説明

化合物半導体装置及びその製造方法

【課題】セルフアライメントにより容易に電極を形成することができる化合物半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】エッチングストッパ層2の上方に、Sbを含み、所定の溶液に対するエッチング耐性がエッチングストッパ層2よりも低いSb含有層3bを形成し、Sb含有化合物半導体層3b上に、Asを含み、前記所定の溶液に対するエッチング耐性がエッチングストッパ層2よりも低いAs含有層3cを形成する。そして、前記所定の溶液を用いて、導電膜4をエッチングマスクとし、Sb含有層3b及びAs含有層3cをメサ状にウェットエッチングし、平面視でSb含有層3b及びAs含有層3cから離間した位置において化合物半導体層1の上方に導電膜5aを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、種々の化合物半導体装置においてメサ型構造が採用され、その製造の際には、メサ型構造に含まれる2つの化合物半導体層に対してセルフアライメントで電極を形成することがある。セルフアライメントで電極を形成するのは、平面視での電極間の間隔を狭めて(理想的には間隔を0にして)、電極が設けられる化合物半導体層内を移動する電荷の経路長を短縮し、抵抗を下げるためである。このような構造を採用することにより、例えばヘテロ接合バイポーラトランジスタでは、エミッタとベースとの間隔が短縮されて、ベース抵抗が低下し、高速特性が向上する。
【0003】
しかしながら、このような化合物半導体装置のメサ部に用いられるInAlAs、InGaAs及びInP等の化合物半導体層には、その少なくとも一部がメサ形成時にエッチングマスクの縁の内側まで入り込みにくいという性質がある。即ち、図1(a)に示すように、半絶縁性InP基板101上にエッチングストッパとしてInP層102を形成し、その上のInAlAs又はInGaAsの化合物半導体層103を、金属膜104をエッチングマスクとしてウェットエッチングすると、化合物半導体層103の下端が上端よりもエッチングされにくい。この結果、化合物半導体層103が順テーパ状となってしまう。従って、セルフアライメントで電極を形成するためには、化合物半導体層103の下端が金属膜104の縁よりも内側まで入り込むまでウェットエッチングを行う必要があり、時間がかかると共に、上端が過剰にエッチングされて金属膜104の剥がれ等の問題が生じることもある。また、図1(b)に示すように、表面が(100)面の半絶縁性InPの基板111上にエッチングストッパとしてInGaAs層112を形成し、その上のInPの化合物半導体層113を、金属膜114をエッチングマスクとしてウェットエッチングすると、基板111の[0−1−1]方向から観察した場合には、化合物半導体層113の下端が上端よりもエッチングされやすくなっている。この結果、基板111の[0−1−1]方向から観察した場合には、化合物半導体層113が逆テーパ状に見える。その一方で、図1(c)に示すように、基板111の[01−1]方向から観察した場合には、化合物半導体層113の下端が上端よりもエッチングされにくくなっている。この結果、基板111の[01−1]方向から観察した場合には、化合物半導体層113が順テーパ状に見える。従って、セルフアライメントで電極を形成するためには、基板111の[01−1]方向から観察した場合でも、化合物半導体層113の下端が金属膜114の縁よりも内側まで入り込んでいるように、ウェットエッチングを行う必要があり、時間がかかると共に、上端が過剰にエッチングされて金属膜114の剥がれ等の問題が生じることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平7−95542号公報
【特許文献2】特開2001−332530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、セルフアライメントにより容易に電極を形成することができる化合物半導体装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
化合物半導体装置の製造方法の一態様では、第1の化合物半導体層の上方に、Pを含むエッチングストッパ層を形成し、前記エッチングストッパ層の上方に、第2の化合物半導体層を形成し、前記第2の化合物半導体層の上方の所定の領域に第1の導電膜を形成する。また、所定の溶液を用いて、前記第1の導電膜をエッチングマスクとし、前記第2の化合物半導体層をメサ状にウェットエッチングし、平面視で前記第2の化合物半導体層から離間した位置において前記第1の化合物半導体層の上方に第2の導電膜を形成する。前記第2の化合物半導体層を形成する際には、前記エッチングストッパ層の上方に、Sbを含み、前記所定の溶液に対するエッチング耐性が前記エッチングストッパ層よりも低いSb含有化合物半導体層を形成し、前記Sb含有化合物半導体層上に、Asを含み、前記所定の溶液に対するエッチング耐性が前記エッチングストッパ層よりも低い第1のAs含有化合物半導体層を形成する。
【0007】
化合物半導体装置の一態様には、第1の化合物半導体層と、前記第1の化合物半導体層の上方にメサ形成された第2の化合物半導体層と、平面視で前記第2の化合物半導体層から離間した位置において前記第1の化合物半導体層の上方に形成された第1の電極と、前記第2の化合物半導体層の上方に形成された第2の電極と、前記第1の化合物半導体層と前記第2の化合物半導体層との間に形成され、Pを含むエッチングストッパ層と、が設けられている。前記第2の化合物半導体層には、前記エッチングストッパ層の上方に形成され、Sbを含み、所定の溶液に対するエッチング耐性が前記エッチングストッパ層よりも低いSb含有化合物半導体層と、前記Sb含有化合物半導体層上に形成され、Asを含み、前記所定の溶液に対するエッチング耐性が前記エッチングストッパ層よりも低い第1のAs含有化合物半導体層と、が設けられている。平面視で、前記Sb含有化合物半導体層及び前記第1のAs含有化合物半導体層の各々の縁全体が、前記第2の電極の縁の内側に入り込んでいる。
【発明の効果】
【0008】
