説明

半導体チップの製造装置及び半導体チップの製造方法

【課題】 半導体基板を分断して得られる半導体チップの歩留まりを向上させることができる半導体チップの製造装置及び半導体チップの製造方法を実現する。
【解決手段】 半導体チップの製造装置1には、半導体チップ22cを吸着して保持する吸着部材43と、吸着部材43を移動させる移動機構44とが設けられている。半導体チップ22cを吸着部材43により吸着し、移動機構44により上昇させると、半導体チップ22cの分割予定ラインDLに対応してレーザ光の照射により導入されている改質領域に集中的に剪断応力が発生する。これにより、半導体基板21が分割予定ラインDLに沿って厚さ方向に分割されて、半導体チップ22cが得られる。半導体チップ22cは、吸着部材43により吸着された状態で、移動機構44によりパッケージに搭載するための実装工程に移送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体基板をその厚さ方向に分割して半導体チップを得る製造装置及び半導体チップの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体チップの製造では、分割する予定のラインにダイシングが施されてシートに貼り付けられた状態の半導体基板を、そのシートを引き伸ばして拡大し、半導体基板の面方向に応力を負荷することにより半導体チップに分割する半導体チップの製造装置が使用されている。図7に従来の半導体チップの製造装置の一例を示す。図7(A)は、半導体基板がシートに接着され、シートの外周部がフレームに保持されている状態の説明図であり、図7(B)は、押圧装置により半導体基板を半導体チップに分割する工程の説明図である。
図7(A)に示すように、シリコン等の半導体からなる半導体基板Wの裏面の基板面は、レーザダイシングなどが施された状態で、延伸性を有する樹脂製のシートSに接着されており、シートSの外周部は円環状のフレームFにより保持されている。
そして、図7(B)に示すように、半導体基板Wの下方に配置され、図示しない移動手段により上下方向に移動する押圧装置Mを用いて、シートSの裏側から半導体基板Wを押し上げるように押圧することにより、シートSが面方向(図中矢印F1、F2方向)に引き伸ばされる。これにより、シートSに接着された半導体基板Wには、面方向に応力が負荷されるため、半導体基板Wは複数の半導体チップCに分割される(特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−334675号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の半導体チップの製造装置では、シートSの外周を保持した状態でシートSが引き伸ばされるため、シートSは外周部ほど伸びが大きくなり、中央部では伸びが小さくなる傾向がある。つまり、半導体基板Wは外周近傍では適正に分割されるが、中央近傍では分割されにくく、半導体チップCの歩留まりが低下するという問題があった。
【0004】
そこで、この発明は、半導体基板を分割して得られる半導体チップの歩留まりを向上させることができる半導体チップの製造装置及び半導体チップの製造方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、一方の基板面に複数の半導体素子が形成された半導体基板を厚さ方向に分割することにより、前記半導体素子を有する半導体チップを得る半導体チップの製造装置において、各半導体素子間の前記基板面には、分割する予定のラインが設定されており、かつ、前記ラインに対応する厚さ方向には、厚さ方向に分割するために必要な応力を低くするための領域が形成されており、前記基板面のうち、半導体素子の周囲と前記ラインとによって囲まれた部分に所定の部材を取り付けて、その所定の部材に対して前記基板面から離れる方向に作用する力を加えて、前記領域に剪断応力を発生させることにより、前記半導体基板を前記ラインの厚さ方向に分割して、前記所定の部材が取り付けられた部分に対応する半導体チップを得る、という技術的手段を用いる。
【0006】
請求項2に記載の発明では、一方の基板面に複数の半導体素子が形成された半導体基板を厚さ方向に分割することにより、前記半導体素子を有する半導体チップを得る半導体チップの製造装置において、各半導体素子間の前記基板面には、分割する予定のラインが設定されており、かつ、前記ラインに対応する厚さ方向には、厚さ方向に分割するために必要な応力を低くするための領域が形成されており、前記基板面のうち、半導体素子の周囲と前記ラインとによって囲まれた部分に所定の部材を取り付けて、その所定の部材に対して前記基板面を押圧する方向に作用する力を加えて、前記領域に剪断応力を発生させることにより、前記半導体基板を前記ラインの厚さ方向に分割して、前記所定の部材が取り付けられた部分に対応する半導体チップを得る、という技術的手段を用いる。
【0007】
請求項3に記載の発明では、一方の基板面に複数の半導体素子が形成された半導体基板を厚さ方向に分割することにより、前記半導体素子を有する半導体チップを得る半導体チップの製造装置において、各半導体素子間の前記基板面には、分割する予定のラインが設定されており、かつ、前記ラインに対応する厚さ方向には、厚さ方向に分割するために必要な応力を低くするための領域が形成されており、前記基板面のうち、前記半導体基板の端部にある半導体素子の周囲と前記ラインとによって囲まれた部分に所定の部材を取り付けて、その所定の部材に対して、前記半導体基板の面方向であって、前記半導体基板から離れる方向に作用する力を加えて、前記領域に応力を発生させることにより、前記半導体基板を前記ラインの厚さ方向に分割して、前記所定の部材が取り付けられた部分に対応する半導体チップを得る、という技術的手段を用いる。
【0008】
請求項4に記載の発明では、一方の基板面に複数の半導体素子が形成された半導体基板を厚さ方向に分割することにより、前記半導体素子を有する半導体チップを得る半導体チップの製造装置において、各半導体素子間の前記基板面には、分割する予定のラインが設定されており、かつ、前記ラインに対応する厚さ方向には、厚さ方向に分割するために必要な応力を低くするための領域が形成されており、前記半導体基板の他方の基板面の前記ラインによって囲まれた部分に対応する位置に所定の部材を取り付けて、その所定の部材に対して前記他方の基板面から離れる方向に作用する力を加えて、前記領域に剪断応力を発生させることにより、前記半導体基板を前記ラインの厚さ方向に分割して、前記所定の部材が取り付けられた部分に対応する半導体チップを得る、という技術的手段を用いる。
【0009】
請求項5に記載の発明では、請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の半導体チップの製造装置において、前記所定の部材が取り付けられた部分に対応する半導体素子に隣接する少なくとも1つの半導体素子の周囲と前記ラインとによって囲まれた部分、または、前記ラインによって囲まれた部分に対応する前記半導体基板の他方の基板面側に、前記所定の部材により作用する力の方向と逆方向に付勢する付勢手段を備えた、という技術的手段を用いる。
【0010】
請求項6に記載の発明では、請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の半導体チップの製造装置において、前記半導体基板の他方の基板面を接着するシートと、前記シートの外周を保持する保持手段と、前記保持手段で保持された前記シートを拡張する拡張手段と、を備えた、という技術的手段を用いる。
【0011】
