説明

医療用物品と共に使用するためのポリ(ヒドロキシアルカン酸エステル−co−エステルアミド)及び薬剤

医療用物品と共に使用するための、ポリ(ヒドロキシアルカン酸エステル−co−エステルアミド)及び薬剤を含むポリマーが、これらのポリマーを含む医療用物品の作製方法と一緒に開示される。医療用物品は、一般に、ポリ(ヒドロキシアルカン酸エステル−co−エステルアミド)を含む被覆を有する埋め込み可能な基材を含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
[0001]本発明は、医療用物品と共に使用するためのポリマー、より具体的にはポリ(ヒドロキシアルカン酸エステル−co−エステルアミド)のコポリマーを対象とする。
【0002】
[従来技術の説明]
[0002]生体材料の研究における最近のパラダイムは、インプラント表面へのタンパク質吸着の制御である。インプラント表面への制御のきかないタンパク質吸着は、最近の生体材料の埋め込みに伴う1つの問題であり、インプラント表面における部分変性タンパク質の混合層に繋がる。部分変性タンパク質からなるこの混合層は、例えば、フィブリノーゲン及び免疫グロブリンGなどの吸着血漿タンパク質から細胞結合部位を提供することによって疾患に繋がる。血小板、及び例えば単球、マクロファージ及び好中球などの炎症性細胞は、細胞結合部位に接着する。広範な種類の炎症誘発及び増殖因子が分泌され、疾患状態に至る場合がある。従って、部分変性タンパク質のこの層で汚染されていないか、又はほとんど汚染されていない表面である非汚染性表面が望ましい。
【0003】
[0003]ステントは、非汚染性表面から利益を得ることのできるインプラントの一例である。ステントは、薬学上の有効薬剤を送達するための輸送手段として使用できる機械的介入物である。機械的介入物として、ステントは、物理的に開いたままであり、所望なら、対象内の通路を拡張できる。典型的には、ステントを、圧縮し、カテーテルを通して狭い血管の中に挿入し、次いで、適当な場所に配置したら大きな直径に拡大できる。ステントを開示している特許の例には、米国特許第4,733,665号、4,800,882号、及び4,886,062号明細書が含まれる。
【0004】
[0004]ステントは、例えば、心疾患を治療するのに使用される処置である経皮的冠動脈形成術(PTCA)などの各種医療処置で重要な役割を演じる。PTCAでは、バルーンカテーテルを、上腕又は大腿動脈を通して挿入し、冠状動脈閉塞部を貫いて配置し、膨張させてアテローム硬化性プラークを圧縮し冠状動脈の内腔を開口し、バルーンを収縮させて引き抜く。PTCAに付随する問題には、脈管内膜フラップ又は断裂動脈内張りの形成が含まれ、その双方とも、冠状動脈の内腔に別の閉塞を引き起こす場合がある。さらに、処置の数ヵ月後に、血栓症及び再狭窄が起こり、さらなる血管形成術又は外科的バイパス形成手術の必要性を引き起こす可能性がある。ステントは、一般に、閉塞を低減し、血栓症及び再狭窄を抑制し、例えば冠状動脈内腔などの血管内腔の内部に開通性を維持するために埋め込まれる。
【0005】
[0005]薬剤の局所送達は、薬剤を高用量で全身投与するとしばしば対象内で有害効果を引き起こし得るので、特に、対象内の特定部位で効果を達成するために高用量での全身投与が必須である場合に、全身送達と比較して好ましいことが多い。局所送達に関して提案されている方法の1つには、医療用物品の表面をポリマー性担体で被覆すること、及び該ポリマー性担体に薬剤を結合すること、又は薬剤を該ポリマー性担体とブレンドすることが含まれる。例えば、ポリ(ヒドロキシアルカン酸エステル)のように最近所望されるポリマー性材料の中には生分解性のものもある。残念ながら、これらのポリマーは、いくつかの医療的応用に関して十分な機械的特性を有さない。例えば、現在利用できるポリ(ヒドロキシアルカン酸エステル)の機械的特性は、多くのステントへの応用には不十分であることが見出されている。従って、機械的特性の向上したポリ(ヒドロキシアルカン酸エステル)に対する必要性が存在する。
【0006】
[0006]もう1組の問題は、対象内部における生分解性被覆からの薬剤放出に関連している。1つの問題は、生分解性被覆の放出速度及び吸収速度が制御可能でなければならないことである。例えば、現在利用できるポリ(ヒドロキシアルカン酸エステル)の吸収速度は、ほとんどの応用に対して余りにも遅すぎる。もう1つの問題は、ポリマー性担体からの分子が、被覆が分解しても薬剤に結合したままであるという規制上の懸念を含む。これらのさらなる分子は、薬剤の最初の規制認可で考慮されていないため、薬剤の生物学的活性の起こり得る変化に関する規制上の懸念が存在する可能性がある。
【0007】
[0007]従って、(i)生分解性ポリマーから利益を得ることができる応用に関して十分な機械的特性を有する、(ii)ポリマー性担体に由来するさらなる分子を実質上含まない薬剤を放出できる、(iii)前以て定めた放出速度及び吸収速度を有するように設計できる、並びに(iv)生物活性があり及び/又は生物的利益があるだけではなく、該ポリマーから形成される医療用物品の物理的特性及び/又は機械的特性を制御する薬剤と組み合わせることもできる、ポリ(ヒドロキシアルカン酸エステル)に対する必要性が存在する。
【0008】
[概要]
[0008]本発明の実施形態は、一般に、ポリ(ヒドロキシアルカン酸エステル)、並びに診断、予防、治療、改善用などの薬剤、及び医療用物品と共に使用するためのその他の薬剤を含むポリマーを包含する。該ポリマーは、例えば、ステントなどの医療用物品、及びこのような医療用物品のための被覆に使用できる。
【0009】
[0009]いくつかの実施形態において、本発明は、次式で表されるポリマー(「ポリ(HA−EA)コポリマー」)を含むことができ、
【化1】


