説明

包装袋、該包装袋の製造方法および製袋充填包装機

【課題】フィルムに穴を開けることなく、フィルムが内側に折り込まれた部分での熱融着を安定した包装袋を提供する。
【解決手段】スタンディングパウチ100は、基材層111と熱融着層112とを積層したフィルム110を用い、熱融着層112を内側として外周が熱融着されて形成される。スタンディングパウチ100の底部は、フィルム110が内側に折り込まれて構成され、この部分を広げることでスタンディングパウチ100は自立できる。スタンディングパウチ100の底部の幅方向両側部において、フィルム110が内側に折り込まれることで基材層111同士が対向した折り込み部113で、熱融着層112を残して基材層111が除去されており、この部位でフィルム110が熱融着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくはスタンディングパウチである包装袋に関し、特に、少なくとも基材層と熱融着層とを積層したフィルムを用いて製造された包装袋に関する。さらに本発明は、このような包装袋を製造する方法、およびこのような包装袋の製造に適した製袋充填包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
スタンディングパウチは、自立でき店頭での陳列効果に優れており、かつ包装箱に比べて嵩張らないことから、液体やペーストなど流動性を有する内容物を封入する包装袋として広く用いられている。内容物をスタンディングパウチ内に封入した包装体の製造方法としては種々の方法があり、それらの中でもスタンディングパウチを効率よく製造できる方法の一つとして、特許文献1に開示されたような、ロールに巻かれた長尺のフィルムからスタンディングパウチを形成しつつ、その中に内容物を充填していくことを連続的に行う方法がある。
【0003】
特許文献1に開示されたスタンディングパウチでは、底部を広げて自立させることができるように、底部となる部分でフィルムを内側に折り込み、その状態で、スタンディングパウチの両側部となる部分を、内側に折り込んだフィルムの部分も含めて熱融着することによって、スタンディングパウチの高さ方向全体にわたる横シール部が形成されている。その結果、横シール部では、その一部でフィルムが4重になっている。
【0004】
フィルムの熱融着を利用したスタンディングパウチの製造には、基材層と熱融着層とを積層したフィルムが一般に用いられ、スタンディングパウチは基材層を外側にして製造される。フィルムの熱融着は、熱融着層同士を対向させてヒートシール機でフィルムを基材層側から加圧および加熱し、熱融着層のみを溶融させて行う。よって、横シール部のフィルムが4重になった部分では、内側の2枚分のフィルムは基材層同士が対向しているため熱融着されない。その結果、スタンディングパウチの底部の横シール部でフィルムが開いてしまい、スタンディングパウチの自立性が不安定になってしまう。
【0005】
そこで、従来のスタンディングパウチでは、図14に示すように、横シール部のフィルムが4重になる部分のうち内側に折り込まれるフィルムの部分に2つの穴115が開けられる。2つの穴115は、フィルムが折り込まれた状態で互いに重なる位置に開けられる。穴115が開けられた位置では、フィルムは重なった2つの穴を介して熱融着層同112士が対向し、この位置でフィルムの熱融着が可能となる。フィルムに穴を開けることにより、横シール部のフィルムが内側に折り込まれた部分でも、穴が開けられた位置でフィルムが熱融着されるので、スタンディングパウチの底部の横シール部でフィルムが開くことはなく、スタンディングパウチを安定して自立させることができる。
【特許文献1】特開2000−062707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来のスタンディングパウチでは、フィルムに穴を開けることにより、以下に述べるような問題点があった。
【0007】
フィルムの穴は、通常、パンチによってフィルムを打ち抜くことで形成される。そのため、フィルムが内側に折り込まれた部分はフィルム4枚分の厚みを有するが、穴が形成された位置ではフィルム2枚分の厚みしかない。よって、横シール部を形成する際に、ヒートシール機は、フィルム4枚分の厚みを有する領域の中にフィルム2枚分の厚みを有する領域が存在する部分を加圧することになる。そのため、穴が形成された位置ではフィルムの加圧力が小さくなり、場合によっては図15に示すように、穴の内周部に隙間116が生じるなど、熱融着が安定せずシール不良の原因となっていた。
【0008】
また、特許文献1に開示されたように、ロールに巻かれた長尺のフィルムからスタンディングパウチを形成しながら内容物を充填する場合は、フィルムへの穴の形成も、フィルムを繰り出しながら、スタンディングパウチの形成から内容物の充填までの一連の工程の中で行うのが一般的である。そのため、打ち抜かれたフィルム片を確実に除去しないと、フィルム片がスタンディングパウチの中に混入するおそれがある。フィルム片を除去するには、フィルム片を真空吸引によって除去する吸引機などのフィルム片除去装置が必要となり、結果的に、スタンディングパウチの製造装置全体の構成が複雑になる。さらに、フィルムの打ち抜きに用いられるパンチは、フィルムの打ち抜きを繰り返すにつれて摩耗し、フィルムの打ち抜き不良を招く。そのため、打ち抜き不良が発生しないように、パンチの定期的な交換等のメンテナンスが必要であり、そのメンテナンス作業が繁雑であった。
【0009】
そこで本発明は、フィルムに穴を開けることなく、フィルムが内側に折り込まれた部分での熱融着を安定して行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため本発明の包装袋は、熱融着層と少なくとも1層の基材層とが積層されたフィルムを用い、前記熱融着層が内側となるように作られた包装袋であって、
前記フィルムが部分的に前記熱融着層側に折り込まれることによって形成された少なくとも1つの折り込み部と、
内部を密閉するために、前記フィルムの向き合った前記熱融着層同士を、前記折り込み部の一部を含む所定の部位で熱融着することによって形成された熱シール部と、
前記折り込み部の互いに対向したフィルムの部分が部分的に熱融着されることによって形成された補助融着部と、
を有し、
前記補助融着部は、前記折り込み部の互いに対向する位置で前記フィルムに予め形成された、前記熱融着層を残して前記基材層が除去された前記フィルムの部分同士を熱融着することによって形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の包装袋は特にスタンディングパウチに適しており、その場合、折り込み部は、フィルムがスタンディングパウチの幅方向全体にわたって内側に折り込まれ、広げることでスタンディングパウチの自立を可能とする底部を構成し、補助融着部はスタンディングパウチの幅方向両側部に形成されていることが好ましい。さらにこの場合、熱シール部は、スタンディングパウチの上縁に形成された天シール部と、スタンディングパウチの両側縁に形成された横シール部とを有し、補助融着部は、横シール部の領域内に形成されていることがより好ましい。
【0012】
本発明のスタンディングパウチの製造方法は、熱融着層と少なくとも1層の基材層が積層された長尺のフィルムを用意する工程と、
