説明

半導体ウエハの紫外線照射装置及び方法

【課題】半導体ウエハの紫外線照射装置において、半導体ウエハ表面の状態による紫外線の反射率または吸収率の変化によらずに、本来紫外線照射プロセスに必要とされる紫外線光量を照射する。
【解決手段】半導体ウエハ5の表面近傍を、照射ヘッド部1が一方から他方へ随時移動する際、表面の状態を照射ヘッド部1の反射率または吸収率測定機能により随時フィードバックを掛け、紫外線の照射光量を変更することにより、半導体ウエハ5の表面状態に応じた紫外線光量を照射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハへの紫外線照射に関して、特にウエハ表面またはウエハ上に形成されるチップ表面の状態により紫外線照射光量を制御する半導体ウエハの紫外線照射装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで発明された半導体ウエハの紫外線照射装置では、例えば、DRAMに代表される汎用メモリや一般のシステムLSIなどは、半導体ウエハの面内または1つのチップ内にトランジスタなどの素子が一様に構成されている。
【0003】
そのため、これらの構成素子の特性の同一にするためには紫外線照射工程における紫外線の光量も半導体ウエハ面において均一にする必要があった。
【0004】
そこで、これを実現するために従来の技術では、紫外線ランプを複数本設置して紫外線の光量の均一化を図ったり、紫外線の照射中に半導体ウエハを回転させたりして均一化を図っていた。
【0005】
ところが、近年、混載LSIに代表される半導体ウエハでは、回路構成や素子構成がチップ内で異なる場合があるため、紫外線照射工程において必要とされる紫外線光量も半導体ウエハ内またはチップ内で変更する必要が生じつつある。
【0006】
この場合、これまでの技術では、照射面内での紫外線光量の均一化が求められていたため、半導体ウエハ内またはチップ内で個別に紫外線の光量を変更する機構をそのものが存在しなかったり、または光量を変更できる機構を持つ場合でも、半導体ウエハの図面情報から予め決められた紫外線の照射光量へ変更するため、実際のウエハ表面の凹凸状況などによる紫外線の反射率または吸収率の変化による紫外線照射プロセスに本来必要とされる紫外線光量が紫外線にプロセスが必要な層へ到達しない、または光量が不足するという問題点があった。
【0007】
次に上記問題点を解決するための従来例を2つ挙げる。
【0008】
まず従来例の1つ目として、特許文献1に記載されている半導体装置について説明する。
【0009】
この従来例は、有機ELディスプレイガラス基板の表面処理工程適用した場合として、紫外線の光源と被照射面との間に供給する紫外線吸収媒体および紫外線透過媒体の量を制御することより被照射面の紫外線光量を制御する方法がある。
【0010】
次に2つ目の従来例として、特許文献2に記載されている半導体装置について説明する。
【0011】
この従来例は、主にDVDやCDといった回転する被照射面に紫外線を照射する場合として、ディスクの回転半径に対して照射する紫外線の光量を制御する方法がある。
【0012】
この方式は、光源として複数の紫外線発光ダイオードを用い、被照射面の半径方向に紫外線発光ダイオードを並べ、複数の凸レンズとシリンドリカルレンズにより一軸方向に集光し、被照射面に紫外線を照射している。その際、回転体の回転半径により面積当たりの照射光量が内周側では多く、また外周側では少なくなることを解決するために、複数の紫外線発光ダイオードのそれぞれに電力を供給する電力部と発光量を制御する制御部を備えて、半径方向の距離に対して、照射光量を個別に制御できる構成になっている。
【特許文献1】特開2006−185938号公報
【特許文献2】特開2007−26517号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記特許文献1に開示された方式では、被照射面への紫外線照射量を予め設定した照射量に制御することは可能であるが、紫外線吸収媒体として酸素を用いているため、紫外線光源と被照射面との空間における気体の拡散により、空間の個別箇所の酸素濃度を制御することは難しく、基板に照射する紫外線光量を半導体ウエハの位置に応じて個別に制御することは困難である。また、特許文献2に開示された方式では、回転体の半径の位置情報および必要とされる紫外線光量から各紫外線発光ダイオードの光量を調整するため、実際の表面状態の凹凸に対する制御を行うのは困難である。