式中、Aは、
【化2】


を含み、A:Bの比率は、1未満、1を超え、又は1である。各Rは、アルキレン、アルカン酸エステル、アルキルアルカン酸エステル、ジエステル、アシラール、二酸、飽和脂肪酸、グリセリド、及びそれらの組合せからなる群から独立に選択される成分を含む。
〜Rのそれぞれは、水素;置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分枝、環状、飽和及び不飽和の脂肪族基;並びに置換、非置換、及びヘテロ−の芳香族基からなる群から独立に選択される成分を含む。L、B、L又はXの中の少なくとも1つが任意選択で存在し;L、B、L又はXの中の少なくとも1つはエステルアミドを含み、Lは、AをBに連結している結合であり、Xは、任意選択で存在する部分であり、Lは、Xをポリマーに連結している結合であり、k及びmは整数であり、n及びzは、零ではない整数である。
【0010】
[0010]他の実施形態において、本発明は、(i)埋め込み可能な基材を含む医療用物品又は(ii)該医療用物品のための被覆を作製することを含む方法を包含することができ、前記の作製することには、(「ポリ(HA−EA)コポリマー」)を調製すること;埋め込み可能な基材の少なくとも一部に該ポリマーを含む医療用物品又は被覆を形成すること;及び該医療用物品又は被覆を場合によってはアニーリングすることを含む。他の実施形態において、本発明は、ポリ(ヒドロキシアルカン酸エステル−co−エステルアミド)を含む薬物溶出ステントを含むことができる。
【0011】
[詳細な説明]
[0011]以下でより詳細に考察するように、本発明の実施形態は、一般に、ポリ(ヒドロキシアルカン酸エステル−co−エステルアミド)(「p(HA−EA)」)、並びに例えば、治療、予防、診断用の薬剤及び/又は医療用物品で使用するためのその他の薬剤を含む組成物を包含する。本発明は、また、該組成物の作製方法を包含する。医療用物品は、例えば、ステントなどの埋め込み可能な医療用デバイスなど、任意の医療用デバイスを含む。いくつかの実施形態において、組成物は、埋め込み可能な基板上の被覆として使用できる。他の実施形態において、ステントなどの医療用デバイスは、全部又は一部が該組成物から作製される。
【0012】
[0012]「薬剤」は、生物活性のある、生物的利益のある、診断用の、可塑性を与える、あるいはこれらの特徴の組合せを有する部分で良い。「部分」は、少なくとも1つの原子、巨大分子中の結合残基、コポリマー又は全ポリマー性ブロック中の個々の単位から構成される官能基で良い。本明細書に記載の教示により改善できる任意の医療用物品は、本発明の範囲に包含されることを認識されたい。医療用デバイスの例には、それらに限定はしないが、ステント、ステント−移植片、血管移植片、人工心臓弁、卵円孔閉鎖デバイス、脳脊髄液シャント、ペースメーカー電極、ガイドワイヤー、心室補助デバイス、心肺バイパス回路、血液酸素付加装置、冠動脈シャント(AXIUS(商標)、Guidant社)及び心臓内リード(FINELINE(登録商標)、及びENDOTAX(登録商標)、Guidant社)が含まれる。
【0013】
[0013]医療用デバイスは、それらに限定はしないが、ELASTINITE(登録商標)(Guidant社)、NITINOL(登録商標)(Nitinol Devices and Components)、ステンレススチール、タンタル、タンタルをベースにした合金、ニッケル−チタン合金、白金、例えば白金−イリジウム合金などの白金をベースにした合金、イリジウム、金、マグネシウム、チタン、チタンをベースにした合金、ジルコニウムをベースにした合金、コバルト及びクロムを含む合金(ELGILOY(登録商標)、Elgiloy Specialty Metal,Inc.;MP35N及びMP20N、SPS Technologies)又はこれらの組合せを始めとする金属又は合金から構成できる。商品名「MP35N」及び「MP20N」はコバルト、ニッケル、クロム及びモリブデンの合金を表す。MP35Nは、35%のコバルト、35%のニッケル、20%のクロム、及び10%のモリブデンからなる。MP20Nは、50%のコバルト、20%のニッケル、20%のクロム、及び10%のモリブデンからなる。生体吸収性ポリマー又は生体内安定性ポリマーから構成される構造部品を用いる医療用デバ
イスも、本発明の範囲内に含まれる。
【0014】
(ポリマー組成物)
[0014]本発明のp(HA−EA)組成物には、ポリマー、コポリマー及び薬剤の任意の組合せが含まれ、該組合せは、ヒドロキシアルカン酸エステル部分及びエステルアミド部分を含む。これらのポリマーは、存在するエステル基の不安定な性質により生分解性であり得る。従って、これらの組成物は、それらが、哺乳動物により分解、吸収、再吸収及び排泄され得るように設計できる。本発明の組成物を使用して、例えば、医療用物品及び被覆を形成できる。
【0015】
[0015]用語「組み合わせる」、「組み合わされた」及び「組み合わせること」は、すべて組成物中の成分間の関係を指し、該組成物を形成する構成成分のブレンド、混合、結合、及びこれらの組合せが含まれる。結合は、物理的、化学的、又はその組合せである連結で良い。物理的連結の例には、限定はしないが、例えば、相互貫入ネットワーク及び鎖の絡み合いで生じることのできる成分の相互連結が含まれる。化学的連結の例には、限定はしないが、共有及び非共有結合が含まれる。共有結合には、限定はしないが、単純な共有結合及び配位結合が含まれる。非共有結合には、限定はしないが、イオン結合、並びに、例えば水素結合及び誘導又は永久双極子間相互作用で生み出される引力などの分子間引力が含まれる。
【0016】
[0016]インビボで使用するために選択される組成物は、該組成物の物理的、機械的、化学的及び生物学的特性に関する特定の要件に合致すべきである。生分解性組成物の性能にインビボで影響を与える可能性のある物理的特性の例は、水の取り込みである。組成物の性能にインビボで影響を与える可能性のある機械的特性の例は、例えば、割れ、薄片化、剥がれ、及び破断など、組成物の機械的破損を引き起こす場合がある応力に抵抗する組成物の能力である。生分解性組成物の性能にインビボで影響を与える可能性のある化学的特性の例は、対象による組成物の吸収速度である。組成物の特性にインビボで影響を与える可能性のある生物学的特性の例は、双方とも以下で説明される、組成物の生物活性のある及び/又は生物的利益のある性質である。
【0017】
[0017]なんらかの理論又は作用機構で制約されることを意図するものではないが、組成物による水の取り込みは、組成物の設計における重要な特徴であり得る。水は、組成物の機械的特性を修正するための可塑剤として作用できる。水の取り込みを調節すると、被覆の加水分解をある程度調節することができ、それによって、医療用物品又は被覆のインビボでの分解速度、吸収速度、及び薬剤放出速度を調節できる。いくつかの実施形態において、加水分解が強まると、医療用物品又は被覆内に、組成物から薬剤を拡散するための輸送通路として役立つことのできるチャネルを作り出すことによって、薬剤の放出速度を増加させることができる。用語「対象」及び「患者」は、互換的に使用することができ、限定はしないが、例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラット、及びマウスなどの非霊長類、並びに例えば、サル又はヒトなどの霊長類を含む哺乳動物などの動物を指す。
【0018】
[0018]本発明の組成物を使用して、(i)生分解性ポリマーから利益を得ることのできる応用のための十分な機械的特性を有する、(ii)ポリマー性担体に由来するさらなる分子を実質上含まない薬剤を放出できる、(iii)前以て決めた放出速度及び吸収速度を有するように設計できる、及び(iv)生物活性があり及び/又は生物的利益があるのみならず該ポリマーから形成される医療用物品又は被覆の物理的特性及び/又は機械的特性を制御する薬剤と組み合わせることのできる、医療用物品及び被覆を形成できる。
【0019】
[0019]本発明の目的に関して、ポリマー又は被覆は、インビボ環境又はインビトロの類似環境に暴露された場合に、それが完全に又は実質的に分解又は腐食される能力があるな
ら、「生分解性」である。ポリマー又は被覆は、それが、対象内での例えば加水分解、酵素分解、酸化、代謝過程、全体又は表面腐食などによって、徐々に分解、再吸収、吸収及び/又は排泄され得るなら、分解又は腐食される能力がある。ポリマーの痕跡又は残留物は、生分解の後に、デバイス上に、デバイスの近隣部位に、又は生分解性デバイスの近隣部位に留まることができることを認識されたい。用語「生体吸収性」及び「生分解性」は、本出願では互換的に使用される。本発明で使用されるポリマーは、生分解性で良く、限定はしないが、縮合コポリマーを含めることができる。
【0020】
[0020]本発明のp(HA−EA)組成物は、少なくとも1種のヒドロキシアルカン酸エステルモノマー及び1種のエステルアミドモノマーを含む。p(HA−EA)は、また、広範な種類のその他の部分を含むことができ、結果として、広範な種類の分子構造を有することができる。p(HA−EA)組成物の化学構造を以下で考察する。
【0021】
[0021]ポリ(ヒドロキシアルカン酸エステル)は、生物学的供給源から、又は化学合成により得ることができる。生物学的供給源は、微生物、植物などの高等生物体、又は原核生物又は真核生物で良い宿主細胞などの遺伝子改変バイオリアクターで良い。生物学的にPHAを産生させるのに使用される方法は、例えば、米国特許第4,910,145号、5,245,023号、5,250,430号、5,480,794号、5,512,669号、及び5,534,432号明細書中で考察されている方法のように、当技術分野で周知である。化学合成によるPHAの製造方法には、限定はしないが、β−ラクトンモノマーの開環重合、及び3−ヒドロキシアルカン酸のエステルの縮合重合が含まれ、それぞれ、米国特許第6,610,764号及び5,563,239号明細書中で考察されている。
【0022】
[0022]いくつかの実施形態において、p(HA−EA)組成物は、p(HA−EA)と組み合わせてp(HA−EA)組成物を形成できるその他のポリマーを含むことができる。いくつかの実施形態において、p(HA−EA)以外のポリマーは、例えば、イソシアナート、ジイソシアナート、ジアシルハライド、ジエン、又は本明細書中で考察される又は当業者に周知の別な架橋剤を使用してp(HA−EA)と架橋できる。
【0023】
[0023]p(HA−EA)と組み合わせるp(HA−EA)以外のポリマーの量は、組成物から形成される製品に所望される性能パラメーターに与える他のポリマーの効果によって制約されるべきである。このような性能パラメーターとしては、例えば医療用デバイス又は被覆の靭性、薬剤の負荷濃度容量、及び組成物の生分解速度及び対象からの排泄速度を挙げることができる。組成物中の他のポリマーが、非生分解性であるなら、それらは、組成物の生分解に続いて対象から取り除くことのできるポリマー断片を生成するような大きさにすべきである。
【0024】
[0024]いくつかの実施形態において、ポリマー断片の数平均分子量は、約40,000ダルトン以下、又はその中の任意の範囲であるべきである。他の実施形態において、断片の分子量は、約300ダルトン〜約40,000ダルトン、約8,000ダルトン〜約30,000ダルトン、約10,000ダルトン〜約20,000ダルトンの範囲、又はこれらの中の任意の範囲である。分子量は、本明細書中では数平均分子量として教示される。
【0025】
[0025]本発明のp(HA−EA)と組み合わせることのできるその他のポリマーの例には、限定はしないが、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸ヒドロキシエチル)、ポリ(メタクリル酸エチル−co−メタクリル酸ブチル)、エチレン−メタクリル酸メチルのコポリマーなどのポリ(アクリレート)(poly(acrylates));ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホ
ン酸)、並びにアミノプロピルメタクリルアミドのポリマー及びコポリマー;ポリ(シアノアクリル酸エステル);ポリ(カルボン酸);ポリ(ビニルアルコール);ポリ(無水マレイン酸)及び無水マレイン酸のコポリマー;ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニリデン−co−ヘキサフルオロプロペン)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、及び発泡ポリ(テトラフルオロエチレン)などのフッ素化ポリマー又はコポリマー;ポリ(スルホン);ポリ(N−ビニルピロリドン);ポリ(アミノカーボネート)(poly(aminocarbonates));ポリ(イミノカーボネート)(poly(iminocarbonates));ポリ(アンヒドリド−co−イミド)、ポリ(ヒドロキシ吉草酸エステル);ポリ(L−乳酸);ポリ(L−ラクチド);ポリ(カプロラクトン);ポリ(ラクチド−co−グリコリド);ポリ(ヒドロキシ酪酸エステル)(poly(hydroxybutyrates));ポリ(ヒドロキシ酪酸エステル−co−吉草酸エステル);ポリ(ジオキサノン);ポリ(オルトエステル);ポリ(アンヒドリド);ポリ(グリコール酸);ポリ(グリコリド);ポリ(D,L−乳酸);ポリ(D,L−ラクチド);ポリ(グリコール酸−co−炭酸トリメチレン);ポリ(ホスホエステル);ポリ(ホスホエステルウレタン);ポリ(炭酸トリメチレン);ポリ(イミノ炭酸エステル);ポリ(エチレン);例えば、ポリ(ジオキサノン)及びポリ(エチレンオキシド)/ポリ(乳酸)などのポリ(プロピレン)co−ポリ(エーテル−エステル);ポリ(アンヒドリド);ポリ(シュウ酸アルキレン);ポリ(ホスファゼン);ポリ(ウレタン);シリコーン;ポリ(エステル;ポリ(オレフィン);ポリ(イソブチレン)のコポリマー;エチレン−アルファオレフィンのコポリマー;ポリ(塩化ビニル)などのビニルハライドポリマー及びコポリマー;ポリ(ビニルメチルエーテル)などのポリ(ビニルエーテル);例えば、ポリ(塩化ビニリデン)などのポリ(ビニリデンハライド);ポリ(アクリロニトリル);ポリ(ビニルケトン);ポリ(スチレン)などのポリ(ビニル芳香族);ポリ(酢酸ビニル)などのポリ(ビニルエステル);ポリ(エチレン−co−ビニルアルコール)(EVAL)などのビニルモノマーとオレフィンのコポリマー、アクリロニトリル−スチレンのコポリマー;ABS樹脂;エチレン−酢酸ビニルのコポリマー;ナイロン66及びポリ(カプロラクタム)などのポリ(アミド);アルキド樹脂;ポリ(カーボネート)(poly(carbonates));ポリ(オキシメチレン);ポリ(イミド);ポリ(エステルアミド);例えば、ポリ(エチレングリコール)及びポリ(プロピレングリコール)などのポリ(アルキレングリコール)を含むポリ(エーテル);エポキシ樹脂;ポリウレタン;レーヨン;レーヨン−トリアセテート;例えば、フィブリン、フィブリノーゲン、デンプン、ポリ(アミノ酸)、ペプチド、タンパク質、ゼラチン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸(D−グルクロン酸又はL−イズロン酸とN−アセチル−D−ガラクトサミンのコポリマー)、コラーゲン、ヒアルロン酸、及びグリコサミノグリカンなどの生体分子;例えば、ポリ(N−アセチルグルコサミン)、キチン、キトサン、セルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、セロファン、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースエーテル、及びカルボキシメチルセルロースなどのその他の多糖類;並びにこれらの誘導体、類似体、同族体、同類物、塩、コポリマー、及びこれらの組合せが含まれる。いくつかの実施形態において、その他のポリマーは、それらが、これらのポリマーのいずれか1種又はいずれかの組合せを特異的に排除するように選択される。
【0026】
[0026]いくつかの実施形態において、その他のポリマーは、生分解性であって良い。生分解性ポリマーの例には、限定はしないが、例えば、α−ヒドロキシカルボン酸、α−ヒドロキシカルボン酸の環状ジエステル、ジオキサノン、ラクトン、環状炭酸エステル、環状シュウ酸エステル、エポキシド、グリコール、アンヒドリド、乳酸、グリコール酸、ラクチド、グリコリド、エチレンオキシド、エチレングリコール、又はこれらの組合せのような繰り返し単位を持つポリマーが含まれる。他の実施形態において、生分解性ポリマーには、限定はしないが、ポリエステル、ポリ(エステルアミド)、アミノ酸、PEG及び/又はアルコール基、ポリカプロラクトン、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラク
チド)、ポリ(D,L−ラクチド−co−PEG)ブロックコポリマー、ポリ(D,L−ラクチド−co−炭酸トリメチレン)、ポリグリコリド、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル、ポリアンヒドリド、ポリ(グリコール酸−co−炭酸トリメチレン)、ポリホスホエステル、ポリホスホエステルウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリシアノアクリル酸エステル、ポリ(炭酸トリメチレン)、ポリ(イミノ炭酸エステル)、ポリ炭酸エステル、ポリウレタン、コポリ(エーテル−エステル)(例えば、PEO/PLA)、シュウ酸ポリアルキレン、ポリホスファゼン、PHA−PEG、及びこれらの任意の誘導体、類似体、同族体、塩、コポリマー、及びこれらの組合せが含まれる。他の実施形態において、その他のポリマーは、ポリ(セバシン酸グリセロール);例えばデスアミノチロシル−チロシンエチルエステル(ポリ(炭酸DTE))などのデスアミノチロシル−チロシンアルキルエステルを含むチロシン由来ポリ炭酸エステル;及びこれらの任意の誘導体、類似体、同族体、塩、コポリマー、及びこれらの組合せが含まれる。いくつかの実施形態において、その他のポリマーは、それらが、これらのポリマーのいずれか1つ又はいずれかの組合せを特異的に除外するように選択される。
【0027】
[0027]いくつかの実施形態では、その他のポリマーを、共有結合でp(HA−EA)に化学的に連結できる。他の実施形態では、その他のポリマーを、例えば、イオン結合、分子間引力、又はこれらの組合せによるなど、非共有結合でp(HA−EA)に化学的に連結できる。他の実施形態では、その他のポリマーを、p(HA−EA)に物理的に連結できる。他の実施形態では、その他のポリマーを、p(HA−EA)と化学的及び物理的に連結できる。イオン結合の例には、限定はしないが、ポリマー間でのカチオン部位に対するアニオン部位のイオン結合を含めることができる。いくつかの実施形態では、アニオン部位を第4級アミンに結合できる。分子間引力の例には、限定はしないが、例えば、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル、アミド、及びスルフヒドリル基、並びにこれらの組合せの間での永久双極子相互作用などの水素結合が含まれる。物理的連結の例には、限定はしないが、相互貫入ネットワーク及び鎖の絡み合いを含めることができる。ポリマーを、p(HA−EA)とブレンド又は混合しても良い。
【0028】
[0028]本明細書中で使用される化学表記に関して、官能基Rのそれぞれは、特定の教示における明瞭性のために番号を付けられても、付けられなくても良く、本明細書中で指定されるような任意の群、サブ群、又はそれらの組合せから独立に選択できる。これらの群、サブ群、又はそれらの組合せは、H;置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分枝、環状、飽和又は不飽和の脂肪族基;置換、非置換、又はヘテロ−の芳香族基;あるいはそれらの組合せを含むことができる。例えば、R基は、H;例えば、アルキル、アルケニル、又はアルキニル基などの脂肪族炭化水素基;例えば、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル基などの芳香族基;本明細書中で定義されるような各種のその他の基、あるいはこれらの組合せで良い。
【0029】
[0029]本発明のいくつかの実施形態において、脂肪族基は、約1〜約50個の炭素原子、約2〜約40個の炭素原子、約3〜約30個の炭素原子、約4〜約20個の炭素原子、約5〜約15個の炭素原子、約6〜約10個の炭素原子、及びこれらの中の任意範囲の炭素原子を有する。いくつかの実施形態において、芳香族基は、約4〜約200個の炭素原子、約6〜約150個の炭素原子、約12〜約120個の炭素原子、約18〜約90個の炭素原子、約24〜約60個の炭素原子、及びこれらの中の任意範囲の炭素原子を有する。
【0030】
[0030]用語「アルキル」は、直鎖又は分枝の炭化水素鎖を指す。アルキル基の例には、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、t−ブチル又はiso−ヘキシルなどの低級アルキル基;例えば、n−ヘプチル、n−オクチル、iso−オクチル、ノニル、デシルなどの高級アルキル基;例えば、エチレ
ン、プロピレン、プロピリン、ブチレン、ブタジエン、ペンテン、n−ヘキセン及びiso−ヘキセンなどの低級アルキレン;並びに、例えば、n−ヘプテン、n−オクテン、iso−オクテン、ノネン、デセンなどの高級アルキレンが含まれる。当業者は、本発明の範囲に包含される無数の直鎖及び分枝のアルキル基を熟知している。さらに、このようなアルキル基は、その1個又は複数の水素原子が官能基で置換されている各種置換基を含んでいても良く、あるいはアルキル基は、鎖中官能基を含むことができる。句「直鎖又は分枝の」には、限定はしないが、アルカン、アルケン及びアルキンを含む任意の置換又は非置換の非環式炭素含有化合物が含まれる。
【0031】
[0031]用語「アルケニル」は、少なくとも1つのアルケン官能基を含む直鎖又は分枝の炭化水素鎖を指す。用語「アルキニル」は、少なくとも1つのアルキン官能基を含む直鎖又は分枝の炭素含有鎖を指す。用語「アリール」は、少なくとも6個のπ(パイ)電子を含むことの多い共役二重結合系をもつ炭素含有環を指す。アリール基の例には、限定はしないが、フェニル、ナフチル、アニシル、トルイル、キシレニルなどが含まれる。用語「アラルキル」は、少なくとも1つのアリール基で置換されているアルキル基を指す。用語「アラルケニル」は、少なくとも1つのアリール基で置換されているアルケニル基を指す。
【0032】
[0032]ラジカルは、それが、0.1モル%未満の1個又は複数の炭素原子を有する側鎖を有する場合、「直鎖」である。いくつかの実施形態において、ラジカルは、それが、0.01モル%のこのような側鎖を有する場合に直鎖である。他の実施形態において、ラジカルは、それが、0.001モル%のこのような側鎖を有する場合に直鎖である。ラジカルは、それが、0.1モル%を超える1個又は複数の炭素原子を有する側鎖を有する場合に「分枝」である。いくつかの実施形態において、ラジカルは、それが、0.01モル%を超えるこのような側鎖を有する場合に分枝である。他の実施形態において、ラジカルは、それが0.001モル%を超えるこのような側鎖を有する場合に分枝である。
【0033】
[0033]用語「ラジカル」、「基」、「官能基」及び「置換基」は、文脈によっては互換的に使用することができ、化学構造を統一的にさらに説明するのに使用できる。例えば、用語「官能基」は、化学構造にとって鎖中、ペンダント及び/又は末端に存在できる化学構造変数である化学「基」又は「ラジカル」を指すことができる。官能基は、置換されていても良い。置換されているラジカル中の置換基の例には、限定はしないが、ヒドロキシル、アルキル、カルボキシル、エステル、アミノ、アミド、イミノ、及びこれらの組合せが含まれる。このような官能基は、例えばヘテロ原子を含むこともできる。ヘテロ−ラジカルのヘテロ原子の例には、限定はしないが、硫黄、リン、酸素、窒素及びこれらの組合せが含まれる。
【0034】
[0034]いくつかの実施形態において、官能基には、限定はしないが、例えば、アルコール、エーテル、フェノール、及びこれらの誘導体などの酸素含有基を含めることができる。このような酸素含有基には、限定はしないが、アセトニド、アルコール、アルコキシド、ビスフェノール、カルビノール、クレゾール、ジオール、エノール、エノレート、エポキシド、エーテル、グリコール、ヒドロペルオキシド、ペルオキシド、フェノール、フェノレート、フェノキシド、ピナコール、トリオキシド、及びイノールが含まれる。
【0035】
[0035]他の実施形態において、官能基には、限定はしないが、例えば、アルデヒド、ケトン、キノン及びこれらの誘導体などの酸素含有基を含めることができる。このような酸素含有基には、限定はしないが、アセタール、アシロイン、アルデヒド、カルボニル化合物、ジオスフェノール、ジプノン、ヘミアセタール、ヘミケタール、ケタール、ケテン、ケト化合物、ケトン、キンヒドロン、キノメタン、キニン、及びこれらの組合せが含まれる。
【0036】
[0036]他の実施形態において、官能基は、限定はしないが、カルボン酸、オキソ酸、スルホン酸、酸無水物、酸チオ無水物、アシル基、アシルハライド、アシラール、アンヒドリド、カルボン酸、環状酸無水物、環状アンヒドリド、エステル、フルギド、ラクチド、ラクトール、ラクトン、マクロライド、ナフテン酸、オルト酸、オルトエステル、オキソカルボン酸、ペルオキソ酸、及びこれらの組合せを含む酸素含有基で良い。
【0037】
[0037]他の実施形態において、官能基には、限定はしないが、例えば、アルドイミン、アルドオキシム、アルコキシアミン、アミド酸、アミド、アミン、アミンオキシド、アミンイリド、カルバメート、ヘミアミナール、カルボニトリル、カルボキサミド、イソシアニド、シアナート、イソシアナート、ジイソシアナート、シアニド、シアノヒドリン、ジアシルアミン、エナミン、フルミナート、ヘミアミナール、ヒドロキサム酸、ヒドロキシム酸、ヒドロキシルアミン、イミド、イミド酸、イミジン、イミン、オキシム、イソ尿素、ケテンイミン、ケチミン、ケトキシム、ラクタム、ラクチム、ニトリル、ニトロ、ニトロソ、ニトロソール酸(nitrosolicacid)、オキシムO−エーテル、第4級アンモニウム化合物、キノンイミン、キノンオキシム、アゾメチン、ウレイド、ウレタン、及びこれらの組合せなど、1個の窒素を含む窒素含有基を含めることができる。
【0038】
[0038]他の実施形態において、官能基には、限定はしないが、例えば、アルダジン、アミドヒドラゾン、アミドオキシム、アミジン、アミドラゾン、アミナール、アミンイミド、アミンイミン、イソジアゼン、アザン、アジド、アゾイミド、アジン、アゾ化合物、アゾメチンイミド、アゾキシ化合物、カルボジイミド、カルボキサミジン、ジアミダイド(diamidide)、ジアゾ化合物、ジアゾアミノ化合物、ジアゾアート、ジアゾオキシド、ホルムアミジンジスルフィド、ホルマザン、ヒドラジド、ヒドラジドヒドラゾン、ヒドラジドイミド、ヒドラジジン、ヒドラジン、ヒドラゾ化合物、ヒドラゾン、ケタジン、ニトラミン、ニトリルイミン、ニトルイミン、ニトロール酸(nitrolic acid)、ニトロソアミド、ニトロソアミン、ニトロソイミン、オルトアミド、セミカルバゾン、セミオキサマゾン、トリアザン、トリアゼン、及びこれらの組合せなど、2個以上の窒素を含む窒素含有基を含めることができる。
【0039】
[0039]他の実施形態において、官能基には、限定はしないが、スルホン、スルフィド、スルフィンアミド、スルフィルイミン、スルフィミド、スルフィンアミド、スルフィンアミジン、スルフィン、スルフィン酸、スルフィン酸無水物、スルフィニルアミン、スルホンアミド、スルホン、スルホンジイミン、スルホン酸、スルホン酸無水物、スルホキシド、スルホキシイミド、サルファージイミド、チオ、チオアセタール、チオアルデヒド、チオアンヒドリド、チオカルボン酸、チオシアナート、チオエーテル、チオヘミアセタール、チオケトン、チオール、チオラート、キサントゲン酸、及びこれらの組合せなどの硫黄含有基を含めることができる。
【0040】
[0040]他の実施形態において、官能基には、限定はしないが、シリル基、ハロゲン、セレノエーテル、トリフルオロメチル、少なくとも1つの酸素原子が硫黄原子、ホスホリル、ホスホナート、ホスフィナート、及びこれらの組合せで置換されたウレタンのチオ誘導体を含めることができる。他の実施形態において、官能基は、フリーラジカル重合を起こす能力があり、限定はしないが、例えば、アリル、ビニル、アクリロイル及びメタクリロイル、マレイン酸エステル及びマレイミド;並びにこれらの組合せなどのエチレン性不飽和基を含めることができる。他の実施形態において、官能基には、ハライドを含めることができる。他の実施形態において、官能基は、光散乱基、磁性基、ナノゴールド、その他のタンパク質、固体マトリックス、放射性標識、炭水化物、及びこれらの組合せを含むことができる。
【0041】
(薬剤)
(生物的利益及び生物活性のある薬剤)
[0041]「生物活性のある薬剤」は、ポリマーと組み合わせることが可能であり、対象内で治療効果、予防効果、治療及び予防の双方の効果、又はその他の生物学的活性効果を提供できる部分である。さらに、本発明の生物活性のある薬剤は、ポリマーの一部に連結して留まっても良いし、ポリマーから放出されても良い。「生物的利益のある薬剤」は、ポリマーと組み合わせること可能であり、ポリマーから必ずしも放出されずに、対象内で生物学的利益を提供できる薬剤である。
【0042】
[0042]1つの例において、生物学的利益は、ポリマー又は被覆が、タンパク質吸着を抑制又は防止して血栓塞栓の形成を回避するように非血栓形成性となり;血管内の内皮化が豊富ではなくむしろ健全で機能的な内皮層を形成するように回復を促進し;又は生物的利益のある薬剤が炎症を引き起こす事象又は事象のカスケードに至る可能性のある単球及び好中球の誘引を受動的に回避するための生体模擬物として作用するように非炎症性であることで良い。
【0043】
[0043]「診断用薬剤」は、例えば、対象における疾患又は医学的状態の存在、性質、又は程度を診断するのに使用できる一種の生物活性薬剤である。一実施形態において、診断用薬剤は、患者の内部領域を画像化し及び/又は患者における疾患の存否を診断する方法と結び付けて使用できる任意の薬剤で良い。診断用薬剤は、例えば、超音波画像法、磁気共鳴画像法(MRI)、核磁気共鳴(NMR)、コンピューター断層撮影(CT)、電子スピン共鳴(ESR)、核医療画像法、光学画像法、エラストグラフィー、ラジオ周波数(RF)及びマイクロ波レーザーと結び付けて使用するためのコントラスト剤を含む。診断用薬剤には、画像化の方法論を採用するか否かのいずれにせよ、患者における疾患又はその他の状態の診断を容易にするのに有用な任意のその他の薬剤を含めることもできる。
【0044】
[0044]生物的利益のある薬剤の例には、限定はしないが、例えば、カルボキシメチルセルロース;例えばPEGなどのポリ(アルキレングリコール);ポリ(N−ビニルピロリドン);ポリ(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸);ポリ(スチレンスルホネート)(poly(styrene sulfonate));例えばスルホン化デキストランなどのスルホン化多糖;例えば硫酸化デキストラン及びデルマタン硫酸などの硫酸化多糖;例えばヒアルロン酸及びヘパリンなどのグルコサミノグリカン;並びにこれらの任意の誘導体、類似体、同族体、同類物、塩、コポリマー、及びこれらの組合せなどの、前に列挙した多くのポリマーが含まれる。いくつかの実施形態において、生物的利益のある薬剤は、例えば、ポリ(エステルアミド)、エラスチン、絹−エラスチン、コラーゲン、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP);及び例えば、Arg−Gly−Asp(RGD)を含むものなどのペプチド配列のように回復促進性(prohealing)であって良い。他の実施形態において、生物的利益のある薬剤は、例えばトロンボモジュリンなどの非血栓薬;及び例えば有機シランなどの抗菌薬で良い。当業者は、群、サブ群、及び個々の生物的利益のある薬剤の中には、本発明のいくつかの実施形態において使用されない場合もあることを認識すべきであると理解されたい。
