説明

加熱機器

【課題】断熱性能を向上することにより無駄な電力消費をなくすとともに、加熱板の冷却部分を充分に冷却可能な加熱機器を提供する。
【解決手段】内鍋10を収容する外装体12と、内鍋10の底に接触するように配設した加熱板49と、内鍋10の外周部および加熱板49の底を覆う収容部(内胴40)と、を備えた加熱機器において、加熱板49は、加熱ヒータ51の両端に接続ターミナル52を有し、接続ターミナル52を収容部40の貫通孔46から外装体12の底部30に向けて突出させたもので、収容部40の外周部に、下端が、加熱板49の加熱ヒータ51より下側に位置し、かつ、接続ターミナル52より上側に位置するように、筒状に断熱部材54を配設し、断熱部材54の下端と外装体12の底との間に通気用の隙間Sを設けるとともに、外装体12の底部30に、内外の空気に対流を生じさせるように通気孔37,37aを設けた構成としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気ポット、加湿器および炊飯器などの加熱機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の加熱機器は、外装体の内部に被加熱物を収容する内鍋を備え、該内鍋を加熱することにより、内鍋を介して被加熱物を加熱するものである。内鍋の加熱手段としては、内部に加熱ヒータが配設された加熱板を利用したものがある。この加熱板は、内鍋の外周部を覆うように配設した収容部の底に配設されている。
【0003】
しかし、この加熱機器は、加熱板によって内鍋を加熱することによる熱が周囲に放熱されるため、その熱の影響で制御基板に実装した電子部品の寿命が短くなるという問題がある。また、近年では、加熱機器の省エネ化が要望されている。
【0004】
そのため、収容部の外周部に、放熱を防止するための断熱部材を配設したものが提供されている。
【特許文献1】特開平5−154035号公報
【特許文献2】特開平11−32911号公報
【特許文献3】特開2008−27764号公報
【0005】
しかしながら、これらの特許文献では、断熱部材を加熱板の上側に位置するように配設しているため、加熱板の熱が下側から逃げ、無駄な電力を消費するという問題がある。この問題を解消するには、断熱部材を外装体の底に向けて延びるように配設すれば良い。しかし、加熱板は、加熱ヒータの両端に接続ターミナルを備え、この接続ターミナルを収容部から外装体の底に向けて突出するように配置したものである。そして、断熱部材を下向きに延びるように配設した場合には、接続ターミナルが加熱ヒータの熱で過剰昇温するため、該接続ターミナルを保持するための封孔部を劣化させてしまうという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の問題に鑑みてなされたもので、断熱性能を向上することにより無駄な電力消費をなくすとともに、加熱板の冷却部分を充分に冷却可能な加熱機器を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明の加熱機器は、上端開口の内鍋を収容する外装体と、前記内鍋の底に接触するように配設した加熱板と、前記内鍋の外周部および加熱板の底を覆うように前記外装体内に設けた収容部と、を備えた加熱機器において、前記加熱板は、内部に配設した加熱ヒータの両端に接続ターミナルを有し、該接続ターミナルを前記収容部の貫通孔から外装体の底に向けて突出させたもので、前記収容部の外周部に、下端が、前記加熱板の加熱ヒータより下側に位置し、かつ、前記接続ターミナルより上側に位置するように、筒状に断熱壁を設け、該断熱壁の下端と外装体の底との間に通気用の隙間を設けるとともに、前記外装体の底に、内外の空気に対流を生じさせるように多数の通気孔を設けた構成としている。
【0008】
この加熱機器によれば、加熱板を構成する加熱ヒータの部分より下側に突出するように断熱壁を設けているため、加熱板の下側から逃げる熱量を減少させることができる。そのため、加熱に関する無駄な消費電力を削減できる。また、断熱壁の下端と外装体の底との間には通気用の隙間を設けるとともに、外装体の底には対流を生じさせる多数の通気孔を形成しているため、確実に外装体内の熱を外部に放出することができる。しかも、加熱板の接続ターミナルを断熱壁の下端より下側に位置させているため、接続ターミナルの熱を対流による空気で確実に冷却できる。そのため、接続ターミナルを保持する封孔部の劣化を抑制できる。
