説明

加熱容器

【課題】排気通路と蒸気通路とを分岐接続することにより部品点数の削減を図り、コストダウンを図る。
【解決手段】液体を貯留する内容器37を内部に配設した本体12と、内容器37に内部の液体を加熱する加熱手段(ヒータ40)と、本体12に開閉可能に取り付けられ内容器37の上端開口を閉塞する蓋体43とを備え、蓋体43に内容器37内で発生する蒸気を排気する排気通路88を設けるとともに、該排気通路88から分岐させて蒸気通路36を設け、該蒸気通路36の端部に内容器37内の液体の沸騰状態を蒸気温度に基づいて検出する沸騰検出手段(バイメタルスイッチ42)を配設した加熱容器(ポット11)であって、排気通路88を構成する部材(接続部材76、排気口部材84)に、蒸気通路36に接続する分岐接続部89を設けた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加熱容器に関し、特に、別体の電源供給部を備えるとともに、傾斜させることにより注口からお湯を注ぐ電気湯沸し方式のケトルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明の加熱容器に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【0003】
【特許文献1】特開2006−75292号公報
【特許文献2】特表2007−503908号公報
【0004】
特許文献1には、ポット本体の内部に内容器を配設し、この内容器内に貯留した液体をヒータによって沸騰させる電気ポットが記載されている。この電気ポットは、ポット本体に内容器の上端開口を閉塞する蓋体が回動可能に取り付けられている。また、内容器には、底に電動ポンプが配設され、この電動ポンプで内部の液体を正面側上部の吐出口へ送出することにより吐出できるように構成している。
【0005】
しかし、特許文献1の電気ポットは、所定の場所に設置して使用することを目的としているため、電動ポンプ等の搭載部品が多く、高価であるうえ、使用上の軽快性がない。
【0006】
一方、特許文献2には、容器の内部に貯留した液体である水を加熱素子で沸騰させる加熱容器において、別体の電源供給部から電力を供給可能とし、正面側に注口を設けるとともに、背面側にハンドルを設けた電気ケトルが記載されている。この電気ケトルは、ハンドルを把持して正面側を下向きに傾斜させることにより、内部の沸騰した液体を注口から注出できるため、特許文献1の電気ポットと比較して軽快に使用できる。また、容器の上部に蒸気通路を設け、この蒸気通路に蒸気温度に基づいて液体温度を検出する沸騰検出手段(バイメタルスイッチ)を配設することにより、製品価格の低減を図っている。
【0007】
しかし、この特許文献2の電気ケトルは、内部の液体を沸騰させる際に、大きく開口した注口から多量の蒸気が流出するため、その蒸気が周囲の壁や家具に付着するという問題がある。
【0008】
なお、これらの中間的な機能を有するハンドポットも提供されている。このハンドポットは、特許文献2の電気ケトルのように軽快に使用できるうえ、注口が止水弁により開放可能に閉塞されているため、転倒しても注口からお湯が流出することはない。
【0009】
しかしながら、蒸気を排気する排気通路と、蒸気温度に基づいて沸騰を検出するための蒸気通路とを設ける場合、それぞれを別構造として別部品で製造する必要がある。しかも、それぞれの部品は、過熱蒸気に耐え得る耐熱性材料により製造する必要があるため、コスト高になるという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来の問題に鑑みてなされたもので、排気通路と蒸気通路とを分岐接続することにより部品点数の削減を図り、コストダウンを図ることができる加熱容器を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明の加熱容器は、液体を貯留する内容器を内部に配設した本体と、前記内容器内の液体を加熱する加熱手段と、前記本体に開閉可能に取り付けられ前記内容器の上端開口を閉塞する蓋体とを備え、前記蓋体に内容器内で発生する蒸気を排気する排気通路を設けるとともに、該排気通路から分岐させて蒸気通路を設け、該蒸気通路の端部に前記内容器内の液体の沸騰状態を蒸気温度に基づいて検出する沸騰検出手段を配設した加熱容器であって、前記排気通路を構成する部材に、前記蒸気通路に接続する分岐接続部を設けた構成としている。
【0012】
この加熱容器によれば、排気通路を構成する部材に蒸気通路に接続する分岐接続部を設けているため、構造の簡素化を図ることができる。しかも、各通路の一部の部品を共通化することができるため、部品点数の削減およびコストダウンを図ることができる。
【0013】
具体的には、前記排気通路は、下流側端部を構成する排気口部材と、該排気口部材の上流側に位置する接続部材とを有し、前記接続部材に蒸気通路接続部を設けるとともに、前記排気口部材に前記蒸気通路接続部を覆うカバー部を設け、前記排気口部材および接続部材の嵌合により分岐接続部を形成することが好ましい。
【0014】
この加熱容器では、前記排気口部材と接続部材との内部に、前記分岐接続部より下流側に位置するように、前記排気口へ向けて流動する蒸気の排気量を抑制する邪魔板を配設することが好ましい。このようにすれば、沸騰状態を検出する沸騰検出手段に対する蒸気の供給量を容易に調整できる。
【0015】
また、前記沸騰検出手段を前記本体内に配設しており、該沸騰検出手段へ通じる前記蒸気通路を、別体のダクト部材によって全体にかけて断面積が略同一になるように形成することが好ましい。このようにすれば、製品毎の沸騰検出時間を安定化することができる。また、ダクト部材を耐熱性材料で形成することにより、蒸気の熱で外装体を構成する部品が劣化することを防止できる。その結果、外装体を形成するための材料の制約をなくすことができるため、デザイン性を向上できる。
【0016】
この場合、前記ダクト部材を、前記本体の外周部に配設した把持用のハンドルによって挟み込んだ状態で配設することが好ましい。このようにすれば、ネジ止め作業が不要なため、組立作業性を向上できる。
【0017】
