力学量計測装置
【課題】
p型不純物層とn型不純物層との組み合わせより構成される多軸ひずみ計測が可能な半導体チップにおいて、製造時における感度ばらつきが大きいため、計測精度が低下する。
【解決手段】
p型不純物層4b,4dのシート抵抗値を120Ω以上、n型不純物層4a,4cのシート抵抗値を100Ω以下とする。さらにp型不純物層4b,4dから構成されるひずみ検知部の折り返し回数を、n型不純物層4a,4cより少なくする
【効果】
p型不純物層の感度ばらつきを減少できるとともに、p型不純物層とn型不純物層のひずみ感度の温度依存性を揃えることができ、多軸ひずみ計測精度の向上が可能となる。
p型不純物層とn型不純物層との組み合わせより構成される多軸ひずみ計測が可能な半導体チップにおいて、製造時における感度ばらつきが大きいため、計測精度が低下する。
【解決手段】
p型不純物層4b,4dのシート抵抗値を120Ω以上、n型不純物層4a,4cのシート抵抗値を100Ω以下とする。さらにp型不純物層4b,4dから構成されるひずみ検知部の折り返し回数を、n型不純物層4a,4cより少なくする
【効果】
p型不純物層の感度ばらつきを減少できるとともに、p型不純物層とn型不純物層のひずみ感度の温度依存性を揃えることができ、多軸ひずみ計測精度の向上が可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は力学量の計測装置、および力学量の計測が可能なシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
これまで力学量計測装置として特開2006−003182号公報に示されるように、半導体単結晶基板に局所的に不純物層を設け、この不純物層の抵抗値のひずみ依存性から、半導体単結晶基板を貼り付けた被測定物のひずみを計測しようとする方法が行われている。また、これらの方法では、不純物抵抗のひずみ感度の結晶異方性を利用し、特定の方向に電流を流せるようにした不純物層4つを用いてホイートストンブリッジ回路(以下、ブリッジ、もしくはブリッジ回路と呼ぶ)を形成し、特定方位のひずみの計測を実現している。なお、該力学量計測装置を低消費電力化するために、特開2006−003182号公報の図18にあるように、各不純物層を折り返して、コンタクトと配線で接続して細長くする、ということも行われている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−003182号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の公知例においては、p型不純物層のシート抵抗ばらつきに由来したオフセットや感度ばらつきが非常に大きく、計測上の障害や計測精度が大幅に低下するという問題があった。よって本発明では、高精度な計測が可能な力学量計測装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、p型不純物層のシート抵抗値をn型不純物層のシート抵抗値より高くすること、またはp型不純物層の折り返し数をn型不純物層の折り返し数より少なくすることにより達成される。または、ブリッジ回路を構成する4つの不純物層のうち、対向する2つを隣に形成することにより達成される。または、ブリッジ回路を構成する各不純物層の折り返しの間隔と、ブリッジ回路の対向する2つの不純物層の間隔を一致させることにより達成される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、p型不純物層の抵抗値のばらつきが小さくなり、ブリッジ回路のオフセットが小さくなって高精度な計測をすることができる。また、本発明によれば感度バラツキが減少するので、2軸のひずみを分離して計測しようとする際にも精度良く計測値を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【0008】
本発明においては、ひずみ感応部として半導体基板に不純物層を設けたものであり、半導体単結晶の結晶方位とピエゾ抵抗係数の関係を考慮し、不純物層の電流方向とひずみを計測する方向との関係を、所望の特性を得られるように考慮したものである。以下では、単結晶半導体基板2の結晶面や結晶方位の表記には、ミラー指数を用いる。
【0009】
ミラー指数表記においては、マイナス方向を指定する場合、数字の上にバーを付するが、本明細書中においては便宜上バーの付いた数字は“−”をつけて〔−110〕のように表記する。また特定の面や方向を表す場合には()と〔〕をそれぞれ用い、単結晶半導体基板内において等価である面や方向を表す場合には、それぞれ{}と<>を用いて表記する。さらに、本明細書においては不純物層の長手方向に電流を流し、電流の流れる方向の抵抗値の変動を計測する。不純物層の長手方向という表記は電流を流し抵抗値変動を計測する方向を意味するものとする。
【実施例1】
【0010】
図1,図2に示すように、1つの半導体基板上にp型不純物層4b,4dとn型不純物層4a,4cを組み合わせたブリッジ回路を用いて、多軸ひずみ場の計測を行うことが可能である。すなわち本実施例においては、<100>方向と平行な方向に電流を流しブリッジ回路の対辺を構成するn型不純物層4a,4cと、<100>方向に平行な方向に電流を流しブリッジ回路の対辺を構成するp型不純物層4b,4dの組み合わせによってブリッジ回路4を構成しており、このうち該p型不純物層4b,4dはどの方向のひずみに対してもひずみ感度が非常に低いのに対して、n型不純物層4a,4cは、電流方向のひずみに対する感度が高く、さらに電流方向と直角な方向のひずみに対する感度をある程度持つ。よって図1,図2に示すように、ブリッジ回路4を構成することによって、p型不純物層4b,4dの電流方向のひずみを主に検知することが可能となる。
【0011】
なお、各不純物層においては、低消費電力化を行うために高抵抗化することが望まれ、そのために図3に示すように複数本の不純物層4a,4b,4c,4dを設け、それぞれコンタクトホール51と配線50で接続して、折り返しながら長さを稼ぎ、抵抗値を増加させるという方法が取られる。あるいは図4に示すように、コンタクトホール11と配線12でなく、各拡散層自体で折り返すのでも同様な効果がある。
【0012】
しかしながら、ウエハ毎,ロット毎にp型不純物層4b,4dの実際のシート抵抗値が製造プロセスにおける設定値から大きく変化することが多く、回路パターン設計時に想定した値と異なるシート抵抗値にでき上がるものが多かった。よってp型不純物層4b,
4dの抵抗値がn型不純物層4a,4cの抵抗値と異なるものが多いためにブリッジ回路に不均衡が生じ、大きなオフセットが発生する場合が多かった。この出力をアンプで増幅しようとする際に、オフセットのために出力が飽和してしまう等の問題があり、高倍率の増幅ができず、高精度な計測に支障をきたしていた。すなわち、オフセットが大きくなってしまうために、倍率を上げた高精度な測定が難しくなるという問題があった。
【0013】
上記の力学量計測装置におけるp型不純物層のシート抵抗ばらつきは、p型不純物であるボロン原子の挙動に由来することが明らかとなってきた。すなわち、ボロン原子のようにp型不純物の半導体中での拡散がn型不純物に比べて格段に速いために不純物分布が崩れやすく、また、ボロン原子は半導体中において侵入型の拡散機構を持つために、その拡散した原子がひずみ場にトラップされやすい。この現象は、高濃度にイオン注入される場合には、イオン注入領域に発生する異種原子混入に起因するひずみ場が形成されることによって著しく悪化する。また半導体基板内にイオン注入に起因する微小欠陥が多量に含まれている場合には、この微小欠陥へのトラップによりさらにこのバラツキが大きくなる。
【0014】
すなわち、拡散したボロン原子は、拡散パターンの角部やコンタクト部などのひずみの集中場にトラップされやすく、これらのひずみはイオン注入量が多いほど、すなわち、シート抵抗が高いほど大きくなる。ロット毎,ウエハ毎、あるいはウエハ面内における僅かなパターンずれや形状のばらつきによってもひずみの集中の程度が変わるので、トラップの量が大きく変化しやすく、これが抵抗値のばらつきに反映される。
【0015】