【0045】
[0045]ヘパリン誘導体の例には、限定はしないが、例えば、ヘパリンナトリウム、ヘパリンカリウム、ヘパリンリチウム、ヘパリンカルシウム、ヘパリンマグネシウムなどのヘパリン土類金属塩、及び低分子量ヘパリンが含まれる。ヘパリン誘導体のその他の例には、限定はしないが、硫酸ヘパリン、ヘパリノイド、ヘパリンをベースにした化合物及び疎水性材料で誘導体化されたヘパリンが含まれる。
【0046】
[0046]ヒアルロン酸誘導体の例には、限定はしないが、例えば、O−硫酸化又はN−硫酸化誘導体などの硫酸化ヒアルロン酸;エステルが、脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、
シクロ脂肪族、複素環又はこれらの組合せで良いヒアルロン酸のエステル;多糖鎖のヒドロキシル基で架橋を形成できるヒアルロン酸の架橋されたエステル;脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、シクロ脂肪族、複素環、又はこれらの組合せであるポリアルコールで架橋を形成できるヒアルロン酸の架橋されたエステル;コハク酸のヘミエステル又はその重金属塩;例えば、O−硫酸化又はN−硫酸化誘導体などのヒアルロン酸又は誘導体の第4級アンモニウム塩が含まれる。
【0047】
[0047]ポリ(アルキレングリコール)の例には、限定はしないが、PEG、mPEG、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレングリコール)(PPG)、ポリ(テトラメチレングリコール)、及びこれらの任意の誘導体、類似体、同族体、同類物、塩、コポリマー、及びこれらの組合せが含まれる。いくつかの実施形態において、ポリ(アルキレングリコール)はPEGである。他の実施形態において、ポリ(アルキレングリコール)はmPEGである。他の実施形態において、ポリ(アルキレングリコール)は、ポリ(エチレングリコール−co−ヒドロキシ酪酸エステル)である。
【0048】
[0048]生物的利益のある薬剤として使用できるコポリマーには、限定はしないが、前記薬剤例の任意の誘導体、類似体、同族体、同類物、塩、コポリマー、及びこれらの組合せが含まれる。本発明で生物的利益のある薬剤として使用できるコポリマーの例には、限定はしないが、D−グルクロン酸又はL−イズロン酸とN−アセチル−D−ガラクトサミンのコポリマーであるデルマタン硫酸;ポリ(エチレンオキシド−co−プロピレンオキシド);PEGとヒアルロン酸のコポリマー;PEGとヘパリンのコポリマー;PEGとヒルジンのコポリマー;ポリ(L−リシン)とPEGのグラフトコポリマー;例えば、ポリ(エチレングリコール−co−ヒドロキシ酪酸エステル)のようなPEGとポリ(ヒドロキシアルカン酸エステル)のコポリマー;並びにこれらの任意の誘導体、類似体、同類物、塩、又は組合せが含まれる。いくつかの実施形態において、生物的利益のある薬剤として使用できるコポリマーは、PEGとヒアルロン酸のコポリマー、PEGとヒルジンのコポリマー、並びにこれらの任意の誘導体、類似体、同類物、塩、コポリマー、又はこれらの組合せで良い。他の実施形態において、生物的利益のある薬剤として使用できるコポリマーは、PEGと、例えば、ポリ(ヒドロキシ酪酸エステル)などのポリ(ヒドロキシアルカン酸エステル)とのコポリマー、並びにこれらの任意の誘導体、類似体、同類物、塩、コポリマー、又はこれらの組合せである。
【0049】
[0049]生物活性薬剤は、哺乳動物における治療効果、予防効果、治療と予防の双方の効果、又はその他の生物学的活性効果に寄与する能力のある任意の部分で良い。その薬剤は診断的特性を有していても良い。生物活性薬剤には、限定はしないが、小分子、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、アミノ酸、オリゴペプチド、ポリペプチド、及びタンパク質が含まれる。1つの例において、生物活性薬剤は、血管平滑筋細胞の活動を抑制する。別の例において、生物活性薬剤は、平滑筋細胞の移動又は増殖を調節して再狭窄を抑制する。
【0050】
[0050]生物活性薬剤には、限定はしないが、増殖抑制薬、抗腫瘍薬、抗有子分裂薬、抗炎症薬、抗血小板薬、抗凝固薬、抗フィブリン薬、抗トロンビン薬、抗生物質、抗アレルギー薬、抗酸化薬、並びにこれらの任意のプロドラッグ、代謝産物、類似体、同族体、同類物、誘導体、塩、及びこれらの組合せが含まれる。当業者は、群、サブ群、及び個々の生物活性薬剤の中には本発明の実施形態のいくつかで使用されない場合もあることを認識していることを理解されたい。
【0051】
[0051]増殖抑制薬には、例えば、アクチノマイシンD、アクチノマイシンIV、アクチノマイシンI、アクチノマイシンX、アクチノマイシンC、及びダクチノマイシン(COSMEGEN(登録商標)、Merck & Co.,Inc)が含まれる。抗腫
瘍薬又は抗有子分裂薬には、例えば、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol−Myers Squibb Co.)、ドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Aventis S.A.)、メトトレキサート、アザチオプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、フルオロウラシル、塩酸ドキソルビシン(ADRIAMYCIN(登録商標)、Pfizer,Inc.)、及びマイトマイシン(MUTAMYCIN(登録商標)、Bristol−Myers Squibb Co.),並びにこれらの任意のプロドラッグ、代謝産物、類似体、同族体、同類物、誘導体、塩、及びこれらの組合せが含まれる。
【0052】
[0052]抗血小板薬、抗凝固薬、抗フィブリン薬、及び抗トロンビン薬には、例えば、ヘパリンナトリウム、低分子量ヘパリン、ヘパリノイド、ヒルジン、アルガトロバン、フォルスコリン、バピプロスト、プロスタサイクリン及びプロスタサイクリン類似体、デキストラン、D−phe−pro−arg−クロロメチルケトン(合成抗トロンビン薬)、ジピリダモール、糖タンパク質IIb/IIIa血小板膜受容体拮抗薬抗体、組換えヒルジン、及びトロンビン阻害薬(ANGIOMAX(登録商標)、Biogen,Inc.)並びにこれらの任意のプロドラッグ、代謝産物、類似体、同族体、同類物、誘導体、塩、及びこれらの組合せが含まれる。
【0053】
[0053]細胞分裂抑制又は増殖抑制薬には、例えば、カプトプリル(CAPOTEN(登録商標)及びCAPOZIDE(登録商標)、Bristol−Myers Squibb Co.)、シラザプリル又はリシノプリル(PRINIVIL(登録商標)及びPRINZIDE(登録商標)、Merck & Co.,Inc.)などのアンギオペプチン、アンジオテンシン変換酵素阻害薬;ニフェジピンなどのカルシウムチャネル遮断薬;コルチシン;繊維芽細胞増殖因子(FGF)拮抗薬、魚油(オメガ3−脂肪酸);ヒスタミン拮抗薬;ロバスタチン(MEVACOR(登録商標)、Merck & Co.,Inc.);限定はしないが、血小板由来増殖因子(PDGF)受容体に特異的な抗体を含むモノクロナール抗体;ニトロプルシッド;ホスホジエステラーゼ阻害薬;プロスタグランジン阻害薬;スラミン;セロトニン遮断薬;ステロイド;チオプロテアーゼ阻害薬;限定はしないが、トリアゾロピリミジンを含むPDGF拮抗薬;及び一酸化窒素、並びにこれらの任意のプロドラッグ、代謝産物、類似体、同族体、同類物、誘導体、塩、及びこれらの組合せが含まれる。抗アレルギー薬には、限定はしないが、ペミロラストカリウム(ALAMAST(登録商標)、Santen,Inc.)、並びにこれらの任意のプロドラッグ、代謝産物、類似体、同族体、同類物、誘導体、塩、及びこれらの組合せが含まれる。
【0054】
[0054]本発明で有用なその他の生物活性薬剤には、限定はしないが、フリーラジカル捕捉剤;一酸化窒素供与体;ラパマイシン;メチルラパマイシン;42−エピ−(テトラゾイリル)ラパマイシン(ABT−578);エベロリムス(everolimus);タクロリムス;40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン;40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン;40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン;米国特許第6,329,386号明細書に記載されているようなテトラゾール含有ラパマイシン類似体;エストラジオール;クロベタソール;イドキシフェン;タザロテン;α−インターフェロン;上皮細胞などの宿主細胞;遺伝子操作上皮細胞;デキサメタゾン;並びにこれらの任意のプロドラッグ、代謝産物、類似体、同族体、同類物、誘導体、塩、及びこれらの組合せが含まれる。
【0055】
[0055]フリーラジカル捕捉剤には、限定はしないが、2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシフリーラジカル(TEMPO);4−アミノ−2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシフリーラジカル(4−アミノ−TEMPO);4−ヒドロキシ−2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリデン−1−オキシフ
リーラジカル(4−ヒドロキシ−TEMPO);2,2’,3,4,5,5’−ヘキサメチル−3−イミダゾリニウム−1−イルオキシメチル硫酸フリーラジカル;4−カルボキシ−2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシフリーラジカル(4−カルボキシ−TEMPO);16−ドキシル−ステアリン酸フリーラジカル;スーパーオキシドジスムターゼ模擬物(SODm)、並びにこれらの任意の類似体、同族体、同類物、誘導体、塩、及びこれらの組合せが含まれる。一酸化窒素供与体には、限定はしないが、S−ニトロソチオール、亜硝酸エステル(nitrites)、N−オキソ−N−ニトロソアミン、一酸化窒素シンターゼの基質、スペルミンジアゼニウムジオラートなどのジアゼニウムジオラート、並びにこれらの任意の類似体、同族体、同類物、誘導体、塩、及びこれらの組合せが含まれる。
【0056】
[0056]診断用薬剤の例には、放射線不透過性材料が含まれ、限定はしないが、X線で検出できるヨウ素、又は例えばイオヘキサル及びイオパミドールなどのヨウ素誘導体を含む材料が含まれる。例えば放射性同位元素などのその他の診断用薬剤は、放射性放出を追跡することにより検出できる。その他の診断用薬剤には、磁気共鳴画像法(MRI)、超音波、並びに例えば蛍光及び陽電子放射断層撮影法(PET)などのその他の画像化方法によって検出できる薬剤を含めることができる。MRIで検出できる薬剤の例は、限定はしないが、ガドリウムでキレート化された化合物を含む常磁性薬剤である。超音波で検出できる薬剤の例には、限定はしないが、パーフレクサン(perflexane)が含まれる。蛍光薬剤の例には、限定はしないが、インドシアニングリーンが含まれる。診断用PETで使用される薬剤の例には、限定はしないが、フルオロデオキシグルコース、フッ化ナトリウム、メチオニン、コリン、デオキシグルコース、ブタノール、ラクロプリド、スピペロン、ブロモスピペロン、カーフェンタニル、及びフルマゼニルが含まれる。
【0057】
(可塑化剤)
[0057]用語「可塑剤」及び「可塑化剤」は、本発明では互換的に使用することができ、ポリマー性組成物に添加されて、該組成物又は該組成物から形成される製品の機械的特性を修正できる前述の任意の薬剤を含む任意の薬剤を指す。可塑剤は、限定はしないが、組成物中のポリマー鎖の間での移動性を高めることを含めても良い設計目標であり、例えば、結晶化度を低下させ、ガラス転移温度(T)を低下させ、あるいはポリマー間の分子間力を低下させるために使用できる。修正される機械的特性には、限定はしないが、ヤング率、耐衝撃性(靭性)、引張強度、及び引裂強度が含まれる。耐衝撃性又は「靭性」は、極めて急速な衝撃負荷にさらされた場合に、基準の寸法及び幾何形状のポリマー試料が破断する際に吸収されるエネルギーの尺度である。シャルピー及びアイゾット衝撃試験を利用して靭性を測定し、材料の脆性を評価できる。
【0058】
[0058]可塑剤は、モノマー性、ポリマー性、コポリマー性、又はこれらの組合せで良く、生物的利益及び生物活性のある薬剤について上述したと同様の方法でポリマー性組成物と組み合わせることができる。可塑剤を選択することが、例えば極性などの溶媒を選択することに類似した考慮を必要とするという意味で、可塑化と溶解は類似している。さらに、可塑化は、共有結合を通してポリマーの分子構造を共重合で変更することにより提供することもできる。
【0059】
[0059]可塑化剤の例には、限定はしないが、単一ブロックポリマー、マルチブロックポリマー、及びコポリマーなどの低分子量ポリマー;エチル基で終結した乳酸オリゴマーなどのオリゴマー;小型有機分子;ヒドロキシル基を有する又は有さない水素結合を形成する有機化合物;脂肪族ヒドロキシル基を有する低分子量ポリオールなどのポリオール;ブタノール、ペンタノール及びヘキサノールなどのアルカノール;糖アルコール及び糖アルコールの無水物;ポリ(アルキレングリコール)などのポリエーテル;クエン酸エステル、フタル酸エステル、セバシン酸エステル及びアジピン酸エステルなどのエステル;ポリ
エステル;脂肪酸;動物タンパク質及び植物タンパク質などのタンパク質;例えば、植物油及び動物油などのオイル;シリコーン;アセチル化モノグリセリド;アミド;アセトアミド;スルホキシド;スルホン;ピロリドン;オキサ酸;ジグリコール酸;並びにこれらの任意の類似体、誘導体、コポリマー、及びこれらの組合せが含まれる。
【0060】
[0060]いくつかの実施形態において、可塑剤には、限定はしないが、例えば、カプロラクトンジオール、カプロラクトントリオール、ソルビトール、エリトリトール、グルシドール、マンニトール、ソルビトール、スクロース、及びトリメチロールプロパンなどの他のポリオールが含まれる。他の実施形態において、可塑剤には、限定はしないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、スチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールなどのグリコール;例えば、モノプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコール−エーテル;並びにこれらの任意の類似体、誘導体、コポリマー、及びこれらの組合せが含まれる。
【0061】
[0061]他の実施形態において、可塑剤には、限定はしないが、例えば、二安息香酸ジエチレングリコール、二安息香酸ジプロピレングリコール、カプリン酸−カプリル酸トリエチレングリコールなどのグリコールエステル;例えば、モノステアリン酸グリセロールなどのモノステアリン酸エステル;クエン酸エステル;有機酸エステル;芳香族カルボン酸エステル;脂肪族ジカルボン酸エステル;例えば、ステアリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、及びセバシン酸のエステルなどの脂肪酸エステル;トリアセチン;例えば、フタル酸ポリエステル、アジピン酸ポリエステル、グルタミン酸ポリエステルなどのポリ(エステル)、例えば、フタル酸ジアルキル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸イソプロピル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、及びフタル酸ジイソデシルなどのフタル酸エステル;例えば、セバシン酸アルキル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジブチルなどのセバシン酸エステル;例えば、乳酸エステル、アルキル乳酸エステル、乳酸エチル、乳酸ブチル、グリコール酸アリル、グリコール酸エチル、及びモノステアリン酸グリセロールなどのヒドロキシル−エステル;例えば、アセチルクエン酸アルキル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリヘキシル、クエン酸アルキル、クエン酸トリエチル、及びクエン酸トリブチルなどのクエン酸エステル;例えば、リシノール酸メチルなどのヒマシ油のエステル;例えば、トリメリット酸エステル、安息香酸エステル、テレフタル酸エステルなどの芳香族カルボン酸エステル;例えば、アジピン酸ジアルキル、アジピン酸アルキルアリルエーテルジエステル、アジピン酸ジブトキシエトキシエチル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステル、クエン酸エステル、及び酒石酸エステルなどの脂肪族ジカルボン酸エステル;並びに例えば、モノ−、ジ−、又はトリ酢酸グリセロール、及びスルホコハク酸ジエチルナトリウムなどの脂肪酸エステル並びにこれらの任意の類似体、誘導体、コポリマー、及び、これらの組合せのようなエステル類が含まれる。
【0062】
[0062]他の実施形態において、可塑剤には、限定はしないが、例えば、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(プロピレングリコール)、及びポリ(エチレン/プロピレングリコール)などのポリ(アルキレングリコール);例えば、PEG400及びPEG6000などの低分子量ポリ(エチレングリコール);例えばメトキシポリ(エチレングリコール)(mPEG)などのPEG誘導体、例えば、二安息香酸ジエチレングリコール、二安息香酸ジプロピレングリコール、及びカプリン酸−カプリル酸トリエチレングリコールなどのエステル−エーテル;並びにこれらの任意の類似体、誘導体、コポリマー、
及びこれらの組合せのようなエーテル類及びポリエーテル類が含まれる。
【0063】
[0063]他の実施形態において、可塑剤には、限定はしないが、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、及びパルミチン酸アミドなどのアミド類;例えば、ジメチルアセトアミド、及びジメチルホルムアミドなどのアルキルアセトアミド類;例えば、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;例えば、n−メチルピロリドンなどのピロリドン類;例えば、テトラメチレンスルホンなどのスルホン類;例えば、オキサモノ酸、3,6,9−トリオキサウンデカン二酸などのオキサ二酸、ポリオキサ二酸、アセチル化クエン酸のエチルエステル、アセチル化クエン酸のブチルエステル、アセチル化クエン酸のカプリルエステル、及びジメチロールプロピオン酸などのジグリコール酸;並びにこれらの任意の類似体、誘導体、コポリマー、及びこれらの組合せなどの酸類が含まれる。
【0064】
[0064]他の実施形態において、可塑剤は、限定はしないが、エポキシ化大豆油;アマニ油;ヒマシ油;ココヤシ油;分留ココヤシ油;エポキシ化タレート;並びにステアリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、及びセバシン酸などの脂肪酸のエステルを含む植物油で良い。他の実施形態において、可塑剤は、限定はしないが、アンゲリカ油、アニス油、アルニカ油、アウランティアエセロレウム(aurantii aetheroleum)、バレリアン油、バシリシアエセロレウム(basilici aetheroleum)、ベルガモット油、セイバリー油、バッコアエセロレウム(bucco aetheroleum)、カンファー、カルダモミアエセロレウム(cardamomi aetheroleum)、カシア油、ヘノポジ油、キク油、シナアエセロレウム(cinae aetheroleum)、シトロネラ油、レモン油、シトラス油、コスタス油、ウコン油、チャボアザミ油、エレミ油、タラゴン油、ユーカリ油、ウイキョウ油、松葉油、パイン油、フィリシスアエセロレウム(filicis aetheroleum)、ガルバヌム油、ガウルセリアアエセロレウム(gaultheriae aetheroleum)、ゼラニウム油、グアヤク木油、へーゼル草油、アイリス油、オトギリソウ油、ショウブ油、カミツレ油、モミ葉油、ガーリック油、コリアンダー油、キャラウェイ油、ラウリアエセロレウム(lauri aetheroleum)、ラベンダー油、レモングラス油、ラビッジ油、ベイ油、ルプリストロブリアエセロレウム(lupuli strobuli aetheroleum)、メース油、マジョラム油、マンダリン油、メリッサ油、メントール、ミレフォリアエセロレウム(millefolii aetheroleum)、ミント油、サルビア油、ナツメグ油、甘松油、クローブ油、ネロリ油、ニアウリ、乳香油、オノニディスアエセロレウム(ononidis aetheroleum)、オポプラナックス(opopranax)油、オレンジ油、オレガノ油、オルトシフォン油、パチョリ油、パセリ油、プチグレン油、ペパーミント油、ヨモギギク油、紫檀油、バラ油、ローズマリー油、ヘンルーダ油、サビナアエセロレウム(sabinae aetheroleum)、サフラン油、セージ油、白檀油、サッサフラス油、セロリ油、からし油、セルフィリアエセロレウム(serphylli aetheroleum)、イモーテル油、モミ油、チャノキ油、ターペンチン油、タイム油、杜松子油、乳香油、ヒソップ油、シダ−木油、桂皮油、及びヒノキ油を始めとする精油、及び、例えば魚油などのその他の油、並びにこれらの任意の類似体、誘導体、コポリマー、及びこれらの組合せで良い。
【0065】
[0065]可塑剤の分子量は様々で良い。いくつかの実施形態において、可塑剤の分子量は、約10ダルトン〜約50,000ダルトン、約25ダルトン〜約25,000ダルトン、約50ダルトン〜約10,000ダルトン、約100ダルトン〜約5,000ダルトン、約200ダルトン〜約2500ダルトン、約400ダルトン〜約1250ダルトンの範囲、及びこれらの中の任意の範囲である。他の実施形態において、可塑剤の分子量は、約400ダルトン〜約4000ダルトン、約300ダルトン〜約3000ダルトン、約200ダルトン〜約2000ダルトン、約100ダルトン〜約1000ダルトン、約50ダル
トン〜約5000ダルトンの範囲、及びこの中の任意の範囲である。分子量は、本明細書では数平均分子量として教示される。
【0066】
[0066]本発明で使用される可塑剤の量は、ポリマーと薬剤又は薬剤の組合せの総重量を基準にした重量パーセントで、約0.001%〜約70%、約0.01%〜約60%、約0.1%〜約50%、約0.1%〜約40%、約0.1%〜約30%、約0.1%〜約25%、約0.1%〜約20%、約0.1%〜約10%、約0.4%〜約40%、約0.6%〜約30%、約0.75%〜約25%、約1.0%〜約20%の範囲、及びその中の任意の範囲で良い。
【0067】
[0067]本発明では、上述した可塑剤の任意の1つ又は任意の組合せを使用できることを理解されたい。例えば、可塑剤を組み合わせて所望の機能を得ることができる。いくつかの実施形態において、第2可塑剤は、ポリマーと任意の薬剤又は薬剤の組合せの総重量を基準にした重量パーセントで、約0.001%〜約20%、約0.01%〜約15%、約0.05%〜約10%、約0.75%〜約7.5%、約1.0%〜約5%の範囲、又はこれらの中の任意の範囲である量で組み合わされる。
【0068】
[0068]可塑剤をその他の活性成分と組み合わせて、例えば、さらなる治療、予防及び/又は診断機能などのその他所望の機能を得ることができることを理解されたい。いくつかの実施形態では、可塑剤を、以下でより詳細に考察する、エーテル、アミド、エステル、オルトエステル、アンヒドリド、ケタール、アセタール、炭酸エステル、及び全芳香族炭酸エステル結合(all−aromatic carbonate linkages)を介してその他の薬剤と連結できる。
【0069】
[0069]いくつかの実施形態では、薬剤をポリマーに共有結合で化学的に連結できる。他の実施形態では、薬剤をポリマーに、例えば、イオン結合、分子間引力、又はこれらの組合せなどの非共有結合で化学的に連結できる。他の実施形態では、薬剤をポリマーに物理的に連結できる。他の実施形態では、薬剤をポリマーに化学的及び物理的に連結できる。
【0070】
[0070]イオン結合の例には、限定はしないが、ポリマー上のカチオン性部位へのアニオン性薬剤の、又はポリマー上のアニオン性部位へのカチオン性薬剤のイオン結合を含めることができる。いくつかの実施形態では、アニオン性薬剤をポリマー上の第4級アミンに結合することができる。他の実施形態では、第4級アミンを有する薬剤をポリマー上のアニオン性部位に結合できる。分子間引力の例には、限定はしないが、例えば、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル、及びスルフヒドリル基、並びにこれらの組合せの間の、永久双極子相互作用などの水素結合が含まれる。物理的連結の例には、限定はしないが、相互貫入ネットワーク及び鎖の絡み合いを含めることができる。薬剤を、PHA組成物とブレンド又は混合することもできる。
【0071】
[0071]いくつかの実施形態において、薬剤は、該薬剤をポリマーに連結するのに使用できる反応基を有する。反応基の例には、限定はしないが、ヒドロキシル、アシル、アミノ、アミド、及びスルフヒドリル基が含まれる。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物から薬剤を放出又は分離できる。他の実施形態において、薬剤は、生物的利益のある、生物活性のある、診断用の、可塑化するためのもので良く、あるいはこれらの特徴の組合せを有することができる。
【0072】
[0072]いくつかの実施形態において、薬剤の分子量は、哺乳動物からの薬剤の排泄を確実にするために、約40,000ダルトン以下、又はその中の任意の範囲で良い。一実施形態において、薬剤の分子量は、約300ダルトン〜約40,000ダルトン、約8,000ダルトン〜約30,000ダルトン、約10,000ダルトン〜約20,000ダル
トンの範囲、又はこれらの中の任意の範囲である。生物的利益のある薬剤が、放出された場合に身体中で急速に分解されるなら、薬剤の分子量が約40,000を超えても患者の安全を危うくすることはないであろう。本明細書中で教示する分子量は数平均分子量である。
【0073】
[0073]本発明の薬剤は、生物的利益のある、生物活性のある、診断用の、可塑化する特性、又はそれらの組合せを有することができることを理解されたい。例えば、生物的利益のある薬剤としての薬剤の分類は、生物活性のある、診断用の薬剤及び/又は可塑化する薬剤としてのその薬剤の使用を排除しない。同様に、生物活性のある薬剤としての薬剤の分類は、診断用薬剤、生物的利益のある薬剤及び/又は可塑化剤としてのその薬剤の使用を排除しない。さらに、可塑化剤としての薬剤の分類は、生物的利益のある薬剤、生物活性のある薬剤及び/又は診断用薬剤としてのその薬剤の使用を排除しない。前述の薬剤のいずれも、例えば、医療用デバイス又は医療用デバイスに対する被覆の形態で、p(HA−EA)組成物と組み合わせることができことも理解されたい。非制限的例として、本発明のp(HA−EA)組成物で被覆されたステントは、パクリタキセル、ドセタキセル、ラパマイシン、メチルラパマイシン、42−エピ−(テトラゾイリル)ラパマイシン、又はエベロリムスを含むことができる。
【0074】
(薬剤濃度)
[0074]本発明の薬剤を他の薬剤と組み合わせて、ポリマー性組成物のその他の所望される機能を得ることができる。ポリマー性組成物を構成する薬剤の量は、限定はしないが、薬剤の生物学的活性;対象の年齢、体重、応答、又は過去の医療履歴;アテローム硬化性疾患のタイプ;例えば、糖尿病などの全身性疾患の存在;薬剤又は薬剤の組合せの薬物動態学的及び薬力学的効果;並びに薬剤の徐放性放出に向けた組成物の設計を含む各種因子に従って変化する。これらの因子は、薬剤を対象に投与する際に、当業者によって定型的に検討される。
【0075】
[0075]薬剤の徐放性放出に向けた組成物の設計は、例えば、患者における治療、予防、改善又は診断の必要性などの各種因子によって左右される場合があることを理解されたい。いくつかの実施形態において、薬剤は、増殖抑制薬を含むことができ、約1週間〜約10週間、約2週間〜約8週間、約3週間〜約7週間、約4週間〜約6週間、及びこれらの中の任意の範囲に及ぶ徐放性を有するべきである。他の実施形態において、薬剤は、抗炎症薬を含むことができ、約6時間〜約3週間、約12時間〜約2週間、約18時間〜約10日間、約1日間〜約7日間、約2日間〜約6日間、及びこれらの中の任意の範囲に及ぶ徐放性を有するべきである。一般に、徐放性は、約4時間〜約12週間;あるいは約6時間〜約10週間;又は約1日間〜約8週間に及ぶべきである。
【0076】
[0076]有効量は、例えば、インビトロ又は動物モデル系から推定できる。いくつかの実施形態において、薬剤又は薬剤の組合せは、ポリマーと薬剤又は薬剤の組合せの総重量を基準にしたパーセントで、約0.001%〜約75%、約0.01%〜約70%、約0.1%〜約60%、約0.25%〜約60%、約0.5%〜約50%、約0.75%〜約40%、約1.0%〜約30%、約2%〜約20%の範囲、及びこれらの中の任意の範囲に及ぶ濃度を有する。
【0077】
(p(HA−EA)、コポリマー及び薬剤の構造)
[0077]用語「p(HA−EA)」は、ヒドロキシル及びカルボキシル基の付いたアルカンを含むヒドロキシ酸部分である、ヒドロキシアルカン酸エステル並びにエステルアミドを含むポリマー性組成物を指す。多くの既知PHA組成物は、それ自体だけでは脆く、本明細書中で教示するように、それらの物理的及び機械的特性は、組成物中でその他の化合物と共にエステルアミドと組み合わせることによって修正できる。上述のような組合せは
、限定はしないが、新規なブレンド、混合物、及び例えば鎖中及びペンダント部分のコポリマーなどのコポリマーを含むその他の組合せをもたらすことができる。
【0078】
[0078]コポリマーは、生物学的有機体中で所望の方式で機能するように設計できる。例えば、コポリマーは、ある種のブレンド及び混合物が、所望されるよりも速い速度で溶脱する薬剤を含むことができるので、性能の安定性を提供できる。共重合によって改善される組成物の例は、PEGとポリマーの組合せである。なんらかの理論又は作用機構によって制約されることを意図するものではないが、コポリマーの形成は、疎水性及び親水性材料のこのようなブレンド又は混合物中でそうでなければ発生する可能性のある相分離による分離相の形成を防止することができ、より高濃度の例えばPEGなどの成分をp(HA−EA)に添加して所望の特性を得ることを可能にする。相分離の形態は、急速な薬剤放出及び/又は貧弱な機械的特性に繋がる場合がある。
【0079】
[0079]いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、再現できる予め決めた結晶化度に向けて設計できる。なんらかの理論又は作用機構によって制約されることを意図するものではないが、結晶化度は、ポリマーの水膨潤及び加水分解のされ易さに影響を与えることができ、それにより、薬剤の生体吸収速度及び放出速度に影響を与える。他の実施形態において、本発明の組成物は、例えば、いくつかの応用においてより望ましいと考えられる可能性のある、薬剤を放出するステント又は被覆などの製品を提供するために、全体侵食よりも表面侵食を示すように設計できる。
【0080】
[0080]本発明のポリマーは、A−部分(A)、B−部分(B)、及びAをBに連結する任意選択の結合(L)を有するポリマー性担体を含むことができる。ポリマー性担体は、薬剤(X)、及びXをポリマーに連結する結合(L)をさらに含むことができる。p(HA−EA)−薬剤の組合せは、一般には式(I)で表すことができる。
【化3】

