説明

加工仕上げ面の検査システム及び検査方法

【課題】画像から迅速にビビリマークを評価できる加工仕上げ面の検査システム及び検査方法を提供する。
【解決手段】回転工具により機械加工された加工仕上げ面の検査方法であって、前記加工仕上げ面を観察してビビリマークの有無を判断し、観察によりビビリマークが確認された場合にビビリマークの幅寸法を前記回転工具の回転軸方向で計測し、計測されたビビリマークの幅寸法がしきい値以上である場合にビビリマークの深さが許容値以上であると判定する。その結果、画像より加工仕上げ面の検査が迅速に可能となる。ビビリマークの深さが許容値よりも深い場合には表面の研磨を行い、再度加工仕上げ面の検査を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械加工された加工仕上げ面の検査方法及び検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
機械加工により製造される部材の加工仕上げ面には、加工工具や加工される部材の振動(ビビリ振動)により加工仕上げ面に表面凹凸を伴う傷(ビビリマーク)が形成されている場合がある。加工仕上げ面の粗さを評価する技術としては、種々のものが知られている。例えば特開2005−326324号公報(特許文献1)には、受光センサを加工仕上げ面の計測位置に走査し、受光センサからの計測信号から算出した受光センサと加工仕上げ面との間の距離を基に、仕上げ面の表面形状を表す形状画像を作成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−326324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載されているようなセンサを走査する方法では、加工される部材や加工面の形状によっては測定器の設置が困難な場合がある。例えば、回転工具により穿孔を設ける場合の、穿孔内面のビビリマークの測定は難しい。また、正確な測定が困難であったり、測定に長時間を要する場合がある。
【0005】
そこで本発明は、迅速に加工仕上げ面の検査を行う検査方法、及び検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の特徴は、回転工具により機械加工された部材の加工仕上げ面の検査方法であって、加工仕上げ面のビビリマークの幅寸法を計測し、計測結果がしきい値以上である場合にビビリマークの深さが許容値以上であると判定することにある。ビビリマークの深さが許容値よりも深い場合には、表面の研磨を行い、再度加工仕上げ面の検査を実施する。
【発明の効果】
【0007】
上記本発明によれば、迅速に加工仕上げ面のビビリマークの評価が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】タービン動翼の連結部の構造を表す図である。
【図2】リーマ加工後のビビリマークを有するピン穴内面の模式図(a)、およびビビリマークの凹凸断面模式図(b)(c)である。
【図3】加工仕上げ面の検査方法の手順を表すフローチャートである。
【図4】ピン穴観察用マイクロスコープの一例を示す模式図である。
【図5】ビビリマークの幅と深さとの関係を示す特性図である。
【図6】ビビリマークの深さ,幅と疲労強度との関係を示す特性図である。
【図7】ピン穴研磨用の研磨装置の一例を示す模式図である。
【図8】ピン穴観察用粗さ計の一例を示す模式図である。
【図9】型取り材を転写手段に用いたピン穴の観察方法の模式図である。
【図10】粘着テープを転写手段に用いたピン穴の観察方法の模式図である。
【図11】ピン穴研磨用砥粒付き研磨ブラシの模式図である。
【図12】加工仕上げ面の検査方法の手順を表すフローチャートである。
【図13】加工仕上げ面の検査システムの概略図である。
【図14】振動分析・表示装置により振動を計測した結果の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発電用タービンの動翼とロータの連結部位は、ピンを介して動翼とロータとを結合するピン結合や互いのフック溝を嵌め合わせて結合するフック結合等で構成されている。タービン動翼とロータにピン穴が穿設されており、ピン結合の結合力はピン穴の内面に引張応力として作用する。このため、ピン穴の内面の表面粗さを低く抑えることが強度上望ましい。
【0010】
一般に、ピン穴の加工仕上げは、回転するリーマ棒などの回転工具で研削される。通常、ピン穴内面の表面粗さは低く抑えられる。しかし、リーマ加工でも加工条件によっては工具がビビリ振動を起こし、加工仕上げ面に表面凹凸を伴う傷(ビビリマーク)が形成されることがある。ビビリマークは、加工仕上げ面に発生する傷であり、工具の回転方向にうろこ模様が連なったような外観である。許容深さを超えるビビリマークの発生は強度上好ましくない。
【0011】
