説明

医療用カメラ

医療目的のためのカメラがハウジング(10)を有し、そのハウジング内に入射窓(16)を中心に均一に分配されて白色光LED(64)とUVLED(55)が配置されている。入射窓(16)の後方にカラーフィルタ(59)が配置されており、そのカラーフィルタがUVLEDから発生された光を吸収する。透過された光がイメージコンバータ(8)上へ達し、評価回路(74、76)内で背景イメージを除かれて、モニタ(80)上へ出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の医療用カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
電子的なイメージコンバータを有するこの種の医療用カメラは、医療の検査結果を迅速に表示することができるようにし、イメージをイメージ処理することができるようにし、かつそのようにしてより多くの情報を得るため、あるいはイメージを安価かつ迅速に文書化することができるようにするために、医学においてますます普及して来ている。
【0003】
多数のバクテリアが光による光学的な刺激を受けて蛍光を示し、それを病気の質的または特に量的な特徴として用いることができることが知られている。その場合に蛍光のスペクトル特性は、バクテリア内に現れ、かつたとえばバクテリアの物質代謝の際に生じる、所定の分子によって定められる。すなわち、多数のバクテリア内に物質代謝生成物としてポルフィリンが生じ、それが350−450nm(ソレー帯)および500−640nm(Q帯)の領域の吸収帯と630±50nmの放射帯を有する。
【0004】
この種のバクテリアによってもたらされる病気を証明するために、罹患した領域へ、バクテリアのそれぞれの蛍光分子に適した長波の光が入射される。バクテリアから放射された光は、然るべき放射長波における光信号のみに反応する検出器によって証明される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明によって、コンパクトな構造を有し、かつ特に体腔内、たとえば口内の組織表面を調査するのに適した、冒頭で挙げた種類の医療用カメラを提供しようとしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1に記載された特徴を有する医療用カメラによって解決される。
【0007】
本発明に基づくカメラにおいては、刺激するUV光が直接入射窓へ達することができないことが、保証されている。このようにして、得られたイメージ内で刺激光によってもたらされる背景は小さい。従って弱い蛍光もよく見えるように表示される。
【0008】
本発明の好ましい展開が、従属請求項に記載されている。
【0009】
請求項2に示す本発明の展開によって、UV光がイメージコンバータから離れて維持され、それに対して蛍光はすべての成分においてイメージ発生のために利用されることが、達成される。
【0010】
請求項3と4に記載されているような、エッジフィルタは、医療用目的に特によく適している。
【0011】
請求項5に示すカメラにおいては、わずかな熱発生においてUV光の高い強度が得られる。熱発生は、患者によって不快に感じられ、組織損傷をもたらすこともある。
【0012】
請求項6に示す本発明に展開によって、視野の均一な照明が得られる。
【0013】
請求項7に示す本発明の展開は、観察箇所をUV光で強力に照射し、それに応じて高い強度の蛍光を得ることを許す。しかしその場合に、全体として、UV光源の駆動のパルスデューティー比を介して、組織損傷が生じないことが保証されている。
【0014】
請求項8に示すカメラにおいては、ユーザーはUV光源から出力される光パルスの長さと間隔を必要に応じて個別に調節することができる。
【0015】
請求項9に示すカメラは、調査すべき組織領域を白色光によって観察することを許し、それがしばしば蛍光考察を補うために望まれる。
【0016】
請求項10に示す本発明の展開も、視野の均一な照明のために用いられる。
【0017】
請求項11に示すカメラにおいては、背景イメージが引き算されるので、罹患した組織箇所の特にコントラスト豊かなイメージが得られる。
【0018】
請求項12に示すカメラは、調査すべき組織領域を異なる波長のUV光で照射することを許す。それによって健康な組織と罹患した組織ないし異なるように罹患した組織領域を区別する付加的な可能性が得られる。
【0019】
請求項13に示す措置も、特にコントラスト豊かなイメージに関して効果的である。
【0020】
