説明

加硫合成樹脂パレット製造法及びパレット

【課題】本発明は加硫ゴムによる自動車等の廃タイヤを凍結微粉砕し、篩下を捕集し、別に熱可塑性合成樹脂成形品を破砕して上記タイヤの微粉と均等混合し、これを上記合成樹脂の塑性体に加熱することによって加熱量を軽減し、この混合物を紐状に加圧押出冷却してペレット状にカットし、これを各加硫ゴム成形工場に分配して硬く靭性に富み冷凍室内の冷凍物積上げ及び又は冷凍物取扱いパレットを簡便に製造することを目的とする。
【解決手段】タイヤ等の加硫合成ゴム材による30〜100メッシュ篩下微粒子の30下〜10重量%と、熱可塑性合成樹脂成形材を破砕してなる3〜5mm篩下凹凸形状粗粒子の70上〜90重量%とを撹拌混合して100重量%となし、同混合物を加熱して上記粗粒子のみに塑性を付与してペレットを形成し、該ペレットを加熱加圧してパレット雌型内に圧入し、これを常温に冷却することを特徴とするパレット製造法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタイヤ等の加硫ゴムと熱可塑性合成樹脂とを混合し加熱によって形成する加硫合成樹脂パレットの製造法及びパレットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の廃タイヤ等の加硫合成ゴム材と既成形ポリエチレン又はポリプロピレン材との混合物を液状に加熱溶融し、有用な硬い射出成形最終製品を得るパレットの製造技術が開発された(例えば特許文献1、2)。
【0003】
しかし、上記技術は工場毎にゴム材、合成樹脂を調達し、かつ破砕又は粉砕機及び超微粉篩別け装置、混合機を各工場において設備する必要があり、かつ上記収集材料を射出成形温度まで加熱する工程において熱効率が比較的低いという問題があった。
【0004】
即ち、廃棄加硫ゴムタイヤ等を収集し、これを粉砕機で微粉粒化する工程、及び微粉粒篩別け工程を必要とし、
かつ熱可塑性廃棄成形物の収集及びその破砕工程と、上記微粉粒との一連の混合工程を要した。
【0005】
又上記混合物における熱可塑性合成樹脂破砕物の加熱溶融射出工程を要し、廃棄物の収集粉砕加工及び加熱射出工程に設備を要した。
【0006】
【特許文献1】特公平3−6295号
【特許文献2】特開平3−19749号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は加硫ゴムによる自動車等の廃タイヤを凍結微粉砕し、篩下を捕集し、
別に熱可塑性合成樹脂成形品を破砕して上記タイヤの微粉と均等混合し、
これを上記合成樹脂の塑性体に加熱することによって加熱量を軽減し、この混合物を紐状に加圧押出冷却してペレット状にカットし、これを各加硫ゴム成形工場に分配して硬く靭性に富み冷凍室内の冷凍物積上げ及び又は冷凍物取扱いパレットを簡便に製造することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため本発明は
第1にタイヤ等の加硫合成ゴム材による30〜100メッシュ篩下微粒子の30下〜10重量%と、熱可塑性合成樹脂成形材を破砕してなる3〜5mm篩下凹凸形状粗粒子の70上〜90重量%とを撹拌混合して100重量%となし、同混合物を加熱して上記粗粒子のみに塑性を付与してペレットを形成し、該ペレットを加熱加圧してパレット雌型内に圧入し、これを常温に冷却することを特徴とするパレット製造法、
第2に上記ゴム材及び上記熱可塑性合成樹脂材が廃材である上記第1発明記載のパレット製造法、
第3に上記熱可塑性合成樹脂成形材がポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂等である上記第1又は第2発明記載のパレット製造法、
第4に上記第1〜第3発明のいずれかに記載の造製法により製造され、上面に縦横及び又は斜交突条による滑り止めを形成したパレット、
によって構成される。
【発明の効果】
【0009】
従って上記混合物は塑性状態に加熱すれば足り、加熱量を節減することができ、粒状成形ペレット加工と、加圧成形とを分離し得て上記ペレットを流通させ得て、しかも耐冷凍パレットが得られる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
自動車等の廃タイヤには加硫合成ゴム材が用いられる。これを回収して冷凍硬化して粉砕機で微粒子2(30〜100メッシュ篩下)に粉砕する。
【0011】
一方成形されたポリプロピン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)又はABS樹脂等の常温硬質材を破砕機で凹凸形状の粗粒子1(3〜5mm篩下)に破砕する。
【0012】
そして上記微粒子2と粗粒子1とをミキサー3で撹拌混合すると、両粒子1,2は相互の表面滑りが無いため均等に配合されて両粒子1,2の原料混合物が形成される。混合比率は上記微粒子30下〜10重量%と、粗粒子70上〜90重量%よりなり合計100重量%とする(特公平3−60295)。
【0013】
上記混合物をペレタイザー11の加熱室5に投入密封し、PPでは170℃、PE(高密度)では110〜120℃に加熱することにより、ゲル化して塑性状態となる。しかし上記微粒子2は固形のまま上記混合物中に均等に配合される。
【0014】
そして混合物全体としては塑性状態を保持する。
【0015】
塑性状態の上記加熱混合物を圧気により加圧し、上記加熱室5に穿設された直径1.5〜2.0mmの複数の透孔から水冷室6中の常温水中に押出して紐状体(線状体)7(直径約1.5〜2.0mm)に冷却成形し、さらに水冷室6から大気中に引抜き、これをカッター8で切断しペレット9(直径1.5〜2.0mm)を形成し、紙袋10内に収容包装してペレット製品とする。
【0016】
上記ペレット9(粒子)は各種射出成形工場において荷受パレット、踏板その他の製品に成形される。
【0017】
上記混合物(ゴム微粒子25重量%プラスチックス75重量%)による上記ペレット9の衝撃試験結果を表1及び表2に示す。
【0018】
上記パレット12は図2に示すように上面に縦横の突条13,13’を全面に形成し、かつ部分的に斜交突条14,14’を形成する。
このパレット12の上面に冷凍魚函その他の冷凍物を積載し、冷凍倉庫内に積み重ねる際パレット12が若干傾倒しても積載物は縦横突条13,13’及び又は斜交突条14,14’によって縦横及び又は斜め方向にパレット12上を滑動及び転落するおそれはなく一定位置に積載され、かつこれを積上げることができる。尚図3中15はパレット昇降用爪挿入孔である。
【0019】
【表1】

