医療器具用包装部材
【課題】医療器具を包装する場合に、包装作業性を良好にするとともに、包装部材の廃棄処理を容易にする。
【解決手段】医療器具用包装部材1は、医療器具の搬送用の箱101内に医療器具と共に収容され、医療器具を箱101内で保持可能なように紙材を成形してなる。包装部材1は、箱101に収容された医療器具を箱101の蓋側から覆って押さえるように形成された被覆部20を備えている。被覆部20には、医療器具を構成する部品を所定位置に保持するための保持部27,28,35が設けられている。
【解決手段】医療器具用包装部材1は、医療器具の搬送用の箱101内に医療器具と共に収容され、医療器具を箱101内で保持可能なように紙材を成形してなる。包装部材1は、箱101に収容された医療器具を箱101の蓋側から覆って押さえるように形成された被覆部20を備えている。被覆部20には、医療器具を構成する部品を所定位置に保持するための保持部27,28,35が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器具の包装時に用いられる医療器具用包装部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば特許文献1、2に開示されているように、医療現場で用いられる血液回路等の医療器具を包装するための各種包装部材が知られている。
【0003】
特許文献1の包装部材は、樹脂製の板で構成されており、医療器具を構成する複数の部品をそれぞれ保持するため複数の窪みを有している。この包装部材は袋に収容されるようになっており、医療器具は包装部材で保持された状態で袋に収容されたまま、使用場所まで搬送される。
【0004】
また、医療器具は患者の治療に用いられるものであって高い安全性が要求されるので、搬送時に振動や衝撃を受けても損傷しないように包装しなければならない。搬送時に特に問題となるのは、医療器具がチューブを有するものである場合に、そのチューブに無理な力がかかって折れた形状のままとなってしまう、いわゆるキンクと呼ばれる不具合が発生することである。キンクが生じたまま、長期間保管すると、特に合成樹脂製チューブの場合、チューブ内腔が閉塞したままで使用されることになり、プライミング作業や体外血液循環を行う際に不都合となっていた。このような不具合を防止するために、特許文献1の包装部材を使用する場合には、別の搬送用の箱に収容して医療器具を保護することが一般的に行われている。
【0005】
特許文献2の包装部材は、医療器具を収容して保護可能な樹脂製の箱である。この包装部材を用いる場合には、医療器具を包装部材の内部に入れた後、面ファスナーや粘着テープ等で固定する。これにより、医療器具が箱の内部で不用意に動かないようにして、医療器具が有するチューブに不具合が発生しないようにしている。
【特許文献1】特開2002−699号公報
【特許文献2】特開2002−85521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の包装部材は樹脂製の板であるので、廃棄時に簡単に折り畳むことは困難であり、廃棄処理に問題がある。
【0007】
また、特許文献2の包装部材は箱であるので医療器具を保護することができる反面、医療器具を面ファスナーや粘着テープで固定しなければならず、包装作業が煩雑である。さらに、特許文献2のように面ファスナーや粘着テープを用いると、包装部材の廃棄時に分別作業が必要になり、廃棄処理が煩雑になることが考えられる。
【0008】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、不具合を与えないように医療器具を包装する場合に、包装作業性を良好にするとともに、包装部材の廃棄処理を容易に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明では、紙材を用いて包装部材を構成し、さらに、箱に収容した医療器具を該箱の蓋側から覆って押さえるようにしたのに加え、該医療器具を構成する部品が不意に動かないように別途保持できるようにした。
【0010】
具体的には、第1の発明では、医療器具の搬送用の箱内に該医療器具と共に収容され、該医療器具を箱内で保持可能なように紙材を成形してなる医療器具用包装部材であって、箱に収容された医療器具を該箱の蓋側から覆って押さえるように形成された被覆部を備え、上記被覆部には、医療器具を構成する部品を所定位置に保持するための保持部が設けられている構成とする。
【0011】
この構成によれば、箱内に収容された医療器具を被覆部により覆うことで、医療器具が被覆部により押さえられて箱内で動きにくくなり安定する。また、医療器具を構成する部品は、保持部により所定位置に保持される。これにより、医療器具が箱内で不用意に動かないようになるので、医療器具の搬送中の損傷が抑止される。
【0012】
また、包装部材を使用した後、廃棄する際には、包装部材が紙材を成形してなるものなので、簡単に折り畳めてコンパクトになる。また、リサイクルも容易に行える。
【0013】
第2の発明では、第1の発明において、被覆部には、第1の目的のための第1貫通孔と、第2の目的のための第2貫通孔とが形成されている構成とする。
【0014】
第3の発明では、第2の発明において、第1貫通孔と第2貫通孔とは、形状ないし大きさが異なる構成とする。
【0015】
第4の発明では、第2または3の発明において、第1貫通孔は、医療器具における被覆部により覆われた部分を視認するための窓を構成するものである。
【0016】
この構成によれば、医療器具を被覆部で被覆した状態のまま、医療器具が所定位置にあるか否かを窓を通して目視することが可能になる。
【0017】
第5の発明では、第2から4のいずれか1つの発明において、第2貫通孔は、医療器具における被覆部により覆われた部分の箱内での位置調整を行うための位置調整用貫通孔である構成とする。
【0018】
この構成によれば、医療器具が所定位置からずれている場合には、医療器具を被覆部で被覆した状態のまま、位置調整用貫通孔を介して医療器具の位置調整を行うことが可能になる。
【0019】
第6の発明では、第1から5のいずれか1つの発明において、紙材は、波形の断面形状を有する芯材を備えた段ボールであり、被覆部には、上記段ボールにおける芯材の波形が連続する方向に延びる折線により折り曲げられたリブが形成されている構成とする。
【0020】
すなわち、段ボールの芯材は、波形の断面形状を有していることから、波形の山や谷の部分を起点として折れ曲がり易い性質を持っている。本構成では、被覆材のリブを、芯材の波形が連続する方向に延びる折線により折り曲げて形成したことで、リブが、芯材の波形が連続する方向に延びる板状となる。これにより、リブによる補強効果を十分に得て、被覆部が折れ曲がり難くなる。
【0021】
第7の発明では、第1から6のいずれか1つの発明において、保持部は、被覆部を折り曲げ成形してなる構成とする。
【0022】
この構成によれば、保持部を被覆部に容易に一体成形することが可能になる。また、被覆部を折り曲げて保持部を形成したことで、保持部がリブとして機能し、被覆部の剛性が向上する。
【0023】
第8の発明では、第1から7のいずれか1つの発明において、保持部は、医療器具を構成する部品が嵌る開口部と、該開口部の周縁部から延び、該部品の外面に対向するように位置する支え板とを備え、上記支え板は、上記開口部を形成する際に抜く部分を折り曲げ成形してなるものとする。
【0024】
この構成によれば、医療器具の部品を保持部に保持させると、部品が開口部に嵌った状態で、かつ、支え板により支えられることになる。この支え板を、開口部を形成する際に抜く部分で構成したので、材料の有効活用を図ることが可能になる。
【0025】
第9の発明では、第1から8のいずれか1つの発明において、箱の側壁に沿って延びる側板を備えている構成とする。
【0026】
この構成によれば、包装部材を箱に収容した状態で側板が箱の側壁に当接することになる。
【0027】
第10の発明では、第1から9のいずれか1つの発明において、保持部は、医療器具の両側部へ向けてそれぞれ突出するように形成されている構成とする。
【0028】
この構成によれば、医療器具の両側部が保持部によりそれぞれ保持されて位置決めされることになる。
【発明の効果】
【0029】
第1の発明によれば、箱内の医療器具を被覆部により箱の蓋側から覆って押さえ、さらに、医療器具を構成する部品を保持部により保持することができる。これにより、面ファスナーや粘着テープを用いることなく包装作業を容易にしながら、医療器具を箱に収容した状態で不用意に動かないようにできる。また、包装部材を紙材で構成したので、廃棄処理を容易に行うことができる。
【0030】