従って、タービン動翼連結部のピン穴内面の加工仕上げ面など、加工機械の回転工具により機械加工された加工仕上げ面の検査方法及び検査システムが必要である。しかし、ピン穴の内面に周方向に形成されるビビリマークのラインに沿ってセンサを走査すべく測定器を設置することは難しい。そのため、測定が困難であったり測定に長時間を要したりしている。
【0012】
そこで、加工仕上げ面に確認されたビビリマークの回転工具の回転軸方向にとった幅寸法を計測し、計測結果がしきい値以上である場合にビビリマークの深さが許容値以上であると判定する手法で、加工機械の回転工具により機械加工された加工仕上げ面の検査を行うことにより、迅速にビビリマークの検査、深さの測定を行うこととした。
【0013】
本発明の概要は、加工仕上げ面を観察してビビリマークの有無を判断し、観察によりビビリマークが確認された場合に、回転工具の回転軸方向での幅寸法を計測し、計測されたビビリマークの幅寸法がしきい値以上である場合に加工された表面に残ったビビリマークの深さが許容できないものであると判定するものである。その結果、画像等の観察結果より加工仕上げ面の診断が迅速に可能となる。ビビリマークの深さが許容値よりも深い場合には、表面の研磨を行い、再度加工仕上げ面の検査を実施する。
【0014】
以下に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0015】
本実施例では、加工仕上げ面を観察する観察手段と、ビビリマークの発生が確認された場合にビビリマークの前記回転工具の回転軸方向にとった幅寸法を計測する計測手段と、計測結果がしきい値以上である場合にビビリマークの深さが許容値以上であると判定するビビリ深さ判定手段を有する加工仕上げ面の検査システム、及びこれを用いた加工仕上げの方法の一例について説明する。
【0016】
図1は、タービン動翼連結部の構造を表す図である。タービン動翼連結部1は、タービン動翼2とタービンロータ3が組合わされた構造である。図1(a)では、タービン動翼2は、作動流体(蒸気流,燃焼ガス等)のエネルギーをタービンの回転エネルギーに変換させる翼部4と、タービンロータ3と嵌合せて連結させるための翼植込み部5とを有している。タービンロータ3は、タービン回転軸(図示せず)の外周に取付けられているロータディスク6、及び翼植込み部5と嵌合して連結してロータディスク6とタービン動翼2とを連結させるためのロータ植込み部7を有している。翼植込み部5とロータ植込み部7には、互いに嵌め合わさった状態でタービン回転軸方向に連通するピン穴8が形成されており、これら連通したピン穴8に結合ピン9が通されてタービン動翼2とタービンロータ3が強固に結合されている。タービン回転時、タービン動翼2には径方向外向き(図1(a)中では上向き)の遠心力が作用するが、結合ピン9によってその遠心力を支持しタービン動翼2の連結状態を保持する。
【0017】
ピン穴8の仕上げ加工は、回転工具を装着する加工機械で研削することにより施される。このような加工機械としてはリーマ加工機があり、リーマ加工機では研削にリーマ棒を用いる。表面仕上げ加工によりピン穴8の内面の表面粗さは低く抑えられるが、条件によっては工具がビビリ振動を起こし、加工仕上げ面に表面凹凸を伴う傷(ビビリマーク)が形成されることがある。本実施例では、加工機械の回転工具により機械加工された加工仕上げ面(ピン穴8の内面)を検査対象とし、マイクロスコープ40によりピン穴8の内面を観察し、ビビリマーク31のリーマ棒121の回転軸方向にとった幅寸法wを計測して、ビビリマークの幅寸法wと深さdの相関関係の下、幅寸法wの計測結果がしきい値W以上である場合、ビビリマーク31の深さdが許容値以上であると判定する加工仕上げ面の検査方法及びシステムについて説明する。
【0018】
まず、リーマ加工時にピン穴8に発生するビビリマークについて説明する。リーマ加工中の切り子の排出状況や、刃先の磨耗状況によって、切削抵抗の増大によりリーマ棒がビビリ振動を起こしリーマ棒の回転方向に沿ってピン穴8の内面に帯状のビビリマークが形成される場合がある。図2(a)に示したように、ビビリマーク31はピン穴8の周方向にうろこ状の模様が一列に連なった形態である。図2(b)は図2(a)中のIIb−IIb断面による断面図、図2(c)は図2(a)中のIIc−IIc断面による断面図である。図2(b)及び図2(c)に示すように、リーマ棒の回転軸に直交する面で切った断面形状(凹凸形状32)は鋸歯状になっている。
【0019】
図3に、本実施例の加工仕上げ面の検査方法の手順をフローチャートで表す。まず、工程S1では、リーマ加工時にリーマ棒にかかるトルクを測定する。例えば、加工機械にかかるトルクと相関する負荷電流を図示しない電流計により測定し記録する。なお、トルクの測定に代えて、もしくはトルクの測定と併せて機械加工中の機械振動を計測しても良い(実施例7参照)。
【0020】
