説明

半固形状鎮痒用外用製剤

【課題】本発明の課題は、皮膚の痒みを抑えるとともに、発赤、色素沈着等の皮膚症状を隠すために配合する固形顔料が塗布時に凝集せず、かつ、経時的に沈降することのない使用感、及び外観安定性に優れた半固形状鎮痒用外用製剤を提供することにある。
【解決手段】次の成分(A)〜(F)
(A)1種又は2種以上の鎮痒成分、
(B)1種又は2種以上の固形顔料、
(C)低級アルコール、
(D)水、
(E)脂肪酸の炭素数が6〜22であるモノ脂肪酸グリセリン、
(F)軽質無水ケイ酸、
を含有する半固形状鎮痒用外用製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚の発赤、色素沈着等の皮膚症状を隠すことができ、かつ、使用感、及び外観安定性の良好な半固形状鎮痒用外用製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、虫刺されやかぶれ、湿疹、蕁麻疹等に起因して生じる皮膚の痒みに対し、鎮痒作用を有する抗ヒスタミン剤やクロタミトン等を含有する外用製剤が適用されている。こうした外用製剤は、液剤や、ゲル剤をはじめとする半固形剤等様々の剤型のものが提供されており、その中でも半固形状の鎮痒用外用製剤は、液ダレがなく、広範囲への塗布が可能であり、使用感に優れるといった理由から、汎用されている。
【0003】
一方、こうした虫刺されやかぶれ、湿疹、蕁麻疹等においては、皮膚の痒みとともに、炎症に起因した発赤、色素沈着等の皮膚症状が現れる。こうした皮膚症状は外観を悪くし、特に女性において、被服等によって覆い隠すことの出来ない箇所に現れる皮膚症状に対し目立たなくしたいという要望が強い。従って、固形顔料の配合等により皮膚症状を隠すことのできる鎮痒用外用製剤の提供が望まれている。
このような外用製剤として、例えば皮膚の炎症、発赤、色素沈着等の皮膚疾患を隠す仕上化粧品に、前記皮膚疾患を完治させる抗生物質と副腎皮質ステロイドホルモン等の抗炎症剤を配合して調製したことを特徴とする皮膚外用剤が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−172125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、半固形状の鎮痒用外用製剤においては、固形顔料を配合した場合には、製剤中の固形顔料の経時的な沈降が生じることが判明した。さらに、後記実施例に記載の通り、カオリン等の固形顔料の経時的な沈降という問題を解決するために本発明者らがヒドロキシプロピルセルロース等の増粘剤の配合を試みたところ、これにより沈降を抑制しても塗布時の凝集が起こってしまうという問題が生じることが判明した。
【0005】
従って、本発明の課題は、発赤、色素沈着等の皮膚症状を隠すために配合する固形顔料が塗布時に塗布部において凝集せず、かつ、製剤中において経時的に沈降することのない半固形状鎮痒用外用製剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、(A)1種又は2種以上の鎮痒成分、(B)皮膚の発赤や色素沈着等の皮膚症状を隠すために用いられる1種又は2種以上の固形顔料、(C)低級アルコール及び(D)水に加えて、(E)脂肪酸の炭素数が6〜22であるモノ脂肪酸グリセリン及び(F)軽質無水ケイ酸を組み合わせて配合することにより、固形顔料が塗布時に塗布部において凝集せず、かつ、製剤中において経時的に沈降しないことを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、次の成分(A)〜(F)
(A)1種又は2種以上の鎮痒成分、
(B)1種又は2種以上の固形顔料、
(C)低級アルコール、
(D)水、
(E)脂肪酸の炭素数が6〜22であるモノ脂肪酸グリセリン、
(F)軽質無水ケイ酸、
を含有する半固形状鎮痒用外用製剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の半固形状鎮痒用外用製剤は、皮膚の痒みを抑えるとともに、皮膚の発赤、色素沈着等の皮膚症状を隠すことができ、かつ、塗布時に塗布部における固形顔料の凝集がなく、また、経時的に製剤中の固形顔料の沈降が生じず、使用感、及び外観安定性が良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に用いられる鎮痒成分としては、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸イソチペンジル等の抗ヒスタミン剤;クロタミトン等の鎮痒作用を持つ化合物が挙げられる。当該抗ヒスタミン剤としては塩酸ジフェンヒドラミンが特に好ましく、鎮痒作用を持つ化合物としてはクロタミトンが特に好ましい。
