説明

動的バックアップ機能を有する電子計算機、動的バックアップ方法及びそのプログラム

【課題】OSに依らずに、バックアップをとる時間及びバックアップをとるための設備投資を削減する。
【解決手段】複数の主記憶装置と、複数の補助記憶装置とを有する電子機器が、第1の主記憶装置がプライマリ第2の主記憶装置がセカンダリとして同一の内容を記録するよう動作しており、且つ、第1の補助記憶装置がプライマリ第2の補助記憶装置がセカンダリとして同一の内容を記録するよう動作している場合であって動的バックアップの実行指示を受け付けた場合に、全ての演算処理装置のプロセスの処理を一時停止させる。全ての演算処理装置のレジスタ・キャッシュの情報を第2の主記憶装置に出力する。当該出力が終了後、同一の内容の記録動作を中止させる。全ての演算処理装置に第2の主記憶装置及び第2の補助記憶装置を使用させることなく一時停止時に行っていた処理を再開させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子計算機のバックアップに関し、より詳細には電子計算機において現在の稼働状態をスナップショットすることに関する。
【背景技術】
【0002】
ソフトウェア評価や、サーバ構築の場面においては、電子計算機に対し効果が不確定な操作や、実行順に問題がある操作を実行する場合が多々存在する。そして、このような操作に失敗した場合、ソフトウェアの削除や設定の回復等で対応したとしてもOSコアに書き込まれた情報を除去できない場合が多く、直前のバックアップに戻ることが多い。そのため、不確実な操作の前には補助記憶装置内のデータを全てバックアップしていた。
【0003】
例えば特許文献1にはシステムの起動時、予め設定されているシステムファイルやレジストリファイル情報を抽出し、記憶媒体に格納するというバックアップ方法について記載されている。そして、この技術ではバックアップしたデータを元の場所に復旧するためのソフトウェアを作成し、システムを起動するために必要なファイルと共に、記憶媒体に格納することにより起動ディスクを作成する。そして、この起動ディスクを用いることによりシステムを復旧することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−222180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような技術を用いることによりシステムの復旧が可能となる、しかしながら不確実な操作の前に補助記憶装置内のデータを全てバックアップするためには、多くの時間を要する。
【0006】
他方、一部のOS(Operating System)においてはシステムの復元等の名称で簡易的なバックアップ機能が備わっていることもある。もっとも、これは単にOSのシステムファイルの一部を選別してバックアップ時の状態に戻す機能であり、完全に状況を再現するものではない。よって、完全に状況を再現するには多くの時間がかかったとしても補助記憶装置内のデータを全てバックアップする他無かった。また、同一装置に対して複数のOSを扱う場面も多く、OSに依らない機能が望まれていた。
【0007】
そこで、本発明はOSに依らずに、バックアップをとる時間及びバックアップをとるための設備投資を削減することが可能な、動的バックアップ機能を有する電子計算機、動的バックアップ方法及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点によれば、複数の主記憶装置と、複数の補助記憶装置とを有する電子機器の動的バックアップ方法において、第1の主記憶装置がプライマリ第2の主記憶装置がセカンダリとして同一の内容を記録するよう動作しており、且つ、第1の補助記憶装置がプライマリ第2の補助記憶装置がセカンダリとして同一の内容を記録するよう動作している場合であって動的バックアップの実行指示を受け付けた場合に、全ての演算処理装置のプロセスの処理を一時停止させ、全ての演算処理装置のレジスタ・キャッシュの情報を前記第2の主記憶装置に出力し、当該出力が終了後、前記第1の主記憶装置と前記第2の主記憶装置の間及び前記第1の補助記憶装置と前記第2の補助記憶装置の間で行われている同一の内容の記録動作を中止させ、前記全ての演算処理装置に前記第2の主記憶装置及び前記第2の補助記憶装置を使用させることなく前記一時停止時に行っていた処理を再開させることを特徴とする動的バックアップ方法が提供される。
【0009】