請求項7に記載の発明では、請求項6に記載の半導体チップの製造装置において、前記保持手段に保持された前記シートを裏面から押圧する押圧手段を備えており、前記シートの裏面を前記押圧手段によって押圧して、前記シートを拡張する、という技術的手段を用いる。
【0012】
請求項8に記載の発明では、請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載の半導体チップの製造装置において、レーザ光を照射するレーザヘッドを、前記ラインに沿って、前記半導体基板に対して相対移動させながら、前記半導体基板の内部に集光点を合わせてレーザ光を照射し、前記集光点に多光子吸収による改質領域を前記領域として形成する改質領域形成手段が設けられており、この改質領域形成工程を経た前記半導体基板を、前記改質領域を起点にして分割する、という技術的手段を用いる。
【0013】
請求項9に記載の発明では、請求項1ないし請求項8のいずれか1つに記載の半導体チップの製造装置において、前記所定の部材が分割された前記半導体チップを取り付けた状態で、前記所定の部材を移動させる移動機構により、前記半導体チップを前記半導体チップの実装工程に移送する、という技術的手段を用いる。
【0014】
請求項10に記載の発明では、一方の基板面に複数の半導体素子が形成された半導体基板を用意し、前記半導体基板を厚さ方向に分割することにより、前記半導体素子を有する半導体チップを得る分割工程を備えた半導体チップの製造方法において、前記半導体基板は、各半導体素子間の前記基板面に、分割する予定のラインが設定されており、かつ、前記ラインに対応する厚さ方向に、厚さ方向に分割するために必要な応力を低くするための領域が形成されており、前記分割工程は、前記基板面のうち、半導体素子の周囲と前記ラインとによって囲まれた部分に所定の部材を取り付けて、その所定の部材に対して前記基板面から離れる方向に作用する力を加えて、前記領域に剪断応力を発生させることにより、前記半導体基板を前記ラインの厚さ方向に分割して、前記所定の部材が取り付けられた部分に対応する半導体チップを得る工程である、という技術的手段を用いる。
【0015】
請求項11に記載の発明では、一方の基板面に複数の半導体素子が形成された半導体基板を用意し、前記半導体基板を厚さ方向に分割することにより、前記半導体素子を有する半導体チップを得る分割工程を備えた半導体チップの製造方法において、前記半導体基板は、各半導体素子間の前記基板面に、分割する予定のラインが設定されており、かつ、前記ラインに対応する厚さ方向に、厚さ方向に分割するために必要な応力を低くするための領域が形成されており、前記分割工程は、前記基板面のうち、半導体素子の周囲と前記ラインとによって囲まれた部分に所定の部材を取り付けて、その所定の部材に対して前記基板面を押圧する方向に作用する力を加えて、前記領域に剪断応力を発生させることにより、前記半導体基板を前記ラインの厚さ方向に分割して、前記所定の部材が取り付けられた部分に対応する半導体チップを得る工程である、という技術的手段を用いる。
【0016】
請求項12に記載の発明では、一方の基板面に複数の半導体素子が形成された半導体基板を用意し、前記半導体基板を厚さ方向に分割することにより、前記半導体素子を有する半導体チップを得る分割工程を備えた半導体チップの製造方法において、前記半導体基板は、各半導体素子間の前記基板面に、分割する予定のラインが設定されており、かつ、前記ラインに対応する厚さ方向に、厚さ方向に分割するために必要な応力を低くするための領域が形成されており、前記分割工程は、前記基板面のうち、前記半導体基板の端部にある半導体素子の周囲と前記ラインとによって囲まれた部分に所定の部材を取り付けて、その所定の部材に対して、前記半導体基板の面方向であって、前記半導体基板から離れる方向に作用する力を加えて、前記領域に応力を発生させることにより、前記半導体基板を前記ラインの厚さ方向に分割して、前記所定の部材が取り付けられた部分に対応する半導体チップを得る工程である、という技術的手段を用いる。
【0017】
請求項13に記載の発明では、一方の基板面に複数の半導体素子が形成された半導体基板を用意し、前記半導体基板を厚さ方向に分割することにより、前記半導体素子を有する半導体チップを得る分割工程を備えた半導体チップの製造方法において、前記半導体基板は、各半導体素子間の前記基板面に、分割する予定のラインが設定されており、かつ、前記ラインに対応する厚さ方向に、厚さ方向に分割するために必要な応力を低くするための領域が形成されており、前記分割工程は、前記半導体基板の他方の基板面の前記ラインによって囲まれた部分に対応する位置に所定の部材を取り付けて、その所定の部材に対して前記他方の基板面から離れる方向に作用する力を加えて、前記領域に剪断応力を発生させることにより、前記半導体基板を前記ラインの厚さ方向に分割して、前記所定の部材が取り付けられた部分に対応する半導体チップを得る工程である、という技術的手段を用いる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、基板面のうち、半導体チップの周囲と分割する予定のラインとによって囲まれた部分に所定の部材を取り付けて、その所定の部材に対して基板面から離れる方向に作用する力を加えることにより、各半導体素子間の基板面に設定された分割する予定のラインに対応して、厚さ方向への分割に必要な応力を低くするために厚さ方向に形成された領域に確実に応力を負荷することができる。そのため、所定の部材が取り付けられた半導体素子毎に、半導体基板を前記ラインの厚さ方向に確実に分割することができ、半導体基板中央近傍の半導体チップの割れ残しがなくなるので、半導体基板を分割して得られる半導体チップの歩留まりを向上させることができる半導体チップの製造装置を実現することができる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、基板面のうち、半導体チップの周囲と分割する予定のラインとによって囲まれた部分に所定の部材を取り付けて、その所定の部材に対して前記基板面を押圧する方向に作用する力を加えることにより、各半導体素子間の基板面に設定された分割する予定のラインに対応して、厚さ方向への分割に必要な応力を低くするために厚さ方向に形成された領域に確実に応力を負荷することができる。そのため、所定の部材が取り付けられた半導体素子毎に、半導体基板を前記ラインの厚さ方向に確実に分割することができ、半導体基板中央近傍の半導体チップの割れ残しがなくなるので、半導体基板を分割して得られる半導体チップの歩留まりを向上させることができる半導体チップの製造装置を実現することができる。
また、所定の部材を取り付けるための力は、押圧するときに応力を負荷する方向からずれない程度の力でよいので、取り付けに必要な力を小さくすることができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、基板面のうち、半導体基板の端部にある半導体素子の周囲と分割する予定のラインとによって囲まれた部分に所定の部材を取り付けて、その所定の部材に対して、半導体基板の面方向であって、半導体基板から離れる方向に作用する力を加えることにより、各半導体素子間の基板面に設定された分割する予定のラインに対応して、厚さ方向への分割に必要な応力を低くするために厚さ方向に形成された領域に確実に応力を負荷することができる。そのため、所定の部材が取り付けられた半導体素子毎に、半導体基板を前記ラインの厚さ方向に確実に分割することができ、半導体基板中央近傍の半導体チップの割れ残しがなくなるので、半導体基板を分割して得られる半導体チップの歩留まりを向上させることができる半導体チップの製造装置を実現することができる。