【0009】
この加熱機器では、前記断熱壁は、熱伝導度が低い別体の断熱部材からなり、前記外装体の底に、前記断熱部材の下端を支持するリブを設けることが好ましい。このようにすれば、別体の断熱部材を安定状態で設置できる。また、断熱部材が脱落することにより対流を阻害することを防止できる。
【0010】
この場合、前記外装体に、前記断熱部材の外周部上側を覆う筒状壁部を設けことが好ましい。このようにすれば、断熱部材を更に安定状態で設置できるとともに、内鍋から放出される熱を確実に断熱できる。
【0011】
さらに、多数の通気孔のなかに、他の通気孔より開口面積を大きくした吸気用通気孔を設け、該吸気用通気孔を、平面視で前記断熱壁の外側に位置するように設けることが好ましい。このようにすれば、外装体内での対流方向を安定できる。しかも、吸気用通気孔は、断熱壁より外側に位置するため、加熱板から垂直下向きに逃げる熱が、直接、外装体外に放出されることを防止できる。
【0012】
この場合、前記吸気用通気孔の上部に、前記加熱板を制御するための制御基板を配設することが好ましい。このようにすれば、制御基板に実装した電子部品を確実に冷却できる。
【0013】
そして、前記加熱板は、前記接続ターミナルを位置決めするための封孔部を備え、該封孔部の横に対応するように前記断熱壁に切欠部を設けることが好ましい。このようにすれば、封孔部を更に確実に冷却できるため、劣化を確実に防止できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の加熱機器では、断熱壁を加熱板の加熱ヒータより下側に突出するように配設しているため、加熱板から下側に逃げる熱量を減少でき、無駄な消費電力を削減できる。また、断熱壁と外装体の底との間には通気用の隙間を設け、その隙間に加熱板の接続ターミナルを位置させているため、該接続ターミナルを対流による空気で確実に冷却でき、封孔部の劣化も抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る加熱機器である炊飯器を示す。この炊飯器は、加熱板49によって内鍋10の底を加熱する直接加熱方式であり、この上端開口の内鍋10を着脱可能に収容する炊飯器本体11に、蓋体57を回動可能に配設したものである。
【0017】
前記炊飯器本体11は、上側に位置する肩体16と、下側に位置する胴体29とからなる樹脂製の外装体12を備えている。そして、この外装体12の内部には、内鍋10を着脱可能に収容するための収容部を構成する内胴40が配設されるとともに、該内胴40の底に内鍋10を加熱する加熱板49が配設されている。また、外装体12の正面側には操作パネル部13が設けられ、この内部に第1の回路基板である操作基板14と、第2の回路基板である制御基板15とが配設されている。
【0018】
前記肩体16は、図1および図2に示すように、背面側には蓋体57を開閉可能に接続するためのヒンジ接続部17を備え、その前側に内鍋10を着脱可能に装着するための開口部18を備えている。この開口部18には、その縁から下向きに突出する内枠部19が設けられている。この内枠部19の外周部には、所定間隔をもって同心円状をなすように第1の断熱壁として筒状壁部20が突設されている。これら内枠部19と筒状壁部20との間には、複数の補強リブ21が放射状をなすように設けられるとともに、内鍋10を着脱可能に収容するための内胴40を固定するためのネジ止部22が設けられている。筒状壁部20は、その外周部正面側に形成する回路基板配設部23および他の外周領域と内胴40とを区画して断熱を図るためのもので、その下端が組立状態で内鍋10の底まで延びる全高で形成されている。この筒状壁部20の周囲には、胴体29をネジ止めにより固定するためのネジ止部16aが設けられている。また、この筒状壁部20の正面側には回路基板配設部23が設けられている。この回路基板配設部23には、操作パネル部13の背面側に位置するように操作基板14が配設され、その下部に水平方向に延びるように制御基板15が配設される。そして、回路基板配設部23には、正面側(手前)下向きに傾斜して延びる操作パネル部13に沿って操作基板14を傾斜して固定するために、斜め下向きに突出するように第1ネジ止部24が設けられている。また、回路基板配設部23には、加熱板49を制御する制御基板15を略水平に延びるように固定するために、垂直下向きに突出するように第2ネジ止部25が設けられている。