次に、工程S2でビビリの発生の有無を推定する。ビビリ振動の発生は切削抵抗の急上昇に起因するため、負荷電流値の測定記録を基に、本工程にてビビリ振動発生の疑いのある負荷電流の急上昇の有無をチェックする。例えば負荷電流のグラフの傾きや上下動の大きさに予めしきい値を設定しておき、しきい値を超える負荷電流の変動がしきい値を超えた場合、ビビリ振動が発生した可能性が高いと判定する。なお、工程S2の判定は、負荷電流の計測結果を基に作業者が判定することができる。また、負荷電流の計測結果(電流値や傾き)をしきい値と比較して、しきい値以上である場合にビビリ発生の疑いがあると判定するプログラムを予め計測器に格納しておき、当該計測器によって自動判定されるようにしても良い。
【0021】
場合には、工程S2において、加工中の加工機械のトルク(負荷電流)の変動からビビリマーク31の発生の有無を推定し、しきい値を超えるトルク変動がなくビビリ振動の発生の疑いがない(ビビリマーク31が発生していない)と判断できる場合には、図3の手順を終了する。ピン穴8の粗さ検査や補修に関する工程(S3−S6)を省略してピン穴8の仕上げ加工を終了することにより、不要な作業が極力省略されて作業が効率化される。
【0022】
トルクの急上昇が見られた場合(ビビリマーク31の発生が疑われる場合)、手順を工程S3に移す。工程S3では、マイクロスコープを用いてピン穴8の内面を観察する。
【0023】
図4(a)はピン穴8にマイクロスコープを挿入した状態を表す模式図、図4(b)は図4(a)中のIVb−IVb断面による断面図である。図4(a)及び図4(b)に示すように、マイクロスコープ40は、棒状のスコープ本体41と、スコープ本体41で取得した撮影データを処理し表示する画像処理・表示装置45とを備えている。スコープ本体41は外周面に2つのカメラ42と、各カメラ42の近傍に設けた光源であるライト43と、ピン穴8の内面を走行するための車輪(ゴムタイヤ等)44とを備えている。このマイクロスコープ40を用いてピン穴8の内面を撮影する場合、図4(a)に示したように、スコープ本体41をピン穴8に挿入し、ライト43によりカメラ42の視野を照らしながらカメラ42によってピン穴8の内面を撮影する。画像処理・表示装置45は、カメラ42で取得した撮影データを基にピン穴8の観察像を生成し、それを自らのモニタ画面に表示する。
【0024】
図4(b)に示したように、2つのカメラ42は、スコープ本体41の外周面に対し、軸方向(図4(a)中の左右方向)のほぼ同じ位置において周方向に180°位相がずれた位置に取付けられている。このとき、タービン回転時の遠心力により引張応力が作用するのは主にピン穴8の内面のうちのピンと接触する部分であるので、これらの応力のかかる部分に傷が付いていないかどうかを観察するため、スコープ本体41は、2つのカメラ42がそれぞれ翼植込み部5側の接触部5aとロータ植込み部7側の接触部7aを向くように挿入される。ピン穴8の内面のうちピンと接触しない部分は、引張応力が小さいため多少の傷であれば一般に問題にならない。カメラ42の視野をピン穴8の内面のピンとの接触部分に合わせた状態でスコープ本体41をピン穴8の内部を走行させることにより、スコープ本体41を一回挿入するだけでピン穴8の内面を傷付けることなく迅速に観察することができる。
【0025】
2つのカメラ42により撮影される範囲は、図4(b)のように接触部5a,7aの中心を0°とした場合、両側に±45°の範囲である。この範囲は、タービン回転時にピン穴8内面に沿って繰返し大きな引張荷重がかかる領域であって、前の段落で述べた“応力のかかる部分”は通常この範囲に納まる。したがって、一度スコープ本体41をピン穴8に通せば、傷の有無を観察する必要性が高い領域を一通り観察することができる。また、車輪44で走行することにより、カメラ42とピン穴8の内面の距離を一定に保って撮影することができる。さらに車輪44をゴム製とした場合、ピン穴8の内面を傷付けることなく、スムーズにスコープ本体41をピン穴8に出し入れすることができる。
【0026】
なお、工程S3においては、観察対象のタービン動翼2をタービンロータ3から取外した状態で接触部5a,7aを観察してもよい。この場合、スコープ本体41の寸法のとり合いがピン穴8内部形状に制約される必要がなくなり、使用できるマイクロスコープの選択の幅が広がるメリットがある。
【0027】
工程S4では、ピン穴8を観察結果からピン穴8の内面にビビリマークが確認されるかどうかを判定する。画像処理・表示装置45のモニタ画面に表示された観察像に、図2のようなビビリマーク31が認められる場合は工程S5へ手順を移し、ビビリマーク31が認められない場合は、ピン穴8の仕上げ面に特に問題がないと判断し、以降の工程を省略し、図3の一連の手順を終了する。ビビリマーク31が実際に確認されない場合にその後の工程を省略することにより、不要な作業を省略することができる。
【0028】
