説明

加圧振動及び噴射造粒による超微粒子

【課題】 1)加圧振動噴射造粒装置で、無粉砕で球状及び鱗片状の超微粒子を得ることができ、2)篩別工程無しに、シャープな球形粒度分布を有する球状超微粒子を得ることができ、3)極めて真円に近似し、粒子径が目的用途により100nm〜50000nmの大きさの球状超微粒子を得ることができ、4)しかも低コストでの工業的生産を可能にする方法を提供する。
【解決手段】 加圧振動噴射造粒装置で、無粉砕で、真円度が0.9〜1.0で粒径が0.01μm〜10μmの形態を有することを特徴とする球状超微粒子を提供する。該球状超微粒子は、特殊な貫通孔と貫通孔密度を有する基盤をノズルに用いることにより製造できる。この基盤ノズルには、貫通孔の穴径が0.05μm〜50μmで、貫通孔のアスペクト比(穴径と貫通孔の長さの比)が、5〜200で有し、貫通孔の密度が100〜7000個/cm2の貫通孔密度を有する基盤をノズルに用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニッケル水素電池(Ni-mH)のような電池、セラミックコンデンサや電気二重層キャパシタのような電子部品用、医薬用、触媒用等の球状単体金属、球状活性炭、球状多孔質シリカ、プリンター用球状各種トナー等のような球状超微粒子原料を無粉砕で調製可能な微粒子の形状とその製法に関し、又、本発明の応用展開として、無粉砕で薄状、鱗片状の超微粒子の提供も可能にするものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術は、球状粒子を形成する原料の融点により製法が異なっている。半田等の金属球状粉末や多孔質シリカゲルの球状粒子は、半田では、280℃〜330℃の温度で、シリカゲルではアルカリリッチの低軟化点ガラスを700℃〜900℃の温度で、耐熱性のスプレーノズルを用いて、雰囲気制御を行い噴霧方式で生産されている。
【0003】
また、フェノール樹脂の球状粒子は、カネボウ(株)製のベルパールSや群栄化学工業(株)製のマリリンHF−050Wが市販されている。これらの製法は、レゾール樹脂とホルマリンのようなアルデヒドを乳化重合する工程で高速回転させ微粒化重合している。しかし、特開2003−203829号公報には、これらの粒状粒子の大きさは、30μm〜500μmの大きな粒子のため3〜8μmの実用粒径まで再粉砕してから、電子部品材料に用いられる。また、特開平11−1314では、フェノール樹脂にセルロース誘導体と溶媒を混合させ、相互に層分離させ、フェノール樹脂を硬化させ、その後、溶媒、セルロースを除去する方法が提案されている。この方法は、工程が複雑で、かつ、樹脂の微粒化工程が記載されず、何故、微粒化粒子の形成が可能になるかが明確でない。
このように粒子径が9μm以下の超微粒子を無粉砕で、製造する方法は、現在迄に提案及び実用化されていないのが現状である。
【0004】
現在、市販の活性炭を例に挙げると平均粒径が5〜10μm粒子で粉砕分級コストは30%で、3〜5μmの粒子サイズでは粉砕分級価格が活性炭価格の50%を占めている。また、活性炭は、非常に活性を有するため粉砕分級工程で雰囲気中のガス成分を吸着したり、表面酸化を受け不活性に成る場合が少なくない。
【0005】
【特許文献1】特開2003−203829
【特許文献2】特開平11−1314
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
単体金属、合金、ガラス及び有機化合物のような融点を有する物質をその融点以上の温度で、スプレーノズルで微粒化する従来の方法は、物質の物性にも依存するが、通常、量産に成功している粒子径は数mmのものが大部分で、100μm〜500μmの粒子径は、実験室レベルが現状である。従って、10μm以下の粒子を無粉砕で量産する方法は未開発であった。また、高温スプレーノズル方法は、ノズルの磨耗と腐食が激しく、製造した粒子径が大きく、粒度分布の分布幅が大きく、設定範囲内の粒度分布を有する粒子を製造することは、篩別機を使用しても、極めて困難であった。特に、100〜1000nmオーダーの球状粉粒体は、工業的粉砕機、篩別機ともに未開発の状態である。
