説明

動画再生コード生成装置、動画配信システム、実行形式プログラム、同プログラムを記録した記録媒体、サーバー、及び動画再生コード生成方法

【課題】動画再生コード生成装置、動画配信システム、実行形式プログラム、同プログラムを記録した記録媒体、及び動画再生コード生成方法を提供することを目的とする。
【解決手段】動画データを取得するデータ取得部と、コード内の変数に格納される動画データを再生可能に構成される動画再生テンプレートコードを取得するコード取得部と、前記取得した動画データを2以上の部分データに分割し、前記部分データをそれぞれ異なる前記変数の変数値として前記取得した動画再生テンプレートコードに埋め込み、前記取得した動画データ専用の動画再生コードを生成するコード生成部とを備える動画再生コード生成装置を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画データを埋め込んだ動画再生コード、及びプログラムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットによる動画の配信、公開が普及し、それに伴い配信、公開された動画を視聴するユーザに課金するサービスへの関心が高まっており、そのための仕組みが必要となっている。
【0003】
従来、かかる動画配信、公開サービスにおいては、ダウンロードした動画、又はストリーミングによって再生される動画を再生するためには、専用のクライアントソフトをPC端末にインストールして視聴する方法が一般的であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、専用のクライアントソフトをPC端末にインストールして視聴する方法は、インストールの手間からユーザに敬遠されるといった課題がある。さらに、動画の圧縮形式が変更された場合、課金方式が変更された場合、又はDRM(Digital Rights Management)がクラックされた場合などは、クライアントソフトのアップデートを行う必要が生じ、ユーザにメンテナンスの負担を強いるといった課題がある。
【0005】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、動画再生コード生成装置、動画配信システム、実行形式プログラム、同プログラムを記録した記録媒体、サーバー、及び動画再生コード生成方法を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決する為に、本発明は以下の手段を採用した。
【0007】
すなわち、本発明は、動画データを取得するデータ取得部と、コード内の変数に格納される動画データを再生可能に構成される動画再生テンプレートコードを取得するコード取得部と、前記取得した動画データを2以上の部分データに分割し、前記部分データをそれぞれ異なる前記変数の変数値として前記取得した動画再生テンプレートコードに埋め込み、前記取得した動画データ専用の動画再生コードを生成するコード生成部とを備える動画再生コード生成装置を構成する。
【0008】
かかる構成によれば、動画データを埋め込んだ動画再生コードを生成することができ、かかる動画再生コードによりユーザが動画再生をする際に専用のクライアントソフトをインストール必要がなくなる。また、ユーザにおいて、クライアントソフトのアップデートの手間が省ける。
【0009】
好適には、前記変数に格納される動画データは、暗号化された動画データであり、前記動画再生テンプレートコードは、前記変数を参照して暗号化された動画データを取得し、当該取得した暗号化された動画データを復号する復号コードと、前記復号した動画データを再生する再生コードとを備える。
【0010】
好適には、前記暗号化された動画データは、復号するために復号鍵を要するものであり、前記動画再生テンプレートコードはさらに、前記暗号化された動画データの復号に用いる復号鍵を、復号鍵格納部から取得する復号鍵取得コードを備える。
【0011】
好適には、前記動画再生テンプレートコードはさらに、認証応答部に対して認証要求を送信して認証結果を受信する認証コードを備える。
【0012】
好適には、前記動画再生テンプレートコードはさらに、課金応答部に対して認証のための料金支払処理を行う課金コードを備える。
【0013】
好適には、前記動画再生テンプレートコードはさらに、当該動画データの配布者を特定する配布者情報を配布者情報管理部に対して送信する配布者情報送信コードを備える。
【0014】
好適には、前記暗号化された動画データが、第1の暗号化方式で暗号化された第1の暗号化部分と、第2の暗号化方式で暗号化された第2の暗号化部分とを有し、前記復号コードはさらに、前記第1の暗号化部分と前記第2の暗号化部分とを復号するために必要な復号情報を復号情報格納部から取得する。
【0015】
好適には、前記暗号化された動画データは、動画の特定フレームの特定範囲のみが暗号化されており、前記復号コードはさらに、前記暗号化を復号するための特定フレーム、及び特定範囲情報を含む復号情報を復号情報格納部から取得する。
【0016】
好適には、前記動画データは、動画の特定範囲のデータが欠落しており、前記動画再生テンプレートコードはさらに、前記欠落データについての特定範囲を示す欠落データ情報、及び欠落データを欠落データ格納部から取得する欠落データ取得コードを備える。
【0017】
好適には、前記動画データは、動画の特定範囲にダミーデータが挿入されており、前記動画再生テンプレートコードはさらに、前記ダミーデータについての特定範囲を示すダミーデータ情報、及びダミーデータと入れ替える補完動画データを補完データ格納部から取得する補完動画取得コードを備える。
【0018】
好適には、前記取得した動画データは再生順序が入れ替えられており、前記動画再生テンプレートコードはさらに、前記再生順序が入れ替えられた動画データの正しい再生順序を示す情報を再生順序格納部から取得する再生順序取得コードを備える。
【0019】
好適には、前記動画データは、動画の特定範囲のみが暗号化されており、前記動画再生テンプレートコードはさらに、前記暗号化された動画データの暗号化部分を動画復号部に送信し、復号された動画データを受信する暗号化部分受送信コードを備える。
【0020】
また、本発明は、請求項1から12までのいずれかに記載の動画再生コード生成装置と、前記生成した動画再生コードをコンパイルして実行ファイルを生成する実行ファイル生成部と、前記作成した実行ファイルを通信ネットワークを介してユーザ端末に配信する配信部とを備える動画配信システムを構成する。
【0021】
また、本発明は、プログラム内の変数に格納される特定の動画データを専用に再生する実行形式プログラムであって、前記特定の動画データを2以上に分割した部分データをそれぞれ異なる前記変数の変数値として保持している実行形式プログラムを提供する。
【0022】
好適には、前記特定の動画データは暗号化された暗号化動画データであり、前記暗号化動画データを復号するための復号モジュール機能をさらに備える。
【0023】
好適には、前記実行形式プログラムを記録した記録媒体を提供する。
【0024】
