説明

制御弁

【課題】駆動部側の内圧が変化した場合、または、弁室側の圧力が変化した場合にも、これらの圧力変化を抑えることができ、圧力変化による弁の作動特性への影響を抑えることが可能で、しかも、弁体の駆動機構であるプランジャーに水分が付着して凍結して、弁機能が阻害されるのを効果的に防止することができる制御弁を提供する。
【解決手段】弁体52には、弁室20と駆動部22とを気密に分離するための分離膜部材が装着され、分離膜部材の分離膜部54は、平坦な平面を有する固定部材60に当接しており、分離膜部材の弁体部56と分離膜部との間に、圧力変化によって半径方向に伸縮自在な感圧部51を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を制御する制御弁に関し、例えば、燃料電池システムの湿潤流体流路に配置され、湿潤流体を制御するのに好適な制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、燃料電池自動車の燃料電池システムにおける湿潤流体流路に配置される排出弁など、水蒸気などの多量の水分を含有する湿潤流体を制御する制御弁では、湿潤流体中の水分がプランジャーなどに付着することがある。
【0003】
この場合に、システム停止後に低温下に放置した場合には、プランジャーに付着した水分が凍結することにより、プランジャーが作動不能となるおそれがあり、その結果、制御弁が機能しなくなり、システム全体が影響を受けるおそれがある。
【0004】
このため、特許文献1(特開2008−232352号公報)では、湿潤流体が流れる弁室と、プランジャーなどが収容された駆動部とをダイアフラムによって気密に分離して、プランジャーに水分が付着することを防止する電磁弁が開示されている。
【0005】
図21は、この特許文献1の電磁弁の概略を示す縦断面図である。
すなわち、この特許文献1の制御弁100は、弁本体102を備えており、この弁本体102には、流体が流入する入口ポート104と、流体が流出する出口ポート105と、この入口ポート104から流入した流体が通過する弁ポート106が形成された弁座108と、弁室110とが形成されている。
【0006】
この弁本体102の上部には、駆動部112が、締結部材114によって固定されている。この駆動部112は、プランジャーチューブ116を備えており、このプランジャーチューブ116の内部に、プランジャー118が軸方向に移動自在に収容されている。
【0007】
また、プランジャーチューブ116の上端部には、吸引子120が装着されている。そして、プランジャー118と吸引子120との間に、プランジャーバネ122が圧縮状態で介装され、プランジャー118を吸引子120から離間する方向に付勢するように構成されている。
【0008】
さらに、プランジャー118の下端には、インサート金具124と一体の弁棒部材126が固着されている。
一方、プランジャーチューブ116の外周には、吸引子120の上部に形成された締結ネジ130に、ナット132を締め付けることによって、電磁コイル136が外函部材134とともに固定されている。
【0009】
さらに、弁棒部材126の下端には、弁室110と、駆動部112に形成された駆動空間140との間を気密に分離するための分離膜部材であるダイアフラム弁体142が装着されている。このダイアフラム弁体142は、分離膜部144と、弁体部146とを備えており、分離膜部144の外周部に形成した固定部148を、弁本体102と駆動部112との間に介装した略リング形状の固定金具150と弁本体102との間で挟持することによって固定されている。
【0010】
また、固定金具150の下面には、テーパー形状のフラム受けテーパー面152が形成されており、これにより、ダイアフラム弁体142の弁体部146が弁座108から離間する方向に移動する際に、ダイアフラム弁体142の分離膜部144がフラム受けテーパー面152に当接するまで変位し、弁体部146に追随するように構成されている。
【0011】
このように構成される従来の制御弁100では、電磁コイル136に通電することによって、プランジャーバネ122の付勢力に抗して、プランジャー118が吸引子120の方向に移動し、プランジャー118に固定された弁棒部材126が上方に移動して、弁棒部材126の下端に装着されたダイアフラム弁体142の弁体部146が、弁座108から離間して、弁座108に形成された弁ポート106が開放されるようになっている。
【0012】
一方、電磁コイル136への通電を停止することによって、プランジャーバネ122の付勢力によって、プランジャー118が吸引子120から離間する方向に移動し、プランジャー118に固定された弁棒部材126が下方に移動して、弁棒部材126の下端に装着されたダイアフラム弁体142の弁体部146が、弁座108に当接して、弁座108に形成された弁ポート106が閉止されるようになっている。
【0013】