請求項14に示す本発明の展開は、接近しにくい組織領域の調査に関して効果的である。
【0021】
請求項15に示す措置によって、調査すべき領域が血液のような汚れが付かないように維持されることが、達成される。
【0022】
市場で一般的なカメラにおいては、光学系は、カメラにおいて一般的であるように、テレセントリック光学系として形成されている。この種の光学系において良好な結像特性を保証するためには、対象側のレンズ配置、中央のレンズ配置およびコンバータ側のレンズ配置が複数の(通常2つの)個別レンズから構成されなければならない。この理由から、この種のカメラのための光学系は高価である。
【0023】
請求項16に示すカメラは、さらに良好な結像特性において、より安価に形成することができる。
【0024】
光路がテレセントリックではない場合には、医療用カメラにおいて、それぞれそれ自体特に良好な結像特性をもたないレンズ配置も使用することができる。特に、個々のレンズ配置を、単一のレンズによって実現することもできる。それによって著しいコスト削減が得られる。というのは、より少ないレンズしか必要とされず、光学系の組立ても単純だからである。
【0025】
視野絞りを、請求項17に記載されるように配置する場合には、特に良好な結像特性が得られる。第3のレンズ配置は、歪みエラーが小さい、その中央の領域を利用される。中央のレンズ配置は、その端縁領域においても利用される。従って中央のレンズ配置は、著しく湾曲した表面を有する必要がないので、このレンズ配置の端縁領域の利用が、受け容れられない歪みエラーをもたらすこともない。
【0026】
請求項18によれば、第1のレンズ配置は、極めて単純な幾何学配置を有する1つの光学的コンポーネントから形成することができる。
【0027】
請求項19と20に記載の本発明の展開も、中央のレンズ配置ないしコンバータ側のレンズ配置を実現する、特に簡単な可能性を提供する。
【0028】
請求項21に記載されているようなカメラは、歯科用目的のために使用するのに特に適している。というのは、考察方向がハンドピースの軸線に対して傾斜しており、特にそれに垂直になっているからである。
【0029】
請求項22に示す本発明の展開は、カメラの簡単な清掃と滅菌に関して効果的である。
【0030】
請求項23に示すカメラは、すぐ近傍の対象を観察するためにも、遠く離れた対象を観察するためにも使用することができる。デンタルカメラにおいては、医師はたとえば、歯の詳細あるいは歯列全体を記録することができる。
【0031】
請求項24は、記録間隔を調節する特に簡単な可能性を与える。
【0032】
請求項25に示すカメラにおいては、移動される部分をカメラハウジングの壁を通して案内する必要なしに、記録間隔の調節が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面を参照しながら実施例を用いて、本発明を詳細に説明する。
【0034】
図面に示すデンタルカメラは、ハウジング10を有しており、そのハウジングはプラスチック射出成形部品として形成されている。ハウジング10は、一体的なハウジングとして示されている;なお、当業者はそれぞれ製造要請に応じてそれを多部材のハウジングとして構成することができ、その場合に種々のハウジング部分はシールを介在させて、互いに密に結合され、あるいは互いに接着または溶接される。
【0035】
ハウジング10は、グリップ部分12を有し、そのグリップ部分は大体において端部が閉鎖された円筒状のジャケットの形状を有している。グリップ部分12は、その自由端部にだんだん細くなり、かつ屈曲したハウジング部分14を有しており、その下方を向いた端部は入射窓16とその隣りにある光出射窓17によって同一平面で密に閉鎖されている。
【0036】
入射窓16は、同時にエッジフィルタとして形成されている。これは、ITOS−gesellschaft fuer technische Optik mbH社からOG550の名称で販売されるような、約550nmにおいてエッジを有するカラーガラスフィルタであることができる。UV光の波長の近傍に位置するエッジを有するカラーガラスフィルタは、たとえばSchott社のフィルタGG495である。
【0037】
ハウジング10内に、全体を符号4で示す光学系が配置されており、その光学系は図式的に示唆する対象6(歯または顎弓)をイメージコンバータ8上に結像させる。イメージコンバータ8は、カラーCCDとすることができる。
【0038】
