説明

動画符号化装置および動画符号化方法と、動画復号化装置および動画復号化方法と、動画記録装置

【課題】フレーム間引きを伴う動画再生を効率的に行い得る動画像の符号化データを得ることができる動画符号化装置および動画符号化方法、動画記録装置等を提供する。
【解決手段】動画像を240fpsのフレームレートで高速撮像し、MPEG方式で圧縮符号化する。各フレームの画像をIピクチャとPピクチャとに分け、さらにPピクチャを、4フレーム毎のメインフレームのPピクチャ(P4,P8,P12)と、それ以外のサブフレームのPピクチャ(p1,p2,p3,・・・)とに分けて符号化する。メインフレームのPピクチャの符号化時には、時間軸上で隣接するIピクチャ、若しくは他のメインフレームのPピクチャを参照画像として使用する。動画再生性能が60fpsの再生装置等で、動画像を再生時間が撮像時間と等しい実速再生を行うには、メインフレームのみを再生表示させるが、その際、サブフレームのPピクチャのデコード処理が不要となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレーム間予測技術を用いて動画像を符号化する動画符号化装置および動画符号化方法と、動画復号化装置および動画復号化方法と、動画記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、動画像を圧縮符号化する技術としてMPEG(Motion Picture Experts Group)方式が一般に使用されており、そのデータ構成は公知である(例えば下記特許文献1参照)。
【0003】
概略を説明すると、MPEG方式では、動画像を構成する各フレーム(画像)がIピクチャ(Intra-coded picture、フレーム内符号化画像)、Pピクチャ(Predictive-coded picture、順方向予測符号化画像)及びBピクチャ(Bi-directionally predictive coded picture、双方向予測符号化画像)といった3タイプの画像に分類して符号化されている。
【0004】
Iピクチャは、所定枚数の画像データをひとまとまりにしたGOP(Group OF Picture)の独立性を保つためにGOP内には必ず1枚は設けられる画像であり、フレーム間予測を用いることなく、そのフレームの情報だけで符号化(フレーム内符号化)される画像である。これに対し、Pピクチャは、過去のIピクチャ又はPピクチャを参照画像として、それらから一方向に動きを予測して符号化(順方向フレーム間予測符号化)される予測画像であり、Bピクチャは、時間軸上で前後にあるIピクチャまたはPピクチャを参照画像として、それらから双方向に動きを予測して符号化(双方向予測符号化)される予測画像である。また、Pピクチャ及びBピクチャは、16×16画素のマクロブロック単位で求められた動きベクトル(MV)と、その予測画像を同一タイミングのフレーム(実画像)と比較したときの差分画像(予測誤差)のDCT(Discrete Cosine Transform)係数を符号化したデータとによって表現される。
【0005】
そして、MPEG方式で圧縮符号化された動画像の再生時には、Iピクチャについては、そのまま復号を行い元の時間軸の画像データに戻される。また、Pピクチャ及びBピクチャについては、前記予測誤差(DCT係数)が復号・逆DCT変換により取得され、先に復号されている他のフレーム(Pピクチャでは過去のフレーム、Bピクチャでは過去又は未来のフレーム)を参照画像とし動きベクトル(MV)を用いて予測画像が作成された後、作成された予測画像と前記予測誤差とから元の時間軸の画像データが作成されることとなる。
【特許文献1】特開2003−179931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したようにMPEG方式で圧縮符号化された動画像の再生時には、Pピクチャ及びBピクチャを表示可能な画像データとするためには、いずれかのフレームのIピクチャを起点とするフレーム毎の一連のデコード、逆DCT変換を行いフレーム毎に予測画像を作成することが不可欠となっている。
【0007】
そのため、フレームを間引いて表示する場合においては、実際には表示しない無用のフレーム(PピクチャまたはBピクチャ)についてもデコード等の処理を行わなければならなかった。つまりフレーム間引きを伴う動画再生を行う場合の処理効率が極めて低いという問題があった。
【0008】
図24はそれを示したものである。すなわち同図(a)は、MPEG方式による動画像の符号化データ中のあるIピクチャ(I0)と、それを起点としたPピクチャ(P1,P2,P3,・・・)、及び各Pピクチャの符号化に参照される参照画像を示した図である。同図(b)は、記録時及び再生時のフレームレートが共に240fpsである場合(フレーム間引きを行わない場合)の各フレームのデコード処理及び表示の有無、同図(c)は、再生時のフレームレートが60fpsである場合(フレーム間引きを行う場合)の各フレームのデコード処理及び表示の有無を示した図である。なお、図24は、Bピクチャが存在しないフレーム区間の例であり、図示しないがBピクチャの作成に際しては時間軸上で前後に位置するIピクチャ又はPピクチャのフレームが参照される。
【0009】
係ることから、フレーム間引きを行って動画像を再生するときには、フレーム間引きを行わない場合とほぼ同様のデータ処理が必要であり、電力が無駄に消費される。また、フレーム間引きを行う動画再生を所定のソフトウェアを用いてCPU(中央処理装置)等により行う構成では、CPU等の処理負担が大きいため、動画像の再生と並行して実行可能な他の処理が制限され、また動画像の再生と並行して所定の処理を実行可能とするためCPU等に過大な処理能力を確保する必要を生じさせることとなっていた。
【0010】
本発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、フレーム間引きを伴う動画再生を効率的に行い得る動画像の符号化データを得ることができる動画符号化装置および動画符号化方法と、上記符号化データを復号化することができる動画復号化装置および動画復号化方法、さらには、撮影した動画像を上記符号化データとして記録可能な動画記録装置、それらの実現に使用されるプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため請求項1記載の発明に係る動画符号化装置にあっては、動画像を符号化する動画符号化装置において、所定の撮像フレームレートで撮像された動画像における各フレームの画像を、他のフレームの画像を参照画像として使用するフレーム間予測符号化を含む符号化処理によって符号化する符号化手段と、符号化後における前記動画像を前記撮像フレームレートよりも遅い所定の表示フレームレートで表示させる場合に表示対象となる、前記撮像フレームレートと前記表示フレームレートとにより決まる所定のフレーム間隔の画像を特定画像とし、該特定画像を前記符号化手段がフレーム間予測符号化するときの参照画像を他の特定画像に制限する符号化制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項2記載の発明に係る動画符号化装置にあっては、前記所定のフレーム間隔は、前記撮像フレームレートを前記表示フレームレートで割った値の整数倍であることを特徴とする。
【0013】
また、請求項3記載の発明に係る動画符号化装置にあっては、前記符号化制御手段は、前記符号化手段が前記特定画像をフレーム間予測符号化するときの参照画像を、直近の他の特定画像に制限することを特徴とする。
【0014】
また、請求項4記載の発明に係る動画符号化装置にあっては、前記符号化制御手段は、前記特定画像を第1の特定画像と第2の特定画像とに分け、前記符号化手段が前記第1の特定画像をフレーム間予測符号化するときの参照画像を直近の他の特定画像に制限し、かつ前記符号化手段が前記第2の特定画像をフレーム間予測符号化するときの参照画像を1つ隔てた他の特定画像に制限することを特徴とする。
【0015】
また、請求項5記載の発明に係る動画符号化装置にあっては、前記符号化手段は、フレーム間予測符号化に際して、先行する側のフレームの画像のみを参照画像として使用することを特徴とする。
【0016】
また、請求項6記載の発明に係る動画符号化装置にあっては、前記符号化手段は、フレーム間予測符号化に際して、先行する側のフレームの画像、又は前後双方のフレームの画像を参照画像として使用することを特徴とする。
【0017】
また、請求項7記載の発明に係る動画符号化装置にあっては、前記符号化手段により符号化された動画データを、他のフレームの画像を参照画像として使用するフレーム間予測符号化を含む復号化処理によって復号化する復号化手段と、この復号化手段による動画データの復号化対象を前記所定のフレーム間隔の特定画像のみに制限するとともに、前記復号化手段に、前記フレーム間予測復号化に際しては、復号化対象と異なる他の特定画像を参照画像として使用させる復号化制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0018】
また、請求項8記載の発明に係る動画符号化装置にあっては、前記符号化制御手段は、動画像の符号化時に設定されている動作モードの種類に応じ、前記符号化手段による前記特定画像以外の非特定画像を対象とするフレーム間予測符号化の有無を制御することを特徴とする。
【0019】
また、請求項9記載の発明に係る動画符号化装置にあっては、前記符号化手段により符号化された一連の符号化画像からなる動画データに、前記特定画像の復号化時における参照画像として他の特定画像を示す参照画像指示情報を付加する参照先情報付加手段を備えたことを特徴とする。
【0020】
また、請求項10記載の発明に係る動画符号化装置にあっては、前記符号化手段により符号化された一連の画像からなる動画データに、復号化対象の画像として前記特定画像のみを示す復号対象情報を付加する復号対象情報付加手段を備えたことを特徴とする。
【0021】
また、請求項11記載の発明に係る動画符号化装置にあっては、前記復号対象情報付加手段は、前記復号対象情報として、前記特定画像の一部の特定画像のみからなる一連の画像を示すインデックス情報を付加することを特徴とする。
【0022】
また、請求項12記載の発明に係る動画符号化装置にあっては、前記符号化手段により符号化された一連の画像からなる動画データに、復号化対象とすべき一連の画像を示すインデックス情報として、前記符号化手段により符号化された全フレームの画像を示す第1のインデックス情報と、前記特定画像のみからなる一連の画像を示す第2のインデックス情報とを付加するインデックス情報付加手段を備えたことを特徴とする。
【0023】
また、請求項13記載の発明に係る動画符号化装置にあっては、前記参照画像を一時記憶する記憶する参照画像記憶手段を備え、この参照画像記憶手段に対し並列に設けられ前記符号化手段を構成するとともに、前記参照画像記憶手段に一時記憶された同一の参照画像を使用して連続する複数フレームの画像を同期した符号化処理により個別に符号化する前記所定のフレーム間隔に応じた数の符号化手段とを備えたことを特徴とする。
【0024】
また、請求項14記載の発明に係る動画符号化装置にあっては、動画像を符号化する動画符号化装置において、所定のフレームレートで撮像された動画像における各入力する一連のフレームの画像を、他のフレームの画像を参照画像として使用するフレーム間予測符号化を含む符号化処理によって符号化する符号化手段と、符号化後における前記動画像が撮像時のフレームレートよりも遅いフレームレートで、かつ再生時間を撮像時間と一致させて表示させる場合に表示対象となる所定のフレーム間隔の画像を特定画像とし、該特定画像を前記符号化手段がフレーム間予測符号化するときの参照画像を他の特定画像に制限する符号化制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0025】
また、請求項15記載の発明に係る動画符号化方法にあっては、動画像を符号化する動画符号化方法において、所定の撮像フレームレートで撮像された動画像を、他のフレームの画像を参照画像として使用するフレーム間予測符号化を含む符号化処理によって符号化するとともに、符号化後における前記動画像を前記撮像フレームレートよりも遅い所定の表示フレームレートで表示させる場合に表示対象となる、前記撮像フレームと前記表示フレームレートとにより決まる所定のフレーム間隔の画像を特定画像とし、該特定画像の前記フレーム間予測符号化に際しては他の特定画像を参照画像として使用することを特徴とする。
【0026】
また、請求項16記載の発明にあっては、動画像を符号化する動画符号化装置が有するコンピュータを、所定の撮像フレームレートで撮像された動画像を、他のフレームの画像を参照画像として使用するフレーム間予測符号化を含む符号化処理によって符号化する符号化手段と、符号化後における前記動画像を前記撮像時のフレームレートよりも遅い所定の表示フレームレートで表示させる場合に表示対象となる、前記撮像フレームレートと前記表示フレームレートとにより決まる所定のフレーム間隔の画像を特定画像とし、該特定画像を前記符号化手段がフレーム間予測符号化するときの参照画像を他の特定画像に制限する符号化制御手段として機能させるためのプログラムとした。
【0027】
また、請求項17記載の発明に係る動画記録装置にあっては、撮影した動画像を記録する動画記録装置において、動画像を撮影する撮影手段と、この撮影手段により所定の撮像フレームレートで撮影された動画像における各フレームの画像を、他のフレームの画像を参照画像として使用するフレーム間予測符号化を含む符号化処理によって符号化する符号化手段と、この符号化手段により符号化された動画データを記録する記録手段と、この記録手段に記録された動画データに基づく動画像を前記撮像時のフレームレートよりも遅い所定の表示フレームレートで表示させる場合に表示対象となる、前記撮像フレームレートと前記表示フレームレートとにより決まる所定のフレーム間隔の画像を特定画像とし、該特定画像を前記符号化手段がフレーム間予測符号化するときの参照画像を他の特定画像に制限する符号化制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0028】
また、請求項18記載の発明に係る動画記録装置にあっては、動画像の記録時に設定されている記録モードの種類に応じ、前記記録手段に対する前記特定画像以外の非特定画像の符号化画像の記録の有無を制御する記録制御手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0029】
また、請求項19記載の発明に係る動画記録装置にあっては、前記記憶手段に記憶されている動画データを構成する一連の符号化画像から、前記特定画像の符号化画像を抽出する抽出手段と、この抽出手段により抽出された符号化画像を、相互の前後関係を維持したまま新たな動画データとして前記記憶手段に記憶させる動画編集手段とをさらに備えたことを特徴とする。
【0030】
また、請求項20記載の発明に係る動画復号化装置にあっては、所定の撮像フレームレートで撮像された動画像が符号化された動画データを復号化する動画復号化装置において、前記動画データを、他のフレームの画像を参照画像として使用するフレーム間予測復号化を含む復号化処理によって復号化する復号化手段と、この復号化手段による前記動画データの復号化対象を、前記動画像を前記撮像フレームレートよりも遅い所定の表示フレームレートで表示させる場合に表示対象となる、前記撮像フレームレートと前記表示フレームレートとにより決まる所定のフレーム間隔の特定画像のみに制限するとともに、前記復号化手段に、前記フレーム間予測復号化に際しては、復号化対象と異なる他の特定画像を参照画像として使用させる復号化制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0031】
また、請求項21記載の発明に係る動画復号化装置にあっては、前記復号化制御手段は、前記復号化手段に、前記特定画像のフレーム間予測復号化に際しては、前記動画データに付加されている参照画像指定情報により示されている、復号化対象と異なる他の特定画像を参照画像として使用させることを特徴とする。
【0032】
また、請求項22記載の発明に係る動画復号化装置にあっては、前記動画データに付加されている参照画像指定情報は、前記特定画像の復号化時の参照画像として直近の他の特定画像を示す情報であることを特徴とする。
【0033】
また、請求項23記載の発明に係る動画復号化装置にあっては、前記復号化制御手段は、前記動画データの復号化時に設定されている動作モードが第1の動作モードであるときには、前記復号化手段によるフレーム間予測復号化の対象を直近の他の特定画像を参照画像とする第1の特定画像、及び1つ隔てた他の特定画像を参照画像とする第2の特定画像のみに制限し、前記動画データの復号化時に設定されている動作モードが第2の動作モードであるときには、前記復号化手段によるフレーム間予測復号化の対象を1つ隔てた他の特定画像を参照画像とする第2の特定画像のみに制限することを特徴とする。
【0034】
また、請求項24記載の発明に係る動画復号化装置にあっては、前記復号化制御手段は、前記復号化手段による前記動画データの復号化対象を、前記動画データに付加されている復号対象情報により示される前記特定画像のみに制限することを特徴とする。
【0035】
また、請求項25記載の発明に係る動画復号化装置にあっては、前記復号化制御手段は、前記復号化手段による前記動画データの復号化対象を、前記特定画像のうちで、前記動画データに付加されている復号対象情報により示される前記特定画像のみに制限することを特徴とする。
