物体の状態を検知することを特徴とする。
本発明の別の好ましい態様においては、前記路面は、道路面、床面、床材、敷設用マット、壁面の少なくともいずれかひとつであることを特徴とする。
また、本発明の別の好ましい態様においては、前記送信手段と前記受信手段と前記算出手段と前記認識手段と前記検知手段とが、前記路面から離れて設けられていることを特徴とする。
また、本発明の別の好ましい態様においては、前記物体は人、車両の少なくともいずれか一方であることを特徴とする。
また、本発明の別の好ましい態様においては、前記ワイヤレス測定手段は、電波信号を受信して機械振動を発生させる励振部と、前記励振部が発生した機械振動が伝達されて弾性表面波を発生するとともに、前記弾性表面波の属性が前記物理量によって変化する振動媒体部と、前記弾性表面波を電気信号に変換して電波信号として出力する送信部とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、所定の電波信号が供給されると、それをエネルギー源として周囲の物理量を反映した属性を有する電波信号を生成して出力するワイヤレス測定手段を複数備えることを特徴とする路面を提供する。
本発明の好ましい態様においては、前記ワイヤレス測定手段は、電波信号を受信して機械振動を発生させる励振部と、前記励振部が発生した機械振動が伝達されて弾性表面波を発生するとともに、前記弾性表面波の属性が前記物理量によって変化する振動媒体部と、前記弾性表面波を電気信号に変換して電波信号として出力する送信部とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、路面に備えられた複数のワイヤレス測定手段に所定の電波信号を送信する送信手段と、前記複数のワイヤレス測定手段から出力される電波信号を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された電波信号から前記物理量を算出する算出手段と、前記算出手段によって算出された物理量の分布を認識する認識手段と、前記認識手段によって認識された物理量の分布に基づいて、前記路面上の人の状態を検知する検知手段と、前記検知手段によって検知された物体の状態に基づいて、予め定められた制御を行う制御手段とを備えることを特徴とする制御装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、屋内または屋外において、多大なメンテナンス作業を要することなく人等の物体の存在の有無または物体の動作状態等を検知することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明の第1実施形態について説明する。
(1)構成
(1−1)システム構成
まず、本発明の第1実施形態に係るシステムの全体構成について、図1を参照しつつ説明する。図において、100は、屋外または屋内に設置されている路面であり、路面100の上を通行者(図1では通行者A)が通行できるようになっている。200P−1〜200P−nは、路面100にかかる圧力を測定するために路面100に埋設された、バッテリを内蔵していない小型のワイヤレスの圧力センサである。これらの圧力センサ200P−1〜200P−nは、路面100の一面を均一に覆うように細かい間隔で設けられおり、路面100上の任意の位置について圧力を測定できるようになっている。
【0012】
圧力センサ200P−1〜200P−nは、所定の電波信号を受信すると、受信した電波信号の応答信号として検知した圧力を示す電波信号を送信する。圧力センサ200P−1〜200P−nの構造については、後に詳細に説明するためここではその詳細な説明を省略する。圧力センサ圧力センサ200P−1〜200P−nを路面100に設けることによって、路面100にかかる圧力を測定することが可能となる。なお、以下の説明では、圧力センサ200P−1〜200P−nを各々区別する必要がない場合には、説明の便宜上、圧力センサ200P−1〜200P−nを「圧力センサ200P」と称することとする。
圧力センサ200P−1〜200P−nは、それぞれで電波信号の周波数が一意に異なっており、周波数を識別することによって、圧力センサ200P−1〜200P−nをそれぞれ一意に識別できるようになっている。
【0013】
このワイヤレスの圧力センサ200Pは、バッテリを備えていないため、小型でかつ安価であり、大量の圧力センサ200Pを用いた場合であっても、コストが高くなることがなく、また、バッテリの交換等のメンテナンスが不要である。
【0014】
図において、300は、例えば液晶ディスプレイ等の大型表示装置を備えた情報提供装置である。情報提供装置300の表示装置には、通行者に提示するための様々な情報が表示されるようになっている。
なお、図1においては、図が煩雑になるのを避けるために、ひとりの通行者Aのみを図示しているが、実際には多数の通行者が路面100上を通行する。
【0015】
(1−2)情報提供装置300の構成
次に、情報提供装置300の構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、情報提供装置300の全体構成の一例を示したブロック図である。この情報提供装置300は、路面100に設けられた圧力センサ200Pから出力される電波信号に基づいて通行者に各種の情報を提供する装置である。図において、310は、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算装置や、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの各種メモリを備えた制御部である。320は、例えばハードディスクなどの大容量記憶装置で構成された不揮発性の記憶部であり、情報提供装置300の各部を動作させるためのプログラムを記憶している。制御部310の演算装置は、記憶部320に記憶されているコンピュータプログラムを読み出して実行することにより、情報提供装置300の各部を制御する。
【0016】
また、記憶部320には、圧力センサ200Pが検出した結果に基づいて圧力を示す値を算出するためのテーブル(または算出式)等が記憶されている。制御部310は、このテーブルに基づいて、圧力センサ200Pから受信する電波信号の周波数の変化分から圧力を示す値を算出する。
【0017】
330は、圧力センサ200Pに電波信号を発信するとともに、圧力センサ200Pから発信される電波信号を受信するアンテナ等を備えた無線通信部である。上述したように、路面100に設けられた圧力センサ200Pは、それぞれでその周波数が異なっているため、情報提供装置300の制御部310は、無線通信部330を介して受信した電波信号の周波数を識別することによって、圧力センサ200Pを一意に識別できるようになっている。
340は、例えば液晶ディスプレイ等の大型表示装置を備えた表示部である。情報提供装置300の制御部310は、圧力センサ200Pによって測定された圧力に基づいて表示部340に表示させる情報を変更させる。
【0018】
また、記憶部320には、位置管理テーブルTBL1と、大人用コンテンツファイル群DB1と、子供用コンテンツファイル群DB2とが記憶されている。位置管理テーブルTBL1には、図3に示すように、「センサID」と「位置情報」との各項目が対応付けて記憶されている。位置管理テーブルTBL1において、「センサID」の項目には、圧力センサ200P−1〜200P−nを識別する識別情報が記憶されている。上述したように、制御部310は、周波数を識別することによって圧力センサ200P−1〜200P−nをそれぞれ一意に識別できるようになっている。本実施形態においては、制御部310は、受信する電波信号の周波数に基づいてこのセンサIDを特定する。「位置情報」の項目には、路面100における圧力センサ200Pの位置を示す位置情報が記憶されている。情報提供装置300の制御部310は、センサIDをキーとしてこの位置管理テーブルTBL1を検索することによって、圧力センサ200Pの位置を認識することができるようになっている。
【0019】
大人用コンテンツファイル群DB1は、例えば報道情報等の大人向けのコンテンツ情報を示す複数のコンテンツファイルの集合体であり、子供用コンテンツファイル群DB2は、例えばアニメ等の子供向けのコンテンツ情報を示す複数のコンテンツファイルの集合体である。情報提供装置300の制御部310は、後述する表示情報制御処理において、圧力センサ200Pで測定された圧力の大きさに基づいて路面100上の通行者が大人であるかそれとも子供であるかを判定し、その判定結果に基づいて、大人用コンテンツファイル群DB1または子供用コンテンツファイル群DB2からコンテンツファイルを読み出し、読み出したコンテンツファイルに基づいて、表示部340に情報を表示させる。
【0020】
(1−3)圧力センサ200Pの構成と基本動作
次に、本実施形態で用いる圧力センサ200Pについて、その構成と基本動作を以下に説明する。
(1−3−1)圧力センサ200Pの構成
図4は、本発明の実施の形態に係る圧力センサ200Pの構成を示す図である。この圧力センサ200Pは、基台となるSiを材料とする基板1と、該基板1上に酸化膜1Aを介して形成され、弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)が伝播する誘電体薄膜2と、誘電体薄膜2上に形成され、電気信号から弾性表面波又は弾性表面波から電気信号に変換する変換部としての一対の櫛型電極(IDT:Inter-digital Transducer)3A,3Bと、この一対の櫛型電極3A,3Bの一方にインピーダンスマッチング部5A,5Bを介して接続され、情報提供装置300の無線通信部330との間で電波信号の授受を行う送受信部としてのアンテナ4A,4Bと、一対の櫛型電極3A,3Bの他方に接続されたグランド6A,6Bと、基板1の裏面に形成され、グランド6A,6Bにスルーホール(図示しない)を介して接続されたグランド電極7と、受圧部8とを具備している。この受圧部8は、起端が前記誘電体薄膜2に当接し先端が圧力センサ200Pから若干突出するように設けられる。この受圧部8の先端に外部から圧力が加わることによって誘電体薄膜2が歪んで弾性表面波の周波数が変化する。
【0021】
また、基板1の裏面側には異方性エッチングにより54.75度のテーパ面をなして凹部が形成されており、この底の部分が脆弱部となって外部からの圧力に反応するダイヤフラム1Bとなる。図面では、酸化膜1Aは便宜上厚く描写しているが、実際には基板1と誘電体薄膜2との間での絶縁を確保できる厚さであればよい。
この圧力センサ200Pにおける弾性表面波の周波数は、櫛型電極3A,3Bおよびインピーダンスマッチング部5A,5Bの形状で設定される。
【0022】
なお、櫛型電極3A,3B、アンテナ4A,4B、インピーダンスマッチング部5A,5Bおよびグランド6A,6Bは、導電パターンにより一体的に形成される。この導電パターンの材料としては、Ti,Cr,Cu,W,Ni,Ta,Ga,In,Al,Pb,Pt,Au,Ag等の金属、またはTi−Al,Al−Cu,Ti−N,Ni−Cr等の合金を、単層もしくは2層以上の多層構造に積層することが好ましく、特に金属としてはAu,Ti,W,Al,Cuが好ましい。また、この金属層の膜厚は、1nm以上10μm未満とすることが好ましい。
【0023】
この圧力センサ200の場合は、図4に示した誘電体薄膜2の材料にLiTaO3を使用する。このLiTaO3の結晶は、弾性表面波の伝搬速度が圧力変化に対して敏感に変化する材質である。また、その温度係数は約18.0×10−6/℃であり、LiNbO3の結晶に対して温度係数は約1/4と小さく10℃の温度変化に対して弾性表面波の変化率は0.005%程度にしかならないため、周囲の温度変化にはあまり影響されずに、圧力変化を検知することができる。
【0024】
ダイヤフラム1B上には酸化膜1Aを介して誘電体薄膜2が配置されるため、このダイヤフラム1Bに外部から例えば2barの圧力が加わると、ダイヤフラム1Bが変形し、櫛型電極3A,3Bの電極間の幅を変えると共に、弾性表面波の速度が変化して中心周波数f0に対して周波数を0.2%程度変化させる。また、測定対象物の温度変化が著しい場合、温度センサとの併用で補正することも可能となる。
以上のように、この圧力センサ200Pは、中心周波数f0に対して約0.2%程度周波数が変化することが検知されている。
【0025】