また、本発明は、暗合化された動画データの再生を援助するためのサーバーであって、前記暗合化された動画データを復号するために必要な復号情報を管理する復号情報テーブルを有する復号化情報送信モジュールを備え、前記復号化情報送信モジュールは、前記暗合化された動画データを再生しようとする端末からの要求に応じて、前記復号情報を当該端末に送信することを特徴とするサーバーを構成する。
【0025】
また、本発明は、動画データを取得するデータ取得ステップと、コード内の変数に格納される動画データを再生可能に構成される動画再生テンプレートコードを取得するコード取得ステップと、前記取得した動画データを2以上の部分データに分割し、前記部分データをそれぞれ異なる前記変数の変数値として前記取得した動画再生テンプレートコードに埋め込み、前記取得した動画データ専用の動画再生コードを生成するコード生成ステップとを備える動画再生コード生成方法を適用する。
【0026】
好適には、前記変数に格納される動画データは、暗号化された動画データであり、前記動画再生テンプレートコードは、前記変数を参照して暗号化された動画データを取得し、当該取得した暗号化された動画データを復号する復号コードと、前記復号した動画データを再生する再生コードとを備える。
【0027】
なお、本願において「コード」とは、コンパイルされる前のソースプログラムを指し、「実行形式プログラム」とは、ソースプログラムをコンパイルして生成される、PC端末等で実行される形式のプログラムを指す。当該実行形式プログラムをPC端末等で実行することにより、所定の機能を実現することができる。本願では、このようにして実現される機能手段を「モジュール」と呼ぶ。なお、「コード」はインタプリタ言語によるソースプログラムを含み、この場合はコンパイルの必要はない。
【0028】
また、「埋め込む」とは、データを、コードと一体となるようにコード内に取り込むことを指す。
【0029】
本発明の情報処理方法における各工程は、サーバー又は端末においてCPUがプログラムに従って実行することができる。かかるプログラムは、CD−ROM、磁気ディスク、半導体メモリなどの各種の記録媒体を通じて、又は通信ネットワークを介してダウンロードすることにより、サーバー又は映像再生装置にインストールまたはロードすることができる。
【0030】
なお、本明細書において、…部とは物理的手段によるもののみを指すものではなく、その部分が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの部分が有する機能が2つ以上の物理的手段により実現されても、2つ以上の部分の機能が1つの物理的手段により実現されても良い。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、動画再生コード生成装置、動画配信システム、実行形式プログラム、同プログラムを記録した記録媒体、サーバー、及び動画再生コード生成方法を提供することができ、ユーザが動画再生をする際に専用のクライアントソフトをインストールする必要がないという効果や、ユーザのクライアントソフトのアップデートの手間が省けるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明に係る実施例、及び暗号化方式等の具体例について、図面を参照しながら説明する。ただし、以下の実施例はあくまで本発明の一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、各図面において、同一の部品には同一の符号を付している。
【0033】
(本発明に係る実施例)
(図1)
はじめに、図1乃至図4を参照して本発明の実施例について具体例を挙げながら説明する。
【0034】
図1は、本実施例にかかる動画配信システムの構成図である。本実施例の動画配信システムは、データ取得部110、動画データ格納部120、コード取得部130、動画再生テンプレートコード格納部140、コード生成部150、実行ファイル生成部160、及び配信部170を備える。また、データ取得部110、コード取得部130、及びコード生成部150は動画再生コード生成装置100を構成している。
【0035】
(データ取得部110)
データ取得部110は、動画データ格納部120に要求して暗号化された動画データを取得し、取得した動画データをコード生成部150へ送信する。なお、当該データ取得部110は、動画データ格納部120から必ずしも暗号化された動画データを受け取る必要は無く、最初に暗号化されていない動画データを動画データ格納部120から受け取った後に、当該データ取得部110が暗号化する処理を行うことによって暗号化された動画データを取得してもよい。この場合、データ取得部110は動画データを暗合化する機能をさらに有する。
【0036】
(動画データ格納部120)
動画データ格納部120は、既に暗号化された動画データを格納しており、データ取得部110からの要求に応じて、動画データをデータ取得部110へ送信する。前述のようにデータ取得部110で暗号化を行う場合には、当該動画データ格納部120は暗号化されていない動画データを格納し、データ取得部110へ送信する。
【0037】
(コード取得部130)
コード取得部130は、動画再生テンプレートコード格納部140に要求して動画再生テンプレートコードを取得し、取得した動画再生テンプレートコードをコード生成部150へ送信する。
【0038】
(動画再生テンプレートコード格納部140)
動画再生テンプレートコード格納部140は、動画再生テンプレートコードを格納しており、コード取得部130からの要求に応じて当該動画再生テンプレートコードを送信する。当該動画再生テンプレートコードはコード内のローカル変数に動画データを格納できるようになっており、さらに当該ローカル変数を参照して当該動画データを再生できるように構成される。また、当該動画再生テンプレートコードは複数のコードを含んでいるが、これについては動画再生コードの構成の説明に合わせて後述する。
【0039】
なお、コード内に埋め込んだ動画データを第三者が不正にリッピングして再生することを防ぐために、動画データは、コードと一体不可分になるローカル変数の変数値として保持されることが望ましい。ただし、この変数はグローバル変数やその他の形式の変数であってもよく、その場合も一定の効果を奏する。
【0040】
(コード生成部150)
コード生成部150は、データ取得部110から動画データを、コード取得部130から動画再生テンプレートコードをそれぞれ取得する。コード生成部150はさらに、取得した動画データを2以上の部分データに分割し、当該部分データをそれぞれ異なる動画再生テンプレートコード内の変数の変数値として当該動画再生テンプレートコードに埋め込み、当該動画データ専用の動画再生コードを生成する。また、コード生成部150は、生成した動画再生コードを実行ファイル生成部160に送信する。かかる埋め込み動作の詳細については動画再生コードの構成の説明に合わせて後述する。
【0041】
(実行ファイル生成部160)
実行ファイル生成部160は、コード生成部150で生成された動画再生コードを取得してコンパイルし、実行形式プログラムを生成する。実行形式プログラムは、一般的な実行ファイルの拡張子exeの形式でもよいし、その他PC端末等で実行される形式であれば形式を問わない。
【0042】
