説明

加熱装置の運転方法

【課題】被加熱体の加熱による損傷の発生頻度が低く、かつエネルギーの効率が高い加熱装置の運転方法を提供する。
【解決手段】波長1.6〜2.6μmにおける熱放射率0.7以上の材質から形成されている内壁面24を有する壁部25に囲まれた収容室23に被加熱体29を収容する収容部25と、収容室23内の雰囲気温度および被加熱体内の温度分布に基づき雰囲気温度の昇温速度を制御しつつ収容室内を加熱する加熱手段28と、を備える加熱装置において、収容室23に被加熱体29を収容し、被加熱体29に不具合を生じさせないための温度分布の最大許容値が定められている雰囲気温度において、加熱手段28が、前記最大許容値の0.9〜1.0倍になるように、雰囲気温度の昇温速度を制御しつつ収容室23内を加熱する加熱装置21の運転方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加熱物を収容して加熱する加熱装置の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱工程は、様々な製品の製造工程に用いられている。加熱工程において、被加熱体内に温度差が生じると被加熱体に熱応力が生じ、その熱応力が材料強度を超えた場合には、熱衝撃割れなどが発生する。したがって、加熱工程では、被加熱体内に温度差が生じないように被加熱体が置かれる空間の雰囲気温度を緩やかに昇温することによって、被加熱体における熱衝撃割れなど不良の発生を抑えている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−212672号公報
【特許文献2】特開2004−059357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、被加熱体の置かれる空間の雰囲気温度を緩やかに昇温する方法は、昇温に要する時間が長くなり、ひいては昇温に多くのエネルギーを消費するため、近年の環境負荷低減の要求に即さなくなっている。
【0005】
上記の問題に鑑みて、本発明の課題は、被加熱体の加熱による損傷の発生頻度が低く、かつエネルギーの効率が高い加熱装置の運転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために完成するに至った、本発明は、以下に示す加熱装置の運転方法である。
【0007】
[1] 波長1.6〜2.6μmにおける熱放射率0.7以上の材質から形成されている内壁面を有する壁部に囲まれた収容室に被加熱体を収容する収容部と、前記収容室内の雰囲気温度を計測する雰囲気温度計測手段と、前記被加熱体内の温度分布を計測する温度分布計測手段と、前記雰囲気温度計測手段が計測した前記雰囲気温度および前記温度分布計測手段が計測した前記温度分布に基づき前記雰囲気温度の昇温速度を制御しつつ前記収容室内を加熱する加熱手段と、を備える加熱装置の運転方法であって、前記収容部の前記収容室に前記被加熱体を収容し、前記雰囲気温度計測手段が、前記被加熱体に不具合を生じさせないための前記被加熱体内における前記温度分布の最大許容値を定められている前記雰囲気温度を計測したときに、前記加熱手段が、前記温度分布計測手段により計測される前記被加熱体内における前記温度分布を前記最大許容値の0.9〜1.0倍になるように、前記雰囲気温度の前記昇温速度を制御しつつ前記収容室内を加熱する加熱装置の運転方法。
【0008】
[2] 前記雰囲気温度が750℃以上となるまで昇温する前記[1]に記載の加熱装置の運転方法。
【0009】
[3] 前記内壁面が、炭化珪素(SiC)、酸化チタン(TiO、TiO)、およびシリカ(SiO)からなる群より選ばれる少なくとも2種を主成分とする材質から形成されている前記[1]または[2]に記載の加熱装置の運転方法。
【0010】