また、櫛型電極3A,3Bの形状及び大きさは、情報提供装置300の無線通信部330から送信される電波の中心周波数f0の機械振動を発生させるため、情報提供装置300の無線通信部330により受信した電波の強度は、周波数の変化によりシフトされることになる。このワイヤレスセンサでは、圧力変化に応じて情報提供装置300の無線通信部330における受信信号の強度が線形的に変化するワイヤレスセンサを実現する。
なお、この圧力センサ200Pでは、基板1に凹部を形成して底部をダイヤフラム1Bとしているが、酸化膜1Aのみでダイヤフラムとしてもよく、外部から加わる圧力が誘電体薄膜2に直接的或いは間接的に作用する形状であればよい。
【0026】
また、この誘電体薄膜2は、櫛型電極3における電気機械結合係数/圧電係数、或いはアンテナ4の誘電損失等の観点から、エピタキシャルまたは単一配向性を有することが好ましい。また、誘電体薄膜2上にGaAS等のIII−V族半導体或いはダイヤモンド等の炭素を含有する薄膜を形成してもよい。これにより、弾性表面波の表面速度、結合係数、圧電定数等が向上できる。
【0027】
(1−3−2)圧力センサ200Pの基本動作
次に、圧力センサ200Pの基本的な動作について、図4を参照しながら説明する。なお、図4(a)に示す圧力センサ200Pの平面図において、便宜上、信号が図面向かって左側から右側に移動するものとするが、実際には信号の流れには方向性がある訳ではない。
【0028】
この圧力センサ200Pは、情報提供装置300の無線通信部330との間で電波信号の授受を行う。無線通信部330を介して情報提供装置300の制御部310から送信される電波信号はアンテナ4Aで受信され、この信号により櫛型電極3Aが誘電体薄膜2を励振して機械振動を発生させる。この機械振動は、誘電体薄膜2表面に弾性表面波を発生させる。この弾性表面波は、櫛型電極3Aから櫛型電極3Bに向けて移動し、櫛型電極3Bに到達した弾性表面波は、櫛型電極3Bで電気信号に変換されてアンテナ4Bを経由して送信される。情報提供装置300の制御部310は、無線通信部330を介して圧力センサ200Pからの電波信号を受信する。
【0029】
誘電体薄膜2の表面に発生する弾性表面波は、この誘電体薄膜2に加わった圧力の変化によって、振幅、位相差、周波数等の属性が変化する。この弾性表面波の変化を電気信号として情報提供装置300で受信し、この情報提供装置300において、電気信号における属性の変化を解析する。これにより、情報提供装置300では、圧力センサ200Pに加わる圧力を計測することが可能となる。
【0030】
(1−3−3)複数の圧力センサ200Pへの対応
以上が、1つの周波数に対応したワイヤレスセンサの説明であったが、次に複数の周波数に対応できるワイヤレスセンサについて説明する。
図5に示すように、形状の異なる櫛型電極3A−1,3B−1…3A−4,3B−4が形成された圧力センサ200P´においては、外部から送信される電波の周波数により複数の周波数に対応した弾性表面波が誘電体薄膜2上に発生する。
【0031】
例えば、櫛型電極3A−1,3B−1およびインピーダンスマッチング部5A,5Bで設定される弾性表面波の周波数をf1、櫛型電極3A−2,3B−2およびインピーダンスマッチング部5A,5Bで設定される弾性表面波の周波数をf2、櫛型電極3A−3,3B−3およびインピーダンスマッチング部5A,5Bで設定される弾性表面波の周波数をf3、櫛型電極3A−4,3B−4およびインピーダンスマッチング部5A,5Bで設定される弾性表面波の周波数をf4とする。
なお、図5では、グランドおよびグランド電極の図示は省略して描いている。
【0032】
ここで、情報提供装置300から周波数f1の電波信号が送信されると、櫛型電極3Aでは、この周波数f1に対応した電極3A−1が機械振動を発生し、この機械振動によって誘電体薄膜2上に弾性表面波が発生する。この弾性表面波が電極3B−1に伝達される。電極3B−1に伝達される弾性表面波は、圧力の影響を受けてその属性が変化する。一方、他の櫛型電極3A−2,3B−2〜3A−4,3B−4においては、周波数f1に同調していないので、弾性表面波の発生やこれに基づく電波信号の送信は行われない。即ち、これらの櫛型電極3A−2,3B−2〜3A−4,3B−4は、各々周波数f2,f3,f4に同調するように設定されており、このため、周波数f2の電波を圧力センサ200P´に送信した場合には、櫛型電極3A−2→3B−2という経路で弾性表面波が伝達され、この弾性表面波に対応した電波信号がアンテナ4Bを経由して出力される。
【0033】
同様に、周波数f3の電波信号を圧力センサ200P´に送信した場合には、櫛型電極3A−3→3B−3という経路で弾性表面波が伝達されてアンテナ4Bを経由して出力され、周波数f4の電波信号を圧力センサ200P´に送信した場合には、櫛型電極3A−4→3B−4という経路で弾性表面波が伝達されてアンテナ4Bを経由して出力される。
従って、周波数f1,f2,f3,f4の順で圧力センサ200P´に電波を送信すれば、これらに対応する応答信号を得ることができる。またこの場合、櫛型電極3B−1,3B−2,3B−3,3B−4(出力側)から出力される信号の変化帯域(圧力による変化の幅)を重複しないように設定しておけば、周波数f1〜f4を同時に圧力センサ200P´に出力しても、その応答信号として出力される4つの信号を分離して解析することができる。
【0034】
ここでは、説明の簡略化のために路面100に4つの圧力センサ200P−1,200−2,200−3,200−4が設けられているとする。具体的には、圧力センサ200Pは、弾性表面波の周波数が、櫛型電極3A,3Bの形状で設定されるため、圧力センサ200P−1には、図5に示した圧力センサ200P´の櫛型電極3A−1,3B−1が形成され、圧力センサ200P−2には圧力センサ200P´の櫛型電極3A−2,3B−2が形成され、圧力センサ200P−3には圧力センサ200P´の櫛型電極3A−3,3B−3が形成され、圧力センサ200P−4には圧力センサ200P´の櫛型電極3A−4,3B−4が形成されるものとする。これにより、圧力センサ200P−1〜200−4の誘電体薄膜に発生する弾性表面波の周波数が、圧力センサ200P−1がf1、圧力センサ200P−2がf2、圧力センサ200P−3がf3、圧力センサ200P−4がf4となる。即ち、受信する電波信号の周波数f1〜f4によって圧力センサ200P−1〜200−4が特定されることになる。
【0035】
そして、周波数f1の電波信号では圧力センサ200P−1による測定が、周波数f2の電波信号では圧力センサ200P−2による測定が、周波数f3の電波信号では圧力センサ200P−3による測定が、周波数f4の電波信号では圧力センサ200P−4による測定が可能となる。
【0036】
(2)動作
次に、本実施形態に係るシステムの一連の動作について、図6を参照しつつ説明する。
本実施形態においては、情報提供装置300の制御部310が、圧力センサ200Pからの電波信号に基づいて、路面100上の通行者の人数、通行者と表示部340との距離および通行者の種別(大人/子供)を特定し、特定された情報に基づいて表示情報を制御する動作について説明する。
【0037】
図6は、情報提供装置300の制御部310が行う表示情報制御処理を示したフローチャートである。まず、制御部310は、路面100に設けられている複数の圧力センサ200Pに対して所定の電波信号を送信する(ステップS1)。路面100に設けられている圧力センサ200Pは、電波信号を受信すると、受信した電波信号の応答信号として検知した圧力を示す電波信号を送信する。情報提供装置300の制御部310は、圧力センサ200Pから無線通信部330を介して電波信号を受信すると、受信した電波信号に対して信号処理を行い、圧力を算出する(ステップS2)。
【0038】
(2−1)信号処理動作
ここで、圧力センサ200Pから受信する電波信号に対する信号処理動作について、図2を参照しながら説明する。なお、以下では、説明の便宜上、4つの圧力センサ200P−1,200−2,200−3,200−4を用いて説明するが、圧力センサ200Pの数はこれに限定されるものではなく、実際には4以上の多数の圧力センサ200Pが用いられる。
【0039】
圧力センサ200P−1,200P−2,200P−3および200P−4(以下、総称として圧力センサ200Pを用いる)は、情報提供装置300の無線通信部330からの電波信号を受けて個々の櫛型電極で設定された周波数の弾性表面波を誘電体薄膜2上に発生させ、圧力に応じて弾性表面波の周波数を変化させて無線通信部330に向けて圧力の変化に対応した周波数の信号を送信する。そして、情報提供装置300の制御部310は、無線通信部330を介して受信した電波信号を解析して個々のセンサが設置された位置の周囲の圧力を得る。
【0040】
前述した如く、圧力センサ200Pは、弾性表面波の周波数が櫛型電極3A,3Bの形状で設定される。この動作例に用いられる圧力センサ200P−1には、図5に示した圧力センサ200P´の櫛型電極3A−1,3B−1が形成され、圧力センサ200P−2には圧力センサ200P´の櫛型電極3A−2,3B−2が形成され、圧力センサ200P−3には圧力センサ200P´の櫛型電極3A−3,3B−3が形成され、圧力センサ200P−4には圧力センサ200P´の櫛型電極3A−4,3B−4が形成されている。これにより、圧力センサ200Pの誘電体薄膜に発生する弾性表面波の周波数が、圧力センサ200P−1がf1、圧力センサ200P−2がf2、圧力センサ200P−3がf3、圧力センサ200P−4がf4となる。即ち、圧力センサ200Pが受信する電波の周波数f1〜f4によって圧力センサ200P−1〜200P−4が特定されることになる。
【0041】
制御部310は、無線通信部330を介して周波数f1,f2,f3,f4の矩形状波を合わせた電波信号を発信する。また、制御部310は、圧力センサ200Pから電波信号を受信すると、受信した電波信号をデジタル化し、デジタル化された情報に基づいて解析・演算を行う。
【0042】
前述した如くに、圧力センサ200P−1,200P−2,200P−3および200P−4では、無線通信部330からの電波信号を受けて個々の櫛型電極で設定された周波数の弾性表面波を誘電体薄膜2上に発生させる。即ち、誘電体薄膜2上に発生する弾性表面波の周波数は、圧力センサ200P−1がf1、圧力センサ200P−2がf2、圧力センサ200P−3がf3、圧力センサ200P−4がf4となる。そして、圧力センサ200P−1,200P−2,200P−3および200P−4は、各部位の圧力に応じた周波数変化の生じた電波を情報提供装置300の無線通信部330に送信する。
【0043】
ここで、情報提供装置300の制御部310が行う信号処理について、図7のフローチャートを参照しながらその詳細を説明する。
図7は、情報提供装置300の制御部310が行う信号処理を示すフローチャートである。制御部310は、無線通信部330を介して圧力センサ200Pから出力される電波信号を受信する(ステップS21)。受信される電波信号は、複数の圧力センサ200Pから送信された異なる周波数の電波信号である。制御部310は図示しないカウンタを「n=0」に設定する(ステップS22)。
制御部310は、所定の周波数近傍を抽出するBPF(バンドパスフィルタ)処理を行う(ステップS23)。続けて、予め記憶部320に記憶されたテーブルから圧力センサ200Pによって計測された圧力を換算し(ステップS24)、その換算結果をRAM等に記憶させる(ステップS25)。
【0044】
ステップS25の処理が終了すると、制御部310はカウンタを歩進して「n=n+1」とし(ステップS26)、このnが圧力センサ200Pの総数以上になったか否かを判定する(ステップS27)。この判定で、カウンタ値が「圧力センサ200Pの総数」未満の場合には(ステップS27;No)、各センサからの換算が終了していないために、ステップS23以降の処理を続行し、カウンタ値が「圧力センサ200Pの総数」に達した場合には(ステップS27;Yes)、すべての圧力センサ200Pに対しての測定結果が算出されたものとして処理を終了する。
この使用例においては、周波数に応じて圧力センサ200Pを識別することにより、個々の圧力センサ200Pからの測定結果を得ることができる。
【0045】
(2−2)表示情報変更処理
図6の説明に戻る。図6のステップS2に示す上述した信号処理を終えると、情報提供装置300の制御部310は、まず、「電力設定情報」と「距離情報」と「コンテンツ情報」とを記憶させるための領域をRAM等に確保する(ステップS3)。これらの情報は、制御部310が表示部340に表示させる表示内容を変更する際に用いる情報である。制御部310は、圧力センサ200Pによって測定された圧力に基づいて「電力設定情報」と「距離情報」と「コンテンツ情報」とを特定し、特定された情報に基づいて表示部340に表示させる表示内容を変更させる。