力学量計測装置の断面構造を図5に示す。シリコン基板2の表面に不純物層4a,4b,4c,4dおよび5a,5b,5c,5dが形成され、これにコンタクトホール51が接続されており、このコンタクトホール51の端部には配線50が形成されている。このコンタクトホール51および配線50は層間絶縁膜52に埋め込まれている。さらに断面の詳細を図6に、平面の拡大図を図7に示す。本発明においては、図6や図7に示す各不純物層の折り返し部13やコンタクトホール51との境界面12においては、ひずみが集中しやすく、ここにボロン原子がトラップされやすい。よって、コンタクトホール51との境界面12や折り返し部13のパターンの若干のズレや加工誤差等によって局所的なひずみ値が変動することから、これがトラップ量に影響を与え、シート抵抗値のばらつきの原因となる。
【0016】
以上の要因によって、p型不純物層を構成するボロン原子の分布がばらつくため、不純物層のシート抵抗が大きくばらつくことが明らかとなってきた。
【0017】
なお、n型不純物層を構成するヒ素やリン原子では、半導体中の拡散速度がボロンに比べて格段に低く、また置換型拡散機構を持つためにひずみ場の影響を受けにくい。よって、n型不純物層ではロット毎,ウエハ毎、あるいはウエハ面内における微妙な熱処理温度の違いの影響を受けにくいという特徴がある。n型不純物層では不純物濃度を小さくしすぎると、ひずみ取得特性の温度依存性が過大となるために、ひずみセンサの特性が悪くなるという問題が発生する。
【0018】
そこで本発明では、図3や図4に示す力学量測定装置において、p型不純物層4b,
4dのp型不純物のシート抵抗を120Ω以上、表面不純物濃度換算で5×1019cm-3以下とすることを特徴とする。
【0019】
p型不純物のシート抵抗を増加させること、すなわち不純物注入量を減らすことにより、シート抵抗値に与える不純物分布の影響を相対的に低下させる効果を持つようにできる。すなわち、ボロン原子の注入量を減らすことによって、イオン注入層事態が持つひずみ場を減少させることができ、ひずみ場にトラップされる原子の量が少なくなることから、p型不純物層4b,4dの抵抗ばらつきを小さくすることができる。また、p型不純物の注入量を減らすことで、半導体結晶内の結晶格子のひずみや微小欠陥等を減少させることができるので、濃度ばらつきやトラップ量のばらつきを抑えることが可能となり、結果としてp型不純物層のシート抵抗ばらつきが低減できる。図19に示すようにシート抵抗を
120Ω以上とするとシート抵抗ばらつきの範囲は2割以下となる。このようにシート抵抗を120Ω以上とすることによりシート抵抗バラツキの発生が抑えられるので、オフセットが過大になることを防止することができる。また、シート抵抗の上限値は実施例2で後述する温度依存性の理由から500Ω以下とすることが望ましい。
【0020】
一方、n型不純物層では、半導体中の拡散速度がボロンに比べて格段に低いために、シート抵抗を増加させなくともばらつきは大きくならない。逆に、n型不純物層4a,4cのシート抵抗をp型と同様に増加させてしまうと、ひずみ感度の温度依存性が過大となるために望ましくない。すなわちn型不純物層の感度の温度依存性はp型不純物層に比べて非常に大きいために、温度変化によって大きな誤差が生じやすく、逆に測定精度を低下させる原因となるという大きな問題が発生するため、p型不純物層とは逆に不純物濃度を増加させることが望ましい。図20に示すように、シート抵抗が100Ωを越えるとピエゾ抵抗係数の温度依存性が急激に大きくなることがわかる。すなわちシート抵抗を100Ω以下とすることにより、温度変化による誤差を最小限に抑えることができる。シート抵抗100Ω以下とは表面不純物濃度換算で1×1020cm-3以上に相当する。なお、シート抵抗が40Ω以下になるとピエゾ抵抗係数が最大値の2割以下と小さくなり、ひずみ感度が小さくなりすぎるのでノイズに弱くなる等、問題点が大きくなる。このように、望ましくはn型不純物層のシート抵抗は40Ω以上100Ω以下が望ましい。
【0021】
よって、p型とn型の不純物層を組み合わせて1つのブリッジを構成する場合において、p型不純物層4b,4dのp型不純物のシート抵抗を120Ω以上、n型不純物層4a,4cのn型不純物のシート抵抗を100Ω以下とすることによって、p型不純物層に由来するばらつきと、n型不純物層に由来する温度変化によるひずみ感度の変動を、両方とも防止できる力学量測定装置を得ることができる。
【0022】
さらに図8に示すように、これに加えてp型不純物層の折り返し回数を少なくすることで、ひずみの集中箇所を減らすことができ、これによって不純物分布のばらつきを低減することが可能となる。すなわちp型不純物層の総面積に対するひずみ集中箇所の面積の割合を低下させることができるので、シート抵抗のばらつきを低減させることが可能となる。p型不純物層とn型不純物層を組み合わせて用いるブリッジ回路において、p型不純物層4b,4dの折り返し数をn型不純物層4a,4cの折り返し数より少なくし、さらにp型不純物層4b,4dのシート抵抗値を120Ω以上、n型不純物層4a,4cのシート抵抗値を100Ω以下とする。これによって、p型不純物層4b,4dのシート抵抗ばらつきが低減できるためにブリッジ回路4のオフセットを抑えることができ、またブリッジ回路4のひずみ感度の温度依存性が過大とならないようにすることができる。よってこの出力をアンプ等によって増幅しようとする場合にも、出力が飽和するという問題がなく、高倍率に増幅して高感度な測定が可能となる。
【0023】
また、本発明によれば、p型不純物層の折り返し回数をn型不純物層の折り返し回数より少なくするとともに、p型不純物の注入量を減らしてシート抵抗値をn型不純物層より大きくすることによって、図8に示すように、p型不純物層4b,4dの長さをn型不純物層4a,4cの長さとほぼ同じにできるという副次効果もある。通常、p型不純物層の折り返し数を少なくした場合には、p型不純物層4b,4dだけ長くなるために、p型不純物層とn型不純物層との間で温度差やひずみ分布の差が発生するために誤差が大きくなる。しかしながら、本実施例の場合には、n型不純物層の折り返し数が多くなるように折り返すことによってp型不純物層4b,4dとn型不純物層4a,4cがほぼ同じ長さにできることから、ほぼ同じ位置に配置できる。よってp型不純物層4b,4dとn型不純物層4a,4cの温度やひずみ状態を全く同じにできるので、温度が変化した場合や大きなひずみ分布がある場合においても誤差の発生を防止することができる。なお、ここでn型不純物層とp型不純物層の幅はほぼ同じであることを仮定している。
【0024】
なお、このようにp型不純物層の折り返し数を少なくするのと同時に、p型不純物やn型不純物の注入量を所定の範囲にすると、これらの相乗効果によって多くの利点が生じるが、どちらか一方の処理を行うだけでも、オフセットを抑制する効果は十分に有する。
【0025】
さらに、図6から図8を用いて、主にブリッジ回路4について説明したが、図9に示すように1つのシリコン基板2に複数のブリッジ回路を設け、多軸ひずみ場のひずみ状態を計測する場合でも同様な利点が生じるとともに、ブリッジ回路が小さくなるので全体的にチップ面積を小さくでき、低コストで製造できるという利点も生じる。
【実施例2】
【0026】
図10や図11に示すように、1つの半導体基板上に、p型不純物抵抗で構成されたブリッジ回路4とn型不純物抵抗で構成されたブリッジ回路5の両方を有する力学量計測装置を用いると、多軸ひずみ場におけるひずみ状態を計測できる。図10に示す力学量計測装置では、<110>方向を電流の方向と平行とするp型不純物層14a,14b,14c,14dで構成されるブリッジ回路4と、<100>方向を電流方向と平行とするn型不純物層15a,15b,15c,15dで構成されるブリッジ回路5を、同一のシリコン基板2に形成してある。ブリッジ回路4では<110>方向の垂直ひずみが、ブリッジ回路5では<110>方向を座標軸とするせん断ひずみが、それぞれ計測できる。
【0027】
また図11に示す力学量計測装置では、<110>方向を電流の方向と平行とするp型不純物層14a,14b,14c,14dで構成されるブリッジ回路4と<110>方向を電流の方向と平行とするn型不純物層15a,15b,15c,15dで構成されるブリッジ回路5を、同一のシリコン基板に形成してある。この2つのブリッジ回路を用いることにより、〔110〕と〔−110〕の直交2軸のひずみを分離して求めることが可能となる。
