説明

化粧料組成物

【課題】頭髪化粧料として使用した場合、乾燥後のごわつき感、すすぎ時のコンディショニング効果の弱さを改善し、滑らかで軽い指通りとさらさら感を付与し、さらには皮膚洗浄料に配合した場合に、皮膚に対するつっぱり感を解消し、べたつき、ぬるつき感を改善コンディショニング剤として優れた効果を示す材料の提供。
【解決手段】(A)グルコースを主鎖とし、キシロース、ガラクトースを側鎖に有する非イオン性水溶性高分子であるキシログルカン多糖に特定の第4級窒素含有基を導入したカチオン変性キシログルカン多糖、(B)アニオン性界面活性剤および(C)両性界面活性剤を含有する化粧料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カチオン変性キシログルカン多糖を化粧料に配合した際に、毛髪や皮膚に対する吸着力が良く、優れたコンディショニング特性を付与すると共に、これを配合した頭髪化粧料及び皮膚化粧料などの化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
頭髪用化粧料においては、洗浄性を与えるためにアニオン性界面活性剤が汎用されるが、洗浄の際、毛髪の油脂成分を必要以上に除去してしまい、その結果裂毛や枝毛が生じやすくなる。さらに、洗髪、すすぎ時の毛髪の絡まり合いによってもこれらは助長される。また、皮膚化粧料にもアニオン界面活性剤が汎用されるが、皮膚に対してすすぎ後のつっぱり感が生じるという問題もある。このような不都合を解消するため、頭髪用化粧料、皮膚洗浄料にはコンディショニング剤等が配合されている。
【0003】
頭髪用化粧料の場合、コンディショニング剤は毛髪に吸着することが必須であり、コンディショニング効果を与える物質としては、主としてイオン性に基づく吸着作用を用いるカチオン性ポリマー用いられている。カチオン性ポリマーとしては、セルロース誘導体やデンプン等のポリサッカライドに第4級窒素含有基を導入して得られる水溶性高分子や、ジアルキルジアリルアンモニウム塩重合体等が使用されている。例えば、特許文献1には、シャンプーや毛髪化粧料に、第4級窒素含有基を導入したセルロース誘導体であるカチオン変性セルロースを使用することが示されている。また、特許文献2には、第4級窒素含有基を導入したカチオン変性デンプンが、特許文献3には、第4級窒素含有基を導入したカチオン変性グアーガムがシャンプー、リンス等のヘアケア製品に使用されている事が示されている。さらには、特許文献3にはジアルキルアンモニウム塩の共重合体と第4級窒素含有基を導入したセルロース誘導体とを配合したシャンプー組成物が洗髪時につるつるした指通りの滑らかな泡感触を与え、かつすすぎ時の毛髪にさらっとした滑らかな指通りを与えると共に、仕上がり時に毛髪に良好なツヤを付与することが示されている。さらにはこれらのカチオン性ポリマーを配合することで、クリィーミィーな泡質が得られたり、皮膚に対してのつっぱり感を解消し、しっとり感を付与する効果からボディソープ等の皮膚化粧料へも配合されている。
【0004】
なお、タマリンドガムを化粧料に配合することにより、安定性に優れた化粧料を提供する技術も知られている。例えば、特許文献5には、化粧料へアルキル変性カルボキシビニルポリマーとキシログルカン多糖を配合することにより、塩析を防止する事が示されている。また、特許文献6には、キシログルカンと(1,3、1,4)−β−グルカン複合体を化粧品に配合する技術が示されているが、本発明の第四級窒素含有基を導入したカチオン変性キシログルカン多糖が、コンディショニング剤として優れた効果を発揮することはどこにも示されていない。
【0005】
また、カチオン変性キシログルカン多糖に関しては、特許文献7に天然多糖類をカチオン変性したポリマーが、タンパク質の汚物を洗浄し、保存機能にも優れるコンタクトレンズ用洗浄保存液の使用例として示されており、天然多糖類の一つとしてキシログルカン多糖の一つであるタマリンドガムが挙げられている。さらに、特許文献8には同様のカチオン変性多糖類の高含水浚渫泥土用処理剤が示されており、多糖類の一例としてキシログルカン多糖の一つであるタマリンドガムが挙げられている。しかし、本発明のカチオン変性キシログルカン多糖が、化粧料組成物として優れた効果を発揮することはどこにも示されていない。
【特許文献1】特公昭47−20635号公報
【特許文献2】特公昭60−42761号公報
【特許文献3】特公平7−17491号公報
【特許文献4】特開平1−128914号公報
【特許文献5】特開平11−12120号公報
【特許文献6】特開平9−70264号公報
【特許文献7】特開平1−158412号公報
【特許文献8】特開2000−25470号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カチオン変性セルロースは、頭髪用化粧料配合時には滑らかな泡質を持ち、アニオン性界面活性剤との複合塩を形成して毛髪に吸着し、すすぎ時に優れたコンディショニング効果を示す反面、乾燥後にごわつき感を示し、感触が悪くなるという課題がある。また、カチオン変性グアーガムは、乾燥後のごわつき感は少ないものの、吸着量が少なく、すすぎ時のコンディショニング効果が劣るという課題がある。更には、近年のヘアスタイルの変化、嗜好の多様化から従来のしっとり感の付与だけではなく、さらさら感も求められているが、これらのカチオン変性セルロース、カチオン変性グアーガムはしっとり感を付与するものの、さらさら感を得ることはできないという課題がある。また、皮膚化粧料にカチオン性ポリマー等のコンディショニング剤や、グリセリン等の保湿剤を配合した場合、処方中の配合量によってはべたつき、ぬるつきを生じる場合がある。その上、カチオン性ポリマーの場合、化粧料処方中の塩の量によっては安定性を欠く場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる実情において、本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、グルコースを主鎖とし、キシロース、ガラクトースを側鎖に有する非イオン性水溶性高分子であるキシログルカン多糖に特定の第4級窒素含有基を導入したカチオン変性キシログルカン多糖、アニオン性界面活性剤および両性界面活性剤を含有する化粧料組成物が、頭髪化粧料として使用した場合、乾燥後のごわつき感、すすぎ時のコンディショニング効果の弱さを改善し、滑らかで軽い指通りとさらさら感を付与し、さらには皮膚洗浄料に配合した場合に、皮膚に対するつっぱり感を解消し、べたつき、ぬるつき感を改善コンディショニング剤として優れた効果を示すことを見出し本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、(A)グルコースを主鎖とし、キシロース、ガラクトースを側鎖に持つ非イオン性多糖類であるキシログルカン多糖に含まれる水酸基の一部が、下記化学式(1)で表される第4級窒素含有基で置換されたカチオン変性キシログルカン多糖、(B)アニオン性界面活性剤および(C)両性界面活性剤を含有することを特徴とする化粧料組成物に関する。

