説明

医療用レーザ装置

【課題】 多波長の可視レーザ光を高出力でコスト的に有利に得えられる医療用レーザ装置を提供する。
【解決手段】 レーザ光を選択的に照射する医療用レーザ装置において、赤外波長λpのレーザ光源と、レーザ光を誘導ラマン散乱で異なる波長にシフトし、λpと異なる第1波長λ1のレーザ光の共振器を規定する第1FBG及び第2波長λ2のレーザ光の共振器を規定する第2FBGが形成されるラマンファイバと、各FBGの反射特性可変手段と、λ1をλs1に、λ2をλs2のレーザ光に変換する各波長変換素子と、変換後のレーザ光の導光光学系と、レーザ光の波長選択手段と、λs1選択時、第1FBGがλ1の共振器を規定し第2FBGがλ2の共振器を規定せず、λs2選択時、第2FBGがλ2の共振器を規定し第1FBGがλ1の共振器を規定しないように反射特性可変手段を制御する制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の患部に複数の可視レーザ光を選択的に照射して治療を行う医療用のレーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野においては治療に応じた波長のレーザ光が選択的に使用される。眼の光凝固治療における波長としては、一般的な緑色の波長の他、少ないパワーで凝固効率の良い黄色・オレンジ色の波長が好ましい波長として使用されている。眼底に出血がある場合や、眼底に至る透光体に混濁がある場合には、赤色の波長が効果的に使用されている。
【0003】
従来、可視域の多色の治療レーザ光を選択的に出射可能な、眼科治療用のレーザとしては、クリプトン、Nd:YAGレーザの第2高調波が使用されている。クリプトンからは約520nm、530nm の緑色、約568nmの黄色、及び約647nmの赤色のレーザ光が得られる(例えば、特許文献1参照)。Nd:YAGレーザの第2高調波では、約532nmの緑色、約561nmの黄色、及び約659nmの赤色のレーザ光が得られる(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、従来光通信システムの分野で用いられるラマンファイバを利用し、可視のレーザ光を得るものが提案されている(特許文献3参照)。ラマンファイバレーザでは、非線形媒体の光ファイバに高出力の励起光を入射することにより、誘導ラマン散乱効果によって入射光とは異なる長波長のレーザ光を取り出し、その第2高調波を得ることで、医療用の可視レーザ光を得ている。
【特許文献1】特開2002−136539号公報
【特許文献2】特開2002−151774号公報
【特許文献3】特開2004−321507号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、医療用として従来使用されていた多色レーザを出射可能なクリプトンのレーザ装置は、レーザチューブが短寿命であること、大きな消費電力を必要とすること、装置が大型化することなどの問題が大きかった。Nd:YAGレーザを使用した多波長の固体レーザ装置は、こうした問題が軽減されるが、時間的な熱の影響によりビームの品質が悪く、安定性も悪いという問題がある。
【0006】
一方、特許文献3においては、波長の異なる多色の可視レーザ光を選択的に得るために、それぞれの波長に応じたファイバ・ブラッグ・グレーティングが形成されたラマンファイバを複数使用している。しかし、高出力の可視レーザ光を得るために、高価なラマンファイバを複数使用することは、コスト的に不利である。また、波長の異なる多色の可視レーザ光を得るために、励起レーザ光源として多波長の出射可能なファーバレーザ光源を使用することが考えられるが、多波長の出射可能なファーバレーザ光源はコスト的に高価である。
【0007】
本発明は、従来技術の問題に鑑み、治療に適した多波長の可視レーザ光を、高出力でコスト的に有利に得ることが可能な医療用レーザ装置を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) 患者の患部に複数の可視波長のレーザ光を選択的に照射して治療を行う医療用レーザ装置において、赤外波長λpの励起レーザ光を出射する励起レーザ光源と、該励起レーザ光源から入力されたレーザ光を誘導ラマン散乱により異なる波長にシフトするラマンファイバであって、励起波長λpと異なる第1波長λ1のレーザ光を発振するための共振器を規定する一対の第1ファイバ・ブラッグ・グレーティング(以下、第1FBG)が形成されていると共に、第2波長λ2のレーザ光を発振するための共振器を規定する一対の第2ファイバ・ブラッグ・グレーティング(以下、第2FBG)が形成されているラマンファイバと、前記第1FBG及び第2FBGの反射特性を変化させる反射特性可変手段と、前記ラマンファイバから出射された第1波長λ1のレーザ光をその第2高調波λs1に変換する第1波長変換素子と、前記ラマンファイバから出射された第2波長λ2のレーザ光をその第2高調波λs2に変換する第2波長変換素子と