化粧品用色調カプセル組成物、この製造方法及びこれを用いた化粧品製剤
本発明は、高分子重合体とこれを膨潤させる可塑剤を適用して割れ易く、且つ、粒子に有孔性を与えてブースティング効果を有する化粧品用色調カプセル組成物及びこの製造方法に関する。
本発明による化粧品用色調カプセル組成物の製造方法は、色調顔料、可塑剤及び高分子重合体を第1の溶媒に均質に混合して第1の混合溶液を生成する段階と、前記第1の混合溶液を噴霧乾燥させて色調顔料が高分子重合体に囲まれるコア粒子を生成する段階と、前記生成されたコア粒子と機能性顔料及び第2の溶媒を均質に混合して第2の混合溶液を生成する段階と、前記第2の混合溶液を噴霧乾燥させて高分子重合体の外部に機能性顔料のコーティング層が形成されたカプセル粒子を生成する段階と、を含むことを特徴とする。
本発明による化粧品用色調カプセル組成物の製造方法は、色調顔料、可塑剤及び高分子重合体を第1の溶媒に均質に混合して第1の混合溶液を生成する段階と、前記第1の混合溶液を噴霧乾燥させて色調顔料が高分子重合体に囲まれるコア粒子を生成する段階と、前記生成されたコア粒子と機能性顔料及び第2の溶媒を均質に混合して第2の混合溶液を生成する段階と、前記第2の混合溶液を噴霧乾燥させて高分子重合体の外部に機能性顔料のコーティング層が形成されたカプセル粒子を生成する段階と、を含むことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子重合体とこれを膨潤させる可塑剤を適用して割れ易く、且つ、粒子に有孔性を与えてブースティング効果を有する化粧品用色調カプセル組成物及びこの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、色調化粧料粒子の製造に際しては、膨潤可能であるか、または、ある程度の外力に耐えつつも、特定の剤型下では割れ易い構造を形成するために、液滴形成(coacervation)、相分離または変形されたカプセル化方法を用いていた。
【0003】
これらの方法は、一般に、製造工程が極めて複雑であり、しかも、粒子径を調節することも困難である。加えて、その工程特性から、カプセルの隠蔽力も調節することが困難である。
【0004】
そして、これらの方法は、ほとんどがウェット工程を用いて粒子化またはカプセル化を行うが、このとき、残留する有機溶媒や不純物の除去のために、数回に亘る洗浄及びろ過過程を経ることを余儀なくされるため、多量の悪性廃水が発生してしまうとう不都合がある。
【0005】
これは、多量の廃水発生につながり、その結果、製造コストが嵩む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、高分子重合体とこれを膨潤させる可塑剤を適用して割れ易く、且つ、粒子に有孔性を与えてブースティング効果を有する化粧品用色調カプセル組成物及びこの製造方法を提供するところにある。
【0007】
本発明の他の目的は、色調顔料を囲む高分子重合体でコア粒子を製造し、コア粒子を隠蔽力を高める機能性顔料によりコーティングして、コア−シェル構造の隠蔽力を有する化粧品用色調カプセル組成物及びこの製造方法を提供するところにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、噴霧乾燥機を用いて噴霧と同時に乾燥を行うことで簡単にマイクロ単位のコア粒子またはカプセル粒子を生成して廃水の発生及び揮発性溶媒の排出を防止することのできる化粧品用色調カプセル組成物及びこの製造方法を提供するところにある。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、粒子の形成時に界面活性剤を使用しないことから最終品の物性を容易に制御することができ、これにより工数を削減することのできる化粧品用色調カプセル組成物及びこの製造方法を提供するところにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、色調カプセル組成物を用いたW/O乳化剤型、W/S乳化剤型及びO/W乳化剤型の化粧品製剤を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の化粧品用色調カプセル組成物は、色調顔料、可塑剤及び高分子重合体を第1の溶媒に均質に混合して乾燥したコア粒子と、機能性顔料及び第2の溶媒を均質に混合して乾燥したものであることを特徴とする。
【0012】
好ましくは、本発明の化粧品用色調カプセル組成物において、前記高分子重合体、色調顔料及び可塑剤の混合量は、3種類の化合物の総量を基準として、それぞれ高分子重合体5〜15重量%、可塑剤5〜15重量%及び色調顔料70〜90重量%であり、前記コア粒子及び機能性顔料の混合量は、コア粒子80〜40重量%及び機能性顔料20〜60重量%である。
【0013】
また、本発明による化粧品用色調カプセル組成物の製造方法は、色調顔料、可塑剤及び高分子重合体を第1の溶媒に均質に混合して第1の混合溶液を生成する段階と、前記第1の混合溶液を噴霧乾燥させて色調顔料が高分子重合体に囲まれるコア粒子を生成する段階と、前記生成されたコア粒子と機能性顔料及び第2の溶媒を均質に混合して第2の混合溶液を生成する段階と、前記第2の混合溶液を噴霧乾燥させて高分子重合体の外部に機能性顔料のコーティング層が形成されたカプセル粒子を生成する段階と、を含むことを特徴とする。
【0014】
好ましくは、本発明の化粧品用色調カプセル組成物は、さらに前記第1の混合溶液に脂肪酸を付加して混合したものである。
【0015】
好ましくは、本発明の化粧品用色調カプセル組成物において、前記高分子重合体は、ポリエステル、ポリエステルエマルジョン、ポリアミノメタクリラート、ポリビニールピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びシェラックよりなる群から選ばれるいずれか一種である。
【0016】
好ましくは、本発明の化粧品用色調カプセル組成物において、前記可塑剤は、1,3−ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びこれらの混合物よりなる群から選ばれるいずれか一種である。
【0017】
好ましくは、本発明の化粧品用色調カプセル組成物において、前記色調顔料は、酸化鉄顔料、有機顔料、レーキ染料及び天然顔料よりなる群から選ばれるいずれか一種である。
【0018】
好ましくは、本発明の化粧品用色調カプセル組成物において、前記第1の溶媒と第2の溶媒は、アセトン、エタノール及び蒸留水よりなる群から選ばれるいずれか一種である。
【0019】
好ましくは、本発明の化粧品用色調カプセル組成物において、前記機能性顔料は、二酸化チタン、酸化亜鉛、窒化ホウ素、タルク、マイカ及びこれらの混合物である。
【0020】
好ましくは、第1の混合溶液を生成する段階において、高分子重合体4.5g、色調顔料39.15g、可塑剤2.25gであり、第2の混合溶液を生成する段階において、前記コア粒子45g、機能性顔料55gである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の化粧品用色調カプセル組成物によれば、高分子とこれを膨潤させる可塑剤を適用して、特定の条件下で膨潤されて割れ易い物性を有するように誘導することができ、簡単な噴霧乾燥機を用いて粒子に有孔性を与えてブースティング効果を持たせることができる。
【0022】
また、本発明の化粧品用色調カプセル組成物によれば、コアの外壁に簡単に隠蔽力のための二酸化チタン、窒化ホウ素などの無機物のコーティング層を形成して隠蔽力を有するコア−シェル構造の粒子を製造することができる。
【0023】
さらに、本発明の化粧品用色調カプセル組成物によれば、カプセル粒子の形成時に界面活性剤を使用しないことから最終品の物性を容易に制御することができ、これにより工数を削減することができ、しかも、噴霧乾燥機の場合、粒子形成の段階において乾燥が同時に行われることから廃水が発生しない結果、コストの節減効果を得ることができる。
【0024】
さらに、密閉型噴霧乾燥システムを使用することから、乾燥時に発生する揮発性溶媒を排出することなくリサイクルすることができ、これにより、環境に優しい製造工程が伴われる。
【0025】
一方、天然及び合成により得られた有機及び無機顔料を含む色調カプセルを製造して発色範囲を広げることで、幅広い色相を実現することができる。
【0026】
そして、このようにして製造された色調カプセルを用いて、W/O乳化剤型、W/S乳化剤型、及びO/W乳化剤型の化粧料組成物を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施例1、6、11に従い製造されたコア粒子の写真である。
【図2】実施例1、6、11に従い製造されたカプセル粉末の写真である。
【図3】実施例31〜実施例57のコア粉末の割れ性を示すグラフである。
【図4】実施例31〜実施例57のコア粉末の割れ性を示すグラフである。
【図5】実施例58〜実施例63の脂肪酸の変化量に対するコア粉末の割れ性を示すグラフである。
【図6】実施例64〜実施例90のコア粉末の割れ性を示すグラフである。
【図7】実施例64〜実施例90のコア粉末の割れ性を示すグラフである。
【図8】実施例91〜実施例117のコア粉末の割れ性を示すグラフである。
【図9】実施例91〜実施例117のコア粉末の割れ性を示すグラフである。
【図10】実施例118〜実施例144のコア粉末の割れ性を示すグラフである。
【図11】実施例118〜実施例144のコア粉末の割れ性を示すグラフである。
【図12】実施例145〜実施例171のコア粉末の割れ性を示すグラフである。
【図13】実施例145〜実施例171のコア粉末の割れ性を示すグラフである。
【図14】実施例172〜実施例198のコア粉末の割れ性を示すグラフである。
【図15】実施例172〜実施例198のコア粉末の割れ性を示すグラフである。
【図16】実施例226〜実施例242の無機物コーティング層の含量変化に対する隠蔽力比較グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の化粧品用色調カプセル組成物は、色調顔料、可塑剤及び高分子重合体を第1の溶媒に均質に混合して乾燥したコア粒子と、機能性顔料及び第2の溶媒を均質に混合して乾燥して生成される。
【0029】
また、本発明の化粧品用色調カプセル組成物の製造方法は、色調顔料、可塑剤及び高分子重合体を第1の溶媒に均質に混合して第1の混合溶液を生成する段階と、前記第1の混合溶液を噴霧乾燥させて色調顔料が高分子重合体に囲まれるコア粒子を生成する段階と、前記生成されたコア粒子と機能性顔料及び第2の溶媒を均質に混合して第2の混合溶液を生成する段階と、前記第2の混合溶液を噴霧乾燥させて高分子重合体の外部に機能性顔料のコーティング層が形成されたカプセル粒子を生成する段階と、を含む。
【0030】