【0010】
また、当該鎮痒成分としては、これらの成分に更にこれらの成分の効能を有効に発揮する範囲内で適宜これら以外の鎮痒作用を補助する成分を組み合わせて用いてもよい。上記成分以外の鎮痒作用を補助する成分としては、例えば、酢酸ヒドロコルチゾン、酢酸デキサメタゾン、酢酸プレドニゾロン等の各種ステロイド剤;塩酸ジブカイン、リドカイン、アミノ安息香酸ナトリウム等の局所麻酔剤;トウガラシチンキ、l−メントール、dl−カンフル、サリチル酸メチル等の皮膚刺激剤;その他アラントイン、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム等の抗炎症作用を有する化合物が挙げられ、このうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0011】
本発明の半固形状鎮痒用外用製剤中の鎮痒成分の配合量は、鎮痒作用を奏する量であれば特に限定されるものではないが、半固形状鎮痒用外用製剤全質量に対し0.01〜15質量%が好ましく、0.02〜12質量%がより好ましく、0.025〜10質量%が特に好ましい。
また、上記の鎮痒作用を補助する成分の配合量は、鎮痒成分が鎮痒作用を有効に発揮する量であれば特に限定されるものではないが、半固形状鎮痒用外用製剤全質量に対し0.01〜15質量%が好ましく、0.02〜12質量%がより好ましく、0.025〜10質量%が特に好ましい。
【0012】
本発明に用いられる固形顔料としては、例えば虫刺され等により生じる皮膚の発赤、色素沈着等の皮膚症状を隠すために、白色顔料と着色顔料を組み合わせて用いるのが好ましい。白色顔料としては、例えばカオリン、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム等が挙げられ、好ましくは、カオリン、酸化チタン、酸化亜鉛である。着色顔料としては、例えば、黄色三二酸化鉄、褐色酸化鉄、カーボンブラック、薬用炭、緑茶末、ケッケツ、黄酸化鉄、黒酸化鉄及び三二酸化鉄等が挙げられ、黄酸化鉄、黒酸化鉄及び三二酸化鉄が好ましい。また、これらの白色顔料及び着色顔料はいずれもこれらの例示をそれぞれ1種又は2種以上組み合わせて用いることが出来る。
本発明に用いられる固形顔料の平均粒子径は、0.01〜1000μmの範囲内であるのが好ましく、0.1〜500μmの範囲内であるのがより好ましく、0.5〜300μmの範囲内であるのが特に好ましい。なお、固形顔料の平均粒子径は、例えば粒度分布測定法により測定でき、その測定は、例えばコールターカウンターLS‐230(ベックマン・コールター社製)等により行うことができる。
【0013】
本発明の半固形状鎮痒用外用製剤における固形顔料の配合量は、皮膚の発赤、色素沈着等の皮膚症状を隠すために十分な量であれば特に限定されるものではないが、半固形状鎮痒用外用製剤全質量に対し0.1〜30質量%が好ましく、1〜25質量%がより好ましく、5〜20質量%が特に好ましい。
【0014】
本発明において、半固形状鎮痒用外用製剤における溶媒として使用される低級アルコールとしては、有効成分の溶解性の点から炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖の低級アルコールが好ましく、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール等が挙げられ、エタノール及びイソプロパノールが特に好ましい。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。当該低級アルコールは、溶媒としての作用だけでなく清涼作用も有することから、本発明外用製剤の鎮痒効果を向上させる効果を有する。
【0015】
本発明の半固形状鎮痒用外用製剤における低級アルコールの配合量は特に限定されるものではないが、有効成分の溶解性、外観安定性及び鎮痒効果の点から、半固形状鎮痒用外用製剤全質量に対し1〜60質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、10〜45質量%が特に好ましい。