前記熱融着層が内側となるように前記フィルムの幅方向両端部を向かい合わせ、向き合った前記フィルムの幅方向両端部を前記フィルムの長手方向に沿って熱融着して前記フィルムを筒状とする工程と、
前記フィルムの一部を前記フィルムの長手方向に沿って前記熱融着層側へ折り込み、前記フィルムに少なくとも1つの折り込み部を形成する工程と、
筒状とされた前記フィルムの内部に内容物を投入する工程と、
内容物が投入された前記フィルムをその全幅にわたって熱融着することによって前記内容物を密封する工程と、
前記折り込み部を形成する工程の前に、前記折り込み部を形成する工程で折り込まれ、かつ内容物を密封する工程で熱融着されるフィルムの部分の、互いに対向する位置に、前記熱融着層を残して前記基材層が除去された基材層除去部を形成する工程と、
前記折り込み部を形成する工程の後に、前記基材層除去部が形成された位置で前記フィルムを熱融着し、補助融着部を形成する工程と、を有する。
【0013】
本発明の包装袋の製造方法において、包装袋がスタンディングパウチである場合は、フィルムを筒状とする工程は、フィルムの幅方向両端部を前記フィルムの長手方向に熱融着することによってスタンディングパウチの天シール部を形成することを含み、内容物を密封する工程は、フィルムを全幅にわたって熱融着するとともに、熱融着された部位で前記フィルムを切断して、スタンディングパウチの横シール部を形成することを含むことができる。
【0014】
また、本発明の包装袋の製造方法において、基材層除去部を形成する工程は、レーザー光を局所的に照射することによって、基材層を溶融除去することを含んでいることが好ましい。さらに、補助融着部を形成する工程は、内容物を密封する工程におけるフィルムを全幅にわたる熱融着と共通の工程であってもよい。
【0015】
本発明の製袋充填包装機は、熱融着層と少なくとも1層の基材層が積層された長尺のフィルムを下方に送りつつ、熱融着によって袋状に形成して内容物を充填する製袋充填包装機であって、
内容物を投入するために鉛直方向に配設された投入パイプと、
前記フィルムを、前記熱融着層を内側として前記投入パイプの外周を包囲させた状態で、前記フィルムの長手方向に沿って内側に折り込み、前記フィルムに折り込み部を形成する少なくとも1つのフィルム折り込み機構と、
前記投入パイプの外周を包囲したフィルムの開放端部をフィルムの長手方向に沿って熱融着する第1シール機構と、
前記投入パイプの下方に配置され、前記第1シール機構で熱融着されたフィルムをその全幅にわたって熱融着する第2シール機構と、
前記フィルム折り込み機構よりも前記フィルムの送り方向上流側に配置され、前記フィルム折り込み機構により折り込まれ、かつ前記第2シール機構により熱融着されるフィルムの部分の、互いに対向する位置に、前記熱融着層を残して前記基材層が除去された基材層除去部を形成する基材層除去装置と、
を有する。
【0016】
本発明の製袋充填包装機において、フィルム折り込み機構は、フィルムの幅方向中央部に1つの折り込み部を形成するように、投入パイプを間において第1シール機構と反対側に配置された押し込み板を有していてもよく、これにより、スタンディングパウチの製造に適した構成となる。また、本発明の製袋充填包装機において、基材層除去装置は、レーザー光の照射により前記基材層を溶融除去するレーザーマーカーであることが好ましい。
【0017】
なお、本発明において、「幅方向」は、包装袋の幅方向およびフィルムの幅方向の、2つの場合で用いられる。包装袋の幅方向は、包装袋を例えば店頭で陳列する状態のような通常の姿勢(スタンディングパウチにおいては自立させた姿勢)で正面から見たときの幅方向、すなわち正面から見て左右方向を意味する。一方、フィルムの幅方向は、包装袋の製造時におけるフィルムの長手方向(フィルムの送り方向)に垂直な方向を意味しており、包装袋の形態によっては、包装袋の幅方向とフィルムの幅方向が一致する場合もあるし、異なる場合もある。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、折り込み部を有する包装袋において、折り込み部の互いに対向したフィルムの部分が部分的に熱融着されることによって形成される補助融着部を、熱融着層を残して基材層を除去した部分でのフィルムの熱融着により形成するようにしたことで、折り込み部でのフィルムの熱融着を安定して行うことができる。
【0019】
また、基材層の除去を、レーザー光の照射により基材層を溶融させて行うことで、基材層の除去によるゴミは発生せず、そのゴミが異物として包装袋の内部に混入することはない。よって、基材層の除去によって生じたゴミを取り除くための付属的な装置も不要であり、装置構成が簡単になる。さらに、打ち抜きによってフィルムの一部を除去する場合と比較して装置のメンテナンスが容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0021】
図1および図1Aを参照すると、フィルムを熱融着するすることによって形成された、前面100a、背面100bおよび底面100cを有する、本発明の一実施形態によるスタンディングパウチ100が示されている。スタンディングパウチ100は、その外周に沿って形成された熱シール部、すなわち、スタンディングパウチ100の上縁に形成された天シール部101、両側縁に形成された横シール部102および底縁に形成された底シール部103により内部が密閉されている。底シール部103は、スタンディングパウチ100の幅方向全体にわたってフィルムを内側に折り込むことによって、その折り込まれた部分の両側でフィルムの重なった部分がそれぞれ熱融着されて形成されている。スタンディングパウチ100は、その内側に折り込まれた底部を広げることによって自立できるように構成されている。
【0022】
なお、底シール部103は、スタンディングパウチ100を自立させ易くするためのリブとして機能する部分であり、用いるフィルムの剛性や内容物の種類によっては、必要としない場合もある。
【0023】
フィルムが内側に折り込まれたスタンディングパウチ100の底部において、スタンディングパウチ100の幅方向両側部に位置する横シール部102の領域内には補助融着部104が形成されている。
【0024】
スタンディングパウチ100の製造には、図2に示すように、熱融着によって溶融しない樹脂からなる基材層111と、熱融着によって溶融する樹脂からなる熱融着層112とを積層したフィルム110が用いられる。スタンディングパウチ100は、熱融着層112を内側にしてフィルム110を折り合わせ、向き合った熱融着層112同士を適宜箇所で熱融着し、天シール部101、横シール部102、底シール部103を形成することで製造することができる。
【0025】
フィルム110としては、上記のように基材層111と熱融着層112とを有してれば、スタンディングパウチ100の製造に一般に使用される任意のフィルムを用いることができる。基材層111を構成する樹脂として具体的には、例えば、ナイロン、ポリプロピレン、ポリアミド、およびポリエステルなどが挙げられる。熱融着層112を構成する樹脂として具体的には、例えば、ポリエチレン系樹脂およびポリプロピレン系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂のうち好ましい組み合わせは、熱融着層112がポリエチレンからなり基材層111がナイロンからなるフィルムである。