上記の化合物半導体装置の製造方法等によれば、Sb含有化合物半導体層及びAs含有化合物半導体層の積層体の作用により、As含有化合物半導体層のSb含有化合物半導体層側の部分が優先的にエッチングされるため、後に第2の導電膜、第1の電極をセルフアライメントで容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】従来の化合物半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る化合物半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図3】第2の実施形態に係る化合物半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図4】第2の実施形態と同様の構造の積層体の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。
【図5A】第3の実施形態に係る化合物半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図5B】図5Aに引き続き、化合物半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図5C】図5Bに引き続き、化合物半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図5D】図5Cに引き続き、化合物半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図5E】図5Dに引き続き、化合物半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図5F】図5Eに引き続き、化合物半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図5G】図5Fに引き続き、化合物半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図5H】図5Gに引き続き、化合物半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図6】第3の実施形態の変形例を示す断面図である。
【図7】第4の実施形態に係る化合物半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図8】第5の実施形態に係る化合物半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図9】第6の実施形態に係る化合物半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
先ず、第1の実施形態について説明する。図2は、第1の実施形態に係る化合物半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0012】
第1の実施形態では、先ず、図2(a)に示すように、化合物半導体層1上にエッチングストッパ層2を形成し、エッチングストッパ層2上に化合物半導体層3を形成する。エッチングストッパ層2としては、Pを含有する化合物半導体層、例えば、InP層又はInGaP層等を形成する。化合物半導体層3の形成に当たっては、Sbを含有するSb含有化合物半導体層(Sb含有層)3bをエッチングストッパ層2上に形成し、Asを含有するAs含有化合物半導体層(As含有層)3cをSb含有層3b上に形成する。Sb含有層3b及びAs含有層3cとしては、後に行うこれらのウェットエッチングに用いる所定の溶液に対するエッチング耐性がエッチングストッパ層2のそれよりも低いものを用いる。従って、Sb含有層3b及びAs含有層3cはPを含有していないことが好ましい。また、Sb含有層3bとのエッチング速度差を十分に確保するために、As含有層3cはSbを含有していないことが好ましい。例えば、Sb含有層3bとしては、GaSb層、GaAsSb層、AlSb層、AlAsSb層、AlGaSb層、AlGaAsSb層、InGaSb層、InGaAsSb層、InAlSb層、InAlAsSb層、InAlGaSb層、又はInAlGaAsSb層を形成する。これらの2種以上を含む積層体を形成してもよい。また、例えば、As含有層3cとしては、InGaAs層、InAlAs層、GaAs層、AlGaAs層、又はInAlGaAs層を形成する。これらの2種以上を含む積層体を形成してもよい。
【0013】
次いで、図2(b)に示すように、化合物半導体層3上の所定の領域に導電膜4を形成する。導電膜4としては、例えば、タングステンシリサイド膜等の導電性金属化合物膜又は金属膜を形成する。
【0014】
その後、図2(c)に示すように、上記の所定の溶液を用いて、導電膜4をエッチングマスクとし、化合物半導体層3をメサ状にウェットエッチングする。所定の溶液としては、例えば、りん酸、過酸化水素水及び水の混合溶液を用いる。Asを含有する化合物半導体層とSbを含有する化合物半導体層との積層体に対して、このような混合溶液を用いてウェットエッチングを行うと、Sbを含有する化合物半導体層のエッチングが優先的に進行する。また、これに伴って、Asを含有する化合物半導体層では、Sbを含有する層との界面近傍が優先的にエッチングされる。従って、本実施形態では、図2(c)に示すように、Sb含有層3bのエッチングが優先的に進行する。また、As含有層3cでは、導電膜4側よりもAs含有層3b側が優先的にエッチングされる。従って、化合物半導体層3は逆テーパ状となり、平面視で、As含有層3cの上端の縁全体が導電膜4の縁の内側に入り込んだ時点では、化合物半導体層3の全体が導電膜4の縁の内側に入り込んでいることになる。
【0015】
続いて、図2(d)に示すように、セルフアライメントで、導電膜5aをエッチングストッパ層2上に形成し、導電膜5bを導電膜4上に形成する。つまり、少なくとも、平面視で化合物半導体層3から離間した位置において化合物半導体層1の上方に導電膜5aを形成する。エッチングストッパ層2上の導電膜5aからエッチングストッパ層2を介して化合物半導体層1に電流及び電圧を供給することができ、化合物半導体層3上の導電膜4及び5bから化合物半導体層3に電流及び電圧を供給することができる。つまり、エッチングストッパ層2上の導電膜5a、並びに化合物半導体層3上の導電膜4及び5bは、夫々電極として機能する。
【0016】
なお、図2(e)に示すように、導電膜5aの形成前に、導電膜4をエッチングマスクとして用いたエッチングを行うことにより、化合物半導体層1の一部を露出しておき、その上に導電膜5aを形成してもよい。