高分子重合体は、色調顔料を囲んで分散されることを防止するために用いられ、その使用量は、高分子重合体、可塑剤及び色調顔料の混合重量に対して5〜15重量%である。このとき、5重量%以下であれば、十分に色調顔料を囲むことができないという不都合があり、15重量部以上であれば、第1の混合溶液の粘度が急増してコア粒子径の調節や球形度の調節が困難になるという不都合がある。この高分子重合体としては、ポリエステル、ポリエステルエマルジョン、ポリアミノメタクリラート、ポリビニールピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びシェラックよりなる群から選ばれるいずれか一種が用いられる。
【0031】
可塑剤は、高分子重合体の膨潤のために用いられ、その使用量は、高分子重合体、可塑剤及び色調顔料の混合重量に対して5〜15重量%である。このとき、5重量部以下であれば、高分子重合体の膨潤が弱くて粒子硬度が高くなるという問題があり、15重量部以上であれば、高分子重合体の膨潤が強くて粒子硬度が低すぎる結果、潰れ易くなるという不都合がある。この種の可塑剤としては、1,3−ブタンジオールポリエチ、レングリコール及びジプロピレングリコールよりなる群から選ばれるいずれか一種が用いられる。
【0032】
色調顔料は、化粧品に色相を与えるために用いられ、酸化鉄顔料、有機顔料、レーキ染料及び天然顔料よりなる群から選ばれるいずれか一種が用いられる。色調顔料の使用量は、高分子重合体、可塑剤及び色調顔料の混合重量に対して70〜90重量%である。このとき、色調顔料の使用量が70重量%以下であれば、最終的な発色時に色相の彩度が低くなるという不都合があり、90重量%以上であれば、相対的に高分子重合体、可塑剤の含量が低くなる結果、粒子硬度の調節が困難になるという不都合がある。
【0033】
機能性顔料は、製造されるカプセル粒子の隠蔽力及び使用感を増大させ、光沢性を与えるために用いられ、その使用量は、コア粒子80〜40重量%に対して20〜60重量%である。このとき、機能性顔料の使用量が60重量%以上であれば、コア粒子内部の色調顔料の発色が低下するという欠点があり、40重量%以下であれば、カプセル粒子の隠蔽力及び使用感が低下するという欠点がある。このような機能性顔料としては、隠蔽力を高めるために二酸化チタン、酸化亜鉛などが用いられ、光沢性と使用感を増大させるために窒化ホウ素が用いられ、使用感を増大させるためにタルクやマイカなどが用いられる。このような機能性顔料は、単独で使用してもよく、または、これらを混合して使用してもよい。
【0034】
一方、コア粒子の割れ性を増大させるために、第1の混合溶液の製造に際して脂肪酸をさらに付加することが好ましい。脂肪酸としては、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などが用いられ、その含有量は、高分子重合体、可塑剤、色調顔料及び脂肪酸の混合重量に対して2重量%〜5重量%である。
【0035】
化粧品用色調カプセル組成物の製造方法において、第1の混合溶液を生成する段階は、第1の溶媒に高分子重合体及び可塑剤を均質に1次溶解させ、第1の溶媒に色調顔料を均質に2次溶解させ、さらに1次溶解物を2次溶解物に混入した後に均一に分散させて3次溶解物を生成する段階を含む。このとき、高分子と可塑剤が分散された溶液と、色調顔料が分散された溶液とは別々に製造した後に混合して使用することが好ましいが、これらは一括に混合して使用してもよい。なお、第1の混合溶液の生成に際して脂肪酸をさらに混合する場合にも、脂肪酸を第1の溶媒に均質に溶解させた後に1次溶解物と2次溶解物に混合して3次溶解物を生成してもよく、一括に混合して使用してもよい。
【0036】
そして、コア粒子を生成する段階は、篩い分け分級を用いて噴霧乾燥機により生成されたコア粒子の中から所望の粒径を有するもののみを選別して使用してもよい。好ましくは、篩い分け分級を用いて150μm以下の外径を有するコア粒子のみを選別して使用すれば、カプセル粒子径を調節することができる。
【0037】
このようにして製造されたコア粒子は、内部に空隙が1本または2本以上形成された多孔性構造を有する有孔性を与えて、前記物性にブースティング効果を持たせる。
【0038】
化粧品用色調カプセル組成物の製造方法において、第2の混合溶液を生成する段階は、第2の溶媒に機能性顔料を混入した後に攪拌して4次溶解物を生成し、第2の溶媒に第1の段階において生成されたコア粉末を分散させた5次溶解物を生成した後に、4次溶解物と5次溶解物を混合し、均一に分散させて6次溶解物を生成する。このとき、機能性顔料が分散された溶液と、コア粒子が分散された溶液とは別々に製作した後に混合して使用することが好ましいが、これらは一括に混合して使用してもよい。
【0039】
そして、カプセル粒子を生成する段階は、篩い分け分級を用いて噴霧乾燥機により生成されたカプセル粒子の中から所望の粒径を有するもののみを選別して使用してもよい。好ましくは、篩い分け分級を用いて150μm以下の外径を有するカプセル粒子のみを選別すれば、化粧品剤型における隠蔽力が高まる。
【0040】
このようにして製造されたカプセル粒子は、コア粒子にコーティング層を形成する機能性顔料によって色感、隠蔽力または使用感を高めることができる。
【0041】
以下、実施例を挙げて本発明を詳述する。
【実施例1】
【0042】
(実施例1)
有機溶液としてのアセトン43mlに、重合体としてのポリエステル重合物4.5gと可塑剤としての1,3−ブタンジオール2.25gを15分間25℃の温度下で攪拌して溶解させ、この溶液と、アセトン90mlに無機顔料としての黄色顔料である黄色酸化鉄39.15gを15分間25℃の温度下で分散した溶液とを混合して、同じ温度下で30分間均質に分散した。この後、前記溶液を、定量供給ポンプを用いて、100ml/minの定速度及び10,000rpmにて高速回転しているアトマイザーの内部に供給した。次いで、設定温度は80℃であり、内部温度は60℃であるアトマイザーを用いて前記溶液を乾燥させて1次的にコア粉末を得た。このとき、得られたコア粉末を150μm以下の外径を有する篩体に通させてコア粉末を選別した。
【0043】
一方、窒化ホウ素5gと二酸化チタン50gを蒸留水100ml中において10分間25℃の温度下で攪拌して無機物懸濁液を製造し、次いで、得られたコア粉末45gを蒸留水207mとエタノール23mlとの混合溶液に10分間25℃の温度下で攪拌して分散させた。前記両溶液を10分間25℃の温度下で攪拌して混合した後、定量供給ポンプを用いて、120ml/minの定速度及び10,000rpmにて高速回転しているアトマイザーの内部に供給した。次いで、設定温度は160℃であり、内部温度は80℃であるアトマイザーを用いて前記溶液を乾燥させて第2のカプセル粉末を生成した。このとき、得られたカプセル粉末を150μm以下の外径を有するように篩体に通させて第2のカプセル粉末を選別した。
【0044】
(実施例2)
可塑剤の含量を3.60重量部に変えた以外は、実施例1の方法と同様にして均一な粒子を選別した。
【0045】
(実施例3)
可塑剤の含量を4.50重量部に変えた以外は、実施例1の方法と同様にして均一な粒子を選別した。
【0046】
(実施例4)
可塑剤の含量を6.70重量部に変えた以外は、実施例1の方法と同様にして均一な粒子を選別した。
【0047】
(実施例5)
可塑剤の含量を9.00重量部に変えた以外は、実施例1の方法と同様にして均一な粒子を選別した。
【0048】
(実施例6)
無機顔料として赤色顔料である赤色酸化鉄を使用した以外は、実施例1の方法と同様にして均一な粒子を選別した。
【0049】
(実施例7)
可塑剤の含量を3.60重量部に変えた以外は、実施例6の方法と同様にして均一な粒子を選別した。
【0050】
(実施例8)
可塑剤の含量を4.50重量部に変えた以外は、実施例6の方法と同様にして均一な粒子を選別した。
【0051】
(実施例9)
可塑剤の含量を6.70重量部に変えた以外は、実施例6の方法と同様にして均一な粒子を選別した。
【0052】
(実施例10)
可塑剤の含量を9.00重量部に変えた以外は、実施例6の方法と同様にして均一な粒子を選別した。
【0053】
(実施例11)
無機顔料として黒色顔料である黒色酸化鉄を使用した以外は、実施例1の方法と同様にして均一な粒子を選別した。
【0054】
(実施例12)
可塑剤の含量を3.60重量部に変えた以外は、実施例11の方法と同様にして均一な粒子を選別した。
【0055】
(実施例13)
可塑剤の含量を4.50重量部に変えた以外は、実施例11の方法と同様にして均一な粒子を選別した。
【0056】
(実施例14)
可塑剤の含量を6.70重量部に変えた以外は、実施例11の方法と同様にして均一な粒子を選別した。
【0057】
(実施例15)
可塑剤の含量を9.00重量部に変えた以外は、実施例11の方法と同様にして均一な粒子を選別した。
【0058】
(粒子割れ性の測定方法)
実施例1〜実施例15に従い製造されたカプセル粉末0.3gに一定の荷重5gf/cm2を与えつつ、上下左右動作を0.01m/secの定速度にて30秒間繰り返し行うことで、カプセル粒子の割れ性を測定した。これを光学顕微鏡により観察し、1mm×1mmピクセル当たりの破壊粒子の数を3回測定した後、平均値を求めて表1に記載した。正常粒子数が少ないほど割れ性に優れている。
【0059】
【表1】
表1に示すように、可塑剤の含量が増大するにつれて、カプセル粒子の割れ性は低下することが分かる。このように割れ性が低ければ、カプセル粒子を含むW/O乳化剤型化粧品、W/S乳化剤型化粧品、O/W乳化剤型化粧品の使用時に高分子重合体が皮膚に塗布され易くなることが分かり、また、皮膚の表面に割れないカプセル粒子に起因するすべすべしない使用感を低減することができるということが分かる。
【0060】
(粒子の色座標測定)
実施例1、6、11に従い製造されたコア粒子を図1に示し、カプセル粉末の写真を図2に示す。また、実施例1、6、11に従い製造されたカプセル粒子の色座標を測定して得た隠蔽力を表2に示す。このとき、「隠蔽力」とは、コアの色座標(L、a、b)のうち一つの値を変化させうる能力を意味し、「隠蔽力が向上したとき」とは、黄色顔料を用いたカプセル粒子の場合、コアの色座標(L、a、b)とカプセルの色座標(L、a、b)のうち変化量Δb*が0よりも大きいときを意味し、赤色顔料を用いたカプセル粒子の場合、コアの色座標(L、a、b)とカプセルの色座標(L、a、b)のうち変化量Δa*が0よりも大きいときを意味し、黒色顔料を用いたカプセル粒子の場合、コアの色座標(L、a、b)とカプセルの色座標(L、a、b)のうち変化量ΔL*が0よりも大きいときを意味する。すなわち、「ΔL*、Δa*、Δb*」はそれぞれ、ΔL*=[Lカプセル−Lコア]、Δa*=[aコア−aカプセル]、Δb*=[bコア−bカプセル]を意味する。なお、a*は赤色に対する彩度であり、数字が上がるにつれて赤色が濃くなることを意味し、b*は黄色に対する彩度であり、数字が上がるにつれて黄色が濃くなることを意味し、L*は明度であり、数字が上がるにつれて色が薄くなることを意味する。
【0061】
【表2】
図1、図2及び表2に示すように、黄色顔料、赤色顔料及び黒色顔料を用いても、ΔL*が全体的に増大してカプセル粒子がコア粒子よりも隠蔽力が増大することを確認することができる。または、赤色顔料を用いたカプセル粒子の場合の赤色領域の彩度であるΔa*と、黄色顔料を用いたカプセル粒子の場合の黄色領域の彩度であるΔb*とが全体的に減少することが分かる。これは、カプセル粒子がコア粒子に比べて高い隠蔽力を有することを意味する。