本発明の第2の観点によれば、複数の主記憶装置と、複数の補助記憶装置とを有する電子機器の動的バックアップ装置において、第1の主記憶装置がプライマリ第2の主記憶装置がセカンダリとして同一の内容を記録するよう動作しており、且つ、第1の補助記憶装置がプライマリ第2の補助記憶装置がセカンダリとして同一の内容を記録するよう動作している場合であって動的バックアップの実行指示を受け付けた場合に、全ての演算処理装置のプロセスの処理を一時停止させ、全ての演算処理装置のレジスタ・キャッシュの情報を前記第2の主記憶装置に出力し、当該出力が終了後、前記第1の主記憶装置と前記第2の主記憶装置の間及び前記第1の補助記憶装置と前記第2の補助記憶装置の間で行われている同一の内容の記録動作を中止させ、前記全ての演算処理装置に前記第2の主記憶装置及び前記第2の補助記憶装置を使用させることなく前記一時停止時に行っていた処理を再開させることを特徴とする動的バックアップ装置が提供される。
【0010】
本発明の第3の観点によれば、複数の主記憶装置と、複数の補助記憶装置とを有する電子機器に搭載される動的バックアッププログラムにおいて、第1の主記憶装置がプライマリ第2の主記憶装置がセカンダリとして同一の内容を記録するよう動作しており、且つ、第1の補助記憶装置がプライマリ第2の補助記憶装置がセカンダリとして同一の内容を記録するよう動作している場合であって動的バックアップの実行指示を受け付けた場合に、
全ての演算処理装置のプロセスの処理を一時停止させ、全ての演算処理装置のレジスタ・キャッシュの情報を前記第2の主記憶装置に出力し、当該出力が終了後、前記第1の主記憶装置と前記第2の主記憶装置の間及び前記第1の補助記憶装置と前記第2の補助記憶装置の間で行われている同一の内容の記録動作を中止させ、前記全ての演算処理装置に前記第2の主記憶装置及び前記第2の補助記憶装置を使用させることなく前記一時停止時に行っていた処理を再開させる電子機器としてコンピュータを機能させることを特徴とする動的バックアッププログラムが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、主記憶装置及び補助記憶装置のミラーリング機能を有効に利用することからOSに依らずに、バックアップをとる時間及びバックアップをとるための設備投資を削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態である動的バックアップ機能を有する電子計算機の構成例(1/4)を表す図である。
【図2】本発明の実施形態である動的バックアップ機能を有する電子計算機の構成例(2/4)を表す図である。
【図3】本発明の実施形態である動的バックアップ機能を有する電子計算機の構成例(3/4)を表す図である。
【図4】本発明の実施形態である動的バックアップ機能を有する電子計算機の構成例(4/4)を表す図である。
【図5】動的バックアップ状態遷移図である。
【図6】動的バックアップ機能を実行している状態を表す図である。
【図7】動的バックアップ機能を使用してバックアップしたデータに戻った状態を表す図である。
【図8】動的バックアップ実行時のフローチャートである。
【図9】動的バックアップを破棄して通常状態に戻る場合のフローチャートである。
【図10−1】動的バックアップした時点へ戻る場合のフローチャート(1/2)である。
【図10−2】動的バックアップした時点へ戻る場合のフローチャート(2/2)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態は、概略、主記憶装置及び補助記憶装置にミラーリング機能を有する電子計算機を構成し、現在の稼動状態をスナップショットする機能で従来の問題を解決するというものである。
【0014】
まず、本発明の実施形態の構成について図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
本発明による電子計算機1000の構成例を図1から図4に示す。
【0016】
各構成例に共通する特徴から説明する。各構成例において主記憶装置及び補助記憶装置のコントローラにはそれぞれミラーのプライマリ/セカンダリの物理アドレス及びデバイスを切り替えるための仕組みを用意しておき、上位には仮想的なアドレス及びデバイスを見せておくこととする。さらに、プライマリ/セカンダリのスイッチングは、チップセット内或いはチップセット外に設けた動的バックアップ管理部が操作できるようにしておく。加えて、動的バックアップ管理部には、全てのCPUのレジスタ及びキャッシュの内容を主記憶装置に記録したり、主記憶装置から読み戻させたりする機能を付加しておくものとする。
