説明

包装機

【課題】本発明の課題は、多層フィルムを超音波溶着して袋を作製する包装機において溶着箇所の見た目の美しさを維持しつつ良好な溶着強度を有する袋を作製することにある。
【解決手段】本発明に係る包装機3は、(a)ホーンとアンビルとの挟持圧力の変化に対する多層フィルムの溶着強度等の変化曲線における屈曲点に対応する挟持圧力(以下「屈曲点対応挟持圧力」という)の情報および(b)超音波の振幅の変化に対する多層フィルムの溶着強度等の変化曲線における屈曲点に対応する超音波の振幅(以下「屈曲点対応振幅」という)の情報の少なくとも一方を記憶し、(c)屈曲点対応挟持圧力を利用した適切挟持圧力の算出および(d)屈曲点対応超音波振幅を利用した適切超音波振幅の算出の少なくとも一方を行い、(e)適切挟持圧力に基づくホーンとアンビルとの挟持圧力の制御および(f)適切超音波振幅に基づく超音波の振幅の制御の少なくとも一方を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
過去に「超音波溶着機により包装フィルムを超音波溶着して袋を作製する技術やその技術を応用した包装機」が提案されている(例えば、特開平10−45114号公報、特開平9−2430号公報および特開平9−323708号公報など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−45114号公報
【特許文献2】特開平9−2430号公報
【特許文献3】特開平9−323708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、通常、食品包装用の袋を製造するための包装フィルムは、複数の要求特性を満たすために多層化されている。
【0005】
本発明の課題は、このような多層フィルムを超音波溶着して袋を作製する包装機において、溶着箇所の見た目の美しさを維持しつつ良好な溶着強度を有する袋を作製することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1局面に係る包装機は、多層フィルムを用いて商品を包装する包装機であって、超音波溶着機構、情報記憶部、適切制御値算出部および制御部を備える。超音波溶着機構は、ホーンおよびアンビルを有する。アンビルは、ホーンに対向するように設けられる。そして、この超音波溶着機構は、ホーンとアンビルとにより同一表面層同士が接触するように多層フィルムを挟持した状態で多層フィルムを超音波溶着して袋を作製する。情報記憶部には、(a)ホーンとアンビルとの挟持圧力の変化に対する多層フィルムの溶着強度または溶着状態値の変化曲線における屈曲点に対応する前記挟持圧力(以下「屈曲点対応挟持圧力」という)の情報および(b)超音波の振幅の変化に対する多層フィルムの溶着強度または溶着状態値の変化曲線における屈曲点に対応する前記超音波の振幅(以下「屈曲点対応超音波振幅」という)の情報の少なくとも一方の情報が記憶される。なお、ここにいう「溶着状態値」とは、多層フィルムの溶着状態を直接的または間接的に示す値であって、例えば、袋に所定圧力を加えたときに袋の溶着箇所にリーク部分があるか否かを示す状態値や、袋に所定圧力を加えたときから起算して所定時間経過後の袋の変形量(袋の溶着箇所にリーク部分があると変化する)などである。適切制御値算出部は、(c)屈曲点対応挟持圧力を利用した適切挟持圧力の算出および(d)屈曲点対応超音波振幅を利用した適切超音波振幅の算出の少なくとも一方を行う。なお、ここで適切挟持圧力や適切超音波振幅は、ある一つの値であってもよいし、一定の幅であってもよい。制御部は、(e)適切挟持圧力に基づくホーンとアンビルとの挟持圧力の制御および(f)適切超音波振幅に基づく超音波の振幅の制御の少なくとも一方の制御を行う。
【0007】
このため、この包装機では、例えば、屈曲点対応挟持圧力+アルファを適切挟持圧力とし、屈曲点対応超音波振幅+アルファを適切超音波振幅とすれば、シーラント層としての表面層同士が溶着されるだけでなくその表面層以外の樹脂層同士も溶着されることになる。したがって、この包装機では、表面層同士のみが溶着される場合に比べて多層フィルムの溶着強度が高くなる。また、屈曲点対応挟持圧力や屈曲点対応超音波振幅に加える値を適度な値とすれば、表面層やそれ以外の層はほとんど流れ出さない。このため、袋などの溶着箇所において見た目の美しさを維持することができる。よって、この包装機では、多層フィルムを超音波溶着して袋を作製する場合において、溶着箇所の見た目の美しさを維持しつつ良好な溶着強度を有する袋を作製することができる。
【0008】
第2局面に係る包装機は、第1局面に係る包装機であって、制御部は、通常運転モードと情報導出モードとを切換可能である。なお、ここにいう「通常運転モード」とは、包装機が本来有する「商品の包装動作」を実行するモードである。また、ここにいう「情報導出モード」は、屈曲点対応挟持圧力の情報および屈曲点対応超音波振幅の情報の少なくとも一方の情報を導出した後、その情報を情報記憶部に記憶させるモードである。また、通常運転モードと情報導出モードとの切換は、手動切換であってもよいし、自動切換であってもよい。
このため、この包装機では、実際に近い条件下で屈曲点対応挟持圧力の情報や屈曲点対応超音波振幅の情報の導出を行うことができる。
第3局面に係る包装機は、第2局面に係る包装機であって、制御部は、情報導出モードを実行した後に自動的に通常運転モードを実行する。