【0081】
[0081]式(I)で、A:Bの比率は、1未満、1を超え、又は1に等しくて良く;A及びBは、双方とも独立に選択することができ、ポリマーが少なくとも1つのヒドロキシアルカン酸エステル基及び少なくとも1つのエステルアミド基を有するような、モノマーの任意の組合せを含むことができる。L、B、L又はXの少なくとも1つは、任意選択で存在し、生物活性のある及び/又は生物的利益のある薬剤を含むことができ、該薬剤は、また、ポリマーを含む組成物の物理的特性及び/又は機械的特性に影響を与えことができる。整数zは、ポリマーの分子量を反映し、ポリマーの組成によって決まり、所望されるポリマーの特徴によって変化する。いくつかの実施形態において、ポリマーの分子量は、約40,000ダルトン〜約250,000ダルトン、約50,000ダルトン〜約200,000ダルトン、約75,000ダルトン〜約150,000ダルトン、約55,000ダルトン〜約95,000ダルトンの範囲、又はこれらの中の任意の範囲で良い。
【0082】
[0082]いくつかの実施形態において、Aは式(II)で表すことができ、
【化4】


ここで、基R〜R;k及びmは整数であり、nは、零ではない整数であり、L、B、L、及びXは、任意のポリマー、薬剤、又は上述の組合せを含むことができる。いくつかの実施形態において、L、B、L又はXの中の少なくとも1つは、生物活性のある及び/又は生物的利益のある薬剤を含むべきであり、薬剤は、また、該ポリマーを含む組成物の物理的特性及び/又は機械的特性に影響を与えるべきである。このような薬剤を、p(HA−EA)組成物とのブレンド又は混合物として含めることもできる。
【0083】
[0083]いくつかの実施形態において、組成物は、3−ヒドロキシ酪酸エステル、4−ヒドロキシ酪酸エステル、3−ヒドロキシ吉草酸エステル、3−ヒドロキシ酪酸エステル−co−吉草酸エステル(3−hydroxybutyrate−co−valerate)、カプロラクトン、ラクチス、グリコリド、ラクチド−co−グリコリド、及びこれらの組合せを含むことができる。他の実施形態において、各Rは、アルキレン、アルカン酸エステル、アルキルアルカン酸エステル、ジエステル、アシラール(acylals)、二酸(diacids)、飽和脂肪酸、グリセリド、及びこれらの組合せから独立に選択でき、但し、Rの選択後にPHA組成物内に少なくとも1つのヒドロキシアルカン酸エステルが存在する。いくつかの実施形態において、ポリマー中のヒドロキシアルカン酸エステル成分のモル%はポリ(ヒドロキシアルカン酸エステル)を示す特徴をもつポリマーを生成するのに十分な量である。整数kは、この設計特徴が得られるように選択できる。
【0084】
[0084]いくつかの実施形態において、試験できる特徴には、限定はしないが、生物学的特徴、化学特徴及び機械的特徴が含まれる。生物学的特徴には、限定はしないが、生分解性及び生体適合性が含まれる。化学的特徴には、限定はしないが、例えばフーリエ変換赤外分析(FTIR)、フーリエ変換核磁気共鳴(FTNMR)などの連続波又はフーリエ変換分析を使用して分析した場合のスペクトル挙動;例えば、熱重量分析法、示差走査熱量測定法(TGA/DSC)及び動的機械分析法(DMA)を使用して分析した場合の熱挙動;並びに、例えば、化学分析のための電子分光法(ESCA)、二次イオン質量分析法(SIMS)、走査型トンネル顕微鏡法(STM)、原子間力顕微鏡(AFM)及び接触角を使用する走査型フォース顕微鏡法(SFM)を使用して分析した場合の表面挙動が含まれる。熱的−力学的特徴には、限定はしないが、引張強度、引裂強度、モジュラス(modulus)、耐衝撃性(靭性)、歪み−対−破壊(strain−to−failure)、融点、結晶化度、及びガラス転移温度(T)が含まれる。
【0085】
[0085]いくつかの実施形態において、ヒドロキシアルカン酸エステル成分のモル%は、約40%〜約100%、約40%〜約95%、約40%〜約90%、約40%〜約85%、約40%〜約80%、約40%〜約75%、約40%〜約70%、約40%〜約65%、約40%〜約60%の範囲、又はこれらの中の任意の範囲であるべきである。他の実施形態において、PHA成分のモル%は、約45%〜100%、約50%〜約95%、約5
5%〜約90%、約60%〜約85%、約60%〜約80%、約60%〜約75%、約70%〜約100%、約70%〜約95%、約75%〜約95%の範囲、又はこれらの中の任意の範囲であるべきである。他の実施形態において、ヒドロキシアルカン酸エステル成分の質量パーセントは、約5%〜約85%、約10%〜約75%、約15%〜約65%、約20%〜約55%、約30%〜約50%の範囲、又はこれらの中の任意の範囲であるべきである。他の実施形態において、ヒドロキシアルカン酸エステル成分は約20%〜約40%の範囲であり、エステルアミド成分は約60%〜約80%の範囲である。他の実施形態において、ヒドロキシアルカン酸エステル成分は約60%〜約80%であり、エステルアミド成分は約20%〜約40%である。
【0086】
[0086]他の実施形態において、少なくとも1つの持続長(ここで、持続長は、ヒドロキシアルカン酸エステルの鎖がそれを超えると剛性を失い始めると考えられる最大の長さ尺度である)のヒドロキシアルカン酸エステル成分が存在するという条件で、各Rは、アルキレン、アルカン酸エステル、アルキルアルカン酸エステル、ジエステル、アシラール、二酸、飽和脂肪酸、グリセリド、及びこれらの組合せから独立に選択できる。持続長は、とりわけ、ポリマーの旋回半径及び絡み合う潜在能力を示唆する尺度である。いくつかの実施形態において、持続長は、約0.5nm〜約200nm、約0.75nm〜約150nm、約1.0nm〜約100nm、約1.0nm〜約75nm、約1nm〜約50nm、約1nm〜約25nmの範囲、及びこれらの中の任意の範囲である。溶液中でのポリマーの旋回半径は、粘度又はサイズ排除クロマトグラフィーを使用して測定できる。
【0087】
[0087]他の実施形態において、各Rは、ポリマー内にヒドロキシアルカン酸エステル繰り返し単位の少なくとも1つのオリゴマー(ここで、オリゴマーは、長さが約4単位〜約20単位、約6単位〜約20単位、約8単位〜約20単位の範囲、又はこれらの中の任意の範囲にある)が存在するという条件であり、アルキレン、アルカン酸エステル、アルキルアルカン酸エステル、ジエステル、アシラール、二酸、飽和脂肪酸、グリセリド、及びこれらの組合せから独立に選択できる。
【0088】
[0088]官能基R〜Rは、本明細書中で教示する任意の官能基又は薬剤を含むことができる。いくつかの実施形態において、p(HA−EA)組成物中に存在する、例えば、R〜Rなどの官能基を利用して、薬剤を共有又は非共有的に結合し;架橋部位を提供し;電子供与又は吸引部分として役立つことによってp(HA−EA)の生分解を助け;免疫原性を低下させ;薬剤を含んでいても良いポリマー断片のターゲッティング、ポリマー断片及び薬剤;並びにこれらの組合せの溶解性及び生物学的利用能などの薬物動態学及び薬力学を修正できる。いくつかの実施形態において、R〜Rは、水素;置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分枝、環状、飽和及び不飽和の脂肪族基;並びに置換、非置換、及びヘテロ−の芳香族基から独立に選択できる。整数mは、整数kで制約され、ポリマーの特徴を予め決めた程度に修正するように選択することができ、ポリマーの開発における特定の設計上の考慮に合致するように選択された官能基のタイプ及び種類に応じて変更できる。
【0089】
[0089]他の実施形態において、R〜Rに含めることのできる官能基は、例えば、ヒドロキシル、カルボキシル、アルコキシル、エポキシル、カルボニル、及びこれらの組合せなどの酸素含有基を含む。他の実施形態において、R〜Rに含めることのできる官能基は、例えば、アミノ、アミド、ニトロ、イソシアナート、アジド、ジアゾ、ヒドラジノ、アゾ、アゾキシル、シアノ、及びこれらの組合せなどの窒素含有基を含む。他の実施形態において、R〜Rに含めることのできる官能基は、例えば、チオ、チオール、スルフィド、及びこれらの組合せなどの硫黄含有基を含む。他の実施形態において、R〜Rに含めることのできる官能基は、例えば、ビニル、アリル、アクリロイル及びメタクリロール、並びにマレイン酸エステル及びマレイミドなどのエチレン性不飽和基を含む。
【0090】
[0090]他の実施形態において、R〜Rに含めることのできる官能基は、エーテル、エステル、オルトエステル;アンヒドリド、ケトン、ウレタン、ハロゲン、及びこれらの組合せを含む。すべての実施形態において、R〜Rに含めることのできる官能基は、本明細書中で教示する任意の官能基で良く、同じく、本明細書中で教示する任意の官能基で置換されていても良く、ヘテロ原子を含んでいても良い。ヘテロ原子の例には、限定はしないが、硫黄、リン、酸素、窒素、及びこれらの組合せが含まれる。
【0091】
[0091]いくつかの実施形態において、任意選択の結合Lは、置換、非置換、へテロ−、直鎖、分枝、環状、飽和又は不飽和の脂肪族基;及び置換又は非置換の芳香族基を含むことができる。他の実施形態において、Lは、約0〜約50個の炭素原子、約2〜約40個の炭素原子、約3〜約30個の炭素原子、約4〜約20個の炭素原子、約5〜約10個の炭素原子、及びこれらの中の任意の範囲の炭素原子を含むことができる。
【0092】
[0092]他の実施形態において、Lは、例えば、ジスルフィドなどの非炭素種を含むことができる。他の実施形態において、Lは、ポリ(ビニルピロリドン);カルボキシメチルセルロース;ポリ(エチレン);ポリプロピレン;ヒアルロン酸;ヘパリン;ポリ(スチレンスルホン酸エステル);ホスホリルコリン;置換メタクリル酸エステル;限定はしないが、PEG、PEG誘導体(mPEG、アミノで終結したPEG、カルボキシで終結したPEG、及び当技術分野で入手できる任意のその他の官能化PEGなど)を含む置換又は非置換のポリ(アルキレングリコール);PPG;ポリ(テトラメチレングリコール);ポリ(エチレンオキシド−co−プロピレンオキシド)、ポリ(エチレングリコール−co−ヒドロキシ酪酸エステル)、又はこれらのコポリマー及びこれらの組合せを含むことができる。一実施形態において、ポリ(アルキレングリコール)はPEGである。別の実施形態において、ポリ(アルキレングリコール)は、アミノで終結したPEGなどのPEG誘導体を含むことができる。別の実施形態において、Lは、PEG又はPEG誘導体のコポリマーを含むことができる。別の実施形態において、Lは、PEGとヘパリンのコポリマー、PEGとヒルジンのコポリマー、又はこれらの組合せを含むことができる。
【0093】
[0093]他の実施形態では、任意選択の結合Lを利用して、Xをポリマーに連結できる。薬剤Xは、任意の単位間結合で良いLによってポリマーに連結され得る。いくつかの実施形態において、Lは、エーテル、アミド、エステル、アンヒドリド、オルトエステル、全芳香族炭酸エステル、アセタール、ケタール、ウレタン、尿素、グリコシド、ジスルフィド、シロキサン結合、又はこれらの組合せで良い。これらの結合の中には、本発明のいくつかの実施形態で使用されないものもあることを理解されたい。
【0094】
[0094]Lを選択することで、ポリマー性担体内の結合の強度又は安定性に比較した場合の、Xとポリマー性担体の間の結合の相対的強度又は安定性を調節することが可能になる。このような調節により、ポリマー性担体からの結合分子を実質上含まない薬剤の放出を調節することが可能になる。薬剤Xは、生物的利益のある、生物活性のある、診断用の、可塑用のもので良く、あるいは、これらの特性の組合せを有することができる。
【0095】
[0095]いくつかの実施形態において、L、B、L、X、又はこれらの組合せは、ポリオール、ポリカルボン酸、アミノ酸、又はこれらの組合せを含むことができる。これらの部分をp(HA−EA)に組み込むことにより、薬剤を結合するために所望される化学官能基を提供し、及び/又は、所望される物理的/機械的、生物活性のある又は生物的利益のある特徴;又はこれらの組合せを提供することができる。本発明で使用されるポリオールは、2つ又はそれ以上のヒドロキシル基を有する有機化合物で良い。いくつかの実施形態において、ポリオールには、限定はしないが、シクロヘキサンジメタノール、グリセ
ロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、及び式(III)で表される化合物が含まれる。
【化5】


式中、Rは、置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分枝、環状、飽和又は不飽和の脂肪族基;あるいは置換、非置換、又はヘテロ−の芳香族基であり、iは整数である。
【0096】
[0096]いくつかの実施形態において、ポリオールはジオールである。使用できるジオールの例には、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ジヒドロキシアセトン、セリノール、及び、例えば、1,4−cis−シクロヘキサンジメタノールなどのシクロヘキサンジメタノールが含まれる。他の実施形態において、ジオールは、例えば、1,4−ベンゼンジメタノール(p−フェニレンジカルビノール又はp−キシレン−α、α’−ジオールとしても知られている)などの芳香族ジオールで良い。他の実施形態において、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール及びソルビトールなどのポリオールは、架橋を形成する可能性が考えられる限り有用である。ポリオールは、架橋を防止するために1つ又は複数の基を保護すること、意図的に架橋を形成すること、又は特定の反応性のある基に対して選択的である化学を使用することによって選択的に重合され得る。他の実施形態では、セリノール及びジアセトンアルコールなどの官能性ジオールを使用することもできる。
【0097】
[0097]他の実施形態において、Rは、置換又は非置換のポリ(アルキレングリコール)で良く、限定はしないが、ポリ(エチレングリコール)(PEG);例えば、アミノで終結したPEGなどの官能化PEG;PPG;ポリ(テトラメチレングリコール);ポリ(エチレンオキシド−co−プロピレンオキシド);ポリ(エチレングリコール−co−ヒドロキシ酪酸エステル);又はこれらのコポリマー、及びこれらの組合せが含まれる。当業者は、いくつかの群、サブ群、及び個々のポリオールが、本発明のいくつかの実施形態において使用されない場合もあることを認識すべきであることを理解されたい。
【0098】
[0098]PEG類は、約400ダルトン〜約40,000ダルトン、約200ダルトン〜約20,000ダルトン、約400ダルトン〜約25,000ダルトン、約400ダルトン〜約15,000ダルトン、約500ダルトン〜約10,000ダルトン、約750ダルトン〜約7500ダルトン、約1000ダルトン〜約10,000ダルトン、約1000ダルトン〜約5000ダルトンの範囲、又はこれらの中の任意の範囲の分子量を有することができる。本明細書中で、分子量は、数平均分子量として教示される。
【0099】
[0099]本発明で使用されるポリカルボン酸は、2つ又はそれ以上のカルボキシル基を有する有機酸で良い。いくつかの実施形態において、ポリカルボン酸には、ジカルボン酸及びトリカルボン酸が含まれ、脂肪族又は芳香族の構造で良い。一実施形態において、ポリカルボン酸は、式(IV)で表される。
【化6】


式中、Rは、任意選択で存在し、置換、非置換、へテロ−、直鎖、分枝、環状、飽和又は不飽和の脂肪族基;及び置換又は非置換の芳香族基で良く、iは整数である。
【0100】
[0100]ポリカルボン酸の例には、限定はしないが、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、クエン酸、マレイン酸、フマル酸、及びこれらの組合せが含まれる。当業者は、いくつかの群、サブ群、及び個々のポリカルボン酸が、本発明のいくつかの実施形態において使用されない場合もあることを認識すべきであることを理解されたい。
【0101】
[0101]いくつかの実施形態において、Rは、メチレン[−(CH−]又はフェニレン基[−C−](ここで、yは0〜16の整数)である。他の実施形態において、Rとしては、置換又は非置換のポリ(アルキレングリコール)を含むことができ、限定はしないが、PEG、アミノで終結したPEG及びカルボキシルで終結したPEGなどのPEG誘導体;PPG;ポリ(テトラメチレングリコール);ポリ(エチレンオキシド−co−プロピレンオキシド);ポリ(エチレングリコール−co−ヒドロキシ酪酸エステル);又はこれらのコポリマー、及びこれらの組合せが含まれる。他の実施形態において、Rはアリールで良い。他の実施形態において、Rはエポキシ基で置換されていて良い。
【0102】
[0102]他の実施形態において、芳香族ジカルボン酸は、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸などのフタル酸異性体、及びこれらの組合せで良い。他の実施形態において、芳香族ジカルボン酸のフェニル環は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基などのその他の基、及び重合を妨害しない前に定義した任意のその他の官能基で置換されていて良い。
【0103】
[0103]いくつかの実施形態では、ポリオール及びポリカルボン酸を使用して、本発明のp(HA−EA)を架橋できる。一例では、p(HA−EA)を過剰の1種又は複数の二酸と組み合わせてカルボキシルで終結したp(HA−EA)を提供し、次いで、これをジオールと組み合わせてp(HA−EA)を架橋できる。これらの実施形態において、架橋されたp(HA−EA)は、薬剤の共有又は非共有結合のためのネットワークとして役立つことができ、ここで、非共有結合は、とりわけ、架橋されたネットワーク中での薬剤の物理的封じ込め又は物理的絡み合いで良い。
【0104】
[0104]ポリオールでは、ポリカルボン酸を使用して本発明のポリエステルを製造する場合に、架橋により、高い粘度を有し、ゲル化され、あるいはそうでなくても処理が困難なポリマーを生じる場合があるので、架橋を調節するように配慮すべきである。いくつかの実施形態では、異なる反応性を有するカルボキシル基を含むポリカルボン酸を選択することによって架橋を調節できる。他の実施形態では、化学量論で又は一方の反応物を過剰に
することによって架橋を調節できる。他の実施形態では、1つ又は複数のカルボキシル基を、例えば、ベンジルエステルを形成するなど、化学部分で保護することによって架橋を調節できる。いくつかの実施形態において、ポリカルボン酸には、限定はしないが、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、トリカルバリル酸、トリメリット酸、及びトリメリット酸無水物が含まれる。例えば、反応でトリメリット酸無水物を1当量のアミン又はヒドロキシ官能性化合物と組み合わせると、カルボキシル基の1つを本質的に官能化又は保護できる。
【0105】
[0105]本発明で使用されるアミノ酸は、アミノ基及びカルボキシル基を含む有機化合物で良く、アミノ基は、第1級又は第2級で良い。アミノ酸の例には、限定はしないが、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン、セリン、トレオニン、システイン、アスパラギン、プロリン、トリプトファン、ヒスチジン及びこれらの組合せが含まれる。いくつかの実施形態において、アミノ酸は、式(V)で表される。
【化7】


式中、Rは、水素;置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分枝、環状、飽和又は不飽和の脂肪族基;あるいは置換、非置換、又はヘテロ−の芳香族基で良い。いくつかの実施形態において、Rは、メチル、iso−プロピル、sec−ブチル、iso−ブチル、ベンジル、又はこれらの組合せの置換、非置換、又はヘテロ−形態で良い。
【0106】
[0106]Rが置換されている実施形態において、置換基の例には、限定はしないが、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、イミノ基及びこれらの組合せが含まれる。Rがヘテロ脂肪族である実施形態において、ヘテロ原子の例には、限定はしないが、硫黄、リン、酸素、窒素及びこれらの組合せが含まれる。他の実施形態において、Rは、置換又は非置換のポリ(アルキレングリコール)を含むことができ、これには、限定はしないが、PEG、mPEGなどのPEG誘導体、PPG、ポリ(テトラメチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド−co−ポリプロピレンオキシド)、ポリ(エチレングリコール−co−ヒドロキシ酪酸エステル)、又はこれらのコポリマー及びこれらの組合せが含まれる。
【0107】
[0107]いくつかの実施形態において、アミノ酸は、2官能性アミノ酸又は3官能性アミノ酸に限定される場合がある。他の実施形態において、アミノ酸は、ジアミン又はトリアミンに限定される場合がある。他の実施形態において、アミノ酸は、モノカルボキシル性又はジカルボキシル性に限定される場合がある。他の実施形態において、アミノ酸は脂肪族に限定される場合がある。他の実施形態において、アミノ酸は、芳香族に限定される場合がある。他の実施形態において、アミノ酸は、アミドに限定される場合がある。当業者は、いくつかの群、サブ群、及び個々のアミノ酸は、本発明のいくつかの実施形態において使用されない場合もあることを認識すべきであることを理解されたい。
【0108】
[0108]他の実施形態において、L、B、L及び/又はXは、式(VI)〜(VIII)のいずれか1つ又はいずれかの組合せを含むことができ、
【化8】

