説明

動画再生装置及び動画再生方法

【課題】動画データを再生するための時間軸を可変に制御することにより、演奏される音楽に合わせて動画を再生表示する動画再生制御システムの提供。
【解決手段】このシステムの或るモードM1では、動画データ再生中、CPU1は、テンポ検出機構TC,TMからの演奏音楽の演奏テンポを表わすテンポクロックに応じた時間軸制御信号を時間軸制御部71に供給する。動画再生部73は、時間軸制御部71により時間軸制御信号に応じて調整された再生速度に従って、単位データ当りの読出し時間を伸縮して動画データをRAM70から読み出してディスプレイ15に出力し、演奏テンポに合わせた動画再生を行う。さらに、音楽の演奏テンポを指示するための操作子TMをユーザによって操作し、操作子の操作位置に応じたテンポクロックを入力することにより、音楽データ及び動画データの両方の再生速度をリアルタイムに制御することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、動画再生のための時間軸を制御し音楽に合わせて動画を再生表示することができる動画再生装置及び動画再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、動画を再生する装置とテンポに応じて音楽を演奏する装置は、それぞれ存在していた。また、動画を再生する際に、単純に2倍に伸ばしたり或いは1/2倍に縮めるというように、簡単な再生速度の変更を行う装置も、ビデオデッキ等にみられるように、存在はしていた。
【0003】
しかしながら、従来の装置においては、音楽のテンポと動画の再生タイミングを合わせることができなかった。また、音楽のテンポと動画の再生タイミングをスタート時に同期再生させて頭だけを合わすことができても、曲の途中でテンポを早くした場合は動画のフレームが余り、遅くした場合はフレームが足りなくなるなどの不都合があった。さらに、ループ再生用の動画素材を、可変するテンポに追随させることも困難であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、このような従来技術の問題点に鑑み、動画の再生中にも時間軸が可変に制御され、演奏される音楽に合わせて動画を再生表示することができる動画再生装置及び動画再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の特徴は、動画データメモリ(70)に記憶されている動画を表わす動画データを再生して表示装置(15)に動画を表示するための動画再生装置及び動画再生方法において、動画データの再生中、音楽の演奏テンポを表わすテンポクロック(MIDIクロック)を入力し(TC)、入力したテンポクロックに応じた読出し速度で動画データメモリ(70)に記憶されている動画データを読み出して表示装置(15)に出力する(71,73)ようにしたことにある〔請求項1,5〕。なお、括弧書きの符号は、理解の便のために、対応する実施例の参照記号又は請求項の番号を併記したものであり、以下においても同様である。
【0006】
この場合、動画データの再生制御(71,73)は、入力したテンポクロックに応じて動画データの再生速度を制御するための再生速度制御信号を生成し、かつ、動画データメモリ(70)に記憶された動画データを、単位データ当たりの読出し時間が生成された再生速度制御信号によって変化する読出しレートで読み出して表示装置(15)に出力するようにされ得る〔請求項2,6〕。この再生速度制御信号は、例えば、動画データの再生における時間軸を制御する時間軸制御情報である。
【0007】
また、さらに、ユーザによって操作されて音楽の演奏テンポを指示するための操作子(TM)を備え、操作子の操作位置に応じたテンポクロックを入力するようにしてもよい〔請求項3,7〕。この場合、操作子(TM)は、直線、円形など一次元方向に変位するもの(例えば、リボンコントローラ)で構成し、この操作子の一次元位置を検出して、この検出位置に応じてテンポクロックを入力するとよい。この音楽の演奏テンポを表わすテンポクロックは、例えば、時間経過に従って配置された楽曲のメロディ、リズム、伴奏などを自動的に演奏するための演奏データの再生速度を表わす。
【0008】
これによれば、或る区間(例えば、フレーム数で表わされる)の動画の再生時間が、演奏中の音楽において対応する区間(例えば、小節、拍、チック数などで表わされる)の長さに追随するように、動画の再生時間軸が音楽の演奏テンポを表わすテンポクロックに応じて制御される。従って、動画の再生中に演奏される音楽の演奏テンポが変化しても、その演奏テンポに合わせた動画再生が可能になる。
【0009】
さらに、この発明の他の特徴は、再生制御によって読み出された動画データと、別途入力した動画データとを合成して表示装置(15)に出力するようにしたことにある〔請求項4,8〕。この場合、別途入力する動画データとしては、例えば、映像再生器(14)からの動画データを利用することができる。これによれば、映像演出効果を更に高めた動画を出力することができる。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、上述したように、動画データの再生中、音楽の演奏テンポを表わすテンポクロックを入力し、入力したテンポクロックに応じた読出し速度で動画データメモリに記憶されている動画データを読み出して表示装置に出力するようにしているので、或る区間の動画の再生時間が、演奏中の音楽において対応する区間の長さに追随するように、動画の再生時間軸が音楽の演奏テンポを表わすテンポクロックに応じて制御され、動画再生中に演奏される音楽の演奏テンポが変化しても、その演奏テンポに合わせた動画再生が可能になる。
【0011】
また、この発明によれば、さらに、リボンコントローラなどの操作子に対する指のタッチ操作に応じて、音楽データと動画データの再生速度を両方ともリアルタイムに制御することができる。例えば、連続的にタッチ操作すればタッチ位置に応じて再生速度が連続的に変化し、指を離せば最後のタッチ位置に応じた再生速度を保ち、また、再タッチした場合は、それまでの再生速度から再タッチ位置に応じた再生速度にジャンプするなどの制御を行うことができる。
【0012】
さらに、この発明によれば、再生制御によって読み出された動画データと別途入力した動画データ(例えば、映像再生器からの動画データ)とを合成して表示装置に出力するようにしているので、映像演出効果を更に高めた動画を出力することができる。
【0013】
〔種々の特徴〕
また、上述した課題(目的)に対応してこの明細書に記載された種々の発明の実施に関する別の特徴により次の〔1〕〜〔3〕のように構成することができる:
〔1〕一連の音楽データ中の少なくとも1箇所の音楽データと、一連の動画データ中の少なくとも1箇所の動画データとの再生タイミングの一致を指定するためのタイミングセット情報(TS)を出力し、かつ、出力されたタイミングセット情報(TS)に基づいて、少なくとも1箇所の動画データの再生タイミングを少なくとも1箇所の音楽データの再生タイミングに一致させるように、動画データメモリ(70)に記憶されている動画データの読出しタイミングを制御して、読み出した動画データを表示装置(15)に出力するように構成すること。
【0014】
〔2〕一連の音楽データ中の少なくとも2箇所の音楽データと、一連の動画データ中の少なくとも2箇所の動画データとの再生タイミングの一致を指定するためのタイミングセット情報(TS)を出力し、かつ、出力されたタイミングセット情報(TS)に基づいて、少なくとも2箇所の動画データの再生タイミングを少なくとも2箇所の音楽データの再生タイミングに一致させるように、動画データメモリ(70)に記憶されている動画データの読出しタイミング及び読出し速度を制御して、読み出した動画データを表示装置(15)に出力するように構成すること。
【0015】
これら〔1〕,〔2〕の場合、タイミングセット情報(TS)は、例えば、動画データの特定フレームに対応させて、音楽データにおける特定の演奏タイミングを表わすものである。見方を逆にすれば、音楽データにおける特定の演奏タイミングに対応させて、動画データの特定フレームを表わすものである。そして、この特定の演奏タイミングは、演奏開始後の絶対時間、小節、拍又はチック数を用いて表わされる。また、音楽データとしては、時間経過に従って配置された楽曲のメロディ、リズム、伴奏などを自動的に演奏するための演奏データを用いることができる。