第2、3の発明によれば、包装部材の使いやすさを向上できる。
【0031】
第4の発明では、医療器具における被覆部により覆われた部分を窓を通じて目視できるので、医療器具が定められた位置にあるか否かを容易に確認できる。
【0032】
第5の発明によれば、医療器具における被覆部により覆われた部分の位置調整を位置調整用貫通孔を介して容易に行うことができ、医療器具を所定位置に確実に収容できる。また、滅菌工程を行う前であれば、包装部材内で位置のずれた医療器具の収容状態を修正したり、調整することも可能である。
【0033】
第6の発明によれば、段ボールで包装部材を構成し、この段ボールに、芯材の波形が連続する方向に延びる折線により折り曲げられたリブを形成したので、被覆部の剛性を向上させることができ、医療器具をしっかりと押さえて保持することができる。
【0034】
第7の発明によれば、被覆部を折り曲げて保持部を形成したので、保持部を容易に一体成形して低コスト化を図ることができるとともに、保持部を利用して被覆部の剛性を向上させることができる。
【0035】
第8の発明によれば、医療器具の部品が嵌る開口部と、該開口部の周縁部から延びる支え板とで保持部を構成したので、部品をより一層安定して保持できる。そして、開口部を形成する際に抜く部分を利用して支え板を得るようにしたので、材料を有効活用して材料費を抑えることができる。
【0036】
第9の発明によれば、包装部材の側板を箱の側壁に当接させることにより、包装部材を箱内で安定させ、ひいては、医療器具の不用意な動きを抑制できる。
【0037】
第10の発明によれば、医療器具の両側部を保持部によりそれぞれ保持して位置決めできるので、医療器具の位置ずれを確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0039】
図1は、本発明の実施形態に係る包装部材1を使用して医療器具としてのCHDF(持続的血液濾過透析)回路2(図2に示す)を包装した状態を示すものである。この実施形態の説明では、包装部材1の説明を行う前に、CHDF回路2について図2を参照しながら説明する。CHDF回路2は、血液濾過器10と、血液回路11と、透析液回路12と、第1及び第2パネル13,14とを備えている。血液濾過器10は、多数の中空糸を筒状のケース10aに収容してなるものである。血液回路11は、血液濾過器10の血液流路に接続されるチューブ11a、図示しない血液ポンプによりしごかれるしごきチューブ11b等からなる。また、透析液回路12は、ろ液バッグ12a、補液・透析液バッグ12b、血液濾過器10の透析液流路に接続されるチューブ12c等からなる。チューブ12cは、ろ液バッグ12a及び補液・透析液バッグ12cにも接続されている。
【0040】
第1パネル13は、透明な樹脂材を矩形状に成形してなるものであり、4つの隅のうちの1つに切欠部13aが設けられた形状となっている。この第1パネル13には、血液回路11のチューブ11aの中途部が固定される複数の固定部13bと、透析液回路12のチューブ12cの中途部が固定される複数の固定部13cと、しごきチューブ11bが固定される固定部13dと、血液回路11のチューブ11aの中途部に設けられた柱状の圧力センサ11cが嵌る開口部13eとが設けられている。各固定部13b,13c,13dは、第1パネル13の周縁部から延出する板状をなしており、それぞれ、切れ込み部13fを有している。各切れ込み部13fにチューブ11a,11b、12cを径方向に挿入することで、チューブ11a,11b,12cが切れ込み部13fの縁部により挟まれた状態となって第1パネル13に固定されるようになっている。また、しごきチューブ11bは、第1パネル13の切欠部13a内に位置している。また、第1パネル13には、透析液回路12のチューブ12cが粘着テープTによっても固定されている。図2における符号17は、チューブ11aを巻いた状態で保持しておくための紐であり、使用時にはほどく。
【0041】
第2パネル14は、透明な樹脂材を長方形状に成形してなるものである。第2パネル14の長辺寸法は、第1パネル13の長辺寸法(図2における上下方向の寸法)よりも長く設定され、第2パネル14の短辺寸法(図2における左右方向の寸法)は、第1パネル13の短辺寸法よりも短く設定されている。この第2パネル14には、透析液回路12のチューブ12cの中途部が固定される複数の固定部14aと、透析液回路12のチューブ12cの中途部に設けられた柱状の圧力センサ12dが嵌る開口部14bとが設けられている。固定部14aは、第1パネル13の固定部13b,13c,13dと同様に切れ込み部14cを有している。ろ液バッグ12a及び補液・透析液バッグ12bは、各々、筒状に巻かれた状態で紐18により第2パネル14に縛り付けられている。
【0042】
CHDF回路2の使用時には、ろ液バッグ12a及び補液・透析液バッグ12bを第2パネル14から取り外し、第1及び第2パネル13,14を透析器(図示せず)に取り付けて使用する。つまり、第1及び第2パネル13,14は、CHDF回路2の一部を構成するものである。
【0043】
上記のように構成されたCHDF回路2は、図11に示すように、滅菌状態を維持するための梱包袋100に入れられ、この状態で搬送用の箱101に収容される。
【0044】
上記CHDF回路2を収容する箱101について図1を参照しながら説明すると、この箱101は、段ボールからなり、平面視で長方形状の開放口101aを有するように形成されている。箱101の蓋101bは、箱101の長辺部分に連なって設けられている。
【0045】
次に、包装部材1の構造について説明する。包装部材1は、1枚の段ボールA(図9に示す)を折り曲げ成形してなるものであり、図1に示すように、CHDF回路2を被覆する被覆部20と、箱101の長辺方向に延びる両側壁101c,101dに沿って、かつ、上下方向に延びる第1及び第2側板21,22とを備えている。尚、この実施形態の説明では、説明の便宜を図るために、図1の下側を包装部材1の左側といい、同図の上側を包装部材1の右側といい、同図の左側を包装部材1の奥側といい、同図の右側を包装部材1の手前側というものとする。
【0046】
段ボールAの芯材(図示せず)は、波形の断面形状を有しており、この実施形態では、波の連続する方向が包装部材1の左右方向となるように段ボールAの向きが設定されている。上記第1及び第2側板21,22は、段ボールAにおける芯材の波形が連続する方向、即ち、左右方向に延びる折線により折り曲げられ、左右方向に延びるリブを構成している。
【0047】
図3及び図4に示すように、被覆部20は、箱101の開放口101aに略一致する長方形の平板形状に形成されており、箱101に収容されたCHDF回路2を上方から覆って押さえるためのものである。第1側板21は、被覆部20の奥側の縁部に連なって設けられている。第2側板22は、被覆部20の手前側の縁部に連なって設けられている。
【0048】
被覆部20の奥側には、被覆部20の長辺に沿って延びるスリット23が形成されている。スリット23の長さは、被覆部20の長辺寸法よりも短く設定されている。スリット23は、被覆部20の左右方向の中間部に位置している。このスリット23を形成する際に抜いた部分は、第1側板21の上縁部に一体に設けられており、該第1側板21の上部を構成している。第1側板21の上下方向の寸法は、箱101の深さに略一致している。
【0049】
被覆部20の奥側の左右の両隅部近傍には、CHDF回路2の被覆部20により覆われた部分の位置調整を行うため(本発明の第2の目的に相当)の左側及び右側位置調整用貫通孔(本発明の第2貫通孔に相当)24,25が形成されている。図4に示すように、左側位置調整用貫通孔24は右側位置調整用貫通孔25よりも被覆部20の内寄りに位置している。
【0050】
左側及び右側位置調整用貫通孔24,25は、共に同じ円形状とされている。左側及び右側位置調整用貫通孔24,25の大きさは、少なくとも指が1本が入る程度の大きさが好ましく、より好ましくは複数本の指が入る大きさ(例えば、直径40mm程度)である。尚、左側及び右側位置調整用貫通孔24,25の形状は、円形に限られるものではなく、長円形、多角形状であってもよい。
【0051】
図5〜図8に示すように、被覆部20の左側及び右側には、左側及び右側保持部27,28がそれぞれ設けられている。左側及び右側保持部27,28は、被覆部20の一部を折り曲げ成形してなるものであり、被覆部20には、図3にも示すように、左側保持部27を形成したことによる左側切欠部30と、右側保持部28を形成したことによる右側切欠部31とが設けられている。
【0052】