【0036】
また、請求項26記載の発明に係る動画復号化装置にあっては、前記復号化制御手段は、復号化手段による復号化処理に際し、前記動画データに予め付加されているとともに復号対象として互いに異なる画像を示す第1のインデックス情報又は第2のインデックス情報を選択的に使用することにより、前記動作モードが第1の再生モードであるとき、復号化手段に全てのフレームを対象とする復号化処理を行わせ、かつ前記動作モードが第2の再生モードであるとき、復号化手段に所定のフレーム間隔の特定画像のみを対象とする復号化処理を行わせることを特徴とする。
【0037】
また、請求項27記載の発明に係る動画復号化装置にあっては、所定の撮像フレームレートで撮像された動画像が符号化された動画データを復号化する動画復号化装置において、前記動画データを、他のフレームの画像を参照画像として使用するフレーム間予測復号化を含む復号化処理によって復号化する復号化手段と、この復号化手段による前記動画データの復号化対象を、符号化後における前記動画像を前記撮像時のフレームレートよりも遅いフレームレートで、かつ再生時間を撮像時間と一致させて表示させる場合に表示対象となる所定のフレーム間隔の特定画像のみに制限するとともに、前記復号化手段に、前記フレーム間予測復号化に際しては、復号化対象と異なる他の特定画像を参照画像として使用させる復号化制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0038】
また、請求項28記載の発明に係る動画復号化方法にあっては、所定の撮像フレームレートで撮像された動画像が符号化された動画データを復号化する動画復号化方法において、前記動画データを、他のフレームの画像を参照画像として使用するフレーム間予測復号化を含む復号化処理により復号化するとともに、その復号化処理による復号化対象を、前記動画像を前記撮像フレームレートよりも遅い所定の表示フレームレートで表示させる場合に表示対象となる、前記撮像フレームレートと前記表示フレームレートとにより決まる所定のフレーム間隔の特定画像のみに制限し、該特定画像の前記フレーム間予測復号化に際しては、復号化対象と異なる他の特定画像を参照画像として使用することを特徴とする。
【0039】
また、請求項29記載の発明にあっては、所定の撮像フレームレートで撮像された動画像が符号化された動画データを復号化する動画復号化装置が有するコンピュータを、動画データを、他のフレームの画像を参照画像として使用するフレーム間予測復号化を含む復号化処理によって復号化する復号化手段と、この復号化手段による前記動画データの復号化対象を、前記動画像を前記撮像フレームレートよりも遅い所定の表示フレームレートで表示させる場合に表示対象となる、前記撮像フレームレートと前記表示フレームレートとにより決まる所定のフレーム間隔の特定画像のみに制限するとともに、前記復号化手段に、前記フレーム間予測復号化に際しては、復号化対象と異なる他の特定画像を参照画像として使用させる復号化制御手段として機能させるためのプログラムとした。
【0040】
また、請求項30記載の発明に係るデータ構造にあっては、所定の撮像フレームレートで撮像された動画像が符号化されているとともに動画復号化装置により復号化される動画データのデータ構造において、動画復号化装置により復号化し前記動画像を前記撮像フレームレートよりも遅い所定の表示フレームレートで表示させる場合に表示対象となる、前記撮像フレームレートと前記表示フレームレートとにより決まる所定のフレーム間隔の特定画像の符号化データであって、他の特定画像を参照画像としてフレーム間予測符号化された符号化データと、前記特定画像の復号化時に参照画像とすべき前記他の特定画像を示す参照画像指示情報とを含むことを特徴とする。
【0041】
また、請求項31記載の発明に係るデータ構造にあっては、前記動画復号化装置が復号化対象とすべき画像として前記特定画像のみを示す復号対象情報を含むことを特徴とする。
【0042】
また、請求項32記載の発明に係るデータ構造にあっては、前記復号対象情報として、前記特定画像の一部の特定画像のみからなる一連の符号化データを示すインデックス情報を含むことを特徴とする。
【0043】
また、請求項33記載の発明に係るデータ構造にあっては、前記動画復号化装置が復号化対象とすべき画像を示すインデックス情報として、全フレームの画像を示す第1のインデックス情報と、前記特定画像のみからなる一連の画像を示す第2のインデックス情報とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0044】
本発明の動画符号化装置および動画符号化方法によれば、フレーム間引きを伴う動画再生を効率的に行い得る動画像の符号化データを得ることが可能となる。また、本発明の動画復号化装置および動画復号化方法によれば、上記符号化データを復号化することができる。また、本発明の動画記録装置によれば、撮影した動画像を上記符号化データとして記録することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、本発明の好ましい実施形態を図にしたがって説明する。
[実施形態1]
まず、第1の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る動画記録装置(デジタルカメラ)の電気的構成の概略を示すブロック図である。この動画記録装置は、動画像の記録機能と再生機能とを備えたものであり、以下の構成を備えている。
【0046】
すなわち、動画記録装置は動画像を撮影するための撮像部1を有している。撮像部1は本発明の撮影手段であり、光学系から入力した被写体光Lによる光学像を電気信号に変換するCCDやCMOSセンサ等のイメージセンサ、イメージセンサの出力信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ等から構成され、変換後のデジタル信号すなわち撮像信号を画像生成部2へ出力する。
【0047】
画像生成部2は、撮像部1から所定のフレームレートで出力された撮像信号から画像データを逐次生成する。ここで生成される画像データは輝度成分Y、色差成分Cb,Crから構成され、その画像データは動画像を構成する一連のフレームデータとして、メモリバス3を介してメモリ4に逐次格納される。メモリ4にいったん格納された画像データは、記録時にはCODEC5に順次入力される。なお、メモリ4には複数フレーム分の画像データが格納される。
【0048】
CODEC5は、動き補償によるフレーム間予測技術を用いた符号化方式により動画データを符号化したり、符号化データを復号化したりする本発明の符号化手段及び復号化手段である。より具体的には、動画像を構成する一連のフレーム(画像データ)を、MPEG方式(MPEG−1、MPEG−2、MPEG−4、H.264等)におけるIピクチャ(フレーム内符号化画像)、及びPピクチャ(順方向フレーム間予測符号化画像)として符号化したり、符号化データを復号化したりするための、直交変換回路、量子化回路、動き検出回路、順方向予測回路、符号化回路、復号化回路、逆直交変換回路、フレームメモリ等から構成されている。
【0049】
CODEC5は、記録時には、メモリ4から順次入力する画像データ(一連のフレームデータ)を符号化する間、Iピクチャを符号化する場合は、そのフレームの情報だけを用いた符号化(フレーム内符号化)処理を行い前記メモリ4に出力する。その際には、前記画像データを、次フレームのPピクチャの符号化に際して使用される画像データ(参照画像)として前記メモリ4に蓄積する。
【0050】
また、Pピクチャを符号化する場合は、それ以前のフレームの符号化に際して前記メモリ4に蓄積されていた参照用の画像データ(参照画像)を読み出し、その参照画像と当該フレームの画像とを用いた符号化(順方向フレーム間予測符号化)処理を行い、メモリ4に出力する。なお、ここで出力される符号化データには動きベクトル(MV)や、当該符号化データがIピクチャかPピクチャかのピクチャ種別や、復号時における参照先のフレーム等を示す属性情報も含まれる。
【0051】
さらに、Pピクチャの符号化に際しては、当該フレームの画像データを次フレームのPピクチャの符号化に際して使用する参照画像のデータとして前記メモリ4に蓄積する。より具体的には、符号化したPピクチャに対してローカルデコード(動画データの復号化に際して作成される予測画像と同一の予測画像を作るための復号処理)を行って予測画像を作成し、その画像データを参照画像のデータとして前記メモリ4に蓄積する。なお、前述したIピクチャ及びPピクチャ(符号化データ)と、参照画像(画像データ)とは、前記メモリ4に確保される所定の領域に別々に格納される。
【0052】
上記のように前記CODEC5によって生成されメモリ4に格納された符号化データは、CPU8によって前記属性情報が付加されることにより動画ファイルとなり、メモリカード制御部9によってメモリカード10に記録される。
【0053】
また、記録時に画像生成部2により生成されメモリ4に格納された画像データは、表示制御部6によって順次読み出されるとともにLCD(液晶表示器)7に送出され、LCD7において画面表示される。
【0054】
一方、メモリカード10に記録された動画ファイルは、再生時にメモリカード制御部9によって読み出され、CPU8によって符号化データ部分が取り出された後、前記CODEC5へ送られる。送られた符号化データ(動画データ)は、前記CODEC5によって、後述するように3種類の再生モード(実速再生モード、スロー再生モード、可変速再生モード)に応じた動作により復号される。復号された動画データはメモリ4に格納される一方、前記表示制御部6によってフレーム毎に順に読み出されるとともにLCD7に送出され、動画像として画面表示される。
【0055】
前記CPU8は、プログラムメモリ11に記憶されている所定のプログラムに従い上述した各部を制御するとともに、ユーザが動画記録装置を操作するために設けられている各種の操作キーからなるキー入力部12におけるキー操作状態を逐次検出し、所定のキー操作に応じた制御を行う。
【0056】
そして、CPU8は、記録時には前述した撮像部1、画像生成部2、CODEC5を240fpsのフレームレートで動作させる、つまり高速撮像を行わせるとともに、表示制御部6を常に60fpsのフレームレート(以下、表示フレームレートという。)で動作させる。また、動画記録装置においてメモリカード10に記録した動画像の再生時には、CODEC5を前記表示フレームレートと同じ60fpsのフレームレートで動作させるとともに、後述する3種類の再生モード(実速再生モード、スロー再生モード、可変速再生モード)に応じて制御することにより本発明の復号化制御手段として機能する。
【0057】
前記プログラムメモリ11は、EEPROMやフラッシュメモリ等の書き換え可能な不揮発性メモリであって、前述した所定のプログラム以外にも、ユーザにより設定、又は変更された装置の各機能に関する他の設定データが記憶されている。
【0058】
前記キー入力部12には、ユーザが、動画記録装置の動作モードを記録モードと再生モードとに切り替えるモード切替キー、記録モードでの記録開始及び記録終了、再生モードでの再生開始及び再生終了を指示する操作キー等が設けられている。
【0059】
また、本実施形態においては、再生モードとして先に述べた実速再生モード、スロー再生モード、可変速再生モードの3種類が用意されている。実速再生モードは、動画像の動き速度(以下、再生速度という)を実速度とするモード、スロー再生モードは、再生速度を実速度よりも遅い1/4の速度とするモードであり、双方の再生モードは再生速度を上記速度に固定した状態で動画像を再生する際に使用される。可変速再生モードは、実速再生モード及びスロー再生モードとは異なり、再生中において動画像の再生速度を実速度と実速度の1/4の速度とに適宜変更可能とするモードである。なお、各々の再生モードは動画像の再生前において設定可能であり、前記モード切替キーの操作によってユーザが、動画像の再生に先立ちいずれかの再生モードを選択的に設定できるようになっている。
【0060】
また、前記キー入力部12には、可変速再生モードによる動画像の再生中にユーザが動画像の再生速度を実速度と前記1/4の速度とに切り替えるための速度切替キーが設けられており、前記キー入力部12によって本発明の操作手段が実現されている。
【0061】
以下、本実施形態における本発明に係る動作について説明する。
【0062】
(記録動作)
まず、記録モードによる動画撮影記録時の動作を説明する。図2は、CPU8によるCODEC5の制御内容を示したフローチャートである。動画撮影記録時において、CPU8は前述したように240fpsのフレームレートで撮像部1、画像生成部2、CODEC5を動作させるとともに、各部をフレーム単位で同期させる。
【0063】
そして、撮影記録開始に伴いCPU8は、まずフレーム番号(i)を初期化する(ステップSA1)。なお、フレーム番号の初期値(先頭フレームの番号)は「0」である。以後、CPU8は、メモリ4への1フレーム分の画像データの入力(蓄積)を待ってから(ステップSA2)、フレーム毎にフレーム番号(i)をインクリメントしながら以下に述べる符号化処理を前記CODEC5に行わせる。
【0064】
まず、動作開始直後の1フレーム目(i=0)を含め、フレーム番号(i)が120の倍数であれば(ステップSA3でYES)、メモリ4に蓄積されている今回の画像データを読み出してCODEC5に入力し、CODEC5にIピクチャをエンコードさせる。すなわちCODEC5は入力した画像データのみに基づいたフレーム内符号化を行い、符号化データをメモリ4へ出力する(ステップSA4)。また、このときには、符号化データをデコードしたローカルデコード画像を、次フレームのPピクチャの符号化時に使用する画像データ(参照画像)として、符号化データとは別に前記メモリ4に蓄積する。さらに、この符号化データに対して前述した属性情報を付加する(ステップSA5)。
【0065】
そして、撮影が終了するまでの間(ステップSA6でNO)、フレーム番号(i)をインクリメントした後(ステップSA7)、ステップSA2へ戻って上記処理を繰り返す。すなわちCODEC5に、フレーム番号(i)が「120」の倍数になる毎、つまりフレームレートが240fpsであるため0.5秒毎に入力する画像データをIピクチャとして符号化させる。
【0066】
また、上記処理を繰り返す間、メモリ4に入力された画像データのフレーム番号(i)が120の倍数以外で(ステップSA3でNO)、かつそれが4の倍数であれば(ステップSA8でYES)、4フレーム前のフレームの符号化処理に際してメモリ4に蓄積しておいた参照画像と、同じくメモリ4に蓄積されている今回の画像データとを読み出してCODEC5に入力し、CODEC5に、それを用いたPピクチャのエンコードを行わせる(ステップSA9)。すなわち3フレームおきに、4フレーム前のフレームの画像を参照画像として使用した動き補償によるフレーム間、フレーム内予測符号化による符号化を行わせ、符号化データをメモリ4へ出力させる。また、このとき、CODEC5は、符号化したPピクチャに対して前述したローカルデコードを行って予測画像を作成し、その画像データを次フレーム(但し、Pピクチャ)の符号化時に使用する参照画像として、符号化データとは別に前記メモリ4に蓄積する。さらに、この符号化データに対して前述した属性情報を付加する(ステップSA5)。
【0067】
これに対し、メモリ4に入力された画像データのフレーム番号(i)が4の倍数でなければ(ステップSA3,SA8が共にNO)、直前のフレームの符号化処理に際してメモリ4に蓄積しておいた参照画像と、同じくメモリ4に蓄積されている今回の画像データとを読み出してCODEC5に入力し、CODEC5に、それを用いたPピクチャのエンコードを行わせ、符号化データをメモリ4へ出力させる(ステップSA10)。つまり通常の動き補償によるフレーム間、フレーム内予測符号化を行わせる。また、このときも、CODEC5は、符号化したPピクチャに対して前述したローカルデコードを行って予測画像を作成し、その画像データを次フレーム(但し、Pピクチャ)の符号化時に使用する参照画像として、符号化データとは別に前記メモリ4に蓄積する。さらに、この符号化データに対して前述した属性情報を付加する(ステップSA5)。
【0068】
以後、撮影が終了するまでの間は(ステップSA6でNO)、上述した全ての処理を繰り返し、撮影が終了した時点で記録動作を終了する。なお、前記メモリ4に蓄積された一連の符号化データ、及びそれにフレーム毎に付加された属性情報は、前記メモリカード制御部9によってメモリカード10に送られ動画ファイルとして記録される。以上の処理は撮像部1及び画像生成部2とフレーム単位で同期して行われる。
【0069】
図6(a)は、上述した処理によって生成された符号化データ61、及びそれに付加される前記属性情報62、つまりピクチャ種別情報62aと参照先フレーム情報62bとを概念的に示した図である。なお、H.264においては、上記符号化データ61がスライスデータ本体として動画ファイルに格納される。一方、ピクチャ種別情報62aは各ピクチャの種別を示すスライスタイプとしてスライスヘッダに格納され、参照先フレーム情報62bは、各ピクチャの復号時における参照先の画像(ピクチャ)を示す参照画像指示情報として、符号化データ61と共にスライスデータ本体に格納される。また、参照画像指示情報(参照先フレーム情報62b)としては、参照先の画像が直前の参照ピクチャ(参照されるピクチャ)であれば「0」、それより1つ前の参照ピクチャであれば「1」、さらに1つ前の参照ピクチャであれば「2」、といったように符号化時の順序とは逆に、そのフレームから離れるに従い増加する値が規定されている。