また、前記ダクト部材を円筒状チューブにより構成することが好ましい。このようにすれば、本体内での蒸気漏れを防止できる。また、円筒状チューブは角部がないため、組付誤差などによってダクト部材を直線的に配置できない場合でも、容易に調整することができる。
【0018】
さらに、前記ダクト部材は、前記蓋体に設けた分岐接続部が接続される本体側の被接続部に上端を嵌合により接続する一方、下端を本体の底との間に所定の隙間が形成されるように保持部に挿通保持させることが好ましい。このようにすれば、組立作業性を向上できるとともに、ダクト部材の落下を抑制できる。
【0019】
この場合、前記ダクト部材の下端と本体の底との隙間を、前記被接続部に対する嵌合代より小さくすることが好ましい。
しかも、前記ダクト部材の下端に切欠部を設けることが好ましい。
このようにすれば、ダクト部材の嵌合が外れても完全に分離されることはない。その結果、若干の蒸気漏れは生じたとしても、蒸気通路として充分に機能させることができる。
【0020】
また、前記被接続部に、前記蒸気通路を横断するようにリブを設けることが好ましい。このようにすれば、蓋体を開放した状態で露出する被接続部から蒸気通路内に異物が混入することを防止できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の加熱容器では、排気通路を構成する部品に蒸気通路に接続する分岐接続部を設け、各通路の一部の部品を共通化できるようにしているため、部品点数の削減およびコストダウンを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る加熱容器である電気ポットを示す。この電気ポットは、制御手段であるマイコンは勿論、制御基板も搭載しない非マイコン搭載型のものであり、電源供給用のベース10と、該ベース10に着脱可能に載置されるポット11とを備えた電気ケトルである。
【0024】
前記ベース10には、商用電源に接続する図示しない電源コードが配線され、この電源コードが図示しない電源供給端子に接続されている。
【0025】
前記ポット11は、内部に内容器37を収容するポット本体12と、該ポット本体12に開閉可能に取り付けた蓋体43とを備えている。
【0026】
前記ポット本体12は、上端および下端を開口した筒状の胴体13と、該胴体13の下端開口を閉塞する底体19とを有する外装体を備えている。そして、胴体13には、前記内容器37が固定され、この内容器37に対して、加熱手段であるアルミブレージングヒータ40、ベース10からの電力を受ける接続端子(図示せず)、アルミブレージングヒータ40への通電をオンオフするスイッチ(図示せず)、および、該スイッチの接続状態を切り換えるリンク部材41が配設されている。
【0027】
前記胴体13は、上部に内容器37を固定するための段部14を備えている。また、胴体13の正面側上部には、後述する給水通路54の注口53の下部を覆うように、上側外向きに傾斜して膨出する注部15が設けられている。さらに、この注部15に対して径方向逆側に位置する胴体13の背面側上部には、蓋体43を回転可能に軸着するためのヒンジ接続部16が設けられている。図2および図3に示すように、胴体13の背面部には、ヒンジ接続部16の下部に位置するように、内向きに窪むハンドル配設凹部17が上下方向に延びるように設けられている。このハンドル配設凹部17には、L字形状に突出する引掛部26を貫通させて係止する引掛孔(図示せず)が設けられている。また、このハンドル配設凹部17の中央には、上下方向に延びる一対の仕切板18,18が設けられ、これら仕切板18,18間に蒸気通路36を構成するダクト部材34を配設する構成としている。
【0028】
前記底体19は、胴体13の下端に嵌合して固定される受皿形状のものである。この底体19には、中央にベース10の電源供給端子を貫通させる貫通部(図示せず)が設けられている。そして、胴体13への組付状態では、この貫通部上に位置するように内容器37に固定した電源接続端子が位置する。また、底体19の背面部には、胴体13のハンドル配設凹部17に対応するハンドル配設凹部20が設けられている。そして、このハンドル配設凹部20には、内部に連通する貫通孔21が設けられている。
【0029】
この胴体13および底体19の背部に配設するハンドル22は、内側部材24と外側部材29とを備えている。そして、これら内側部材24と外側部材29とを組み付けた状態では、把持部23の内部に円弧状をなす収容空間が形成され、その収容空間に電源スイッチ部材31と、該電源スイッチ部材31の操作に連動する連動部材32とが配設されている。
【0030】
前記内側部材24は、側面視(図1に示す状態)で中央に位置するように把持穴25を設けた環状のもので、その両側板部には、ハンドル配設凹部17の引掛孔に貫通させる引掛部26が前方に突出するように設けられている。また、内側部材24には、胴体13の仕切板18,18間に配設するダクト部材34を挟み込んで固定するためのダクト配設部27が設けられている。このダクト配設部27は平面視凹字形状をなし、胴体13への組付状態で、ヒンジ接続部16の下部近傍までの延びるように、上向きに突出する突出部27aを備えている。また、このダクト配設部27の下部には、継手部材35を介してダクト部材34と接続する蒸気ダクト部28が設けられている。この蒸気ダクト部28は、略L字形状をなす通路(空間)を備えたもので、底体19の貫通孔21を貫通して該底体19内で開口するように構成されている。
【0031】
前記外側部材29は、内側部材24の開放した外側部分を被覆するもので、その上部には電源スイッチ部材31を露出させるための露出孔30が設けられている。
【0032】
前記電源スイッチ部材31は、内側部材24に回動可能に配設し、外側部材29の露出孔30から一部が露出するように配設されるものである。
【0033】
前記連動部材32は、内側部材24と外側部材29との内部空間に移動可能に配設されるもので、その上端が電源スイッチ部材31に連結されている。そして、この連動部材32は、逆側の下端が内側部材24と外側部材29との開放した下端から突出され、ハンドル22を胴体13および底体19に組み付けた状態で、その突出端に設けた連結部33が貫通孔21を通して外装体内部に配置したリンク部材41に連結される。