このようにコンパイルされ実行形式プログラムにすることで、当該プログラムをユーザが実行し、当該プログラムが含んでいる動画データを容易に視聴することができる。さらに、コンパイルされることによってコンパイル前のコードを可読困難にすることができ、不正ユーザによる解析を困難にすることによって当該動画データを不正に視聴することを防止することも可能である。
【0043】
(配信部170)
配信部170は、実行ファイル生成部160が生成した実行形式プログラムを、通信ネットワーク(図示せず)を介して、当該実行形式プログラムが含んでいる動画データの視聴を希望するユーザの端末に配信する。ユーザ端末はPC端末等であり、携帯端末を含むほか、動画を視聴することができるあらゆる機器を含む。
【0044】
(図2)
次に、図2a、及び図2bを参照して動画再生コードの構成について説明する。本実施例の動画再生テンプレートコード200は、再生テンプレートコード211a、復号コード212、復号鍵取得コード213、認証コード214、課金コード215、配布者情報送信コード216、自己配信コード217、及び動画送信コード218を含む。動画再生テンプレートコード200内の再生テンプレートコード211aは、動画データを複数に分割した部分データをそれぞれ異なる変数の変数値として埋め込むことができるように構成されている。本実施例では、コード生成部150は動画データ220を取得し、図2aに記載のように2つの部分データ1(221)、及び部分データ2(222)に分割する。一方でコード生成部150が取得した再生テンプレートコード211aは、当該2つの部分データ1(221)、及び部分データ2(222)を埋め込むよう、変数1(219a)、及び変数2(219b)が予め準備されている。そこで、コード生成部150は、部分データ1(221)、及び部分データ2(222)を当該再生テンプレートコード211aに予め準備された変数1(219a)、及び変数2(219b)に埋め込むことで、図2bに記載した再生コード211bを含む動画再生コード210を生成する。
【0045】
ここで説明した各コードはそれぞれ所定の機能を有しており、コンパイルされた後にPC端末等で実行されることで、それぞれ対応したモジュールとしての機能を実現し、動画データ220を再生することができる。これら各コードの機能については、対応する各モジュールの機能として後述する。
【0046】
(図3)
次に、図3a、及び図3bを参照して、動画再生テンプレートコードへの部分データ1(221)と部分データ2(222)の埋め込み、及び当該部分データからなる動画データ220の再生について具体的に説明する。
【0047】
図3aは、部分データが埋め込まれる前の動画再生テンプレートコード200の一例である。ここでは、動画再生テンプレートコード200に含まれるものとして、部分データ1、及び部分データ2を埋め込むための変数Data1とData2、当該部分データを結合させるための変数Data、及び結合された動画データを再生する機能であるPlay関数が含まれた再生テンプレートコード211aにあたる「PlayMovie」関数のテンプレートコードを記載している。また、分割される前の動画データも記載されている。
【0048】
図3bは、部分データが埋め込まれた再生コード211bである。図示されているように、Data1、及びData2に、コード生成部150によって動画データが分割して埋め込まれている。当該「PlayMovie」関数コードが必要に応じて他の関数コードとともにコンパイルされた後に実行されると、部分データ1と部分データ2に対応する変数であるData1、及びData2を参照し、結合された動画データとしてDataが得られ、Play関数によって当該動画データが再生される。
【0049】
本実施例では、再生コードである「PlayMovie」関数コードについて、当該コード内にすべての部分データが埋め込まれる例を挙げて説明したが、これに限定されるわけではない。すなわち、部分データは必ずしもひとつの関数コード内に埋め込まれる必要はなく、動画再生テンプレートコード200のあらゆる部分に分散させて埋め込まれることが可能である。また、再生コードを含む前述の各コードは、必ずしもそれぞれが独立したひとつの関数コードとして記述される必要は無く、互いに組み合わされてひとつの関数コードを構成してもよい。逆に、複数の関数コードの組み合わせにより所定の機能を有する前述の各コードが実現される構成でも良い。
【0050】
(図4)
次に、図4を用いて、当該動画再生コード210が実行ファイル生成部160でコンパイルされ、配信部170で当該コンパイル後の実行ファイルが配信された後、ユーザ端末で実行されるときの動作について説明する。すなわち、図2の動画再生コード210が図1の実行ファイル生成部160でコンパイルされると、埋め込まれた動画再生専用の実行形式プログラムである、動画プレーヤープログラムが生成される。この動画プレーヤープログラムが図1の配信部170でユーザ端末としてのPC端末や携帯端末等に配信され、当該PC端末等で実行される。
【0051】
図4に示すように、ユーザ端末400において、動画プレーヤープログラムが実行されると、動画プレーヤー410が当該ユーザ端末400上で実現される。動画プレーヤー410は、再生モジュール411、復号モジュール412、復号鍵取得モジュール413、認証モジュール414、課金モジュール415、配布者情報送信モジュール416、自己配信モジュール417、及び動画送信モジュール418を含む。一方で、サーバー430は応答部440を含み、応答部440は、復号鍵応答モジュール441、認証応答モジュール442、課金応答モジュール443、及び配布者情報管理モジュール444を含む。このサーバー430は、インターネット420を介してユーザ端末400と接続されている。機能的には、復号鍵取得モジュール413は復号鍵応答モジュール441と、認証モジュール414は認証応答モジュール442と、課金モジュール415は課金応答モジュール443と、配布者情報送信モジュール416は配布者情報管理モジュール444とそれぞれやり取りを行う。また、動画送信モジュール418は外部デバイス450とやり取りを行う。
【0052】
なお、動画プレーヤーのこれらの各モジュールは、それぞれ各コードに対応する所定の機能を実現するものである。
【0053】
また、以下の実施例においては、簡略化のために、ひとつのサーバー430内の応答部440に復号鍵応答モジュール441、認証応答モジュール442、課金応答モジュール443、及び配布者情報管理モジュール444をすべて含む例を挙げて説明しているが、各モジュールはそれぞれ別のサーバーに含まれていてもよい。
【0054】
(再生モジュール411)
再生モジュール411は、再生コード211の機能を実現するモジュールであって、復号された動画データを再生する。再生された動画データは、表示機能(図示せず)によりモニター等に表示される。
【0055】
(復号モジュール412)
復号モジュール412は、復号コード212の機能を実現するモジュールであって、図3bでも具体的に示したように、動画再生コード210に埋め込まれた部分データ1、及び部分データ2に対応する変数を参照して暗合化された動画データを取得し、当該取得した暗号化された動画データを復号する。すなわち、復号モジュール412で復号された動画データを再生モジュール411が取得し、上記のように再生モジュール411が再生することとなる。