【0026】
フィルム110の積層数は2層に限られず、スタンディングパウチ100としたときに最内層が熱融着層112となる構成であれば、ガスバリア性、機械的強度、あるいは遮光性などを付与する目的で、スタンディングパウチ100に要求される機能に応じて基材層111を複数の層で構成することができる。この場合、基材層111に付加される層は、樹脂に限らずアルミニウム箔等の金属箔とすることもできる。フィルム110を3層構造とした場合の好ましい具体例は、熱融着層111側から、ポリエチレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)の順に積層されたフィルムである。
【0027】
また、スタンディングパウチ100は、前面100aから底面100cを経由して背面100bまで連続した1枚のフィルム110で構成されていてもよいし。前面100a、背面100bおよび底面100cがそれぞれ別のフィルム100で構成され、熱融着により組み合わせられていてもよい。
【0028】
フィルム110として積層フィルムを用いているので、図2に示すようにフィルム110が内側に折り込まれて4重となったスタンディングパウチ100の底部において、フィルム110が内側に折り込まれた折り込み部113で基材層111同士が対向しており、その領域は熱融着することができない。そこで本実施形態では、折り込み部113のうち横シール部102(図1参照)が形成される領域の基材層111同士が対向するフィルム110の部分に、基材層除去部111aが形成されている。基材層除去部111aは、フィルム110の基材層111側から熱融着層112が露出するように、熱融着層112を残して基材層111が除去された部分であり、折り込み部113の互いに対向する位置に形成されている。
【0029】
基材層除去部111aが形成されていることで、基材層除去部111aが形成された領域では熱融着層112同士が対向し、横シール部102の形成によって、折り込み部113では基材層除去部111aが形成された領域が熱融着される。この熱融着された領域が、図1に示す補助融着部104である。
【0030】
補助融着部104では、フィルム110が4重になっている部分のうち除去されているのは、2層分の基材層111のみである。よって、折り込み部113での、基材層除去部111aが形成された領域とそれ以外の領域での厚みの差が、従来のように打ち抜きによってフィルム110に穴を形成した場合と比較して小さくなるので、横シール部102の形成に際してより均等にフィルム110を加圧および加熱することができる。また、図3に示すように、補助融着部104において十分な量の熱融着層112を確保できる。
【0031】
したがって、スタンディングパウチ100の横シール部102においてフィルム110が内側に折り込まれて4重とされた底部でのフィルム100の熱融着を安定して行うことができる。その結果、スタンディングパウチ100の底部でのフィルム100の剥離のない良好な横シール部102を形成することができ、スタンディングパウチ100は安定して自立することができる。
【0032】
特に、補助融着部104を横シール部102の領域内に形成することで、補助融着部104の間隔がより大きくなるためスタンディングパウチ100を自立させる際に底面100cをより大きく広げることができ、より安定した自立が可能となる。さらに、詳しくは後述するが、スタンディングパウチ100の製造に際して、横シール部102を形成するためのシール機構により横シール部102および補助融着部104を同時に形成できるので、補助融着部104を形成するための個別の工程やシール装置は不要である。
【0033】
基材層除去部111aは、熱融着層112を残して基材層111を除去することができれば任意の手段で形成することができるが、最も好ましいのはレーザーマーカーにより除去することである。レーザーマーカーは、特定の波長のレーザー光を加工対象物に照射すると、レーザー光の照射部分が局所的に加熱され、溶融、蒸発等の熱的な変化が生じることを利用して、加工対象物の表面を局所的に加工するのに用いられる。また、加工深さは、レーザー光の出力や照射時間を調整することにより任意に変更することができる。
【0034】
よって、レーザーマーカーを利用すれば、簡単に熱融着層112を残して基材層111を除去することができる。しかも、基材層111は溶融することによって除去されるので、除去した基材層111の部分が異物としてフィルム110から分離することはない。したがって、スタンディングパウチ100の製造工程において、基材層除去部111aを形成することに伴って、基材層111を除去する工程の他に、異物を除去する工程など付加的な工程は不要である。
【0035】
基材層除去部111a(袋とされた後は補助融着部104)のサイズおよび形状は、折り込み部113での必要な熱融着強度を確保できれば、スタンディングパウチ100のサイズおよび形状等に応じて任意のサイズおよび形状とすることができる。好ましくは、補助融着部104は、基材層除去部111aを形成するうえでの容易性の観点から矩形状とされる。補助融着部104を矩形状とした場合、補助融着部104の寸法は、折り込み部113での折り込み深さ方向での長さが3mm以上、それと直角な方向での長さが2mm以上であることが好ましい。補助融着部104の寸法がこれより小さいと、必要な熱融着強度が得られないおそれがある。補助融着部104の折り込み深さ方向での長さの上限は、当然のことながら、折り込み部113の折り込み深さ以下である。また、補助融着部104の折り込み深さ方向と直角な方向での長さの上限は横シール部102のシール幅以下であることが好ましい。もちろん、補助融着部104の折り込み深さ方向と直角な方向での長さを横シール部102のシール幅より大きくすることもできるが、その場合は、補助融着部104を、横シール部102を形成するためのシール機構とは別のシール機構を用いて形成する必要がある。補助融着部104のサイズおよび形状が如何なるものであっても、基材層除去部111aの形成にレーザーマーカーを利用することで、基材層除去部111aのサイズおよび形状を容易に変更することができ、結果的に、任意のサイズおよび形状で補助融着部104を形成できる。
【0036】
次に、上述したスタンディングパウチ100の製造に好適に用いることのできる製袋充填包装機の一例について説明する。
【0037】
図4および図5を参照すると、図1に示したスタンディングパウチ100の製造に好ましく用いることのできる製袋充填包装機の一例の側面図および正面図が示されている。なお、図4および図5では、スタンディングパウチ100の製造に関わる主要な機構のみを示しており、それらを支持するフレーム等は省略している。
【0038】
この製袋充填包装機は、長尺のフィルム110を下方に送りつつ袋状に形成しながら、内容物を充填することによって、内容物が封入されたスタンディングパウチ100を製造する。まず、この製袋充填包装機の全体の構成について概略説明する。
【0039】
製袋充填包装機は、内容物を投入するための投入パイプ11を有する。投入パイプ11は、鉛直方向に延びて配置され、その下端が内容物の出口となっている。内容物としては、液体、ペースト、粉末、固形物など、任意のものを適用できる。
