説明

制御弁の駆動機構

【課題】例えば空気ばね2への加圧空気の給排を行うレベリングバルブVにおいて、その駆動機構4に工夫を凝らし、レバー部材40の回動の際に生じるピストン31の端面との摩擦抵抗を減らして、長期間に亘りスムーズな作動を実現する。
【解決手段】レバー部材40の基端部が、バルブ本体3のハウジング30に設けられたヒンジ部材によって上下に回動可能に支持されている。レバー部材40はその先端部に被支持体の荷重を受けて回動し、基端側寄りの部位に配設されている鋼球43によってピストン31の上端面を押圧する。鋼球43は、球面ボールベアリング44を介して任意の方向に回動可能に支持されている。中立位置において鋼球43の中心は、レバー部材40の基端部の回動中心xと略同じ高さになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば気体ばねにより支持される被支持体の高さを一定に維持するように、当該気体ばねに気体を給排するレベリングバルブのような制御弁に関連し、特にそれを駆動するための機械的な構造に係る。
【背景技術】
【0002】
従来より例えば光学機器等、振動を嫌う精密機器を定盤上に設置して、複数の空気ばねにより弾性的に支持するようにした除振台は知られている。その定盤を水平に保ち、且つ高さを一定に維持するための調整(レベリング調整)は、個々の空気ばねへの加圧空気の給排によって行われる。すなわち、一例として特許文献1、2に開示されるように、個々の空気ばねには、それが支持する定盤の高さに応じて空気の供給、排気を切換えるように機械式のレベリングバルブが付設されている。
【0003】
例えば特許文献1のものでは、同文献の図1に示されるように円筒状のバルブ本体7の上端からピストン19の上部が突出し、その近傍に設けられたブラケット22には、支軸23を介してレバー24の基端部が回動可能に支持されている。また、レバー24の途中に固定された作動ピン25の下端がピストン19の上端面に当接する一方、レバー24の先端部に固定された当接棒26(同文献の図5参照)の上端は除振台の下面に当接している。
【0004】
そして、例えば機器の作動に伴い何れかの空気ばね2の分担荷重が増大し、その支持高さが低くなれば、レバー24が下向きに回動してピストン19が押し下げられ、これにより弁体(開閉弁16)が移動して、加圧空気が圧力容器3に供給されるようになる。反対に支持高さが高くなればレバー24は持ち上がり、空気ばね2の圧力容器3からは空気が排出されるようになる。このように空気の給排が繰り返されることによって、空気ばねによる定盤の支持高さが一定に維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平8−7157号公報
【特許文献2】実用新案登録第3116309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで近年、重量物であるワークの移動を伴うステージが搭載された装置も除振台上に設置されるようになり、空気ばねの分担荷重の変化が激しくなることに対応して、レベリングバルブの作動頻度が高くなり、ピストンの作動量も増大する傾向がある。そうした大きな荷重変動に対して速やかに空気を給排するためにも、ピストンの作動量は大きくならざるを得ない。
【0007】
しかし、そうしてピストンの作動量が大きくなると、例えば特許文献1の図2〜4に示されているようにレバー部材24の回動角度が大きくなって、作動ピン25がピストン19の上端面を抉るように大きく摺動することになるから、摩擦抵抗が大きくなることは避けられない。
【0008】
また、そうした作動ピン25の摺動によりピストン19の上端面が摩耗し、その摩耗粉が噛み込むと摩擦抵抗が急増して、ピストン19のスムーズな作動を妨げるようになる。長期間の使用によって摩耗が進めば、作動ピン25の下端がピストン19の上端面に引っかかって、作動不良を引き起こす虞れもある。
【0009】