【0014】
更に上記特許文献1及び2に開示された紫外線照射装置では、紫外線の照射直前に被照射面の表面状態を確認する機構が存在しないため、被照射面の表面状態の違いによる紫外線反射率の違いに対応することが困難である。また、予め被照射面の図面の位置情報から全ての位置に対する照射光量を設定する作業工程が必要だから、紫外線の照射光量を被照射面の図面位置情報により変更する場合においても、作業工程が増大する問題点がある。
【0015】
そこで、本発明は、上記各問題点に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、半導体ウエハの紫外線照射装置において、半導体ウエハの表面状態による紫外線の反射率または吸収率の違いによらずに、本来紫外線照射プロセスに必要とされる紫外線光量を照射することが可能な紫外線照射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、半導体ウエハをスキャンしながら紫外線を照射する半導体製造装置において、前記照射する紫外線と近傍の波長で前記半導体ウエハの反射率の測定と前記紫外線の光量の制御とを繰り返し行いながら前記紫外線の照射を行う照射手段を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の紫外線照射装置において、前記照射する紫外線と近傍の波長は、10乃至450nmの範囲内の波長であることを特徴とする。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の紫外線照射装置において、前記半導体ウエハの反射率測定用の発光素子の隣に受光素子を配置することを特徴とする。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の紫外線照射装置において、前記半導体ウエハの反射率測定用の発光素子の両側に2つの受光素子を配置することを特徴とする。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の紫外線照射装置において、前記半導体ウエハの反射率測定用の発光素子とプロセス用の発光素子とが、前記半導体ウエハに対する移動方向において同じ位置に配置されることを特徴とする。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れか一項に記載の紫外線照射装置において、前記半導体ウエハの反射率測定用の発光素子の紫外線照射タイミングが、隣り合う前記反射率測定用の発光素子と時間的に分割されて反射率の測定を行うことを特徴とする。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の何れか一項に記載の紫外線照射装置において、前記半導体ウエハへ照射する紫外線の総量を、該半導体ウエハの移動位置と照射光量とに分割することにより、該照射光量の変化を自在に変更することが可能であることを特徴とする。
【0023】
請求項8に記載の発明は、半導体ウエハをスキャンしながら紫外線を照射する半導体製造方法において、前記照射する紫外線と近傍の波長で前記半導体ウエハの反射率の測定と前記紫外線の光量の制御とを繰り返し行いながら前記紫外線の照射を行う照射工程を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、紫外線照射直前にプロセス用紫外線光源と同じ光軸に設置した測定用の紫外線照射光源により半導体ウエハ表面の状態を測定できるため、半導体ウエハの回路パターンや表面状態に応じた紫外線の光量の調節が可能である効果を奏する。
【0025】
また、本発明によれば、予め被照射面の図面の位置情報から照射量を設定する工程が不要であるため、照射光量の変更による作業工数の増加が防げる効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明に係る第1実施形態の半導体ウエハの紫外線照射装置の各要素の制御系の関係を表した概略図である。
【0028】
図1を参照すると、本発明に係る第1実施形態の半導体ウエハの紫外線照射装置は、紫外線を照射する照射ヘッド部1と、照射ヘッド部1の紫外線の光源に電力を供給する電力部2と、電力部2を制御する制御部3と、制御部3へ基本データを与える入力部4と、被紫外線照射対象である半導体ウエハ5と、半導体ウエハ5を支持する機能と照射する紫外線光量の校正する為の反射面を有する支持部6と、支持部6を照射ヘッド部1の下方をスキャンする様に搬送する搬送部7とから構成される。