、前記第1波長変換素子及び第2波長変換素子により波長変換されたレーザ光を患者の組織に導光する導光光学系と、患者に照射するレーザ光の波長を選択する波長選択手段と、該波長選択手段により波長λs1が選択されたときに、前記第1FBGが第1波長λ1に対するレーザ発振の共振器を規定する共に前記第2FBGが波長λ2に対してレーザ発振の共振器を規定しないように前記反射特性可変手段を制御し、波長λs2が選択されたときに前記第2FBGが波長λ2に対してレーザ発振の共振器を規定すると共に前記第1FBGが第1波長λ1に対するレーザ発振の共振器を規定しないように前記反射特性可変手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
(2) (1)の医療用レーザ装置において、前記波長選択手段により波長λs2が選択されたときは、前記制御手段は、前記第1FBGが励起波長λpによりシフトされる第1波長λ1を閉じ込めるように共振器を規定し、前記第2FBGが第1波長λ1によりさらにシフトされる第2波長λ2に対してレーザ発振のための共振器を規定するように前記反射特性可変手段を制御することを特徴とする。
(3) (1)の医療用レーザ装置において、前記波長選択手段により波長λs2が選択されたときは、前記制御手段は、前記第2FBGが励起波長λpの入力によりシフトされる第2波長λ2に対してレーザ発振のための共振器を規定するように前記反射特性可変手段を制御することを特徴とする。
(4) (1)の医療用レーザ装置において、さらに、前記赤外波長λpのレーザ光をその第2高調波λs3に変換する第3波長変換素子を備え、前記制御手段は、前記波長選択手段により波長λs3が選択されたときは、前記第1FBG及び第2FBGがそれぞれ第1波長λ1及び第2波長λ2に対してレーザ発振の共振器を規定しないように前記反射特性可変手段を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、治療に適した多波長のレーザ光を、高出力でコスト的に有利に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の第1の実施形態に係る医療用レーザ装置の構成を示す図である。
【0011】
図1において、100はレーザ光を出射する可視レーザヘッドである。可視レーザヘッド100には赤外レーザ光を発する励起レーザ光源1が配置されている。レーザ光源1は、例えばレーザダイオードポンプがYbのドープされたファイバに接続されることによって作製されるYbファイバレーザからなる波長固定の単一レーザ光源である。レーザ光源1から出射されるレーザ光の波長は、赤外域にある単一波長のものとする。レーザ光源1は制御ユニット30に接続され、レーザ光源1の出射制御や出力値の制御がされる。
【0012】
20はラマンファイバであり、シリカ(二酸化ケイ素:SiO2)をベースとしてコア部分に二酸化ゲルマニウム(GeO2)がドープされた非線形用の光ファイバ2を備える。光ファイバ2のコア径は6μmで、長さが400m以上である。なお、光ファイバ2はPMファイバ(Polarization Maintaining Fiber)であり、入射光の直線偏光を保持する機能を持っている。また、レーザ光源1に使われているファイバもPMファイバである。このときのレーザ光源1より出射される励起レーザ光の波長はλp=1120nmとする。
【0013】
ラマンファイバ20には、入射光(励起レーザ光)の波長λp=1120nmを誘導ラマン散乱により波長λ1=1180nmにシフトさせるための一対のFBG(ファイバ・ブラッグ・グレーティング:Fiber Bragg Grating)3a,3bと、波長λ1=1180nmを波長λ2=1240nmにシフトさせるための一対のFBG4a,4bが形成(作製)されている。FBG3aを波長λ1=1180nmに対して高反射(99%以上反射)とし、FBG3bを波長1180nmに対して一部透過(反射率85%程度)とすることで、ラマン散乱された波長1180nmのストークス光を増幅する共振器を規定することにより、波長λ1=1180nmのレーザ光を出力側のFBG3bから出射させることができる。
【0014】
一方、FBG4aを波長λ2=1240nmに対して高反射(99%以上反射)とし、FBG4bを波長λ2=1240nmに対して一部透過(反射率85%程度)とすることで、ラマン散乱された波長λ2=1240nmのストークス光を増幅する共振器を規定することにより、波長1240nmのレーザ光を出力側のFBG4bから出射させることができる。
【0015】