このため、この包装機では、操作者の手を煩わせることなくモード切換操作を行うことができる。
【0009】
第4局面に係る包装機は、第1局面に係る包装機であって、制御部は、通常運転モード実行中に、情報導出モードを実行する。情報導出モードでは、屈曲点対応挟持圧力の情報および屈曲点対応超音波振幅の情報の少なくとも一方の情報が導出された後、その情報が情報記憶部に記憶される。
このため、この包装機では、生産性を低下させることなく屈曲点対応挟持圧力の情報や屈曲点対応超音波振幅の情報の導出を行うことができる。
【0010】
第5局面に係る包装機は、第2局面から第4局面のいずれかに係る包装機であって、溶着強度等導出部をさらに備える。溶着強度等導出部は、袋における多層フィルムの溶着強度または溶着状態値を求める。制御部は、情報導出モードにおいて、ホーンとアンビルとの挟持圧力または超音波の振幅を変化させながら超音波溶着機構により多層フィルムを超音波溶着させて複数の袋を作製させ、溶着強度等導出部に対して多層フィルムの溶着強度または溶着状態値を求めさせる。そして、制御部は、ホーンとアンビルとの挟持圧力または超音波の振幅に対する多層フィルムの溶着強度または溶着状態値の関係から屈曲点対応挟持圧力の情報または屈曲点対応超音波振幅の情報を導出する。
このため、この包装機では、容易に屈曲点対応挟持圧力の情報または屈曲点対応超音波振幅の情報を導出することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る包装機では、多層フィルムを超音波溶着して袋を作製する場合において、溶着箇所の見た目の美しさを維持しつつ良好な溶着強度を有する袋を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係る製袋包装機の外観斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る製袋包装機の主要機構の概略斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る製袋包装機の縦シール機構を構成するホーン及びアンビルの斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る製袋包装機の縦シール機構のII-II断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る製袋包装機の横シール機構の動作説明図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る製袋包装機の横シール機構を構成するホーン及びアンビルの斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る製袋包装機の制御装置のブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るフィルムの層構造を説明するための図である。
【図9】本発明の実施の形態における屈曲点対応挟持圧力の決定に用いられる剥離強度曲線を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態における屈曲点対応超音波振幅の決定に用いられる剥離強度曲線を示す図である。
【図11】ホーンとアンビルとの挟持圧力が高すぎる場合のフィルムの溶着箇所の断面図である。
【図12】ホーンとアンビルとの挟持圧力が適度である場合のフィルムの溶着箇所の断面図である。
【図13】ホーンとアンビルとの挟持圧力が適度である場合のフィルムの溶着箇所の断面図である。
【図14】ホーンとアンビルとの挟持圧力が適度である場合のフィルムの溶着箇所の断面図である。
【図15】本発明の実施の形態における試験片の製造方法を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態における試験片の剥離強度を測定するための剥離試験機の概念図である。
【図17】変形例(D)に係る製袋包装システムの簡易側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態に係る製袋包装機3は、帯状のフィルムFから袋を作製しながら商品を包装する機械であって、図1に示されるように、主に、フィルム供給ユニット6、製袋包装ユニット5および制御装置40(図2や図7参照)から構成されている。以下、上記ユニット5,6についてそれぞれ詳述する。
【0014】
なお、本実施形態において、フィルムFは、3層の積層フィルムであって、図8に示されるように、20μm厚のヒートシーラブル二軸延伸ポリプロピレン(OPH)層L1(シーラント層)、13μm厚の押出ポリエチレン層L2(接着層)、20μm厚のアルミ蒸着ヒートシーラブル二軸延伸ポリプロピレン層L3(基層,金属酸化物蒸着層)の順に積層されて構成されている。なお、アルミ蒸着層は、押出ポリエチレン層L2と、基層としてのヒートシーラブル二軸延伸ポリプロピレン層とに挟まれている。
<製袋包装機の構成ユニット>
1.フィルム供給ユニット
【0015】
フィルム供給ユニット6は、製袋包装ユニット5の成形基材13に対して帯状のフィルムFを供給するユニットである。このフィルム供給ユニット6には、フィルムFが巻かれたフィルムロール(図示せず)がセットされている。そして、このフィルムロールから、ヒートシーラブル二軸延伸ポリプロピレン層L1が上側を向くようにしてフィルムFが繰り出される。
