説明

医用画像処理方法および医用画像処理装置

【課題】血管径と同じ程度の大きさの嚢状小動脈瘤を湾曲部の影響を受けずに検出する。
【解決手段】3次元画像データから対象領域内の検出対象を検出する画像処理方法において、累積度数分布から求まるしきい値を用いて処理領域を抽出するステップと、抽出された処理領域から細線化によって対象領域を検出するステップと、対象領域の特徴量を算出するステップと、算出された当該特徴量に基づいて検出対象を検出するステップと、
を備えることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元画像データから検出対象を検出する画像処理方法および画像処理装置に関し、嚢状小動脈瘤を湾曲部の影響を受けずに検出することが可能な医用画像処理方法および医用画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野におけるコンピュータ支援診断装置として、コンピュータを用いて医用画像データに画像処理を施し、疾患部分を検出する装置が知られている。
しかし、医用画像に表れる疾患部分は、それぞれ大きさおよび形状が異なっており、一様ではないことが多い。一方、疾患部分を強調するためのフィルタ処理や微分処理などの結果は、疾患部分の大きさおよび形状に強く依存する。
【0003】
このように、疾患部分の抽出に用いられるフィルタ処理や微分処理などは、疾患部分の幾何学的性質により、検出結果にばらつきが現れる場合が多く、とくに特異な形状の疾患部分の検出が困難なこともある。
【0004】
このため、検出対象の大きさや形状が一様でない場合でも、検出対象を良好に検出できる画像処理方法、画像処理装置およびこのような画像処理方法を実行できるプログラムが検討されている。
頭部の血管領域を対象として、動脈瘤を検出する方法としては、特許文献1に示す球状フィルタを用いる方法、非特許文献1に示す曲率を用いる方法がある。
【0005】
図6は従来例および本発明の実施形態の一例を示すもので、画像処理方法を実行する画像処理装置の構成を例示するブロック図である。図6に示すように、画像処理装置100はコンピュータ(パソコン)1と、医用画像データが蓄積された記憶装置2と、使用者に対しインターフェースとして機能するとともに、画像処理の結果等を表示する表示装置3とを備えている。
【0006】
記憶装置2には、例えば、CTあるいはMRなどの三次元物体をスキャンした一連の検査画像(スライス画像)データなどが記憶されている。記憶装置2および表示装置3はコンピュータ1により制御される。
【0007】
特許文献1に示す球状フィルタを用いる方法について図7を用いて簡単に説明する。
図7は画像処理装置100における従来の画像処理方法の手順を示すフローチャートである。この手順では、頭部のMRのデータから脳動脈瘤を検出する例を示す。一連の手順は、例えばプログラムに従うコンピュータ1の制御により実行される。
【0008】
まず、ステップS1では、記憶装置2から必要なスライス画像データを読み込み、画像データの2値化処理を実行し、血管領域(動脈瘤領域を含む)を抽出する。
次に、ステップS2では、球状フィルタとのマッチング処理を実行する。
【0009】
次に、ステップS3では、球径プロファイルについて3次元ラベリング処理を行う。この処理では、ステップS2のマッチング処理で出力された領域(1つに繋がった領域)ごとにラベルを付与する。
【0010】
ステップS4では、ラベルが付与された領域について、順次、特徴量の計算を行う。特徴量としては、ラベルされた各領域の体積(ラベル体積V)、各領域の表面積S、凸度T、集中度Cなどを用いる。
【0011】
次に、ステップS5では、適当な特徴量Aが予め決められた値Athよりも大きいか否かを判断することにより、巨大嚢状動脈瘤または紡錘形脳動脈瘤の有無を判定する。例えば、ラベルされた領域のうち、ある程度球径の大きな球状フィルタでのマッチング処理を実行した場合に出力される領域の凸度Tが、予め決められた値Tthよりも大きいか否か判断する。判断が肯定されればステップS6へ進み、判断が否定されればステップS7へ進む。
【0012】
ステップS6では、ラベル体積V、表面積S、凸度T、集中度C、あるいはラベル領域の形状に関する他の幾何学的特徴量を算出することにより、巨大嚢状動脈瘤あるいは紡錘形動脈瘤のいずれが存在するのかを判別する。その後、ステップS11へ進む。
【0013】
一方、ステップS7およびステップS8では、所定のラベル領域をさらに分割し、新たなラベル領域を設定する。