本発明は、斯かる新規な問題点に着目してなされたもので、その目的は、レベリングバルブのように気体を給排する制御弁の駆動機構に工夫を凝らし、レバー部材の揺動(回動)に伴うピストン端面との摩擦抵抗を減らして、長期間に亘りスムーズな作動を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明では、レバー部材とピストンの端部との当接する部位に球状体を、球面軸受け等を介して任意の方向に転動可能に設けたものである。
【0011】
具体的に請求項1の発明では、被支持体の荷重を受ける気体ばねに接続されて、気体を給排する給排口と、圧力源から気体が供給される給気口と、前記気体ばねから排出された気体を排気するための排気口と、を備えた制御弁の駆動機構が対象であって、この制御弁は、ハウジングに収容された弁体の移動によって、前記給気口及び給排口を連通する給気位置と、該給排口及び排気口を連通する排気位置と、該両位置の中間で気体の給排を行わない中立位置と、に切換えられるものとする。
【0012】
そして、前記駆動機構では、前記制御弁のハウジングに基端部が回動自在に支持される一方、先端部に前記被支持体の荷重を受けて、前記弁体の移動方向に回動するようにレバー部材が設けられており、このレバー部材と、前記弁体と連動するピストンの端部とが、それら双方に対し任意の方向に転動可能な球状体を介して当接している。
【0013】
前記の構成により、被支持体からの荷重が増大して気体ばねが圧縮されたり、反対に荷重が減少して気体ばねが拡張するときには、これに応じてレバー部材がその基端部の周りに回動し、従来までと同様にピストンを作動させるようになる。そして、このピストンの作動によって弁体が移動し、気体ばねへの気体の給排が行われる。
【0014】
そうして回動するレバー部材とピストンの端部との当接部位には、それら双方に対して任意の方向に転動可能に球状体が配設されており、これがレバー部材ないしピストンのいずれかに対して摺動しながら転動するようになるので、その摩擦抵抗が従来比で大幅に減少しスムーズな作動が実現する。しかも、摺動による摩耗が大幅に減少し、さらに摩耗粉があっても球状体の転動は妨げられないこともあり、長期間に亘って使用しても作動不良の起きる心配はない。
【0015】
好ましくは、前記レバー部材の基端側寄りの部位に前記球状体を球面軸受けを介して、前記ピストンの端面に当接するように支持することであり(請求項2)、こうすれば、制御弁のピストンに加工等を施す必要がない。レバー部材の回動に伴い球状体は、ピストンの端面上を摺動しつつ転動するようになるが、この際、球状体が大きいほど摩擦抵抗を減らすのに有利になる。球状体が大きいほどピストン端面との間の面圧も小さくなるので、このことも摩擦抵抗、摩耗の軽減には好ましい。
【0016】
より好ましいのは前記球面軸受けとして、球状体とその外周を支持する球面状の荷重受け面との間に複数のボールが転動自在に介在されている、球面ボールベアリングを用いることであり、こうすれば摩擦抵抗を可及的に小さくすることができる(請求項3)。
【0017】
また、好ましいのは、レベリングバルブのように弁体やピストンが上下方向に移動する場合に、中立位置においてピストンの上端面に当接する前記球状体の高さを、その下端から上端までの間にレバー部材の基端部の回動中心高さが含まれるように、即ち双方の高さが概ね同じになるように設定することである(請求項4)。こうすると、幾何学的にレバー部材の回動に伴う球状体のピストン端面上の摺動量が小さくなって、摩擦抵抗、摩耗の軽減に有利になる。
【0018】
すなわち、制御弁が中立位置にあるときに、レバー部材に設けられた球状体の中心と、その基端部の回動中心とが概ね同じ高さになれば、そこからレバー部材が上下に回動して球状体の中心が上下に移動するときに、その上下動の大きさに対する水平方向への変位量、即ち球状体のピストン端面上での摺動量が小さくなるからである(図4を参照)。この意味で特に好ましいのは、双方の高さが一致することである。
【0019】
さらに、好ましいのは、前記レバー部材の基端部の回動中心を、制御弁のハウジングの端面外周よりも外方に位置づけることである(請求項5)。これは、レバー部材の回動中心から球状体までの間隔が比較的大きいということであり、球状体によるピストンの作動量が同じであれば、レバー部材の上下の回動角が相対的に小さくなって、その分、球状体のピストン端面上での摺動量が小さくなるのである。また、レベリングバルブの場合は、レバー部材の軸支部から発生する摩耗粉のピストンへの付着を防止できるというメリットもある。
