説明

加熱調理装置

【課題】予熱後にグリル調理を行う際、加熱開始直後の管状ヒータ6や皿受け台3の温度が低いため最高温度に到達するまでの時間がかかり調理時間を短くできず、食品裏面も十分加熱することができなかった。
【解決手段】加熱室14と蓄熱板12を加熱する加熱手段17と、蓄熱板12の温度と加熱室14の温度を検出する二つの温度検出器18、19を設け、これらの温度により加熱手段17を制御することで、予熱完了後に加熱室14内に投入した被加熱体11を短時間で最高加熱温度に到達させ、裏面にも良好な焼き色を着ける事が可能となり、短時間の加熱調理を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加熱体をグリル加熱やオーブン加熱する加熱調理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
代表的な電波や熱風や水蒸気により加熱調理できる加熱装置であるオーブン電子レンジは、被加熱体である食品を一つの加熱装置で加熱できるので、なべや釜や蒸し器等を準備する必要がない簡便さにより生活上の不可欠な機器になっている。
【0003】
また、オーブン電子レンジはオーブン加熱による予熱機能を使用し300℃前後まで予めオーブン庫内を暖めてから調理を行うモードが存在する。このオーブン予熱モードを使用すると加熱時間の短縮と表面に短時間で焼き色を着け美味しく仕上げることが可能な調理が出来るようになっていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2553703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、図14に示す従来の加熱調理装置では、予熱調理を行う際はオーブン庫内1を空の状態すなわち、被加熱物2や皿受け台3や網4の無い状態で加熱し、オーブン庫内1の温度をサーミスタ等の庫内温度検知センサ5で設定温度に到達するまで予熱を行うだけである。設定温度に到達し予熱が完了した後に、皿受け台3や網4の上に被加熱物2を乗せてオーブン庫内1に入れ、管状ヒータ6でグリル加熱を行うか、オーブン庫内1の上面に接した面状ヒータ7や下面に接した面状ヒータ8でオーブン加熱し調理を行う構成になっていた。さらに、予熱完了した後のオーブン庫内1を設定温度に保つために、面状ヒータ7と管状ヒータ6の加熱動作を交互に切り換えていた。
【0005】
したがって、例えば次に魚を焼くグリル調理を行う際も、加熱開始直後の管状ヒータ6の温度が低いため、最高温度に到達するまでの時間がかかり、調理時間を短くすることが困難であった。また、食品を下部から加熱する皿受け台を高温に保持する事ができないため、食品裏面を十分加熱することができなかった。さらに、食パン等短時間で調理すべき食材に適した予熱や加熱を行うことができず、予熱完了後に1分以上の調理時間を必要とする課題があった。また、赤外線センサを使用して電波加熱を行う被加熱体の加熱温度を検出することは行われているが、蓄熱板の温度を検出して予熱完了判定を行うことは無かった。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、予熱を行う際にオーブン庫内に設けた蓄熱板を同時に加熱し、この蓄熱板の温度とオーブン庫内の温度を検出し、加熱制御することで次に調理する食材に最適な加熱条件と、蓄熱板による裏面加熱もでき、上下面とも良好な焼き色を着ける事が可能となり、短時間の調理を実現できる加熱調理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の加熱調理装置は、食品を加熱する加熱室と、被加熱体を載置する蓄熱板と、加熱室と蓄熱板を加熱する加熱手段と、蓄熱板の温度を検出する第一の温度検出器と、加熱室内の温度を検出する第二の温度検出器と、第一もしくは第二の温度検出器の温度により加熱手段を制御する制御手段を設け、予熱完了後に加熱室内に投入した被加熱体を短時間で加熱し調理を行う構成としている。
【0008】