次に、ステップS9でラベルが新たに付与された領域について、ステップ10で判別分析の処理を行う。ここではそれぞれのラベルされた領域について特徴量を算出し、小嚢状動脈瘤の有無を判別する。例えば、分岐点から末端までの長さを特徴量として算出した場合、算出値が小さければ小嚢状動脈瘤の存在が示され、算出値が大きければ小嚢状動脈瘤ではなく正常な血管であることが示される。
【0014】
上記ステップS6およびステップS10の判別分析の処理を終了後、ステップS11へ進む。ステップS11では、ステップS6およびステップS10の判別分析の結果を受けて、動脈瘤が存在する部位の検出を行う。また、検出結果を表示装置3に表示する。
【0015】
上記従来の画像処理装置によれば、対象領域と球状フィルタを重ね合わせたときに、球状フィルタが対象領域によってある値以上の充填率で充たされるような球状フィルタの中心点の領域を出力するので、検出対象の形状の違いを適切に表現できる。
【0016】
そのため、対象領域の形状的特徴を的確に把握することができ、形状の異なる複数の検出対象を効率的に検出することもできる。
また、複数の径の球状フィルタを用いることにより、検出対象の大きさが異なっても常に対象領域の形状的特徴を正確に把握することができるため、その大きさに拘わりなく検出対象を適切に検出できる。
【0017】
図8に示す非特許文献1の処理は、局所情報である3次元曲率情報を投票操作により統合し、多数決原理を用いることで雑音の影響を低減している。しかし、血管の正常部分である湾曲部と分岐部に偽陽性が検出されやすく、正常部分周辺における血管径の変化は動脈瘤周辺のように大きく変化しないという考えから、外径と呼ぶ脳血管径の計測値を用いた偽陽性除去を追加している。
【0018】
【特許文献1】特開2006−48247号公報
【特許文献2】特開2003−24300号公報
【非特許文献1】楠他「頭部MR血管画像からの脳血管径の計測による動脈瘤検出手法の改良」電子情報通信学会技術研究報告MI2007−58(2007/11)
【非特許文献2】小椋他「MRA画像における脳動脈瘤検出のためのCADシステムの開発」第25回日本医用画像工学会大会OP7−3(2006/7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
動脈瘤は、血管径と同じ2〜3mm程度の大きさの嚢状小動脈瘤もある。脳血管径の計測では血管径と同じ程度の大きさの嚢状小動脈瘤検出も行いたい。しかし、上記特許文献1の球状フィルタを用いる方法で、嚢状小動脈瘤を検出するために球状フィルタの径を小さくすると、正常な血管まで検出されてしまう。
【0020】
そのため、球状フィルタを用いて、嚢状小動脈瘤のみを検出することは難しい。
また、非特許文献1の3次元曲率情報を用いる方法は、外径と呼ぶ脳血管径の計測値を用いた偽陽性除去を追加しても、湾曲部に偽陽性が発生してしまうという課題があった。
したがって本発明は、血管径と同じ2〜3mm程度の大きさの嚢状小動脈瘤を湾曲部の影響を受けずに検出することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の画像処理方法は、請求項1においては、
3次元画像データから対象領域内の検出対象を検出する画像処理方法において、
累積度数分布から求まるしきい値を用いて処理領域を抽出するステップと、
抽出された処理領域から細線化によって対象領域を検出するステップと、
対象領域の特徴量を算出するステップと、
算出された当該特徴量に基づいて検出対象を検出するステップと、
を備えることを特徴とする。
【0022】
請求項2の画像処理方法においては、
3次元画像データから対象領域内の検出対象を検出する画像処理方法において、
累積度数分布から求まるしきい値を用いて処理領域を抽出するステップと、
抽出された処理領域から細線化によって対象領域を検出するステップと、
細線化した対象領域から短枝の特徴量を算出するステップと、
対象領域の特徴量を算出するステップと、
算出された当該特徴量に基づいて検出対象を検出するステップと、
を備えることを特徴とする。
【0023】
請求項3においては、請求項1または2に記載の画像処理方法において、
前記3次元画像データはMRまたはCTにより得られるスライス画像に基づくものであることを特徴とする。
【0024】
請求項4においては、請求項1または2に記載の画像処理方法において、
前記対象領域は血管の領域であり、前記検出対象は動脈瘤であることを特徴とする。
【0025】
請求項5においては、請求項1または2に記載の画像処理方法において、