【0029】
照射ヘッド部1は、半導体ウエハ5の表面の反射率または吸収率を測定する為の機能を有しており、前記反射率または吸収率の測定結果は制御部3へ送信される。
【0030】
制御部3は、受信した前記反射率または吸収率の測定結果と入力部4から与えられた基本データとから紫外線の照射量を算出する機能を有している。
【0031】
半導体ウエハ5は、支持部6により支持されている。
【0032】
照射ヘッド部1の詳細について、図2乃至4を用いて説明する。
【0033】
図2は、照射ヘッド部1を上面から見た図である。
【0034】
図2を参照すると、照射ヘッド部1は、半導体ウエハ5の搬送方向の対面側前列に反射率測定部11と、後列にプロセス照射部12とから構成される。
【0035】
前列の反射率測定部11は、反射率測定に用いられる紫外線を発光する1つの測定発光部16と、その両側に半導体ウエハ5の表面からの反射光を受光する受光部17とを有している。
【0036】
測定発光部16は、半導体ウエハ5に対して垂直に微小紫外線を照射する。照射された紫外線は、半導体ウエハ5で吸収されずに一部が反射され受光部17で受光される。測定発光部16は、高速に駆動可能な紫外線発光機器であれば使用可能であるが、一般的には紫外線発光ダイオードを用いる。
【0037】
受光部17は、反射光をより的確に受信するために、測定発光部16の両側に2つ配置されている。また、受光部17は、光量データを制御部3へ送信する機能を有している。
【0038】
また、受光部17は、紫外線発光ダイオードが照射する紫外線波長が受光でき、かつ高速応答が可能な機器であれば使用可能であるが、一般的には発光した紫外線と同波長付近に分光特性があるフォトダイオードを用いる。照射する紫外線と近傍の波長は、10乃至450nmの範囲内の波長である。
【0039】
さらに、隣り合う測定発光部16及び受光部17での測定が区別できる様に、測定群13、14、15というグループに分け、それぞれ時間的に分割して測定する。
【0040】
なお、他の測定発光部16からの照射光および反射光の影響が及ばない距離に位置する測定群は、再び測定群13、14、15と割り振り、繰り返し時間分割して発光時間の短縮を図る。
【0041】
図3は、反射率測定部11を半導体ウエハ5の進行方向側から見た図の一部である。
【0042】
図3を参照すると、受光部17は、測定発光部16から半導体ウエハ5に対して垂直に照射された紫外線が半導体ウエハ5の表面または表面近傍の回路パターンなどで一部が反射された反射光を受光できる位置に配置する。
【0043】
反射率測定部11は、前記測定発光部16と両側の2つの受光部17の組み合わせが、半導体ウエハ5の直径以上に連続して配置されている構成となっている。但し、図2に示す通り、受光部17は両側の測定発光部16に対する受光部として兼ねることが可能な構成となっている。
【0044】
次に、後列のプロセス照射部12について説明する。
【0045】
プロセス照射部12は、紫外線プロセスを行うための紫外線を照射するプロセス発光部18を複数個有しており、反射率測定部11の測定結果から制御部3が算出した結果より電力部2により与えられる電力およびタイミングで半導体ウエハ5へ紫外線の照射を行う。
【0046】
また、プロセス発光部18は、反射率測定部11の測定発光部16との中心軸が一致していることを特徴としている。
【0047】
次に、前列の反射率測定部11の測定発光部16とプロセス発光部18との位置関係について、図4を用いて説明する。
【0048】
図4を参照すると、プロセス発光部18は、測定発光部16との中心軸が半導体ウエハ5の搬送方向に対して一致する位置に配置される。後に説明する反射率測定シーケンスのために、便宜上1つの測定発光部16と両端の受光部17と測定発光部16と同一中心軸に配置されているプロセス発光部18とを一つのまとまりとして照射群13とし、また隣りの照射群を14とし、以後照射群15と続け、照射群13の測定発光部16の反射光の影響が及ばない位置に配置された照射群は再度照射群13として、以後照射群14、照射群15と続く。
【0049】