【0040】
投入パイプ11の上部には、フィルム折り込み機構20が配置されている。フィルム折り込み機構20は、フィルム供給ローラ(不図示)からガイドローラ12を経由して供給される長尺のフィルム110を、熱融着層112(図2参照)を内側に向けて、投入パイプ11の外周を包囲させた状態で、フィルム110の幅方向中央部でフィルム110の長手方向に沿って内側へ折り込み、スタンディングパウチ100の底面100c(図1A参照)となる部分を形成するための機構である。
【0041】
フィルム折り込み機構20の上方には、フィルム110に基材層除去部111a(図2参照)を形成するためのレーザーマーカー50が配置されている。
【0042】
フィルム折り込み機構20の下方には、フィルム折り込み機構20を通過して、投入パイプ11の外周を包囲するように所定の形状に折り込まれたフィルム110をその長手方向に沿って熱融着するための底シール機構30および天シール機構40が配置される。底シール機構30および天シール機構40は、投入パイプ11を間において互いに対向する位置に配置されている。底シール機構30は、折り込み機構20によって折り込まれたフィルム110の部分をフィルム110の長手方向に沿って熱融着することによってスタンディングパウチ100の底シール部103(図1参照)を形成する。天シール部40は、折り込み機構20を通過して投入パイプ11を包囲したフィルムの開放端部をフィルム110の長手方向に沿って熱融着することによってスタンディングパウチ100の天シール部101(図1参照)を形成する。
【0043】
底シール機構30および天シール機構40の下方には、フィルム110の両側部を挟みながら回転し、フィルム110を下方へ送る2対の送りローラ13が設けられている。さらにその下方には、フィルム110を間において対向配置された1対のシゴキローラ14が、送りローラ13の回転に同期して、回転自在、かつ図5の矢印Aに示すように互いに対向移動して開閉自在に設けられている。シゴキローラ14は、フィルム110をその全幅にわたって挟み込むのに十分な長さを有しており、内容物が充填されている位置でシゴキローラ14を閉じてフィルム110を押し潰すことで、フィルム110内の内容物を分割する。そのため、シゴキローラ14は、投入パイプ11の出口よりも下方に配置されている。また、シゴキローラ14は、互いに閉じてフィルム110を挟み込んだ状態で回転することによって、それより下方への内容物の移動を遮断しながらフィルム110を下方へ送ることもできる。
【0044】
シゴキローラ14は、内容物が液状またはペースト状であるときに、内部に空気を混入させずにスタンディングパウチ100を製造する場合に特に有効に用いられる。よって、スタンディングパウチ100の内部に空気が混入して問題ない場合や、内容物が粉体あるいは固形物である場合は、シゴキローラ14は不要である。
【0045】
シゴキローラ1の下方には、底シール機構30および天シール機構40で熱融着されたフィルム110をその幅方向全幅にわたって熱融着し、さらにその熱融着された部位でフィルム110を切断することによって、スタンディングパウチ100の横シール部102(図1参照)を形成する横シール機構60が配置されている。この横シール機構60でフィルム110を熱融着することによって、内容物が密封される。
【0046】
次に、上述したフィルム折り込み機構20、底シール機構30、天シール機構40、レーザーマーカー50および横シール機構60について詳しく説明する。
【0047】
(1)フィルム折り込み機構
図6に、フィルム折り込み機構20の斜視図を示す。
【0048】
図6に示すように、ガイドローラ12の下方に台形板21が配置されている。台形板21は、平行な2辺のうち長さの長い辺が上側に位置するように鉛直方向に対して斜めに、投入パイプ11(図4参照)の上方に配置されている。台形板21の下端近傍には、台形板21の下側の辺の長さと略等しい幅を有する長方形の幅規定板22が、台形板21の下側の辺からさらに下方に延びるように配置されている。幅規定板22の両側方には、互いの間隔が一定になるようにに平行に支持された2本のガイドアーム23が対向配置されている。
【0049】
ガイドローラ12を経由したフィルム110が送りローラ13(図1参照)の駆動により下向きに引っ張られると、フィルム110は、台形板21の上面および幅規定板22の外側を向いた面に密着して下方に送られる。このとき、台形板21の2つの斜辺を通過したフィルム110の部分は、各ガイドアーム23によって外側から押えられる。ここまでの過程で、フィルム110は、図6Aに示すように、幅規規定板22(図6参照)によって形成された面110aをフィルム110の幅方向中央部に有し、その面110aに対して直角に延びる2つの面110bが互いに平行に向き合うように折り曲げられる。互いに対向する2つの面110bはスタンディングパウチ100の前面および背面となり、面110bの間の面110aはスタンディングパウチ100の底面100c(図1A参照)となる。
【0050】
幅規定板22の下方には、幅規定板22によってフィルム110に形成された面110aをさらに内側に折り込むための、1枚の押し込み板24および2枚の押え板25が配置されている。押し込み板24は、逆三角形状の部材であり、投入パイプ11を間において天シール機構40の反対側に配置され、図6Aに示したフィルムの面110aをフィルム110の外側から押し込むように傾斜して固定されている。2つの押え板25は、フィルム110の内側からフィルム110の2つの面110bをそれぞれ支持するように配置され、フィルム110の面110aと面110bとの間の折り曲げ部が押し込み板24によって押し込まれないように規制する。これにより、押し込み板24および押え板25を通過したフィルム110は、図6Bに示すように、面110aが内側に折り込まれて折り込み部113が形成される。
【0051】
各押え板25は、押し込み板24の斜辺の傾斜角に合わせて、下方に向かうにつれて互いの間隔が狭くなるように傾いている。これにより、押え板25の下方に配置された2対のローラ26によるフィルム110の案内をスムーズに行える。
【0052】
以上のようなフィルム折り込み機構20によって、フィルム110は図6Bに示した形状に折り込まれるが、この際、フィルム110の熱融着層112(図2参照)が内側を向くように、フィルム110はフィルム折り込み機構20に供給される。
【0053】
(2)底シール機構
図7Aおよび7Bに示すように、底シール機構30は、この製袋充填包装機のフレーム10aに互いにロッド33aを対向させて固定された2つのシリンダ33と、各シリンダ33のロッド33aにそれぞれ固定された支持部材32を介して互いに加圧面を対向させて支持された2つの底シールバー31と、フレーム10aに支持されて各底シールバー31の間に配置された受け板34とを有する。
【0054】
受け板34は、上述した製袋折り込み機構20によってフィルム110に形成された折り込み部113(図6B参照)にフィルム110の外面側から進入する位置に配置される。各底シールバー31には、それぞれ電熱ヒータ等の加熱手段(不図示)が内蔵されている。これら加熱手段で各底シールバー31を加熱しつつ、各シリンダ33を同時に駆動して各底シールバー31を前進させることで、折り込み部113の両側が同時に熱融着される。