(式中R、Rは各々炭素数1〜3個のアルキル基、Rは炭素数1〜24のアルキル基であり、Xは陰イオンを示す。)
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明で用いるキシログルカン多糖は、グルコースを主鎖とし、キシロース、ガラクトースを側鎖に持つ高等植物の細胞壁を構成する成分として知られている多糖類であり、豆類、果実、野菜、米、培養細胞などにも存在する。その中でより好ましくは、容易に入手可能である熱帯地方に産するマメ科植物Tamarindus Indicaの種子より得られる水溶性多糖類であるタマリンドガムである。この水溶液はデンプン様の流動性を示すニュートン流体であり、糖類と混合することによりゲル化する性質を有し、熱、酸及び塩に安定である。
【0010】
本発明に係るカチオン変性キシログルカン多糖は、キシログルカン多糖にグリシジルトリアルキルアンモニウム塩又は、3−ハロゲノ−2−ヒドロキシプロピルアルキルアンモニウム塩等の第四級窒素含有基を有する化合物を反応させることによって製造することができる。この場合、反応は適当な溶媒、好適には含水低級アルコール中において、アルカリ存在下で実施される。このような第四級窒素含有基の導入は、従来公知の方法に従って行うことが出来る。
【0011】
本発明でキシログルカン多糖中に導入する下記化学式(2)で示された第四級窒素含有基において、R及びRの具体例としては、メチル、エチル及びプロピルが挙げられ、Rの具体例としては炭素数1〜24のアルキル基が挙げられる。また、陰イオンXの具体例としては、塩素イオン、臭素イオン及びヨウ素イオン等のハロゲンイオンの他、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオン等を挙げることができる。
【0012】
化学式(2)