【0020】
【表2】

NP(ナガヤスポリマー…商標)(プラスチック80重量%、ゴム微粒子20重量%)
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の上記パレットは耐冷凍性に富み、冷凍倉庫における積上保管用パレット及び冷凍倉庫内荷役パレットとして有効に用いることができる。
【0022】
特に第1表に示すように冷凍雰囲気内において衝撃値(kgfcm/cm)が大である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のペレット製造ラインのブロック図である。
【図2】本発明のパレットの平面図である。
【図3】図2の正面図である。
【図4】パレットの上面に形成した縦横突条の拡大図である。
【図5】(イ)図は上記縦横突条の斜視図、(ロ)図は斜交突条の斜視図である。
【符号の説明】
【0024】
1 熱可塑性プラスチック粗粒子
2 加硫合成ゴム微粒子
3 撹拌混合機(ミキサー)
4 ホッパー
5 加熱室
6 水冷室
7 紐状体(線状体)
8 カッター
9 ぺレット
10 紙袋
12 パレット
13,13’縦横突条
14,14’斜交突条

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ等の加硫合成ゴム材による30〜100メッシュ篩下微粒子の30下〜10重量%と、熱可塑性合成樹脂成形材を破砕してなる3〜5mm篩下凹凸形状粗粒子の70上〜90重量%とを撹拌混合して100重量%となし、同混合物を加熱して上記粗粒子のみに塑性を付与してペレットを形成し、該ペレットを加熱加圧してパレット雌型内に圧入し、これを常温に冷却することを特徴とするパレット製造法。
【請求項2】
上記ゴム材及び上記熱可塑性合成樹脂材が廃材である請求項1記載のパレット製造法。
【請求項3】
上記熱可塑性合成樹脂成形材がポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂等である請求項1又は2記載のパレット製造法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の造製法により製造され、上面に縦横及び又は斜交突条による滑り止めを形成したパレット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−119029(P2007−119029A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−316409(P2005−316409)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(505406246)
【Fターム(参考)】