[4] 前記壁部が、内壁面を形成する内壁材と、前記内壁材を裏打ちする支持材とを有し、前記内壁材が、厚さ0.1〜3.0mmであり、炭化珪素(SiC)、酸化チタン(TiO、TiO)、およびシリカ(SiO)からなる群より選ばれる少なくとも2種を主成分とする材質から形成されている前記[1]または[2]に記載の加熱装置の運転方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の加熱装置の運転方法は、熱放射率の高い材質から形成されている内壁面に囲まれた収容室内で被加熱体を加熱することによって被加熱体内の温度が均一化しやくなり、収容室内の雰囲気温度の昇温速度を可能な限り高めているため、昇温に要するエネルギー効率が高くかつ被加熱体の不具体の発生が低く抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】黒体の放射能波長分布を示す図である。
【図2】平板の壁部から平板の被加熱体への放射伝熱量を説明するための図である。
【図3】図2に示す平板の壁部から平板の被加熱体への放射伝熱量を計算した結果を表す図である。
【図4】各種材料についての波長1.6〜3.6μmにおける熱放射率を表す図である。
【図5】実施例1に用いた電気炉の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
【0014】
本発明の加熱装置の運転方法(以下、「本発明の運転方法」)は、波長1.6〜2.6μmにおける熱放射率0.7以上の材質から形成されている内壁面を有する壁部に囲まれた収容室に被加熱体を収容する収容部と、収容室内の雰囲気温度を計測する雰囲気温度計測手段と、被加熱体内の温度分布を計測する温度分布計測手段と、雰囲気温度計測手段が計測した雰囲気温度および温度分布計測手段が計測した温度分布に基づき雰囲気温度の昇温速度を制御しつつ収容室内を加熱する加熱手段と、を備える加熱装置を用いることを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明の運転方法は、上記加熱装置において、収容部の収容室に被加熱体を収容し、雰囲気温度計測手段が、被加熱体に不具合を生じさせないための被加熱体内における温度分布の最大許容値を定められている雰囲気温度を計測したときに、加熱手段が、温度分布計測手段により計測される被加熱体内における温度分布を前記最大許容値の0.9〜1.0倍になるように、雰囲気温度の昇温速度を制御しつつ収容室内を加熱することを特徴とする。
【0016】
収容室を囲む壁部の内壁面が、波長1.6〜2.6μmにおける熱放射率0.7以上の材質から形成されているため、収容室内にある被加熱体は、その周囲を囲む壁部からより多くの熱を放射伝熱によって受けることがきる。そのため、被加熱体は、温度分布がより少なく均一になるように加熱される。
【0017】
図1は、黒体の放射能波長分布を示す。750〜1500℃の黒体から放射される電磁波のうち、放射強度が最大となる波長は1.6〜2.6μmにある。したがって、収容室内での放射伝熱は、収容室内の雰囲気温度が750〜1500℃のとき、波長1.6〜2.6μmにおける熱放射率が支配的となる。
【0018】
図2に示す、平板の壁部(温度T、熱放射率e)から平板の被加熱体(温度T、熱放射率e)への放射伝熱量は、下記式(I)で表される。
平板の壁部
【0019】
【数1】

【0020】
式(I)に基づき、平板の被加熱体(温度T=900〜1600℃、熱放射率e=0.2)が、平板の壁部(温度T2=900〜1600℃、熱放射率e=0.2/0.5/0.8)から受ける放射伝熱量Qnetを計算した結果を図3に示す。平板の壁部の温度Tが1000℃、1200℃、1400℃、1600℃である場合のいずれにおいても、平板の壁部の熱放射率がより大きいと放射伝熱量Qnetもより大きくなる。例えば、平板の壁部の温度Tが1600℃かつ平板の被加熱体の温度Tが1400℃のとき、平板の壁部の熱放射率eが0.2、0.5、0.8と大きくなるにつれて、放射伝熱量Qnetが大きくなる。
【0021】
図1〜3を参照し述べた上記知見から理解できるように、本発明の運転方法に用いる加熱装置では、収容室を囲む壁部の内壁面が波長1.6〜2.6μmにおける熱放射率0.7以上の材質から形成されているため、壁部の熱が、放射伝熱によって収容室内に収められた被加熱体に効率良く伝えられる。
【0022】
雰囲気温度計測手段は、収容室内の雰囲気温度をリアルタイムで計測することができるものであれば、その具体的な構成については特に制限されない。
【0023】