【0062】
(カプセル粒子の発色測定)
(実施例16〜実施例20)
表3に示すように、所定量の高分子重合体、可塑剤及び窒化ホウ素への黄色顔料と二酸化炭素の添加量を変化させつつ、実施例1の方法と同様にして、均一な粒子を選別した。この後、カプセル粒子の変化に対する色相分析(ΔE*)を行い、その結果を表3に記載した。
【0063】
(実施例21〜実施例25)
表3に示すように、所定量の高分子重合体、可塑剤及び窒化ホウ素への赤色顔料と二酸化炭素の添加量を変化させつつ、実施例1の方法と同様にして、均一な粒子を選別した。この後、カプセル粒子の変化に対する色相分析(ΔE*)を行い、その結果を表3に記載した。
【0064】
(実施例26〜実施例30)
表3に示すように、所定量の高分子重合体、可塑剤及び窒化ホウ素への赤色顔料と二酸化炭素の添加量を変化させつつ、実施例1の方法と同様にして、均一な粒子を選別した。この後、カプセル粒子の変化に対する色相分析(ΔE*)を行い、その結果を表3に記載した。
【0065】
【表3】
実施例16〜実施例30に従い製造されたカプセル粉末1gを5cm×5cm規格のゴーズに定量し、一定の荷重10gf/cm2を与えつつ上下左右動作を0.01m/secの定速度にて30秒間繰り返し行い、カプセル粒子を潰して塗布した。発色された色相をL*a*b*色座標系を用いて3回測定した平均値と、塗布前のカプセル粒子の色座標を測定してΔE*値を計算した。なお、ΔE*値は表3に示す。
【0066】
このとき、ΔE*とは、カプセル粒子の色座標(L1、a1、b1)から前記実験方法によりカプセルを潰して塗布したときに発色される色座標(L2、a2、b2)への変化量を意味する。すなわち、
【0067】
【数1】
である。
【0068】
表3に示すように、黄色顔料を用いた黄色カプセルは9.45≦ΔE≧30.52の色相値を示し、赤色顔料を用いた赤色カプセルは10.35≦ΔE≧48.78の色相値を示し、黒色顔料を用いた黒色カプセルは7.58≦ΔE≧45.43の色相値を示すことが分かる。
【実施例2】
【0069】
色調を有するコア粉末の製造
(実施例31)高分子重合体−可塑剤−酸化鉄顔料からなるコア粉末の製造
色調を有するカプセル粒子の製造過程の第1の段階であるコア粒子の製造は、下記の製造過程により行われた。
【0070】
酸化鉄顔料(黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、赤色酸化鉄またはこれらの混合物)を含有する内部コアを、43mlのアセトンに、3.6gのポリエステル重合物と2.25gの1,3−ブタンジオールを15分間25℃の温度下で攪拌して溶解させ、この溶液を、90mlのアセトンに、39.15gの酸化鉄顔料を15分間25℃の温度下で分散させた溶液と混合して、同じ温度下で30分間均質に分散させた。
【0071】
この後、前記溶液を定量供給ポンプを用いて100ml/minの定速度及び10,000rpmにて高速回転しているアトマイザーの内部に供給した。次いで、設定温度は80℃であり、内部温度は60℃であるアトマイザーを用いて前記溶液を乾燥させてコア粉末を得た。このとき、得られた球状のコア粉末の外径は10μm〜150μmの範囲であった。
【0072】
(実施例32〜実施例57)ポリエステル重合体と可塑剤の種類及び含量の変更によるコア粉末の製造
前記実施例31におけるコア粉末の製造方法と同様にしてコア粉末を製造した。化合物の具体的な種類及び組成は表4に示し、可塑剤の変化量及びポリエステル重合体の変化量に対するコア粉末の割れ性を測定して図3と図4に示す。
【0073】
【表4】
図3及び図4のグラフから明らかなように、可塑剤の種類による割れ性は、低分子量の1,3−ブタンジオールまたはジプロピレングリコールの方が、相対的に高分子量のポリエチレングリコールに比べて割れ性が向上し、高揮発点または無揮発性のジプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールが割れ性に相対的に優れているということが分かる。また、可塑剤の量が増大するにつれてカプセル粒子の割れ性が増大(正常粒子数が減少)し、高分子の量が増大するにつれてカプセル粒子の割れ性が減少(正常粒子数が増大)することが分かる。なお、可塑剤として、これらの2つの条件を満たすジプロピレングリコールが好適に使用可能であることが分かる。また、可塑剤の量が増大するにつれてコア粉末の割れ性が増大(正常粒子数が減少)し、高分子の量が増大するにつれてコア粉末の割れ性が減少(正常粒子数が減少)することが分かる。
【0074】
(実施例58〜実施例63)ポリエステル重合体と可塑剤の含量の変更及び脂肪酸の添加によるコア粉末の製造
前記実施例31におけるコア粉末の製造方法と同様にしてコア粉末を製造した。このとき、可塑剤としてポリエチレングリコールとジプロピレングリコールを併用し、脂肪酸としてステアリン酸を溶解過程において付加した。化合物の具体的な種類及び組成は表5に示し、脂肪酸の変化量に対するコア粉末の割れ性を測定して図4に示す。
【0075】
【表5】
図4のグラフから明らかなように、可塑剤として脂肪酸を添加した場合、割れ性が急増(正常粒子数が減少)することが分かる。
【0076】
(実施例64〜実施例90)ポリアクリラート重合体と可塑剤の種類及び含量の変更によるコア粉末の製造
アセトン溶媒の代わりにエタノールを用いて高分子重合体及び酸化鉄顔料を分散または溶解させた以外は、実施例31の方法と同様にしてコア粉末を製造した。化合物の具体的な種類及び組成は表6に示し、可塑剤の変化量及びポリアミノメタクリラート重合体の変化量に対するコア粉末の割れ性を測定して図6と図7に示す。
【0077】
【表6】
図6と図7のグラフから明らかなように、実施例31〜実施例57のように高分子重合体がポリアミノメタクリラートに変更されても、可塑剤としてジプロピレングリコールを用いる場合、カプセル粒子の割れ性の増大(正常粒子数の減少)に優れていることが分かる。なお、高分子重合体の量が増大するにつれてカプセル粒子の割れ性が減少(正常粒子数が増大)することが分かる。
【0078】
(実施例91〜実施例171)水分散または水溶性高分子重合体における可塑剤の種類及び含量の変更によるコア粉末の製造
アセトン溶媒に代えて蒸留水を用いて高分子重合体及び酸化鉄顔料を分散または溶解させた以外は、実施例31の方法と同様にしてコア粉末を製造した。化合物の具体的な種類及び組成は表7に示し、実施例91〜実施例117における可塑剤の変化量及びポリエステル重合体の変化量に対するコア粉末の割れ性は図8と図9に示し、実施例118〜実施例144における可塑剤の変化量及びポリビニールピロリドンの変化量に対するコア粉末の割れ性は図10と図11に示し、実施例145〜実施例171における可塑剤の変化量及びヒドロキシプロピルエチルセルロースの変化量に対するコア粉末の割れ性は図12と図13に示す。
【0079】
【表7】
図8〜図13のグラフから明らかなように、水分散または水溶性高分子重合体を用い、且つ、有機溶媒を蒸留水に変えても、カプセル粒子の割れ性が増大(正常粒子数が減少)することが分かる。これにより、環境に優しい工法を適用して粒子を製造することができる。その結果、溶媒回収装置などの付帯設備の費用及び工程費用を削減することができ、環境に優しい製品を製造することができる。
【0080】
(実施例172〜実施例198)天然高分子重合体における可塑剤の種類及び含量の変更によるコア粉末の製造
高分子重合体としてシェラックを用い、アセトン溶媒の代わりにエタノールを用いて酸化鉄顔料を分散または溶解させた以外は、実施例31の方法と同様にしてコア粉末を製造した。化合物の具体的な種類及び組成は表8に示し、可塑剤の変化量及び高分子重合体としてのポリアミノメタクリラートの変化量に対するコア粉末の割れ性を測定して図14と図15に示す。
【0081】
【表8】
図14〜図15のグラフから明らかなように、天然高分子重合体を用いてコア粉末を製造しても、カプセル粒子の割れ性が増大(正常粒子数が減少)する。これは、今後、環境に優しい製品やECOCERT(エコサート)製品を製作することができるということを意味する。
【0082】
(実施例199〜実施例207)ポリエステル重合体−可塑剤−有機顔料からなるコア粉末の製造
前記実施例31の第1の段階において用いられたアセトン溶媒を用いて可塑剤としてのジプロピレングリコールを溶解させ、且つ、ポリエステル重合体及び有機顔料を分散させた。このとき、有機顔料としては、アゾ系、インジゴ系、タロシアニン系の顔料化合物を用いた。それ以外のコア粉末の製造過程は実施例31と同様である。化合物の具体的な種類及び組成は表9に示す。
【0083】
【表9】
有機顔料を用いると、無機顔料に比べて色相の線明度と着色力に優れており、且つ、色の種類も無機顔料に比べて様々であるため豊富な色感が得られる。
【0084】
(実施例208〜実施例216)ポリエステル重合体−可塑剤−レーキ染料からなるコア粉末の製造
前記実施例31の第1の段階において用いられたアセトン溶媒を用いて可塑剤としてのジプロピレングリコールを溶解させ、且つ、ポリエステル重合体及びレーキ染料を分散させた。このとき、レーキ染料としては、黄色5号、赤色230号及びこれらの混合物を用いた。その他のコア粉末の製造過程は実施例31と同様である。化合物の具体的な種類及び組成は表10に示されている。
【0085】
【表10】
染料の特性を持ったレーキを用いても豊富な色感が得られた。
【0086】
(実施例217〜実施例231)ポリエステル重合体−可塑剤−天然顔料からなるコア粉末の製造
前記実施例31の第1の段階において用いられたアセトン溶媒を用いて、可塑剤としてのジプロピレングリコールを溶解させ、且つ、ポリエステル重合体及び天然顔料を分散させた。このとき、天然顔料としては、キョウオウ、梔子、葡萄果皮色素及びこれらの混合物を用いた。これ以外のコア粉末の製造過程は実施例31と同様である。化合物の具体的な種類及び組成は表11に示す。
【0087】
【表11】
天然顔料を用いても酸化鉄顔料を用いた場合と同様に高い割れ性を有するコア粒子が得られた。
【実施例3】
【0088】
コア粉末を無機物によりコーティングしたカプセル粉末の製造
(実施例226)
実施例31に従い製造されたコア粉末45gを、蒸留水207mlとエタノール23mlとの混合溶液中において10分間25℃の温度下で攪拌して分散させた。そして、窒化ホウ素5gと二酸化チタン50gを蒸留水100mlにおいて10分間25℃の温度下で攪拌して無機物懸濁液を製造した。次いで、前記両溶液を10分間25℃の温度下で攪拌して混合した後、定量供給ポンプを用いて、120ml/minの定速度及び10,000rpmにて高速回転しているアトマイザーの内部に供給した。次いで、設定温度は160℃であり、内部温度は80℃であるアトマイザーを用いて前記溶液を乾燥させてカプセル粉末を得た。このとき、得られたカプセル粉末の外径は10μm〜150μmの範囲であった。
【0089】
(実施例227〜実施例228)