【0016】
これら〔1〕,〔2〕の構成によれば、音楽のテンポ変化に拘わらず、所望の動画フレームを所望部分の音楽演奏に同期させて再生することができる。また、動画のつなぎ目部分を破綻させないようにしながら動画を再生することができるため、ループ再生用の動画素材をも使用することができる。従って、例えば、音楽のアクセント部分と動画の或るフレームとの同期をリアルタイム作業の中で簡単に行うことができるので、さらに、演奏及び再生現場でのバリエーションの幅を広げることができる。
【0017】
特に、VJ(VisuaI Jockey )用に動画をループ再生する場合、テンポに合わせて幾つもの動画素材を用意したりすることなく、お気に入りのループ素材を使用してどんなテンポにも対応することができるようになる。従って、事前の打ち合わせや編集が難しいDJ(Disc Jockey )&VJの関係も、演奏及び再生現場においてVJ側で臨機応変に対処することができる。
【0018】
〔3〕上述した〔1〕,〔2〕の構成において、再生制御によって読み出された動画データと、別途入力した動画データとを合成して表示装置(15)に出力するように構成すること。この場合、別途入力する動画データとしては、例えば、映像再生器(14)からの動画データを利用することができる。この〔3〕の構成によれば、映像演出効果を更に高めた動画を出力することができる。
【0019】
さらに、別の観点から、以下の(1)〜(3)のように構成することもできる:
(1)動画情報を記憶する動画記憶手段と、動画の再生中に可変の時間軸制御信号を入力する制御入力手段と、時間軸制御信号に応じて動画の再生速度を制御する動画再生速度制御手段と、再生速度に応じて情報単位当りの読出し時間を伸縮し動画記憶手段から動画情報を読み出す動画読出し手段と、読み出された動画情報を表示装置に出力する動画出力手段とを具備する動画時間軸制御指示装置。この動画時間軸制御指示装置においては、制御入力手段は、時間軸制御信号としてテンポクロックを入力し、動画再生速度制御手段は、テンポクロックに応じて動画の再生速度を制御するか、或いは、制御入力手段は、時間軸制御信号としてタイムコードを入力し、動画再生速度制御手段は、タイムコードに応じて動画の再生速度を制御するように構成することができる。さらに、動画の再生速度の緩急を指示する操作子と、操作子の操作を検出する検出手段とを備え、制御入力手段は、検出された操作子の操作に基づく時間軸制御信号を入力するように構成することができる。また、この場合、操作子は1次元位置検出形操作子であることが好ましい。
【0020】
(2)動画情報を記憶する動画記憶手段と、動画情報の再生タイミングについて、複数の特定再生タイミングを指定する再生タイミング指定手段と、楽音情報の演奏タイミングについて、複数の特定演奏タイミングを指定する演奏タイミング指定手段と、指定された特定再生タイミング及び特定演奏タイミングに基づいて、各特定再生タイミングを各特定演奏タイミングに対応するように調整すると共に、各特定再生タイミング間における複数の中間再生タイミングを演算する再生タイミング調整手段と、調整された特定再生タイミング及び演算された中間再生タイミングで動画情報を読み出す動画読出し手段と、読み出された動画情報を表示装置に出力する動画出力手段とを具備する動画時間軸制御指示装置。
【0021】
(3)上述した(1)及び(2)の動画時間軸制御指示装置において、さらに、別に入力される動画情報と、動画記憶手段から動画読出し手段によって読み出された動画情報を合成する動画合成手段を具備する動画時間軸制御指示装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、この発明の好適な実施例を詳述する。なお、以下の実施例は単なる一例であって、この発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0023】
〔ハードウエア構成〕
図1には、この発明の一実施例による動画再生制御システム(「動画時間軸制御指示システム」とも呼ばれる。)のハードウエア構成のブロック図が示されている。このシステムの例では、パーソナルコンピュータ(PC)を利用して動画時間軸制御指示を含む各種処理を行わせる構成がとられている。システムは、中央処理装置(CPU)1、読出専用メモリ(ROM)2、本体側ランダムアクセスメモリ(本体RAM)3、外部記憶装置4、検出回路5、表示回路6などの本体PCの要素の外に、動画処理回路7、MIDIインターフェース(MIDII/F)8、通信インターフェース(通信I/F)9などを備え、これらの装置1〜9は、バス10を介して互いに接続されている。
【0024】
システム全体を制御するCPU1は、所定のソフトウエア・プログラムに従いタイマ11による時間計測を利用して種々の制御を行い、特に、後述する動画時間軸制御指示などの処理を管理する。ROM2には、このシステムを制御するための所定の制御プログラムが記憶されている。これらの制御プログラムは、基本的な情報処理と共に、この発明による動画時間軸制御指示などの処理を管理するためのプログラム、各種テーブル、各種データなどを含む。本体RAM3は、各種処理に際して必要なデータやパラメータを記憶する一時記憶部として機能する。
【0025】
外部記憶装置4は、ハードディスク(HD)の外に、コンパクトディスク・リード・オンリィ・メモリ(CD−ROM)、フレキシブルディスク(FD)、光磁気(MO)ディスク、ディジタル多目的ディスク(DVD)、ZIP、半導体メモリ等の可搬型記憶媒体を用いた装置から成り、各種制御プログラムや各種データを記憶することができる。従って、動画時間軸制御指示などに必要なプログラムや各種データは、ROM2ばかりでなく、必要に応じて、外部記憶装置4からRAM4内に読み込まれ、また、処理結果が外部記憶装置4に記録され得る。
【0026】
検出回路5にはパネル操作子装置12が接続され、パネル操作子装置12は、各種のスイッチやキー、その他のタイプの操作子を備える。これらの操作子は、パネル操作子とも呼ばれ、動画時間軸制御指示などの処理のために、ユーザが動画の再生モードなどの各種設定や指示の情報をシステムに入力するために用いられる。例えば、モードスイッチ(M1,M2)は、動画の再生モードを切り換えるために設けられ、リボンコントローラ(操作指が接触している1次元位置を検出するリニア操作型パッド操作子)は、音楽及び動画の進行速度をリアルタイムで操作するためのリアルタイム操作子として設けられる。
【0027】
表示回路6は、LCDなどで構成された本体ディスプレイ13や、各種インジケータの表示状態を制御する。本体ディスプレイ13の表示状態に関連して、ユーザがパネル操作子装置13の操作子を操作することにより、動画時間軸制御指示に関する設定や指示が行われる。そして、上述したこれらの要素1〜6、10〜13により本体システム(又は本体PC)が構成される。
【0028】
動画処理回路7は専用RAMを有している。動画処理回路7には、VTRやビデオディスク再生器などの映像再生器14、及び、CRTやプロジェクタのような比較的大きな画面をもつ映像ディスプレイ15が接続される。動画処理回路7は、映像再生器14からのビデオ信号(動画映像信号)を処理して所定の再生速度で動画情報を再生し、この動画情報に基づく映像を映像ディスプレイ15に表示させる。そして、これらの動画処理回路7、映像再生器14及び映像ディスプレイ15によって動画再生システムが構成される。
【0029】
なお、動画処理回路7の入力部には、A/D変換器が内蔵されており、映像再生器14から出力されたアナログ形式のビデオ信号は、この入力部にてディジタル形式のビデオ信号(動画情報)に変換される。そして、動画処理回路7内においては、変換されたディジタル形式の動画情報に対して各種処理が施される。また、動画処理回路7の出力部には、D/A変換器が内蔵されており、動画処理回路7にて処理されたディジタル形式の動画情報がアナログ形式のビデオ信号に変換されて映像ディスプレイ15に出力される。