【0017】
このように、本実施形態によれば、容易にセルフアライメントで電極を形成することができる。これは、メサ形状とする化合物半導体層3にSb含有層3b及びAs含有層3cを含ませているからである。
【0018】
そして、本実施形態により製造された化合物半導体装置では、図2(d)又は(e)に示すように、平面視で、Sb含有層3b及びAs含有層3cの各々の縁全体が、導電膜4及び5の積層体の縁の内側に入り込んでいる。
【0019】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。図3は、第2の実施形態に係る化合物半導体装置の製造方法を示す断面図である。ここでは、第1の実施形態と相違する点を中心にして説明する。
【0020】
第2の実施形態では、先ず、図3(a)に示すように、化合物半導体層1上にエッチングストッパ層2を形成し、エッチングストッパ層2上に化合物半導体層3を形成する。化合物半導体層3の形成に当たっては、Asを含有するAs含有化合物半導体層(As含有層)3aを形成し、Sb含有層3bをAs含有層3a上に形成し、As含有層3cをSb含有層3b上に形成する。As含有層3aとしては、As含有層3cと同様に、後に行うウェットエッチングに用いる所定の溶液に対するエッチング耐性がエッチングストッパ層2のそれよりも低いものを用いる。従って、As含有層3aもPを含有していないことが好ましい。例えば、As含有層3aとしては、As含有層3cと同様のものを形成する。
【0021】
次いで、図3(b)に示すように、化合物半導体層3上の所定の領域に導電膜4を形成する。
【0022】
その後、図3(c)に示すように、上記の所定の溶液を用いて、導電膜4をエッチングマスクとし、化合物半導体層3をメサ状にウェットエッチングする。この結果、本実施形態では、図3(c)に示すように、Sb含有層3bのエッチングが優先的に進行する。また、As含有層3cでは、導電膜4側よりもAs含有層3b側が優先的にエッチングされる。更に、As含有層3aでは、エッチングストッパ層2側よりもAs含有層3b側が優先的にエッチングされる。従って、化合物半導体層3は、高さ方向の中心部がくびれた鼓状となり、平面視で、As含有層3cの上端の縁全体が導電膜4の縁の内側に入り込んだ時点では、化合物半導体層3の全体が導電膜4の縁の内側に入り込んでいることになる。
【0023】
続いて、図3(d)に示すように、セルフアライメントで、導電膜5aをエッチングストッパ層2上に形成し、導電膜5bを導電膜4上に形成する。つまり、少なくとも、平面視で化合物半導体層3から離間した位置において化合物半導体層1の上方に導電膜5aを形成する。
【0024】
なお、図3(e)に示すように、導電膜5aの形成前に、導電膜4をエッチングマスクとして用いたエッチングを行うことにより、化合物半導体層1の一部を露出しておき、その上に導電膜5aを形成してもよい。
【0025】
このように、本実施形態によっても、容易にセルフアライメントで電極を形成することができる。これは、メサ形状とする化合物半導体層3にAs含有層3a、Sb含有層3b及びAs含有層3cを含ませているからである。
【0026】
また、本実施形態によれば、第1の実施形態と比較して、化合物半導体層3の下端の縁と導電膜5aとの距離を短くすることができる。順テーパ状になるAs含有層3aを化合物半導体層3に含ませているからである。そして、化合物半導体層3の下端の縁と導電膜5aとの距離の短縮により、これらの間の抵抗をより一層低下させることができる。
【0027】
図4(a)及び(b)は、第2の実施形態と同様の構造の積層体の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す図である。ここでは、As含有層3aはInGaAs層、Sb含有層3bはGaAsSb層、As含有層3cはInGaAs層である。図4(a)及び(b)中のくびれた部分にGaAsSb層が存在しており、その上下にInGaAs層が存在している。図4(a)及び(b)に示すように、結晶方位に拘わらず、化合物半導体層3に相当する部分全体が、導電膜4及び5bに相当する部分の縁よりも内側に入り込んでいる。
【0028】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)を形成する。図5A〜図5Hは、第3の実施形態に係る化合物半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0029】
第3の実施形態では、先ず、図5A(a)に示すように、基板10上に、i−InAlAs層16、n+−InGaAs層17、i−InGaAs層18、p+−InGaAs層11、n−InP層12、n−InAlAs層13a、i−GaAsSb層13b、n−InAlAs層13c、及びn+−InGaAs層19を有機金属気相成長(MOCVD:metal organic chemical vapor deposition)法により形成する。
【0030】
基板10としては、例えば半絶縁性のInP基板を用いる。i−InAlAs層16の形成では不純物のドーピングを行わず、i−InAlAs層16の厚さは、例えば300nmとする。n+−InGaAs層17の形成では、例えばSi等のn型不純物を2×1019cm-3程度の高濃度でドーピングし、n+−InGaAs層17の厚さは、例えば200nmとする。i−InGaAs層18の形成では不純物のドーピングを行わず、i−InGaAs層18の厚さは、例えば200nmとする。p+−InGaAs層11の形成では、例えばMg等のp型不純物を2×1019cm-3程度の高濃度でドーピングし、p+−InGaAs層11の厚さは、例えば50nmとする。n−InP層12の形成では、例えばSi等のn型不純物を5×1017cm-3程度でドーピングし、n−InP層12の厚さは、例えば30nmとする。n−InAlAs層13aの形成では、例えばSi等のn型不純物を5×1017cm-3程度でドーピングし、n−InAlAs層13aの厚さは、例えば50nmとする。i−GaAsSb層13bの形成では不純物のドーピングを行わず、i−GaAsSb層13bの厚さは、例えば5nmとする。n−InAlAs層13cの形成では、例えばSi等のn型不純物を5×1017cm-3程度でドーピングし、n−InAlAs層13cの厚さは、例えば80nmとする。n+−InGaAs層19の形成では、例えばSi等のn型不純物を2×1019cm-3程度の高濃度でドーピングし、n+−InGaAs層19の厚さは、例えば200nmとする。また、i−GaAsSb層13bの組成は、例えば、InPに格子整合するGaAs0.51Sb0.49とする。