5a、5b、6は調節ユニットであり、FBG3a、4aの所定の波長に対する反射率(透過率)を調節(変化)させる反射特性可変手段である。その原理は、FBGに加わえる圧力や熱を調節することで、光ファイバ内に作り込んだグレーティング(格子)のサイズ(周期)や屈折率が変わる現象を利用し、所定の波長に対する反射率を変えることに基づいている。特定の波長に対して高い反射率を持つFBGに加える圧力や熱を変化させると、反射率のピークがシフトする。これによって、FBGの反射率を変化させることができる。FBG3a、4aは特定の波長に高い反射率を持つように作製されているため、調節ユニット5a及び6がそれぞれ反射率を低下させることにより、対となるFBGでレーザ発振のための共振構造を形成しないようにできる。例えば、調節ユニット5aはFBG3aに作用し、図5(a)に示すλ1=1180nmに対する高反射率の特性を、図5(b)に示すように、λ1=1180nmに対してほ低反射率の特性(ほとんど反射させない特性)に変化させることによって、本来FBG3a、3bで規定するλ1=1180nmの共振器を構成させない。それにより、λ1=1180nmのレーザ光は増幅されず、ラマンファイバ20から出射されない。調節ユニット6の場合は、λ2=1240nmに高い反謝率を持つFBG4aを低反射率の特性に変化させる。また、調節ユニット5bが、波長λ1=1180nmのレーザ光を一部透過するよう作製されているFBG4bの反射率を、高反射率に調節することで、FBG3a、3bの間に特定の波長のレーザ光を閉じ込めることができる。例えば、FBG3bのλ1=1180nmに対して85%程度である反射率をシフトさせることにより、λ1=1180nmに対して99%程度の反射率にさせる。ここでは、特定波長に対し反射率のピークを形成する山の頂上付近で、λ1=1180nmに対し85%程度反射率を持たせる。そして、調整によって、反射率のピークをλ1=1180nmにシフトさせることで、λ1の反射率を99%以上にすることができる。このような調節を利用し、レーザ光を選択的に得る方法についての詳細は後述する。このような調節ユニット5a、5b、6は制御ユニット30に接続される。
【0016】
ラマンファイバ20の出射端には、集光レンズ7、QPMグレーティングユニット8(Quasi Phase Matching Grating Unit)が配置されている。QPMグレーティングユニット8は、非線形結晶を規則的に並べることで入力されたレーザ光をその第2高調波に変換するSHG(Second Harmonic Generation)素子(波長変換素子)を数種類合わせたものである。本実施例では3つのQPMグレーティングからなるSHG素子8a,8b,8cを合わせたものを用いている。SHG素子8a,8b,8cを構成する各QPMグレーティングでは、入力された赤外域のレーザ光をそれぞれの波長に対応させて特異的な非線形結晶の並べ方をさせたグレーティングを通過させることによって、各基本波を可視光域への第2高調波へ変換する。本実施例では、SHG素子8aは波長λ1=1180nmを波長λs1=590nm(オレンジ色)へと変換し、SHG素子8bは波長λ2=1240nmを波長λs2=620nm(赤色)へと変換し、SHG素子8cは波長λp=1120nmを波長λs3=560nm(黄色)へと変換する。QPMグレーティングユニット8は、駆動ユニット9により移動され、各SHG素子8a,8b,8cが選択的にレーザ光の光路に配置される。QPMグレーティングユニット8のSHG素子の選択はギヤやベルトによるユニットのスライド等で実現される。駆動ユニット9は制御ユニット30に接続される。
【0017】
制御ユニット30には操作ユニット31が接続されている。操作ユニット31は、治療用の可視レーザ光を選択するための波長選択スイッチ、治療レーザ光の出力を調整する出力スイッチ等を持つ。制御ユニット30は、波長選択スイッチによる波長選択信号に基づいて調節ユニット5a、5b、6を制御してラマンファイバ20より出射される赤外レーザ光の波長を選択する。また、制御ユニット30は駆動ユニット9を駆動して、調節ユニット5a、5b、6の波長選択に応じたSHG素子8a,8b,8cの何れかを光路に配置する。制御ユニット30は、出力スイッチによる出力調整信号に基づいてレーザ光源1の出射制御や出力値の制御を行う。
【0018】
次に、ラマンファイバ20による波長シフトについて説明する。図2は、Si02をベースにGeO2がドープされた光ファイバ2の誘導ラマン散乱特性を示す図である。図2に示すように、Si02・GeO2のファイバでは、ラマンシフト約455cm-1を含む約300〜500cm-1の範囲で、誘導ラマン散乱の高いラマン利得が現れている。
【0019】
従って、Si02・GeO2のラマンファイバでは、波長λp=1120nmの励起光を入射させたとき、一対のFBG3a,3bにより波長λ1=1180nmに対する共振器を構成することにより、455cm-1のラマン利得が得られ、波長λ1=1180nmの誘導ラマン散乱が得られる。すなわち、
8928cm-1(1120nm)−454cm-1→8474cm-1(1180nm)
となり、波長λ1=1180nmのストークス光が発生する。
【0020】
一方、波長λ1=1180nmのストークス光が発生した場合、波長λ2=1240nmに対して共振器を構成する一対のFBG4a,4bによる誘導ラマン散乱を考えると、