【0034】
このハンドル22は、電源スイッチ部材31および連動部材32を組み付けた状態で、ダクト配設部27に四角筒状をなす金属製のダクト部材34と、樹脂製の継手部材35とを配設し、胴体13および底体19に組み付ける。これにより、これらダクト部材34および継手部材35を、胴体13とハンドル22との間に挟み込んだ状態で固定する。なお、この組付状態では、ダクト部材34は、上端が後述する蓋本体44の通路部47の下端で分岐接続部89に接続され、下端が継手部材35を介してハンドル22の蒸気ダクト部28に接続される。そして、これらダクト部材34、継手部材35および蒸気ダクト部28が、断面積を略同一とした蒸気通路36を構成する。
【0035】
前記内容器37はステンレス製であり、図1に示すように、円筒状をなすように接合した筒状部材と、該筒状部材の下端開口を閉塞する円板部材とを備え、これらを一体的に接合した有底円筒状のものである。この内容器37の上部には、内向きに窪む絞部38が形成され、この絞部38を満水位の水位線として兼用している。また、内容器37の上端には、径方向外向きに突出するフランジ部39が設けられ、このフランジ部39を胴体13の段部14に位置決めして固定する構成としている。
【0036】
前記アルミブレージングヒータ40は、内容器37内の水を加熱して沸騰させるためのもので、内容器37の底面外周部に位置するように、粉末状のアルミニウムをロウ材としてヒータを接合することにより配設されている。
【0037】
前記リンク部材41は、電源接続端子からアルミブレージングヒータ40への通電をオンオフするスイッチの接点を切り換えるもので、その一端に連動部材32の連結部33が連結されている。このリンク部材41は、電源スイッチ部材31の上部を図1中矢印方向に押圧操作し、連動部材32を介して押し下げられることにより、スイッチをオン状態とするものである。また、電源スイッチ部材31の下部を押圧操作すると、連動部材32を介して引き上げられることにより、スイッチをオフ状態とする。さらに、電源接続端子内に突出部が位置され、ベース10からポット11が取り外されると、突出部の押圧が解除されることによりオフ状態に変位する。
【0038】
そして、本実施形態では、リンク部材41の下部には、所定温度に昇温することにより反転し、リンク部材41を上向きに押し上げるバイメタルスイッチ42が配設されている。このバイメタルスイッチ42は、蒸気通路36を構成する蒸気ダクト部28の開口端近傍に配設され、該蒸気通路36を通して供給される内容器37内で発生した蒸気により昇温される構成としている。即ち、このバイメタルスイッチ42は、蒸気の温度に基づいて、内容器37内の水の沸騰状態を検出する沸騰検出手段の役割をなす。なお、バイメタルスイッチ42の反転によりリンク部材41が押し上げられると、連動部材32を介して電源スイッチ部材31がオフ位置に変位される。また、バイメタルスイッチ42は、自然冷却により温度が低下すると、反転前の原状に復元する。
【0039】
前記蓋体43は、図1に示すように、蓋本体44と蓋カバー65とを備え、その下部に内容器37を閉塞する内蓋70を配設したものである。そして、この蓋体43には、ポット本体12に対して係脱可能にロックするロック部材67が配設されている。また、正面側には給水通路54が設けられ、この給水通路54に弁部材55が配設されるとともに、該弁部材55を開閉する操作部材60が配設されている。さらに、背面側には排気通路88が設けられ、この排気通路88がポット本体12に設けた蒸気通路36に分岐接続される。
【0040】
まず、蓋本体44は、図1および図4に示すように、胴体13の上端縁に嵌合する円板状のもので、その背面側外周部には、胴体13のヒンジ接続部16に軸着されるヒンジ受部45が設けられている。このヒンジ受部45には、後述する分岐接続部89を配設する凹部46が設けられ、この凹部46の中央に上下方向に貫通する通路部47が設けられている。
【0041】
また、蓋本体44の中央には、上向きに膨出し、後述する内蓋70の膨出部73を収容する収容部48が設けられている。そして、この収容部48の前側には、給水通路54を構成する給水ダクト部49が設けられるとともに、収容部48の後側には、排気通路88を構成する可動閉塞部材配設部61A,61Bが設けられている。
【0042】
前記給水ダクト部49は、収容部48の前側からL字形状をなすように前向きに突出する筒状のものである。この給水ダクト部49は、内容器37の上端開口を臨むように下向きに開口しており、この開口部が給水通路入口50となる。この給水通路入口50は、弁部材55により開閉可能に密閉される。なお、この給水ダクト部49の径方向後側に隣接するように、収容部48の前部に、弁部材55の操作受部57を移動可能に挿通する円筒状の挿通部51が設けられている。
【0043】
前記給水ダクト部49には、先端に胴体13の注部15にかけて水平方向に延びるノズル部材52が装着され、このノズル部材52の先端開口により注口53が構成される。そして、これら給水ダクト部49およびノズル部材52が、内容器37内の水を注出する給水通路54を構成する。
【0044】
なお、前記給水通路入口50を開閉可能に密閉する弁部材55は、図4に示すように、楕円形状をなす弁体56を備え、その一端に棒状に突出する操作受部57が設けられている。この弁部材55は、内蓋70とは別体の受部材58を蓋本体44に配設することにより、付勢手段であるスプリング59によって、給水通路入口50を密閉する閉塞方向に付勢した状態で配設される。また、この弁部材55は、操作受部57の上端を操作部材60のスライド操作によって下向きに押圧することにより、給水通路入口50をスプリング59の付勢力に抗して開放可能としている。
【0045】
前記可動閉塞部材配設部61A,61Bは、収容部48の後側に該収容部48と一体的に突出するように平面視円形状をなす厚肉部62を設け、この厚肉部62の上面から下向きに窪むように設けた逆円錐台形状のものである。これら可動閉塞部材配設部61A,61Bは、正面側の給気ダクト部から背面側のヒンジ受部45にかけた中心線(図示せず)を中心として線対称に位置する。また、これら可動閉塞部材配設部61A,61Bにおいて、収容部48の側に位置する面は開口され、この収容部48と連通する開口部が排気通路入口63となる。また、可動閉塞部材配設部61A,61Bの内周面には、径方向内向きに突出するリブ64が設けられている。