【0046】
制御部310は、まず、圧力センサ200Pによって測定された圧力に基づいて、路面100上に通行者がいるか否かを判定する(ステップS4)。この判定は、例えば圧力センサ200P−1〜200P−nのうちのいずれかで圧力が検知された場合には、路面100上に通行者がいると判定し、どの圧力センサ200P−1〜200P−nにおいても圧力が検知されなかった場合は、路面100上に通行者がいないと判定する。路面100上に通行者がいないと判定された場合は(ステップS4;No)、「電力設定情報」に「休止」を示す旨の情報を記憶させ(ステップS5)、この情報に基づいて表示部340に表示させる表示情報を変更する(ステップS6)。この場合は、具体的には、表示部340による表示出力は行わず、情報提供装置300を休止状態とする。
【0047】
路面100上に通行者がいない場合,つまり情報提供装置300の表示部340を閲覧する通行者がいない場合は、表示部340による表示出力を行わないことによって、不必要な電力消費を回避することが可能となり、通行者の有無によって好適に情報提供装置300を制御することが可能となる。
【0048】
図6のステップS4において、路面100上に通行者がいると判定された場合は(ステップS4;Yes)、圧力が検知された圧力センサ200Pの個数に基づいて、路面100上にいる通行者の人数を特定し、路面100上にいる通行者の人数が所定値以上であるか否かを判定する(ステップS7)。人数が所定値以上である場合は(ステップS7;Yes)、「電力設定情報」に「通常」を設定し(ステップS8)、人数が所定値未満である場合は(ステップS7;No)、「電力設定情報」に「省電力」を設定する(ステップS9)。情報提供装置300の制御部310は、「電力設定情報」に「省電力」が設定されている場合は、例えば動画像を表示せずに静止画像のみを表示するといった表示制御を行うことによって消費電力を省減する。例えば表示部340を閲覧する通行者の人数が時間帯によって変動するような場合であっても、通行者が少ない時間帯は消費電力を省減することによって、好適に情報提供装置300を制御することが可能となる。
【0049】
続けて、情報提供装置300の制御部310は、圧力が測定された圧力センサ200PのセンサIDをキーとして位置情報テーブルTBL1を検索し、検索された位置情報に基づいて表示部340と通行者との距離を特定する(ステップS10)。複数の通行者が路面100上にいる場合には、それぞれの距離の平均値を算出するなどの方法によって距離を特定する。そして、特定された距離が所定値以上であるか否かを判定する(ステップS11)。距離が所定値以上である場合には(ステップS11;Yes)「距離情報」に「遠距離」を設定し(ステップS12)、距離が所定値未満である場合には(ステップS11;No)、「距離情報」に「近距離」を設定する(ステップS13)。
【0050】
続けて、情報提供装置300の制御部310は、路面100上の通行者が大人か子供かを判定する(ステップS14)。この判定は、圧力センサ200Pで測定された圧力が所定値以上であるか否かによって判定する。測定された圧力が所定値以上である場合には、その通行者が大人であると判定し、測定された圧力が所定値未満である場合には、その通行者は子供であると判定する。通行者が路面100上に複数いる場合には、例えば所定値以上の圧力が測定された圧力センサ200Pの総数とそれ以外の圧力センサ200Pの総数とをそれぞれカウントし、それぞれの総数を比較することによって判定を行う。通行者が大人であると判定された場合には(ステップS14;Yes)「コンテンツ情報」に「大人用」を設定し(ステップS15)、通行者が子供であると判定された場合には(ステップS14;No)、「コンテンツ情報」に「子供用」を設定する(ステップS16)。そして、「電力設定情報」,「距離情報」,「コンテンツ情報」とに設定された情報に基づいて、表示内容を更新する(ステップS6)。
【0051】
具体的には、「コンテンツ情報」に「子供用」が設定されている場合には、子供用コンテンツファイル群DB2からコンテンツファイルを読み出し、読み出したコンテンツファイルに基づいて子供用のコンテンツを表示する。「コンテンツ情報」に「大人用」が設定されている場合には、大人用コンテンツファイル群DB1からコンテンツファイルを読み出し、読み出したコンテンツファイルに基づいて大人用のコンテンツを表示する。通行者が大人か子供かを判断することによって、その通行者のニーズに応じた情報を提供することが可能となる。
【0052】
また、「距離情報」に「遠距離」が設定されている場合には、例えば表示する文字や画像のサイズを大きくして、表示部340から離れた場所に位置する通行者に対しても好適に情報を提供できるようにする。逆に、「距離情報」に「近距離」が設定されている場合には、例えば文字や画像のサイズを小さくして表示出力することによって、通行者に提供する情報量を多くすることができ、これにより、通行者の位置に応じて適切な表示制御を行うことが可能となる。
【0053】
本実施形態で用いる圧力センサ200Pは、バッテリを内蔵していない小型のワイヤレスの圧力センサであるため、大量の圧力センサ200Pを用いて本実施形態に係るシステムを構築した場合であっても、設置後のバッテリ交換等のメンテナンスが不要であり、システムの維持および管理を容易に行うことが可能である。
また、路面100の一面に均一に圧力センサ200Pが設けられているため、検知点の密度を高くすることができ、全体として検知精度を高くすることが可能となる。
【0054】
(3)変形例
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。以下にその一例を示す。
(3−1)
上述した実施形態では、路面に設けるワイヤレスセンサとして圧力センサを用いたが、路面に設けるワイヤレスセンサをこれに限定するものではなく、例えば路面に照射する光量を検知する光量センサや、温度を検知する温度センサなど、路面上に人が在るか否かまたは人の動作状態等を好適に検知できるワイヤレスセンサであればどのようなワイヤレスセンサであってもよい。例えば、ワイヤレスセンサとして光量センサを用いた場合は、光が検知されるか否かによって人の存在の有無や人の動作状態等を検知することが可能となる。
上述した圧力センサ以外のワイヤレスセンサの一例として、光量センサと温度センサについて、その構成を以下に説明する。
【0055】
(3−1−1)温度センサ
まず、温度センサの構成について図8を参照しつつ説明する。図8に示す温度センサ200Tの構成が、図4に示した圧力センサ200Pの構成と異なる点は、受圧部8とダイヤフラム1Bとが設けられていない点である。
温度センサ200Tは、図8に示す誘電体薄膜2の材料にLiNbO3を使用する。このLiNbO3の結晶は、弾性表面波の伝搬速度が温度変化に対して敏感に変化する材質でその温度係数は約75×10−6/℃となる。この温度における伝搬速度の変化は、弾性表面波の周波数を変化させることになる。例えば、実験においては、温度が約100℃変化することにより、弾性表面波の中心周波数f0に対して約0.2〜0.3%程度周波数が変化する結果を得ている。
【0056】
(3−1−2)光量センサ
次に、光量センサの構成について、図9を参照しつつ説明する。図9に示す光量センサ200Lの構成が、図4に示した圧力センサ200Pの構成と異なる点は、受圧部8とダイヤフラム1Bとが設けられていない点と、受光素子(例えば、フォトダイオード等)48とインピーダンス変換器49とが設けられている点である。光量センサ200Lは、櫛型電極3Bの一方に、インピーダンス変換器49及び受光素子48が設けられている。
【0057】
ある照度(例えば、1000lx)を持った光が受光素子48に加わると、この光量に対応して受光素子48のインピーダンスが変化し、このインピーダンスの変化は櫛型電極3Bのインピーダンスとマッチングさせるインピーダンス変換器49を通して櫛型電極3Bに伝わる。ここで、櫛型電極3Bにおけるインピーダンス変化は、入力側の櫛型電極3Aから伝搬してきた弾性表面波を櫛型電極3Bで反射させる際の反射強度を変化させる。櫛型電極3Aは、この反射弾性表面波を再び受信し電磁波として外部に送信する。このように構成された光量センサ200Lにおいては、標準電界強度に対して約0.1%程度変化する。
【0058】
(3−2)
上述した実施形態では、ワイヤレスセンサ(圧力センサ)を路面に埋設するようにしたが、圧力センサや光量センサ等のワイヤレスセンサを設置するものとしては、路面だけでなく、例えば屋内の床面や、屋内または屋外の壁面などであってもよく、また、床材や敷設用マットなどであってもよい。
【0059】
以下に、光量センサを壁面に設けた場合のシステム構成の一例について、図10を参照しつつ説明する。図10において、100´は、家屋の壁面であり、この壁面100´には、壁面100´に照射する光量を測定する複数のワイヤレスの光量センサ200L−1〜200L−nが設けられている。この光量センサ200L−1〜200L−nは、バッテリを内蔵していない小型のワイヤレスの光量センサであり、壁面100´の一面を均一に覆うように設けられており、これにより、壁面100´上の任意の位置について光量を測定できるようになっている。
図において、400は、壁面100´に光を照射する照射装置である。図示のように、壁面100´の前に通行者Aが立っている場合には、壁面100´において通行者Aの影となる部分には光が照射しないため、その部分に設けられている光量センサ200Lでは光が検知されず、それ以外の部分に設けられている光量センサ200Lでは光が検知される。このような検知される光(または検知されない光)の分布に基づいて、壁面100´の前方にいる通行者の有無やその動作状態等を検知することが可能となる。
【0060】
(3−3)
上述した実施形態では、制御装置として液晶ディスプレイ等の大型表示装置を備える情報提供装置を用いたが、情報提供装置の表示装置としては、例えば液晶,プラズマなどの大画面表示装置や、磁気泳動,電気泳動,帯電粒子移動(トナーディスプレイ)等の表示装置などであってもよい。
また、制御装置としては、大型表示装置を備える情報提供装置に限定されるものではなく、例えばパーソナルコンピュータや画像形成装置、テレビなど、さまざまな装置を用いることが可能である。
【0061】
また、通行者への情報提供方法は、上記実施形態で説明した表示出力に限らず、音声出力であってもよく、表示出力と音声出力を併用した方法であってもよく、通行者に情報を好適に提供できる方法であればどのようなものであってもよい。
【0062】
(3−4)
また、上述した実施形態においては、路面100上の通行者の存在の有無の判定方法として、圧力センサ200P−1〜200P−nのうちのいずれかで圧力が検知されたか否かによって判定する方法を例示したが、通行者の有無の判定方法はこれに限定されるものではなく、例えば人の足形の圧力分布が検知されたか否かによって通行者の有無を判定するようにしてもよい。具体的には、路面100上に大量の圧力センサ200Pを細かい間隔で設けるようにすれば、人の足形の圧力分布を複数の圧力センサ200Pによって検知することができる。
大量のワイヤレスセンサをより細かい間隔で設置することによって、人の位置や種別(大人/子供の別など)をより詳細に検知することが可能となる。
【0063】
(3−5)
また、上述した実施形態では、測定された圧力の大きさや位置に基づいて、路面上の通行者の人数や表示部からの距離、通行者の種別(大人/子供)を検出したが、測定された圧力に基づいて検出する情報をこれに限定するものではなく、他の様々な情報を検出することが可能である。例えば、検出された圧力分布の形がハイヒールの形であった場合には女性であると判定するようにし、圧力分布に基づいて性別を判定するようにしてもよい。
【0064】
また、圧力が測定される位置の経時変化を測定し、その測定結果に基づいて、路面上の通行者の移動方向(近づいているかそれとも遠ざかっているか)等を判定するようにしてもよい。
【0065】
(3−6)
また、圧力の検知結果に基づいた制御処理は、上述した実施形態において説明した処理に限定されるものではなく、例えば通行者が遠くにいる場合には、音声出力の音量を大きくするようにしたり、例えば通行者の人数が多い場合には宣伝用のテロップを流したりするといった、路面上の人の人数や位置、種別に応じた様々な制御処理を行うことが可能である。