また、半導体チップは分割されると、半導体基板の面方向であって、半導体基板から離れる方向に相対的に移動するため、分割された面同士がこすれることがないので、半導体チップにチッピングが発生するおそれがない。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、半導体基板の他方の基板面の分割する予定のラインによって囲まれた部分に対応する位置に所定の部材を取り付けて、その所定の部材に対して前記他方の基板面から離れる方向に作用する力を加えることにより、各半導体素子間の基板面に設定された分割する予定のラインに対応して、厚さ方向への分割に必要な応力を低くするために厚さ方向に形成された領域に確実に応力を負荷することができる。そのため、所定の部材が取り付けられた半導体素子毎に、半導体基板を前記ラインの厚さ方向に確実に分割することができ、割れ残しがなくなるので、半導体基板を分割して得られる半導体チップの歩留まりを向上させることができる半導体チップの製造装置を実現することができる。
また、所定の部材は、半導体素子が形成されていない面に取り付けるため、半導体素子を傷つけるおそれがない。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、所定の部材が取り付けられた部分に対応する半導体素子に隣接する少なくとも1つの半導体素子の周囲と前記ラインとによって囲まれた部分、または、前記ラインによって囲まれた部分に対応する半導体基板の他方の基板面側に、所定の部材により作用する力が作用する方向と逆方向に付勢する付勢手段を備えているため、所定の部材により応力を負荷するときに、所定の部材が取り付けられた部分以外の半導体基板の変形を抑制し、前記領域に集中して応力を負荷することができるので、分割する予定の半導体チップのみを確実に分割することができる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、半導体基板に応力を負荷するときにシートを拡張することにより、半導体基板には面方向に引張応力が負荷されるため、前記領域に作用する応力が増大するので、半導体基板をより一層容易に分割することができる。
【0024】
特に請求項7に記載の発明によれば、シートの裏面を押圧手段によって押圧するという一度の簡単な操作によりシートを拡張するため、より効率的に半導体基板全体に応力を負荷して、半導体基板を分割することができる。
【0025】
特に、請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載の発明は、請求項8に記載の発明のように、レーザ光を照射するレーザヘッドを、分割予定ラインに沿って、前記半導体基板に対して相対移動させながら、半導体基板の内部に集光点を合わせてレーザ光を照射し、集光点に多光子吸収による改質領域を形成する改質領域形成手段が設けられており、この改質領域形成工程を経た半導体基板を、改質領域を起点にして分割する構成を有するものに好適に用いられる。
つまり、レーザ光の照射により半導体基板の内部に改質領域を形成するため、ダイヤモンドブレードなどによりダイシングした場合のように粉塵が発生しないので、半導体基板の基板面に粉塵が付着するおそれがない。
【0026】
請求項9に記載の発明によれば、所定の部材は、分割された半導体チップを取り付けた状態で、半導体チップの実装工程に移送するため、半導体チップを分割した後にピックアップして実装工程に移送する方法と比べて、時間が短縮できるとともに、半導体チップのピックアップを失敗することなく実装工程に確実に移送することができる。
【0027】
請求項10に記載の発明によれば、基板面のうち、半導体チップの周囲と分割する予定のラインとによって囲まれた部分に所定の部材を取り付けて、その所定の部材に対して基板面から離れる方向に作用する力を加えることにより、各半導体素子間の基板面に設定された分割する予定のラインに対応して、厚さ方向への分割に必要な応力を低くするために厚さ方向に形成された領域に確実に応力を負荷することができる。そのため、所定の部材が取り付けられた半導体素子毎に、半導体基板を前記ラインの厚さ方向に確実に分割することができ、半導体基板中央近傍の半導体チップの割れ残しがなくなるので、半導体基板を分割して得られる半導体チップの歩留まりを向上させることができる半導体チップの製造方法を実現することができる。
【0028】
請求項11に記載の発明によれば、基板面のうち、半導体チップの周囲と分割する予定のラインとによって囲まれた部分に所定の部材を取り付けて、その所定の部材に対して前記基板面を押圧する方向に作用する力を加えることにより、各半導体素子間の基板面に設定された分割する予定のラインに対応して、厚さ方向への分割に必要な応力を低くするために厚さ方向に形成された領域に確実に応力を負荷することができる。そのため、所定の部材が取り付けられた半導体素子毎に、半導体基板を前記ラインの厚さ方向に確実に分割することができ、半導体基板中央近傍の半導体チップの割れ残しがなくなるので、半導体基板を分割して得られる半導体チップの歩留まりを向上させることができる半導体チップの製造方法を実現することができる。
また、所定の部材を取り付けるための力は、押圧するときに応力を負荷する方向からずれない程度の力でよいので、取り付けに必要な力を小さくすることができる。
【0029】
請求項12に記載によれば、基板面のうち、半導体基板の端部にある半導体素子の周囲と分割する予定のラインとによって囲まれた部分に所定の部材を取り付けて、その所定の部材に対して、半導体基板の面方向であって、半導体基板から離れる方向に作用する力を加えることにより、各半導体素子間の基板面に設定された分割する予定のラインに対応して、厚さ方向への分割に必要な応力を低くするために厚さ方向に形成された領域に確実に応力を負荷することができる。そのため、所定の部材が取り付けられた半導体素子毎に、半導体基板を前記ラインの厚さ方向に確実に分割することができ、半導体基板中央近傍の半導体チップの割れ残しがなくなるので、半導体基板を分割して得られる半導体チップの歩留まりを向上させることができる半導体チップの製造方法を実現することができる。
また、半導体チップは分割されると、半導体基板の面方向であって、半導体基板から離れる方向に相対的に移動するため、分割された面同士がこすれることがないので、半導体チップにチッピングが発生するおそれがない。
【0030】
請求項13に記載の発明によれば、半導体基板の他方の基板面の分割する予定のラインによって囲まれた部分に対応する位置に所定の部材を取り付けて、その所定の部材に対して前記他方の基板面から離れる方向に作用する力を加えることにより、各半導体素子間の基板面に設定された分割する予定のラインに対応して、厚さ方向への分割に必要な応力を低くするために厚さ方向に形成された領域に確実に応力を負荷することができる。そのため、所定の部材が取り付けられた半導体素子毎に、半導体基板を前記ラインの厚さ方向に確実に分割することができ、割れ残しがなくなるので、半導体基板を分割して得られる半導体チップの歩留まりを向上させることができる半導体チップの製造方法を実現することができる。
また、所定の部材は、半導体素子が形成されていない面に取り付けるため、半導体素子を傷つけるおそれがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
[第1実施形態]
この発明に係る半導体チップの製造装置及び製造方法の第1実施形態について、図を参照して説明する。図1は、この発明の半導体チップの製造装置により分割する半導体基板の構成例を示す模式図である。図1(A)は、フレームに保持されているシートに接着された半導体基板の平面説明図であり、図1(B)は、図1(A)の1B−1B矢視断面図である。図2は、半導体基板にレーザ光の照射を行う半導体チップの製造装置の説明図である。図3は、第1実施形態に係る製造装置を用いた半導体チップの製造方法の説明図であり、図3(A)は、半導体基板の分割前の状態の説明図であり、図3(B)は、半導体基板の分割後の状態の説明図である。