8474cm-1(1180nm)−410cm-1→8064cm-1(1240nm)
となり、波長λ2=1240nmの2次のストークス光が発生する。
【0021】
このとき、ラマンファイバ20からは、共振された波長(λ1=1180nm及びλ2=1240nm)のレーザ光が出射される。そのため、前述した調節ユニット5a、5b、6でレーザ光の共振を制御し、ラマンファイバ20から出射されるレーザ光を選択する。
【0022】
ここで、波長λ1=1180nmのレーザ光をラマンファイバ20から出射させる場合を考える。波長λp=1120nmのレーザ光がレーザ光源1よりラマンファイバに入力されると、前述のラマンシフトにより波長λp=1120nmの一部がλ1=1180nmへとシフトする。λ1=1180nmのレーザ光はFBG3a、3bにより増幅される。このとき、増幅されたλ1=1180nmのレーザ光の一部は、さらにλ2=1240nmへと波長シフトされる。このままでは、FBG4a、4bによりλ2=1240nmの増幅が起こってしまう。このため、波長λs1=590nm(すなわちλ1=1180nm)の選択信号による制御ユニット30の指令信号に基づいて、調節ユニット6はFBG4aのλ2=1240nmに対する高い反射率を低下させ、FBG4a、4b間で発振器を規定させないようにする。これにより、λ1=1180nmがFBG4a、4bによりさらにλ2=1240nmにラマンシフトされることが無いため、FBG3a,3bにより増幅されたλ1=1180nmのレーザ光が高出力でラマンファイバ20から出射される。
【0023】
次に、λ2=1240nmのレーザ光をラマンファイバ20より出射させる場合を考える。前述のように、レーザ光源1からλp=1120nmのレーザ光がラマンファイバ20に入射されると、FBG3a、3bにより、λ1=1180nmのレーザ光が増幅される。λ1=1180nmのレーザ光は、増幅に伴い、その一部がλ2=1240nmへと波長シフトする。このλ2のレーザ光をFBG4a、4bで共振させ、増幅することで、λ2=1240nmのレーザ光を得る。このとき、FBG3bはλ1=1180nmのレーザ光を一部透過させるため、FBG3a、3bでλ1=1180nmのレーザ光が出射されてしまう。また、λ1からλ2への波長シフトの効率が低下してしまう。このため、調節ユニット5bは、波長λs2=620nm(すなわちλ2=1240nm)の選択信号による制御ユニット30の指令信号に基づいて、λ1=1180nmに対して一部透過であるFBG3bを高反射に変化させ、FBG3a、3bの間で、λ1=1180nmのレーザ光を閉じ込める。この閉じ込めにより、λ1=1180nmのレーザ光はλ2=1240nmへと効率的に波長シフトされる。波長シフトされたλ2=1240nmのレーザ光はFBG3a、3bを通過し、FBG4a、4bの間で共振、増幅される。これにより、λ2=1240nmのレーザ光をラマンファイバ20から高出力で出射させることができる。
【0024】
次に、レーザ光源1の励起レーザ光であるλp=1120nmのレーザ光をラマンファイバ20から出射させる場合を考える。前述したように、λp=1120nmのレーザ光がラマンファイバ20に入射されると、波長がλ1=1180nmへとシフトされる。波長シフトが起こると、λ1のレーザ光は、FBG3a、3bで共振、増幅されてしまう。このため、調節ユニット5aは、波長λs3=560nm(すなわちλ3=1120nm)の選択信号による制御ユニット30の指令信号に基づいて、FBG3aのλ1=1180nmに対する反射率を低下させ、FBG3a、3bで共振器を形成しないようにする。このとき、FBG4a、4bでは、波長1240nmに対して共振器を形成しているが、ラマンファイバ20はλp=1120nmのレーザ光を波長1240nmに波長シフトさせるに充分なラマン利得を持っていない。このため、FBG4a、4bではレーザ光の発振、増幅が起こらない。このようにして、λp=1120nmのレーザ光がラマンファイバ20から高出力で出射される。
【0025】
以上のようにして、得られた赤外レーザ光は、集光レンズ7にてQPMグレーティング8に入射される。駆動ユニット9は制御ユニット30の指令信号に基づいて、所定のレーザ光の第2高調波を得るため、SHG素子8a〜8cの内、波長選択により指定されたいずれかを光路上に挿入する。赤外レーザ光は第2高調波に変換され、QPMグレーティング8より可視レーザ光が出射され、可視レーザヘッド100より出射される。
【0026】