【0028】
これらの力学量計測装置では、同一のシリコン基板2上にブリッジ回路4とブリッジ回路5を形成していることから、接着時に発生する感度誤差や貼り付け位置の誤差などが低減でき、高精度計測が可能となる。また、微小領域に各方向のひずみ量を計測するブリッジ回路を設けられることから、微小部に発生する応力集中場のひずみでも精度良く求められるという利点がある。
【0029】
しかしながら、これだけでは、前述のように、ブリッジ回路4の不純物分布がロット毎,ウエハ毎に変わり、これに起因してブリッジ回路4のひずみ感度が大きく変動するために、高精度な計測が難しかった。すなわち、1つの半導体基板上に、p型不純物抵抗で構成されたブリッジ回路とn型不純物抵抗で構成されたブリッジ回路の両方を有する力学量計測装置を用いて、それぞれのブリッジの出力から多軸ひずみを分離して求めようとする場合には、ウエハ毎,ロット毎にp型不純物拡抵抗のシート抵抗が大きく変化するために、p型不純物抵抗で構成されたブリッジ回路のひずみに対する感度が大きく変動する。よって、p型不純物抵抗で構成されたブリッジ回路とn型不純物抵抗で構成されたブリッジ回路の両方の計測値を用いて、その局所領域のひずみ状態をテンソル量として求めようとする際に設計された抵抗値を用いて行うと誤差が発生し、正確な計測が実現できないという問題がある。また、p型不純物抵抗で構成されたブリッジ回路とn型不純物抵抗で構成されたブリッジ回路とでは、両者のひずみ感度の温度依存性が大きく異なるために、温度が変化した際には大きな誤差となるという問題もあった。
【0030】
図12,図13には本発明における第2の実施例を示す。なお、図12,図13には半導体基板2は記していないが、ブリッジ回路4とブリッジ回路5が半導体基板表面に形成されているところを、ブリッジ回路4とブリッジ回路5の部分のみ記したものである。本実施例では、実施例1と同様に、p型不純物層14a,14b,14c,14dのシート抵抗を120Ω以上とし、n型不純物層15a,15b,15c,15dのシート抵抗を100Ω以下とする。これによってp型不純物層14a,14b,14c,14dの不純物分布のばらつきを抑えられるので、ブリッジ回路4のひずみ感度のばらつきを抑えることが可能となる。さらに図12,図13に示すように、ブリッジ回路4を構成するp型不純物層14a,14b,14c,14dの折り返し数を、ブリッジ回路5を構成するn型不純物層15a,15b,15c,15dの折り返し数より少なくする。これによって、さらにp型不純物層14a,14b,14c,14dの不純物分布のばらつきを抑えられ、またn型不純物層15a,15b,15c,15dの長さがp型不純物層14a,14b,14c,14dに比べて極端に長くなるのを抑えられるので、ブリッジ回路4のひずみ感度のばらつきを抑えることが可能となる。よって本実施例によれば、微小部分の多軸ひずみが精度良く計測可能な力学量計測装置が提供できる。さらに詳細に述べると、ブリッジ回路4とブリッジ回路5の大きさをほぼ揃えることができるので、半導体基板面内で同様なひずみを受けられるようにできる。すなわち、実施例1に示した抵抗値の範囲内でn型不純物層の折り返し回数を少なくすると、1本の不純物層の長さが必然的に長くなる。その場合にはチップ端部近傍までブリッジ回路4が配置されることになり、チップ端部において被測定物のひずみと異なったひずみ量がn型不純物層に負荷され、p型不純物層のひずみ負荷状態と異なることになるため、計測精度が低下するという問題が生じる。しかしながら、n型不純物層の折り返し回数をp型より多くすることによって、n型不純物層の長さがp型不純物層とほぼ同等にできるので、この問題が解消できる。すなわち、上記に述べたようなp型シート抵抗ばらつきの低減効果とともに、n型不純物層の大きさが小さくできるようになるために、ばらつきの防止とともに計測精度の低下防止も実現できる。本実施例によれば、ブリッジ回路5のひずみ状態をブリッジ回路4と同様にすることができたので、ひずみ分布や温度分布がある被測定物を計測する場合にも、多軸のひずみ状態を容易に計測することができる。
【0031】
しかしながら、単に上記の方法だけでも、図10や図11に示すような1つの半導体基板上に、p型不純物抵抗で構成されたブリッジ回路4とn型不純物抵抗で構成されたブリッジ回路5の両方を有する力学量計測装置では多軸のひずみ計測精度が低下する場合がある。すなわち、p型不純物層14a,14b,14c,14dのシート抵抗を120Ω以上にし、n型不純物層15a,15b,15c,15dのシート抵抗を100Ω以下にしても、n型不純物層15a,15b,15c,15dのひずみ感度の温度依存性による抵抗変化量と、p型不純物層14a,14b,14c,14dのひずみ感度の温度依存性による抵抗変化量が異なる条件では、温度が変化した場合に多軸ひずみ状態の計測を行う場合に、2つのセンサの温度依存性が異なるために誤差が拡大してしまう。
【0032】
そこで、図14に示すようにp型不純物濃度をn型不純物濃度の43%程度を中心として20%から60%の範囲とすることにより、温度変化に対するピエゾ抵抗の変化率をn型とp型で2割の範囲内でほぼ等しくすることができる。これをシート抵抗に変換して考えると、p型不純物のシート抵抗とn型不純物のシート抵抗比が1.67〜5.0:1となる。さらにp型不純物層14a,14b,14c,14dのシート抵抗を120Ω以上
(望ましくは120〜500Ω)にし、n型不純物層15a,15b,15c,15dのシート抵抗を100Ω以下(望ましくは40〜100Ω)であり、前出の比が満足できるシート抵抗が望ましい。例えば、n型不純物層のシート抵抗を80Ω程度とすると、p型不純物層のシート抵抗は134Ωから400Ω程度が望ましい。シート抵抗がこのような範囲にあるように図10,図11の力学量測定装置を形成することによって、温度が変化した場合でも高精度な多軸ひずみ状態の計測が可能となる。
【0033】
なお、本実施例の場合には2つのブリッジ回路が1つのシリコン基板2に形成された場合について述べたが、さらに多くのブリッジ回路が形成された場合でも同様な効果を有する。
【0034】
また、このようにp型不純物層の折り返し数を少なくするのと同時に、p型不純物の注入量を減らしてシート抵抗値を増加させると、これらの相乗効果によって多くの利点が生じるが、どちらか一方の処理を行うだけでも、オフセットを抑制する効果は十分に有する。
【実施例3】
【0035】
特許文献1等の公知例においては、4つの不純物層の抵抗値を同一にして、ブリッジ回路が平衡するように設計するが、実際に製造すると4つの不純物層の値が微妙に異なり、若干のオフセットが発生してしまう。よって本発明においては、ブリッジを構成する4つの不純物層の抵抗値が等しく、オフセットが極力発生しない力学量計測装置を提供する。
【0036】
図15には本発明の第三の実施例を示す。図15ではブリッジ回路の対辺を構成するp型不純物層14aと14cを並べて配置し、またブリッジ回路の対辺を構成するp型不純物層14bと14dを隣に並べて配置する。また、p型不純物層14aを構成する各拡散抵抗の間隔を寸法Lとし、p型不純物層14cを構成する各拡散抵抗の間隔も同様にLとし、さらにp型不純物層14aとp型不純物層14cの距離、およびp型不純物層14bとp型不純物層14dの距離もLとする。このように各拡散抵抗の間隔を一定にし、p型不純物層14aとp型不純物層14c,p型不純物層14bとp型不純物層14dと、の間隔を一定にすることによって、各不純物層の応力状態を同一にすることができ、ボロン原子の不純物拡散速度や電気的活性の程度,原子トラップの程度をそろえることができる。すなわち、p型不純物層14aとp型不純物層14cのように、ブリッジ回路の二辺以上を構成する不純物層を同じ方向を向いて配置する場合には、複数の不純物層を同じ方向を向いて一定間隔Lで配置し、この複数の不純物層を電気的に連絡してブリッジ回路の二辺以上を構成する不純物層を形成することで、各不純物層の均一性を高めることができる。これによって、p型不純物層14a,14b,14c,14dの抵抗値を精密に一致させることができるので、ブリッジ回路のオフセットの発生を防止することができる。なお、図15ではp型不純物層から構成されるブリッジ回路を例に挙げて示した。p型不純物層のほうが、ボロン原子の拡散が早いために元来のパターンが同じ間隔に並んでいない場合のばらつきが大きく、本実施例はp型不純物層のシート抵抗バラツキ低減に効果が高い。しかしながらn型不純物層から構成されるブリッジ回路でも、本実施例によればイオン注入条件の均一化が図られることから、p型より効果は小さいが同様な効果を有する。