工程S4の判定は、画像処理・表示装置45の表示画面に表示される観察像を基に作業者が判定することができる。或いは、画像処理・表示装置45の画像処理機能により、ビビリマーク31の有無の判定が自動的になされるようにしても良い。ビビリマーク31の有無は、例えば観察像の輝度の変化により検知可能である。
【0029】
工程S5では、観察工程S3,S4でビビリマーク31の発生が確認された場合、そのビビリマーク31のピン穴8の軸方向(回転工具の回転軸方向)にとった幅寸法(最大幅)wを計測する。例えばマイクロスコープ40の画像処理・表示装置45のスケール機能を用いて計測し、しきい値(基準幅)以内にあるか判定する。図3において、工程S5は1つの工程として図示してあるが、厳密にはビビリマーク31の幅寸法wの計測工程と、幅寸法wをしきい値Wと比較するビビリ深さ判定工程の2工程を含んでいる。
【0030】
本願発明者等は、ビビリマーク31の幅寸法wとビビリマーク31の深さ(最大深さ)dとの間に幅寸法wが大きいほど深さdも深くなることを見出した。例えば図2に示した2つのビビリマーク31では、図2(a)中の左側の幅寸法w=w1(>w2)のビビリマーク31の方が、深さdが深くなる(d1>d2)。検討の結果、図5に示すような線形関係がある。
【0031】
さらに、図6は深さdとピン穴の疲労強度の関係を表した図である。図6に示したように、ビビリマーク31の深さdが一定値を超えると疲労強度が低下していくことが判った。従って、疲労強度に影響しない範囲で基準深さDを設定し、ビビリマーク31の基準深さをD(例えば25μm)とした場合、基準深さDに相当する基準幅(しきい値)Wが図5の関係から得られるので、ピン穴8の観察画像におけるビビリマーク31の最大幅wを基準幅Wと比較する。
【0032】
本工程S5では、このようにビビリマークの幅寸法wと深さdの相関関係の下、ビビリマーク31の幅寸法wの計測結果がしきい値(基準幅W)以上である場合、前記ビビリマークの深さが許容値以上であると判定する。ビビリマーク31の幅寸法wで深さdを計測するので、取得された観察像からビビリマーク31の深さが判別でき、粗さ測定が不要であるため、ビビリマーク31の研磨補修の必要性を迅速に評価することができる。
【0033】
w<Wであれば、ビビリマーク31はピン穴8の疲労強度には影響しないとして図3の一連の手順を終了する。ビビリマーク31が確認されてもしきい値に満たない(強度上影響の少ない)ビビリマーク31である場合にその後の工程を省略することにより、不要な作業を省略することができる。一方、w≧Wであればそのビビリマーク31がピン穴8の疲労強度低下をもたらす可能性があるとして、補修の研磨工程S6に手順を移行する。
【0034】
なお、工程S5の判定は、画像処理・表示装置45の表示画面に表示される観察像を基に作業者が判定することができる。或いは、画像処理・表示装置45の画像処理機能やスケール機能により、ビビリマーク31の幅寸法wの計測(ビビリマーク31の深さdの計測)が自動的になされるようにしても良い。さらには、幅寸法wの計測結果をしきい値Wと比較して、しきい値W以上である場合に次工程に手順を移す必要があると判定するプログラムを画像処理・表示装置45に予め格納しておき、画像処理・表示装置45によって工程S5の判定が自動的になされるようにしても良い。
【0035】
工程S6では、ピン穴8にグラインダ研磨などを施し、ビビリマーク31の凹凸を除去もしくは浅くする。図7(a)は研磨装置をピン穴8に挿入した状態を表した模式図、図7(b)は図7(a)中のVIIb−VIIb断面による断面図である。研磨装置70は、エア駆動式の回転駆動装置(図示せず)の先に回転シャフト71を装着し、回転シャフト71の先端部に短冊状の研磨ペーパー(研磨布)72がホイール状に複数枚取付けられた構造の器具を用いる。エア駆動により回転シャフト71を回転させ、ピン穴8に挿入することにより、研磨ペーパー72がピン穴8内面を研磨し、ビビリマーク31の凹凸を除去もしくは浅くすることができる。研磨後、再び工程S3に戻ってピン穴8内面の観察を実施し、ビビリマーク31の有無、深さを再び判定する。
【0036】
工程S6の研磨は、研磨対象位置に配置されたタービン動翼2をタービンロータ3から取外した状態で行ってもよい。この場合、研磨装置70の寸法のとり合いがピン穴8内部形状に制約される必要がなくなり、使用できる研磨装置の選択の幅が広がるメリットがある。
【0037】
以上、上記の工程を行う検査システムを使用することにより、ビビリマーク31のピン穴8の軸方向にとった幅寸法wを計測して深さdに換算するので、計測器(本例の場合、スコープ本体41)の計測方向がピン穴8の軸方向になるため計測器の設置が容易であり、迅速にビビリマーク31の深さを測定することができ、表面仕上げ加工を迅速化することが可能である。また、作業工数に負担をかけることなく確実にタービン動翼の連結部の強度信頼性を高めることができる。
【0038】