【0031】
次いで、図5A(b)に示すように、n+−InGaAs層19上にWSi層14をスパッタリング法により形成する。WSi層14の厚さは、例えば200nm程度とする。
【0032】
その後、図5B(c)に示すように、HBTのエミッタを形成する予定の領域を覆うレジストパターン20をWSi層14上に形成する。そして、レジストパターン20をエッチングマスクとして用い、WSi層14のドライエッチングを行う。このドライエッチングでは、例えばCF4ガスをエッチングガスとして用いる。
【0033】
続いて、図5B(d)に示すように、レジストパターン20を除去する。
【0034】
次いで、図5C(e)に示すように、WSi層14をエッチングマスクとして用い、n+−InGaAs層19、n−InAlAs層13c、i−GaAsSb層13b、及びn−InAlAs層13aのウェットエッチングを行う。このウェットエッチングでは、例えばリン酸、過酸化水素水及び水の混合溶液をエッチング溶液として用いる。このウェットエッチングでは、n+−InGaAs層19のエッチング後に、n−InAlAs層13c、i−GaAsSb層13b、及びn−InAlAs層13aがエッチングされる。また、n−InAlAs層13c、i−GaAsSb層13b、及びn−InAlAs層13aのエッチングの際に、i−GaAsSb層13bのエッチングが優先的に進行する。更に、n−InAlAs層13cでは、WSi層14側よりもi−GaAsSb層13b側が優先的にエッチングされ、n−InAlAs層13aでは、n−InP層12側よりもi−GaAsSb層13b側が優先的にエッチングされる。従って、n−InAlAs層13c、i−GaAsSb層13b、及びn−InAlAs層13aを含む化合物半導体層13は、高さ方向の中心部がくびれた鼓状となり、平面視で、n−InAlAs層13cの上端の縁全体がWSi層14の縁の内側に入り込んだ時点では、化合物半導体層13の全体がWSi層14の縁の内側に入り込んでいることになる。なお、このウェットエッチングは、n−InP層12が露出した時点で停止する。リン酸、過酸化水素水及び水の混合溶液に対するn−InP層12のエッチング耐性が、n+−InGaAs層19、n−InAlAs層13c、i−GaAsSb層13b、及びn−InAlAs層13aと比較して極めて高いからである。
【0035】
その後、図5C(f)に示すように、HBTのベースを形成する予定の領域を覆うレジストパターン21をn−InP層12及びWSi層14等上に形成する。
【0036】
続いて、図5D(g)に示すように、レジストパターン21をエッチングマスクとして用い、n−InP層12、p+−InGaAs層11、及びi−InGaAs層18のウェットエッチングを行う。n−InP層12のウェットエッチングでは、例えば塩酸をエッチング溶液として用い、p+−InGaAs層11及びi−InGaAs層18のウェットエッチングでは、例えばリン酸、過酸化水素水及び水の混合溶液をエッチング溶液として用いる。
【0037】
次いで、図5D(h)に示すように、レジストパターン21を除去し、全面にシリコン窒化膜22を、例えばプラズマCVD法により形成する。シリコン窒化膜22の厚さは、例えば20nm程度とする。
【0038】
その後、図5E(i)に示すように、シリコン窒化膜22のドライエッチングを行う。このドライエッチングでは、例えばCF4ガスをエッチングガスとして用いる。この結果、このドライエッチングでは、シリコン窒化膜22のWSi層14の上方に位置する部分は除去されるが、WSi層14の下方、かつ平面視でWSi層14の輪郭の内側に位置する部分は除去されずに残存する。つまり、化合物半導体層13及びn+−InGaAs層19の側面はシリコン窒化膜22により覆われたままである。
【0039】
続いて、図5E(j)に示すように、シリコン窒化膜22をエッチングマスクとして用い、n−InP層12のウェットエッチングを行う。このウェットエッチングでは、例えば塩酸をエッチング溶液として用いる。
【0040】
次いで、図5F(k)に示すように、HBTのベース電極を形成する領域を開口するレジストパターン23をn+−InGaAs層17上に形成する。
【0041】
その後、導電膜を全面に蒸着し、レジストパターン23上の導電膜をレジストパターン23と共に除去する。この結果、図5F(l)に示すように、p+−InGaAs層11上に導電膜15aが形成され、WSi層14上に導電膜15bが形成される。つまり、リフトオフ法により導電膜15a及び15bを形成する。導電膜の形成では、例えば、厚さが10nm程度のTi膜を形成し、このTi膜上に厚さが30nm程度のPt膜を形成し、このPt膜上に厚さが60nm程度のAu膜を形成する。
【0042】
続いて、図5G(m)に示すように、素子分離領域を形成する領域を開口するレジストパターン24をn+−InGaAs層17、WSi層14、及び導電膜15a等上に形成する。次いで、レジストパターン24をエッチングマスクとして用い、n+−InGaAs層17のウェットエッチングを行う。このウェットエッチングでは、例えばリン酸、過酸化水素水、及び水の混合溶液をエッチング溶液として用いる。
【0043】
その後、図5G(n)に示すように、レジストパターン24を除去する。
【0044】
続いて、図5H(o)に示すように、HBTのコレクタ電極を形成する領域を開口するレジストパターン25をi−InAlAs層16、n+−InGaAs層17、WSi層14、及び導電膜15a等上に形成する。
【0045】
次いで、導電膜を全面に蒸着し、レジストパターン25上の導電膜をレジストパターン25と共に除去する。この結果、図5H(p)に示すように、n+−InGaAs層17上に導電膜26が形成される。つまり、リフトオフ法により導電膜26を形成する。導電膜の形成では、例えば、厚さが10nm程度のTi膜を形成し、このTi膜上に厚さが30nm程度のPt膜を形成し、このPt膜上に厚さが300nm程度のAu膜を形成する。
【0046】