【0019】
そして、本実施形態の肩体16には、傾斜して配設する操作基板14の組付作業を行うために、工具(ドライバ)を差し込むための作業用孔26が、筒状壁部20に対して一対設けられている。この作業用孔26は、第1ネジ止部24の軸線上に位置するとともに、第2ネジ止部25に対して水平方向に対応する位置となるように設けられている。この作業用孔26は、操作基板14の組付後に、閉塞部を構成する別体の樹脂カバー27で閉塞する構成としている。この樹脂カバー27は、筒状壁部20の外面側を覆うように配設されるもので、作業用孔26を貫通して内面側の縁に係止する一対の係止片28を備えている。
【0020】
前記胴体29は、図1、図3および図4に示すように、上端を開放し、下端を閉塞した有底筒状のものである。この胴体29の底部30には、その4隅に肩体16とネジ止めにより固定するためのボス31が上向きに延びるように設けられている。また、このボス31の近傍には、シンクなどの設置面に対して底部30が所定の隙間をもって位置するように設置するために、下向きに突出する脚部32が設けられている。さらに、背面側に位置する一方の隅には、商用電源と接続するためのプラグ33を配設するためのプラグ装着部34が設けられている。このプラグ装着部34は、内面側には突出する矩形状の枠部からなり、その上側部には、肩体16との嵌合部、特にヒンジ接続部17から水が浸水した際に、その水がプラグ33に付着することを防止するための防水壁部36が設けられている。この防水壁部36により、胴体29の外周部との間に排水経路を形成している。
【0021】
そして、本実施形態の胴体29には、底部30に内外の空気に対流を生じさせる多数の通気孔37が設けられている。そのうち、肩体16に胴体29を組み付けた状態で、回路基板配設部23の下側に位置する通気孔37aは、他の通気孔37より開口面積が大きくなるように長円形状に形成され、吸気用として作用するように構成している。即ち、吸気用の通気孔37aは、平面視で筒状壁部20の外側に位置し、この筒状壁部20の内周部に配設する断熱部材54より外側に位置する。また、筒状壁部20の内側下部に位置する他の通気孔37および背面側に位置する通気孔37は、吸気用の通気孔37aより開口面積が小さい円形状をなすように形成され、所定位置に点在するように設けられている。
【0022】
また、本実施形態の胴体29には、底部30に縦横に延びるように補強用リブ38が設けられるとともに、筒状壁部20の内周部に位置するように、断熱部材54の下端を支持する断熱部材支持リブ39が設けられている。そのうち、断熱部材支持リブ39は、ボス31の近傍と筒状壁部20の中央側部に位置するように、合計で6箇所に設けられた平面視+字形状のものである。また、この断熱部材支持リブ39は、その上端が、組立状態での加熱板49の接続ターミナル52の上側に位置し、かつ、加熱ヒータ51の下部に位置するように構成されている。
【0023】
前記内胴40は、図1および図2に示すように、内鍋10の外周部および加熱板49の底を覆う金属(溶融アルミニウム亜鉛合金メッキ鋼板)製のものである。この内胴40は、その上端開口部に外向きに突出するフランジ部41を備えている。このフランジ部41は、肩体16のネジ止部22に対応するネジ孔42を備え、内枠部19と筒状壁部20との間に位置するように配設され、補強リブ21に当接した状態でネジ止めにより固定される。この内胴40の底には、円形状をなすように下向きに窪む加熱板配設部43が設けられている。この加熱板配設部43の底面中央には、内鍋10の温度を検出するための温度センサ44を貫通させるセンサ貫通孔45が設けられている。また、加熱板配設部43の底面外周部には、加熱板49の接続ターミナル52を貫通させるための貫通孔46が設けられている。なお、図2中符号47は、加熱板49を固定するための固定ネジ孔である。また、本実施形態の内胴40には、樹脂カバー27の配設位置と略同一高さに位置するように胴ヒータ48が配設されている。
【0024】