温度分布計測手段は、被加熱体内の温度分布をリアルタイムで計測するものである。本明細書のいう被加熱体内の温度分布は、被加熱体に熱応力による損傷や表面の色むらなどの不具合を生じさせないように計測されるものであり、必ずしも被加熱体内の最大温度と最少温度の差を意味するものではないものとする。温度分布手段は、必ずしも被加熱体内の全ての部分の温度を計測する必要なない。例えば、被加熱体内の2つの特定の箇所Aおよび箇所Bの表面温度の差を計測すれば被加熱体の損傷の発生を防止できる場合には、温度分布手段は、箇所Aおよび箇所Bの表面温度差を被加熱体内の計測し、被加熱体内において箇所Aおよび箇所Bよりも高い温度の箇所または低い温度の箇所があるときであっても、箇所Aおよび箇所Bの表面温度差を温度分布とみなしてもよいものとする。
【0024】
被加熱体には、被加熱体に熱応力による損傷や表面の色むらなどの不具合を生じさせないための、被加熱体内の温度分布の最大許容値が定められている。この最大許容値は、収容室内の雰囲気温度に対応させる形で定められている。例えば、収用室内の雰囲気温度を20℃から1200℃まで昇温する加熱装置の運転方法において、雰囲気温度1000〜1200℃の時に被加熱体内における温度分布が雰囲気温度の1%(例えば、1000℃で10℃、1200℃で12℃)を超えたときに被加熱体に不具体が生じる場合には、被加熱体内における温度分布の最大許容値は、雰囲気温度1000℃のとき10℃、雰囲気温度1200℃のとき12℃と定められる。なお、被加熱体内の温度分布の最大許容値は、被加熱体の大きさ、形状、材質などによって異なるものであり、予備実験や経験的知見に基づいて定められる。
【0025】
収容室内における雰囲気温度の昇温速度がより高ければ被加熱体内の温度分布がより大きくなりやい。本発明の運転方法では、加熱手段が被加熱体内における温度分布を上記最大許容値の0.9〜1.0倍となるように収容室内における雰囲気温度の昇温速度を制御する。そのため、収容室内における雰囲気温度の昇温速度は、必要以上に低くなりすぎず、かつ被加熱体内における温度分布の増大に起因する被加熱体の不具合を生じさせない程度で高くなっている。特に、本発明の運転方法では、収容部が被加熱体内における温度分布を少なく均一になりやすい形態であるため、被加熱体内の温度分布を上記最大許容値の0.9〜1.0倍にするには、収容室内の雰囲気温度の昇温速度を高めなければならない。したがって、本発明の運転方法は、雰囲気温度の昇温速度が高められ、収容室内の雰囲気温度が目標の温度に昇温するまでの時間が短縮されるため、雰囲気温度の昇温に要するエネルギーを少なくすることができる。
【0026】
本発明の運転方法は、内壁面の材質について熱放射率0.7以上と規定されている波長1.6〜2.6μmが750〜1500℃での熱放射に支配的であることを考慮すると、収容室内の雰囲気温度を750℃以上となるまで昇温することが好適である。内壁面が750〜1500℃のときには、多くの熱が放射伝熱によって壁部から被加熱体に伝えられ、被加熱体内の温度分布がより均一になりやすい。そのため、収容室内の雰囲気温度が750〜1500℃のときに、収容室内における雰囲気温度の昇温速度を一層高めなければならなくなり、この温度域での昇温に要する時間の短縮が一層促進される。
【0027】
本発明の運転方法では、収容部の壁部の内壁面が、炭化珪素(SiC)、酸化チタン(TiO、TiOなど)、およびシリカ(SiO)(クリストバライト、トリジマイト、シリカなど)からなる群より選ばれる少なくとも2種を成分とする材質から形成されていることが好ましい。この材料は、波長1.6〜2.6μmでの放射率が常温(25℃)でも高温でも0.7以上あり、上記材質を選択することにより、放射伝熱効率を高くできる。このことは、被加熱体内に温度分布が生じたときに、その高温部分に対する伝熱よりも、低温部分への伝熱の効率が高く保つことでき、結果、被加熱体内部の温度分布の幅を縮小できる。
【0028】