【0055】
各底シールバー31の加圧面は、図8に示すように、斜線を施した領域に、周囲よりも突出した凸部31aを有し、底シールバー31の加圧面がフィルム110に加圧される際は、実際にはこの凸部31aが加圧される。この凸部31aの形状によって、スタンディングパウチ100の底シール部103(図1参照)の形状が決定される。通常、底シール部103の形状は、スタンディングパウチ100の底面100c(図1A参照)が広げたときに船底形になるような形状とされるが、特に制限はない。また、フィルム110の送り方向における凸部31aの長さLは、この包装機の1サイクルの動作でのフィルム110の送りピッチPよりも大きくなっており、フィルム110の長手方向全域にわたってフィルム110を確実に熱融着できるように構成されている。このフィルム110の送りピッチPは、スタンディングパウチ100の幅に相当する。
【0056】
(3)天シール機構
図9Aおよび9Bに示すように、天シール機構40は、この製袋充填包装機のフレーム10bに互いにロッド43aを対向させて固定された2つのシリンダ43と、各シリンダ43のロッド43aにそれぞれ固定された支持部材42を介して互いに加圧面を対向させて指示された2つの天シールバー41とを有する。上述した製袋折り込み機構20で折り込まれたフィルム110の開放端部は、各天シールバー41の間を通過する。
【0057】
各天シールバー41には、それぞれ電熱ヒータ等の加熱手段(不図示)が内蔵されている。これら加熱手段で天シールバー41を加熱しつつ、各シリンダ43を同時に駆動して各天シールバー41を前進させることで、フィルム110の解法端部がフィルム110の長手方向に沿って熱融着され、フィルム110は筒状とされる。
【0058】
各天シールバー41の加圧面は、図10に示すように、斜線を施した領域に、周囲よりも突出した凸部41aを有し、天シールバー41の加圧面がフィルム110に加圧される際は、実際にはこの凸部41aが加圧される。この凸部41aの形状によって、スタンディングパウチ100の天シール部101の形状が決定される。また、前述した底シールバー31の凸部31aと同様、フィルム110の送り方向における凸部41aの長さは、この包装機の1サイクルの動作でのフィルム110の送りピッチよりも大きくなっており、フィルム110の長手方向全域にわたってフィルム110を確実に熱融着できるように構成されている。
【0059】
(4)レーザーマーカー
図6を参照すると、レーザーマーカー50は、フィルム110の送り方向において折り込み機構20の上流側に、レーザー光照射部をフィルム110の基材層111(図2参照)と対向させて配置されている。レーザーマーカー50は、フィルム110の送りに同期して、フィルム折り込み機構20によって形成される折り込み部113において互いに対向し、かつ、横シール機構60によって横シール部103が形成される位置、言い換えれば、横シール機構60が加圧される位置に、基材層除去部111aを形成する。
【0060】
レーザーマーカー50としては、フィルム110の所定の領域において熱融着層112を残して基材層111を溶融除去できるものであれば特に限定されない。レーザーマーカー50からのレーザー光の照射条件をフィルム110に応じて適切に設定することで、基材層111を効果的に除去することができる。例えば、レーザーマーカー50として、CO2レーザーマーカー(キーエンス社製、型番:ML−Z9510)を用い、フィルム110として、ナイロンからなる基材層111(厚さ:15μm)とポリエチレンからなる熱融着層112(厚さ:70μm)との積層フィルムを用いたときには、レーザ光の平均出力を約24Wとし、レーザ光を4000mm/秒の速度でスキャンすることにより、熱融着層112を殆ど除去することなく基材層111を除去することができる。
【0061】
(5)横シール機構
図5に示すように、横シール機構60は、フィルム110を間において対向配置され、シリンダやモータ等の駆動源(付図示)によって、フィルム110の送り動作に同期して対向移動可能に設けられている横シールバー61および横シールバー受け62を有する。横シールバー61は、電熱ヒータ等の加熱手段を内蔵している。横シールバー61および横シールバー受け62は、互いの対向面が、シゴキローラ14を通過してきたフィルム110の幅よりも大きな幅W(図4参照)を有しており、加熱手段により横シールバー61を加熱した状態で横シールバー61と横シールバー受け762とによりフィルム110を挟んで加圧および加熱することで、フィルム110を全幅にわたって熱融着することができる。
【0062】
横シールバー61および横シールバー受け62の互いの対向面には、それらの幅方向に沿って延びる溝が形成されている。横シールバー受け62の溝には、カッタ63が配置されている。カッタ63は、刃先を横シールバー61側に向けて支持され、不図示の駆動源により溝から進退移動可能に設けられている。横シールバー61の溝は、横シールバー受け62の溝から突出したカッタ63の刃先を受け入れるように構成されている。
【0063】
次に、上述した製袋充填包装機によるスタンディングパウチ100の製造工程について説明する。
【0064】
ロールに巻かれたフィルム110は、送りローラ13の駆動によって、フィルム110は一定の送りピッチで間欠的にロールから繰り出される。ロールから繰り出されたフィルム110は、レーザーマーカー50によって基材層除去部111aが形成される。基材層除去部111aが形成されたフィルム110は、次いで、折り込み機構20へ送られ、ここで、熱融着層112を内側として、図6Bに示したように、フィルム110の幅方向での断面がW字形となるように折り込まれて、折り込み部113がフィルム110の長手方向に沿って形成される。
【0065】
折り込み部113が形成されたフィルム110は下方へ送られ、底シール機構30によってフィルム110は折り込み部113の両側で熱融着されて底シール部103が形成される。一方、フィルム110の幅方向での開放端部は、天シール機構40によってフィルム110の長手方向に沿って熱融着されて天シール部101が形成され、フィルム110は筒状とされる。
【0066】
底シール部102および天シール部101が形成された後、フィルム110はさらに下方へ送られ、横シール機構60によって幅方向全体にわたって熱融着され、これによってフィルム110の下端部が密閉される。この際、横シールバー61および横シールバー受け62でフィルム110を加圧した状態でカッタ63を前進させ、熱融着した領域を、そのフィルム110の送り方向略中間位置でフィルム110の幅方向に沿って切断する。その後、横シールバー61と横シールバー受け62とを開き、切断によって切り離されたフィルム110の部分を落下させる。この工程で熱融着された部分は、スタンディングパウチ100の2つの横シール部102のうちの一方となる。
【0067】
横シール機構60によるフィルム110の熱融着動作中、シゴキローラ14は閉じられている。また、この間、内容物は投入パイプ11を通して、筒状に形成されたフィルム110の内部へ投入されている。よって、図11aに示すように、投入された内容物200は、閉じたシゴキローラ14によってその上方で保持されている。