可視レーザヘッド100から出射した可視のレーザ光は、集光レンズ50、ミラー57、導光用のファイバ51を経て、デリバリ光学系52に入射する。このとき、レーザ光の一部(数%)はミラー57により反射され、センサ58へと入射する。センサ58は制御ユニット30と接続されており、入射される可視レーザ光の一部からその出力を検出する働きを持つ。センサ58はレーザ光の出射中、リアルタイムにレーザ光の出力をモニタする。制御ユニット30は、操作ユニット31で指定されたレーザ光の出力とセンサ58で計測した出力を比較し、異常を検知した場合にはレーザ光の出射を停止する。デリバリ光学系52は、リレーレンズ53、レーザ光のスポットサイズを変更するためのズームレンズ54、対物レンズ55、レーザ光を患者眼Eに向けて反射するミラー56を備える。デリバリ光学系52はスリットランプ60が持つ双眼の顕微鏡部61に取り付けられている。また、患者眼Eはスリットランプ60が備える照明部62により照明される。光凝固治療では、デリバリ光学系52により導光さされたレーザ光は、コンタクトレンズ65を介して患者眼Eの眼底に照射される。
【0027】
なお、本実施形態では図示を略したが、レーザヘッド100から出射されたレーザ光の内、QPMグレーティング8にて波長変換されなかった赤外レーザ光をダンパする構成とする。例えば、集光レンズ50とファイバ51の間に赤外を反射するダイクロイックミラーを配置する。ダイクロイックミラーにより、可視レーザ光をファイバ51へと入射させ、赤外レーザ光を反射させる。反射した先にダンパを配置し、赤外レーザ光のエネルギーを吸収させる。このような構成に限らず、QPMグレーティングの後に赤外吸収フィルタを配置して、可視レーザ光をデリバリ光学系52へと導く構成としてもよい。
【0028】
また、本実施形態では図示を略したが、治療レーザ光をファイバ51に入射させる手前に、制御ユニット30によって電磁的に光路上に挿脱されるシャッタ(図示を略す)を設ける。シャッタは光路の挿入されることで、レーザ光を遮断する。可視レーザ光の出力モニタ時、制御ユニット30は、シャッタを光路上に挿入し、レーザ光がデリバリ光学系52から出射しないようにする。その状態で、レーザ光の出力がセンサ58で計測される。制御ユニット30は、センサ58で計測したレーザ光の出力と操作ユニット31に入力された出力値とを比較する。制御ユニット30は、異常を検出した場合には、シャッタを閉じたままとし、エラーを術者に報知する。異常がない場合には、被検眼へのレーザ光の出射に備えて、シャッタを開ける。
【0029】
以上説明したように、ラマンファイバに複数の対となるFBGを作製し、単一波長のレーザ光を入射しても、それぞれのFBGの反射率を調節することで、それぞれのFBGで規定する波長のレーザ光が高出力で得られる。このような簡単な構成で、赤色、オレンジ色のレーザ光の基本波を得ることができ、コスト的に有利となる。さらに、黄色色のレーザ光を得るための基本波レーザ光についても、FBGの影響を受けないようにすることで、3色のレーザ光を高出力で得ることができる。また、ラマンファイバを使用したレーザ光の多色化は、固体レーザ装置に比べてビーム品質・安定性に優れている利点を持っている。
【0030】
図3は、本発明の第2の実施形態であるレーザ装置の構成を示す概略図である。レーザヘッド101の内部構成が第1の実施形態と異なる。デリバリ光学系52やスリットランプ60の構成は前述の実施形態と同じである。11は単一波長の励起用レーザ光源で、第2の実施形態ではλp=1070nmのレーザ光を出射する。200は、Si02をベースにP25がドープされた光ファイバ12にFBGが形成されてたラマンファイバである。13a、13b、14a、14b、15a、15bはそれぞれがFBGであり、第1実施形態のFBGと同様にファイバ12上に形成されている。FBG13a、13bは、波長λ1=1120nmに対してレーザ発振のための共振器を規定するよう形成されており、同様に、FBG14a、14bは波長λ2=1180nmに、FBG15a、15bは波長λ3=1246nmに対してレーザ発振のための共振器を規定するように形成されている。すなわち、FBG13a、14a、15aはそれぞれレーザ発振させる波長に対して高反射で形成され、FBG13b、14b、15bはそれぞれレーザ発振させる波長に対して一部透過で形成される。19は集光レンズである。40はQPMグレーティングで、40a〜40dのSHG素子が作り込まれている。QPMグレーティング40は第1の実施形態と同様に、波長変換の際、SHG素子40a〜40dのいずれかが光路上に配置される。SHG素子40aはλ1=1120nmを波長λs1=560nm(黄色)へと変換し、SHG素子40bはλ2=1180nmを波長λs2=590nm(オレンジ色)へと変換し、SHG素子40cはλ3=1246nmを波長λs3=623nm(赤色)へと変換し、SHG素子40dはλp=1070nmを波長λs4=535nm(緑色)へと変換する。この配置には、駆動ユニット41によって行われる。16a、16b、17、18は調節ユニットであり、それぞれに対応するFBGの反射率を調節する。駆動ユニット41及び調節ユニット16a、16b、17、18は制御ユニット30へと接続される。
【0031】
図4は、Si02をベースにP25がドープされた光ファイバ2の誘導ラマン散乱特性を示す図である。図4に示すように、Si02・P25のファイバでは、ラマンシフト約1325cm-1を含む約1305〜1355cm-1の範囲と、約454cm-1を含む約50〜560cm-1の範囲で、誘導ラマン散乱の高いラマン利得が現れている。