【0016】
本発明の半固形状鎮痒用外用製剤における溶媒として使用される水の配合量は特に限定されるものではないが、有効成分の溶解性及び使用感の点から、半固形状鎮痒用外用製剤全質量に対し5〜65質量%が好ましく、15〜60質量%がより好ましく、20〜55質量%が特に好ましい。
【0017】
本発明の半固形状鎮痒用外用製剤におけるモノ脂肪酸グリセリンは、薬学的に許容し得るものであればよい。当該脂肪酸の炭素数は、6〜22であり、好ましくは14〜22である。また、当該脂肪酸は、飽和脂肪酸であっても、不飽和脂肪酸であっても良い。
当該モノ脂肪酸グリセリンは、例えば、モノラウリン酸グリセリン、モノミリスチン酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリン、モノパルミチン酸グリセリン及びモノステアリン酸グリセリンが挙げられ、好ましくはモノパルミチン酸グリセリン及びモノステアリン酸グリセリンであり、特に好ましくはモノステアリン酸グリセリンである。
【0018】
モノステアリン酸グリセリンとしては、α−及びβ−グリセリルモノステアレートとその他のグリセリンの脂肪酸エステルとの混合物で一般に乳化剤として市販されているものでもよい。市販品としては、例えば、ニッコールMGS−AV、MGS−BV、MGS−F20V、MGS−F40V、MGS−F50V、MGS−F75V(日光ケミカルズ製)、レオドールMS−165、レオドールMS−60(花王製)等のモノステアリン酸グリセリン;ニッコールMGS−150V、MGS−BSEV、MGS−F50SEV(日光ケミカルズ製)等の自己乳化型モノステアリン酸グリセリンが挙げられ、塗布時の固形顔料の凝集の抑制効果、及び固形顔料の経時的な沈降の抑制効果の観点から自己乳化型モノステアリン酸グリセリンが好ましく、MGS−150Vが特に好ましい。
【0019】
本発明の半固形状鎮痒用外用製剤におけるモノ脂肪酸グリセリンの配合量は、塗布時に固形顔料の凝集が起こらず、かつ、製剤中の固形顔料の経時的な沈降を抑制し得る量であれば特に限定されるものではないが、塗布時の固形顔料の凝集の抑制効果、及び固形顔料の経時的な沈降の抑制効果の観点から半固形状鎮痒用外用製剤全質量に対し1〜30質量%が好ましく、5〜25質量%がより好ましく、10〜20質量%が特に好ましい。
【0020】
本発明の半固形状鎮痒用外用製剤における、固形顔料とモノ脂肪酸グリセリンの含有量の相対比率は特に限定されるものではないが、塗布時の固形顔料の凝集の抑制効果、及び固形顔料の経時的な沈降の抑制効果の観点から、固形顔料の配合量を1質量部とした場合に、モノ脂肪酸グリセリンを0.0333〜300質量部の範囲内、より好ましくは0.2〜25質量部の範囲内、特に好ましくは0.5〜5質量部の範囲内で配合することが望ましい。
【0021】
軽質無水ケイ酸としては、例えば、アドソリダー101((有)ワイ・ケイ・エフ製)、AEROSIL(日本アエロジル製)、軽質無水ケイ酸(トクヤマ製)、サイリシア((有)ワイ・ケイ・エフ製)等が市販されている。
【0022】
本発明に用いられる軽質無水ケイ酸の平均粒子径は特に限定されるものではないが、塗布時の固形顔料の凝集の抑制効果、及び固形顔料の経時的な沈降の抑制効果の観点から、平均粒子径が0.01〜500μmであるのが好ましく、0.02〜300μmであるのがより好ましく、0.05〜200μmであるのが特に好ましい。平均粒子径は例えば粒度分布測定法により測定でき、その測定は、例えばコールターカウンターLS‐230(ベックマン・コールター社製)等により行うことができる。なお、ここでいう平均粒子径とは、一次粒子の凝集体の粒子径を示す。また、本発明に用いられる軽質無水ケイ酸の比表面積は特に限定されるものではないが、塗布時の固形顔料の凝集の抑制効果、及び固形顔料の経時的な沈降の抑制効果の観点から、10〜700m2/gであるのが好ましく、50〜600m2/gであるのがより好ましく、70〜500m2/gであるのが特に好ましい。なお、比表面積は、例えばガス吸着法により測定できる。比表面積のガス吸着法による測定は、例えば自動比表面積・細孔分布測定装置TriStar3000(マイクロメリティックス社製)等により行うことができる。
【0023】