これによって、裏面にも良好な焼き色を着ける事が可能となり、短時間の加熱調理を実現できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の加熱調理装置によれば、予熱完了時に、次に加熱調理する被加熱体に最適な加熱室温度と蓄熱板温度と加熱手段温度を保持することができ、被加熱体を加熱室に投入直後から最適な加熱を開始可能で、被加熱体の表面と裏面共に良好な焼き色を着ける事が可能となり、短時間の加熱調理を実現できる。例えば、食パンであれば数十秒で上下面共に良好な焼き色を着けることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の発明の加熱調理装置は、食品を加熱する加熱室と、被加熱体を載置する蓄熱板と、蓄熱板を加熱する加熱手段と、蓄熱板の温度を検出する第一の温度検出器と、加熱室内の温度を検出する第二の温度検出器と、第一もしくは第二の温度検出器の温度により加熱手段を制御する制御手段を設けた構成としている。
【0011】
これによって、予熱完了時に次に加熱調理する被加熱体に最適な加熱室温度と蓄熱板温度と加熱手段温度を保持することができ、被加熱体を加熱室に投入直後から最適な加熱を開始可能で被加熱体の表面と裏面共に良好な焼き色を着ける事ができ、短時間の加熱調理を実現可能で優れた加熱調理装置を提供できる。
【0012】
第2の発明の加熱調理装置は、特に第1の発明において、蓄熱板を加熱する加熱手段が加熱室内部の空気を循環加熱する空気加熱手段で行う構成としている。
【0013】
これによって、温風による予熱完了時に次に加熱調理する被加熱体に最適な加熱室温度と蓄熱板温度と加熱手段温度を保持することができ、被加熱体を加熱室に投入直後から最適な温風加熱を開始可能で被加熱体の表面と裏面共に良好な焼き色を着ける事ができ、短時間の加熱調理を実現可能で優れた加熱調理装置を提供できる。
【0014】
第3の発明の加熱調理装置は、特に第1の発明において、蓄熱板を加熱する加熱手段が赤外線等の輻射熱を発生する輻射発生手段で行う構成としている。
【0015】
これによって、赤外線等の輻射熱による予熱完了時に、次に加熱調理する被加熱体に最適な加熱室温度と蓄熱板温度と加熱手段温度を保持することができ、被加熱体を加熱室に投入直後から最適な輻射加熱を開始可能で被加熱体の表面と裏面共に良好な焼き色を着ける事ができ、短時間の加熱調理を実現可能で優れた加熱調理装置を提供できる。
【0016】
第4の発明の加熱調理装置は、特に第1の発明において、蓄熱板を加熱する加熱手段が前記蓄熱板に接触して加熱を行う伝熱加熱手段で行う構成としている。
【0017】
これによって、蓄熱板への直接熱伝導による予熱完了時に、次に加熱調理する被加熱体に最適な加熱室温度と蓄熱板温度と加熱手段温度を保持することができ、被加熱体を加熱室に投入直後から最適な熱伝導加熱を開始可能で被加熱体の特に裏面に良好な焼き色を着ける事ができ、短時間の加熱調理を実現可能で優れた加熱調理装置を提供できる。
【0018】
第5の発明の加熱調理装置は、蓄熱板を加熱する加熱手段が加熱室内部の空気を循環加熱する空気加熱手段と赤外線等の輻射熱を発生する輻射発生手段と蓄熱板に接触して加熱を行う伝熱加熱手段の少なくとも二つ以上の手段を組み合わせて行う構成としている。
【0019】
これによって、温風と輻射と熱伝導による複数の組み合わせによる予熱が可能で予熱完了時に、次に加熱調理する被加熱体に最適な加熱室温度と蓄熱板温度と加熱手段温度を保持することができ、被加熱体を加熱室に投入直後から最適な温風と輻射と熱伝導加熱を開始可能で被加熱体の表面と裏面共に良好な焼き色を着ける事ができ、短時間の加熱調理を実現可能で優れた加熱調理装置を提供できる。
【0020】
第6の発明の加熱調理装置は、特に第1の発明において、蓄熱板の温度を検出する第一の温度検出器を蓄熱板の内部もしくは底面部に設けた構成としている。
【0021】
これによって蓄熱板の温度を直接検出可能となり、正確な蓄熱板温度を制御し被加熱体の裏面を最適に加熱することが可能な優れた加熱調理装置を提供できる。
【0022】
第7の発明の加熱調理装置は、特に第1の発明において、蓄熱板の表面温度を検出する第一の温度検出器を赤外線等の波長を検出する赤外線検出器で行う構成としている。
【0023】
これによって蓄熱板の温度を直接検出可能となり、正確な蓄熱板温度を制御し被加熱体の裏面を最適に加熱することでき、さらに被加熱体自身の表面温度も検出できることから出来上がり温度を検出することが可能な優れた加熱調理装置を提供できる。