図8にも示すように、左側保持部27は、被覆部20における左側切欠部30の縁部から下方へ向かい、かつ、下側に行くほど右側に位置するように傾斜して延びる傾斜板部27aと、傾斜板部27aの下縁に連なり左側へ延びる下板部27bとで構成されている。
【0053】
右側保持部28は、被覆部20における右側切欠部31の縁部から下方へ向かい、かつ、下側に行くほど左側に位置するように延びる傾斜板部28aと、傾斜板部28aの下縁に連なり右側へ延びる下板部28bとで構成されている。
【0054】
包装部材1を箱101に収容する前は、図9に実線で示すように、左側保持部27の傾斜板部27aは被覆部20に対し垂直に下方へ延びる状態となっており、下板部27bの左縁部は、被覆部20の左縁部よりも左側へ突出している。右側保持部28についても同様に、傾斜板部28aは被覆部20に対し垂直に下方へ延びる状態となっており、下板部28bの右縁部は、被覆部20の右縁部よりも右側へ突出している。そして、包装部材1を箱101に収容した状態で左側の下板部27bが箱101の内面により右側へ押され、また、右側の下板部28bが箱101の内面により左側へ押されて、同図に仮想線で示すように、傾斜板部27a,28aが傾斜した状態となる。
【0055】
傾斜板部27aを上述の如く傾斜させることで、該傾斜板部27aは、CHDF回路2へ向けて突出する形状となり、梱包袋100(図9には仮想線で示す)に食い込むようになる。傾斜板部28aも、上記傾斜板部27aと同様にCHDF回路2へ向けて突出する形状となり、梱包袋100に食い込むようになる。
【0056】
図4に示すように、左側保持部27の下板部27bの左右方向の寸法は、右側保持部28の下板部28bの左右方向の寸法よりも長く設定されている。左側保持部27の傾斜板部27aと、右側保持部28の傾斜板部28aとの離間寸法は、CHDF回路2の第2パネル14の長手方向の寸法よりも若干広めに設定されており、これら傾斜板部27a,28aの間に第2パネル14が第1パネル13と共に位置するようになっている。
【0057】
図3に示すように、被覆部20の左側及び右側保持部27,28の近傍には、CHDF回路2の被覆部20により覆われた部分を被覆部20で覆ったままの状態で視認するため(本発明の第1の目的に相当)の貫通孔(本発明の第1貫通孔に相当)で構成された左側及び右側窓33,34がそれぞれ形成されている。図4に示すように、左側窓33の左縁部は、左側切欠部30の縁部と一致して左右方向と直交する方向に延び、また、左側窓33の右縁部は、円弧状に延びている。つまり、左側窓33は、略半円形状となっている。左側窓33の円弧部分の半径は、位置調整用貫通孔24の半径と略同じに設定されているが、互いに異ならせてもよい。右側窓34も同様に略半円形状となっている。
【0058】
被覆部20の手前側には、図1に示すように、血液濾過器10を保持するための濾過器保持部35が設けられている。図4に示すように、濾過器保持部35は、倒した状態の血液濾過器10が嵌るように形成された開口部35aと、開口部35aの周縁部から延び、血液濾過器10の外面に対向するように位置する第1〜第3支え板35b〜35dとを備えている。
【0059】
開口部35aは、左右方向に長い長方形状をなしており、被覆部20の左寄りに位置している。図8に示すように、第1支え板35bは、開口部35aの左縁部から下方へ向けて延び、下側へ行くほど左側に位置するように傾斜しており、開口部35aに嵌めた状態の血液濾過器10を左側から支えるものである。第2支え板35cは、開口部35aの右縁部から下方へ向けて延び、下側へ行くほど右側に位置するように傾斜しており、開口部35aに嵌めた状態の血液濾過器10を右側から支えるものである。図5及び図6に示すように、第3支え板35dは、開口部35aの奥側の縁部から下方へ向けて延び、下側へ行くほど奥側に位置するように傾斜しており、開口部35aに嵌めた状態の血液濾過器10をその奥側から支えるものである。第1〜第3支え板35b〜35dの下縁部は、第1及び第2側板21,22の下縁部よりも上方に位置しており、第1及び第2側板21,22の下縁部が箱101の底面に当接した状態で、第1〜第3支え板35b〜35dの下縁部は箱101の底面から上方に離れるようになっている。
【0060】
上記第1〜第3支え板35b〜35dは、開口部35aを形成する際に抜いた部分を折り曲げ成形してなるものである。第3支え板35dは、段ボールAにおける芯材の波形が連続する方向に延びる折線により折り曲げられたリブを構成している。
【0061】
また、開口部35aを形成する際に抜いた部分の一部は、第2側板22に一体に設けられており、該第2側板22の下部を構成している。
【0062】
また、被覆部20の奥側は、手前側に比べて上方に位置しており、被覆部20は全体として手前側に向かって下降傾斜している。
【0063】
次に、上記のように構成された包装部材1を製造する場合について図9に基づいて説明する。まず、1枚の段ボールAを用意する。この段ボールAの厚さとしては、例えば2mm程度が好ましい。
【0064】
そして、段ボールAには、スリット23を形成するための切込a1、左側保持部27を形成するための切込a2、右側保持部28を形成するための切込a3、開口部35a及び第1〜第3支え板35b〜35dを形成するための切込a4を入れる。各切込a1〜a4を便宜上、破線にて示す。また、左側及び右側位置調整用貫通孔24,25及び左側及び右側窓33,34を形成するために、対応する部位を切り抜く。
【0065】
しかる後、折線(一点鎖線で示す)に沿って段ボールAの各部を折ることで、被覆部20、第1及び第2側板21,22、左側及び右側保持部27,28、スリット23、開口部35a、第1〜第3支え板35b〜35dが一体に形成される。第1〜第3支え板35b〜35dを、開口部35aを形成する際に抜く部分を折り曲げ成形することで得るようにしたので、材料の有効活用が図られる。
【0066】
次に、上記CHDF回路2を包装する場合について説明する。まず、図2に示すように、CHDF回路2を展開した状態にする。そして、図10に示すように、第2パネル14を第1パネル13の上に重ねる。このとき、第2パネル14に固定されているバッグ12a,12bが第2パネル14と第1パネル13とで挟まれるようにしておく。第2パネル14を第1パネル13に重ねた状態のCHDF回路2を図11に示すように梱包袋100に収容する。梱包袋100の表側は透明である。
【0067】
その後、図12に示すようにCHDF回路2を箱101に収容する。このとき、血液濾過器10が箱101の手前側に位置し、第1及び第2パネル13,14が奥側に位置するようにしておく。
【0068】
しかる後、図1に示すように、包装部材1を箱101に収容すると、被覆部20によりCHDF回路2の第1及び第2パネル13,14が血液回路11及び透析液回路12と共に上方から覆われる。第1及び第2パネル13,14と、血液回路11及び透析液回路12は、包装部材1の左右の傾斜板部27a,28aの間に位置付けておき、また、血液濾過器10は、開口部35aに嵌めておく。
【0069】
また、箱101に収容された包装部材1の第1及び第2側板21,22は箱101の側壁101c,101dに沿って延びるように位置するので、包装部材1を箱101内で安定させることが可能になる。
【0070】
そして、作業者は、左側及び右側窓33,34を覗き込む。すると、被覆部20により覆われた第1及び第2パネル13,14や、血液回路11、透析液回路12を目視することができる。これにより、例えば、第2パネル14が左右の傾斜板部27a,28aの間からずれているか否かを、被覆部20をそのままにした状態で確認できる。第2パネル14がずれている場合には、作業者は、左側及び右側位置調整用貫通孔24,25に指を差し込んで、第2パネル14を梱包袋101の上から摘んだり、押したりして第2パネル14の位置を調整することができる。このとき、左側及び右側窓33,34を覗き込んでおくことで、第2パネル14の位置を把握しながら位置調整を行うことができる。第2パネル14以外にも、第1パネル13や、血液回路11のチューブ11a及び透析液回路12の各チューブ12c等の位置調整も同様にして行うことができる。
【0071】
尚、左側及び右側窓33,34に指を差し込んで第2パネル14等の位置調整を行うこともできるし、左側及び右側位置調整用貫通孔24、25を覗き込んで第1及び第2パネル13,14や、血液回路11、透析液回路12を目視することもできる。
【0072】
このようにして第1及び第2パネル13,14、血液回路11、透析液回路12の位置調整を行うと、第1及び第2パネル13,14、血液回路11、透析液回路12は、被覆部20により上方から押さえられ、さらに、左側保持部27a及び右側保持部28aによって左右両側から所定位置に保持される。また、包装部材1を箱101に収容すると、図9に仮想線で示すように、左側及び右側保持部27,28の傾斜板部27a,28aがCHDF回路2に向けて突出して梱包袋100に食い込むようになり、保持が確実になる。