このようにしてHBTが形成される。このHBTでは、例えば、コレクタに、i−InGaAs層18が含まれ、ベースに、p+−InGaAs層11が含まれ、エミッタに、n−InP層12及び化合物半導体層13が含まれる。また、i−InGaAs層18よりも低抵抗のn+−InGaAs層17がコレクタコンタクト層に含まれ、n−InP層12及び化合物半導体層13よりも低抵抗のn+−InGaAs層19がエミッタコンタクト層に含まれる。また、導電膜26がコレクタ電極に含まれ、導電膜15aがベース電極に含まれ、WSi層14及び導電膜15bがエミッタ電極に含まれる。また、i−InAlAs層16は基板10とHBTとの間のバッファ層として機能する。なお、n−InP層12は製造プロセス中のエッチングストッパ層としても機能し、化合物半導体層13中のi−GaAsSb層13bは製造プロセス中のエッチング促進層としても機能する。
【0047】
そして、本実施形態によれば、このようなHBTの形成に際して、ベース電極に含まれる導電膜15aを容易にセルフアライメントで形成することができる。これは、メサ形状とする化合物半導体層13にn−InAlAs層13a、i−GaAsSb層13b、n−InAlAs層13cを含ませているからである。
【0048】
また、順テーパ状になるn−InAlAs層13aを化合物半導体層13に含ませているため、化合物半導体層13の下端の縁と導電膜15aとの距離を短くして、ベース抵抗を低減することも可能である。
【0049】
なお、第3の実施形態では、n−InAlAs層13aをn−InAlAs層13cより薄くしているが、図6(a)に示すように、n−InAlAs層13aをn−InAlAs層13cより厚くしてもよい。また、図6(b)に示すように、n−InAlAs層13aの厚さをn−InAlAs層13cの厚さと同等にしてもよい。更に、図6(c)に示すように、n−InAlAs層13aを省略してもよい。n−InAlAs層13aを省略した場合、及びn−InAlAs層13aをn−InAlAs層13cより薄くした場合には、導電膜15aを、セルフアライメントにより特に形成しやすいという利点がある。n−InAlAs層13aをn−InAlAs層13cより厚くした場合には、化合物半導体層13の下端の縁と導電膜15aとの距離を短くして、ベース抵抗を低減しやすいという利点がある。n−InAlAs層13aの厚さをn−InAlAs層13cの厚さと同等にした場合には、これらの利点を得ることができる。従って、セルフアライメントによるベース電極の形成しやすさ及びベース抵抗の低減等を考慮して、n−InAlAs層13a及び13cの厚さの関係を設定することが好ましい。また、n+−InGaAs層19、n−InAlAs層13c、i−GaAsSb層13b、及びn−InAlAs層13aのウェットエッチングにおいて、リン酸、過酸化水素水及び水の混合溶液に代えて、例えば硫酸、過酸化水素水及び水の混合溶液を用いてもよい。
【0050】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。図7は、第4の実施形態に係る化合物半導体装置の製造方法を示す断面図である。ここでは、第3の実施形態と相違する点を中心にして説明する。
【0051】
第4の実施形態では、図7に示すように、第3の実施形態の化合物半導体層13に代えて化合物半導体層33を形成する。そして、化合物半導体層33の形成に当たっては、先ず、n−InP層12上に、n−InAlAs層33a、i−GaAsSb層33b、n−InAlAs層33c、i−GaAsSb層33d、及びn−InAlAs層33eを形成する。n−InAlAs層33a、33c、及び33eの材料としては、例えばn−InAlAs層13a及び13cと同様のものを用いる。i−GaAsSb層33b及び33dの材料としては、例えばi−GaAsSb層13bと同様のものを用いる。また、n−InAlAs層33a、i−GaAsSb層33b、n−InAlAs層33c、i−GaAsSb層33d、及びn−InAlAs層33eの厚さは、例えば、それぞれ、50nm、5nm、50nm、5nm、50nmとする。他の処理等は第3の実施形態と同様である。
【0052】
第4の実施形態によっても第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。更に、化合物半導体層33に、i−GaAsSb層33b及び33dが含まれているため、i−GaAsSb層33b及び33dのそれぞれのエッチング量を抑えながら、化合物半導体層33の全体を平面視でWSi層14の縁よりも内側に入り込ませることができる。従って、i−GaAsSb層33b及び33dによって、WSi層14及び導電膜15bをより強固に支持することができる。
【0053】
なお、i−GaAsSb層の形成及びn−InAlAs層の形成を更に繰り返して化合物半導体層に含まれる層数をより多くしてもよい。
【0054】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について説明する。第5の実施形態では、メサ型のpn接合ダイオードを形成する。図8は、第5の実施形態に係る化合物半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0055】
第5の実施形態では、先ず、図8(a)に示すように、基板40上に、i−AlGaAs層46、p−GaAs層41、n−InGaP層42、n−GaAs層43a、i−GaAsSb層43b、n−GaAs層43c、及びn+−InGaAs層48をMOCVD法により形成する。基板40としては、例えばGaAs基板を用いる。例えば、i−AlGaAs層46の厚さは300nmとし、組成はAl0.3Ga0.7Asとする。p−GaAs層41の厚さは、例えば100nmとする。n−InGaP層42の厚さは、例えば20nmとする。n−GaAs層43aの厚さは、例えば50nmとする。例えば、i−GaAsSb層43bの厚さは5nmとし、組成はGaAs0.8Sb0.2とする。n−GaAs層43cの厚さは、例えば50nmとする。例えば、n+−InGaAs層48の厚さは20nmとし、組成はIn0.2Ga0.8Asとする。
【0056】
次いで、n+−InGaAs層48上にWSi層44を形成する。WSi層44は、例えば、WSi層14の形成及びパターニングと同様の処理により形成することができる。
【0057】