なお、いずれの図においても、説明のために一部を拡大して誇張して示している。
【0032】
まず、図1(A)に示すように、ウェハ20を用意する。ウェハ20には、シリコンからなる薄板円盤形状の半導体基板21が備えられており、その外周の一部には、結晶方位を示すオリエンテーションフラットOFが形成されている。この半導体基板21の基板面21aには、拡散工程等を経て形成された半導体素子24を有する複数の半導体チップ22が碁盤の目のように整列配置されている。なお、以下の説明において、半導体基板21から分割されておらず、本来、分割された後に半導体チップとなる部分についても半導体チップと呼ぶ。これらの半導体チップ22は、ダイシング工程により分割予定ラインDLに沿って厚さ方向にそれぞれ分割された後、マウント工程、ボンディング工程、封入工程等といった各工程を経ることによってパッケージされたICやLSIとして完成する。
半導体基板21は、基板面21aの裏面21bが延伸性を有する樹脂製のシート41に接着されており、シート41が張った状態でシート41の外周部が円環状のフレーム42により保持されている。
【0033】
各半導体素子24間の基板面21aには、半導体基板21を厚さ方向に分割する予定のラインである分割予定ラインDL1〜DL14が設定されている。分割予定ラインDL1〜DL7は、オリエンテーションフラットOFに略垂直方向にそれぞれ平行して設定されており、分割予定ラインDL8〜DL14は、オリエンテーションフラットOFに略平行方向にそれぞれ平行して設定されている。つまり、各半導体素子24は、その周囲の4辺を分割予定ラインDLにより囲まれている。
図1(B)に示すように、1B−1Bライン上には、6つの半導体チップ22a〜22fが形成されている。半導体基板21の基板面には、7本の分割予定ラインDL1〜DL7及び分割予定ラインDL11、DL12(図1(A))が設定されている。分割予定ラインDL1〜DL7に対応する厚さ方向には、分割の起点となる改質領域K1〜K7が後述する方法により形成される。同様に、分割予定ラインDL11、DL12(図1(A))に対応する厚さ方向には、図示しない改質領域が形成される。
【0034】
図2に示すように、半導体チップの製造装置1には、レーザ光Lを照射するレーザヘッド31が設けられている。レーザヘッド31は、レーザ光Lを集光する集光レンズ32を備えており、レーザ光Lを所定の焦点距離で集光させることができる。ここでは、レーザ光Lの集光点Pが半導体基板21の基板面21aから深さdの箇所に形成されるように設定されている。
【0035】
半導体基板21内部に改質領域Kを形成するためには、まず、図1(A)に示す分割予定ラインDLの1つを、半導体基板検出用のレーザ光で走査し、レーザ光Lの照射範囲を設定する。
続いて、図2に示すように、レーザヘッド31を分割予定ラインDLに沿って走査し(図中矢印F4方向)、レーザ光Lを基板面21aから照射することにより、レーザ光Lの集光点Pが走査された深さdの経路に、多光子吸収による改質領域Kが適正に形成される。レーザ光Lの集光点Pの深さdを調整することにより、半導体基板21の厚さの範囲内で任意の深さに任意の層数の改質領域Kを形成することができる。例えば、厚さが比較的厚い場合は、その厚さ方向へ集光点Pを移動させて改質領域Kを厚さ方向に連続状、または複数箇所に形成することにより、半導体基板21の分割を容易にすることができる。
ここで、多光子吸収とは、物質が複数個の同種もしくは異種の光子を吸収することをいう。その多光子吸収により、半導体基板Wの集光点Pおよびその近傍では、光学的損傷という現象が発生し、これにより熱ひずみが誘起され、その部分にクラックが発生し、そのクラックが集合した層、つまり改質領域Kが形成される。
【0036】
続いて、半導体基板21に応力を負荷することにより、改質領域Kを起点にして、基板厚さ方向にクラックを進展させて、半導体基板21を分割予定ラインDLに沿って厚さ方向に分割する。ここでは、図1(B)に示すように、1B−1Bライン上に配置されている6個の半導体チップ22a〜22fのうち半導体チップ22cを分割する分割工程について説明する。
【0037】
図3(A)に示すように、半導体基板21は、分割予定ラインDL1〜DL7に対応した改質領域K1〜K7及び分割予定ラインDL11、DL12(図1(A))に対応した図示しない改質領域が導入され、シート41に接着されている。ここで、シ−ト41を保持するフレーム42は図示しない固定手段にて動かないように固定されている。
半導体チップの製造装置1には、半導体チップ22cを吸着して保持する吸着部材43(例えば、ダイピックアップ)と、吸着部材43を半導体チップ22cに吸着させるための図示しない吸着装置と、吸着部材43を移動させる移動機構44とが設けられている。
吸着部材43の先端部には、基板面21aのうち、半導体素子24cの周囲と分割予定ラインDL3、DL4及び分割予定ラインDL11、DL12(図1(A))とによって囲まれた部分と当接する当接部43aが形成されている。吸着部材43は、吸着部材43と基板面21aとが当接した状態で、図示しない吸引装置により吸着部材43と基板面21aとの間の空間43b内部を減圧することにより、基板面21aを吸着する。ここで、当接部43aはゴムなどの弾性体で形成すると、基板面21aとの密着性が向上し、吸着力が増大する。
【0038】
半導体チップ22b、22dを含む半導体チップ22cに隣接した半導体チップの基板面21aには、付勢部材45が当接して配置されている。付勢部材45は、基板面21aと当接する当接部を有した板状部材であり、当接部により基板面21aを押圧することにより、半導体チップ22b、22dを下方に付勢する。ここで、付勢部材45は、モータなどによる直動機構を備え、昇降移動することができる構成を使用してもよい。
【0039】
次に、図3(B)に示すように、吸着部材43を移動機構44により上昇させる。半導体チップ22cに隣接する半導体チップ22b、22dは、付勢部材45により半導体チップ22cの移動方向と逆方向から付勢され、半導体基板21の半導体チップ22c以外の部分の変形が抑制されるため、改質領域K3、K4及び分割予定ラインDL11、DL12(図1(A))に対応する改質領域に集中的に剪断応力が発生する。これにより、半導体基板21が、半導体素子24cの周囲に設定された分割予定ラインDL3、DL4及び分割予定ラインDL11、DL12に沿って厚さ方向に分割されて、半導体チップ22cが得られる。吸着部材43を更に上昇させることにより、半導体チップ22cはシート41から取り外され、上方に引き上げられる。
引き上げられた半導体チップ22cは、吸着部材43により吸着した状態で、図示しないエアー洗浄装置を用いて半導体チップ22cにエアーを吹き付けることにより、分割時に発生した粉塵などが除去される。続いて、半導体チップ22cを吸着した状態で、吸着部材43を移動機構44によりパッケージに搭載するための実装工程に移送する。
その他の半導体チップ22a、22b、22d〜22fについても同様な操作を行うことにより、個別に分割することができる。
【0040】
[第1実施形態の効果]