このような開閉動作の際にも、ダイアフラム弁体142によって、弁室110と、駆動部112に形成された駆動空間140との間が気密に分離され、これにより、弁室110を流れる湿潤流体の水蒸気などの水分が、駆動空間140に浸入して、弁体の駆動機構であるプランジャー118に水分が付着して凍結し、弁機能が阻害されるのが防止されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2008−232352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、このような従来の制御弁100では、駆動部112に形成された駆動空間140がダイアフラム弁体142で密閉されているので、雰囲気温度の変化などによって、駆動部112に形成された駆動空間140側の内圧が変化した場合、または、弁室110側の圧力が変化した場合に、図21で示したように、その圧力変化ΔPを、ダイアフラム弁体142の分離膜部144の有効受圧径φF(有効面積:Af)で受けることになる。
【0016】
この際、ダイアフラム弁体142の分離膜部144には、「Af×ΔP」の荷重が発生し、弁の作動特性に変化を与える。このため、雰囲気の温度変化などにより、弁の作動特性が変化してしまい、弁が正常に作動しないおそれがあった。
【0017】
すなわち、外気温の上昇や、電磁コイル136への長時間の通電によって駆動空間112の温度が上昇することがあり、これにより駆動部112に形成された駆動空間140の内圧が上昇することがある。
【0018】
このように、駆動空間140の内圧が上昇した状態では、ダイアフラム弁体142の分離膜部144には、前述の「Af×ΔP」の大きさの弁閉方向の荷重が作用しているので、常温時での作動電圧(電流)を電磁コイル136に印加しても、制御弁が作動せず、「Af×ΔP」の荷重に打ち勝つ分だけ、電磁コイル136に印加する作動電圧(電流)を大きくしなければならなかった。
【0019】
また、逆に、寒冷地などで雰囲気の温度が低下した場合には、駆動部112に形成された駆動空間140の内圧が低下し負圧になることがある。また、内部流体の圧力の増加により、弁室110側の圧力が上昇することもある。
【0020】
この場合、電磁コイル136への通電を停止することによって、ダイアフラム弁体142の弁体部146が弁座108に当接して、弁座108に形成された弁ポート106を閉止した状態としているにもかかわらず、駆動部112に形成された駆動空間140の内圧の減少による圧力変化ΔP´により、ダイアフラム弁体142の分離膜部144には、「Af×ΔP´」の大きさの弁開方向の荷重が作用し、弁座108に形成された弁ポート106が開放してしまう誤動作が生じるおそれがあった。
【0021】
本発明は、このような現状に鑑み、駆動部側の内圧が変化した場合、または、弁室側の圧力が変化した場合にも、これらの圧力変化を抑えることができ、圧力変化による弁の作動特性への影響を抑えることが可能で、しかも、弁体の駆動機構であるプランジャーに水分が付着して凍結して、弁機能が阻害されるのを効果的に防止することができる制御弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の制御弁は、
流体が通過する弁ポートを有する弁座を備えた弁室と、
前記弁座に対して弁体を離接する方向に移動させる駆動部とを備え、
前記駆動部によって、弁体が弁座に対して離接する方向に移動して、弁体が弁座の弁ポートを開閉するように構成された制御弁であって、
前記弁体には、弁室と駆動部とを気密に分離するための分離膜部材が装着され、
前記分離膜部材の分離膜部は、平坦な平面を有する固定部材に当接しており、
前記弁体と分離膜部材の分離膜部との間に、圧力変化によって半径方向に伸縮自在な感圧部を形成したことを特徴とする。
【0023】
このように構成することによって、分離膜部材の分離膜部が、平坦な平面を有する固定部材に当接しているので、分離膜部材の分離膜部は、弁室側から圧力を受けても変位することがない。
【0024】
また、駆動部側の圧力変化に対しても、分離膜部材の分離膜部には、受圧面が存在しないので、分離膜部材の分離膜部は、駆動部側から圧力を受けても変位することがない。
しかも、分離膜部材の分離膜部と弁体部との間に、駆動部または弁室側の圧力変化によって半径方向に伸縮自在な感圧部を形成したので、駆動部側の圧力が上昇した際には、感圧部が半径方向外側に膨らみ、逆に、駆動部側の圧力が低下した際には、感圧部が半径方向内側に縮むことになる。
【0025】
これによって、駆動部側の内圧が変化した場合、または、弁室側の圧力が変化した場合にも、感圧部が半径方向に伸縮することによって、これらの圧力変化を抑えることができる。
【0026】
その結果、分離膜部材が、弁体の弁座に対して離接する方向への移動に影響を及ぼすことがなく、圧力変化による弁の作動特性への影響を抑えることが可能である。
しかも、弁室と駆動部とを気密に分離するための分離膜部材を有するので、弁体の駆動機構であるプランジャーに水分が付着して凍結して、弁機能が阻害されるのを効果的に防止することができる。
【0027】
また、弁体の弁座に対して離接する方向の動きに対して、感圧部が軸方向に伸縮することになるので、弁体の駆動に分離膜部材が追随して、弁体の機能を阻害することがない。
【0028】
また、本発明の制御弁は、前記分離膜部材が、分離膜部と、感圧部と、弁体を構成する弁体部とが一体に形成されている分離膜部材であることを特徴とする。
【0029】
このように構成することによって、分離膜部材が、分離膜部と、感圧部と、弁体を構成する弁体部とが一体に形成されている分離膜部材であるので、弁室と、駆動部に形成された駆動空間との間を気密に分離する効果に優れる。
【0030】
また、本発明の制御弁は、前記分離膜部材の感圧部が、弁棒部材の弁体を構成する弁体部に固着されていることを特徴とする。
【0031】