【0056】
ここでは簡略化のために動画データが部分データ1、及び部分データ2の2つに分割される例を示したが、動画データは必ずしも2つに分割されるものではなく、2以上の任意の個数に分割することが可能である。
【0057】
なお、動画データが暗合化されていない場合、当該機能のうち、変数を参照して暗合化された動画データを取得する機能部分については前述の再生モジュール411が有する。
【0058】
以上の再生モジュール411、及び復号モジュール412の2つのモジュールを備えることで、当該動画プレーヤー410は暗号化された動画データを再生できる。また、当該動画プレーヤー410は動画再生用の実行形式プログラムを実行することで実現できるものであり、動画再生ソフトと動画データを一体にしてユーザに配布するので、新たに動画データを配布する際に最新の動画再生ソフトをひもづけて配布することが可能となり、ユーザ側での動画再生ソフトのアップデートなどのメンテナンスの手間が省けるといった効果を奏することができる。
【0059】
(復号鍵取得モジュール413)
復号鍵取得モジュール413は、復号鍵取得コード213の機能を実現するモジュールであって、暗号化された動画データの復号に用いる復号鍵を、復号鍵格納部として機能するサーバー430内の復号鍵応答モジュール441から取得するため、復号鍵応答モジュール441に対して復号鍵を要求する。復号鍵応答モジュール441は、復号鍵取得モジュール413からの要求に応じて、暗号化された動画データの復号に用いる復号鍵を復号鍵取得モジュールへ送信する。
【0060】
このように復号鍵をサーバー430から取得して復号するようにすることで、不正ユーザが復号鍵を入手することを困難にし、ひいてはユーザに配布された動画プレーヤー430を不正ユーザが解析してデータの復号、及び当該動画プレーヤー430に含まる動画データの再生を行うことを妨げることができる。
【0061】
ここでは復号鍵格納部としてサーバー430内の復号鍵応答モジュール441を例に挙げて説明したが、復号鍵応答モジュール441はサーバー430以外にもUSBメモリ、光ディスク、磁気ディスクなどの記憶媒体に記録されたプログラム等により実現されてもよい。この場合、サーバー430に復号鍵応答モジュール441を配置すれば当該モジュールを一箇所、又は比較的少数な箇所で管理することができる効果があるのに対し、USBメモリ等の記憶媒体に復号鍵応答モジュール441を実現するプログラムを記録した場合、サーバーと比較して正規ユーザ以外が当該USBメモリ等にアクセスしづらく、正規ユーザ以外の動画視聴をより効果的に抑制することができる。
【0062】
(認証モジュール414)
認証モジュール414は、認証コード214の機能を実現するモジュールであって、認証応答部として機能するサーバー430内の認証応答モジュール442に対して認証要求を送信して、認証結果を受信する。認証応答モジュール442は、認証モジュール414から認証要求を受信し、ユーザIDとパスワードなどによって認証要求者が正規ユーザかどうかを認証する。当該認証応答モジュール442は、認証要求者が正規ユーザであると判断した場合にのみ、上記復号鍵応答モジュール441から復号鍵取得モジュール413への復号鍵の送信が行われるようにすることができる。
【0063】
このように復号鍵の送信の前に認証モジュール414と認証応答モジュール442との間での認証処理を行うことで、サーバー側で認証要求者が正規ユーザかどうかの認証が可能となり、視聴する権利を持たない不正ユーザが動画データを再生することを防止することができる。
【0064】
なお、当該認証応答モジュール442での認証は、復号鍵応答モジュール441から復号鍵取得モジュール413への復号鍵の送信を許可するのみでなく、以下で説明する、別のモジュールによるサーバー430からユーザ端末400への情報送信の許可のために行われてもよい。
【0065】
(課金モジュール415)
課金モジュール415は、課金コード215の機能を実現するモジュールであって、課金応答部として機能するサーバー430内の課金応答モジュール443に対して認証のための料金支払処理を行うため、必要なユーザ情報を送付する。課金応答モジュール443は当該ユーザ情報をサーバー430内に登録し、適正な料金支払処理(課金処理)が行われたこと、又は当該ユーザが以前に既に料金支払処理(課金処理)を済ませていたことを確認した後、上記復号鍵応答モジュール441から復号鍵取得モジュール413への復号鍵の送信が行われるようにすることができる。
【0066】
このように復号鍵の送信の前に支払処理(課金処理)を行うことで、課金されることなく復号鍵を取得することが困難となり、視聴する権利を持たない不正ユーザが暗合化された動画データを復号して再生することを防止することができる。
【0067】
なお、当該課金モジュール415での認証は、復号鍵応答モジュール441から復号鍵取得モジュール413への復号鍵の送信を許可するのみでなく、以下で説明する、別のモジュールによるサーバー430からユーザ端末400への情報送信の許可のために行われてもよい。
【0068】
(配布者情報送信モジュール416)
配布者情報送信モジュール416は、配布者情報送信コード216の機能を実現するモジュールであって、配布者情報管理部として機能するサーバー430内の配布者情報管理モジュール444に対して、当該動画プレーヤープログラム(動画データを含む)の配布者を特定する配布者情報を送信する。配布者情報は、コード生成部150において動画再生コードを生成する際に埋め込まれる。一方で、サーバー430内の配布者情報管理モジュール444は、配布者情報送信モジュール416から受信した配布者情報を記憶する。当該配布者情報は、動画プレーヤープログラム(動画データを含む)が誰によって配布されるものであるかを示す情報で、かかる情報をサーバーで管理することで、例えば当該配布者に対して支払いを行って当該動画データを視聴したユーザに対する課金の一部を、当該配布者にマージンとして支払うようにすることなどが可能である。これにより配布者は、P2Pネットワークや自身のサーバー、メディアなどを用いて動画再生コード(動画プレーヤーを含む)を配布する動機ができる。
【0069】
なお、配布者情報はその用途に応じて、動画プレーヤープログラムを配布する者に関する情報に加えて、又はそれに代えて、動画データの著作者情報、動画データを含む動画再生コードを生成した者の情報、又は動画プレーヤープログラムを生成した者の情報など、必要な者の情報を含ませることが可能である。
【0070】
(自己配信モジュール417)
自己配信モジュール417は、自己配信コード217の機能を実現するモジュールであって、動画プレーヤープログラム(動画データを含む)を、P2Pネットワークを使って配信できる状態にすることができる。配信できる状態にするとは、例えば、他端末のP2Pソフトウェアから自己端末が参照された場合に参照の対象となる、送信対象フォルダに当該動画プレーヤープログラムを保存することなどにより実現できる。これによれば、当該動画再生プレーヤープログラム(動画データを含む)を配信するユーザを増加させることで、配信サーバーを増強することなく、配信サーバーが増強されたのと同様の効果を生むことができる。