なお、上記の検査システムは、図1(a)と異なるピン結合方式のタービン動翼とタービンロータであっても当然に適用可能である。例えば、図1(b)に示すような翼フォーク135とロータフォーク137とを互いに嵌め合せた状態で、タービン回転軸方向に連通する結合ピン139によって結合されるフォーク−ピン結合方式のピン穴138の検査に適用できる。
【0039】
また、タービン動翼とタービンロータとを連結するピンのピン穴8の内面に限らず、その他の加工仕上げ面に発生するビビリマークの検査にも適用可能である。タービンに適用する場合には、例えば、タービン連結部のタービン動翼の翼根部をタービンロータに嵌め合わせるいわゆるフック結合部に適用できる。フック結合部では、タービン動翼にかかる遠心力により、翼根部側のフックのくびれ部やタービンロータ側のフック溝のくびれ部にタービン径方向の引張荷重が作用する。したがって、強度向上のためくびれ部分の粗さを低く抑えることが望ましい。フックやフック溝は、エンドミル等で仕上げ加工され、条件によってはビビリが発生する可能性がある。このような場合にも本実施例を適用できる。
【0040】
さらに本実施例は、タービン動翼の連結部など、機械部品の連結部分に限らず、その他の機械部品の加工面等、ビビリマークが発生しそれによる疲労強度低下が懸念されるケースに広く適用可能である。
【実施例2】
【0041】
本実施例は、実施例1の工程S3−S5でマイクロスコープ40により加工仕上げ面を観察しビビリマーク31の深さを評価する代わりに、図8に示したような粗さ計(例えば触針式)80を用いる例である。図8(a)は粗さ計をピン穴8に挿入した状態を表す模式図、図8(b)は図8(a)中のVIIIb−VIIIb断面による断面図、図8(c)はピン穴8の中心軸に直交する面で切ったビビリマーク31の断面図である。アームがピン穴8の軸方向に移動するように粗さ計80を設置し、この粗さ計80を用いて回転工具の回転軸方向(ピン穴8の軸方向)に加工仕上げ面の粗さを計測する。粗さ計、特に触針式などでビビリマークの一点を測定する装置を使用する場合には、同一箇所もしくは左右に位置を変えて、複数回の測定を行ってもよい。
【0042】
例えば図8(c)のように幅寸法w3のビビリマーク31がある場合、粗さ計80により得られる粗さ曲線には、幅寸法w3の局所的な窪みが現れるため、得られた粗さ曲線を基に、ビビリマーク31の有無の検知及び検知されたビビリマーク31の幅寸法wの計測が可能であり、基準幅Wとの比較判定が容易である。このように、粗さ計を仕様した検査システムを使用する場合も、実施例1と同様の効果が得られる。また、粗さ計80は、加工現場で一般に利用されており、それをそのまま用いることができるので、検査システムの構築が容易である。
【0043】
なお、計測対象のタービン動翼2をタービンロータ3から取外した状態で検査してもよい。この場合、粗さ計80の寸法のとり合いがピン穴8内部形状に制約される必要がなくなり、使用できる粗さ計の選択の幅が広がる。
【実施例3】
【0044】
本実施例は、実施例1の工程S3−S5でマイクロスコープ40により加工仕上げ面を観察する代わりに、型取り剤(転写手段)90を用いて仕上げ面を観察した例である。図9(a)は型取り剤をピン穴8の内面に塗布した状態を表す模式図、図9(b)は図9(a)中のIXb−IXb断面による断面図、図9(c)は転写後の型取り剤を模式的に表した斜視図である。
【0045】
型取り剤90としては、塗布後に固まる液体シリコンや粘土状の型取り材等を始め、一般に使用されている型取り剤が使用できる。例えば液体シリコンを用いる場合、ピン穴8内面の目的の箇所(50°〜130°の領域B)に型取り材90を塗布し、固まったら剥がして平たくならし、型取り剤90に転写されたピン穴8の内面転写像(表面模様)を観察する。型取り剤90の内面転写像にビビリマーク31が確認されたら、その幅寸法wを内面転写像上でノギスやメジャー、物差し等で計測し、幅寸法wからビビリマーク31の深さを計測する。型取り剤90の転写模様を基に、ビビリの発生を検知又はビビリマークの幅寸法を計測することによっても、同様の効果を得ることができ、また検査システムの構築も容易である。
【0046】
なお、検査対象のタービン動翼2をタービンロータ3から取外した状態で検査してもよい。この場合、ピン穴8円筒内面が開放されるため、型取り作業がし易くなるメリットがある。
【実施例4】
【0047】
本実施例は、実施例1の工程S3−S5でマイクロスコープ40により加工仕上げ面を観察する代わりに、粘着テープ(転写手段)100を用いた例である。図10(a)は粘着テープをピン穴8の内面に貼付した状態を表す模式図、図10(b)は図10(a)中のXb−Xb断面による断面図、図10(c)は転写後の粘着テープを模式的に表した斜視図である。
【0048】
