説明

化学線硬化性シリコーンヒドロゲルコポリマーおよびその使用

本発明は、カラーシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するためのインクおよび方法を提供する。本発明のインクは、含フッ素セグメントを含む化学線硬化性バインダーコポリマーを含んでおり、化学線または熱で硬化することで型の成形面、またはシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ上でカラーフィルムを形成する能力を有すること、また、フッ素を含有しない化学線硬化性バインダーコポリマーを含む対照インクから得られる対照カラーフィルムに対して増大した、シリコーン−ヒドロゲルレンズ配合物中、溶媒和状態での耐久性を有することを特徴とする。本発明はまた、カラーコンタクトレンズを製造するためのプリントオンモールドプロセスに基づくカラーシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、全体として参照により本明細書に組み入れられる、2006年12月13日出願の米国仮特許出願第60/869,817号の、米国特許法第119条(e)項に基づく恩典を主張する。
【0002】
本発明は、化学線硬化性または熱硬化性のインク、およびカラーコンタクトレンズの製造方法、特に、カラーシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズに関するものである。
【背景技術】
【0003】
近年、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、それらの高い酸素透過性および快適さが与える角膜の健康上の利点を理由としてますます人気が高まっている。カラー非シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造する各種の方法が開示されているが(例えば、いずれも参照により本明細書に組み入れられる米国特許第4,668,240号、第4,857,072号、第5,272,010号、および第5,414,477号、ならびに米国特許出願公開第2003/0054109号、第2004/0044099号、第2005/0221105号、第2006/0065138号、および第2006/0077341号の開示を参照)、目の自然な美しさを増大させるカラーシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製造方法は数種類(例えば同時係属中の米国特許出願第2005/0237483号および第2006/0055882号を参照)しか開発されていない。
【0004】
しかしながら、それら同時係属中の特許出願で開示されているインクに関連するいくつかの制限が存在する。例えば、型上にインクを印刷し、インクを硬化させ、型をレンズ配合物で満たし、型アセンブリを閉じ、最後に型内でレンズを硬化させることでカラーコンタクトレンズを製造可能なプリントオンモールドプロセスに基づいてシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造する上で、それらのインクはそれほど好適ではないことがある。非シリコーンヒドロゲルレンズ配合物とは異なり、シリコーンヒドロゲルレンズ配合物は、高い溶媒和能力を有する有機溶媒、モノマー、またはその両方を含む。型上の硬化インクまたは部分硬化インクがレンズ配合物に露出すると、硬化インクまたは部分硬化インクは、レンズ配合物中のいくつかのモノマーおよび溶媒で溶媒和し得る。硬化インクは、製造環境(例えばライン停止またはライン中継運転)において比較的長時間、必然的にレンズ配合物中に浸され得るため、硬化インクは脆弱になり得る。したがって、型上の印刷イメージは、型を閉じている間に過剰量のレンズ配合物がそれを横切って剪断される際に損傷を受けやすいことがあり、これにより印刷イメージの品質が損なわれる可能性がある。プリントオンモールドプロセスによるカラーシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製造中に、型上で硬化されたインク印刷は、型を閉めレンズ配合物を硬化させる前にレンズ配合物にそれを浸したとしても耐久性があることが望ましい。
【0005】
さらに、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製造中に、レンズを有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール)で抽出することがしばしば必要であり、かつ/または望ましい。有機溶媒での抽出中に、レンズ寸法は水中でのレンズ寸法に比べてしばしば実質的に増加する。有機溶媒でのレンズ抽出後には、水での抽出および生理食塩水での平衡化をしばしば行う。したがって、カラーシリコーンヒドロゲルレンズを有機溶媒および水で抽出する際に、大きく実質的に可逆的な寸法変化に耐えることができるシリコーンヒドロゲルバインダーポリマーおよびインク系が要求されている。硬化インクが弱すぎる場合、それが断裂するおそれがあり、印刷パターンが損傷を受ける可能性がある。したがって、有機溶媒と水溶媒との両方における硬化インク(またはバインダーポリマー)の膨張性に影響を与えるか、またはそれを調整する手段を有することが重要である。
【0006】
したがって、カラーシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造する方法、および高品質カラーイメージをその上に有するカラーシリコーンヒドロゲルレンズに適切なインクに対する要求が存在する。
【発明の概要】
【0007】
一態様では、本発明は、カラーシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製造方法であって、(a)少なくとも1種の着色剤、溶媒、および含フッ素バインダーコポリマーを含むインクを用いて、レンズ型の成形面のうち少なくとも1つの少なくとも一部に、カラーコートを適用する工程(ここで、含フッ素バインダーコポリマーは、複数のエチレン性不飽和基、1種以上の親水性ビニルモノマーから誘導される親水性セグメント、1種以上の含フッ素ビニルモノマーから誘導される含フッ素セグメント、および少なくとも1種の第1のシリコーン含有ビニルモノマーまたはマクロマーから誘導されるシリコーン含有セグメントを含み、カラーコートは、レンズ形成キャビティの内側に対して露出している第1の表面、および成形面に接触している第2の表面を含む);(b)カラーコートを硬化させて、着色剤封入ポリマーネットワーク、およびその中に封入される着色剤を含むカラーフィルムを形成する工程(ここで、含フッ素バインダーポリマー中のエチレン性不飽和基の量は、含フッ素バインダーコポリマーを化学線または熱で架橋することで、インク中に着色剤を封入可能な着色剤封入ポリマーネットワークを確実に形成できるようにするために十分である);(c)型のレンズ形成キャビティ中にレンズ形成材料を分配する工程(ここで、レンズ形成材料は、少なくとも1種の第2のシリコーン含有ビニルモノマーもしくはマクロマー、またはシリコーン含有プレポリマーを含む);ならびに(d)レンズ形成材料をレンズ形成キャビティ内で硬化させて、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを形成し、それによりカラーコートが成形面から離脱して、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの本体と一体化する工程、を含む方法を提供する。
【0008】
別の態様では、本発明は、カラーコンタクトレンズ、特にカラーシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するためのインクを提供する。本発明のインクは、少なくとも1種の着色剤、溶媒、および含フッ素バインダーコポリマーを含み、含フッ素バインダーコポリマーは、複数のエチレン性不飽和基、1種以上の親水性ビニルモノマーから誘導される親水性セグメント、1種以上の含フッ素ビニルモノマーから誘導される含フッ素セグメント、および、少なくとも1種のシリコーン含有ビニルモノマーまたはマクロマーから誘導されるシリコーン含有セグメントを含み、含フッ素バインダーポリマー中のエチレン性不飽和基の量は、含フッ素バインダーコポリマーを化学線または熱で架橋することで、インク中に着色剤を封入可能な着色剤封入ポリマーネットワークを確実に形成できるようにするために十分であり、インクは化学線または熱で硬化することで型の成形面上でカラーフィルムを形成する能力を有することを特徴とし、カラーフィルムは着色剤封入ポリマーネットワーク、およびその中に封入される着色剤を含み、カラーフィルムは、フッ素を含有しない化学線硬化性バインダーコポリマーを含む対照インクから得られる対照カラーフィルムに対して、シリコーン−ヒドロゲルレンズ配合物中、溶媒和状態での耐久性が増大していることを特徴とし、カラーフィルムはコンタクトレンズのレンズ材料に対する共有結合なしにコンタクトレンズに対する良好な付着を示す。
【0009】
さらに別の態様では、本発明は、複数のエチレン性不飽和基、1種以上の親水性ビニルモノマーから誘導される親水性セグメント、1種以上の含フッ素ビニルモノマーから誘導される含フッ素セグメント、および、少なくとも1種のシリコーン含有ビニルモノマーまたはマクロマーから誘導されるシリコーン含有セグメントを含む、化学線硬化性含フッ素コポリマーを提供する。コポリマーは、1種以上のビニルモノマーを含有する炭化水素から誘導される炭化水素セグメントを含んでいてもよい。
【0010】
さらなる態様では、本発明は、複数のエチレン性不飽和基、1種以上の親水性ビニルモノマーから誘導される親水性セグメント、1種以上の含フッ素ビニルモノマーから誘導される含フッ素セグメント、および、少なくとも1種のシリコーン含有ビニルモノマーまたはマクロマーから誘導されるシリコーン含有セグメントを含む化学線硬化性含フッ素コポリマーを含むレンズ形成流体材料の共重合により得られる、コンタクトレンズを提供する。
【0011】
本発明は前述および他の特徴を提供するものであり、本発明の利点は、本明細書に開示され、付属の図との組み合わせで読まれる例示態様の下記の詳細な説明から、さらに明らかとなるであろう。詳細な説明および図は、本発明を単に例示するものであり、添付の特許請求の範囲およびその均等物により定義される本発明の範囲を限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の態様にここで詳細に言及する。本発明の範囲または精神を逸脱せずに、本発明において各種の改変および変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。例えば、一態様の一部として例示または記載されている特徴を、別の態様について使用して、さらなる態様を生じさせることができる。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内で一般的な改変および変形を、本発明が包含することが意図される。本発明の他の目的、特徴、および局面は、下記の詳細な説明に開示されているか、またはそれより自明である。本議論は例示態様の説明であるのみであり、本発明のより広範な局面を限定するよう意図されていないということを、当業者は理解すべきである。
【0013】
別途定義されない限り、本明細書で使用するすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般に理解するものと同一の意味を有する。一般に、本明細書で使用する命名法、および実験室手順は当技術分野で周知であり、一般的に使用されている。これらの手順には、当技術分野および各種一般的参考文献において与えられるような慣用的方法が使用される。用語が単数形で与えられる場合、本発明者らはその用語の複数形も想定している。本明細書で使用する命名法、および下記の実験室手順は、当技術分野で周知であり、一般的に使用されているものである。
【0014】
本明細書で使用するコンタクトレンズの「前面(front or anterior surface)」という用語は、着用中に目から離れた側にあるレンズの表面を意味する。典型的には実質的に凸である前面は、レンズの前曲面と呼ぶこともある。
【0015】
本明細書で使用するコンタクトレンズの「後面(rear or posterior surface)」という用語は、着用中に目に面した側にあるレンズの表面を意味する。典型的には実質的に凹である後面は、レンズの底曲面と呼ぶこともある。
【0016】
「カラーコンタクトレンズ」とは、その上に印刷されたカラーイメージを有するコンタクトレンズ(ハードまたはソフト)を意味する。カラーイメージは、美容パターン、例えば虹彩様パターン、Wild Eye(商標)パターン、オーダーメイド(MTO)パターンなど;使用者がコンタクトレンズを容易に取り扱いおよび挿入することを可能にする反転マーク;トーリックレンズ用の回転マーク;または、例えば数の形態またはバーコードのいずれかでのコンタクトレンズストック保存単位(SKU)であり得る。カラーイメージは単色イメージまたは多色イメージであり得る。カラーイメージはデジタルイメージであることが好ましいが、アナログイメージでもよい。
【0017】
カラーコンタクトレンズは、本発明の方法および系を用いてコンタクトレンズ上に高品質カラーイメージを直接印刷することで製造できる。コンタクトレンズは、その上に印刷される前は透明であり得る。あるいは、コンタクトレンズは、その上に印刷される前は着色されていることがある。すなわち、本発明の印刷法を用いてそのレンズの上に印刷する前に、当技術分野で周知の方法を用いてそのレンズに着色剤を加えてもよい。
【0018】
「着色剤」とは、物品上にカラーイメージを印刷するために使用する染料もしくは顔料、またはその混合物のいずれかを意味する。
【0019】
「染料」とは、溶媒に可溶性であり、また色を付与するために使用される物質を意味する。染料は、典型的には光を透過させ(translucent)、光を吸収するが、散乱させない。染料は、コンタクトレンズの光学領域とコンタクトレンズの非光学領域の両方を被覆可能である。以下に記載の装置で使用可能である限りほぼあらゆる染料を本発明で使用することができる。これらの染料は、蛍光染料、燐光染料、および慣行的な染料を含む。
【0020】
「蛍光」とは、1つの波長での可視光線または紫外線の吸収により引き起こされるルミネセンス、およびそれに引き続くより長い波長でのほぼ即時の発光を意味する。光または入射する紫外線が停止した際に蛍光発光は終了する。
【0021】
「燐光」とは、1つの波長での放射線の吸収により引き起こされるルミネセンス、およびそれに引き続く異なる波長での遅延した発光を意味する。入射する放射線が停止した後、燐光発光は長時間続く。
【0022】
「顔料」とは、それが不溶性である液体中に懸濁する粉末状物質を意味する。顔料は色を付与するために使用される。一般に、顔料は染料よりも不透明である。
【0023】
本明細書で使用する「慣行的または非真珠光沢顔料」という用語は、散漫散乱の光学原理に基づいて色を付与する任意の吸収顔料を表すよう意図されており、その色はそのジオメトリーと関係がない。任意の適切な非真珠光沢顔料を使用できるが、非真珠光沢顔料は耐熱性であり、無毒であり、水溶液に不溶性であることが本発明では好ましい。好ましい非真珠光沢顔料の例は、医療用装置において許容され、FDAにより承認された任意の着色剤、例えばD&CブルーNo.6、D&CグリーンNo.6、D&CバイオレットNo.2、カルバゾールバイオレット、ある種の銅錯体、ある種の酸化クロム、各種の酸化鉄、フタロシアニン(PCN)グリーン、フタロシアニン(PCN)ブルー、二酸化チタンなどを含む。本発明で使用可能な着色剤のリストについてはMarmiom DM Handbook of U.S. Colorantsを参照。非真珠光沢顔料のより好ましい態様は(C.I.はカラーインデックスNo.である)、青色ではフタロシアニンブルー(ピグメントブルー15:3、C.I.74160)、コバルトブルー(ピグメントブルー36、C.I.77343)、Toner cyan BG(Clariant)、Permajet blue B2G(Clariant);緑色ではフタロシアニングリーン(ピグメントグリーン7、C.I.74260)および三酸化二クロム;黄色、赤色、褐色、および黒色では各種の酸化鉄;PR122、PY154、紫色ではカルバゾールバイオレット;黒色ではMonolith black C-K(CIBA Specialty Chemicals)を含むが、それだけに限定されない。