【0073】
このとき、被覆部20には、第1及び第2側板21,22、第2支え板35cが形成されているので、これらがリブとして機能して被覆部20の剛性が高まり、その結果、第1及び第2パネル13,14、血液回路11、透析液回路12をしっかりと押さえておくことができる。
【0074】
また、開口部35aに嵌った血液濾過器10は、第1〜第3支え板35b〜35dにより3方向から支えられるので安定する。
【0075】
包装された状態のCHDF回路2を搬送する際には、振動や衝撃を受けることがあるが、第1及び第2パネル13,14、血液回路11、透析液回路12が被覆部20により覆われて箱101の底面に押し付けられており、しかも、左側及び右側保持部27a,28aにより左右方向の位置決めがなされているので、不用意に動くことを防止し、チューブ11a,12cのキンクやCHDF回路2を構成する各回路11,12及びパネル13,14の損傷等を抑止でき、さらに、装部材1の損傷も抑止できる。また、血液濾過器10はチューブ11a,12cとは別に保持されているので、血液濾過器10がチューブ11a,12cにキンクや閉塞などの不具合を与えることもない。
【0076】
また、第1及び第2側板21,22は、箱101の側壁101c,101dに沿って上下方向に延びているので、箱101の潰れも防止できる。
【0077】
以上説明したように、この実施形態に係る包装部材1によれば、箱101内のCHDF回路2を被覆部20により箱101の蓋101b側から覆って押さえ、さらに、CHDF回路2を構成する各部品を左側及び右側保持部27a,28aと、濾過器保持部35により保持することができる。これにより、面ファスナーや粘着テープを用いることなく、CHDF回路2を箱101に収容した状態で不用意に動かないようにできるので、包装作業を容易にすることができる。また、包装部材1を段ボールAで構成したので、使用後には容易に折り畳むことができ、廃棄処理を容易に行うことができる。
【0078】
また、CHDF回路2における被覆部2により覆われた部分を窓33,34を通じて目視できるので、CHDF回路2が定められた位置にあるか否かを容易に確認できる。
【0079】
また、CHDF回路2における被覆部20により覆われた部分の位置調整を位置調整用貫通孔24,25を介して容易に行うことができる。
【0080】
また、段ボールAで包装部材1を構成し、この段ボールAに、芯材の波形が連続する方向に延びる折線により折り曲げられた第1及び第2側板21,22を形成したので、被覆部20の剛性を向上させることができ、CHDF回路1をしっかりと押さえて保持することができる。
【0081】
また、被覆部20を折り曲げて保持部27,28を形成したので、保持部27,28を容易に一体成形して低コスト化を図ることができるとともに、保持部27,28を利用して被覆部20の剛性を向上させることができる。
【0082】
また、CHDF回路1が有する血液濾過器10が嵌る開口部35aと、該開口部35aの周縁部から延び、第1〜第3支え板35b〜35dとで濾過器保持部35を構成したので、血液濾過器10をより一層安定して保持できる。そして、開口部35aを形成する際に抜く部分を利用して支え板35b〜35dを得るようにしたので、材料を有効活用して材料費を抑えることができる。
【0083】
また、包装部材1の側板21,22を箱101の側壁101c,101dに当接させることにより、包装部材1を箱101内で安定させ、ひいては、CHDF回路2の不用意な動きを抑制できる。
【0084】
尚、上記実施形態では、左側及び右側窓33,34を、被覆部20の貫通孔のみで構成したが、これに限らず、被覆部20の貫通孔と、該貫通孔を覆うように被覆部20に設けた透光性フィルムとで窓33,34を構成してもよい。
【0085】
また、本発明をCHDF回路2の包装部材1に適用した場合について説明したが、これに限らず、本発明は、血液を循環させる各種血液回路等を包装する場合にも適用することができる。
【0086】
また、包装部材1の材料は段ボールに限られるものではなく、厚紙等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
以上説明したように、本発明に係る包装部材は、例えば、CHDF回路を包装する際に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】実施形態に係る包装部材の使用状態を示す斜視図である。
【図2】CHDF回路の平面図である。
【図3】包装部材の斜視図である。
【図4】包装部材の平面図である。
【図5】包装部材の左面図である。
【図6】包装部材の右面図である。
【図7】包装部材の背面図である。
【図8】包装部材の正面図である。
【図9】図4におけるIX−IX線断面図である。
【図10】包装部材を構成する段ボールの展開図である。
【図11】CHDF回路を折り畳んだ状態の平面図である。
【図12】CHDF回路を梱包袋に収容した状態を示す図である。
【図13】CHDF回路を箱に収容した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0089】
1 包装部材
2 CHDF回路(医療器具)
20 被覆部
21,22 第1及び第2側板(リブ)
24,25 左側及び右側位置調整用貫通孔(第2貫通孔)
27,28 左側及び右側保持部
33,34 左側及び右側窓(第1貫通孔)
35 濾過器保持部
35a 開口部
35b〜35d 第1〜第3支え板
100 梱包袋
101 箱
A 段ボール
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器具の包装時に用いられる医療器具用包装部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば特許文献1、2に開示されているように、医療現場で用いられる血液回路等の医療器具を包装するための各種包装部材が知られている。
【0003】
特許文献1の包装部材は、樹脂製の板で構成されており、医療器具を構成する複数の部品をそれぞれ保持するため複数の窪みを有している。この包装部材は袋に収容されるようになっており、医療器具は包装部材で保持された状態で袋に収容されたまま、使用場所まで搬送される。
【0004】
また、医療器具は患者の治療に用いられるものであって高い安全性が要求されるので、搬送時に振動や衝撃を受けても損傷しないように包装しなければならない。搬送時に特に問題となるのは、医療器具がチューブを有するものである場合に、そのチューブに無理な力がかかって折れた形状のままとなってしまう、いわゆるキンクと呼ばれる不具合が発生することである。キンクが生じたまま、長期間保管すると、特に合成樹脂製チューブの場合、チューブ内腔が閉塞したままで使用されることになり、プライミング作業や体外血液循環を行う際に不都合となっていた。このような不具合を防止するために、特許文献1の包装部材を使用する場合には、別の搬送用の箱に収容して医療器具を保護することが一般的に行われている。
【0005】
特許文献2の包装部材は、医療器具を収容して保護可能な樹脂製の箱である。この包装部材を用いる場合には、医療器具を包装部材の内部に入れた後、面ファスナーや粘着テープ等で固定する。これにより、医療器具が箱の内部で不用意に動かないようにして、医療器具が有するチューブに不具合が発生しないようにしている。
【特許文献1】特開2002−699号公報
【特許文献2】特開2002−85521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の包装部材は樹脂製の板であるので、廃棄時に簡単に折り畳むことは困難であり、廃棄処理に問題がある。
【0007】
また、特許文献2の包装部材は箱であるので医療器具を保護することができる反面、医療器具を面ファスナーや粘着テープで固定しなければならず、包装作業が煩雑である。さらに、特許文献2のように面ファスナーや粘着テープを用いると、包装部材の廃棄時に分別作業が必要になり、廃棄処理が煩雑になることが考えられる。
【0008】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、不具合を与えないように医療器具を包装する場合に、包装作業性を良好にするとともに、包装部材の廃棄処理を容易に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明では、紙材を用いて包装部材を構成し、さらに、箱に収容した医療器具を該箱の蓋側から覆って押さえるようにしたのに加え、該医療器具を構成する部品が不意に動かないように別途保持できるようにした。