【0070】
また、図に示した符号化データ61おいて、「I」はIピクチャ、「P」はIピクチャ以外のフレーム番号(i)が4の倍数であるフレームのPピクチャであり、「p」はフレーム番号(i)が4の倍数以外のフレームのPピクチャである。つまり本実施形態においては、「I」及び「P」が本発明における所定のフレーム間隔の特定画像である。また、矢印で示したフレームが、各Pピクチャの符号化時における参照先のフレーム(参照画像)である。なお、以下の説明においては、「I」及び「P」のフレームをメインフレーム、「p」のフレームをサブフレームと呼ぶ。
【0071】
また、上記符号化データ61には、ピクチャ種別情報62aとしてIピクチャであれば「I」、Pピクチャであれば「P」といった値がフレーム毎に付加される。また、Iピクチャのフレームを除きPピクチャのフレームには、参照先フレーム情報62bとして前述した所定の値が付加される。すなわち参照先フレーム情報62bとして、全てのサブフレーム(p1,p2,p3等)には直前の参照ピクチャ(参照されるピクチャ)を示す「0」がそれぞれ付加され、メインフレーム(P4,P8,P12)にはフレーム順で4つ前の参照ピクチャ(参照されるピクチャ)を示す「3」がそれぞれ付加される。
【0072】
(再生動作)
次に、本実施形態における前述した各再生モード(実速再生モード、スロー再生モード、可変速再生モード)よる再生時の動作を図3〜図5に従い説明する。
【0073】
ここでは、上述した記録動作によってメモリカード10に記録された動画像(動画ファイル)を再生するものとする。なお、各再生モードにおいては、CPU8が、メモリカード10に記録されているとともにユーザによって選択された任意の動画ファイルをメモリカード制御部9を介して読み出し、読み出した動画ファイルの符号化データ部分を取り出し、その符号化データ部分のCODEC5への転送を60fpsのフレームレートで開始することにより、動画像の再生が開始される。
【0074】
(再生動作・スロー再生)
まず、スロー再生モードでの動作を図3のフローチャートに従い説明する。ユーザによりスロー再生モードが設定されているとき、CPU8は、CODEC5、表示制御部6を60fpsのフレームレートで動作させる。
【0075】
そして、再生開始に伴いCPU8は、まずフレーム番号(i)を初期化する(ステップSB1)。なお、フレーム番号の初期値は記録時と同様「0」である。
【0076】
次に、フレーム番号(i)の符号化データから前述した属性情報62(ピクチャ種別情報62a、参照先フレーム情報62b)を読み出し(ステップSB2)、そのピクチャ種別情報62aによって示されるピクチャの種別がIピクチャであるか否かを判別する(ステップSB3)。ここで、再生開始当初のようにIピクチャであれば(ステップSB3でYES)、CODEC5にIピクチャをデコードさせる。すなわちフレーム内復号化により画像データを復号し、その画像データをメモリ4へ出力する動作を行わせる(ステップSB4)。
【0077】
また、フレーム番号(i)の符号化データがIピクチャでなければ(ステップSB3でNO)、Pピクチャつまり図6(a)に示したPピクチャ又はpピクチャ(メインフレーム又はサブフレームの符号化データ)をデコードさせる。すなわちステップSB2で読み出した参照先フレーム情報62bによって示される参照先のフレームの画像、つまりPピクチャ(メインフレーム)であればメモリ4に蓄積しておいた4フレーム前の画像、pピクチャ(サブフレーム)であればメモリ4に蓄積しておいた1フレーム前の画像をそれぞれ参照画像として用いたフレーム間予測復号化によって画像データを復号させる。より具体的には、参照画像と復号化した動画ベクトルから予測画像を作成させ、その予測画像と復号化した差分画像から当該フレームの画像を作成させ、その画像データをメモリ4へ出力させる(ステップSB5)。
【0078】
そして、1/60秒の表示フレームレートによるタイミング待ちを行った後(ステップSB6)、復号化された画像データをメモリ4から読み出し、その画像データを表示制御部6へ送る。それにより表示制御部6に、表示フレームレートによる表示タイミングでLCD7の表示画像を更新させる(ステップSB7)。
【0079】
以後、最終フレームの処理が終了するまでは(ステップSB8でNO)、フレーム番号(i)をインクリメントした後(ステップSB9)、ステップSB2へ戻って前述した処理を繰り返し、全ての符号化データの復号化(全フレームの表示)が終了した時点(ステップSB8でYES)で再生を終了する。
【0080】
これにより、図6(b)に示したように、240fpsで撮影記録された全てのフレームを順にデコードし、記録されている全てのフレームの画像データを60fpsで表示させることにより、動画像を実速度の1/4の速度でスロー再生する。
【0081】
(再生動作・実速再生)
次に、実速再生モードでの動作を図4のフローチャートに従い説明する。ユーザにより実速再生モードが設定されているときにおいても、CPU8は、CODEC5、表示制御部6を60fpsのフレームレートで動作させる。
【0082】
そして、再生開始に伴いCPU8は、まずフレーム番号(i)を初期化する(ステップSB101)。なお、フレーム番号の初期値は記録時と同様「0」である。
【0083】
次に、フレーム番号(i)が4の倍数(初期値「0」を含むものとする)であるか否か、つまり前述したメインフレーム(図6(a)で「I」又は「P」のフレーム)であるか否かを判別する(ステップSB102)。ここで、再生開始直後のようにフレーム番号(i)が4の倍数であれば(ステップSB102でYES)、引き続き、符号化データから属性情報を読み出し(ステップSB103)、この属性情報によって示されるピクチャ種別がIピクチャであるか否かを判別する(ステップSB104)。
【0084】
そして、前述したスロー再生モードによるステップSB4〜SB9と同様、再生開始当初における先頭フレームのようにIピクチャであれば(ステップSB104でYES)、CODEC5に、Iピクチャをデコードさせる。すなわちフレーム内復号化により画像データを復号し、その画像データをメモリ4へ出力する動作を行わせる(ステップSB105)。また、Iピクチャでなければ(ステップSB104でNO)、Pピクチャをデコードさせる。すなわちステップSB103で読み出した属性情報によって示される参照先のフレームの画像(メモリ4に蓄積しておいた4フレーム前の画像=直前のメインフレームの画像)を参照画像として用いたフレーム間予測復号化によって画像データを復号させ、その画像データをメモリ4へ出力させる(ステップSB106)。ただし、ここでデコードさせるPピクチャは、スロー再生モードとは異なりメインフレーム(図6(a)で「P」のフレーム)のみのPピクチャとなる。
【0085】
そして、1/60秒の表示フレームレートによるタイミング待ちを行った後(ステップSB107)、復号化された画像データをメモリ4から読み出し、その画像データを表示制御部6へ送る。それにより表示制御部6に、表示フレームレートによる表示タイミングでLCD7の表示画像を更新させる(ステップSB108)。
【0086】
引き続き、最終フレームの処理が終了していなければ(ステップSB109でNO)、フレーム番号(i)をインクリメントした後(ステップSB110)、ステップSB102へ戻り、前述した処理を繰り返す。
【0087】
その間、ステップSB102の判別結果がNOであって、新たなフレーム番号(i)が4の倍数でないとき、すなわち次に処理対象となる符号化データが前述したサブフレーム(図6(a)で「p」のフレーム)のPピクチャであるときには、当該フレーム番号(i)の符号化データを読み飛ばし、つまり動画ファイルから取り出した符号化データのCODEC5への転送動作をスキップし(ステップSB111)、そのままフレーム番号(i)をインクリメントし(ステップSB112)、ステップSB102へ戻り、フレーム番号(i)が4の倍数となるまで、ステップSB111,SB112の処理を繰り返す。
【0088】
そして、再びフレーム番号(i)が4の倍数となった時点で、前述したステップSB103〜ステップSB108の処理を行い、次のメインフレーム(図6(a)で「I」又は「P」のフレーム)の符号化データ(Iピクチャ又はPピクチャ)の復号化をCODEC5に行わせ、かつ復号した画像データをLCD7に表示させる。
【0089】
以後、最終フレームの処理が終了するまでの間は(ステップSB109でNO)、フレーム番号(i)をインクリメントした後(ステップSB110)、ステップSB102へ戻って前述した処理を繰り返す。つまり、図6(c)に示したように、CODEC5に動画像を4フレーム毎(3フレームおき)に表示(デコード)させる、言い換えると表示(デコード)するフレームを1/4に間引くことによって動画像を実速度で再生する。そして、最終フレームの処理が終了した時点(ステップSB109でYES)で再生を終了する。なお、前述したステップSB112においてフレーム番号(i)をインクリメントした時点で、それが最終フレームのフレーム番号(i)を超えた場合には、当然その時点で再生を終了する。
【0090】
ここで、以上の実速再生モードによる動画像の再生時には、実際に表示するメインフレーム(図6(a)で「I」又は「P」のフレーム)の符号化データのうち、Iピクチャはフレーム内符号化画像であり、また、Pピクチャは順方向フレーム間、フレーム内予測符号化画像であるが、直前のメインフレームのIピクチャ若しくはPピクチャを参照画像として符号化されている。そのため、前述したように各メインフレームの表示を、表示しないサブフレーム(図6(a)で「p」のフレーム)の符号化データ(pピクチャ)を復号化(デコード)せずとも支障なく行うことができる。つまり、フレーム間引きを伴う実速再生モードでの動画再生を効率的に行うことができる。その結果、従来に比べて全体のデータ処理量、消費電力を削減することができる。
【0091】
(再生動作・可変速再生)
次に、可変速再生モードでの動作を図5のフローチャートに従い説明する。ユーザにより可変速再生モードが設定されているときにおいても、CPU8は、CODEC5、表示制御部6を60fpsのフレームレートで動作させる。
【0092】
そして、再生開始に伴いCPU8は、まず、前記CODEC5の再生動作を規定するパラメータである再生モード値(m)を初期化する(ステップSB201)。すなわち再生モードの種類を決める。ここで、再生モード値(m)は「1」又は「4」の2種類であり、「1」がスロー再生モード、「4」が実速再生モードであり、初期化に際してCPU8は再生モード値(m)に「1」(スロー再生モード)を設定する。また、フレーム番号(i)を初期化する(ステップSB202)。なお、フレーム番号の初期値は記録時と同様「0」である。
【0093】
その後、CPU8は、フレーム番号(i)が再生モード値(m)の倍数(「i=0」を含むものとする)であるか否かを判別する(ステップSB203)。再生開始直後はi=0、m=1であって、ここでの判別結果はYESとなるため、符号化データから前述した属性情報62(ピクチャ種別情報62a、参照先フレーム情報62b)を読み出し(ステップSB204)、そのピクチャ種別情報62aによって示されるピクチャの種別がIピクチャであるか否かを判別する(ステップSB205)。再生開始直後(1フレーム目)の符号化データはIピクチャであるため(ステップSB205でYES)、CODEC5にIピクチャをデコード(フレーム内復号化)させ、そのデコードした画像データをメモリ4へ出力させる(ステップSB206)。
【0094】
そして、1/60秒の表示フレームレートによるタイミング待ちを行った後(ステップSB207)、復号化された画像データをメモリ4から読み出し、その画像データを表示制御部6へ送る。それにより表示制御部6に、表示フレームレートによる表示タイミングでLCD7の表示画像を更新させる(ステップSB208)。
【0095】
引き続き、最終フレームの処理が終了するまでは(ステップSB209でNO)、フレーム番号(i)をインクリメントした後(ステップSB210)、フレーム番号(i)が4の倍数であるか否かを判別する(ステップSB211)。再生開始直後にはi=1であり、ここでの判別結果はNOとなるため、そのままステップSB203へ戻り前述した処理を繰り返す。
【0096】
その際、i=1、m=1であって、ステップSB203での判別結果はYESとなるため、符号化データから属性情報62を読み出し(ステップSB204)、それがIピクチャであるか否かを判別する(ステップSB205)。2フレーム目(i=1)はサブフレーム(図6(a)で「p」のサブフレーム)であって、復号化対象の符号化データはPピクチャであるため(ステップSB205がNO)、フレーム番号(i)の符号化データに付随する参照先フレーム情報62bにおいて指示されている参照画像、すなわち1フレーム前の画像をメモリ4から読み出し、それを参照画像としてCODEC5にPピクチャをデコード(フレーム間予測復号化)させ、メモリ4へ出力させる(ステップSB212)。そして、1/60秒の表示フレームレートによるタイミング待ちを行った後、復号化された画像データをメモリ4から読み出し、その画像データを表示制御部6へ送り、表示制御部6に、表示フレームレートによる表示タイミングでLCD7の表示画像を更新させる(ステップSB207、SB208)。また、3フレーム目、及び4フレーム目の符号化データについても、2フレーム目と同様に1フレーム前の画像を参照画像として使用するデコード処理を行わせ、デコードされた画像データをLCD7に画面表示させる。
【0097】
そして、4フレーム目の画像が表示された直後には、ステップSB210でインクリメントされた後のフレーム番号(i)が「4」であるため(ステップSB211でYES)、CPU8が、ユーザにより前述した速度切替キーが操作されたか否かをいったん確認し、速度切替キーの操作がなければ(ステップSB213でNO)、そのままステップSB203へ戻る。そして、5フレーム目(i=4)はメインフレーム(図6(a)で「P」のフレーム)であって、復号化対象の符号化データはPピクチャであるため(ステップSB205がNO)、フレーム番号(i)の符号化データに含まれる属性情報において指示されている参照画像、すなわち4フレーム前の画像(直前のメインフレームの画像)をメモリ4から読み出し、CODEC5にそれを用いてPピクチャをデコード(フレーム間予測復号化)させ、メモリ4へ出力させ(ステップSB212)、その画像データをLCD7に画面表示させる(ステップSB207,SB208)。
【0098】
以後、上述したステップSB203〜SB213の処理を繰り返し、図6(b)に示したように、全てのフレームを順にデコードして表示することによって、再生開始時点においてユーザによりスロー再生モードが設定されていた場合と同様に動画像を実速度の1/4の速度でスロー再生する。また、その間には、4フレーム毎に、つまりメインフレーム(図6(a)で「P」のフレーム)の符号化データを処理する直前に速度切替キーの操作の有無を確認する。
【0099】
そして、その間のいずれかの確認タイミングで速度切替キーの操作があった場合には(ステップSB213でYES)、その時点でCPU8が再生モード値(m)を「1」から「4」に切り替えた後(ステップSB214)、ステップSB203へ戻ることにより実速再生モードに移行する。
【0100】
実速再生モードに移行した直後においては、ステップSB203の判別結果がYESであるため、ステップSB204以降の処理により、ステップSB205の判別結果がNOである場合には、4フレーム前の画像(直前のメインフレームの画像)をメモリ4から読み出し、それを参照画像としてCODEC5に、メインフレーム(図6(a)で「P」のフレーム)の符号化データ(Pピクチャ)のデコード(フレーム間予測復号化)を行わせた後、デコードした画像データをLCD7に画面表示させる。また、ステップSB205の判別結果がYESである場合には、CODEC5にIピクチャをデコード(フレーム内復号化)させた後、デコードした画像データをLCD7に画面表示させる。
【0101】
その後、フレーム番号(i)が4の倍数でない間は(ステップSB203でNO)、その時点のフレーム、つまりサブフレーム(図6(a)で「p」のフレーム)の符号化データ(Pピクチャ)を読み飛ばし、つまり動画ファイルから取り出した符号化データのCODEC5への転送動作をスキップして(ステップSB215)、フレーム番号(i)をインクリメントした後(ステップSB216)、ステップSB203へ戻る処理を繰り返す。そして、フレーム番号(i)が4の倍数となる毎に、ステップSB204以降の処理によって、ステップSB205の判別結果がNOである場合には、4フレーム前の画像(直前のメインフレームの画像)をメモリ4から読み出し、それを参照画像としてCODEC5に、メインフレーム(図6(a)で「P」のフレーム)の符号化データ(Pピクチャ)のデコード(フレーム間予測復号化)を行わせた後、デコードした画像データをLCD7に画面表示させる。また、ステップSB205の判別結果がYESである場合には、CODEC5にIピクチャをデコード(フレーム内復号化)させた後、デコードした画像データをLCD7に画面表示させる。
【0102】
以後、同様の処理を繰り返すことにより、実速再生モードが設定されていた場合と同様、図6(c)に示したように、動画像を4フレーム毎(3フレームおき)に表示(デコード)する(表示するフレームを1/4に間引く)ことによって、動画像を実速度で再生する。また、その間においても、4フレーム毎に、つまり次のメインフレームの符号化データを処理する直前のタイミングで速度切替キーの操作の有無を確認する(ステップSB213)。