【0046】
前記蓋カバー65は、図1に示すように、蓋本体44のヒンジ受部45から組み付け状態の胴体13の注部15にかけて上部を覆う外装面を構成するもので、球の一部の如き形状をなす。この蓋カバー65の中央前部には、ロック部材67を露出させる露出孔66が設けられている。このロック部材67は蓋カバー65に回動可能に取り付けられ、前側部を押圧操作することにより、図示しないロック部が胴体13の被ロック部から離脱して、開放を可能とするものである。また、この蓋カバー65の中央頂部には、操作部材60の操作部を露出させる露出孔68が設けられている。さらに、この蓋カバー65の中央後部には、排気通路88の下流側端部を構成する排気口部材84を露出させる露出孔69が設けられている。
【0047】
前記内蓋70は、内容器37内で加熱した水の過熱蒸気および沸騰時に噴出する高温の水滴から蓋本体44などを保護するためのもので、円形状をなす金属板からなる。この内蓋70には、外周部に内容器37の上端開口を密閉するシール部材71が配設されている。また、内蓋70には、略中央に位置するように左右方向に延びる長円形状をなす装着孔72が設けられ、この装着孔72に別体の膨出部73が配設されている。この膨出部73の上端は閉塞され、この閉塞面に複数の通気孔74が設けられている。
【0048】
また、本実施形態の蓋体43には、図1から図3に示すように、蓋本体44の可動閉塞部材配設部61A,61Bの内部にそれぞれ可動閉塞部材75,75が収容され、かつ、可動閉塞部材配設部61A,61Bの上部に位置するように、排気通路88を構成する接続部材76および排気口部材84が配設されるとともに、これらの内部に邪魔板90が配設される。
【0049】
前記可動閉塞部材75,75は、円錐台形状をなす金属製のものである。この可動閉塞部材75の小径面の直径は、可動閉塞部材配設部61A,61Bの小径面である下端において、リブの先端軌跡からなる仮想円の直径より僅かに小さく設定されている。また、可動閉塞部材75,75の斜面は、可動閉塞部材配設部61A,61Bと同一の傾斜角度に設定されている。これにより、可動閉塞部材配設部61A,61Bが傾斜した場合、いずれの方向であってもその傾斜に従って可動閉塞部材75,75が開口端に向けて移動するように構成している。
【0050】
前記接続部材76は、可動閉塞部材配設部61A,61Bを閉塞する円板形状のものである。この接続部材76には、図3および図5に示すように、可動閉塞部材配設部61Aと対応する位置に、該可動閉塞部材配設部61Aの中心と上下に一致する同心円孔からなり、内容器37の内部と機外とを連通させる連通部77が設けられている。この連通部77は、排気容量を十分に確保するために水が通過可能な直径で形成されている。また、可動閉塞部材配設部61Bと対応する位置には、該可動閉塞部材配設部61Bの中心と上下に一致する同心円孔からなり、内容器37の内部と機外とを連通させる第1空気抜部78が設けられている。この第1空気抜部78は、連通部77より小径であり、可動閉塞部材75,75によって連通部77と同時に閉塞された際に、該第1空気抜部78に吸着した可動閉塞部材75が先に容易に脱落する構成としている。そして、本実施形態の接続部材76には、前記連通部77の孔に連通するように、注口53とは逆側のヒンジ接続部16に向けて延びるスリットからなる第2空気抜部79が設けられている。なお、連通部77は、満水状態で注口53からお湯を注出するために傾けた状態で、液面より上方に位置する。
【0051】
下部に可動閉塞部材75,75が位置する接続部材76は、可動閉塞部材配設部61A,61Bが傾くと、その傾斜に従って可動閉塞部材75,75が移動することにより、連通部77および第1空気抜部78が閉塞される。そして、本実施形態では、第2空気抜部79は、図6(A)に示すように、延び方向と逆側である注口53を設けた正面側を下向きに傾斜させた場合、可動閉塞部材によって閉塞されない位置まで延びるように構成されている。そして、この第2空気抜部79は、図6(B),(C),(D)に示すように、注口53の側を除く方向に傾いた場合には、可動閉塞部材75,75によって確実に閉塞される寸法で形成されている。
【0052】
また、本実施形態の接続部材76には、図3および図5に示すように、第2空気抜部79を含む連通部77および第1空気抜部78の形成位置を含むように、邪魔板90を配設する邪魔板配設凹部80が設けられている。この邪魔板配設凹部80は略瓢箪形状をなし、蓋本体44の凹部46に向けて延びる通気溝81を備えている。そして、本実施形態の接続部材76には、この通気溝81から筒状をなすように下向きに突出し、凹部46の通路部47に貫通される蒸気通路接続部82が設けられている。なお、接続部材76の両側部には、蓋本体44に対してネジ止めにより固定するためのブラケット部83が設けられている。
【0053】
前記排気口部材84は、排気通路88の下流側端部を構成するもので、前後方向に延びる長円筒形状のものである。この排気口部材84の上端は閉塞され、その閉塞面に複数のスリットからなる排気口85が設けられている。この排気口85は、蓋体43を組み立てた状態で、蓋カバー65の露出孔69から外部に露出した状態をなす。また、排気口部材84には、接続部材76に嵌合させた状態で蒸気通路接続部82の上端開口部を閉塞するカバー部86が設けられている。さらに、排気口部材84には、組付状態で接続部材76のブラケット部83に重畳し、該接続部材76と一体的にネジ止めにより蓋本体44に固定するためのブラケット部87が設けられている。
【0054】