【0010】
具体的には、第1の発明では、医療器具の搬送用の箱内に該医療器具と共に収容され、該医療器具を箱内で保持可能なように紙材を成形してなる医療器具用包装部材であって、箱に収容された医療器具を該箱の蓋側から覆って押さえるように形成された被覆部を備え、上記被覆部には、医療器具を構成する部品を所定位置に保持するための保持部が設けられている構成とする。
【0011】
この構成によれば、箱内に収容された医療器具を被覆部により覆うことで、医療器具が被覆部により押さえられて箱内で動きにくくなり安定する。また、医療器具を構成する部品は、保持部により所定位置に保持される。これにより、医療器具が箱内で不用意に動かないようになるので、医療器具の搬送中の損傷が抑止される。
【0012】
また、包装部材を使用した後、廃棄する際には、包装部材が紙材を成形してなるものなので、簡単に折り畳めてコンパクトになる。また、リサイクルも容易に行える。
【0013】
第2の発明では、第1の発明において、被覆部には、第1の目的のための第1貫通孔と、第2の目的のための第2貫通孔とが形成されている構成とする。
【0014】
第3の発明では、第2の発明において、第1貫通孔と第2貫通孔とは、形状ないし大きさが異なる構成とする。
【0015】
第4の発明では、第2または3の発明において、第1貫通孔は、医療器具における被覆部により覆われた部分を視認するための窓を構成するものである。
【0016】
この構成によれば、医療器具を被覆部で被覆した状態のまま、医療器具が所定位置にあるか否かを窓を通して目視することが可能になる。
【0017】
第5の発明では、第2から4のいずれか1つの発明において、第2貫通孔は、医療器具における被覆部により覆われた部分の箱内での位置調整を行うための位置調整用貫通孔である構成とする。
【0018】
この構成によれば、医療器具が所定位置からずれている場合には、医療器具を被覆部で被覆した状態のまま、位置調整用貫通孔を介して医療器具の位置調整を行うことが可能になる。
【0019】
第6の発明では、第1から5のいずれか1つの発明において、紙材は、波形の断面形状を有する芯材を備えた段ボールであり、被覆部には、上記段ボールにおける芯材の波形が連続する方向に延びる折線により折り曲げられたリブが形成されている構成とする。
【0020】
すなわち、段ボールの芯材は、波形の断面形状を有していることから、波形の山や谷の部分を起点として折れ曲がり易い性質を持っている。本構成では、被覆材のリブを、芯材の波形が連続する方向に延びる折線により折り曲げて形成したことで、リブが、芯材の波形が連続する方向に延びる板状となる。これにより、リブによる補強効果を十分に得て、被覆部が折れ曲がり難くなる。
【0021】
第7の発明では、第1から6のいずれか1つの発明において、保持部は、被覆部を折り曲げ成形してなる構成とする。
【0022】
この構成によれば、保持部を被覆部に容易に一体成形することが可能になる。また、被覆部を折り曲げて保持部を形成したことで、保持部がリブとして機能し、被覆部の剛性が向上する。
【0023】
第8の発明では、第1から7のいずれか1つの発明において、保持部は、医療器具を構成する部品が嵌る開口部と、該開口部の周縁部から延び、該部品の外面に対向するように位置する支え板とを備え、上記支え板は、上記開口部を形成する際に抜く部分を折り曲げ成形してなるものとする。
【0024】
この構成によれば、医療器具の部品を保持部に保持させると、部品が開口部に嵌った状態で、かつ、支え板により支えられることになる。この支え板を、開口部を形成する際に抜く部分で構成したので、材料の有効活用を図ることが可能になる。
【0025】
第9の発明では、第1から8のいずれか1つの発明において、箱の側壁に沿って延びる側板を備えている構成とする。
【0026】
この構成によれば、包装部材を箱に収容した状態で側板が箱の側壁に当接することになる。
【0027】
第10の発明では、第1から9のいずれか1つの発明において、保持部は、医療器具の両側部へ向けてそれぞれ突出するように形成されている構成とする。
【0028】
この構成によれば、医療器具の両側部が保持部によりそれぞれ保持されて位置決めされることになる。
【発明の効果】
【0029】
第1の発明によれば、箱内の医療器具を被覆部により箱の蓋側から覆って押さえ、さらに、医療器具を構成する部品を保持部により保持することができる。これにより、面ファスナーや粘着テープを用いることなく包装作業を容易にしながら、医療器具を箱に収容した状態で不用意に動かないようにできる。また、包装部材を紙材で構成したので、廃棄処理を容易に行うことができる。
【0030】
第2、3の発明によれば、包装部材の使いやすさを向上できる。
【0031】
第4の発明では、医療器具における被覆部により覆われた部分を窓を通じて目視できるので、医療器具が定められた位置にあるか否かを容易に確認できる。
【0032】
第5の発明によれば、医療器具における被覆部により覆われた部分の位置調整を位置調整用貫通孔を介して容易に行うことができ、医療器具を所定位置に確実に収容できる。また、滅菌工程を行う前であれば、包装部材内で位置のずれた医療器具の収容状態を修正したり、調整することも可能である。
【0033】
第6の発明によれば、段ボールで包装部材を構成し、この段ボールに、芯材の波形が連続する方向に延びる折線により折り曲げられたリブを形成したので、被覆部の剛性を向上させることができ、医療器具をしっかりと押さえて保持することができる。
【0034】
第7の発明によれば、被覆部を折り曲げて保持部を形成したので、保持部を容易に一体成形して低コスト化を図ることができるとともに、保持部を利用して被覆部の剛性を向上させることができる。
【0035】
第8の発明によれば、医療器具の部品が嵌る開口部と、該開口部の周縁部から延びる支え板とで保持部を構成したので、部品をより一層安定して保持できる。そして、開口部を形成する際に抜く部分を利用して支え板を得るようにしたので、材料を有効活用して材料費を抑えることができる。
【0036】
第9の発明によれば、包装部材の側板を箱の側壁に当接させることにより、包装部材を箱内で安定させ、ひいては、医療器具の不用意な動きを抑制できる。
【0037】
第10の発明によれば、医療器具の両側部を保持部によりそれぞれ保持して位置決めできるので、医療器具の位置ずれを確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0039】
図1は、本発明の実施形態に係る包装部材1を使用して医療器具としてのCHDF(持続的血液濾過透析)回路2(図2に示す)を包装した状態を示すものである。この実施形態の説明では、包装部材1の説明を行う前に、CHDF回路2について図2を参照しながら説明する。CHDF回路2は、血液濾過器10と、血液回路11と、透析液回路12と、第1及び第2パネル13,14とを備えている。血液濾過器10は、多数の中空糸を筒状のケース10aに収容してなるものである。血液回路11は、血液濾過器10の血液流路に接続されるチューブ11a、図示しない血液ポンプによりしごかれるしごきチューブ11b等からなる。また、透析液回路12は、ろ液バッグ12a、補液・透析液バッグ12b、血液濾過器10の透析液流路に接続されるチューブ12c等からなる。チューブ12cは、ろ液バッグ12a及び補液・透析液バッグ12cにも接続されている。
【0040】
第1パネル13は、透明な樹脂材を矩形状に成形してなるものであり、4つの隅のうちの1つに切欠部13aが設けられた形状となっている。この第1パネル13には、血液回路11のチューブ11aの中途部が固定される複数の固定部13bと、透析液回路12のチューブ12cの中途部が固定される複数の固定部13cと、しごきチューブ11bが固定される固定部13dと、血液回路11のチューブ11aの中途部に設けられた柱状の圧力センサ11cが嵌る開口部13eとが設けられている。各固定部13b,13c,13dは、第1パネル13の周縁部から延出する板状をなしており、それぞれ、切れ込み部13fを有している。各切れ込み部13fにチューブ11a,11b、12cを径方向に挿入することで、チューブ11a,11b,12cが切れ込み部13fの縁部により挟まれた状態となって第1パネル13に固定されるようになっている。また、しごきチューブ11bは、第1パネル13の切欠部13a内に位置している。また、第1パネル13には、透析液回路12のチューブ12cが粘着テープTによっても固定されている。図2における符号17は、チューブ11aを巻いた状態で保持しておくための紐であり、使用時にはほどく。