【0032】
従って、Si02・P25のラマンファイバでは、波長λp=1070nmの励起光を入射させたとき、一対のFBG13a,13bにより波長λ1=1120nmに対する共振器を構成することにより、418cm-1のラマン利得が得られ、波長λ1=1120nmの誘導ラマン散乱が得られる。すなわち、
9346cm-1(1070nm)−418cm-1→8928cm-1(1120nm)
となり、波長λ1=1120nmのストークス光が発生する。
【0033】
前述の場合と同様に、波長λ1=1120nmを波長λ2=1180nmに対して共振器を構成する一対のFBG14a,14bによる誘導ラマン散乱を考えると、
8928cm-1(1120nm)−455cm-1→8474cm-1(1180nm)
となり、波長λ2=1180nmの2次のストークス光が発生する。
【0034】
波長λ2=1180nmを波長λ3=1246nmに対して共振器を構成する一対のFBG15a、15bによる誘導ラマン散乱を考えると、
8474cm-1(1180nm)−448cm-1→8026cm-1(1246nm)
となり、波長λ3=1246nmの3次のストークス光が発生する。
【0035】
なお、Si02・P25のラマンファイバでは、波長λp=1070nmの励起光を入射させたとき、波長λ3=1246nmに対して共振器を構成する一対のFBG15a,15bにより1320cm-1でラマン利得が得られ、波長λ3=1246nmの誘導ラマン散乱が得られる。すなわち、
9346cm-1(1070nm)−1320cm-1→8026cm-1(1246nm)
となり、波長λ3=1246nmの1次ストークス光が発生する。
【0036】
また、励起光の波長λp=1070nmがラマンファイバ200に入射し、いずれのFBGでも共振されな場合を考えると、λp=1070nmがファイバ200より出射される。
【0037】
このように、ラマンファイバ200を用いて、単一波長λp=1070nmの光源から4つの波長のレーザ光が取り出せる。しかしながら、前述の実施形態と同様にそれぞれのFBGの反射率を調節して、効率的に所定の波長のレーザ光を得ることが好ましい。以下に、FBGの調節について説明する。この説明は前述の実施形態と同様の原理に基づいて行われる。
【0038】
波長λ1=1120nmのレーザ光をラマンファイバ200から出射させる場合を考える。レーザ光源11の波長λp=1070nmが入射された時に、調節ユニット17、18は、波長選択による制御ユニット30の指令信号に基づいて、FBG14a、15aの各々λ2=1180nm、λ3=1246nmに対する反射率を変化(低下)させ、FBG14a,14bの間でλ2=1180nmに対する共振器を規定させないと共に、FBG15a,15bの間でλ3=1246nmに対する共振器を規定させないようにする。これにより、FBG13a,13bでの共振、増幅が起こり、ラマンファイバ200から波長λ1=1120nmのレーザ光が高出力で出射される。
【0039】
次に、波長λ2=1180nmをラマンファイバ200から出射させる場合を考える。波長シフトによって得られた波長λ1=1120nmのレーザ光を、さらに波長シフトするために、調節ユニット16bは、波長選択による制御ユニット30の指令信号に基づいて、FBG13bのλ1=1120nmに対する反射率を高く(99%以上)する。これにより、FBG13a,13bの間で、波長λ1120nmのレーザ光が閉じ込められ、そのレーザ光の一部が波長λ2=1180nmへとシフトされる。このときに、FBG15a、15bの間で波長λ3=1246nmに対する共振器を規定させないように、調節ユニット18は波長選択による制御ユニット30の指令信号に基づいて、FBG15aのλ3=1246nmに対する高い反射率(99%以上)を低くさせる。これにより、ラマンファイバ200で波長λ3=1246nmが共振、増幅されて出射されることがない。ラマンファイバ20からは波長λ2=1180nmが高出力で出射される。
【0040】
次に、波長λ3=1246nmのレーザ光をラマンファイバ200から出射させる場合を考える。この場合、FBG15a、15bで波長λ3=1246nmのレーザ光を共振、増幅させる。このとき、他の波長のレーザ光を共振させないために、調節ユニット16aは、制御ユニット30の指令信号に基づいて、FBG13aのλ1=1120nmに対する反射率を変化(低下)させる。これにより、波長λ1=1120nmのレーザ光の共振を阻止する。それに伴い、波長λ2=1180nmのレーザ光の共振も阻止することとなる。このようにして、波長λ3=1246nmのレーザ光がラマンファイバ200より出射される。なお、波長λ3=1246nmのレーザ光をラマンファイバ200から出射させる場合は、効率の観点から、前述した励起光λp=1070nmからの3次ストークス光を利用しない。
【0041】