本実施形態においては、照射群は照射群13〜15の3つとする。反射光の散乱の具合や照射ヘッド部の大きさなどにより照射群の連番の数は増減してもよい。なお、隣り合う照射群の受光部17は両方の照射群に属するものとする。
【0050】
次に、電力部2について説明する。
【0051】
電力部2は、照射ヘッド部1の複数の測定発光部16とプロセス発光部18へ電力を供給できる様に同数の電力出力回路を有しており、電圧および供給する時間を可変して電力を調整する機能を有している。
【0052】
次に、制御部3について説明する。
【0053】
制御部3は、照射ヘッド部1の複数の受光部17からの受光電圧をデジタルデータに変換する図面には記載されていないAD変換器と、入力部4からの照射データなどの基本情報と前記AD変換器からの受光データとからプロセス発光部18へ供給する電力を算出する同じく記載されていない演算器と、同じく記載されていないが搬送部7を駆動する駆動回路とから構成され、本実施形態のシステムの動作の制御を行っている。
【0054】
次に、入力部4について説明する。
【0055】
入力部4は、半導体ウエハに照射する紫外線の基本光量や半導体ウエハ5の基本反射率、受光部17から光量を算出するために必要なパラメータ、半導体ウエハ5を搬送する搬送部7の移動速度の設定など、紫外線照射装置として必要な各種パラメータの設定を行う機能と、当該設定データを制御部へ送信する機能を有している。
【0056】
次に、支持部6について説明する。
【0057】
支持部6は、半導体ウエハ5を搭載する機能を有している。同時に図7の示すように、照射ヘッド部1の測定発光部16及びプロセス照射部18の校正時に使用する校正部を有している。
【0058】
次に、搬送部7について説明する。
【0059】
搬送部7は、制御部2からの指示により半導体ウエハ5を搭載した支持部6を、指定速度により照射ヘッド部1の下をスキャンする方向に搬送する機構を持つ。
【0060】
本実施形態の半導体ウエハの紫外線照射装置おける紫外線照射動作を、上述の構成と図5の測定フローチャートと図6の照射時間タイミングチャートを用いて説明する。
【0061】
まず、第1ステップとして、図5の紫外線照射装置の初期状態設定について説明する。
【0062】
初期状態設定には、搬送部7の移動速度設定と、紫外線の照射周期の各種時間設定と、半導体ウエハに照射する紫外線の基本光量と基準反射率の設定、反射率測定部11での測定結果から前記紫外線基本光量を増減させる計算式、および計算式に用いるパラメータの設定を入力部4より行う。上記各設定値は、入力部4から制御部3へ送信される。
【0063】
次に、第2ステップの紫外線照射装置の照射量校正について説明する。
【0064】
照射量の校正は、搬送部7により図7に示す支持部6に設置された校正部8を照射ヘッド部1が通過する際に測定を行う。
【0065】
校正部8では、測定発光部16とプロセス発光部18をそれぞれ発光させ、その時の受光部17の光量データにより校正を行う。
【0066】
次に、第3と第4ステップの反射率測定からプロセス照射まで動作に関して、図6を用いて説明する。
【0067】
図6は、第3ステップの反射率測定と第4ステップのプロセス照射の動作時間およびタイミングを表したタイミングチャートである。
【0068】
図6のように、本実施形態の紫外線照射動作は、照射時間20を繰り返しながら半導体ウエハ5の全面に渡って実行することにより紫外線の照射を行っている。
【0069】
照射時間20は、反射率測定時間21とプロセス照射時間22からなり、反射率測定時間21において第3ステップを実行し、プロセス照射時間22において第4ステップを実行する。
【0070】
次に、第3ステップの紫外線照射装置の反射率測定について説明する。
【0071】
反射率の測定は、反射率測定時間21において、まず図2の照射群13の測定照射部16からプロセスに影響しない程度の微弱紫外線を照射する。次にその時の反射率の結果を制御部3へ送信する。次にその直後に隣り合う照射群14の測定照射部16から微弱紫外線を照射し反射率の測定を行う。次に同じく隣り合う照射群15に関して同様に反射率の測定を行う。
【0072】
このように、図6の反射率測定時間21内に隣り合う照射群の反射率の測定を時間分割することにより、反射光の重複を避けることができる。測定照射部16からの光量が不足する場合には出力を増加し、次に説明するプロセス照射時の光量から差し引く事も可能である。
【0073】
次に第4ステップのプロセス照射について説明する。
【0074】