このように構成することによって、分離膜部材の感圧部が弁棒部材の弁体を構成する弁体部に固着されているので、分離膜部材の形状を簡素化でき、コストを低減することができる。
【0032】
また、本発明の制御弁は、前記分離膜部材の分離膜部と前記固定部材の平坦な平面とが固着されていることを特徴とする。
【0033】
このように、分離膜部材の分離膜部と固定部材の平坦な平面面とを、例えば、接着、溶着など、種々の固着方法により固着すれば、分離膜部が固定部材の平坦な平面から剥離するおそれがないため、感圧部の設定を容易に行うことができる。
【0034】
また、本発明の制御弁は、前記分離膜部材の感圧部が、軸方向の断面視で、半径方向に内側または外側に屈曲した屈曲部から構成されていることを特徴とする。
このように構成することによって、駆動部側の内圧が変化した場合、または、弁室側の圧力が変化した場合にも、感圧部の屈曲部が半径方向に伸縮する(屈曲度が変化する)ことによって、これらの圧力変化を抑えることができる。
【0035】
その結果、分離膜部材が、弁体の弁座に対して離接する方向への移動に影響を及ぼすことがなく、圧力変化による弁の作動特性への影響を抑えることが可能である。
また、弁体の弁座に対して離接する方向の動きに対して、感圧部の屈曲部が軸方向に伸縮する(屈曲度が変化する)ことになるので、弁体の駆動に分離膜部材が追随して、弁体の機能を阻害することがない。
【0036】
また、本発明の制御弁は、前記分離膜部材の感圧部が、軸方向の断面視で、蛇腹状に形成された屈曲部から構成されていることを特徴とする。
このように構成することによって、駆動部側の内圧が変化した場合、または、弁室側の圧力が変化した場合にも、感圧部の蛇腹状に形成された屈曲部が、軸方向の断面視で、半径方向に伸縮することによって、これらの圧力変化を抑えることができる。
【0037】
その結果、分離膜部材が、弁体の弁座に対して離接する方向への移動に影響を及ぼすことがなく、圧力変化による弁の作動特性への影響を抑えることが可能である。
また、弁体の弁座に対して離接する方向の動きに対して、感圧部の蛇腹状に形成された屈曲部が軸方向に伸縮することになるので、弁体の駆動に分離膜部材が追随して、弁体の機能を阻害することがない。
【0038】
また、本発明の制御弁は、前記蛇腹状の屈曲部が、中央部分の蛇腹の方が、両端部の蛇腹よりも、軸方向の断面視で、半径方向の凹凸距離が小さく形成されていることを特徴とする。
【0039】
このように蛇腹状の屈曲部が、中央部分の蛇腹の方が、両端部の蛇腹よりも、軸方向の断面視で、半径方向の凹凸距離が小さく形成されていれば、駆動部側の内圧が変化した場合、または、弁室側の圧力が変化した場合に、中央部分の蛇腹が半径方向に伸縮しやすく、これにより圧力変化を抑えることができる。
【0040】
また、本発明の制御弁は、前記分離膜部材の感圧部が、半径方向の断面視で、蛇腹状に形成された屈曲部から構成されていることを特徴とする。
このように構成することによって、駆動部側の内圧が変化した場合、または、弁室側の圧力が変化した場合にも、感圧部の蛇腹状に形成された屈曲部が、半径方向の断面視で、半径方向に伸縮することによって、これらの圧力変化を抑えることができる。
【0041】
その結果、分離膜部材が、弁体の弁座に対して離接する方向への移動に影響を及ぼすことがなく、圧力変化による弁の作動特性への影響を抑えることが可能である。
また、本発明の制御弁は、前記分離膜部材の感圧部の厚さが、分離膜部の厚さよりも小さく形成されていることを特徴とする。
【0042】
このように分離膜部材の感圧部の厚さが、分離膜部の厚さよりも小さく形成されていれば、駆動部側の内圧が変化した場合、または、弁室側の圧力が変化した場合に、分離膜部材の感圧部が、半径方向に伸縮しやすく、これにより圧力変化を抑えることができる。
【0043】
また、本発明の制御弁は、前記分離膜部材の感圧部が、分離膜部よりも柔らかい材料から形成されていることを特徴とする。
このように分離膜部材の感圧部が、分離膜部よりも柔らかい材料から形成されていれば、駆動部側の内圧が変化した場合、または、弁室側の圧力が変化した場合に、分離膜部材の感圧部が、半径方向に伸縮しやすく、これにより圧力変化を抑えることができる。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、分離膜部材の分離膜部が、平坦な平面を有する固定部材に当接しているので、分離膜部材の分離膜部は、弁室側から圧力を受けても変位することがない。
また、駆動部側の圧力変化に対しても、分離膜部材の分離膜部には、受圧面が存在しないので、分離膜部材の分離膜部は、駆動部側から圧力を受けても変位することがない。
【0045】
しかも、分離膜部材の分離膜部と弁体部との間に、駆動部または弁室側の圧力変化によって半径方向に伸縮自在な感圧部を形成したので、駆動部側の圧力が上昇した際には、感圧部が半径方向外側に膨らみ、逆に、駆動部側の圧力が低下した際には、感圧部が半径方向内側に縮むことになる。
【0046】
これによって、駆動部側の内圧が変化した場合、または、弁室側の圧力が変化した場合にも、感圧部が半径方向に伸縮することによって、これらの圧力変化を抑えることができる。
【0047】
その結果、分離膜部材が、弁体の弁座に対して離接する方向への移動に影響を及ぼすことがなく、圧力変化による弁の作動特性への影響を抑えることが可能である。
しかも、弁室と駆動部とを気密に分離するための分離膜部材を有するので、弁体の駆動機構であるプランジャーに水分が付着して凍結して、弁機能が阻害されるのを効果的に防止することができる。