【0103】
その後、いずれかの確認タイミングで速度切替キーの操作があった場合には(ステップSB213でYES)、その時点でCPU8が再生モード値(m)を「4」から「1」に切り替えた後(ステップSB214)、ステップSB203へ戻ることによりスロー再生モードに移行し、再生動作を継続する。そして、最終フレームの処理が終了したら(ステップSB209でYES)、その時点で再生を終了する。なお、前述したステップSB215においてフレーム番号(i)をインクリメントした時点で、それが最終フレームのフレーム番号(i)を超えた場合には、当然その時点で再生を終了する。
【0104】
したがって、可変速再生モードにおいては、動画像の再生中であっても、ユーザが所望の時点で速度切替キーを操作すれば、再生モードすなわち動画像の再生速度(動き速度)を実速度と実速度の1/4の速度とにリアルタイムに切り替えることができる。
【0105】
また、再生速度が実速度に設定されている間については、前述したように4フレーム毎のメインフレームの表示を、表示しないサブフレーム(図6(a)で「p」のフレーム)の符号化データ(Pピクチャ)を復号化することなく効率的に行うことができ、その結果、従来に比べて全体のデータ処理量、消費電力を削減することができる。
【0106】
なお、本実施形態のようにIピクチャ及びPピクチャのみからなる動画データは、動画圧縮の国際標準であるH.264においても許容されるため、H.264に準拠する動画データが再生可能な構成であれば任意の動画再生装置においても再生可能である。
【0107】
[実施形態2]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、第1の実施形態と同様、240fpsのフレームレートで高速撮像した動画像を圧縮して記録する記録機能と、記録した動画データを復号するとともに60fpsの表示フレームレートで再生する再生機能とを備えた動画記録装置に関するものである。
【0108】
本実施形態における基本構成は第1の実施形態で説明した動画記録装置(図1)と同様であるが、前記CODEC5が図7に示したように構成されている。
【0109】
図7は、本実施形態におけるCODEC5の構成を示すブロック図であり、CODEC5は、主としてバス制御部51および参照バッファ52と、並列に設けられた第1のCODEC53〜第4のCODEC56(図7で「CODEC_0」〜「CODEC_3」)とによって構成されている。
【0110】
第1のCODEC53〜第4のCODEC56は、動画データを符号化、復号化するための主処理部を構成する部分であり、各々が同一仕様であるとともに、各々がVGA(640ドット×480ドット)サイズの画像データを60fpsの処理速度により符号化、復号化することができる処理能力を有している。すなわち、第1のCODEC53〜第4のCODEC56は、各々が第1の実施形態でCODEC5の構成として説明した直交変換回路、量子化回路、動き検出回路、順方向予測回路、符号化回路、復号化回路、逆直交変換回路等によって構成されている。
【0111】
ここで、本実施形態でのCODEC5による動画データの符号化方式は、第1の実施形態で言及した国際標準であるH.264、すなわち2003年にITU−T(International Telecommunication Union - Telecommunication Standardization Sector)とMPEG(Moving Picture Experts Group)の合同標準化部会であるJVT(Joint Video Team)で標準化された映像圧縮符号化方式であり、ITU−TではH.264として、またMPEGではMPEG−4 Part10 Advanced Video Coding(AVC)として標準化されているH.264/MPEG−4 AVC(以後、H.264と表記する)に準拠するものである。
【0112】
前記参照バッファ52は第1の実施形態で説明したフレームメモリに相当するものである。参照バッファ52は、第1のCODEC53〜第4のCODEC56がフレーム毎の画像データを符号化、及び復号する際に必要となる参照画像の一部を、処理に応じて前記メモリ4(図1)から読み出して格納し、第1のCODEC53〜第4のCODEC56に共通の画像データを送出する。具体的には、各々が処理対象としているマクロブロックに関する同一位置のマクロブロックと、動き探索、あるいは動き予測に必要となる部分の
【0113】
前記バス制御部51は、第1のCODEC53〜第4のCODEC56の要求に応じた、前記メモリ4に対する画像データ、符号データの入出力を制御する。本実施形態では、前記CPU8からの指令に基づくバス制御部51の制御によって、例えば第1のCODEC53(図7で「CODEC_0」)はIピクチャ、その他はPピクチャ、といったように、第1のCODEC53〜第4のCODEC56が、互いに異なる種類のピクチャの符号化・復号化をそれぞれ独立して行うことが可能となっている。
【0114】
なお、第1のCODEC53〜第4のCODEC56には、必ず前記参照バッファ52を介して参照フレームの画像データが送出されるため、同時に符号化されるすべてのPピクチャは、常に同一のフレームを参照フレーム(参照画像)とした画像となる。
【0115】
以上が本実施形態のCODEC5における第1の実施形態で説明したものとの構成上の違いである。
【0116】
次に、本実施形態における本発明に係る動作について説明する。
(記録動作)
以下、記録モードによる動画撮影記録時の動作を説明する。図8は、動画撮影記録時におけるCPU8によるCODEC5の制御内容を示したフローチャート、図9は、前記第1のCODEC53〜第4のCODEC56における動画データの符号化処理時のタイミングチャート、図10(a)は、動画撮影記録時に生成される一連の動画データ、すなわちH.264ストリームの概略構成を示す概念図、図11は、第1の実施形態で示した図6に対応する図である。
【0117】
まず、具体的な動作説明に先立ち、図11において第1の実施形態と異なる点を説明する。同図(a)は、本実施形態における動画記録時に作成される動画データの構成を示す概念図である。図6(a)と同様、図11(a)において「I」はIピクチャ、「P」はIピクチャ以外のフレーム番号が4の倍数であるPピクチャ、「p」はフレーム番号が4の倍数以外のフレームのPピクチャであって、各フレームは符号化のタイプ(Iピクチャ/Pピクチャ)とフレーム番号(ただし、先頭フレームは「0」)とを組み合わせて表記されている。また、矢印は各Pピクチャの参照先を示すものである。なお、本実施形態においてもIピクチャの挿入間隔は0.5秒(120フレーム毎)である。
【0118】
そして、動画記録時には、第1の実施形態と同様、先頭フレーム0はIピクチャ(I0)として符号化し、メインフレームであるフレーム4のPピクチャ(P4)を直前のメインフレームのIピクチャ(I0)を参照画像として符号化し、同様にフレーム8,12・・・のPピクチャ(P8,P12,・・・)を、それぞれ直前のメインフレームのPピクチャ(P4,P8)を参照画像として符号化する。
【0119】
その間、本実施形態では、サブフレームであるフレーム1〜3のPピクチャ(pl,p2,p3)についても直前のメインフレームのIピクチャ(I0)を参照画像として符号化し、同様に他のサブフレームであるフレーム5〜7のPピクチャ(p5,p6,p7)、及びフレーム9〜11のPピクチャ(p9,p10,p11)も、直前のメインフレームのPピクチャ(P4,P8)をそれぞれ参照画像として符号化する。つまり、全てのサブフレームのPピクチャ(pl,p2,p3)を、直前のメインフレームのIピクチャ、又はPピクチャを参照画像として符号化する。
【0120】
以下、本実施形態における主として上記の符号化処理に関する動画撮影時の具体的な動作内容を図8に従い説明する。ここで、記録する動画像のサイズはVGAサイズである。また、記録時おいてCPU8は、撮像部1及び画像生成部2を240fpsのフレームレートで動作させ、各部をフレーム単位で同期させる。ただし、CODEC5については4フレームを単位として60fpsのフレームレートで同期させる。
【0121】
図8に示したように、CPU8は記録開始に伴い、まずフレーム番号(i)を初期化する(ステップSC1)。フレーム番号(i)の初期値(先頭フレームの番号)は「0」である。その後、CPU8は1フレーム分の画像データがメモリ4に入力(蓄積)されるのを待ってから(ステップSC2)、フレーム番号(i)が4の倍数になるまでの間は(ステップSC3でNO)、フレーム番号(i)のインクリメントのみを繰り返し行い(ステップSC4)、フレーム番号(i)が4の倍数となる毎に(ステップSC3でYES)、前記CODEC5に以下に述べる符号化処理を行わせる。ただし、動作開始直後の1フレーム目(i=0)については、例外的にフレーム番号(i)が4の倍数であるとして処理する。
【0122】
まず、メモリ4に1フレーム目の画像データが入力されたときには(ステップSC3、ステップSC5が共にYES)、メモリ4に蓄積されている1フレーム目の画像データを読み出して前記CODEC5の前述した第4のCODEC56(CODEC_3)に入力し、CODEC56に入力した画像データをフレーム内符号化により、Iピクチャとして前記メモリ4へ出力させる(ステップSC6)。その際、1フレーム目は非参照フレームであるため、第4のCODEC56(CODEC_3)には、符号化したIピクチャのローカルデコードにより予測画像を作成させ、その画像データを参照画像として前記メモリ
【0123】
引き続きCPU8は、上記ステップSC6によりメモリ4に蓄積された符号化データに対して、スライスタイプとして「I」を付加し、nal_ref_idcとして「3」を付加し、frame_numとして「0」を付加し、さらにPOCとして「0」を付加する(ステップSC7〜SC10)。
【0124】
ここで、符号化データに付加する(H.264ストリーム中に記述する)スライスタイプは第1の実施形態でピクチャ種別情報62aとして説明したピクチャ・パラメータ、nal_ref_idc、frame_num、POCは、H.264規格(具体的には、「ITU-T Recommendation H.264 Advanced video coding for generic audiovisual services」)に規定されているピクチャ・パラメータである。
【0125】
すなわちnal_ref_idcは、0〜3の値をとりうるパラメータであって、参照されるピクチャを非「0」とし、かつ参照されないピクチャを「0」とするよう規定されているパラメータである。なお、nal_ref_idcについては、例えばH.264による符号化データをRTP(Real-Time Transport Protocol)で伝送する場合の標準技術仕様としてIETF(Internet Engineering Task Force:インターネット技術標準化委員会)より発行されている「RFC3984:RTP Payload Format for H.264 Video」では、パケットの「相対的な優先度」を示すものとして規定されている。つまり優先度が高い方から3、2、1と続き、0が最も優先度が低いと規定されている。
【0126】
frame_numは、非参照フレームのとき0以外の値をとるよう規定されているパラメータであり、H.264では、
(1)参照ピクチャ毎に(参照ピクチャの次のピクチャで)カウントアップする。
(2)基本的に1ずつ増やす。
(3)時刻とは関係なく、順序だけが意味を持つ。
と規定されている。
【0127】
POC(Picture Order Count)は、画像の出力順序を示すパラメータであり、H.264では、
(1)IDR(Instantaneous Decoder Refresh)ピクチャを基準(ゼロ)にして、ピクチャのサンプリング時刻に比例する値をつける。(※8.2.1のNOTE2)
(2) 出力順序通りに大小がついていないといけない。(※C.4.5.3)
(3) 実際の時刻に比例する値を用いる。(※8.4.1.2.3)
と規定されている。なお、上記カッコ内の※に続く数字は、前記H.264規格での章番号である。また、上記IDRピクチャは、「Iピクチャであるとともに、復号順でそれよりも後の全ピクチャを、復号順でそれよりも前のピクチャを参照することなしに復号することができるピクチャ」と規定されている。
【0128】
引き続き、CPU8は、メモリ4に入力した画像データのフレーム番号(i)が4の倍数となったときには(ステップSC3がYES、ステップSC5でNO)、まずフレーム番号(i)が120の倍数であるか否かを確認する。そして、フレーム番号(i)が、例えば4,8,16,・・・116のように120の倍数でないときには(ステップSC12でNO)、前記メモリに蓄積されているフレーム番号(i−3)〜(i−1)のフレーム画像を読み出してバス制御部51を介して第1のCODEC(CODEC_0)53〜第3のCODEC(CODEC_2)55に入力させる。そして、第1のCODEC(CODEC_0)53〜第3のCODEC(CODEC_2)55に、前記メモリ4に格納されているとともに、処理に応じてマクロブロック単位で参照バッファ52に格納されるフレーム番号(i−4)の参照画像の画像データを用いて、各々がサブフレームであるフレーム番号(i−3)〜(i−1)のフレーム画像を並行してそれぞれpピクチャとして符号化させ、各符号化データを前記メモリ4へ出力させる。
【0129】
同時に、前記メモリに蓄積されているフレーム番号(i)のフレーム画像を読み出してバス制御部51を介して第4のCODEC(CODEC_3)56に入力させる。そして第4のCODEC(CODEC_3)56には、フレーム番号(i−4)の参照画像、すなわち直前のメインフレームの画像データを用いて、フレーム番号(i)の新たなメインフレームの画像をPピクチャとして符号化させ、符号化データを前記メモリ4へ出力させる。さらに、符号化したPピクチャのローカルデコードにより予測画像を作成させ、その画像データを参照画像として前記メモリ4の所定領域へ出力させる(ステップSC19)。
【0130】
つまり、CPU8は、4フレームを単位として、フレーム番号が連続する3フレーム分のサブフレームと、それに続くメインフレームの4フレームの画像をCODEC5にまとめて(並行して)符号化させる。例えば図9に示したようにメモリ4に4フレーム目の画像データが入力したときには、フレーム番号1〜3のPピクチャ(pl,p2,p3)と、フレーム番号4のPピクチャ(P4)とをまとめて符号化させる。
【0131】
次に、CPU8は、第1のCODEC(CODEC_0)53〜第4のCODEC(CODEC_3)56が出力してメモリ4に蓄積されている全ての符号化データに対し、スライスタイプとして「P」を付加し(ステップSC20)、第1のCODEC(CODEC_0)53〜第3のCODEC(CODEC_2)55が出力してメモリ4に蓄積されている各々の符号化データに対し、nal_ref_idcとして「0」を付加し、かつ第4のCODEC(CODEC_3)56が出力してメモリ4に蓄積されている符号化データに対し、nal_ref_idcとして「2」を付加する(ステップSC21)。
【0132】
また、第1のCODEC(CODEC_0)53〜第4のCODEC(CODEC_3)56が出力してメモリ4に蓄積されている各々の符号化データに対し、frame_numとして、各々が対応するフレーム番号が若い順に、int((i/4)、int((i+1)/4)、int((i+2)/4)、int((i+3)/4)によって得られる値をそれぞれ付加する(なお、int(n)は、引数nを超えない最大の整数を得る関数である。)。例えばフレーム番号が1〜4のピクチャには1,1,1,1をそれぞれ付加し、フレーム番号が5〜8のピクチャには2,2,2,2をそれぞれ付加する。つまり、各々の符号化データに対し、先頭フレームを0とし、以後、全フレームを通じ1を初期値として4フレーム毎に1ずつ増える値(同一値)を付加する(ステップSC22)。
【0133】
また、各々の符号化データに対し、POCとして、対応するフレーム番号が若い順に、(i−3)×2、(i−2)×2、(i−1)×2、(i)×2によって得られる値(各符号化データに対応するフレーム番号を2倍した値)をそれぞれ付加する。例えばフレーム番号が1〜4の場合には2,4,6,8をそれぞれ付加する。つまり、各々の符号化データに対し、全フレームを通じ、0を初期値として1フレーム毎に2ずつ増える値を付加する(ステップSC23)。
【0134】
さらに、各々の符号化データに対し、各々の符号化データの復号時に参照すべきピクチャを指し示す参照画像指示情報の値として、各々のフレームの直前の参照ピクチャ(参照されるピクチャ)、つまり前記nal_ref_idcとして「0」以外の値が付加されている先行するピクチャのうちで、フレーム番号が最も近いピクチャ(4フレーム前のIピクチャ又はPピクチャ)を指し示す値である「0」を付加する(ステップSC24)。この値は、第1の実施形態で述べたようにH.264に規格されている値であり、H.264では、上記のように直前の参照ピクチャを意味する値が「0」、それより1つ前の参照ピクチャを意味する値が「1」、さらに1つ前の参照ピクチャを意味する値が「2」、といったように符号化時の順序とは逆に、そのフレームから離れるに従い増加する値とすることが規定されている。
【0135】