これら接続部材76および排気口部材84は、一体的に蓋本体44に組み付けることにより、可動閉塞部材配設部61A,61B、接続部材76および排気口部材84で、内容器37内と機外とを連通させ、内容器37内で発生した蒸気を排気する排気通路88を構成する。また、接続部材76および排気口部材84の嵌合により、蒸気通路接続部82がカバー部86で覆われ、1つの分岐接続部89を形成する。そして、この分岐接続部89は、蓋本体44に組み付けられることにより、蓋本体44の通路部47を貫通し、蓋体43の背面側に形成した排気通路88と、ポット本体12の背面側に形成した蒸気通路36とが、分岐接続される。なお、分岐接続部89にはパッキンが配設され、蓋体43を開放した状態では蒸気通路36のダクト部材34とは非連通状態となり、蓋体43を閉塞した状態ではダクト部材34の上端に密閉した状態で連通される。
【0055】
前記邪魔板90は、接続部材76と排気口部材84の内部に配設し、排気口85からの蒸気の排気量を抑制(調整)するとともに、分岐接続部89を介して蒸気通路36へ流動させる蒸気量を調整するものである。具体的には、この邪魔板90は、下端を開口した箱形状をなし、その上端の閉塞面90aは、排気通路接続部より上側(下流側)に位置する。そして、この閉塞面90aには、蒸気を通過させる複数の通気孔91が設けられている。また、邪魔板90の外周壁90bには、接続部材76への組付状態で通気溝81に対応する位置に、分岐接続部89へ蒸気を流動させる蒸気分流口92が設けられている。この邪魔板90は、通気孔91の開口面積および数を調整することにより、排気口85からの蒸気の排気量を調整できるとともに、蒸気通路36へ流動する蒸気量を調整できる。
【0056】
前記構成の電気ポットは、排気通路88を構成する接続部材76および排気口部材84に蒸気通路36に接続する分岐接続部89を設けているため、構造の簡素化を図ることができる。しかも、各通路36,88の一部の部品を共通化することができるため、部品点数の削減およびコストダウンを図ることができる。また、蒸気通路36を構成するダクト部材34は、胴体13の外周部に配設する把持用のハンドル22によって挟み込んだ状態で配設するため、ネジ止め作業が不要であり、組立作業性を向上できる。
【0057】
前記電気ポットを使用する場合には、蓋体43を開いて内容器37を開放した状態で、内部に所定量の水を収容させる。そして、ベース10上にポット11を載置し、電源スイッチ部材31の操作によりアルミブレージングヒータ40をオンさせると、内容器37内の水が加熱される。
【0058】
そして、略沸騰した状態になると、内容器37内では蒸気が発生し、その蒸気が膨出部73を通過した後、該膨出部73の通気孔74より下側に位置する排気通路入口63から排気通路88内に流入する。そうすると、蒸気は、可動閉塞部材配設部61A,61B内から略連通部77を通って邪魔板90内に流入し、この邪魔板90の閉塞面90aにより排気口部材84内への流入が阻害される。これにより、通気孔91を通過する一部と、通過できずに蒸気分流口92から分岐接続部89へ流入する残りとに分流される。
【0059】
通気孔91を通過した一部の蒸気は、排気口部材84内に流入し、上端の排気口85から外部に排気される。
【0060】
また、蒸気分流口92から分岐接続部89へ分流された残りは、蒸気通路36を構成するポット本体12内のダクト部材34内に流入する。そして、ダクト部材34から継手部材35を介してハンドル22の蒸気ダクト部28を通過し、ポット本体12内において、内容器37と底体19との間に供給される。その後、この蒸気ダクト部28の先方に位置するバイメタルスイッチ42に当たった後、自然冷却により凝縮した水が底体19に形成した排水孔(図示せず)から外部に排水される。この蒸気の噴射によりバイメタルスイッチ42が昇温すると、前述のようにリンク部材41を押し上げることにより、アルミブレージングヒータ40への通電を遮断する。
【0061】
なお、このようにして沸騰させたお湯は、操作部材60を操作して弁部材55によって給水通路入口50を開放した状態で、ハンドル22を把持して径方向逆側に位置する注口53が下向きに傾斜するように傾けることにより、給水通路54を通して注口53から注出することができる。
【0062】
この際、ポット11の傾斜により、一対の可動閉塞部材75,75が移動し、連通部77および第1空気抜部78を閉塞する。そうすると、内容器37内と大気圧との圧力差によって、可動閉塞部材75,75が連通部77および第1空気抜部78に吸着した状態をなすように作用する。しかし、本実施形態では、この注出状態で可動閉塞部材75では閉塞されないように第2空気抜部79を設けているため、この第2空気抜部79を通して内外の圧力を平衡させ、吸着を解除できる。
【0063】
また、本実施形態では、排気口部材84と接続部材76との内部に、排気口85へ向けて流動する蒸気の排気量を抑制する邪魔板90を配設しているため、沸騰状態を検出するバイメタルスイッチ42に対する蒸気の供給量を容易に調整できる。その結果、容易かつ確実に沸騰状態を検出できる。
【0064】
しかも、バイメタルスイッチ42への蒸気通路36を、主として別体のダクト部材34によって全体にかけて断面積が略同一になるように形成しているため、製品毎の沸騰検出時間を安定化することができる。また、ダクト部材34を耐熱性材料で形成することにより、蒸気の熱で胴体13やハンドル22が昇温されることを防止できる。その結果、これら胴体13やハンドル22の劣化を抑制できるうえ、外装体を形成するための材料の制約をなくすことができるため、デザイン性を向上できる。また、使用時にユーザがハンドル22を持った際に熱さを感じさせるという不都合を防止できる。
【0065】
図7から図10は第2実施形態の電気ポットを示す。この電気ポットは、第1実施形態と同様に、電源供給用のベース10と、該ベース10に着脱可能に載置されるポット11とを備えた電気ケトルである。なお、以下の説明では、第1実施形態と同様の構成のものは、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0066】
第2実施形態のポット本体12では、外装体を構成する胴体13には、給水通路54の注口53の下部を覆うように膨出する注部15を設けていない。また、図8および図9に示すように、胴体13の背面部には、第1実施形態と同様にハンドル配設凹部17が設けられるとともに、ハンドル配設凹部17の中央に一対の仕切板18,18が設けられ、その間に蒸気通路36を構成するダクト部材34を配設する構成としている。さらに、本実施形態では、ハンドル配設凹部17の上端に、ダクト部材34の上部を挿通保持する筒状の上側保持部100が設けられている。