(式中、R、Rは各々炭素数1〜3のアルキル基、Rは炭素数1〜24のアルキル基であり、Xは陰イオンを示す。)
【0013】
本発明において使用されるカチオン変性キシログルカン多糖の窒素の含有率は0.1〜10.0重量%が好ましく、2.5〜5.5であればより好ましい。窒素含有率が少なすぎると毛髪や皮膚に対する吸着量が不充分となり、実際シャンプー、リンス、ボディソープ等に配合しても効果は認められない。また、窒素の含有率が多すぎると使用時にべたつき感を生じ、使用感を悪化させるだけでなく、使用後の仕上がり感も向上せず、好ましくない。また、1単糖あたりのカチオン化度は0.05〜0.50が好ましく、好ましくは0.07〜0.35であればより好ましい。
【0014】
本発明のカチオン変性キシログルカン多糖の頭髪用化粧料、皮膚化粧料に対する配合量が少なすぎると効果が充分に発揮されず、多すぎると使用時にべたつき感を生じ、好ましくない。
【0015】
(B)アニオン性界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンエーテルリン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アシル化アラニン塩、アシル化N−メチル−β−アラニン塩、アシル化グルタミン酸塩、アシル化イセチオン酸塩、アシル化サルコシン酸塩、アシル化メチルタウリン塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、エーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレン脂肪酸モノエタノールアミド硫酸塩、アルキルカルボン酸塩等が挙げられる。
【0016】
(C)両性界面活性剤としては、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルカルボキシベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミノカルボン酸塩、アルキルイミダゾリニウムベタイン、アルキルアミンオキシド、三級窒素、及び四級窒素を含有するアルキルリン酸エステル等が挙げられる。
【0017】
(D)ノニオン性界面活性剤としては、アルカノールアミド、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレングリコールエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル、ソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、テトラポリオキシアルキレンエチレンジアミン縮合物類、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンヒマシ油誘導体、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油誘導体、アルキルポリグリコシド、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0018】
その他の成分として、該化粧料に一般的に配合される任意の成分を次に例示する。配合量としては、本発明の化粧料の機能を損なわない程度であれば特に制限は無い。
【0019】
水溶性高分子としては、アニオン、カチオン及び両性の高分子を配合することができる。アニオン性水溶性高分子としては、(メタ)アクリル酸誘導体(ポリ(メタ)アクリル酸及びその塩、(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリルアミド・(メタ)アクリル酸エチル共重合体及びその塩等)、メタクリル酸・アクリルアミド・ジアセトンアクリルアミド・アクリル酸アルキルエステル・メタクリル酸アルキルエステル共重合体及びその塩等)、クロトン酸共重合体等)、マレイン酸誘導体(無水マレイン酸・イソブチレン共重合体、イソブチレン・マレイン酸共重合体等)、ポリグルタミン酸及びその塩、ヒアルロン酸及びその塩、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー等が挙げられる。
【0020】
カチオン性水溶性高分子の例としては、第四級窒素変性ポリサッカライド(カチオン変性セルロース、カチオン変性グァーガム、カチオン変性ローカストビーンガム、カチオン変性タラガム、カチオン変性フェヌグリークガム、カチオン変性デンプン等)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、ポリ塩化ジメチレンピペリジニウム等)、ビニルピロリドン誘導体(ビニルピロリドン・ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体塩、ビニルピロリドン・メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン・塩化メチルビニルイミダゾリウム共重合体等)、メタクリル酸誘導体(メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール共重合体)等が挙げられる。
【0021】
ノニオン性高分子の例としては、アクリル酸誘導体(アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体、ポリアクリル酸アミド等)、ビニルピロリドン誘導体(ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体等)、ポリオキシアルキレングリコール誘導体(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、セルロース誘導体(メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、ポリサッカライド及びその誘導体等(グアーガム、ロ−カストビーンガム、デキストラン等)が挙げられる。
【0022】
両性高分子の例としては、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体等)、メタクリル酸誘導体(ポリメタクリロイルエチルジメチルベタイン、N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体等)等が挙げられる。
【0023】
油分としては、オリーブ油、ホホバ油、流動パラフィン、脂肪酸アルキルエステル等が挙げられる。また、パール化剤としては脂肪酸エチレングリコール等が挙げられる。
【0024】
さらにその他の成分としては、可溶化剤(エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等)、保湿剤(グリセリン、トレハロース、ソルビトール、マルチトース、1,3−ブチレングリコール、ヒアルロン酸Na等)、酸化防止剤、シリコーン及びシリコーン誘導体、高級アルコール、高級脂肪酸、増粘剤、金属封鎖剤(エデト酸塩等)、pH調整剤、紫外線吸収剤、殺菌剤、抗菌剤、防腐剤、色素、香料、起泡増進剤等が挙げられる。
【0025】
さらに別の態様において、アミドアミン化合物の有機酸及び/又は無機酸と、高級脂肪酸及び/又は高級アルコールを添加することが出来る。
【実施例】
【0026】
以下に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0027】
(実施例1)
タマリンドガム160gを、70容量%のイソプロピルアルコール水溶液730mlに均一分散させ、塩化ナトリウム3g、48重量%水酸化ナトリウム水溶液11gを添加した。次に80重量%のグリシジルトリメチルアンモニウムクロライド(以下、GTAと記す)水溶液48.5gを加え加温し、50℃で3時間反応させた。反応終了後、酢酸3.2g及び35重量%塩酸8.3g(使用水酸化ナトリウム等倍モル)を60容量%イソプロピルアルコール水溶液1365mlで希釈し、中和に使用した。室温で1時間中和後静置沈殿させ、濾別した。その濾物を、85重量%イソプロピルアルコール水溶液中に分散させ、洗浄した後、再度濾別し、減圧下で乾燥させた。得られた生成物(カチオン変性タマリンドガム)の窒素含有率は3.9重量%であった。この結果を表1に示す(表1中、試料番号1)。
【0028】
(実施例2)
GTAの量を変え、それ以外は実施例1と同条件、同操作にて、窒素含有量の異なる生成物を得た(表1中、試料番号2及び3)。
【0029】
比較例1
本発明で用いたカチオン変性タマリンドガムと同様に、エチレンオキシド平均付加モル数1.65、窒素含有率1.8重量%のカチオン変性ヒドロキシエチルセルロース(カチナールHC−100;東邦化学工業(株)製)及び窒素含有率2.0重量%のカチオン変性グアーガム(カチナールCG−100;東邦化学工業(株)製)を用いた(表1中、試料番号4及び5)。
【0030】
【表1】