【0048】
また、弁体の弁座に対して離接する方向の動きに対して、感圧部が軸方向に伸縮することになるので、弁体部の駆動に感圧部の変形が追随するため、弁体の変位を阻害することがない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は、本発明の制御弁の電磁弁の概略を示す縦断面図である。
【図2】図2は、図1の制御弁の弁開時の状態を説明する部分拡大図である。
【図3】図3は、図1の制御弁の弁閉時の状態を説明する部分拡大図である。
【図4】図4は、図1の制御弁の弁閉時の状態で、駆動部側の内圧が上昇した場合を説明する部分拡大図である。
【図5】図5は、図1の制御弁の弁閉時の状態で、駆動部側の内圧が低下した場合を説明する部分拡大図である。
【図6】図6は、本発明の別の実施例の制御弁の弁閉時の状態を説明する図3と同様な部分拡大図である。
【図7】図7は、本発明の別の実施例の制御弁のダイアフラム52の半径方向断面図である。
【図8】図8は、本発明の別の実施例の制御弁の電磁弁の概略を示す縦断面図である。
【図9】図9は、図8の制御弁の弁開時の状態を説明する部分拡大図である。
【図10】図10は、図8の制御弁の弁閉時の状態を説明する部分拡大図である。
【図11】図11は、図8の制御弁の弁閉時の状態で、駆動部側の内圧が上昇した場合を説明する部分拡大図である。
【図12】図12は、図8の制御弁の弁閉時の状態で、駆動部側の内圧が低下した場合を説明する部分拡大図である。
【図13】図13は、本発明の別の実施例の制御弁のダイアフラム52の軸方向断面図である。
【図14】図14は、本発明の別の実施例の制御弁の電磁弁の概略を示す縦断面図である。
【図15】図15は、図14の制御弁の部分拡大断面図である。
【図16】図16は、本発明の別の実施例の制御弁の電磁弁の概略を示す縦断面図である。
【図17】図17は、図16の制御弁の弁開時の状態を説明する部分拡大図である。
【図18】図18は、図16の制御弁の弁閉時の状態を説明する部分拡大図である。
【図19】図19は、図16の制御弁の弁閉時の状態で、駆動部側の内圧が上昇した場合を説明する部分拡大図である。
【図20】図20は、図16の制御弁の弁閉時の状態で、駆動部側の内圧が低下した場合を説明する部分拡大図である。
【図21】図21は、従来の電磁弁の概略を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
【実施例1】
【0051】
図1は、本発明の制御弁の電磁弁の概略を示す縦断面図、図2は、図1の制御弁の弁開時の状態を説明する部分拡大図、図3は、図1の制御弁の弁閉時の状態を説明する部分拡大図、図4は、図1の制御弁の弁閉時の状態で、駆動部側の内圧が上昇した場合を説明する部分拡大図、図5は、図1の制御弁の弁閉時の状態で、駆動部側の内圧が低下した場合を説明する部分拡大図である。
【0052】
図1において、符号10は、全体で本発明の制御弁を示している。
なお、この実施例の制御弁10は、電磁弁を示しており、説明の便宜上、流路を形成する弁ハウジングを省略して示している。
【0053】
また、例えば、燃料電池システムの湿潤流体流路に配置され、湿潤流体を制御する制御弁などに用いられるものである。
この実施例の制御弁10は、弁本体12を備えており、この弁本体12は、上本体11と下本体13とから構成されている。そして、これらの上本体11と下本体13とはかしめ加工などによって相互に固着されている。
【0054】
また、下本体13には、流体が流入する第1のポート14と、流体が流出する第2のポート15と、この第1のポート14から流入した流体が通過する弁ポート16が形成された弁座18と、弁室20とが形成されている。
【0055】
なお、この実施例では、第1のポート14から流体が流入し、第2のポート15から流体が流出するように構成したが、逆に、第2のポート15から流体が流入し、第1のポート14から流体が流出するように構成することも可能である。
【0056】
この弁本体12の上本体11の上部には、駆動部22が、固定されており、この駆動部22は、プランジャーチューブ26を備えており、プランジャーチューブ26の下端を上本体11の内径部にろう付け、溶着などにより固定している。
【0057】
そして、このプランジャーチューブ26の内部に、プランジャー28が軸方向に移動自在に収容されており、プランジャーチューブ26の上端部には、吸引子30が装着されている。
【0058】
また、プランジャー28と吸引子30との間に、プランジャーバネ32が圧縮状態で介装され、プランジャー28を吸引子30から離間する方向に付勢するように構成されている。
【0059】
さらに、プランジャー28の下端には、インサート金具34と一体の弁棒部材36が固着されている。
一方、プランジャーチューブ26の外周には、吸引子30の上部に形成された締結ネジ40に、ナット42を締め付けることによって、電磁コイル46が外函部材44とともに固定されている。
【0060】
さらに、弁棒部材36の下端には、弁室20と、駆動部22に形成された駆動空間50との間を気密に分離するための分離膜部材であるダイアフラム弁体52が装着されている。このダイアフラム弁体52は、分離膜部54と、弁体部56とを備えており、分離膜部54の外周部に形成した固定部58を、弁本体12の上本体11と下本体13との間に介装した略リング形状の固定部材60と下本体13との間で挟持することによって固定されている。