前記累積度数分布から求まるしきい値を用いて処理領域を抽出するステップでは、
累積度数分布から求まるしきい値で領域抽出を行うステップと、
累積度数分布から求まる前記領域抽出で使用したステップとは異なるしきい値で領域拡張を行うステップと、
を備えることを特徴とする。
【0026】
請求項6においては、請求項1または2または5に記載の画像処理方法において、
前記累積度数分布から求まるしきい値を用いて処理領域を抽出するステップでは、
累積度数分布から求まるしきい値で領域抽出を行うステップと、
累積度数分布から求まる前記領域抽出で使用したステップとは異なるしきい値で領域拡張を行うステップと、
微小領域を削除するステップと、
膨張−収縮、2次元穴埋めのノイズ除去を行うステップと、
を備えることを特徴とする。
【0027】
請求項7においては、請求項1または2に記載の画像処理方法において、
前記対象領域の特徴量を算出するステップで、
特徴量として、前記対象領域の画素数、凸度、対象領域の長径、対象領域の短径、表面の画素数、対象領域の画素値の平均のうち、少なくとも1つに基づく指標を用いることを特徴とする。
【0028】
請求項8においては、請求項2に記載の画像処理方法において、
前記細線化の短枝の特徴量を算出するステップで、
特徴量として、前記短枝の長さ、短枝の位置のうち、少なくとも1つに基づく指標を用いることを特徴とする。
【0029】
本発明の画像処理装置は、請求項9において、
3次元画像データから対象領域内の検出対象を検出する画像処理装置において、
累積度数分布から求まるしきい値を用いて処理領域を抽出する処理領域抽出手段と、
抽出された処理領域から細線化によって対象領域を検出する対象領域検出手段と、
対象領域の特徴量を算出する特徴量算出手段と、
算出された当該特徴量に基づいて検出対象を検出する検出対象検出手段と、
を備えることを特徴とする。
【0030】
本発明の画像処理装置は、請求項10において、
3次元画像データから対象領域内の検出対象を検出する画像処理装置において、
累積度数分布から求まるしきい値を用いて処理領域を抽出する処理領域抽出手段と、
抽出された処理領域から細線化によって対象領域を検出する対象領域検出手段と、
細線化した対象領域から短枝の特徴量を算出する特徴量算出手段と、
対象領域の特徴量を算出する特徴量算出手段と、
算出された当該特徴量に基づいて検出対象を検出する検出対象手段と、
を備えることを特徴とする。
【0031】
請求項11においては、請求項9または10に記載の画像処理装置において、
前記3次元画像データはMRまたはCTにより得られるスライス画像に基づくものであることを特徴とする。
【0032】
請求項12においては、請求項9または10に記載の画像処理装置において、
前記対象領域は血管の領域であり、前記検出対象は動脈瘤であることを特徴とする。
【0033】
請求項13においては、請求項9または10に記載の画像処理装置において、
前記累積度数分布から求まるしきい値を用いて処理領域を抽出する処理領域抽出手段では、
累積度数分布から求まるしきい値で処理領域抽出を行う処理領域抽出手段と、
累積度数分布から求まる処理領域抽出のしきい値とは異なるしきい値で領域拡張を行う領域拡張手段と、
を備えることを特徴とする。
【0034】
請求項14においては、請求項9または10に記載の画像処理装置において、
前記累積度数分布から求まるしきい値を用いて処理領域を抽出手段では、
累積度数分布から求まるしきい値で処理領域抽出を行う処理領域抽出手段と、
累積度数分布から求まる処理領域抽出のしきい値とは異なるしきい値で領域拡張を行う領域拡張手段と、
微小領域を削除する微小領域削除手段と、
膨張−収縮、2次元穴埋めのノイズ除去を行う手段と、
を備えることを特徴とする。
【0035】
請求項15においては、請求項10に記載の画像処理装置において、
前記対象領域の特徴量を算出する特徴量算出手段で、
特徴量として、前記対象領域の画素数、凸度、対象領域の長径、対象領域の短径、表面の画素数、対象領域の画素値の平均のうち、少なくとも1 つに基づく指標を用いることを特徴とする。
【0036】
請求項16においては、請求項9または10に記載の画像処理装置において、
前記細線化の短枝の特徴量を算出する特徴量算出手段で、
特徴量として、前記短枝の長さ、短枝の位置のうち、少なくとも1つに基づく指標を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