また、上記の従来例で、第2、第3物質を用いて、乳化重合時に高速回転し、微粒化粒子を得る方法も工程が複雑で、不純物の除去が困難で、また、粉砕工程を経ないと微粒化は、困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、これらの従来の課題を解決し、以下の特性改善を目標とする。1)無粉砕で球状及び鱗片状の超微粒子を得る。2)篩別工程無しに、シャープな球形粒度分布を有する球状超微粒子を得る。3)極めて真円に近似した球状超微粒子を得る。粒子径が目的用途により、100nm〜50000nm、4)低コストでの工業的生産を可能にする。
【0008】
尚、本発明の超微粒子の真円度とは、電子顕微鏡画像上の粒子の投影断面積に等しい円の周長を粒子の投影輪郭長で除した値として定義される。また、真円度の精度上、100〜150個の粒子の計測の平均値を示すものである。
【0009】
本発明の課題解決の手段として、特殊な貫通孔と貫通孔密度を有する基盤をノズルに用いることを特徴としている。この基盤ノズルは、貫通孔の穴径が0.05μm〜50μmで、貫通孔のアスペクト比(穴径と貫通孔の長さの比)が、5〜200で有し、貫通孔の密度が100〜7000個/cm2の貫通孔密度を有する基盤をノズルに用いる。
【0010】
本発明では、この多数の貫通孔を有する基盤ノズルを圧電素子やモーター駆動により周期的に微振動させ、粉末原料からなる液状のスラリー状物質を多数の貫通孔を有するノズル開孔部で、定量的に、周期的にスラリーを切断し、球状の液滴とし、その後、乾燥、還元、酸化、熱処理、炭化、活性炭化等の工程を経る製造方法により、無粉砕で、目的の球状超微粒子を得ることができる。
【0011】
なお、特に、本発明は、単位時間当たりの量産性を高め、品質の向上を図るため加圧下で振動を行い高粘度原料を高速度で噴射造粒を可能にする方法を提案するものである。さらに、本発明は、その工程中、必要に応じて、噴射造粒部に、外部電源を用いてコロナ放電により、印荷(直接または誘導荷電)させ、ノズルから噴出された霧化粒子には、荷電され、粒子相互が再結合しないように構成するのもその特徴の一つである。
【0012】
すなわち、本発明は、加圧振動及び噴射造粒による超微粒子であって、請求項1の発明は、加圧と振動エネルギーにより、メタルメッシュを介して、噴射造粒したことを特徴としている。
【0013】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の超微粒子において、無粉砕で、真円度が0.9〜1.0で粒径が0.01μm〜10μmの形態を有することを特徴としている。
【0014】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の超微粒子において、液状の粉末原料を5μm以下の多数の貫通孔を有する基盤ノズルを通過させ、液状球形微粒子を経て、無粉砕で、真円度が0.9〜1.0で粒径が0.01μm〜10μmの形態を有することを特徴としている。
【0015】
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のうち、いずれかに記載の超微粒子において、多数の貫通孔を有する基盤ノズルで、貫通孔の穴径が0.05μm〜50μmで、貫通孔のアスペクト比が5〜200で、貫通孔の孔密度が100〜17000個/cm2の開孔密度を有する基盤をノズルに用いることを特徴としている。
【0016】
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のうち、いずれかに記載の超微粒子において、多数の貫通孔を有する基盤の材質がニッケル、ニッケル基合金、チタン、タンタルのような弁作用金属及びその合金及び白金族、白金族基合金及び炭素材料で構成することを特徴としている。
【0017】
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のうち、いずれかに記載の超微粒子において、多数の貫通孔を有する基盤を超音波振動子や圧電素子の動力による定速度振動により、圧送される液状物を均一液状粒子に分断し、液状球状粒子を形成することを特徴としている。
【0018】
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6のうち、いずれかに記載の超微粒子において、定速度振動の効率化を図るため弾性体を介して、多孔体からなるノズルを接合することを特徴としている。
【0019】
また、請求項8の発明は、請求項1乃至7のうち、いずれかに記載の超微粒子において、前記の弾性体が、金属製ダイヤフラムであることを特徴としている。
【0020】