粘着テープ100としては、一般に使用されている粘着テープが使用できる。本実施の形態の場合、ピン穴8内面の目的の箇所(50°〜130°の領域B)に粘着テープ100を貼付後、剥がして平たくならし、粘着テープ100の表面に転写されたピン穴8の内面転写像(表面模様)を観察する。粘着テープ100の内面転写像にビビリマーク31が確認されたら、その幅寸法wを内面転写像上でノギスやメジャー,物差し等で計測し、幅寸法wからビビリマーク31の深さを計測する。
【0049】
本実施の形態のように、粘着テープ100の転写模様を基に、ビビリの発生を検知又はビビリマークの幅寸法を計測することによっても、同様の効果を得ることができ、また検査システムの構築も容易である。また、一枚の粘着テープ100で施工する場合、ピン穴8の内面から粘着テープ100を剥がす際に残存物を残す心配が少ないのも利点である。
【0050】
なお、検査対象のタービン動翼2をタービンロータ3から取外した状態で検査してもよい。この場合、ピン穴8円筒内面が開放されるため、作業がし易くなるメリットがある。
【実施例5】
【0051】
本実施例は、実施例1の工程S6で研磨ペーパー72により加工仕上げ面を研磨する代わりに、砥粒付き研磨ブラシ110を用いた例である。
【0052】
図11(a)は第5の実施の形態で用いる研磨装置をピン穴8に挿入した状態を表した模式図、図11(b)は図11(a)中のXIb−XIb断面による断面図である。砥粒付き研磨ブラシ110は、図7の回転シャフト71と実質同様の回転シャフト111の先端部に、砥石玉112を先端につけたブラシ113が多数取付けられた構造である。この砥粒付き研磨ブラシ110を用い、回転シャフト111を回転させてピン穴8に挿入することにより、砥石玉112によってピン穴8の内面が研磨され、ビビリマーク31の凹凸を除去もしくは浅くすることができる。この場合も第1の実施の形態と同様の効果が得られる。また研磨ペーパー72・砥粒付き研磨ブラシ110とも、既存の設備の流用が可能であり検査システムの構築が容易である。
【0053】
なお、工程S6においては、研磨対象位置のタービン動翼2をタービンロータ3から取外した状態で研磨してもよい。この場合、砥粒付き研磨ブラシ110の寸法のとり合いがピン穴8内部形状に制約される必要がなくなり、使用できる研磨装置の選択の幅が広がるメリットがある。
【実施例6】
【0054】
本実施例では、実施例1の観察手段,計測手段,判定手段を有する検査システムに、仕上げ加工手段を設けた例を説明する。
【0055】
図12に、本実施例の加工仕上げ面の検査方法の手順をフローチャートで表す。図12に示した工程S11,S12,S13,S14,S15,S16は、それぞれ第1の実施の形態の工程S1,S2,S6,S3,S4,S5と実質同じである。本実施例が実施例1の方法と相違する点は、工程S12でリーマ加工時のトルクの急上昇(ビビリ発生の疑い)を検知した時点で、仕上げ加工は不合格と判定し、加工仕上げ面の観察やビビリマークの計測を行わずに工程S13において仕上げ加工面を研磨する点である。
【0056】
その後、工程S14で仕上げ加工面を観察し、工程S15にてビビリマークが認められなければ一連の仕上げ加工手順を終了する。一方、ビビリマークが認められた場合には、工程S15から工程S16に手順を移してビビリマークの幅寸法を計測ししきい値Wと比較する。なお、この工程S16には、厳密にはビビリマークの幅寸法を計測する工程と、計測結果をしきい値Wと比較する工程が含まれる。その結果、合格であれば手順を終了し、不合格であれば工程S13に手順を戻す。本実施の形態によっても、実施例1とほぼ同様の効果が得られる。
【0057】
本実施例においては、実施例1の実施の形態の手順(図3)と比較して、S12で発生が疑われたビビリマークが研磨を必要とする不良なものであった場合、最初の研磨工程までの観察・検査の手順が省略される。例えば、経験上、もしくは実施例1などの検査方法により機械加工中のトルク急上昇に伴うビビリマークが補修を要するものであることが多いことが把握されている場合には、本実施の形態の手順を採用することにより全体の作業を効率化することができる。反対に、機械加工中のトルク急上昇に伴うビビリマークが補修するほどでもない場合が多いようであれば、実施例1の手順を採用することでより作業効率が向上する。
【0058】
また、機械加工中のトルクとビビリマークの不良率の関係を事前に検討し、トルクによるビビリ発生の推定の工程の後、研磨工程に移行するか(図12のフローを実行するか)観察工程に移行するか(図3のフローを実行するか)を柔軟に選択することとしてもよい。その結果、さらに作業効率を向上させることができる。
【実施例7】
【0059】
本実施例は、実施例1の工程S1、実施例6の工程S11でリーマ加工時のトルクを測定・記録する代わりに、加工機械に振動センサを取付け回転工具(リーマ棒)の振動を測定・記録する例である。ビビリ振動の振動数は特有であるため、加工中の回転工具の振動数を計測することにより、ビビリマークの発生の有無を推定することができる。この場合、振動を直接観測するので、トルク測定よりもビビリマークの発生の推定が正確になる。
【0060】