【0016】
このフィルムFは、フィルムロールを回転させる送出モータ61(図7参照)の作動により送り出され、後述する製袋包装ユニット5のプルダウンベルト機構14の作動により製袋包装ユニット5側に引っ張られる。なお、このとき、フィルムFは、複数のローラ(図示せず)に掛け渡され、テンションローラ(図示せず)によって所定の張力がかかった状態で搬送される。なお、送出モータ61やプルダウンベルト機構14の動作は、制御装置40によって制御される。
2.製袋包装ユニット
【0017】
製袋包装ユニット5は、図2に示されるように、主に、成形基材13、プルダウンベルト機構14、縦シール機構15および横シール機構16から構成されている。以下、これらの構成要素13,14,15,16について詳述する。
(1)成形基材
【0018】
成形基材13は、フィルム供給ユニット6から供給されるフィルムFを筒状に成形するためのものであって、主に、チューブ13a及びフォーマ13bから構成されている。
【0019】
チューブ13aは、上端及び下端のいずれもが開口している円筒形状の部材である。そして、このチューブ13aには、図2に示されるように、計量機2(図1参照)で計量された所定量の被包装物P(例えば、ポテトチップス等)が投入される。なお、投入された被包装物Pは、チューブ13a内を通ってチューブ13aの下端から、封止前の袋B内へと排出される。
【0020】
フォーマ13bは、図2に示されるように、フィルムFがチューブ13aにおいて筒状に成形されるようにフィルムFをガイドする形状とされており(図2参照)、チューブ13aの上端近傍にチューブ13aを取り囲むように配置されている。
【0021】
そして、この成形基材13により、フィルムFは、フォーマ13bの上側の表面上を滑りながら、フォーマ13bとチューブ13aとの間へと送り込まれ、幅方向の端部においてヒートシーラブル二軸延伸ポリプロピレン層L1同士が対向するように筒状に丸められる。その結果、フィルムFは、チューブ13aの前側で端部同士が重なり合う。なお、以下、フィルムFの端部同士の重なり部分F2を「重なり部分」と称する。
なお、チューブ13aやフォーマ13bは、製造する袋Bの大きさに応じて取り替えることができる。
(2)プルダウンベルト機構
【0022】
プルダウンベルト機構14は、筒状となったフィルムF(以下、筒状フィルムFmという。)を吸着して下方に搬送するための機構であって、図2に示されるように、チューブ13aを挟んで左右両側に設けられる。
【0023】
このプルダウンベルト機構14は、図2に示されるように、主に、駆動ローラ14a、従動ローラ14b及び環状ベルト14cから構成されており、チューブ13aを取り巻く筒状フィルムFmを下側へと搬送する。なお、本実施形態において、駆動ローラ14aは上側に配置され、従動ローラ14bは下側に配されている。そして、駆動ローラ14aと従動ローラ14bとに跨って環状ベルト14cが架けられている。
【0024】
そして、このプルダウンベルト機構14では、吸着機能を有する環状ベルト14cを駆動ローラ14aおよび従動ローラ14bによって循環させ、筒状フィルムFmを下方に送る。
(3)縦シール機構
【0025】
縦シール機構15は、筒状フィルムFmの重なり部分F2を超音波溶着するための機構であって、図3及び図4に示されるように、主に、ホーン15a、アンビル15b、超音波発生器15c(図7参照)及びスライド基板(図示せず)から構成される。
ホーン15aは、略柱状の金属成形体であって、基端側に超音波発生器15cが取り付けられており、超音波発生器15cにより超音波振動する。
【0026】
アンビル15bは、円柱状の金属成形体であって、側面がホーン15aの先端面に対向するように配置されている。なお、本実施の形態において、このアンビル15bは、スライド基板に回転自在に取り付けられており、スライド基板がスライドすることにより、ホーン15aに接触するまで直進移動することができるようになっている。なお、スライド基板は、エアシリンダによりスライドされる。また、アンビル15bの回転軸は、円柱軸に一致する。
【0027】
なお、この縦シール機構15では、ホーン15a付与される超音波の振幅や、ホーン15aに対するアンビル15bの押し付け圧力などが制御装置40によって制御される。
(4)横シール機構
【0028】
横シール機構16は、筒状フィルムFmを横方向にシールして袋Bの上下を封止するための機構であって、図2及び図5に示されるように、主に、第1横シール部16A及び第2横シール部16Bから構成されており、チューブ13bの下端よりも下側に配置されている。
【0029】
第1横シール部16Aは図5に示されるように主に軸16c、ホーン51a、超音波発生器52a(図7参照)及び連結部16bから構成されており、第2横シール部16Bは図5に示されるように主に軸16c、アンビル51b及び連結部16bから構成されている。
軸16cは、柱状の部材であって、駆動機構16d(図7参照)によって自転および前後移動が可能となっている。
【0030】
ホーン51aは、図6に示されるように、側面から突起する突起部を有する略柱状の金属成形体であって、突起部の裏側に超音波発生器52aが取り付けられており、超音波発生器52aにより超音波振動する。
アンビル51bは、図6に示されるように、略柱状の金属成形体であって、ホーン51aの突起部に嵌合する凹部を側面に有する。