【0067】
また、底体19の背面部には、胴体13のハンドル配設凹部17の下部に対応し、胴体13への組付状態で下端を閉塞した略四角筒状をなすように、径方向外向きに突出するダクト部材収容部101が設けられている。このダクト部材収容部101は、ダクト部材34の下部を収容するもので、第1実施形態のハンドル配設凹部20と同様に、バイメタルスイッチ42を配設した内部に連通する。また、本実施形態の底体19には、ダクト部材収容部101の径方向外側に、電源スイッチ部材104を配設する電源操作部102が更に設けられている。この電源操作部102は、組立状態でハンドル106の組付部107から外向きに突出するもので、ダクト部材収容部101との間の仕切板部には連通口を備えている。また、ダクト部材収容部101と電源操作部102との境界上面部には、組付部107を嵌合する嵌合溝103が設けられている。
【0068】
前記電源スイッチ部材104は、電源操作部102内の開口部から内部のリンク部材41に連結される連結部105を備えている。そして、電源スイッチ部材104の操作により、第1実施形態と同様にリンク部材41を動作させ、電源接続端子をオンオフさせるものである。そのため、この第2実施形態では、第1実施形態に示す連動部材32は設けられていない。
【0069】
第2実施形態のハンドル106は、第1実施形態のように内側部材24と外側部材29とからなるものではなく、1部材からなるものである。具体的には、ハンドル106は、ハンドル配設凹部17に嵌合される組付部107と、ユーザが把持するための把持部112とからなる略逆V字形状のものである。
【0070】
前記組付部107は、胴体13のヒンジ接続部16の下部から底体19のダクト部材収容部101の上部までの領域を覆う寸法で形成された略断面C字形状のものである。この組付部107には、その両側縁にハンドル配設凹部17の引掛孔に貫通させる引掛部108が前方に突出するように設けられている。そして、胴体13のヒンジ接続部16に組み付けた状態で、底体19を組み付けることにより、下端縁を底体19の嵌合溝103に嵌合させて離脱不可能に組み付けられる。また、組付部107の内部には、胴体13の仕切板18,18間に配設される一対の仕切りからなるダクト配設部109が設けられている。このダクト配設部109の上端には、ダクト部材34を位置決め保持するU字形状の溝を有し、上側保持部100の下部に位置する中間保持部110が設けられている。また、ダクト配設部109の下端には、ダクト部材34を貫通させて位置決め保持する円形孔を有する下側保持部111が設けられている。
【0071】
前記把持部112は、下向きの円弧状をなすように湾曲し、外面側には略半円形状の凹部113を設けた厚肉のものである。この凹部113の上部は、上側保持部100の外側に位置し、その部分に内容器37に対して直交方向に延びるように貫通孔114が設けられている。この貫通孔114には、第1実施形態の電源スイッチ31の代わりに、給湯操作部材115が配設されている。
【0072】
前記給湯操作部材115は、胴体13の上側保持部100との間にスプリング116を配設することにより、外向きに付勢された状態で配設される。この給湯操作部材115は、操作部117の両側に、前向きに突出してスライド部材124の受部(図示せず)を押圧する押圧部118を備えている。
【0073】
そして、第2実施形態では、円筒状チューブ(パイプ)からなるダクト部材34を、胴体13とハンドル106との間に挟み込んだ状態で固定する構成としている。このダクト部材34は、フッ素樹脂製、シリコーンゴム製、ステンレス製、アルミ製またはガラス製であり、そのなかでも組付時の位置調整を考慮すると、フッ素チューブにより構成することが好ましい。なお、本実施形態では、このダクト部材34の下端に所定間隔をもって通気用の切欠部119が設けられている。また、本実施形態のダクト部材34は、図7および図10に示すように、被接続部材120を介して胴体13の上側保持部100に垂下した状態で配設される。そして、その配設状態では、ダクト部材34の下端と底体19のダクト部材収容部101の底との隙間が、被接続部材120との嵌合代より小さくなる全長で形成されている。
【0074】
前記被接続部材120は、後述する蓋本体44の通路部47から露出する被接続部121を備えている。この被接続部121は、上側保持部100を貫通不可能な大径のもので、その上端接続面は後方上向きに45度の傾斜角度で傾斜する形状とされている。また、この被接続部121の内部には、径方向に横断するようにリブ122が設けられている。さらに、この被接続部材120には、被接続部121から下向きに突出し、上側保持部100内に配置される嵌合部123が設けられている。
【0075】
前記被接続部材120を用いてダクト部材34の組み付ける場合には、例えば、まずダクト部材34の上端に被接続部材120の嵌合部123を嵌合させて固定する。その後、ダクト部材34の下端から上側保持部100を貫通させた後、続いてハンドル106の下側保持部111を貫通させる。そして、この状態でハンドル106を胴体13に対して組み付ける。その後、ダクト部材34およびハンドル106を組み付けた胴体13に対して底体19を組み付ける。これにより、これら被接続部材120およびダクト部材34が、断面積を略同一とした蒸気通路36を構成する。
【0076】
第2実施形態の蓋体43は、第1実施形態と同様に、蓋本体44と蓋カバー65とを備え、その下部に内容器37を閉塞する内蓋70を配設したものである。
【0077】
蓋本体44は、図7から図9に示すように、胴体13の上端縁に嵌合する円板状のもので、背面側に設けたヒンジ受部45には、分岐接続部89が回動可能に位置する通路部47が設けられている。また、蓋本体44の略中央には、上向きに膨出する収容部48が設けられ、この収容部48の前側に、給水通路54を構成する給水ダクト部49が設けられるとともに、収容部48の後側に、排気通路88を構成する可動閉塞部材配設部61A,61Bが設けられている。