【0041】
第2パネル14は、透明な樹脂材を長方形状に成形してなるものである。第2パネル14の長辺寸法は、第1パネル13の長辺寸法(図2における上下方向の寸法)よりも長く設定され、第2パネル14の短辺寸法(図2における左右方向の寸法)は、第1パネル13の短辺寸法よりも短く設定されている。この第2パネル14には、透析液回路12のチューブ12cの中途部が固定される複数の固定部14aと、透析液回路12のチューブ12cの中途部に設けられた柱状の圧力センサ12dが嵌る開口部14bとが設けられている。固定部14aは、第1パネル13の固定部13b,13c,13dと同様に切れ込み部14cを有している。ろ液バッグ12a及び補液・透析液バッグ12bは、各々、筒状に巻かれた状態で紐18により第2パネル14に縛り付けられている。
【0042】
CHDF回路2の使用時には、ろ液バッグ12a及び補液・透析液バッグ12bを第2パネル14から取り外し、第1及び第2パネル13,14を透析器(図示せず)に取り付けて使用する。つまり、第1及び第2パネル13,14は、CHDF回路2の一部を構成するものである。
【0043】
上記のように構成されたCHDF回路2は、図11に示すように、滅菌状態を維持するための梱包袋100に入れられ、この状態で搬送用の箱101に収容される。
【0044】
上記CHDF回路2を収容する箱101について図1を参照しながら説明すると、この箱101は、段ボールからなり、平面視で長方形状の開放口101aを有するように形成されている。箱101の蓋101bは、箱101の長辺部分に連なって設けられている。
【0045】
次に、包装部材1の構造について説明する。包装部材1は、1枚の段ボールA(図9に示す)を折り曲げ成形してなるものであり、図1に示すように、CHDF回路2を被覆する被覆部20と、箱101の長辺方向に延びる両側壁101c,101dに沿って、かつ、上下方向に延びる第1及び第2側板21,22とを備えている。尚、この実施形態の説明では、説明の便宜を図るために、図1の下側を包装部材1の左側といい、同図の上側を包装部材1の右側といい、同図の左側を包装部材1の奥側といい、同図の右側を包装部材1の手前側というものとする。
【0046】
段ボールAの芯材(図示せず)は、波形の断面形状を有しており、この実施形態では、波の連続する方向が包装部材1の左右方向となるように段ボールAの向きが設定されている。上記第1及び第2側板21,22は、段ボールAにおける芯材の波形が連続する方向、即ち、左右方向に延びる折線により折り曲げられ、左右方向に延びるリブを構成している。
【0047】
図3及び図4に示すように、被覆部20は、箱101の開放口101aに略一致する長方形の平板形状に形成されており、箱101に収容されたCHDF回路2を上方から覆って押さえるためのものである。第1側板21は、被覆部20の奥側の縁部に連なって設けられている。第2側板22は、被覆部20の手前側の縁部に連なって設けられている。
【0048】
被覆部20の奥側には、被覆部20の長辺に沿って延びるスリット23が形成されている。スリット23の長さは、被覆部20の長辺寸法よりも短く設定されている。スリット23は、被覆部20の左右方向の中間部に位置している。このスリット23を形成する際に抜いた部分は、第1側板21の上縁部に一体に設けられており、該第1側板21の上部を構成している。第1側板21の上下方向の寸法は、箱101の深さに略一致している。
【0049】
被覆部20の奥側の左右の両隅部近傍には、CHDF回路2の被覆部20により覆われた部分の位置調整を行うため(本発明の第2の目的に相当)の左側及び右側位置調整用貫通孔(本発明の第2貫通孔に相当)24,25が形成されている。図4に示すように、左側位置調整用貫通孔24は右側位置調整用貫通孔25よりも被覆部20の内寄りに位置している。
【0050】
左側及び右側位置調整用貫通孔24,25は、共に同じ円形状とされている。左側及び右側位置調整用貫通孔24,25の大きさは、少なくとも指が1本が入る程度の大きさが好ましく、より好ましくは複数本の指が入る大きさ(例えば、直径40mm程度)である。尚、左側及び右側位置調整用貫通孔24,25の形状は、円形に限られるものではなく、長円形、多角形状であってもよい。
【0051】
図5〜図8に示すように、被覆部20の左側及び右側には、左側及び右側保持部27,28がそれぞれ設けられている。左側及び右側保持部27,28は、被覆部20の一部を折り曲げ成形してなるものであり、被覆部20には、図3にも示すように、左側保持部27を形成したことによる左側切欠部30と、右側保持部28を形成したことによる右側切欠部31とが設けられている。
【0052】
図8にも示すように、左側保持部27は、被覆部20における左側切欠部30の縁部から下方へ向かい、かつ、下側に行くほど右側に位置するように傾斜して延びる傾斜板部27aと、傾斜板部27aの下縁に連なり左側へ延びる下板部27bとで構成されている。
【0053】
右側保持部28は、被覆部20における右側切欠部31の縁部から下方へ向かい、かつ、下側に行くほど左側に位置するように延びる傾斜板部28aと、傾斜板部28aの下縁に連なり右側へ延びる下板部28bとで構成されている。
【0054】
包装部材1を箱101に収容する前は、図9に実線で示すように、左側保持部27の傾斜板部27aは被覆部20に対し垂直に下方へ延びる状態となっており、下板部27bの左縁部は、被覆部20の左縁部よりも左側へ突出している。右側保持部28についても同様に、傾斜板部28aは被覆部20に対し垂直に下方へ延びる状態となっており、下板部28bの右縁部は、被覆部20の右縁部よりも右側へ突出している。そして、包装部材1を箱101に収容した状態で左側の下板部27bが箱101の内面により右側へ押され、また、右側の下板部28bが箱101の内面により左側へ押されて、同図に仮想線で示すように、傾斜板部27a,28aが傾斜した状態となる。
【0055】
傾斜板部27aを上述の如く傾斜させることで、該傾斜板部27aは、CHDF回路2へ向けて突出する形状となり、梱包袋100(図9には仮想線で示す)に食い込むようになる。傾斜板部28aも、上記傾斜板部27aと同様にCHDF回路2へ向けて突出する形状となり、梱包袋100に食い込むようになる。
【0056】
図4に示すように、左側保持部27の下板部27bの左右方向の寸法は、右側保持部28の下板部28bの左右方向の寸法よりも長く設定されている。左側保持部27の傾斜板部27aと、右側保持部28の傾斜板部28aとの離間寸法は、CHDF回路2の第2パネル14の長手方向の寸法よりも若干広めに設定されており、これら傾斜板部27a,28aの間に第2パネル14が第1パネル13と共に位置するようになっている。
【0057】
図3に示すように、被覆部20の左側及び右側保持部27,28の近傍には、CHDF回路2の被覆部20により覆われた部分を被覆部20で覆ったままの状態で視認するため(本発明の第1の目的に相当)の貫通孔(本発明の第1貫通孔に相当)で構成された左側及び右側窓33,34がそれぞれ形成されている。図4に示すように、左側窓33の左縁部は、左側切欠部30の縁部と一致して左右方向と直交する方向に延び、また、左側窓33の右縁部は、円弧状に延びている。つまり、左側窓33は、略半円形状となっている。左側窓33の円弧部分の半径は、位置調整用貫通孔24の半径と略同じに設定されているが、互いに異ならせてもよい。右側窓34も同様に略半円形状となっている。
【0058】
被覆部20の手前側には、図1に示すように、血液濾過器10を保持するための濾過器保持部35が設けられている。図4に示すように、濾過器保持部35は、倒した状態の血液濾過器10が嵌るように形成された開口部35aと、開口部35aの周縁部から延び、血液濾過器10の外面に対向するように位置する第1〜第3支え板35b〜35dとを備えている。
【0059】
開口部35aは、左右方向に長い長方形状をなしており、被覆部20の左寄りに位置している。図8に示すように、第1支え板35bは、開口部35aの左縁部から下方へ向けて延び、下側へ行くほど左側に位置するように傾斜しており、開口部35aに嵌めた状態の血液濾過器10を左側から支えるものである。第2支え板35cは、開口部35aの右縁部から下方へ向けて延び、下側へ行くほど右側に位置するように傾斜しており、開口部35aに嵌めた状態の血液濾過器10を右側から支えるものである。図5及び図6に示すように、第3支え板35dは、開口部35aの奥側の縁部から下方へ向けて延び、下側へ行くほど奥側に位置するように傾斜しており、開口部35aに嵌めた状態の血液濾過器10をその奥側から支えるものである。第1〜第3支え板35b〜35dの下縁部は、第1及び第2側板21,22の下縁部よりも上方に位置しており、第1及び第2側板21,22の下縁部が箱101の底面に当接した状態で、第1〜第3支え板35b〜35dの下縁部は箱101の底面から上方に離れるようになっている。