本発明の半固形状鎮痒用外用製剤における、軽質無水ケイ酸の配合量は、塗布時に固形顔料の凝集が起こらず、固形顔料の経時的な沈降を抑制し得る量であれば特に限定されるものではないが、塗布時の固形顔料の凝集の抑制効果、及び固形顔料の経時的な沈降の抑制効果の観点から半固形状鎮痒用外用製剤全質量に対し0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは1〜10質量%である。
【0024】
本発明の半固形状鎮痒用外用製剤における、固形顔料と軽質無水ケイ酸の含有量の相対比率は、特に限定されるものではないが、塗布時の固形顔料の凝集の抑制効果、及び経時的な沈降の抑制効果の観点から、固形顔料の配合量を1質量部とした場合に、軽質無水ケイ酸を0.00333〜200質量部の範囲内、より好ましくは0.004〜20質量部の範囲内、特に好ましくは0.05〜2質量部の範囲内で配合することが望ましい。
【0025】
本発明の半固形状鎮痒用外用製剤の粘度は、常温(25℃)で半固形状であれば、特に制限されないが、通常B型回転粘度計を用いて測定した場合、25℃において480〜720mPa・sの範囲内であることが好ましい。
【0026】
本発明の半固形状鎮痒用外用製剤の剤型としては、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、リニメント剤等の剤型が挙げられ、日局製剤総則の記述に従って製造することができる。この場合において、各種剤型に応じて、当業界における公知慣用の手段により、例えば顔料分散剤、抗酸化成分、増粘剤、保存剤、安定化剤、湿潤剤、保湿剤、界面活性剤、pH調節剤、香料等を配合し、製造することができる。
【0027】
顔料分散剤としては、酸化チタン等が挙げられる。
抗酸化成分としては、トコフェロール及びその誘導体、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、亜硫酸水素ナトリウム、エリソルビン酸及びその塩、フラボノイド、グルタチオン、グルタチオンペルオキシダーゼ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、カタラーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、チオレドキシン、タウリン、チオタウリン、ヒポタウリン等が挙げられる。
【0028】
増粘剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ローカストビーンガム、グアーガム、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。
保存剤としては、パラオキシ安息香酸エステル類、塩化ベンザルコニウム等が挙げられる。
【0029】
安定化剤としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エデト酸或いはその塩類等が挙げられる。
湿潤剤としては、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコールが挙げられる。
保湿剤としては、アルゲコロイド、セルロース誘導体類、キサンタンガム、カルメロースナトリウム、ペクチン、ヒアルロン酸、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、尿素等が挙げられる。
【0030】
界面活性剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム等の陰イオン性界面活性剤、塩化セチルピリゾニウム等の陽イオン性界面活性剤、モノステアリン酸グリセリル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポチオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0031】
pH調節剤としては、塩酸等の無機酸、クエン酸等の有機酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水酸化アルカリ、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアミン類が挙げられる。
香料としては、スペアミント油、ペパーミント油、リナロール、ウインダーグリーン油、サッサフラス油、チョウジ油、ハッカ油、タイム油、セージ油、ユーカリ油、ラベンダー油、マヨナラ油、肉桂油、ライム油、レモン油及びオレンジ油等の天然香料等が挙げられる。