前記加熱板49は、内胴40内に収容される内鍋10の底に接触するように、内胴40の加熱板配設部43に配設されるものである。この加熱板49は、内部に加熱ヒータ51を配設した略椀形状のもので、伝熱性がよいアルミ材料により形成されている。この加熱板49の中央部には、温度センサ44を貫通させる貫通孔50が設けられている。加熱ヒータ51は、両端に制御基板15に対して電気的に接続される接続ターミナル52を備えている。この接続ターミナル52は、導電性を有するピン状のもので、その外周部が図示しないヒータパイプにより囲繞されている。このヒータパイプの内部にはマグネシアなどの充填材が配設され、接続ターミナル52との絶縁距離を確保している。そして、ヒータパイプの端部は、シリコーン製の封孔部53により封止され、この封孔部53によって接続ターミナル52が位置決めされている。この接続ターミナル52は、図7に示すように、内胴40の貫通孔46を貫通され、組立状態では、断熱部材支持リブ39より下側に位置するように、外装体12の底部30に向けて突出するように配設される。また、この接続ターミナル52と内胴40の貫通孔46との間には、ヒータパイプを覆うようにパイプカバー60が配設されている。
【0025】
そして、本実施形態では、肩体16の筒状壁部20と内胴40との間に、第2の断熱壁として熱伝導度の低いメラミン樹脂またはポリエステル不織布からなる断熱部材54が筒状をなすように配設されている。この断熱部材54は、組付状態で下端が外装体12の断熱部材支持リブ39に支持され、上端が樹脂カバー27の下部に位置する寸法のものである。そのため、この断熱部材54の下端は、加熱板49の加熱ヒータ51より下側に位置し、かつ、接続ターミナル52より上側に位置する。ここで、接続ターミナル52の上側とは、少なくとも接続ターミナル52の下端より上側であることを意味する。また、本実施形態では、封孔部53の横に対応する位置に、切欠部55が設けられている。これにより、組付状態では、断熱部材54と底部30との間に、通気用の隙間Sが形成され、この隙間Sに接続ターミナル52が位置するように構成される。また、内胴40の外周部は、この断熱部材54により覆われ、この断熱部材54の外周部上側が、筒状壁部20により覆われた状態をなす。そして、内胴40と筒状壁部20との間において、断熱部材54の上部は、略閉塞された断熱空間部56を構成する。
【0026】
前記蓋体57は、図1に示すように、炊飯器本体11のヒンジ接続部17に開閉可能に取り付けられることにより、肩体16の開口部18を開放可能に閉塞するものである。この蓋体57には、内鍋10の上端開口を密閉する内蓋58が着脱可能に取り付けられている。この内蓋58は、上向きに膨出する膨出部59を備え、その最も上側に位置する上面59aに排気用の蒸気入口が設けられ、最も下側に位置する下面59bに凝固した水や蒸気を内鍋10に戻す蒸気戻口が設けられている。
【0027】
このように構成した炊飯器を組み立てる場合には、まず、図5に示すように、肩体16を上下逆向きにした状態で、回路基板配設部23に対して操作基板14を配設し、一点鎖線で示すように作業用孔26を通して工具を斜めに差し込み、第1ネジ止部24に対してネジ止めして固定する。ついで、図6に示すように、筒状壁部20の内部に加熱板49を固定した内胴40を配設してネジ止めして固定するとともに、作業用孔26に対して樹脂カバー27を差し込んで閉塞する。その後、図7に示すように、回路基板配設部23に対して制御基板15を配設し、上方から第2ネジ止部25に対してネジ止めして固定する。最後に、図8に示すように、内胴40と筒状壁部20との間に断熱部材54を配設した後、肩体16に対して胴体29を被せてネジ止めにより固定する。この際、断熱部材54は、所定の取付位置より上側(組立状態では下側)に位置するように軽めに差し込んで配設し、後に胴体29を組み付けることにより断熱部材支持リブ39で所定位置まで押し込むことが好ましい。また、切欠部55が、封孔部53に対して径方向外側に位置するように装着する。
【0028】
このように、本実施形態では、筒状壁部20に操作基板14の組付作業を行うための作業用孔26を設けているため、組付作業性を向上できる。そして、この作業用孔26は、操作基板14の組付後に樹脂カバー27を組み付けるだけで簡単に閉塞することができる。さらに、この樹脂カバー27は、後から制御基板15を組み付けることにより、該制御基板15が外側に位置するため、確実に脱落を防止できる。しかも、断熱部材54は、上部を筒状壁部20と内胴40との間に挟み込み、かつ、下部を断熱部材支持リブ39により支持されるため、簡単に安定状態で設置できる。また、樹脂カバー27の下側から下方に突出する必要最低限の寸法設定としているため、製造コストの増大を抑えることができる。