【0037】
さらに図16に示すように、p型不純物層14aと14cの端部や14bと14dの端部に、電気的にブリッジ回路には接続されていないダミー拡散抵抗6を設けても良い。ダミー拡散抵抗6と各不純物層14a〜14dとの間隔や、ダミー拡散抵抗6どうしの間隔もLにすることが望ましい。すなわち、複数の不純物層を同じ方向を向いて一定間隔Lで配置し、この複数の不純物層を電気的に連絡してブリッジ回路の二辺以上を構成する不純物層を形成するとともに、複数の不純物層はダミー拡散抵抗を含むようにする。ダミー拡散抵抗は、不純物層の並びのうち、ブリッジ回路を構成する不純物層よりも端に設けることが望ましい。その場合には、さらに各不純物層の周辺の応力状態を均一にできるので、よりバラツキ低減に寄与することができる。
【0038】
また、図17に示すように、p型不純物層4bと4dの間隔をLとすることでも、4bと4dの抵抗値を精密に同一に作製することが可能となり、図16に示す実施例に比べては若干劣るものの、オフセットの発生を防止することが可能となる。また、図18に示す不純物層14a,14cのように、複数の不純物層を電気的に連絡してブリッジ回路の一辺を構成する不純物層を構成する場合でも、その両側の不純物層をダミー拡散抵抗6としても良い。
【0039】
同様に、図示はしないが図8や図9のように、p型不純物層及びn型不純物層を同じ向きに配置する場合でも、それぞれの導電型の不純物層で、一定の間隔Lで並んだ複数の不純物層を電気的に連絡してブリッジ回路の二辺を構成する不純物層を形成したり、各不純物層の周辺にダミー拡散抵抗6を設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施例1の動作原理の説明に用いた模式図である。
【図2】実施例1の動作原理の説明に用いた電気回路の接続を示す図である。
【図3】実施例1の動作原理の説明に用いた模式図である。
【図4】実施例1の動作原理の説明に用いた模式図である。
【図5】実施例1の動作原理の説明に用いた断面模式図である。
【図6】実施例1の動作原理の説明に用いた断面模式図である。
【図7】実施例1の動作原理の説明に用いた平面模式図である。
【図8】実施例1の不純物層のレイアウト例を示した模式図である。
【図9】実施例1の不純物層のレイアウト例を示した模式図である。
【図10】実施例2の動作原理の説明に用いた模式図である。
【図11】実施例2の動作原理の説明に用いた模式図である。
【図12】実施例2の不純物層のレイアウト例を示した模式図である。
【図13】実施例2の不純物層のレイアウト例を示した模式図である。
【図14】p型とn型の不純物濃度比と、ピエゾ抵抗係数の温度に対する変化率比との関係を示した図である。
【図15】実施例3の不純物層のレイアウト例を示した模式図である。
【図16】実施例3の不純物層のレイアウト例を示した模式図である。
【図17】実施例3の不純物層のレイアウト例を示した模式図である。
【図18】実施例3の不純物層のレイアウト例を示した模式図である。
【図19】不純物層のシート抵抗とばらつきの関係を示した図である。
【図20】ピエゾ抵抗係数の温度依存性を示した図である。
【符号の説明】
【0041】
1 力学量計測装置
2 シリコン基板
2a 主面
3 不純物層
4,5 ブリッジ回路
4a,4c,5a,5c,15a〜15d n型不純物層
4b,4d、5b,5d,14a〜14d p型不純物層
6 ダミー拡散抵抗
8 接着面
50 配線
51 コンタクトホール
52 層間絶縁膜
107 パッド
306 ウェル
【技術分野】
【0001】
本発明は力学量の計測装置、および力学量の計測が可能なシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
これまで力学量計測装置として特開2006−003182号公報に示されるように、半導体単結晶基板に局所的に不純物層を設け、この不純物層の抵抗値のひずみ依存性から、半導体単結晶基板を貼り付けた被測定物のひずみを計測しようとする方法が行われている。また、これらの方法では、不純物抵抗のひずみ感度の結晶異方性を利用し、特定の方向に電流を流せるようにした不純物層4つを用いてホイートストンブリッジ回路(以下、ブリッジ、もしくはブリッジ回路と呼ぶ)を形成し、特定方位のひずみの計測を実現している。なお、該力学量計測装置を低消費電力化するために、特開2006−003182号公報の図18にあるように、各不純物層を折り返して、コンタクトと配線で接続して細長くする、ということも行われている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−003182号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の公知例においては、p型不純物層のシート抵抗ばらつきに由来したオフセットや感度ばらつきが非常に大きく、計測上の障害や計測精度が大幅に低下するという問題があった。よって本発明では、高精度な計測が可能な力学量計測装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、p型不純物層のシート抵抗値をn型不純物層のシート抵抗値より高くすること、またはp型不純物層の折り返し数をn型不純物層の折り返し数より少なくすることにより達成される。または、ブリッジ回路を構成する4つの不純物層のうち、対向する2つを隣に形成することにより達成される。または、ブリッジ回路を構成する各不純物層の折り返しの間隔と、ブリッジ回路の対向する2つの不純物層の間隔を一致させることにより達成される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、p型不純物層の抵抗値のばらつきが小さくなり、ブリッジ回路のオフセットが小さくなって高精度な計測をすることができる。また、本発明によれば感度バラツキが減少するので、2軸のひずみを分離して計測しようとする際にも精度良く計測値を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【0008】
本発明においては、ひずみ感応部として半導体基板に不純物層を設けたものであり、半導体単結晶の結晶方位とピエゾ抵抗係数の関係を考慮し、不純物層の電流方向とひずみを計測する方向との関係を、所望の特性を得られるように考慮したものである。以下では、単結晶半導体基板2の結晶面や結晶方位の表記には、ミラー指数を用いる。
【0009】
ミラー指数表記においては、マイナス方向を指定する場合、数字の上にバーを付するが、本明細書中においては便宜上バーの付いた数字は“−”をつけて〔−110〕のように表記する。また特定の面や方向を表す場合には()と〔〕をそれぞれ用い、単結晶半導体基板内において等価である面や方向を表す場合には、それぞれ{}と<>を用いて表記する。さらに、本明細書においては不純物層の長手方向に電流を流し、電流の流れる方向の抵抗値の変動を計測する。不純物層の長手方向という表記は電流を流し抵抗値変動を計測する方向を意味するものとする。
【実施例1】
【0010】
図1,図2に示すように、1つの半導体基板上にp型不純物層4b,4dとn型不純物層4a,4cを組み合わせたブリッジ回路を用いて、多軸ひずみ場の計測を行うことが可能である。すなわち本実施例においては、<100>方向と平行な方向に電流を流しブリッジ回路の対辺を構成するn型不純物層4a,4cと、<100>方向に平行な方向に電流を流しブリッジ回路の対辺を構成するp型不純物層4b,4dの組み合わせによってブリッジ回路4を構成しており、このうち該p型不純物層4b,4dはどの方向のひずみに対してもひずみ感度が非常に低いのに対して、n型不純物層4a,4cは、電流方向のひずみに対する感度が高く、さらに電流方向と直角な方向のひずみに対する感度をある程度持つ。よって図1,図2に示すように、ブリッジ回路4を構成することによって、p型不純物層4b,4dの電流方向のひずみを主に検知することが可能となる。