【0071】
なお、当該自己配信モジュール417の機能については、従来存在するP2Pソフトウェア等に含まれた自己配信モジュールにより実現可能である。
【0072】
(動画送信モジュール418)
動画送信モジュール418は、動画送信コード218の機能を実現するモジュールであって、ユーザ端末400で動画プレーヤー410を用いて再生した再生動画を表示させるため、外部デバイス450に送信する。外部デバイス450は例えばTVモニター、又は携帯端末などである。ユーザ端末400としてのPC端末などで再生した動画を当該TVモニターや携帯端末で表示し、視聴することができる。さらに、当該動画送信モジュール418は、外部デバイス450である携帯端末などに対して、動画データのファイル形式を当該携帯端末が再生可能な形式に変換した上で、当該携帯端末に当該動画データをコピーすることも可能である。
【0073】
なお、当該動画送信モジュール418の機能については、従来存在するBluetooth機器等に含まれた動画送信モジュールにより実現可能である。
【0074】
以上、本発明の実施例を具体例を挙げながら説明した。実施例では多数のコード、及びモジュールを説明したが、各コード、及びモジュールは必ずしもすべてが動画再生コード、又は動画プレーヤーに含まれる必要は無く、矛盾を生じない範囲の任意の組み合わせで用いることが可能である。
【0075】
(暗号化方式等の具体例)
次に、本発明の実施例で用いられる暗号化方式等について、図5乃至図14を参照し、以下の通り具体例を挙げながら説明する。
【0076】
(図5、図6)
まず、図5、及び図6を用いて、復号モジュール412で復号される、暗号化された動画データの第1の具体例を示す。図5において、500は暗号化された動画データを示す。すなわち暗合化された動画データ500は、時間tの経過に応じて3種類の暗号化方式A、暗号化方式B、及び暗号化方式Cをそれぞれ採用して暗号化された、暗号化部分a、暗号化部分b、及び暗号化部分cからなる。より具体的には、それぞれの暗号化部分は、例えば0秒から60秒までは暗号化方式Aにより暗号化され、60秒から120秒までは暗号化方式Bにより暗号化され、120秒から180秒までは暗号化方式Cにより暗号化されている。なお、この暗号化方式の変化ポイントとしての時刻、又はフレームは、前述の動画データを部分データ1、部分データ2に分割するポイントとは独立して設定することができる。また、当該変化ポイントしての時刻等が、動画データの分割ポイントとは独立して設定できる点は、以下のすべての暗号化方式について同様である。
【0077】
図6は、ユーザ端末400で実行される動画プレーヤー410が当該暗号化された動画データを復号するための構成を示すものである。動画プレーヤー410は、再生モジュール411、及び復号モジュール412を含む。動画プレーヤー410に含まれた復号モジュール412は、インターネット420を介してサーバー430の応答部440に含まれた復号情報送信モジュール600に対して復号情報の要求を行う。復号化情報送信モジュール600は、当該復号するために必要な復号情報を、配布された動画プレーヤープログラムと関連づけて管理する復号情報テーブルを有しており、復号モジュール412からの要求に応答して、復号モジュール412に上記暗号化部分a、b、及びcを復号するために必要な復号情報を送信する。これによって復号モジュール412は、復号するために必要な復号情報を、復号情報格納部として機能するサーバー430内の復号化情報送信モジュール600から取得することができる。復号するために必要な復号情報は、例えばどの時刻、又はフレームにどの暗号化方式が用いられているのかを特定する情報である。復号情報はさらにどの復号鍵を使用すべきか指定する情報を含むことができ、この場合、動画プレーヤー410は図4で説明した復号鍵取得モジュール413をさらに含む一方、サーバー430の応答部440は復号鍵応答モジュール441をさらに含む。復号鍵取得モジュール413と復号鍵応答モジュール441の機能については前述の通りである。
【0078】
かかる構成によれば、復号情報を得ることなく復号することが困難であるため、当該動画プレーヤー410が含む動画データの暗号解読の難易度を高めることができ、不正ユーザが動画データを不正に視聴することを防ぐことができる。
【0079】
ここで、動画データの暗合化方式の組み合わせ、及び変化ポイントは、それぞれ配布する動画データ毎に異ならせる方法を取ることが可能である。
【0080】
かかる方法によれば、それぞれ配布される動画データ毎に暗合化方式の組み合わせが異なり、その組み合わせは多数存在するため、ある動画プレーヤーについての暗号化方式の組み合わせパターンが解読されたとしても、その解読したパターンを別の動画プレーヤーに同様に適用して解読することができなくなる。したがって、仮に不正ユーザが動画プレーヤーから動画データをリッピングすることに成功したとしても、リッピングした動画データ毎に特有の暗合化方式のパターンは容易に解読することができず、動画プレーヤーに埋め込まれた動画データの保護を強化できるという効果を奏する。
【0081】
なお、復号情報送信モジュール600は、復号情報を送信する前に認証、又は課金処理を行うことも可能であり、この場合、動画プレーヤー410は認証モジュール414、又は課金モジュール415を、応答部440は対応する認証応答モジュール442、又は課金応答モジュール443をそれぞれ含む。それぞれのモジュールの機能は前述の通りである。
【0082】
(図7)
次に、図7を用いて、暗号化された動画データの第2の具体例を示す。図7において、700は暗号化された動画データを示す。動画データ700は、時間tの経過に応じて3種類の範囲暗号化A2、範囲暗号化B2、及び範囲暗号化C2の暗号化方式をそれぞれ採用して暗号化された暗号化部分a2、暗号化部分b2、及び暗号化部分c2からなる。ここでの暗号化は、動画データの所定の範囲のみに対する暗号化を行っている。より具体的には、暗号化された動画データ710〜730において、動画データ710では左側のみ、動画データ720では中央のみ、動画データ730では右側のみの網掛けされた部分が暗号化されている。さらに、この暗号化は動画データに一定間隔で挿入された基準となる特定フレーム(例えばIフレーム)のみに対して適用される。
【0083】
当該暗号化された動画データの復号は、図6と同様の機能を有する復号モジュール412と復号情報送信モジュール600との情報の受送信によって行われる。すなわち、復号モジュール412は、復号情報送信モジュール600から当該暗号化を復号するための特定フレーム、及び特定範囲情報を含む復号情報を、復号情報格納部として機能するサーバー430内の復号化情報送信モジュール600から取得することができる。復号情報はさらにどの復号鍵を使用すべきか指定する情報を含むことができ、この場合、動画プレーヤー410は図4で説明した復号鍵取得モジュール413をさらに含む一方、サーバー430の応答部440は復号鍵応答モジュール441をさらに含む。復号鍵取得モジュール413と復号鍵応答モジュール441の機能はそれぞれ前述の通りである。
【0084】