【0029】
この炊飯器を動作させ、加熱板49により内鍋10を加熱すると、内鍋10の熱が開口した上側だけでなく、水平方向横向きに放熱されるとともに、加熱板49の熱が下方から放熱される。
【0030】
そして、内鍋10から横方向に向けて放射される熱は、下側領域では、断熱部材54により遮断されるとともに、筒状壁部20により遮断される。また、上側領域では、区画された断熱空間部56により遮断されるとともに、筒状壁部20により遮断される。そして、本実施形態では、筒状壁部20には、操作基板14を組み付けるための作業用孔26を設けているが、この作業用孔26は樹脂カバー27により閉塞しているため、この作業用孔26を通して外部に熱を放出することを防止できる。
【0031】
一方、加熱板49から下向きに放射される熱は、加熱板49より下向きに突出する断熱部材54によって最大限に横方向の遮熱を行ったうえで、遮熱できない鉛直下向きの熱は、内気の昇温による対流で冷却して排気される。具体的には、外装体12内の空気は、加熱板49の加熱により膨張し、その膨張作用により吸気用の通気孔37aから外気が流入する。そして、他の熱源となる制御基板15を冷却した後に、断熱部材54と底部30との間の隙間Sを通って他の通気孔37から外部に流出する。この際、本実施形態の断熱部材54には、封孔部53と対応する位置に切欠部55を設けているため、この部分の通気可能な面積が大きくなっている。そのため、この切欠部55からの通気作用を増大させることができる。そして、この対流作用により、強制冷却用のファンを搭載することなく、外装体12内を確実に冷却することができる。
【0032】
このように、本実施形態では、内胴40の外周部を覆う筒状壁部20を設けているため、主としてこの筒状壁部20により加熱板49および内鍋10の熱が外周部から放熱することを防止できる。そして、この筒状壁部20に設けた作業用孔26は、樹脂カバー27で閉塞されるため、この作業用孔26からの放熱も確実に防止できる。しかも、本実施形態では、加熱板49を構成する加熱ヒータ51の部分より下側に突出するように断熱部材54を配設しているため、加熱板49の下側から逃げる熱量を減少させることができる。また、断熱部材54の上部は、形成される断熱空間部56により、充分な断熱効果を得ることができる。そのため、加熱に関する無駄な消費電力を削減できる。
【0033】
また、断熱部材54の下端と外装体12の底部30との間には通気用の隙間Sを設け、対流により確実に外装体12内の熱を外部に放出できるようにしている。しかも、断熱部材54の下端は、外装体12に設けた断熱部材支持リブ39で支持されているため、断熱部材54が脱落することによる対流の阻害を防止できる。そして、加熱板49の接続ターミナル52は、対流による通気作用が行われる隙間Sに位置するように構成しているため、確実に冷却を図ることができる。しかも、断熱部材54には、封孔部53と対応する位置に切欠部55を設け、この部分からの通気作用を増大しているため、接続ターミナル52を保持する封孔部53の劣化を確実に防止できる。
【0034】
さらに、対流を生じさせるための通気孔37,37aのうち、吸気用の通気孔37aを制御基板15の下部に位置するように設けているため、制御基板15に実装した電子部品を確実に冷却できるとともに、外装体12内での対流(通気)方向の安定を図ることができる。しかも、吸気用の通気孔37aは、断熱部材54より外側に位置するため、加熱板49から垂直下向きに逃げる熱は、直接、外装体12外に放出されるのではなく、この対流により冷却しながら外部に放出できる。
【0035】
なお、本発明の加熱機器は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0036】
例えば、前記実施形態では、断熱壁として別体の断熱部材54を設け、この断熱部材54を加熱板49の接続ターミナル52の近傍まで延びるように構成したが、別体の断熱部材54は用いることなく、肩体16に形成した第1の断熱壁である筒状壁部20を接続ターミナル52の近傍まで延びるように構成してもよい。この場合でも、封孔部53と対応するように切欠部55を筒状壁部20に設けることが好ましい。
【0037】
また、前記実施形態では、吸気用の通気孔37aを制御基板15の下側に位置するように設けたが、これに限られるものではない。但し、吸気用の通気孔37aは、吸気によって加熱板49による加熱作用の妨げにならないように、断熱部材54の外周部に位置するように設けることが好ましい。