【0024】
「真珠光沢」とは、真珠状の光沢を有すること;物理的外見が真珠に似ていること;またはほぼ中間色でわずかに青みがかった灰色を有することを意味する。
【0025】
「真珠光沢顔料」とは、高屈折率材料の光学的に薄いコーティング(例えば金属酸化物、例えば酸化チタンまたは酸化鉄)でコーティングされた低屈折率材料の透明な薄いプレートレット(例えば透明なマイカプレートレット)であり、また薄膜干渉の光学的原理に主に基づいて色を付与する、干渉(効果)顔料のクラスを意味する。金属酸化物の光学的に薄いコーティングは、金属酸化物の単一または複数の薄層から構成することができる。プレートレットに適用される光学的に薄いコーティングは、照明および目視条件に応じて外観を変化させる干渉効果に寄与する。色は、コーティング厚さ、屈折率、および照明の角度により決定される。また、光学的に薄いコーティングは、マイカプレートレットからの部分反射、およびそれを通じた部分透過による鮮やかで深く光沢のある効果の原因である。このクラスの顔料は、真珠状の光沢および虹色の効果を与えることができる。
【0026】
酸化物コーティングを有するマイカプレートレットである真珠光沢顔料は、ニュージャージー州IselinのEnglehard Corp.から「Mearlin Pigment」系列、例えば「Hi-Lite Interference Colors」、「Dynacolor Pearlescent Pigments」、「MagnaPearl」、「Flamenco」、および「Celini Colors」として市販されている。真珠光沢顔料のさらなる製造業者は、その顔料が「Flonac Lustre Colors」という商品名を有するジョージア州SavannahのKemira, Inc.;およびその顔料が「Affair Lustre Pigments」という商品名を有するニューヨーク州HawthorneのEM Industries, Inc.である。
【0027】
インクに関して本明細書で使用する「安定な」とは、特定の時間にわたって液相分離および/または顔料沈殿および/または粘度の増加が生じないことを意味する。安定なインクは、カラー眼用レンズを製造する上でさらなる柔軟性を与えることができる。
【0028】
インクに関して本明細書で使用する「医療用装置に対する良好な付着」という用語は、コンタクトレンズ上にインクで印刷したカラーイメージが少なくとも指摩擦試験に合格可能であり、好ましくは指摩擦試験および殺菌残留試験に合格可能であることを意味する。
【0029】
「バインダーポリマー」または「バインダーコポリマー」とは、その用語が当技術分野で公知であるように、医療用装置(好ましくはコンタクトレンズ)上またはその中に着色剤を捕捉または結合させるために化学線または熱で架橋可能な架橋性ポリマーを意味する。
【0030】
重合性の組成物もしくは材料、またはレンズ形成材料の硬化または重合に関して本明細書で使用する「化学線で」とは、硬化(例えば架橋および/または重合)が、化学線照射、例えば紫外線照射、イオン化放射線(例えばγ線またはX線照射)、マイクロ波照射などにより行われることを意味する。熱硬化または化学線硬化の方法は当業者に周知である。
【0031】
「オレフィン性不飽和基」という用語は、本明細書では広い意味で使用され、少なくとも1個の>C=C<基を含有する任意の基を包含するよう意図されている。例示的なオレフィン性不飽和基は、アクリロイル、メタクリロイル、アリル、ビニル、スチレニル、または他のC=C含有基を含むが、それだけに限定されない。
【0032】
「ヒドロゲル」とは、それが完全に水和した際に少なくとも10重量パーセントの水を吸収可能なポリマー材料を意味する。一般に、ヒドロゲル材料は、さらなるモノマーおよび/またはマクロマーの存在下または非存在下での少なくとも1種の親水性モノマーの重合または共重合により得られる。
【0033】
「シリコーンヒドロゲル」とは、少なくとも1種のシリコーン含有ビニルモノマーまたは少なくとも1種のシリコーン含有マクロマーを含む重合性組成物の共重合により得られるヒドロゲルを意味する。
【0034】
本明細書で使用する「親水性」とは、脂質に対するよりも水に対してより容易に結合する材料またはその一部を表す。
【0035】
「レンズ形成材料」とは、架橋ポリマーを得るために熱または化学線で硬化(すなわち重合および/または架橋)可能な重合性組成物を意味する。レンズ形成材料は当業者に周知である。
【0036】
本明細書で使用する「ビニルモノマー」という用語は、エチレン性不飽和基を有しており、化学線または熱で重合可能な、低分子量化合物を意味する。典型的には、低分子量とは700ダルトン未満の平均分子量を意味する。
【0037】
本明細書で使用する「親水性ビニルモノマー」とは、水溶性であるか、または少なくとも10重量パーセントの水を吸収可能であるポリマーを、ホモポリマーとして典型的にもたらすビニルモノマーを意味する。
【0038】
本明細書で使用する「疎水性ビニルモノマー」とは、水に不溶性であり、10重量パーセント未満の水を吸収可能であるポリマーを、ホモポリマーとして典型的にもたらすビニルモノマーを意味する。
【0039】
「マクロマー」とは、1個以上のエチレン性不飽和基を含んでおり、化学線または熱で重合可能である、中分子量から高分子量の化合物またはポリマーを意味する。典型的には、中分子量および高分子量とは、700ダルトンを超える平均分子量を意味する。
【0040】
「ポリマー」とは、1種以上のモノマー、マクロマー、および/またはオリゴマーの重合/架橋により形成される材料を意味する。
【0041】
本明細書で使用する「プレポリマー」とは、出発ポリマーよりはるかに大きい分子量を有する架橋および/または重合ポリマーを得るために化学線または熱で硬化(例えば架橋および/または重合)可能な出発ポリマーを意味する。
【0042】
「光開始剤」とは、光の使用によりラジカル架橋/重合反応を開始する化学物質を意味する。適切な光開始剤は、ベンゾインメチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイルホスフィンオキシド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、Darocure(登録商標)タイプ、ならびにIrgacure(登録商標)タイプ、好ましくはDarocure(登録商標)1173およびIrgacure(登録商標)2959を含むが、それだけに限定されない。
【0043】
「熱開始剤」とは、熱エネルギーの使用によりラジカル架橋/重合反応を開始する化学物質を意味する。適切な熱開始剤の例は、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパンニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)、過酸化ベンゾイルなどの過酸化物などを含むが、それだけに限定されない。好ましくは、熱開始剤は2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)である。
【0044】
本明細書で使用する「相互侵入ポリマーネットワーク(IPN)」とは、少なくともその1種が、他の存在下で、合成および/または架橋されている2種以上のポリマーの密接なネットワークを広く意味する。IPNを調製するための技術は当業者に公知である。一般的手順については、その内容がいずれも参照により本明細書に組み入れられる米国特許第4,536,554号、第4,983,702号、第5,087,392号、および第5,656,210号を参照。
【0045】
「カラーコンタクトレンズを製造するためのプリントオンモールドプロセス」とは、Rawlingsらに対する米国特許第5,034,166号(参照により本明細書に組み入れられる)に記載の、カラーコンタクトレンズを成形するためのプロセスを意味する。一般に、そのようなプロセスによれば、カラーコンタクトレンズは、型上にインクを印刷し、インクを硬化させ、型をレンズ配合物(またはレンズ形成材料)で満たし、型アセンブリを閉じ、最後に型内でレンズ配合物を硬化させることで製造される。
【0046】
化学線硬化性含フッ素バインダーコポリマーを含むインク(試験)から得られるカラーフィルムに関して本明細書で使用する「増加した耐久性」は、シリコーンヒドロゲルレンズ配合物、例えばlotrafilcon Aまたはlotrafilcon Bによる溶媒和状態でのそのようなカラーフィルムが、同一のシリコーンヒドロゲルレンズ配合物による溶媒和状態での対照カラーフィルムに対して増大した引張強度の値を有するものであり、対照カラーフィルムがフッ素を含まないバインダーコポリマーを有する対照インクを硬化させて得られるということを表すよう意図されている。対照インクと試験インクとの違いはバインダーコポリマーだけであるということを理解すべきである。対照インクのバインダーコポリマーは、いかなる含フッ素セグメントも含まないが、その代わりに試験インクのバインダーコポリマーのすべてを含んでいる。
【0047】
コーティングされたコンタクトレンズに関して本明細書で使用する「増加した潤滑性」とは、コーティングされたコンタクトレンズが、コーティングされていないコンタクトレンズに対して減少した摩擦係数の平均値を有するものであり、コーティングされたコンタクトレンズとコーティングされていないコンタクトレンズとの両方が同一のコア材料から製造されているということを意味する。
【0048】
本発明は、カラーシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するためのインクおよび方法を一般に対象とする。本発明は、含フッ素セグメントを含む化学線硬化性バインダーコポリマーをプリントオンモールドプロセスを用いるカラーシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製造用のインクに使用する場合、型上で硬化されたインク印刷が、型を閉めレンズ配合物を硬化させる前にレンズ配合物にそれを浸したとしても耐久性があるという発見に部分的に基づいている。バインダーコポリマー中の含フッ素モノマーから誘導される含フッ素セグメントの存在により、シリコーン−ヒドロゲルレンズ配合物(例えばlotrafilcon Aまたはlotrafilcon B)による溶媒和状態での硬化インクの耐久性、すなわち、溶媒和状態での硬化インクの機械的強度(引張強度)、およびシリコーンヒドロゲルレンズ配合物中のモノマーおよび溶媒に対する硬化インクの耐性が増加し得ると思われる。(モノマーおよび溶媒で溶媒和している)溶媒和状態での薄いインクフィルムの良好な耐久性により、型を閉じる操作中に過剰量の配合物がそれを横切って剪断される際の剪断力による損傷を最小限に抑えることができる。また、インク中のバインダーコポリマーに含フッ素単位を組み入れることで、型上に対してインク印刷の十分な付着を付与することができると思われる。プリントオンモールド製造プロセス中、硬化インク印刷はシリコーンヒドロゲルレンズ配合物中に浸されているため、型上の位置を正確に維持するように硬化インク印刷を型に付着させなければならない。レンズ配合物の形成時に、硬化または部分硬化インク印刷は、レンズの一部となり、最終的に型から剥離されなければならない。結果として、カラーシリコーンヒドロゲルレンズを製造するためのインク中のバインダーポリマーとして化学線硬化性含フッ素バインダーコポリマーを使用することで、より高い印刷品質を有するカラーシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造することができる。
【0049】
また、シリコーンヒドロゲルインクバインダーに含フッ素モノマーを組み入れることで、硬化インクの溶解度/膨潤性の範囲を増加させることができると思われる。いくつかの場合では、ある量のモノマー(重合による未変換モノマー、または重合の最後にバインダーポリマーに再度加えられるモノマー)を有することが有利なことがある。好ましい場合は、さらなるモノマーおよび/またはマクロマーをインクに任意で直接加えてもよいことがある。インク中の未硬化モノマーを使用して、インク硬化中の粘度および収縮程度を調整することができる。未変換モノマーの程度は、硬化インクの耐久性に影響を与えることがある。多すぎる過剰量のモノマーは低いインク耐久性をもたらすことがある。
【0050】
さらに、硬化インクは有利なことに、有機溶媒と水系溶媒との両方でのレンズ抽出中に実質的に可逆的な膨張および収縮を経験し、良好な品質を維持することができると思われる。
【0051】
カラーシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造する上でのバインダーポリマーとして化学線硬化性含フッ素コポリマーを含むインクの使用に関連して、いくつかの独自の利点が存在する。第一に、そのようなインクは光硬化性または熱硬化性(thermal curable)(熱硬化性(thermo-curable))である。そのような特徴は、カラーシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ用の製造プロセスを設計する上での柔軟性を製造業者に与えることができる。第二に、インクの硬化速度論は、光開始剤の構造、光開始剤の濃度、紫外線源、紫外線強度、バインダーコポリマー中のエチレン性不飽和基の量、およびバインダーコポリマー中のエチレン性不飽和基の種類(例えばメタクリレートはアクリレートよりも硬化が遅い)を変化させることで制御可能であり得る。第三に、本発明のインクを使用して複数の印刷を有するレンズを製造することができる。これは、印刷インクが比較的速い速度で光硬化可能であり、また2つの印刷間に著しい停止時間が生じないと考えられるためである。複数の印刷を有するレンズの製造に使用するインクは、必要に応じて同時または別々に硬化することができる。第四に、本発明のインクは、カラーシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの酸素透過性に著しい悪影響を与えないと考えられる。コポリマー構造に含フッ素セグメントを組み入れることで、炭化水素モノマーに比べてインク印刷の酸素透過性がさらに増大すると予測される。第五に、型上の硬化インク印刷は耐久性があり、機械的強度がより大きく、型を閉じる間の剪断力による損傷を非常に受けにくくなる。第六に、紫外線硬化前にインクを温めるだけでインクの付着性および表面エネルギーを変えることが可能なことがある。これは、含フッ素セグメントが比較的高温で配座転位を受けやすいためである。フルオロポリマーにしばしば関連する低表面エネルギー性は、フルオロカーボン鎖またはフルオロカーボン鎖末端の表面濃度に少なくとも部分的に依存する(M. Bernett, Ind. Eng. Chem., Prod. Res. Develop., Vol 13, No 4, 1974を参照)。このため、直鎖状フルオロカーボンの側鎖が分岐状または環状フルオロカーボン単位よりも密集していることがあると予測されることがある。第七に、含フッ素バインダーコポリマーを含むインクを用いて得られるインク印刷は、汚れ(例えばタンパク質沈着)に対する耐性がより高いと考えられる。
【0052】
さらに、カラーコンタクトレンズの製造用インクに使用する際に、シリコーンヒドロゲルコポリマーの膨張または収縮の程度を制御することができる。一般に、レンズ製造中にこれらの材料と溶媒および/またはモノマーとが接触することがある。モノマーおよび/または溶媒に対する露出中に印刷パターンが著しい不可逆的膨張を経る場合、最終印刷品質が損なわれると考えられる。
【0053】
さらに、シリコーンとフルオロの両方を含有する材料は、比較的低い表面張力を有すると予測される。したがって、フルオロシリコーン−ヒドロゲルコポリマーは、低表面エネルギー表面上での印刷について良好な湿潤性を有すると予測される。これは、比較的低い表面エネルギーを有する型(例えばポリプロピレン型または他のプラスチック型)上での印刷、またはシリコーンヒドロゲルレンズ上に対する直接印刷に有利であると考えられる。
【0054】
本発明によれば、化学線硬化性含フッ素コポリマーは、複数のエチレン性不飽和基、1種以上の親水性ビニルモノマーから誘導される親水性セグメント、1種以上の含フッ素ビニルモノマーから誘導される含フッ素セグメント、および、少なくとも1種の第1のシリコーン含有ビニルモノマーまたはマクロマーから誘導されるシリコーン含有セグメントを含む。好ましくは、バインダーコポリマー中のエチレン性不飽和基の量は、含フッ素バインダーコポリマーを化学線または熱で架橋することで、インク中に着色剤、例えば顔料を封入可能な着色剤封入ポリマーネットワークを確実に形成できるようにするために十分な量である。