一方、CPU8は、メモリ4に入力した画像データのフレーム番号(i)が120の倍数であったときには(ステップSC12がYES)、前記メモリに蓄積されているフレーム番号(i−3)〜(i−1)のフレーム画像を読み出してバス制御部51を介して第1のCODEC(CODEC_0)53〜第3のCODEC(CODEC_2)55に入力させる。そして、第1のCODEC(CODEC_0)53〜第3のCODEC(CODEC_2)55に、前述したステップSC16と同様、前記メモリ4に格納されているとともに、処理に応じてマクロブロック単位で参照バッファ52に格納されるフレーム番号(i−4)の参照画像の画像データを用いて、各々がサブフレームであるフレーム番号(i−3)〜(i−1)のフレーム画像を並行してそれぞれpピクチャとして符号化させ、各符号化データを前記メモリ4へ出力させる。
【0136】
また、前記メモリに蓄積されているフレーム番号(i)のフレーム画像を読み出してバス制御部51を介して第4のCODEC(CODEC_3)56に入力させる。そして第4のCODEC(CODEC_3)56には、フレーム番号(i)のフレームをIピクチャとするため、前述したステップSC6と同様、入力した画像データのフレーム内符号化を行わせ、その符号化データを前記メモリ4へ出力させ、さらに、符号化したIピクチャに対するローカルデコードにより予測画像を作成させ、その画像データを参照画像として前記メモリ4の所定領域へ出力させる(ステップSC13)。
【0137】
引き続きCPU8は、第1のCODEC(CODEC_0)53〜第3のCODEC(CODEC_2)55が出力してメモリ4に蓄積されている各々の符号化データに対し、スライスタイプとして「P」を付加し、かつ第4のCODEC(CODEC_3)56が出力してメモリ4に蓄積されている符号化データに対し、スライスタイプとして「I」を付加する(ステップSC14)。
【0138】
また、第1のCODEC(CODEC_0)53〜第3のCODEC(CODEC_2)55が出力してメモリ4に蓄積されている各々の符号化データに対し、nal_ref_idcとして「0」を付加し、かつ第4のCODEC(CODEC_3)56が出力してメモリ4に蓄積されている符号化データに対し、nal_ref_idcとして「3」を付加する(ステップSC15)。
【0139】
また、前述したSC22,SC23と同じ処理によって、第1のCODEC(CODEC_0)53〜第4のCODEC(CODEC_3)56が出力してメモリ4に蓄積されている各々の符号化データについて、frame_num、及びPOCとする値を順に算出し、算出した値を各々の符号化データにそれぞれ付加する(ステップSC16、SC17)。
【0140】
さらに、第1のCODEC(CODEC_0)53〜第3のCODEC(CODEC_2)55が出力してメモリ4に蓄積されている各々の符号化データのみに、参照画像指示情報として直前の参照ピクチャ(参照されるピクチャ)を示す値である「0」を付加する(ステップSC18)。
【0141】
なお、上記のように前記CODEC5からメモリ4に順次出力された後、各種のピクチャ・パラメータが付加された符号化データは、メモリカード制御部9によってメモリカード10に順次出力されて動画ファイルとして記録されることになる。
【0142】
以後、動画撮影記録中は上述した全ての処理を繰り返す。これにより、メモリカード10には、前述したように全てのサブフレームのpピクチャが、直前のメインフレームのIピクチャ、又はPピクチャを参照画像として符号化されているとともに、各フレームに前述したピクチャ・パラメータ(スライスタイプ、nal_ref_idc、frame_num、POC、参照画像指示情報)として、図10(a)に示した値がそれぞれ付加されたH.264ストリームが出力される。
【0143】
そして、所定のキー操作による記録終了指示があった時点で(ステップSC11がYES)、記録動作を終了する。以上の動作により、H.264に準拠する動画像ファイルをメモリカード10に記録することができる。
【0144】
なお、前述したPOCの増分は、H.264の規格上では1とすることもできるが、本実施形態において、その増分を2としている理由は、後述する再生動作により復号した動画像を60フィールド、30フレームのインタレース方式で表示することを想定しているためである。
【0145】
ここで、本実施形態においては、前述したようにCODEC5を参照バッファ52と、並列に設けられた第1のCODEC53〜第4のCODEC56とによって構成し(図7)、上述したように記録時には、サブフレームと、それに続くメインフレームとの複数の画像データとを一組とし、係る一組の画像データを、参照バッファ52に記憶されている同一フレームの画像を参照画像として一括して符号化するようにした。
【0146】
したがって、参照フレームとして読み出す画像データを並列数分少なくすることができることから、動画記録装置におけるメモリバス3の帯域幅を削減することができる。
【0147】
(再生動作)
次に、本実施形態において上述した記録動作によってメモリカード10に記録された動画像(動画ファイル)を再生するときの動作について説明する。
【0148】
ここで、本実施形態においては、前記表示制御部6の性能が60fpsであり、動画再生時においては、CPU8が、メモリカード10に記録されているとともにユーザによって選択された任意の動画ファイルのデータを60fpsのフレームレートでメモリカード制御部9を介して読み出し、その符号化データ部分をCODEC5へ順次転送する。
【0149】
また、本実施形態においては、再生モードとして4倍スロー再生モード(再生速度を実速度の1/4とするモード)と、実速再生モード(再生速度を撮影時と同じ実速度とするモード)と、2倍スロー再生モード(再生速度を実速度の1/2とするモード)とが設けられている。以下、モード別に動作を説明する。なお、図11(b)〜図11(d)は、各再生モードによる再生時における各フレームの符号化データのデコードと表示の有無を示した概念図である。
【0150】
(再生動作・4倍スロー再生)
4倍スロー再生モードは、第1の実施形態でスロー再生モードとして説明した再生モードと同一のモードである。4倍スロー再生モードにおいては、図7に示した第1のCODEC53〜第4のCODEC56のうち第1のCODEC53のみを用いて、図3に示すとともに既説した第1の実施形態と同一の動作により、図11(b)に示したように、240fpsで記録された全てのフレームを60fpsで順にデコードし、その画像データを表示する。つまり動画像を1/4の速度でスロー再生する。
【0151】
ただし、本実施形態においては、第1の実施形態とは異なり、メインフレームのPピクチャ(P4,P8,・・・)だけでなく、サブフレームのPピクチャ(pl,p2,p3,・・・)のデコード処理に際しても直前のメインフレームの画像(I0,P4,・・・)を参照画像として使用する(図11(a)参照)。なお、符号化データのデコード処理には、第1のCODEC53に限らず、第2のCODEC53〜第4のCODEC56のいずれか1つを用いることができる。
(再生動作・実速再生)
図12は、本実施形態における実速再生モードでの動作を示したフローチャートある。
実速再生モードにおいても、第1のCODEC53〜第4のCODEC56のうち第1のCODEC53のみを用いて符号化データをデコードする。そして実速再生モードでは、第1の実施形態において図4に示した内容とほぼ同一の動作(ステップSD1〜ステップSD12)を行う。
【0152】
その際、第1の実施形態と異なり、ステップSD2において前述したピクチャ・パラメータをリードし、続くステップSD3において、各々のフレームを復号対象とするか否かの判別を上記ピクチャ・パラメータのうちの前述したnal_ref_idcの値に基づき行い、その値が非参照フレーム(参照されないピクチャ)を示す「0」でないとき、すなわちメインフレームであったときだけ、そのときのフレームを復号対象とする。また、ステップSD6では、前述した参照画像指示情報を参照して、メインフレームのPピクチャについては、第1の実施形態と同様に直前のメインフレームのIピクチャ又はPピクチャを参照画像としたデコード処理を行うが、本実施形態では、全てのサブフレームのPピクチャについても直前のメインフレームのIピクチャ又はPピクチャを参照画像としたデコード処理を行う。
【0153】
これにより、実速再生モードにおいては、図11(c)に示したように、240fpsで記録された全てのフレームのうち、4フレーム毎(3フレームおき)のメインフレーム(Iピクチャ又はPピクチャ)のみを60fpsでデコードして表示する。つまり表示フレームを1/4に間引くことによって動画像を実速度で再生する。
【0154】
したがって、第1の実施形態と同様、表示しないサブフレームの符号化データをデコードすることなくメインフレームとなる全てのPピクチャを表示することができ、実速再生時におけるデータ処理量、消費電力を削減することができる。
(再生動作・2倍スロー再生)
図13は、本実施形態における2倍スロー再生モードによる動作を示したフローチャートある。2倍スロー再生モードにおいても、第1のCODEC53〜第4のCODEC56のうち第1のCODEC53のみを用いて符号化データをデコードする。図から明らかなように、図12に示した実速再生モードでの動作との違いは、ステップSD103において、各々のフレームを復号対象とするか否かの判別をフレーム番号(i)に基づき行い、フレーム番号(i)が2の倍数である(ただし、0は例外として2の倍数として処理する。)フレームのみを復号対象とする点のみである。
【0155】
これにより、2倍スロー再生モードにおいては、図11(d)に示したように、240fpsで記録された全てのフレームを2フレーム毎(1フレームおき)に60fpsでデコードして表示する、つまり表示フレームを1/2に間引くことによって動画像を実速度の1/2の速度でスロー再生することができる。
【0156】
つまり本実施形態では、動画記録時にメインフレームのPピクチャのみならずサブフレームのPピクチャについても、直前のメインフレームのIピクチャ又はPピクチャを参照画像として符号化されているため、上記のように動画像を実速度の1/2の速度でスロー再生する場合においても、表示しないサブフレームの符号化データをデコードすることなく、表示対象のサブフレームの符号化データをデコードすることができる。したがって、係る場合についても、それを効率的に行うことができ、その場合におけるデータ処理量、消費電力を削減することができる。
【0157】
(実速抜き出し編集動作)
一方、本実施形態の動画記録装置においては、動作モードとして、上述した記録モード及び再生モード(4倍スロー再生モード、実速再生モード、2倍スロー再生モード)とは別に実速抜き出し編集モードが設けられている。実速抜き出し編集モードは、上述した記録動作によってメモリカード10に動画ファイルとして記録されている動画データ、すなわちVGAサイズで240fpsの高速撮像動画ストリームから、図10(b)に示した、前述した実速再生モードで表示されるメインフレーム(実速再生フレーム)のみのストリーム部分を抜き出し、抜き出した部分から構成されるVGAサイズで60fpsの新たな動画ストリームを生成してメモリカード10に記録するモードである。
【0158】
図14は、実速抜き出し編集モードにおいて、メモリカード10に記録されている任意の動画データを編集するときのCPU8の処理を示したフローチャートである。
【0159】
編集開始に伴いCPU8は、まず処理フレーム番号(i)を初期化して、メモリカード10から編集対象とする高速撮像動画ストリームの読み出しを開始する(ステップSD201)。なお、処理フレーム番号(i)の初期値は「0」である。
【0160】
その後、CPU8は、高速撮像動画ストリームについてフレーム毎に、ストリーム中に記述されているnal_ref_idcの値を確認する(ステップSD202)。そして、nal_ref_idcの値が「0」のときには(ステップSD202でYES)、そのときのフレーム番号(i)のストリームを読み飛ばし(ステップSD203)、nal_ref_idcの値が「0」以外のときにのみ(ステップSD202でNO)、フレーム番号(i)のフレーム分のストリームをメモリカード10に書き込む(ステップSD204)。
【0161】
以後、処理対象のフレームが最終フレームとなるまでの間(ステップSD205でNO)、フレーム番号(i)をインクリメントした後(ステップSD206)、上記処理(ステップSD202〜SD204)を繰り返し、最終フレームのストリームに対する処理(読み飛ばし、又は書き込み)が終わった時点で(ステップSD205でYES)、全ての処理を完了する。
【0162】
したがって、実速抜き出し編集モードを使用することにより、動画像の再生性能が60fpsで他の装置においても実速度で表示可能な、図10(b)に示した動画ストリーム構造からなる新たな動画像を自動的に生成することができる。
【0163】
[実施形態3]
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態は、先に説明した第1及び第2の実施形態と同様、240fpsのフレームレートで高速撮像した動画像を圧縮して記録する記録機能と、記録した動画データを復号するとともに60fpsの表示フレームレートで再生する再生機能とを備えた動画記録装置に関するものである。
【0164】
本実施形態における動画記録装置の基本構成は、第1の実施形態で説明した動画記録装置(図1)と同様であり、前記CODEC5は、VGA(640ドット×480ドット)サイズの画像データを240fpsの処理速度により符号化、復号化することができる処理能力を有している。また、CODEC5による動画データの符号化方式(動画ストリーム構造)は第2の実施形態と同様、H.264に準拠するものである。
【0165】
そして、本実施形態の動画記録装置は、前記CODEC5による符号化後の動画データを、MPEG4の画像や音声データをファイルに記録するための標準形式としてISO(International Organization for Standardization)によって規格化されているMP4形式の動画ファイル(MP4ファイル)としてメモリカード10に記録する。なお、動画ファイルの具体的な構成は、ISO/IEC 14496−12,「Information technology Coding of audio-visual objects - Part 12: ISO base media file format」に規定された構成である。
【0166】
図15は、本実施形態においてメモリカード10に記録されるMP4ファイルの概略構成を示した図である。図示したように、MP4ファイルは多くのBOX情報の集合体であり、当該ファイルの互換性を示す情報が格納される「ftyp」、エンコーダー固有の拡張情報が格納される「uuid」、「mdat」、「moov」の各BOXから構成される。
【0167】
「mdat」は、符号化された画像データが格納される「Media Data Box」であり、当該Boxのデータサイズ、識別コード(’mdat’)、Videoストリーム群が格納される。Videoストリーム群は、フレーム別の複数のAccess Unitから構成され、各Access Unitは、当該Access Unitのデータサイズ、AUデリミタ(Access Unitの境界コード)、H.264スライスデータ(符号化データ)、当該H.264スライスデータのサイズの各データから構成される。
【0168】
H.264スライスデータは、NAL(Network Abstraction Layer: ネットワーク抽象レイヤ)ユニットであり、NALヘッダ111とスライスデータ112とからなり、このNALユニットのスライスデータ112が、さらにスライスヘッダ121とスライスデータ本体122とから構成される。上記NALヘッダ111には、NALユニットの種類等の属性情報が格納され、ここに第2の実施形態で説明したnal_ref_idcが格納される。また、nal_ref_idc以外のピクチャ・パラメータについては、前記スライスヘッダ121にスライスタイプ(第1の実施形態ではピクチャ種別情報62a)と、frame_num、POCが格納され、参照画像指示情報(第1の実施形態では参照先フレーム情報62b)は、動画記録時にCODEC5から出力される1ピクチャ分の符号化データと共にスライスデータ本体122に格納される。
【0169】
なお、スライスデータ本体122に格納される1ピクチャ分の符号化データはマクロブロックの集合体であって、前記参照画像指示情報は、実際にはマクロブロック毎に格納されて、マクロブロック毎に参照先のピクチャの情報が参照されるこことなるが、ここでは、説明を簡略化するため、参照画像指示情報はスライスデータ(ピクチャ)を単位として格納されているものとして説明する。
【0170】
また、「moov」は、H.264スライスデータの復号に必要な情報が格納される「Movie Box」であり、当該Boxのデータサイズ、Boxの識別コード(’moov’)、Index Data、udtaから構成される。
【0171】
Index Dataは、2種類のtrakから構成される。各trakは、再生時のインデックス情報を格納する「track Box」であり、各々が当該Boxのデータサイズ、識別コード(’trak’)、復号対象とすべきAccess Unitを示すビデオindex情報101,102から構成される。
【0172】