無機物コーティング層として用いられた二酸化チタンと窒化ホウ素の含量を変えた以外は、実施例226の方法と同様にしてカプセル粉末を製造した。化合物の具体的な種類及び組成は表12に示し、無機物コーティング層の含量に対する隠蔽力は図16にグラフにて示す。
【0090】
(実施例229〜実施例231)
無機物コーティング層として用いられた二酸化チタンに酸化亜鉛を付加し、これによる含量を変えた以外は、実施例226の方法と同様にしてカプセル粉末を製造した。化合物の具体的な種類及び組成は表12に示し、無機物コーティング層の含量に対する隠蔽力は図16にグラフにて示す。
【0091】
(実施例232〜実施例234)
無機物コーティング層として用いられた二酸化チタンと窒化ホウ素、及び酸化亜鉛を付加し、これによる含量を変えた以外は、実施例226の方法と同様にしてカプセル粉末を製造した。化合物の具体的な種類及び組成は表12に示し、無機物コーティング層の含量に対する隠蔽力は図16にグラフにて示す。
【0092】
(実施例235〜実施例236)
無機物コーティング層として用いられた二酸化チタンと窒化ホウ素、及びタルクを付加し、これによる含量を変えた以外は、実施例226の方法と同様にしてカプセル粉末を製造した。化合物の具体的な種類及び組成は表12に示し、無機物コーティング層の含量に対する隠蔽力は図16にグラフにて示す。
【0093】
(実施例237〜実施例239)
無機物コーティング層として用いられた二酸化チタンに酸化亜鉛とタルクを付加し、これによる含量を変えた以外は、実施例226の方法と同様にしてカプセル粉末を製造した。化合物の具体的な種類及び組成は表12に示し、無機物コーティング層の含量に対する隠蔽力は図16にグラフにて示す。
【0094】
(実施例240〜実施例242)
無機物コーティング層として用いられた二酸化チタンに酸化亜鉛とマイカを付加し、これによる含量を変えた以外は、実施例226の方法と同様にしてカプセル粉末を製造した。化合物の具体的な種類及び組成は表12に示し、無機物コーティング層の含量に対する隠蔽力は図16にグラフにて示す。
【0095】
【表12】
図16に示すように、実施例226に従い色調カプセルに無機物コーティング層を形成することにより、隠蔽力が向上するという効果が得られる。
【0096】
実施例227〜実施例228によれば、色調カプセルの無機物コーティング層を形成している二酸化チタンの含量が増大するにつれて隠蔽力が向上する効果が得られ、窒化ホウ素の含量が増大するにつれて隠蔽力、使用感及び光沢性が増大する効果が得られる。
【0097】
実施例229〜実施例231によれば、二酸化チタンが白色顔料として用いられて、隠蔽力の増大をもたらすのに対し、SPF遮断能力(UVB領域)も一部示している。同様に、二酸化チタンに比べて隠蔽力はやや劣るものの、隠蔽力と他の領域のSPF遮断能力(UVA領域)を有する酸化亜鉛を用いた場合、隠蔽力の増大と共にUV AB領域をカバーできる能力を発揮させる色調カプセル粒子を製造することができる。
【0098】
実施例232〜実施例234によれば、前記実施例227〜実施例231の効果を期待することができ、同様に、二酸化チタンの含量が最も高い場合に最高の隠蔽力が得られる。
【0099】
実施例235〜実施例236によれば、前記実施例227〜実施例228と同じ効果が得られ、窒化ホウ素を用いた場合に得られる使用感の効果を増幅させる目的でタルクを付加した。これにより、タルクの含量が増大するにつれて使用感が一層向上するという効果が得られる。
【0100】
実施例237〜実施例239によれば、前記実施例229〜実施例231と同じ効果が得られえ、窒化ホウ素をタルクに変えることで使用感に対する効果をカバーすることができた。
【0101】
実施例240〜実施例242によれば、前記実施例229〜実施例231と同じ効果が得られ、マイカに変えても、窒化ホウ素またはタルクを用いた場合に得られる使用感と同じ使用感が得られた。マイカの含量が増大するにつれて使用感が一層向上するという効果が得られる。
【実施例4】
【0102】
色調カプセルを含む化粧料組成物の製造
(実施例243)色調カプセル含有W/O乳化リーム剤型の製造
W/Oクリームベース組成物95.44gに、前記実施例226に従い製造されたコーティング済み色調カプセル4.56gを添加し且つ混合してクリームを製造した。前記W/Oクリームベース組成物の具体的な成分と含量は表13に示す。
【0103】
【表13】
(実施例244)色調カプセル含有W/O乳化クリーム剤型の製造
W/Sクリームベース組成物95.44gに、前記実施例226に従い製造されたコーティング済み色調カプセル4.56gを添加し且つ混合してクリームを製造した。前記W/Sクリームベース組成物の具体的な成分と含量は表14に示す。
【0104】
【表14】
(実施例245)色調カプセル含有O/W乳化クリーム剤型の製造
O/Wクリームベース組成物95.44gに、前記実施例226に従い製造されたコーティング済み色調カプセル4.56gを添加し且つ混合してクリームを製造した。前記W/Oクリームベース組成物の具体的な成分と含量は表15に示す。
【0105】
【表15】
(粒子の色座標の測定)
実施例243、244、245によりそれぞれのクリーム剤型に対する色座標を測定して表16に示す。
【0106】
【表16】
表16に示すように、本発明に従い製造された色調カプセル粒子は、前記剤型において類似の色座標値を示すことから(O/W乳化剤型の明度値が低いことは、ベースクリームにTiO2が使用されないことに起因する結果である。)、あらゆる剤型において安定的に使用可能であることが分かる。これは、乳化剤型に応じてカプセル粒子の膨潤特性が異なってくることにより、カプセル粒子が割れつつ発色する色感の再現性に対する問題点を解決することができるということを意味する。
【0107】
本発明によれば、上記の如き色調カプセル粒子の製造時に発生する問題点を克服することができるとともに、幅広い色座標の実現、隠蔽力向上など色調化粧料組成物のユニークな特性を強化することができるという効果が得られる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子重合体とこれを膨潤させる可塑剤を適用して割れ易く、且つ、粒子に有孔性を与えてブースティング効果を有する化粧品用色調カプセル組成物及びこの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、色調化粧料粒子の製造に際しては、膨潤可能であるか、または、ある程度の外力に耐えつつも、特定の剤型下では割れ易い構造を形成するために、液滴形成(coacervation)、相分離または変形されたカプセル化方法を用いていた。
【0003】
これらの方法は、一般に、製造工程が極めて複雑であり、しかも、粒子径を調節することも困難である。加えて、その工程特性から、カプセルの隠蔽力も調節することが困難である。
【0004】
そして、これらの方法は、ほとんどがウェット工程を用いて粒子化またはカプセル化を行うが、このとき、残留する有機溶媒や不純物の除去のために、数回に亘る洗浄及びろ過過程を経ることを余儀なくされるため、多量の悪性廃水が発生してしまうとう不都合がある。
【0005】
これは、多量の廃水発生につながり、その結果、製造コストが嵩む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、高分子重合体とこれを膨潤させる可塑剤を適用して割れ易く、且つ、粒子に有孔性を与えてブースティング効果を有する化粧品用色調カプセル組成物及びこの製造方法を提供するところにある。
【0007】
本発明の他の目的は、色調顔料を囲む高分子重合体でコア粒子を製造し、コア粒子を隠蔽力を高める機能性顔料によりコーティングして、コア−シェル構造の隠蔽力を有する化粧品用色調カプセル組成物及びこの製造方法を提供するところにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、噴霧乾燥機を用いて噴霧と同時に乾燥を行うことで簡単にマイクロ単位のコア粒子またはカプセル粒子を生成して廃水の発生及び揮発性溶媒の排出を防止することのできる化粧品用色調カプセル組成物及びこの製造方法を提供するところにある。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、粒子の形成時に界面活性剤を使用しないことから最終品の物性を容易に制御することができ、これにより工数を削減することのできる化粧品用色調カプセル組成物及びこの製造方法を提供するところにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、色調カプセル組成物を用いたW/O乳化剤型、W/S乳化剤型及びO/W乳化剤型の化粧品製剤を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の化粧品用色調カプセル組成物は、色調顔料、可塑剤及び高分子重合体を第1の溶媒に均質に混合して乾燥したコア粒子と、機能性顔料及び第2の溶媒を均質に混合して乾燥したものであることを特徴とする。
【0012】
好ましくは、本発明の化粧品用色調カプセル組成物において、前記高分子重合体、色調顔料及び可塑剤の混合量は、3種類の化合物の総量を基準として、それぞれ高分子重合体5〜15重量%、可塑剤5〜15重量%及び色調顔料70〜90重量%であり、前記コア粒子及び機能性顔料の混合量は、コア粒子80〜40重量%及び機能性顔料20〜60重量%である。
【0013】
また、本発明による化粧品用色調カプセル組成物の製造方法は、色調顔料、可塑剤及び高分子重合体を第1の溶媒に均質に混合して第1の混合溶液を生成する段階と、前記第1の混合溶液を噴霧乾燥させて色調顔料が高分子重合体に囲まれるコア粒子を生成する段階と、前記生成されたコア粒子と機能性顔料及び第2の溶媒を均質に混合して第2の混合溶液を生成する段階と、前記第2の混合溶液を噴霧乾燥させて高分子重合体の外部に機能性顔料のコーティング層が形成されたカプセル粒子を生成する段階と、を含むことを特徴とする。
【0014】
好ましくは、本発明の化粧品用色調カプセル組成物は、さらに前記第1の混合溶液に脂肪酸を付加して混合したものである。
【0015】
好ましくは、本発明の化粧品用色調カプセル組成物において、前記高分子重合体は、ポリエステル、ポリエステルエマルジョン、ポリアミノメタクリラート、ポリビニールピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びシェラックよりなる群から選ばれるいずれか一種である。
【0016】
好ましくは、本発明の化粧品用色調カプセル組成物において、前記可塑剤は、1,3−ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びこれらの混合物よりなる群から選ばれるいずれか一種である。
【0017】
好ましくは、本発明の化粧品用色調カプセル組成物において、前記色調顔料は、酸化鉄顔料、有機顔料、レーキ染料及び天然顔料よりなる群から選ばれるいずれか一種である。
【0018】