【0031】
比較例2
合成系カチオン化ポリマーとして、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体(MEポリマー09W;東邦化学工業(株)製)を試料番号6として用いた。
【0032】
試験例1
実施例1、2及び比較例1及び2にて得られたカチオン化ポリマーを用いて、表2に示したシャンプー組成物を調整した。そして、表2に示した各々のシャンプーについて、10名のパネラーにより次に示した項目の性能評価を実施した。洗髪時における、泡立ち指通り、濡れた髪の手触り、及びすすぎ時のきしみ感、また乾燥後の柔らかさ、しっとり感、さらさら感、櫛通りの良さ、及びツヤを表3及び表4の方法により数値化し、その積算値を求めた。この評価結果を表5に示した。なお、採点方法はカチオン化ポリマー無配合の試験番号(7)を0点として比較した。
【0033】
【表2】

【0034】
【表3】

【0035】
【表4】

【0036】
【表5】

【0037】
表5の結果より、試験番号(1)〜(3)において、カチオン変性タマリンドガムの窒素含有率により、シャンプーの性能が改善されることが判った。
【0038】
また、その性能は、試験番号(4)のカチオン変性ヒドロキシエチルセルロースを用いた場合よりも、使用後(乾いた髪)の櫛通りに優れ、ごわつき感の少ない、さらさらな感触を付与することが判った。さらに、試験番号(5)において、カチオン変性グアーガムを配合した場合と比較すると、洗髪時の櫛通りに優れ、またすすぎ後のきしみ感も少なく、滑らかな感触を付与し、使用後(乾いた髪)においてはさらさら感を得られることが判った。さらに試験番号(6)にて配合の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体と比較すると、洗髪時の適度なぬめり感により指通りに優れ、またすすぎ後のきしみ感も少なく、使用後(乾いた髪)においては柔らかな感触を付与することが判った。
【0039】
試験例2
実施例1で得られたカチオン変性タマリンドガム(試料番号1〜3)、カチナールHC−100(試料番号4)カチナールCG−100(試料番号5)及びMEポリマー09W(試料番号6)用いて、表6に示した処方のリンスを調整した。
【0040】
【表6】

【0041】
表6にて調整した各々のリンスについて、10名のパネラーにより、乾いた髪の柔軟性、櫛通り、きしみ感、しっとり感、さらさら感及びツヤの感応評価を実施し、下記表7の方法にて数値化し、その積算値を求めた。この評価結果を表8に示した。なお、採点方法はカチオン化ポリマー無配合の試験番号(7)を0点として比較した。
【0042】
【表7】