【0031】
そして、ホーン51a及びアンビル51bは、図5及び図6に示されるように、前後に並んで配置されており、図5中の符号r2で示される位置において、縦シール機構15を通過した筒状フィルムFmを前側と後側とから挟み込んで筒状フィルムFmを横方向に超音波溶着する。本実施の形態では、このようにして被包装物Pが詰め込まれた袋Bの上側が封止される。なお、ここで、横方向とは、左側または右側へと向かう方向である。
【0032】
連結部16bは、第1横シール部16Aにおいてホーン51aと軸16cとを連結しており、第2横シール部16Bにおいてアンビル51bと軸16cとを連結している。
【0033】
そして、この横シール機構16では、ホーン51a及びアンビル51bは所定の位置r1から互いに反対側へと円弧軌道T2を描きながら所定の位置r2まで移動する。なお、所定の位置r2は、チューブ13aの下端よりも下側にある。その後、ホーン51a及びアンビル51bは、筒状フィルムFmを超音波溶着しながら、直線軌道T1に沿って所定の位置r1まで移動する。このとき、横方向にシールされた筒状フィルムFmが下側に移動させられる。そして、ホーン51a及びアンビル51bは、所定の位置r1を通過すると、互いに離間して筒状フィルムFmを開放する。その後、溶着箇所は、アンビル51bに取り付けられたカッターにより、縦方向中央付近で切断される。この横シール機構16の一連の動作により、袋Bが作製される。
【0034】
なお、直線軌道T1は、横シール部16A,16Bに属する軸16cがそれぞれ自転しながら互いに反対側へ移動することで形成される。また、円弧軌道T2は、軸16cの自転のみで形成される。
3.制御装置
【0035】
制御装置40は、計量機2の制御および製袋包装機3の制御を行うものであって、図7に示されるように、主に、CPU41、ROM42、RAM43、EEPROM44および通信回路(図示せず)から構成されており、フィルム供給ユニット6の送出モータ61、プルダウンベルト機構14の駆動ローラ14aの駆動モータ14d、縦シール機構15の超音波発生器15c、縦シール機構15のアンビル水平移動用のエアシリンダのレギュレータ15d、横シール機構16の超音波発生器52a、横シール機構16の軸16cの駆動機構16d、計量機2、操作スイッチ類7およびタッチパネル式ディスプレイ8(図1および図7参照)に通信接続されている。そして、これらのデバイス41,42,43,44は、アドレスバスやデータバス等のバスラインを介して相互に接続されている。
ROM42には、各部14d,15c,15d,16d,52a,61を制御するための制御プログラムが格納されている。
【0036】
EEPROM44は、一定の電圧を印加することにより書き換え可能になるROMであって、例えば、後述する屈曲点対応挟持圧力データや屈曲点対応超音波振幅データなどを含む各種制御パラメータのデータなどを格納する。なお、ここにいう「屈曲点対応挟持圧力データ」とは、ホーンとアンビルとの挟持圧力の変化に対する多層フィルムの溶着強度の変化曲線における屈曲点に対応する挟持圧力のデータである。また、ここにいう「屈曲点対応超音波振幅データ」とは、超音波の振幅の変化に対する多層フィルムの溶着強度の変化曲線における屈曲点に対応する超音波の振幅のデータである。
【0037】
CPU41は、ROM42に格納される制御プログラムを実行するとともに必要な制御パラメータのデータをEEPROM44からRAM43を介して読み出して、各部14d,15c,15d,16d,52a,61の制御を行う。また、このCPU41は、屈曲点対応挟持圧力データや屈曲点対応超音波振幅データから適切挟持圧力データや適切超音波振幅データを導出し、その適切挟持圧力データや適切超音波振幅データに基づいて超音波発生器15c,52aの超音波振幅や、レギュレータの開度を制御する。なお、これらの制御の具体的態様については後に詳述する。
【0038】
また、この制御装置40は、タッチパネル式ディスプレイ8や操作スイッチ類7において入力された設定値や上下限値などをRAM43やEEPROM44に記憶したり、各部14d,15c,15d,16d,52a,61から得られる情報をタッチパネル式ディスプレイ8に送信したりする。
<製袋包装機における超音波発生器の制御>
【0039】
この製袋包装機2では、起動時、制御装置40が、EEPROM44から屈曲点対応挟持圧力データ、適切挟持圧力導出用数値データ、屈曲点対応超音波振幅データおよび適切超音波振幅導出用数値データを読み出し、屈曲点対応挟持圧力データおよび適切挟持圧力導出用数値データから適切挟持圧力データを導出し、屈曲点対応超音波振幅データおよび適切超音波振幅導出用数値データから適切超音波振幅データを導出する。なお、具体的には、適切挟持圧力は屈曲点対応挟持圧力に適切挟持圧力導出用数値を加えて算出し、適切超音波振幅は屈曲点対応超音波振幅に適切超音波振幅導出用数値を加えて算出する。また、ここで、適切挟持圧力は屈曲点対応挟持圧力よりも高く、適切超音波振幅は屈曲点対応超音波振幅よりも高い。また、適切挟持圧力や適切超音波振幅は、フィルムFを構成する樹脂が流れ出さない程度の値とされる。また、屈曲点対応挟持圧力データ、屈曲点対応超音波振幅データ、適切挟持圧力導出用数値データおよび適切超音波振幅導出用数値データは、タッチパネル式ディスプレイ8や操作スイッチ類7から入力され、EEPROM44に記憶されるようになっている。