本発明の画像処理方法、画像処理装置によれば、血管径と同じ2〜3mm程度の大きさの嚢状小動脈瘤も、細線化処理を行って短枝として判断することによって検出することができる。また、細線化で湾曲部に1〜2画素程度の短い短枝が発生することがあるが、短枝の長さに下限を設けることで、湾曲部の影響を受けずに検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
図1は図6に示す画像処理装置100における画像処理方法であって、嚢状小動脈瘤の検出手順を示すフローチャートである。なお、本発明においても装置の構成は図6に示す従来例と同様である。即ち、画像処理装置100はコンピュータ(パソコン)1と、医用画像データが蓄積された記憶装置2と、使用者に対しインターフェースとして機能するとともに、画像処理の結果等を表示する表示装置3とを備えている。
記憶装置2には、例えば、CTあるいはMRなどの三次元物体をスキャンした一連の検査画像(スライス画像)データなどが記憶されている。
【0039】
まず、ステップS1では記憶装置2から必要なMRAスライスデータを読み込む。
次にステップS2では、MRAスライス画像の処理の方向性を無くすために、用いるデータでスライス面内の画素間隔とスライス面間のスライス間隔について判断する。
【0040】
そして、スライス面間のスライス間隔が異なっている場合は、画素間隔にスライス間隔を一致させる補間処理を行い、データを等方化した等方ボクセルデータを作成する。
次にステップS3において、等方ボクセルデータから、血管領域を抽出する。
【0041】
図2は血管領域の抽出の手順を示すフローチャートである。
ステップS1で等方ボクセルデータを読み出す。
次にステップ2で累積度数(画素の出現回数)による領域抽出を行う。
【0042】
ここでは、症例による違いを吸収するために、1症例の全スライスの累積度数分布から求めた高いしきい値以上の血管候補領域を抽出する。たとえば、この高いしきい値は累積度数分布の下から99.9%の値を用いる。
図3は血管候補領域を抽出するためのイメージを示すもので、縦軸を頻度、横軸を濃度としたとき、99.9%で示す濃度を高いしきい値とし、しきい値以上の濃度を示す領域を血管領域とする。
【0043】
図2に戻り、ステップS3で微小領域の削除を行う。
ステップS2で高いしきい値で抽出された領域には、血管以外の脂肪部分などが含まれる。脂肪部分は、血管のように連続せず、孤立領域として抽出される。このため、画素数をしきい値として微小領域を削除することによって、過抽出されてしまった脂肪部分を削除する。たとえば、この画素数のしきい値には500画素を用いる。
【0044】
ステップ4で領域拡張を行う。
前記高いしきい値で抽出された領域は、抽出したい血管領域よりも小さな領域になってしまう。このため、1症例の全スライスの累積度数分布から求めた低いしきい値以上の残っている血管候補領域に隣接する部分を領域拡張する。たとえば、この低いしきい値は累積度数分布の下から99.5%の値を用いる(図3参照)。
【0045】
ステップ5で膨張−収縮のノイズ除去する。
ステップ4の結果は、元画像の画素値のノイズの影響を受け、境界が歪んでしまっているため、膨張−収縮のノイズ処理を行い、領域の境界を滑らかにする。
【0046】
ステップ6で2次元穴埋めを行う。
ステップ5の結果で、大きな血管の領域は血流の低下のため、中心部分が抽出されないことが起きる。このため、スライス面内で2次元の穴埋めを行い、大きな血管の中心部分も抽出されるようにする。この結果を血管領域として、嚢状小動脈瘤の検出を行う。
【0047】
図1に戻りステップ4において細線化(画像を極度に簡単化して物体の形を骨格となる幅1の線(芯線)に変換する処理)を行う。この細線化によって嚢状小動脈瘤領域の候補となる短枝領域を得るための短枝を得る。
図4は細線化処理の手順を示すフローチャートである。
ステップ1において、記憶装置2から必要な血管領域データを読み込む。
ステップ2において、直線性を考慮した連結数による削除画素を決定する。
ステップ3において、連結数による削除画素を決定し、
ステップ4において、細線化結果を得る。
【0048】
細線化は短枝が残るように、画素の削除を制御する条件を変えた細線化を2回行う。
1回目:連結数以外に、
・注目画素を中心としたX、Y,Zのいずれかの平面で画素がない場合
・X、Y,Zの軸で直線性が保持される場合
は削除を行わない。
【0049】
2回目:連結数のみで削除画素を決める。
連結数は、周囲画素で対象となる独立している画素の個数を表す。
図5は2次元で注目画素の周囲8画素を対象とした場合を示すイメージである。