プロセス照射は、実際に半導体ウエハ5の必要な紫外線光量を照射するステップであり、プロセス照射時間22で制御部3により電源部2を経由して各プロセス照射部18から必要量の紫外線光量を発光する。
【0075】
以後、第3ステップの反射率測定と第4ステップのプロセス照射を繰り返し、半導体ウエハ全面に渡って実行する。
【0076】
次に、制御部3の紫外線照射時の動作について説明する。
【0077】
制御部3は、主に搬送部7の制御機能と、反射率の測定結果から照射光量の算出機能と、紫外線プロセスに必要な光量を照射する照射機能と、を有する。
【0078】
まず、搬送部7の制御機能の説明をする。
【0079】
搬送部7の移動速度は、照射時間20の間に移動する距離とプロセス照射部18により照射されて紫外線の照射面積より決定される。つまり、プロセス照射時間22が時間分割されている影響が無視できる程度の低速な移動速度が必要であり、かつ紫外線照射装置として運用できる移動速度とする必要がある。
【0080】
次に照射光量の算出機能について説明する。
【0081】
照射光量の算出機能は、入力部4から入力された被照射体である半導体ウエハ5の基本反射率とその時の照射量を基準として、測定された反射率から1次関数、または2次関数、または反射率に応じたゾーン制御など半導体ウエハの特性に応じてプロセス照射量を決定する。
【0082】
次に照射機能について説明する。
【0083】
制御部3は、反射率の測定結果から紫外線の照射光量を変更するが、照射を行うプロセス照射部18の照射エリアは、半導体ウエハ5の進行方向に対して広がりがある。そのため、照射光量が変化させる場合、以下の制御を用いる。つまり、図8のように縦軸経過時間とし、横軸に照射位置をとり、経過時間1に対して位置が1づつ移動していくとし、またプロセス照射部の照射エリアの広がりが経過時間の3つ分に相当する位置に広がっているものとする。
【0084】
今、照射光量が位置m以前を照射量9で照射し、位置m+1からは7へ変更になった場合を考える。位置m以前については、一つの位置において照射光量3を3回に分けて照射されることとなる。
【0085】
なお、位置m−3と位置m−2に関しては、経過時間のm以前を省略しているため、総照射光量が合わないが、経過時間m以前から照射されていたものとしている。位置m+1から算出照射量が7へ変更になった場合は、図8のように時間分割により照射光量を変化させ、照射光量の変更を高速に行っている。
【0086】
以上のような各部の動作により、本実施形態の紫外線照射装置は、半導体ウエハ5の表面近傍を、照射ヘッド部1が一方から他方へ移動しながら紫外線を照射し、半導体製造プロセスにおける紫外線照射工程を実現しており、表面の状態を照射ヘッド部1の反射率または吸収率測定機能の信号により随時フィードバックして紫外線の照射光量を随時変更することにより、半導体ウエハ5の表面の状態による紫外線の反射率または吸収率の違いによらずに、本来紫外線照射プロセスに必要とされる紫外線光量を的確に照射することができる効果がある。
【0087】
上記第1実施形態において、照射ヘッド部1の受光部17を測定発光部16に対して1つとし、半導体ウエハ5に対して角度を設ける位置とすることができる。そのための構造を第2実施形態として図9、及び10に示す。
【0088】
第2実施形態では、図9に示す通り、測定反射部16の照射位置は測定反射部16と受光部17との中間点の位置に照射する。その時のプロセス照射部の位置は、図10に示す通り、測定反射部16と受光部17との中間点の半導体ウエハの移動方向の延長線上に設置する。
【0089】
その結果、照射ヘッド部1の受光部17の個数を減らすことができるが、その反面、測定照射部16の照射角度がプロセス照射部18と異なるため、反射率の測定結果の精度が低下するという問題点もある。
【0090】
なお、本発明は、任意の表面状態の物体の光照射量の制御といった用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本実施形態の半導体ウエハの紫外線照射装置の基本構成図である。
【図2】本実施形態の半導体ウエハの紫外線照射装置の照射ヘッド部1を示す構成図である。
【図3】本実施形態の半導体ウエハの紫外線照射装置の照射ヘッド部1の反射率測定部11の測定発光部16と受光部17との位置関係を半導体ウエハ5のスキャン方向から見た側面図である。