(1)基板面21aの半導体素子24cの周囲と分割予定ラインDL3、DL4及び分割予定ラインDL11、DL12とによって囲まれた部分に吸着部材43を吸着させて、上方へ作用する力を加えることにより、分割予定ラインDL3、DL4に対応して形成された改質領域K3、K4及び分割予定ラインDL11、DL12に対応して形成された改質領域に確実に応力を負荷することができる。そのため、吸着部材43が取り付けられた半導体チップ22aを分割予定ラインDL3、DL4、DL11、DL12に沿って厚さ方向に確実に分割することができ、割れ残しがなくなるので、半導体基板21を分割して得られる半導体チップ22の歩留まりを向上させることができる半導体チップの製造装置1及び製造方法を実現することができる。
【0041】
(2)吸着部材43が取り付けられた半導体チップ22cに隣接する半導体チップ22b、22dを、吸着部材43により作用する力の方向と逆方向に付勢する付勢部材45を備えているため、吸着部材43により応力を負荷するときに、吸着部材43が取り付けられた部分以外の半導体基板21の変形を抑制し、改質領域K3、K4及び分割予定ラインDL11、DL12に対応して形成された改質領域に集中して応力を負荷することができるので、半導体チップ22cのみを確実に分割することができる。
【0042】
(3)吸着部材43は、分割された半導体チップ22cを吸着した状態で、半導体チップ22cの実装工程に移送するため、半導体チップ22cを分割した後にピックアップして実装工程に移送する方法と比べて、時間が短縮できるとともに、半導体チップ22cのピックアップを失敗することなく実装工程に確実に移送することができる。
【0043】
(4)レーザダイシング法を適用することにより、半導体基板21をシート41に接着してからダイシングすることができるため、ダイシング工程を短縮できるとともに、ダイシング時に粉塵が発生しないため、半導体基板21の基板面21aに粉塵が付着するおそれがない。
【0044】
[第1実施形態の変更例]
(1)半導体基板21に応力を負荷するときに、シート41を面方向(図中矢印F5、F6方向)に拡張させると、半導体基板21には面方向に引張応力が負荷されるため、改質領域K3、K4及び分割予定ラインDL11、DL12に対応して形成された改質領域に作用する応力が増大するので、より一層容易に分割することができる。シート41を拡張する方法としては、例えば、図7に示すような押圧装置Mを用いた方法を採用することができる。
【0045】
(2)本実施形態では、半導体基板21のダイシング方法として、レーザ光Lを基板面21aから照射して、半導体基板21内に改質領域Kを形成するレーザダイシング法を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、ダイヤモンドブレードにより半導体基板21にノッチを形成するダイシング方法を本実施形態の半導体チップの製造装置1に適用することができる。また、ダイヤモンドブレードにより半導体基板21にノッチを形成した後に、レーザダイシングを行うダイシング方法を適用することができる。
半導体基板21はシート41で接着して保持したが、他の方法で保持してもよい。例えば、半導体基板21の外周部を台座に設けられた固定治具で挟み込んで保持してもよい。
【0046】
(3)本実施形態では、半導体チップ22cのみを分割する構成を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、半導体チップ22eに吸着部材43を、半導体チップ22fに付勢部材45を更に配置して、半導体チップ22c、22d、22eを一度の操作で分割することもできる。
つまり、隣接する半導体チップ22に交互に吸着部材と固定部材とを配置して、応力を負荷することにより、一度の操作で複数個の半導体チップを得ることもできる。
【0047】
[第2実施形態]
この発明に係る半導体チップの製造装置及び製造方法の第2実施形態について、図を参照して説明する。図4は、第2実施形態に係る製造装置を用いた半導体チップの製造方法の説明図であり、図4(A)は、半導体基板の分割前の状態の説明図であり、図4(B)は、半導体基板の分割後の状態の説明図である。
なお、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を使用するとともに説明を省略する。
【0048】
図4(A)に示すように、半導体基板21は、分割予定ラインDL1〜DL7に対応した改質領域K1〜K7及び分割予定ラインDL11、DL12(図1(A))に対応した図示しない改質領域が導入され、シート41に接着されている。ここで、シ−ト41を保持するフレーム42は図示しない固定手段にて動かないように固定されている。
次に、半導体チップ22cに隣接した半導体チップ22b、22dが形成されている半導体基板21の裏面21bから、シート41を介して、半導体チップ22b、22dを上方に付勢する付勢部材46を当接させる。
【0049】
図4(B)に示すように、吸着部材43を移動機構44により下降させると、付勢部材46により半導体チップ22b、22dが上方に付勢された状態で、半導体チップ22cはシート41に接着されたまま下方に押し込まれる。これにより、改質領域K3、K4及び分割予定ラインDL11、DL12(図1(A))に対応する改質領域に集中的に剪断応力が発生するため、半導体基板21が、半導体素子24cの周囲に設定された分割予定ラインDL3、DL4及び分割予定ラインDL11、DL12に沿って厚さ方向に分割されて、半導体チップ22cが得られる。
吸着部材43を上昇させると、半導体チップ22cはシート41から取り外され、上方に引き上げられる。引き上げられた半導体チップ22cは、吸着部材43により吸着した状態で、図示しないエアー洗浄装置を用いて半導体チップ22cにエアーを吹き付けることにより、分割時に発生した粉塵などが除去される。続いて、半導体チップ22cを吸着した状態で、吸着部材43を移動機構44によりパッケージに搭載するための実装工程に移送する。
その他の半導体チップ22a、22b、22d〜22fについても同様な操作を行うことにより、個別に分割することができる。
【0050】
[第2実施形態の効果]
(1)吸着部材43により、改質領域K3、K4及び分割予定ラインDL11、DL12に対応して形成された改質領域に確実に応力を負荷することができるため、半導体チップ22aを分割予定ラインDL3、DL4、DL11、DL12に沿って厚さ方向に確実に分割することができ、割れ残しがなくなるので、半導体基板21を分割して得られる半導体チップ22の歩留まりを向上させることができる半導体チップの製造装置1及び製造方法を実現することができる。
【0051】
(2)吸着部材43が取り付けられた半導体チップ22cに隣接する半導体チップ22b、22dを、吸着部材43により作用する力の方向と逆方向に付勢する付勢部材45を備えているため、吸着部材43により応力を負荷するときに、吸着部材43が取り付けられた部分以外の半導体基板21の変形を抑制し、改質領域K3、K4及び分割予定ラインDL11、DL12に対応して形成された改質領域に集中して応力を負荷することができるので、半導体チップ22cのみを確実に分割することができる。
【0052】
(3)吸着部材43は、分割された半導体チップ22cを吸着した状態で、半導体チップ22cの実装工程に移送するため、半導体チップ22cを分割した後にピックアップして実装工程に移送する方法と比べて、時間が短縮できるとともに、半導体チップ22cのピックアップを失敗することなく実装工程に確実に移送することができる。
【0053】
(4)吸着部材43を半導体チップ22cに取り付けるための力は、押圧するときに応力を負荷する方向からずれない程度の力でよいので、取り付けに必要な力を小さくすることができる。
【0054】
[第2実施形態の変更例]
(1)半導体基板21に応力を負荷するときに、シート41を面方向(図中矢印F5、F6方向)に拡張させると、半導体基板21には面方向に引張応力が負荷されるため、改質領域K3、K4及び分割予定ラインDL11、DL12に対応して形成された改質領域に作用する応力が増大するので、より一層容易に分割することができる。シート41を拡張する方法としては、例えば、図7に示すような押圧装置Mを用いた方法を採用することができる。