好ましくは、本発明の化粧品用色調カプセル組成物において、前記第1の溶媒と第2の溶媒は、アセトン、エタノール及び蒸留水よりなる群から選ばれるいずれか一種である。
【0019】
好ましくは、本発明の化粧品用色調カプセル組成物において、前記機能性顔料は、二酸化チタン、酸化亜鉛、窒化ホウ素、タルク、マイカ及びこれらの混合物である。
【0020】
好ましくは、第1の混合溶液を生成する段階において、高分子重合体4.5g、色調顔料39.15g、可塑剤2.25gであり、第2の混合溶液を生成する段階において、前記コア粒子45g、機能性顔料55gである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の化粧品用色調カプセル組成物によれば、高分子とこれを膨潤させる可塑剤を適用して、特定の条件下で膨潤されて割れ易い物性を有するように誘導することができ、簡単な噴霧乾燥機を用いて粒子に有孔性を与えてブースティング効果を持たせることができる。
【0022】
また、本発明の化粧品用色調カプセル組成物によれば、コアの外壁に簡単に隠蔽力のための二酸化チタン、窒化ホウ素などの無機物のコーティング層を形成して隠蔽力を有するコア−シェル構造の粒子を製造することができる。
【0023】
さらに、本発明の化粧品用色調カプセル組成物によれば、カプセル粒子の形成時に界面活性剤を使用しないことから最終品の物性を容易に制御することができ、これにより工数を削減することができ、しかも、噴霧乾燥機の場合、粒子形成の段階において乾燥が同時に行われることから廃水が発生しない結果、コストの節減効果を得ることができる。
【0024】
さらに、密閉型噴霧乾燥システムを使用することから、乾燥時に発生する揮発性溶媒を排出することなくリサイクルすることができ、これにより、環境に優しい製造工程が伴われる。
【0025】
一方、天然及び合成により得られた有機及び無機顔料を含む色調カプセルを製造して発色範囲を広げることで、幅広い色相を実現することができる。
【0026】
そして、このようにして製造された色調カプセルを用いて、W/O乳化剤型、W/S乳化剤型、及びO/W乳化剤型の化粧料組成物を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施例1、6、11に従い製造されたコア粒子の写真である。
【図2】実施例1、6、11に従い製造されたカプセル粉末の写真である。
【図3】実施例31〜実施例57のコア粉末の割れ性を示すグラフである。
【図4】実施例31〜実施例57のコア粉末の割れ性を示すグラフである。
【図5】実施例58〜実施例63の脂肪酸の変化量に対するコア粉末の割れ性を示すグラフである。
【図6】実施例64〜実施例90のコア粉末の割れ性を示すグラフである。
【図7】実施例64〜実施例90のコア粉末の割れ性を示すグラフである。
【図8】実施例91〜実施例117のコア粉末の割れ性を示すグラフである。
【図9】実施例91〜実施例117のコア粉末の割れ性を示すグラフである。
【図10】実施例118〜実施例144のコア粉末の割れ性を示すグラフである。
【図11】実施例118〜実施例144のコア粉末の割れ性を示すグラフである。
【図12】実施例145〜実施例171のコア粉末の割れ性を示すグラフである。
【図13】実施例145〜実施例171のコア粉末の割れ性を示すグラフである。
【図14】実施例172〜実施例198のコア粉末の割れ性を示すグラフである。
【図15】実施例172〜実施例198のコア粉末の割れ性を示すグラフである。
【図16】実施例226〜実施例242の無機物コーティング層の含量変化に対する隠蔽力比較グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の化粧品用色調カプセル組成物は、色調顔料、可塑剤及び高分子重合体を第1の溶媒に均質に混合して乾燥したコア粒子と、機能性顔料及び第2の溶媒を均質に混合して乾燥して生成される。
【0029】
また、本発明の化粧品用色調カプセル組成物の製造方法は、色調顔料、可塑剤及び高分子重合体を第1の溶媒に均質に混合して第1の混合溶液を生成する段階と、前記第1の混合溶液を噴霧乾燥させて色調顔料が高分子重合体に囲まれるコア粒子を生成する段階と、前記生成されたコア粒子と機能性顔料及び第2の溶媒を均質に混合して第2の混合溶液を生成する段階と、前記第2の混合溶液を噴霧乾燥させて高分子重合体の外部に機能性顔料のコーティング層が形成されたカプセル粒子を生成する段階と、を含む。
【0030】
高分子重合体は、色調顔料を囲んで分散されることを防止するために用いられ、その使用量は、高分子重合体、可塑剤及び色調顔料の混合重量に対して5〜15重量%である。このとき、5重量%以下であれば、十分に色調顔料を囲むことができないという不都合があり、15重量部以上であれば、第1の混合溶液の粘度が急増してコア粒子径の調節や球形度の調節が困難になるという不都合がある。この高分子重合体としては、ポリエステル、ポリエステルエマルジョン、ポリアミノメタクリラート、ポリビニールピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びシェラックよりなる群から選ばれるいずれか一種が用いられる。
【0031】
可塑剤は、高分子重合体の膨潤のために用いられ、その使用量は、高分子重合体、可塑剤及び色調顔料の混合重量に対して5〜15重量%である。このとき、5重量部以下であれば、高分子重合体の膨潤が弱くて粒子硬度が高くなるという問題があり、15重量部以上であれば、高分子重合体の膨潤が強くて粒子硬度が低すぎる結果、潰れ易くなるという不都合がある。この種の可塑剤としては、1,3−ブタンジオールポリエチ、レングリコール及びジプロピレングリコールよりなる群から選ばれるいずれか一種が用いられる。
【0032】
色調顔料は、化粧品に色相を与えるために用いられ、酸化鉄顔料、有機顔料、レーキ染料及び天然顔料よりなる群から選ばれるいずれか一種が用いられる。色調顔料の使用量は、高分子重合体、可塑剤及び色調顔料の混合重量に対して70〜90重量%である。このとき、色調顔料の使用量が70重量%以下であれば、最終的な発色時に色相の彩度が低くなるという不都合があり、90重量%以上であれば、相対的に高分子重合体、可塑剤の含量が低くなる結果、粒子硬度の調節が困難になるという不都合がある。
【0033】
機能性顔料は、製造されるカプセル粒子の隠蔽力及び使用感を増大させ、光沢性を与えるために用いられ、その使用量は、コア粒子80〜40重量%に対して20〜60重量%である。このとき、機能性顔料の使用量が60重量%以上であれば、コア粒子内部の色調顔料の発色が低下するという欠点があり、40重量%以下であれば、カプセル粒子の隠蔽力及び使用感が低下するという欠点がある。このような機能性顔料としては、隠蔽力を高めるために二酸化チタン、酸化亜鉛などが用いられ、光沢性と使用感を増大させるために窒化ホウ素が用いられ、使用感を増大させるためにタルクやマイカなどが用いられる。このような機能性顔料は、単独で使用してもよく、または、これらを混合して使用してもよい。
【0034】
一方、コア粒子の割れ性を増大させるために、第1の混合溶液の製造に際して脂肪酸をさらに付加することが好ましい。脂肪酸としては、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などが用いられ、その含有量は、高分子重合体、可塑剤、色調顔料及び脂肪酸の混合重量に対して2重量%〜5重量%である。
【0035】
化粧品用色調カプセル組成物の製造方法において、第1の混合溶液を生成する段階は、第1の溶媒に高分子重合体及び可塑剤を均質に1次溶解させ、第1の溶媒に色調顔料を均質に2次溶解させ、さらに1次溶解物を2次溶解物に混入した後に均一に分散させて3次溶解物を生成する段階を含む。このとき、高分子と可塑剤が分散された溶液と、色調顔料が分散された溶液とは別々に製造した後に混合して使用することが好ましいが、これらは一括に混合して使用してもよい。なお、第1の混合溶液の生成に際して脂肪酸をさらに混合する場合にも、脂肪酸を第1の溶媒に均質に溶解させた後に1次溶解物と2次溶解物に混合して3次溶解物を生成してもよく、一括に混合して使用してもよい。
【0036】
そして、コア粒子を生成する段階は、篩い分け分級を用いて噴霧乾燥機により生成されたコア粒子の中から所望の粒径を有するもののみを選別して使用してもよい。好ましくは、篩い分け分級を用いて150μm以下の外径を有するコア粒子のみを選別して使用すれば、カプセル粒子径を調節することができる。
【0037】
このようにして製造されたコア粒子は、内部に空隙が1本または2本以上形成された多孔性構造を有する有孔性を与えて、前記物性にブースティング効果を持たせる。
【0038】
化粧品用色調カプセル組成物の製造方法において、第2の混合溶液を生成する段階は、第2の溶媒に機能性顔料を混入した後に攪拌して4次溶解物を生成し、第2の溶媒に第1の段階において生成されたコア粉末を分散させた5次溶解物を生成した後に、4次溶解物と5次溶解物を混合し、均一に分散させて6次溶解物を生成する。このとき、機能性顔料が分散された溶液と、コア粒子が分散された溶液とは別々に製作した後に混合して使用することが好ましいが、これらは一括に混合して使用してもよい。
【0039】
そして、カプセル粒子を生成する段階は、篩い分け分級を用いて噴霧乾燥機により生成されたカプセル粒子の中から所望の粒径を有するもののみを選別して使用してもよい。好ましくは、篩い分け分級を用いて150μm以下の外径を有するカプセル粒子のみを選別すれば、化粧品剤型における隠蔽力が高まる。
【0040】
このようにして製造されたカプセル粒子は、コア粒子にコーティング層を形成する機能性顔料によって色感、隠蔽力または使用感を高めることができる。
【0041】
以下、実施例を挙げて本発明を詳述する。
【実施例1】
【0042】
(実施例1)
有機溶液としてのアセトン43mlに、重合体としてのポリエステル重合物4.5gと可塑剤としての1,3−ブタンジオール2.25gを15分間25℃の温度下で攪拌して溶解させ、この溶液と、アセトン90mlに無機顔料としての黄色顔料である黄色酸化鉄39.15gを15分間25℃の温度下で分散した溶液とを混合して、同じ温度下で30分間均質に分散した。この後、前記溶液を、定量供給ポンプを用いて、100ml/minの定速度及び10,000rpmにて高速回転しているアトマイザーの内部に供給した。次いで、設定温度は80℃であり、内部温度は60℃であるアトマイザーを用いて前記溶液を乾燥させて1次的にコア粉末を得た。このとき、得られたコア粉末を150μm以下の外径を有する篩体に通させてコア粉末を選別した。
【0043】
一方、窒化ホウ素5gと二酸化チタン50gを蒸留水100ml中において10分間25℃の温度下で攪拌して無機物懸濁液を製造し、次いで、得られたコア粉末45gを蒸留水207mとエタノール23mlとの混合溶液に10分間25℃の温度下で攪拌して分散させた。前記両溶液を10分間25℃の温度下で攪拌して混合した後、定量供給ポンプを用いて、120ml/minの定速度及び10,000rpmにて高速回転しているアトマイザーの内部に供給した。次いで、設定温度は160℃であり、内部温度は80℃であるアトマイザーを用いて前記溶液を乾燥させて第2のカプセル粉末を生成した。このとき、得られたカプセル粉末を150μm以下の外径を有するように篩体に通させて第2のカプセル粉末を選別した。
