説明

加熱調理器

【課題】 加熱調理器内にオゾン発生器を設けることにより、ゴキブリの侵入を忌避してなる加熱調理器を提供すること。
【解決手段】 外壁を形成する本体ケース21と、被調理物を加熱する加熱源と、該加熱源38を制御するための制御素子が設けられる基板45と、前記本体ケース21に設けられる空気孔48a,48bとを備えてなる加熱調理器において、前記本体ケース21内にオゾン発生器60を設けることにより、オゾンが有する効能により、加熱調理器内にゴキブリが侵入するのを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体ケース内にゴキブリ等の虫の侵入を忌避することができる加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時、被調理物を加熱調理する調理器として、例えば、炊飯器、IH圧力調理鍋、オーブントースター、電子レンジ等のいろいろな加熱調理器が一般家庭等で用いられている。この加熱調理器は、外壁を形成する本体ケース内にヒータ或いはIHコイル等の加熱源が設けられ、鍋等に入れられた被調理物を加熱源により加熱調理するものである。
【0003】
従来の加熱調理器の一例である炊飯器の概略を図7に基づいて説明する。炊飯器1は、図に示すように、外壁を形成する本体ケース2と、該本体ケース2の上端部に形成される肩部材6と、該肩部材6の上方開口部に設けられる蓋部材3によって構成されている。該蓋部材3の中央部には、弁部材4が設けられ、内部圧が所定以上に上昇した場合には、内部の蒸気を外部に放出する。また、蓋部材3の後方側には、公知のヒンジ機構5が設けられ、蓋部材3を本体ケース2に対して開閉自在にするとともに、蓋部材3は本体ケース2に対し着脱自在にされる。
【0004】
前記本体ケース2内には、内壁を形成する保護枠7が設けられるとともに、該保護枠7内には、お米等が入れられ調理するための内鍋8が収納配置される。また、保護枠7の下方と本体ケース2の底部上方との間にはコイル等の加熱源9が配置され、内鍋8内に入れられたお米等の被加熱物を加熱調理する。
【0005】
符号10は、炊飯器1の前方側(ヒンジ機構5と反対側)に形成される空間の上方に傾斜して設けられるマイコン基板であり、保持部材11に保持されるとともに、その上面には、表示部12及び加熱源9を操作するための操作スイッチ13等が取り付けられる。また、マイコン基板10の下方においてほぼ垂直に延設され、そのほぼ垂直な箇所には、加熱源9を加熱制御するための各種電子部品15が取り付けられる電源基板14が保持される。
【0006】
また、本体ケース2内には、冷却ファン16が設けられ、該冷却ファン16は炊飯時に駆動され、冷却ファン16の下方に設けられる吸入孔17より吸入される空気により、本体ケース2内の基板上の素子等を冷却し、冷却した冷却空気を底部後方側に設けられる排気孔18より排出する(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
このように、加熱調理器は、本体ケース内に加熱源を設け、鍋等に入れた被調理物を加熱調理するとともに、例えば炊飯器のようなものでは、本体ケースに設けた空気孔より冷却風を導入して本体ケース内の基板上の素子等の冷却を行っている。そのため、加熱調理器内は、加熱時は勿論のこと、調理終了後においても暖かい状態にあり、更に、炊飯器のように本体ケースに設けた空気孔より冷却風を導入して本体ケース内を冷却するものでは、炊飯蒸気や調理の際の油煙を吸い込み、本体ケース内で雑菌等が発生したり、異臭が発生したりすることがある。
【0008】
このような適度な温度にある空間、或いは雑菌及び異臭は、ゴキブリが特に好むものであり、吸気孔及び排気孔等の空気孔からゴキブリが加熱調理器内に侵入し、侵入したゴキブリが基板上方の表示部上を歩き回ったりして利用者に不衛生感を与えたり、基板部に糞や尿をしたり、或いは基板上で死んだりしてショート等の不具合を引き起こすことがあった。