【0066】
(3−7)
また、上述した実施形態では、路面(または壁面)に1種類のワイヤレスセンサ(圧力センサ)を設けたが、例えば圧力センサと光量センサ等の複数のワイヤレスセンサを設けることも勿論可能である。複数のワイヤレスセンサを設けることによって、複数の種類の物理量を測定することが可能となり、これによって全体の検知精度を高くすることが可能となる。
【0067】
なお、上記実施形態では、各ワイヤレスセンサを識別する手段として、櫛型電極3A,3Bの形状及び大きさ異ならせて、誘電体薄膜に発生する表面弾性波の周波数を個々に設定し、この周波数で識別させるようにしている。ワイヤレスセンサを識別する手段はこれに限らず、ワイヤレスセンサの応答信号を識別できる方法であればどのような手段であってもよい。例えば櫛型電極の形状及び大きさを同形状にして櫛型電極間の離間距離を異ならせることによっても実現することができる。具体的には、櫛型電極間の離間距離を異ならせることで、誘電体薄膜上に発生する表面弾性波の時間が異なる。この点に着目して発信機の信号発信から受信機での信号受信までの時間を計測することによりセンサの識別化をはかっても良い。
また、ワイヤレスセンサに送信する波形は矩形状波に限らず、測定が行えるのであれば、三弦波や三角波等、任意の波形を用いてもよい。
【0068】
(3−8)
上記実施形態では、検出対象が人の場合について述べたが、検出対象は人に限定されるものではなく、車両やその他の物体であってもよい。その場合も、測定される圧力や光量等の物理量の分布から、物体の位置、大きさ、動きなどを上述の場合と同様に検出することができる。
【0069】
(3−9)
上記実施形態におけるワイヤレスセンサの各部の材質は、例えば以下の材質であってもよい。
基板1の材料としては、Siに限らず,Ge,ダイヤモンド等の単体半導体、ガラス、AlAs,AlSb,AIP,GaAs,GaSb,InP,InAs,InSb,AlGaP,AlLnP,AlGaAs,AlInAs,AlAsSb,GaInAs,GaInSb,GaAsSb,InAsSb等のIII-V系の化合物半導体、ZnS,ZnSe,ZnTe,CaSe,CdTe,HgSe,HgTe,CdS等のII−VI系の化合物半導体、導電性或いは半導電性の単結晶基板としてはNb,La等をドープしたSrTiO3,AlをドープしたZnO,In2O3,RuO2,BaPbO3,SrRuO3,YBa2Cu2O7−X,SrVO3,LaNiO3,La0.5Sr0.5CoO3,ZnGa2O4,CdGa2O4,MgTiO4.MgTi2O4等の酸化物、またはPb,Pt,Al,Au,Ag等の金属等が挙げられる。特に、既存の半導体プロセスとの適合性やコスト面から、Si,GaAs、ガラス等の材料を用いることが好ましい。
【0070】
誘電体薄膜2の材料としては、LiNbO3,LiTaO3に限らず、SiO2,SrTiO3,BaTiO3,BaZrO2,LaAlO3,ZrO2,Y2O38%−ZrO2,MGO,MgAl2O4,AlVO3,ZnO等の酸化物、ABO3型のペロブスカイト型としてBaTiO3,PbTiO3,Pb1−XLaX(ZryTi1−y)1−X/4O3(x,yの値によりPZT,PLT,PLZT),Pb(Mg1/3Nb2/3)O3,KNbO3等の正方系、斜方系或いは疑立方晶系材料、疑イルメナイト構造体としてLiNbO3,LiTaO3等に代表される強誘電体等、またはタングステンブロンズ型として、SrXBa1−XNb2O6,PbXBaXNb2O6等が挙げられる。この他に、Bi4Ti3O12,Pb2KNb5O15,K3Li2Nb5O15、さらに以上列挙した強誘電体の置換誘電体等から選択される。さらに、鉛を含むABO3型のペロブスカイト型酸化物が好適に用いられる。特に、これらの材料のうちLiNbO3,LiTaO3,ZnO等の材料は、弾性表面波の表面速度、圧電定数等の変化が顕著でより好ましい。誘電体薄膜2の膜厚は、目的に応じて適宜選択されるが、通常は0.1μmから10μmの間に設定される。
【0071】
なお、路面や壁面等に設けるワイヤレスセンサの構成は、上記実施形態で説明した構成に限定されるものではなく、路面上の人の位置や動作状態等を好適に検知できたりするものであればどのような構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態に係るシステムの全体構成を示す図である。
【図2】同実施形態の情報提供装置300の全体構成を示すブロック図である。
【図3】同実施形態に係る位置管理テーブルTBL1のデータ構成を示す図である。
【図4】同実施形態に係る圧力センサ200Pの構成を示す図である。
【図5】複数の周波数に対応した圧力センサ200Pの構成を示す図である。
【図6】同実施形態の制御部310が行う表示情報制御処理を示すフローチャートである。
【図7】同実施形態の制御部310が行う信号処理を示すフローチャートである。
【図8】温度センサの構造を示す図である。
【図9】光量センサの構成を示す図である。
【図10】本発明の変形例に係るシステムの全体構成を示す図である。
【符号の説明】
【0073】
100…路面、200P…圧力センサ、300…情報提供装置、310…制御部、320…記憶部、330…無線通信部、340…表示部、1…基板、2…誘電体薄膜、3A,3B…櫛型電極、5A,5B…インピーダンスマッチング部、4A,4B…アンテナ、6A,6B…グランド、7…グランド電極、8…受圧部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の有無や物体の状態等を検知するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
屋内または屋外において、物体の有無、またはその動作状態等をワイヤレスセンサ等で検知し、その検知結果に応じて各種の制御を行うシステムが開発されている。例えば、ワイヤレスセンサをビル内に設置し、ワイヤレスセンサの検知結果に基づいてビルの空調や照明等の管理を行ったり、一般家屋内に設置してセキュリティ管理を行ったり、あるいは屋外の道路等に設置して交通安全等に使用する技術が公開されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特表2004−515757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来用いられているワイヤレスセンサは、バッテリを搭載した構造であるため、設置後のバッテリ交換等のメンテナンスが必要である。そのため、大量のワイヤレスセンサを用いてシステムを構築した場合、そのメンテナンスに多大な手間がかかるという問題が発生する。また、大量のワイヤレスセンサを用いる場合は、センサ自体やそれに伴うコストが高くなってしまうという問題が発生する。
【0004】
本発明は上述した背景に鑑みてなされたものであり、その目的は、屋内または屋外において、多大なメンテナンス作業を要することなく物体の有無または物体の動作状態等を検知する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するために、本発明は、路面に設置されるとともに、所定の電波信号が供給されると、それをエネルギー源として周囲の物理量を反映した属性および識別情報を有する電波信号を生成して出力する複数のワイヤレス測定手段と、前記複数のワイヤレス測定手段に所定の電波信号を送信する送信手段と、前記複数のワイヤレス測定手段から出力される電波信号を受信する受信手段と、前記ワイヤレス測定手段の位置と識別情報との対応関係を記憶した記憶手段と、前記受信手段によって受信された電波信号から前記物理量を算出する算出手段と、前記算出手段によって算出された物理量の分布を前記識別情報に基づき前記記憶手段の記憶内容を参照して認識する認識手段と、前記認識手段によって認識された物理量の分布に基づいて、前記路面上の物体の状態を検知する検知手段と、前記検知手段によって検知された物体の状態に基づいて、予め定められた制御を行う制御手段とを備えることを特徴とする制御システムを提供する。
【0006】
本発明の好ましい態様においては、前記物理量は、圧力、光量、温度の少なくともいずれかひとつであることを特徴とする。
また、本発明の別の好ましい態様においては、情報を表示する表示手段を備え、前記制御手段は、前記検知手段によって検知された物体の状態に基づいて、前記表示手段に表示する情報の内容を変更することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の別の好ましい態様においては、前記認識手段は、前記算出手段によって算出された物理量を予め記憶されたデータと比較することによって、物体の有無、物体の位置、物体の重量の少なくともいずれかひとつを認識し、前記検知手段は、前記認識手段によって認識された物体の有無、物体の位置、物体の重量の少なくともいずれかひとつに基づいて、前記路面上の物体の状態を検知することを特徴とする。
また、本発明の別の好ましい態様においては、前記認識手段は、前記算出手段によって算出された物理量の分布に基づいて、物理量の経時変化を認識し、前記検知手段は、前記認識手段によって認識された物理量の経時変化に基づいて、前記路面上の物体の状態を検知することを特徴とする。
本発明の別の好ましい態様においては、前記路面は、道路面、床面、床材、敷設用マット、壁面の少なくともいずれかひとつであることを特徴とする。
また、本発明の別の好ましい態様においては、前記送信手段と前記受信手段と前記算出手段と前記認識手段と前記検知手段とが、前記路面から離れて設けられていることを特徴とする。
また、本発明の別の好ましい態様においては、前記物体は人、車両の少なくともいずれか一方であることを特徴とする。
また、本発明の別の好ましい態様においては、前記ワイヤレス測定手段は、電波信号を受信して機械振動を発生させる励振部と、前記励振部が発生した機械振動が伝達されて弾性表面波を発生するとともに、前記弾性表面波の属性が前記物理量によって変化する振動媒体部と、前記弾性表面波を電気信号に変換して電波信号として出力する送信部とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、所定の電波信号が供給されると、それをエネルギー源として周囲の物理量を反映した属性を有する電波信号を生成して出力するワイヤレス測定手段を複数備えることを特徴とする路面を提供する。
本発明の好ましい態様においては、前記ワイヤレス測定手段は、電波信号を受信して機械振動を発生させる励振部と、前記励振部が発生した機械振動が伝達されて弾性表面波を発生するとともに、前記弾性表面波の属性が前記物理量によって変化する振動媒体部と、前記弾性表面波を電気信号に変換して電波信号として出力する送信部とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、路面に備えられた複数のワイヤレス測定手段に所定の電波信号を送信する送信手段と、前記複数のワイヤレス測定手段から出力される電波信号を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された電波信号から前記物理量を算出する算出手段と、前記算出手段によって算出された物理量の分布を認識する認識手段と、前記認識手段によって認識された物理量の分布に基づいて、前記路面上の人の状態を検知する検知手段と、前記検知手段によって検知された物体の状態に基づいて、予め定められた制御を行う制御手段とを備えることを特徴とする制御装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、屋内または屋外において、多大なメンテナンス作業を要することなく人等の物体の存在の有無または物体の動作状態等を検知することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明の第1実施形態について説明する。
(1)構成
(1−1)システム構成
まず、本発明の第1実施形態に係るシステムの全体構成について、図1を参照しつつ説明する。図において、100は、屋外または屋内に設置されている路面であり、路面100の上を通行者(図1では通行者A)が通行できるようになっている。200P−1〜200P−nは、路面100にかかる圧力を測定するために路面100に埋設された、バッテリを内蔵していない小型のワイヤレスの圧力センサである。これらの圧力センサ200P−1〜200P−nは、路面100の一面を均一に覆うように細かい間隔で設けられおり、路面100上の任意の位置について圧力を測定できるようになっている。