【0109】
[0109]式中、(a)Rは、任意選択で存在し、置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分枝、環状、飽和又は不飽和の脂肪族基;あるいは置換、非置換、又はヘテロ−の芳香族基から独立に選択することもでき;(b)R及びRは、置換、非置換、へテロ−、直鎖、分枝、環状、飽和又は不飽和の脂肪族基;あるいは置換、非置換、又はヘテロ−の芳香族基から独立に選択することができ;(c)R〜R12は、水素;置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分枝、環状、飽和又は不飽和の脂肪族基;あるいは置換、非置換、又はヘテロ−、の芳香族基から独立に選択することができ;(d)R13及びR14は、水素;置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分枝、環状、飽和又は不飽和の脂肪族基;及び置換、又は非置換の芳香族基から独立に選択することができる。いくつかの実施形態において、Rは、置換、非置換、又はヘテロ−の芳香族基ではない。
【0110】
[0110]式(I)、(II)及び(VI)〜(VIII)を使用するいくつかの実施形態において、mは、約0〜約50、約1〜約40、約2〜約30、約3〜約20、約4〜約10の範囲、又はこれらの中の任意の範囲で良く;nは、約1〜約1400、約10〜約800、約20〜約400の範囲、又はこれらの中の任意の範囲で良く;pは、約4〜約1400、約10〜約800、約20〜約400、又はこれらの中の任意の範囲で良く;Zは、約10〜約1600、約20〜約1200、約30〜約900、約50〜約600の範囲、又はこれらの中の任意の範囲で良く;nとpの和は、約30〜約1600、約50〜約1200、約75〜約900、約100〜約600の範囲、又はこれらの中の任意の範囲で良い。一般的に言って、ヒドロキシアルカン酸エステル上の末端基の異質特性を変更して、重合反応生成物がより予測可能であり、調節可能であるように末端基を均一にすることができる。いくつかの実施形態において、例えば、ヒドロキシアルカン酸エステルは、カルボキシルで終結、ヒドロキシルで終結、又はアミノで終結していて良い。
【0111】
[0111]いくつかの実施形態では、ヒドロキシアルカン酸エステルは、例えばヒドロキシ
アルカン酸エステルを二酸と組み合わせることによって、カルボキシルで終結されているように変更できる。他の実施形態では、ヒドロキシアルカン酸エステルは、例えばヒドロキシアルカン酸エステルをジオールと組み合わせることによって、ヒドロキシルで終結されているように変更できる。他の実施形態では、ヒドロキシアルカン酸エステルは、例えば、ヒドロキシルで終結したヒドロキシアルカン酸エステルを反応性アミン含有部分又はアミンに変換され得る反応性部分と組み合わせることによって、アミノで終結されているように変更できる。一例では、ヒドロキシルで終結したヒドロキシアルカン酸エステルをアジリジンと組み合わせてアミンで終結したヒドロキシアルカン酸エステルを作り出すことができる。別の例では、ヒドロキシルで終結したヒドロキシアルカン酸エステルをジイソシアナートと組み合わせて、例えば、水と組み合わせてアミンで終結したヒドロキシアルカン酸エステルを製造できるイソシアナートで終結したヒドロキシアルカン酸エステルを形成できる。別の例で、ヒドロキシルで終結したヒドロキシアルカン酸エステルをトシルクロリドと組み合わせて、例えば、アンモニアと組み合わせてトシル部分を置き換えて、アミノで終結したヒドロキシアルカン酸エステルを製造できるトシルで終結したヒドロキシアルカン酸エステルを形成できる。これらの変換は、ポリ(ヒドロキシアルカン酸エステル)上でも同様に実施可能であり、当業者は、所望の反応生成物を得るのに必要な反応条件を選択できる。
【0112】
[0112]いくつかの実施形態において、本発明のポリマーは、次の方法で調製できる。すなわち、ポリ(ヒドロキシアルカン酸エステル)を多官能性アミノ酸、二酸又は二酸の誘導体、及び薬剤と組み合わせることができる。ペプチド型の組合せの混合が所望される実施形態では、2種のアミノ酸を独立に選択し、例えば、1つのアミノ酸が2官能性であり、他方が多官能性であるように組み合わせることができる。
【0113】
[0113]多官能性アミノ酸の例は、3官能性アミノ酸である。3官能性アミノ酸の例には、限定はしないが、リシン、チロシン、アルギニン、又はグルタミン酸が含まれる。二酸の例には、限定はしないが、前に列挙したジカルボン酸が挙げられる。二酸の誘導体の例には、限定はしないが、二酸クロリド、ジアンヒドリド、又はジ−p−ニトロフェニルエステルが含まれる。ジカルボン酸を使用する場合、反応は、ジメチルホルムアミド(DMF)又はテトラヒドロフラン(THF)などの溶媒中、1−エチル−3(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)又は1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)の存在下で実施できる。二酸クロリド又はジ−p−ニトロフェニルエステルを使用する場合には、過剰のピリジン又はトリエチルアミンを存在させるべきである。使用できるその他の溶媒の例には、限定はしないが、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、及びジオキサンが含まれる。
【0114】
[0114]式(VI)〜(VIII)などのPEAコポリマー区分を調製するのに使用される反応条件は、無水であり、エステル化に有利であるべきである。いくつかの実施形態において、反応溶媒としては、トルエン及びベンゼンを挙げることができ、蒸留して水を除去するべきである。反応は、例えば、p−トルエンスルホン酸(TsOH)などの強酸又は塩基によって触媒され得る。いくつかの実施形態において、反応温度は、約25℃〜約150℃、約35℃〜約100℃、約50℃〜約80℃、の範囲、又はこれらの中の任意の範囲である。いくつかの実施形態において、反応時間は、約1時間〜約24時間、約6時間〜約18時間、約10時間〜約14時間の範囲、又はこれらの中の任意の範囲である。上述の任意の薬剤を使用できる。
【0115】
[0115]3官能性アミノ酸を、後に除去される保護基で第3の官能基を保護することによってポリマー中に組み込むことができる。保護基の例は、リシンのカルボキシルに対してはベンジルエステル、例えばグルタミン酸中のアミノ基のようなアミノ基に対してはt−ブトキシカルボニルである。
【0116】
[0116]ベンジルエステル保護基は、例えば、炭素上のパラジウム又は白金などの触媒上で水素ガスを用いる水素化分解でリシンカルボキシルから除去できる。適切な溶媒の例には、限定はしないが、エタノール、メタノール、イソプロパノール、及びTHFが含まれる。いくつかの実施形態において、反応は、1気圧の水素下に約6時間〜約24時間、約8時間〜約16時間、約10時間〜約14時間、又はこれらの中の任意の範囲で実施できる。保護基を除去した後、アミノ、ヒドロキシル、チオール、又はこれらの組合せを含む薬剤をカルボキシル基に連結できる。薬剤を連結するのに使用されるカップリング剤には、限定はしないが、EDC及びDCCが含まれる。塩化チオニル又は五塩化リンは、酸クロリド誘導体を調製するより選択性の少ない方法で使用できる。
【0117】
[0117]例えば、4−アミノ−TEMPOなどのアミン官能性化合物を、例えば、リシン由来カルボキシルなどの遊離カルボキシルを含むポリマーに、最初に該カルボキシルを活性化し、溶媒中で撹拌下にアミンをカップリングすることによって連結できる。カルボキシルは、例えば、THF又はクロロホルムなどの溶媒中、例えばN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)及びDCCを用いて活性化でき、N−ヒドロキシスクシンイミドエステルを生成する。アミンをカルボキシルにカップリングさせるのに使用できる溶媒の例には、限定はしないが、THF及びDMFが含まれる。いくつかの実施形態において、反応は、約5℃〜約50℃、約15℃〜約35℃、約20℃〜約30℃、又はこれらの中の任意の範囲の温度で起こる。いくつかの実施形態において、反応時間は、約0.5時間〜約24時間、約1時間〜約18時間、約4時間〜約16時間、約6時間〜約12時間の範囲、又はこれらの中の任意の範囲である。
【0118】
[0118]PEAをヒドロキシアルカン酸エステルと組み合わせて、p(HA−EA 組成物にあって鎖中及び/又はペンダント状で存在するコポリマーを生成できる。PEA官能基を付加する1つの目的は、回復促進性、靭性があり、より高い耐衝撃性及びより低いモジュラスを有するp(HA−EA)組成物を作ることである。このようなp(HA−EA)組成物は、例えば、薬物溶出ステントなどの特定の応用により適用できる。p(HA−EA)組成物にPEA官能基を付加するもう1つの目的は、インビボでの生分解速度及び製品にさらなる調節を導入することである。PEA量がポリマー中で増加するにつれ、組成物中でインビボで起こる酵素による加水分解量も増加し、それによって、組成物の設計に基づいて調節できる鎖切断のもう1つの機構を提供する。
【0119】
[0119]いくつかの実施形態において、p(HA−EA)ファミリーは、式(IX)で表すことができる。
【化9】


式中、基R〜R、k、m、及びXは、前に定義されており、qは、零ではない整数である。一実施形態において、Rは、例えば、リシンなどのアミノ酸中のカルボキシルで終結したアルキレン基で良い。
【0120】
[0120]一実施形態において、p(HA−EA)ファミリーは、式(X)で表すことができる。
【化10】


式中、基R〜R、k、m、及びXは、前に定義されており、qは、零ではない整数である。一実施形態において、Rは、例えば、リシンなどのアミノ酸中のカルボキシルで終結したアルキレン基で良い。
【0121】
[0121]他の実施形態において、ジペプチド断片を含むp(HA−EA)ファミリーは、式(XI)で表すことができる。
【化11】


式中、基R〜R、R13、k、m、及びXは、前に定義されており、qは、零ではない整数である。一実施形態において、Rは、例えば、リシンなどのアミノ酸中のカルボキシルで終結したアルキレン基で良い。
【0122】
[0122]他の実施形態において、p(HA−EA)ファミリーは、式(XII)で表すことができる。
【化12】


式中、基R〜R、k、m、p、及びXは、前に定義されている。一実施形態において、Rは、例えば、リシンなどのアミノ酸中のカルボキシルで終結したアルキレン基で良い。
【0123】
[0123]別の実施形態において、p(HA−EA)ファミリーは、式(XIII)で表すことができる。
【化13】


式中、基R〜R、k、m、及びXは、前に定義されており、qは、零ではない整数である。一実施形態において、Rは、例えば、リシンなどのアミノ酸中のカルボキシルで終結したアルキレン基で良い。別の実施形態において、Rは、例えば、エチレン基などのアルキレン基として独立に選択され得る。このポリマーの主要部分は、ポリ(ヒドロキシアルカン酸エステル二酸)(「PHADA」)である。従って、式(XIII)を、例えば式(VI)〜(VIII)と組み合わせて、限定はしないが式(XIV)を含んでも良いポリマーのファミリーを製造できる。
【化14】


式中、R、R、p、及びXは、前に定義されており、qは、零ではない整数である。いくつかの実施形態において、Rは、例えばリシンなどのアミノ酸中のカルボキシルで終結したアルキレン基で良い。
【0124】
[0124]別の実施形態において、アミノで終結したヒドロキシアルカン酸エステルを含むp(HA−EA)ファミリーは、式(XV)で表すことができる。
【化15】


式中、基R〜R、k、m、p及びXは前に定義されており、qは、零ではない整数で
ある。基R15は、アミノで終結したヒドロキシアルカン酸エステルを作り出すのに使用される部分の一部である。いくつかの実施形態において、R15は、アルキレン、アミド、アシル、又はこれらの組合せで良い。他の実施形態において、R15は、エチレン基で良い。一実施形態において、Rは、例えばリシンなどのアミノ酸中のカルボキシルで終結したアルキレン基で良い。別の実施形態において、Rは、例えばエチレン基などのアルキレン基として独立に選択され得る。
【0125】
[0125]上述の薬剤を含む各種の部分は、ペンダント及び/又は鎖内で本発明のp(HA−EA)と次のように結合され得る。
【0126】
(I.ポリマーに対してペンダント結合した薬剤)
[0126]本明細書中で教示する任意のポリマーに種々の方法で薬剤を結合できる。例えば、薬剤を、イオン結合、水素結合、金属イオン配位、又は物理的連結によるなど、共有又は非共有的に連結できる。いくつかの実施形態では、A、L、B、L、及び/又はXを、化学的に官能化して、薬剤をp(HA−EA)組成物に対するペンダント基として連結するための部位を提供できる。連結を形成するのに使用できる官能基の例は、前に記載している。
【0127】
[0127]いくつかの実施形態において、A、L、B、L、及び/又はXに導入される官能基には、限定はしないが、カルボン酸、アミン、チオール、アルコール、アンヒドリド、エステル、不飽和基及びハロゲンが含まれる。他の実施形態において、薬剤をポリマーに結合するための官能基として金属を導入できる。本発明の他の実施形態において、薬剤をポリマーに連結するのに使用できる高歪み反応基として、エポキシ基を含む二酸をp(HA−EA)中に導入できる。このようなp(HA−EA)の例には、限定はしないが、2,3−エポキシコハク酸、3,4−エポキシアジピン酸又はジエポキシアジピン酸が含まれる。
【0128】
[0128]表面処理を利用してポリマーを官能化することができ、処理には、例えば、当業者に周知である化学的処理、機械的処理、及び、化学及び機械的処理が含まれる。機械的表面処理には、限定はしないが、表面に対する研磨、ポリシング、レーザーエネルギー照射が含まれる。レーザー表面処理には、レーザーエネルギーを照射して、加熱、酸化、熱分解、活性化すること、又は化学結合を開裂することが含まれる。化学的表面処理には、限定はしないが、例えば、クロム酸エッチングなどのエッチング;オゾン化;ヨウ素処理;ナトリウム処理;表面グラフト化;陽極酸化;熱、炎、UV、コロナ放電、及びプラズマ処理;及びプライマーの使用が含まれる。いくつかの実施形態において、医療用物品は、それらを形成した後に表面処理する場合もあり、該処理によって、官能化p(HA−EA)を使用して医療用物品を形成することに関連する問題を低減することができる。いくつかの実施形態において、このような処理を利用して官能基をポリマー表面の予め定めた領域に局在化し、選択薬剤の局在化を可能にすることができる。
【0129】
[0129]いくつかの実施形態において、表面処理は、クロム酸エッチングをして、例えば、ヒドロキシル、カルボニル、カルボン酸、及びSOH基などの官能基を導入し、機械的連結のための部位を提供する根状空隙(root−like cavities)を形成することを含む。他の実施形態において、表面処理は、例えば、テトラヒドロフラン中に溶解したナトリウム−ナフタレン錯体(sodium−naphthalene complex)又はアンモニア中に溶解したナトリウム−アンモニア錯体(sodium−ammonia complex)を含むより強烈なエッチング溶液を塗布して、不飽和結合、カルボニル基、及びカルボキシル基を導入することを含む。他の実施形態において、表面処理は、ヨウ素処理を行い、ポリマー表面の結晶化をα型(N−H基が表面に並行に横たわる)からベータ型(N−H基が表面に垂直に立つ)に変更することを含む。他の
実施形態において、表面処理は、典型的には多官能性化学薬品であって、ポリマーと薬剤の間の化学的架橋として作用するプライマーを塗布することを含む。
【0130】
[0130]いくつかの実施形態において、表面処理は、例えば、酢酸ビニルモノマーの存在下でポリ(エチレン)をガンマ線に暴露してポリ(エチレン)表面に酢酸ビニルモノマーを化学的にグラフトすることなど、ポリマー表面に化学薬品を表面グラフトして、薬剤を結合するための官能基を提供することを含む。他の実施形態において、表面処理は、例えば、Ar、He、N、O、空気及びNHなどのガスのイオンでプラズマ処理して、例えば、カルボン酸又はアミノ基などの官能基を導入することを含む。他の実施形態において、表面処理は、通常、空気の存在下に大気圧でコロナ放電を行い、例えば、不飽和結合に加え、カルボニル、ヒドロキシル、ヒドロペルオキシド、アルデヒド、エーテル、エステル、及びカルボン酸基などの官能基を導入することを含む。
【0131】
[0131]いくつかの実施形態において、表面処理は、炎処理を行ってポリマー表面を酸化し、フリーラジカル機構(free radical mechanism)を介して、例えば、ヒドロキシル、カルボニル、カルボキシル、及びアミド基などの官能基を導入することを含む。他の実施形態において、表面処理は、ポリマー表面を熱噴射空気(約500℃)で熱的に処理し、フリーラジカル機構を介して、例えば、カルボニル、カルボキシル、アミド、及びヒドロペルオキシド基などの官能基を作り出すことを含む。他の実施形態において、表面処理は、予め決めた波長の高強度UV光を用いる紫外(UV)線照射を行って官能基を作り出すことを含む。ここで、該方法は、例えば、ポリエチレン表面を架橋するには184nmの波長を、又は交差架橋を回避して水素結合を誘導するには253.7nmの波長を使用すれば良い。他の実施形態において、表面処理は、薬剤の存在下にポリマー表面を研磨又はポリシングして薬剤と直接反応するフリーラジカルを作り出すことを含む。
【0132】
[0132]薬剤をポリマーに連結するための官能基の選択は、インビボで薬剤をポリマーから放出する能力に影響を与える。式(X)において、例えば、Lは、いくつかの実施形態で望ましくない場合もあるエステルである。後に例示し説明するように、Lを注意深く選択すると、ポリマーの生分解の間にXの誘導体が生まれることから起こる可能性のある安全性及び規制の問題を軽減するのを助けることができる。
【0133】
[0133]Lの例には、限定はしないが、アミド、尿素、ウレタン、エステル、セミカルバゾン、イミン、オキシム、アンヒドリド、ケタール、アセタール、オルトエステル、ジスルフィド、及び全芳香族炭酸エステルが含まれる。いくつかの実施形態において、Lは、エステル、アンヒドリド、ケタール、アセタール、オルトエステル、又は全芳香族炭酸エステルで良い。いくつかの実施形態において、Lは、アンヒドリド、ケタール、アセタール、オルトエステル、又は全芳香族炭酸エステルで良い。いくつかの実施形態において、Lは、ケタール、アセタール、オルトエステル又は全芳香族炭酸エステルで良い。いくつかの実施形態において、Lは、アセタール、オルトエステル、又は全芳香族炭酸エステルで良い。いくつかの実施形態において、Lは、オルトエステル又は全芳香族炭酸エステルで良い。いくつかの実施形態において、Lは、式(XVI)で表される部分を含む結合を含む全芳香族炭酸エステルで良い。
【化16】


式中、Rは、任意選択で存在し、例えば、置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分枝、環状、飽和及び不飽和の脂肪族基;置換及び非置換の芳香族基;並びにこれらの組合せから独立に選択することができ、下付き文字nは整数である。
【0134】
[0134]いくつかの実施形態において、p(HA−EA)は、式(XVII)で表される。
【化17】


式中、R〜R、k、m、及びqは前に定義されており、エチレンオキシドの反復単位数は、約1〜約100、約2〜約80;約3〜約70、約4〜約60、約2〜約20、約3〜約30、約4〜約40、約5〜約50の範囲、又はそれらの中の任意の範囲である。
【0135】
[0135]式(XVII)において、二酸はセバシン酸であり、アミノ酸はリシンであり、薬剤はPEGである。PEGは、ポリマーの残余部分の安定性に較べて安定な結合であるアミド結合を介してB−部分に連結される。例えばmPEGなどの任意のPEG誘導体が使用され得ることを理解されたい。
【0136】
[0136]p(HA−EA)組成物にPEO官能基を付加すると、例えば、可塑化効果を提供し、ポリマーをより柔軟にして靭性を増す水の取り込みを増加させることによって組成物が改質される。また、水取り込みの増加は加水分解速度を増大し、それによって、生分解及び薬物放出の速度に関するさらなる調節を提供する。ブレンド又は混合物中のPEG相の相対的親水性のため、PEG成分は、PEGとp(HA−EA)のブレンド又は混合物から所望するよりも速い速度で溶脱することができる。PEO官能基とp(HA−EA)組成物との共重合は、疎水性材料と親水性材料のブレンド中でさもなければ発生する相分離を回避することによってこのような溶脱を防止する。コポリマーは、親水性PEG部分の負荷濃度の増加を可能にし、PEGの添加により実現される機械的及び生物的利益のある特性のなんらかの改善を持続する。
【0137】
[0137]いくつかの実施形態において、p(HA−EA)は、式(XVIII)で表され
る。
【化18】


式中、R〜R、k、m、及びqは、前に定義されている。
【0138】
[0138]式(XVIII)において、二酸はセバシン酸であり、アミノ酸はリシンであり、薬剤は、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−アミノ−TEMPO)である。4−アミノ−TEMPOは、アミド結合を介してB−部分に連結されており、該結合は、エステル結合でのポリマーの分解に由来する4−アミノ−TEMPOに対するさらなる分子の結合をもたらすポリマーの生分解の際にそのまま残存する。結果として、このような放出される薬剤は、4−アミノ−TEMPOではなく4−アミノ−TEMPOの誘導体であり、規制上の懸念を引き起こす。
【0139】
[0139]いくつかの実施形態において、p(HA−EA)は、式(XIX)で表される。
【化19】


式中、R〜R、k、m、及びqは、前に定義されている。
【0140】
[0140]式(XIX)において、二酸はセバシン酸であり、アミノ酸はリシンであり、薬剤は、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−
ヒドロキシ−TEMPO)である。4−ヒドロキシ−TEMPOは、エステル結合を介してB−部分に連結されており、該結合は、アミド結合よりもより不安定であり、ポリマーからの薬剤の放出を可能にする。Lエステルの開裂は、PEAエステルの開裂と競合し、エステル結合でのポリマーの分解に由来した4−ヒドロキシ−TEMPOに対するさらなる分子の結合をもたらす可能性がある。
【0141】
[0141]いくつかの実施形態において、p(HA−EA)は、式(XX)で表される。
【化20】


式中、R〜R、k、m、及びqは、前に定義されている。
【0142】
[0142]式(XX)において、ジオールはブタン−1,6−ジオールであり、二酸はセバシン酸であり、アミノ酸はリシンであり、薬剤は、4−カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−カルボキシ−TEMPO)である。4−カルボキシ−TEMPOは、無水物結合(anhydride linkage)を介してB−部分に連結されており、該結合は、エステル結合よりもより不安定であり、それゆえ、エステル結合でのポリマーの生分解に由来するさらなる分子の結合なしでの薬剤の放出が可能になる可能性がある。
【0143】
[0143]いくつかの実施形態において、p(HA−EA)は、式(XXI)で表される。
【化21】


式中、R〜R、k、m、q、及びエチレンオキシド反復単位の数は、前に定義されている。
【0144】
[0144]式(XXI)において、二酸はセバシン酸であり、1つのアミノ酸はロイシンであり、他のアミノ酸はリシンであり、XはPEGであり、Lは、ポリマーの残余部分の安定性と比較して安定であるアミドである。例えば、mPEGなどの任意のPEG誘導体も使用できることを理解されたい。
【0145】
[0145]特定の応用に向けて設計された多様な市販のPEG分子量及び誘導体が存在する。いくつかの実施形態では、PEGを官能化して、PEGを、例えば、アミン、チオール、ヒドロキシル及びカルボキシル官能基などの本明細書中で教示する任意の官能基へ結合することを可能にすることができる。これらの実施形態において、PEGの結合は、共有性、非共有性、生分解性又は非生分解性で良い。PEGは、本明細書中で教示する任意のその他の薬剤を運搬及び/又は送達するための結合点としても使用できる。他の実施形態では、PEGを、共有結合、非共有結合、及び薬剤送達速度の調節のための架橋されたヒドロゲルの形態で、p(HA−EA)組成物と組み合わせることができる。他の実施形態において、PEGは、30,000ダルトン以下の分子量を有するか、あるいは30,000ダルトン以下の分子量を有するフラグメントに生分解され、対象からの腎クリアランスを確実にすることができる。
【0146】
[0146]いくつかの実施形態において、p(HA−EA)は、式(XXII)で表される。
【化22】