【0038】
さらに、断熱壁としての断熱部材54は、外装体12の底部30に対して所定の隙間Sを維持するために、底部30に断熱部材支持リブ39を設けたが、断熱部材54に底部30に当接する支持突部を設けてもよい。
【0039】
また、前記実施形態では、加熱板49は、ヒータパイプの端部にシリコーン製の封孔部53により封止したが、封孔部53はガイシをシリコーンシーラントで接着した構成等にも適用可能であり、同様の作用および効果を得ることができる。
【0040】
そして、前記実施形態では、本発明の断熱構造を炊飯器に適用したが、電気ポットや加湿器などの加熱機器であれば同様に適用可能であり、同様の作用および効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る実施形態の加熱機器である炊飯器を示す断面図である。
【図2】炊飯器の肩体、樹脂カバー、内胴、回路基板および断熱部材の分解斜視図である。
【図3】胴体を示す斜視図である。
【図4】胴体を示す平面図である。
【図5】肩体に対する組立作業の一工程を示す斜視図である。
【図6】図5の次工程を示す斜視図である。
【図7】図6の次工程を示す斜視図である。
【図8】図7の次工程を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0042】
10…内鍋
12…外装体
14…操作基板(回路基板)
15…制御基板(回路基板)
20…筒状壁部(第1の断熱壁)
26…作業用孔
27…樹脂カバー(閉塞部)
30…底部
37,37a…通気孔
39…断熱部材支持リブ
40…内胴(収容部)
46…貫通孔
49…加熱板
51…加熱ヒータ
52…接続ターミナル
53…封孔部
54…断熱部材(第2の断熱壁)
55…切欠部
56…断熱空間部
S…通気用の隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端開口の内鍋を収容する外装体と、前記内鍋の底に接触するように配設した加熱板と、前記内鍋の外周部および加熱板の底を覆うように前記外装体内に設けた収容部と、を備えた加熱機器において、
前記加熱板は、内部に配設した加熱ヒータの両端に接続ターミナルを有し、該接続ターミナルを前記収容部の貫通孔から外装体の底に向けて突出させたもので、
前記収容部の外周部に、下端が、前記加熱板の加熱ヒータより下側に位置し、かつ、前記接続ターミナルより上側に位置するように、筒状に断熱壁を設け、該断熱壁の下端と外装体の底との間に通気用の隙間を設けるとともに、前記外装体の底に、内外の空気に対流を生じさせるように多数の通気孔を設けたことを特徴とする加熱機器。
【請求項2】
前記断熱壁は、熱伝導度が低い別体の断熱部材からなり、前記外装体の底に、前記断熱部材の下端を支持するリブを設けたことを特徴とする請求項1に記載の加熱機器。
【請求項3】
前記外装体に、前記断熱部材の外周部上側を覆う筒状壁部を設けたことを特徴とする請求項2に記載の加熱機器。
【請求項4】
多数の通気孔のなかに、他の通気孔より開口面積を大きくした吸気用通気孔を設け、該吸気用通気孔を、平面視で前記断熱壁の外側に位置するように設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の加熱機器。
【請求項5】
前記吸気用通気孔の上部に、前記加熱板を制御するための制御基板を配設したことを特徴とする請求項4に記載の加熱機器。
【請求項6】
前記加熱板は、前記接続ターミナルを位置決めするための封孔部を備え、該封孔部の横に対応するように前記断熱壁に切欠部を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の加熱機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−119674(P2010−119674A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−296945(P2008−296945)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000002473)象印マホービン株式会社 (440)
【Fターム(参考)】