【0012】
圧力センサ200P−1〜200P−nは、所定の電波信号を受信すると、受信した電波信号の応答信号として検知した圧力を示す電波信号を送信する。圧力センサ200P−1〜200P−nの構造については、後に詳細に説明するためここではその詳細な説明を省略する。圧力センサ圧力センサ200P−1〜200P−nを路面100に設けることによって、路面100にかかる圧力を測定することが可能となる。なお、以下の説明では、圧力センサ200P−1〜200P−nを各々区別する必要がない場合には、説明の便宜上、圧力センサ200P−1〜200P−nを「圧力センサ200P」と称することとする。
圧力センサ200P−1〜200P−nは、それぞれで電波信号の周波数が一意に異なっており、周波数を識別することによって、圧力センサ200P−1〜200P−nをそれぞれ一意に識別できるようになっている。
【0013】
このワイヤレスの圧力センサ200Pは、バッテリを備えていないため、小型でかつ安価であり、大量の圧力センサ200Pを用いた場合であっても、コストが高くなることがなく、また、バッテリの交換等のメンテナンスが不要である。
【0014】
図において、300は、例えば液晶ディスプレイ等の大型表示装置を備えた情報提供装置である。情報提供装置300の表示装置には、通行者に提示するための様々な情報が表示されるようになっている。
なお、図1においては、図が煩雑になるのを避けるために、ひとりの通行者Aのみを図示しているが、実際には多数の通行者が路面100上を通行する。
【0015】
(1−2)情報提供装置300の構成
次に、情報提供装置300の構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、情報提供装置300の全体構成の一例を示したブロック図である。この情報提供装置300は、路面100に設けられた圧力センサ200Pから出力される電波信号に基づいて通行者に各種の情報を提供する装置である。図において、310は、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算装置や、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの各種メモリを備えた制御部である。320は、例えばハードディスクなどの大容量記憶装置で構成された不揮発性の記憶部であり、情報提供装置300の各部を動作させるためのプログラムを記憶している。制御部310の演算装置は、記憶部320に記憶されているコンピュータプログラムを読み出して実行することにより、情報提供装置300の各部を制御する。
【0016】
また、記憶部320には、圧力センサ200Pが検出した結果に基づいて圧力を示す値を算出するためのテーブル(または算出式)等が記憶されている。制御部310は、このテーブルに基づいて、圧力センサ200Pから受信する電波信号の周波数の変化分から圧力を示す値を算出する。
【0017】
330は、圧力センサ200Pに電波信号を発信するとともに、圧力センサ200Pから発信される電波信号を受信するアンテナ等を備えた無線通信部である。上述したように、路面100に設けられた圧力センサ200Pは、それぞれでその周波数が異なっているため、情報提供装置300の制御部310は、無線通信部330を介して受信した電波信号の周波数を識別することによって、圧力センサ200Pを一意に識別できるようになっている。
340は、例えば液晶ディスプレイ等の大型表示装置を備えた表示部である。情報提供装置300の制御部310は、圧力センサ200Pによって測定された圧力に基づいて表示部340に表示させる情報を変更させる。
【0018】
また、記憶部320には、位置管理テーブルTBL1と、大人用コンテンツファイル群DB1と、子供用コンテンツファイル群DB2とが記憶されている。位置管理テーブルTBL1には、図3に示すように、「センサID」と「位置情報」との各項目が対応付けて記憶されている。位置管理テーブルTBL1において、「センサID」の項目には、圧力センサ200P−1〜200P−nを識別する識別情報が記憶されている。上述したように、制御部310は、周波数を識別することによって圧力センサ200P−1〜200P−nをそれぞれ一意に識別できるようになっている。本実施形態においては、制御部310は、受信する電波信号の周波数に基づいてこのセンサIDを特定する。「位置情報」の項目には、路面100における圧力センサ200Pの位置を示す位置情報が記憶されている。情報提供装置300の制御部310は、センサIDをキーとしてこの位置管理テーブルTBL1を検索することによって、圧力センサ200Pの位置を認識することができるようになっている。
【0019】
大人用コンテンツファイル群DB1は、例えば報道情報等の大人向けのコンテンツ情報を示す複数のコンテンツファイルの集合体であり、子供用コンテンツファイル群DB2は、例えばアニメ等の子供向けのコンテンツ情報を示す複数のコンテンツファイルの集合体である。情報提供装置300の制御部310は、後述する表示情報制御処理において、圧力センサ200Pで測定された圧力の大きさに基づいて路面100上の通行者が大人であるかそれとも子供であるかを判定し、その判定結果に基づいて、大人用コンテンツファイル群DB1または子供用コンテンツファイル群DB2からコンテンツファイルを読み出し、読み出したコンテンツファイルに基づいて、表示部340に情報を表示させる。
【0020】
(1−3)圧力センサ200Pの構成と基本動作
次に、本実施形態で用いる圧力センサ200Pについて、その構成と基本動作を以下に説明する。
(1−3−1)圧力センサ200Pの構成
図4は、本発明の実施の形態に係る圧力センサ200Pの構成を示す図である。この圧力センサ200Pは、基台となるSiを材料とする基板1と、該基板1上に酸化膜1Aを介して形成され、弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)が伝播する誘電体薄膜2と、誘電体薄膜2上に形成され、電気信号から弾性表面波又は弾性表面波から電気信号に変換する変換部としての一対の櫛型電極(IDT:Inter-digital Transducer)3A,3Bと、この一対の櫛型電極3A,3Bの一方にインピーダンスマッチング部5A,5Bを介して接続され、情報提供装置300の無線通信部330との間で電波信号の授受を行う送受信部としてのアンテナ4A,4Bと、一対の櫛型電極3A,3Bの他方に接続されたグランド6A,6Bと、基板1の裏面に形成され、グランド6A,6Bにスルーホール(図示しない)を介して接続されたグランド電極7と、受圧部8とを具備している。この受圧部8は、起端が前記誘電体薄膜2に当接し先端が圧力センサ200Pから若干突出するように設けられる。この受圧部8の先端に外部から圧力が加わることによって誘電体薄膜2が歪んで弾性表面波の周波数が変化する。
【0021】
また、基板1の裏面側には異方性エッチングにより54.75度のテーパ面をなして凹部が形成されており、この底の部分が脆弱部となって外部からの圧力に反応するダイヤフラム1Bとなる。図面では、酸化膜1Aは便宜上厚く描写しているが、実際には基板1と誘電体薄膜2との間での絶縁を確保できる厚さであればよい。
この圧力センサ200Pにおける弾性表面波の周波数は、櫛型電極3A,3Bおよびインピーダンスマッチング部5A,5Bの形状で設定される。
【0022】
なお、櫛型電極3A,3B、アンテナ4A,4B、インピーダンスマッチング部5A,5Bおよびグランド6A,6Bは、導電パターンにより一体的に形成される。この導電パターンの材料としては、Ti,Cr,Cu,W,Ni,Ta,Ga,In,Al,Pb,Pt,Au,Ag等の金属、またはTi−Al,Al−Cu,Ti−N,Ni−Cr等の合金を、単層もしくは2層以上の多層構造に積層することが好ましく、特に金属としてはAu,Ti,W,Al,Cuが好ましい。また、この金属層の膜厚は、1nm以上10μm未満とすることが好ましい。
【0023】
この圧力センサ200の場合は、図4に示した誘電体薄膜2の材料にLiTaO3を使用する。このLiTaO3の結晶は、弾性表面波の伝搬速度が圧力変化に対して敏感に変化する材質である。また、その温度係数は約18.0×10−6/℃であり、LiNbO3の結晶に対して温度係数は約1/4と小さく10℃の温度変化に対して弾性表面波の変化率は0.005%程度にしかならないため、周囲の温度変化にはあまり影響されずに、圧力変化を検知することができる。
【0024】
ダイヤフラム1B上には酸化膜1Aを介して誘電体薄膜2が配置されるため、このダイヤフラム1Bに外部から例えば2barの圧力が加わると、ダイヤフラム1Bが変形し、櫛型電極3A,3Bの電極間の幅を変えると共に、弾性表面波の速度が変化して中心周波数f0に対して周波数を0.2%程度変化させる。また、測定対象物の温度変化が著しい場合、温度センサとの併用で補正することも可能となる。
以上のように、この圧力センサ200Pは、中心周波数f0に対して約0.2%程度周波数が変化することが検知されている。
【0025】
また、櫛型電極3A,3Bの形状及び大きさは、情報提供装置300の無線通信部330から送信される電波の中心周波数f0の機械振動を発生させるため、情報提供装置300の無線通信部330により受信した電波の強度は、周波数の変化によりシフトされることになる。このワイヤレスセンサでは、圧力変化に応じて情報提供装置300の無線通信部330における受信信号の強度が線形的に変化するワイヤレスセンサを実現する。
なお、この圧力センサ200Pでは、基板1に凹部を形成して底部をダイヤフラム1Bとしているが、酸化膜1Aのみでダイヤフラムとしてもよく、外部から加わる圧力が誘電体薄膜2に直接的或いは間接的に作用する形状であればよい。
【0026】
また、この誘電体薄膜2は、櫛型電極3における電気機械結合係数/圧電係数、或いはアンテナ4の誘電損失等の観点から、エピタキシャルまたは単一配向性を有することが好ましい。また、誘電体薄膜2上にGaAS等のIII−V族半導体或いはダイヤモンド等の炭素を含有する薄膜を形成してもよい。これにより、弾性表面波の表面速度、結合係数、圧電定数等が向上できる。
【0027】
(1−3−2)圧力センサ200Pの基本動作
次に、圧力センサ200Pの基本的な動作について、図4を参照しながら説明する。なお、図4(a)に示す圧力センサ200Pの平面図において、便宜上、信号が図面向かって左側から右側に移動するものとするが、実際には信号の流れには方向性がある訳ではない。
【0028】
この圧力センサ200Pは、情報提供装置300の無線通信部330との間で電波信号の授受を行う。無線通信部330を介して情報提供装置300の制御部310から送信される電波信号はアンテナ4Aで受信され、この信号により櫛型電極3Aが誘電体薄膜2を励振して機械振動を発生させる。この機械振動は、誘電体薄膜2表面に弾性表面波を発生させる。この弾性表面波は、櫛型電極3Aから櫛型電極3Bに向けて移動し、櫛型電極3Bに到達した弾性表面波は、櫛型電極3Bで電気信号に変換されてアンテナ4Bを経由して送信される。情報提供装置300の制御部310は、無線通信部330を介して圧力センサ200Pからの電波信号を受信する。
【0029】
誘電体薄膜2の表面に発生する弾性表面波は、この誘電体薄膜2に加わった圧力の変化によって、振幅、位相差、周波数等の属性が変化する。この弾性表面波の変化を電気信号として情報提供装置300で受信し、この情報提供装置300において、電気信号における属性の変化を解析する。これにより、情報提供装置300では、圧力センサ200Pに加わる圧力を計測することが可能となる。
【0030】
(1−3−3)複数の圧力センサ200Pへの対応
以上が、1つの周波数に対応したワイヤレスセンサの説明であったが、次に複数の周波数に対応できるワイヤレスセンサについて説明する。
図5に示すように、形状の異なる櫛型電極3A−1,3B−1…3A−4,3B−4が形成された圧力センサ200P´においては、外部から送信される電波の周波数により複数の周波数に対応した弾性表面波が誘電体薄膜2上に発生する。
【0031】
例えば、櫛型電極3A−1,3B−1およびインピーダンスマッチング部5A,5Bで設定される弾性表面波の周波数をf1、櫛型電極3A−2,3B−2およびインピーダンスマッチング部5A,5Bで設定される弾性表面波の周波数をf2、櫛型電極3A−3,3B−3およびインピーダンスマッチング部5A,5Bで設定される弾性表面波の周波数をf3、櫛型電極3A−4,3B−4およびインピーダンスマッチング部5A,5Bで設定される弾性表面波の周波数をf4とする。