【0061】
また、図2、図3に示したように、ダイアフラム弁体52には、分離膜部54と弁体部56との間に、圧力変化によって半径方向に伸縮自在な感圧部51が形成されている。この感圧部51は、この実施例では、軸方向の断面視で、半径方向に内側に屈曲した屈曲部から構成されている。
【0062】
この場合、図3に示したように、感圧部51の屈曲角αは、後述するように、駆動部22側の圧力が上昇した際に、感圧部51が半径方向外側に膨らみ、逆に、駆動部22側の圧力が低下した際に、感圧部51が半径方向内側に縮むことで、これらの圧力変化を抑えることができるようにするためには、60〜160°とするのが望ましい。
【0063】
また、ダイアフラム弁体52の感圧部51の厚さが、分離膜部54の厚さよりも小さく形成されているのが望ましい。
このように、ダイアフラム弁体52の感圧部51の厚さが、分離膜部54の厚さよりも小さく形成されていれば、駆動部22側の内圧が変化した場合、または、弁室20側の圧力が変化した場合に、ダイアフラム弁体52の感圧部51が、半径方向に伸縮しやすく、これにより圧力変化を抑えることができる。
【0064】
さらに、ダイアフラム弁体52は、1つの材料から構成しても良いが、分離膜部54と、弁体部56と、感圧部51を別々の材料から構成することも可能である。
この場合、ダイアフラム弁体52の感圧部51が、分離膜部54よりも柔らかい材料から形成されているのが望ましい。
【0065】
このようにダイアフラム弁体52の感圧部51が、分離膜部54よりも柔らかい材料から形成されていれば、駆動部22側の内圧が変化した場合、または、弁室20側の圧力が変化した場合に、ダイアフラム弁体52の感圧部51が、半径方向に伸縮しやすく、これにより圧力変化を抑えることができる。
【0066】
なお、ダイアフラム弁体52を構成する材料としては、特に限定されるものではなく、耐熱性、耐圧性などを考慮して、例えば、ゴム、フッ素樹脂などの樹脂、金属などを適宜変更して用いることができる。
【0067】
また、この実施例1の制御弁10は、分離膜部材を構成するダイアフラム弁体52が、分離膜部54と、感圧部51と、弁体を構成する弁体部56とが一体に形成されている分離膜部材である。
【0068】
このように構成することによって、分離膜部材を構成するダイアフラム弁体52が、分離膜部54と、感圧部51と、弁体を構成する弁体部56とが一体に形成されている分離膜部材であるので、弁室20と駆動部22に形成された駆動空間50との間を気密に分離する効果に優れる。
【0069】
このように構成される本発明の制御弁10では、電磁コイル46に通電することによって、プランジャーバネ32の付勢力に抗して、プランジャー28が吸引子30の方向に移動し、プランジャー28に固定された弁棒部材36が上方に移動して、弁棒部材36の下端に装着されたダイアフラム弁体52の弁体部56が、弁座18から離間して、弁座18に形成された弁ポート16が開放されるようになっている。
【0070】
この際、図2の矢印で示したように、ダイアフラム弁体52の弁体部56が弁座18から離間する方向に移動した際に、ダイアフラム弁体52の感圧部51が、軸方向に縮んで追随して、弁体部56の変位を阻害しないようになっている。
【0071】
一方、電磁コイル46への通電を停止することによって、プランジャーバネ32の付勢力によって、プランジャー28が吸引子30から離間する方向に移動し、プランジャー28に固定された弁棒部材36が下方に移動して、図3に示したように、弁棒部材36の下端に装着されたダイアフラム弁体52の弁体部56が、弁座18に当接して、弁座18に形成された弁ポート16が閉止されるようになっている。
【0072】
この場合、図1に示したように、ダイアフラム弁体52の分離膜部54が、平坦な平面を有する固定部材60の下面に当接しているので、ダイアフラム弁体52の分離膜部54は、弁室20側から圧力を受けても変位することがない。
【0073】
また、駆動部22側の圧力変化に対しても、ダイアフラム弁体52の分離膜部54は、平坦な平面を有する固定部材60の下面に当接しているので、この間に駆動部22側の圧力が流入することはなく、ダイアフラム弁体52の分離膜部54には、受圧面が存在しない。このため、ダイアフラム弁体52の分離膜部54は、駆動部22側から圧力を受けても変位することがない。
【0074】
しかも、ダイアフラム弁体52の分離膜部54と弁体部56との間に、駆動部22または弁室20側の圧力変化によって半径方向に伸縮自在な感圧部51を形成したので、駆動部22側の圧力が上昇した際(弁室20側の圧力が低下した場合)には、図4の矢印で示したように、感圧部51が半径方向外側に膨らむようになっている。
【0075】
逆に、駆動部22側の圧力が低下した際(弁室20側の圧力が上昇した場合)には、図5の矢印で示したように、感圧部51が半径方向内側に縮むことになる。
これによって、駆動部22側の内圧が変化した場合、または、弁室20側の圧力が変化した場合にも、感圧部51が半径方向に伸縮する(屈曲度が変化する)ことによって、これらの圧力変化を抑えることができる。
【0076】
その結果、分離膜部材であるダイアフラム弁体52が、弁体部56の弁座18に対して離接する方向への移動に影響を及ぼすことがなく、圧力変化による弁の作動特性への影響を抑えることが可能である。
【0077】