次に、ラマンファイバ200よりレーザ光源11の励起光である波長λp=1070nmのレーザ光を出射させる場合を考える。この波長は励起光であるため、ラマンファイバ200のいずれのFBGが波長λ1=1120nm、波長λ2=1180nm及び波長λ3=1246nmに対して共振しないようにする。すなわち、調節ユニット16a、18aはFBG13a、15aの各々λ1=1120nm、λ3=1246nmに対する反射率を変化(低下)させる。これにより、励起光は共振を受けず、波長λp=1070nmのまま、ラマンファイバ200より出射される。
【0042】
このようにして、可視レーザ光の基本波をラマンファイバ200よりそれぞれ選択的に出射させる。このレーザ光をQPMグレーティング40により、それぞれの第2高調波に波長変換し、可視レーザ光としてレーザヘッド101より出射される。駆動ユニット41は、制御ユニット30の指令信号に基づいてQPMグレーティング40を動かし、SHG素子40a〜40dのいずれかを光路上に挿入して、所定の可視レーザ光を得る。可視レーザ光に変換した後は、レーザ光を前述のデイリバリ光学系52へと導く。この説明は前述と同様のため割愛する。
【0043】
以上説明したように、4種類の波長(赤色、オレンジ色、黄色、緑色)のレーザ光を選択的に得ることができる。選択的に得た波長に対応するSHG素子40a〜40dのいずれかを、光路上に挿入することにより、治療応じてに好適な波長の可視レーザ光を得ることができる。
【0044】
以上説明したように、一つのラマンファイバに波長シフトするFBGを複数設けることによって、単一波長のレーザ光源であっても、選択的に複数の波長のレーザ光がそれぞれ得られる。以上説明した本実施形態は2つの例であって、本発明がこれに限定されるものではない。所望の波長のレーザ光を得るためには、ラマン利得が得られる波長であれば、その波長を共振させるFBGを配置すればよい。また、ラマン利得が得られない波長のレーザ光が得たければ、FBGの対を複数配置し、ラマン利得が得られる波長シフトを多段にて繰り返せばよい。また、それに伴い、FBG同士での干渉を防ぐために、FBG対での共振を妨げるように、それぞれのFBGの反射率を調整する。このような原理、構成によって、所望する可視レーザ光の基本波が選択的に高出力で得られ、コスト的に有利な医療用のレーザ装置ができる。
【0045】
なお、本実施形態では、共振器を規定する対となるFBGを形成し、特定の波長を共振させない場合には、FBGの高反射側の特定波長に対する反射率を変化させたが、これに限るものではない。出力側であるFBGの一部透過側の特定波長に対する反射率を変化させてもよい。また、対となるFBGの両方の反射率を、特定波長に対して共振器を規定しないように変化させてもよい。また、本実施形態では、対となる各FBGで規定する共振器は特定の波長に対するものであったが、これに限るものではない。対となるFBGにそれぞれ調節ユニットを設ける構成としていもよい。各FBGで規定されている特定波長に対する反射特性を、対となるFBG間で関連付けてシフトさせることにより、FBG形成時に規定された波長以外の共振器を規定することができる。例えば、1180nmに対して高反射、一部透過で共振器を規定するよう作製されたFBGを考える。調節ユニットによりそれぞれのFBGの反射率を共に1190nmに対して高反射、一部透過にシフトさせることで、1190nmの共振器を得ることができる。
【0046】
なお、本実施形態では、所望する各波長に対して共振器を規定する対となるFBGを用意したが、これに限るものではない。例えば、全反射ミラーに相当する各FBGの代わりに、高反射率を波長バンド幅が広い範囲、例えば、100〜200nmで持っているFBGに置き換える。全反射用のFBGと出力用のFBGの間にカプラを作製し、そのカプラに励起レーザ光源の出射端のファイバを接続する。この出射用のファイバは偏光方向によって、出射したレーザ光がレーザ光源に戻っていないようになっている。出力用のFBGにはそれぞれ反射特性を調節する調節ユニットを設置する。このような構成にすることによって、全反射用のFBGを各波長毎に用意する必要がない。このとき、前述の実施形態のように、特定波長を得るために必要な共振器は規定させ、不必要な共振器は規定させないように、調節ユニットにより各FBGの反射率をシフトさせる。共振器を規定しない各FBGの反射率のシフト量は、励起レーザ光の波長とラマンファイバのラマン利得により算出する。このような構成にすることによって、FBGが少なくても複数の波長のレーザ光を選択的に得ることができる。また、特定波長に反射率を持つ出力用のFBGの反射率を調節ユニットでシフト(変更)することで、特定波長の前後の波長に対しても共振器を規定し、その波長のレーザ光を得ることができる。
【0047】