【0032】
本発明の半固形状鎮痒用外用製剤は、当業界における公知慣用手段により、通常の鎮痒用外用製剤に準じて使用すればよい。具体的には、患者の年齢、体重、症状、適用部位等に応じて、適当量を一日一回乃至数回、患部に塗布すればよい。
【実施例】
【0033】
以下に、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。
【0034】
〔実施例1〕
モノステアリン酸グリセリン(ニッコールMGS150V:日光ケミカルズ製)15gをエタノール30g中で、60℃で加熱溶解した。室温に戻した後、ここに軽質無水ケイ酸(アドソリダー101:(有)ワイ・ケイ・エフ製)8g、カオリン(カオリンJP100:東色ピグメント(株)製)15gの順に加えて均一に混合させた。(主薬相)
精製水30gに、塩酸ジフェンヒドラミン(高砂香料工業(株)製)1g、エデト酸ナトリウム0.02g及び最終製剤のpHが4.5となるようにpH調節剤(クエン酸及びクエン酸ナトリウム)を溶解させた。(水相)
主薬相をホモディスパー(fモデル:特殊機化工業(株)製)を用いて5分間2500rpmで混合した後、水相を加えて更にホモディスパーを用いて5分間2500rpmで混合し、精製水で全量100gとして実施例1の半固形状鎮痒用外用製剤を得た。
この半固形状鎮痒用外用製剤は、B型回転粘度計を用いて測定した場合、25℃において480〜720mPa・sの範囲内となるようにした。
【0035】
〔実施例2〕
実施例1のエタノールを50gに、精製水を10gとしたほかは、実施例1と同様に調製し、実施例2の半固形状鎮痒用外用製剤を得た。
【0036】
〔比較例1〕
実施例1のモノステアリン酸グリセリン及び軽質無水ケイ酸を無配合としたほかは、実施例1と同様に調製し、比較例1の製剤を得た。
〔比較例2〕
実施例1の軽質無水ケイ酸を無配合としたほかは、実施例1と同様に調製し、比較例2の製剤を得た。
〔比較例3〕
実施例1のモノステアリン酸グリセリンを無配合としたほかは、実施例1と同様に調製し、比較例3の製剤を得た。
〔比較例4〕
実施例1の軽質無水ケイ酸をタルク(タルク、日本タルク製)としたほかは、実施例1と同様に調製し、比較例4の製剤を得た。
〔比較例5〕
実施例1のモノステアリン酸グリセリンをステアリン酸(ステアリン酸NAA175、日本油脂株製)としたほかは、実施例1と同様に調製し、比較例5の製剤を得た。
〔比較例6〕
実施例1のモノステアリン酸グリセリン及び軽質無水ケイ酸を無配合とし、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、日本曹達(株))を配合したほかは、実施例1と同様に調製し、比較例6の製剤を得た。
【0037】
〔比較試験〕
実施例1、2、及び比較例1〜6の半固形状鎮痒用外用製剤を製造直後、60℃で1ヶ月間、40℃で6ヶ月間及び−5℃で1ヶ月間保存した後、固形顔料の沈降の有無についての外観安定性を評価した。外観安定性の評価は、製剤を目視にて確認し、固形顔料の沈降が生じなかったものを○、固形顔料の沈降または離水が生じたものを×で示した。また、半固形状鎮痒用外用製剤を皮膚上で塗り広げた際の、固形顔料の凝集有無について評価した。
【0038】
【表1】

【0039】
鎮痒成分である塩酸ジフェンヒドラミン、固形顔料であるカオリン、エタノール、水、モノステアリン酸グリセリン及び軽質無水ケイ酸を配合した本発明の半固形状鎮痒用外用製剤(実施例1、実施例2)は、製造直後、60℃で1ヶ月間、−5℃で1ヶ月間及び40℃で6ヶ月間保存した後のいずれにおいても、固形顔料の沈降が認められず、外観安定性は良好であった。また、塗布時に凝集を認めなかった。一方、モノステアリン酸グリセリン及び軽質無水ケイ酸を配合しない製剤(比較例1)、軽質無水ケイ酸を配合しない製剤(比較例2)、モノステアリン酸グリセリンを配合しない製剤(比較例3)、実施例1の軽質無水ケイ酸の代わりに同じく分散剤であるタルクを配合した製剤(比較例4)、実施例1のモノステアリン酸グリセリンの代わりに同じく界面活性剤であるステアリン酸を配合した製剤(比較例5)では、60℃で1ヶ月間及び40℃で6ヶ月間保存した後のいずれにおいても、固形顔料の沈降を認めた。増粘剤(ヒドロキシプロピルセルロース)を配合した製剤(比較例6)は、製造直後の外観安定性が良好であったが、−5℃で1ヶ月保存すると離水を生じた。また、皮膚へ塗布すると顔料が凝集し、均一に塗布することが困難であった。以上の結果より、本発明の半固形状鎮痒用外用製剤においては経時的に固形顔料の沈降が抑制され、外観安定性が良好であることが分かる。