なお、分離膜部54が変位せず、感圧部51のみが半径方向に伸縮する(屈曲度が変化する)ための感圧部51の大きさの設定は、想定される電磁コイル46への通電による温度上昇、周囲温度変化、駆動部22の内容積などの使用条件から、気体の状態方程式に代表される温度変化―体積変化の関係から決めればよい。
【0078】
また、固定部材60の平坦面と、分離膜部54とを、接着、溶着など、種々の固着方法により固着すれば、分離膜部54が固定部材60の平坦面から剥離するおそれがないため、感圧部51の設定を容易に行うことができる。
【0079】
また、弁体部56の弁座18に対して離接する方向の動きに対して、感圧部51が軸方向に伸縮する(屈曲度が変化する)ことになるので、弁体部56の駆動に感圧部51の変形が追随するため、弁体部56の変位を阻害することがない。
【0080】
このような開閉動作の際にも、ダイアフラム弁体52によって、弁室20と、駆動部22に形成された駆動空間50との間が気密に分離され、これにより、弁室20を流れる湿潤流体の水蒸気などの水分が、駆動空間50に浸入して、弁体の駆動機構であるプランジャー28に水分が付着して凍結して、弁機能が阻害されるのが効果的に防止されるように構成されている。
【0081】
なお、この実施例では、図3に示したように、ダイアフラム弁体52の感圧部51を軸方向の断面視で、半径方向に内側に屈曲した屈曲部から構成したが、図6に示したように、感圧部51を軸方向の断面視で、半径方向に外側に屈曲した屈曲部から構成することも可能であり、この場合にも前述と同様な作用効果を奏することができる。
【0082】
さらに、ダイアフラム弁体52の感圧部51は、図7(A)に示したように、半径方向の断面視で全周に屈曲部を有するようにすることも可能であるが、図7(B)に示したように、ダイアフラム弁体52の感圧部51が、半径方向の断面視で、蛇腹状に形成された屈曲部、すなわち、半径方向の断面視で全周の一部に屈曲部を有するように構成することもできる。
【0083】
このように構成することによって、駆動部22側の内圧が変化した場合、または、弁室20側の圧力が変化した場合にも、ダイアフラム弁体52の感圧部51の蛇腹状に形成された屈曲部が、半径方向の断面視で、半径方向に伸縮することによって、これらの圧力変化を抑えることができる。
【0084】
その結果、分離膜部材であるダイアフラム弁体52が、弁体部56の弁座18に対して離接する方向への移動に影響を及ぼすことがなく、圧力変化による弁の作動特性への影響を抑えることが可能である。
【0085】
なお、ダイアフラム弁体52の感圧部51に付着した水分などは、例えば、燃料電池システムを停止して、窒素ガスなどの不活性ガスをパージすることによって、吹き飛ばすようにすればよい。
【実施例2】
【0086】
図8は、本発明の別の実施例の制御弁の電磁弁の概略を示す縦断面図、図9は、図8の制御弁の弁開時の状態を説明する部分拡大図、図10は、図8の制御弁の弁閉時の状態を説明する部分拡大図、図11は、図8の制御弁の弁閉時の状態で、駆動部側の内圧が上昇した場合を説明する部分拡大図、図12は、図8の制御弁の弁閉時の状態で、駆動部側の内圧が低下した場合を説明する部分拡大図である。
【0087】
この実施例の制御弁10は、図1〜図5に示した実施例1の制御弁10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0088】
この実施例の制御弁10では、図8〜図12に示したように、ダイアフラム弁体52の感圧部51が、軸方向の断面視で、蛇腹状に形成された屈曲部から構成されている。
この実施例の制御弁10では、電磁コイル46に通電することによって、弁棒部材36の下端に装着されたダイアフラム弁体52の弁体部56が、弁座18から離間して、弁座18に形成された弁ポート16が開放される際には、図9の矢印で示したように、弁体部56が弁座18から離間する方向に移動した際に、ダイアフラム弁体52の蛇腹状に形成された感圧部51が、軸方向に縮んで追随して、弁体部56の変位を阻害しないようになっている。
【0089】
一方、図10に示したように、電磁コイル46への通電を停止することによって、弁棒部材36の下端に装着されたダイアフラム弁体52の弁体部56が、弁座18に当接して、弁座18に形成された弁ポート16が閉止された状態では、この実施例の制御弁10においても、実施例1と同様に、ダイアフラム弁体52の分離膜部54が、平坦な平面を有する固定部材60の下面に当接しているので、ダイアフラム弁体52の分離膜部54は、弁室20側から圧力を受けても変位することがない。
【0090】
また、駆動部22側の圧力変化に対しても、ダイアフラム弁体52の分離膜部54は、平坦な平面を有する固定部材60の下面に当接しているので、この間に駆動部22側の圧力が流入することはなく、ダイアフラム弁体52の分離膜部54には、受圧面が存在しない。このため、ダイアフラム弁体52の分離膜部54は、駆動部22側から圧力を受けても変位することがない。
【0091】
そして、この実施例の制御弁10では、ダイアフラム弁体52の分離膜部54と弁体部56との間に、駆動部22または弁室20側の圧力変化によって半径方向に伸縮自在な蛇腹状に形成された感圧部51を形成したので、駆動部22側の圧力が上昇した際(弁室20側の圧力が低下した場合)には、図11の矢印で示したように、感圧部51が半径方向外側に膨らむようになっている。
【0092】