【0055】
好ましくは、本発明の化学線硬化性含フッ素コポリマーは、ヒドロキシル基(−OH)、第一級アミノ基(−NH)、第二級アミノ基(−NHR)、カルボキシ基(−COOH)、エポキシ基、アルデヒド基(−CHO)、アミド基(−CONH)、酸ハロゲン化物基(−COX、X=Cl、Br、またはI)、イソチオシアナト基、イソシアナト基、ハロゲン化物基(−X、X=Cl、Br、またはI)、酸無水物基、およびその組み合わせからなる群から好ましく選択されるペンダント官能基を有する含フッ素コポリマーのエチレン性官能化誘導体である。コポリマーは炭化水素モノマーセグメントを含んでいてもよい。
【0056】
本明細書で使用する「エチレン性官能化」という用語は、ペンダント官能基を有するシリコーン含有ポリマーにエチレン性不飽和基を導入することを表すよう意図されている。
【0057】
好ましい一態様では、ペンダント官能基を有する含フッ素コポリマーは、(a)少なくとも1種の含フッ素ビニルモノマー、(b)少なくとも1種の親水性ビニルモノマー、(c)少なくとも1個の官能基を含む少なくとも1種の官能化用ビニルモノマー、および(d)少なくとも1種のシリコーン含有ビニルモノマーまたはマクロマーを含む重合性組成物の共重合物である。重合性組成物は、重合開始剤(すなわち光開始剤または熱開始剤)、好ましくはインク中で使用される溶媒である溶媒、および連鎖移動剤を含んでいてもよい。
【0058】
別の態様では、ペンダント官能基を有する含フッ素コポリマーは、(a)少なくとも1種の含フッ素ビニルモノマー、(b)少なくとも1種の親水性ビニルモノマー、(c)官能基を有する共重合物を得るために連鎖移動基および官能基を含む少なくとも1種の連鎖移動剤を含む重合性組成物の共重合物である。重合性組成物は、重合開始剤(すなわち光開始剤または熱開始剤)、および好ましくはインク中で使用される溶媒である溶媒を含んでいてもよい。
【0059】
本発明によれば、任意の含フッ素モノマーを本発明で使用できる。好ましくは、含フッ素モノマーは、それ自体約4個〜約20個、好ましくは6個〜約15個の炭素原子を含み、ポリフッ素化モノマーとも時々呼ばれるモノマー分子当たり、少なくとも3個のフッ素原子を含む。十分に高い表面濃度のフルオロ基(例えばCF)を有するポリマーは低い表面エネルギーを有する。
【0060】
好ましいフッ素化モノマーは、2−(N−エチル−ペルフルオロオクタンスルホンアミド)−エチルアクリレート(FX−13)、2−(N−エチル−ペルフルオロオクタンスルホンアミド)エチルメタクリレート(FX−14)、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート(TEM)、1,1−ジヒドロペルフルオロエチルアクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルアクリレート(DFHA)、ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、ペンタフルオロスチレン(PFS)、トリフルオロメチルスチレン、ペンタフルオロエチルアクリレート、ペンタフルオロエチルメタクリレート、ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート(HFIPMA)、メタクリレート官能化フッ素化ポリエチレンオキシドなどを含む。モノマー分子当たり3個〜約20個のフッ素原子を含む好ましいフッ素化モノマーは、アクリル酸またはメタクリル酸のアミドまたはエステルである。モノマー分子当たり3個〜約20個のフッ素原子を含む特に好ましいフッ素化モノマーは、13個または14個の炭素原子を含むFX−13、FX−14、および1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、ならびに6個〜8個の炭素原子を含むPFSおよびHFIPMAである。これらのモノマーのうち最も好ましいものは、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、ペルフルオロシクロヘキシルメタクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルアクリレート、アクリル酸またはメタクリル酸のスルホンアミドエチルエステルであるFX−13およびFX−14である。
【0061】
ほぼあらゆる親水性ビニルモノマーを、本発明の流体組成物中で使用することができる。適切な親水性モノマーは、ヒドロキシル置換低級アルキル(C1〜C8)アクリレートおよびメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、(低級アリル)アクリルアミドおよびメタクリルアミド、エトキシ化アクリレートおよびメタクリレート、ヒドロキシル置換(低級アルキル)アクリルアミドおよびメタクリルアミド、ヒドロキシル置換低級アルキルビニルエーテル、ビニルスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−ビニルピロール、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ビニルオキサゾリン、2−ビニル−4,4’−ジアルキルオキサゾリン−5−オン、2−および4−ビニルピリジン、合計3〜5個の炭素原子を有するビニル不飽和カルボン酸、アミノ(低級アルキル)−(「アミノ」という用語は四級アンモニウムも含む)、モノ(低級アルキルアミノ)(低級アルキル)、およびジ(低級アルキルアミノ)(低級アルキル)アクリレートおよびメタクリレート、アリルアルコールなどであるが、これは網羅的なリストではない。
【0062】
好ましい親水性ビニルモノマーとしては、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、トリメチルアンモニウム2−ヒドロキシプロピルメタクリレート塩酸塩、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、グリセリンメタクリレート(GMA)、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、アリルアルコール、ビニルピリジン、N−(1,1ジメチル−3−オキソブチル)アクリルアミド、アクリル酸、およびメタクリル酸がある。
【0063】
少なくとも1個の官能基を含む任意の公知の適切なビニルモノマーを、本発明において官能化用ビニルモノマーとして使用することができる。そのようなビニルモノマーの好ましい例は、メタクリル酸(MAA)、アクリル酸、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、HEMA、HEA、メタクリル酸無水物、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド(NHMA)、2−ブロモエチルメタクリレート、およびビニルベンジルクロリドを含む。
【0064】
ペンダント官能基を有するシリコーン含有ポリマーを調製するための重合性組成物における親水性ビニルモノマーと官能化用ビニルモノマーの両方として、ビニルモノマーを使用できることを理解すべきである。好ましくは、親水性ビニルモノマーは官能基を含まない(例えばDMA、NVP)。
【0065】
任意のシリコーン含有モノマーを本発明において使用できる。シリコーン含有モノマーの例は、メタクリルオキシアルキルシロキサン、3−メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサン、ビス(メタクリルオキシプロピル)テトラメチル−ジシロキサン、モノメタクリル化ポリジメチルシロキサン、モノアクリル化ポリジメチルシロキサン、メルカプト末端のポリジメチルシロキサン、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]アクリルアミド、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]メタクリルアミド、およびトリストリメチルシリルオキシシリルプロピルメタクリレート(TRIS)、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]メタクリルアミド(「TSMAA」)、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]アクリルアミド(「TSAA」)、2−プロペン酸、2−メチル−,2−ヒドロキシ−3−[3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロポキシ]プロピルエステル((3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシランと命名してもよい)、(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、ビス−3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン、3−メタクリルオキシ−2−(2−ヒドロキシエトキシ)プロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチル−シラン、N,N,N’,N’−テトラキス(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−α,ω−ビス−3−アミノプロピル−ポリジメチルシロキサン、ポリシロキサニルアルキル(メタ)アクリルモノマー、シリコーン含有ビニルカーボネートまたはビニルカルバメートモノマー(例えば1,3−ビス[4−ビニルオキシカルボニルオキシ)ブト−1−イル]テトラメチル−ジシロキサン;3−(トリメチルシリル)プロピルビニルカーボネート、3−(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル−[トリス(トリメチルシロキシ)シラン]、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカーボネート、t−ブチルジメチルシロキシエチルビニルカーボネート;トリメチルシリルエチルビニルカーボネート、およびトリメチルシリルメチルビニルカーボネート)を含むが、それに限定されない。好ましいシロキサン含有モノマーは、3−メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シランと呼ばれ、CAS No.17096−07−0で表されるTRISである。「TRIS」という用語は、3−メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シランのダイマーも含む。様々な分子量のモノメタクリル化またはモノアクリル化ポリジメチルシロキサンを使用できることがある。二官能性マクロマーは重合中に架橋を引き起こす。様々な分子量のジメタクリル化またはジアクリル化ポリジメチルシロキサンは、バインダー製造にはより好ましくない。バインダー調製中のジメタクリル化またはジアクリル化ポリジメチルシロキサンの存在は、重合が比較的低い転化率で終了しない限り、架橋をもたらすと考えられる。所望であれば、バインダー重合が終了した後に、ジメタクリル化またはジアクリル化ポリジメチルシロキサンとインクまたはインクバインダーコポリマーとブレンドすることができる。光硬化性バインダーポリマーについては、バインダーポリマーの調製に使用するシリコーン含有モノマーは、良好な加水分解(または求核)安定性を有することが好ましいと考えられる。
【0066】
任意の公知の適切なシリコーン含有マクロマーを使用して、ペンダント官能基を有する含フッ素コポリマーを調製することができる。特に好ましいシリコーン含有マクロマーは、全体として参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,760,100号に記載のマクロマーA、マクロマーB、マクロマーC、およびマクロマーDからなる群から選択される。ポリジメチルシロキサンおよびポリアルキレンオキシドからなるジブロックおよびトリブロックマクロマーも有用であり得る。そのようなマクロマーは、アクリレート基、メタクリレート基、またはビニル基で一官能化または二官能化し得る。例えば、酸素透過性を増大させるために、メタクリレート末端ポリエチレンオキシド−ブロック−ポリジメチルシロキサン−ブロック−ポリエチレンオキシドを使用できることがある。
【0067】
連鎖移動剤は、1個以上のチオール基、例えば2個、最も好ましくは1個のチオール基を含み得る。適切な連鎖移動剤は、さらなる官能基、例えばヒドロキシ、アミノ、N−C1−C6−アルキルアミノ、カルボキシを有する有機一級チオールまたはメルカプタン、またはその適切な誘導体を含む。好ましい連鎖移動剤は、2個〜約24個の炭素原子を有し、アミノ、ヒドロキシ、およびカルボキシから選択されるさらなる官能基を有する、脂環式チオール、または好ましくは脂肪族チオールである。したがって、好ましい連鎖移動剤は、脂肪族メルカプトカルボン酸、ヒドロキシメルカプタン、またはアミノメルカプタンである。官能基を有する特に好ましい連鎖移動剤の例は、チオグリコール酸、2−メルカプトエタノール、エタンジチオール、プロパンジチオール、および2−アミノエタンチオール(システアミン)である。アミンまたはカルボン酸の場合、連鎖移動剤は、遊離アミンまたは遊離酸の形態、あるいは好ましくはその適切な塩、例えばアミンの場合で塩酸塩、または酸の場合でナトリウム塩、カリウム塩、もしくはアミン塩の形態であり得る。2個以上のチオール基を有する連鎖移動剤の一例は、1当量のジエチレントリアミンと約2当量のγ−チオブチロラクトンとの反応生成物である。
【0068】
本発明によれば、ペンダント官能基を有する含フッ素コポリマーを調製するための重合性組成物は、他の成分、例えば1種以上の疎水性ビニルモノマー、架橋剤を任意で含んでもよい。
【0069】
本発明によれば、化学線硬化性含フッ素コポリマーは、ペンダント官能基を有する含フッ素コポリマーと、エチレン性不飽和基、および含フッ素コポリマーの官能基の1個と反応して共有結合を形成可能な基を含むエチレン性官能化剤とを反応させることにより得られる。公知の反応条件、例えば酸化還元条件、脱水濃縮条件、付加条件、置換(substitution)(または置き換え(displacement))条件、2+2環化付加反応、ディールス−アルダー反応条件、ROMP(開環メタセシス重合)条件、加硫条件、カチオン性架橋条件、およびエポキシ硬化条件で、一対の適切な官能基が共有結合(covalent bond or linkage)を形成できることは、当技術分野で周知である。例えばヒドロキシル基、アミノ(一級もしくは二級)基、または酸基はイソシアナト基と共有結合可能であり、アミノ基はアルデヒドと共有結合可能であり(アルデヒド基およびアミノ基から形成されるシッフ塩基はさらに還元可能である)、ヒドロキシル基またはアミノ基はカルボキシル基と共有結合可能である。
【0070】
好ましいエチレン性官能化剤の例は、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレート(IEM)、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド(NHMA)、アクリロイルクロリド、メタクリロイルクロリド、メタクリル酸、アクリル酸、2−ブロモエチルメタクリレート、およびメタクリル酸無水物を含むが、それだけに限定されない。
【0071】
スキーム1は、本発明の好ましい化学線硬化性含フッ素コポリマーを調製するための2工程プロセスを例示する。第1の工程では、溶媒(例えば酢酸エチル)、熱開始剤(例えばAIBN)、連鎖移動剤(例えば2−メルカプトエタノール)、官能基を含まない親水性ビニルモノマー(例えばDMA)、少なくとも1個の官能基を有するビニルモノマー(例えばHEMA、MAA、またはグリシジルメタクリレート)、アルコキシシランモノマー(例えばTRIS)、モノメタクリル化ポリジメチルシロキサン、および含フッ素ビニルモノマー(例えば1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルアクリレート)を含む重合性組成物において、熱で共重合反応を開始させる。共重合を熱または紫外線のいずれかで開始可能であることが理解される。プロセスの第2の工程では、シリコーン含有ポリマーを化学線硬化性含フッ素コポリマーに変換する。
【0072】
【化1】