なお、図5では、グランドおよびグランド電極の図示は省略して描いている。
【0032】
ここで、情報提供装置300から周波数f1の電波信号が送信されると、櫛型電極3Aでは、この周波数f1に対応した電極3A−1が機械振動を発生し、この機械振動によって誘電体薄膜2上に弾性表面波が発生する。この弾性表面波が電極3B−1に伝達される。電極3B−1に伝達される弾性表面波は、圧力の影響を受けてその属性が変化する。一方、他の櫛型電極3A−2,3B−2〜3A−4,3B−4においては、周波数f1に同調していないので、弾性表面波の発生やこれに基づく電波信号の送信は行われない。即ち、これらの櫛型電極3A−2,3B−2〜3A−4,3B−4は、各々周波数f2,f3,f4に同調するように設定されており、このため、周波数f2の電波を圧力センサ200P´に送信した場合には、櫛型電極3A−2→3B−2という経路で弾性表面波が伝達され、この弾性表面波に対応した電波信号がアンテナ4Bを経由して出力される。
【0033】
同様に、周波数f3の電波信号を圧力センサ200P´に送信した場合には、櫛型電極3A−3→3B−3という経路で弾性表面波が伝達されてアンテナ4Bを経由して出力され、周波数f4の電波信号を圧力センサ200P´に送信した場合には、櫛型電極3A−4→3B−4という経路で弾性表面波が伝達されてアンテナ4Bを経由して出力される。
従って、周波数f1,f2,f3,f4の順で圧力センサ200P´に電波を送信すれば、これらに対応する応答信号を得ることができる。またこの場合、櫛型電極3B−1,3B−2,3B−3,3B−4(出力側)から出力される信号の変化帯域(圧力による変化の幅)を重複しないように設定しておけば、周波数f1〜f4を同時に圧力センサ200P´に出力しても、その応答信号として出力される4つの信号を分離して解析することができる。
【0034】
ここでは、説明の簡略化のために路面100に4つの圧力センサ200P−1,200−2,200−3,200−4が設けられているとする。具体的には、圧力センサ200Pは、弾性表面波の周波数が、櫛型電極3A,3Bの形状で設定されるため、圧力センサ200P−1には、図5に示した圧力センサ200P´の櫛型電極3A−1,3B−1が形成され、圧力センサ200P−2には圧力センサ200P´の櫛型電極3A−2,3B−2が形成され、圧力センサ200P−3には圧力センサ200P´の櫛型電極3A−3,3B−3が形成され、圧力センサ200P−4には圧力センサ200P´の櫛型電極3A−4,3B−4が形成されるものとする。これにより、圧力センサ200P−1〜200−4の誘電体薄膜に発生する弾性表面波の周波数が、圧力センサ200P−1がf1、圧力センサ200P−2がf2、圧力センサ200P−3がf3、圧力センサ200P−4がf4となる。即ち、受信する電波信号の周波数f1〜f4によって圧力センサ200P−1〜200−4が特定されることになる。
【0035】
そして、周波数f1の電波信号では圧力センサ200P−1による測定が、周波数f2の電波信号では圧力センサ200P−2による測定が、周波数f3の電波信号では圧力センサ200P−3による測定が、周波数f4の電波信号では圧力センサ200P−4による測定が可能となる。
【0036】
(2)動作
次に、本実施形態に係るシステムの一連の動作について、図6を参照しつつ説明する。
本実施形態においては、情報提供装置300の制御部310が、圧力センサ200Pからの電波信号に基づいて、路面100上の通行者の人数、通行者と表示部340との距離および通行者の種別(大人/子供)を特定し、特定された情報に基づいて表示情報を制御する動作について説明する。
【0037】
図6は、情報提供装置300の制御部310が行う表示情報制御処理を示したフローチャートである。まず、制御部310は、路面100に設けられている複数の圧力センサ200Pに対して所定の電波信号を送信する(ステップS1)。路面100に設けられている圧力センサ200Pは、電波信号を受信すると、受信した電波信号の応答信号として検知した圧力を示す電波信号を送信する。情報提供装置300の制御部310は、圧力センサ200Pから無線通信部330を介して電波信号を受信すると、受信した電波信号に対して信号処理を行い、圧力を算出する(ステップS2)。
【0038】
(2−1)信号処理動作
ここで、圧力センサ200Pから受信する電波信号に対する信号処理動作について、図2を参照しながら説明する。なお、以下では、説明の便宜上、4つの圧力センサ200P−1,200−2,200−3,200−4を用いて説明するが、圧力センサ200Pの数はこれに限定されるものではなく、実際には4以上の多数の圧力センサ200Pが用いられる。
【0039】
圧力センサ200P−1,200P−2,200P−3および200P−4(以下、総称として圧力センサ200Pを用いる)は、情報提供装置300の無線通信部330からの電波信号を受けて個々の櫛型電極で設定された周波数の弾性表面波を誘電体薄膜2上に発生させ、圧力に応じて弾性表面波の周波数を変化させて無線通信部330に向けて圧力の変化に対応した周波数の信号を送信する。そして、情報提供装置300の制御部310は、無線通信部330を介して受信した電波信号を解析して個々のセンサが設置された位置の周囲の圧力を得る。
【0040】
前述した如く、圧力センサ200Pは、弾性表面波の周波数が櫛型電極3A,3Bの形状で設定される。この動作例に用いられる圧力センサ200P−1には、図5に示した圧力センサ200P´の櫛型電極3A−1,3B−1が形成され、圧力センサ200P−2には圧力センサ200P´の櫛型電極3A−2,3B−2が形成され、圧力センサ200P−3には圧力センサ200P´の櫛型電極3A−3,3B−3が形成され、圧力センサ200P−4には圧力センサ200P´の櫛型電極3A−4,3B−4が形成されている。これにより、圧力センサ200Pの誘電体薄膜に発生する弾性表面波の周波数が、圧力センサ200P−1がf1、圧力センサ200P−2がf2、圧力センサ200P−3がf3、圧力センサ200P−4がf4となる。即ち、圧力センサ200Pが受信する電波の周波数f1〜f4によって圧力センサ200P−1〜200P−4が特定されることになる。
【0041】
制御部310は、無線通信部330を介して周波数f1,f2,f3,f4の矩形状波を合わせた電波信号を発信する。また、制御部310は、圧力センサ200Pから電波信号を受信すると、受信した電波信号をデジタル化し、デジタル化された情報に基づいて解析・演算を行う。
【0042】
前述した如くに、圧力センサ200P−1,200P−2,200P−3および200P−4では、無線通信部330からの電波信号を受けて個々の櫛型電極で設定された周波数の弾性表面波を誘電体薄膜2上に発生させる。即ち、誘電体薄膜2上に発生する弾性表面波の周波数は、圧力センサ200P−1がf1、圧力センサ200P−2がf2、圧力センサ200P−3がf3、圧力センサ200P−4がf4となる。そして、圧力センサ200P−1,200P−2,200P−3および200P−4は、各部位の圧力に応じた周波数変化の生じた電波を情報提供装置300の無線通信部330に送信する。
【0043】
ここで、情報提供装置300の制御部310が行う信号処理について、図7のフローチャートを参照しながらその詳細を説明する。
図7は、情報提供装置300の制御部310が行う信号処理を示すフローチャートである。制御部310は、無線通信部330を介して圧力センサ200Pから出力される電波信号を受信する(ステップS21)。受信される電波信号は、複数の圧力センサ200Pから送信された異なる周波数の電波信号である。制御部310は図示しないカウンタを「n=0」に設定する(ステップS22)。
制御部310は、所定の周波数近傍を抽出するBPF(バンドパスフィルタ)処理を行う(ステップS23)。続けて、予め記憶部320に記憶されたテーブルから圧力センサ200Pによって計測された圧力を換算し(ステップS24)、その換算結果をRAM等に記憶させる(ステップS25)。
【0044】
ステップS25の処理が終了すると、制御部310はカウンタを歩進して「n=n+1」とし(ステップS26)、このnが圧力センサ200Pの総数以上になったか否かを判定する(ステップS27)。この判定で、カウンタ値が「圧力センサ200Pの総数」未満の場合には(ステップS27;No)、各センサからの換算が終了していないために、ステップS23以降の処理を続行し、カウンタ値が「圧力センサ200Pの総数」に達した場合には(ステップS27;Yes)、すべての圧力センサ200Pに対しての測定結果が算出されたものとして処理を終了する。
この使用例においては、周波数に応じて圧力センサ200Pを識別することにより、個々の圧力センサ200Pからの測定結果を得ることができる。
【0045】
(2−2)表示情報変更処理
図6の説明に戻る。図6のステップS2に示す上述した信号処理を終えると、情報提供装置300の制御部310は、まず、「電力設定情報」と「距離情報」と「コンテンツ情報」とを記憶させるための領域をRAM等に確保する(ステップS3)。これらの情報は、制御部310が表示部340に表示させる表示内容を変更する際に用いる情報である。制御部310は、圧力センサ200Pによって測定された圧力に基づいて「電力設定情報」と「距離情報」と「コンテンツ情報」とを特定し、特定された情報に基づいて表示部340に表示させる表示内容を変更させる。
【0046】
制御部310は、まず、圧力センサ200Pによって測定された圧力に基づいて、路面100上に通行者がいるか否かを判定する(ステップS4)。この判定は、例えば圧力センサ200P−1〜200P−nのうちのいずれかで圧力が検知された場合には、路面100上に通行者がいると判定し、どの圧力センサ200P−1〜200P−nにおいても圧力が検知されなかった場合は、路面100上に通行者がいないと判定する。路面100上に通行者がいないと判定された場合は(ステップS4;No)、「電力設定情報」に「休止」を示す旨の情報を記憶させ(ステップS5)、この情報に基づいて表示部340に表示させる表示情報を変更する(ステップS6)。この場合は、具体的には、表示部340による表示出力は行わず、情報提供装置300を休止状態とする。
【0047】
路面100上に通行者がいない場合,つまり情報提供装置300の表示部340を閲覧する通行者がいない場合は、表示部340による表示出力を行わないことによって、不必要な電力消費を回避することが可能となり、通行者の有無によって好適に情報提供装置300を制御することが可能となる。
【0048】
図6のステップS4において、路面100上に通行者がいると判定された場合は(ステップS4;Yes)、圧力が検知された圧力センサ200Pの個数に基づいて、路面100上にいる通行者の人数を特定し、路面100上にいる通行者の人数が所定値以上であるか否かを判定する(ステップS7)。人数が所定値以上である場合は(ステップS7;Yes)、「電力設定情報」に「通常」を設定し(ステップS8)、人数が所定値未満である場合は(ステップS7;No)、「電力設定情報」に「省電力」を設定する(ステップS9)。情報提供装置300の制御部310は、「電力設定情報」に「省電力」が設定されている場合は、例えば動画像を表示せずに静止画像のみを表示するといった表示制御を行うことによって消費電力を省減する。例えば表示部340を閲覧する通行者の人数が時間帯によって変動するような場合であっても、通行者が少ない時間帯は消費電力を省減することによって、好適に情報提供装置300を制御することが可能となる。
【0049】
続けて、情報提供装置300の制御部310は、圧力が測定された圧力センサ200PのセンサIDをキーとして位置情報テーブルTBL1を検索し、検索された位置情報に基づいて表示部340と通行者との距離を特定する(ステップS10)。複数の通行者が路面100上にいる場合には、それぞれの距離の平均値を算出するなどの方法によって距離を特定する。そして、特定された距離が所定値以上であるか否かを判定する(ステップS11)。距離が所定値以上である場合には(ステップS11;Yes)「距離情報」に「遠距離」を設定し(ステップS12)、距離が所定値未満である場合には(ステップS11;No)、「距離情報」に「近距離」を設定する(ステップS13)。
【0050】