また、請求項9の発明は、請求項1乃至8のうち、いずれかに記載の超微粒子において、球状超微粒子が有機物、無機物、セラミックスからなるスラリー状の液状物として、貫通孔を通過させ、その後、所定の粒子に加工することを特徴としている。
【0021】
また、請求項10の発明は、請求項1乃至9のうち、いずれかに記載の超微粒子において、上記の無機物、有機物からなる球状の超微粒子を中間体として、炭化、賦活、酸化、還元、脱アルカリ工程などの継続工程を経て、炭素、活性炭、シリカ、ニッケル、白金族のような単体金属の球状超微粒子を形成することを特徴としている。
【0022】
また、請求項11の発明は、請求項1乃至10のうち、いずれかに記載の超微粒子において、有機物が熱硬化性樹脂で、フェノール樹脂、フリフラール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、キシレン樹脂、ウレタン樹脂、アンスラセンピッチ、石油、石炭タールのうち、少なくとも一種であることを特徴としている。
【0023】
また、請求項12の発明は、請求項1乃至11のうち、いずれかに記載の超微粒子において、無機物が水ガラス、粘土、セラミックス質スラリーであることを特徴としている。
【0024】
また、請求項13の発明は、請求項9乃至12のうち、いずれかに記載の超微粒子において、前記のセラミックス質スラリーが、アルミナ、シリカ、コージェライト、ムライト、ジルコニア、シャモット、チタン酸バリウム、ゼオライトのうち、少なくとも一種類を含有することを特徴としている。
【0025】
また、請求項14の発明は、請求項9乃至13のうち、いずれかに記載の超微粒子において、前記のセラミックス質スラリーの粘度が霧化噴出部で、150〜3000cpであることを特徴としている。
【0026】
また、請求項15の発明は、請求項1乃至14のうち、いずれかに記載の超微粒子において、前記貫通孔を有するノズルと大地間に外部電源を用いて印荷させ、ノズルから噴出される霧化粒子にコロナ放電による手段で荷電させ、霧化粒子が交互に再結合することを防止することを特徴としている。
【0027】
また、請求項16の発明は、請求項1乃至15のうち、いずれかに記載の任意の形状を有する超微粒子であって、前記荷電された液状の微粒子が落下し、反応液と反応する溶液に界面活性剤を添加させ、球状粒子を任意の鱗片状、卵形状、球状のように粒子形状を変形させたことを特徴としている。
【0028】
また、請求項17の発明は、請求項1乃至16のうち、いずれかに記載の任意の形状を有する超微粒子であって、貫通孔を有するノズル部を目的用途に応じて、不活性、還元、酸化雰囲気とし、微粒化後に直接、雰囲気制御を行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、本文明細書に記載のように、高粘度原料溶液を用いて、加圧振動及び噴射造粒する製造することより、50μm以下の超微粒子を無粉砕で高効率に工業的に生産可能な方法を提供し、なおかつ、目的用途により、真円度が低い粒子(ディンプル、表面凹凸、突起等)が求められたり、鱗片状の形状が求められる工業的用途にも柔軟に対応可能な工業的生産方法を提供するものである。さらに、本発明が開示する製造方法は、低コストでの工業生産が可能で、来るべき次世代のナノテク時代に最適の材料生産技術を提供可能な工業的価値、極めて大なるものである。
【0030】
本発明の効果を更に高めるためにメッシュノズル部を弾性体を介して、貯液槽と接合させる。弾性体は、金属性箔体からなるダイヤフラムや耐熱耐薬品性の合成ゴム等で構成するのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明で使用する多数の貫通孔を有するノズルの製法は、基本的には電鋳法で生産される。貫通孔の穴径は、0.05μm〜50μmが好ましい。0.05μm以下は、量産性が悪く、5μm以上では、強度が必要になる。アスペクト比は、5〜200が好ましい。
アスペクト比が5以下では、真円度が低下する。アスペクト比が200以上は、ノズルの加工が困難でコスト高となる。工業的量産を配慮するとアスペクト比は、5〜200が好ましい。また、ノズルの穴密度は、量産効果を勘案すると100〜7000個/cm2が好ましい。
【0032】
ノズルの基盤の材質は、ニッケル、ニッケル基合金、チタン、タンタルのような弁作用金属及びその合金及び白金族、白金族基合金、炭素材料、SiC等で構成することが好ましい。量産性とコストを考慮するとニッケル、ニッケル基合金、チタン、タンタルのような弁作用金属及びその合金及び白金族、白金族基合金、炭素材料等が経済的である。