【0011】
なお、各不純物層においては、低消費電力化を行うために高抵抗化することが望まれ、そのために図3に示すように複数本の不純物層4a,4b,4c,4dを設け、それぞれコンタクトホール51と配線50で接続して、折り返しながら長さを稼ぎ、抵抗値を増加させるという方法が取られる。あるいは図4に示すように、コンタクトホール11と配線12でなく、各拡散層自体で折り返すのでも同様な効果がある。
【0012】
しかしながら、ウエハ毎,ロット毎にp型不純物層4b,4dの実際のシート抵抗値が製造プロセスにおける設定値から大きく変化することが多く、回路パターン設計時に想定した値と異なるシート抵抗値にでき上がるものが多かった。よってp型不純物層4b,
4dの抵抗値がn型不純物層4a,4cの抵抗値と異なるものが多いためにブリッジ回路に不均衡が生じ、大きなオフセットが発生する場合が多かった。この出力をアンプで増幅しようとする際に、オフセットのために出力が飽和してしまう等の問題があり、高倍率の増幅ができず、高精度な計測に支障をきたしていた。すなわち、オフセットが大きくなってしまうために、倍率を上げた高精度な測定が難しくなるという問題があった。
【0013】
上記の力学量計測装置におけるp型不純物層のシート抵抗ばらつきは、p型不純物であるボロン原子の挙動に由来することが明らかとなってきた。すなわち、ボロン原子のようにp型不純物の半導体中での拡散がn型不純物に比べて格段に速いために不純物分布が崩れやすく、また、ボロン原子は半導体中において侵入型の拡散機構を持つために、その拡散した原子がひずみ場にトラップされやすい。この現象は、高濃度にイオン注入される場合には、イオン注入領域に発生する異種原子混入に起因するひずみ場が形成されることによって著しく悪化する。また半導体基板内にイオン注入に起因する微小欠陥が多量に含まれている場合には、この微小欠陥へのトラップによりさらにこのバラツキが大きくなる。
【0014】
すなわち、拡散したボロン原子は、拡散パターンの角部やコンタクト部などのひずみの集中場にトラップされやすく、これらのひずみはイオン注入量が多いほど、すなわち、シート抵抗が高いほど大きくなる。ロット毎,ウエハ毎、あるいはウエハ面内における僅かなパターンずれや形状のばらつきによってもひずみの集中の程度が変わるので、トラップの量が大きく変化しやすく、これが抵抗値のばらつきに反映される。
【0015】
力学量計測装置の断面構造を図5に示す。シリコン基板2の表面に不純物層4a,4b,4c,4dおよび5a,5b,5c,5dが形成され、これにコンタクトホール51が接続されており、このコンタクトホール51の端部には配線50が形成されている。このコンタクトホール51および配線50は層間絶縁膜52に埋め込まれている。さらに断面の詳細を図6に、平面の拡大図を図7に示す。本発明においては、図6や図7に示す各不純物層の折り返し部13やコンタクトホール51との境界面12においては、ひずみが集中しやすく、ここにボロン原子がトラップされやすい。よって、コンタクトホール51との境界面12や折り返し部13のパターンの若干のズレや加工誤差等によって局所的なひずみ値が変動することから、これがトラップ量に影響を与え、シート抵抗値のばらつきの原因となる。
【0016】
以上の要因によって、p型不純物層を構成するボロン原子の分布がばらつくため、不純物層のシート抵抗が大きくばらつくことが明らかとなってきた。
【0017】
なお、n型不純物層を構成するヒ素やリン原子では、半導体中の拡散速度がボロンに比べて格段に低く、また置換型拡散機構を持つためにひずみ場の影響を受けにくい。よって、n型不純物層ではロット毎,ウエハ毎、あるいはウエハ面内における微妙な熱処理温度の違いの影響を受けにくいという特徴がある。n型不純物層では不純物濃度を小さくしすぎると、ひずみ取得特性の温度依存性が過大となるために、ひずみセンサの特性が悪くなるという問題が発生する。
【0018】
そこで本発明では、図3や図4に示す力学量測定装置において、p型不純物層4b,
4dのp型不純物のシート抵抗を120Ω以上、表面不純物濃度換算で5×1019cm-3以下とすることを特徴とする。
【0019】
p型不純物のシート抵抗を増加させること、すなわち不純物注入量を減らすことにより、シート抵抗値に与える不純物分布の影響を相対的に低下させる効果を持つようにできる。すなわち、ボロン原子の注入量を減らすことによって、イオン注入層事態が持つひずみ場を減少させることができ、ひずみ場にトラップされる原子の量が少なくなることから、p型不純物層4b,4dの抵抗ばらつきを小さくすることができる。また、p型不純物の注入量を減らすことで、半導体結晶内の結晶格子のひずみや微小欠陥等を減少させることができるので、濃度ばらつきやトラップ量のばらつきを抑えることが可能となり、結果としてp型不純物層のシート抵抗ばらつきが低減できる。図19に示すようにシート抵抗を
120Ω以上とするとシート抵抗ばらつきの範囲は2割以下となる。このようにシート抵抗を120Ω以上とすることによりシート抵抗バラツキの発生が抑えられるので、オフセットが過大になることを防止することができる。また、シート抵抗の上限値は実施例2で後述する温度依存性の理由から500Ω以下とすることが望ましい。
【0020】
一方、n型不純物層では、半導体中の拡散速度がボロンに比べて格段に低いために、シート抵抗を増加させなくともばらつきは大きくならない。逆に、n型不純物層4a,4cのシート抵抗をp型と同様に増加させてしまうと、ひずみ感度の温度依存性が過大となるために望ましくない。すなわちn型不純物層の感度の温度依存性はp型不純物層に比べて非常に大きいために、温度変化によって大きな誤差が生じやすく、逆に測定精度を低下させる原因となるという大きな問題が発生するため、p型不純物層とは逆に不純物濃度を増加させることが望ましい。図20に示すように、シート抵抗が100Ωを越えるとピエゾ抵抗係数の温度依存性が急激に大きくなることがわかる。すなわちシート抵抗を100Ω以下とすることにより、温度変化による誤差を最小限に抑えることができる。シート抵抗100Ω以下とは表面不純物濃度換算で1×1020cm-3以上に相当する。なお、シート抵抗が40Ω以下になるとピエゾ抵抗係数が最大値の2割以下と小さくなり、ひずみ感度が小さくなりすぎるのでノイズに弱くなる等、問題点が大きくなる。このように、望ましくはn型不純物層のシート抵抗は40Ω以上100Ω以下が望ましい。
【0021】
よって、p型とn型の不純物層を組み合わせて1つのブリッジを構成する場合において、p型不純物層4b,4dのp型不純物のシート抵抗を120Ω以上、n型不純物層4a,4cのn型不純物のシート抵抗を100Ω以下とすることによって、p型不純物層に由来するばらつきと、n型不純物層に由来する温度変化によるひずみ感度の変動を、両方とも防止できる力学量測定装置を得ることができる。
【0022】
さらに図8に示すように、これに加えてp型不純物層の折り返し回数を少なくすることで、ひずみの集中箇所を減らすことができ、これによって不純物分布のばらつきを低減することが可能となる。すなわちp型不純物層の総面積に対するひずみ集中箇所の面積の割合を低下させることができるので、シート抵抗のばらつきを低減させることが可能となる。p型不純物層とn型不純物層を組み合わせて用いるブリッジ回路において、p型不純物層4b,4dの折り返し数をn型不純物層4a,4cの折り返し数より少なくし、さらにp型不純物層4b,4dのシート抵抗値を120Ω以上、n型不純物層4a,4cのシート抵抗値を100Ω以下とする。これによって、p型不純物層4b,4dのシート抵抗ばらつきが低減できるためにブリッジ回路4のオフセットを抑えることができ、またブリッジ回路4のひずみ感度の温度依存性が過大とならないようにすることができる。よってこの出力をアンプ等によって増幅しようとする場合にも、出力が飽和するという問題がなく、高倍率に増幅して高感度な測定が可能となる。
【0023】