【0073】
スキーム中で列挙される材料の略語は下記の通りである:DMA=N,N−ジメチルアクリルアミド;HEMA=2−ヒドロキシエチルメタクリレート;TRIS=3−メタクリルオキシプロピル−トリス(トリメチルシロキシ)シラン;PDMS−MA=モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(例えばGelest Corporationから入手可能なMCR-M17);IEM=2−イソシアナトエチルメタクリレート;EtOAc=酢酸エチル;DBTDL=ジブチルスズジラウレート;AIBN=2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル);R=直鎖状、分岐状、もしくは環状のペルフルオロアルキル基、または部分フッ素化アルキル基(例えば−CH2n+1);Rは水素またはメチルである。
【0074】
典型的には、本発明のインクは、溶媒、着色剤、およびバインダーポリマーとしての本発明の化学線硬化性含フッ素コポリマー(下記参照)を含む。
【0075】
溶媒は、水、有機溶媒もしくは無機溶媒、いくつかの有機溶媒の混合物、または水と1種以上の水溶性もしくは水混和性有機溶媒との混合物であり得る。本発明のインクにバインダーを溶解させることができ、着色剤の安定性を助けることができる限り、あらゆる公知の適切な溶媒を使用可能である。例示的な溶媒は、水、アセトン、アルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、2−エトキシエタノールなど)、グリコール、ケトン、エステル、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセトフェノン、二塩化メチレン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、二塩化エチレン、イソホロン、o−ジクロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ジアセトンアルコール、メチルエチルケトン、アセトン、2−ニトロプロパン、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレンカーボネート、シクロヘキサノール、クロロホルム、トリクロロエチレン、1,4−ジオキサン、酢酸エチル、乳酸エチル、エチレングリコールモノブチルエーテル、クロロベンゼン、ニトロエタン、エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ブチル、1−ブタノール、メチルイソブチルケトン、ニトロメタン、トルエン、エタノール、ジエチレングリコール、ベンゼン、ジエチルエーテル、エタノールアミン、四塩化炭素、プロピレングリコール、ヘキサン、エチレングリコール、およびホルムアミドを含むが、それだけに限定されない。
【0076】
着色剤は、染料、または好ましくは顔料であり得る。一般に、染料は、顔料が与えることが可能な非常に不透明な印刷を与えることができない。好ましくは、本発明のインク中の着色剤は少なくとも1種の顔料を含む。着色剤は、一緒になって所望の色を与える2種以上の顔料の混合物でもあり得る。これは、2種以上の原色を一緒に混合するだけで任意の色を得ることができるためである。本明細書で定義する「原色」とは、シアン、イエロー、マゼンタ、ホワイト、およびブラックを意味する。着色剤は、少なくとも1種の顔料と少なくとも1種の染料との混合物でもあり得る。どのようにして着色剤を選択するかは当業者に公知であろう。
【0077】
非真珠光沢顔料は、約5ミクロン以下の大きさであることが好ましい。顔料の大きい粒子をより小さい粒子に粉砕することができる。当技術分野で公知の任意の数の方法を使用して顔料を粉砕することができる。顔料の粒径を減少させる例示的な好ましい方法は、高速ミキサー、Kady Mills(ローターステーター分散装置)、コロイドミル、ホモジナイザー、マイクロ流動化装置、ソナレーター、超音波ミル、ロールミル、ボールミル、ローラーミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、バリキネティックディスペンサー(varikinetic dispensers)、三本ロールミル、バンバリーミキサー、または当業者に周知の他の方法を含む。真珠光沢顔料の場合、加工中にプレートレットの破壊を最小限に抑え、十分なレベルの分散を維持することが重要である。真珠光沢顔料は、混合中に穏やかに取り扱う必要があり、また、粉砕するか、または長時間の混合、微粉砕、もしくは高剪断に供するべきではないが、これはそのような操作が顔料を損傷し得るためである。粒径分布、形状、および配向が最終的な外観に強く影響を与える。真珠光沢顔料の微粉砕、高剪断混合、または長時間加工は避けるべきである。これは、そのような操作が金属酸化物コーティング層の剥離、プレートレットの断片化、プレートレットの凝集、およびプレートレットの圧縮をもたらすことがあるためである。金属酸化物の剥離、圧縮、断片化、および凝集は、真珠光沢効果を減少させると考えられる。
【0078】
本発明のインクは、シリコーンヒドロゲルとのその相溶性を増大させるために、DMA、TRIS、およびPDMS−MA(モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン)などの重合性成分をさらに含み得る。バインダー中の重合性モノマーまたはマクロマーの割合は、インクおよびバインダーの特性(例えば粘度、硬化、膨潤性、硬化インクの強度)に影響を与えると予測される。バインダーコポリマーに対するそのような材料の割合は、完成したバインダーコポリマーにそのような材料を直接加えることで調整できる。あるいは、低モノマー転化率でバインダー重合を終了できることもある。
【0079】
本発明のインクを熱開始剤、または好ましくは光開始剤の助けにより硬化させることもできる。任意の適切な光開始剤をインク配合物において使用できる。光開始剤の例は、Irgacure 2959、Irgacure 907、Irgacure 500、Irgacure 651、Irgacure 369、Daracure 1173、およびDaracure 4265を含むが、それだけに限定されない。さらに、開始剤の組み合わせを使用できる。インク配合物中の顔料は、インク配合物中の光硬化性基に到達する紫外線の量を遮断または減少させることができ、それにより硬化速度を減少させる。広い紫外線吸収スペクトルを有する光開始剤を使用してそのような問題の軽減に役立てることができる。例えば、Irgacure 907およびIrgacure 369は、より長い紫外領域において強力な紫外線吸収を示し、暗色インクの硬化に有効である。IrgacureおよびDarcure開始剤はCIBA specialty chemicalsから入手可能である。さらなる開始剤はVAZO-52、VAZO-64、VAZO-67、およびVAZO 88を含む。光開始剤をインクに加えてインクの光硬化を促進することもできる。
【0080】
バインダーポリマーのエチレン性不飽和基の量および種類を変えることで、インク硬化の速度論を調節することができる。例えば、バインダーポリマーのメタクリレート基の量を増加させることで、硬化条件の所与のセットでのインクのゲル化に必要な時間が減少すると考えられる。バインダーポリマーと所与の量のエチレン性不飽和基との反応性は、メタクリレート基よりもむしろアクリレート基の使用により増加させることができる。
【0081】
本発明によれば、含フッ素バインダーコポリマー中のエチレン性不飽和基の量は、含フッ素バインダーコポリマーを化学線または熱で架橋することで、インク中に存在する定着剤なしにインク中に着色剤を封入可能な着色剤封入ポリマーネットワークを確実に形成できるようにするために十分でなければならない。
【0082】
バインダーポリマー中のエチレン性不飽和基の量を変えることで、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ上の硬化インク(すなわちカラーコートまたはフィルム)の弾性率を制御することもできる。例えば、バインダーポリマー中のエチレン性不飽和基の量を減少させることでインクの弾性率が低下すると考えられる。この特徴は、カラーシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの弾性率に対する硬化インクの効果についてある程度の制御を可能にすると考えられる。バインダーポリマー配合物中での親水性成分および疎水性成分の比、開始剤の比、ならびに連鎖移動剤の比を調整することで、インクの他の特性(弾性率を含む)を調節することができる。そのような調整は、インクとレンズとの間のよりよい特性マッチ、例えば膨潤性を可能にする。
【0083】
本発明のインクは、熱開始剤、光開始剤、界面活性剤、湿潤剤、抗菌剤、酸化防止剤、凝固防止剤、および当技術分野で公知の他の添加剤からなる群から選択される1種以上の成分をさらに含み得る。
【0084】
本発明のインクは、定着剤を任意で含んでもよいが、含まないことが好ましい。定着剤は、インクの保存寿命を短くすることがあり、したがって工業用設定での使用は望ましくない。「定着剤」とは、2個以上の官能基を含み、ポリマーまたはコポリマーではない、化合物(または架橋剤)を意味する。架橋剤分子を使用して2つ以上のモノマーまたはポリマー分子を架橋することができる。多くの異なる架橋反応を使用して、着色分子を封入する異なるバインダーポリマー分子間の化学結合を引き起こすことが可能なことがある。大部分の架橋剤は、二官能性または多官能性の反応性基により同定される。例えば、ジフェノール、ジエポキシド(例えばビスフェノール、ジエポキシド、もしくはエピクロロヒドリン)、ジメラミン、ジイソシアネート(例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、2,4−トルエンジイソシアネート、もしくはビス(イソシアナトフェニル)メタン)、またはジアルデヒドの樹脂、もしくは複数の混合官能基を有する樹脂が使用可能なことがある。多官能性基を有する架橋剤の例は、(HOHCPh)−Rの構造を有する多官能性フェノール;(CHOCH)−Rの構造を有する多官能性エポキシド;(HCO)−Rまたは(CHCO)−Rの構造を有する多官能性アルデヒド;(OCN)−Rの構造を有する多官能性イソシアネート;(HOHC−MeI)−Rの構造を有するメラミン樹脂(式中、Phはフェノール基であり、Rは脂肪族、脂環式、脂肪族−脂環式、芳香族、脂肪族−芳香族炭化水素、ビニルアルコール、ビニルブチラール、または酢酸ビニルであり得るものであり、nは1を超える数である)を含むが、それだけに限定されない。
【0085】
本発明によれば、希釈剤は溶媒、または1種以上のビニルモノマーの溶液であり得る。
【0086】
本発明の好ましい一態様では、本発明のインクは、溶媒を約10重量%〜99重量%、好ましくは約20重量%〜95重量%、より好ましくは約30重量%〜80重量%の量で、本発明の化学線硬化性含フッ素コポリマーを約1重量%〜約90重量%、好ましくは約10重量%〜約80重量%、より好ましくは約25重量%〜約75重量%の量で、着色剤を約0.0〜約25重量%、好ましくは約0.05重量%〜約20重量%、より好ましくは約0.1重量%〜15重量%の量で、重合開始剤を約0〜約5重量%、好ましくは約0.02重量%〜約2.5重量%、より好ましくは約0.05重量%〜2.0重量%の量で含む。
【0087】
本発明によれば、本発明のインクを化学線または熱で硬化させることで型の成形面上でカラーフィルムを形成することができる。カラーフィルムは、着色剤封入ポリマーネットワーク、およびその中に封入される着色剤を含み、また、フッ素を含有しない化学線硬化性バインダーコポリマーを含む対照インクから得られる対照カラーフィルムに対してシリコーン−ヒドロゲルレンズ配合物中、溶媒和状態での耐久性が増大することを特徴とする。
【0088】
また、カラーフィルムは、コンタクトレンズのレンズ材料に対する共有結合なしにコンタクトレンズに対する良好な付着を示す。レンズ材料は、硬化時に硬化または部分硬化インクフィルムとIPNを形成すると思われる。
【0089】
本明細書に開示されているインクは、シリコーンヒドロゲルレンズで使用するために設計されているが、適切な組成の非シリコーンヒドロゲル(例えば低含水量配合物)で使用可能なことがある。
【0090】
本発明はまた、カラーシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するための方法であって、(a)少なくとも1種の着色剤、溶媒、および含フッ素バインダーコポリマーを含むインクを用いて、レンズ型の成形面のうち少なくとも1つの少なくとも一部にカラーコートを適用する工程(ここで、含フッ素バインダーコポリマーは、複数のエチレン性不飽和基、1種以上の親水性ビニルモノマーから誘導される親水性セグメント、1種以上の含フッ素ビニルモノマーから誘導される含フッ素セグメント、および、少なくとも1種の第1のシリコーン含有ビニルモノマーまたはマクロマーから誘導されるシリコーン含有セグメントを含み、カラーコートは、レンズ形成キャビティの内側に対して露出している第1の表面、および成形面に接触している第2の表面を含む);(b)カラーコートを硬化させて、着色剤封入ポリマーネットワーク、およびその中に封入される着色剤を含むカラーフィルムを形成する工程(ここで、含フッ素バインダーコポリマー中のエチレン性不飽和基の量は、含フッ素バインダーコポリマーを化学線または熱で架橋することで、に着色剤を封入可能な着色剤封入ポリマーネットワークを確実に形成できるようにするために十分である);(c)型のレンズ形成キャビティ中にレンズ形成材料を分配する工程(ここで、レンズ形成材料は、少なくとも1種の第2のシリコーン含有ビニルモノマーもしくはマクロマー、またはシリコーン含有プレポリマーを含む);ならびに(d)レンズ形成材料をレンズ形成キャビティ内で硬化させて、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを形成し、それによりカラーコートが成形面から離脱して、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの本体と一体化する工程を含む方法を提供する。
【0091】
コンタクトレンズを製造するためのレンズ型は当業者に周知であり、例えばキャストモールディングまたはスピンキャスティングにおいて使用される。例えば、型(キャストモールディング用)は少なくとも2つの型部分(sections)(もしくは部分(portions))または半割型(mold halves)、すなわち第1および第2の半割型を一般に含む。第1の半割型は第1の成形(または光学)面を画定し、第2の半割型は第2の成形(または光学)面を画定する。第1および第2の半割型は、第1の成形面と第2の成形面との間にレンズ形成キャビティが形成されるようにお互いを受け止めるよう構成されている。半割型の成形面は型のキャビティ形成面となり、レンズ形成材料と直接接触する。
【0092】
一般に、コンタクトレンズをキャストモールディングするための型部分を製造する方法は当業者に周知である。本発明のプロセスは、型を形成する任意の特定の方法に限定されない。事実、型を形成する任意の方法を本発明で使用することができる。第1および第2の半割型は、射出成形または旋盤加工などの各種技術を通じて形成できる。半割型を形成するための好適なプロセスの例は、やはり参照により本明細書に組み入れられる、Schadに対する米国特許第4,444,711号;Boehmらに対する米国特許第4,460,534号;Morrillに対する米国特許第5,843,346号;およびBonebergerらに対する米国特許第5,894,002号に開示されている。
【0093】
型の製造用として当技術分野で公知の実質的にすべての材料を使用して、コンタクトレンズの製造用の型を製造することができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、PMMA、Topas(登録商標)COCグレード8007-S10(ドイツ・フランクフルトおよびニュージーランド州SummitのTicona GmbHによるエチレンとノルボルネンとの透明非晶質コポリマー)などのポリマー材料を使用することができる。紫外線透過を可能にする他の材料、例えば石英ガラスおよびサファイアが使用可能なことがある。
【0094】
任意の印刷技術、例えばパッド転写印刷(もしくはパッド印刷)、またはインクジェット印刷に従って、型の成形面にインクを適用することができる。他の種類の印刷技術もレンズおよび/または型の印刷に使用できることがあることが理解される。
【0095】
パッド転写印刷では、カラーイメージをパッド転写装置上に配置または印刷し、パッド転写装置上のイメージを別の表面、例えばポリマーまたはレンズに転写する(全体として参照により本明細書に組み入れられる、Spivackに対する米国特許第3,536,386号;Knappに対する米国特許第4,582,402号および第4,704,017号;Rawlingsらに対する米国特許第5,034,166号)。下記はこの印刷の典型例である。金属にイメージをエッチングしてクリシェを形成する。クリシェをプリンタ内に配置する。プリンタに配置されると、クリシェは、開放式インクつぼドクタリングシステム、またはイメージを横切って滑動する密閉式インクカップを用いてインク適用される。次に、シリコーンパッドで、クリシェからインク適用したイメージを取り出し、イメージをコンタクトレンズに転写する。シリコーンパッドは、弾性が変化し得るシリコーンを含む材料からできている。シリコーン材料の特性は、インクがパッドに一時的に固着し、また、それがコンタクトレンズまたは型に接触した際にパッドから完全に剥離することを可能にする。適切なパッド転写印刷構造は、Tampo型印刷構造(Tampo vano 90/130)、ゴムスタンプ、シンブル、ドクターズブレード、直接印刷、または当業者に公知の転写印刷を含むが、それに限定されない。パッド印刷操作用のインクは、下記の特性のうち1つ以上を有することが好ましいと考えられる:約50,000cps未満、好ましくは約5000cps未満、最も好ましくは1500cps未満の粘度、約5μm未満の粒径(非真珠光沢顔料)、約20mN/m〜約60mN/mの表面張力、長期安定性(すなわち約4時間、好ましくは少なくとも8時間、より好ましくは24時間、さらに好ましくは少なくとも7日間、最も好ましくは少なくとも3週間安定)、適切な色レベル(目視可能)、医療用装置に対する良好な付着、および型中で製造される医療用装置に対する型からの良好な転写。インクの物理安定性はその化学安定性とは異なる可能性がある。例えば、顔料はインクから沈降することがある(物理現象)が、インクは著しい化学反応を経ていないことがある。そのような状況では、単に撹拌または再混合することでインクを利用可能な状態に修復することができる。顔料の沈降を遅延または排除する他の手段は、添加剤の使用、pHの変更、インライン混合、冷凍、顔料の粒径の変更、および顔料粒子の顔料に対するコーティングを含むが、それだけに限定されない。