【0068】
横シール機構60によるフィルム110の熱融着によって、スタンディングパウチ100の横シール部102が形成されるが、それと同時に、フィルム110が内側に折り込まれて4重となっている部分に形成されている基材層除去部111a(図2参照)においても、基材層除去部111aを介して露出している熱融着層112(図2参照)の部分でもフィルム110が熱融着される。これによって、フィルム110に補助融着部104(図1および図3参照)が形成される。この際、フィルム110が内側に折り込まれた部分では、基材層除去部111aが形成された領域とそれ以外の領域とのフィルム110の厚さの差が、従来のように打ち抜きによって穴を形成した場合と比較して小さい。よって、フィルム110が内側に折り込まれて4重になっている部分の加圧および加熱を安定して行うことができ、結果的に、重なっているフィルム110間での剥離が極めて生じにくい補助融着部104を形成することができる。
【0069】
なお、ここでは横シール機構60によって、横シール部102の形成と同時に補助融着部104を形成する場合について説明したが、底シール機構30によって、底シール部103の形成と同時に補助融着部104を形成することもできる。その場合は、図7Aおよび図7Bに示す底シール機構30において、一対の底シールバー31の間に配置される受け板34を除いた構成とすればよい。これにより、底シールバー31でフィルム110を挟み込むと折り込み部113は基材層111同士が直接密着するので、折り込み部113は基材層除去部111aが形成された部分で熱融着される。
【0070】
以上のようにしてフィルム110の下端部が密閉されたら、図11bに示すように、シゴキローラ14を開く。すると、シゴキローラ14の上方に保持されていた内容物200は、シゴキローラ14の間から、筒状とされたフィルム110の内部へ落下し、先の工程で形成された横シール部102上に保持される。
【0071】
その後、フィルム110を、スタンディングパウチ100の幅に相当する送りピッチPだけ送り、さらに、シゴキローラ14の位置よりも高い位置まで内容物200がフィルム110内に投入されたら、図11cに示すように、シゴキローラ14を閉じる。これにより、内容物200がシゴキローラ14で分割される。
【0072】
シゴキローラ14による内容物200の分割後、図11dに示すように、シゴキローラ14を閉じたまま送りローラ13と同期させて回転させ、フィルム110を下方に送る。これにより、シゴキローラ14より上方の内容物200がシゴキローラ14の上方で保持されつつ、シゴキローラ14の下方ではフィルム110がシゴキローラ14で押し潰された状態で送られるので、フィルム110には内容物200が充填されていない扁平部120が形成される。
【0073】
扁平部120の下端部が横シール機構60の位置まで達したら、図11eに示すように、横シール機構60を駆動して、フィルム110を扁平部120でフィルム110の幅方向全体にわたって熱融着するとともに、カッタ63により、熱融着された部位でフィルム110を切断し、横シール部102を形成する。その後、横シールバー61と横シールバー受け62とを開き、横シール機構60よりも下方の、内容物200が充填されたフィルム110の部分を落下させる。これにより、図1に示したスタンディングパウチ100が製造される。
【0074】
図11a〜11eを用いた上述の説明では、シゴキローラ14および横シール機構60の動作を中心に説明したが、フィルム110がピッチPだけ送られる度に、底シール機構30による底シール部103の形成および天シール部40による天シール部101の形成を行う。以上の一連の動作を繰り返し行うことで、スタンディングパウチ100が連続的に製造される。
【0075】
上述のように、スタンディングパウチ100の製造工程では、横シール機構60によって横シール部102が形成されるフィルム110の部分のうち、内側に折り込まれて基材層111同士が対向する部分に、基材層除去部111aを形成する。このことによって、横シール部102においてフィルム110が4重となっている部分を容易にかつ安定して熱融着することができる。その結果、横シール部102の底部でのフィルム110の剥がれを効果的に防止できる。
【0076】
しかも、基材層除去部111aの形成にレーザーマーカー50を用いているので、基材層除去部111aを極めて容易に形成することができる。また、レーザーマーカー50による基材層除去部111aの形成は、基材層111を局所的に溶融除去することによってなされるので、従来のように打ち抜きによってフィルムを部分的に除去する場合と異なり、フィルム110の部分的な除去によるゴミが発生しない。よって、除去したフィルム110の一部が異物としてスタンディングパウチ100内に混入することはなく、さらに、ゴミを除去するための付属的な装置を付加する必要もない。
【0077】
以上、本発明について代表的な実施形態を例に挙げて説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0078】
例えば、フィルム折り込み機構20、底シール機構30、天シール機構40および横シール機構60は、製造するスタンディングパウチ100のサイズや形状等に応じて、通常の包装機で用いられている種々の機構を適宜組み合わせて用いてもよい。また、包装機のタイプについて、上述した実施形態では、1枚の長尺のフィルムを下方に送りながら、フィルムの熱融着による袋状への形成、内容物の充填、および密閉を一連の動作で連続して行う製袋充填包装機を示したが、本発明は、フィルムの折り込みによって基材層同士が対向した部分を熱融着するための機構を含む装置であれば、複数のフィルムを熱融着によって組み合わせてスタンディングパウチを製造する装置、あるいはフィルムを横方向に送りながらスタンディングパウチを製造する装置など、種々の方式の装置に適用することができる。
【0079】
また、本発明によるスタンディングパウチは、フィルムの折り込みによって基材層同士が対向した部分が横シール部において互いに密着するように構成されるものであれば、そのサイズ、形状、構造等は特に制限されず、例えば図12に示すように、天シール部101にスパウト105を取り付け、開封および注出を容易にしたスタンディングパウチ100であってもよい。
【0080】
スパウト105付きのスタンディングパウチ100を製造する場合は、例えば、図4および図5に示す装置において、天シール機構40の上方に、スパウト105をフィルム110の開放端部の所定位置に供給する任意のスパウト供給機構(不図示)を配置し、そのスパウト供給機構によって、スパウト105をフィルム110の開放端部に仮固定した後、スパウト105が仮固定されたフィルム110の開放端部を熱融着するのに適した適宜の天シール機構40によってフィルム110を熱融着し、天シール部101の形成およびスパウト105の本固定を同時に行う。それ以外の工程および各機構は、前述したのと同様でよい。
【0081】
さらに、上述した形態では、本発明をスタンディングパウチ100の製造に適用した場合を例に挙げて説明した。しかし本発明は、折り込み部を有し、その折り込み部を含む所定の領域に熱シール部が形成される包装袋であれば、スタンディングパウチ100に限らず他の形態の包装袋に適用することができる。