また、本発明によれば、p型不純物層の折り返し回数をn型不純物層の折り返し回数より少なくするとともに、p型不純物の注入量を減らしてシート抵抗値をn型不純物層より大きくすることによって、図8に示すように、p型不純物層4b,4dの長さをn型不純物層4a,4cの長さとほぼ同じにできるという副次効果もある。通常、p型不純物層の折り返し数を少なくした場合には、p型不純物層4b,4dだけ長くなるために、p型不純物層とn型不純物層との間で温度差やひずみ分布の差が発生するために誤差が大きくなる。しかしながら、本実施例の場合には、n型不純物層の折り返し数が多くなるように折り返すことによってp型不純物層4b,4dとn型不純物層4a,4cがほぼ同じ長さにできることから、ほぼ同じ位置に配置できる。よってp型不純物層4b,4dとn型不純物層4a,4cの温度やひずみ状態を全く同じにできるので、温度が変化した場合や大きなひずみ分布がある場合においても誤差の発生を防止することができる。なお、ここでn型不純物層とp型不純物層の幅はほぼ同じであることを仮定している。
【0024】
なお、このようにp型不純物層の折り返し数を少なくするのと同時に、p型不純物やn型不純物の注入量を所定の範囲にすると、これらの相乗効果によって多くの利点が生じるが、どちらか一方の処理を行うだけでも、オフセットを抑制する効果は十分に有する。
【0025】
さらに、図6から図8を用いて、主にブリッジ回路4について説明したが、図9に示すように1つのシリコン基板2に複数のブリッジ回路を設け、多軸ひずみ場のひずみ状態を計測する場合でも同様な利点が生じるとともに、ブリッジ回路が小さくなるので全体的にチップ面積を小さくでき、低コストで製造できるという利点も生じる。
【実施例2】
【0026】
図10や図11に示すように、1つの半導体基板上に、p型不純物抵抗で構成されたブリッジ回路4とn型不純物抵抗で構成されたブリッジ回路5の両方を有する力学量計測装置を用いると、多軸ひずみ場におけるひずみ状態を計測できる。図10に示す力学量計測装置では、<110>方向を電流の方向と平行とするp型不純物層14a,14b,14c,14dで構成されるブリッジ回路4と、<100>方向を電流方向と平行とするn型不純物層15a,15b,15c,15dで構成されるブリッジ回路5を、同一のシリコン基板2に形成してある。ブリッジ回路4では<110>方向の垂直ひずみが、ブリッジ回路5では<110>方向を座標軸とするせん断ひずみが、それぞれ計測できる。
【0027】
また図11に示す力学量計測装置では、<110>方向を電流の方向と平行とするp型不純物層14a,14b,14c,14dで構成されるブリッジ回路4と<110>方向を電流の方向と平行とするn型不純物層15a,15b,15c,15dで構成されるブリッジ回路5を、同一のシリコン基板に形成してある。この2つのブリッジ回路を用いることにより、〔110〕と〔−110〕の直交2軸のひずみを分離して求めることが可能となる。
【0028】
これらの力学量計測装置では、同一のシリコン基板2上にブリッジ回路4とブリッジ回路5を形成していることから、接着時に発生する感度誤差や貼り付け位置の誤差などが低減でき、高精度計測が可能となる。また、微小領域に各方向のひずみ量を計測するブリッジ回路を設けられることから、微小部に発生する応力集中場のひずみでも精度良く求められるという利点がある。
【0029】
しかしながら、これだけでは、前述のように、ブリッジ回路4の不純物分布がロット毎,ウエハ毎に変わり、これに起因してブリッジ回路4のひずみ感度が大きく変動するために、高精度な計測が難しかった。すなわち、1つの半導体基板上に、p型不純物抵抗で構成されたブリッジ回路とn型不純物抵抗で構成されたブリッジ回路の両方を有する力学量計測装置を用いて、それぞれのブリッジの出力から多軸ひずみを分離して求めようとする場合には、ウエハ毎,ロット毎にp型不純物拡抵抗のシート抵抗が大きく変化するために、p型不純物抵抗で構成されたブリッジ回路のひずみに対する感度が大きく変動する。よって、p型不純物抵抗で構成されたブリッジ回路とn型不純物抵抗で構成されたブリッジ回路の両方の計測値を用いて、その局所領域のひずみ状態をテンソル量として求めようとする際に設計された抵抗値を用いて行うと誤差が発生し、正確な計測が実現できないという問題がある。また、p型不純物抵抗で構成されたブリッジ回路とn型不純物抵抗で構成されたブリッジ回路とでは、両者のひずみ感度の温度依存性が大きく異なるために、温度が変化した際には大きな誤差となるという問題もあった。
【0030】
図12,図13には本発明における第2の実施例を示す。なお、図12,図13には半導体基板2は記していないが、ブリッジ回路4とブリッジ回路5が半導体基板表面に形成されているところを、ブリッジ回路4とブリッジ回路5の部分のみ記したものである。本実施例では、実施例1と同様に、p型不純物層14a,14b,14c,14dのシート抵抗を120Ω以上とし、n型不純物層15a,15b,15c,15dのシート抵抗を100Ω以下とする。これによってp型不純物層14a,14b,14c,14dの不純物分布のばらつきを抑えられるので、ブリッジ回路4のひずみ感度のばらつきを抑えることが可能となる。さらに図12,図13に示すように、ブリッジ回路4を構成するp型不純物層14a,14b,14c,14dの折り返し数を、ブリッジ回路5を構成するn型不純物層15a,15b,15c,15dの折り返し数より少なくする。これによって、さらにp型不純物層14a,14b,14c,14dの不純物分布のばらつきを抑えられ、またn型不純物層15a,15b,15c,15dの長さがp型不純物層14a,14b,14c,14dに比べて極端に長くなるのを抑えられるので、ブリッジ回路4のひずみ感度のばらつきを抑えることが可能となる。よって本実施例によれば、微小部分の多軸ひずみが精度良く計測可能な力学量計測装置が提供できる。さらに詳細に述べると、ブリッジ回路4とブリッジ回路5の大きさをほぼ揃えることができるので、半導体基板面内で同様なひずみを受けられるようにできる。すなわち、実施例1に示した抵抗値の範囲内でn型不純物層の折り返し回数を少なくすると、1本の不純物層の長さが必然的に長くなる。その場合にはチップ端部近傍までブリッジ回路4が配置されることになり、チップ端部において被測定物のひずみと異なったひずみ量がn型不純物層に負荷され、p型不純物層のひずみ負荷状態と異なることになるため、計測精度が低下するという問題が生じる。しかしながら、n型不純物層の折り返し回数をp型より多くすることによって、n型不純物層の長さがp型不純物層とほぼ同等にできるので、この問題が解消できる。すなわち、上記に述べたようなp型シート抵抗ばらつきの低減効果とともに、n型不純物層の大きさが小さくできるようになるために、ばらつきの防止とともに計測精度の低下防止も実現できる。本実施例によれば、ブリッジ回路5のひずみ状態をブリッジ回路4と同様にすることができたので、ひずみ分布や温度分布がある被測定物を計測する場合にも、多軸のひずみ状態を容易に計測することができる。
【0031】
しかしながら、単に上記の方法だけでも、図10や図11に示すような1つの半導体基板上に、p型不純物抵抗で構成されたブリッジ回路4とn型不純物抵抗で構成されたブリッジ回路5の両方を有する力学量計測装置では多軸のひずみ計測精度が低下する場合がある。すなわち、p型不純物層14a,14b,14c,14dのシート抵抗を120Ω以上にし、n型不純物層15a,15b,15c,15dのシート抵抗を100Ω以下にしても、n型不純物層15a,15b,15c,15dのひずみ感度の温度依存性による抵抗変化量と、p型不純物層14a,14b,14c,14dのひずみ感度の温度依存性による抵抗変化量が異なる条件では、温度が変化した場合に多軸ひずみ状態の計測を行う場合に、2つのセンサの温度依存性が異なるために誤差が拡大してしまう。
【0032】
そこで、図14に示すようにp型不純物濃度をn型不純物濃度の43%程度を中心として20%から60%の範囲とすることにより、温度変化に対するピエゾ抵抗の変化率をn型とp型で2割の範囲内でほぼ等しくすることができる。これをシート抵抗に変換して考えると、p型不純物のシート抵抗とn型不純物のシート抵抗比が1.67〜5.0:1となる。さらにp型不純物層14a,14b,14c,14dのシート抵抗を120Ω以上