【特許文献1】特開平8−258577号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、従来の問題を解決することであり、詳細には、加熱調理器内にオゾン発生器を設けることにより、ゴキブリの侵入を忌避してなる加熱調理器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本願発明は以下の構成を採用する。
【0011】
請求項1に係る発明では、外壁を形成する本体ケースと、被調理物を加熱する加熱源と、該加熱源を制御するための制御素子が設けられる基板と、前記本体ケースに設けられる空気孔とを備えてなる加熱調理器において、前記本体ケース内にオゾン発生器を設ける構成。
【0012】
このような構成により、オゾンは、脱臭及び殺菌効果を有するため、本体ケース内での異臭の発生を抑え、ゴキブリの侵入を忌避する。また、オゾンは、動物のフェロモンを分解して消してしまいゴキブリは交信不能となるため、オゾンのあるところには寄りつかなくなる。更に、本体ケース内は殺菌される。
【0013】
請求項2に係る発明では、前記オゾン発生器は、前記空気孔を避けた位置に設ける構成。このような構成により、オゾン発生器で発生されるオゾンは、空気孔から排出されにくくなるため、加熱調理器内での効果が持続する。
【0014】
請求項3に係る発明では、前記オゾン発生器は、前記基板上または基板の上方に設ける構成。このような構成により、オゾンは空気より約1.67倍重いため、発生されるオゾンは、基板上全体に広がり、基板上へのゴキブリの侵入がより少なくなる。
【0015】
請求項4に係る発明では、前記基板の上方は、傾斜または直立した基板の上方である構成。このような構成により、請求項4に係る発明の作用同様、発生されるオゾンは、基板上全体に広がり、基板上へのゴキブリの侵入がより少なくなる。
【0016】
請求項5に係る発明では、前記オゾン発生器は、前記加熱源の非加熱時に作動する構成。炊飯等の加熱調理時には、加熱調理器は温度が上昇しているとともに冷却ファンも駆動しており、加熱調理器内にゴキブリが侵入することはないが、このような構成により、最も侵入しやすい時期にオゾン発生器が作動することになり、忌避効果が高まる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明では、外壁を形成する本体ケース内にオゾン発生器を設けることにより、本体ケース内の脱臭を行うことができ、その結果ゴキブリの侵入を忌避することができる。また、オゾンによりゴキブリを交信不能とすることができるため、本体ケース内へのゴキブリの侵入をより忌避することができる。そのため、基板上でのゴキブリに起因したショート等がなくなるため、加熱調理器の信頼性を高めることができる。更に、オゾンにより本体ケース内を殺菌することができるため、加熱調理器の衛生感を高めることができる。
【0018】
請求項2に係る発明では、オゾン発生器を空気孔を避けた位置に設けることにより請求項1に係る発明の効果に加え、オゾン発生器で発生されるオゾンは、空気孔から排出されにくくなり、加熱調理器内の空間に充満され、オゾンの効果で該空間内のゴキブリの忌避を効果的に行うことができる。
【0019】
請求項3に係る発明では、オゾン発生器を基板上または基板の上方に設けることにより、請求項1、2に係る発明の効果に加え、オゾンと空気との比重差により、発生されるオゾンを効率的に基板上全体に行き渡らせることができるため、基板上へのゴキブリの侵入をより高めることができる。
【0020】
請求項4に係る発明では、オゾン発生器を傾斜または直立した基板の上方に設けることにより、請求項3に係る発明の効果と同様、発生されるオゾンを効率的に基板上全体に行き渡らせることができるため、基板上へのゴキブリの侵入をより高めることができる。
【0021】
請求項5に係る発明では、オゾン発生器を加熱源の非加熱時に作動することにより、請求項1ないし4に係る発明の効果に加え、加熱調理器内にゴキブリが最も侵入しやすい時期にオゾン発生器を作動することができるため、忌避効果をより高めることができ、それだけ加熱調理器の信頼性を高めることができる。
【実施例】
【0022】