2種類のtrakのうち一方のtrakには、前記ビデオindex情報101として動画像の全てのフレームに関するインデックス情報が格納され、他方のtrakには前記ビデオindex情報102として動画像の先頭フレームから4フレーム毎のメインフレームのインデックス情報のみが格納される。以下の説明では、一方のtrakを全フレーム再生用trak、また、そこに格納されたビデオindex情報101を全フレーム再生用インデックス情報と呼び、他方のtrakを実速再生用trak、また、そこに格納されたビデオindex情報102を実速再生用インデックス情報と呼ぶことにより両者を区別する。図16は、上記全フレーム再生用インデックス情報101、及び実速再生用インデックス情報102と、前記Access Unitとの関係を示した図である。
【0173】
また、「Movie Box」を構成するudtaは、種々のユーザー情報が格納される「User Data Box」である。
【0174】
次に、本実施形態における本発明に係る動作について説明する。
(記録動作)
以下、記録モードによる動画撮影記録時の動作を説明する。図17は、動画撮影記録時におけるCPU8によるCODEC5の制御内容を示したフローチャート、図18は、第1の実施形態で示した図6(a)、第2の実施形態で示した図11(a)に対応する、記録モードにおいて記録される動画データの構成を示す概念図である。
【0175】
まず、具体的な動作説明に先立ち、図18において第1及び第2の実施形態と異なる点について説明する。同図は、記録モードにおいて記録される動画データの構成を示す概念図である。
【0176】
本実施形態では、記録時においてメインフレーム間に存在させるサブフレーム数をサブフレームモードとして設定可能である。設定可能なサブフレーム数は3,1,0の何れかであり、記録時には、各々のサブフレーム数が、そのままサブフレームモードの種類を示す値として前述した「User Data Box」に格納される。
【0177】
なお、サブフレームモードは、動画像の記録開始前、または記録開始後の任意の時点でユーザのキー操作や、所定の条件に基づき自動的に設定可能な構成としてもよいが、ここでは便宜上、記録開始前にユーザがキー操作によって予め設定する構成であるものとする。
【0178】
そして、図18(a)に示したようにサブフレームモードが3に設定されているときには、先頭フレームをIピクチャ(I0)として符号化し、以後、フレーム番号(i)が4の倍数であるフレームを、直前のメインフレームのIピクチャ、又はPピクチャを参照画像として符号化する。但し、本実施形態においては、フレーム番号(i)が8の倍数であるフレームについては、8フレーム前のメインフレームのIピクチャ、又はPピクチャを参照画像として符号化する。また、全てのサブフレームのpピクチャを、第2の実施形態と同様に直前のメインフレームのIピクチャ、又はPピクチャを参照画像として符号化する。
【0179】
また、図18(b)に示したようにサブフレームモードが1に設定されているときには、全てのサブフレームのpピクチャを符号化対象とせずに、フレーム番号(i)が2の倍数となるサブフレームのみを符号化対象とし、同図(c)に示したようにサブフレームモードが0に設定されているときには全てのサブフレームを符号化対象から除外する。
【0180】
以下、本実施形態における動画記録時のより具体的な動作内容を図17に従い説明する。なお、本実施形態においても、記録する動画像のサイズはVGAサイズであり、記録時おいてCPU8は撮像部1、画像生成部2、CODEC5を240fpsのフレームレートで動作させ、各部をフレーム単位で同期させる。
【0181】
図17に示したように、CPU8は記録開始に伴い、まずフレーム番号(i)を初期化する(ステップSE1)。フレーム番号(i)の初期値(先頭フレームの番号)は「0」である。その後、CPU8は、メモリ4への1フレーム分の画像データがメモリ4に入力(蓄積)されるのを待ってから(ステップSE2)、フレーム番号(i)が0のときを含め、フレーム番号(i)が120の倍数のときには(ステップSE3がYES)、メモリ4に蓄積されている画像データを読み出してCODEC5に入力し、CODEC5に入力した当該フレームの画像データをフレーム内符号化により、Iピクチャとして前記メモリ4へ出力させる(ステップSE4)。また、このときには、符号化データをデコードしたローカルデコード画像を、それ以降のPピクチャの符号化時に使用する画像データ(参照画像)として、符号化データとは別に前記メモリ4に蓄積する。
【0182】
引き続きCPU8は、上記符号化データに対して、スライスタイプとして「I」を付加するとともに、nal_ref_idcとして「3」を付加し、frame_numとして「int((i+3)/4)」で得られる値であって、先頭フレームを0とし、以後、全フレームを通じ1を初期値として4フレーム毎に1ずつ増える値を付加し、さらに、POCとして「i×2」で得られる値であって、全フレームを通じ、0を初期値として1フレーム毎に2ずつ増える値を付加する(ステップSE5)。なお、このとき参照画像指示情報は付加しない。
【0183】
しかる後、そのときのフレーム番号(i)のメインフレームに関する前述したインデックス情報を前述した実速再生用trakに追加し(ステップSE6)、さらに全フレーム再生用trakにも追加する(ステップSE7)。以後、所定のキー操作による記録終了指示がなければ(ステップSE8でNO)、フレーム番号(i)に1をインクリメントし(ステップSE9)、ステップSE2戻り、次のフレーム分の画像データの入力待ちを行う。
【0184】
また、CPU8は、フレーム番号(i)が120の倍数以外であって、8の倍数のときには(ステップSE3がNO、ステップSE10でYES)、メモリ4に蓄積されている今回の画像データを読み出してCODEC5に入力し、CODEC5に、入力した当該フレームの画像データを前記メモリに蓄積しておいた8フレーム前のフレーム番号(i−8)の参照画像の画像データを用いてPピクチャとして符号化させ、前記メモリ4へ出力させる(ステップSE11)。また、係るPピクチャの符号化に際しては、そのときの符号化データをデコードしたローカルデコード画像を、後続する4フレーム分のPピクチャ、及び8フレーム後のPピクチャの符号化時に使用する画像データ(参照画像)として、符号化データとは別に前記メモリ4に蓄積する。
【0185】
引き続き、前記メモリ4に出力した符号化データに対して、スライスタイプとして「P」を付加し、nal_ref_idcとして「2」を付加し、frame_numとして「int((i+3)/4)」で得られる値(4フレーム毎に1ずつ増える値)を付加し、POCとして「i×2」で得られる値(1フレーム毎に2ずつ増える値)を付加する。さらに参照画像指示情報として2つ前の参照ピクチャ、つまり8フレーム前のフレーム番号(i−8)のピクチャを示す値である「1」を付加する(ステップSE12)。
【0186】
また、フレーム番号(i)が8の倍数以外の4の倍数のときには(ステップSE10がNO、ステップSE13でYES)、メモリ4に蓄積されている今回の画像データを読み出してCODEC5に入力し、入力した当該フレームの画像データを、前記メモリに蓄積しておいたフレーム番号(i−4)のフレームの画像、つまり4フレーム前の画像を参照画像に使用してPピクチャとして符号化させ、前記メモリ4へ出力させる(ステップSE16)。また、係るPピクチャの符号化に際しては、そのときの符号化データをデコードしたローカルデコード画像を、後続する3フレーム分のPピクチャの符号化時に使用する画像データ(参照画像)として、符号化データとは別に前記メモリ4に蓄積する。
【0187】
引き続き、前記メモリ4に出力した符号化データに対して、スライスタイプ、nal_ref_idc、frame_num、POCとして、フレーム番号(i)が8の倍数のときと同様の値を付加するとともに、参照画像指示情報として直前の参照ピクチャ、つまり4フレーム前のピクチャを示す値である「0」を付加する(ステップSE15)。
【0188】
しかる後、フレーム番号(i)が8の倍数、及び4の倍数のいずれの場合においては、そのときのフレーム番号(i)のメインフレームに関するインデックス情報を実速再生用trakと全フレーム再生用trakとの双方にそれぞれ追加する(ステップSE6,SE7)。以後、所定のキー操作による記録終了指示がなければ(ステップSE8でNO)、フレーム番号(i)に1をインクリメントし(ステップSE9)、ステップSE2戻り、次のフレーム分の画像データの入力待ちを行う。
【0189】
また、ステップSE13の判別結果がNOであって、フレーム番号(i)が4の倍数以外のときには、前述したサブフレームモードの種類に応じて以下の処理を行う。
【0190】
まず、サブフレームモード(S)が3に設定されている場合には(ステップSE16でYES)、メモリ4に蓄積されている今回の画像データを読み出してCODEC5に入力し、CODEC5に、入力した当該フレームの画像データを前記メモリに蓄積しておいた直前のメインフレームを参照画像としPピクチャとして符号化させ、前記メモリ4へ出力させる(ステップSE17)。引き続き、前記メモリ4に出力した符号化データに対して、スライスタイプとして「P」を付加し、nal_ref_idcとして「0」を付加し、前述したメインフレームに対する処理と同様の処理によってframe_num、及びPOCをそれぞれ付加し、さらに参照画像指示情報として直前の参照ピクチャを示す値である「0」を付加する(ステップSE18)。しかる後、そのときのフレーム番号(i)のサブフレームに関するインデックス情報を全フレーム再生用trakのみに追加する(ステップSE7)。
【0191】
また、サブフレームモード(S)が1に設定されている場合については(ステップSE16がNO、ステップSE19でYES)、フレーム番号(i)が2の倍数であれば(ステップSE20でYES)、サブフレームモードが3の場合と共通する前述した(ステップSE17,SE18、ステップSE7)の処理を行う。
【0192】
また、サブフレームモード(S)が1に設定されていない場合(ステップSE19でNO)、及び1に設定されていても、フレーム番号(i)が2の倍数でなかったときには(ステップSE20でNO)、直ちに所定のキー操作の有無を判別して、所定のキー操作による記録終了指示がなければ(ステップSE8でNO)、フレーム番号(i)に1をインクリメントし(ステップSE9)、ステップSE2戻り、次のフレーム分の画像データの入力待ちを行う。
【0193】
なお、上記のように前記CODEC5からメモリ4に順次出力された後、ピクチャ・パラメータ、全フレーム再生用インデックス情報101、実速再生用インデックス情報102等が付加された符号化データは、メモリカード制御部9によってメモリカード10に順次出力されて動画ファイル(MP4ファイル)として記録されることになる。
【0194】
以後、動画記録中は上述した全ての処理を繰り返し、所定のキー操作による記録終了指示があった時点で(ステップSE8でYES)、記録動作を終了する。これによりメモリカード10に記録されるMP4ファイルにおいては、前述したVideoストリーム群として、サブフレームモードの設定値に応じたフレームの一連の符号化データが格納される。また、前述した全フレーム再生用trakには符号化された全てのフレームに関する全フレーム再生用インデックス情報101が格納され、実速再生用trakにはメインフレームのみに関する実速再生用インデックス情報102が格納される(図15及び図16参照)。
【0195】
(再生動作)
次に、本実施形態において上述した記録動作によりメモリカード10に記録された動画像(MP4ファイル)を再生するときの動作について説明する。
【0196】
本実施形態においても、前記表示制御部6の性能が60fpsであり、動画再生時においては、CPU8が、メモリカード10に記録されているとともにユーザによって選択された任意のMP4ファイルのデータを60fpsのフレームレートでメモリカード制御部9を介して読み出し、その符号化データ部分をCODEC5へ順次転送する。
【0197】
また、本実施形態においては、再生モードとして全フレーム再生モードと、実速再生モード、1/2間引き再生モード、倍速再生モードの4種類のモードが設けられている。
【0198】
全フレーム再生モードは、動画データとして記録されている全てのフレームを再生することを基本とし、記録時にサブフレームモードが3に設定されていた動画像の再生速度を実速度の1/4とするモードである。また、1/2間引き再生モードは、動画データとして記録されている全てのフレームを1フレームおきに再生することを基本とし、記録時にサブフレームモードが3に設定されていた動画像の再生速度を実速度の1/2とするモードである。また、実速再生モードは、記録時に設定されていたサブフレームモードの種類に関係なく再生速度を撮影時と同じ実速度とするモードであり、倍速再生モードは、記録時に設定されていたサブフレームモードの種類に関係なく再生速度を撮影時(実速度)の2倍とするモードである(図23参照)。以下、上記のモード別に本実施形態の再生動作を説明する。
【0199】
(再生動作・全フレーム再生)
図19は、全フレーム再生モードでの動作を示したフローチャート、図21(a)は、全フレーム再生モードでの各フレームのデコードと表示の有無を、動画記録時に設定されていたサブフレームモード別に示した概念図である。
【0200】
図19に示したように全フレーム再生モードにおいて、CPU8は記録開始に伴い、まず再生フレーム番号(j)を初期化する(ステップSF1)。再生フレーム番号(j)の初期値は「0」である。次に、記録時に符号化された全てのフレームに関する全フレーム再生用インデックス情報101が格納されている前述した全フレーム再生用trakからフレーム番号(j)のインデックス情報を読み出し(ステップSF2)、読み出したインデックス情報に従って、Videoストリーム群に対する読み出しポインタをフレーム番号(j)のAccess Unit(符号化データ)に設定する(ステップSF3)。
【0201】
引き続き、フレーム番号(j)の符号化データのスライスヘッダ121内の情報をリードした後(ステップSF4)、このスライスヘッダ情報のうちスライスタイプによって示されるピクチャ種別がIピクチャであれば(ステップSF5でYES)、CODEC5にフレーム内復号化によりIピクチャをデコードさせ、その画像データをメモリ4へ出力させる(ステップSF6)。
【0202】
また、フレーム番号(j)の符号化データのスライスタイプによって示されるピクチャ種別がIピクチャでなければ(ステップSF5でNO)、スライスデータ本体122に符号化データと共に格納されている前記参照画像指示情報により示される参照先のフレームの画像を参照画像として用いたフレーム間予測復号化によりPピクチャをデコードさせ、その画像データをメモリ4へ出力させる(ステップSF7)。
【0203】
ここでデコード対象となるPピクチャは記録されている全てのPピクチャとなるが、図21(a)に示したように、個々のPピクチャの内容については、動画記録時に設定されていたサブフレームモードによって異なる。すなわち動画記録時のサブフレームモードが3であれば、第1の実施形態のスロー再生、第2の実施形態の4倍スロー再生モードの場合と同様に、動画記録時に撮像されていた全てのメインフレーム及びサブフレームのPピクチャがデコード対象となる。またサブフレームモードが1であれば、動画記録時に撮像されていた全てのメインフレームと、動画記録時におけるフレーム番号(i)が偶数であったサブフレームのPピクチャがデコード対象となる。またサブフレームモードが0であれば、動画記録時に撮像されていた全てのメインフレームのPピクチャがデコード対象となる。
【0204】
また、各Pピクチャのデコード時における参照先のフレームについては、そのフレームが動画記録時のサブフレームモードに関係なく、フレーム番号(j)のフレームがサブフレームのときには常に直前のメインフレーム(メインフレーム)である。また、そのフレームがメインフレームのときであって、動画記録時におけるフレーム番号(i)が8の倍数であったPピクチャについては8フレーム前のメインフレームであり、動画記録時におけるフレーム番号(i)が8の倍数以外の4の倍数であったPピクチャについては常に直前のメインフレームである(図18参照)。
【0205】
そして、1/60秒の表示フレームレートによるタイミング待ちを行った後(ステップSF8)、デコードされた画像データをメモリ4から読み出し、その画像データを表示制御部6へ送る。これにより表示制御部6に、表示フレームレートによる表示タイミングでLCD7の表示画像を更新させる(ステップSF9)。
【0206】
以後、最終フレームの処理が終了するまでは(ステップSF10でNO)、再生フレーム番号(j)をインクリメントした後(ステップSF11)、ステップSF2へ戻って前述した処理を繰り返し、全ての符号化データのデコード、及び表示が終了した時点(ステップSF10でYES)で再生を終了する。
【0207】
これにより、図21(a)に示したように、記録時のサブフレームモードが3であった動画像については、240fpsで記録された全てのフレームを順にデコードし、記録されている全てのフレームの画像データを60fpsで表示させることにより、動画像を実速度の1/4の速度でスロー再生する。また、記録時のサブフレームモードが1であった動画像については、1フレームおきに間引かれて記録されている全ての画像データを60fpsで表示させることにより、動画像を実速度の1/2の速度でスロー再生する。さらに、記録時のサブフレームモードが0であった動画像については、3フレームおきに間引かれて記録されている全ての画像データを60fpsで表示させることにより、動画像を実速再生する。
【0208】
なお、図21(a)には、符号化データが記録されているフレーム(記録フレーム)のみについて、ピクチャの種別(I,P,p)及び動画記録時のフレーム番号を示してある。また、太枠で示したフレームが、再生時に使用される全フレーム再生用trakに全フレーム再生用インデックス情報101が格納されているフレームである。