【0040】
そして、制御装置40は、縦シール機構15の超音波発生器15cの超音波振幅および横シール機構16の超音波発生器52aの超音波振幅が適切超音波振幅となるように超音波発生器15c,52aの超音波振幅を制御し、縦シール機構15におけるホーン15aに対するアンビル15b押し付け圧力、すなわち挟持圧力が適切挟持圧力となるように縦シール機構15のレギュレータ15dの開度を制御する。
<屈曲点対応挟持圧力の決定方法>
【0041】
先ず、図15に示されるように、ホーン151aとアンビル151bとにより、ヒートシーラブル二軸延伸ポリプロピレン層L1同士が互いに対向する状態で2枚のフィルムFを超音波溶着させて試験片を作製する。なお、このとき、超音波振幅を一定とし、挟持圧力を所定の間隔で逐次変化させて複数の試験片を作製する。なお、本実施の形態では、図15に示されるように、アンビル151bが5本歯を有する形状をしている。このため、フィルムFは、長手方向に5箇所で超音波溶着されることになる。
そして、図16に示されるように、その複数の試験片それぞれを引張試験機20にセットして各試験片の剥離強度(溶着強度)を測定する。
【0042】
なお、引張試験機20は、図16に示されるように、主に、クロスヘッド24、ロードセル23、カップラー22、上側チャック21b及び下側チャック21aから構成されている。本実施の形態では、下側チャック21aに試験片の下側のフィルムFを把持させ、上側チャック21bに試験片の上側のフィルムFを把持させた後、クロスヘッド24を一定速度で上昇させ、その間に試験片にかかる荷重をロードセル23で計測する。なお、図16中の符号MPはフィルムFの溶着箇所を示している。
【0043】
そして、試験片作製時のホーン151aとアンビル151bとの挟持圧力に対して各試験片の剥離強度(最大ピーク値)をプロットすると、図9のような挟持圧力に対する剥離強度の変化曲線を得ることができる(<試験条件>試験片の幅:15mm,剥離速度(クロスヘッドの上昇スピード:300mm/min,最大剥離強度50N))。そして、この変化曲線における屈曲点に対応する挟持圧力を目視で読み取り、その挟持圧力を屈曲点対応挟持圧力とする。
【0044】
なお、挟持圧力が高すぎると、フィルムの溶着箇所は、図11に示されるように見た目が悪くなる。また、挟持圧力が適度であると、フィルムの溶着箇所は、図12〜図14に示されるように見た目の美しさを維持することができる。
<屈曲点対応超音波振幅の決定方法>
【0045】
上記と同様に、ホーン151aとアンビル151bとにより、ヒートシーラブル二軸延伸ポリプロピレン層L1同士が互いに対向する状態で2枚のフィルムFを超音波溶着させて試験片を作製する。ただし、ここでは、ホーン151aとアンビル151bとの挟持圧力を一定とし、超音波振幅を所定の間隔で逐次変化させて複数の試験片を作製する。
また、上記と同様にして、複数の試験片それぞれを引張試験機20にセットして各試験片の剥離強度(溶着強度)を測定する。
【0046】
そして、試験片作製時の超音波発生器15c,52aの超音波振幅に対して各試験片の剥離強度(最大ピーク値)をプロットすると、図10のような超音波振幅に対する剥離強度の変化曲線を得ることができる。そして、この変化曲線における屈曲点に対応する超音波振幅を目視で読み取り、その超音波振幅を屈曲点対応超音波振幅とする。
<製袋包装機の特徴>
【0047】
本発明の実施の形態に係る製袋包装機3では、起動時、制御装置40が、EEPROM44から屈曲点対応挟持圧力データ、適切挟持圧力導出用数値データ、屈曲点対応超音波振幅データおよび適切超音波振幅導出用数値データを読み出し、屈曲点対応挟持圧力データおよび適切挟持圧力導出用数値データから適切挟持圧力データを導出し、屈曲点対応超音波振幅データおよび適切超音波振幅導出用数値データから適切超音波振幅データを導出する。そして、制御装置40は、縦シール機構15の超音波発生器15cの超音波振幅および横シール機構16の超音波発生器52aの超音波振幅が適切超音波振幅となるように超音波発生器15c,52aの超音波振幅を制御し、縦シール機構15におけるホーン15aに対するアンビル15bの押し付け圧力、すなわち挟持圧力が適切挟持圧力となるように縦シール機構15のレギュレータ15dの開度を制御する。このため、この製袋包装機3では、ヒートシーラブル二軸延伸ポリプロピレン層L1同士のみが溶着される場合に比べてフィルムFの溶着強度が高くなる。
【0048】
また、適切挟持圧力導出用数値および適切超音波振幅導出用数値は、フィルムFを構成する樹脂が流れ出さない程度の値とされている。このため、袋などの溶着箇所において見た目の美しさを維持することができる。
【0049】
よって、この製袋包装機3では、フィルムFを超音波溶着して袋Bを作製する場合において、溶着箇所の見た目の美しさを維持しつつ良好な溶着強度を有する袋Bを作製することができる。
<変形例>
(A)
【0050】