【0017】
図1を参照すると、電子計算機1000は、複数のCPU(CPU100−1、100−2、100−Nを図示する。)、チップセット200、出力装置301、入力装置302、I/O装置303、補助記憶コントローラ400、第1の主記憶装置206、第2の主記憶装置207、第1の補助記憶装置402及び第2の補助記憶装置403を有する。
【0018】
また、チップセット200は、チップセット主要部201、動的バックアップ管理部202、主記憶装置コントローラ切り替えスイッチ203、第1の主記憶装置コントローラ204及び第2の主記憶装置コントローラ205を有する。
【0019】
更に、補助記憶コントローラ400は、デバイス切り替えスイッチ401を有する。
【0020】
複数のCPU(CPU100−1、100−2、100−N)は、演算処理を行うプロセッサであり、その個数は任意である。図1には3つのプロセッサを図示しているが、それより多くのCPUが実装されていてもよいし、2つ以下であってもよい。
【0021】
チップセット200は、主にチップセット主要部201の機能により一般的なチップセットとして動作する。また、図1の実施形態では動的バックアップ管理部202がチップセット200内にあり、主記憶装置コントローラ(第1の主記憶装置コントローラ204及び第2の主記憶装置コントローラ205)が主記憶装置(第1の主記憶装置206及び第2の主記憶装置207)のプライマリ/セカンダリによって2つ存在する。
【0022】
また、出力装置301は、ディスプレイ等のユーザーへ情報を提示するための装置に接続されている。入力装置302は、ユーザーからの入力を受け付ける部分であり、具体的には、キーボード、マウス、タッチパネル等に接続されている。
【0023】
第1の主記憶装置206、第2の主記憶装置207は、RAMに代表される記憶装置である。図1においてはミラー化(ミラーリング)されており冗長化されている。
【0024】
補助記憶コントローラ400は、第1の補助記憶装置402及び第2の補助記憶装置403を制御する。また、デバイス切り替えスイッチ401により補助記憶装置のプライマリ/セカンダリを切り替える。
【0025】
第1の補助記憶装置402及び第2の補助記憶装置403はHDD(Hard disk drive)やSSD(solid state drive)に代表される記憶装置である。図1においてはミラーリングとなっており冗長化されている。
【0026】
次に、図2の構成例について説明する。図2に示す構成では動的バックアップ管理部202がチップセット200内にある点は、図1の構成と同じである。一方、図2では、主記憶テーブル切り替えスイッチ209を有しており、主記憶装置コントローラが、主記憶装置コントローラ208の一つのみである点で相違する。図2の構成では、主記憶テーブル切り替えスイッチ209が有する主記憶装置テーブル(第1の主記憶装置テーブル209−1と第2の主記憶装置テーブル209−2)の切り替えによって主記憶装置のプライマリ/セカンダリを使い分ける。
【0027】
図3は動的バックアップ管理部(動的バックアップ管理部304)がチップセット200外にあり、第1の主記憶装置コントローラ204及び第2の主記憶装置コントローラ205が主記憶装置(第1の主記憶装置206及び第2の主記憶装置207)のプライマリ/セカンダリによって2つ存在する構成である。
【0028】
図4は動的バックアップ管理部(動的バックアップ管理部304)がチップセット200外にあり、主記憶装置テーブル(第1の主記憶装置テーブル209−1と第2の主記憶装置テーブル209−2)の切り替えによって主記憶装置のプライマリ/セカンダリを使い分ける構成である。
【0029】
これらの構成例のような構成にて、OSに依らず随時バックアップを行うことを可能とする。
【0030】
次に、図4〜図10−2を用いて本実施形態の動作について詳細に説明する。なお、今回は図4の構成を元に、動的バックアップの動作概要、状態遷移の具体的なフローを説明する。
【0031】
図4は本実施形態の通常状態を示す。第1の主記憶装置206と第2の主記憶装置207、第1の補助記憶装置402と第2の補助記憶装置403がそれぞれミラー化されており、ミラーの制御は主記憶装置コントローラ208と補助記憶装置コントローラ400にて行われている。なお、ミラーのプライマリは第1の主記憶装置206及び第1の補助記憶装置402になっているとする。
【0032】