ハウジング部分14の屈曲された部分内に、方向変換ミラー18が配置されており、その方向変換ミラーはグリップ部分12の軸に対し、かつ窓16の軸に対して45度で配置されており、方向変換プリズムとして、たとえば直角プリズムまたはペンタプリズムとして形成することもできる。
【0039】
方向変換ミラー18の後方の光路内に、レンズ22が配置されており、そのレンズは凹状の前方の端面24と凸状の後方の端面26を有している。
【0040】
レンズ22から大きい距離をもって、中間レンズ28が配置されており、それは凸状の対象側の端面30と凸状のコンバータ側の端面32を有している。
【0041】
また、中間レンズ28の後方に大きい距離をおいて、コンバータ側のレンズ34が設けられており、それは凸状の対象側の端面36と凸状のコンバータ側の端面38を有している。
【0042】
イメージコンバータ8は、キャリッジ40上に配置されており、そのキャリッジがハウジング10の内側に設けられたガイドリブ42、44によって光学系4の軸に沿って移動可能に案内されている。キャリッジ40の一方の長手面上にラック46が形成されており、それが歯車48と噛合し、その歯車はハウジング10に回転可能に軸承されており、かつ歯車部分がハウジング10を通して外側へ突出している。従って、歯車48の回転によって、イメージコンバータ8を光学系4の軸に沿って変位させることができる。
【0043】
ハウジング10内に、ほぼ軸方向に延びる通路10が設けられており、その中に光ガイド52が設けられている。
【0044】
光ガイド52の、窓17から離れた端部の後方に、390と410nmの間の波長を有する紫外線を放出する、UV−LED55が取り付けられている。この種のUV−LEDは、たとえばETG社からタイプ名称ETG−3UV400−30で販売される。半導体材料は、青いUVで放出するInGaNである。LED内にレンズが一体化されているので、全体として極めて細い光束が得られる。
【0045】
通路50と光ガイド52の終端部分は、光ガイド52へ与えられた光が、符号54で示すように、窓17の軸に対してやや傾斜して光ガイド52を出るように、屈曲されている。
【0046】
イメージコンバータ8と光ガイド52は、図面には示されていない(その右に想定される)差込み接続を介してイメージ評価エレクトロニクスと接続されている。
【0047】
光学系4の光路が、図2に再度詳細に示されている。表示しやすくするために、関係は、方向変換プリズムとして形成されている方向変換ミラー18を同じ光学的厚みの平面平行のガラスプレートに替えて、窓16をグリップ部分12の軸上に設けた場合に、図1に基づくカメラから得られる直視カメラにおいて存在するように、示されている。種々の光学的コンポーネントは、ここでも図1と同様に示されている。付加的に、対象6の様々な点からイメージコンバータ8の表面上の対応付けられた点へ案内する、種々のビームが記入されている。
【0048】
図から明らかなように、図2に示す光学系において、視野絞りB*に対してレンズ22の近傍に配置されたイメージBが共役である。視野絞りB*ないしそのイメージBのこの種の位置において、対象側のレンズ22は大体においてその中央の領域において利用され、中間レンズ28はその端縁領域においても利用され、コンバータ側のレンズ34はまたその中央の領域においてだけ利用される。
【0049】
中間レンズ28が対象側のレンズ22からもコンバータ側のレンズ34からも著しく離れている、図示の3つのレンズの配置に基づいて、中間レンズ28はシャープに湾曲した表面を有する必要がない。それによって光学的な収差が減少される。従って中間レンズ28において端縁領域も利用されるという事実は、イメージの我慢できない歪みをもたらすことがない。
【0050】
後掲の表は、光学系4を実現する可能性のための具体的な例を示している。関係は、図2の表示に相当する。
それぞれ端面の番号(図1ないし2の参照符号)、該当する端面の曲率半径、端面に連続する材料層の厚みおよび、該当する面の後方に位置する光学的媒体の種類(ガラス種類;L=空気)が記載されている。最後の欄には、それぞれの端面の直径が記載されている。長さ単位は、それぞれ1mmである。
【0051】
面 半径 厚み ガラス 直径
対象 ∞ 9 L 13.21
19 ∞ 4 SF8 3.80
21 ∞ 0.76 L 1.54
24 −2.31 4.00 N−LASF30 3.00
26 −2.65 11.83 L 3.00
30 24.30 4 N−LASF30 7.50
32 −11.94 20.84 L 7.50
36 12.15 4.00 N−ZK7 7.50
38 −8.82 0.56 L 7.50