【0044】
(実施例2)
可塑剤の含量を3.60重量部に変えた以外は、実施例1の方法と同様にして均一な粒子を選別した。
【0045】
(実施例3)
可塑剤の含量を4.50重量部に変えた以外は、実施例1の方法と同様にして均一な粒子を選別した。
【0046】
(実施例4)
可塑剤の含量を6.70重量部に変えた以外は、実施例1の方法と同様にして均一な粒子を選別した。
【0047】
(実施例5)
可塑剤の含量を9.00重量部に変えた以外は、実施例1の方法と同様にして均一な粒子を選別した。
【0048】
(実施例6)
無機顔料として赤色顔料である赤色酸化鉄を使用した以外は、実施例1の方法と同様にして均一な粒子を選別した。
【0049】
(実施例7)
可塑剤の含量を3.60重量部に変えた以外は、実施例6の方法と同様にして均一な粒子を選別した。
【0050】
(実施例8)
可塑剤の含量を4.50重量部に変えた以外は、実施例6の方法と同様にして均一な粒子を選別した。
【0051】
(実施例9)
可塑剤の含量を6.70重量部に変えた以外は、実施例6の方法と同様にして均一な粒子を選別した。
【0052】
(実施例10)
可塑剤の含量を9.00重量部に変えた以外は、実施例6の方法と同様にして均一な粒子を選別した。
【0053】
(実施例11)
無機顔料として黒色顔料である黒色酸化鉄を使用した以外は、実施例1の方法と同様にして均一な粒子を選別した。
【0054】
(実施例12)
可塑剤の含量を3.60重量部に変えた以外は、実施例11の方法と同様にして均一な粒子を選別した。
【0055】
(実施例13)
可塑剤の含量を4.50重量部に変えた以外は、実施例11の方法と同様にして均一な粒子を選別した。
【0056】
(実施例14)
可塑剤の含量を6.70重量部に変えた以外は、実施例11の方法と同様にして均一な粒子を選別した。
【0057】
(実施例15)
可塑剤の含量を9.00重量部に変えた以外は、実施例11の方法と同様にして均一な粒子を選別した。
【0058】
(粒子割れ性の測定方法)
実施例1〜実施例15に従い製造されたカプセル粉末0.3gに一定の荷重5gf/cm2を与えつつ、上下左右動作を0.01m/secの定速度にて30秒間繰り返し行うことで、カプセル粒子の割れ性を測定した。これを光学顕微鏡により観察し、1mm×1mmピクセル当たりの破壊粒子の数を3回測定した後、平均値を求めて表1に記載した。正常粒子数が少ないほど割れ性に優れている。
【0059】
【表1】
表1に示すように、可塑剤の含量が増大するにつれて、カプセル粒子の割れ性は低下することが分かる。このように割れ性が低ければ、カプセル粒子を含むW/O乳化剤型化粧品、W/S乳化剤型化粧品、O/W乳化剤型化粧品の使用時に高分子重合体が皮膚に塗布され易くなることが分かり、また、皮膚の表面に割れないカプセル粒子に起因するすべすべしない使用感を低減することができるということが分かる。
【0060】
(粒子の色座標測定)
実施例1、6、11に従い製造されたコア粒子を図1に示し、カプセル粉末の写真を図2に示す。また、実施例1、6、11に従い製造されたカプセル粒子の色座標を測定して得た隠蔽力を表2に示す。このとき、「隠蔽力」とは、コアの色座標(L、a、b)のうち一つの値を変化させうる能力を意味し、「隠蔽力が向上したとき」とは、黄色顔料を用いたカプセル粒子の場合、コアの色座標(L、a、b)とカプセルの色座標(L、a、b)のうち変化量Δb*が0よりも大きいときを意味し、赤色顔料を用いたカプセル粒子の場合、コアの色座標(L、a、b)とカプセルの色座標(L、a、b)のうち変化量Δa*が0よりも大きいときを意味し、黒色顔料を用いたカプセル粒子の場合、コアの色座標(L、a、b)とカプセルの色座標(L、a、b)のうち変化量ΔL*が0よりも大きいときを意味する。すなわち、「ΔL*、Δa*、Δb*」はそれぞれ、ΔL*=[Lカプセル−Lコア]、Δa*=[aコア−aカプセル]、Δb*=[bコア−bカプセル]を意味する。なお、a*は赤色に対する彩度であり、数字が上がるにつれて赤色が濃くなることを意味し、b*は黄色に対する彩度であり、数字が上がるにつれて黄色が濃くなることを意味し、L*は明度であり、数字が上がるにつれて色が薄くなることを意味する。
【0061】
【表2】
図1、図2及び表2に示すように、黄色顔料、赤色顔料及び黒色顔料を用いても、ΔL*が全体的に増大してカプセル粒子がコア粒子よりも隠蔽力が増大することを確認することができる。または、赤色顔料を用いたカプセル粒子の場合の赤色領域の彩度であるΔa*と、黄色顔料を用いたカプセル粒子の場合の黄色領域の彩度であるΔb*とが全体的に減少することが分かる。これは、カプセル粒子がコア粒子に比べて高い隠蔽力を有することを意味する。
【0062】
(カプセル粒子の発色測定)
(実施例16〜実施例20)
表3に示すように、所定量の高分子重合体、可塑剤及び窒化ホウ素への黄色顔料と二酸化炭素の添加量を変化させつつ、実施例1の方法と同様にして、均一な粒子を選別した。この後、カプセル粒子の変化に対する色相分析(ΔE*)を行い、その結果を表3に記載した。
【0063】
(実施例21〜実施例25)
表3に示すように、所定量の高分子重合体、可塑剤及び窒化ホウ素への赤色顔料と二酸化炭素の添加量を変化させつつ、実施例1の方法と同様にして、均一な粒子を選別した。この後、カプセル粒子の変化に対する色相分析(ΔE*)を行い、その結果を表3に記載した。
【0064】
(実施例26〜実施例30)
表3に示すように、所定量の高分子重合体、可塑剤及び窒化ホウ素への赤色顔料と二酸化炭素の添加量を変化させつつ、実施例1の方法と同様にして、均一な粒子を選別した。この後、カプセル粒子の変化に対する色相分析(ΔE*)を行い、その結果を表3に記載した。
【0065】
【表3】
実施例16〜実施例30に従い製造されたカプセル粉末1gを5cm×5cm規格のゴーズに定量し、一定の荷重10gf/cm2を与えつつ上下左右動作を0.01m/secの定速度にて30秒間繰り返し行い、カプセル粒子を潰して塗布した。発色された色相をL*a*b*色座標系を用いて3回測定した平均値と、塗布前のカプセル粒子の色座標を測定してΔE*値を計算した。なお、ΔE*値は表3に示す。
【0066】
このとき、ΔE*とは、カプセル粒子の色座標(L1、a1、b1)から前記実験方法によりカプセルを潰して塗布したときに発色される色座標(L2、a2、b2)への変化量を意味する。すなわち、
【0067】
【数1】
である。
【0068】
表3に示すように、黄色顔料を用いた黄色カプセルは9.45≦ΔE≧30.52の色相値を示し、赤色顔料を用いた赤色カプセルは10.35≦ΔE≧48.78の色相値を示し、黒色顔料を用いた黒色カプセルは7.58≦ΔE≧45.43の色相値を示すことが分かる。
【実施例2】
【0069】
色調を有するコア粉末の製造
(実施例31)高分子重合体−可塑剤−酸化鉄顔料からなるコア粉末の製造
色調を有するカプセル粒子の製造過程の第1の段階であるコア粒子の製造は、下記の製造過程により行われた。
【0070】
酸化鉄顔料(黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、赤色酸化鉄またはこれらの混合物)を含有する内部コアを、43mlのアセトンに、3.6gのポリエステル重合物と2.25gの1,3−ブタンジオールを15分間25℃の温度下で攪拌して溶解させ、この溶液を、90mlのアセトンに、39.15gの酸化鉄顔料を15分間25℃の温度下で分散させた溶液と混合して、同じ温度下で30分間均質に分散させた。
【0071】
この後、前記溶液を定量供給ポンプを用いて100ml/minの定速度及び10,000rpmにて高速回転しているアトマイザーの内部に供給した。次いで、設定温度は80℃であり、内部温度は60℃であるアトマイザーを用いて前記溶液を乾燥させてコア粉末を得た。このとき、得られた球状のコア粉末の外径は10μm〜150μmの範囲であった。
【0072】
(実施例32〜実施例57)ポリエステル重合体と可塑剤の種類及び含量の変更によるコア粉末の製造
前記実施例31におけるコア粉末の製造方法と同様にしてコア粉末を製造した。化合物の具体的な種類及び組成は表4に示し、可塑剤の変化量及びポリエステル重合体の変化量に対するコア粉末の割れ性を測定して図3と図4に示す。
【0073】
【表4】
図3及び図4のグラフから明らかなように、可塑剤の種類による割れ性は、低分子量の1,3−ブタンジオールまたはジプロピレングリコールの方が、相対的に高分子量のポリエチレングリコールに比べて割れ性が向上し、高揮発点または無揮発性のジプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールが割れ性に相対的に優れているということが分かる。また、可塑剤の量が増大するにつれてカプセル粒子の割れ性が増大(正常粒子数が減少)し、高分子の量が増大するにつれてカプセル粒子の割れ性が減少(正常粒子数が増大)することが分かる。なお、可塑剤として、これらの2つの条件を満たすジプロピレングリコールが好適に使用可能であることが分かる。また、可塑剤の量が増大するにつれてコア粉末の割れ性が増大(正常粒子数が減少)し、高分子の量が増大するにつれてコア粉末の割れ性が減少(正常粒子数が減少)することが分かる。
【0074】
(実施例58〜実施例63)ポリエステル重合体と可塑剤の含量の変更及び脂肪酸の添加によるコア粉末の製造
前記実施例31におけるコア粉末の製造方法と同様にしてコア粉末を製造した。このとき、可塑剤としてポリエチレングリコールとジプロピレングリコールを併用し、脂肪酸としてステアリン酸を溶解過程において付加した。化合物の具体的な種類及び組成は表5に示し、脂肪酸の変化量に対するコア粉末の割れ性を測定して図4に示す。
【0075】
【表5】
図4のグラフから明らかなように、可塑剤として脂肪酸を添加した場合、割れ性が急増(正常粒子数が減少)することが分かる。
【0076】
(実施例64〜実施例90)ポリアクリラート重合体と可塑剤の種類及び含量の変更によるコア粉末の製造
アセトン溶媒の代わりにエタノールを用いて高分子重合体及び酸化鉄顔料を分散または溶解させた以外は、実施例31の方法と同様にしてコア粉末を製造した。化合物の具体的な種類及び組成は表6に示し、可塑剤の変化量及びポリアミノメタクリラート重合体の変化量に対するコア粉末の割れ性を測定して図6と図7に示す。
【0077】
【表6】
図6と図7のグラフから明らかなように、実施例31〜実施例57のように高分子重合体がポリアミノメタクリラートに変更されても、可塑剤としてジプロピレングリコールを用いる場合、カプセル粒子の割れ性の増大(正常粒子数の減少)に優れていることが分かる。なお、高分子重合体の量が増大するにつれてカプセル粒子の割れ性が減少(正常粒子数が増大)することが分かる。
【0078】
(実施例91〜実施例171)水分散または水溶性高分子重合体における可塑剤の種類及び含量の変更によるコア粉末の製造