式中、R〜R、k、m、及びqは、前に定義されている。
【0147】
[0147]式(XXII)において、二酸はセバシン酸であり、アミノ酸はロイシンであり、Xはエストラジオールであり、Lは、エステルよりもより不安定である、3,9−ジエチリデン−2,4,8,10−テトラオキサスピロ−[5,5]−ウンデカン(DETOSU)として知られているオルトエステルである。式(XXII)のポリマーを調製するには、1当量のグリセロールを2当量のロイシンと組み合わせてアミノで終結したポリマーサブユニットを得ることができる。次に、p(HA−EA)をセバシン酸及びアミノで終結したポリマーサブユニットと組み合わせてヒドロキシ官能性p(HA−EA)を得
ることができる。次いで、エストラジオールを3,9−ジエチリデン−2,4,8,10−テトラオキサスピロ−[5,5]−ウンデカン(DETOSU)と組み合わせてエストラジオール−DETOSU部分を形成できる。ヒドロキシ官能性p(HA−EA)をエストラジオール−DETOSUと反応させてPEA−薬剤の組合せを形成できる。
【0148】
[0148]例えば、グリコサミノグリカンなどのポリマー性薬剤は、グラフト−コポリマーとしてp(HA−EA)に連結できる。いくつかの実施形態において、グリコサミノグリカンは、アルデヒドで終結しており、第1級アミンでp(HA−EA)に連結される。ポリマー骨格上にペンダントアミノ基をもつp(HA−EA)は、p(HA−EA)を、例えば、DMF又はTHFなどの適切な溶媒中でセバシン酸ジ−p−ニトロフェニルとε−カルボベンゾキシ−L−リシンを反応させて形成される酸で終結したユニットと重合させることを含む方法によって製造できる。p(HA−EA)は、カルボジイミドを使用して酸で終結したユニットと組み合わせることができる。
【0149】
[0149]p(HA−EA)に対するグリコサミノグリカンのカップリングでは、セバシン酸及び保護されたリシンにカップリングされたセバシン酸の混合集団を、ブレンドし、p(HA−EA)と反応させて予め決めた設計のジブロックコポリマーを形成できる。反応温度は、約25℃〜約150℃、約50℃〜約125℃、約80℃〜約100℃の範囲、又はこれらの中の任意の範囲である。反応は、約1時間〜約24時間、約6時間〜約18時間、約10時間〜約14時間の範囲、又はこれらの中の任意の範囲で行われる。カルボベンゾキシ保護基は、前に述べた方法を使用して、炭素上のパラジウム触媒上での水素化分解で除去できる。いくつかの実施形態において、例えば、アルデヒド官能化ヘパリンなどのグリコサミノグリカンは、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH)及びDMF/水溶媒を使用する還元アミノ化によってp(HA−EA)に連結できる。他の実施形態において、グリコサミノグリカンは、ヒアルロン酸又はその誘導体で良い。
【0150】
[0150]PEAは、また、類似の手法でグラフトコポリマーとしてPHAに連結できる。いくつかの実施形態において、PHAは、すべてヒドロキシアルカン酸エステルを含む骨格を有することができる。他の実施形態において、ポリマー骨格は、PHAとPEAとのコポリマーで良い。他の実施形態において、ポリマー骨格は、p(HA−EA)とPEGとのコポリマーで良い。他の実施形態において、ポリマーは、p(HA−EA)と本明細書中で教示する任意のその他のポリマーとのコポリマーで良い。
【0151】
[0151]いくつかの実施形態において、PEA−PHAグラフトコポリマー中のPEAの数平均分子量は、約1000〜約60,000、約1000〜約50,000、約1000〜約40,000、約1500〜約35,000、約1500〜約30,000、約1750〜約25,000、約2000〜約20,000、約2000〜約15,000、約2000〜約10,000の範囲、又はこれらの中の任意の範囲で良い。
【0152】
(II.コポリマーとしての薬剤)
[0152]本発明の方法は、薬剤ポリマー及びポリエステルの一端又は両端を活性化することによって、グラフトコポリマー、ABコポリマー、ABAコポリマー、又はABABAB...マルチブロックコポリマーなどの各種コポリマーを生成するように設計できる。AB型コポリマーは、双方のポリマーが1つの活性端を有するだけの場合に生じる。ABA型コポリマーは、一方のポリマーが1つの活性端を、他方のポリマーが2つの活性端を有する場合に生じる。ABABAB...型コポリマーは、双方のポリマーが2つの活性端を有する場合に生じる。
【0153】
[0153]ポリマー性薬剤は、コポリマーとしてp(HA−EA)に連結することができ、本明細書中で教示する任意の薬剤で良い。いくつかの実施形態において、薬剤には、限定
はしないが、例えば、ポリ(エチレングリコール)及びポリ(プロピレングリコール)などのポリ(アルキレングリコール);ホスホリルコリン;ポリ(N−ビニルピロリドン);ポリ(エチレンオキシド);ポリ(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸);ポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)、ポリ(3−ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、ポリ(スチレンスルホン酸エステル);例えば、カルボキシメチルセルロースなどの糖類;例えば、スルホン化デキストランなどのスルホン化多糖;例えば、硫酸化デキストラン及びデルマタン硫酸などの硫酸化多糖;並びにこれらの任意の誘導体、類似体、同族体、同類物、塩、コポリマー、及びこれらの組合せが含まれる。他の実施形態において、薬剤には、限定はしないが、例えば、ヒアルロン酸、ヘパリン、ヒルジン、デルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸などのグリコサミノグリカン;キチン、;キトサン;並びにこれらの任意の誘導体、類似物、同族体、同類物、塩、コポリマー、及びこれらの組合せが含まれる。
【0154】
[0154]他の実施形態において、薬剤は、例えば、ポリ(エステルアミド)、エラスチン、絹−エラスチン、コラーゲンなどの回復促進性;コンドロイチン硫酸;例えば、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、及びArg−Gly−Asp(RGD)を含むペプチドなどのペプチド配列;並びにこれらの任意の誘導体、類似物、同族体、同類物、塩、コポリマー、及びこれらの組合せで良い。他の実施形態において、薬剤は、例えば、トロンボモジュリンなどの非血栓症薬;例えばオルガノシランなどの抗菌薬;並びにこれらの任意の誘導体、類似物、同族体、同類物、塩、コポリマー及びこれらの組合せで良い。
【0155】
(1.ヘパリン又はヒアルロン酸などのグリコサミノグリカンを含むp(HA−EA))
[0155]p(HA−EA)と、ヘパリン又はヒアルロン酸などのグリコサミノグリカンとのグラフトコポリマー、あるいはヘパリン又はヒアルロン酸などのグリコサミノグリカンの末端ブロックを有するp(HA−EA)のブロックコポリマーを調製できる。いくつかの実施形態において、これらのコポリマーは、アミノ官能化p(HA−EA)、例えばアミノで終結したp(HA−EA)をアルデヒド官能化ヘパリンと組み合わせることによって調製できる。アルデヒド官能化ヘパリンの例は、式(XXIII)で表すことができる。
【化23】


式中、pは0でない整数である。
【0156】
[0156]アルデヒド官能化ヘパリンを、例えばアミノ官能性p(HA−EA)と、DMF溶媒中、40℃で組み合わせ、溶解する。形成されたシッフ塩基を還元するためにNaCNBHを添加し、溶液を24〜48時間撹拌して、ヘパリンの配置に応じてグラフト又はブロックのp(HA−EA)−ヘパリンコポリマー構造を生成させる。
【0157】
[0157]PHAとBブロックとしてのPHAとヘパリンのABAブロック−コポリマーは、カルボキシルで終結したPHAをアルデヒドで終結したヘパリンと組み合わせることによって調製できる。カルボキシルで終結したPHAを、先ず、例えば、EDC又はDCCで活性化し、次いで、大過剰のアジピン酸ジヒドラジドと組み合わせてアミノで官能化されたPHAを調製する。次いで、ヘパリンを前に述べたような還元アミノ化によってp(HA−EA)にカップリングさせる。別法として、アルデヒドで終結したヘパリンを、例えば水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)、水素化ホウ素カリウム(KBH)又はシアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH)などの還元剤の存在下にアンモニア又はn−ブチルアミンで処理してアミノ官能化ヘパリンを製造できる。カルボキシルで終結したp(HA−EA)を、例えばEDC又はDCCで活性化し、アミノ官能化ヘパリンと組み合わせることができる。
【0158】
[0158]本発明のいくつかの実施形態において、薬剤は、ポリマーの物理的/機械的特性を修正することに加え、p(HA−EA)ポリマーの生体適合性又は非汚染特性を高めることのできる生物的利益のある任意の薬剤で良いことを理解されたい。例えば、ヒアルロン酸は、グラフトポリマー又は末端ブロックコポリマーなどのp(HA−EA)−ヒアルロン酸コポリマーを形成するのに使用されるポリマー性薬剤で良い。ヒアルロン酸は、遊離のカルボキシル基を有し、アルデヒド誘導体化ヒアルロン酸は、例えば、ヒアルロン酸を亜硝酸又は過ヨウ素酸塩で酸化することによって調製できる。次いで、アルデヒド誘導体化ヒアルロン酸を上述のようにポリエステルと組み合わせることができる。
【0159】
[0159]カルボキシルだけではなくヒドロキシルでも終結しているp(HA−EA)のように、多官能性であるp(HA−EA)は、例えば、カルボキシル基とヒドロキシル基の比率を測定するための標準的な分析技術を使用して分析できる。このことは、またアミノ官能基を含むp(HA−EA)組成物についても同様である。官能基の比率を知ると、当業者は、p(HA−EA)組成物のヒドロキシル末端、アミノ末端又はカルボキシル末端のいずれにポリマー性薬剤を連結させるかを決定することが可能になる。当業者は、p(HA−EA)上のアミノ基などの基を、例えば、クロロギ酸ベンジルを用いて保護し、カルボキシルで終結したp(HA−EA)を、グリコサミノグリカンのヒドラジドに変換されたアルデヒド誘導体と組み合わせた場合の望ましくない付随的結合を低減することができる。
【0160】
(ポリ(エチレングリコール)ブロックを含むp(HA−EA))
[0160]p(HA−EA)とPEGのブロックコポリマーは、各種の技術を使用して調製できる。p(HA−EA)にPEO官能基を付加する目的のいくつかは、前に考察している。一実施形態では、ヒドロキシ及びカルボキシル末端基を有するp(HA−EA)を、例えば、EDC又はDCCの存在下にヒドロキシル及びカルボキシル末端基を所持するPEG(Nektar Corp.)と組み合わせて、式(XXIV)で表されるトリブロック構造を形成できる。
【化24】