【0024】
第8の発明の加熱調理装置は、特に第3もしくは第5の発明において、輻射発生手段に第一の温度検出器を設け、第一の温度検出器の温度が第一の設定温度に到達するまで予熱され、調理開始と同時に短時間に最大輻射量を発揮する構成としている。
【0025】
輻射発生手段が第一の設定温度に到達するまで加熱し、予熱完了後も第一の設定温度を保持するように加熱し続けることで、調理開始直後から強い輻射熱を放射可能となり最大輻射量を発揮するまで短時間で到達できる優れた加熱調理装置を提供できる。
【0026】
第9の発明の加熱調理装置は、特に第3もしくは第5の発明において、輻射発生手段から輻射される輻射熱を反射する反射板に第一の温度検出器を設け、第一の温度検出器の温度が第二の設定温度に到達するまで予熱され、調理開始と同時に短時間に最大輻射量を発揮する構成としている。
【0027】
反射板の温度が第二の設定温度に到達するまで加熱し、予熱完了後も第二の設定温度を保持するように輻射発生手段を加熱し続けることで、反射板に設けた温度検出器の信頼性を向上すると共に調理開始直後から強い輻射熱を放射可能となり最大輻射量を発揮するまで短時間で到達できる優れた加熱調理装置を提供できる。
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施形態によって本発明が限定されるものではない。
【0029】
(実施の形態1)
図1と図2は、本発明の第1の実施の形態における加熱調理装置であるオーブン電子レンジの構成図で、図1は庫内側面からみた断面図、図2は庫内正面から見た断面図である。
【0030】
本実施の形態は、二つのアンテナを回転させる方式を用いたオーブン電子レンジであり、被加熱体である食品11を蓄熱板12よりも下側からマイクロ波を供給するために、マイクロ波を発生するマグネトロン13を中央に設けた例であり、マグネトロン13から発生したマイクロ波を加熱室14内に導く導波管15と、電波を加熱室14へ発生させる回転アンテ16を設けている。
【0031】
特に本実施の形態は加熱室14内部の空気を循環し加熱する空気加熱手段17を設け、加熱された加熱室14内部の空気温度を検出する第二の温度検出器である庫内サーミスタ18と、蓄熱板12の表面温度を検出する第一の温度検出器で赤外線検出器であるIRセンサ19を設け、これらセンサの温度データをもとに空気加熱手段17の加熱能力を制御する制御手段20を設けたことである。空気加熱手段17は空気を循環する循環ファン21と、循環する空気を加熱するヒータ22で構成されている。
【0032】
これによって、空気加熱手段17により加熱室14内部の空気と蓄熱板12の温度を設定温度まで昇温し予熱することができる。加熱調理する食品11に最適な加熱室14の温度と蓄熱板12の温度を直接検出可能となり、正確な蓄熱板表面温度を制御し、ヒータ22の温度も高温に保持することができる。予熱が完了した後に、加熱室14に食品11を入れ、食品11を加熱室14に入れた直後から最適な加熱を開始可能で食品11の表面と裏面の両面に良好な焼き色を着ける事が可能となり、短時間の加熱調理を実現できる優れた加熱調理装置を提供できる。さらに、冷凍食品等を加熱する際には、空気加熱手段17の温風による加熱と共に、マグネトロン13からのマイクロ波加熱により冷凍食品11を内部からも加熱でき、冷凍食品も短時間で焼き色を着ける調理が可能である。
【0033】
以上本実施の形態では、二つのアンテナ6を回転させてマイクロ波を放射させる構成としているが、一つのアンテナ6を回転させてマイクロ波を放射させる構成でも同様の効果を発揮することが出来る。また、マイクロ波が発生しない構成であっても、同様の効果を発揮することができる。さらに、蓄熱板12を加熱室14の最下部に設ける構成を示しているが、最下部には皿受け台を設け、蓄熱板12を着脱可能でなおかつ加熱室14内部の予め設置可能な構成としている任意の高さに設けていても同様の効果を発揮することができる。
【0034】
(実施の形態2)
図3、図4は、本発明の第1の実施の形態における加熱調理装置であるオーブン電子レンジの構成図で、庫内側面から見た側面断面図である。なお、第1の実施の形態と同一構造のものは同一符号を付与し、説明を省略する。