図4は、各種材料についての波長1.6〜3.6μmでの熱放射率を表す。炭化珪素とSiO(炭化珪素表面に酸化皮膜として存在)(SiC=98質量%、SiO=2質量%、気孔率17%)の熱放射率を、常温(25℃)の場合が「黒塗り三角」、1000℃が「黒塗り丸」で示す。酸化チタンとSiOの混合物(TiO=50質量%、SiO=50質量%、気孔率20%)の常温(25℃)での放射率を「黒塗り四角」で示す。コージェライト(2MgO・2Al・5SiO=100質量%、気孔率20%)の常温(25℃)での熱放射率を「白抜き丸」で示す。アルミナ質材料(Al=92質量%、SiO=8質量%、気孔率15%)の熱放射率を常温(25℃)の場合が「白抜き四角」、1000℃の場合が「白抜き菱形」で示す。アルミナ質材料(Al=99質量%、SiO=1質量%、気孔率1%)の常温(25℃)での熱放射率を「白抜き三角」で示す。炭化珪素とSiO、および酸化チタンとSiOの波長1.6〜2.6μmでの放射率は、常温(25℃)および高温(1000℃)ともに約0.8から約0.9である。対して、コージェライト、および、アルミナとSiOからなるアルミナ質材料の波長1.6〜2.6μmでの放射率は、常温(25℃)および高温(1000℃)ともに約0.1から約0.25である。
【0029】
加熱装置の壁部は、内壁面を形成する内壁材と、内壁材を裏打ちする支持材とを有し、内壁材が厚さ0.1〜3.0mmであり、炭化珪素(SiC)、酸化チタン(TiO、TiO)、およびシリカ(SiO)(クリストバライト、トリジマイト、シリカガラス)からなる群より選ばれる少なくとも2種を成分とする材質から形成されていることが好ましい。上記内壁材は、その温度が750〜1500℃のときに放射伝熱によって多くの熱を被加熱体に伝えることができ、厚さ3.0mm以下であるために熱容量が低くなっている。上記の内壁材は、熱容量が低いため、必要熱量の絶対値を軽減させることができる。
【実施例】
【0030】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0031】
(実施例1)
(1)電気炉
図5に、実施例1に用いた電気炉1を表す。電気炉1の炉壁4は、炉内に面する表面に、厚さ約0.2mmの塗壁10が設けられたものを用いた。塗壁10は、アルミナ質の断熱材9(厚さ200mm、気孔率60%)の炉内2側の表面に、SiC粒(平均粒径100μm)と水ガラス(SiC98重量%に対し、水ガラス中のSiOが2重量%)と外配合で1%ポリビニルピロリドン(PVP)を含む混合スラリーをスプレー塗布して設けた。側面の構成する4面全ての炉壁4の炉内壁面8上には、それぞれヒーター3を設置した。天井側の炉壁4の中央より炉内2に向けて炉温制御熱電対5を設けた。電気炉1の有効内寸は、幅500×奥行き高さ500×500mmである。なお、炭化珪素から形成される塗壁10の熱放射率は、図4を参照されたい(SiC=98質量%およびSiO=2質量%からなる材料の、常温(25℃)および高温(1000℃)での波長1.6〜2.6μmにおける熱放射率は約0.8〜0.9である)。
【0032】
(2)棚組
炉内2に、アルミナ質の棚板11が支柱を挟んで20段重ねられた棚組13を、2組並べて炉内2に配置した(図5)。アルミナ質の棚板11は、気孔率60%、幅200×長さ300×高さ10mmのものを用いた。支柱は、棚板11と同じアルミナ質の10mm立方のものを用いた。各棚板13には、1,10,20段目の棚板11に、これらの長さ方向の中央部分の位置における幅方向の両端にそれぞれ熱電対7を1個ずつ設置した(1組の棚組13あたり6個の熱電対7を設置した)。
【0033】
(3)昇温設定
常温(25℃)より1400℃まで炉内2の雰囲気温度を昇温し、炉内2の雰囲気温度が1400℃に到達した後、そのまま1400℃の雰囲気温度を保つように設定した。棚組13内(1組ごと)の温度分布は、上記6個の熱電対7により計測した。炉内2の雰囲気温度1400℃時における棚組13内の温度分布が12℃となるように、炉内の雰囲気温度の昇温プログラムを設定した。したがって、炉内2の雰囲気温度1400℃での棚板13内の温度分布の最大許容値12℃とした場合、炉内雰囲気温度1400℃での温度分布が最大許容値の1.0倍となるように昇温の制御をしたことになる。
【0034】
表1に、実施例1における、炉内の雰囲気温度が常温(25℃)から1400℃に到達するまでの昇温に要した積算電力(kWh)、炉内の雰囲気温度が常温(25℃)から1400℃に到達するまでに要した時間(h)、雰囲気温度1400℃到達時の棚組13内の温度分布(℃)、および炉内の雰囲気温度が1400℃到達した後に雰囲気温度1400℃を保持するために要する電力(kW)を示す。