式中、n、r、及びzは0でない整数であり、n及びzは前に説明している。
【0161】
[0161]別の実施形態では、アミノで終結したp(HA−EA)を、例えばEDC又はDCCの存在下にジ−カルボキシルで終結したPEG(Nektar Corp.)と組み合わせることができる。別の実施形態では、mPEGのスクシンイミド誘導体(Nektar Corp.)又はイソシアナートで終結したmPEG(Nektar Corp.)を当業者にとって周知の条件下で、アミノで終結したp(HA−EA)と反応させることができる。別の実施形態では、カルボキシルで終結したp(HA−EA)のカルボキシル基を、例えば、EDC又はDCCで活性化し、アミノで終結したmPEG(Nektar Corp.)と組み合わせることができる。別の実施形態では、アミノで終結したmPEGを、塩基触媒の存在下でエステル基のアミノ化により高分子量p(HA−EA)と組み合わせることができる。別の実施形態では、アミノで終結したp(HA−EA)を、PEGブロックを形成し、生きて維持される未終結のアニオン重合で純粋系を維持することで調節されるリビング重合反応中にエチレンオキシドと組み合わせることができる。リビング重合反応は、例えば水などの終結剤を添加することにより停止できる。
【0162】
[0162]上に示したp(HA−EA)−PEGコポリマーは、AB−ブロックコポリマーである。いくつかの実施形態において、rは、約1〜約2500、約10〜約2000、約20〜約1500、約50〜約1500、約100〜約2300、約1000〜約2300の範囲、及びそれらの中の任意の範囲で良く;n及びpは、独立に、約1〜約1500、約5〜約1000、約10〜約500、約20〜約500、約30〜約1300、約50〜約1500の範囲、及びそれらの中の任意の範囲で良い。
【0163】
[0163]別の実施形態では、アミノで終結したp(HA−EA)を、例えばEDC又はDCCの存在下に、カルボキシルで終結したPEG(Nektar Corp.)と組み合わせることができる。別の実施形態では、mPEGのスクシンイミド誘導体(Nektar Corp.)又はイソシアナートで終結したmPEG(Nektar Corp.)のいずれかを、当業者に周知の条件下でヒドロキシル−、アミノ−、又はスルフヒドリル官能化p(HA−EA)と反応させることができる。別の実施形態では、カルボキシルで終結したp(HA−EA)のカルボキシル基を、例えばEDC又はDCCで活性化し、アミノで終結したPEG(Nektar Corp.)と組み合わせることができる。別の実施形態では、アミノで終結したPEGを、酸又は塩基触媒の存在下に高分子量p(HA−EA)中のエステル基のアミノ化により高分子量p(HA−EA)と組み合わせることができる。別の実施形態では、アミノで終結したp(HA−EA)を、未終結であり、生きて維持されるアニオン重合であり、純粋系を維持することで調節されるリビング重合反応においてエチレンオキシドと組み合わせることができる。リビング重合反応は、例えば、水などの終結剤の添加により停止することができる。
【0164】
(被覆の形成)
[0164]本発明のいくつかの実施形態において、組成物は、例えば、バルーン膨張ステント又は自己膨張ステントなどの医療用デバイスのための被覆の形態である。本発明の範囲内には多くの被覆形態が存在し、各形態は、任意の数の層及びその組合せを含むことができる。いくつかの実施形態において、本発明の被覆は、次の4種の層の中の1つ又は組合せを含むことができる。すなわち、(a)ポリマー及び薬剤を含む、あるいはポリマー不含薬剤を含んでいても良い薬剤層;(b)埋め込み可能な基材、又は前以て形成された層の上の次の層の接着性を向上させることのできる、任意選択のプライマー層;(c)薬剤の放出速度を調節する手段として役に立つことのできる、任意選択のトップコート層;及び(d)被覆の生体適合性を改善できる、任意選択の生体適合性仕上げ層。
【0165】
[0165]一実施形態では、薬剤層を埋め込み可能な基材の少なくとも一部に少なくとも1種の生物活性薬剤のための貯蔵器として役立つ純粋な薬剤として直接塗布できる。別の実施形態では、薬剤をマトリックスとして生分解性ポリマーと組み合わせることができ、該マトリックス中では、薬剤をポリマーに結合しても良いし、結合しなくても良い。別の実施形態において、任意選択のプライマーは、埋め込み可能な基材に対する薬剤層の接着性を向上させるために、埋め込み可能な基材と薬剤層の間に塗布することができ、任意選択で薬剤を含むこともできる。別の実施形態では、生分解性ポリマーを含む複数層の間に純粋の薬剤層を挟むことができる。別の実施形態において、任意選択のトップコート層は、生物活性薬剤の放出速度を調節するための膜として役立つ薬剤層の少なくとも一部に塗布することができ、任意選択で薬剤を含むこともできる。別の実施形態において、生体適合性仕上げ層は例えば、急性血液適合性を増すことによって被覆の生体適合性を増加させるために塗布することができ、薬剤を含むこともできる。
【0166】
[0166]本発明の組成物は、1つの層又は任意の組合せ層に使用できる。いくつかの実施形態において、本明細書中で教示する任意のその他のポリマーを、複数層の中の1つとして使用することができ、あるいはp(HA−EA)の実施形態とブレンド又は架橋できる。各層は、限定はしないが、浸漬、噴霧、流し込み、刷毛塗り、スピンコーティング、ローラーコーティング、メニスカスコーティング、粉末コーティング、インクジェット型塗布、又はこれらの組合せを含む任意の方法で埋め込み可能な基材に塗布できる。一例において、それぞれの層は、1種又は複数の生分解性ポリマーを場合によっては非生分解性ポリマーと共に1種又は複数の溶媒に溶解すること、及び(i)該溶液をステントに噴霧すること又は(ii)該溶液にステントを浸漬することによって、ステント上に形成できる。この例では、溶媒が蒸発する際に、ステント上に生分解性ポリマーの乾燥被覆を形成できる。
【0167】
[0167]各層を形成するのに注型用溶媒の使用が必要とされる場合がある。注型用溶媒は、その中でポリマーを可溶化して、基材上に被覆として塗布できる溶液を形成できる液体媒質である。注型用溶媒は、例えば、下にあるプライマー層又は裸のステント構造などの下地材料に有害に影響を与えることを回避するように選択しなければならない。一実施例において、プライマー層を形成するのに使用される材料は、高極性注型用溶媒に可溶であるが、低極性注型用溶媒にはほどほどに不溶である。材料が、得られる製品の性能にかなりの影響を与えるのに極めて十分な程度まで可溶化せず、製品をその意図した目的になお使用できることを意味する場合、該材料は、「ほどほどに不溶性」である。この例では、低極性注型用溶媒に可溶性である上塗り薬剤層を、下塗りプライマー層に、該プライマー層の構造を乱さずに塗布できる。
【0168】
[0168]注型用溶媒は、例えば、その極性、水素結合能力、分子の大きさ、揮発性、生体適合性、反応性及び純度を含むいくつかの判定基準に基づいて選択できる。また、注型用溶媒中でのポリマーの限界溶解度、注型用溶媒中での酸素及びその他の気体の存在、組み
合わせた注型用溶媒及びポリマーの粘度及び蒸気圧、注型用溶媒が下塗材料を通って拡散する能力、及び注型用溶媒の熱安定性を含む、注型用溶媒のその他の物理的特徴も考慮に入れることができる。
【0169】
[0169]当業者であれば、広範な種類のポリマーの溶解度に関する技術文献及びデータに対する接近手段を有する。さらに、当業者であれば、注型用溶媒の選択は、利用可能な熱力学データを使用してギブスの溶解自由エネルギーを計算することによって経験的に始めることができることを認識するであろう。このような計算により、実験室で試験するための潜在的溶媒の予備的選択が可能になる。処理条件が、基礎をなす材料の化学構造に影響を与え、従って、注型用溶媒に対するそれらの溶解度に影響を与える場合があることが認められている。また、基礎をなす材料の溶解が遅いと、例えば、製品を比較的迅速に製造する製品の性能特徴に影響を与えない場合があるので、溶解の速度論は、注型用溶媒を選択する場合に考慮すべき要因であることが認められている。
【0170】
[0170]本発明で使用するための典型的な注型用溶媒には、限定はしないが、DMAC、DMF、THF、シクロヘキサノン、キシレン、トルエン、アセトン、i−プロパノール、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルブチルケトン、酢酸エチル、n−ブチル酢酸、及びジオキサンが含まれる。溶媒混合物も同様に使用できる。混合物の代表的な例には、限定はしないが、DMACとメタノール(50:50w/w);水とi−プロパノールとDMAC(10:3:87w/w);i−プロパノールとDMAC(80:20、50:50、又は20:80w/w);アセトンとシクロヘキサノン(80:20、50:50、又は20:80w/w);アセトンとキシレン(50:50w/w);アセトンとキシレンとFLUX REMOVER AMS(登録商標)(93.7%3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン及び1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、残りは、痕跡量のニトロメタンを含むメタノール;Tech Spray,Inc.)(10:40:50w/w);及び1,1,2−トリクロロエタンとクロロホルム(80:20w/w)が含まれる。
【0171】
[0171]医療用物品又は被覆を形成する処理には、例えば、熱、電磁線、電子ビーム、イオン又は帯電粒子ビーム、中性原子ビーム、及び化学エネルギーのようなエネルギーの使用などのさらなる処理段階を含めることができることを理解されたい。乾燥処理は、より高い温度を使用することで加速できる。
【0172】
[0172]また、医療用物品又は被覆をアニーリングして組成物の機械的特性を高めることができる。アニーリングを使用して、部分応力を低下させるのを助け、応力クラッキング障害が決定的である場合もある医療用複合デバイスなどの応用での追加の安全対策(extra measure of safety)を提供できる。アニーリングは、約30℃〜約200℃、約35℃〜約190℃、約40℃〜約180℃、約45℃〜約175℃の範囲、又はこれらの中の任意の範囲である温度で行うことができる。アニーリング時間は、約1秒〜約60秒、約1分〜約60分、約2分〜約45分、約3分〜約30分、約5分〜約20分の範囲、又はこれらの中の任意の範囲で良い。アニーリングは、冷却を伴う周期的加熱で行うこともでき、加熱及び冷却にかける総時間は、アニーリングのサイクル時間である。
【実施例】
【0173】
[0173]本発明の実施形態をさらに説明するために、次の実施例を提供する。
【0174】
(実施例1)
ヒドロキシル終結、カルボキシル終結及びアミノ終結PHAの調製
[0174]ヒドロキシルで終結したPHAは、いくつかの経路で調製できる。1つの経路では、乳酸又はε−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシル−酸化合物を、酸触媒及び脱水条件を使用して重合して、ヒドロキシル及びカルボキシル末端基をもつ低分子量PHAを製造することができる。DCCなどのカップリング剤の存在下で、エタノールアミンなどのアミン−ヒドロキシル化合物を、カルボキシル末端基にカップリングさせてヒドロキシル末端を得ることができる。ヒドロキシル及びカルボキシル末端基を有する同様のPHAを使用して、カルボキシル末端基を、ボランでヒドロキシルに選択的に還元できる。別の経路では、ジオールなどの二価開始剤及び環状ラクトンを使用して開環重合を実施できる。
【0175】
[0175]磁気撹拌機、真空、及びアルゴンパージを備えた250mLの三口フラスコに1,6−ヘキサンジオール(14.77g、0.125モル)を添加する。油浴を使用して、ジオールを60℃まで加熱し、真空下で2時間撹拌して水を除去する。フラスコをアルゴンでパージし、D,L−ラクチド(108.0g、0.75モル)を添加し、撹拌しながらさらに30分間真空を適用できる。アルゴンでパージした後、フラスコを140℃まで加熱し、5%(w/w)オクタン酸第一錫無水トルエン溶液10.8mLを添加して重合を開始できる。24時間撹拌した後、反応溶液を冷却し、500mLの冷メタノールに注入し、ポリマーを沈殿させる。ポリマーをメタノール/石油エーテルで洗浄し、真空下で乾燥する。
【0176】
[0176]カルボキシルで終結したPHAは、いくつかの経路で調製できる。1つの経路では、乳酸又はε−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシル−酸化合物を、酸触媒及び脱水条件を使用して重合して、ヒドロキシル及びカルボキシル末端基をもつ低分子量PHAを製造することができる。この化合物を無水コハク酸と反応させて、ヒドロキシル基をカルボキシル基に変換できる。別の方法では、2つのヒドロキシル末端基を有するジオール開始剤を使用する開環重合によってPHAを調製できる。
【0177】
[0177]上で得られるポリ(D,L−ラクチド)ポリマー(25g、0.0255モル)及び無水コハク酸(5.1g、0.051モル)を100mLの無水クロロホルムに溶解し得る。溶液を40℃で一夜撹拌し得る。反応溶液を冷却し、1000mLの冷メタノールに注入してポリマーを沈殿できる。ポリマーをメタノール/石油エーテルで洗浄し、真空下で乾燥し得る。1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(0.103g、5×10−4モル)及び4−ジメチルアミノピリジン(0.0012g、1×10−5モル)を添加できる。室温で24時間撹拌した後、反応溶液を遠心して形成されたジシクロヘキシル尿素を沈降させ、上澄み液を150mLの冷メタノールに注入してポリマーを沈殿できる。濾過して集めた後、ポリマーを、メタノール/石油エーテルで洗浄し、真空下で乾燥し得る。
【0178】
[0178]アミノで終結したPHAは、いくつかの経路で調製できる。1つの経路では、ヒドロキシル官能性PHAをアジリジンと反応させることができる。別の経路では、ヒドロキシル官能性PHAを、最初に、トシルクロリド、トレシルクロリド、又はトリフルオロメタンスルホニルクロリドで誘導体化できる。得られた誘導体を、次いで、アンモニア、エタンジアミン、1,4−ブタンジアミン、又は1,5−ペンタンジアミンなどの過剰のアミンと反応させることができる。さらに別の経路では、ヒドロキシル官能性PHAを過剰のジイソシアナートと反応させ、次いで水で加水分解してアミノで終結したPHAを得ることができる。
【0179】
[0179]上で得られるポリ(D,L−ラクチド)ポリマー(25g、0.0255モル)、ヘキサメチレンジイソシアナート(13.89g、0.102モル)、及びオクタン酸第一錫(0.4g、0.001モル)を200mLの無水クロロホルムに溶解する。溶液
を40℃で2時間撹拌する。反応溶液を冷却し、1000mLの脱イオン水中に撹拌しながら注入する。外界温度で2時間撹拌した後、クロロホルム層を分離して1000mLのメタノールに添加する。沈殿したポリマーをメタノール/石油エーテルで洗浄し、真空下で乾燥し得る。この方法により、ジ−アミノで終結したポリ(D,L−ラクチド)が生成する。
【0180】
(実施例2)
式(XVII)のp(HA−EA)の調製
[0180]このポリマーを調製するには、3つの成分、カルボキシル及びヒドロキシル末端基を有するPHA、ベンジルエステルで保護されたリシン、及びセバコイルクロリドが必要とされる。
【0181】
カルボキシル及びヒドロキシル末端基を有するポリ(カプロラクトン)の調製
[0181]ε−ヒドロキシカプロン酸(100g、0.757モル)、p−トルエンスルホン酸一水和物(14.39g、0.0757モル)、及びトルエン(350mL)を、アルゴンパージ、機械式撹拌機、油浴、及び還流冷却器付きディーンスターク分水器を備えた1000mL三口フラスコに仕込む。溶液を還流するまで加熱し、ディーンスターク分水器中に分子量が約1158ダルトンのポリマーの存在を示す12.26mLの水が捕集されるまで反応を行うことができる。冷却した後、溶液を脱イオン水(500mL)に添加し、20分間撹拌できる。トルエン層を分離し、1N炭酸水素ナトリウム(400mL)、続いて、脱イオン水(400mL)で2回抽出できる。トルエン相をメタノール(1000mL)に添加した後、ポリマーを濾過して分離し、1トル(torr)の真空下に40℃で48時間乾燥する。
【0182】
ポリ(カプロラクトン)−N−L−リシンベンジルエステルモノトシレートの調製
[0182]上で得られるポリ(カプロラクトン)ポリマー(50g、0.043モル)、L−リシンベンジルエステルのジ−p−トルエンスルホン酸塩(25.07g、0.043モル)、トリエチルアミン(4.35g、0.043モル)、及びテトラヒドロフラン(THF)(200mL)を、アルゴンパージ及び機械式撹拌機を備えた500mLの三口フラスコに仕込む。溶解後、DCC(8.87g、0.043モル)を添加でき、溶液を外界温度で一夜撹拌できる。溶液を濾過して生成したジシクロヘキシル尿素を除去し、メタノール(1000mL)に撹拌しながら徐々に添加してポリマーを沈殿させる。ポリマーを、クロロホルム(200mL)に再溶解し、イソプロピルアルコール(1000mL)中で沈殿させ、約1トルの真空下に約40℃で約48時間乾燥する。
【0183】
co−ポリ[N,O−アジポイル−L−リシンベンジルエステル−ポリカプロラクトン]の調製
[0183]ポリ(カプロラクトン)−N−L−リシンベンジルエステルモノトシレート(50g、0.0323モル)、トリエチルアミン(10.79g、0.107モル)、及び無水2−ブタノン(125mL)を、機械式撹拌機、アルゴン入り口、50mL滴下ロート、及び氷浴を備えた500mLの3口フラスコに仕込む。溶解後、アジポイルクロリド(5.91g、0.0323モル)の無水2−ブタノン(25mL)溶液を、反応を0℃に維持しつつ、撹拌しながら30分にわたって添加する。反応を室温に戻し、さらに4時間撹拌する。溶液を、脱イオン水(1000mL)に撹拌しながら添加してポリマーを沈殿させる。ポリマーを、THF(200mL)に再溶解し、撹拌しながら脱イオン水(1000mL)中で再沈殿させる。ポリマーを、クロロホルム(500mL)に再溶解し、乾燥ディスク装置(ニューハンプシャー州、アトキンソン、Horizon Technologies社)を通して濾過し、水を除去する。溶液を、回転蒸発によって濃縮し、テフロン製のトレーに流し込み、約1トルの真空下に約40℃で約48時間乾燥する。
【0184】
co−ポリ[N,O−アジポイル−L−リシンベンジルエステル−ポリカプロラクトン]の水素化分解
[0184]パラジウム粉末(5g、0.047モル)を、アルゴン入り口、真空ライン、水素ガス入り口を備えた1000mLのフラスコに仕込み、30分間真空にする。アルゴンでパージした後、THF(500mL)を添加し、溶液の中に水素を30分間吹き込む。アルゴン下でco−ポリ[N,O−アジポイル−L−リシンベンジルエステル−ポリカプロラクトン](50g)を添加し、溶解し、溶液中に絶えず水素を吹き込みながら溶液を12時間撹拌する。パラジウムを濾過して除去し、THF溶液を、脱イオン水(1500mL)に撹拌しながら滴加する。濾過して分離した後、ポリマーを、クロロホルム(500mL)に再溶解し、乾燥ディスク装置(ニューハンプシャー州、アトキンソン、Horizon Technologies社)を通して濾過し、水を除去する。溶液を、回転蒸発によって濃縮し、テフロン製のトレーに流し込み、約1トルの真空下に約40℃で約48時間乾燥する。
【0185】
co−ポリ[N,O−アジポイル−L−リシン−ポリカプロラクトン]へのmPEG−NHのカップリング
[0185]co−ポリ[N,O−アジポイル−L−リシン−ポリカプロラクトン](10g、カルボキシル0.00689モル)、N−ヒドロキシスクシンイミド(0.872g、0.00758モル)、及び無水THF(150mL)を、アルゴンパージ及び磁気撹拌機を備えた250mLの三口フラスコに仕込むことができる。溶解後、ジシクロヘキシルカルボジイミド(1.56g、0.00758モル)を、無水THF(10mL)溶液として添加することができる。溶液を外界温度で16時間撹拌し、沈殿したジシクロヘキシル尿素を真空濾過で除去できる。溶液を、別の250mL三口フラスコ中で、アルゴン下にMW=559.7のメトキシ−ポリ(エチレングリコール)−アミン(3.856g、0.00689モル、オハイオ州、パウエル、Quanta Biodesign社)を添加しながら撹拌できる。外界温度で18時間撹拌した後、溶液を脱イオン水(600mL)に滴加できる。濾過して分離した後、ポリマーを、クロロホルム(100mL)に再溶解し、乾燥ディスク装置(ニューハンプシャー州、アトキンソン、Horizon Technologies社)を通して濾過して水を除去できる。溶液を、回転蒸発によって濃縮し、テフロン製のトレーに流し込み、約1トルの真空下に約40℃で約48時間乾燥する。この方法により、559ダルトンの分子量及びポリマー中で約28%のmPEG重量分率を有するペンダントmPEG基の付いた式XVIIのポリマーが生成する。
【0186】
(実施例3)
式(XIX)のp(HA−EA)の調製
[0186]この調製は、実施例2で得られる遊離カルボキシルをもつco−ポリ[N,O−アジポイル−L−リシン−ポリカプロラクトン]から出発する。co−ポリ[N,O−アジポイル−L−リシン−ポリカプロラクトン](10g、カルボキシル基0.00689モル)、4−ヒドロキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシル(1.19g、0.00689モル)、及び無水THF(90mL)を、磁気撹拌機、アルゴン入り口、氷浴、及び25mL滴下ロートを備えた250mLの三口フラスコに仕込むことができる。溶解後、ジシクロヘキシルカルボジイミド(1.56g、0.00758モル)を添加し、溶液をアルゴン下に外界温度で24時間撹拌できる。濾過してジシクロヘキシル尿素を除去した後、酢酸イソプロピル(500mL)に徐々に添加してポリマーを沈殿させる。残留溶媒を、約1トルの真空下に約40℃で約48時間乾燥することで除去し、式(XIX)のポリマーを得る。
【0187】
(実施例4)
式(XX)のp(HA−EA)の調製
[0187]この調製は、実施例2で得られる遊離カルボキシルをもつco−ポリ[N,O−
アジポイル−L−リシン−ポリカプロラクトン]から出発する。co−ポリ[N,O−アジポイル−L−リシン−ポリカプロラクトン](10g、カルボキシル基0.00689モル)、及び無水THF(90mL)を、磁気撹拌機、アルゴン入り口、氷浴、及び25mL滴下ロートを備えた250mLの三口フラスコに仕込む。溶解後、該溶液中にアルゴンを吹き込みながら、塩化チオニル(0.82g、0.00689モル)の無水THF(10mL)溶液を30分にわたって滴加できる。0℃でさらに30分撹拌した後、ポリ(4−ビニルピリジン)(2.17g、ウィスコンシン州、ミルウォーキー、Aldrich社)を、続いて、4−カルボキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシル(1.38g、0.00689モル)及び無水THF(10mL)の溶液を30分間にわたって滴加して添加できる。溶液を室温に戻し、溶液中にアルゴンを絶えずパージしながらさらに1時間撹拌する。溶液を濾過して酸捕捉剤を除去し、無水の酢酸イソプロピル(500mL)に徐々に添加することによってポリマーを沈殿させることができる。約1トルの真空下に約40℃で約48時間乾燥することによって、残留溶媒を除去し、式(XX)で表されるポリマーを得ることができる。
【0188】
(実施例5)
式(XXII)のp(HA−EA)の調製
[0188]このポリマーの調製には、ビス−[L−ロイシン]−1,3−プロピレン−ジエステル−2−オンのブロックモノマーの合成が必要とされる。
【0189】
ビス−[L−ロイシン]−1,3−ジエステル−2−プロパノンの調製方法
[0189]L−ロイシン(32.80g、0.25モル)、p−トルエンスルホン酸(104.6g、0.55モル)、1,3−ジヒドロキシアセトン二量体(22.53g、0.125モル)、及び200mLのベンゼンを、1Lの三口フラスコに仕込む。溶液を80℃で8時間加熱し、凝縮液をディーンスターク分水器に捕集できる。固体を、回転蒸発で溶媒から分離し、ブフナーロート中で水を用いて洗浄(1Lで2回)し、真空オーブン中で乾燥する。
【0190】
ポリ(カプロラクトン)−N−ビス−[L−ロイシン]−1,3−ジエステル−2−プロパノン−モノトシレートの調製
[0190]実施例3で得られるポリ(カプロラクトン)ポリマー(50g、0.043モル)、ビス−[L−ロイシン]−1,3−ジエステル−2−プロパノンのジ−p−トルエンスルホン酸塩(28.38g、0.043モル)、トリエチルアミン(4.35g、0.043モル)、及びテトラヒドロフラン(THF)(200mL)を、アルゴンパージ及び機械式撹拌機を備えた500mLの三口フラスコに仕込むことができる。溶解後、DCC(8.87g、0.043モル)を添加し、溶液を外界温度で一夜撹拌できる。形成されたジシクロヘキシル尿素を除去するために、溶液を濾過し、メタノール(1000mL)に撹拌しながら徐々に添加してポリマーを沈殿させる。ポリマーを、クロロホルム(200mL)に再溶解し、イソプロピルアルコール(1000mL)中で沈殿させ、約1トルの真空下に約40℃で約48時間乾燥する。
【0191】
co−ポリ[N,N−アジポイル−ビス−[L−ロイシン]−1,3−ジエステル−2−プロパノン−ポリカプロラクトン]の調製
[0191]ポリ(カプロラクトン)−N−ビス−[L−ロイシン]−1,3−ジエステル−2−プロパノン−モノトシレート(52.6g、0.0323モル)、トリエチルアミン(10.79g、0.107モル)、及び無水2−ブタノン(125mL)を、機械式撹拌機、アルゴン入り口、50mL滴下ロート、及び氷浴を備えた500mLの三口フラスコに仕込むことができる。溶解後、アジポイルクロリド(5.91g、0.0323モル)の無水2−ブタノン(25mL)溶液を、反応を0℃に維持しつつ、撹拌しながら30分にわたって添加できる。反応を、室温に戻し、さらに4時間撹拌できる。溶液を、脱イ
オン水(1000mL)に撹拌しながら添加しポリマーを沈殿させることができる。ポリマーを、THF(200mL)に再溶解し、脱イオン水(1000mL)中で撹拌しながら再沈殿させることができる。ポリマーをクロロホルム(500mL)に再溶解し、乾燥ディスク装置(ニューハンプシャー州、アトキンソン、Horizon Technologies社)を通して濾過して水を除去できる。溶液を、回転蒸発によって濃縮し、テフロン製のトレーに流し込み、約1トルの真空下に約40℃で約48時間乾燥することができる。
【0192】
エストラジオールと3,9−ジエチリデン−2,4,8,10−テトラオキサスピロ−[5,5]−ウンデカン(DETOSU)との複合物の調製方法
[0192]100mLフラスコ中で、乾燥THF(40ml)をDETOSU(5g、0.0236モル)及び6滴の1%p−トルエンスルホン酸とTHF中で混合できる。エストラジオール(6.42g、0.0236モル)のTHF(20mL)溶液を撹拌しながら1時間にわたって徐々に添加する。エストラジオール−DETOSU複合体を、回転蒸発によって分離できる。
【0193】
式(XXII)のポリマー、co−ポリ[O,N−アジポイル−ポリカプロラクトン−ビス−[L−ロイシン]−1,3−プロピレンジエステル−2−DETOSU−エストラジオール]の調製方法
[0193]co−ポリ[N,N−アジポイル−ビス−[L−ロイシン]−1,3−ジエステル−2−プロパノン−ポリカプロラクトン](27.09g)、乾燥THF(250mL)、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(1.05g、0.0167モル)、及びTHF中のp−トルエンスルホン酸(1%溶液を6滴)を500mLフラスコに仕込むことができる。混合物を、外界温度で2時間撹拌し、クロロホルム(500mL)に注入し、炭酸水素ナトリウム水溶液(1M、1回に250mL)で3回抽出できる。回転蒸発によりクロロホルムを除去し、残留溶媒を、真空オーブン中、外界温度で一夜乾燥して除去できる。ポリマー(22.25g)、乾燥THF(250mL)、及びエストラジオール−DETOSU複合体(6.64g、0.0137モル)を、500mLフラスコに仕込み、室温で2時間撹拌する。ヘキサン/酢酸エチル(2L、50/50)中に撹拌しながら徐々に添加することによってポリマーを沈殿させ、式(XXII)のポリマーを得る。
【0194】
(実施例6)
式(XXIII)に示したヘパリンのようにアルデヒド誘導体にしたグリコサミノグリカンを使用するp(HA−EA)−グリコサミノグリカンコポリマーの調製
[0194]過ヨウ素酸塩酸化によって、又は亜硝酸での酸化によって得られるアルデヒド官能性ヘパリンは、オハイオ州、シンシナティ、Celsus Inc.から入手できる。ヘパリン末端ブロックを有するABAブロックコポリマーは、ジ−アミノ官能性PHAから出発して調製できる。実施例1で得られるジ−アミノ官能性ポリ(D,L−ラクチド)(5g、0.00396モル)、90/10のジメチルホルムアミド/水(250mL)、及びアルデヒド−ヘパリン(アルデヒド当量が0.0087モル)を、磁気撹拌機及び油浴を備えた500mLのフラスコに仕込むことができる。40℃で溶解した後、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(2.73g、0.044モル)を添加し、溶液を40℃で48時間撹拌できる。冷却後、メタノール(1000ml)に添加することによってポリマーを沈殿させることができる。濾過して分離した後、ポリマーを、約1トルの真空下に約40℃で約48時間乾燥することができる。
【0195】
[0195]ABブロックヘパリン−PHAコポリマーも同様に調製できる。実施例2で得られるヒドロキシル及びカルボキシル官能性ポリ(カプロラクトン)を使用すると、DCCを使用してカルボキシル末端基をアジピン酸ジヒドラジドとカップリングさせることができる。次いで、得られるヒドラジド官能性PHAを、還元アミノ化によってアルデヒド官
能性ヘパリンにカップリングさせることができる。
【0196】
[0196]実施例2で得られるポリ(カプロラクトン)(2.5g、0.0021モル)、アジピン酸ジヒドラジド(0.828g、0.00476モル)、及びTHF(25mL)を、磁気撹拌機及び油浴を備えた50mLのフラスコに仕込む。溶解後、DCC(0.491g、0.00238モル)を添加し、溶液を外界温度で一夜撹拌できる。濾過してジシクロヘキシル尿素を除去した後、溶液をメタノール(250mL)に、撹拌しながら徐々に添加する。ポリマーを、濾過して分離し、約1トルの真空下に約40℃で約12時間乾燥する。
【0197】
[0197]アルデヒド官能性ヘパリンのベンザルコニウム塩は、アルデヒド官能性ヘパリンを脱イオン水に溶解すること、及びヘパリンナトリウムのナトリウム量に対して化学量論的量の塩化ベンザルコニウムを添加することによって調製できる。ベンザルコニウムヘパリンは、溶液から沈殿する。
【0198】
[0198]アジピン酸ヒドラジド官能性ポリ(カプロラクトン)(2g、0.00152モル)、THF(100mL)、及びアルデヒド−ヘパリン(アルデヒド当量が0.00152モル)を、磁気撹拌機及び油浴を備えた250mLのフラスコに仕込むことができる。40℃で溶解した後、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.472g、0.0076モル)を添加し、溶液を40℃で48時間撹拌できる。冷却後、脱イオン水(1000mL)に添加することによってポリマーを沈殿させることができる。濾過により分離した後、ポリマーを、約1トルの真空下に約40℃で約48時間乾燥することができる。
【0199】
(実施例7)
式(XV)タイプのp(HA−EA)の調製
[0199]この調製は、実施例1で得られるジ−アミノで終結したポリ(D,L−ラクチド)、L−リシンベンジルエステルジトシレート、及びセバシン酸ジ−p−ニトロフェニルを使用する。実施例1で得られるアミノで終結されたポリ(D,L−ラクチド)(25g、0.0198モル)、L−リシンベンジルエステルのジ−p−トルエンスルホン酸塩(5.69g、0.0098モル)、セバシン酸ジ−p−ニトロフェニル(13.2g、0.0296モル)、乾燥トリエチルアミン(3.0mL、0.0216モル)、及び無水ジメチルホルムアミド(50mL)を、機械式撹拌機、アルゴン入り口及び油浴を備えた500mLの三口フラスコに仕込むことができる。混合物を撹拌し、80℃で12時間加熱することができる。次いで、混合物を、室温まで冷却し、追加のジメチルホルムアミド(250mL)で希釈し、撹拌しながら1%炭酸ナトリウム水溶液(1750mL)に滴下しながら添加することができる。ポリマーを、濾過して分離し、THF(250mL)に再溶解し、脱イオン水(1750mL)に添加することによって沈殿させることができる。濾過により分離した後、ポリマーを、約1トルの真空下に約40℃で約48時間乾燥してベンジルエステルで保護されたリシンを有する式(XV)のポリマーを得ることができる。続いてベンジルエステルを水素化分解すると、リシンのカルボキシルが自由になり、生物的利益のある部分の結合が可能になる。
【0200】
(実施例8)
アミノで終結したp(HA−EA)とのp(HA−EA)−PEG複合体の調製方法
[0200]アミノで終結したp(HA−EA)を、アルデヒドカップリング/イミン還元、カルボキシルで終結したPEGのカルボジイミドカップリング、及びアミノで終結したp(HA−EA)へのPEG−マレイミドのマレイミドカップリングによってPEGにカップリングさせることができる。
【0201】
[0201]アミノで終結したp(HA−EA)に対するPEGのカップリングでは、p(H
A−EA)(50g)を無水DMAC(230g)に溶解できる。PEG−ブチルアルデヒド(MW1000〜50,000、7.5g)をシアノ水素化ホウ素ナトリウム(1.0g)と混合し、窒素下に室温で一夜撹拌する。メタノール中に撹拌しながら溶液を添加することによってポリマーを沈殿させ、ポリマーを、DMACに再溶解し、水中で再沈殿させ、真空下で乾燥する。
【0202】
[0202]アミノで終結したp(HA−EA)は、カルボキシルで終結したPEGのDCC/NHSカップリングを使用するカルボジイミドカップリングによってPEGに結合できる。アミノで終結したp(HA−EA)(50g)を無水THF(116g、1〜35%w/w)に添加する。無水THF(116g)及びカルボキシルで終結したPEG(10kD、7.0g、0.7ミリモル)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.15g;7.1ミリモル)(DCC)をN−ヒドロキシスクシンイミド(0.10g/8ミリモル)(NHS)を含む反応器に添加し混合物を形成する。混合物を窒素下に室温で2時間撹拌し、アミノで終結したp(HA−EA)の溶液を、混合物に滴加方式で添加し、室温で一夜撹拌し、メタノールに滴加して、p(HA−EA)−PEGの沈殿を形成する。沈殿を濾過し、真空下で乾燥する。
【0203】
(実施例9)
[0203]2層の被覆物を有する医療用物品は、第1組成物がp(HA−EA)と薬剤とのマトリックスを含む薬剤層で良く第2組成物がp(HA−EA)のトップコート層で良い、第1組成物及び第2組成物を調製することによって、エベロリムスを含むように作製できる。第1組成物は、官能化されたp(HA−EA)を無水エタノール中でエベロリムスと混合することによって調製することができ、裸の12mmVISION(登録商標)ステント(Guidant社)(「見本ステント」)の表面に噴霧し、乾燥して被覆物を形成する。被覆技術の例は、0.014のファンノズル、約0.2気圧の供給圧力、及び約1.3気圧の霧化圧力;1通過当たり約20μgの湿り被覆物を塗布すること;被覆物を通過の間に約50℃で約10秒間乾燥すること及び乾燥薬剤層を形成するため最後の通過の後に被覆物を約50℃で約1時間焼成することを含む。第2組成物は、無水エタノール中でp(HA−EA)を混合すること、及び被覆技術の例を使用してp(HA−EA)を塗布することによって調製できる。
【0204】
(実施例10)
[0204]3層の被覆物を有する医療用物品は、第1組成物、第2組成物及び第3組成物を調製することによってエベロリムスを含むように作製できる。第1組成物はp(HA−EA)のプライマー層で良い。第2組成物は純粋の薬剤層で良く、第3組成物はp(HA−EA)のトップコート層で良い。第1組成物は、無水エタノール中に約2%(w/w)のp(HA−EA)を混合することによって調製することができ、被覆技術の例を使用して見本ステントの表面に塗布し、乾燥プライマー層を形成できる。乾燥プライマー層は、約100μgのp(HA−EA)を含むことができる。第2組成物は、無水エタノール中に約2%(w/w)エベロリムスを混合することによって調製することができ、被覆技術を使用してプライマー層に混合物を塗布し、エベロリムスを含む純粋の薬剤層を形成できる。第3組成物は、無水エタノール中に約2%(w/w)のp(HA−EA)を混合することによって調製することができ、被覆技術を使用して混合物を塗布し、p(HA−EA)を含むトップコート層を形成できる。
【0205】
[0205]本発明の特定の実施形態を示し、説明してきたが、当業者は、教示の精神及び範囲から逸脱することなしに本発明に変形及び修正をなし得ることに留意するであろう。多くの化学構造、ポリマー、薬剤、及び方法が、本明細書中で教示された。当業者であれば、このような教示が、単なる例として提供され、本発明の範囲を制約することを意図しないことを理解されたい。例えば、本明細書中で教示される化学構造は、特記しない限り、
なんらかの特定の立体異性を示すのではなく、表された各化学構造に対して可能なすべての立体異性を包含することを意味する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式で表されるポリマーを含む組成物
【化1】