絞りB* ∞ 15.13 L 0.98
コンバータ ∞ 4.85
【0052】
欄のガラス「L」が記載されている場合には、それは空気区間である。ガラスタイプは、Schott社の光学ガラスのためのカタログに相当する。
【0053】
図3に基づく実施例は、図1に基づく実施例にほぼ相当する;対応するコンポーネントは、ここでも同一の参照符号を有しており、再度詳細には説明しない。
【0054】
図3に基づく実施例においては、キャリッジ40にねじ孔58が形成されており、その中でねじスピンドル60が走行する。ねじスピンドル60は、モータ62によって駆動され、そのモータはハウジング10によって支持されている。モータ62のための給電線は、図3の右に想定される差込み接続を介して、イメージコンバータ8および光ガイド52の接続線のような、供給チューブへ延びている。
【0055】
このようにして、コンバータ8を光学系4の軸線に沿って変位させることができ、ハウジング10の壁を通る機械的挿通部を設ける必要はない。
【0056】
上述した実施例の変形においては、入射窓16を完全に透明な窓として形成して、方向変換ミラー18上に付加的なカラーフィルタ59を設置することもでき、それは、フィルタが監視光によって2回貫通される、という利点を有している。さらに代替的に、破線で示すように、カラーフィルタ59をキャリッジ50の前にセットすることもでき、あるいはイメージコンバータのすぐ上に配置することもできる。
【0057】
図4に基づく実施例においては、図1から図3を参照しながらすでに説明した構成部材は、同一の参照符号を有している。それらは、以下で再度詳細に説明する必要はない。
【0058】
円形の入射窓16を中心に周方向に等配されて4つの白色光LED64が設けらている。これらの間には、同様に周方向に等配されて4つのUVLED66が配置されている。
【0059】
白色光LED64は、それぞれ選択に応じて白色光LED64を導通させ、あるいは所定の期間オンにする、駆動回路68の出力と接続されている。
【0060】
同様に、UVLED55は、それぞれ短いタイムスパンの間UVLEDを活性化する駆動回路70と接続されている。
【0061】
駆動回路70の制御は、クロックジェネレータ72によって行われ、そのクロックジェネレータは、駆動回路70と場合によっては68のために第1と第2の活性化パルスの他に、(ここで仮定されるように、同様にクロックされて)これら2つに対して位相シフトされた制御パルスを準備する。従ってこれらの制御パルスは、UVLED(および場合によっては白色光LED、同様にクロックされる)が作用しない時点で発生される。
【0062】
クロックジェネレータ72の2つのクロックパルスと制御パルスが、計算回路74へ供給される。この計算回路は、その入力においてイメージコンバータ8の出力と接続されている。
【0063】
クロックジェネレータ72が第1の活性化パルスを得る毎に、それは接続されているイメージメモリ76からそれまでに積分された蛍光イメージをロードして、振幅に従ってまさにイメージコンバータ8からロードされたイメージをそれに加算する。その後、このようにして得られたイメージ全体を再びイメージメモリ76へ戻す。
【0064】
クロックジェネレータ72が第2の活性化パルスを得る毎に、それは接続されているイメージメモリ76からそれまでに積分された白色光イメージをロードして、振幅に従ってまさにイメージコンバータ8からロードされたイメージをそれに加算する。その後、このようにして得られたイメージ全体を再びイメージメモリ76へ戻す。
【0065】
計算回路74が制御パルスを得た場合には、同回路は同様にイメージメモリ76の内容(蛍光イメージおよび白色光イメージ)をロードして、その内容からイメージコンバータ8から得たイメージを振幅に従って引き算して、このようにして得られた新しいイメージ全体を再びイメージメモリ76へ戻す。
【0066】
このようにして、イメージメモリ76は、バクテリアから発生された蛍光のみを示す蛍光イメージを得るが、その蛍光においては周囲光から発生された背景イメージが引き算されていることが、明らかである。
【0067】
同様なことが、白色光イメージについても当てはまる。
【0068】
イメージメモリ76の内容は、モニタ78上に表示することができる。
【0069】
図4に基づく実施例の変形例においては、白色光LED64を、UVLED66とは異なる波長において作用する、他のUVLEDに代えることもできる。白色光ダイオードも、様々な波長において作用する複数セットのUVLEDも設けることができる。種々のLEDの駆動は、上述したように行われる。