【発明の効果】
【0020】
以上より、本発明に係る制御弁の駆動機構によると、例えばレベリングバルブのように気体の給排を行う制御弁において、被支持体からの荷重を受けて回動するレバー部材とピストンの端部との間に、球状体を球面軸受けにより任意の方向に回動可能に設けたから、レバー部材の回動に伴うピストン端面との摩擦抵抗を大幅に減少させて、長期間に亘りスムーズに作動させることができる。
【0021】
レベリングバルブの場合は、その中立位置においてピストンの上端面に当接する球状体の高さを、レバー部材の基端部の回動中心の高さと概ね同じに設定することで、該球状体のピストン上端面上における摺動量を小さくすることができ、摩擦抵抗、摩耗の軽減に有利になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る空気ばね及びレベリングバルブの正面図である。
【図2】同レベリングバルブの斜視図である。
【図3】球面ボールベアリングを拡大してその構造を示す断面図である。
【図4】レバー部材の回動中心高さを変更して、ピストン上端面における鋼球の摺動量の変化を誇張して示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0024】
図1及び2は、本発明の実施形態に係るレベリングバルブV(制御弁)を示し、このレベリングバルブVは、例えば液晶関連製造装置等の機器(図示せず)が搭載される定盤1を通常、3個以上の空気ばね2(気体ばね)によって弾性的に支持するようにした除振台において、被支持体である機器及び定盤1の高さが概略一定に保たれるように、それぞれの空気ばね2に対して空気の供給又は排気を行うものである。
【0025】
図1に一例として示すように空気ばね2は、全体として四角柱状のケース20の上壁に断面円形の開口部20aを設けて、ここに厚肉円板状のピストン21を内挿するとともに、このピストン21の外周からケース20の開口部周縁までを閉塞するようにゴム弾性膜からなる環状のダイヤフラム22を配設して、このダイヤフラム22によりピストン21を保持しつつケース20の内部に空気室を形成したものである。ダイヤフラム22の外周部は、ケース20の上壁とその上の締結リング23とによって挟持されている。
【0026】
そうしてケース20内に形成される空気室には所定の高圧状態で空気が充填されており、この空気の圧力によってピストン21が弾性的に支持されて、上方から作用する定盤1及び機器の荷重を受け止めるようになっている。こうして空気の圧力によって荷重を支持することにより、定盤1及び機器を床振動から略遮断した状態で支承することができる。尚、空気ばね2の構造は前記のものに限らず、ダイヤフラム22に代えてベローズを用いることもできる。また、ケース20を備えず、基板の上に配設したベローズの上部に平板状の天板を備えた、所謂ベローズ型の空気ばねを用いてもよい。
【0027】
前記のような空気ばね2に付設されているレベリングバルブVは、バルブ本体3とその上部に取り付けられた駆動機構4とからなる。図の例ではバルブ本体3は、上下に延びる円筒状のハウジング30と、このハウジング30の上端から上方に突出し且つ上下に進退可能に設けられた円柱状のピストン31とを備えており、このピストン31の上下動に応じてその下端に連なるスプール32が移動し、空気ばね2に空気を供給する給気位置と、そこから空気を排出する排気位置と、空気の給排を行わない中立位置とに切換えられる。
【0028】
すなわち、図の例ではハウジング30の周壁に、空気ばね2との間で空気の供給、排出を行うための給排口30aと、図外の空気圧源(圧力源)から加圧された空気が供給される給気口30bと、空気ばね2から排出された空気を排気するための排気口30cとが開口している。給排口30aには33を介して、U字状チューブ34の一端が接続され、このチューブ34の他端は空気ばね2の筐体側壁に設けられた35に接続されてて、その内部の通路が空気室に連通している。
【0029】
また、前記給気口30bには36が配設されていて、図外の空気圧ポンプやリザーバタンク等の空気圧源から加圧空気を供給するためのチューブ37が接続されている。尚、図の例では排気口30cには等は配設されておらず、大気開放されている。