図13は本実施例の検査システムの構成例を示す概略図である。図13に示したタービン動翼連結部1のタービン植込み部5及びロータ植込み部7には、ピン穴8が穿設されている。リーマ加工機120には、リーマ棒121,リーマ棒121を回転駆動部に固定するチャック部122,チャック部122の回転軸123,回転軸123を支持する軸受124,回転軸123を回転駆動させる図示しない駆動装置、回転軸123及び軸受124を内蔵し回転軸123の軸方向に駆動するアーム127,アーム127を支持する架台128を備えており、リーマ棒121でピン穴8の内面を仕上げ加工する。なお、既出図面と同様の部分には同符号を付して説明を省略する。
【0061】
軸受124には加速度検出器125を取付けられており、加速度検出器125の検出信号を振動分析・表示装置126に入力する。振動分析・表示装置126では、加速度検出器125からの入力信号を基に、ピン穴8の内面仕上げ加工時のリーマ棒121の振動を計測・記録し、それを自らのモニタ画面に表示する。
【0062】
図14は振動分析・表示装置126による振動計測の結果の一例を表す図である。図14では、横軸に振動周波数(Hz)、縦軸に振動強度(dB)をとっている。図14において、振動周波数領域aはビビリ振動に特有の周波数帯である。加工中のリーマ棒121の振動数を計測した結果、図示したように振動数領域aにピークが認められる場合、ビビリ振動発生が推定される。振動数領域aでの振動があるかどうかの判定を工程S2(図3)又は工程S12(図12)で実施し、ビビリ振動発生が推定された場合には工程S3(図3)又は工程S13(図12)に手順を移す。
【0063】
工程S2,S12の判定は、振動分析・表示装置126の表示画面に表示される計測結果を基に、作業者が判定することができる。もしくは、振動周波数領域aの振動が計測された場合にその振動強度をしきい値と比較して、しきい値以上である場合にビビリ発生の疑いがあると判定するプログラムを振動分析・表示装置126に予め格納しておき、振動分析・表示装置126によって自動判定されるようにしても良い。
【符号の説明】
【0064】
1 タービン動翼連結部
2 タービン動翼
3 タービンロータ
4 翼部
5 翼植込み部
6 ロータディスク
7 ロータ植込み部
8 ピン穴
31 ビビリマーク
40 マイクロスコープ
41 スコープ本体
45 画像処理・表示装置
70 研磨装置
71,111 回転シャフト
72 研磨ペーパー
80 粗さ計
90 型取り剤
100 粘着テープ
110 砥粒付き研磨ブラシ
112 砥石玉
113 ブラシ
120 リーマ加工機械
121 リーマ棒
123 回転軸
125 加速度検出器
126 振動分析・表示装置
d ビビリマークの深さ
w ビビリマークの幅寸法
W しきい値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転工具により機械加工された加工仕上げ面の検査システムにおいて、
前記加工仕上げ面を観察する観察手段と、前記観察手段でビビリマークの発生が確認された場合に前記ビビリマークの前記回転工具の回転軸方向にとった幅寸法を計測する計測手段と、計測結果がしきい値以上である場合にビビリマークの深さが許容値以上であると判定するビビリ深さ判定手段を有する加工仕上げ面の検査システム。
【請求項2】
請求項1に記載された加工仕上げ面の検査システムにおいて、
前記ビビリ深さ判定手段で前記ビビリマークの深さが許容値以上であると判定された場合に加工仕上げ面を研磨する研磨手段を有することを特徴とする加工仕上げ面の検査システム。
【請求項3】
請求項2に記載された加工仕上げ面の検査システムにおいて、前記研磨手段が、砥粒付き研磨ブラシ又は研磨布ホイールであることを特徴とする加工仕上げ面の検査システム。
【請求項4】
請求項1に記載された加工仕上げ面の検査システムにおいて、
機械加工中の回転工具のトルク又は機械振動を計測しビビリ振動の発生を推定するビビリ振動発生推定手段を有することを特徴とする加工仕上げ面の検査システム。
【請求項5】
請求項4に記載された加工仕上げ面の検査システムにおいて、
前記ビビリ振動発生推定手段によりビビリ振動の発生が推定された場合に加工仕上げ面を研磨する研磨手段を有することを特徴とする加工仕上げ面の検査システム。
【請求項6】
請求項5に記載された加工仕上げ面の検査システムにおいて、前記研磨手段が、砥粒付き研磨ブラシ又は研磨布ホイールであることを特徴とする加工仕上げ面の検査システム。
【請求項7】
請求項1に記載された加工仕上げ面の検査システムにおいて、前記観察手段がマイクロスコープであり、前記計測手段が前記マイクロスコープによる観察像のスケール機能であることを特徴とする加工仕上げ面の検査システム。
【請求項8】
請求項1に記載された加工仕上げ面の検査システムにおいて、前記観察手段及び前記計測手段の少なくともいずれか一方が加工仕上げ面の粗さを計測する粗さ計であることを特徴とする加工仕上げ面の検査システム。