【0096】
本発明のインクおよびバインダーポリマーを、パッド印刷操作だけではなく、インクジェット印刷操作でも使用可能であることを理解すべきである。しかしながら、配合物の調整がインクジェット印刷操作で必要になる傾向があると考えられる。インクジェット用途では、本発明のインクは下記の特性のうち1つ以上を有する:約50センチポイズ(cps)未満、好ましくは約15cps未満、最も好ましくは約15cps未満の粘度、約20mN/m〜約60mN/mの表面張力、約5μm未満の粒径、長期安定性(すなわち約4時間、好ましくは少なくとも8時間、より好ましくは少なくとも24時間、さらに好ましくは少なくとも7日間、最も好ましくは少なくとも3週間安定)、適切な色レベル(目視可能)、均一な液滴形成(すなわち「コーヒーのしみ」または「ドーナツ」効果がないこと)、ジェット安定性(すなわち個々の液滴の形成が容易なこと)、医療用装置に対する良好な付着、型中で製造される医療用装置に対する型からの良好な転写、およびインクジェットノズル中のインクの安定性(最小限の乾燥またはクラスト形成効果)。
【0097】
本明細書で使用する「コーヒーのしみの出現」または「コーヒーのしみ効果」とは、コンタクトレンズまたは型上の色斑点が、暗色を有する周縁および明色を有する内部領域を有することを意味する。
【0098】
本明細書で使用する「ドーナツの出現」または「ドーナツ効果」とは、コンタクトレンズまたは型上の色斑点が、暗色の環状区域に取り囲まれている明色または無色の中心区域を有することを意味する。
【0099】
インクジェット印刷プロセスを用いるレンズの印刷は、全体として参照により本明細書に組み入れられる、米国特許出願公開第2001/0050753号、第2001/0085934号、第2003/0119943号、および第2003/0184710号に記載されている。
【0100】
本発明によれば、本発明のインクをパッド転写印刷(またはパッド印刷)によって一方または両方の型部分の成形面に適用することでカラーコート(カラーイメージ付き)を形成することができる。コンタクトレンズの後面(凹面)を画定する成形面、もしくはコンタクトレンズの前面を画定する成形面、または両方の型部分にカラーコートを適用することができる。好ましくは、コンタクトレンズの後面を画定する成形面にカラーコート(カラーイメージ付き)を適用する。しかしながら、コンタクトレンズの前面と後面との両方にパターンを与えることで得られる特殊な美容効果が存在する。例えば、レンズの後面を画定する成形面に1種の色のカラーパターンを適用することができ(例えば白色)、レンズの前面を画定する成形面に同一または異なるカラーパターンを適用することができる(例えば濃青色)。これにより、非常に実物そっくりの外観を目指した多色模様の外観か、または観察者において後方反射する、白色背景を用いるより明るい色相のいずれかを有することができるレンズがもたらされると考えられる。
【0101】
レンズが自然な外観を有するよう意図されている場合、レンズに適用されるパターンは空隙を含むことが好ましい。そのようなパターンは、Evansらに対する米国特許第5,160,463号、およびJahnkeに対する米国特許第5,414,477号に開示されている(全体として参照により本明細書に組み入れられる)。典型的には、空隙はパターンの面積の約5〜約80%を構成する。一方、パターンはレンズの虹彩領域におけるレンズ(またはレンズの虹彩領域に対応する成形面のその部分)の面積の50%〜全部を占めることが好ましい。着色剤が不透明である場合、虹彩に対応するレンズの部分のみが通常印刷され、瞳孔部分は透明な、またはティント着色されたままである。虹彩より直径が大きいレンズでは、虹彩を超えて延伸するレンズの部分は印刷されないままであり得る。どのようにしてカラーパターンを設計するかは当業者に周知であろう。
【0102】
場合により、パッド転写印刷またはインクジェット印刷でインクを適用する前に、型の成形面に転写性透明コーティングを任意で適用してもよい。「転写性透明コーティング」は、型の成形面から離れて、型で成形されるコンタクトレンズの本体と一体化することができる、透明コーティングを表すよう意図されている。任意の好適な技術、例えばスプレー、印刷、スピンコーティング、または浸漬により、転写性透明コーティングを型の成形面に適用することができる。重合性成分、好ましくは本発明の化学線硬化性含フッ素コポリマーを含み、着色剤を含まない溶液のコーティングを適用することで、転写性透明コーティングを得ることができる。例えば、使用されるインクの組成物(着色剤なし)を有する溶液、または使用される本発明の化学線硬化性含フッ素コポリマーもしくはレンズ形成材料の溶液を成形面にスプレーすることで、実質的に均一な厚さ(200ミクロン未満)を有する転写性透明コーティングを調製することができる。この転写性透明コーティングを任意で硬化させて、転写性透明フィルム(顔料を有さないが、反応性染料を含む染料を任意で有する)を形成してもよい。次に、この転写性のコーティングまたはフィルムに、本発明のインクで1つ以上のカラーパターンを印刷することができる。印刷前に転写性透明コーティングを適用することで、転写性透明コーティングに由来するフィルムの真下に印刷カラーパターンが埋め込まれているカラーレンズを製造することができる。そのようなレンズは、着用に際してより快適であり、カラーレンズから浸出する着色剤による影響をはるかに受けにくいものであり得る。
【0103】
本発明のインクを化学線または熱で硬化させることで、型の成形面上でカラーフィルムを形成することができる。印刷インクの化学線硬化は、それに引き続くレンズ形成材料の充填により得られるカラーコートのパターン解像度の損失を最小限に抑える程度まで行うことが望ましい。
【0104】
任意のシリコーンヒドロゲルレンズ形成材料を本発明において使用できる。コンタクトレンズの製作に好適なシリコーンヒドロゲルレンズ形成材料は、多くの発行済米国特許に例示されており、当業者に公知である。好ましいレンズ形成材料はヒドロゲルの形成が可能である。レンズ形成材料は、1種以上のシリコーン含有ビニルモノマーもしくはマクロマーまたはシリコーン含有プレポリマー、任意で1種以上のビニルモノマーおよび/またはマクロマーを含み、光開始剤、可視ティント剤、充填剤などの各種成分をさらに任意で含む。
【0105】
本発明によれば、シリコーンヒドロゲルレンズ形成材料は、少なくとも1種のシリコーン含有モノマーもしくはマクロマーまたはシリコーン含有プレポリマーを含むものであるか、あるいはシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するための任意のレンズ配合物であり得る。例示的なシリコーンヒドロゲルレンズ配合物は、lotrafilcon A、lotrafilcon B、etafilcon A、genfilcon A、lenefilcon A、polymacon、acquafilcon A、balafilcon、sifilcon-Aなどの配合物を含むが、それだけに限定されない。シリコーンヒドロゲルレンズ形成材料は、開始剤(例えば光開始剤または熱開始剤)、可視ティント剤、紫外線遮断剤、光増感剤などの他の成分をさらに含み得る。好ましくは、本発明で使用するシリコーンヒドロゲルレンズ形成材料は、シリコーン含有マクロマーまたはシリコーン含有プレポリマーを含む。
【0106】
任意の好適なシリコーン含有モノマーを本発明において使用できる。シリコーン含有モノマーの例は上記のものを含むが、それだけに限定されない。
【0107】
1個以上のエチレン性不飽和基を有する任意の適切なシリコーン含有(またはシロキサン含有)マクロマーを使用してシリコーンヒドロゲル材料を製造することができる。特に好ましいシロキサン含有マクロマーは、全体として参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,760,100号に記載のマクロマーA、マクロマーB、マクロマーC、およびマクロマーDからなる群から選択される。2個以上の重合性基(ビニル基)を含むマクロマーは、架橋剤としても役立つことができる。ポリジメチルシロキサンおよびポリアルキレンオキシドからなるジブロックおよびトリブロックマクロマーも有用であり得る。そのようなマクロマーは、アクリレート基、メタクリレート基、またはビニル基で一官能化または二官能化することが可能なことがある。例えば、酸素透過性を増大させるために、メタクリレート末端ポリエチレンオキシド−ブロック−ポリジメチルシロキサン−ブロック−ポリエチレンオキシドを使用できることがある。
【0108】
シリコーン含有プレポリマーの例は、全体として参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第2001−0037001A1号および米国特許第6,039,913号に開示されているものを含むが、それだけに限定されない。本発明で使用するプレポリマーは、それ自体公知のやり方、例えば、アセトンなどの有機溶媒による沈殿、濾過および洗浄、適切な溶媒での抽出、透析、または限外濾過で予め精製されていることが好ましく、限外濾過が特に好ましい。その精製プロセスにより、非常に純粋な形態、例えば、塩などの反応生成物、および例えば非ポリマー構成要素などの出発原料を含まないか、または少なくとも実質的に含まない、濃厚水溶液の形態でプレポリマーを得ることができる。本発明に係るプロセスで使用するプレポリマー用の好ましい精製プロセスである限外濾過は、それ自体公知のやり方で行うことができる。限外濾過を繰り返し、例えば2回〜10回行うことが可能である。あるいは、選択される純度に達するまで限外濾過を連続的に行ってもよい。選択される純度は原則としてできるだけ高いことが望ましい。例えば、純度の適切な尺度は、公知のやり方だけで決定可能な、副生成物として得られる溶解塩の濃度である。
【0109】
本発明によれば、シリコーンヒドロゲルレンズ形成材料は親水性ビニルモノマーも含み得る。可塑剤として作用し得るほぼあらゆる親水性ビニルモノマーを、本発明の流体組成物中で使用することができる。好適な親水性モノマーとしては、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、トリメチルアンモニウム2−ヒドロキシプロピルメタクリレート塩酸塩、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、アリルアルコール、ビニルピリジン、グリセリンメタクリレート、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)、アクリル酸、メタクリル酸、およびN,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)がある。
【0110】
シリコーンヒドロゲルレンズ形成材料は疎水性モノマーも含み得る。重合性流体組成物にある程度の量の疎水性ビニルモノマーを組み入れることで、得られるポリマーの機械的特性(例えば弾性率)を変更することができる。
【0111】
シリコーンヒドロゲルレンズ形成材料は、抗菌剤、好ましくは抗菌金属ナノ粒子、より好ましくは銀ナノ粒子をさらに含み得る。
【0112】
本発明によれば、シリコーンヒドロゲルレンズ形成材料は、当業者に公知の各種成分、例えば架橋剤、連鎖移動剤、開始剤、紫外線吸収剤、阻害剤、充填剤、可視ティント剤(例えば染料、顔料、またはその混合物)などをさらに含み得る。
【0113】
本発明によれば、シリコーンヒドロゲルレンズ形成材料は、90℃未満の温度で溶液、または溶媒を含まない液体もしくは溶融液であり得る。どのようにしてシリコーンヒドロゲルレンズ形成材料を調製するかは当業者に周知であろう。
【0114】
本発明によれば、シリコーンヒドロゲルレンズ形成材料は、60℃未満の温度で溶液、または溶媒を含まない液体もしくは溶融液であり得る。
【0115】
当業者に公知の任意の方法に従って、レンズ形成材料を型に分配する。レンズ形成材料は、硬化インク(カラーフィルム)に浸透した後、硬化して、カラーフィルムが型からその上に転写されるカラーコンタクトレンズを形成することが好ましい。
【0116】
本発明を任意の特定の機構または理論に制限すべきではないが、カラーコンタクトレンズのレンズ材料(1種以上のポリマー)がポリマー(すなわちインク中の架橋バインダーコポリマー)の存在下で重合または架橋するため、シリコーンヒドロゲルレンズのレンズ材料、および本発明の架橋含フッ素バインダーコポリマーは相互侵入ネットワーク(IPN’s)を形成すると思われる。IPN形成によるレンズに対する本発明のインクの付着は、レンズポリマー中の反応性官能基の存在を必要としない。
【0117】
レンズとインクとの間の付着がIPN以外の機構により生じる可能性があることが理解される。レンズ材料がある種の官能基を含む場合、バインダーコポリマーとレンズポリマーとの間の直接結合(結合形成)が可能になる。例えば、紫外線硬化性基(例えば残存ビニル官能基、潜在性ビニル官能基)を含むレンズポリマーが、レンズポリマーに対する光硬化性インクバインダーの直接結合を増大させると考えられる。このため、レンズ配合物のキャスティング前にバインダーポリマーを部分硬化することが望ましいことがある。次に、バインダーポリマー中の残存ビニル残存基をレンズモノマーまたはマクロマーとの直接結合に利用可能になると考えられる。部分硬化インクバインダーの耐久性は、完全硬化インクバインダーのそれより小さいことがある。また、求核付加反応は、レンズにインクバインダーを結合させる別のモードを与えると考えられる。例えば、求核性基(例えばR−SH)を含むレンズは、バインダーポリマー中のペンダントメタクリレート基とのマイケル付加反応を経る可能性がある。あるいは、求核性基(例えばRSH、NHR、R=アルキル、R=H、アルキル)を含むバインダーポリマーが、アクリレートまたはメタクリレートなどの基を含むレンズポリマーとのマイケル付加反応を経る可能性がある。そのような反応によりインクがレンズに結合すると考えられる。さらに、求核性基を含むバインダーポリマーは、エポキシ、無水物、ハロゲン化アルキル、およびイソシアナトなどの求電子性基を含むレンズポリマーとの反応を経る可能性がある。あるいは、インクバインダーポリマー中に求電子性基を有し、レンズポリマー中に求核性基を有することにより、インクがレンズに結合する可能性がある。硬化性インクは、求核性官能基と求電子性官能基との両方をバインダーポリマーに組み入れることで製造可能なこともある。例えば、DMAとTRIS、グリシジルメタクリレート、モノメタクリル化ポリジメチルシロキサン、および2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレートとを共重合させて、硬化性シリコーンヒドロゲルインクバインダーを調製可能なことがある。適切な条件で、ジメチルアミノ官能基は、得られるバインダーポリマーのエポキシ官能基と反応すると考えられる。
【0118】
したがって、本発明のインクは、型からコンタクトレンズへの良好な転写性を有する。インクに関する「型からコンタクトレンズへの良好な転写性」とは、インクで型の成形面に印刷されたカラーイメージが、その型中で硬化されたコンタクトレンズに対して完全に転写可能であることを意味する。インクは、クリシェから印刷パッドへの良好な転写性、および印刷パッドからレンズ型またはレンズへの良好な転写性も有すると考えられる。インクの組成、溶媒の種類、バインダー組成、バインダーポリマーの分子量、バインダーポリマーの分子量分布、印刷パッド(ゴムの種類および印刷速度)、ならびにレンズおよびレンズ型表面の性質が印刷品質に影響を与えると考えられる。例えば、印刷速度が比較的遅く、インク適用されたクリシェが比較的長いサイクル時間空気に露出するプロセスでは、比較的高い沸点を有する溶媒中にインクを有することが望ましいと考えられる。高沸点の溶媒は、クリシェ中のインクの早期乾燥を最小限に抑えると考えられる。コンタクトレンズに対する直接印刷では、インク配合物中で比較的高沸点の溶媒を使用することが好ましいことがある。レンズをある程度膨潤させる溶媒もインク中で使用することが好ましいことがある。インク溶媒による膨潤は、レンズに対するインクの浸透を向上させると予測される。レンズに対するインクの良好な浸透の後に硬化を行うことで、レンズに対するインクの付着性が増大すると予測される。
【0119】
本発明のインクは、コンタクトレンズ、好ましくはシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズに対する良好な付着も有する。インクに関して本明細書で使用する「コンタクトレンズまたはシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズに対する良好な付着」とは、インクによりレンズ上で生成したカラー印刷が、少なくとも指摩擦試験に合格可能であり、好ましくは指摩擦試験およびメタノール(または他の適切な溶媒、例えばイソプロパノール)中超音波処理残留試験に合格可能であることを意味する。