【0035】
図3において、第1の実施の形態の構成と異なるところは、加熱室14内の上部に蓄熱板12を加熱する加熱手段である赤外線等の輻射熱を発生する輻射発生手段であるシーズヒータ23を設けたことである。
【0036】
これによって、シーズヒータ23により、加熱室14内部の空気と蓄熱板12の温度を設定温度まで昇温し予熱することができる。加熱調理する食品11に最適な加熱室14の温度と、蓄熱板12の温度を直接検出可能となり、正確に蓄熱板表面温度を制御し、シーズヒータ23の温度も高温に保持することができる。予熱が完了した後に、加熱室14に食品11を入れ、食品11を加熱室14に入れた直後から最適な加熱を開始可能で食品11の表面と裏面の両面に良好な焼き色を着ける事が可能となり、短時間の加熱調理を実現できる優れた加熱調理装置を提供できる。さらに、冷凍食品等を加熱する際には、空気加熱手段17の温風による加熱と共に、マグネトロン13からのマイクロ波加熱により冷凍食品11を内部からも加熱でき、冷凍食品も短時間で焼き色を着ける調理が可能である。
【0037】
つぎに、図4に示すようにシーズヒータ23の代わりにミラクロンヒータ24を設け、反射板25を設けた構成について説明する。ミラクロンヒータ24は熱容量が小さいため最高温度に到達するまでの時間が短く立ち上がりが早く、反射板25により天面からの反射による輻射で蓄熱板12や食品11に多量の輻射熱を効率よく放射できるため更に調理時間を短縮することができる。
【0038】
以上本実施の形態では、シーズヒータ23やミラクロンヒータ24を使用したれについて述べたが、ランプ系のヒータであるアルゴンランプやハロゲンランプ等を使用しても、同様の効果を発揮することが出来る。さらに、蓄熱板12を加熱室14の最下部に設ける構成を示しているが、最下部には皿受け台を設け、蓄熱板12を着脱可能でなおかつ加熱室14内部の予め設置可能な構成としている任意の高さに設けていても同様の効果を発揮することができる。
【0039】
(実施の形態3)
図5は本発明の第1の実施の形態における加熱調理装置であるオーブン電子レンジの構成図で、庫内側面から見た側面断面図である。なお、第1の実施の形態と同一構造のものは同一符号を付与し、説明を省略する。
【0040】
図5において、第1の実施の形態の構成と異なるところは、加熱室14内の下部に蓄熱板12を加熱する伝熱加熱手段であるシーズヒータ25を直接接触させて設けたことである。
【0041】
これによって、シーズヒータ25により加熱室14下部から蓄熱板12を直接加熱し蓄熱板12と加熱室14の温度を設定温度まで昇温し予熱することができる。加熱調理する食品11に最適な加熱室14の温度と、蓄熱板12の温度を正確に制御し、シーズヒータ25の温度も高温に保持することができる。予熱が完了した後に、加熱室14に食品11を入れ、食品11を加熱室14に入れた直後から最適な加熱を開始可能で食品11の特に裏面に良好な焼き色を着ける事が可能となり、短時間の加熱調理を実現できる優れた加熱調理装置を提供できる。さらに、冷凍食品等を加熱する際には、マグネトロン13からのマイクロ波加熱により冷凍食品11を内部からも加熱でき、冷凍食品も短時間で調理が可能である。
【0042】
以上本実施の形態では、シーズヒータ25を蓄熱板12に直接接触させた例について述べたが、離して設けた場合でも少し遅れて蓄熱板12の温度が上がるが同様の効果を発揮できる。また、ランプ系のヒータであるアルゴンランプやハロゲンランプ等を使用しても同様の効果を発揮することが出来る。
【0043】
(実施の形態4)
図6から図9は本発明の第1の実施の形態における加熱調理装置であるオーブン電子レンジの構成図で、庫内側面から見た側面断面図である。なお、第1の実施の形態と同一構造のものは同一符号を付与し、説明を省略する。
【0044】
図6において、第1の実施の形態の構成と異なるところは、空気加熱手段17に加えて、加熱室14内の上部に赤外線等の輻射熱を発生する輻射発生手段であるシーズヒータ23をさらに設けたことである。
【0045】