【0060】
上記第1〜第3支え板35b〜35dは、開口部35aを形成する際に抜いた部分を折り曲げ成形してなるものである。第3支え板35dは、段ボールAにおける芯材の波形が連続する方向に延びる折線により折り曲げられたリブを構成している。
【0061】
また、開口部35aを形成する際に抜いた部分の一部は、第2側板22に一体に設けられており、該第2側板22の下部を構成している。
【0062】
また、被覆部20の奥側は、手前側に比べて上方に位置しており、被覆部20は全体として手前側に向かって下降傾斜している。
【0063】
次に、上記のように構成された包装部材1を製造する場合について図9に基づいて説明する。まず、1枚の段ボールAを用意する。この段ボールAの厚さとしては、例えば2mm程度が好ましい。
【0064】
そして、段ボールAには、スリット23を形成するための切込a1、左側保持部27を形成するための切込a2、右側保持部28を形成するための切込a3、開口部35a及び第1〜第3支え板35b〜35dを形成するための切込a4を入れる。各切込a1〜a4を便宜上、破線にて示す。また、左側及び右側位置調整用貫通孔24,25及び左側及び右側窓33,34を形成するために、対応する部位を切り抜く。
【0065】
しかる後、折線(一点鎖線で示す)に沿って段ボールAの各部を折ることで、被覆部20、第1及び第2側板21,22、左側及び右側保持部27,28、スリット23、開口部35a、第1〜第3支え板35b〜35dが一体に形成される。第1〜第3支え板35b〜35dを、開口部35aを形成する際に抜く部分を折り曲げ成形することで得るようにしたので、材料の有効活用が図られる。
【0066】
次に、上記CHDF回路2を包装する場合について説明する。まず、図2に示すように、CHDF回路2を展開した状態にする。そして、図10に示すように、第2パネル14を第1パネル13の上に重ねる。このとき、第2パネル14に固定されているバッグ12a,12bが第2パネル14と第1パネル13とで挟まれるようにしておく。第2パネル14を第1パネル13に重ねた状態のCHDF回路2を図11に示すように梱包袋100に収容する。梱包袋100の表側は透明である。
【0067】
その後、図12に示すようにCHDF回路2を箱101に収容する。このとき、血液濾過器10が箱101の手前側に位置し、第1及び第2パネル13,14が奥側に位置するようにしておく。
【0068】
しかる後、図1に示すように、包装部材1を箱101に収容すると、被覆部20によりCHDF回路2の第1及び第2パネル13,14が血液回路11及び透析液回路12と共に上方から覆われる。第1及び第2パネル13,14と、血液回路11及び透析液回路12は、包装部材1の左右の傾斜板部27a,28aの間に位置付けておき、また、血液濾過器10は、開口部35aに嵌めておく。
【0069】
また、箱101に収容された包装部材1の第1及び第2側板21,22は箱101の側壁101c,101dに沿って延びるように位置するので、包装部材1を箱101内で安定させることが可能になる。
【0070】
そして、作業者は、左側及び右側窓33,34を覗き込む。すると、被覆部20により覆われた第1及び第2パネル13,14や、血液回路11、透析液回路12を目視することができる。これにより、例えば、第2パネル14が左右の傾斜板部27a,28aの間からずれているか否かを、被覆部20をそのままにした状態で確認できる。第2パネル14がずれている場合には、作業者は、左側及び右側位置調整用貫通孔24,25に指を差し込んで、第2パネル14を梱包袋101の上から摘んだり、押したりして第2パネル14の位置を調整することができる。このとき、左側及び右側窓33,34を覗き込んでおくことで、第2パネル14の位置を把握しながら位置調整を行うことができる。第2パネル14以外にも、第1パネル13や、血液回路11のチューブ11a及び透析液回路12の各チューブ12c等の位置調整も同様にして行うことができる。
【0071】
尚、左側及び右側窓33,34に指を差し込んで第2パネル14等の位置調整を行うこともできるし、左側及び右側位置調整用貫通孔24、25を覗き込んで第1及び第2パネル13,14や、血液回路11、透析液回路12を目視することもできる。
【0072】
このようにして第1及び第2パネル13,14、血液回路11、透析液回路12の位置調整を行うと、第1及び第2パネル13,14、血液回路11、透析液回路12は、被覆部20により上方から押さえられ、さらに、左側保持部27a及び右側保持部28aによって左右両側から所定位置に保持される。また、包装部材1を箱101に収容すると、図9に仮想線で示すように、左側及び右側保持部27,28の傾斜板部27a,28aがCHDF回路2に向けて突出して梱包袋100に食い込むようになり、保持が確実になる。
【0073】
このとき、被覆部20には、第1及び第2側板21,22、第2支え板35cが形成されているので、これらがリブとして機能して被覆部20の剛性が高まり、その結果、第1及び第2パネル13,14、血液回路11、透析液回路12をしっかりと押さえておくことができる。
【0074】
また、開口部35aに嵌った血液濾過器10は、第1〜第3支え板35b〜35dにより3方向から支えられるので安定する。
【0075】
包装された状態のCHDF回路2を搬送する際には、振動や衝撃を受けることがあるが、第1及び第2パネル13,14、血液回路11、透析液回路12が被覆部20により覆われて箱101の底面に押し付けられており、しかも、左側及び右側保持部27a,28aにより左右方向の位置決めがなされているので、不用意に動くことを防止し、チューブ11a,12cのキンクやCHDF回路2を構成する各回路11,12及びパネル13,14の損傷等を抑止でき、さらに、装部材1の損傷も抑止できる。また、血液濾過器10はチューブ11a,12cとは別に保持されているので、血液濾過器10がチューブ11a,12cにキンクや閉塞などの不具合を与えることもない。
【0076】
また、第1及び第2側板21,22は、箱101の側壁101c,101dに沿って上下方向に延びているので、箱101の潰れも防止できる。
【0077】
以上説明したように、この実施形態に係る包装部材1によれば、箱101内のCHDF回路2を被覆部20により箱101の蓋101b側から覆って押さえ、さらに、CHDF回路2を構成する各部品を左側及び右側保持部27a,28aと、濾過器保持部35により保持することができる。これにより、面ファスナーや粘着テープを用いることなく、CHDF回路2を箱101に収容した状態で不用意に動かないようにできるので、包装作業を容易にすることができる。また、包装部材1を段ボールAで構成したので、使用後には容易に折り畳むことができ、廃棄処理を容易に行うことができる。
【0078】
また、CHDF回路2における被覆部2により覆われた部分を窓33,34を通じて目視できるので、CHDF回路2が定められた位置にあるか否かを容易に確認できる。
【0079】
また、CHDF回路2における被覆部20により覆われた部分の位置調整を位置調整用貫通孔24,25を介して容易に行うことができる。
【0080】
また、段ボールAで包装部材1を構成し、この段ボールAに、芯材の波形が連続する方向に延びる折線により折り曲げられた第1及び第2側板21,22を形成したので、被覆部20の剛性を向上させることができ、CHDF回路1をしっかりと押さえて保持することができる。
【0081】
また、被覆部20を折り曲げて保持部27,28を形成したので、保持部27,28を容易に一体成形して低コスト化を図ることができるとともに、保持部27,28を利用して被覆部20の剛性を向上させることができる。
【0082】
また、CHDF回路1が有する血液濾過器10が嵌る開口部35aと、該開口部35aの周縁部から延び、第1〜第3支え板35b〜35dとで濾過器保持部35を構成したので、血液濾過器10をより一層安定して保持できる。そして、開口部35aを形成する際に抜く部分を利用して支え板35b〜35dを得るようにしたので、材料を有効活用して材料費を抑えることができる。
【0083】
また、包装部材1の側板21,22を箱101の側壁101c,101dに当接させることにより、包装部材1を箱101内で安定させ、ひいては、CHDF回路2の不用意な動きを抑制できる。
【0084】
尚、上記実施形態では、左側及び右側窓33,34を、被覆部20の貫通孔のみで構成したが、これに限らず、被覆部20の貫通孔と、該貫通孔を覆うように被覆部20に設けた透光性フィルムとで窓33,34を構成してもよい。