【0120】
指摩擦試験は、包装溶液、例えば生理食塩水から水和コンタクトレンズを取り出し、2本の指の間、または指と掌との間でレンズを最大約10秒間デジタル摩擦するにより行う。着色剤のブリード、スミア、または剥離が目視および顕微鏡(約10倍)で観察されることは、摩擦試験に不合格であることを示す。
【0121】
メタノール(または他の適切な溶媒、例えばイソプロパノール)中超音波処理試験は下記の通り行う。コンタクトレンズを、5mlの例えばメタノールもしくはイソプロパノールまたは適切な溶媒に浸漬し、1分間超音波処理した後、ホウ酸緩衝生理食塩水(BBS)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含むバイアルに入れる。約10秒後、生理食塩水を排水し、約5mlの新しいBBSを加える。BBS中で約5分間平衡化した後、付着不良の証拠(例えば着色剤のブリード、スミア、または剥離)についてレンズを検査する。
【0122】
レンズ形成材料が、任意で他の成分の存在下でエチレン性不飽和基を有する1種以上のシリコーン含有プレポリマーの溶液(水、水と水混和性有機溶媒との混合物、または有機溶媒に溶解)、溶媒を含まない液体、または溶融液である、別の好ましい態様では、再利用可能な型を使用し、レンズ形成材料を化学線の空間的制限下で化学線により硬化させてコンタクトレンズを形成する。シリコーン含有プレポリマーの例は、全体として参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第2001−0037001A1号および米国特許第6,039,913号に開示されているものを含むが、それだけに限定されない。好ましい再利用可能な型の例は、全体として参照により組み入れられる、1994年7月14日出願の米国特許出願第08/274,942号、2003年12月10日出願の米国特許出願第10/732,566号、2003年11月25日出願の米国特許出願第10/721,913号、および米国特許第6,627,124号に開示されているものである。この好ましい態様では、レンズ形成材料はビニルモノマーを実質的に含まず、シリコーン含有プレポリマーはレンズ形成材料(配合物)の製造前に実質的に精製されていることが好ましい。したがって、キャストモールディング工程後には抽出工程が必要ではなく、製造コストを減少させることができる。
【0123】
この場合、2つの半割型からなる型にレンズ形成材料を入れる。2つの半割型は互いに接触していないが、環状設計の薄い間隙がそれらの間に配置されている。間隙は型キャビティに接続され、それにより過剰量のレンズ材料が間隙に流入可能になっている。1回しか使用できないポリプロピレン型の代わりに、再利用可能な石英、ガラス、サファイア型を使用可能である。これは、レンズの製造後に、これらの型から未架橋プレポリマーおよび他の残渣を、水または適切な溶媒で迅速かつ有効に除去することができ、その型を風乾させることができるためである。再利用可能な型は、環状オレフィンポリマーまたはコポリマー、例えばドイツ・フランクフルトおよびニュージャージー州SummitのTicona GmbHによるTopas(登録商標)(エチレンとノルボルネンとの透明非晶質コポリマー)、またはケンタッキー州LouisvilleのZeon Chemicals LPによるZeonex(登録商標)もしくはZeonor(登録商標)で製造することもできる。半割型の再利用可能性を理由として、非常に高い精度および再現性を有する型を得るためにそれらを製造する時は比較的高い出費がなされることがある。製造されるレンズの領域、すなわちキャビティまたは実際の型面では半割型は互いに接触しないため、接触の結果としての損傷は排除される。これにより型の長い耐用寿命が確保され、それによって、製造されるコンタクトレンズの高い再現性も特に確保される。
【0124】
コンタクトレンズの2つの対向する表面(前面および後面)は2つの成形面で画定され、一方、端面は、型の壁面よりむしろ化学線照射の空間的制限により画定される。典型的には、2つの成形面、および空間的制限の明確な周辺境界の突起を境界とする領域内のレンズ形成材料のみが架橋され、一方、空間的制限の周辺境界の外側またはすぐ周辺のレンズ形成材料は架橋されておらず、それによって、コンタクトレンズの端面は、化学線の空間的制限の寸法および配置の平滑かつ正確な複製になるはずである。コンタクトレンズを製造するそのような方法は、全体として参照により組み入れられる、1994年7月14日出願の米国特許出願第08/274,942号、2003年12月10日出願の米国特許出願第10/732,566号、2003年11月25日出願の米国特許出願第10/721,913号、および米国特許第6,627,124号に記載されている。
【0125】
化学線の空間的制限(またはエネルギー衝突の空間的制約)は、1994年7月14日出願の米国特許出願第08/274,942号、および米国特許第6,627,124号(全体として参照により本明細書に組み入れられる)に例示のように、使用されるエネルギーの特定の形態に対して少なくとも部分的に不透過性である型用のマスキングにより、あるいは、2003年12月10日出願の米国特許出願第10/732,566号、2003年11月25日出願の米国特許出願第10/721,913号、および米国特許第6,627,124号(全体として参照により本明細書に組み入れられる)に例示のように、架橋を引き起こすエネルギー形態に対して少なくとも一方の側が非常に透過性であり、かつそのエネルギーに対して不透過性または低透過性である型部分を有する型により行うことができる。架橋に使用されるエネルギーは、放射線エネルギー、特に紫外線、γ線、電子線、または熱放射線であり、一方で良好な制約を実現し、他方でエネルギーの効率的使用を実現するには、放射線エネルギーは実質的に平行なビームの形態であることが好ましい。
【0126】
本発明のインクを使用して、予め形成したシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズにカラーイメージを直接印刷することでカラーコンタクトレンズを製造することもできる。印刷インクをコンタクトレンズのレンズ材料に少なくとも部分的に浸透させた後、硬化(架橋)させる。紫外線または熱で硬化を活性化することができる。シリコーンヒドロゲルのレンズ材料の存在下でインク中のバインダーポリマーを架橋させてIPNを形成する。
【0127】
本発明は、シリコーンヒドロゲルレンズで使用するインクバインダーポリマーに主に関するものであるが、本明細書に記載の概念および材料は、非シリコーンヒドロゲルカラーコンタクトレンズ製品の製造にも適用することができる。さらに、本明細書で開示されるコポリマーは、コンタクトレンズ材料としても使用できることがある。
【0128】
本発明の化学線硬化性含フッ素コポリマーは、やはり本発明の一局面である、毎日着用または長時間着用の様式でのシリコーンヒドロゲルレンズを製造する上でのレンズ形成材料としても使用することができる。シリコーンヒドロゲルレンズ形成材料中で本発明の含フッ素コポリマーを使用することで、下記の利点のうち1つ以上を与えることができる:得られるレンズの引張強度および靱性の増加;ならびに耐久性およびDkの増加。
【0129】
さらに、本発明の化学線硬化性含フッ素コポリマーを、眼内レンズ(IOL’s)、医療用コーティング(例えば注射針、カテーテル用のコーティング)、創傷処置、通気性塗料、および通気性コーティングとしても使用できることがある。塗料の向上した通気性は、木材または他の表面から移動する水分による膨れおよび/またははがれを減少させやすいと考えられる。
【0130】
これまでの開示により、当業者が本発明を実行することが可能になると考えられる。具体的な態様およびその利点に対する読者のよりよい理解を可能にするために、下記実施例への参照を提案する。特記なき限り、配合物中の百分率は重量百分率に基づく。
【0131】
実施例1
本実施例では、光硬化性バインダーポリマーの前駆体の合成、および光硬化性バインダーポリマーの合成を説明する。
【0132】
含フッ素コポリマー(1600−53−1)の調製
AIBN(0.8178グラム)をDMA(158.54グラム)に溶解させた後、1リットルのガラスジャケット付き反応ケトルに供給する。次に、ケトルにTRIS(100.81グラム)、モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(60.21グラム)(Gelestブランド、MCR-M17、MW約5000)、HEMA(40.20グラム)、MMA(18.25グラム)、2−メルカプトエタノール(1.0201グラム)、1,1−ジヒドロペルフルオロエチルアクリレート(21.80グラム)、および酢酸エチル(600mL)を供給する。反応ケトルは、冷却器、窒素入口/出口、および、オーバーヘッド撹拌モーターに接続されている撹拌シャフト/プロペラ系を備えている。窒素を混合物に室温で約30分間吹き込んだ後、混合物を約40℃に加熱し、窒素下約300RPMで撹拌する。40℃で約48時間の反応後、4−ヒドロキシTEMPO36.9mg(酢酸エチル約10mLに溶解)で重合混合物を阻害する。
【0133】
化学線硬化性含フッ素コポリマー(1600−54)の調製
2−イソシアナトエチルメタクリレート(14.3897グラム)およびジブチルスズジラウレート(0.2532グラム)からなる溶液を、上記で調製した含フッ素コポリマー(1600−53−1)の溶液に加える。次に、得られた混合物を40℃で約4時間加熱する。得られたコポリマーから酢酸エチルをロータリーエバポレーションで除去し、エタノールと交換する。
【0134】
光硬化試験:
約50重量パーセントの化学線硬化性コポリマー(1600−54)、0.25重量パーセントのDaracure 1173、およびエタノールを含む溶液を使用してヒドロゲルレンズを調製する。ポリプロピレンレンズ型をコポリマー溶液で満たした後、約3.5Mw/cm2で約30分間紫外線硬化(UVA)してヒドロゲルレンズを得る。レンズをイソプロパノールで抽出した後、水で抽出する。含フッ素ヒドロゲルは、フッ素単位を含まない同様のヒドロゲル配合物で作られたレンズよりもIPA中で機械的により耐久性があると判定される。水中のレンズ直径は水中で約13.65mm、イソプロパノール中で約19.13mmである。レンズは、イソプロパノールに露出することで非常に膨潤した状態になってもその形状を保持する。
【0135】
コポリマー(1600−54)からのインク
型上の硬化インクをlotrafilcon B配合物に露出し、次に自動型閉鎖機で閉じた後で、バインダーポリマー1600−54から製造されたインクはスミアを示さない。
【0136】
実施例2
含フッ素コポリマー(1600−52−1)の調製
AIBN(0.8072グラム)をDMA(152152.21グラム)に溶解させた後、1リットルのガラスジャケット付き反応ケトルに供給する。次に、ケトルにTRIS(100.21グラム)、モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(60.06グラム)(Gelestブランド、MCR-M17、MW約5000)、HEMA(40.09グラム)、MMA(12.21グラム)、2−メルカプトエタノール(1.0331グラム)、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルアクリレート(6.96グラム)、および酢酸エチル(600mL)を供給する。反応ケトルは、冷却器、窒素入口/出口、および、オーバーヘッド撹拌モーターに接続されている撹拌シャフト/プロペラ系を備えている。窒素を混合物に室温で約30分間吹き込んだ後、混合物を約40℃に加熱し、窒素下約300RPMで撹拌する。40℃で約48時間の反応後、4−ヒドロキシTEMPO38.9mg(酢酸エチル約10mLに溶解)で重合混合物を阻害する。
【0137】
化学線硬化性含フッ素コポリマー(1600−55)の調製
2−イソシアナトエチルメタクリレート(14.3312グラム)およびジブチルスズジラウレート(0.2645グラム)からなる溶液を、上記のコポリマー溶液(1600−52−1)に加える。次に、得られた混合物を40℃で約4時間加熱する。コポリマーから酢酸エチルをロータリーエバポレーションで除去し、エタノールと交換する。
【0138】
光硬化試験:
約50重量パーセントのコポリマー(1600−55)、0.25重量パーセントのDaracure 1173、およびエタノールを含む溶液を使用してヒドロゲルレンズを調製する。ポリプロピレンレンズ型をポリマー溶液で満たした後、約3.5Mw/cm2で約30分間紫外線硬化(UVA)してヒドロゲルレンズを得る。レンズをイソプロパノールで抽出した後、水で抽出する。含フッ素ヒドロゲルは、フッ素単位を含まない同様のヒドロゲル配合物よりもIPA中で機械的により耐久性があると判定される。レンズ直径は水中で約14.15mm、イソプロパノール中で約20.24mmである。
【0139】
実施例3
含フッ素コポリマー(1600−80−1)の調製
AIBN(0.8691グラム)をDMA(158.54グラム)に溶解させた後、1リットルのガラスジャケット付き反応ケトルに供給する。次に、ケトルにTRIS(96.82グラム)、モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(57.20グラム)(Gelestブランド、MCR-M17、MW約5000)、HEMA(38.45グラム)、MMA(17.60グラム)、2−メルカプトエタノール(1.0617グラム)、1H,1H−オクタフルオロペンチルメタクリレート(22.01グラム)、および酢酸エチル(600mL)を供給する。反応ケトルは、冷却器、窒素入口/出口、および、オーバーヘッド撹拌モーターに接続されている撹拌シャフト/プロペラ系を備えている。窒素を混合物に室温で約30分間吹き込んだ後、混合物を約40℃に加熱し、窒素下約300RPMで撹拌する。40℃で約48時間の反応後、4−ヒドロキシ−TEMPO41mgで重合混合物を阻害する。
【0140】
化学線硬化性含フッ素コポリマー(1600−80−2)の調製
2−イソシアナトエチルメタクリレート(13.8010グラム)およびジブチルスズジラウレート(0.2395グラム)からなる溶液を、上記3のコポリマー溶液(1600−80−1)に加える。次に、得られた混合物を40℃で約4時間加熱する。コポリマーから酢酸エチルをロータリーエバポレーションで除去し、エタノールと交換する。
【0141】
バインダーポリマー1600−80−2からのインク調製
黒インク(1600−90−1):コポリマー1600−80−2(上記実施例3から)の64%溶液10.534グラムと、Daracure 4265(0.3035グラム)、黒インクペースト2.8448グラム、およびエタノール1.33グラムとを混合する。黒インクペーストは、酸化鉄黒130グラム、エタノール130グラム、および粉砕媒体452グラムをセラミックローラージャー内で合わせることで調製する。サンプルをローラーミル上で約24時間微粉砕する。次に、ペースト中の固体パーセントを重量測定で決定する。
【0142】
ヘーゼルインク(1600−90−2):コポリマー1600−80−2(上記実施例3から)の64%溶液10.58グラムと、Daracure 4265(0.3077グラム)、ヘーゼルインクペースト(エタノール中%)1.9522グラム、およびエタノール2.20グラムとを混合する。ヘーゼルインクペーストは、PCN青約0.72グラム、酸化チタン8.55グラム、酸化鉄赤21.48グラム、酸化鉄黄60.24グラム、エタノール169グラム、および粉砕媒体451グラムをセラミックローラージャー内で合わせることで調製する。顔料混合物を約24時間微粉砕する。次に、ペースト中の固体パーセントを重量測定で決定する。
【0143】
緑インク(1600−90−3):コポリマー1600−80−2(上記実施例3から)の64%溶液10.55グラムと、Daracure 4265(0.3050グラム)、緑インクペースト(エタノール中%)1.9032グラム、およびエタノール2.27グラムとを混合する。
【0144】
緑インクペーストは、酸化クロム約129.5グラムとPCN青0.55グラム、エタノール130グラム、および粉砕媒体約449グラムとをセラミックローラージャー内で合わせることで調製する。顔料混合物をローラーミル上で約24時間微粉砕する。次に、ペースト中の固体パーセントを重量測定で決定する。
【0145】
実施例3からのインクを使用するカラーシリコーンヒドロゲルレンズの調製:
コロナ処理前曲面O2OPTIX(商標)型上でインクを印刷する。次に、ハンドヘルド紫外線光源(UVP、モデルUVLS-28)を約1.5インチの距離で用いて、インクを254nmで30分間硬化させる。硬化後、型をlotrafilcon Bレンズ配合物で満たし、次にO2OPTIX(商標)自動型閉鎖機で閉じる。次に、レンズ配合物の硬化を、UVA線(約4.5mW/cm2で30分硬化)下に充填した型を置くことで行う。型を開け、イソプロパノールで抽出(約30分間)した後、蒸留水で再平衡化する。良好な印刷品質の球面レンズを得る。
【0146】
実施例4〜42
バインダーポリマー実施例4〜42
実施例1〜3に記載のものと同様の手順でさらなるコポリマーを調製する。コポリマーの組成、特性、重合時間、重合条件(温度、重合時間、溶媒)を表1〜12にまとめて示す。表1〜12に記すように、約400グラムスケール上で重合反応を行う。
【0147】
実施例10、11、12、13、14、15のバインダーポリマーをスリットバッチプロセスで調製する。操作のステージ1において、溶媒約750mL中でモノマー約484グラムを重合することでこれを行う。コポリマー溶液を4−ヒドロキシTEMPOで安定化させ、酢酸エチルを加えることでコポリマー溶液の質量を全質量約1600グラムに調整する。コポリマー溶液を2つの同等部分に分け、IEMとの反応を通じて光硬化性コポリマーに変換する。
【0148】
【表1】