アセトン溶媒に代えて蒸留水を用いて高分子重合体及び酸化鉄顔料を分散または溶解させた以外は、実施例31の方法と同様にしてコア粉末を製造した。化合物の具体的な種類及び組成は表7に示し、実施例91〜実施例117における可塑剤の変化量及びポリエステル重合体の変化量に対するコア粉末の割れ性は図8と図9に示し、実施例118〜実施例144における可塑剤の変化量及びポリビニールピロリドンの変化量に対するコア粉末の割れ性は図10と図11に示し、実施例145〜実施例171における可塑剤の変化量及びヒドロキシプロピルエチルセルロースの変化量に対するコア粉末の割れ性は図12と図13に示す。
【0079】
【表7】
図8〜図13のグラフから明らかなように、水分散または水溶性高分子重合体を用い、且つ、有機溶媒を蒸留水に変えても、カプセル粒子の割れ性が増大(正常粒子数が減少)することが分かる。これにより、環境に優しい工法を適用して粒子を製造することができる。その結果、溶媒回収装置などの付帯設備の費用及び工程費用を削減することができ、環境に優しい製品を製造することができる。
【0080】
(実施例172〜実施例198)天然高分子重合体における可塑剤の種類及び含量の変更によるコア粉末の製造
高分子重合体としてシェラックを用い、アセトン溶媒の代わりにエタノールを用いて酸化鉄顔料を分散または溶解させた以外は、実施例31の方法と同様にしてコア粉末を製造した。化合物の具体的な種類及び組成は表8に示し、可塑剤の変化量及び高分子重合体としてのポリアミノメタクリラートの変化量に対するコア粉末の割れ性を測定して図14と図15に示す。
【0081】
【表8】
図14〜図15のグラフから明らかなように、天然高分子重合体を用いてコア粉末を製造しても、カプセル粒子の割れ性が増大(正常粒子数が減少)する。これは、今後、環境に優しい製品やECOCERT(エコサート)製品を製作することができるということを意味する。
【0082】
(実施例199〜実施例207)ポリエステル重合体−可塑剤−有機顔料からなるコア粉末の製造
前記実施例31の第1の段階において用いられたアセトン溶媒を用いて可塑剤としてのジプロピレングリコールを溶解させ、且つ、ポリエステル重合体及び有機顔料を分散させた。このとき、有機顔料としては、アゾ系、インジゴ系、タロシアニン系の顔料化合物を用いた。それ以外のコア粉末の製造過程は実施例31と同様である。化合物の具体的な種類及び組成は表9に示す。
【0083】
【表9】
有機顔料を用いると、無機顔料に比べて色相の線明度と着色力に優れており、且つ、色の種類も無機顔料に比べて様々であるため豊富な色感が得られる。
【0084】
(実施例208〜実施例216)ポリエステル重合体−可塑剤−レーキ染料からなるコア粉末の製造
前記実施例31の第1の段階において用いられたアセトン溶媒を用いて可塑剤としてのジプロピレングリコールを溶解させ、且つ、ポリエステル重合体及びレーキ染料を分散させた。このとき、レーキ染料としては、黄色5号、赤色230号及びこれらの混合物を用いた。その他のコア粉末の製造過程は実施例31と同様である。化合物の具体的な種類及び組成は表10に示されている。
【0085】
【表10】
染料の特性を持ったレーキを用いても豊富な色感が得られた。
【0086】
(実施例217〜実施例231)ポリエステル重合体−可塑剤−天然顔料からなるコア粉末の製造
前記実施例31の第1の段階において用いられたアセトン溶媒を用いて、可塑剤としてのジプロピレングリコールを溶解させ、且つ、ポリエステル重合体及び天然顔料を分散させた。このとき、天然顔料としては、キョウオウ、梔子、葡萄果皮色素及びこれらの混合物を用いた。これ以外のコア粉末の製造過程は実施例31と同様である。化合物の具体的な種類及び組成は表11に示す。
【0087】
【表11】
天然顔料を用いても酸化鉄顔料を用いた場合と同様に高い割れ性を有するコア粒子が得られた。
【実施例3】
【0088】
コア粉末を無機物によりコーティングしたカプセル粉末の製造
(実施例226)
実施例31に従い製造されたコア粉末45gを、蒸留水207mlとエタノール23mlとの混合溶液中において10分間25℃の温度下で攪拌して分散させた。そして、窒化ホウ素5gと二酸化チタン50gを蒸留水100mlにおいて10分間25℃の温度下で攪拌して無機物懸濁液を製造した。次いで、前記両溶液を10分間25℃の温度下で攪拌して混合した後、定量供給ポンプを用いて、120ml/minの定速度及び10,000rpmにて高速回転しているアトマイザーの内部に供給した。次いで、設定温度は160℃であり、内部温度は80℃であるアトマイザーを用いて前記溶液を乾燥させてカプセル粉末を得た。このとき、得られたカプセル粉末の外径は10μm〜150μmの範囲であった。
【0089】
(実施例227〜実施例228)
無機物コーティング層として用いられた二酸化チタンと窒化ホウ素の含量を変えた以外は、実施例226の方法と同様にしてカプセル粉末を製造した。化合物の具体的な種類及び組成は表12に示し、無機物コーティング層の含量に対する隠蔽力は図16にグラフにて示す。
【0090】
(実施例229〜実施例231)
無機物コーティング層として用いられた二酸化チタンに酸化亜鉛を付加し、これによる含量を変えた以外は、実施例226の方法と同様にしてカプセル粉末を製造した。化合物の具体的な種類及び組成は表12に示し、無機物コーティング層の含量に対する隠蔽力は図16にグラフにて示す。
【0091】
(実施例232〜実施例234)
無機物コーティング層として用いられた二酸化チタンと窒化ホウ素、及び酸化亜鉛を付加し、これによる含量を変えた以外は、実施例226の方法と同様にしてカプセル粉末を製造した。化合物の具体的な種類及び組成は表12に示し、無機物コーティング層の含量に対する隠蔽力は図16にグラフにて示す。
【0092】
(実施例235〜実施例236)
無機物コーティング層として用いられた二酸化チタンと窒化ホウ素、及びタルクを付加し、これによる含量を変えた以外は、実施例226の方法と同様にしてカプセル粉末を製造した。化合物の具体的な種類及び組成は表12に示し、無機物コーティング層の含量に対する隠蔽力は図16にグラフにて示す。
【0093】
(実施例237〜実施例239)
無機物コーティング層として用いられた二酸化チタンに酸化亜鉛とタルクを付加し、これによる含量を変えた以外は、実施例226の方法と同様にしてカプセル粉末を製造した。化合物の具体的な種類及び組成は表12に示し、無機物コーティング層の含量に対する隠蔽力は図16にグラフにて示す。
【0094】
(実施例240〜実施例242)
無機物コーティング層として用いられた二酸化チタンに酸化亜鉛とマイカを付加し、これによる含量を変えた以外は、実施例226の方法と同様にしてカプセル粉末を製造した。化合物の具体的な種類及び組成は表12に示し、無機物コーティング層の含量に対する隠蔽力は図16にグラフにて示す。
【0095】
【表12】
図16に示すように、実施例226に従い色調カプセルに無機物コーティング層を形成することにより、隠蔽力が向上するという効果が得られる。
【0096】
実施例227〜実施例228によれば、色調カプセルの無機物コーティング層を形成している二酸化チタンの含量が増大するにつれて隠蔽力が向上する効果が得られ、窒化ホウ素の含量が増大するにつれて隠蔽力、使用感及び光沢性が増大する効果が得られる。
【0097】
実施例229〜実施例231によれば、二酸化チタンが白色顔料として用いられて、隠蔽力の増大をもたらすのに対し、SPF遮断能力(UVB領域)も一部示している。同様に、二酸化チタンに比べて隠蔽力はやや劣るものの、隠蔽力と他の領域のSPF遮断能力(UVA領域)を有する酸化亜鉛を用いた場合、隠蔽力の増大と共にUV AB領域をカバーできる能力を発揮させる色調カプセル粒子を製造することができる。
【0098】
実施例232〜実施例234によれば、前記実施例227〜実施例231の効果を期待することができ、同様に、二酸化チタンの含量が最も高い場合に最高の隠蔽力が得られる。
【0099】
実施例235〜実施例236によれば、前記実施例227〜実施例228と同じ効果が得られ、窒化ホウ素を用いた場合に得られる使用感の効果を増幅させる目的でタルクを付加した。これにより、タルクの含量が増大するにつれて使用感が一層向上するという効果が得られる。
【0100】
実施例237〜実施例239によれば、前記実施例229〜実施例231と同じ効果が得られえ、窒化ホウ素をタルクに変えることで使用感に対する効果をカバーすることができた。
【0101】
実施例240〜実施例242によれば、前記実施例229〜実施例231と同じ効果が得られ、マイカに変えても、窒化ホウ素またはタルクを用いた場合に得られる使用感と同じ使用感が得られた。マイカの含量が増大するにつれて使用感が一層向上するという効果が得られる。
【実施例4】
【0102】
色調カプセルを含む化粧料組成物の製造
(実施例243)色調カプセル含有W/O乳化リーム剤型の製造
W/Oクリームベース組成物95.44gに、前記実施例226に従い製造されたコーティング済み色調カプセル4.56gを添加し且つ混合してクリームを製造した。前記W/Oクリームベース組成物の具体的な成分と含量は表13に示す。
【0103】
【表13】
(実施例244)色調カプセル含有W/O乳化クリーム剤型の製造
W/Sクリームベース組成物95.44gに、前記実施例226に従い製造されたコーティング済み色調カプセル4.56gを添加し且つ混合してクリームを製造した。前記W/Sクリームベース組成物の具体的な成分と含量は表14に示す。
【0104】
【表14】
(実施例245)色調カプセル含有O/W乳化クリーム剤型の製造
O/Wクリームベース組成物95.44gに、前記実施例226に従い製造されたコーティング済み色調カプセル4.56gを添加し且つ混合してクリームを製造した。前記W/Oクリームベース組成物の具体的な成分と含量は表15に示す。
【0105】
【表15】
(粒子の色座標の測定)
実施例243、244、245によりそれぞれのクリーム剤型に対する色座標を測定して表16に示す。
【0106】
【表16】
表16に示すように、本発明に従い製造された色調カプセル粒子は、前記剤型において類似の色座標値を示すことから(O/W乳化剤型の明度値が低いことは、ベースクリームにTiO2が使用されないことに起因する結果である。)、あらゆる剤型において安定的に使用可能であることが分かる。これは、乳化剤型に応じてカプセル粒子の膨潤特性が異なってくることにより、カプセル粒子が割れつつ発色する色感の再現性に対する問題点を解決することができるということを意味する。
【0107】
本発明によれば、上記の如き色調カプセル粒子の製造時に発生する問題点を克服することができるとともに、幅広い色座標の実現、隠蔽力向上など色調化粧料組成物のユニークな特性を強化することができるという効果が得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
色調顔料、可塑剤及び高分子重合体を第1の溶媒に均質に混合して乾燥したコア粒子と、機能性顔料及び第2の溶媒を均質に混合して乾燥したことを特徴とする化粧品用色調カプセル組成物。
【請求項2】