【0030】
MIDIインターフェース(I/F)8には、音楽データ(music data)を発生するシーケンサやパーソナルコンピュータ(PC)などで構成されるMIDI機器16が接続される。MIDI機器16には、音源回路(tone signal generator)17が接続される。
音源回路17は、入力された音楽データに基づいて楽音信号(tone signal )を形成して出力する。音源回路17には、ディジタル・シグナル・プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)やスピーカを含むサウンドシステム18が接続される。
【0031】
サウンドシステム18は、入力された楽音信号に種々の音楽的効果(musical effect)を付与してこの音楽的効果が付与された楽音信号に対応した楽音(musical sound )を発生する。MIDI機器16は、自身のもつ音楽データ(音楽情報)に加えて、例えば、ROM2や外部記憶装置4に記憶されている音楽データ(音楽情報)も、音源回路17に出力することができる。従って、ROM2や外部記憶装置4に記憶されている音楽データに基づく楽音信号に対応した楽音も、サウンドシステム18から発生される。
【0032】
ここで、音楽データは、例えば、スタンダードMIDIファイル(SMF)形式の自動演奏データ(automatic performance data)であり、MIDI機器16は該自動演奏データを再生する。音楽データ(自動演奏データ)の再生に当っては、音楽データに付随するタイムコードやテンポクロック(MIDIクロック)指令、或いは、リアルタイム操作子(12)の指示などに従って、再生のテンポが制御される。そして、これらのMIDI機器16、音源17及びサウンドシステム18によって音楽演奏システムが構成される。
【0033】
なお、タイムコードとは、自動演奏データの再生開始から絶対的な時間を基準にして定期的に与えられるタイミング信号であり、このタイムコードは、自動演奏データの再生開始からの時間を表わす時間情報(時、分、秒)を含む。また、テンポクロックは、音楽のテンポに対応した時間間隔で定期的に与えられるタイミング信号であり、例えば、4分音符に対応した時間長の1/24の時間長ごとに与えられる。
【0034】
また、通信インターフェイス(I/F)9は、ローカルエリアネットワーク(LAN)やインターネット、電話回線等の通信ネットワーク19を介してサーバコンピュータ20等に交信可能に接続される。従って、サーバコンピュータ16等から制御プログラムや音楽データなどの各種データを外部記憶装置4にダウンロードすることもできる。
【0035】
なお、図1は、本体PCを用いるシステムについて説明したが、本体システム及び音楽演奏システムについては、他の同等の処理機能を有する電子楽器や自動演奏装置などの情報処理装置を用い、これに動画再生システムを接続して動画再生制御システム(動画時間軸制御指示システム)を構成してもよい。
【0036】
〔動画再生システム〕
図2は、この発明の一実施例による動画時間軸制御指示システムにおける動画処理機能部(動画再生システム)のブロック図を示す。動画処理回路7は、動画処理に専用の専用RAM70の外に、時間軸制御部71、動画録画部(ビデオサンプラー)72、動画再生部73及び映像合成部74を備える。
【0037】
ここで、図2を用いて、この発明の実施例による動画再生制御システム(動画時間軸制御指示システム)の概略を簡単に説明しておく。この動画再生制御システムでは、動画データメモリ(専用RAM)70に予め記憶された動画データ(動画情報)の読出しに際して、動画データを再生するための時間軸が可変に制御される。或るモードM1では、動画データ再生中、CPU1は、テンポ検出機構TC,TMからの演奏音楽のテンポに応じた時間軸制御信号を時間軸制御部71に供給する。時間軸制御部71は、時間軸制御信号に応じて再生速度を調整(制御)し、動画再生部73は、調整された再生速度に従って単位データ当りの読出し時間を伸縮して動画データをデータメモリ70から読み出し、表示装置(ディスプレイ)15に出力する。別のモードM2では、動画データの特定フレーム再生タイミングに特定の音楽演奏タイミングをセット(TS)しておき、CPU1、時間軸制御部71及び動画再生部73から成る動画データの再生制御系により、このタイミングセット情報TSに基づいて、各演奏タイミングに一致する再生タイミングで特定フレームの動画データをデータメモリ70から読み出し、表示装置15に出力する。
【0038】
以下、図2の動画再生システムを具体的に説明する。まず、動画録画部72は、本体システムのCPU1の指示に従って、予め、VTRなどの映像再生器14からのビデオ信号(動画映像信号)をサンプリングし、ディジタル動画データのストレージとして機能する専用RAM70に記録する。すなわち、パネル操作子12からの録画開始指示に応じて、その時点で映像再生器14から動画処理回路7に入力しているビデオ信号が、専用RAM70の所定の記憶領域にディジタル動画データとして記億される。この専用RAMには複数の記憶領域が設定可能であり、複数のディジタル動画データを記憶することができる。
【0039】
なお、前述のように、動画処理回路7にて処理されるビデオ信号(動画映像信号)は、図示しない入力部にてディジタル信号に変換されるものである。従って、動画録画部72は、ディジタル形式のビデオ信号を専用RAM70にディジタル録画データとして書き込むことになる。また、このディジタル録画データの書込みにおいては、専用RAM70に記憶されるデータ量を少なくするために、動画録画部72は、ディジタル動画データを圧縮して専用RAM70に書き込むようにするとよい。
【0040】
動画再生の際は、種々の態様でCPU1から動画再生が指示される。例えば、パネル操作子12には、専用RAMに記憶された複数の動画データに対応した複数の動画選択スイッチが設置されている。CPU1は、何れかの動画選択スイッチの操作に応じて、動画処理回路7に対し、対応する動画データを再生開始するよう指示する。
【0041】
或いは、MIDI機器16で再生される音楽データにより動画データの再生を指示することもできる。MIDI規格には、ディジタル・レコーダやVTRを制御するためのMIDIマシン・コントロール(MMC)規格が定められている。MMCを用いた場合、ロケート命令に応じて複数動画データの中から1つの動画データを選択し、デファード(deferred)・プレイ命令に応じて選択された動画データを再生開始することができる。なお、ロケート命令とは、複数動画データ中の再生される動画データの位置を指令する命令である。また、デファード・プレイ命令とは、動画データの再生開始のタイミングを指定する命令である。
【0042】
また、音楽データの再生に同期して、所望の動画データを再生したい場台、音楽データの所望のタイミングに合わせてロケート命令、デファード・プレイ命令を配置すればよい。MIDI機器16により該音楽データが再生されると、その配置したタイミングでロケート命令、デファード・プレイ命令がそれぞれ取り出され、取り出されたロケート命令、デファード・プレイ命令は、MIDIインターフェース(I/F)8を介してCPU1に取り込まれる。CPU1は、該ロケート命令に応じて動画データを選択し、該デファード・プレイ命令に応じて選択された動画データを再生開始するよう動画処理回路7を制御する。
【0043】
動画再生の際には、動画再生部73は、このようなCPU1の指示に従って、専用RAM70に記録された複数のサンプリング動画データから所望の動画データを選択し、選択された動画データが、時間軸制御部71による制御の下に、所定の速度で読み出されて順次再生される。なお、前述のように、圧縮した動画データが専用RAMに記憶されている場合には、動画再生部73は、専用RAM70から読み出した動画データを伸長する。ここで、時間軸制御部71は、再生モード(M1,M2)に応じたCPU1からの制御入力に従い、音楽のテンポ指示情報TC或いは特定のタイミングセットTSに基づいて動画再生部73を制御し、動画の再生をコントロールする機能を有する。