【0149】
【表2】

【0150】
【表3】

【0151】
【表4】

【0152】
【表5】

【0153】
【表6】

【0154】
【表7】

【0155】
【表8】

【0156】
【表9】

【0157】
【表10】

【0158】
【表11】

【0159】
【表12】

【0160】
表1〜12の脚注
1)EtOAc=酢酸エチル、BuOAc=酢酸ブチル、IEM=2−イソシアナトエチルメタクリレート
2)操作のステージ1における重合では、典型的には、溶媒約600mLに溶解した全モノマー供給量約400グラムを使用した
3)操作のステージ2(コポリマーからフォトポリマーへの変換):IEM反応の前にコポリマー溶液を4−ヒドロキシTEMPOで阻害する
4)ジブチルスズジラウレートをIEM官能化反応の触媒として使用する。この反応は約40℃で行う
5)IEM反応後に酢酸エチルまたは酢酸ブチルをエタノールと交換する
6)分子量をゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で決定した。Mw=重量平均分子量、Mn=数平均分子量。
【0161】
インクおよびカラーコンタクトレンズのさらなる例
a)いくつかのインクを、表13〜15に示すバインダーポリマーから調合する。
ポリプロピレンレンズ型に印刷し、インクを表13〜15に示すように紫外線硬化する。レンズ型をLotrafilcon-Bで満たした後、硬化させてカラーシリコーンヒドロゲルレンズを得る。3種のインクを表13〜15に示すように各バインダーポリマーから製造する(緑、ヘーゼル、および黒)。Daracue 4265、Irgacure 907、およびIrgacure 369を含むインク配合物を、表13〜15に示すようにUVC(約254nm)、広帯域UVB線、およびLight Stream技術(Hammatsu型ランプ、約297nm)を用いて硬化させる。インクの調合に使用するインクペーストを下記のように調製する。バインダーポリマー配合物の組成を表1〜12に示す。
【0162】
b)インク配合物で使用するインクペーストの調製
i)緑インクペーストは、酸化クロム約129.5グラムとPCN青0.55グラム、エタノール130グラム、および粉砕媒体約449グラムとをセラミックローラージャー内で合わせることで調製する。顔料混合物をローラーミル上で約24時間微粉砕する。次に、ペースト中の固体パーセントを重量測定で決定する。
ii)ヘーゼルインクペーストは、PCN青約0.72グラム、酸化チタン8.55グラム、酸化鉄赤21.48グラム、酸化鉄黄60.24グラム、エタノール169グラム、および粉砕媒体451グラムをセラミックローラージャー内で合わせることで調製する。顔料混合物を約24時間微粉砕する。次に、ペースト中の固体パーセントを重量測定で決定する。
iii)黒インクペーストは、酸化鉄黒130グラム、エタノール130グラム、および粉砕媒体452グラムをセラミックローラージャー内で合わせることで調製する。サンプルをローラーミル上で約24時間微粉砕する。次に、ペースト中の固体パーセントを重量測定で決定する。
iv)バインダーポリマー1600−80−2、1600−68−2、1600−72−2、1600−79−2、1600−83−2、1600−84−2、1600−85−2から調合するインク
(1)表13のインク実験1は、表1のバインダーポリマー#3(1600−80−2)から調製されるインク(黒、緑、およびヘーゼル)を3.25〜3.44% Darcure 4265を用いて調合し、UVC下で硬化させることで、良好な品質(非スミア)を有するシリコーンカラーヒドロゲルレンズを製造することができることを示す。
(2)表13のインク実験2は、表1のバインダーポリマー#3(1600−80−2)から調製されるインク(黒、緑、およびヘーゼル)を約2% Darcure 4265を用いて調合し、UVB(約297nm)下で約45秒間硬化させることで、良好な品質(非スミア)を有するカラーシリコーンヒドロゲルレンズを製造することができることを示す。3種のインクのうち1種(緑)が、これらの条件でわずかなスマッジを示す一方、他の2種はスミアもスマッジも示さなかった。
(3)表13のインク実験3a〜3cは、表1のバインダーポリマー#3(1600−80−2)から調製されるインク(黒、緑、およびヘーゼル)を約2% Darcure 4265を用いて調合し、UVB(約297nm)下で60秒間、90秒間、および120秒間硬化させることを示す。非スミア印刷パターンを有するカラーシリコーンヒドロゲルレンズをこれらのサンプルから製造する。
(4)表13のインク実験4a〜4dは、表1のバインダーポリマー#3(1600−80−2)から調製されるインク(黒、緑、およびヘーゼル)を約2% Irgacure 907を用いて調合し、UVB(約297nm)下で硬化させることを示す。10〜45秒間(10秒間、15秒間、30秒間、および45秒間)硬化させたインクサンプルにより、非スミア印刷パターンを有するカラーシリコーンヒドロゲルレンズを得た。
(5)表13のインク実験5a〜5cは、表1のバインダーポリマー#3(1600−80−2)から調製されるインク(黒、緑、およびヘーゼル)を約1% Irgacure 907を用いて調合し、UVB(約297nm)下で硬化させることを示す。15秒間、20秒間、および30秒間硬化させたインクサンプルにより、黒インクおよびヘーゼルインクについて非スミア印刷パターンを有するカラーシリコーンヒドロゲルレンズを得た。緑インクはある程度のスマッジを示した。
(6)表14のインク実験6a〜6bは、表1のバインダーポリマー#3(1600−80−2)から調製されるインク(黒、緑、およびヘーゼル)を約1% Irgacure 369を用いて調合し、UVB(約297nm)下で硬化させることを示す。20秒間および30秒間硬化させたインクサンプルにより、全3色(黒、緑、およびヘーゼル)について非スミア印刷パターンを有するカラーシリコーンヒドロゲルレンズを得た。
(7)表14のインク実験7は、表2のバインダーポリマー#5(1600−68−2)から調製されるインク(黒、緑、およびヘーゼル)を約1% Irgacure 907を用いて調合し、UVB(40ワット広帯域)下で硬化させることを示す。50分間硬化させたインクサンプルにより、スミア印刷パターンを有するカラーシリコーンヒドロゲルレンズを得た。このサンプルで生じたスミアは、バインダーポリマー溶液(1600−68−2)の低モノマー転化率の結果であると思われる。50%コポリマー溶液1600−68−2は約68cpsのブルックフィールド粘度を有し、これに対して1600−80−2の50%コポリマー溶液では約242cpsであった。
(8)表14のインク実験8は、表2のバインダーポリマー#6(1600−72−2)から調製されるインク(黒、緑、およびヘーゼル)を約1% Irgacure 907を用いて調合し、UVB(40ワット広帯域)下で硬化させることを示す。50分間硬化させたインクサンプルにより、非スミア印刷パターンを有するカラーシリコーンヒドロゲルレンズを得た。
(9)表14のインク実験9は、表2のバインダーポリマー#8(1600−79−2)から調製されるインク(黒、緑、およびヘーゼル)を約1% Irgacure 369を用いて調合し、UVB(40ワット広帯域)下で硬化させることを示す。50分間硬化させたインクサンプルにより、非スミア印刷パターンを有するカラーシリコーンヒドロゲルレンズを得た。
(10)表14のインク実験10a〜10cは、表3のバインダーポリマー#8(1600−83−2)から調製されるインク(黒、緑、およびヘーゼル)を約1% Irgacure 369を用いて調合することを示す。広帯域UVB下で90秒間硬化させたインクサンプルにより、黒インクおよびヘーゼルインクについて非スミア印刷パターンを有するカラーシリコーンヒドロゲルレンズを得た。実験10の緑インクはスマッジを示した。また、全3種のインクを、実験10b〜10cに示すように、約297nm、30秒間および60秒間で硬化させる。黒インクおよびヘーゼルインクはシリコーンヒドロゲルレンズにおいてスミアを示さなかった。緑インクはある程度のスマッジを示した。
(11)表14のインク実験11a〜11fは、表4のバインダーポリマー#11(1600−84−2)から調製されるインク(黒、緑、およびヘーゼル)を約1% Irgacure 369を用いて調合し、広帯域UVBおよびUVB(約297)下で硬化させることを示す。実験11aのインクサンプルは、広帯域UVB下で90分間硬化させる。非スミア印刷パターンを有するカラーシリコーンヒドロゲルレンズを、実験11aのインクを用いて得る。実験11b〜11dのインクをUVB(約297nm)下で約30〜60秒間硬化させる。非スミアインクパターンを有するカラーシリコーンヒドロゲルレンズを得る。いくつかのクラックが、これらのサンプルの印刷区域の近くに観察される。レンズ抽出前の約1日間、型中でカラーシリコーンヒドロゲルレンズをエージングさせることで、実験11eおよび11fに示すように、印刷区域近くのクラックを解消する。表14のインク実験11e〜11fは、バインダーポリマー1600−84−2から調製されるインク(黒、緑、およびヘーゼル)を約1% Irgacure 369を用いて調合することを示す。UVB(約297nm)下で30秒間硬化させたインクサンプルにより、黒インクおよびヘーゼルインクについて非スミア印刷パターンを有するカラーシリコーンヒドロゲルレンズを得た。レンズ抽出の約1日前にレンズサンプルをエージングさせる。カラーシリコーンヒドロゲルレンズの印刷領域の近くにはクラックは発見されない。
(12)表15のインク実験12a〜12dは、バインダーポリマー#11(1600−84−2)から調製されるインク(黒、緑、およびヘーゼル)を約1% Irgacure 907を用いて調合することを示す。広帯域UVB下で60秒間硬化させたインクサンプルにより、表15に記すようにある程度のスマッジ、スミア、および退色を示すカラーシリコーンヒドロゲルレンズを得た。レンズ抽出前の約1日間、硬化させたレンズをエージングして、印刷区域近くのクラックの存在を減少させた。また、全3種のインクを、実験12c〜dに示すように、約297nm、30秒間で硬化させる。(これは要確認)レンズ抽出前の約1日間エージングさせた硬化レンズは、印刷区域でクラックを示さなかった。カラーシリコーンヒドロゲルレンズを得る。クラックは印刷区域近くに観察されない。ヘーゼルインクはスミアを示さなかった。黒インクおよび緑インクはスミアおよびスマッジを示した。
v)表2のコポリマー#5(1600−68−2)から調製されるインク:このコポリマーは、約7.8% 1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレートを含んでいた。このコポリマーは58000のMWを有していたが、エタノール溶液中の50%濃度での粘度は比較的低い粘度である(68cps)。この粘度値は、転化率が低いことを示唆している。この溶液から調製されるインクの性能は高くなかった。UVB下で約50分間硬化させたインクは最終レンズでスミアを示した。インク中のポリマー溶液が多すぎる量のモノマーを含む場合、インクの性能が高くないことがあるということを、この結果は示唆している。レンズのキャスティングの前にさらに集中的な硬化が必要なことがある。
vi)コポリマー#6(1600−72−2)から調製されるインク:このコポリマーは、約38%DMA、24%TRIS、10%HEMA、4.37%MMA、 および5.5%ジヒドロペルフルオロエチルアクリレートを含んでいた。このコポリマーのMWは約161000であり、50%溶液の粘度は比較的高い(約6300cps)。これは、重合中の比較的高いモノマー転化率を示唆している。このコポリマーから調合されるインクを、インク形1600−68−2(上記iを参照)と同一の条件で硬化させる。このサンプルから調製されたインクは、レンズ配合物に対する露出、レンズ硬化、およびイソプロパノールでのレンズ抽出の後にスミアを示さなかった。
vii)表2のコポリマー#8(1600−79−2)から調製されるインク:このコポリマーは、約38%DMA、24%TRIS、10%HEMA、4.37%MMA、 および5.5%1H,1H−ヘプタフルオロブチルアクリレートを含んでいた。このコポリマーのMWは約135000であり、50%溶液の粘度は比較的高い(約2470cps)。このコポリマーから調合されるインクを、Irgacure 907ではなくIragacure 369を配合物中で使用することを除き、インク形(上記i、ii)と同一の条件で硬化させる。このコポリマー1600−79−2から調製されたインクは、レンズ配合物に対する露出、レンズ硬化、およびイソプロパノールでのレンズ抽出の後にスミアを示さなかった。
【0163】
表16〜17のシリコーンヒドロゲルサンプルの調製および試験
約50%コポリマーおよび0.25% Daracure 1173を含むエタノール溶液を調製する。ポリプロピレン型をレンズ配合物約100ミリリットルで満たす。UVA下、約3.51Mw/cm2で約10分間硬化させることでレンズを製造する。レンズをイソプロパノールで約1時間抽出後、精製水で30分間平衡化する。30分後、レンズを新しい精製水中にさらに30分間置き、次に生理食塩水に移す。サンプルは、表16〜17に示すように、Dk、機械的特性、ならびに水およびエタノール中での膨潤性について特徴づけられる。また、ディスクをポリプロピレン型中のコポリマー溶液の硬化により調製する。
【0164】
ディスクの調製:
50%コポリマーおよび0.25% Daracure 1173を含むエタノール溶液を調製する。コポリマー溶液約200マイクロリットルをポリプロピレン型に加え、サンプルにUVA線を約3.5mW/cm2の強度で約10分間照射する。ディスクをイソプロパノールで約1時間抽出し、超純水で2回、30分間平衡化する。
【0165】
レンズのDk測定にポーラログラフィー(Poloragraphic)法を使用する。レンズから切断したストリップについてヒドロゲルの機械的特性を測定する。生理食塩水を含む試験セルにサンプルを浸し、引張を200um/sの速度で試験する。ディスクを、接触角および表面エネルギーの試験に使用する。表16〜17の接触角は、水和シリコーンヒドロゲルディスクに対する水のそれである。乾燥ポリマーディスク3260−15−2、3260−27−2、3260−52−2、3260−53−2、3364−61、3364−62の表面エネルギーは、Tigres CorporationのDyneペンで決定した通り、約29ダイン/cm2であることがわかる。表面エネルギーは乾燥ディスクについて試験する。
【0166】
表16は、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレートをコポリマー配合物に加えることでTRISを34%から23%に減少させることにより、エタノール中のレンズの膨潤が著しく少なくなることを示す。したがって、コポリマー配合物におけるある種の含フッ素モノマーの使用を、そのような材料により調製されるインク中の印刷解像度/膨張を制御するための手段として主張する。フルオロモノマーを含むコポリマーから調製されるレンズは、表16に示すように、非含フッ素コポリマーから調製されるレンズに比べて大きい、引張試験中の靭性および最大応力値を示す。また、表16は、TRISのある部分をシクロヘキシルメタクリレートまたはペンチルメタクリレートなどの疎水性モノマーで置換してTRISを減少させることにより引張強度および靭性が増加することを示す。表16および17の結果は、TRISをペルフルオロシクロヘキシルメタクリレートで置換する場合の方が、n−ペンチルメタクリレートまたは1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレートなどの他のメタクリレートで置換する場合に比べてDkの減少が小さいことを示す。したがって、ペルフルオロシクロヘキシルメタクリレートなどの含フッ素モノマーの使用を、炭化水素モノマーの使用に比べてDkに対する影響を少なくしながら靭性を増加させる手段として主張する。長いフッ素化鎖を含むモノマーの方が、より短いフッ素化鎖を有するモノマーに比べて、Dkを増加させる上でより有効であることがある。フッ素化モノマーの立体的嵩高さもDkに影響を与えると予測される。分岐状または環状の構造を含むフッ素化モノマーによりDkが増大することがある。
【0167】
【表13】



【0168】
【表14】



【0169】
【表15】



【0170】
【表16】



【0171】
【表17】

【0172】
【表18】

【0173】
表13〜15の脚注
1.注記の通り、外側の黒色環のある程度の退色が観察される。これは、紫外線光源がわずかに中心からはずれているためであると思われる。
2.2回目または3回目の印刷を型に適用する際にスマッジは生じ得る。これは、既に印刷された領域にパッドが接触するためである。
3.特記なき限り、レンズをイソプロパノールで1時間抽出する。次に、レンズをUPW水中に30分間浸し、水を取り替え、レンズをUPW水中にさらに30分間浸す。
4.抽出前のレンズのエージングにより、より耐久性の高いレンズが得られ、印刷区域近くのクラックが解消または最小化された。
5.Lotrafilcon Bからポリプロピレン型中でコンタクトレンズを製造する。パッド印刷前に雌型をコロナ処理する。レンズ配合物をUVA線で30分間硬化させる。レンズ硬化光強度約4.6mW/cm2、レンズ硬化強度は実験1で約4.2mW/cm2である。
6.表13〜15の顔料パーセントはインク中の全顔料供給量を意味する。本文書に記載のローラーミル上、エタノール中で顔料を微粉砕することでインクペーストを調製する。インクペースト中の顔料パーセントを重量測定で決定する。
7.Hammatsu硬化源からの光強度は40%設定で約17mW/cm2である。表13のインク実験1では、約254nmでの硬化に携帯式紫外線光源(UVP、モデルUVLS-28)を使用する。サンプルと光源との間の距離は約1.5インチである。
【0174】
【表19】