その後、図8(b)に示すように、WSi層44をエッチングマスクとして用い、n+−InGaAs層48、n−GaAs層43c、i−GaAsSb層43b、及びn−GaAs層43aのウェットエッチングを行う。このウェットエッチングでは、例えばリン酸、過酸化水素水及び水の混合溶液をエッチング溶液として用いる。このウェットエッチングでは、i−GaAsSb層43bのエッチングが優先的に進行する。また、n−GaAs層43cでは、WSi層44側よりもi−GaAsSb層43b側が優先的にエッチングされ、n−GaAs層43aでは、n−InGaP層42側よりもi−GaAsSb層43b側が優先的にエッチングされる。従って、n−GaAs層43c、i−GaAsSb層43b、及びn−GaAs層43aを含む化合物半導体層43は、高さ方向の中心部がくびれた鼓状となり、平面視で、n+−InGaAs層48の上端の縁全体がWSi層44の縁の内側に入り込んだ時点では、化合物半導体層43の全体がWSi層44の縁の内側に入り込んでいることになる。なお、このウェットエッチングは、n−InGaP層42が露出した時点で停止する。リン酸、過酸化水素水及び水の混合溶液に対するn−InGaP層42のエッチング耐性が、n−GaAs層43c、i−GaAsSb層43b、及びn−GaAs層43aと比較して極めて高いからである。
【0058】
続いて、図8(c)に示すように、化合物半導体層43の側面を覆うシリコン窒化膜49を形成する。シリコン窒化膜49は、例えば、シリコン窒化膜22の形成及びパターニングと同様の処理により形成することができる。
【0059】
次いで、図8(d)に示すように、シリコン窒化膜49をエッチングマスクとして用い、n−InGaP層42のウェットエッチングを行う。このウェットエッチングでは、例えば塩酸をエッチング溶液として用いる。
【0060】
その後、図8(e)に示すように、リフトオフ法により、p−GaAs層41上に導電膜45aを形成し、WSi層44上に導電膜45bを形成する。導電膜45a及び45bは、導電膜15a及び15bの形成と同様の処理により形成することができる。
【0061】
このようにしてメサ型のpn接合ダイオードが形成される。このpn接合ダイオードでは、例えば、アノードに、p−GaAs層41が含まれ、カソードに、n−InGaP層42、化合物半導体層43、及びn+−InGaAs層48が含まれる。また、導電膜45aがカソード電極に含まれ、WSi層44及び導電膜45bがアノード電極に含まれる。なお、n−InGaP層42は製造プロセス中のエッチングストッパ層としても機能し、化合物半導体層43中のi−GaAsSb層43bは製造プロセス中のエッチング促進層としても機能する。
【0062】
そして、本実施形態によれば、このようなメサ型のpn接合ダイオードの形成に際して、カソード電極に含まれる導電膜45aを容易にセルフアライメントで形成することができる。これは、メサ形状とする化合物半導体層43にn−GaAs層43c、i−GaAsSb層43b、及びn−GaAs層43aを含ませているからである。
【0063】
また、順テーパ状になるn−GaAs層43aを化合物半導体層43に含ませているため、化合物半導体層43の下端の縁と導電膜45aとの距離を短くして、抵抗を低減することも可能である。
【0064】
なお、n−InGaP層42に代えて、p−InGaP層又はi−InGaP層を用いてもよい。
【0065】
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態について説明する。第6の実施形態では、メサ型共鳴トンネルダイオード(RTD:resonant tunneling diode)を形成する。図9は、第6の実施形態に係る化合物半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0066】
第6の実施形態では、先ず、図9(a)に示すように、基板50上に、i−InAlAs層56、n−InGaAs層51、n−InP層52、n−InGaAs層53a、i−InAlAs層53b、i−InGaAs層53c、i−InAlAs層53d、n−InGaAs層53e、i−GaAsSb層53f、及びn−InGaAs層53gをMOCVD法により形成する。各層の組成は、InPに格子整合するものとする。基板50としては、例えばInP基板を用いる。i−InAlAs層56、n−InGaAs層51、及びn−InP層52の厚さは、例えば、それぞれ、300nm、100nm、5nmとする。n−InGaAs層53a、i−InAlAs層53b、i−InGaAs層53c、i−InAlAs層53d、n−InGaAs層53e、i−GaAsSb層53f、及びn−InGaAs層53gの厚さは、例えば、それぞれ、50nm、3nm、5nm、3nm、50nm、5nm、50nmとする。
【0067】
次いで、n−InGaAs層53g上にWSi層54を形成する。WSi層54は、例えば、WSi層14の形成及びパターニングと同様の処理により形成することができる。
【0068】
その後、図9(b)に示すように、WSi層54をエッチングマスクとして用い、n−InGaAs層53g、i−GaAsSb層53f、n−InGaAs層53e、i−InAlAs層53d、i−InGaAs層53c、i−InAlAs層53b、及びn−InGaAs層53aのウェットエッチングを行う。このウェットエッチングでは、例えばリン酸、過酸化水素水及び水の混合溶液をエッチング溶液として用いる。このウェットエッチングでは、i−GaAsSb層53fのエッチングが優先的に進行する。また、n−InGaAs層53gでは、WSi層54側よりもi−GaAsSb層53f側が優先的にエッチングされる。n−InGaAs層53e、i−InAlAs層53d、i−InGaAs層53c、i−InAlAs層53b、及びn−InGaAs層53aの積層体では、n−InP層52側よりもi−GaAsSb層53f側が優先的にエッチングされる。従って、n−InGaAs層53g、i−GaAsSb層53f、n−InGaAs層53e、i−InAlAs層53d、i−InGaAs層53c、i−InAlAs層53b、及びn−InGaAs層53aを含む化合物半導体層53は、高さ方向の中心部がくびれた鼓状となり、平面視で、n−InGaAs層53gの上端の縁全体がWSi層54の縁の内側に入り込んだ時点では、化合物半導体層53の全体がWSi層54の縁の内側に入り込んでいることになる。なお、このウェットエッチングは、n−InP層52が露出した時点で停止する。リン酸、過酸化水素水及び水の混合溶液に対するn−InP層52のエッチング耐性が、n−InGaAs層53g、i−GaAsSb層53f、n−InGaAs層53e、i−InAlAs層53d、i−InGaAs層53c、i−InAlAs層53b、及びn−InGaAs層53aと比較して極めて高いからである。