続けて、情報提供装置300の制御部310は、路面100上の通行者が大人か子供かを判定する(ステップS14)。この判定は、圧力センサ200Pで測定された圧力が所定値以上であるか否かによって判定する。測定された圧力が所定値以上である場合には、その通行者が大人であると判定し、測定された圧力が所定値未満である場合には、その通行者は子供であると判定する。通行者が路面100上に複数いる場合には、例えば所定値以上の圧力が測定された圧力センサ200Pの総数とそれ以外の圧力センサ200Pの総数とをそれぞれカウントし、それぞれの総数を比較することによって判定を行う。通行者が大人であると判定された場合には(ステップS14;Yes)「コンテンツ情報」に「大人用」を設定し(ステップS15)、通行者が子供であると判定された場合には(ステップS14;No)、「コンテンツ情報」に「子供用」を設定する(ステップS16)。そして、「電力設定情報」,「距離情報」,「コンテンツ情報」とに設定された情報に基づいて、表示内容を更新する(ステップS6)。
【0051】
具体的には、「コンテンツ情報」に「子供用」が設定されている場合には、子供用コンテンツファイル群DB2からコンテンツファイルを読み出し、読み出したコンテンツファイルに基づいて子供用のコンテンツを表示する。「コンテンツ情報」に「大人用」が設定されている場合には、大人用コンテンツファイル群DB1からコンテンツファイルを読み出し、読み出したコンテンツファイルに基づいて大人用のコンテンツを表示する。通行者が大人か子供かを判断することによって、その通行者のニーズに応じた情報を提供することが可能となる。
【0052】
また、「距離情報」に「遠距離」が設定されている場合には、例えば表示する文字や画像のサイズを大きくして、表示部340から離れた場所に位置する通行者に対しても好適に情報を提供できるようにする。逆に、「距離情報」に「近距離」が設定されている場合には、例えば文字や画像のサイズを小さくして表示出力することによって、通行者に提供する情報量を多くすることができ、これにより、通行者の位置に応じて適切な表示制御を行うことが可能となる。
【0053】
本実施形態で用いる圧力センサ200Pは、バッテリを内蔵していない小型のワイヤレスの圧力センサであるため、大量の圧力センサ200Pを用いて本実施形態に係るシステムを構築した場合であっても、設置後のバッテリ交換等のメンテナンスが不要であり、システムの維持および管理を容易に行うことが可能である。
また、路面100の一面に均一に圧力センサ200Pが設けられているため、検知点の密度を高くすることができ、全体として検知精度を高くすることが可能となる。
【0054】
(3)変形例
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。以下にその一例を示す。
(3−1)
上述した実施形態では、路面に設けるワイヤレスセンサとして圧力センサを用いたが、路面に設けるワイヤレスセンサをこれに限定するものではなく、例えば路面に照射する光量を検知する光量センサや、温度を検知する温度センサなど、路面上に人が在るか否かまたは人の動作状態等を好適に検知できるワイヤレスセンサであればどのようなワイヤレスセンサであってもよい。例えば、ワイヤレスセンサとして光量センサを用いた場合は、光が検知されるか否かによって人の存在の有無や人の動作状態等を検知することが可能となる。
上述した圧力センサ以外のワイヤレスセンサの一例として、光量センサと温度センサについて、その構成を以下に説明する。
【0055】
(3−1−1)温度センサ
まず、温度センサの構成について図8を参照しつつ説明する。図8に示す温度センサ200Tの構成が、図4に示した圧力センサ200Pの構成と異なる点は、受圧部8とダイヤフラム1Bとが設けられていない点である。
温度センサ200Tは、図8に示す誘電体薄膜2の材料にLiNbO3を使用する。このLiNbO3の結晶は、弾性表面波の伝搬速度が温度変化に対して敏感に変化する材質でその温度係数は約75×10−6/℃となる。この温度における伝搬速度の変化は、弾性表面波の周波数を変化させることになる。例えば、実験においては、温度が約100℃変化することにより、弾性表面波の中心周波数f0に対して約0.2〜0.3%程度周波数が変化する結果を得ている。
【0056】
(3−1−2)光量センサ
次に、光量センサの構成について、図9を参照しつつ説明する。図9に示す光量センサ200Lの構成が、図4に示した圧力センサ200Pの構成と異なる点は、受圧部8とダイヤフラム1Bとが設けられていない点と、受光素子(例えば、フォトダイオード等)48とインピーダンス変換器49とが設けられている点である。光量センサ200Lは、櫛型電極3Bの一方に、インピーダンス変換器49及び受光素子48が設けられている。
【0057】
ある照度(例えば、1000lx)を持った光が受光素子48に加わると、この光量に対応して受光素子48のインピーダンスが変化し、このインピーダンスの変化は櫛型電極3Bのインピーダンスとマッチングさせるインピーダンス変換器49を通して櫛型電極3Bに伝わる。ここで、櫛型電極3Bにおけるインピーダンス変化は、入力側の櫛型電極3Aから伝搬してきた弾性表面波を櫛型電極3Bで反射させる際の反射強度を変化させる。櫛型電極3Aは、この反射弾性表面波を再び受信し電磁波として外部に送信する。このように構成された光量センサ200Lにおいては、標準電界強度に対して約0.1%程度変化する。
【0058】
(3−2)
上述した実施形態では、ワイヤレスセンサ(圧力センサ)を路面に埋設するようにしたが、圧力センサや光量センサ等のワイヤレスセンサを設置するものとしては、路面だけでなく、例えば屋内の床面や、屋内または屋外の壁面などであってもよく、また、床材や敷設用マットなどであってもよい。
【0059】
以下に、光量センサを壁面に設けた場合のシステム構成の一例について、図10を参照しつつ説明する。図10において、100´は、家屋の壁面であり、この壁面100´には、壁面100´に照射する光量を測定する複数のワイヤレスの光量センサ200L−1〜200L−nが設けられている。この光量センサ200L−1〜200L−nは、バッテリを内蔵していない小型のワイヤレスの光量センサであり、壁面100´の一面を均一に覆うように設けられており、これにより、壁面100´上の任意の位置について光量を測定できるようになっている。
図において、400は、壁面100´に光を照射する照射装置である。図示のように、壁面100´の前に通行者Aが立っている場合には、壁面100´において通行者Aの影となる部分には光が照射しないため、その部分に設けられている光量センサ200Lでは光が検知されず、それ以外の部分に設けられている光量センサ200Lでは光が検知される。このような検知される光(または検知されない光)の分布に基づいて、壁面100´の前方にいる通行者の有無やその動作状態等を検知することが可能となる。
【0060】
(3−3)
上述した実施形態では、制御装置として液晶ディスプレイ等の大型表示装置を備える情報提供装置を用いたが、情報提供装置の表示装置としては、例えば液晶,プラズマなどの大画面表示装置や、磁気泳動,電気泳動,帯電粒子移動(トナーディスプレイ)等の表示装置などであってもよい。
また、制御装置としては、大型表示装置を備える情報提供装置に限定されるものではなく、例えばパーソナルコンピュータや画像形成装置、テレビなど、さまざまな装置を用いることが可能である。
【0061】
また、通行者への情報提供方法は、上記実施形態で説明した表示出力に限らず、音声出力であってもよく、表示出力と音声出力を併用した方法であってもよく、通行者に情報を好適に提供できる方法であればどのようなものであってもよい。
【0062】
(3−4)
また、上述した実施形態においては、路面100上の通行者の存在の有無の判定方法として、圧力センサ200P−1〜200P−nのうちのいずれかで圧力が検知されたか否かによって判定する方法を例示したが、通行者の有無の判定方法はこれに限定されるものではなく、例えば人の足形の圧力分布が検知されたか否かによって通行者の有無を判定するようにしてもよい。具体的には、路面100上に大量の圧力センサ200Pを細かい間隔で設けるようにすれば、人の足形の圧力分布を複数の圧力センサ200Pによって検知することができる。
大量のワイヤレスセンサをより細かい間隔で設置することによって、人の位置や種別(大人/子供の別など)をより詳細に検知することが可能となる。
【0063】
(3−5)
また、上述した実施形態では、測定された圧力の大きさや位置に基づいて、路面上の通行者の人数や表示部からの距離、通行者の種別(大人/子供)を検出したが、測定された圧力に基づいて検出する情報をこれに限定するものではなく、他の様々な情報を検出することが可能である。例えば、検出された圧力分布の形がハイヒールの形であった場合には女性であると判定するようにし、圧力分布に基づいて性別を判定するようにしてもよい。
【0064】
また、圧力が測定される位置の経時変化を測定し、その測定結果に基づいて、路面上の通行者の移動方向(近づいているかそれとも遠ざかっているか)等を判定するようにしてもよい。
【0065】
(3−6)
また、圧力の検知結果に基づいた制御処理は、上述した実施形態において説明した処理に限定されるものではなく、例えば通行者が遠くにいる場合には、音声出力の音量を大きくするようにしたり、例えば通行者の人数が多い場合には宣伝用のテロップを流したりするといった、路面上の人の人数や位置、種別に応じた様々な制御処理を行うことが可能である。
【0066】
(3−7)
また、上述した実施形態では、路面(または壁面)に1種類のワイヤレスセンサ(圧力センサ)を設けたが、例えば圧力センサと光量センサ等の複数のワイヤレスセンサを設けることも勿論可能である。複数のワイヤレスセンサを設けることによって、複数の種類の物理量を測定することが可能となり、これによって全体の検知精度を高くすることが可能となる。
【0067】
なお、上記実施形態では、各ワイヤレスセンサを識別する手段として、櫛型電極3A,3Bの形状及び大きさ異ならせて、誘電体薄膜に発生する表面弾性波の周波数を個々に設定し、この周波数で識別させるようにしている。ワイヤレスセンサを識別する手段はこれに限らず、ワイヤレスセンサの応答信号を識別できる方法であればどのような手段であってもよい。例えば櫛型電極の形状及び大きさを同形状にして櫛型電極間の離間距離を異ならせることによっても実現することができる。具体的には、櫛型電極間の離間距離を異ならせることで、誘電体薄膜上に発生する表面弾性波の時間が異なる。この点に着目して発信機の信号発信から受信機での信号受信までの時間を計測することによりセンサの識別化をはかっても良い。
また、ワイヤレスセンサに送信する波形は矩形状波に限らず、測定が行えるのであれば、三弦波や三角波等、任意の波形を用いてもよい。
【0068】
(3−8)
上記実施形態では、検出対象が人の場合について述べたが、検出対象は人に限定されるものではなく、車両やその他の物体であってもよい。その場合も、測定される圧力や光量等の物理量の分布から、物体の位置、大きさ、動きなどを上述の場合と同様に検出することができる。
【0069】
(3−9)
上記実施形態におけるワイヤレスセンサの各部の材質は、例えば以下の材質であってもよい。
基板1の材料としては、Siに限らず,Ge,ダイヤモンド等の単体半導体、ガラス、AlAs,AlSb,AIP,GaAs,GaSb,InP,InAs,InSb,AlGaP,AlLnP,AlGaAs,AlInAs,AlAsSb,GaInAs,GaInSb,GaAsSb,InAsSb等のIII-V系の化合物半導体、ZnS,ZnSe,ZnTe,CaSe,CdTe,HgSe,HgTe,CdS等のII−VI系の化合物半導体、導電性或いは半導電性の単結晶基板としてはNb,La等をドープしたSrTiO3,AlをドープしたZnO,In2O3,RuO2,BaPbO3,SrRuO3,YBa2Cu2O7−X,SrVO3,LaNiO3,La0.5Sr0.5CoO3,ZnGa2O4,CdGa2O4,MgTiO4.MgTi2O4等の酸化物、またはPb,Pt,Al,Au,Ag等の金属等が挙げられる。特に、既存の半導体プロセスとの適合性やコスト面から、Si,GaAs、ガラス等の材料を用いることが好ましい。
【0070】