【0044】
つまり、時間軸制御部71は、CPU1からのテンポ指示情報TC或いは特定タイミングセットTSに基づいて、現在演奏されている音楽の進行に合う値となる動画再生速度で動画再生を行うように、動画再生部73に指示を与える。そして、動画再生部73は、指示された動画再生速度で専用RAM70から動画情報を順次読み出して動画再生を行うのである。なお、これらのテンポ指示情報及び特定のタイミングセットTSに基づく動画再生速度の制御については、後で詳述する。
【0045】
また、動画再生部73による動画再生には、CPU1からの指示により、専用RAM70中から選択された動画データの一部又は全部を何回も繰り返して再生する「ループ再生」を用いることができ、この実施例によれば、シームレスに且つ破綻(画像の切落しや空白画像の発生)なくループ再生することができる。
【0046】
動画再生部73において再生された動画データは、映像合成部74を介して、映像ディスプレイ15の画面上に所定の再生速度で表示される。この例では、映像合成部74は、動画再生部73から、再生速度が制御された動画データを(例えば、主画像として)受けると共に、映像再生器14から、実時間で再生される(所謂“たれ流し”)ビデオ信号による他の動画データを(例えば、背景画像として)受けて、両動画データを合成する。これによって、映像ディスプレイ15には、両動画データを合成した映像が表示される。なお、映像ディスプレイ15に供給される信号は、前述したように、図示しない出力部内に設けたアナログ形式の映像信号である。
【0047】
また、映像合成部74における映像(カラー画像)の合成手法には、動画再生部73からの時間軸可変の再生動画と映像再生器14からの実時間動画とを単純に重ね合わせたり、それぞれに関連するクロスフェードなどをかけたり、再生動画と実時間動画の論理和又は論理積をとったり、両者を別々の画面領域に表示させ各表示領域を変化させていくなど、必要に応じて、種々の映像演出効果を採用することができる。
【0048】
〔第0再生モード〕
この動画時間軸制御指示システムでは、動画処理回路7を第0再生モードで動作させることができる。第0再生モードにおいては、図2(左上)に示すように、音楽データのテンポクロック(MIDIクロック)やタイムコードなどの指示によるテンポ指示情報TCに基づいて、動画再生速度を変化させる。つまり、音楽データを用いて演奏する場合、CPU1は、タイムコードの差分値(タイムコードの時間間隔)やテンポクロック(MIDIクロック)間の時間間隔で示されるテンポ指示情報を受けて、演奏される音楽のテンポに変更があったことを感知し、これを時間軸制御部71に伝える。時間軸制御部71は、CPU1から制御入力として与えられたテンポ指示情報に基づいて、動画再生部73における動画再生を制御する。
【0049】
図3は、第0再生モードにおいて動画データに対する読出し速度がテンポ指示に応じて変化する様子を極く概略的に表わした図である。同図において、○印は、動画データにおける所定の動画データ単位〔所定のフレーム数。以下、単に「区間」という。〕及び音楽データにおける音楽データ単位〔所定の小節(bar)数。拍数又はチック(TICK)数でもよく、何れの場合も、整数でなくても(小数込みの値でも)よい。以下、単に「区間」という。〕を表わし、○印の幅は、各区間のデータの再生又は演奏密度(情報単位当り時間量)の変化を視覚的に分かりやすく示すだけのものである。なお、チック数とは、シーケンサにおける時間分解能を表わす単位時間間隔の数を示す。
【0050】
図3の最上段は、動画再生専用RAM70に記憶されている動画データを表わす。これに対して、第2段は、経過時間t(sec)に対して、テンポクロックなどの指示によるテンポ指示情報に基づくテンポ値が変化する様子を示し、縦軸の“0”は標準テンポ値(例えば、テンポ値=120)を表わす。
【0051】
音楽演奏システム16〜18において音楽データに従って音楽演奏が開始すると、テンポ指示情報により指示されるテンポ値に対応する速度で動画再生が行われる。例えば、音楽データのテンポ情報が“0”に対応するテンポ指示値(標準テンポ値=120)に設定されていれば、動画処理回路7においては、専用RAM70に記憶されている動画データが、CPU1からの指令に基づいて、時間軸制御部71及び動画再生部73により、通常の動画再生速度、例えば、30フレーム/秒で読み出される。
【0052】
また、テンポ指示値が“0”の標準テンポ値から変化すると、変化したテンポ指示値がCPU1から指令され、指令されたテンポ指示値に基づいて音楽演奏及び動画再生が行われる。なお、このテンポ指示値は、テンポクロックの時間間隔やタイムコードの差分値(タイムコードの時間間隔)などの情報から得ることができる。
【0053】
従って、第0再生モードでは、第2段のようにテンポ値が変化すると、音楽データが、変化したテンポ値に応じて〔指定されたテンポ値から正負(+,−)のテンポ値変化分に応じた分だけ変化したテンポで〕最下段のように再生されるのに伴って、動画データの読出し速度は、通常の動画再生速度から、正負(+,−)のテンポ値変化分に応じた分だけが変化し、動画データは、第3段に示されるように、テンポ値に応じた速度で再生されるので、動画の再生を音楽の演奏に合わせる演出効果を得ることができる。SMF等の音楽データでは、テンポ値を変更したいタイミングにテンポ情報を配置することができる。その音楽データを再生すると、そのタイミングでテンポ情報が現われてテンポ値が変更される。すなわち、音楽データに含まれるテンポ情報に基づいて、音楽演奏と動画再生を同時に制御することができる。
【0054】
〔第1再生モード〕
この動画時間軸制御指示システムでは、操作子装置12中のモードスイッチM1を操作したとき(図2参照)、動画処理回路7を第1再生モードで動作させることができる。第1再生モードにおいては、音楽の演奏中、CPU1は、リアルタイム操作子の操作に基づくテンポ変更(操作)情報TMを受けて、演奏されている音楽のテンポの変更操作があったことを感知し、これを時間軸制御部71に伝える。時間軸制御部71は、CPU1から制御入力として与えられたテンポ変更(操作)情報に基づいて、動画再生部73における動画再生を制御する。
【0055】
図4は、第1再生モードにおいて動画データに対する読出し速度がテンポの変更操作に応じて変化する様子を極く概略的に表わした図である。同図においても、○印の意味は前述したところと同じである。パネル操作子装置12には、既に説明したように、音楽演奏のテンポをリアルタイムで変更操作するために、リボンコントローラ(1次元接触位置検出を行うリアルタイム操作子)が設けられている。図4の最上段は、動画再生専用RAM70に記憶されている動画データを表わす。これに対して、第2段は、経過時間t(sec)に対するリボンコントローラの操作量の変化を示し、縦軸の“0”は、リボンコントローラ操作の原点位置である。
【0056】
リボンコントローラの原点位置に操作指を接触すると、原点位置=“0”に対応する速度で音楽演奏及び動画再生が行われる。つまり、音楽演奏システム16〜18においては、例えば、標準テンポ値=120とすれば、原点位置に対応するテンポ値=120で演奏される。すなわち、CPU1はテンポ値=120のテンポクロック信号を発生してMIDI機器16に供給し、MIDI機器16では、供給されるテンポクロック信号に同期して音楽データの再生を行う。また、この場合、動画処理回路7においては、専用RAM70に記憶されている動画データが、CPU1からの指令に基づいて、時間軸制御部71及び動画再生部73により、通常の動画再生速度、例えば、30フレーム/秒で読み出される。
【0057】
また、リボンコントローラの任意の位置に操作指をタッチすると、タッチした指の位置(原点位置=“0”からの変位)に応じた操作量がCPU1から指令され、指令された操作量に基づいて音楽演奏及び動画再生が行われる。従って、第2段のようにリボンコントローラを操作すると、音楽データは、MIDI機器16において、リボンコントローラの操作量に応じて、指定されたテンポ値から正負(+,−)の操作量に応じた分だけ変化したテンポで、最下段のように再生される。これに対応して、動画データの読出し速度も、通常の動画再生速度から、正負(+,−)の操作量に応じた分だけが変更され、動画データは、第3段に示されるように、リボンコントローラの操作量に応じた速度で再生されるので、動画の再生を音楽の演奏に合わせることができる。