以下においては炊飯器を用いて説明する。図1は、炊飯器に本発明を適用した断面図を示し、後記のヒンジ機構31が設けられる側を後方側、該ヒンジ機構31と反対の操作部50の側を前方側とする。炊飯器20は、大別して、外壁を形成する本体ケース21と、該本体ケース21の上端部に形成される肩部材22と、該肩部材22の上方開口部に設けられる蓋部材23とからなる。該蓋部材23は、樹脂製で、上板24、下板25及び放熱板26から構成される。上板24と下板25との間には断熱空間27が形成され、熱の逃げを極力低減している。
【0023】
また、蓋部材23の中央部には、弁部材28が設けられ、内部圧が所定以上になると内部の蒸気を蒸気通路29を介して蒸気口30より外部に放出する。更に、蓋部材23の後方側には、既に公知のバネ材を内在したヒンジ機構31が設けられ、炊飯器20の前方側上部に設けられるロック部材32の施錠ないし開錠作用により蓋部材23を本体ケース21に対して開閉自在にし、該蓋部材23の開放状態で蓋部材23を上方に持ち上げることにより着脱自在に形成してなり、蓋部材23の丸洗いを可能にしている。
【0024】
前記本体ケース21は樹脂製で、その内部には内壁を形成する保護枠33が設けられ、更に該保護枠33の側壁には保温ヒータ36が取り付けられており、保温時等に内鍋37を加熱する。また、本体ケース21の底部には複数の脚部35が一体に形成されている。
【0025】
前記保護枠33内には、ご飯等の被調理物を入れ加熱調理するための内鍋37が収納配置され、また、保護枠33の底部には加熱源としてのコイル38が取り付けられ、該コイル38への通電量を図示しない制御手段により制御し内鍋37内の被調理物を電磁誘導加熱により加熱調理する。
【0026】
また、保護枠33の底部中央には開口39が設けられるとともに、該開口39より進退自在にセンターセンサー40が上方に突出する形態で配設され、前記内鍋37を保護枠33内に収納すると内鍋37の中央底面が突出しているセンターセンサー40の頂部を押圧する。するとセンターセンサー40は押し下げられ、炊飯器20の加熱制御を可能にする。このようにセンターセンサー40は、炊飯器20の安全装置をも兼ねている。
【0027】
炊飯器20の前方側には、本体ケース21と保護枠33との間に図に示すような前方側に断面略く字形の前方空間41が形成される。この前方空間41の上方であって後方側から前方側へ向かって下方へ傾斜した出っ張り部分の上面に操作部50が形成される。
【0028】
この操作部50は、前記肩部材22と一体に形成されており、後記表示部58を視認可能な窓52が設けられる。前記前方空間41には、電源基板45とマイコン基板53が配設される。電源基板45は、前方空間41内にマイコン基板53より後方側にほぼ垂直に配置される基板であり、誘導加熱に必要なパワートランジスタ(IGBT)、各種駆動回路等の発熱素子等からなり前記コイル38等を制御するための制御素子である各種電子部品46が取り付けられる。
【0029】
この電源基板45は、肩部材22に図示しないビスによって垂下する形態で取り付けられる保持部材47に図示しないビスによって固定され、更にその下方には、空気孔である吸入孔48aから外気を吸入し、上方に向かって押し出す冷却ファン48が設けられるとともに、該冷却ファン48の上方には、IGBT等の発熱素子を有効に冷却するためのシンク49が取り付けられる。冷却ファン48からの冷却空気は、各基板45、53等を冷却し後方底部に設けられる同じく空気孔である排出孔48bより外部に排出される。
【0030】
マイコン基板53は、電源基板45の前方で、且つ操作部50の下方で該操作部50に沿う形態で配置される。そして、その上端は肩部材22に近接され、且つ肩部材22に取り付けられる保持部材54に図示しないビスによって固定される。
【0031】
マイコン基板53には、各種電子部品56、炊飯のための各種機能を行わせるための複数の操作スイッチ57及び表示部58等が設けられ、これらの電子部品56等は、マイコン基板53の裏面で半田等により電気的に接続されるとともに、前記電源基板45の各種電子部品とも図示しないリード線により電気的に接続される。
【0032】
符号60はオゾン発生器である。オゾン発生器60は、紫外線放電管、紫外線LED等を用いる光化学反応法によるもの、水溶液を用いる電解法によるもの、ガラスチューブ管や電極を用いる放電によるものが実用化されている。