【0085】
また、本発明をCHDF回路2の包装部材1に適用した場合について説明したが、これに限らず、本発明は、血液を循環させる各種血液回路等を包装する場合にも適用することができる。
【0086】
また、包装部材1の材料は段ボールに限られるものではなく、厚紙等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
以上説明したように、本発明に係る包装部材は、例えば、CHDF回路を包装する際に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】実施形態に係る包装部材の使用状態を示す斜視図である。
【図2】CHDF回路の平面図である。
【図3】包装部材の斜視図である。
【図4】包装部材の平面図である。
【図5】包装部材の左面図である。
【図6】包装部材の右面図である。
【図7】包装部材の背面図である。
【図8】包装部材の正面図である。
【図9】図4におけるIX−IX線断面図である。
【図10】包装部材を構成する段ボールの展開図である。
【図11】CHDF回路を折り畳んだ状態の平面図である。
【図12】CHDF回路を梱包袋に収容した状態を示す図である。
【図13】CHDF回路を箱に収容した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0089】
1 包装部材
2 CHDF回路(医療器具)
20 被覆部
21,22 第1及び第2側板(リブ)
24,25 左側及び右側位置調整用貫通孔(第2貫通孔)
27,28 左側及び右側保持部
33,34 左側及び右側窓(第1貫通孔)
35 濾過器保持部
35a 開口部
35b〜35d 第1〜第3支え板
100 梱包袋
101 箱
A 段ボール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療器具の搬送用の箱内に該医療器具と共に収容され、該医療器具を箱内で保持可能なように紙材を成形してなる医療器具用包装部材であって、
箱に収容された医療器具を該箱の蓋側から覆って押さえるように形成された被覆部を備え、
上記被覆部には、医療器具を構成する部品を所定位置に保持するための保持部が設けられていることを特徴とする医療器具用包装部材。
【請求項2】
請求項1に記載の医療器具用包装部材において、
被覆部には、第1の目的のための第1貫通孔と、第2の目的のための第2貫通孔とが形成されていることを特徴とする医療器具用包装部材。
【請求項3】
請求項2に記載の医療器具用包装部材において、
第1貫通孔と第2貫通孔とは、形状ないし大きさが異なることを特徴とする医療器具用包装部材。
【請求項4】
請求項2または3に記載の医療器具用包装部材において、
第1貫通孔は、医療器具における被覆部により覆われた部分を視認するための窓を構成するものであることを特徴とする医療器具用包装部材。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1つに記載の医療器具用包装部材において、
第2貫通孔は、医療器具における被覆部により覆われた部分の箱内での位置調整を行うための位置調整用貫通孔であることを特徴とする医療器具用包装部材。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の医療器具用包装部材において、
紙材は、波形の断面形状を有する芯材を備えた段ボールであり、
被覆部には、上記段ボールにおける芯材の波形が連続する方向に延びる折線により折り曲げられたリブが形成されていることを特徴とする医療器具用包装部材。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載の医療器具用包装部材において、
保持部は、被覆部を折り曲げ成形してなることを特徴とする医療器具用包装部材。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1つに記載の医療器具用包装部材において、
保持部は、医療器具を構成する部品が嵌る開口部と、該開口部の周縁部から延び、該部品の外面に対向するように位置する支え板とを備え、
上記支え板は、上記開口部を形成する際に抜く部分を折り曲げ成形してなるものであることを特徴とする医療器具用包装部材。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1つに記載の医療器具用包装部材において、
箱の側壁に沿って延びる側板を備えていることを特徴とする医療器具用包装部材。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1つに記載の医療器具用包装部材において、
保持部は、医療器具の両側部へ向けてそれぞれ突出するように形成されていることを特徴とする医療器具用包装部材。
【請求項1】
医療器具の搬送用の箱内に該医療器具と共に収容され、該医療器具を箱内で保持可能なように紙材を成形してなる医療器具用包装部材であって、
箱に収容された医療器具を該箱の蓋側から覆って押さえるように形成された被覆部を備え、
上記被覆部には、医療器具を構成する部品を所定位置に保持するための保持部が設けられていることを特徴とする医療器具用包装部材。
【請求項2】
請求項1に記載の医療器具用包装部材において、
被覆部には、第1の目的のための第1貫通孔と、第2の目的のための第2貫通孔とが形成されていることを特徴とする医療器具用包装部材。
【請求項3】
請求項2に記載の医療器具用包装部材において、
第1貫通孔と第2貫通孔とは、形状ないし大きさが異なることを特徴とする医療器具用包装部材。
【請求項4】
請求項2または3に記載の医療器具用包装部材において、
第1貫通孔は、医療器具における被覆部により覆われた部分を視認するための窓を構成するものであることを特徴とする医療器具用包装部材。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1つに記載の医療器具用包装部材において、
第2貫通孔は、医療器具における被覆部により覆われた部分の箱内での位置調整を行うための位置調整用貫通孔であることを特徴とする医療器具用包装部材。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の医療器具用包装部材において、
紙材は、波形の断面形状を有する芯材を備えた段ボールであり、
被覆部には、上記段ボールにおける芯材の波形が連続する方向に延びる折線により折り曲げられたリブが形成されていることを特徴とする医療器具用包装部材。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載の医療器具用包装部材において、
保持部は、被覆部を折り曲げ成形してなることを特徴とする医療器具用包装部材。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1つに記載の医療器具用包装部材において、
保持部は、医療器具を構成する部品が嵌る開口部と、該開口部の周縁部から延び、該部品の外面に対向するように位置する支え板とを備え、
上記支え板は、上記開口部を形成する際に抜く部分を折り曲げ成形してなるものであることを特徴とする医療器具用包装部材。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1つに記載の医療器具用包装部材において、
箱の側壁に沿って延びる側板を備えていることを特徴とする医療器具用包装部材。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1つに記載の医療器具用包装部材において、
保持部は、医療器具の両側部へ向けてそれぞれ突出するように形成されていることを特徴とする医療器具用包装部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−202233(P2010−202233A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47955(P2009−47955)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(000153030)株式会社ジェイ・エム・エス (452)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(000153030)株式会社ジェイ・エム・エス (452)
【Fターム(参考)】
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