【0058】
図4の例では、時点t0で音楽演奏及び動画再生が開始されると同時に、第2段のように、リボンコントローラの操作を開始し、一旦正方向に操作してから負方向に操作し原点位置=“0”を通った後、再び正方向に操作し、時点t1において、所定の正位置で操作を停止すると同時に、負の所定位置にジャンプして再度正方向に操作し時点t2で操作を停止(操作指をリボンコントローラから離すこと)したままにした場合について示されている。
【0059】
この場合、音楽データについては、図4の最下段に示されるように、時点t0で最初の区間(小節、拍又はチック数で規定される)n0の音楽データの再生が開始され、時点t1で、操作指をコントローラから離すと、再タッチした負の所定位置に対応する速度で、区間n1の音楽演奏から再開される。そして、区間n2の音楽演奏がなされた時点t2で操作を停止すると、時点t2以降は、操作を停止したときの操作量に対応する速度で音楽演奏が維持される。
【0060】
これに対して、動画データについても、図4の第3段に示されるように、音楽データと同様に再生速度が制御される。つまり、時点t0では、正方向の或る位置のコントローラ操作に応じて、動画データにおける最初の区間(フレーム数で規定される)p0の動画データが比較的高い速度(“急”)で再生され、コントローラ操作に応じた“緩”・“急”の速度で動画再生が、順次、行われる。時点t1で、操作指が負の所定位置にジャンプすると、ジャンプ後の位置に対応する“緩”やかな再生速度で、区間p1の動画データが再生され、コントローラ操作に応じて、順次、再生速度が高められ、区間p2の動画再生がなされた時点t2での操作停止に基づいて、時点t2以降は、操作を停止したときの操作量が維持されるので、この操作量に対応する高い速度(“急”)のままで動画データが再生されていく。
【0061】
従って、動画データは、音楽演奏の演奏速度と同様に、コントローラ操作量に応じて再生速度が緩急に変化し、音楽演奏の進行を合わせて再生することができる。なお、図2(左上)に示すように、音楽データのテンポクロックの時間間隔やタイムコードの差分値(タイムコードの時間間隔)などのテンポ指示情報に基づく動画再生速度の変化に加えて、上述したリボンコントローラのリアルタイム操作によるテンポ変更情報に基づいて、音楽演奏速度及び動画再生速度を同時に変化させるので、音楽演奏及び動画再生の演出効果を高めることができる。
【0062】
〔第2再生モード〕
この動画時間軸制御指示システムでは、操作子装置12中のモードスイッチM2を操作したとき(図2参照)、動画処理回路7を第2再生モードで動作させることができる。第2再生モードにおいては、音楽演奏に伴う動画再生に際し、図2の右上に示すように、CPU1は、予め設定された特定音楽演奏タイミング−特定動画再生タイミングのセットTSを時間軸制御部71に送る。
【0063】
時間軸制御部71は、この特定タイミングセットTSに基づいて、動画データの特定再生タイミングが、対応する音楽演奏の演奏タイミングに一致するように、動画再生部73に対して指令する動画再生速度を調整して、この速度で動画再生を行うように動画再生部73に指示を与える。そして、動画再生部73は、指示された動画再生速度で専用RAM70からサンプリング動画データを読み出して動画再生を行う。
【0064】
図5〜図9は、第2再生モードでの動画再生を説明するための時間軸変換例をを極く概略的に表わした図である。図5〜図7の最上段及び図8の第2段は、音楽演奏システム16〜18において音楽演奏に利用される音楽データを表わし、タイムコード或いはテンポクロック(MIDIクロック)によるテンポ指示を考慮して演奏時間に換算して示されている。この例では、音楽データの「区間n0」〜「区間n1の直前」が「区間n1」〜「区間n2」より速いテンポとしており、これは○印の幅で表示されている。すなわち、音楽データの区間n1の開始点には、テンポ情報が配置されている。MIDI機器16は、音楽データ中に配置されている初期テンポを演奏テンポとして区間n0から音楽演奏を開始し、区間n1の開始点で、演奏テンポを、そこに配置されているテンポ情報に従って、より遅いテンポに変更して音楽演奏を継続する。
【0065】
図5〜図7の第2段及び図8の第3段は、動画処理回路7の音楽データ専用RAMに記憶されている動画データを表わし、図5〜図7においては、動画データの記録位置を便宜的に音楽データの総演奏区間n0〜n2に一致させている。このようなタイミングの同期は、前述したデファード・プレイ命令を音楽データに配置するタイミングを調整することにより制御することができる。また、各図における○印の意味は、図3や図4で既に説明したように、データを構成する各区間(データ単位)を表わし、音楽データについては、所定の小節数、拍数又はチック(TICK)数〔整数でなくても(小数でも)よい〕で規定することができ、動画データについては、所定のフレーム数で規定することができる。
【0066】
さて、図5は、動画データ中の任意位置の動画情報を音楽データ中の任意位置の演奏情報に対応付けたセット(TS)を用いた場合の時間軸変換例を示している。この時間軸変換は、動画及び音楽の進行途中の1点(複数点でもよい)を互いに一致させる演出効果にとって好適である。この例では、最上段及び第2段間に示されるように、動画データにおける或る特定の区間p1(の開始点)を、音楽データの或る特定の区間n1(の開始点)に対応するようにセットしておき(“SET”)、両データの開始及び終了位置p0,n0;p2,n2については対応付けをしない(“Free”)。
【0067】
この場合、動画データ及び音楽データの各再生は、それぞれ、任意の時点t0,t0mで開始される。しかし、動画データは、時点t0から再生が開始された後、特定区間p1の動画データに対応するようにセットされた特定区間n1の音楽データの再生が開始される特定時点t1において、区間p1の動画データの再生が開始されるように、動画データの再生のための時間軸が制御される。
【0068】
つまり、動画データ及び音楽データにおける第1区間p0,n0の各再生開始時点t0,t0mを表わす開始時点情報、及び、特定区間p1の動画データに対応するようにセットされた区間n1の音楽データの再生が開始する特定時点t1を表わす特定時点情報が、CPU1から時間軸制御部71に送られる。時間軸制御部71は、これらの時点情報を受けて、時点t0で第1区間p0の動画データの再生開始を行うと共に、特定時点t1で特定区間p1の動画データの再生を開始することができるように、動画再生部73を制御する。そして、動画再生部73は、時点t0〜t1間における動画データの読出し速度を演算し、演算された読出し速度で、時点t0から第1区間p0の動画データの再生を開始する。
【0069】
また、CPU1は、音楽データの再生を開始すべき時点t0mを検出し、MIDI機器16に対して再生開始を指示する。MIDI機器16は再生開始の指示に応じて、音楽データの再生を開始するとともに、テンポクロック信号をMIDIインターフェース(I/F)8を介してCPU1に供給する。CPU1は、供給されるテンポクロック信号に基づいて、時間軸制御部71における基準時刻を補正する。ここで、「基準時刻」とは、例えば、時点t0,t1,t2,…のような時点を検出するための基準となるタイミングを表わすものである。すなわち、「基準時刻」は、時点t0mで音楽演奏が開始されるより前から計測されているが、音楽演奏が始まったら、それ以降は、音楽演奏と同期して計測される。
【0070】
これによって、特定時点t1において、特定区間p1の動画データが、予めこれに対応するようにセットされた特定区間n1の音楽データの再生に同期して再生される。つまり、動画データの読出しは、固定されない(Free)再生開始点t0から特定時点t1までの間、速度が調整される。また、特定時点t1以降は、予め定められた動画データ自体の読出し速度に基づいて再生が行われ、従って、動画データ再生の終了時点t2は、図示のように、音楽演奏の終了時点t2mとは必ずしも一致しない。なお、区間p0についても、前記動画データ自体の読出し速度で再生するようにしてもよい。このように、この実施例では、特定位置(p1)の音楽データが再生される時点t1で、特定位置(n1)の動画データが再生されるように、動画データの再生タイミングを制御している。