誘電体薄膜2の材料としては、LiNbO3,LiTaO3に限らず、SiO2,SrTiO3,BaTiO3,BaZrO2,LaAlO3,ZrO2,Y2O38%−ZrO2,MGO,MgAl2O4,AlVO3,ZnO等の酸化物、ABO3型のペロブスカイト型としてBaTiO3,PbTiO3,Pb1−XLaX(ZryTi1−y)1−X/4O3(x,yの値によりPZT,PLT,PLZT),Pb(Mg1/3Nb2/3)O3,KNbO3等の正方系、斜方系或いは疑立方晶系材料、疑イルメナイト構造体としてLiNbO3,LiTaO3等に代表される強誘電体等、またはタングステンブロンズ型として、SrXBa1−XNb2O6,PbXBaXNb2O6等が挙げられる。この他に、Bi4Ti3O12,Pb2KNb5O15,K3Li2Nb5O15、さらに以上列挙した強誘電体の置換誘電体等から選択される。さらに、鉛を含むABO3型のペロブスカイト型酸化物が好適に用いられる。特に、これらの材料のうちLiNbO3,LiTaO3,ZnO等の材料は、弾性表面波の表面速度、圧電定数等の変化が顕著でより好ましい。誘電体薄膜2の膜厚は、目的に応じて適宜選択されるが、通常は0.1μmから10μmの間に設定される。
【0071】
なお、路面や壁面等に設けるワイヤレスセンサの構成は、上記実施形態で説明した構成に限定されるものではなく、路面上の人の位置や動作状態等を好適に検知できたりするものであればどのような構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態に係るシステムの全体構成を示す図である。
【図2】同実施形態の情報提供装置300の全体構成を示すブロック図である。
【図3】同実施形態に係る位置管理テーブルTBL1のデータ構成を示す図である。
【図4】同実施形態に係る圧力センサ200Pの構成を示す図である。
【図5】複数の周波数に対応した圧力センサ200Pの構成を示す図である。
【図6】同実施形態の制御部310が行う表示情報制御処理を示すフローチャートである。
【図7】同実施形態の制御部310が行う信号処理を示すフローチャートである。
【図8】温度センサの構造を示す図である。
【図9】光量センサの構成を示す図である。
【図10】本発明の変形例に係るシステムの全体構成を示す図である。
【符号の説明】
【0073】
100…路面、200P…圧力センサ、300…情報提供装置、310…制御部、320…記憶部、330…無線通信部、340…表示部、1…基板、2…誘電体薄膜、3A,3B…櫛型電極、5A,5B…インピーダンスマッチング部、4A,4B…アンテナ、6A,6B…グランド、7…グランド電極、8…受圧部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面に設置されるとともに、所定の電波信号が供給されると、それをエネルギー源として周囲の物理量を反映した属性および識別情報を有する電波信号を生成して出力する複数のワイヤレス測定手段と、
前記複数のワイヤレス測定手段に所定の電波信号を送信する送信手段と、
前記複数のワイヤレス測定手段から出力される電波信号を受信する受信手段と、
前記ワイヤレス測定手段の位置と識別情報との対応関係を記憶した記憶手段と、
前記受信手段によって受信された電波信号から前記物理量を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された物理量の分布を前記識別情報に基づき前記記憶手段の記憶内容を参照して認識する認識手段と、
前記認識手段によって認識された物理量の分布に基づいて、前記路面上の物体の状態を検知する検知手段と、
前記検知手段によって検知された物体の状態に基づいて、予め定められた制御を行う制御手段と
を備えることを特徴とする制御システム。
【請求項2】
前記物理量は、圧力、光量、温度の少なくともいずれかひとつであることを特徴とする請求項1記載の制御システム。
【請求項3】
情報を表示する表示手段を備え、
前記制御手段は、前記検知手段によって検知された物体の状態に基づいて、前記表示手段に表示する情報の内容を変更することを特徴とする請求項1または2記載の制御システム。
【請求項4】
前記認識手段は、前記算出手段によって算出された物理量を予め記憶されたデータと比較することによって、物体の有無、物体の位置、物体の重量の少なくともいずれかひとつを認識し、
前記検知手段は、前記認識手段によって認識された物体の有無、物体の位置、物体の重量の少なくともいずれかひとつに基づいて、前記路面上の物体の状態を検知する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の制御システム。
【請求項5】
前記認識手段は、前記算出手段によって算出された物理量の分布に基づいて、物理量の経時変化を認識し、
前記検知手段は、前記認識手段によって認識された物理量の経時変化に基づいて、前記路面上の物体の状態を検知する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の制御システム。
【請求項6】
前記路面は、道路面、床面、床材、敷設用マット、壁面の少なくともいずれかひとつであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の制御システム。
【請求項7】
前記送信手段と前記受信手段と前記算出手段と前記認識手段と前記検知手段とが、前記路面から離れて設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の制御システム。
【請求項8】
前記物体は人、車両の少なくともいずれか一方であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の制御システム。
【請求項9】
前記ワイヤレス測定手段は、電波信号を受信して機械振動を発生させる励振部と、
前記励振部が発生した機械振動が伝達されて弾性表面波を発生するとともに、前記弾性表面波の属性が前記物理量によって変化する振動媒体部と、
前記弾性表面波を電気信号に変換して電波信号として出力する送信部と
を備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の制御システム。
【請求項10】
所定の電波信号が供給されると、それをエネルギー源として周囲の物理量を反映した属性を有する電波信号を生成して出力するワイヤレス測定手段を複数備える
ことを特徴とする路面。
【請求項11】
前記ワイヤレス測定手段は、電波信号を受信して機械振動を発生させる励振部と、
前記励振部が発生した機械振動が伝達されて弾性表面波を発生するとともに、前記弾性表面波の属性が前記物理量によって変化する振動媒体部と、
前記弾性表面波を電気信号に変換して電波信号として出力する送信部と
を備えることを特徴とする請求項10記載の路面。
【請求項12】
路面に備えられた複数のワイヤレス測定手段に所定の電波信号を送信する送信手段と、
前記複数のワイヤレス測定手段から出力される電波信号を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された電波信号から前記物理量を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された物理量の分布を認識する認識手段と、
前記認識手段によって認識された物理量の分布に基づいて、前記路面上の人の状態を検知する検知手段と、
前記検知手段によって検知された物体の状態に基づいて、予め定められた制御を行う制御手段と
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項1】
路面に設置されるとともに、所定の電波信号が供給されると、それをエネルギー源として周囲の物理量を反映した属性および識別情報を有する電波信号を生成して出力する複数のワイヤレス測定手段と、
前記複数のワイヤレス測定手段に所定の電波信号を送信する送信手段と、
前記複数のワイヤレス測定手段から出力される電波信号を受信する受信手段と、
前記ワイヤレス測定手段の位置と識別情報との対応関係を記憶した記憶手段と、
前記受信手段によって受信された電波信号から前記物理量を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された物理量の分布を前記識別情報に基づき前記記憶手段の記憶内容を参照して認識する認識手段と、
前記認識手段によって認識された物理量の分布に基づいて、前記路面上の物体の状態を検知する検知手段と、
前記検知手段によって検知された物体の状態に基づいて、予め定められた制御を行う制御手段と
を備えることを特徴とする制御システム。
【請求項2】
前記物理量は、圧力、光量、温度の少なくともいずれかひとつであることを特徴とする請求項1記載の制御システム。
【請求項3】
情報を表示する表示手段を備え、
前記制御手段は、前記検知手段によって検知された物体の状態に基づいて、前記表示手段に表示する情報の内容を変更することを特徴とする請求項1または2記載の制御システム。
【請求項4】
前記認識手段は、前記算出手段によって算出された物理量を予め記憶されたデータと比較することによって、物体の有無、物体の位置、物体の重量の少なくともいずれかひとつを認識し、
前記検知手段は、前記認識手段によって認識された物体の有無、物体の位置、物体の重量の少なくともいずれかひとつに基づいて、前記路面上の物体の状態を検知する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の制御システム。
【請求項5】
前記認識手段は、前記算出手段によって算出された物理量の分布に基づいて、物理量の経時変化を認識し、
前記検知手段は、前記認識手段によって認識された物理量の経時変化に基づいて、前記路面上の物体の状態を検知する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の制御システム。
【請求項6】
前記路面は、道路面、床面、床材、敷設用マット、壁面の少なくともいずれかひとつであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の制御システム。
【請求項7】
前記送信手段と前記受信手段と前記算出手段と前記認識手段と前記検知手段とが、前記路面から離れて設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の制御システム。
【請求項8】
前記物体は人、車両の少なくともいずれか一方であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の制御システム。
【請求項9】
前記ワイヤレス測定手段は、電波信号を受信して機械振動を発生させる励振部と、
前記励振部が発生した機械振動が伝達されて弾性表面波を発生するとともに、前記弾性表面波の属性が前記物理量によって変化する振動媒体部と、
前記弾性表面波を電気信号に変換して電波信号として出力する送信部と
を備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の制御システム。
【請求項10】
所定の電波信号が供給されると、それをエネルギー源として周囲の物理量を反映した属性を有する電波信号を生成して出力するワイヤレス測定手段を複数備える
ことを特徴とする路面。
【請求項11】
前記ワイヤレス測定手段は、電波信号を受信して機械振動を発生させる励振部と、
前記励振部が発生した機械振動が伝達されて弾性表面波を発生するとともに、前記弾性表面波の属性が前記物理量によって変化する振動媒体部と、
前記弾性表面波を電気信号に変換して電波信号として出力する送信部と
を備えることを特徴とする請求項10記載の路面。
【請求項12】
路面に備えられた複数のワイヤレス測定手段に所定の電波信号を送信する送信手段と、
前記複数のワイヤレス測定手段から出力される電波信号を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された電波信号から前記物理量を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された物理量の分布を認識する認識手段と、
前記認識手段によって認識された物理量の分布に基づいて、前記路面上の人の状態を検知する検知手段と、
前記検知手段によって検知された物体の状態に基づいて、予め定められた制御を行う制御手段と
を備えることを特徴とする制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2006−268374(P2006−268374A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−84901(P2005−84901)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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