逆に、駆動部22側の圧力が低下した際(弁室20側の圧力が上昇した場合)には、図12の矢印で示したように、蛇腹状に形成された感圧部51が半径方向内側に縮むことになる。
【0093】
このように構成することによって、駆動部22側の内圧が変化した場合、または、弁室20側の圧力が変化した場合にも、感圧部51の蛇腹状に形成された屈曲部が、軸方向の断面視で、半径方向に伸縮することによって、これらの圧力変化を抑えることができる。
【0094】
その結果、分離膜部材であるダイアフラム弁体52が、弁体部56の弁座18に対して離接する方向への移動に影響を及ぼすことがなく、駆動部22側と弁室20側の圧力変化による弁の作動特性への影響を抑えることが可能である。
【0095】
また、弁体の弁座に対して離接する方向の動きに対して、感圧部51の蛇腹状に形成された屈曲部が軸方向に伸縮することになるので、弁体部56の駆動に感圧部51の変形が追随するため、弁体の変位を阻害することがない。
【0096】
なお、この場合、感圧部51の蛇腹状の屈曲部の蛇腹の数、大きさは特に限定されるものではなく、図8〜図12に示したように、均一な大きさの蛇腹形状とすることもできるが、図13(A)、図13(B)に示したように、蛇腹状の感圧部51の屈曲部が、中央部分の蛇腹51aの方が、両端部の蛇腹51b、51cよりも、軸方向の断面視で、半径方向の凹凸距離が小さく形成されていてもよい。
【0097】
すなわち、このように蛇腹状の感圧部51の屈曲部が、中央部分の蛇腹51aの凹凸距離L1が、両端部の蛇腹51b、51cの半径方向の凹凸距離L2よりも、軸方向の断面視で、小さく形成されていれば、駆動部22側の内圧が変化した場合、または、弁室20側の圧力が変化した場合に、中央部分の蛇腹51aが半径方向に伸縮しやすく、これにより圧力変化を抑えることができる。
【0098】
また、この実施例の制御弁10においても、実施例1と同様に、図7(B)に示したように、ダイアフラム弁体52の感圧部51が、半径方向の断面視で、蛇腹状に形成された屈曲部、すなわち、半径方向の断面視で全周の一部に屈曲部を有するように構成することもできる。
【0099】
このように構成することによって、駆動部22側の内圧が変化した場合、または、弁室20側の圧力が変化した場合にも、感圧部51の蛇腹状に形成された屈曲部が、半径方向の断面視で、半径方向に伸縮することによって、これらの圧力変化を抑えることができる。
【0100】
その結果、分離膜部材であるダイアフラム弁体52が、弁体部56の弁座18に対して離接する方向への移動に影響を及ぼすことがなく、駆動部22側と弁室20側の圧力変化による弁の作動特性への影響を抑えることが可能である。
【実施例3】
【0101】
図14は、本発明の別の実施例の制御弁の電磁弁の概略を示す縦断面図、図15は、図14の制御弁の部分拡大断面図である。
【0102】
この実施例の制御弁10は、図1〜図7に示した実施例1の制御弁10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0103】
図1〜図7に示した実施例1の制御弁10では、図1、図2に示したように、分離膜部材を構成するダイアフラム弁体52は、分離膜部54と、感圧部51と、弁体部56とを備えていたが、この実施例の制御弁10では、図14〜図15に示したように、ダイアフラム55が、弁体部56を備えていない。
【0104】
また、この実施例の制御弁10では、分離膜部材を構成するダイアフラム55の感圧部51の下端53が、弁棒部材36の弁体を構成する弁体部38の基端部38aに固着されている。
【0105】
このように構成することによって、図1〜図7に示した実施例1の制御弁10と同様な作用効果を奏するとともに、分離膜部材を構成するダイアフラム55の感圧部51の下端53が、弁棒部材36の弁体を構成する弁体部38の基端部38aに固着されているので、分離膜部材を構成するダイアフラム55の形状を簡素化でき、コストを低減することができる。
【0106】
この場合、ダイアフラム55の感圧部51の下端53を、弁棒部材36の弁体部38に固着する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、接着、溶着、かしめ加工などによって固着すればよい。
【実施例4】
【0107】
図16は、本発明の別の実施例の制御弁の電磁弁の概略を示す縦断面図、図17は、図16の制御弁の弁開時の状態を説明する部分拡大図、図18は、図16の制御弁の弁閉時の状態を説明する部分拡大図、図19は、図16の制御弁の弁閉時の状態で、駆動部側の内圧が上昇した場合を説明する部分拡大図、図20は、図16の制御弁の弁閉時の状態で、駆動部側の内圧が低下した場合を説明する部分拡大図である。
【0108】
この実施例の制御弁10は、図8〜図12に示した実施例2の制御弁10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0109】
図8〜図12に示した実施例2の制御弁10では、図8、図9に示したように、分離膜部材を構成するダイアフラム弁体52は、分離膜部54と、感圧部51と、弁体部56とを備えていたが、この実施例の制御弁10では、図16〜図20に示したように、ダイアフラム55が、弁体部56を備えていない。
【0110】
また、この実施例の制御弁10では、図14〜図15に示した実施例3の制御弁10と同様に、分離膜部材を構成するダイアフラム55の感圧部51の下端53が、弁棒部材36の弁体を構成する弁体部38の基端部38aに固着されている。