【0040】
〔製造例1〕軟膏剤
酢酸デキサメタゾン 0.025質量%
塩酸ジフェンヒドラミン 2.0 質量%
リドカイン 0.5 質量%
l−メントール 3.0 質量%
dl−カンフル 2.0 質量%
カオリン 10.0 質量%
黄酸化鉄 0.2 質量%
黒酸化鉄 0.05 質量%
三二酸化鉄 0.1 質量%
酸化チタン 4.0 質量%
モノステアリン酸グリセリン 15.0 質量%
軽質無水ケイ酸 4.0 質量%
クエン酸 適量(pH調節)
エタノール 30.0 質量%
精製水 適量
合計 100g
【0041】
〔製造例2〕軟膏剤
ジフェンヒドラミン 2.0質量%
カオリン 10.0質量%
酸化チタン 4.0質量%
モノステアリン酸グリセリン 15.0質量%
軽質無水ケイ酸 4.0質量%
塩酸 適量(pH調節)
イソプロパノール 40.0質量%
香料 適量
精製水 適量
合計 100g
【0042】
〔製造例3〕軟膏剤
グリチルリチン酸ジカリウム 0.01質量%
アルゲコロイド 1.0 質量%
ヒアルロン酸 0.01質量%
カオリン 10.0 質量%
酸化亜鉛 4.0 質量%
黄酸化鉄 0.2 質量%
黒酸化鉄 0.05質量%
三二酸化鉄 0.1 質量%
モノステアリン酸グリセリン 12.0 質量%
軽質無水ケイ酸 3.0 質量%
クエン酸 適量(pH調節)
エタノール 20.0 質量%
精製水 適量
合計 100g

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(F)
(A)1種又は2種以上の鎮痒成分、
(B)1種又は2種以上の固形顔料、
(C)低級アルコール、
(D)水、
(E)脂肪酸の炭素数が6〜22であるモノ脂肪酸グリセリン、
(F)軽質無水ケイ酸、
を含有する半固形状鎮痒用外用製剤。
【請求項2】
次の成分(A)〜(F)
(A)製剤全質量に対し0.01〜15質量%の1種又は2種以上の鎮痒成分、
(B)製剤全質量に対し0.1〜30質量%の1種又は2種以上の固形顔料、
(C)製剤全質量に対し1〜60質量%の低級アルコール、
(D)製剤全質量に対し5〜65質量%の水、
(E)製剤全質量に対し1〜30質量%の脂肪酸の炭素数が6〜22であるモノ脂肪酸グリセリン、
(F)製剤全質量に対し0.1〜20質量%の軽質無水ケイ酸、
を含有する半固形状鎮痒用外用製剤。
【請求項3】
(E)モノ脂肪酸グリセリンが、モノステアリン酸グリセリン又はモノパルミチン酸グリセリンである、請求項1又は2記載の半固形状鎮痒用外用製剤。
【請求項4】
(B)1種又は2種以上の固形顔料が、白色顔料及び着色顔料を含有するものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の半固形状鎮痒用外用製剤。
【請求項5】
(B)白色顔料が、カオリン、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化ジルコニウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上のものであり、
着色顔料が、黄色三二酸化鉄、褐色酸化鉄、カーボンブラック、薬用炭、緑茶末、ケッケツ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、及び三二酸化鉄からなる群から選ばれる1種又は2種以上のものである、請求項4記載の半固形状鎮痒用外用製剤。
【請求項6】
外用製剤の剤型が、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、又はリニメント剤である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の半固形状鎮痒用外用製剤。

【公開番号】特開2008−150344(P2008−150344A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−342334(P2006−342334)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(000163006)興和株式会社 (618)
【Fターム(参考)】