これによって、シーズヒータ23と空気加熱手段17の両加熱手段により、加熱室14内部の空気と蓄熱板12の温度を設定温度まですばやく昇温し予熱することができる。加熱調理する食品11に最適な加熱室14の温度と、蓄熱板12の温度を直接検出可能となり、正確に蓄熱板表面温度を制御し、シーズヒータ22と23の温度も高温に保持することができる。予熱が完了した後に、加熱室14に食品11を入れ、食品11を加熱室14に入れた直後から最適な加熱を開始可能で食品11の表面と裏面の両面に良好な焼き色を着ける事が可能となり、短時間の加熱調理を実現できる優れた加熱調理装置を提供できる。さらに、冷凍食品等を加熱する際には、空気加熱手段17の温風による加熱と共に、マグネトロン13からのマイクロ波加熱により冷凍食品11を内部からも加熱でき、冷凍食
品も短時間で焼き色を着ける調理が可能である。
【0046】
図7は、シーズヒータ23を加熱室14上部に設け、シーズヒータ25を蓄熱板12に直接接触させ加熱する組み合わせを示した例である。この構成であっても同様の効果を発揮することが出来る。
【0047】
図8は、空気加熱手段17とシーズヒータ25を蓄熱板12に直接接触させ加熱する組み合わせを示した例である。この構成であっても同様の効果を発揮することが出来る。
【0048】
図9は、空気加熱手段17と、シーズヒータ23を加熱室14上部に設け、シーズヒータ25を蓄熱板12に直接接触させ加熱する組み合わせを示した例である。この構成であっても同様の効果を発揮することが出来る。
【0049】
(実施の形態5)
図10、図11は、本発明の第1の実施の形態における加熱調理装置の蓄熱板12の断面構成図である。なお、第1の実施の形態と同一構造のものは同一符号を付与し、説明を省略する。
【0050】
図10において、第1の実施の形態の構成と異なるところは、第一の温度検出器であるサーミスタ26を蓄熱板12の裏面に設けたことである。
【0051】
この構成により、予熱時の蓄熱板12の中心温度を直接検出できることから、加熱室14内部から蓄熱板12の表面を加熱開始したときの過渡的な表面温度ではなく蓄熱板12の裏面の温度を計測可能であり、正確な予熱完了を決定できる。すなわち、食材11を入れたときの出来上がりレベルを均一に揃えることが可能となるものである。
【0052】
図11は、第一の温度検出器であるサーミスタ26を蓄熱板12の中心部に設けた例を示したものである。この構成であっても先ほど述べた蓄熱板12の裏面に設けた例と同様の効果を発揮することが出来る。
【0053】
(実施の形態6)
図12は、本発明の第1の実施の形態における加熱調理装置の蓄熱板12の断面構成図である。なお、第1の実施の形態と同一構造のものは同一符号を付与し、説明を省略する。
【0054】
図12において、第1の実施の形態の構成と異なるところは、第一の温度検出器である熱電対27をシーズヒータ18の表面に設け、第一の設定温度28に到達するまで予熱を行う構成としたことである。
【0055】
この構成により、予熱時のシーズヒータ23の温度を直接検出できることから、比較的熱容量が小さいとはいえ最高温度まで立ち上がるに数十秒は必要とするシーズヒータ23を予熱でき、正確な予熱完了を決定できる。例えば、第一の設定温度28を600℃とし、600℃に到達した時点で予熱完了を報知する。予熱完了後はシーズヒータ23をON/OFF制御し600℃を保持し、食材11を入れたときの輻射開始を早められ短時間調理を実現することが可能となるものである。
【0056】
図13は、第一の温度検出器である熱電対27をシーズヒータ23の輻射を反射する反射板29の裏側に設け、第二の設定温度30に到達するまで予熱を行う構成としたものである。この構成であっても、先ほど述べたシーズヒータ23に設けた例と同様の効果を発揮することが出来る。すなわち、予熱時の反射板29の温度を直接検出できることから、
比較的熱容量が小さいとはいえ、最高温度まで立ち上がるに数十秒は必要とするシーズヒータ23を予熱でき、正確な予熱完了を決定できる。例えば、第二の設定温度30を400℃とし、400℃に到達した時点で予熱完了を報知する。
【0057】