かかる構成によれば、前述の第1の具体例の効果に加え、動画プレーヤー410では動画データの一部のみを復号すればよいため、当該動画プレーヤー410における動画データの復号処理時のユーザ端末400のマシン負荷を軽減することができ、比較的性能の低いユーザ端末であってもスムーズに動画の再生を行うことができるという効果を奏する。
【0085】
また、基準となるフレームのみに対して暗号化を行うことで、上記のように復号処理時の負荷を軽減しつつも、動画全体としての適切な復号を不可能とし、不正な再生を防止することができる。
【0086】
なお、当該範囲暗号化は、常に特定の基準となるフレームのみに対して行われる必要は無く、例えばすべてのフレームに対して行うようにしてもよいし、IフレームとPフレームに対して行うようにしてもよく、この場合でも一定の効果を奏する。ただし、Iフレームのみのように、限定された部分に対して暗合化を行う場合、マシン負荷の軽減に大きく貢献できるという効果を奏する。
【0087】
また、ここでも復号情報送信モジュール600は、復号情報を送信する前に認証、又は課金処理を行うことが可能であり、この場合、動画プレーヤー410は認証モジュール414、又は課金モジュール415を、応答部440は対応する認証応答モジュール442、又は課金応答モジュール443をそれぞれ含む。それぞれのモジュールの機能は前述の通りである。
【0088】
(図8、図9)
次に、図8、及び図9を用いて、特定範囲のデータが欠落した動画データの再生処理についての具体例を示す。図8において、800は特定範囲のデータを欠落させた動画データを示す。すなわち、動画データ800は、時間tの経過に応じた3種類の欠落動画データA3、欠落動画データB3、及び欠落動画データC3からなる。810〜830はそれぞれ欠落動画データA3、B3、及びC3の一例である。欠落動画データA3(810)においては左側、欠落動画データB3(820)においては中央、欠落動画データC3(830)においては右側の一部分の動画データが欠落している。
【0089】
図9は、ユーザ端末400で実行される動画プレーヤー410が当該特定範囲のデータが欠落した動画データを再生するための構成を示すもので、当該動画プレーヤー410は、再生モジュール411、復号モジュール412、及び欠落データ取得モジュール900を含む。動画プレーヤー410に含まれた欠落データ取得モジュール900は、対応する欠落データ取得コード(図示せず)の機能を実現するモジュールであり、インターネット420を介してサーバー430の応答部440に含まれた欠落データ送信モジュール910に対して欠落データの要求を行う。欠落データ送信モジュール910は、欠落データに関する情報を動画プレーヤープログラムと関連付けて管理する欠落データ情報テーブルを有しており、欠落データ取得モジュール900からの要求に応答して、上記欠落動画データA3、B3、及びC3を再生するための、当該欠落データについての特定範囲を示す欠落データ情報、及び欠落データを欠落データ取得モジュール900に送信する。このようにして、欠落データ取得モジュール900は、当該欠落データについての特定範囲を示す欠落データ情報、及び欠落データを、欠落データ格納部として機能するサーバー430内の欠落データ送信モジュール910から取得することができる。
【0090】
かかる構成によれば、サーバー430から欠落データ情報、及び欠落データを取得することなく動画プレーヤー410に含まれた動画データを再生することが不可能となり、不正ユーザが当該動画プレーヤー410に含まれた動画データを不正に復号して再生することを防止することができるという効果を奏する。
【0091】
なお、欠落データ送信モジュール910は、欠落データ情報、及び欠落データを欠落データ取得モジュール900に送信する前に認証、又は課金処理を行うことが可能であり、この場合、動画プレーヤー410は認証モジュール414、又は課金モジュール415を、応答部440は対応する認証応答モジュール442、又は課金応答モジュール443をそれぞれ含む。それぞれのモジュールの機能は前述の通りである。
【0092】
(図10、図11)
次に、図10、及び図11を用いて、特定範囲にダミーデータを挿入した動画データの再生処理についての具体例を示す。図10において、1000は特定範囲にダミーデータを挿入した動画データを示す。すなわち、動画データ1000は、時間tの経過に応じた3種類のダミー挿入動画データA4、ダミー挿入動画データB4、及びダミー挿入動画データC4からなる。1010〜1030はそれぞれダミー挿入動画データA4、B4、及びC4の一例である。ダミー挿入動画データA4(1010)においては左側、ダミー挿入動画データB4(1020)においては中央、ダミー挿入動画データC4(1030)においては右側の一部にダミーデータが挿入されている。
【0093】
図11は、ユーザ端末400で実行される動画プレーヤー410が当該ダミーデータを挿入した動画データを再生するための構成を示すもので、当該動画プレーヤー410は、再生モジュール411、復号モジュール412、及び補完動画取得モジュール1100を含む。動画プレーヤー410に含まれた補完動画取得モジュール1100は、対応する補完動画取得コード(図示せず)の機能を実現するモジュールであり、インターネット420を介してサーバー430の応答部440に含まれた補完動画送信モジュール1110に対して補完データの要求を行う。補完動画送信モジュール1110は、当該補完に必要なダミーデータ情報に関する情報を、動画プレーヤープログラムと関連付けて管理するダミーデータ情報テーブルを有しており、補完動画取得モジュール1100からの要求に応答して、上記ダミー挿入動画データA4、B4、及びC4を再生するための情報を補完動画取得モジュール1100に送信する。このように、補完動画取得モジュール1100は、当該ダミーデータについての特定範囲を示すダミーデータ情報、及びダミーデータと入れ替える補完動画データを、補完データ格納部として機能するサーバー430内の補完動画送信モジュール1110から取得することができる。
【0094】
かかる構成によれば、当該動画プレーヤー410に含まれた動画データを不正に復号して再生することを防止することができると同時に、動画にダミーデータが挿入されていることを、当該動画データを不正に解析しようとする者に気付きかせにくくすることができるという効果を奏する。
【0095】
なお、補完動画送信モジュール1110は、ダミーデータ情報、及び補完動画データを補完動画取得モジュール1100に送信する前に認証、又は課金処理を行うことが可能であり、この場合、動画プレーヤー410は認証モジュール414、又は課金モジュール415を、応答部440は対応する認証応答モジュール442、又は課金応答モジュール443をそれぞれ含む。それぞれのモジュールの機能は前述の通りである。
【0096】
(図12、図13)
次に、図12、及び図13を用いて、再生順序を入れ替えられた動画データの再生処理についての具体例を示す。図12において、1200は再生順序を入れ替えられた動画データを示す。すなわち、動画データ1200は、時間tの経過に応じた動画データC5、動画データA5、及び動画データB5からなる。1210〜1230はそれぞれ動画データC5、A5、及びC5の一例である。ここで、実際の動画の再生順序は動画データA5、B5、C5の順であるにも関わらず、動画データ1200では再生順序が入れ替えられている。