図5は、動的バックアップの状態遷移図を示す。通常は図4を参照して説明した通常状態でユーザオペレーションが行われている。操作者が任意のタイミングで、入力装置302から動的バックアップの開始を実行すると、図6の動的バックアップ状態に遷移する。遷移の詳細なフローについては図8にて説明する。
【0033】
動的バックアップ状態にて、電子計算機に対し効果が不確定な操作や実行順に問題がある操作を実行し、問題が出なければ操作者が動的バックアップを破棄して図4の通常状態に戻ることができる。詳細なフローについては図9にて説明する。
【0034】
もし問題が発生しバックアップしておいたデータに戻る場合は、最終的に図7のように主記憶・補助記憶装置のプライマリ/セカンダリが入れ替わった状態で通常状態に戻る。この際の詳細なフローについては図10にて説明する。
【0035】
図6は、動的バックアップ状態を示す。この状態では、操作者が動的バックアップを実行した時点での主記憶装置・補助記憶装置及びCPU内情報に加え、CPUが再開するために必要なプロセスがCPU再開情報として保存される。図6の例では第2の主記憶装置207・第2の補助記憶装置403がそれぞれミラーを解除され、動的バックアップ管理部304の監視下で保存されている。さらに、第2の主記憶装置207の中には、CPUのレジスタ及びキャッシュの情報を保存したCPU内情報、CPUが再開するための初期アクセスポイントとなるCPU再開情報が保存されている。
【0036】
図7は、動的バックアップ機能を使用してバックアップしたデータに戻った状態を示す。主記憶・補助記憶装置のプライマリ/セカンダリが入れ替わった状態で通常状態に戻る。
【0037】
次に、図8乃至図10−2のフローチャートを参照して説明を続ける。
【0038】
図8に動的バックアップを実行した際のフローを示す。具体的には図4から図6の状態へ遷移する際の動作にあたる。
【0039】
本動作では、1.動的バックアップ開始時点でのCPU内情報の保存、2.CPU再開情報の作成、3.セカンダリ主記憶装置及び補助記憶装置のミラー解除、の3つの動作が行われる。
【0040】
入力装置302を通じて、動的バックアップが実行される(ステップS501)。
【0041】
モナークCPU(仮にCPU100−1とする)に動的バックアップ命令が入る(ステップS502)。
【0042】
CPU100−1から動的バックアップ管理部304に対し動的バックアップ処理を行うように命令する。同時に同パーティション内の全CPUのプロセスを一時停止する(ステップS503)。
【0043】
動的バックアップ管理部304が主体となり、CPU−X(或るCPU)のレジスタ・キャッシュの情報を第2の主記憶装置207に出力する(ステップS504)。
【0044】
対象となるCPU−Xを順次変更し、全てのCPU分の処理が終わったか確認する(ステップS505)。
【0045】
全てのCPU分の処理が終わってないのであれば(ステップS505においてNo)、対象となるCPU−Xを順次変更しステップS504の処理を継続する。
【0046】
一方、全てのCPU分の処理が終わったのであれば(ステップS505においてYes)、ステップS506に進む。
【0047】
次に、動的バックアップ管理部304が主体となりCPU再開情報を作成し、第2の主記憶装置207に出力する(ステップS506)。
【0048】
その後、動的バックアップ管理部304が主体となり、第2の主記憶装置207・第2の補助記憶装置403のミラーを解除する(ステップS507)。
【0049】
最後に、全CPUがバックアップ処理直前の処理に戻る。ただし、処理には第1の主記憶装置206・第1の補助記憶装置402のみを使用する(ステップS508)。
【0050】
次に、図9に動的バックアップを破棄して通常状態に戻る場合のフローを示す。具体的には図6から図4の状態へ遷移する際の動作にあたる。
【0051】
本動作では、1.動的バックアップ実行時に保存したセカンダリ主記憶装置及び補助記憶装置の情報を破棄、2.セカンダリ主記憶装置及び補助記憶装置のミラーへの復帰、の2つの動作が行われる。
【0052】
入力装置302を通じて、動的バックアップ状態解除が実行される(ステップS601)。
【0053】
モナークCPU(仮にCPU100−1とする)に動的バックアップ状態解除命令が入る(ステップS602)。
【0054】
CPU100−1から動的バックアップ管理部304に対し動的バックアップ状態解除処理を行うように命令する。同時に同パーティション内の全CPUのプロセスを一時停止する(ステップS603)。
【0055】
動的バックアップ管理部304が主体となり、動的バックアップしていたデータを破棄する。更に主記憶装置及び補助記憶装置のミラーを復活する(ステップS604)。