【0070】
他のセットのUVLEDのために、上述したのと全く同様に背景イメージの引き算が行われる。
【0071】
付加的に、患者組織内の付加的な構造を認識するために、種々のセットのUVLEDから得られたイメージを加算または引き算でまとめることができる。
【0072】
図5に示す実施例においては、上ですでに説明した構成部材は、同一の参照符号を有している。
【0073】
カメラは、その最も重要な構成部分のみにおいて示されている。副鼻腔、耳または歯根間隙などの、深い間隙のような、極めて接近しにくい領域を観察するために、レンズ光学系の代りにファイバー光学系が使用される。これが、符号80で図式的に示されている。
【0074】
UVLED55が、ファイバー光学系80の後方の端部を、波長分散層84を有するダイクロイックビームスプリッタ82を介して照射し、ファイバー光学系80を通して戻る観察光がビームスプリッタ82を介してイメージコンバータ8上へ与えられ、そのイメージコンバータは、さらに、光を検出するために、たとえば感光性のダイオードまたはフォトトランジスタによって形成することができる、ピクセルのみを必要とする。
【0075】
図5に示すカメラにおいては、UV光はそれを透過する層84とファイバー光学系80を通して調査すべき領域へ案内される。
【0076】
戻ってくる観察光は、ファイバー光学系80を通して戻り、ダイクロイック層84を介してイメージコンバータ8上へ達する。
【0077】
ファイバー光学系80は、望ましい場合には、2つの分離された部分束を有することができ、そのうちの一方が調査すべき領域へ通じるUV光を案内し、他方は調査すべき領域から帰ってくる観察光を案内する。
【0078】
たとえば歯根間隙内で、調査箇所に汚れがある場合には、調査すべき領域に血液のような汚れが付かないようにすると効果的である。その場合には、ファイバー光学系80に対して平行に中空ファイバー86を設けて、それを通して調査すべき領域へ洗浄液をポンピングすることができる。
【0079】
他の変形例においては、ファイバー光学系80自体を、それが同時に液体通路として用いられ、それを通して調査すべき箇所へ洗浄液が案内されるように、設計することもできる。
【0080】
その場合に、液体の供給は、ファイバー光学系の結合端部に形成された横断孔を通して行われる。
【0081】
上述したカメラは、その高い感度に基づいて、バクテリアの固有蛍光を利用して健康な組織領域と罹患した組織領域を区別するのに適している。なお、このカメラは、バクテリアが付加的に適用された蛍光マーカーによってマーキングされている場合にも、使用することができる。この種のマーカーは、好ましくは調査の前に調査すべき領域へ溶液内で供給されて、調査すべきバクテリアに固有に蓄積される。ファイバーセンサカメラを使用する場合には、蛍光マーカーを調査前にその液体通路(ファイバー光学系の中空空間または付加的な中空ファイバー)を通して供給することができる。
【0082】
本発明の以下の他の変形例が可能である:
【0083】
蛍光は強度において非常に弱いことがあり、さらに、たとえば他の蛍光を発する細胞または周囲光による、広帯域のノイズ光が存在する可能性があるので、様々な波長に感度を有する複数の光電検出器を用いて、ノイズ信号の強度も、同様にノイズ信号が重畳されている、蛍光信号の強度も測定し、差を形成することによって蛍光信号を獲得すると、効果的であろう。
【0084】
周囲光によるノイズ信号を抑圧する他の可能性は、刺激光を脈動させて、この時間の間かつ蛍光信号に従って、放射された強度を積分し、かつ後の、好ましくは同じ長さ続く、タイムインターバルの間ノイズ光強度を積分し、それによって同様に2つの信号の差から蛍光信号が獲得されるようにすることにある。
【0085】
たとえば、紫外から青までの半導体ダイオードまたは半導体レーザーダイオードによって調査すべき領域が照射されて、CCDカメラによって蛍光が観察される。そのために、上述したカメラの照明装置に然るべきUV発光ダイオードないしレーザーダイオードが搭載されて、光学系の光路内にエッジ特性を有するカラーガラスフィルタ(たとえばSchottのGG495)が挿入され、そのカラーガラスフィルタは刺激光を完全に吸収し、かつ蛍光をCCDイメージコンバータへ通過させる。周囲光または他のノイズ光は、上述した方法と同様に、刺激光をタイムクロックし、かつ、ノイズ光強度と放射光強度を測定するための2つの光学フィルタを導通させることにより、蛍光イメージとノイズ光イメージないしスペクトル領域内で同時かつ非同時に検出することによって、検出することができる。