【0033】
本発明が応用可能な材料は、有機物、無機物、セラミックス及びこれらのスラリー状の液状物が本発明の原料材料である。これらの諸材料を多数の貫通孔を有するノズルを通過させ、その後、所定の粒子に無粉砕で加工する。
【0034】
本発明では、これらのスラリー状の液状物をチタン酸バリウムやPZT等を使用した超音波振動子やモーター駆動で、定速度で、加圧下で圧送されたスラリー状液状物を一定間隔で切断し、超微粒子を形成させる。この工程の高効率化を図る目的で、すなわち、定速度振動の効率化を図るため、弾性体を介して、多孔体からなるノズルを接合することを特徴としている。この弾性体として、金属から成るダイヤフラムを用いることが好ましい。
【0035】
本発明で、上記のノズルは、外部電源で、400〜5000Vの電圧でコロナ放電により印荷され、ノズルから定量的に切断された球状粒子は、荷電されているために相互に再結合することなく次の工程である乾燥、焼成、還元、炭化、賦活等の工程に進行する。
【0036】
本発明で使用する熱硬化性樹脂は、フェノール樹脂、フリフラール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、キシレン樹脂、ウレタン樹脂等の単体または複合化された樹脂を使用する。超微粒子状の炭素を必要とする場合には、フェノール樹脂、フリフラール樹脂等の炭化収率の高いものを選択する。また、抵抗の低い炭素系超微粒子が必要な場合は、石油系タール、石炭系タール、ナフタレンピッチ、アンスラセンピツチを原料に用いる。
【0037】
これらの液状スラリーの粘度は、150〜3000cpが好ましいが、量産性を勘案すると150〜1000cpが大量生産に適合している。
【0038】
本発明の主な目的は、球状超微粒子であるが、本発明で、霧化球状粒子を反応させる液層に界面活性剤を添加させる濃度により、球状〜卵状〜鱗片状に任意に形状を変化させることが可能である。この場合の界面活性剤は、非イオン及び両イオン界面活性剤、フッ素系界面活性剤を用いる。
【実施例】
【0039】
以下、本発明の実施の形態を下記の工程構成図により詳述する。
【0040】
(実施例1 本発明の主要工程図)
図1は本発明の加圧振動噴射造粒装置の概念図である。貯液タンク1は、加圧原料導入口2から加圧原料溶液(原料液A)が加圧原料貯液槽3に貯液される。この加圧原料溶液は貯液タンク3に接合された弾性体ダイヤフラム4を通過して、貫通孔メッシュ6で、圧電振動体7の振動エネルギーにより、球状微粒化粒子10となる。なお、弾性体4は、弾性体接合部5にて、貯液タンク1に固定されている。
【0041】
圧電振動部7は、電源8から原料溶液の濃度、粘度に応じて、数100KHzの電圧が供給される。霧化粒子荷電部9(図2)で、コロナ放電により帯電粒子11となり、霧化粒子10が相互に凝集しないように帯電させる。
【0042】
霧化粒子荷電部9を通過した帯電霧化粒子11は、反応槽12に導入され、反応溶液(B)は反応溶液導入口13から反応槽12に導入され、サイクロン式反応槽14で反応し、反応貯液槽15に貯液される。この反応液は、パイプ16と、移送ポンプ17及び移送パイプ18で、次の工程に移送される。
【0043】
反応槽14はサイクロンの形状でなくても良いがこのような形状は、微粒子の均一化に効果的であつた。その理由は、原料液Aの微粒子と反応液Bとの薄層の膜反応が均一反応を容易にさせるものと考えられる。図1には示されていないが、この後の工程は、先願の工程図のように固体と液体を分離し、固体球状粒子は、濾過工程、乾燥工程を経て、目的の球状超微粒子を得る。
【0044】
(実施例2)
本発明の荷電部(図1における荷電部9)を図2で荷電方法(絶縁槽の概念図)を詳細に説明する。絶縁体で構成された帯電層21には電源22から供給された高圧電源を帯電槽21に部分埋設された対極23と、絶縁シールド24aで周囲と絶縁され、且つ霧化粒子25の中央部に設置されたコロナ放電先端部電極24との間でコロナ放電を行い、霧化粒子25をマイナスに帯電させる。電源は、原料の種類と粘度により変化するが、通常数100KVの荷電でコロナ放電を行うのが本発明では安全で、効果的である。
【0045】
(実施例3)