(望ましくは120〜500Ω)にし、n型不純物層15a,15b,15c,15dのシート抵抗を100Ω以下(望ましくは40〜100Ω)であり、前出の比が満足できるシート抵抗が望ましい。例えば、n型不純物層のシート抵抗を80Ω程度とすると、p型不純物層のシート抵抗は134Ωから400Ω程度が望ましい。シート抵抗がこのような範囲にあるように図10,図11の力学量測定装置を形成することによって、温度が変化した場合でも高精度な多軸ひずみ状態の計測が可能となる。
【0033】
なお、本実施例の場合には2つのブリッジ回路が1つのシリコン基板2に形成された場合について述べたが、さらに多くのブリッジ回路が形成された場合でも同様な効果を有する。
【0034】
また、このようにp型不純物層の折り返し数を少なくするのと同時に、p型不純物の注入量を減らしてシート抵抗値を増加させると、これらの相乗効果によって多くの利点が生じるが、どちらか一方の処理を行うだけでも、オフセットを抑制する効果は十分に有する。
【実施例3】
【0035】
特許文献1等の公知例においては、4つの不純物層の抵抗値を同一にして、ブリッジ回路が平衡するように設計するが、実際に製造すると4つの不純物層の値が微妙に異なり、若干のオフセットが発生してしまう。よって本発明においては、ブリッジを構成する4つの不純物層の抵抗値が等しく、オフセットが極力発生しない力学量計測装置を提供する。
【0036】
図15には本発明の第三の実施例を示す。図15ではブリッジ回路の対辺を構成するp型不純物層14aと14cを並べて配置し、またブリッジ回路の対辺を構成するp型不純物層14bと14dを隣に並べて配置する。また、p型不純物層14aを構成する各拡散抵抗の間隔を寸法Lとし、p型不純物層14cを構成する各拡散抵抗の間隔も同様にLとし、さらにp型不純物層14aとp型不純物層14cの距離、およびp型不純物層14bとp型不純物層14dの距離もLとする。このように各拡散抵抗の間隔を一定にし、p型不純物層14aとp型不純物層14c,p型不純物層14bとp型不純物層14dと、の間隔を一定にすることによって、各不純物層の応力状態を同一にすることができ、ボロン原子の不純物拡散速度や電気的活性の程度,原子トラップの程度をそろえることができる。すなわち、p型不純物層14aとp型不純物層14cのように、ブリッジ回路の二辺以上を構成する不純物層を同じ方向を向いて配置する場合には、複数の不純物層を同じ方向を向いて一定間隔Lで配置し、この複数の不純物層を電気的に連絡してブリッジ回路の二辺以上を構成する不純物層を形成することで、各不純物層の均一性を高めることができる。これによって、p型不純物層14a,14b,14c,14dの抵抗値を精密に一致させることができるので、ブリッジ回路のオフセットの発生を防止することができる。なお、図15ではp型不純物層から構成されるブリッジ回路を例に挙げて示した。p型不純物層のほうが、ボロン原子の拡散が早いために元来のパターンが同じ間隔に並んでいない場合のばらつきが大きく、本実施例はp型不純物層のシート抵抗バラツキ低減に効果が高い。しかしながらn型不純物層から構成されるブリッジ回路でも、本実施例によればイオン注入条件の均一化が図られることから、p型より効果は小さいが同様な効果を有する。
【0037】
さらに図16に示すように、p型不純物層14aと14cの端部や14bと14dの端部に、電気的にブリッジ回路には接続されていないダミー拡散抵抗6を設けても良い。ダミー拡散抵抗6と各不純物層14a〜14dとの間隔や、ダミー拡散抵抗6どうしの間隔もLにすることが望ましい。すなわち、複数の不純物層を同じ方向を向いて一定間隔Lで配置し、この複数の不純物層を電気的に連絡してブリッジ回路の二辺以上を構成する不純物層を形成するとともに、複数の不純物層はダミー拡散抵抗を含むようにする。ダミー拡散抵抗は、不純物層の並びのうち、ブリッジ回路を構成する不純物層よりも端に設けることが望ましい。その場合には、さらに各不純物層の周辺の応力状態を均一にできるので、よりバラツキ低減に寄与することができる。
【0038】
また、図17に示すように、p型不純物層4bと4dの間隔をLとすることでも、4bと4dの抵抗値を精密に同一に作製することが可能となり、図16に示す実施例に比べては若干劣るものの、オフセットの発生を防止することが可能となる。また、図18に示す不純物層14a,14cのように、複数の不純物層を電気的に連絡してブリッジ回路の一辺を構成する不純物層を構成する場合でも、その両側の不純物層をダミー拡散抵抗6としても良い。
【0039】
同様に、図示はしないが図8や図9のように、p型不純物層及びn型不純物層を同じ向きに配置する場合でも、それぞれの導電型の不純物層で、一定の間隔Lで並んだ複数の不純物層を電気的に連絡してブリッジ回路の二辺を構成する不純物層を形成したり、各不純物層の周辺にダミー拡散抵抗6を設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施例1の動作原理の説明に用いた模式図である。
【図2】実施例1の動作原理の説明に用いた電気回路の接続を示す図である。
【図3】実施例1の動作原理の説明に用いた模式図である。
【図4】実施例1の動作原理の説明に用いた模式図である。
【図5】実施例1の動作原理の説明に用いた断面模式図である。
【図6】実施例1の動作原理の説明に用いた断面模式図である。
【図7】実施例1の動作原理の説明に用いた平面模式図である。
【図8】実施例1の不純物層のレイアウト例を示した模式図である。
【図9】実施例1の不純物層のレイアウト例を示した模式図である。
【図10】実施例2の動作原理の説明に用いた模式図である。
【図11】実施例2の動作原理の説明に用いた模式図である。
【図12】実施例2の不純物層のレイアウト例を示した模式図である。
【図13】実施例2の不純物層のレイアウト例を示した模式図である。
【図14】p型とn型の不純物濃度比と、ピエゾ抵抗係数の温度に対する変化率比との関係を示した図である。
【図15】実施例3の不純物層のレイアウト例を示した模式図である。
【図16】実施例3の不純物層のレイアウト例を示した模式図である。
【図17】実施例3の不純物層のレイアウト例を示した模式図である。
【図18】実施例3の不純物層のレイアウト例を示した模式図である。
【図19】不純物層のシート抵抗とばらつきの関係を示した図である。
【図20】ピエゾ抵抗係数の温度依存性を示した図である。
【符号の説明】
【0041】
1 力学量計測装置
2 シリコン基板
2a 主面
3 不純物層
4,5 ブリッジ回路
4a,4c,5a,5c,15a〜15d n型不純物層
4b,4d、5b,5d,14a〜14d p型不純物層
6 ダミー拡散抵抗
8 接着面
50 配線
51 コンタクトホール
52 層間絶縁膜
107 パッド
306 ウェル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上にひずみ検出部を有し、被測定物に貼り付けもしくは埋め込みを行って該被測定物のひずみの計測を実施する力学量測定装置において、
前記半導体基板上に、n型不純物層で構成されたブリッジ回路と、p型不純物層で構成されたブリッジ回路とを有し、
前記p型不純物層のシート抵抗は前記n型不純物層のシート抵抗の1.67 〜5倍であることを特徴とする力学量計測装置。
【請求項2】
請求項1において、p型不純物層の不純物濃度をn型不純物層の不純物濃度の20から60%にすることを特徴とする力学量計測装置。
【請求項3】
請求項1において、
n型不純物層のシート抵抗を40〜100Ωであり、
p型不純物層のシート抵抗を120Ω〜500Ωであることを特徴とする力学量計測装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記n型不純物層及び前記p型不純物層は、折り返して形成され、
前記n型不純物層の折り返し数は、前記p型不純物層の折り返し数よりも多いことを特徴とする力学量計測装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記n型不純物層と前記p型不純物層とは、その長さ及び幅が略同一であることを特徴とする力学量計測装置。