【図4】本実施形態の半導体ウエハの紫外線照射装置の照射ヘッド部1の測定発光部16および受光部17と、プロセス照射部18との位置関係を表す上面図である。
【図5】本実施形態の半導体ウエハの紫外線照射装置の動作シーケンスを表すフローチャートである。
【図6】本実施形態の半導体ウエハの紫外線照射装置の照射シーケンスを表すタイミングチャートである。
【図7】本実施形態の半導体ウエハの紫外線照射装置の半導体ウエハ5と支持部6と校正部8を表す構成図である。
【図8】本実施形態の半導体ウエハの紫外線照射装置の制御部3の半導体ウエハ5の移動速度とプロセス照射光量、およびプロセス照射光量の変更時の動作を表した図である。
【図9】半導体ウエハの紫外線照射装置の第2の実施形態の照射ヘッド部1の反射率測定部11の測定発光部16と受光部17との位置関係を半導体ウエハ5のスキャン方向から見た側面図である。
【図10】半導体ウエハの紫外線照射装置の第2の実施形態の照射ヘッド部1の測定発光部16および受光部17と、プロセス照射部18との位置関係を表す上面図である。
【符号の説明】
【0092】
1 照射ヘッド部(照射手段の一例)
2 電力部
3 制御部
4 入力部
5 半導体ウエハ
6 半導体ウエハ支持部
7 搬送部
8 校正部
11 反射率測定部
12 プロセス照射部
13、14、15 測定群
16 測定発光部(発光素子の一例)
17 受光部(受光素子の一例)
18 プロセス照射部
20 反射率測定時間
21 プロセス照射時間
22 照射周期

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウエハをスキャンしながら紫外線を照射する半導体製造装置において、
前記照射する紫外線と近傍の波長で前記半導体ウエハの反射率の測定と前記紫外線の光量の制御とを繰り返し行いながら前記紫外線の照射を行う照射手段を備えることを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の紫外線照射装置において、
前記照射する紫外線と近傍の波長は、10乃至450nmの範囲内の波長であることを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項3】
請求項1に記載の紫外線照射装置において、
前記半導体ウエハの反射率測定用の発光素子の隣に受光素子を配置することを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項4】
請求項3に記載の紫外線照射装置において、
前記半導体ウエハの反射率測定用の発光素子の両側に2つの受光素子を配置することを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項5】
請求項1に記載の紫外線照射装置において、
前記半導体ウエハの反射率測定用の発光素子とプロセス用の発光素子とが、前記半導体ウエハに対する移動方向において同じ位置に配置されることを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の紫外線照射装置において、
前記半導体ウエハの反射率測定用の発光素子の紫外線照射タイミングが、隣り合う前記反射率測定用の発光素子と時間的に分割されて反射率の測定を行うことを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の紫外線照射装置において、
前記半導体ウエハへ照射する紫外線の総量を、該半導体ウエハの移動位置と照射光量とに分割することにより、該照射光量の変化を自在に変更することが可能であることを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項8】
半導体ウエハをスキャンしながら紫外線を照射する半導体製造方法において、
前記照射する紫外線と近傍の波長で前記半導体ウエハの反射率の測定と前記紫外線の光量の制御とを繰り返し行いながら前記紫外線の照射を行う照射工程を備えることを特徴とする紫外線照射方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−288371(P2008−288371A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−131648(P2007−131648)
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】