予熱完了後はシーズヒータ23をON/OFF制御し、反射板28の温度400℃を保持して、食材11を入れた時の輻射開始を早められ、短時間調理を実現することが可能となるものである。さらに、加熱室14内部に設ける必要がないため、食品11から出る油や塩等による腐食による熱電対27の信頼性低下を防ぐことが可能となる。さらに、蓄熱板12を加熱室14の最下部に設ける構成を示しているが、最下部には皿受け台を設け、蓄熱板12を着脱可能でなおかつ加熱室14内部の予め設置可能な構成としている任意の高さに設けていても同様の効果を発揮することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上のように本発明によれば、被加熱体を超高速に加熱することができるので、オーブンやグリル機能を使用する調理器具としてのオーブン電子レンジ、電気オーブン、業務用の各種オーブン加熱、解凍装置であるとか、乾燥装置などの工業分野での加熱装置、陶芸加熱、焼結あるいは生体化学反応等の用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態1の加熱調理装置を側面から見た断面構成図
【図2】同加熱調理装置の正面から見た断面構成図
【図3】本発明の実施の形態2の加熱調理装置の側断面構成図
【図4】他の実施例の側面から見た断面構成図
【図5】本発明の実施の形態3の加熱調理装置の側断面構成図
【図6】本発明の実施の形態4の加熱調理装置の側断面構成図
【図7】他の実施例の側面から見た断面構成図
【図8】他の実施例の側面から見た断面構成図
【図9】他の実施例の側面から見た断面構成図
【図10】本発明の実施の形態5の蓄熱板の断面構成図
【図11】他の実施例の蓄熱板の断面構成図
【図12】本発明の実施の形態6の加熱調理装置の側断面構成図
【図13】他の実施例の側面から見た断面構成図
【図14】従来の加熱調理装置の側面から見た断面図
【符号の説明】
【0060】
11 被加熱体
12 蓄熱板
14 加熱室
17 空気加熱手段
18 第二の温度検出器
19 第一の温度検出器
20 制御手段
23 輻射発生手段
25 伝熱加熱手段
28 第一の設定温度
29 反射板
30 第二の設定温度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を加熱する加熱室と、被加熱体を載置する蓄熱板と、前記蓄熱板を加熱する加熱手段と、前記蓄熱板の温度を検出する第一の温度検出器と、前記加熱室内の温度を検出する第二の温度検出器と、前記第一もしくは第二の温度検出器の温度により前記加熱手段を制御する制御手段を設けた加熱調理装置。
【請求項2】
蓄熱板を加熱する加熱手段が、加熱室内部の空気を循環加熱する空気加熱手段である請求項1記載の加熱調理装置。
【請求項3】
蓄熱板を加熱する加熱手段が、赤外線等の輻射熱を発生する輻射発生手段である請求項1記載の加熱調理装置。
【請求項4】
蓄熱板を加熱する加熱手段が、前記蓄熱板に接触して加熱を行う伝熱加熱手段である請求項1記載の加熱調理装置。
【請求項5】
蓄熱板を加熱する加熱手段が、加熱室内部の空気を循環加熱する空気加熱手段と赤外線等の輻射熱を発生する輻射発生手段と前記蓄熱板に接触して加熱を行う伝熱加熱手段の少なくとも二つ以上の手段を組み合わせである請求項1記載の加熱調理装置。
【請求項6】
蓄熱板の温度を検出する第一の温度検出器を前記蓄熱板の内部もしくは底面部に設けた請求項1記載の加熱調理装置。
【請求項7】
蓄熱板の表面温度を検出する第一の温度検出器を赤外線等の波長を検出する赤外線検出器で行う請求項1記載の加熱調理装置。
【請求項8】
輻射発生手段に第一の温度検出器を設け、前記第一の温度検出器の温度が第一の設定温度に到達するまで予熱され、調理開始と同時に短時間に最大輻射量を発揮する請求項3もしくは請求項5記載の加熱調理装置。
【請求項9】
輻射発生手段から輻射される輻射熱を反射する反射板に第一の温度検出器を設け、前記第一の温度検出器の温度が第二の設定温度に到達するまで予熱され、調理開始と同時に短時間に最大輻射量を発揮する請求項3もしくは請求項5記載の加熱調理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−78206(P2010−78206A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−245833(P2008−245833)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】