【0056】
全CPUが動的バックアップ解除処理直前の処理に戻る(ステップS605)。
【0057】
バックグラウンドにて第1の主記憶装置206から第2の主記憶装置207へ、第1の補助記憶装置402から第2の補助記憶装置403へそれぞれデータを復帰する(ステップS606)。
【0058】
第2の主記憶装置207・第2の補助記憶装置403のデータ復帰が完了したら、動的バックアップ可能となったことを出力装置301に表示する(ステップS607)。
【0059】
続いて、図10−1及び図10−2に動的バックアップした時点へ戻る場合のフローを示す。本動作では具体的には図6から図7の状態へ遷移する際の動作にあたる。
【0060】
本動作では、1.主記憶・補助記憶装置のプライマリ/セカンダリの切り替え、2.動的バックアップ実行時に保存したCPU内情報のCPUへの書き戻し、3.プライマリからセカンダリに変わった主記憶・補助記憶装置の情報を破棄、4.主記憶装置及び補助記憶装置のミラー復活、の4つの動作が行われる。
【0061】
入力装置302を通じて、動的バックアップデータへの復帰が実行される(ステップS701)。
【0062】
モナークCPU(仮にCPU100−1とする)に動的バックアップデータへの復帰命令が入る(ステップS702)。
【0063】
CPU100−1から動的バックアップ管理部304に対し動的バックアップデータへの復帰処理を行うように命令する。同時に同パーティション内の全CPUのプロセスを一時停止する(ステップS703)。
【0064】
動的バックアップ管理部304が主体となり、主記憶装置テーブル切り替えスイッチ209を操作して、主記憶装置のプライマリ/セカンダリの切り替えを行う(ステップS704)。
【0065】
動的バックアップ管理部304が主体となり、補助記憶装置コントローラ400のデバイス切り替えスイッチ401を操作して、補助記憶装置のプライマリ/セカンダリの切り替えを行う(ステップS705)。
【0066】
動的バックアップ管理部304が主体となり、第2の主記憶装置207のCPU再開情報をCPU100−1に実行させ、CPU−XのCPU内情報の位置を認識させる(ステップS706)。
【0067】
動的バックアップ管理部304が主体となり、CPU−Xのレジスタ・キャッシュの情報が第2の主記憶装置207のCPU内情報より読み込まれる(ステップS707)。
【0068】
対象となるCPU−Xを順次変更し、全てのCPU分の処理が終わったか確認する(ステップS708)。
【0069】
全てのCPU分の処理が終わってないのであれば(ステップS708においてNo)、対象となるCPU−Xを順次変更しステップS707の処理を継続する。
【0070】
一方、全てのCPU分の処理が終わったのであれば(ステップS708においてYes)、ステップS709に進む。
【0071】
次に、全CPUがロードされたデータを用いて再開する(ステップS709)。
【0072】
CPUが正常再開するのを待ち、動的バックアップ管理部304から割り込みを行い、時間管理を独自に行っているソフトウェアへの対策を行う(ステップS710)。
【0073】
バックグラウンドにて第2の主記憶装置207から第1の主記憶装置206へ、第2の補助記憶装置403から第1の補助記憶装置402へそれぞれデータを復帰する(ステップS711)。
【0074】
第1の主記憶装置206・第1の補助記憶装置402のデータ復帰が完了したら、動的バックアップ可能となったことを出力装置301に表示する(ステップS712)。
【0075】
以上の動作が本実施形態の動作である。
【0076】
また実際に本実施形態を適用してシステムを作成するには、上記のハードウェア要件に加え、状態遷移をキックするためにOS上に若干のドライバ及びアプリケーションが必要となる。
【0077】
以上説明した本発明の実施形態は、以下に示すような多くの効果を奏する。
【0078】
第1の効果は主記憶装置及び補助記憶装置にミラーリング機能を有する電子計算機において、OSに依らずバックアップをとる時間及び、バックアップをとるための設備投資を削減できることである。
【0079】
その理由は、動的バックアップ管理部が主体となって、主記憶装置及び補助記憶装置を有効に利用するからである。
【0080】
第2の効果はOS動作への影響度が高い操作を試行しやすくなることである。
【0081】
その理由は、本実施形態を用いれば通常のバックアップ手段に比べて容易に状態保存を行えるからである。
【0082】