【0097】
図13は、ユーザ端末400で実行される動画プレーヤー410が、当該再生順序が入れ替えられた動画データを再生するための構成を示すもので、当該動画プレーヤー410は、再生モジュール411、復号モジュール412、及び再生順序取得モジュール1300を含む。動画プレーヤー410に含まれた再生順序取得モジュール1300は、対応する再生順序取得コード(図示せず)の機能を実現するモジュールであり、インターネット420を介してサーバー430の応答部440に含まれた再生順序送信モジュール1310に対して正しい再生順序を示す情報の要求を行う。再生順序送信モジュール1310は、正しい再生順序を示す情報と動画プレーヤープログラムとを関連付ける情報のテーブルを有しており、再生順序取得モジュール1330からの要求に応答して、上記動画データC5、A5、及びB5の正しい再生順序を示す情報を再生順序取得モジュール1300に送信する。このようにして、再生順序取得モジュール1300は、当該再生順序が入れ替えられた動画データの正しい再生順序を示す情報を、再生順序格納部として機能するサーバー430内の再生順序送信モジュール1310から取得することができる。
【0098】
かかる構成によれば、サーバーから正しい再生順序を示す情報を取得しない限り動画データを正しい再生順序で再生することができず、当該動画プレーヤー410に含まれた動画データを不正に再生することを妨げることができる。特に、動画データのシーンの移り変わりのポイント(フレーム)に合わせて再生順序を入れ替えることで、再生順序を予測することが困難にすることで、仮に不正ユーザが動画データのリッピングに成功したとしても、適切な再生順序での再生を防止することができるという効果を奏する。
【0099】
なお、再生順序送信モジュール1310は、再生順序が入れ替えられた動画データの正しい再生順序を示す情報を再生順序取得モジュール1300に送信する前に、認証、又は課金処理を行うことが可能であり、この場合、動画プレーヤー410は認証モジュール414、又は課金モジュール415を、応答部440は対応する認証応答モジュール442、又は課金応答モジュール443をそれぞれ含む。それぞれのモジュールの機能は前述の通りである。
【0100】
(図14)
次に、図14を用いて、特定範囲のみが暗号化された動画データについて、暗号化された部分を動画復号部で復号する場合の具体例を示す。図14は、ユーザ端末400で実行される動画プレーヤー410が、特定フレームの特定範囲のみが暗号化された動画データを再生するための構成を示すもので、当該動画プレーヤー410は、再生モジュール411、及び暗号化部分受送信モジュール1400を含む。動画プレーヤー410に含まれた暗号化部分受送信モジュール1400は、対応する暗号化部分受送信コード(図示せず)の機能を実現するためのモジュールであり、インターネット420を介してサーバー430の応答部440に含まれた、動画復号部として機能する復号モジュール1410に、暗号化された動画データの暗号化部分を送信する。復号モジュール1410は、受信した動画データを復号するための情報を示す復号情報テーブルを有しており、受信した、暗号化された動画データを、当該復号情報テーブルを参照して復号し、暗号化部分受送信モジュール1400に送信する。このようにして暗号化部分受送信モジュール1400は、暗号化された動画データの暗号化部分を動画復号部として機能するサーバー430内の復号モジュール1410に送信し、復号された動画データを受信することができる。
【0101】
かかる構成によれば、動画プレーヤーに復号のアルゴリズムが格納されていないことにより、暗号、及び復号アルゴリズムの解析や復号鍵の不正取得が困難になり、動画データの不正な再生を防止することができるという効果を奏する。さらに、暗号化部分を特定範囲に限定することによって、サーバーに対する復号による負荷を軽減することができるという効果を奏する。
【0102】
なお、復号モジュール1410は、受信した動画データの暗号化部分を復号する前に、認証、又は課金処理を行うことが可能であり、この場合、動画プレーヤー410は認証モジュール414、又は課金モジュール415を、応答部440は対応する認証応答モジュール442、又は課金応答モジュール443をそれぞれ含む。それぞれのモジュールの機能は前述の通りである。
【0103】
(変形例)
本発明は、上記実施例に限定されることなく、種々に変形して適用することが可能であり、少なくとも実施例で説明した各モジュール、コード、及び暗号化方法等は、矛盾が生じない範囲で組み合わせて適用することができる。例えば、図13に記載の再生モジュール411、復号モジュール412、及び再生順序取得モジュール1300を含むユーザ端末400の動画プレーヤー410が、図5に記載の動画送信モジュール418をさらに備える構成とし、動画再生の際に外部デバイスで再生する構成などが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】動画配信システムの構成図
【図2a】動画再生テンプレートコードの構成図
【図2b】動画再生コードの構成図
【図3a】動画データ埋め込み前の動画再生テンプレートコードの一例を示す図
【図3b】動画データ埋め込み後の動画再生コードの一例を示す図
【図4】ユーザ端末中の動画プレーヤー、及びサーバー中の応答部の構成図
【図5】暗号化された動画データの第1の具体例を示す図
【図6】暗号化された動画データを復号するための構成図
【図7】暗号化された動画データの第2の具体例を示す図
【図8】特定範囲のデータが欠落した動画データを示す図
【図9】特定範囲のデータが欠落した動画データを再生するための構成図
【図10】ダミーデータを挿入した動画データを示す図
【図11】ダミーデータを挿入した動画データを再生するための構成図
【図12】再生順序を入れ替えられた動画データを示す図
【図13】再生順序を入れ替えられた動画データを再生するための構成図
【図14】暗合化された動画データをサーバーで復号するための構成図
【符号の説明】
【0105】
100・・・動画再生コード生成装置
110・・・データ取得部
120・・・動画データ格納部
130・・・コード取得部
140・・・動画再生テンプレートコード格納部
150・・・コード生成部
160・・・実行ファイル生成部
170・・・配信部
200・・・動画再生テンプレートコード
210・・・動画再生コード
211a・・・再生テンプレートコード
211b・・・再生コード
212・・・復号コード
213・・・復号鍵取得コード
214・・・認証コード
215・・・課金コード
216・・・配布者情報送信コード
217・・・自己配信コード
218・・・動画送信コード
220・・・動画データ
221・・・部分データ1
222・・・部分データ2
400・・・ユーザ端末
410・・・動画プレーヤー
411・・・再生モジュール
412・・・復号モジュール
413・・・復号鍵取得モジュール
414・・・認証モジュール
415・・・課金モジュール
416・・・配布者情報送信モジュール
420・・・インターネット
430・・・サーバー
440・・・応答部
441・・・復号鍵応答モジュール