【0055】
(2)本実施形態では、半導体チップ22cのみを分割する構成を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、半導体チップ22eに吸着部材43を、半導体チップ22fに付勢部材46を更に配置して、半導体チップ22c、22d、22eを一度の操作で分割することもできる。更に、本実施形態では、吸着部材43を用いて、半導体チップ22cを下方に移動させているが、移動機構のみを有する押圧部材を用いて半導体チップ22cを押し込んで、実装工程に移送するときにのみ吸着部材43を使用する構成を用いてもよい。
【0056】
[第3実施形態]
この発明に係る半導体チップの製造装置及び製造方法の第3実施形態について、図を参照して説明する。図5は、第3実施形態に係る製造装置を用いた半導体チップの製造方法の説明図であり、図5(A)は、半導体基板の分割前の状態の説明図であり、図5(B)は、半導体基板の分割後の状態の説明図である。
なお、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を使用するとともに説明を省略する。
【0057】
図5(A)に示すように、本実施形態では、吸着部材43は半導体チップ22cの裏面21b側に設けられており、シート41を介して半導体チップ22cを吸着する。
次に、第3実施形態と同様に、半導体チップ22b、22dの裏面21bから、シート41を介して、半導体チップ22b、22dを上方に付勢する付勢部材46を当接させる。
【0058】
図5(B)に示すように、付勢部材46により半導体チップ22b、22dが上方に付勢された状態で、吸着部材43を移動機構44により下降させると、半導体チップ22cはシート41に接着されたまま下方に引き込まれる。これにより、改質領域K3、K4及び分割予定ラインDL11、DL12(図1(A))に対応する改質領域に集中的に剪断応力が発生するため、半導体基板21が、半導体素子24cの周囲に設定された分割予定ラインDL3、DL4及び分割予定ラインDL11、DL12に沿って厚さ方向に分割されて、半導体チップ22cが得られる。
ここで、半導体基板21の上方にも吸着部材43を設けて、分割された半導体チップ22cを吸着して、移動機構44により吸着部材43を上昇させると、半導体チップ22cはシート41から取り外され、上方に引き上げられる。引き上げられた半導体チップ22cは、吸着部材43により吸着した状態で、図示しないエアー洗浄装置を用いて半導体チップ22cにエアーを吹き付けることにより、分割時に発生した粉塵などが除去される。続いて、半導体チップ22cを吸着した状態で、吸着部材43を移動機構44によりパッケージに搭載するための実装工程に移送する。
その他の半導体チップ22a、22b、22d〜22fについても同様な操作を行うことにより、個別に分割することができる。
【0059】
[第3実施形態の効果]
(1)吸着部材43により、改質領域K3、K4及び分割予定ラインDL11、DL12に対応して形成された改質領域に確実に応力を負荷することができるため、半導体チップ22aを分割予定ラインDL3、DL4、DL11、DL12に沿って厚さ方向に確実に分割することができ、割れ残しがなくなるので、半導体基板21を分割して得られる半導体チップ22の歩留まりを向上させることができる半導体チップの製造装置1及び製造方法を実現することができる。
【0060】
(2)吸着部材43が取り付けられた半導体チップ22cに隣接する半導体チップ22b、22dを、吸着部材43により作用する力の方向と逆方向に付勢する付勢部材46を備えているため、吸着部材43により応力を負荷するときに、吸着部材43が取り付けられた部分以外の半導体基板21の変形を抑制し、改質領域K3、K4及び分割予定ラインDL11、DL12に対応して形成された改質領域に集中して応力を負荷することができるので、半導体チップ22cのみを確実に分割することができる。
【0061】
(3)吸着部材43は、半導体素子24が形成されていない裏面21bにシ−ト41を介して取り付けられるため、半導体素子24を傷つけるおそれがない。
【0062】
[第3実施形態の変形例]
(1)半導体基板21に応力を負荷するときに、シート41を面方向(図中矢印F5、F6方向)に拡張させると、半導体基板21には面方向に引張応力が負荷されるため、改質領域K3、K4及び分割予定ラインDL11、DL12に対応して形成された改質領域に作用する応力が増大するので、より一層容易に分割することができる。シート41を拡張する方法としては、例えば、図7に示すような押圧装置Mを用いた方法を採用することができる。
【0063】
(2)本実施形態では、半導体チップ22cのみを分割する構成を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、半導体チップ22eに吸着部材43を、半導体チップ22fに付勢部材46を更に配置して、半導体チップ22c、22d、22eを一度の操作で分割することもできる。
【0064】
[第4実施形態]
この発明に係る半導体チップの製造装置及び製造方法の第4実施形態について、図を参照して説明する。図6は、第4実施形態に係る製造装置を用いた半導体チップの製造方法の説明図であり、図6(A)は、フレームに保持されているシートに接着された半導体チップの部分を除去した半導体基板の平面説明図であり、図6(B)は、半導体基板の分割前の状態の説明図であり、図6(C)は、半導体基板の分割後の状態の説明図である。
なお、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を使用するとともに説明を省略する。
【0065】
まず、図6(A)に示すように、半導体チップ22以外の部分を除去した半導体基板21を用意する。ここでは、A−Aライン上に配置されている4個の半導体チップ22g〜22jのうち、図中右端部に形成されている半導体チップ22jを分割する工程について説明する。
【0066】
図6(B)に示すように、半導体基板21は、分割予定ラインDL3〜DL5に対応した改質領域K3〜K5及び分割予定ラインDL13(図6(A))に対応した図示しない改質領域が導入され、シート41に接着されている。ここで、シ−ト41を保持するフレーム42は図示しない固定手段にて動かないように固定されている。半導体チップ22jは、吸着部材43により半導体素子24の周囲の基板面21aで吸着されている。
【0067】
続いて、図6(C)に示すように、移動機構44により吸着部材43を半導体基板21の面方向に略平行に外側に向かって移動させることにより、改質領域K5及び分割予定ラインDL13(図1(A))に対応した図示しない改質領域に応力が発生する。これにより、半導体基板21が、半導体素子24cの周囲に設定された分割予定ラインDL5及び分割予定ラインDL13に沿って厚さ方向に分割されて、半導体チップ22jが得られる。吸着部材43を移動機構44により移動させることにより、半導体チップ22jはシート41から取り外される。
シート41から取り外された半導体チップ22cは、吸着部材43により吸着した状態で、図示しないエアー洗浄装置を用いて半導体チップ22jにエアーを吹き付けることにより、分割時に発生した粉塵などが除去される。続いて、半導体チップ22jを吸着した状態で、吸着部材43を移動機構44によりパッケージに搭載するための実装工程に移送する。
その他の半導体チップ22g〜22iについても同様な操作を行うことにより、個別に分割することができる。