【0082】
この種の包装袋の一例としてガゼット袋が挙げられる。図13に示すように、ガゼット袋200は、縦シール部201および上下の横シール部202によって内部が密閉されている。ガゼット袋200の幅方向両側部には、ガゼットと呼ばれる折り込み部204が形成されており、横シール部202は、折り込み部204を横断して形成されている。
【0083】
ガゼット袋200を製造するのに用いられるフィルムは、前述したのと同様、熱融着層と少なくとも1層の基材層が積層されたフィルムであり、熱融着層を内側にして、向き合った熱融着層同士を熱融着することによって縦シール部201および横シール部202が形成される。熱融着層が内側とされることにより、折り込み部204ではフィルムが熱融着層側に折り込まれており、折り込み部204は基材層同士が対向する。よって、この状態のまま横シール部202を形成した場合、図13Aに示すように、横シール部202は、折り込み部204では基材層同士が対向した部分が熱融着されず、折り込み部204が開いてしまい見栄えが悪くなる。
【0084】
そこで、図13に示すガゼット袋200では、折り込み部204は、横シール部202が形成される領域に補助融着部203を有しており、この補助融着部203によって、対向したフィルムの部分が部分的に密着している。補助融着部203は、前述したスタンディングパウチの場合と同様、折り込み部204において互いに対向する位置に、熱融着層を残して基材層を除去した基材層除去部をフィルムに予め形成しておき、この基材層除去部同士を熱融着することによって形成することができる。
【0085】
本形態のガゼット袋200は、例えば以下のようにして製造することができる。まず、長尺のフィルムを用意し、熱融着層が内側となるようにフィルムの幅方向両端部を向かい合わせ、向き合ったフィルムの幅方向両端部をフィルムの長手方向に沿って熱融着して縦シール部201を形成する。これにより、フィルムは筒状とされる。縦シール部201の形成には、ガゼット袋の製造において縦シール部201を形成するのに一般に用いられる任意のシール機構を第1シール機構として用いることができる。また、縦シール部201を良好に形成するためには、適宜のフォーマーを用いてフィルムを略円筒状にフォーミングした状態で、シール機構によるフィルムの熱融着を行うことが好ましい。
【0086】
フィルムを筒状に形成する一方で、フィルムの補助融着部203が形成される部位で熱融着層を残して基材層を除去することにより、フィルムに基材層除去部を形成する。基材層除去部の形成には、前述したのと同様、レーザーマーカーを好ましく用いることができる。
【0087】
基材層除去部の形成後、筒状とされたフィルムの外周面を、互いに対向し、かつ縦シール部201と重ならない位置でフィルムの長手方向に沿って熱融着層側へ折り込み、フィルムに2つの折り込み部204を形成する。折り込み部204の形成には、ガゼット袋の製造において一般に用いられる任意の折り込み機構を用いることができる。折り込み部204は、基材層除去部の形成後であれば、縦シール部201と同時に形成してもよいし、縦シール部201を形成する前に形成してもよい。
【0088】
一方、筒状とされたフィルムの内部には内容物が投入され、内容物が投入されたフィルムをその全幅にわたって熱融着し、横シール部202を形成することで内容物を密封する。横シール部202の形成には、ガゼット袋の製造において横シール部202の形成に一般に用いられる任意のシール機構を第2シール機構として用いることができる。この種のシール機構は、フィルムをその全幅にわたって加圧および加熱してフィルムを熱融着するように構成されている。フィルムをその全幅にわたって加圧および加熱することにより、折り込み部204に形成されている基材層除去部でも、露出した熱融着層同士が熱融着されて補助融着部203が形成され、結果的に、横シール部202と補助融着部203とが共通の工程で形成される。
【0089】
上述した一連の工程を、フィルムをその長手方向に送りながら繰り返し行うことで、ガゼット袋200を連続して製造することができる。この場合は、横シール部202においてフィルムをその幅方向に切断してガゼット袋200を個々に分離することが好ましい。ガゼット袋200を個々に分離するための切断機構は、横シール部202を形成するためのシール機構に内蔵されていてもよいし、シール機構とは別に備えられていてもよい。
【0090】
本形態によれば、以上のように補助融着部203を設けることにより、横シール部202における折り込み部204の開きを防止でき、見栄えのよいガゼット袋200を提供することができる。さらに、スタンディングパウチの場合と同様、補助融着部203でのフィルムの熱融着を安定して行うことができる。また、基材層除去部をレーザーマーカーで形成することによって、余分なゴミを発生させることなく基材層除去部を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の一実施形態によるスタンディングパウチの斜視図である。
【図1A】図1に示すスタンディングパウチの、幅方向中央部における縦断面図である。
【図2】図1に示すスタンディングパウチの、補助融着部が形成される部位での、フィルムの熱融着前の断面図である。
【図3】図1に示すスタンディングパウチの、補助融着部近傍の断面図である。
【図4】図1に示すスタンディングパウチの製造に好適に用いられる製袋充填包装機の一例の側面図である。
【図5】図4に示す製袋充填包装機の正面図である。
【図6】図4および5に示すフィルム折り込み機構の斜視図である。
【図6A】フィルム折り込み機構の幅規定板を通過したフィルムの横断面図である。
【図6B】フィルム折り込み機構を通過したフィルムの横断面図である。
【図7A】図4および5に示す底シール機構の上面図である。
【図7B】図4および5に示す底シール機構の、投入パイプ側から見た側面図である。
【図8】図7Bに示す底シールバーの加圧面の図である。
【図9A】図4および5に示す天シール機構の上面図である。
【図9B】図4および5に示す天シール機構の、投入パイプ側から見た側面図である。
【図10】図9Bに示す天シールバーの加圧面の図である。
【図11a】図4および5に示す製袋充填包装機によるスタンディングパウチの製造手順を説明する図である。
【図11b】図4および5に示す製袋充填包装機によるスタンディングパウチの製造手順を説明する図である。
【図11c】図4および5に示す製袋充填包装機によるスタンディングパウチの製造手順を説明する図である。
【図11d】図4および5に示す製袋充填包装機によるスタンディングパウチの製造手順を説明する図である。
【図11e】図4および5に示す製袋充填包装機によるスタンディングパウチの製造手順を説明する図である。
【図12】本発明を適用したスタンディングパウチの他の例の斜視図である。
【図13】本発明の他の形態によるガゼット袋の斜視図である。
【図13A】本発明による補助融着部を有しないガゼット袋の、横シール部近傍での斜視図である。
【図14】従来のスタンディングパウチの、フィルムに穴が形成された部分での、熱融着前の断面図である。
【図15】図13に示すフィルムの部分の、熱融着後の断面図である。
【符号の説明】
【0092】