【0043】
【表8】

【0044】
表8の結果より、カチオン変性タマリンドガムを配合することにより、リンス性能が改善された事が判った。
【0045】
また、本発明のカチオン変性タマリンドガムはカチオン変性ヒドロキシエチルセルロースと比較すると、櫛通りに優れ、柔らかでべたつき感の少ない、さらさらとした感触を付与する事が判った。さらに、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体と比較すると、櫛通りに優れ、しっとりとした感触を付与する事が判った。
【0046】
試験例3
実施例1及び2で得られた試料番号1〜3のカチオン変性タマリンドガム、カチナールHC−100(試料番号4)、カチナールCG−100(試料番号5)及びMEポリマー09W(試料番号6)を用いて、表9に示した処方のボディソープを調整した。
【0047】
【表9】

【0048】
表9にて調整した各々のボディソープについて、10名のパネラーにより、使用時の泡量及び泡質、すすぎ易さ、すすぎ後のつっぱり感及びぬるつき感、乾燥後のつっぱり感、べたつき感及びしっとり感を、下記表10及び表11の方法にて数値化し、その積算値を求めた。この評価結果を表12に示した。なお、採点方法はカチオン化ポリマー無配合の試験番号(7)を0点として比較した。
【0049】
【表10】

【0050】
【表11】

【0051】
表11の結果より、カチオン変性タマリンドガムを配合することにより、ボディソープの性能が改善された事が判った。
【0052】
また、本発明のカチオン変性タマリンドガムは、カチオン変性ヒドロキシエチルセルロースと比較すると、すすぎ後のぬめり感が少なく、乾燥後のツッパリ感を低減し、べたつきの少ないさらさらした感触を付与する事が判った。さらに、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体と比較すると、ツッパリ感が改善され、べたつきの少ないさらさらした感触を付与する事が判った。
【0053】
試験例4
実施例1及び2で得られた試料番号1〜3のカチオン変性タマリンドガム、カチナールHC−100(試料番号4)、カチナールCG−100(試料番号5)及びMEポリマー09W(試料番号6)を用いて、表12に示した食塩濃度を変更した処方のシャンプーを調整し、その剤型の外観観察により安定性の確認を行った。この結果を表13に示した。
【0054】
【表12】

【0055】
【表13】

【0056】
表13の結果より、カチオン変性タマリンドガムはカチオン変性ヒドロキシエチルセルロース、カチオン変性グアーガム及び塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体と比較すると、化粧料に配合した際の剤型の安定性に優れている事が判った。
【0057】
本発明のカチオン変性タマリンドガムは、シャンプー、リンス等、頭髪用化粧料に配合した際、使用時に滑らかな泡感触を付与し、かつすすぎ時に滑らかな指通りを付与すると共に、乾燥後にはごわつき感の少ないさらさらとした軽い良好な仕上がり感を得ることが出来る。また、ボディーソープ等の皮膚化粧料に配合した際、クリーミィな泡質とべたつき感の少ないさらさらとした感触を得ることが出来る。さらにこれら化粧料配合時に良好な使用感を損なわずに処方中における安定性にも優れる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)グルコースを主鎖とし、キシロース、ガラクトースを側鎖に持つ非イオン性多糖類であるキシログルカン多糖に含まれる水酸基の一部が、下記化学式(1)で表される第4級窒素含有基で置換されたカチオン変性キシログルカン多糖、(B)アニオン性界面活性剤および(C)両性界面活性剤を含有することを特徴とする化粧料組成物。

(式中R、Rは各々炭素数1〜3個のアルキル基、Rは炭素数1〜24のアルキル基であり、Xは陰イオンを示す。)
【請求項2】
さらに(D)ノニオン性界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項3】
前記記載の化粧料組成物の有効分の組成比(重量比)が、(A)/((B)+(C)+(D))=0.05/99.95〜20/80である請求項2に記載の化粧料組成物。
【請求項4】
前記カチオン変性キシログルカン多糖の窒素含有量が0.1〜10.0質量%以下で、1単糖あたりのカチオン化度が0.05〜0.50である請求項1〜3のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項5】
前記キシログルカン多糖が、主に熱帯地方に産するマメ科植物Tamarindus Indicaの種子より得られるタマリンドガムである請求項1〜4のいずれか1項に記載の化粧料組成物。

【公開番号】特開2008−208051(P2008−208051A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−44709(P2007−44709)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000221797)東邦化学工業株式会社 (188)
【Fターム(参考)】