また、ファイバに、特定波長に対し広いバンド幅、例えば、10〜20nmの高反射率を持つFBGをそれぞれ作製し、特定波長に対して狭いバンド幅、例えば0.5nmで一部透過の反射率を持つ出力用のFBGを作製する。出力用のFBGにはそれぞれ調節ユニットを設置する。調節ユニットにより出力用のFBGの反射率をシフトさせ、所望の波長のレーザ光に対し共振器を規定させる。これにより、特定波長から±数nmシフトしたレーザ光を得ることができる。このような構成により、所望のレーザ光の波長を微調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】第1の実施形態に係る医療用レーザ装置の構成を示す図である。
【図2】Si02をベースにGeO2がドープされた光ファイバ2の誘導ラマン散乱特性を示す図である。
【図3】第2の実施形態に係るレーザ装置の構成を示す図である。
【図4】Si02をベースにP25がドープされた光ファイバ2の誘導ラマン散乱特性を示す図である。
【図5】FBGの反射特性を変化させる原理を説明する図である。
【符号の説明】
【0049】
1、11 レーザ光源
2、20 光ファイバ
3a,3b,4a,4b、13a、13b、14a、14b、15a、15b FBG
5a,5b、6、16a、16b、17、18 調節ユニット
8、40 QPMグレーティングユニット
8a,8b,8c、40a、40b、40c、40d SHG素子
9、41 駆動ユニット
20、200 ラマンファイバ
30 制御部
31 操作ユニット
52 デリバリ光学系
60 スリットランプ
100,101 可視レーザヘッド


【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の患部に複数の可視波長のレーザ光を選択的に照射して治療を行う医療用レーザ装置において、赤外波長λpの励起レーザ光を出射する励起レーザ光源と、該励起レーザ光源から入力されたレーザ光を誘導ラマン散乱により異なる波長にシフトするラマンファイバであって、励起波長λpと異なる第1波長λ1のレーザ光を発振するための共振器を規定する一対の第1ファイバ・ブラッグ・グレーティング(以下、第1FBG)が形成されていると共に、第2波長λ2のレーザ光を発振するための共振器を規定する一対の第2ファイバ・ブラッグ・グレーティング(以下、第2FBG)が形成されているラマンファイバと、前記第1FBG及び第2FBGの反射特性を変化させる反射特性可変手段と、前記ラマンファイバから出射された第1波長λ1のレーザ光をその第2高調波λs1に変換する第1波長変換素子と、前記ラマンファイバから出射された第2波長λ2のレーザ光をその第2高調波λs2に変換する第2波長変換素子と、前記第1波長変換素子及び第2波長変換素子により波長変換されたレーザ光を患者の組織に導光する導光光学系と、患者に照射するレーザ光の波長を選択する波長選択手段と、該波長選択手段により波長λs1が選択されたときに、前記第1FBGが第1波長λ1に対するレーザ発振の共振器を規定する共に前記第2FBGが波長λ2に対してレーザ発振の共振器を規定しないように前記反射特性可変手段を制御し、波長λs2が選択されたときに前記第2FBGが波長λ2に対してレーザ発振の共振器を規定すると共に前記第1FBGが第1波長λ1に対するレーザ発振の共振器を規定しないように前記反射特性可変手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする医療用レーザ装置。
【請求項2】
請求項1の医療用レーザ装置において、前記波長選択手段により波長λs2が選択されたときは、前記制御手段は、前記第1FBGが励起波長λpによりシフトされる第1波長λ1を閉じ込めるように共振器を規定し、前記第2FBGが第1波長λ1によりさらにシフトされる第2波長λ2に対してレーザ発振のための共振器を規定するように前記反射特性可変手段を制御することを特徴とする医療用レーザ装置。
【請求項3】
請求項1の医療用レーザ装置において、前記波長選択手段により波長λs2が選択されたときは、前記制御手段は、前記第2FBGが励起波長λpの入力によりシフトされる第2波長λ2に対してレーザ発振のための共振器を規定するように前記反射特性可変手段を制御することを特徴とする医療用レーザ装置。
【請求項4】
請求項1の医療用レーザ装置において、さらに、前記赤外波長λpのレーザ光をその第2高調波λs3に変換する第3波長変換素子を備え、前記制御手段は、前記波長選択手段により波長λs3が選択されたときは、前記第1FBG及び第2FBGがそれぞれ第1波長λ1及び第2波長λ2に対してレーザ発振の共振器を規定しないように前記反射特性可変手段を制御することを特徴とする医療用レーザ装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−117511(P2007−117511A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−315450(P2005−315450)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【出願人】(000135184)株式会社ニデック (745)
【Fターム(参考)】