図5(a)は端点(連結数:1)の場合を示し、図5(b)は連結点(連結数:2)の場合を示し、図5(c)は分岐点(連結数:3)の場合を示し、図5(d)は交差点(連結数:4)の場合を示している。
【0050】
図1に戻り、ステップ5において、細線化結果から端点−分岐点の部分を短枝として検出する。
ステップ6において、この短枝から、短枝の画素数、位置などを短枝の特徴量として求める。
また、ステップ7において、抽出された血管領域で細線化された結果の画素からの距離を求め、一番近い画素が短枝であった場合に、その短枝の領域とする方法で短枝領域を決定する。
【0051】
ステップ8において、この短枝領域から領域の画素数、凸度などを短枝領域の特徴量として求める。
ステップ9において、この短枝の特徴量、短枝領域の特徴量から分析を行い、
ステップ10において嚢状小動脈瘤の検出を行う。
【0052】
上記医用画像処理方法および装置によれば、血管径と同じ2〜3mm程度の大きさの嚢状小動脈瘤も、細線化により、短枝として判断することによって、検出することができる。また、細線化で湾曲部に1〜2画素程度の短い短枝が発生することがあるが、短枝の長さに下限を設けることで、湾曲部の影響を受けずに検出できる。
【0053】
また、上記実施形態では、動脈瘤を検出するためのコンピュータ支援診断装置に本発明を適用した例を示したが、本発明の適用範囲は上記実施形態に限定されることはない。本発明は3次元画像データから検出対象を検出する場合に、その分野に無関係に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施形態の一例を示す画像処理方法の手順を示すフローチャートである。
【図2】等方ボクセルデータから血管領域データを得るための手順を示すフローチャートである。
【図3】血管候補領域を抽出するためのイメージを示す図である。
【図4】血管領域データから細線化結果を得るための手順を示すフローチャートである。
【図5】2次元で注目画素の周囲8画素を対象とした場合を示すイメージである。
【図6】本発明および従来例で用いる画像処理方法を実行する画像処理装置の実施形態の一例を示すブロック構成図である。
【図7】従来の画像処理方法の手順を示すフローチャートである。
【図8】従来の画像処理方法の他の方法の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
1 コンピュータ(処理領域抽出手段、対象領域検出手段、特徴量算出手段、検出対象検出手段)
2 記憶装置
3 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元画像データから対象領域内の検出対象を検出する画像処理方法において、
累積度数分布から求まるしきい値を用いて処理領域を抽出するステップと、
抽出された処理領域から細線化によって対象領域を検出するステップと、
対象領域の特徴量を算出するステップと、
算出された当該特徴量に基づいて検出対象を検出するステップと、
を備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
3次元画像データから対象領域内の検出対象を検出する画像処理方法において、
累積度数分布から求まるしきい値を用いて処理領域を抽出するステップと、
抽出された処理領域から細線化によって対象領域を検出するステップと、
細線化した対象領域から短枝の特徴量を算出するステップと、
対象領域の特徴量を算出するステップと、
算出された当該特徴量に基づいて検出対象を検出するステップと、
を備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項3】
前記3次元画像データはMRまたはCTにより得られるスライス画像に基づくものであることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理方法。
【請求項4】
前記対象領域は血管の領域であり、前記検出対象は動脈瘤であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理方法。
【請求項5】
前記累積度数分布から求まるしきい値を用いて処理領域を抽出するステップでは、
累積度数分布から求まるしきい値で領域抽出を行うステップと、
累積度数分布から求まる前記領域抽出で使用したステップとは異なるしきい値で領域拡張を行うステップと、
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理方法。
【請求項6】
前記累積度数分布から求まるしきい値を用いて処理領域を抽出するステップでは、