【0086】
カラーCCDイメージコンバータにおいてカラーシフトの評価も行うことができる。
【0087】
バクテリアの蛍光は、前もって口内へ注入された、所定の物質によって増強することもできる。すなわち、たとえば、光放射線癌治療から、ガン細胞内のアミノレブリン酸とその誘導体が、そこでは再び分解することは困難なポルフィリンに変換されることが知られている。同じことが、多くのバクテリアにおいて言える。従ってこの種の物質による口内洗浄が蛍光信号を高めることができる。
【0088】
カメラを有する上述した適用例において、現場領域全体の調査は同時に可能である。すなわち、たとえば歯表面の初期のカリエス疾患を見えるようにすることができる。
【0089】
しかしまた、光学的に刺激可能なバクテリアによってもたらされる、にきびのような、可能な皮膚疾患、あるいは、増大された物質代謝によってポルフィリン濃度がシミに比較して増大されている、皮膚メラノーマを、見えるようにすることも可能である。
【0090】
測定領域をノイズ光に対して隔離するために、カメラの入射窓上に円筒状または円錐状に形成されたキャップをかぶせることができる。
【0091】
CCDイメージコンバータ内に光強度によって作動される電流は、イメージコンバータの暗電流に比較して小さい可能性があるので、極めて繊細な証明のためには、CCDイメージコンバータはたとえばペルティエエレメントで冷却される。
【0092】
たとえば副鼻腔、耳あるいは歯根間隙のような、光学的に接近が困難な間隙内で病気を診断しようとする場合には、領域が、照明源を備えた上述したビデオカメラを有するエンドスコープによって照射されて、フィルム記録されるか、あるいはイメージを発生しないシステムによるローカルな適用に制限される。
【0093】
これは、LED光またはレーザー光が光ガイドファイバーを通して調査すべき領域へ案内されるように、設計することができる。このファイバーに対して平行に第2のファイバーを延ばすことができ、それが領域から放射された蛍光を記録して、光検出器へ案内する。
【0094】
さらに、根間隙において測定する場合には、たとえば、調査フィールドへ光学的に接近するために、調査すべき領域に血液のような汚れがつかないようにすると効果的である。この場合には、他の中空ファイバーが使用され、それを通して洗浄水が調査すべき領域へポンピングされる。
【0095】
本発明の他の形態は、1本のファイバーだけで刺激光の供給も蛍光の取出しも行うことにある。この場合においては、レーザー光の結合側ないし蛍光の検出側にビームスプリッタが設けられ、そのビームスプリッタはたとえば波長を分散させるようにコーティングすることができるので、青いレーザー光は透過されるが、蛍光は90°だけ反射される。
【0096】
また、ファイバーを部分的に中空ファイバーとして設計することも可能であるので、ファイバーを通して洗浄水が調査すべき表面へ案内される。この場合においては、液体はレーザーへ向いた端部領域において側方の孔から供給されなければならない。
【0097】
上述した本発明に基づく診断カメラは、バクテリアが付加的に適用された蛍光マーカーによってマーキングされている場合にも、適用することができる。この種のマーカーは、好ましくは調査の前に調査すべき領域へ溶液内で供給されて、調査すべきバクテリアに固有に蓄積される。ファイバーイメージコンバータの場合においては、蛍光マーカーは調査前に洗浄ファイバーを通して供給することができる。
【0098】
調査領域内の蛍光マーカーの蓄積度が高い場合には、さらに、蛍光ではなく、調査領域における蛍光マーカーの吸収を証明することが可能である。しかしこの証明方法は、一般に蛍光証明よりも感度が鈍い。装置的には、診断装置内で放射信号を色分離するための光学的コンポーネントが除去されることによって、可能である。
【0099】
この方法を用いて、たとえば、歯ポケット内の歯根上の着色された歯石を検出することも可能である。この方法は、たとえば、歯石除去処理において、歯根の歯石の清掃度を分析するために適用することができる。
【0100】
絶対的な蛍光信号は、特に、光学系の結合効率、照明の距離および表面粗度とエリアに隣接する修復材料に依存するので、罹患度はしばしば絶対的な蛍光強度からは容易には検出できない。
【0101】