【0078】
前記給水ダクト部49の開口部は給水通路入口50となるもので、その中央に位置するように、弁部材55の操作受部57を移動可能に挿通する円筒状の挿通部51が設けられている。また、第1実施形態と同様に、前記給水ダクト部49の先端には、水平方向に延びるノズル部材52が装着され、このノズル部材52の先端開口により注口53が構成される。そして、これら給水ダクト部49およびノズル部材52が、内容器37内の水を注出する給水通路54を構成する。
【0079】
本実施形態では、弁部材55を下向きに移動させて給水通路入口50を開放するために、第1実施形態に示す操作部材60の代わりにスライド部材124が前後方向に移動可能に配設されている。このスライド部材124は、図9に示すように、蓋本体44に配設した一対のスプリング125により後向きに付勢した状態で配設されている。そして、給湯操作部材115の押圧により、図示しない受部が押圧部118によって前向きに押圧されると、スプリング125の付勢力に抗して前向きに移動される。これにより、弁部材55を下向きに移動させる、給水通路54の給水通路入口50(内容器37内)を外部と連通するように開放する。
【0080】
前記可動閉塞部材配設部61A,61Bは、収容部48の後側において、前後方向に隣接するように設けた逆円錐台形状のものである。これら可動閉塞部材配設部61A,61Bは側部が開口され、この開口部が排気通路入口63となる。
【0081】
前記蓋カバー65は、図1に示すように、蓋本体44のヒンジ受部45から組み付け状態の胴体13の注部15にかけて上部を覆う外装面を構成するものである。この蓋カバー65には、第1実施形態と同様に、中央前部にロック部材67を露出させる露出孔66が設けられているが、中央頂部には操作部材60の操作部を露出させる露出孔68は設けられていない。また、蓋カバー65の中央後部には、排気通路88の下流側端部を構成する排気口部材84を露出させる露出孔69が設けられている。
【0082】
第2実施形態の内蓋70は、円形状をなす金属板からなり、第1実施形態に示す膨出部73を絞り加工により一体的に設けた点で、第1実施形態と大きく相違している。
【0083】
また、第2実施形態の蓋体43には、図7から図9に示すように、蓋本体44の可動閉塞部材配設部61A,61Bの内部にそれぞれ可動閉塞部材75,75が収容され、かつ、可動閉塞部材配設部61A,61Bの上部に位置するように、排気通路88を構成する接続部材76および排気口部材84が配設される。但し、これら接続部材76および排気口部材84の内部には、第1実施形態に示す邪魔板90は配設していない。
【0084】
そのうち、接続部材76は、可動閉塞部材配設部61A,61Bを閉塞する長円板形状のものである。この接続部材76には、第1実施形態と同様に、可動閉塞部材配設部61Aと対応する位置に連通部77が設けられ、可動閉塞部材配設部61Bと対応する位置に第1空気抜部78が設けられている。また、連通部77には、ヒンジ接続部16に向けて延びるスリットからなる第2空気抜部79が設けられている。
【0085】
また、第2実施形態の接続部材76は、連通部77および第1空気抜部78の形成領域が仕切板126により区画され、この仕切板126に筒状をなす通気部127が設けられている。そして、この通気部127の背面側に通気溝81が形成され、その先端から筒状をなすように下向きに突出する蒸気通路接続部82が設けられている。この蒸気通路接続部82において、被接続部材120と離間可能かつ密閉状態で接続可能とする先端接続面は、組付状態で後方上向きに45度の傾斜角度で傾斜する形状とされている。また、この蒸気通路接続部82の先端接続面には、被接続部材120との間をシールするパッキンが配設されている。
【0086】
前記排気口部材84は、排気通路88の下流側端部を構成するもので、接続部材76と同様に前後方向に延びる長円形状のものである。この排気口部材84は、連通部77および第1空気抜部78の形成領域が閉塞され、仕切板126により区画された背面側に、複数のスリットからなる排気口85が設けられている。この排気口85は、上向きに膨出した形状をなし、蓋カバー65の露出孔69から外部に露出した状態で組み付けられる。また、排気口部材84には、接続部材76に嵌合させた状態で蒸気通路接続部82の上端開口部を閉塞するカバー部86が設けられている。
【0087】
これら接続部材76および排気口部材84は、第1実施形態と同様に、一体的に蓋本体44に組み付けることにより、可動閉塞部材配設部61A,61B、接続部材76および排気口部材84で、内容器37内と機外とを連通させ、内容器37内で発生した蒸気を排気する排気通路88を構成する。また、接続部材76および排気口部材84の嵌合により、蒸気通路接続部82がカバー部86で覆われ、1つの分岐接続部89を形成する。そして、この分岐接続部89は、蓋本体44に組み付けられることにより、蓋体43の背面側に形成した排気通路88と、ポット本体12の背面側に形成した蒸気通路36とが、分岐接続される。なお、これら蒸気通路36と排気通路88とは、図10に示すように、蓋体43を開放した状態では非連通状態となり、蓋体43を閉塞した状態では連通される。
【0088】
このように構成した第2実施形態の電気ポットは、第1実施形態と同様に、排気通路88を構成する接続部材76および排気口部材84に蒸気通路36に接続する分岐接続部89を設けているため、構造の簡素化を図ることができるなど、同様の作用および効果を得ることができる。また、この第2実施形態の電気ポットを使用した場合の作用は、第1実施形態と同様である。
【0089】
そして、第2実施形態では。ダクト部材34を円筒状チューブにより構成しているため、蒸気漏れを確実に防止できるうえ、組付作業性を向上できる。即ち、円筒状チューブからなるダクト部材34は角部がないため、組付誤差などによってダクト部材34を直線的に配置できない場合でも、容易に調整することができる。また、被接続部121にはリブ122を設けているため、蓋体を開放した状態で露出する被接続部121から蒸気通路36内に異物が混入することを防止できる。
【0090】