なお、本発明の実施形態である動的バックアップ機能を有する電子計算機は、ハードウェアにより実現することもできるが、コンピュータをその動的バックアップ機能を有する電子計算機として機能させるためのプログラムをコンピュータがコンピュータ読み取り可能な記録媒体から読み込んで実行することによっても実現することができる。
【0083】
また、本発明の実施形態による動的バックアップ方法は、ハードウェアにより実現することもできるが、コンピュータにその方法を実行させるためのプログラムをコンピュータがコンピュータ読み取り可能な記録媒体から読み込んで実行することによっても実現することができる。
【0084】
また、上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【符号の説明】
【0085】
100−1、100−2、100−N CPU
200 チップセット
201 チップセット主要部
202 動的バックアップ管理部
203 主記憶装置コントローラ切り替えスイッチ
204 第1の主記憶装置コントローラ
205 第2の主記憶装置コントローラ
206 第1の主記憶装置
207 第2の主記憶装置
208 主記憶装置コントローラ
209 主記憶装置テーブル切り替えスイッチ
209−1 第1の主記憶装置テーブル
209−2 第2の主記憶装置テーブル
301 出力装置
302 入力装置
303 I/O装置
400 補助記憶コントローラ
401 デバイス切り替えスイッチ
402 第1の補助記憶装置
403 第2の補助記憶装置
1000 電子計算機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の主記憶装置と、複数の補助記憶装置とを有する電子機器の動的バックアップ方法において、
第1の主記憶装置がプライマリ第2の主記憶装置がセカンダリとして同一の内容を記録するよう動作しており、且つ、第1の補助記憶装置がプライマリ第2の補助記憶装置がセカンダリとして同一の内容を記録するよう動作している場合であって動的バックアップの実行指示を受け付けた場合に、
全ての演算処理装置のプロセスの処理を一時停止させ、全ての演算処理装置のレジスタ・キャッシュの情報を前記第2の主記憶装置に出力し、当該出力が終了後、前記第1の主記憶装置と前記第2の主記憶装置の間及び前記第1の補助記憶装置と前記第2の補助記憶装置の間で行われている同一の内容の記録動作を中止させ、前記全ての演算処理装置に前記第2の主記憶装置及び前記第2の補助記憶装置を使用させることなく前記一時停止時に行っていた処理を再開させることを特徴とする動的バックアップ方法。
【請求項2】
請求項1に記載の動的バックアップ方法において、
前記プロセスの処理の再開後、前記動的バックアップの解除の指示を受け付けた場合に、
前記全ての演算処理装置のプロセスの処理を一時停止させ、前記第2の主記憶装置及び前記第2の補助記憶装置の記録内容を破棄させ、前記第1の主記憶装置と前記第2の主記憶装置の間及び前記第1の補助記憶装置と前記第2の補助記憶装置の間で行われていた同一の内容の記録動作を再開させ、前記全ての演算処理装置に前記一時停止時に行っていた処理を再開させることを特徴とする動的バックアップ方法。
【請求項3】
請求項1に記載の動的バックアップ方法において
前記プロセスの処理の再開後、前記動的バックアップしたデータへの復帰の指示を受け付けた場合に、
前記全ての演算処理装置のプロセスの処理を一時停止させ、前記第1の主記憶装置及び前記第1の補助記憶装置をそれぞれセカンダリとし、且つ、前記第2の主記憶装置及び前記第2の補助記憶装置をそれぞれプライマリとし、前記第2の主記憶装置が記録している前記全ての演算処理装置のレジスタ・キャッシュの情報をそれぞれ対応する演算処理装置に読み込ませ、全ての演算処理装置が読み込んだ情報を用いて前記一時停止時に行っていた処理を再開させ、前記第1の主記憶装置と前記第2の主記憶装置の間及び前記第1の補助記憶装置と前記第2の補助記憶装置の間で行われていた同一の内容の記録動作を再開させることを特徴とする動的バックアップ方法。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の動的バックアップ方法において、
前記全ての演算処理装置に前記一時停止時に行っていた処理を再開させた後に、前記第1の主記憶装置と前記第2の主記憶装置、及び、前記第1の補助記憶装置と前記第2の補助記憶装置がそれぞれ同一の内容を記録している状態になった際に、動的バックアップが可能な状態となった旨を出力することを特徴とする動的バックアップ方法。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の動的バックアップ方法において、