【0071】
なお、図5では特定時点t1を1点としたが、動画及び音楽の進行途中の対応位置を複数セットしておき、セットされた各位置の動画データ及び音楽データの各再生が2以上の複数時点で一致するようにしてもよい。この場合は、動画再生の開始から特定時点まで及び特定時点間における動画再生の時間軸(速度)が制御される。また、この実施例では、CPU1からの再生指示に応じてMIDI機器16が再生を開始した後、MIDI機器16自体がテンポクロック信号を発生するものとして説明を行ったが、MIDI機器16の代わりにCPU1がテンポクロック信号を発生し、MIDI機器16は、CPU1から供給されるテンポクロック信号に基づいて音楽データを再生するようにしてもよい。その場合、CPU1は、時間軸制御部7における基準時刻と、MIDI機器で再生される(音楽データに配置された)テンポ情報とに基づいて、発生するテンポクロック信号の周期を制御する。
【0072】
図6は、動画データ中の任意位置及び再生終了位置の動画情報を音楽データ中の任意位置及び演奏終了位置の演奏情報に対応付けたセット(TS)を用いた場合の時間軸変換例を示している。この時間軸変換は、動画及び音楽の進行途中の1点(複数点でもよい)及び終了位置を互いに一致させる演出効果にとって好適である。この例では、最上段及び第2段間に示されるように、動画データにおける或る特定の区間p1(の開始点)を、音楽データの或る特定の区間n1(の開始点)に対応するようにセットしておく(“SET”)と共に、動画データの再生終了(最終区間p2の終了)位置を音楽データの再生終了(最終区間n2の終了)位置に対応するようにセットしておき(“SET”&“FIX”)、両データの開始位置の区間p0,n0については、対応付けをしない(“Free”)。
【0073】
ここで、“SET”とは、動画データ中の任意位置を音楽データ中の任意位置に対して同期させるための設定をいう。また、“FIX”は、動画データ中の任意位置及び音楽データ中の任意位置が、基準時刻スケール上の所定時点にそれぞれ再生されるように制御するための設定をいう。従って、“FIX”の設定がなされた「任意位置」は、基準時刻スケール上の「所定時点」に固定される。例えば、動画データの或る区間乃至或る位置の再生時点が編集されても、“FIX”設定された位置の動画データの再生時刻は、「所定時点」に固定されたままである(固定されたままとなるように調整される。)。なお、図6〜図8においては、“FIX”で示される位置は、全て、“SET”の設定もなされている。
【0074】
図6の場合も、動画データ及び音楽データは任意の開始時点t0,t0mで各再生がそれぞれ開始されるが、動画データは、開始時点t0から再生が開始された後、特定区間p1の動画データに対応するようにセットされた特定区間n1の音楽データの再生が開始される特定時点t1において、区間p1の動画データの再生が開始されるように、動画再生の時間軸が制御される。次いで、特定時点t1以降も、特定区間p1の再生開始から最終区間p2の再生終了までの動画データは、区間n1〜n2の音楽演奏に一致するように、再生の時間軸が制御される。
【0075】
つまり、動画データ及び音楽データにおける第1区間p0,n0の各再生開始時点t0,t0mを表わす開始時点情報、特定区間p1の動画データに対応するようにセットされた区間n1の音楽データの再生が開始する特定時点t1を表わす特定時点情報、及び、最終区間n2の音楽データの再生が終了する終了時点t2を表わす終了時点情報が、CPU1から時間軸制御部71に送られる。時間軸制御部71は、これらの時点情報を受けて、時点t0で第1区間p0の動画データの再生開始を行うと共に、特定時点t1で特定区間p1の動画データの再生を開始し終了時点t2で最終区間p2の動画データの再生を終了することができるように、動画再生部73を制御する。そして、動画再生部73は、時点t0〜t1,t1〜t2間における動画データの第1及び第2読出し速度を演算し、演算された第1読出し速度で、第1区間p0の動画データを時刻t0から再生して行き、特定時点t1以降は、演算された第2読出し速度で特定区間p1から最終区間p2までの動画データを順次再生していく。
【0076】
これによって、特定時点t1において、特定区間p1の動画データが、予めこれに対応するようにセットされた特定区間n1の音楽データの再生に同期して再生されるだけでなく、特定時点t1以降も、最終区間p2までの動画データが、対応する音楽データの再生に同期して再生される。従って、図示のように、同期設定されない(“Free”)再生開始点t0から特定時点t1までと、特定時点t1から同期設定された(“SET”)再生終了点t2までとは、異なる態様で動画データの再生速度が調整される。
【0077】
なお、図6では特定時点t1を1点としたが、動画及び音楽の進行途中の対応位置を複数セットしておき、セットされた各位置の動画データ及び音楽データの各再生が2以上の複数時点で一致するようにしてもよい。また、図6では終了時点t2を一致させたが、変形例として、終了時点t2を一致させず(各終了位置を“SET”せず“Free”とする)、動画データの再生開始位置t0を音楽データの再生開始時点t0mに一致させる(各開始位置を“SET”)ようにして、共通の開始時点t0から特定時点t1までについてのみ動画再生及び音楽演奏を同期させるようにしてもよい。
【0078】
図7は、動画データ中の再生開始位置、途中の任意位置及び再生終了位置の動画情報を、音楽データ中の任意位置及び演奏終了位置の演奏情報に対応付けたセット(TS)を用いた場合の時間軸変換例を示している。この時間軸変換は、動画及び音楽の開始・終了位置及び進行途中の1点(複数点でもよい)を互いに一致させる演出効果、特に、動画データをループ再生で音楽データに合わせて繰り返し再生する演出効果にとって好適である。この例では、最上段及び第2段間に示されるように、動画データの再生開始(第1区間p0の開始)及び再生終了(最終区間p2の終了)位置を、それぞれ、音楽データの再生開始(第1区間n0の開始)及び再生終了(最終区間p2の終了)位置に対応するようにセットしておく(“SET”&“FIX”)と共に、動画データにおける或る特定の区間p1(の開始点)を音楽データの或る特定の区間n1(の開始点)に対応するようにセットしておく(“SET”)。
【0079】
この場合は、所定の開始時点t0において、互いに対応するようにセットされた第1区間p0,n0の動画及び音楽データの各再生それぞれが開始され、特定区間p1の動画データに対応するようにセットされた特定区間n1の音楽データの再生が開始される特定時点t1において、特定区間p1の動画データの再生が開始されるように、動画データの再生のための時間軸が制御される。次いで、特定時点t1以降も、特定区間p1の再生開始から最終区間p2の再生終了までの動画データが、区間n1〜n2の音楽演奏に一致するように、動画データの再生のための時間軸が制御される。
【0080】
つまり、動画及び音楽データにおける第1及び最終区間p0,n0;p2,n2の各再生開始時点t0,t2を表わす開始・終了時点情報、及び、特定区間p1の動画データに対応するようにセットされた区間n1の音楽データの再生が開始する特定時点t1を表わす特定時点情報が、CPU1から時間軸制御部71に送られる。時間軸制御部71は、これらの時点情報を受けて、時点t0で第1区間p0の動画データの再生を開始し、特定時点t1で特定区間p1の動画データの再生を開始し、終了時点t2で最終区間p2の動画データの再生を終了することができるように、動画再生部73を制御する。そして、動画再生部73は、時点t0〜t1,t1〜t2間における動画データの第1及び第2読出し速度を演算し、演算された第1読出し速度で、第1区間p0の動画データを時点t0から再生して行き、特定時点t1以降は、演算された第2読出し速度で特定区間p1から最終区間p2までの動画データを順次再生していく。