【0033】
なお、本願発明には、水溶液を用いる電解法によるものは採用しがたいが、紫外線放電管、紫外線LED等を用いる光化学反応法によるもの、及びガラスチューブ管や電極を用いる放電によるものを用いることができる。図5(A)にガラスチューブ管61、61を用いた放電によるオゾン発生器60の概略を示し、図5(B)に電極62、62を用いた放電によるオゾン発生器60の概略を示す。
【0034】
図5(A)のオゾン発生器60は、2本のガラスチューブ管61、61を併設させ、2本のガラスチューブ管61、61に交流高電圧、例えば、電流は数mAで、電圧は10〜15kVの交流高電圧を印可することにより、2本のガラスチューブ管61、61間で放電を行わせ、オゾンを発生させるものである。
【0035】
図5(B)のオゾン発生器60は、2本の折り曲げられた電極62、62を図に示すように一方の電極の折り曲げられた一辺を他の電極の間に挿入する形態でセラミック板63上に併設させ、2本の電極62、62に交流高電圧、例えば、電流は数mAで、電圧は10〜15kVの交流高電圧を印可することにより、2本の電極62、62間で放電を行わせ、オゾンを発生させるものである。
【0036】
炊飯器20は、基板上の電子部品46、56を冷却するため、冷却ファン48により冷却風を本体ケース21内に取り込んでいるが、冷却風を取り込む際炊飯蒸気や調理の際の油煙を吸い込み、本体ケース21内で雑菌等が発生したり、異臭が発生したりすることがある。
【0037】
ところで、オゾンは、脱臭及び殺菌効果を有するものである。そのため、オゾンを本体ケース21内で発生させることにより、本体ケース21内での異臭の発生を抑えることができる。そのため、ゴキブリが好む原因を取り除くことになり、本体ケース21内へゴキブリの侵入を忌避することができる。また、オゾンは、動物のフェロモンを分解して消してしまう効果もあり、ゴキブリがオゾンに当たると交信不能となるため、ゴキブリはオゾンのあるところには寄りつかなくなる。
【0038】
オゾン発生器60は、本体ケース21内のどの位置でも良いが、図1に示す炊飯器20では、底部に吸入孔48a及び排出孔48bの空気孔が設けられているため、これら空気孔近傍に設けると発生したオゾンが即外部に排出されることになり好ましくない。そのため、オゾン発生器60は、空気孔からできるだけ離れた位置が好ましい。
【0039】
また、オゾンは、空気より重く下方に向かうため、できるだけ上方位置が好ましい。更に、本体ケース21内にゴキブリが侵入した場合、侵入したゴキブリが基板部に糞や尿をしたり、或いは基板上で死んだりするとショート等の不具合を引き起こす恐れがあるため、基板の裏側も含めた基板近傍、基板上或いは基板より離れた基板上方にオゾン発生器60を設けると良い。要は本体ケース21内で発生したオゾンをできるだけ外部に排出しないような形状、例えば、底部の吸入孔48a及び排出孔48bの回りにそれぞれの孔48a及び48bを囲むように隔壁を立設する形状とし、本体ケース21内に滞留空間を形成すると良い。
【0040】
図2にマイコン基板53にオゾン発生器60を設けた例を示し、図3に電源基板45にオゾン発生器60を設けた例を示し、図4に基板53にオゾン発生器60を設けた他の例をそれぞれ示す。
【0041】
図2に示すものは、図1に示す炊飯器20の傾斜したマイコン基板53にオゾン発生器60を設けたものである。図に示すように、マイコン基板53の上方端近傍に例えば図5(A)、(B)に示すようなオゾン発生器60を設ける。このような配置により、オゾン発生器60により発生するオゾン65は、マイコン基板53上に沿って流れるため、例え本体ケース21内にゴキブリが侵入していたとしても侵入したゴキブリがマイコン基板53上にはい上がることはなくなる。その後、オゾン発生器60により発生したオゾン65は、マイコン基板53上に沿って流れた後、本体ケース21内に充満するため、本体ケース21内に侵入しようとするゴキブリの侵入を忌避することができる。
【0042】