【0175】
【表20】

【0176】
リゾチーム実験
リゾチーム0.0181グラムを100mLメスフラスコに入れ、リゾチームをリン酸緩衝生理食塩水に溶解させた後、目印まで希釈することで、リゾチームの0.181mg/mL溶液を調製する。リゾチーム溶液の吸光度を280nmで決定する。上記のコポリマー3260−2、3260−15−2、3260−52−2、3260−53−2からコンタクトレンズを調製する。各試験群からのレンズを、リン酸緩衝生理食塩水中0.1810mg/mLリゾチーム5mLを含むバイアルに入れる(試験群当たり3個のレンズ、バイアル当たり1個のレンズ)。バイアルをクリップし、強制空気オーブンに入れ、37℃で約17日間加熱する。各サンプルバイアル中のリゾチーム溶液の吸光度を280nmで測定し、吸光度の平均値を計算する。レンズをリゾチームに浸す前後の吸光度の相違を算出し、平均する。リゾチーム濃度の減少は上記実験条件では検出されない。より低い濃度のリゾチームの使用、および/またはリゾチームの単位当たりのレンズの数の増加により、タンパク質取り込みの感受性を増加させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエチレン性不飽和基;1種以上の親水性ビニルモノマーから誘導される親水性セグメント;1種以上の含フッ素ビニルモノマーから誘導される含フッ素セグメント;および少なくとも1種の第1のシリコーン含有ビニルモノマーまたはマクロマーから誘導されるシリコーン含有セグメントを含む、化学線硬化性含フッ素コポリマーであって、
含フッ素コポリマーがヒドロキシル基(−OH)、第一級アミノ基(−NH)、第二級アミノ基(−NHR)、カルボキシ基(−COOH)、エポキシ基、アルデヒド基(−CHO)、アミド基(−CONH)、酸ハロゲン化物基(−COX、X=Cl、Br、またはI)、イソチオシアナト基、イソシアナト基、ハロゲン化物基(−X、X=Cl、Br、またはI)、酸無水物基、およびその組み合わせからなる群から選択されるペンダント官能基を有する含フッ素出発コポリマーのエチレン性官能化により得られ、
ペンダント官能基を有する含フッ素出発コポリマーが重合性組成物(A)または(B)の共重合物であり、
組成物(A)が(a)少なくとも1種の含フッ素ビニルモノマー、(b)少なくとも1種の親水性ビニルモノマー、(c)少なくとも1個の官能基を含む少なくとも1種の官能化用ビニルモノマー、および(d)少なくとも1種のシリコーン含有ビニルモノマーまたはマクロマーを含み、
組成物(B)が(a)少なくとも1種の含フッ素ビニルモノマー、(b)少なくとも1種の親水性ビニルモノマー、(c)官能基を有する共重合物を得るために連鎖移動基および官能基を含む少なくとも1種の連鎖移動剤を含む、コポリマー。
【請求項2】
含フッ素モノマーが、モノマー分子当たり少なくとも3個のフッ素原子、および約4個〜約20個の炭素原子を含む、請求項1記載のコポリマー。
【請求項3】
含フッ素モノマーが2−(N−エチル−ペルフルオロオクタンスルホンアミド)−エチルアクリレート(FX−13)、2−(N−エチル−ペルフルオロオクタンスルホンアミド)エチルメタクリレート(FX−14)、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート(TEM)、1,1−ジヒドロペルフルオロエチルアクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルアクリレート(DFHA)、ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、ペンタフルオロスチレン(PFS)、トリフルオロメチルスチレン、ペンタフルオロエチルアクリレート、ペンタフルオロエチルメタクリレート、ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート(HFIPMA)、メタクリレート官能化フッ素化ポリエチレンオキシド、およびその混合物からなる群から選択される、請求項2記載のコポリマー。
【請求項4】
親水性ビニルモノマーが、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、トリメチルアンモニウム2−ヒドロキシプロピルメタクリレート塩酸塩、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、グリセリンメタクリレート(GMA)、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、アリルアルコール、ビニルピリジン、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、およびその混合物からなる群から選択され、シリコーン含有ビニルモノマーが、メタクリルオキシアルキルシロキサン、3−メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサン、ビス(メタクリルオキシプロピル)テトラメチル−ジシロキサン、モノメタクリル化ポリジメチルシロキサン、モノアクリル化ポリジメチルシロキサン、メルカプト末端ポリジメチルシロキサン、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]アクリルアミド、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]メタクリルアミド、およびトリストリメチルシリルオキシシリルプロピルメタクリレート、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]メタクリルアミド、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]アクリルアミド、3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、ビス−3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン、3−メタクリルオキシ−2−(2−ヒドロキシエトキシ)プロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチル−シラン、N,N,N’,N’−テトラキス(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−α,ω−ビス−3−アミノプロピル−ポリジメチルシロキサン、モノメタクリル化ポリジメチルシロキサン、モノアクリル化ポリジメチルシロキサン、1,3−ビス[4−ビニルオキシカルボニルオキシ)ブト−1−イル]テトラメチル−ジシロキサン;3−(トリメチルシリル)プロピルビニルカーボネート、3−(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル−[トリス(トリメチルシロキシ)シラン]、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカーボネート、t−ブチルジメチルシロキシエチルビニルカーボネート;トリメチルシリルエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルメチルビニルカーボネート、ならびにその組み合わせからなる群から選択される、請求項1記載のコポリマー。
【請求項5】
連鎖移動剤が、2個〜約24個の炭素原子を有し、アミノ基、ヒドロキシ基、またはカルボキシ基であるさらなる官能基を有する、脂環式または脂肪族のチオールである、請求項1記載のコポリマー。
【請求項6】
連鎖移動剤が、チオグリコール酸、2−メルカプトエタノール、エタンジチオール、プロパンジチオール、または2−アミノエタンチオール(システアミン)である、請求項5記載のコポリマー。
【請求項7】
ペンダント官能基を有する含フッ素出発コポリマーと、エチレン性不飽和基、および含フッ素出発コポリマーの官能基のうち1個と反応して共有結合を形成可能な基を含むエチレン性官能化剤とを反応させることにより得られる、請求項1記載のコポリマー。
【請求項8】
エチレン性官能化剤が、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレート(IEM)、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド(NHMA)、アクリロイルクロリド、メタクリロイルクロリド、メタクリル酸、アクリル酸、2−ブロモエチルメタクリレート、またはメタクリル酸無水物である、請求項7記載のコポリマー。
【請求項9】
カラーシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製造方法であって、
(a)少なくとも1種の着色剤、溶媒、および含フッ素バインダーコポリマーを含むインクを用いて、レンズ型の成形面のうち少なくとも1つの少なくとも一部に、カラーコートを適用する工程(ここで、含フッ素バインダーコポリマーは、複数のエチレン性不飽和基、1種以上の親水性ビニルモノマーから誘導される親水性セグメント、1種以上の含フッ素ビニルモノマーから誘導される含フッ素セグメント、および少なくとも1種の第1のシリコーン含有ビニルモノマーまたはマクロマーから誘導されるシリコーン含有セグメントを含み、カラーコートは、レンズ形成キャビティの内側に対して露出している第1の表面、および成形面に接触している第2の表面を含む);
(b)カラーコートを硬化させて、着色剤封入ポリマーネットワーク、およびその中に封入される着色剤を含むカラーフィルムを形成する工程(ここで、含フッ素バインダーポリマー中のエチレン性不飽和基の量は、含フッ素バインダーコポリマーを化学線または熱で架橋することで、インク中に着色剤を封入可能な着色剤封入ポリマーネットワークを確実に形成できるようにするために十分である);
(c)型のレンズ形成キャビティ中にレンズ形成材料を分配する工程(ここで、レンズ形成材料は、少なくとも1種の第2のシリコーン含有ビニルモノマーもしくはマクロマー、またはシリコーン含有プレポリマーを含む);ならびに
(d)レンズ形成材料をレンズ形成キャビティ内で硬化させて、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを形成し、それによりカラーコートが成形面から離脱して、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの本体と一体化する工程、を含む方法。
【請求項10】
含フッ素バインダーコポリマーが、ヒドロキシル基(−OH)、第一級アミノ基(−NH)、第二級アミノ基(−NHR)、カルボキシ基(−COOH)、エポキシ基、アルデヒド基(−CHO)、アミド基(−CONH)、酸ハロゲン化物基(−COX、X=Cl、Br、またはI)、イソチオシアナト基、イソシアナト基、ハロゲン化物基(−X、X=Cl、Br、またはI)、酸無水物基、およびその組み合わせからなる群から選択されるペンダント官能基を有する含フッ素出発コポリマーのエチレン性官能化により得られる、請求項9記載の方法。
【請求項11】
ペンダント官能基を有する含フッ素出発コポリマーが、重合性組成物(A)または(B)の共重合物であり、
組成物(A)が、(a)少なくとも1種の含フッ素ビニルモノマー、(b)少なくとも1種の親水性ビニルモノマー、(c)少なくとも1個の官能基を含む少なくとも1種の官能化用ビニルモノマー、および(d)少なくとも1種のシリコーン含有ビニルモノマーまたはマクロマーを含み、
組成物(B)が、(a)少なくとも1種の含フッ素ビニルモノマー、(b)少なくとも1種の親水性ビニルモノマー、(c)官能基を有する共重合物を得るために連鎖移動基および官能基を含む少なくとも1種の連鎖移動剤を含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
カラーコートを適用する前に、重合性成分を含み、かつ着色剤を含まない透明溶液を型の成形面に適用して、カラーコートをその上に適用可能な転写可能な透明コーティングを形成する、請求項10記載の方法。
【請求項13】
透明溶液が、化学線硬化性含フッ素コポリマーを含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
レンズ形成材料が、場合により他の成分の存在下で、エチレン性不飽和基を有する1種以上のシリコーン含有プレポリマーの溶液、溶媒を含まない液体、または溶融液であり、型が再利用可能な型であり、レンズ形成材料を化学線の空間的制限下で化学線により硬化させてコンタクトレンズを形成する、請求項9記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1種の着色剤、
溶媒、および
含フッ素バインダーコポリマー
を含む、カラーコンタクトレンズを製造するためのインクであって、
含フッ素バインダーコポリマーは、複数のエチレン性不飽和基、1種以上の親水性ビニルモノマーから誘導される親水性セグメント、1種以上の含フッ素ビニルモノマーから誘導される含フッ素セグメント、および少なくとも1種のシリコーン含有ビニルモノマーまたはマクロマーから誘導されるシリコーン含有セグメントを含み、ここで、含フッ素バインダーポリマー中のエチレン性不飽和基の量は、含フッ素バインダーコポリマーを化学線または熱で架橋することで、インク中に着色剤を封入可能な着色剤封入ポリマーネットワークを確実に形成できるようにするために十分であり、インクは、化学線または熱で硬化させることで型の成形面上でカラーフィルムを形成する能力を有することを特徴とし、カラーフィルムが着色剤封入ポリマーネットワーク、およびその中に封入される着色剤を含み、カラーフィルムは、フッ素を含有しない化学線硬化性バインダーコポリマーを含む対照インクから得られる対照カラーフィルムに対して、シリコーン−ヒドロゲルレンズ配合物中、溶媒和状態での耐久性が増大していることを特徴とし、カラーフィルムは、コンタクトレンズのレンズ材料に対する共有結合なしにコンタクトレンズに対する良好な付着を示す、インク。
【請求項16】
含フッ素バインダーコポリマーが、ヒドロキシル基(−OH)、第一級アミノ基(−NH)、第二級アミノ基(−NHR)、カルボキシ基(−COOH)、エポキシ基、アルデヒド基(−CHO)、アミド基(−CONH)、酸ハロゲン化物基(−COX、X=Cl、Br、またはI)、イソチオシアナト基、イソシアナト基、ハロゲン化物基(−X、X=Cl、Br、またはI)、酸無水物基、およびその組み合わせからなる群から選択されるペンダント官能基を有する含フッ素出発コポリマーのエチレン性官能化により得られる、請求項15記載のインク。
【請求項17】
ペンダント官能基を有する含フッ素出発コポリマーが、重合性組成物(A)または(B)の共重合物であり、
組成物(A)が、(a)少なくとも1種の含フッ素ビニルモノマー、(b)少なくとも1種の親水性ビニルモノマー、(c)少なくとも1個の官能基を含む少なくとも1種の官能化用ビニルモノマー、および(d)少なくとも1種のシリコーン含有ビニルモノマーまたはマクロマーを含み、
組成物(B)が、(a)少なくとも1種の含フッ素ビニルモノマー、(b)少なくとも1種の親水性ビニルモノマー、(c)官能基を有する共重合物を得るために連鎖移動基および官能基を含む少なくとも1種の連鎖移動剤を含む、請求項16記載のインク。
【請求項18】
含フッ素モノマーが、モノマー分子当たり少なくとも3個のフッ素原子、および約4個〜約20個の炭素原子を含む、請求項17記載のインク。
【請求項19】
含フッ素モノマーが、2−(N−エチル−ペルフルオロオクタンスルホンアミド)−エチルアクリレート(FX−13)、2−(N−エチル−ペルフルオロオクタンスルホンアミド)エチルメタクリレート(FX−14)、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート(TEM)、1,1−ジヒドロペルフルオロエチルアクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルアクリレート(DFHA)、ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、ペンタフルオロスチレン(PFS)、トリフルオロメチルスチレン、ペンタフルオロエチルアクリレート、ペンタフルオロエチルメタクリレート、ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート(HFIPMA)、メタクリレート官能化フッ素化ポリエチレンオキシド、およびその混合物からなる群から選択され、親水性ビニルモノマーが、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、トリメチルアンモニウム2−ヒドロキシプロピルメタクリレート塩酸塩、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、グリセリンメタクリレート(GMA)、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、アリルアルコール、ビニルピリジン、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、およびその混合物からなる群から選択され、シリコーン含有ビニルモノマーが、メタクリルオキシアルキルシロキサン、3−メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサン、ビス(メタクリルオキシプロピル)テトラメチル−ジシロキサン、モノメタクリル化ポリジメチルシロキサン、モノアクリル化ポリジメチルシロキサン、メルカプト末端ポリジメチルシロキサン、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]アクリルアミド、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]メタクリルアミド、およびトリストリメチルシリルオキシシリルプロピルメタクリレート、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]メタクリルアミド、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]アクリルアミド、3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、ビス−3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン、3−メタクリルオキシ−2−(2−ヒドロキシエトキシ)プロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチル−シラン、N,N,N’,N’−テトラキス(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−α,ω−ビス−3−アミノプロピル−ポリジメチルシロキサン、モノメタクリル化ポリジメチルシロキサン、モノアクリル化ポリジメチルシロキサン、1,3−ビス[4−ビニルオキシカルボニルオキシ)ブト−1−イル]テトラメチル−ジシロキサン;3−(トリメチルシリル)プロピルビニルカーボネート、3−(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル−[トリス(トリメチルシロキシ)シラン]、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカーボネート、t−ブチルジメチルシロキシエチルビニルカーボネート;トリメチルシリルエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルメチルビニルカーボネート、ならびにその組み合わせからなる群から選択される、請求項17記載のインク。
【請求項20】
化学線硬化性含フッ素コポリマーを含む重合性組成物の共重合物であるシリコーンヒドロゲル材料を含むシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズであって、化学線硬化性含フッ素コポリマーは、ヒドロキシル基(−OH)、第一級アミノ基(−NH)、第二級アミノ基(−NHR)、カルボキシ基(−COOH)、エポキシ基、アルデヒド基(−CHO)、アミド基(−CONH)、酸ハロゲン化物基(−COX、X=Cl、Br、またはI)、イソチオシアナト基、イソシアナト基、ハロゲン化物基(−X、X=Cl、Br、またはI)、酸無水物基、およびその組み合わせからなる群から選択されるペンダント官能基を有する含フッ素出発コポリマーのエチレン性官能化により得られ、ペンダント官能基を有する含フッ素出発コポリマーは、重合性組成物(A)または(B)の共重合物であり、組成物(A)は、(a)少なくとも1種の含フッ素ビニルモノマー、(b)少なくとも1種の親水性ビニルモノマー、(c)少なくとも1個の官能基を含む少なくとも1種の官能化用ビニルモノマー、および(d)少なくとも1種のシリコーン含有ビニルモノマーまたはマクロマーを含み、組成物(B)は、(a)少なくとも1種の含フッ素ビニルモノマー、(b)少なくとも1種の親水性ビニルモノマー、(c)官能基を有する共重合物を得るために連鎖移動基および官能基を含む少なくとも1種の連鎖移動剤を含む、コンタクトレンズ。
【請求項21】
含フッ素モノマーが、モノマー分子当たり少なくとも3個のフッ素原子、および約4個〜約20個の炭素原子を含む、請求項20記載のコンタクトレンズ。
【請求項22】
含フッ素モノマーが、2−(N−エチル−ペルフルオロオクタンスルホンアミド)−エチルアクリレート(FX−13)、2−(N−エチル−ペルフルオロオクタンスルホンアミド)エチルメタクリレート(FX−14)、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート(TEM)、1,1−ジヒドロペルフルオロエチルアクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルアクリレート(DFHA)、ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、ペンタフルオロスチレン(PFS)、トリフルオロメチルスチレン、ペンタフルオロエチルアクリレート、ペンタフルオロエチルメタクリレート、ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート(HFIPMA)、メタクリレート官能化フッ素化ポリエチレンオキシド、およびその混合物からなる群から選択される、請求項21記載のコンタクトレンズ。
【請求項23】
親水性ビニルモノマーが、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、トリメチルアンモニウム2−ヒドロキシプロピルメタクリレート塩酸塩、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、グリセリンメタクリレート(GMA)、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、アリルアルコール、ビニルピリジン、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、およびその混合物からなる群から選択され、連鎖移動剤が、2個〜約24個の炭素原子を有し、アミノ基、ヒドロキシ基、またはカルボキシ基であるさらなる官能基を有する、脂環式または脂肪族のチオールであり、シリコーン含有ビニルモノマーが、メタクリルオキシアルキルシロキサン、3−メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサン、ビス(メタクリルオキシプロピル)テトラメチル−ジシロキサン、モノメタクリル化ポリジメチルシロキサン、モノアクリル化ポリジメチルシロキサン、メルカプト末端ポリジメチルシロキサン、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]アクリルアミド、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]メタクリルアミド、およびトリストリメチルシリルオキシシリルプロピルメタクリレート、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]メタクリルアミド、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]アクリルアミド、3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、ビス−3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン、3−メタクリルオキシ−2−(2−ヒドロキシエトキシ)プロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチル−シラン、N,N,N’,N’−テトラキス(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−α,ω−ビス−3−アミノプロピル−ポリジメチルシロキサン、モノメタクリル化ポリジメチルシロキサン、モノアクリル化ポリジメチルシロキサン、1,3−ビス[4−ビニルオキシカルボニルオキシ)ブト−1−イル]テトラメチル−ジシロキサン;3−(トリメチルシリル)プロピルビニルカーボネート、3−(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル−[トリス(トリメチルシロキシ)シラン]、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカーボネート、t−ブチルジメチルシロキシエチルビニルカーボネート;トリメチルシリルエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルメチルビニルカーボネート、ならびにその組み合わせからなる群から選択される、請求項20記載のコンタクトレンズ。
【請求項24】
ペンダント官能基を有する含フッ素出発コポリマーと、エチレン性不飽和基、および含フッ素出発コポリマーの官能基のうち1個と反応して共有結合を形成可能な基を含むエチレン性官能化剤とを反応させることにより得られる、請求項20記載のコンタクトレンズ。
【請求項25】
エチレン性官能化剤が、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレート(IEM)、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド(NHMA)、アクリロイルクロリド、メタクリロイルクロリド、メタクリル酸、アクリル酸、2−ブロモエチルメタクリレート、またはメタクリル酸無水物である、請求項34記載のコンタクトレンズ。

【公表番号】特表2010−513601(P2010−513601A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541544(P2009−541544)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/087178
【国際公開番号】WO2008/076736
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】