【0081】
これによって、開始及び終了時点t0,t2において、第1及び最終区間p0,p2の動画データの再生が、第1及び最終区間n0,n2の音楽演奏の開始及び終了に一致して開始及び終了される。また、特定時点t1において、特定区間p1の動画データが、予めこれに対応するようにセットされた特定区間n1の音楽データの再生に同期して再生される。図示の例では、固定された(“SET”&“FIX”された)再生開始点t0から特定時点t1まではテンポ及び再生速度が速くくなり、特定時点t1以降はテンポ及び再生速度が遅くなっている。
【0082】
なお、図7では特定時点t1を1点としたが、動画及び音楽の進行途中の対応位置を複数セットしておき、セットされた各位置の動画データ及び音楽データの再生及び演奏が2以上の複数時点で一致するようにしてもよい。
【0083】
図8及び図9は、図6の説明で示した変形例又は図7の例を一般化したものであり、動画データの再生開始位置及び動画データ途中の任意の複数位置の動画情報を、それぞれ、音楽データの再生開始位置及び音楽データ途中の任意の複数位置の演奏情報に対応付けたセット(TS)を用いた場合の時間軸変換例を示している。この時間軸変換は、動画及び音楽の開始位置から進行途中の複数点を互いに一致させる演出効果にとって好適である。図8の最上段は、単に音楽データを楽譜を用いて示すものであり、第2段の音楽データと厳密に対応させたものではない。
【0084】
図8の例では、第2段及び第3段間に示されるように、少なくとも、動画データの再生開始(第1区間p0の開始)位置を音楽データの再生開始(第1区間n0の開始)位置に対応するようにセットしておく(“SET”&“FIX”)と共に、動画データにおける或る特定の複数の区間p1,p2,p3,p4,…(の開始点)を音楽データの或る特定の区間n1,n2,n3,n4,…(の開始点)に対応するようにセットしておく(“SET”)。
【0085】
この場合、所定の開始時点t0において、互いに対応するようにセットされた第1区間p0,n0の動画及び音楽データの各再生がそれぞれ開始され、特定区間p1の動画データに対応するようにセットされた特定区間n1の音楽データの再生が開始される特定時点t1において、特定区間p1の動画データ情報の再生が開始されるように、動画データの再生のための時間軸が制御される。次いで、特定時点t1以降も、特定区間p1,p2,p3,p4,…の動画データが、特定区間n1,n2,n3,n4,…の音楽データに一致するように、動画データの再生のための時間軸が制御される。
【0086】
図9には、動画再生時間軸を制御するために、時間経過に従って、時間経過に従って専用RAM70から読み出される動画データの記録位置(フレーム)を演算する方法が概略的に示されている。動画及び音楽データにおける第1区間p0,n0の再生及び演奏開始時点t0を表わす開始時点情報、及び、特定区間p1,p2,p3,p4,…の動画データに対応するようにセットされた区間n1,n2,n3,n4,…の音楽データの再生が開始する特定時点t1,t2,t3,t4,…を表わす特定時点情報が、CPU1から時間軸制御部71に送られる。
【0087】
時間軸制御部71は、これらの時点情報を受けて、時点t0で第1区間p0の動画データの再生を開始し、特定時点t1,t2,t3,t4,…で特定区間p1,p2,p3,p4,…の動画データの再生を順次開始することができるように、動画再生部73を制御する。動画再生部73は、時点t0〜t1,t1〜t2,t2〜t3,t3〜t4,…間における動画データの読出し速度を演算する。演算される読出し速度は、図9において、時点t0〜t1,t1〜t2,t2〜t3,t3〜t4,…における各線分の勾配で示される。そして、演算された各読出し速度で、時点t0〜t1,t1〜t2,t2〜t3,t3〜t4,…間の対応する動画データを順次再生していく。
【0088】
これによって、開始時点t0において、第1区間p0の動画データの再生が、第1区間n0の音楽演奏の開始に一致して開始され、特定時点t1,t2,t3,t4,…において、特定区間p1,p2,p3,p4,…の動画データが、予めこれに対応するようにセットされた特定区間n1,n2,n3,n4,…の音楽データの再生に同期して再生される。
【0089】
つまり、図8の動画時間軸変換例に示されるように、音楽データに対して、多数のフレームから成る動画データが専用RAM70に記憶されている。そして、ユーザが、データの複数のポイントが同期するように指定すると、各ポイント間の読出し位置は自動的に補間演算されて、動画データを緩急(“ノーマル”、“緩”、“急”)を伴って再生する。従って、例えば、楽譜(図8上段)上の強拍音符がある位置を音楽演奏の特定位置に選定し、これらの演奏位置に刺激的な特定の動画フレーム(赤色光、青色光、黄色光などの刺激的な映像画面)をそれぞれ対応させるように設定すると、特定の音符に関する音が発生されたときに、特定の動画フレームが対応して現れるので、音と動画がリンクしてコンサート会場やクラブイベントなどの聴衆に対して効果的な演出が得られる。
【0090】
〔第3再生モード〕
この動画時間軸制御指示システムでは、操作子装置12中のモードスイッチM1,M2を操作したとき(図2参照)、動画処理回路7を第3再生モードで動作させることができる。第3再生モードにおいては、音楽演奏に伴う動画再生に際し、CPU1は、予め設定された特定音楽演奏タイミング−特定動画再生タイミングのセット(TS)に加えて、リボンコントローラのようなリアルタイム操作子の操作に応じたテンポ変更情報(TM)を時間軸制御部71に送る。
【0091】
時間軸制御部71は、この特定タイミングセットに基づいて、動画データの特定再生タイミングが、対応する音楽演奏の演奏タイミングに一致するように、しかも、リボンコントローラのようなリアルタイム操作子の操作に応じて再生速度が変化するように、動画再生部73に対して指令する動画再生速度を調整して、この速度で動画データの再生を行うように動画再生部73に指示を与える。そして、動画再生部73は、指示された動画再生速度で専用RAM70からサンプリング動画データを読み出して動画再生を行う。
【0092】
この第3再生モードでは、第2再生モードにおけるように、特定区間の動画データを特定区間の音楽データに一致させるだけでなく、リアルタイム操作子の操作に応じて動画再生及び音楽演奏の速度を可変に制御するので、多彩な演出効果を得ることができる。
【0093】
〔種々の実施態様〕
以上、この発明による動画時間軸指示処理について具体的な実施例に従って説明してきたが、実施態様は例示したものに限らない。例えば、実施例においては、入力する動画はVTR(ビデオテープレコーダ)からとしたが、これに限らず、LDプレイヤー、DVDプレイヤー、PC(パーソナルコンピュータ)からのビデオ出力など、動画を再生可能な装置であれば、その種類は問わない。
【0094】
実施例では、出力装置を、比較的大きな映像ディスプレイとしたが、CRT、LCD等、その種類やサイズは問わない。また、ユーザ(操作者)の手元でのモニタ用と聴衆への表示用など、複数の出力装置を接続できるようにしても良い。
【0095】
実施例では、本体システム及び動画処理システム自体に内蔵の操作子によって時間軸制御信号を変化させて動画の再生速度を制御していたが、外部制御装置からの時間軸制御信号によって動画の再生速度を制御しても良く、そのための外部制御信号入力手段を持っていても良い。具体的には、PC内の動画制御ソフトウェア上で再生速度の緩急を数値指示による折れ線で表わしたり、マウスやタブレットなどの外部ポインティングデバイスを用いた手書き入力曲線などで表わした出力値を使って、動画の再生速度を変化させるものでも良い。
【0096】
実施例では、動画データの読出しを、固定(“FIX”)した再生開始又は終了点(端)に基づいて自動補正したが、再生開始又は終了点(端)を“FIX”するか“Free”にするか、または、余分な部分をカットするか足りない部分を補ったりするかは、必要に応じて任意に採用することができる。
【0097】