先の実施の形態では20μm厚のヒートシーラブル二軸延伸ポリプロピレン層L1(シーラント層)、13μm厚の押出ポリエチレン層L2(接着層)、20μm厚のアルミ蒸着ヒートシーラブル性二軸延伸ポリプロピレン層L3(基層,金属酸化物蒸着層)の順に積層されてフィルムFが構成されていたが、0〜30μm厚の無延伸ポリプロピレン層(シーラント層)、15μm厚の押出ポリエチレン層(接着層)、12μm厚の蒸着ポリエチレンテレフタレート層(基層,金属酸化物蒸着層)、15μm厚の押出ポリエチレン層(接着層)、印刷層、20〜30μm厚の二軸延伸ポリプロピレン層(保護層)の順に積層されてフィルムが構成されていてもよい。なお、各層の厚みは特に限定されることなく任意に決定することができる。また、層を形成する樹脂としては、例えば、無延伸ポリプロピレン(CPP,融点:165℃)や、延伸ポリプロピレン(OPP,融点:165℃)、低密度ポリエチレン(LDPE,融点:100〜110℃)、高密度ポリエチレン(HDPE,融点:120〜130℃)、ポリエチレンテレフタレート(PET,融点:263℃)、ナイロン(融点:220℃)、ポリビニルアルコール(PVA,融点:230℃)、ポリアセテート(融点:290℃)、ポリカーボネート(PC,融点:240℃)、ポリスチレン(PS,融点:230℃)などが挙げられる。
(B)
【0051】
先の実施の形態では屈曲点対応挟持圧力の決定方法として、「挟持圧力に対する剥離強度の変化曲線における屈曲点に対応する挟持圧力を目視で読み取りその挟持圧力を屈曲点対応挟持圧力とする方法」が採用されていたが、「コンピュータにより、挟持圧力に対する剥離強度の変化曲線の各測定点における微分値を算出し、その微分値から屈曲点を求め、その屈曲点に対応する挟持圧力を屈曲点対応挟持圧力とする方法」が採用されてもかまわない。
(C)
【0052】
先の実施の形態では屈曲点対応超音波振幅の決定方法として、「超音波振幅に対する剥離強度の変化曲線における屈曲点に対応する超音波振幅を目視で読み取りその超音波振幅を屈曲点対応超音波振幅とする方法」が採用されていたが、「コンピュータにより、超音波振幅に対する剥離強度の変化曲線の各測定点における微分値を算出し、その微分値から屈曲点を求め、その屈曲点に対応する超音波振幅を屈曲点対応超音波振幅とする方法」が採用されてもかまわない。
(D)
【0053】
先の実施の形態では屈曲点対応挟持圧力および屈曲点対応超音波振幅が製袋包装機3外で導出されたが、図17に示されるように、製袋包装機3の商品搬送方向下流側にシールチェッカ9が配置されている場合、屈曲点対応挟持圧力および屈曲点対応超音波振幅が製袋包装機3およびシールチェッカ9により自動的に導出されてもかまわない。かかる場合、通常運転モードとは別に情報導出モードを設け、ユーザがタッチパネル式ディスプレイ8や操作スイッチ類7により通常運転モードと情報導出モードとを切り換えられる仕様にするか、起動時に情報導出モードが自動実行され、情報導出モードが完了した後に通常運転モードに自動切換される仕様にするのが好ましい。なお、情報導出モードは、通常運転モード実行中に実行されてもかまわない。
【0054】
なお、シールチェッカ9は、袋のシール不良を検査する装置であって、図17に示されるように、主に、袋Bを搬送する搬送ベルト95、袋Bを上から押さえる押え具92、押え具92を平行運動させる平行運動機構93、押え具92と平行運動機構93とを移動自在に接合するリンク94、リンク94の下端の回転中心に設けられる回転角検出器(例えば、ロータリーエンコーダ等)(図示せず)およびシールチェッカ制御部(図示せず)から構成されている。搬送ベルト95は、駆動モータ(図示せず)により回転駆動される回転駆動ロータ(図示せず)により駆動される。押え具92は、リンク94を介して平行運動機構93に、所定の角度の範囲内において回転自在に取り付けられており、下部に包装商品Bが進入してくると、若干斜め上方に移動し、その後、押え具42の自重によって、包装商品Bの袋を押さえ付ける。シールチェッカ制御部は、駆動モータ、平行運動機構93および回転角検出器に接続されており、回転角検出器から送信されるリンク94の回転角を基準回転角と比較し、回転角が基準回転角よりも小さい場合にシール不良信号を制御装置40に送信し、回転角が基準回転角以上である場合にシール良好信号を制御装置40に送信する。
なお、情報導出モードにおいて、袋包装機3およびシールチェッカ9による屈曲点対応挟持圧力および屈曲点対応超音波振幅の導出は以下の通りに行われる。
【0055】
制御装置40は、先ず、縦シール機構15においてホーン15aとアンビル15bとの挟持圧力を固定し超音波の振幅を所定の間隔で変化させながら縦シール機構15および横シール機構16によりフィルムFを超音波溶着させて複数の袋Bを作製する。そして、制御装置40は、シールチェッカ9に対して袋Bのシールチェックを実行させ、シールチェッカ9からシール良好信号が3度連続で送信されてきた場合、その最初のシール良好信号の直前に送信されたシール不良信号に対応する超音波の振幅を屈曲点対応超音波振幅としてEEPROM44に記憶させる。なお、かかる場合、押え具92の押え圧は、先の実施の形態で示される屈曲点近傍ではじめてシール性が良好となる程度に設定される。また、かかる場合、押え具92の移動量を利用して屈曲点を求めてもかまわない。つまり、押え具92の移動量が一定閾値以下になったときの超音波の振幅を屈曲点対応超音波振幅としてEEPROM44に記憶させてもよい。
【0056】