なお、本実施例では、マイコン基板53上の電子部品56等がない箇所に複数の穴59を適宜設けている。このような複数の穴59を設けることにより、マイコン基板53上に流れたオゾン65の一部が複数の穴59よりマイコン基板53の裏面に矢印で示すように流れ込むため、マイコン基板53裏面の半田付け部分等をもゴキブリから保護することができる。この場合、保持部材54を皿状にしてマイコン基板53の裏面にゴキブリが入り込まないようにすることにより、穴59を不要にすることができる。
【0043】
図3に示すものは、図1に示す炊飯器20の垂直に配置した電源基板45にオゾン発生器60を設けたものである。図に示すように、電源基板45の上方端近傍に例えば図5(A)、(B)に示すようなオゾン発生器60を設ける。このような配置により、オゾン発生器60により発生するオゾンは、電源基板45上に沿って下方に流れるため、例え本体ケース21内にゴキブリが侵入していたとしても侵入したゴキブリが電源基板45上にはい上がることはなくなる。その後、オゾン発生器60により発生したオゾンは、電源基板45上に沿って流れた後、本体ケース21内に充満するため、本体ケース21内に侵入しようとするゴキブリの侵入を忌避することができる。
【0044】
なお、図2のものと同様、電源基板45上の電子部品46等がない箇所に複数の穴59を適宜設けてても良い。この場合の穴59は、図に示すように上方から下方に傾斜する形状にすると良い。このような複数の穴59を設けることにより、電源基板45上を下方に流れたオゾン65の一部が複数の穴59より電源基板45の裏面に矢印で示すように流れ込むため、電源基板45裏面の半田付け部分等をもゴキブリから保護することができる。この場合においても、保持部材47を皿状にしてマイコン基板53の裏面にゴキブリが入り込まないようにすることにより、穴59を不要にすることができる。
【0045】
図4に示すものは、図1に示す炊飯器20の傾斜したマイコン基板53ではなく、水平に設ける基板53にオゾン発生器60を設けたものである。図に示すように、基板53の電子部品56等がない箇所の上方に例えば図5(A)、(B)に示すようなオゾン発生器60を設ける。このような配置により、オゾン発生器60により発生するオゾン65は、マイコン基板53上の全体に流れ落ちるため、例え本体ケース21内にゴキブリが侵入していたとしても侵入したゴキブリがマイコン基板53上にはい上がることはなくなる。その後、オゾン発生器60により発生したオゾン65は、マイコン基板53上から流れた後、本体ケース21内に充満するため、本体ケース21内に侵入しようとするゴキブリの侵入を忌避することができる。
【0046】
なお、この例のものにおいても、基板53上の電子部品56等がない箇所に複数の穴59を適宜設けると良い。このような複数の穴59を設けることにより、基板53上に流れたオゾン65の一部が複数の穴59より基板53の裏面に矢印で示すように流れ込むため、基板53裏面の半田付け部分等をもゴキブリから保護することができる。この場合においても、保持部材54を皿状にして基板53の裏面にゴキブリが入り込まないようにすることにより、穴59を不要にすることができる。
【0047】
次いで、オゾン発生器60の制御の概略について説明する。図6に制御の概略図を示す。図6(A)は、保温時間或いは待機時間モードのものを、図6(B)は、深夜時間モードのものを示す。
【0048】
一般に炊飯器等の加熱調理器は、加熱調理中は冷却ファンを回転させ、電子部品等を冷却する。そのため、本体ケース内の空気は循環し、オゾンを発生させてもオゾンが拡散しその効果が小さくなる。また、制御回路が最も活発に動作しているときに放電によるオゾン発生器を作動させると電気ノイズが発生し、制御回路が誤動作する恐れもあるとともに、オゾン発生器を作動させると動作音やオゾンの臭気が発生するため、加熱調理中の人に違和感を与える恐れもある。更に、加熱調理中は、加熱調理器近傍に人がいる機会が多いためゴキブリが出てきにくい事情もある。
【0049】
これらの事情を考慮し、オゾン発生器は、加熱調理中、例えば、炊飯器では、炊飯工程中には作動させず、保温中、或いは予約待機中、更には深夜等の特に加熱調理器内にゴキブリが侵入しやすい時期に作動させる。そして、その動作も、オゾンから酸素に変わるオゾン分解時間を考慮して間欠的にオゾン発生器を動作させたり、連続的にオゾンを発生させた場合の不必要なオゾン濃度の上昇を防ぐため、又、使用者に与える音や臭い等の不快感の減少のために間欠動作とする。なお、請求項5に記載の作動時期は、保温中、或いは予約待機中をも含む。