本発明の主要部のその他の概念図を図3に示す。圧送された原料溶液を、弾性体35を介して接合された貫通孔を有するメッシュ34を圧電素子36の動力で加圧下で振動を与え、霧化し、微粒化を行う。圧電素子36として、例えば、圧電セラミックス素子を使用することができる。この微粒子に電極23及び24によりコロナ放電により霧化粒子25に帯電させる。尚、電極23及び24は、絶縁シールド23a、24aで周囲に対してそれぞれ絶縁状態が保たれている。電極24の先端部は、針状であることが好ましく、針状電極は、コロナ放電を効率的に行い霧化粒子25の凝集を防止させる。尚、弾性体35として、有機溶媒耐性を有するゴム及び/或いは金属から構成されるダイヤフラムを使用することができる。
【0046】
(実施例4)
実施例4では、図1及び図2で示した加圧振動噴射造粒装置を用いて、フェノール樹脂の球状粒子とカーボントナーの球状粒子を製造した。
【0047】
表1のNo.1〜No.4は、フェノール樹脂原料のレゾール樹脂(A液)の粘度を60〜500cpに変化させ、加圧振動噴射造粒による製造試験を行った。ノズルの条件は、5μmの貫通孔で、穴密度が6000個/cm2で、ホルマリン(B液)で反応させた。常圧(1kg/cm2)の条件では、生産量が0〜15g/15minであつたが、圧力を2〜5kg/cm2に変化させるとほぼ、圧力に比例して、フェノールの球状粒子が30〜550g/15minの生産量が得られた。得られた球状粒子は、真円度も優れたものであつた。
【0048】
【表1】

【0049】
表1のNo.5〜No.8は、黒色のカーボントナーの製造を行った。前記のフェノールの球状粒子を650℃で焼成し、炭化収率50%で、カーボントナー原料を得て、公知のワックス、接着剤、分散剤、溶剤を用いて、トナー原料スラリーを作成し、ノズル条件として、7μmの貫通孔で、穴密度5000個/cm2で製造を行った。粘度は、300〜1500cpに変化させ、スラリーの圧力は、1〜5kg/cm2の条件で製造した。その結果、常圧では粘度が高く、殆ど、製造出来なかったが、圧力を2〜5kgに昇圧することにより、圧力とスラリー粘度に比例して、13〜365g/15minの球状トナーを無粉砕で、無分級で得られた。
【0050】
(実施例5 銀の球状超微粒子の製造)
原料液Aとして15重量%濃度の硝酸銀アンモニア溶液を用い、反応溶液Bとして濃度7.5g/lが溶液グリオキザール液を用いて、図1の加圧振動噴射造粒装置により、銀の球状超微粒子を製造した。得られた銀粒子は、平均粒径が50μm以下であり、真円度も優れたものであった。
【0051】
本発明は、本文明細書に記載のように加圧振動噴射造粒装置を用いて、50μ以下の超微粒子を無粉砕、無分級で高効率に工業的に生産可能な方法を提供し、なおかつ、目的用途により、真円度が低い粒子が求められたり、鱗片状の形状が求められる工業的用途にも柔軟に対応可能な工業的生産方法を提供するものである。さらに、本発明方法は、低コストでの工業生産が可能で、極めて優れた省エネルギー化、炭酸ガスの削減を可能で、来るべき次世代のナノテク時代に最適に材料生産技術を提供可能な工業的価値、極めて大なるものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の加圧振動噴射造粒装置の概念図
【図2】本発明のコロナ帯電装置の構成図
【図3】本発明の加圧振動噴射造粒装置の第2の概念図
【符号の説明】
【0053】
1 貯液タンク
2 加圧原料(A液)導入口
3 加圧原料液タンク
4 弾性体
5 弾性体接合部
6 貫通孔を有する本発明の金属メッシュ
7 圧電振動体
8 電源
9 霧化粒子荷電部
10 霧化粒子
11 帯電粒子
12 反応槽
13 反応溶液導入口
14 サイクロン式反応槽
15 反応貯液槽
16 パイプ
17 移送ポンプ
18 移送パイプ
21 帯電槽
22 電源部
23 電極24の対電極(正極)
23a 絶縁シールド
24 コロナ放電電極(負極)
24a 絶縁シールド
25 霧化粒子
34 金属メッシュ
35 弾性体
36 圧電素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧と振動エネルギーにより、メタルメッシュを介して、噴射造粒したことを特徴とする超微粒子。
【請求項2】
無粉砕で、真円度が0.9〜1.0で粒径が0.01μm〜10μmの形態を有することを特徴とする請求項1記載の超微粒子。
【請求項3】
液状の粉末原料を5μm以下の多数の貫通孔を有する基盤ノズルを通過させ、液状球形微粒子を経て、無粉砕で、真円度が0.9〜1.0で粒径が0.01μm〜10μmの形態を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の超微粒子。