【0209】
以上のように、全フレーム再生モードにおいては、全フレーム再生用インデックス情報101を用いた復号処理を行うことにより、図23に示したように、記録されている動画像を、動画記録時に設定されていたサブフレームモードの種類に応じて4倍スロー、2倍スロー(実速の1/2の速度)、実速の何れかの速度で再生する。
【0210】
(再生動作・実速再生)
図20は、本実施形態における実速再生モードでの動作を示したフローチャート、図21(b)は、実速再生モードにおける各フレームのデコードと表示の有無を、動画記録時に設定されていたサブフレームモード別に示した概念図である。
【0211】
図20に示したように実速再生モードにおいてCPU8は、記録開始に伴い、まず再生フレーム番号(j)を初期化した後(ステップSF101)、全フレーム再生モードの場合とは異なり、メインフレームのみに関する実速再生用インデックス情報102が格納されている実速再生用trakからフレーム番号(j)のインデックス情報を読み出す(ステップSF102)。これ以降は、全フレーム再生モードで説明した図19のステップSF3〜ステップSF11と同一の処理を行う(ステップSF103〜ステップSF111)。
【0212】
これにより、図21(b)に示したように、記録時に設定されていたサブフレームモードの種類に関係なく、先頭フレームを含めた4フレーム毎のメインフレームのみを60fpsで表示させることにより、動画像を実速度で再生する(図23参照)。なお、図21(b)に太枠で示したフレームが、再生時に使用される実速再生用trakに実速再生用インデックス情報102が格納されているフレームである。
【0213】
(再生動作・1/2間引き再生)
図22(a)は、1/2間引き再生モードにおける各フレームのデコードと表示の有無を、動画記録時に設定されていたサブフレームモード別に示した概念図である。
【0214】
1/2間引き再生モードにおいてCPU8は、前述した全フレーム再生モードの場合とほぼ同様の処理を行う。すなわち図示しないが、図19に示したステップSF11の処理を、再生フレーム番号(j)を2つインクリメントする処理に変更した処理を行う。
【0215】
これにより、図22(a)に示したように、記録時のサブフレームモードが3であった動画像については、240fpsで記録された全てのフレームを1フレームおきに間引きしながら順にデコードし60fpsで表示させることにより、動画像を実速度の1/2の速度でスロー再生する。また、記録時のサブフレームモードが1であった動画像については、1フレームおきに間引かれて記録されている符号化データを更に1フレームおきに間引きしながら順にデコードし60fpsで表示させることにより、動画像を実速度で再生する。さらに、記録時のサブフレームモードが0であった動画像については、3フレームおきに間引かれて記録されている符号化データを更に1フレームおきに間引きしながら順にデコードし60fpsで表示させることにより、動画像を倍速再生(撮影時の2倍の速度で再生)する。
【0216】
なお、図22(a)においても、符号化データが記録されているフレーム(記録フレーム)のみについて、ピクチャの種別(I,P,p)及び動画記録時のフレーム番号を示してある。また、太枠で示したフレームが、再生時に使用される全フレーム再生用trakに全フレーム再生用インデックス情報101が格納されているフレームである。
【0217】
以上のように、1/2間引き再生においては、全フレーム再生用インデックス情報101を用いた復号処理を行うことにより、記録されている動画像を、動画記録時に設定されていたサブフレームモードの種類に応じ2倍スロー、実速、倍速の何れかの速度で再生する。
【0218】
(再生動作・倍速再生)
図22(b)は、倍速再生モードにおける各フレームのデコードと表示の有無を、動画記録時に設定されていたサブフレームモード別に示した概念図である。
【0219】
倍速再生モードにおいてCPU8は、前述した実速再生モードの場合とほぼ同様の処理を行う。すなわち図示しないが、図20に示したステップSF111の処理を、再生フレーム番号(j)を2つインクリメントする処理に変更した処理を行う。
【0220】
これにより、図22(b)に示したように、記録時に設定されていたサブフレームモードの種類に関係なく、先頭フレームを含めた8フレーム毎のメインフレームのみを60fpsで表示させることにより、動画像を倍速再生する(図23参照)。なお、図22(b)に太枠で示したフレームが、再生時に使用される実速再生用trakに実速再生用インデックス情報102が格納されているフレームである。
【0221】
ここで、以上説明した本実施形態においても、前述した第2の実施形態と同様、動画記録時にはメインフレームのPピクチャとサブフレームのPピクチャとの双方を直前のメインフレームのIピクチャ又はPピクチャを参照画像として符号化する。そのため、動画像を再生する際には、前述したいずれの再生モードによって動画像を再生する場合であっても、また、動画記録時のサブフレームモードに関係なく、表示しないサブフレームの符号化データをデコードすることなく、表示対象のサブフレームの符号化データをデコードすることができる。
【0222】
したがって、動画記録時に設定されていたサブフレームモードの種類に応じて動画像を実速度の1/2の速度でスロー再生する場合や実速再生する場合、それを効率的に行うことができ、その場合におけるデータ処理量、消費電力を削減することができる。
【0223】
また、本実施形態においては、倍速再生モードを用いることにより、記録時に設定されていたサブフレームモードの種類に関係なく動画像を倍速再生することができ、また、記録時のサブフレームモードが0であった動画像については1/2間引き再生モードによって再生することによっても動画像を倍速再生することができる。
【0224】
しかも、動画記録時において、フレーム番号(i)が8の倍数であるフレームのPピクチャについては、直前のメインフレームのIピクチャ、又はPピクチャではなく、8フレーム前のメインフレームのIピクチャ、又はPピクチャを参照画像として符号化するようにした。そのため、動画像を倍速再生する場合においても、表示しないメインフレームの符号化データをデコードすることなく、表示対象のメインフレームの符号化データをデコードすることができる。したがって、動画像を倍速再生する場合についても、それを効率的に行うことができ、その場合におけるデータ処理量、消費電力を削減することができる。
【0225】
なお、本実施形態では、フレーム番号(i)が8の倍数であるフレームのPピクチャを、8フレーム前のメインフレームのIピクチャ、又はPピクチャを参照画像として符号化するようにしたが、例えばフレーム番号(i)が16の倍数であるフレームのPピクチャを、16フレーム前のメインフレームのIピクチャ、又はPピクチャを参照画像として符号化するようにしてもよい。つまりPピクチャを、nフレームのPピクチャ毎に、当該Pピクチャと最も近いフレームの他のPピクチャの符号化時の参照画像を用いて符号化するようにしてもよい。その場合、動画像を更に速い速度で再生することができる。つまりn=16の場合は4倍速での再生が可能となる。
【0226】
また、本実施形態では、動画記録時において、メインフレーム間に存在させるサブフレーム数をサブフレームモードとして設定可能である。これにより、動画記録時に、例えば撮像部1において撮像される被写体の動きが遅い場合にはサブフレームモードを0に設定するといったように、被写体の動きの速度変化にあわせてサブフレームモードを設定することにより、フレーム間引きを伴う動画再生に不要なフレームの画像の符号化処理を省くことができる。したがって、動画記録時におけるデータ処理量、消費電力を削減することができる。同時に、メモリカード10のメモリ消費量を削減することができる。
【0227】
また、本実施形態では、動画記録時に、再生時に復号対象とすべきAccess Unit(符号化データ)を示すインデックス情報として、前述した全フレーム再生用インデックス情報101と実速再生用インデックス情報102との双方を記録するようにした。これにより、動画再生時には、それらのインデックス情報を使い分けることにより、同一の動画ファイルに基づいて動画像の実速度の1/4の速度でスロー再生する全フレーム再生と実速再生とを実現することができる。しかも、MP4ファイルを再生可能な汎用の動画再生装置においても、それを実現することができる。
【0228】
なお、本実施形態においては、前記CODEC5が第1の実施形態で説明した動画記録装置と同様の構成である場合について説明したが、これに限らず、前記CODEC5は、第2の実施形態で説明した動画記録装置と同様に、バス制御部51および参照バッファ52と、並列に設けられた第1のCODEC53〜第4のCODEC56からなる図7に示した構成としてもよい。その場合においても、記録モードにおいて図18に示したように所定のフレームの画像を符号化させることにより、本実施形態と同様の効果を得ることができる。また、係る点については前述した第1の実施形態についても同様である。
【0229】
[変形例]
ここで、以上説明した第1の実施形態〜第3の実施形態においては、動画像の符号化、復号化を行うためのCODEC5を有した動画記録装置について説明したが、動画像の符号化、復号化を所定のソフトウェアを用いることにより前記CPU8に行わせる構成とすることもできる。その場合においても、前述したように動画像を実速度で再生するときのようにフレーム間引きを伴う動画再生に際しては、それを効率的に行うことができるため、全体のデータ処理量、消費電力を削減することができる。したがって、その場合にあっては、動画像の実速再生時と並行してより多様なデータ処理をCPU8に行わせることができ、またCPU8に過大な処理能力を確保せずとも、動画像の実速再生時と並行してより多様なデータ処理を行わせることができる。
【0230】
また、第1の実施形態〜第3の実施形態においては、前記動画記録装置が本発明の動画復号化装置としての機能を有した構成であって、前記動画記録装置によって記録した動画像を前記動画記録装置において再生する場合について述べたが、前述したように記録した動画像を、動画像の再生(復号化)機能を有する他の装置、又は再生(復号化)機能のみを有する装置において再生(復号化)する場合においても、再生(復号化)時における全体のデータ処理量、消費電力を削減することができる。
【0231】
これに関し、前記動画記録装置のように、動画像を240fpsで撮像(高速撮像)し、符号化する処理能力を有するものでは、基本的には240fpsで記録した動画データを240fpsで復号化し、表示することが可能である。これは先に述べたように符号化時には、MPEG方式と同様、復号化時と同じ予測画像を作るためのローカルデコードと呼ばれる復号処理が含まれているためである。
【0232】
したがって、前述した再生時における全体のデータ処理量を削減する効果、及びそれに付随して得られる効果、すなわち動画像の復号化を所定のソフトウェアを用いる場合の効果等については、240fpsで記録した動画像を、動画データの復号化処理能力として通常の表示フレームレート(例えば60fps)に対応した能力を備えた一般的な再生装置に本発明の動画復号化方法を適用して実速再生等により再生する場合において最も顕著となる。
【0233】
一方、第1の実施形態〜第3の実施形態においては、記録モードによる記録時のフレームレートを240fpsとしたが、これ以外にも、記録時のフレームレートは再生時の表示フレームレート(60fps)の整数(n)倍であっても構わない。その場合、動画像の符号化、及び復号化に際しては、nフレーム毎のフレームをメインフレームとして符号化、及び復号化させるようにすれば、前述した各実施形態における実速再生モード(第1の実施形態では可変速再生モードでの実速再生中を含む)と同様に、動画の再生速度を実速度とすることができる。
【0234】
また、記録モードによる記録時において動画像を符号化するときのIピクチャの挿入間隔を0.5秒(120フレーム毎)としたが、挿入間隔は何秒でもよく、また不定期としてもよい。さらには、Iピクチャを、実速再生モードで表示されるメインフレームだけでなく、実速再生モードでは表示されないサブフレームにも存在させてもよい。
【0235】
また、再生モードとして実速再生モード以外の再生モードを選択可能な構成としたが、動画像の再生を実速再生モードのみで行う構成としてもよい。
【0236】
一方、第1の実施形態〜第3の実施形態においては、前記CODEC5を動画像の符号化に際してIピクチャ及びPピクチャのみを作成する構成とする場合について述べたが、これに限らず、双方向予測回路を含む構成とし、符号化に際してBピクチャ(双方向予測符号化画像)も作成する構成としてもよい。その場合、動画像の記録時には、Bピクチャを前述したサブフレーム(図6(a)、図11(a)、図18で「p」のフレーム)に相当するフレーム位置に挿入すればよい。但し、その場合には、Bピクチャの作成には双方向の画像データを必要とするため、扱う情報量及び処理量が2倍になり、また一連のフレームの入力(撮像)・出力(表示)順と、符号化・復号化順が異なるため、処理が複雑化することとなる。
【0237】
また、第1の実施形態〜第3の実施形態においては、撮影した動画像を符号化するとき、一連のフレームの画像をIピクチャ及びPピクチャとして符号化する場合について説明したが、本発明は、あるフレームの画像データを、Pピクチャ(又はBピクチャ)のように他のフレームを参照画像としたときの差分情報として符号化するフレーム間予測符号化技術を用いる方式であれば、他の方式で動画像を符号化方式する場合において適用することができる。例えばIピクチャ(又はBピクチャ)を動き補償によらないフレーム間予測符号化技術によって符号化する、つまり動きベクトル(MV)が含まれない差分情報のみの符号化データを生成するものや、各フレームをDCT係数以外の中間データに変換し、それを符号化するものであっても構わない。
【0238】
また、撮影した動画像を記録するだけでなく、記録した動画像の再生機能を備えた動画記録装置について説明したが、本発明は、再生機能を備えていない動画記録装置にも適用することができる。
【0239】
さらに、本発明は、動画像を符号化するものであれば、撮影によって取得される動画像に限らず、例えば他の装置から入力した動画像や、放送によって送られてくる動画像や、メモリに既に記録されている動画像を符号化する構成を有する種々の装置に採用することができる。
【0240】
また、第1及び2の実施形態においては、参照画像を用いてメインフレームを符号化する場合の参照フレームを直前のメインフレームとしたが、それより以前のメインフレームを用いてもよい。例えばフレーム番号(i)が「8」以降のメインフレームの参照フレームを8フレーム前のメインフレームとしてもよい。さらには複数のメインフレームを参照フレームとして用いてもよい。つまりメインフレームをBピクチャとして符号化してもよい。
【0241】
また、第3の実施形態においては、参照画像を用いてメインフレームを符号化する場合の参照フレームを直前の倍速フレーム、すなわち前述した倍速再生モードで表示対象となるフレーム(メインフレーム)としたが、それより以前の倍速フレームを用いてもよい。さらには複数の倍速フレームを参照フレームとして用いてもよい。つまりメインフレームをBピクチャとして符号化してもよい。
【0242】
また、第1の実施形態においては、参照画像を用いてサブフレームを符号化する場合の参照フレームを直前のフレームとしたが、それより以前、あるいは以後のフレームを用いてもよい。さらには複数のフレームを参照フレームとして用いてもよい。つまりサブフレームをBピクチャとして符号化してもよい。
【0243】
また、第2及び3の実施形態においては、参照画像を用いてサブフレームを符号化する場合の参照フレームを直前のメインフレームとしたが、それより以前のフレームを用いてもよい。さらには複数のメインフレームを参照フレームとして用いてもよい。つまりメインフレームをBピクチャとして符号化してもよい。
【0244】
また、第1及び2の実施形態についても、第3の実施形態のように、MP4形式の動画ファイル形式を採用し、符号化データに全フレーム再生用インデックス情報101、実速再生用インデックス情報102を付加するようにして、動画像の再生(復号化)時には、全フレーム再生用インデックス情報101、実速再生用インデックス情報102を選択的に利用した再生動作を行うようにしてもよい。
【0245】
また、第3の実施形態についても、第2の実施形態のように、動画像の再生(復号化)時には、全フレーム再生用インデックス情報101、実速再生用インデックス情報102に代えてピクチャ・パラメータ(スライスタイプ、nal_ref_idc、frame_num、POC、参照画像指示情報)を利用した再生動作を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0246】
【図1】本発明に係る動画記録装置を示す、各実施形態に共通するブロック図である。
【図2】記録モードによる動作を示すフローチャートである。
【図3】スロー再生モードによる動作を示すフローチャートである。
【図4】実速再生モードによる動作を示すフローチャートである。
【図5】可変速再生モードによる動作を示すフローチャートである。
【図6】(a)は記録モードで記録される動画データの構成を示す概念図、(b)はスロー再生モードによる再生時における各フレームのデコードと表示の有無を示す概念図、(c)は実速再生モードによる再生時における各フレームのデコードと表示の有無を示す概念図である。