当該方法は前記電子機器内の前記演算処理装置に接続されているチップセットの指示により行われることを特徴とする動的バックアップ方法。
【請求項6】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の動的バックアップ方法において、
当該方法は前記電子機器内の前記演算処理装置に接続されているチップセット以外の装置の指示により行われることを特徴とする動的バックアップ方法。
【請求項7】
複数の主記憶装置と、複数の補助記憶装置とを有する電子機器の動的バックアップ装置において、
第1の主記憶装置がプライマリ第2の主記憶装置がセカンダリとして同一の内容を記録するよう動作しており、且つ、第1の補助記憶装置がプライマリ第2の補助記憶装置がセカンダリとして同一の内容を記録するよう動作している場合であって動的バックアップの実行指示を受け付けた場合に、
全ての演算処理装置のプロセスの処理を一時停止させ、全ての演算処理装置のレジスタ・キャッシュの情報を前記第2の主記憶装置に出力し、当該出力が終了後、前記第1の主記憶装置と前記第2の主記憶装置の間及び前記第1の補助記憶装置と前記第2の補助記憶装置の間で行われている同一の内容の記録動作を中止させ、前記全ての演算処理装置に前記第2の主記憶装置及び前記第2の補助記憶装置を使用させることなく前記一時停止時に行っていた処理を再開させることを特徴とする動的バックアップ装置。
【請求項8】
請求項7に記載の動的バックアップ装置において、
前記プロセスの処理の再開後、前記動的バックアップの解除の指示を受け付けた場合に、
前記全ての演算処理装置のプロセスの処理を一時停止させ、前記第2の主記憶装置及び前記第2の補助記憶装置の記録内容を破棄させ、前記第1の主記憶装置と前記第2の主記憶装置の間及び前記第1の補助記憶装置と前記第2の補助記憶装置の間で行われていた同一の内容の記録動作を再開させ、前記全ての演算処理装置に前記一時停止時に行っていた処理を再開させることを特徴とする動的バックアップ装置。
【請求項9】
請求項7に記載の動的バックアップ装置において
前記プロセスの処理の再開後、前記動的バックアップしたデータへの復帰の指示を受け付けた場合に、
前記全ての演算処理装置のプロセスの処理を一時停止させ、前記第1の主記憶装置及び前記第1の補助記憶装置をそれぞれセカンダリとし、且つ、前記第2の主記憶装置及び前記第2の補助記憶装置をそれぞれプライマリとし、前記第2の主記憶装置が記録している前記全ての演算処理装置のレジスタ・キャッシュの情報をそれぞれ対応する演算処理装置に読み込ませ、全ての演算処理装置が読み込んだ情報を用いて前記一時停止時に行っていた処理を再開させ、前記第1の主記憶装置と前記第2の主記憶装置の間及び前記第1の補助記憶装置と前記第2の補助記憶装置の間で行われていた同一の内容の記録動作を再開させることを特徴とする動的バックアップ装置。
【請求項10】
複数の主記憶装置と、複数の補助記憶装置とを有する電子機器に搭載される動的バックアッププログラムにおいて、
第1の主記憶装置がプライマリ第2の主記憶装置がセカンダリとして同一の内容を記録するよう動作しており、且つ、第1の補助記憶装置がプライマリ第2の補助記憶装置がセカンダリとして同一の内容を記録するよう動作している場合であって動的バックアップの実行指示を受け付けた場合に、
全ての演算処理装置のプロセスの処理を一時停止させ、全ての演算処理装置のレジスタ・キャッシュの情報を前記第2の主記憶装置に出力し、当該出力が終了後、前記第1の主記憶装置と前記第2の主記憶装置の間及び前記第1の補助記憶装置と前記第2の補助記憶装置の間で行われている同一の内容の記録動作を中止させ、前記全ての演算処理装置に前記第2の主記憶装置及び前記第2の補助記憶装置を使用させることなく前記一時停止時に行っていた処理を再開させる電子機器としてコンピュータを機能させることを特徴とする動的バックアッププログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【公開番号】特開2011−165042(P2011−165042A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28842(P2010−28842)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】