【0111】
このように構成することによって、図8〜図12に示した実施例2の制御弁10と同様な作用効果を奏するとともに、分離膜部材を構成するダイアフラム55の感圧部51の下端53が、弁棒部材36の弁体を構成する弁体部38の基端部38aに固着されているので、分離膜部材を構成するダイアフラム55の形状を簡素化でき、コストを低減することができる。
【0112】
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、上記実施例では、燃料電池自動車の燃料電池システムにおける湿潤流体流路に配置される制御弁について説明したが、例えば、エアコンなどの冷熱回路の制御弁、給湯器、プラントなどの制御弁にも適用可能であるなど本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0113】
流体を制御する制御弁に関し、例えば、燃料電池システムの湿潤流体流路に配置され、湿潤流体を制御するのに好適な制御弁に適用することができる。
【符号の説明】
【0114】
10 制御弁
11 上本体
12 弁本体
13 下本体
14 第1のポート
15 第2のポート
16 弁ポート
18 弁座
20 弁室
22 駆動部
26 プランジャーチューブ
28 プランジャー
30 吸引子
32 プランジャーバネ
34 インサート金具
36 弁棒部材
38 弁体部
38a 基端部
40 締結ネジ
42 ナット
44 外函部材
46 電磁コイル
48 モールド樹脂
50 駆動空間
51 感圧部
51a 蛇腹
51b、51c 蛇腹
52 ダイアフラム弁体
53 下端
54 分離膜部
55 ダイアフラム
56 弁体部
58 固定部
60 固定部材
100 電磁弁
102 弁本体
104 入口ポート
105 出口ポート
106 弁ポート
108 弁座
110 弁室
112 駆動部
114 締結部材
116 プランジャーチューブ
118 プランジャー
120 吸引子
122 プランジャーバネ
124 インサート金具
126 弁棒部材
130 締結ネジ
132 ナット
134 外函部材
136 電磁コイル
138 モールド樹脂
140 駆動空間
142 ダイアフラム弁体
144 分離膜部
146 弁体部
148 固定部
150 固定金具
152 テーパー面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が通過する弁ポートを有する弁座を備えた弁室と、
前記弁座に対して弁体を離接する方向に移動させる駆動部とを備え、
前記駆動部によって、弁体が弁座に対して離接する方向に移動して、弁体が弁座の弁ポートを開閉するように構成された制御弁であって、
前記弁体には、弁室と駆動部とを気密に分離するための分離膜部材が装着され、
前記分離膜部材の分離膜部は、平坦な平面を有する固定部材に当接しており、
前記弁体と分離膜部材の分離膜部との間に、圧力変化によって半径方向に伸縮自在な感圧部を形成したことを特徴とする制御弁。
【請求項2】
前記分離膜部材が、分離膜部と、感圧部と、弁体を構成する弁体部とが一体に形成されている分離膜部材であることを特徴とする請求項1に記載の制御弁。
【請求項3】
前記分離膜部材の感圧部が、弁棒部材の弁体を構成する弁体部に固着されていることを特徴とする請求項1に記載の制御弁。
【請求項4】
前記分離膜部材の分離膜部と前記固定部材の平坦な平面とが固着されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の制御弁。
【請求項5】
前記分離膜部材の感圧部が、軸方向の断面視で、半径方向に内側または外側に屈曲した屈曲部から構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の制御弁。
【請求項6】
前記分離膜部材の感圧部が、軸方向の断面視で、蛇腹状に形成された屈曲部から構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかにに記載の制御弁。
【請求項7】
前記蛇腹状の屈曲部が、中央部分の蛇腹の方が、両端部の蛇腹よりも、軸方向の断面視で、半径方向の凹凸距離が小さく形成されていることを特徴とする請求項6に記載の制御弁。
【請求項8】
前記分離膜部材の感圧部が、半径方向の断面視で、蛇腹状に形成された屈曲部から構成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の制御弁。
【請求項9】
前記分離膜部材の感圧部の厚さが、分離膜部の厚さよりも小さく形成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の制御弁。
【請求項10】
前記分離膜部材の感圧部が、分離膜部よりも柔らかい材料から形成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の制御弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−83342(P2013−83342A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−142196(P2012−142196)
【出願日】平成24年6月25日(2012.6.25)
【出願人】(000143949)株式会社鷺宮製作所 (253)
【Fターム(参考)】