【図7】第2の実施形態におけるCODECの構成を示すブロック図である。
【図8】記録モードによる動作を示すフローチャートである。
【図9】CODECによる符号化処理を示すタイミングチャートである。
【図10】H.264ストリームの概略構成を示す概念図である。
【図11】図6に対応する概念図である。
【図12】実速再生モードによる動作を示すフローチャートである。
【図13】2倍スロー再生モードによる動作を示したフローチャートである。
【図14】実速抜き出し編集モードによる動作を示したフローチャートである。
【図15】第3の実施形態において記録するMP4ファイルの概略構成図である。
【図16】同MP4ファイルにおける、全フレーム再生用インデックス情報、及び実速再生用インデックス情報と、Access Unitとの関係を示した図である。
【図17】記録モードによる動作を示すフローチャートである。
【図18】記録モードにおいて記録される動画データの構成を示す概念図である。
【図19】全フレーム再生モードによる動作を示したフローチャートである。
【図20】実速再生モードによる動作を示したフローチャートである。
【図21】再生時における各フレームのデコードと表示の有無をサブフレームモード別に示した概念図である。
【図22】再生時における各フレームのデコードと表示の有無をサブフレームモード別に示した概念図である。
【図23】再生モードと動画再生速度と参照trakとの関係を示した図である。
【図24】従来の技術の問題点を示す概念図である。
【符号の説明】
【0247】
1 撮像部
2 画像生成部
3 メモリバス
4 メモリ
5 CODEC
6 表示制御部
7 LCD
8 CPU
9 メモリカード制御部
10 メモリカード
11 プログラムメモリ
12 キー入力部
51 バス制御部
52 参照バッファ
53〜56 第1のCODEC〜第4のCODEC
62 属性情報
62a ピクチャ種別情報
62b 参照先フレーム情報
101 ビデオindex情報(全フレーム再生用インデックス情報)
102 ビデオindex情報(実速再生用インデックス情報)
111 NALヘッダ
112 スライスデータ
121 スライスヘッダ
122 スライスデータ本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画像を符号化する動画符号化装置において、
所定の撮像フレームレートで撮像された動画像における各フレームの画像を、他のフレームの画像を参照画像として使用するフレーム間予測符号化を含む符号化処理によって符号化する符号化手段と、
符号化後における前記動画像を前記撮像フレームレートよりも遅い所定の表示フレームレートで表示させる場合に表示対象となる、前記撮像フレームレートと前記表示フレームレートとにより決まる所定のフレーム間隔の画像を特定画像とし、該特定画像を前記符号化手段がフレーム間予測符号化するときの参照画像を他の特定画像に制限する符号化制御手段と
を備えたことを特徴とする動画符号化装置。
【請求項2】
前記所定のフレーム間隔は、前記撮像フレームレートを前記表示フレームレートで割った値の整数倍であることを特徴とする請求項1記載の動画符号化装置。
【請求項3】
前記符号化制御手段は、前記符号化手段が前記特定画像をフレーム間予測符号化するときの参照画像を、直近の他の特定画像に制限することを特徴とする請求項1又は2記載の動画符号化装置。
【請求項4】
前記符号化制御手段は、前記特定画像を第1の特定画像と第2の特定画像とに分け、前記符号化手段が前記第1の特定画像をフレーム間予測符号化するときの参照画像を直近の他の特定画像に制限し、かつ前記符号化手段が前記第2の特定画像をフレーム間予測符号化するときの参照画像を1つ隔てた他の特定画像に制限することを特徴とする請求項1又は2記載の動画符号化装置。
【請求項5】
前記符号化手段は、フレーム間予測符号化に際して、先行する側のフレームの画像のみを参照画像として使用することを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の動画符号化装置。
【請求項6】
前記符号化手段は、フレーム間予測符号化に際して、先行する側のフレームの画像、又は前後双方のフレームの画像を参照画像として使用することを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の動画符号化装置。
【請求項7】
前記符号化手段により符号化された動画データを、他のフレームの画像を参照画像として使用するフレーム間予測符号化を含む復号化処理によって復号化する復号化手段と、
この復号化手段による動画データの復号化対象を前記所定のフレーム間隔の特定画像のみに制限するとともに、前記復号化手段に、前記フレーム間予測復号化に際しては、復号化対象と異なる他の特定画像を参照画像として使用させる復号化制御手段と
を備えたことを特徴とする請求項1乃至6いずれか記載の動画符号化装置。
【請求項8】
前記符号化制御手段は、動画像の符号化時に設定されている動作モードの種類に応じ、前記符号化手段による前記特定画像以外の非特定画像を対象とするフレーム間予測符号化の有無を制御することを特徴とする請求項1乃至7いずれか記載の動画符号化装置。
【請求項9】
前記符号化手段により符号化された一連の符号化画像からなる動画データに、前記特定画像の復号化時における参照画像として他の特定画像を示す参照画像指示情報を付加する参照先情報付加手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至8いずれか記載の動画符号化装置。
【請求項10】
前記符号化手段により符号化された一連の画像からなる動画データに、復号化対象の画像として前記特定画像のみを示す復号対象情報を付加する復号対象情報付加手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至9いずれか記載の動画符号化装置。
【請求項11】
前記復号対象情報付加手段は、前記復号対象情報として、前記特定画像の一部の特定画像のみからなる一連の画像を示すインデックス情報を付加することを特徴とする請求項10記載の動画符号化装置。
【請求項12】
前記符号化手段により符号化された一連の画像からなる動画データに、復号化対象とすべき一連の画像を示すインデックス情報として、前記符号化手段により符号化された全フレームの画像を示す第1のインデックス情報と、前記特定画像のみからなる一連の画像を示す第2のインデックス情報とを付加するインデックス情報付加手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至9いずれか記載の動画符号化装置。
【請求項13】
前記参照画像を一時記憶する記憶する参照画像記憶手段を備え、
この参照画像記憶手段に対し並列に設けられ前記符号化手段を構成するとともに、前記参照画像記憶手段に一時記憶された同一の参照画像を使用して連続する複数フレームの画像を同期した符号化処理により個別に符号化する前記所定のフレーム間隔に応じた数の符号化手段と
を備えたことを特徴とする請求項1乃至12いずれか記載の動画符号化装置。
【請求項14】
動画像を符号化する動画符号化装置において、
所定のフレームレートで撮像された動画像における各 入力する一連のフレームの画像を、他のフレームの画像を参照画像として使用するフレーム間予測符号化を含む符号化処理によって符号化する符号化手段と、
符号化後における前記動画像が撮像時のフレームレートよりも遅いフレームレートで、かつ再生時間を撮像時間と一致させて表示させる場合に表示対象となる所定のフレーム間隔の画像を特定画像とし、該特定画像を前記符号化手段がフレーム間予測符号化するときの参照画像を他の特定画像に制限する符号化制御手段と
を備えたことを特徴とする動画符号化装置。
【請求項15】
動画像を符号化する動画符号化方法において、
所定の撮像フレームレートで撮像された動画像を、他のフレームの画像を参照画像として使用するフレーム間予測符号化を含む符号化処理によって符号化するとともに、
符号化後における前記動画像を前記撮像フレームレートよりも遅い所定の表示フレームレートで表示させる場合に表示対象となる、前記撮像フレームと前記表示フレームレートとにより決まる所定のフレーム間隔の画像を特定画像とし、該特定画像の前記フレーム間予測符号化に際しては他の特定画像を参照画像として使用する
ことを特徴とする動画符号化方法。
【請求項16】
動画像を符号化する動画符号化装置が有するコンピュータを、
所定の撮像フレームレートで撮像された動画像を、他のフレームの画像を参照画像として使用するフレーム間予測符号化を含む符号化処理によって符号化する符号化手段と、
符号化後における前記動画像を前記撮像時のフレームレートよりも遅い所定の表示フレームレートで表示させる場合に表示対象となる、前記撮像フレームレートと前記表示フレームレートとにより決まる所定のフレーム間隔の画像を特定画像とし、該特定画像を前記符号化手段がフレーム間予測符号化するときの参照画像を他の特定画像に制限する符号化制御手段と
して機能させるためのプログラム。
【請求項17】
撮影した動画像を記録する動画記録装置において、
動画像を撮影する撮影手段と、
この撮影手段により所定の撮像フレームレートで撮影された動画像における各フレームの画像を、他のフレームの画像を参照画像として使用するフレーム間予測符号化を含む符号化処理によって符号化する符号化手段と、
この符号化手段により符号化された動画データを記録する記録手段と、
この記録手段に記録された動画データに基づく動画像を前記撮像時のフレームレートよりも遅い所定の表示フレームレートで表示させる場合に表示対象となる、前記撮像フレームレートと前記表示フレームレートとにより決まる所定のフレーム間隔の画像を特定画像とし、該特定画像を前記符号化手段がフレーム間予測符号化するときの参照画像を他の特定画像に制限する符号化制御手段と
を備えたことを特徴とする動画記録装置。
【請求項18】
動画像の記録時に設定されている記録モードの種類に応じ、前記記録手段に対する前記特定画像以外の非特定画像の符号化画像の記録の有無を制御する記録制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項17記載の動画記録装置。
【請求項19】
前記記憶手段に記憶されている動画データを構成する一連の符号化画像から、前記特定画像の符号化画像を抽出する抽出手段と、
この抽出手段により抽出された符号化画像を、相互の前後関係を維持したまま新たな動画データとして前記記憶手段に記憶させる動画編集手段と
をさらに備えたことを特徴とする請求項17又は18記載の動画記録装置。
【請求項20】
所定の撮像フレームレートで撮像された動画像が符号化された動画データを復号化する動画復号化装置において、
前記動画データを、他のフレームの画像を参照画像として使用するフレーム間予測復号化を含む復号化処理によって復号化する復号化手段と、
この復号化手段による前記動画データの復号化対象を、前記動画像を前記撮像フレームレートよりも遅い所定の表示フレームレートで表示させる場合に表示対象となる、前記撮像フレームレートと前記表示フレームレートとにより決まる所定のフレーム間隔の特定画像のみに制限するとともに、前記復号化手段に、前記フレーム間予測復号化に際しては、復号化対象と異なる他の特定画像を参照画像として使用させる復号化制御手段と
を備えたことを特徴とする動画復号化装置。
【請求項21】
前記復号化制御手段は、前記復号化手段に、前記特定画像のフレーム間予測復号化に際しては、前記動画データに付加されている参照画像指定情報により示されている、復号化対象と異なる他の特定画像を参照画像として使用させることを特徴とする請求項20記載の動画復号化装置。
【請求項22】
前記動画データに付加されている参照画像指定情報は、前記特定画像の復号化時の参照画像として直近の他の特定画像を示す情報であることを特徴とする請求項21記載の動画復号化装置。
【請求項23】
前記復号化制御手段は、前記動画データの復号化時に設定されている動作モードが第1の動作モードであるときには、前記復号化手段によるフレーム間予測復号化の対象を直近の他の特定画像を参照画像とする第1の特定画像、及び1つ隔てた他の特定画像を参照画像とする第2の特定画像のみに制限し、前記動画データの復号化時に設定されている動作モードが第2の動作モードであるときには、前記復号化手段によるフレーム間予測復号化の対象を1つ隔てた他の特定画像を参照画像とする第2の特定画像のみに制限することを特徴とする請求項20,21又は22記載の動画復号化装置。
【請求項24】
前記復号化制御手段は、前記復号化手段による前記動画データの復号化対象を、前記動画データに付加されている復号対象情報により示される前記特定画像のみに制限することを特徴とする請求項20乃至23いずれか記載の動画復号化装置。
【請求項25】
前記復号化制御手段は、前記復号化手段による前記動画データの復号化対象を、前記特定画像のうちで、前記動画データに付加されている復号対象情報により示される前記特定画像のみに制限することを特徴とする請求項24記載の動画復号化装置。
【請求項26】
前記復号化制御手段は、復号化手段による復号化処理に際し、前記動画データに予め付加されているとともに復号対象として互いに異なる画像を示す第1のインデックス情報又は第2のインデックス情報を選択的に使用することにより、前記動作モードが第1の再生モードであるとき、復号化手段に全てのフレームを対象とする復号化処理を行わせ、かつ前記動作モードが第2の再生モードであるとき、復号化手段に所定のフレーム間隔の特定画像のみを対象とする復号化処理を行わせる
ことを特徴とする請求項20,21又は22記載の動画復号化装置。
【請求項27】
所定の撮像フレームレートで撮像された動画像が符号化された動画データを復号化する動画復号化装置において、
前記動画データを、他のフレームの画像を参照画像として使用するフレーム間予測復号化を含む復号化処理によって復号化する復号化手段と、
この復号化手段による前記動画データの復号化対象を、符号化後における前記動画像を前記撮像時のフレームレートよりも遅いフレームレートで、かつ再生時間を撮像時間と一致させて表示させる場合に表示対象となる所定のフレーム間隔の特定画像のみに制限するとともに、前記復号化手段に、前記フレーム間予測復号化に際しては、復号化対象と異なる他の特定画像を参照画像として使用させる復号化制御手段と
を備えたことを特徴とする動画復号化装置。
【請求項28】
所定の撮像フレームレートで撮像された動画像が符号化された動画データを復号化する動画復号化方法において、
前記動画データを、他のフレームの画像を参照画像として使用するフレーム間予測復号化を含む復号化処理により復号化するとともに、
その復号化処理による復号化対象を、前記動画像を前記撮像フレームレートよりも遅い所定の表示フレームレートで表示させる場合に表示対象となる、前記撮像フレームレートと前記表示フレームレートとにより決まる所定のフレーム間隔の特定画像のみに制限し、該特定画像の前記フレーム間予測復号化に際しては、復号化対象と異なる他の特定画像を参照画像として使用する
ことを特徴とする動画復号化方法。
【請求項29】
所定の撮像フレームレートで撮像された動画像が符号化された動画データを復号化する動画復号化装置が有するコンピュータを、
動画データを、他のフレームの画像を参照画像として使用するフレーム間予測復号化を含む復号化処理によって復号化する復号化手段と、
この復号化手段による前記動画データの復号化対象を、前記動画像を前記撮像フレームレートよりも遅い所定の表示フレームレートで表示させる場合に表示対象となる、前記撮像フレームレートと前記表示フレームレートとにより決まる所定のフレーム間隔の特定画像のみに制限するとともに、前記復号化手段に、前記フレーム間予測復号化に際しては、復号化対象と異なる他の特定画像を参照画像として使用させる復号化制御手段と
して機能させるためのプログラム。
【請求項30】
所定の撮像フレームレートで撮像された動画像が符号化されているとともに動画復号化装置により復号化される動画データのデータ構造において、
動画復号化装置により復号化し前記動画像を前記撮像フレームレートよりも遅い所定の表示フレームレートで表示させる場合に表示対象となる、前記撮像フレームレートと前記表示フレームレートとにより決まる所定のフレーム間隔の特定画像の符号化データであって、他の特定画像を参照画像としてフレーム間予測符号化された符号化データと、
前記特定画像の復号化時に参照画像とすべき前記他の特定画像を示す参照画像指示情報と
を含むことを特徴とするデータ構造。
【請求項31】
前記動画復号化装置が復号化対象とすべき画像として前記特定画像のみを示す復号対象情報を含むことを特徴とする請求項30記載のデータ構造。
【請求項32】
前記復号対象情報として、前記特定画像の一部の特定画像のみからなる一連の符号化データを示すインデックス情報を含むことを特徴とする請求項31記載のデータ構造。
【請求項33】
前記動画復号化装置が復号化対象とすべき画像を示すインデックス情報として、全フレームの画像を示す第1のインデックス情報と、前記特定画像のみからなる一連の画像を示す第2のインデックス情報とを含むことを特徴とする請求項30,31又は32記載のデータ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2008−22532(P2008−22532A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−108794(P2007−108794)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】