11 投入パイプ
13 送りローラ
14 シゴキローラ
20 フィルム折り込み機構
30 底シール機構
40 天シール機構
50 レーザーマーカー
60 横シール機構
100 スタンディングパウチ
101 天シール部
102 横シール部
103 底シール部
104 補助融着部
110 フィルム
111 基材層
111a 基材層除去部
112 熱融着層
113 折り込み部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱融着層と少なくとも1層の基材層とが積層されたフィルムを用い、前記熱融着層が内側となるように作られた包装袋であって、
前記フィルムが部分的に前記熱融着層側に折り込まれることによって形成された少なくとも1つの折り込み部と、
内部を密閉するために、前記フィルムの向き合った前記熱融着層同士を、前記折り込み部の一部を含む所定の部位で熱融着することによって形成された熱シール部と、
前記折り込み部の互いに対向したフィルムの部分が部分的に熱融着されることによって形成された補助融着部と、
を有し、
前記補助融着部は、前記折り込み部の互いに対向する位置で前記フィルムに予め形成された、前記熱融着層を残して前記基材層が除去された前記フィルムの部分同士を熱融着することによって形成されていることを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記包装袋はスタンディングパウチであり、前記折り込み部は、前記フィルムが前記スタンディングパウチの幅方向全体にわたって内側に折り込まれ、広げることで前記スタンディングパウチの自立を可能とする底部を構成し、前記補助融着部は前記スタンディングパウチの幅方向両側部に形成されている請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記熱シール部は、前記スタンディングパウチの上縁に形成された天シール部と、前記スタンディングパウチの両側縁に形成された横シール部とを有し、前記補助融着部は、前記横シール部の領域内に形成されている請求項2に記載の包装袋。
【請求項4】
包装袋の製造方法であって、
熱融着層と少なくとも1層の基材層が積層された長尺のフィルムを用意する工程と、
前記熱融着層が内側となるように前記フィルムの幅方向両端部を向かい合わせ、向き合った前記フィルムの幅方向両端部を前記フィルムの長手方向に沿って熱融着して前記フィルムを筒状とする工程と、
前記フィルムの一部を前記フィルムの長手方向に沿って前記熱融着層側へ折り込み、前記フィルムに少なくとも1つの折り込み部を形成する工程と、
筒状とされた前記フィルムの内部に内容物を投入する工程と、
内容物が投入された前記フィルムをその全幅にわたって熱融着することによって前記内容物を密封する工程と、
前記折り込み部を形成する工程の前に、前記折り込み部を形成する工程で折り込まれ、かつ内容物を密封する工程で熱融着されるフィルムの部分の、互いに対向する位置に、前記熱融着層を残して前記基材層が除去された基材層除去部を形成する工程と、
前記折り込み部を形成する工程の後に、前記基材層除去部が形成された位置で前記フィルムを熱融着し、補助融着部を形成する工程と、を有する包装袋の製造方法。
【請求項5】
前記包装袋はスタンディングパウチであり、前記フィルムを筒状とする工程は、前記フィルムの幅方向両端部を前記フィルムの長手方向に熱融着することによって前記スタンディングパウチの天シール部を形成することを含み、前記内容物を密封する工程は、前記フィルムを全幅にわたって熱融着するとともに、熱融着された部位で前記フィルムを切断して、前記スタンディングパウチの横シール部を形成することを含む、請求項4に記載の包装袋の製造方法。
【請求項6】
前記基材層除去部を形成する工程は、レーザー光を局所的に照射することによって、前記基材層を溶融除去することを含む、請求項4または5に記載のスタンディングパウチの製造方法。
【請求項7】
前記補助融着部を形成する工程は、内容物を密封する工程の前記フィルムを全幅にわたる熱融着と共通の工程である、請求項4から6のいずれか1項に記載のスタンディングパウチの製造方法。
【請求項8】
熱融着層と少なくとも1層の基材層が積層された長尺のフィルムを下方に送りつつ、熱融着によって袋状に形成して内容物を充填する製袋充填包装機であって、
内容物を投入するために鉛直方向に配設された投入パイプと、
前記フィルムを、前記熱融着層を内側として前記投入パイプの外周を包囲させた状態で、前記フィルムの長手方向に沿って内側に折り込み、前記フィルムに折り込み部を形成する少なくとも1つのフィルム折り込み機構と、
前記投入パイプの外周を包囲したフィルムの開放端部をフィルムの長手方向に沿って熱融着する第1シール機構と、
前記投入パイプの下方に配置され、前記第1シール機構で熱融着されたフィルムをその全幅にわたって熱融着する第2シール機構と、
前記フィルム折り込み機構よりも前記フィルムの送り方向上流側に配置され、前記フィルム折り込み機構により折り込まれ、かつ前記第2シール機構により熱融着されるフィルムの部分の、互いに対向する位置に、前記熱融着層を残して前記基材層が除去された基材層除去部を形成する基材層除去装置と、
を有する製袋充填包装機。
【請求項9】
前記フィルム折り込み機構は、前記フィルムの幅方向中央部に1つの前記折り込み部を形成するように、前記投入パイプを間において前記第1シール機構と反対側に配置された押し込み板を有している請求項8に記載の製袋充填包装機。
【請求項10】
前記基材層除去装置は、レーザー光の照射により前記基材層を溶融除去するレーザーマーカーである、請求項8または9に記載の製袋充填包装機。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11a】
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【図11b】
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【図11c】
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【図11d】
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【図11e】
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【図12】
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【図13】
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【図13A】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−111419(P2010−111419A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−285634(P2008−285634)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(596088093)オリヒロエンジニアリング株式会社 (15)
【Fターム(参考)】