【請求項6】
半導体基板上にひずみ検出部を有し、被測定物に貼り付けもしくは埋め込みを行って該被測定物のひずみの計測を実施する力学量測定装置において、
前記半導体基板上に、p型不純物層を有するブリッジ回路を有し、
前記p型不純物層のシート抵抗は120〜500Ωであることを特徴とする力学量計測装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記p型不純物層は、その長手方向が<100>方向を向いていることを特徴とする力学量計測装置。
【請求項8】
請求項6において、
前記ブリッジ回路は、前記p型不純物層とn型不純物層とを有することを特徴とする力学量計測装置。
【請求項9】
半導体基板上にひずみ検出部を有し、被測定物に貼り付けもしくは埋め込みを行って該被測定物のひずみの計測を実施する力学量測定装置において、
前記半導体基板上に、n型不純物層を有するブリッジ回路を有し、
前記n型不純物層のシート抵抗は40〜100Ωであることを特徴とする力学量計測装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記n型不純物層は、その長手方向が<100>方向を向いていることを特徴とする力学量計測装置。
【請求項11】
請求項8において、
前記n型不純物層のシート抵抗は40〜100Ωであり、
前記n型不純物層及び前記p型不純物層は、折り返して形成され、
前記n型不純物層の折り返し数は、前記p型不純物層の折り返し数よりも多いことを特徴とする力学量計測装置。
【請求項12】
請求項11において、
前記n型不純物層と前記p型不純物層とは、その長さ及び幅が略同一であることを特徴とする力学量計測装置。
【請求項13】
半導体基板上にひずみ検出部を有して測定を行う力学量測定装置において、
前記ひずみ検出部はブリッジ回路を有し、
前記半導体基板上に、ブリッジ回路の一辺を構成する不純物層を折り返して形成し、
前記折り返した不純物層は、折り返しで隣り合う間隔は等しく、前記ブリッジ回路の他の一辺を構成する不純物層までの距離は、前記間隔と等しいことを特徴とする力学量計測装置。
【請求項14】
請求項13において、
前記不純物層が構成するブリッジ回路の一辺と、前記不純物層の折り返し間隔と同じ距離で隣り合う不純物層が構成するブリッジ回路の他の一辺とは、ブリッジ回路の対辺であることを特徴とする力学量計測装置。
【請求項15】
半導体基板上にひずみ検出部を有して測定を行う力学量測定装置において、
前記ひずみ検出部はブリッジ回路を有し、
前記半導体基板上に、ブリッジの回路一辺を構成する不純物層を折り返して形成し、
前記折り返した不純物層は、折り返しで隣り合う間隔は等しく、
前記折り返した不純物層は、その周囲にブリッジ回路を構成しないダミー不純物層を有し、
前記ダミー不純物層までの距離は、前記間隔と等しいことを特徴とする力学量計測装置。
【請求項16】
同一半導体基板上に複数のひずみ検出部が設けられており、
前記ひずみ検出部が、主としてp型不純物層で構成されたブリッジ回路と、n型不純物層で構成されたブリッジ回路であり、
各ブリッジ回路の対角の不純物層が隣に並んでいることを特徴とする力学量計測装置。
【請求項1】
半導体基板上にひずみ検出部を有し、被測定物に貼り付けもしくは埋め込みを行って該被測定物のひずみの計測を実施する力学量測定装置において、
前記半導体基板上に、n型不純物層で構成されたブリッジ回路と、p型不純物層で構成されたブリッジ回路とを有し、
前記p型不純物層のシート抵抗は前記n型不純物層のシート抵抗の1.67 〜5倍であることを特徴とする力学量計測装置。
【請求項2】
請求項1において、p型不純物層の不純物濃度をn型不純物層の不純物濃度の20から60%にすることを特徴とする力学量計測装置。
【請求項3】
請求項1において、
n型不純物層のシート抵抗を40〜100Ωであり、
p型不純物層のシート抵抗を120Ω〜500Ωであることを特徴とする力学量計測装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記n型不純物層及び前記p型不純物層は、折り返して形成され、
前記n型不純物層の折り返し数は、前記p型不純物層の折り返し数よりも多いことを特徴とする力学量計測装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記n型不純物層と前記p型不純物層とは、その長さ及び幅が略同一であることを特徴とする力学量計測装置。
【請求項6】
半導体基板上にひずみ検出部を有し、被測定物に貼り付けもしくは埋め込みを行って該被測定物のひずみの計測を実施する力学量測定装置において、
前記半導体基板上に、p型不純物層を有するブリッジ回路を有し、
前記p型不純物層のシート抵抗は120〜500Ωであることを特徴とする力学量計測装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記p型不純物層は、その長手方向が<100>方向を向いていることを特徴とする力学量計測装置。
【請求項8】
請求項6において、
前記ブリッジ回路は、前記p型不純物層とn型不純物層とを有することを特徴とする力学量計測装置。
【請求項9】
半導体基板上にひずみ検出部を有し、被測定物に貼り付けもしくは埋め込みを行って該被測定物のひずみの計測を実施する力学量測定装置において、
前記半導体基板上に、n型不純物層を有するブリッジ回路を有し、
前記n型不純物層のシート抵抗は40〜100Ωであることを特徴とする力学量計測装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記n型不純物層は、その長手方向が<100>方向を向いていることを特徴とする力学量計測装置。
【請求項11】
請求項8において、
前記n型不純物層のシート抵抗は40〜100Ωであり、
前記n型不純物層及び前記p型不純物層は、折り返して形成され、
前記n型不純物層の折り返し数は、前記p型不純物層の折り返し数よりも多いことを特徴とする力学量計測装置。
【請求項12】
請求項11において、
前記n型不純物層と前記p型不純物層とは、その長さ及び幅が略同一であることを特徴とする力学量計測装置。
【請求項13】
半導体基板上にひずみ検出部を有して測定を行う力学量測定装置において、
前記ひずみ検出部はブリッジ回路を有し、
前記半導体基板上に、ブリッジ回路の一辺を構成する不純物層を折り返して形成し、
前記折り返した不純物層は、折り返しで隣り合う間隔は等しく、前記ブリッジ回路の他の一辺を構成する不純物層までの距離は、前記間隔と等しいことを特徴とする力学量計測装置。
【請求項14】
請求項13において、
前記不純物層が構成するブリッジ回路の一辺と、前記不純物層の折り返し間隔と同じ距離で隣り合う不純物層が構成するブリッジ回路の他の一辺とは、ブリッジ回路の対辺であることを特徴とする力学量計測装置。
【請求項15】
半導体基板上にひずみ検出部を有して測定を行う力学量測定装置において、
前記ひずみ検出部はブリッジ回路を有し、
前記半導体基板上に、ブリッジの回路一辺を構成する不純物層を折り返して形成し、
前記折り返した不純物層は、折り返しで隣り合う間隔は等しく、
前記折り返した不純物層は、その周囲にブリッジ回路を構成しないダミー不純物層を有し、
前記ダミー不純物層までの距離は、前記間隔と等しいことを特徴とする力学量計測装置。
【請求項16】
同一半導体基板上に複数のひずみ検出部が設けられており、
前記ひずみ検出部が、主としてp型不純物層で構成されたブリッジ回路と、n型不純物層で構成されたブリッジ回路であり、
各ブリッジ回路の対角の不純物層が隣に並んでいることを特徴とする力学量計測装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2008−82907(P2008−82907A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−263721(P2006−263721)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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