前記高分子重合体、色調顔料及び可塑剤の混合量は、3種類の化合物の総量を基準として、それぞれ高分子重合体5〜15重量%、可塑剤5〜15重量%及び色調顔料70〜90重量%であり、前記コア粒子及び機能性顔料の混合量は、コア粒子80〜40重量%及び機能性顔料20〜60重量%であることを特徴とする請求項1に記載の化粧品用色調カプセル組成物。
【請求項3】
前記色調顔料は、黄色顔料、赤色顔料及び黒色顔料よりなる群から選ばれるいずれか一種であることを特徴とする請求項1に記載の化粧品用色調カプセル組成物。
【請求項4】
前記黄色顔料を用いた黄色カプセルは9.45≦ΔE≧30.52の色相値を示し、赤色顔料を用いた赤色カプセルは10.35≦ΔE≧48.78の色相値を示し、黒色顔料を用いた黒色カプセルは7.58≦ΔE≧45.43の色相値を有することを特徴とする請求項3に記載の化粧品用色調カプセル組成物。
【請求項5】
前記色調顔料は、酸化鉄顔料、有機顔料、レーキ染料及び天然顔料よりなる群から選ばれるいずれか一種であることを特徴とする請求項1に記載の化粧品用色調カプセル組成物。
【請求項6】
前記第1及び第2の溶媒は、アセトン、エタノール及び蒸留水よりなる群から選ばれるいずれか一種であることを特徴とする請求項1に記載の化粧品用色調カプセル組成物。
【請求項7】
色調顔料、可塑剤及び高分子重合体を第1の溶媒に均質に混合して第1の混合溶液を生成する段階と、
前記第1の混合溶液を噴霧乾燥させて色調顔料が高分子重合体に囲まれるコア粒子を生成する段階と、
前記生成されたコア粒子と機能性顔料及び第2の溶媒を均質に混合して第2の混合溶液を生成する段階と、
前記第2の混合溶液を噴霧乾燥させて高分子重合体の外部に機能性顔料のコーティング層が形成されたカプセル粒子を生成する段階と、
を含むことを特徴とする化粧品用色調カプセル組成物の製造方法。
【請求項8】
前記高分子重合体は、ポリエステル、ポリエステルエマルジョン、ポリアミノメタクリラート、ポリビニールピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びシェラックよりなる群から選ばれるいずれか一種であることを特徴とする請求項7に記載の化粧品用色調カプセル組成物の製造方法。
【請求項9】
前記可塑剤は、1,3−ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びこれらの混合物よりなる群から選ばれるいずれか一種であることを特徴とする請求項7に記載の化粧品用色調カプセル組成物の製造方法。
【請求項10】
前記色調顔料は、酸化鉄顔料、有機顔料、レーキ染料及び天然顔料よりなる群から選ばれるいずれか一種であることを特徴とする請求項7に記載の化粧品用色調カプセル組成物の製造方法。
【請求項11】
さらに前記第1の混合溶液に脂肪酸を付加して混合したものであることを特徴とする請求項7に記載の化粧品用色調カプセル組成物の製造方法。
【請求項12】
前記脂肪酸は、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸よりなる群から選ばれるいずれか一種であることを特徴とする請求項11に記載の化粧品用色調カプセル組成物の製造方法。
【請求項13】
前記第1の溶媒と第2の溶媒は、アセトン、エタノール及び蒸留水よりなる群から選ばれるいずれか一種であることを特徴とする請求項7に記載の化粧品用色調カプセル組成物の製造方法。
【請求項14】
前記機能性顔料は、二酸化チタン、酸化亜鉛、窒化ホウ素、タルク、マイカ及びこれらの混合物よりなる群から選ばれるいずれか一種であることを特徴とする請求項7に記載の化粧品用色調カプセル組成物の製造方法。
【請求項15】
前記コア粒子を生成する段階と、カプセル粒子を生成する段階とにおいて、第1の混合溶液と第2の混合溶液を篩い分け分級を用いて噴霧乾燥させることを特徴とする請求項7に記載の化粧品用色調カプセル組成物の製造方法。
【請求項16】
前記第1の混合溶液を生成する段階における高分子重合体、色調顔料及び可塑剤の混合量は、3種類の化合物の総量を基準として、それぞれ高分子重合体5〜15重量%、可塑剤5〜15重量%及び色調顔料70〜90重量%であり、第2の混合溶液を生成する段階における前記コア粒子及び機能性顔料の混合量は、2種類の混合物質の総量を基準として、コア粒子80〜40重量%及び機能性顔料20〜60重量%であることを特徴とする請求項7に記載の化粧品用色調カプセル組成物の製造方法。
【請求項17】
請求項1から請求項16のいずれかに従い製造された化粧品用色調カプセル組成物を含む化粧品製剤。
【請求項18】
前記化粧品製剤は、W/O乳化クリーム製剤、W/O乳化クリーム製剤及びO/W乳化クリーム製剤よりなる群から選ばれるいずれか一種であることを特徴とする請求項17に記載の化粧品製剤。
【請求項1】
色調顔料、可塑剤及び高分子重合体を第1の溶媒に均質に混合して乾燥したコア粒子と、機能性顔料及び第2の溶媒を均質に混合して乾燥したことを特徴とする化粧品用色調カプセル組成物。
【請求項2】
前記高分子重合体、色調顔料及び可塑剤の混合量は、3種類の化合物の総量を基準として、それぞれ高分子重合体5〜15重量%、可塑剤5〜15重量%及び色調顔料70〜90重量%であり、前記コア粒子及び機能性顔料の混合量は、コア粒子80〜40重量%及び機能性顔料20〜60重量%であることを特徴とする請求項1に記載の化粧品用色調カプセル組成物。
【請求項3】
前記色調顔料は、黄色顔料、赤色顔料及び黒色顔料よりなる群から選ばれるいずれか一種であることを特徴とする請求項1に記載の化粧品用色調カプセル組成物。
【請求項4】
前記黄色顔料を用いた黄色カプセルは9.45≦ΔE≧30.52の色相値を示し、赤色顔料を用いた赤色カプセルは10.35≦ΔE≧48.78の色相値を示し、黒色顔料を用いた黒色カプセルは7.58≦ΔE≧45.43の色相値を有することを特徴とする請求項3に記載の化粧品用色調カプセル組成物。
【請求項5】
前記色調顔料は、酸化鉄顔料、有機顔料、レーキ染料及び天然顔料よりなる群から選ばれるいずれか一種であることを特徴とする請求項1に記載の化粧品用色調カプセル組成物。
【請求項6】
前記第1及び第2の溶媒は、アセトン、エタノール及び蒸留水よりなる群から選ばれるいずれか一種であることを特徴とする請求項1に記載の化粧品用色調カプセル組成物。
【請求項7】
色調顔料、可塑剤及び高分子重合体を第1の溶媒に均質に混合して第1の混合溶液を生成する段階と、
前記第1の混合溶液を噴霧乾燥させて色調顔料が高分子重合体に囲まれるコア粒子を生成する段階と、
前記生成されたコア粒子と機能性顔料及び第2の溶媒を均質に混合して第2の混合溶液を生成する段階と、
前記第2の混合溶液を噴霧乾燥させて高分子重合体の外部に機能性顔料のコーティング層が形成されたカプセル粒子を生成する段階と、
を含むことを特徴とする化粧品用色調カプセル組成物の製造方法。
【請求項8】
前記高分子重合体は、ポリエステル、ポリエステルエマルジョン、ポリアミノメタクリラート、ポリビニールピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びシェラックよりなる群から選ばれるいずれか一種であることを特徴とする請求項7に記載の化粧品用色調カプセル組成物の製造方法。
【請求項9】
前記可塑剤は、1,3−ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びこれらの混合物よりなる群から選ばれるいずれか一種であることを特徴とする請求項7に記載の化粧品用色調カプセル組成物の製造方法。
【請求項10】
前記色調顔料は、酸化鉄顔料、有機顔料、レーキ染料及び天然顔料よりなる群から選ばれるいずれか一種であることを特徴とする請求項7に記載の化粧品用色調カプセル組成物の製造方法。
【請求項11】
さらに前記第1の混合溶液に脂肪酸を付加して混合したものであることを特徴とする請求項7に記載の化粧品用色調カプセル組成物の製造方法。
【請求項12】
前記脂肪酸は、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸よりなる群から選ばれるいずれか一種であることを特徴とする請求項11に記載の化粧品用色調カプセル組成物の製造方法。
【請求項13】
前記第1の溶媒と第2の溶媒は、アセトン、エタノール及び蒸留水よりなる群から選ばれるいずれか一種であることを特徴とする請求項7に記載の化粧品用色調カプセル組成物の製造方法。
【請求項14】
前記機能性顔料は、二酸化チタン、酸化亜鉛、窒化ホウ素、タルク、マイカ及びこれらの混合物よりなる群から選ばれるいずれか一種であることを特徴とする請求項7に記載の化粧品用色調カプセル組成物の製造方法。
【請求項15】
前記コア粒子を生成する段階と、カプセル粒子を生成する段階とにおいて、第1の混合溶液と第2の混合溶液を篩い分け分級を用いて噴霧乾燥させることを特徴とする請求項7に記載の化粧品用色調カプセル組成物の製造方法。
【請求項16】
前記第1の混合溶液を生成する段階における高分子重合体、色調顔料及び可塑剤の混合量は、3種類の化合物の総量を基準として、それぞれ高分子重合体5〜15重量%、可塑剤5〜15重量%及び色調顔料70〜90重量%であり、第2の混合溶液を生成する段階における前記コア粒子及び機能性顔料の混合量は、2種類の混合物質の総量を基準として、コア粒子80〜40重量%及び機能性顔料20〜60重量%であることを特徴とする請求項7に記載の化粧品用色調カプセル組成物の製造方法。
【請求項17】
請求項1から請求項16のいずれかに従い製造された化粧品用色調カプセル組成物を含む化粧品製剤。
【請求項18】
前記化粧品製剤は、W/O乳化クリーム製剤、W/O乳化クリーム製剤及びO/W乳化クリーム製剤よりなる群から選ばれるいずれか一種であることを特徴とする請求項17に記載の化粧品製剤。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2011−529104(P2011−529104A)
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530008(P2011−530008)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【国際出願番号】PCT/KR2010/003391
【国際公開番号】WO2011/027960
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(511008171)バイオジェニックス インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【国際出願番号】PCT/KR2010/003391
【国際公開番号】WO2011/027960
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(511008171)バイオジェニックス インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
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