【0068】
[第4実施形態の効果]
(1)吸着部材43により、改質領域K5及び分割予定ラインDL13に対応して形成された改質領域に確実に応力を負荷することができるため、半導体チップ22aを分割予定ラインDL5、DL13に沿って厚さ方向に確実に分割することができ、割れ残しがなくなるので、半導体基板21を分割して得られる半導体チップ22の歩留まりを向上させることができる半導体チップの製造装置1及び製造方法を実現することができる。
【0069】
(2)吸着部材43は、分割された半導体チップ22jを吸着した状態で、半導体チップ22jの実装工程に移送するため、半導体チップ22jを分割した後にピックアップして実装工程に移送する方法と比べて、時間が短縮できるとともに、半導体チップ22cのピックアップを失敗することなく実装工程に確実に移送することができる。
【0070】
(3)半導体チップ22jは分割されると、半導体基板21の面方向であって、半導体基板21から離れる方向に相対的に移動するため、分割された面同士がこすれることがないので、半導体チップ22jにチッピングが発生するおそれがない。
【0071】
[第4実施形態の変形例]
(1)半導体基板21に応力を負荷するときに、シート41を面方向(図中矢印F5、F6方向)に拡張させると、半導体基板21には面方向に引張応力が負荷されるため、改質領域K5及び分割予定ラインDL13に対応して形成された改質領域に作用する応力が増大するので、より一層容易に分割することができる。シート41を拡張する方法としては、例えば、図7に示すような押圧装置Mを用いた方法を採用することができる。
【0072】
[その他の実施形態]
(1)以上の各実施形態では、吸着部材43を用いて半導体チップ22を吸着する構成を採用したが、他の方法、例えば、接着や溶接などの方法を用いて移動機構44を有する部材に半導体チップ22を固定してもよい。
【0073】
(2)いくつかの半導体チップを他の半導体チップを分割するためのダミーチップとして用いてもよい。例えば、図3に示す半導体チップ22cをダミーチップとして設定し、半導体チップ22cを半導体基板21から分断することにより、隣接する半導体チップ22b、22dの1辺を分割することができる。ダミーチップは予め設定しておいても良いし、検査で不良と認められた半導体チップなどをダミーチップとして設定してもよい。
【0074】
(3)吸着部材43により改質領域Kに応力を負荷するときに、超音波振動子などの振動手段を用いて、半導体基板21に振動を付与してもよい。この構成を用いた場合、振動の物理的作用により改質領域Kからクラックを進展させることができ、分断に必要な力を小さくすることができるので、半導体基板21を容易に分断することができ、半導体チップ22の歩留まりを向上させることができる。
【0075】
(4)吸着部材43により改質領域Kに応力を負荷するときに、ヒータなどの加熱手段を用いて、半導体基板21を加熱してもよい。この構成を用いた場合、改質領域Kに熱応力を負荷することができ、分断に必要な力を小さくすることができるので、半導体基板21を容易に分断することができ、半導体チップ22の歩留まりを向上させることができる。
【0076】
(5)半導体基板21には、シリコンのみで構成された半導体基板を用いたが、本発明の適用はこれに限られることはなく、例えば、酸化シリコンからなる酸化膜を半導体基板21の基板面21aに形成したものやSOI(Silicon On Insulator)のウェハについて適用することも可能である。
【0077】
[各請求項と実施形態との対応関係]
改質領域Kが請求項1に記載の領域に、吸着部材43が所定の部材にそれぞれ対応する。付勢部材45、46が請求項5に記載の付勢手段に、フレーム42が請求項6に記載の保持手段にそれぞれ対応する。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】この発明の半導体チップの製造装置により分割する半導体基板の構成例を示す模式図である。図1(A)は、フレームに保持されているシートに接着された半導体基板の平面説明図であり、図1(B)は、図1(A)の1B−1B矢視断面図である。
【図2】半導体基板にレーザ光の照射を行う半導体チップの製造装置の説明図である。
【図3】第1実施形態に係る製造装置を用いた半導体チップの製造方法の説明図であり、図3(A)は、半導体基板の分割前の状態の説明図であり、図3(B)は、半導体基板の分割後の状態の説明図である。
【図4】第2実施形態に係る製造装置を用いた半導体チップの製造方法の説明図であり、図4(A)は、半導体基板の分割前の状態の説明図であり、図4(B)は、半導体基板の分割後の状態の説明図である。
【図5】第3実施形態に係る製造装置を用いた半導体チップの製造方法の説明図であり、図5(A)は、半導体基板の分割前の状態の説明図であり、図5(B)は、半導体基板の分割後の状態の説明図である。
【図6】第4実施形態に係る製造装置を用いた半導体チップの製造方法の説明図であり、図6(A)は、フレームに保持されているシートに接着された半導体チップの部分を除去した半導体基板の平面説明図であり、図6(B)は、半導体基板の分割前の状態の説明図であり、図6(C)は、半導体基板の分割後の状態の説明図である。
【図7】従来の半導体チップの製造装置の一例を示す説明図である。図7(A)は、半導体基板がシートに接着され、シートの外周部がフレームに保持されている状態の説明図であり、図7(B)は、押圧装置により半導体基板を半導体チップに分割する工程の説明図である。
【符号の説明】
【0079】
1 製造装置
21 半導体基板
22、22a〜22j 半導体チップ
24、24c 半導体素子
31 レーザヘッド
41 シート
42 フレーム(保持手段)
43 吸着部材(所定の部材)
44 移動機構
45、46 付勢部材(付勢手段)
DL、DL1〜DL7 分割予定ライン
K、K1〜K7 改質領域(領域)
L レーザ光
M 押圧装置
P 集光点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の基板面に複数の半導体素子が形成された半導体基板を厚さ方向に分割することにより、前記半導体素子を有する半導体チップを得る半導体チップの製造装置において、
各半導体素子間の前記基板面には、分割する予定のラインが設定されており、かつ、前記ラインに対応する厚さ方向には、厚さ方向に分割するために必要な応力を低くするための領域が形成されており、
前記基板面のうち、半導体素子の周囲と前記ラインとによって囲まれた部分に所定の部材を取り付けて、その所定の部材に対して前記基板面から離れる方向に作用する力を加えて、前記領域に剪断応力を発生させることにより、前記半導体基板を前記ラインの厚さ方向に分割して、前記所定の部材が取り付けられた部分に対応する半導体チップを得ることを特徴とする半導体チップの製造装置。
【請求項2】
一方の基板面に複数の半導体素子が形成された半導体基板を厚さ方向に分割することにより、前記半導体素子を有する半導体チップを得る半導体チップの製造装置において、
各半導体素子間の前記基板面には、分割する予定のラインが設定されており、かつ、前記ラインに対応する厚さ方向には、厚さ方向に分割するために必要な応力を低くするための領域が形成されており、
前記基板面のうち、半導体素子の周囲と前記ラインとによって囲まれた部分に所定の部材を取り付けて、その所定の部材に対して前記基板面を押圧する方向に作用する力を加えて、前記領域に剪断応力を発生させることにより、前記半導体基板を前記ラインの厚さ方向に分割して、前記所定の部材が取り付けられた部分に対応する半導体チップを得ることを特徴とする半導体チップの製造装置。
【請求項3】