【0030】
斯かる構造のバルブ本体3は、スプール32が中立位置にあれば給排口30aと給気口30b及び排気口30cとが遮断されて、給気も排気も行わない状態になり、そこからピストン31の下降によりスプール32が下方に移動すれば、給排口30aと給気口30bとが連通されて、空気圧源からの空気を空気ばね2に供給するようになる。反対にピストン31が上昇し、スプール32が中立位置から上方に移動すれば、給排口30aと排気口30cとが連通されて、空気ばね2からの空気が大気中に放出されるようになる。
【0031】
そして、そのようなピストン31の作動による給排気の切換えが、定盤1の上下方向の変位に連動して起きるように、前記駆動機構4には、定盤1の変位によって直接、上下に回動されてピストン31を作動させるレバー部材40が設けられている。図の例ではレバー部材40は、金属製角棒材からなり、その基端(図の右端)部がブラケット41を介してバルブ本体3のハウジング30の上部に回動自在に支持されている。一方、レバー部材40の先端(図の左端)部には、ネジ孔40a(図2のみ示す)を貫通して上下方向に延びるようにレベル調整ネジ42が取り付けられていて、その上端が定盤1の下面に当接している。
【0032】
前記ブラケット41は、矩形状のベース板41aと、その長手方向の一端(図の右端)部上面に配設された上下一対のブロック41b,41cからなるヒンジ部材と、を備えている。ベース板41aは、バルブ本体3を空気ばね2に取り付けるための取付ブラケット5と一緒にハウジング30の上端面に重ね合わされて、締付リング38により共締めされている。取付ブラケット5は、概略矩形状のベース板50と、その一縁に溶接された横長の側板51とからなり、ベース板50の左右にはみ出す側板51の左右両側部にそれぞれボルト穴が開口している。
【0033】
一方、ブラケット41のベース板41aには、締付リング38によってハウジング30に締結される部位から外方に延びて、取付ブラケット5のベース板50からはみ出すように延出部が形成され、この延出部に前記ヒンジ部材の下側ブロック41cが載置されて、ネジ41dにより締結されている。このヒンジ部材の上下のブロック41b,41c同士はピン41eにより回動自在に連結されていて、上側のブロック41bの上面にはレバー部材40の基端部が重ね合わされて、ネジ41fにより締結されている。
【0034】
そうしてヒンジ部材の上下のブロック41b,41c同士を連結するピン41eの軸心xが、レバー部材40の基端部の回動中心であって、この回動中心xは、図1に示すようにバルブ本体3のハウジング30の上端面外周よりも外方に位置している。
【0035】
また、この実施形態では、前記レバー部材40の基端側寄りの部位に、ピストン31の上端面に当接するように鋼球43(球状体)が配設されている。すなわち、ピストン31の上方に対応するレバー部材40の所定部位には球面ボールベアリング44のハウジング44aがナット45により締結され、このハウジング44a内に収容されて鋼球43は、方向に回動可能に支持されている。そして、後述の如くレバー部材40が上下に揺動(回動)すると、鋼球43はピストン31の上端面上を摺動しながら転動するようになる。
【0036】
すなわち、球面ボールベアリング44は、図3に拡大してその断面構造を示すように、概略円柱状で下方に碗状の開口部が設けられたハウジング44aと、これに下方から組み付けられるカバー44bとを備え、内部に鋼球43を収容するとともに、この鋼球43の上半部の外周面とこれに対向する開口部の球面状内周面(荷重受け面)との間に多数のボール44c,44c,…を転動可能に配置したものである。この構造により鋼球43は十分に大きな荷重を支持しながらスムーズに転動することができる。
【0037】
尚、ピストン31の上端面上を摺動しつつ転動する鋼球43は、それが大きいほど摩擦抵抗を減らすのには有利になる。また、鋼球43が大きいほど、ピストン31上端面との間の面圧も小さくなり、このことも摩擦抵抗、摩耗の軽減には好ましい。
【0038】