この場合において、本発明の他の形態が提供される。そのために、UV刺激において健康な歯材料は同様に(しかし他の放射スペクトルで)蛍光を発する、という特性が利用される。罹患状態が発生した場合に、バクテリアないし罹患した細胞内で刺激光の一部が他の波長の放射光に変換されることによって、放射スペクトルが変化する。健康な状態に対するスペクトルのこの変化は、色に感度を有するイメージコンバータによってカラー変化の形式で認識することができる。このカラー変化は、たとえば、カラーカメラによって場所解像されて検出され、罹患状態を表示するためにモニタ上に再現される。それによってもはや、診断のための絶対的な強度は重要でなくなる。
【0102】
従って一般的に、本発明に基づいて、罹患のための尺度を得るために、種々のスペクトル成分の強度の比を使用することができる。その場合に一方のスペクトル成分が罹患に影響されない基準信号を表し、他のスペクトル成分が罹患によって圧倒的に影響を受けた信号を表す。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】デンタルカメラの軸断面を示している。
【図2】図1に基づくデンタルカメラの光学系を図式的に示している。
【図3】図1と同様の表示であるが、イメージコンバータのための変更された調節機構が示されている。
【図4】診断カメラの頭部を示す上面図およびカメラのイメージコンバータと協働する駆動ユニットの図式的な表示である。
【図5】光学的に接近が困難な箇所に使用される、変更されたカメラの図式的な表示である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(10)、光源(55)、光学系(22、28、34;80)およびイメージコンバータ(8)を有し、ハウジング(10)が調査領域から戻ってくる観察光のための、光源から放射された光が直接達しない、入射窓(16)を有する、医療用カメラにおいて、
光源(55)が、UV光源であって、かつ
入射窓(16)がフィルタとして形成されており、あるいは入射窓(16)とイメージコンバータ(8)の間の光路内にフィルタ(59;84)が配置されていることを特徴とする医療用カメラ。
【請求項2】
フィルタ(16;59;84)が、エッジフィルタであることを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】
フィルタエッジが、450nmあるいはそれより大きい波長にあることを特徴とする請求項2に記載のカメラ。
【請求項4】
エッジフィルタのフィルタエッジが、470nmあるいはそれより大きく、好ましくは550nmまたはそれより大きいところにあることを特徴とする請求項3に記載のカメラ。
【請求項5】
UV光源が、少なくとも1つのUVLED(55)を有していることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のカメラ。
【請求項6】
光源が、規則的に分配されて入射窓(16)を包囲する、UVLED(55)のセットを有していることを特徴とする請求項5に記載のカメラ。
【請求項7】
UV光源(55)がクロック駆動されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のカメラ。
【請求項8】
クロックパルスの長さおよび/または間隔が調節可能であることを特徴とする請求項7に記載のカメラ。
【請求項9】
付加的に白色光源(64)が設けられていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のカメラ。
【請求項10】
白色光源が多数の白色光LED(64)を有しており、それらが入射窓(16)を中心に規則的に分配されており、かつ好ましくはクロック駆動されることを特徴とする請求項9に記載のカメラ。
【請求項11】
クロックジェネレータ(72)が、UV光源(55)を制御するための、第1の活性化パルスの他に、第1のクロックパルスに対して位相シフトされている、制御パルスを提供し、かつ、第1のクロックパルスと制御パルスが、積分イメージメモリ(76)と協働する計算回路(74)へ与えられ、
計算回路(72)は、
第1のクロックパルスを得た場合には、イメージコンバータ(8)の出力信号をイメージメモリ(76)の内容に加算し、
制御パルスを得た場合には、イメージコンバータ(8)によって準備されたイメージをイメージメモリ(76)内に保持されている、積分されたイメージから引き算する、
ことを特徴とする請求項7から10のいずれか1項に記載のカメラ。
【請求項12】
カメラが、異なる波長で作用する、複数のUV光源(55、65)を有していることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のカメラ。