442・・・認証応答モジュール
443・・・課金応答モジュール
444・・・配布者情報管理モジュール
450・・・外部デバイス
600・・・復号情報送信モジュール
900・・・欠落データ取得モジュール
910・・・欠落データ送信モジュール
1100・・・補完動画取得モジュール
1110・・・補完動画送信モジュール
1300・・・再生順序取得モジュール
1310・・・再生順序送信モジュール
1400・・・暗合化部分受送信モジュール
1410・・・復号モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画データを取得するデータ取得部と、
コード内の変数に格納される動画データを再生可能に構成される動画再生テンプレートコードを取得するコード取得部と、
前記取得した動画データを2以上の部分データに分割し、前記部分データをそれぞれ異なる前記変数の変数値として前記取得した動画再生テンプレートコードに埋め込み、前記取得した動画データ専用の動画再生コードを生成するコード生成部とを備える動画再生コード生成装置。
【請求項2】
前記変数に格納される動画データは、暗号化された動画データであり、
前記動画再生テンプレートコードは、前記変数を参照して暗号化された動画データを取得し、当該取得した暗号化された動画データを復号する復号コードと、前記復号した動画データを再生する再生コードとを備える請求項1に記載の動画再生コード生成装置。
【請求項3】
前記暗号化された動画データは、復号するために復号鍵を要するものであり、
前記動画再生テンプレートコードはさらに、前記暗号化された動画データの復号に用いる復号鍵を、復号鍵格納部から取得する復号鍵取得コードを備える請求項2に記載の動画再生コード生成装置。
【請求項4】
前記動画再生テンプレートコードはさらに、認証応答部に対して認証要求を送信して認証結果を受信する認証コードを備える請求項1から3のいずれかに記載の動画再生コード生成装置。
【請求項5】
前記動画再生テンプレートコードはさらに、課金応答部に対して認証のための料金支払処理を行う課金コードを備える請求項4に記載の動画再生コード生成装置。
【請求項6】
前記動画再生テンプレートコードはさらに、当該動画データの配布者を特定する配布者情報を配布者情報管理部に対して送信する配布者情報送信コードを備える請求項1から5のいずれかに記載の動画再生コード生成装置。
【請求項7】
前記暗号化された動画データが、第1の暗号化方式で暗号化された第1の暗号化部分と、第2の暗号化方式で暗号化された第2の暗号化部分とを有し、
前記復号コードはさらに、前記第1の暗号化部分と前記第2の暗号化部分とを復号するために必要な復号情報を復号情報格納部から取得する請求項2から6のいずれかに記載の動画再生コード生成装置。
【請求項8】
前記暗号化された動画データは、動画の特定フレームの特定範囲のみが暗号化されており、
前記復号コードはさらに、前記暗号化を復号するための特定フレーム、及び特定範囲情報を含む復号情報を復号情報格納部から取得する請求項2から6のいずれかに記載の動画再生コード生成装置。
【請求項9】
前記動画データは、動画の特定範囲のデータが欠落しており、
前記動画再生テンプレートコードはさらに、前記欠落データについての特定範囲を示す欠落データ情報、及び欠落データを欠落データ格納部から取得する欠落データ取得コードを備える請求項1から6のいずれかに記載の動画再生コード生成装置。
【請求項10】
前記動画データは、動画の特定範囲にダミーデータが挿入されており、
前記動画再生テンプレートコードはさらに、前記ダミーデータについての特定範囲を示すダミーデータ情報、及びダミーデータと入れ替える補完動画データを補完データ格納部から取得する補完動画取得コードを備える請求項1から6のいずれかに記載の動画再生コード生成装置。
【請求項11】
前記取得した動画データは再生順序が入れ替えられており、
前記動画再生テンプレートコードはさらに、前記再生順序が入れ替えられた動画データの正しい再生順序を示す情報を再生順序格納部から取得する再生順序取得コードを備える請求項1から6のいずれかに記載の動画再生コード生成装置。
【請求項12】
前記動画データは、動画の特定範囲のみが暗号化されており、
前記動画再生テンプレートコードはさらに、前記暗号化された動画データの暗号化部分を動画復号部に送信し、復号された動画データを受信する暗号化部分受送信コードを備える請求項1に記載の動画再生コード生成装置。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれかに記載の動画再生コード生成装置と、
前記生成した動画再生コードをコンパイルして実行ファイルを生成する実行ファイル生成部と、
前記作成した実行ファイルを通信ネットワークを介してユーザ端末に配信する配信部とを備える動画配信システム。
【請求項14】
プログラム内の変数に格納される特定の動画データを専用に再生する実行形式プログラムであって、
前記特定の動画データを2以上に分割した部分データをそれぞれ異なる前記変数の変数値として保持している実行形式プログラム。
【請求項15】
前記特定の動画データは暗号化された暗号化動画データであり、
前記暗号化動画データを復号するための復号モジュール機能をさらに備える請求項14に記載の実行形式プログラム。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の実行形式プログラムを記録した記録媒体。
【請求項17】
暗合化された動画データの再生を援助するためのサーバーであって、
前記暗合化された動画データを復号するために必要な復号情報を管理する復号情報テーブルを有する復号化情報送信モジュールを備え、
前記復号化情報送信モジュールは、前記暗合化された動画データを再生しようとする端末からの要求に応じて、前記復号情報を当該端末に送信することを特徴とするサーバー。
【請求項18】
動画データを取得するデータ取得ステップと、
コード内の変数に格納される動画データを再生可能に構成される動画再生テンプレートコードを取得するコード取得ステップと、
前記取得した動画データを2以上の部分データに分割し、前記部分データをそれぞれ異なる前記変数の変数値として前記取得した動画再生テンプレートコードに埋め込み、前記取得した動画データ専用の動画再生コードを生成するコード生成ステップとを備える動画再生コード生成方法。
【請求項19】
前記変数に格納される動画データは、暗号化された動画データであり、
前記動画再生テンプレートコードは、前記変数を参照して暗号化された動画データを取得し、当該取得した暗号化された動画データを復号する復号コードと、前記復号した動画データを再生する再生コードとを備える請求項18に記載の動画再生コード生成方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−157867(P2010−157867A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334607(P2008−334607)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(500212952)ヴィジョネア株式会社 (16)
【Fターム(参考)】