【請求項4】
多数の貫通孔を有する基盤ノズルで、貫通孔の穴径が0.05μm〜50μmで、貫通孔のアスペクト比が5〜200で、貫通孔の孔密度が100〜17000個/cm2の開孔密度を有する基盤をノズルに用いることを特徴とする、請求項1乃至3のうち、いずれかに記載の超微粒子。
【請求項5】
多数の貫通孔を有する基盤の材質がニッケル、ニッケル基合金、チタン、タンタルのような弁作用金属及びその合金及び白金族、白金族基合金及び炭素材料で構成することを特徴とする、請求項1乃至4のうち、いずれかに記載の超微粒子。
【請求項6】
多数の貫通孔を有する基盤を超音波振動子や圧電素子の動力による定速度振動により、圧送される液状物を均一液状粒子に分断し、液状球状粒子を形成することを特徴とする、請求項1乃至5のうち、いずれかに記載の超微粒子。
【請求項7】
定速度振動の効率化を図るため弾性体を介して、多孔体からなるノズルを接合することを特徴とする、請求項1乃至6のうち、いずれかに記載の超微粒子。
【請求項8】
前記の弾性体が、金属製ダイヤフラムであることを特徴とする、請求項1乃至7のうち、いずれかに記載の超微粒子。
【請求項9】
球状超微粒子が有機物、無機物、セラミックスからなるスラリー状の液状物として、貫通孔を通過させ、その後、所定の粒子に加工することを特徴とする請求項1乃至8のうち、いずれかに記載の超微粒子。
【請求項10】
上記の無機物、有機物からなる球状の超微粒子を中間体として、炭化、賦活、酸化、還元、脱アルカリ工程などの継続工程を経て、炭素、活性炭、シリカ、ニッケル、白金族のような単体金属の球状超微粒子を形成することを特徴とする、請求項1乃至9のうち、いずれかに記載の超微粒子。
【請求項11】
有機物が熱硬化性樹脂で、フェノール樹脂、フリフラール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、キシレン樹脂、ウレタン樹脂、アンスラセンピッチ、石油、石炭タールのうち、少なくとも一種であることを特徴とする、請求項1乃至10のうち、いずれかに記載の超微粒子。
【請求項12】
無機物が水ガラス、粘土、セラミックス質スラリーであることを特徴とする、請求項1乃至11のうち、いずれかに記載の超微粒子。
【請求項13】
前記のセラミックス質スラリーが、アルミナ、シリカ、コージェライト、ムライト、ジルコニア、シャモット、チタン酸バリウム、ゼオライトのうち、少なくとも一種類を含有することを特徴とする、請求項9乃至12のうち、いずれかに記載の超微粒子。
【請求項14】
前記のセラミックス質スラリーの粘度が霧化噴出部で、150〜3000cpであることを特徴とする、請求項9乃至13のうち、いずれかに記載の超微粒子。
【請求項15】
前記貫通孔を有するノズルと大地間に外部電源を用いて印荷させ、ノズルから噴出される霧化粒子にコロナ放電による手段で荷電させ、霧化粒子が交互に再結合することを防止することを特徴とする、請求項1乃至14のうち、いずれかに記載の超微粒子。
【請求項16】
前記荷電された液状の微粒子が落下し、反応液と反応する溶液に界面活性剤を添加させ、球状粒子を任意の鱗片状、卵形状、球状のように粒子形状を変形させることを特徴とする、請求項1乃至15のうち、いずれかに記載の任意の形状を有する超微粒子。
【請求項17】
貫通孔を有するノズル部を目的用途に応じて、不活性、還元、酸化雰囲気とし、微粒化後に直接、雰囲気制御を行うことを特徴とする、請求項1乃至16のうち、いずれかに記載の任意の形状を有する超微粒子。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−77252(P2006−77252A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−263069(P2005−263069)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【分割の表示】特願2004−261756(P2004−261756)の分割
【原出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2004年8月10日 吉田隆発行の「未来材料 2004年8月号」に発表
【出願人】(396026710)株式会社オプトニクス精密 (34)
【Fターム(参考)】