【0069】
続いて、図9(c)に示すように、化合物半導体層53の側面を覆うシリコン窒化膜59を形成する。シリコン窒化膜59は、例えば、シリコン窒化膜22の形成及びパターニングと同様の処理により形成することができる。
【0070】
次いで、図9(d)に示すように、シリコン窒化膜59をエッチングマスクとして用い、n−InP層52のウェットエッチングを行う。このウェットエッチングでは、例えば塩酸をエッチング溶液として用いる。
【0071】
その後、図9(e)に示すように、リフトオフ法により、n−InGaAs層51上に導電膜55aを形成し、WSi層54上に導電膜55bを形成する。導電膜55a及び55bは、導電膜15a及び15bの形成と同様の処理により形成することができる。
【0072】
このようにしてメサ型のRTDが形成される。このRTDでは、例えば、2つのバリア層の一方にi−InAlAs層53bが含まれ、他方にi−InAlAs層53dが含まれ、量子井戸層にi−InGaAs層53cが含まれる。また、2つの電極の一方に導電膜55aが含まれ、他方にWSi層54及び導電膜55bが含まれる。なお、n−InP層52は製造プロセス中のエッチングストッパ層としても機能し、化合物半導体層53中のi−GaAsSb層53fは製造プロセス中のエッチング促進層としても機能する。
【0073】
そして、本実施形態によれば、このようなメサ型のRTDの形成に際して、電極に含まれる導電膜55aを容易にセルフアライメントで形成することができる。これは、メサ形状とする化合物半導体層53にn−InGaAs層53g、i−GaAsSb層53f、n−InGaAs層53e、i−InAlAs層53d、i−InGaAs層53c、i−InAlAs層53b、及びn−InGaAs層53aを含ませているからである。
【0074】
また、順テーパ状になるn−InGaAs層53e、i−InAlAs層53d、i−InGaAs層53c、i−InAlAs層53b、及びn−InGaAs層53aを化合物半導体層53に含ませているため、化合物半導体層53の下端の縁と導電膜55aとの距離を短くして、抵抗を低減することも可能である。
【0075】
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0076】
(付記1)
第1の化合物半導体層の上方に、Pを含むエッチングストッパ層を形成する工程と、
前記エッチングストッパ層の上方に、第2の化合物半導体層を形成する工程と、
前記第2の化合物半導体層の上方の所定の領域に第1の導電膜を形成する工程と、
所定の溶液を用いて、前記第1の導電膜をエッチングマスクとし、前記第2の化合物半導体層をメサ状にウェットエッチングする工程と、
平面視で前記第2の化合物半導体層から離間した位置において前記第1の化合物半導体層の上方に第2の導電膜を形成する工程と、
を有し、
前記第2の化合物半導体層を形成する工程は、
前記エッチングストッパ層の上方に、Sbを含み、前記所定の溶液に対するエッチング耐性が前記エッチングストッパ層よりも低いSb含有化合物半導体層を形成する工程と、
前記Sb含有化合物半導体層上に、Asを含み、前記所定の溶液に対するエッチング耐性が前記エッチングストッパ層よりも低い第1のAs含有化合物半導体層を形成する工程と、
を有することを特徴とする化合物半導体装置の製造方法。
【0077】
(付記2)
前記Sb含有化合物半導体層として、GaSb層、GaAsSb層、AlSb層、AlAsSb層、AlGaSb層、AlGaAsSb層、InGaSb層、InGaAsSb層、InAlSb層、InAlAsSb層、InAlGaSb層、及びInAlGaAsSb層からなる群から選択された少なくとも1種を含むものを形成し、
前記第1のAs含有化合物半導体層として、InGaAs層、InAlAs層、GaAs層、AlGaAs層、及びInAlGaAs層からなる群から選択された少なくとも1種を含むものを形成することを特徴とする付記1に記載の化合物半導体装置の製造方法。
【0078】
(付記3)
前記第2の化合物半導体層を形成する工程は、前記Sb含有化合物半導体層を形成する工程の前に、前記エッチングストッパ層の上方に、Asを含み、前記所定の溶液に対するエッチング耐性が前記エッチングストッパ層よりも低い第2のAs含有化合物半導体層を形成する工程を有し、
前記Sb含有化合物半導体層を前記第2のAs含有化合物半導体層上に形成することを特徴とする付記1又は2に記載の化合物半導体装置の製造方法。
【0079】
(付記4)
前記第2のAs含有化合物半導体層として、InGaAs層、InAlAs層、GaAs層、AlGaAs層、及びInAlGaAs層からなる群から選択された少なくとも1種を含むものを形成することを特徴とする付記3に記載の化合物半導体装置の製造方法。
【0080】
(付記5)
前記第2のAs含有化合物半導体層の厚さを、前記第1のAs含有化合物半導体の厚さ以下とすることを特徴とする付記3又は4に記載の化合物半導体装置の製造方法。
【0081】
(付記6)
前記所定の溶液として、りん酸、過酸化水素水及び水の混合溶液、又は硫酸、過酸化水素水及び水の混合溶液を用いることを特徴とする付記1乃至5のいずれか1項に記載の化合物半導体装置の製造方法。
【0082】
(付記7)
前記Sb含有化合物半導体層を形成する工程と前記第1のAs含有化合物半導体層を形成する工程とを繰り返し行うことを特徴とする付記1乃至6のいずれか1項に記載の化合物半導体装置の製造方法。
【0083】
(付記8)
前記第2の導電膜を第1の導電膜上にも形成することを特徴とする付記1乃至7のいずれか1項に記載の化合物半導体装置の製造方法。
【0084】
(付記9)
第1の化合物半導体層と、
前記第1の化合物半導体層の上方にメサ形成された第2の化合物半導体層と、
平面視で前記第2の化合物半導体層から離間した位置において前記第1の化合物半導体層の上方に形成された第1の電極と、
前記第2の化合物半導体層の上方に形成された第2の電極と、