【請求項13】
クロックジェネレータ(72)が、
第1のUV光源(55)を活性化させるための第1のクロックパルスと、
第2のUV光源(64)を活性化させるための、第1のクロックパルスに対して位相がシフトされた、第2のクロックパルスと、
2つのクロックパルスに対してある位相にある制御パルスと、を提供し、
計算回路(72)に、前記2つのクロックパルスが供給され、計算回路は積分イメージメモリ(76)と協働し、
第1のクロックパルス、あるいは、第2のクロックパルスを得た場合にイメージコンバータ(8)の内容をイメージメモリ(76)の内容に加算または引き算し、
制御パルスを得た場合には、イメージコンバータ(8)の内容をイメージメモリ(76)の内容に対してその内容から引き算する、
ことを特徴とする請求項12に記載のカメラ。
【請求項14】
光学系(80)が、ファイバー光学系を有していることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載のカメラ。
【請求項15】
処理液または洗浄液を調査すべき領域へ供給するための装置(86)を特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載のカメラ。
【請求項16】
イメージフィールドを定める絞り(B*)が設けられており、かつイメージコンバータ(8)が光学系(4)の軸線上に配置されており、光学系(4)が対象側のレンズ配置(22)、中央のレンズ配置(28)およびコンバータ側のレンズ配置(34)を有しており、かつ
視野を定める絞り(B*)あるいはそのイメージ(B)がコンバータ側のレンズ配置(34)の領域内にあることを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載のカメラ。
【請求項17】
視野を定める絞り(B*)またはそのイメージ(B)が小さい区間だけコンバータ側のレンズ配置(34)の後方に位置し、前記区間がコンバータ側のレンズ配置(34)の後方の画成面(38)とイメージコンバータ(8)の感光面との間の間隔の約2〜10%、好ましくは約2〜5%であることを特徴とする請求項16に記載のカメラ。
【請求項18】
対象側のレンズ配置(22)が、凹/凸に湾曲されたレンズ(22)によって形成されていることを特徴とする請求項16または17に記載のカメラ。
【請求項19】
中央のレンズ配置(28)が、両凸レンズによって形成されていることを特徴とする請求項16から18のいずれか1項に記載のカメラ。
【請求項20】
コンバータ側のレンズ配置(34)が、両凸レンズによって形成されていることを特徴とする請求項16から19のいずれか1項に記載のカメラ。
【請求項21】
対象側のレンズ配置(21)の前に配置された光方向変換部材(18)を特徴とする請求項16から20のいずれか1項に記載のカメラ。
【請求項22】
対象側のレンズ配置(22)の前に位置する入射窓(16)が、ハウジング(10)と同一面で密に結合されている、ことを特徴とする請求項16から21のいずれか1項に記載のカメラ。
【請求項23】
イメージコンバータ(8)を光学系(4)の軸線の方向に変位させる装置(46、48;60、62)、を特徴とする請求項16から22のいずれか1項に記載のカメラ。
【請求項24】
変位装置が、ハウジング(10)の壁を通して案内される操作部材(48)を有している、ことを特徴とする請求項23に記載のカメラ。
【請求項25】
変位装置がモータ(62)を有しており、前記モータが差込み接続を介して励磁され、前記差込み接続を介してイメージコンバータ(8)もイメージ評価エレクトロニクスと接続されている、ことを特徴とする請求項23に記載のカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−537802(P2007−537802A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517034(P2007−517034)
【出願日】平成17年3月12日(2005.3.12)
【国際出願番号】PCT/EP2005/005133
【国際公開番号】WO2005/110206
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(597162400)デュール デンタル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト (2)
【Fターム(参考)】