また、次に、制御装置40は、超音波発生器15c,52aの超音波振幅を固定し縦シール機構15においてホーン15aとアンビル15bとの挟持圧力を所定の間隔で変化させながら縦シール機構15および横シール機構16によりフィルムFを超音波溶着させて複数の袋Bを作製する。そして、制御装置40は、シールチェッカ9に対して袋Bのシールチェックを実行させ、シールチェッカ9からシール良好信号が3度連続で送信されてきた場合、その最初のシール良好信号の直前に送信されたシール不良信号に対応する挟持圧力を屈曲点対応挟持圧力としてEEPROM44に記憶させる。なお、かかる場合、押え具92の押え圧は、先の実施の形態で示される屈曲点近傍ではじめてシール性が良好となる程度に設定される。また、かかる場合、押え具92の移動量を利用して屈曲点を求めてもかまわない。つまり、押え具92の移動量が一定閾値以下になったときの挟持圧力を屈曲点対応挟持圧力としてEEPROM44に記憶させてもよい。
【0057】
なお、本変形例では「屈曲点対応挟持圧力データ」とは、ホーンとアンビルとの挟持圧力の変化に対する多層フィルムのシール性の良否の変化曲線における屈曲点に対応する挟持圧力のデータである。また、本変形例では「屈曲点対応超音波振幅データ」とは、超音波の振幅の変化に対する多層フィルムのシール性の良否の変化曲線における屈曲点に対応する超音波の振幅のデータである。
また、他の態様としては以下のようなことが考えられる。
【0058】
制御装置40が、シールチェッカ9に対して袋Bのシールチェックを実行させ、シールチェッカ9からシール良好信号が3度連続で送信されてきた場合、その最初のシール良好信号に対応する挟持圧力、または、その最初のシール良好信号に対応する挟持圧力とその直前のシール不良信号に対応する挟持圧力との中間値などを適切挟持圧力としてEEPROM44に記憶させ、その適切挟持圧力の数値データに基づいてレギュレータの開度を制御する。
【0059】
また、超音波振幅制御については、制御装置40が、シールチェッカ9に対して袋Bのシールチェックを実行させ、シールチェッカ9からシール良好信号が3度連続で送信されてきた場合、その最初のシール良好信号に対応する超音波振幅、または、その最初のシール良好信号に対応する超音波振幅とその直前のシール不良信号に対応する超音波振幅との中間値などを適切超音波振幅としてEEPROM44に記憶させ、その適切超音波振幅の数値データに基づいて超音波発生器15c,52aの超音波振幅を制御する。
なお、かかる場合、適切挟持圧力や適切超音波振幅の算出は不要となる。
(E)
【0060】
先の実施の形態に係る製袋包装機2では、起動時、制御装置40がEEPROM44から屈曲点対応挟持圧力データ、適切挟持圧力導出用数値データ、屈曲点対応超音波振幅データおよび適切超音波振幅導出用数値データを読み出し、屈曲点対応挟持圧力データおよび適切挟持圧力導出用数値データから適切挟持圧力データを導出し、屈曲点対応超音波振幅データおよび適切超音波振幅導出用数値データから適切超音波振幅データを導出したが、制御装置40がEEPROM44から屈曲点対応挟持圧力データ、適切挟持圧力の下限値導出用数値データ、適切挟持圧力の上限値導出用数値データ、屈曲点対応超音波振幅データ、適切超音波振幅の下限値導出用数値データおよび適切超音波振幅の上限値導出用数値データを読み出し、屈曲点対応挟持圧力データ、適切挟持圧力の下限値導出用数値データおよび適切挟持圧力の上限値導出用数値データから適切挟持圧力の下限値データおよび上限値データを導出し、屈曲点対応超音波振幅データ、適切超音波振幅の下限値導出用数値データおよび適切超音波振幅の上限値導出用数値データから適切超音波振幅の下限値データおよび上限値データを導出してもかまわない。なお、具体的には、適切挟持圧力の下限値は屈曲点対応挟持圧力に適切挟持圧力の下限値導出用数値を加えて算出し、適切挟持圧力の上限値は屈曲点対応挟持圧力に適切挟持圧力の上限値導出用数値を加えて算出し、適切超音波振幅の下限値は屈曲点対応超音波振幅に適切超音波振幅の下限値導出用数値を加えて算出し、適切超音波振幅の上限値は屈曲点対応超音波振幅に適切超音波振幅の上限値導出用数値を加えて算出する。また、ここで、適切挟持圧力の下限値および上限値はいずれも屈曲点対応挟持圧力よりも高く、適切超音波振幅の下限値および上限値はいずれも屈曲点対応超音波振幅よりも高い。また、適切挟持圧力の下限値導出用数値、適切挟持圧力の上限値導出用数値、適切超音波振幅の下限値導出用数値および適切超音波振幅の上限値導出用数値は、フィルムFを構成する樹脂が流れ出さない程度の値とされる。
【0061】
なお、かかる場合、実際の挟持圧力が適切挟持圧力の下限値以上、上限値以下となるように縦シール機構15のレギュレータ15dの開度が制御され、実際の超音波振幅が適切超音波振幅の下限値以上、上限値以下となるように縦シール機構15の超音波発生器15cおよび横シール機構16の超音波発生器52aが制御される。
(F)
【0062】
先の実施の形態に係る製袋包装機2では、縦シール機構15におけるホーン15aに対するアンビル15bの押し付け圧力が適切挟持圧力となるように縦シール機構15のレギュレータ15dの開度が制御されたが、横シール機構16においてホーン51aに対するアンビル51bの押し付け圧力が制御可能である場合、横シール機構16におけるホーン51aに対するアンビル51bの押し付け圧力も適切挟持圧力となるように横シール機構16の圧力調整部が制御されてもかまわない。
(G)
【0063】
先の実施の形態では特に言及しなかったが、適切挟持圧力導出用数値は、試験片作成時の挟持圧力の変化間隔とされてもよいし、試験片作成時の挟持圧力の変化間隔の半分の値とされてもよい。また、適切超音波振幅導出用数値は、試験片作成時の超音波振幅の変化間隔とされてもよいし、試験片作成時の挟持圧力の変化間隔の半分の値とされてもよい。