さらに、この実施形態のレベリングバルブVは、給気も排気も行わない中立位置において、図1に示すようにレバー部材40が略水平になり、前記のようにピストン31の上端面に当接する鋼球43の中心が概ね、レバー部材40の基端部におけるピン41eの軸心x、即ちこのレバー部材40の回動中心xと同じ高さになっている。このことは、レバー部材40の揺動によって鋼球43が上下に移動するときに、これに伴う水平方向への変位、即ち鋼球43のピストン31上端面上での摺動量が比較的小さくなることを意味する。
【0039】
詳しくは図4に誇張して示すが、仮に同図(b)に破線で示すように中立位置のときの鋼球43の中心位置が、レバー部材40の回動中心xよりも低いとすると、同図に実線で示すようにレバー部材40が下方に回動して、鋼球43によりピストン(同図には示さず)が所定量Dだけ押し下げられるとき、これに伴い鋼球43は水平方向にも比較的大きく変位するようになる(図示のd)。これは、ピストン31の上端面における鋼球43の摺動量がかなり大きくなることを意味する。
【0040】
これに対し、この実施形態では、同図(a)のように中立位置で鋼球43の中心がレバー部材40の回動中心xと同じ高さにあるので、レバー部材40が前記と略同じ角度θ(厳密には少し大きい)だけ下方に回動し、鋼球43によりピストンが前記と同じ量Dだけ押し下げられるときに、これに伴う鋼球43の水平方向変位d、即ちピストン31の上端面における鋼球43の摺動量が極小化されて、摩擦抵抗、摩耗が軽減されるのである。
【0041】
尚、そうしてピストン31上端面上の鋼球43の摺動量を極小化するには、前記の如く鋼球43の中心とレバー部材40の回動中心xとの高さを同じにするのがよいが、これに限定されるものではなく、例えば鋼球43の上端から下端までの間に回動中心xの高さが含まれるようにすれば、或る程度の効果が期待できる。
【0042】
加えて、そのようにレバー部材40の回動によってピストン31を上下に作動させる際に、その上端面における鋼球43の摺動量をできるだけ小さくするという観点からは、この実施形態のようにレバー部材40の回動中心xが、バルブ本体3のハウジング30の上端面外周よりも外方に位置していることも有利に働く。
【0043】
すなわち、レバー部材40の回動中心xが、バルブ本体3のハウジング30の上端面外周よりも外方に位置しているということは、ピストン31の上端面に当接する鋼球43からレバー部材4の回動中心xまでの間隔が比較的大きいということであり、これは幾何学的に、ピストン31の上下の作動量が同じであればレバー部材40の回動角(図4のθ)が相対的に小さくなることを意味し、このことによってもピストン31の上端面における鋼球43の摺動量が小さくなるのである。
【0044】
しかも、そうしてレバー部材40の回動中心xをバルブ本体3の上端面から遠ざければ、レバー部材40の作動に伴いその軸支部、即ちヒンジ部材のピン41e周り等において発生する摩耗粉が、ピストン31の上端面に付着したり或いは該ピストン31とハウジング30との間に入り込んだして、不具合を引き起こす心配もない。
【0045】
したがって、この実施形態に係る除振装置において例えば定盤1上の機器の作動に伴いその重心位置が水平方向に変化して、該定盤1を支える空気ばね2,2,…の分担荷重が大きく変化するときには、従来一般的なレベリングバルブと同様に、分担荷重が増大して支持高さの低くなった空気ばね2おいてはレベリングバルブVのレバー部材40が下方へ回動し、バルブ本体3のピストン31を押し下げて給気位置に切り換わり、空気ばね2に加圧空気を供給するようになる。
【0046】
一方、分担荷重が減少して支持高さの高くなった空気ばね2では、レベリングバルブVのレバー部材40が上方へ回動してピストン31が上昇し、排気位置に切り換わって空気ばね2から排気するようになる。
【0047】
そうして上下に揺動するレバー部材40は、球面ボールベアリング44に支持された鋼球43を介してピストン31の上端面を押圧するようになっており、この鋼球43はピストン31の上端面上を摺動しながら転動するようになるので、摩擦抵抗の小さなスムーズな作動が実現する。この結果、ピストン31上端面の摩耗も非常に少なくなるし、仮に摩耗粉があっても鋼球43の転動は妨げられないことから、長期間に亘って前記のようなスムーズな作動を実現できる。