【請求項9】
請求項1に記載された加工仕上げ面の検査システムにおいて、前記観察手段及び前記計測手段の少なくともいずれか一方が加工仕上げ面の表面模様を転写する転写手段であることを特徴とする加工仕上げ面の検査システム。
【請求項10】
請求項1に記載された加工仕上げ面の検査システムにおいて、
回転工具により機械加工されたタービン動翼の連結部のピン穴の内面の加工仕上げ面に用いられることを特徴とする加工仕上げ面の検査システム。
【請求項11】
請求項1に記載された加工仕上げ面の検査システムにおいて、
回転工具によりリーマ穴加工された部材の加工仕上げ面に用いられることを特徴とする加工仕上げ面の検査システム。
【請求項12】
回転工具により機械加工された加工仕上げ面の検査方法において、
前記加工仕上げ面を観察し、ビビリマークの有無を判断する観察工程と、
前記観察工程でビビリマークが確認された場合に、ビビリマークの幅寸法を前記回転工具の回転軸方向で計測する計測工程と、
前記計測工程で計測されたビビリマークの幅寸法がしきい値以上である場合に、前記ビビリマークの深さが許容値以上であると判定するビビリ深さ判定工程と、を有することを特徴とする加工仕上げ面の検査方法。
【請求項13】
回転工具により機械加工されたタービン動翼の連結部のピン穴の加工仕上げ面の検査方法において、
前記ピン穴の加工仕上げ面を観察し、ビビリマークの有無を判断する観察工程と、
前記観察工程でビビリマークが確認された場合に、ビビリマークの幅寸法を前記回転工具の回転軸方向で計測する計測工程と、
前記計測工程で計測されたビビリマークの幅寸法がしきい値以上である場合に、前記ビビリマークの深さが許容値以上であると判定するビビリ深さ判定工程と、を有することを特徴とする加工仕上げ面の検査方法。
【請求項14】
請求項12又は13の加工仕上げ面の検査方法において、
前記ビビリ深さ判定工程で前記ビビリマークの深さが許容値以上であると判定された場合に、当該ビビリマークが発生している加工仕上げ面を研磨する研磨工程を有し、
研磨工程後に前記観察工程,計測工程,ビビリ深さ判定工程を繰り返すことを特徴とする加工仕上げ面の検査方法。
【請求項15】
請求項14の加工仕上げ面の検査方法において、
前記研磨工程は、砥粒付き研磨ブラシ又は研磨布ホイールで加工仕上げ面を研磨する工程であることを特徴とする加工仕上げ面の検査方法。
【請求項16】
請求項12又は13の加工仕上げ面の検査方法において、
前記機械加工中の前記回転工具のトルク又は機械振動を計測し、ビビリ振動の発生を推定するビビリ振動発生推定工程を有し、前記ビビリ振動発生推定工程でビビリ振動の発生が推定された場合に前記観察工程を行うことを特徴とする加工仕上げ面の検査方法。
【請求項17】
請求項12又は13の加工仕上げ面の検査方法において、
前記機械加工中の前記回転工具のトルク又は機械振動を計測し、ビビリ振動の発生を推定するビビリ振動発生推定工程と、前記ビビリ振動発生推定工程でビビリ振動の発生が推定された場合に加工仕上げ面を研磨する研磨工程とを有し、前記研磨工程の後に、前記観察工程を行うことを特徴とする加工仕上げ面の検査方法。
【請求項18】
請求項17の加工仕上げ面の検査方法において、
前記研磨工程は、砥粒付き研磨ブラシ又は研磨布ホイールで加工仕上げ面を研磨する工程であることを特徴とする加工仕上げ面の検査方法。
【請求項19】
請求項12又は13の加工仕上げ面の検査方法において、
前記観察工程は、加工仕上げ面をマイクロスコープで観察する工程であり、
前記計測工程は前記マイクロスコープによる観察像のスケール機能によるビビリマークの幅寸法を計測する工程であることを特徴とする加工仕上げ面の検査方法。
【請求項20】
請求項12又は13の加工仕上げ面の検査方法において、
前記観察工程は、粗さ計で前記回転工具の回転軸方向の加工仕上げ面の粗さを計測する工程を有し、
前記計測工程は得られた粗さ曲線を基にビビリマークの幅寸法を計測することを特徴とする加工仕上げ面の検査方法。
【請求項21】
請求項12又は13の加工仕上げ面の検査方法において、
前記観察工程は転写手段に加工仕上げ面の表面の模様を転写する工程を有し、
前記計測工程は前記転写手段に転写された模様を基にビビリマークの幅寸法を計測する工程であることを特徴とする加工仕上げ面の検査方法。
【請求項22】
請求項12又は13の加工仕上げ面の検査方法において、
前記加工仕上げ面は、リーマ穴加工されていることを特徴とする加工仕上げ面の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−12963(P2011−12963A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154525(P2009−154525)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】