前記第1の化合物半導体層と前記第2の化合物半導体層との間に形成され、Pを含むエッチングストッパ層と、
を有し、
前記第2の化合物半導体層は、
前記エッチングストッパ層の上方に形成され、Sbを含み、所定の溶液に対するエッチング耐性が前記エッチングストッパ層よりも低いSb含有化合物半導体層と、
前記Sb含有化合物半導体層上に形成され、Asを含み、前記所定の溶液に対するエッチング耐性が前記エッチングストッパ層よりも低い第1のAs含有化合物半導体層と、
を有し、
平面視で、前記Sb含有化合物半導体層及び前記第1のAs含有化合物半導体層の各々の縁全体が、前記第2の電極の縁の内側に入り込んでいることを特徴とする化合物半導体装置。
【0085】
(付記10)
前記第2の化合物半導体層は、前記エッチングストッパ層の上方に形成され、Asを含み、前記所定の溶液に対するエッチング耐性が前記エッチングストッパ層よりも低い第2のAs含有化合物半導体層を有し、
前記Sb含有化合物半導体層は前記第2のAs含有化合物半導体層上に形成されていることを特徴とする付記9に記載の化合物半導体装置。
【符号の説明】
【0086】
1、3:化合物半導体層
2:エッチングストッパ層
3:化合物半導体層
3a、3c:As含有層
3b:Sb含有層
4、5a、5b:導電膜
10:基板
11:p+−InGaAs層
12:n−InP層
13:化合物半導体層
13a、13c:n−InAlAs層
13b:i−GaAsSb層
14:WSi層
15a、15b、26:導電膜
33:化合物半導体層
33a、33c、33e:n−InAlAs層
33b、33d:i−GaAsSb層
40:基板
41:p−GaAs層
42:n−InGaP層
43:化合物半導体層
43a、43c:n−GaAs層
43b:i−GaAsSb層
44:WSi層
45a、45b:導電膜
50:基板
51、53a、53e、53g:n−InGaAs層
52:n−InP層
53b、53d:i−InAlAs層
53c:i−InGaAs層
53f:i−GaAsSb層
54:WSi層
55a、55b:導電膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の化合物半導体層の上方に、Pを含むエッチングストッパ層を形成する工程と、
前記エッチングストッパ層の上方に、第2の化合物半導体層を形成する工程と、
前記第2の化合物半導体層の上方の所定の領域に第1の導電膜を形成する工程と、
所定の溶液を用いて、前記第1の導電膜をエッチングマスクとし、前記第2の化合物半導体層をメサ状にウェットエッチングする工程と、
平面視で前記第2の化合物半導体層から離間した位置において前記第1の化合物半導体層の上方に第2の導電膜を形成する工程と、
を有し、
前記第2の化合物半導体層を形成する工程は、
前記エッチングストッパ層の上方に、Sbを含み、前記所定の溶液に対するエッチング耐性が前記エッチングストッパ層よりも低いSb含有化合物半導体層を形成する工程と、
前記Sb含有化合物半導体層上に、Asを含み、前記所定の溶液に対するエッチング耐性が前記エッチングストッパ層よりも低い第1のAs含有化合物半導体層を形成する工程と、
を有することを特徴とする化合物半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第2の化合物半導体層を形成する工程は、前記Sb含有化合物半導体層を形成する工程の前に、前記エッチングストッパ層の上方に、Asを含み、前記所定の溶液に対するエッチング耐性が前記エッチングストッパ層よりも低い第2のAs含有化合物半導体層を形成する工程を有し、
前記Sb含有化合物半導体層を前記第2のAs含有化合物半導体層上に形成することを特徴とする請求項1に記載の化合物半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第2のAs含有化合物半導体層の厚さを、前記第1のAs含有化合物半導体の厚さ以下とすることを特徴とする請求項2に記載の化合物半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記所定の溶液として、りん酸、過酸化水素水及び水の混合溶液、又は硫酸、過酸化水素水及び水の混合溶液を用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の化合物半導体装置の製造方法。
【請求項5】
第1の化合物半導体層と、
前記第1の化合物半導体層の上方にメサ形成された第2の化合物半導体層と、
平面視で前記第2の化合物半導体層から離間した位置において前記第1の化合物半導体層の上方に形成された第1の電極と、
前記第2の化合物半導体層の上方に形成された第2の電極と、
前記第1の化合物半導体層と前記第2の化合物半導体層との間に形成され、Pを含むエッチングストッパ層と、
を有し、
前記第2の化合物半導体層は、
前記エッチングストッパ層の上方に形成され、Sbを含み、所定の溶液に対するエッチング耐性が前記エッチングストッパ層よりも低いSb含有化合物半導体層と、
前記Sb含有化合物半導体層上に形成され、Asを含み、前記所定の溶液に対するエッチング耐性が前記エッチングストッパ層よりも低い第1のAs含有化合物半導体層と、
を有し、
平面視で、前記Sb含有化合物半導体層及び前記第1のAs含有化合物半導体層の各々の縁全体が、前記第2の電極の縁の内側に入り込んでいることを特徴とする化合物半導体装置。
【請求項6】
前記第2の化合物半導体層は、前記エッチングストッパ層の上方に形成され、Asを含み、前記所定の溶液に対するエッチング耐性が前記エッチングストッパ層よりも低い第2のAs含有化合物半導体層を有し、
前記Sb含有化合物半導体層は前記第2のAs含有化合物半導体層上に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の化合物半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図5H】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−99666(P2012−99666A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246646(P2010−246646)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】