さらに、ダクト部材34は、被接続部材120に対して嵌合により接続して垂下状態で配設され、かつ、底体19との間には嵌合代より小さい隙間が形成されるように構成している。そのため、組立作業性を更に向上できるうえ、ダクト部材の落下を抑制できる。しかも、万が一、ダクト部材34の嵌合が外れても完全に分離されることはないうえ、切欠部119によりバイメタルスイッチ42への蒸気供給は確実に成される。その結果、若干の蒸気漏れは生じたとしても、蒸気通路36として充分に機能させることができるという効果を得ることができる。
【0091】
なお、本発明の加熱容器は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0092】
例えば、第1実施形態では、ダクト部材34を四角筒状をなすパイプにより構成したが、平面視略U字形状に形成し、胴体13のハンドル配設凹部17とで筒状をなすように構成してもよい。このようにしても、前記実施形態と同様に、製品毎の沸騰検出時間を安定化することができるうえ、ハンドル22の昇温をできる。
【0093】
また、前記実施形態では、本発明の加熱容器として電気ポットを一例として説明したが、加熱沸騰方式の加湿器に適用してもよく、内容器内の液体を蒸気が発生する温度まで加熱する機器であれば同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の第1実施形態に係る加熱容器である電気ポットを示す断面図である。
【図2】第1実施形態の電気ポットの分解斜視図である。
【図3】背面側から見た第1実施形態の電気ポットの分解斜視図である。
【図4】蓋体の内側を示す分解斜視図である。
【図5】接続部材の平面図である。
【図6】(A),(B),(C),(D)は接続部材と可動閉塞部材の関係を示す概略図である。
【図7】第2実施形態の電気ポットの断面図である。
【図8】第2実施形態の電気ポットの分解斜視図である。
【図9】背面側から見た第2実施形態の電気ポットの分解斜視図である。
【図10】第2実施形態の電気ポットの蓋体を開けた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0095】
11…ポット(加熱容器)
12…ポット本体
22…ハンドル
28…蒸気ダクト部
34…ダクト部材
35…継手部材
36…蒸気通路
37…内容器
40…アルミブレージングヒータ(加熱手段)
42…バイメタルスイッチ(沸騰検出手段)
43…蓋体
47…通路部
53…注口
54…給水通路
55…弁部材
61A,61B…可動閉塞部材配設部
63…排気通路入口
70…内蓋
75…可動閉塞部材
76…接続部材
82…蒸気通路接続部
84…排気口部材
85…排気口
86…カバー部
88…排気通路
89…分岐接続部
90…邪魔板
91…通気孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留する内容器を内部に配設した本体と、前記内容器内の液体を加熱する加熱手段と、前記本体に開閉可能に取り付けられ前記内容器の上端開口を閉塞する蓋体とを備え、前記蓋体に内容器内で発生する蒸気を排気する排気通路を設けるとともに、該排気通路から分岐させて蒸気通路を設け、該蒸気通路の端部に前記内容器内の液体の沸騰状態を蒸気温度に基づいて検出する沸騰検出手段を配設した加熱容器であって、
前記排気通路を構成する部材に、前記蒸気通路に接続する分岐接続部を設けたことを特徴とする加熱容器。
【請求項2】
前記排気通路は、下流側端部を構成する排気口部材と、該排気口部材の上流側に位置する接続部材とを有し、前記接続部材に蒸気通路接続部を設けるとともに、前記排気口部材に前記蒸気通路接続部を覆うカバー部を設け、前記排気口部材および接続部材の嵌合により前記分岐接続部を形成するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の加熱容器。
【請求項3】
前記排気口部材と接続部材との内部に、前記分岐接続部より下流側に位置するように、前記排気口へ向けて流動する蒸気の排気量を抑制する邪魔板を配設したことを特徴とする請求項2に記載の加熱容器。
【請求項4】
前記沸騰検出手段を前記本体内に配設しており、該沸騰検出手段へ通じる前記蒸気通路を、別体のダクト部材によって全体にかけて断面積が略同一になるように形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の加熱容器。
【請求項5】
前記ダクト部材を、前記本体の外周部に配設した把持用のハンドルによって挟み込んだ状態で配設したことを特徴とする請求項4に記載の加熱容器。
【請求項6】
前記ダクト部材を円筒状チューブにより構成したことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の加熱容器。
【請求項7】
前記ダクト部材は、前記蓋体に設けた分岐接続部が接続される本体側の被接続部に上端を嵌合により接続する一方、下端を本体の底との間に所定の隙間が形成されるように保持部に挿通保持させたことを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれか1項に記載の加熱容器。
【請求項8】
前記ダクト部材の下端と本体の底との隙間を、前記被接続部に対する嵌合代より小さくしたことを特徴とする請求項7に記載の加熱容器。
【請求項9】
前記ダクト部材の下端に切欠部を設けたことを特徴とする請求項8に記載の加熱容器。
【請求項10】
前記被接続部に、前記蒸気通路を横断するようにリブを設けたことを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の加熱容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−142648(P2009−142648A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289976(P2008−289976)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(000002473)象印マホービン株式会社 (440)
【Fターム(参考)】