【0035】
【表1】

【0036】
(比較例1)
電気炉1の炉壁4に塗壁10を設けなかった以外は、実施例1と同様にした。なお、アルミナ質の断熱材9の熱放射率は、図4を参照されたい(アルミナ質材料の、常温(25℃)および高温(1000℃)での波長1.6〜2.6μmにおける熱放射率は約0.1〜0.2である)。比較例1の結果を表1に示す。
【0037】
(比較例2)
炉内2の雰囲気温度1400℃時における棚組13内の温度分布が6℃となるように炉内2の雰囲気温度の昇温プログラムを設定した以外は、実施例1と同様にした。炉内2の雰囲気温度1400℃での棚板13内の温度分布の最大許容値12℃とした場合、炉内雰囲気温度1400℃での温度分布が最大許容値の0.5倍となるように昇温の制御をしたことになる。比較例2の結果を表1に示す。
【0038】
実施例1は、比較例1に対して、炉内の雰囲気温度が常温(25℃)から1400℃に到達するまでの昇温に要した積算電力を約11%(12.5kWh)低減し、炉内雰囲気温度を常温(25℃)から1400℃まで昇温するのに要した時間を20%(1.5h)短縮した。比較例1と比較例2は、炉内の雰囲気温度が常温(25℃)から1400℃に到達するまでの昇温に要した積算電力、および炉内雰囲気温度を常温(25℃)から1400℃まで昇温するのに要した時間が同じであった。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、非加熱物を収容して加熱する加熱装置の運転方法として利用できる。
【符号の説明】
【0040】
1:電気炉、2:炉内、3:ヒーター、4:炉壁、5:炉温制御熱電対、7:熱電対、8:炉内壁面、9:断熱材、10:塗壁、11:棚板、13:棚組、21:加熱装置、22:収容部、23:収容室、24:内壁面、25:壁部、28:加熱手段、29:被加熱体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長1.6〜2.6μmにおける熱放射率0.7以上の材質から形成されている内壁面を有する壁部に囲まれた収容室に被加熱体を収容する収容部と、
前記収容室内の雰囲気温度を計測する雰囲気温度計測手段と、
前記被加熱体内の温度分布を計測する温度分布計測手段と、
前記雰囲気温度計測手段が計測した前記雰囲気温度および前記温度分布計測手段が計測した前記温度分布に基づき前記雰囲気温度の昇温速度を制御しつつ前記収容室内を加熱する加熱手段と、を備える加熱装置の運転方法であって、
前記収容部の前記収容室に前記被加熱体を収容し、
前記雰囲気温度計測手段が、前記被加熱体に不具合を生じさせないための前記被加熱体内における前記温度分布の最大許容値を定められている前記雰囲気温度を計測したときに、前記加熱手段が、前記温度分布計測手段により計測される前記被加熱体内における前記温度分布を前記最大許容値の0.9〜1.0倍になるように、前記雰囲気温度の前記昇温速度を制御しつつ前記収容室内を加熱する加熱装置の運転方法。
【請求項2】
前記雰囲気温度が750℃以上となるまで昇温する請求項1に記載の加熱装置の運転方法。
【請求項3】
前記内壁面が、炭化珪素(SiC)、酸化チタン(TiO、TiO)、およびシリカ(SiO)からなる群より選ばれる少なくとも2種を主成分とする材質から形成されている請求項1または2に記載の加熱装置の運転方法。
【請求項4】
前記壁部が、内壁面を形成する内壁材と、前記内壁材を裏打ちする支持材とを有し、
前記内壁材が、厚さ0.1〜3.0mmであり、炭化珪素(SiC)、酸化チタン(TiO、TiO)、およびシリカ(SiO)からなる群より選ばれる少なくとも2種を主成分とする材質から形成されている請求項1または2に記載の加熱装置の運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−174637(P2011−174637A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37876(P2010−37876)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】