【0048】
しかも、この実施形態では、上述したように、レベリングバルブVのレバー部材40の回動中心xを鋼球43の中心と同じ高さに位置づけ、且つバルブ本体3のハウジング30の上端面外周よりも外方に位置づけることによって、ピストン31の上下の作動に付随してその上端面上を摺動する鋼球43の摺動量を極力、小さくすることができ、このことによっても摩擦抵抗、摩耗を軽減できるものである。
【0049】
尚、前記の実施形態においてレバー部材40に鋼球43を保持する球面ボールベアリング44に代えて、球面滑り軸受けを用いてもよい。
【0050】
また、鋼球43や球面ボールベアリング44等をレバー部材40ではなく、ピストン31の上部に配設し、鋼球43をレバー部材40の下面に当接させるようにしてもよい。
【0051】
さらに、前記の如くレバー部材40が上下に揺動(回動)するレベリングバルブに限定されず、それ以外の制御弁にも本発明は適用可能であるし、空気ばね2の代わりに例えば窒素ガスを充填するなどした他の気体ばねを用いてることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上、説明したように本発明によると、摩擦抵抗を減らしてレバー部材によるピストンのスムーズな作動を長期間に亘って実現できるので、例えば除振台の空気ばねに付設されるレベリングバルブに好適である。
【符号の説明】
【0053】
V レベリングバルブ(制御弁)
1 定盤(被支持体)
2 空気ばね(気体ばね)
3 バルブ本体
30 ハウジング
30a 給排口
30b 給気口
30c 排気口
31 ピストン
32 スプール(弁体)
4 駆動機構
40 レバー部材
43 鋼球(球状体)
44 球面ボールベアリング(球面軸受け)
x レバー部材の回動中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被支持体の荷重を受ける気体ばねに接続されて、気体を給排する給排口と、圧力源から気体が供給される給気口と、前記気体ばねから排出された気体を排気するための排気口と、を備えた制御弁の駆動機構であって、
前記制御弁は、ハウジングに収容された弁体の移動によって、前記給気口及び給排口を連通する給気位置と、該給排口及び排気口を連通する排気位置と、該両位置の中間で気体の給排を行わない中立位置と、に切換えられるものであり、
基端部が前記ハウジングに回動自在に支持される一方、先端部に前記被支持体の荷重を受けて、前記弁体の移動方向に回動するようにレバー部材が設けられ、
当該レバー部材と、前記弁体と連動するピストンの端部とが、それら双方に対し任意の方向に転動可能な球状体を介して当接していることを特徴とする制御弁の駆動機構。
【請求項2】
前記レバー部材の基端側寄りの部位には前記球状体が球面軸受けを介して、前記ピストンの端面に当接するように支持されている、請求項1に記載の制御弁の駆動機構。
【請求項3】
前記球面軸受けは、球状体とその外周を支持する球面状の荷重受け面との間に複数のボールが転動自在に介在された球面ボールベアリングである、請求項2に記載の制御弁の駆動機構。
【請求項4】
前記制御弁は、弁体及びピストンが上下方向に移動するように配設され、中立位置にあるときに前記ピストンの上端面に当接する前記球状体の高さが、その下端から上端までの間に前記レバー部材基端部の回動中心の高さを含むように設定されている、請求項2又は3のいずれかに記載の制御弁の駆動機構。
【請求項5】
前記レバー部材基端部の回動中心が、前記制御弁のハウジングの端面外周よりも外方に位置づけられている、請求項1〜4のいずれか1つに記載の制御弁の駆動機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−74930(P2011−74930A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223997(P2009−223997)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000201869)倉敷化工株式会社 (282)
【Fターム(参考)】