一方の基板面に複数の半導体素子が形成された半導体基板を厚さ方向に分割することにより、前記半導体素子を有する半導体チップを得る半導体チップの製造装置において、
各半導体素子間の前記基板面には、分割する予定のラインが設定されており、かつ、前記ラインに対応する厚さ方向には、厚さ方向に分割するために必要な応力を低くするための領域が形成されており、
前記基板面のうち、前記半導体基板の端部にある半導体素子の周囲と前記ラインとによって囲まれた部分に所定の部材を取り付けて、その所定の部材に対して、前記半導体基板の面方向であって、前記半導体基板から離れる方向に作用する力を加えて、前記領域に応力を発生させることにより、前記半導体基板を前記ラインの厚さ方向に分割して、前記所定の部材が取り付けられた部分に対応する半導体チップを得ることを特徴とする半導体チップの製造装置。
【請求項4】
一方の基板面に複数の半導体素子が形成された半導体基板を厚さ方向に分割することにより、前記半導体素子を有する半導体チップを得る半導体チップの製造装置において、
各半導体素子間の前記基板面には、分割する予定のラインが設定されており、かつ、前記ラインに対応する厚さ方向には、厚さ方向に分割するために必要な応力を低くするための領域が形成されており、
前記半導体基板の他方の基板面の前記ラインによって囲まれた部分に対応する位置に所定の部材を取り付けて、その所定の部材に対して前記他方の基板面から離れる方向に作用する力を加えて、前記領域に剪断応力を発生させることにより、前記半導体基板を前記ラインの厚さ方向に分割して、前記所定の部材が取り付けられた部分に対応する半導体チップを得ることを特徴とする半導体チップの製造装置。
【請求項5】
前記所定の部材が取り付けられた部分に対応する半導体素子に隣接する少なくとも1つの半導体素子の周囲と前記ラインとによって囲まれた部分、または、前記ラインによって囲まれた部分に対応する前記半導体基板の他面の基板面側に、前記所定の部材により作用する力の方向と逆方向に付勢する付勢手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の半導体チップの製造装置。
【請求項6】
前記半導体基板の他方の基板面を接着するシートと、
前記シートの外周を保持する保持手段と、
前記保持手段で保持された前記シートを拡張する拡張手段と、を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の半導体チップの製造装置。
【請求項7】
前記保持手段に保持された前記シートを裏面から押圧する押圧手段を備えており、前記シートの裏面を前記押圧手段によって押圧して、前記シートを拡張することを特徴とする請求項6に記載の半導体チップの製造装置。
【請求項8】
レーザ光を照射するレーザヘッドを、前記ラインに沿って、前記半導体基板に対して相対移動させながら、前記半導体基板の内部に集光点を合わせてレーザ光を照射し、前記集光点に多光子吸収による改質領域を前記領域として形成する改質領域形成手段が設けられており、この改質領域形成工程を経た前記半導体基板を、前記改質領域を起点にして分割することを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載の半導体チップの製造装置。
【請求項9】
前記所定の部材が分割された前記半導体チップを取り付けた状態で、前記所定の部材を移動させる移動機構により、前記半導体チップを前記半導体チップの実装工程に移送することを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1つに記載の半導体チップの製造装置。
【請求項10】
一方の基板面に複数の半導体素子が形成された半導体基板を用意し、
前記半導体基板を厚さ方向に分割することにより、前記半導体素子を有する半導体チップを得る分割工程を備えた半導体チップの製造方法において、
前記半導体基板は、各半導体素子間の前記基板面に、分割する予定のラインが設定されており、かつ、前記ラインに対応する厚さ方向に、厚さ方向に分割するために必要な応力を低くするための領域が形成されており、
前記分割工程は、前記基板面のうち、半導体素子の周囲と前記ラインとによって囲まれた部分に所定の部材を取り付けて、その所定の部材に対して前記基板面から離れる方向に作用する力を加えて、前記領域に剪断応力を発生させることにより、前記半導体基板を前記ラインの厚さ方向に分割して、前記所定の部材が取り付けられた部分に対応する半導体チップを得る工程であることを特徴とする半導体チップの製造方法。
【請求項11】
一方の基板面に複数の半導体素子が形成された半導体基板を用意し、
前記半導体基板を厚さ方向に分割することにより、前記半導体素子を有する半導体チップを得る分割工程を備えた半導体チップの製造方法において、
前記半導体基板は、各半導体素子間の前記基板面に、分割する予定のラインが設定されており、かつ、前記ラインに対応する厚さ方向に、厚さ方向に分割するために必要な応力を低くするための領域が形成されており、
前記分割工程は、前記基板面のうち、半導体素子の周囲と前記ラインとによって囲まれた部分に所定の部材を取り付けて、その所定の部材に対して前記基板面を押圧する方向に作用する力を加えて、前記領域に剪断応力を発生させることにより、前記半導体基板を前記ラインの厚さ方向に分割して、前記所定の部材が取り付けられた部分に対応する半導体チップを得る工程であることを特徴とする半導体チップの製造方法。
【請求項12】
一方の基板面に複数の半導体素子が形成された半導体基板を用意し、
前記半導体基板を厚さ方向に分割することにより、前記半導体素子を有する半導体チップを得る分割工程を備えた半導体チップの製造方法において、
前記半導体基板は、各半導体素子間の前記基板面に、分割する予定のラインが設定されており、かつ、前記ラインに対応する厚さ方向に、厚さ方向に分割するために必要な応力を低くするための領域が形成されており、
前記分割工程は、前記基板面のうち、前記半導体基板の端部にある半導体素子の周囲と前記ラインとによって囲まれた部分に所定の部材を取り付けて、その所定の部材に対して、前記半導体基板の面方向であって、前記半導体基板から離れる方向に作用する力を加えて、前記領域に応力を発生させることにより、前記半導体基板を前記ラインの厚さ方向に分割して、前記所定の部材が取り付けられた部分に対応する半導体チップを得る工程であることを特徴とする半導体チップの製造方法。
【請求項13】
一方の基板面に複数の半導体素子が形成された半導体基板を用意し、
前記半導体基板を厚さ方向に分割することにより、前記半導体素子を有する半導体チップを得る分割工程を備えた半導体チップの製造方法において、
前記半導体基板は、各半導体素子間の前記基板面に、分割する予定のラインが設定されており、かつ、前記ラインに対応する厚さ方向に、厚さ方向に分割するために必要な応力を低くするための領域が形成されており、
前記分割工程は、前記半導体基板の他方の基板面の前記ラインによって囲まれた部分に対応する位置に所定の部材を取り付けて、その所定の部材に対して前記他方の基板面から離れる方向に作用する力を加えて、前記領域に剪断応力を発生させることにより、前記半導体基板を前記ラインの厚さ方向に分割して、前記所定の部材が取り付けられた部分に対応する半導体チップを得る工程であることを特徴とする半導体チップの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−141998(P2007−141998A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−331215(P2005−331215)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】