【0050】
図6(A)は、保温時間或いは待機時間モードのものを示す。そして動作時期は、図に示すように間欠動作とする。その時間は、例えば、1時間あたり10分程度とする。このような動作にすることにより消費電力を低減することができる。
【0051】
図6(B)は、深夜時間モードのものを示す。そして動作時期は、図に示すように間欠動作とする。その時間は、例えば、1時間あたり10分程度で、合計1時間程度とする。ゴキブリは特に深夜に活発に活動するが、このような動作にすることにより効果がより高まるとともに、消費電力を低減することができる。
【0052】
本願発明は、上記実施例の構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能である。例えば、基板上に配置される電子部品等は酸化防止処理を施されているものが大半であるが、オゾンは酸化性の強いガスであり電子部品、リード等に耐食コーティングを施したり、耐オゾン材料等を使用すると良い。また、本体ケース内のオゾンに触れる部分は、樹脂等の非金属部材を用いると良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本願発明の炊飯器の実施例の全体断面図
【図2】本願発明の基板の要部拡大断面図
【図3】本願発明の他の基板の要部拡大断面図
【図4】本願発明の更に他の基板の要部拡大断面図
【図5】本願発明のオゾン発生器の概略図
【図6】本願発明のオゾン発生器の制御概略図
【図7】従来例の炊飯器の断面図
【符号の説明】
【0054】
20…炊飯器 21…本体ケース
22…肩部材 23…蓋部材
24…上板 25…下板
26…放熱板 27…断熱空間
28…弁部材 29…蒸気通路
30…蒸気口 31…ヒンジ機構
32…ロック部材 33…保護枠
35…脚部 36…保温ヒータ
37…内鍋 38…コイル
39…開口 40…センターセンサー
41…前方空間 45…電源基板
46…電子部品 47…保持部材
48…冷却ファン 48a…吸入孔
48b…排出孔 49…シンク
50…操作部 52…窓
53…マイコン基板 54…保持部材
56…電子部品 57…操作スイッチ
58…表示部 59…穴
60…オゾン発生器 61…ガラスチューブ管
62…電極 63…セラミック板
65…オゾン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁を形成する本体ケースと、被調理物を加熱する加熱源と、該加熱源を制御するための制御素子が設けられる基板と、前記本体ケースに設けられる空気孔とを備えてなる加熱調理器において、前記本体ケース内にオゾン発生器を設けることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記オゾン発生器は、前記空気孔を避けた位置に設けることを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記オゾン発生器は、前記基板上または基板の上方に設けることを特徴とする請求項1、2記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記基板の上方は、傾斜または直立した基板の上方であることを特徴とする請求項3記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記オゾン発生器は、前記加熱源の非加熱時に作動することを特徴とする請求項1ないし4記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−129903(P2006−129903A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−318895(P2004−318895)
【出願日】平成16年11月2日(2004.11.2)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】