実施例では、動画はフレームとして扱えるものとして説明したが、それに限らず、PCのCG(Computer Graphics )ソフトウエアなどによる計算で求まる値によって出力される動画でも構わない。
【0098】
実施例では、1つの音楽データの再生に同期して1つの動画データを再生する例を示しているが、複数の動画データがそれぞれ個別に選定された時点で同期再生されるようにしてもよい。
【0099】
実施例では、動画データの再生を制御するのにMMCのコマンドを用いたが、その代わりに、MIDIショー・コントロール(MSC)のコマンドを用いてもよい。その場合、MSCのゴー(“GO”)命令に基づき、当該ゴー命令に含まれるキュー(“QUE”)番号に応じて動画データを選択し再生開始するようにすればよい。
【0100】
音楽データの特定再生タイミングは、演奏時間軸上の時刻で指定してもよいし、テンポクロック数や、小節数、拍等で指定してもよい。また、動画データの特定再生タイミングは、再生時間軸上の時刻で指定してもよいし、動画のフレーム番号などで指定してもよい。
【0101】
実施例では、テンポ情報の配置された音楽データに関して、動画データ中の任意位置を対応付け(SET)するように説明したが、先に対応付け(SET)を行った後で、音楽データの任意の時点にテンポ情報を配置するようにしてもよい。このようにすると、音楽データのテンポを編集しても、動画データはテンポ編集後の音楽データに同期して再生されるので、ユーザは、動画との同期ずれを気にせず、音楽データのテンポを自由に編集することができる。
【0102】
図7や図8では、この発明の適用の結果、動画データと音楽データのテンポが全体を通して同期されるように描かれているが、ここまで完全に同期させることは必ずしも必要ではない。動画データの所望の一部と音楽データの所望の一部を同期させることができればよい。
【0103】
なお、音楽データの処理方法は、設定されたテンポ指示情報に応じて処理周期を変更する方法、処理周期は一定で、音楽データ中のタイミングデータの値を設定されたテンポ指示情報に応じて変更する方法、処理周期は一定で、1回の処理において音楽データ中のタイミングデータの計数の仕方をテンポ指示情報に応じて変更する方法等、どのようなものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】図1は、この発明の一実施例による動画再生制御システム(動画時間軸制御指示システム)のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、この発明の一実施例による動画時間軸制御指示システムの動画処理機能部のブロック図である。
【図3】図3は、この発明の一実施例による動画時間軸制御指示システムの第1実施形態においてテンポ指示情報により動画再生速度を変化させて動画時間軸制御を行う場合(第0再生モード)の一例を示す図である。
【図4】図4は、この発明の一実施例による動画時間軸制御指示システムの第1実施形態においてリボンコントローラ操作により動画再生速度を変化させて動画時間軸制御を行う場合(第1再生モード)の一例を示す図である。
【図5】図5は、この発明の一実施例による動画時間軸制御指示システムの第2実施形態(第2再生モード)において1点をセットする場合の動画時間軸制御例〔1〕を示す図である。
【図6】図6は、この発明の一実施例による動画時間軸制御指示システムの第2実施形態(第2再生モード)において終点を含む2点をセットする場合の動画時間軸制御例〔2〕を示す図である。
【図7】図7は、この発明の一実施例による動画時間軸制御指示システムの第2実施形態(第2再生モード)において始終点を含む3点をセットする場合の動画時間軸制御例〔3〕を示す図である。
【図8】図8は、この発明の一実施例による動画時間軸制御指示システムの第2実施形態(第2再生モード)の一般的な動画時間軸制御例〔4〕を示す図である。
【図9】図9は、第2実施形態(第2再生モード)の動画時間軸制御例〔4〕における動画再生速度の演算を説明するための図である。
【符号の説明】
【0105】
TC 音楽データのテンポ指示を検出するテンポ指示検出機構、
TM 音楽テンポの変更操作を検出するテンポ変更検出機構、
TS 特定の再生及び演奏タイミングのセット機構、
p0,p1,p2,p3,p4 動画データにおける区間(フレーム)番号、
t0,t1,t2,t3,t4 各区間(フレーム)の読出しタイミング、
t0m,t2m 音楽データの読出し開始及び終了タイミング、
n0,n1,n2,n3,n4 音楽データにおける区間(小節、拍又はチック)番号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画データメモリに記憶されている動画を表わす動画データを再生して表示装置に動画を表示するための動画再生装置であって、
前記動画データの再生中、音楽の演奏テンポを表わすテンポクロックを入力する入力回路と、
前記入力したテンポクロックに応じた読み出し速度で前記動画データメモリに記憶されている動画データを読み出して前記表示装置に出力する再生制御回路と
を具備することを特徴とする動画再生装置。
【請求項2】
前記再生制御回路は、
前記入力したテンポクロックに応じて動画データの再生速度を制御するための再生速度制御信号を生成する制御信号生成部と、
前記動画データメモリに記憶された動画データを、単位データ当たりの読出し時間が前記生成された再生速度制御信号によって変化する読出しレートで読み出して前記表示装置に出力する動画データ読出し部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の動画再生装置。
【請求項3】
さらに、
ユーザによって操作されて音楽の演奏テンポを指示するための操作子
を具備し、
前記入力回路は、前記操作子の操作位置に応じたテンポクロックを入力する
ことを特徴とする請求項1に記載の動画再生装置。
【請求項4】
さらに、
前記再生制御回路によって読み出された動画データと、別途入力した動画データとを合成して前記表示装置に出力する合成回路
を具備することを特徴とする請求項1に記載の動画再生装置。
【請求項5】
動画データメモリに記憶されている動画を表わす動画データを再生して表示装置に動画を表示するための動画再生方法であって、
前記動画データの再生中、音楽の演奏テンポを表わすテンポクロックを入力する入力ステップと、
前記入力したテンポクロックに応じた読出し速度で前記動画データメモリに記憶されている動画データを読み出して前記表示装置に出力する再生制御ステップと
を備えることを特徴とする動画再生方法。
【請求項6】
前記再生制御ステップは、
前記入力したテンポクロックに応じて動画データの再生速度を制御するための再生速度制御信号を生成する制御信号生成ステップと、
前記動画データメモリに記憶された動画データを、単位データ当たりの読出し時間が前記生成された再生速度制御信号によって変化する読出しレートで読み出して前記表示装置に出力する読出しステップと
を含むことを特徴とする請求項5に記載の動画再生方法。
【請求項7】
前記入力ステップでは、ユーザによって操作されて音楽の演奏テンポを指示するための操作子の操作位置に応じたテンポクロックを入力することを特徴とする請求項5に記載の動画再生方法。
【請求項8】
さらに、
前記再生制御ステップにて読み出された動画データと、別途入力した動画データとを合成して前記表示装置に出力する合成ステップ
を備えることを特徴とする請求項5に記載の動画再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−23748(P2006−23748A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−199179(P2005−199179)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【分割の表示】特願2002−131092(P2002−131092)の分割
【原出願日】平成14年5月7日(2002.5.7)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】