累積度数分布から求まるしきい値で領域抽出を行うステップと、
累積度数分布から求まる前記領域抽出で使用したステップとは異なるしきい値で領域拡張を行うステップと、
微小領域を削除するステップと、
膨張−収縮、2次元穴埋めのノイズ除去を行うステップと、
を備えることを特徴とする請求項1または2または5に記載の画像処理方法。
【請求項7】
前記対象領域の特徴量を算出するステップで、
特徴量として、前記対象領域の画素数、凸度、対象領域の長径、対象領域の短径、表面の画素数、対象領域の画素値の平均のうち、少なくとも1つに基づく指標を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理方法。
【請求項8】
前記細線化の短枝の特徴量を算出するステップで、
特徴量として、前記短枝の長さ、短枝の位置のうち、少なくとも1つに基づく指標を用いることを特徴とする請求項2に記載の画像処理方法。
【請求項9】
3次元画像データから対象領域内の検出対象を検出する画像処理装置において、
累積度数分布から求まるしきい値を用いて処理領域を抽出する処理領域抽出手段と、
抽出された処理領域から細線化によって対象領域を検出する対象領域検出手段と、
対象領域の特徴量を算出する特徴量算出手段と、
算出された当該特徴量に基づいて検出対象を検出する検出対象検出手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
3次元画像データから対象領域内の検出対象を検出する画像処理装置において、
累積度数分布から求まるしきい値を用いて処理領域を抽出する処理領域抽出手段と、
抽出された処理領域から細線化によって対象領域を検出する対象領域検出手段と、
細線化した対象領域から短枝の特徴量を算出する特徴量算出手段と、
対象領域の特徴量を算出する特徴量算出手段と、
算出された当該特徴量に基づいて検出対象を検出する検出対象手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項11】
前記3次元画像データはMRまたはCTにより得られるスライス画像に基づくものであることを特徴とする請求項9または10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記対象領域は血管の領域であり、前記検出対象は動脈瘤であることを特徴とする請求項9または10に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記累積度数分布から求まるしきい値を用いて処理領域を抽出する処理領域抽出手段では、
累積度数分布から求まるしきい値で処理領域抽出を行う処理領域抽出手段と、
累積度数分布から求まる処理領域抽出のしきい値とは異なるしきい値で領域拡張を行う領域拡張手段と、
を備えることを特徴とする請求項9または10に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記累積度数分布から求まるしきい値を用いて処理領域を抽出手段では、
累積度数分布から求まるしきい値で処理領域抽出を行う処理領域抽出手段と、
累積度数分布から求まる処理領域抽出のしきい値とは異なるしきい値で領域拡張を行う領域膨張手段と、
微小領域を削除する微小領域削除手段と、
膨張−収縮、2次元穴埋めのノイズ除去を行う手段と、
を備えることを特徴とする請求項9または10に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記対象領域の特徴量を算出する特徴量算出手段で、
特徴量として、前記対象領域の画素数、凸度、対象領域の長径、対象領域の短径、表面の画素数、対象領域の画素値の平均のうち、少なくとも1 つに基づく指標を用いることを特徴とする請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記細線化の短枝の特徴量を算出する特徴量算出手段で、
特徴量として、前記短枝の長さ、短枝の位置のうち、少なくとも1つに基づく指標を用いることを特徴とする請求項9または10に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−285157(P2009−285157A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−141140(P2008−141140)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】