(H)
【0064】
先の実施の形態では特に言及しなかったが、屈曲点と認定されたプロットの直後のプロット(図9において向かって右側のプロット)に対応する挟持圧力を適切挟持圧力としてもよいし、屈曲点と認定されたプロットとその直後のプロットとの中間点に対応する挟持圧力を適切挟持圧力としてもよい。
【0065】
また、屈曲点と認定されたプロットの直後のプロット(図10において向かって右側のプロット)に対応する超音波振幅を適切超音波振幅としてもよいし、屈曲点と認定されたプロットとその直後のプロットとの中間点に対応する超音波振幅を適切超音波振幅としてもよい。
【0066】
なお、かかる場合、EEPROM44に適切挟持圧力や適切超音波振幅の数値データが記憶されていればよく、適切挟持圧力や適切超音波振幅の算出は不要となる。そして、制御装置40は、その適切挟持圧力や適切超音波振幅の数値データに基づいて超音波発生器15c,52aの超音波振幅や、レギュレータの開度を制御することになる。
【符号の説明】
【0067】
2 計量機
3 製袋包装機(包装機)
5 製袋包装ユニット
6 フィルム供給ユニット
7 操作スイッチ類
8 タッチパネル式ディスプレイ
9 シールチェッカ(溶着強度測定部)
13 成形基材
13a チューブ
13b フォーマ
14 プルダウンベルト機構
14a 駆動ローラ
14b 従動ローラ
14c 環状ベルト
15 縦シール機構(超音波溶着機構)
15a ホーン
15b アンビル
16 横シール機構(超音波溶着機構)
16A 第1横シール部
16B 第2横シール部
16b 連結部
16c 軸
40 制御装置(制御部)
41 CPU(適切制御値算出部)
42 ROM
43 RAM
44 EEPROM(情報記憶部)
51a ホーン
51b アンビル
B 袋
F フィルム(多層フィルム)
F2 重なり部分
Fm 筒状フィルム
P 被包装物
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明に係る包装機は、多層フィルムを超音波溶着して袋を作製する場合において溶着箇所の見た目の美しさを維持しつつ良好な溶着強度を有する袋を作製することができるという特徴を有し、例えば、多層フィルムがよく用いられる食品包装用の包装機として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層フィルムを用いて商品を包装する包装機であって、
ホーンと、前記ホーンに対向するように設けられるアンビルとを有し、前記ホーンと前記アンビルとにより同一表面層同士が接触するように前記多層フィルムを挟持した状態で前記多層フィルムを超音波溶着して袋を作製する超音波溶着機構と、
(a)前記ホーンと前記アンビルとの挟持圧力の変化に対する前記多層フィルムの溶着強度または溶着状態値の変化曲線における屈曲点に対応する前記挟持圧力(以下「屈曲点対応挟持圧力」という)の情報および(b)前記超音波の振幅の変化に対する前記多層フィルムの溶着強度または溶着状態値の変化曲線における屈曲点に対応する前記超音波の振幅(以下「屈曲点対応超音波振幅」という)の情報の少なくとも一方の情報を記憶する情報記憶部と、
(c)前記屈曲点対応挟持圧力を利用した適切挟持圧力の算出および(d)前記屈曲点対応超音波振幅を利用した適切超音波振幅の算出の少なくとも一方を行う適切制御値算出部と、
(e)前記適切挟持圧力に基づく前記ホーンと前記アンビルとの前記挟持圧力の制御および(f)前記適切超音波振幅に基づく前記超音波の振幅の制御の少なくとも一方の制御を行う制御部と
を備える包装機。
【請求項2】
前記制御部は、通常運転モードと、前記屈曲点対応挟持圧力の情報および前記屈曲点対応超音波振幅の情報の少なくとも一方の情報を導出し前記情報を前記情報記憶部に記憶させる情報導出モードとを切換可能である
請求項1に記載の包装機。
【請求項3】
前記制御部は、前記情報導出モードを実行した後に自動的に前記通常運転モードを実行する
請求項2に記載の包装機。
【請求項4】
前記制御部は、通常運転モード実行中に、前記屈曲点対応挟持圧力の情報および前記屈曲点対応超音波振幅の情報の少なくとも一方の情報を導出し前記情報を前記情報記憶部に記憶させる情報導出モードを実行する
請求項1に記載の包装機。
【請求項5】
前記袋における前記多層フィルムの溶着強度または溶着状態値を求める溶着強度等導出部をさらに備え、
前記制御部は、前記情報導出モードにおいて、前記ホーンと前記アンビルとの挟持圧力または前記超音波の振幅を変化させながら前記超音波溶着機構により前記多層フィルムを超音波溶着させて複数の前記袋を作製させ、前記溶着強度等導出部に対して前記多層フィルムの溶着強度または溶着状態値を求めさせ、前記ホーンと前記アンビルとの挟持圧力または前記超音波の振幅に対する前記多層フィルムの溶着強度または溶着状態値の関係から前記屈曲点対応挟持圧力の情報または屈曲点対応超音波振幅の情報を導出する
請求項2から4のいずれかに記載の包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−31907(P2011−31907A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177994(P2009−177994)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】