[式中、Aは、
【化2】


を含み、A:Bの比率は、1未満、1を超え、又は1に等しく、
各Rは、アルキレン、アルカン酸エステル、アルキルアルカン酸エステル、ジエステル、アシラール、二酸、飽和脂肪酸、グリセリド、及びこれらの組合せからなる群から独立に選択される成分を含み、
〜Rのそれぞれは、水素;置換、非置換、ヘテロ、直鎖、分枝、環状、飽和及び不飽和の脂肪族基;並びに置換、非置換、及びヘテロの芳香族基からなる群から独立に選択される成分を含み、
、B、L又はXの少なくとも1つが、任意選択で存在し、
、B、L又はXの少なくとも1つは、ポリ(エステルアミド)を含み、
ここで、LはAをBに連結している結合であり、Xは任意選択で存在する部分であり、LはXをポリマーに連結している結合であり、k及びmは整数であり、n及びzは零ではない整数である]。
【請求項2】
ポリマーが、3−ヒドロキシ酪酸エステル、4−ヒドロキシ酪酸エステル、3−ヒドロキシ吉草酸エステル、3−ヒドロキシ酪酸エステル−co−吉草酸エステル、カプロラクトン、ラクチス、グリコリド、ラクチド−co−グリコリド、並びにこれらの組合せからなる群から選択されるヒドロキシアルカン酸エステルを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
、B、L又はXの少なくとも1つが薬剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
薬剤がポリマーに連結されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
薬剤がポリマーとブレンドされている、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
薬剤が、ポリ(アルキレングリコール)、ホスホリルコリン、N−ビニルピロリドン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)、ポリ(スチレンスルホン酸エステル)、多糖、ポリ(エステルアミド)、ペプチド、非トロンビン剤、抗菌剤、並びにこれらの任意の誘導体、類似体、同族体、同類物、塩、コポリマー、及びこれらの組合せからなる群から選択される成分を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
ポリ(アルキレングリコール)が、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、並びにこれらの任意の誘導体、類似体、同族体、同類物、塩、コポリマー、及びこれらの組合せからなる群から選択される成分を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
多糖が、カルボキシメチルセルロース、スルホン化デキストラン、硫酸化デキストラン、デルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ヘパリン、ヒルジン、並びにこれらの任意の誘導体、類似体、同族体、同類物、塩、コポリマー、及びこれらの組合せからなる群から選択される成分を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
ポリ(エステルアミド)が、以下からなる群から選択される成分を含む、請求項1に記載の組成物
【化3】


[式中、
は、任意選択で存在し、置換、非置換、へテロ、直鎖、分枝、環状、飽和及び不飽和の脂肪族基;並びに置換、非置換、及びヘテロの芳香族基からなる群から独立に選択される成分を含み、
及びRは、置換、非置換、へテロ、直鎖、分枝、環状、飽和及び不飽和の脂肪族基;並びに置換、非置換、及びヘテロの芳香族基からなる群から独立に選択される成分を含み、
〜R14は、水素;置換、非置換、へテロ、直鎖、分枝、環状、飽和及び不飽和の脂肪族基;並びに置換、非置換、及びヘテロの芳香族基からなる群から独立に選択される成分を含み、
pは、零ではない整数である]。
【請求項10】
ポリマーが、以下のものを含む、請求項9に記載の組成物
【化4】


[式中、Xは、任意選択で存在し、薬剤を含み、qは零ではない整数である]。
【請求項11】
が、官能化されたアルキレン基を含み、該官能基がXと結合を形成している、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
ポリマーが、以下のものを含む、請求項9に記載の組成物
【化5】


[式中、Xは、任意選択で存在し、薬剤を含み、qは零ではない整数である]。
【請求項13】
が官能化されたアルキレン基を含み、該官能基がXと結合を形成している、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
ポリマーが、以下のものを含む、請求項1に記載の組成物
【化6】


[式中、
Xは、任意選択で存在し、薬剤を含み、q及びpは零ではない整数であり、
各Rは任意選択で存在し、置換、非置換、へテロ、直鎖、分枝、環状、飽和及び不飽和の脂肪族基;並びに置換、非置換、及びヘテロの芳香族基からなる群から独立に選択される成分を含み、
各R及びRは、置換、非置換、へテロ、直鎖、分枝、環状、飽和及び不飽和の脂肪族基;並びに置換、非置換、及びヘテロの芳香族基からなる群から独立に選択される成分を含む]。
【請求項15】
が、官能化されたアルキレン基を含み、該官能基がXと結合を形成している、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
ポリマーが、以下のものを含む、請求項1に記載の組成物
【化7】


[式中、
Xは、任意選択で存在し、薬剤を含み、qは零ではない整数であり、
各Rは任意選択で存在し、置換、非置換、へテロ、直鎖、分枝、環状、飽和及び不飽和の脂肪族基;並びに置換、非置換、及びヘテロの芳香族基からなる群から独立に選択される成分を含み、
各R及びRは、置換、非置換、へテロ、直鎖、分枝、環状、飽和及び不飽和の脂肪族基;並びに置換、非置換、及びヘテロの芳香族基からなる群から独立に選択される成分を含む]。
【請求項17】
が、官能化されたアルキレン基を含み、該官能基がXと結合を形成している、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
ポリマーが、以下のものを含む、請求項1に記載の組成物
【化8】


[式中、
Xは、任意選択で存在し、薬剤を含み、q及びpは零ではない整数であり、
各Rは任意選択で存在し、置換、非置換、へテロ、直鎖、分枝、環状、飽和及び不飽和の脂肪族基;並びに置換、非置換、及びヘテロの芳香族基からなる群から独立に選択される成分を含み、
各R及びRは、置換、非置換、へテロ、直鎖、分枝、環状、飽和及び不飽和の脂肪族基;並びに置換、非置換、及びヘテロの芳香族基からなる群から独立に選択される成分を含み、
各R15は、アルキレン、アミド、アシル、又はこれらの組合せから独立に選択される成分を含む]。
【請求項19】
が、官能化されたアルキレン基を含み、該官能基がXと結合を形成している、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
ペプチドが、エラスチン、絹−エラスチン、コラーゲン、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、Arg−Gly−Asp(RGD)、並びにこれらの任意の誘導体、類似
体、同族体、同類物、塩、コポリマー、及びこれらの組合せからなる群から選択される成分を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項21】
薬剤が、フリーラジカル捕捉剤、一酸化窒素供与体、ラパマイシン、メチルラパマイシン、42−エピ−(テトラゾイリル)ラパマイシン、エベロリムス(everolimus)、タクロリムス、パクリタキセル、ドセタキセル、エストラジオール、クロベタソール、イドキシフェン、タザロテン、並びにこれらの任意のプロドラッグ、代謝産物、類似体、同族体、同類物、任意の誘導体、塩、及びこれらの組合せからなる群から選択される成分を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項22】
フリーラジカル捕捉剤が、2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシフリーラジカル;4−アミノ−2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシフリーラジカル;4−ヒドロキシ−2,2’,6,6’−テトラメチル−ピペリデン−1−オキシフリーラジカル;4−カルボキシ−2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシフリーラジカル;2,2’,3,4,5,5’−ヘキサメチル−3−イミダゾリニウム−1−イルオキシメチル硫酸フリーラジカル;16−ドキシル−ステアリン酸フリーラジカル;スーパーオキシドジスムターゼ模倣物;並びにこれらの任意の類似体、同族体、同類物、誘導体、塩、及びこれらの組合せからなる群から選択される成分を含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
フリーラジカル捕捉剤が、TEMPO、及びその任意の類似体、同族体、同類物、誘導体、塩、又はこれらの組合せからなる群から選択される成分を含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項24】
一酸化窒素供与体が、S−ニトロソチオール、亜硝酸エステル、N−オキソ−N−ニトロソアミン、一酸化窒素シンターゼの基質、ジアゼニウムジオラート、並びにこれらの任意の類似体、同族体、同類物、誘導体、塩、及びこれらの組合せからなる群から選択される成分を含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項25】
組成物と組み合わせることのできる追加の薬剤をさらに含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項26】
追加の薬剤が精油を含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
精油がガーリックオイルを含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
追加の薬剤が、ヒマシ油、魚油、エタノール、キシレン、ジメチルホルムアミド、グリセロール、及びこれらの組合せからなる群から選択される成分を含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項29】
又はLが、エーテル、アミド、エステル、アンヒドリド、オルトエステル、全芳香族炭酸エステル、アセタール、ケタール、ウレタン、尿素、グリコシド、ジスルフィド、シロキサン、及びこれらの組合せからなる群から選択される成分を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項30】
請求項1に記載の組成物を含む医療用物品。
【請求項31】
ステントを含む、請求項30に記載の医療用物品。
【請求項32】
被覆が医療用物品のためである、請求項1に記載の組成物を含む被覆。
【請求項33】
請求項32に記載の被覆を含むステント。
【請求項34】
(i)埋め込み可能な基材を含む医療用物品又は(ii)該医療用物品のための被覆を作製することを含む方法であって、前記の作製することが、
(a)次式で表されるポリマーを調製すること、
【化9】


[式中、Aは、
【化10】


を含み、A:Bは1未満、1を超え、1に等しく、
各Rは、アルキレン、アルカン酸エステル、アルキルアルカン酸エステル、ジエステル、アシラール、二酸、飽和脂肪酸、グリセリド、及びこれらの組合せからなる群から独立に選択される成分を含み、
〜Rのそれぞれは、水素;置換、非置換、ヘテロ、直鎖、分枝、環状、飽和及び不飽和の脂肪族基;並びに置換、非置換、及びヘテロの芳香族基からなる群から独立に選択される成分を含み、
、B、L又はXの少なくとも1つが、任意選択で存在し、
、B、L又はXの少なくとも1つは、ポリ(エステルアミド)を含み、
ここで、LはAをBに連結している結合であり、Xは任意選択で存在する部分であり、LはXをポリマーに連結している結合であり、k及びmは整数であり、n及びzは零ではない整数である]
(b)埋め込み可能な基材の少なくとも一部に該ポリマーを含む医療用物品又は被覆を形成すること、及び
(c)該医療用物品又は被覆を任意選択でアニーリングすること
を含む方法。
【請求項35】
前記の医療用物品がステントを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
ポリマーが、3−ヒドロキシ酪酸エステル、4−ヒドロキシ酪酸エステル、3−ヒドロキシ吉草酸エステル、3−ヒドロキシ酪酸エステル−co−吉草酸エステル、カプロラク
トン、ラクチド、グリコリド、ラクチド−co−グリコリド、及びこれらの組合せからなる群から選択されるヒドロキシアルカン酸エステルを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
、B、L又はXの少なくとも1つが薬剤を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
薬剤がポリマーと連結される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
薬剤がポリマーとブレンドされる、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
薬剤が、ポリ(アルキレングリコール)、ホスホリルコリン、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エステルアミド)、ポリ(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)、ポリ(スチレンスルホン酸エステル)、多糖、ペプチド、非トロンビン剤、抗菌剤、並びにこれらの任意の誘導体、類似体、同族体、同類物、塩、コポリマー、及びこれらの組合せからなる群から選択される成分を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
ポリ(アルキレングリコール)が、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、並びにこれらの任意の誘導体、類似体、同族体、同類物、塩、コポリマー、及びこれらの組合せからなる群から選択される成分を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
多糖が、カルボキシメチルセルロース、スルホン化デキストラン、硫酸化デキストラン、デルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ヘパリン、ヒルジン、並びにこれらの任意の誘導体、類似体、同族体、同類物、塩、コポリマー、及びこれらの組合せからなる群から選択される成分を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
ポリ(エステルアミド)が、以下からなる群から選択される成分を含む、請求項40に記載の方法
【化11】


[式中、
は、任意選択で存在し、置換、非置換、へテロ、直鎖、分枝、環状、飽和及び不飽和の脂肪族基;並びに置換、非置換、及びヘテロの芳香族基からなる群から独立に選択さ
れる成分を含み、
及びRは、置換、非置換、へテロ、直鎖、分枝、環状、飽和及び不飽和の脂肪族基;並びに置換、非置換、及びヘテロの芳香族基からなる群から独立に選択される成分を含み、
〜R14は、水素;置換、非置換、へテロ、直鎖、分枝、環状、飽和及び不飽和の脂肪族基;並びに置換、非置換、及びヘテロの芳香族基からなる群から独立に選択される成分を含み、
pは、零ではない整数である]。
【請求項44】
ポリマーが、以下のものを含む、請求項43に記載の方法
【化12】


[式中、Xは任意選択で存在し、薬剤を含み、qは零ではない整数である]。
【請求項45】
が官能化されたアルキレン基を含み、該官能基がXと結合を形成している、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
ポリマーが、以下のものを含む、請求項43に記載の方法
【化13】


[式中、Xは任意選択で存在し、薬剤を含み、qは零ではない整数である]。
【請求項47】
が官能化されたアルキレン基を含み、該官能基がXと結合を形成している、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
ポリマーが、以下のものを含む、請求項34に記載の方法
【化14】


[式中、
Xは、任意選択で存在し、薬剤を含み、q及びpは零ではない整数であり、
各Rは、任意選択で存在し、置換、非置換、へテロ、直鎖、分枝、環状、飽和及び不飽和の脂肪族基;並びに置換、非置換、及びヘテロの芳香族基からなる群から独立に選択される成分を含み、
及びRのそれぞれは、置換、非置換、へテロ、直鎖、分枝、環状、飽和及び不飽和の脂肪族基;並びに置換、非置換、及びヘテロの芳香族基からなる群から独立に選択される成分を含む]。
【請求項49】
が官能化されたアルキレン基を含み、該官能基がXと結合を形成している、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
ポリマーが、以下のものを含む、請求項34に記載の方法
【化15】


[式中、
Xは、任意選択で存在し、薬剤を含み、qは零ではない整数であり、
各Rは、任意選択で存在し、置換、非置換、へテロ、直鎖、分枝、環状、飽和及び不飽和の脂肪族基;並びに置換、非置換、及びヘテロの芳香族基からなる群から独立に選択される成分を含み、
及びRのそれぞれは、置換、非置換、へテロ、直鎖、分枝、環状、飽和及び不飽和の脂肪族基;並びに置換、非置換、及びヘテロの芳香族基からなる群から独立に選択される成分を含む]。
【請求項51】
が官能化されたアルキレン基を含み、該官能基がXと結合を形成している、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
ポリマーが、以下のものを含む、請求項34に記載の方法
【化16】


[式中、
Xは、任意選択で存在し、薬剤を含み、q及びpは零ではない整数であり、
各Rは、任意選択で存在し、置換、非置換、へテロ、直鎖、分枝、環状、飽和及び不飽和の脂肪族基;並びに置換、非置換、及びヘテロの芳香族基からなる群から独立に選択される成分を含み、
及びRのそれぞれは、置換、非置換、へテロ、直鎖、分枝、環状、飽和及び不飽和の脂肪族基;並びに置換、非置換、及びヘテロの芳香族基からなる群から独立に選択される成分を含み、
各R15は、アルキレン、アミド、アシル、又はこれらの組合せから独立に選択される成分を含む]。
【請求項53】
が官能化されたアルキレン基を含み、該官能基がXと結合を形成している、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
ペプチドが、エラスチン、絹−エラスチン、コラーゲン、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、Arg−Gly−Asp(RGD)、並びにこれらの任意の誘導体、類似体、同族体、同類物、塩、コポリマー、及びこれらの組合せからなる群から選択される成分を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項55】
薬剤が、フリーラジカル捕捉剤、一酸化窒素供与体、ラパマイシン、メチルラパマイシン、42−エピ−(テトラゾイリル)ラパマイシン、エベロリムス、タクロリムス、パクリタキセル、ドセタキセル、エストラジオール、クロベタソール、イドキシフェン、タザロテン、並びにこれらの任意のプロドラッグ、代謝産物、類似体、同族体、同類物、任意の誘導体、塩、及びこれらの組合せからなる群から選択される成分を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項56】
フリーラジカル捕捉剤が、2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシフリーラジカル;4−アミノ−2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシフリーラジカル;4−ヒドロキシ−2,2’,6,6’−テトラメチル−ピペリデン−1−オキシフリーラジカル;4−カルボキシ−2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシフリーラジカル;2,2’,3,4,5,5’−ヘキサメチル−3−イミダゾリニウム−1−イルオキシメチル硫酸フリーラジカル;16−ドキシル−ステアリン酸フリーラジカル;スーパーオキシドジスムターゼ模倣物;並びにこれらの任意の類似体、同族体、同類物、誘導体、塩、及びこれらの組合せからなる群から選択される成分を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
フリーラジカル捕捉剤が、TEMPO、及びその任意の類似体、同族体、同類物、誘導体、塩、又はこれらの組合せからなる群から選択される成分を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
一酸化窒素供与体が、S−ニトロソチオール、亜硝酸エステル、N−オキソ−N−ニトロソアミン、一酸化窒素シンターゼの基質、ジアゼニウムジオラート、並びにこれらの任意の類似体、同族体、同類物、誘導体、塩、及びこれらの組合せからなる群から選択される成分を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
作製することが、追加の薬剤を組成物と組み合わせることをさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項60】
追加の薬剤が精油を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
精油がガーリックオイルを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
追加の薬剤が、ヒマシ油、魚油、エタノール、キシレン、ジメチルホルムアミド、グリセロール、及びこれらの組合せからなる群から選択される成分を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項63】
又はLが、エーテル、アミド、エステル、アンヒドリド、オルトエステル、全芳香族炭酸エステル、アセタール、ケタール、ウレタン、尿素、グリコシド、ジスルフィド
、シロキサン、及びこれらの組合せからなる群から選択される成分を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項64】
ポリ(ヒドロキシアルカン酸エステル−co−エステルアミド)を含む薬物溶出ステント。
【請求項65】
被覆を含む請求項64に記載の薬物溶出ステントであって、該被覆が薬剤を含むステント。
【請求項66】
薬剤が、フリーラジカル捕捉剤、一酸化窒素供与体、ラパマイシン、メチルラパマイシン、42−エピ−(テトラゾイリル)ラパマイシン、エベロリムス、タクロリムス、パクリタキセル、ドセタキセル、エストラジオール、クロベタソール、イドキシフェン、タザロテン、並びにこれらの任意のプロドラッグ、代謝産物、類似体、同族体、同類物、任意の誘導体、塩、及びこれらの組合せからなる群から選択される成分を含む、請求項65に記載の薬物溶出ステント。

【公表番号】特表2008−526962(P2008−526962A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−551252(P2007−551252)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/043514
【国際公開番号】WO2006/078356
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(307020763)アボット・カーディオヴァスキュラー・システムズ・インコーポレーテッド (10)
【Fターム(参考)】