説明

半導体パッケージのワイヤボンディングシステム

【課題】小型で精密かつ均一な形状のボールを速やかに形成し、ワイヤのループ高を最小化すると共に、ワイヤボンディング用の各種消耗部品の取替え費用及び取替え時間を節約可能にする半導体パッケージのワイヤボンディングシステムを提供する。
【解決手段】ワイヤをボール形成位置に供給するワイヤ供給装置100と、二酸化炭素レーザビームを少なくとも1本以上出力するレーザビーム出力装置10と、レーザビーム出力装置から出力されるレーザビームをボール形成位置に案内するレーザビーム案内装置20と、を含む。これにより、ボールの成形性と生産性とを向上し、ワイヤの物性変性を最小化して、ワイヤのループ高を最小化し、消耗部品の取替え費用及び取替え時間を節約する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パッケージのワイヤボンディングシステムに係り、より詳しくは、ワイヤの先端部にボールを形成する半導体パッケージのワイヤボンディングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、半導体パッケージは、リードフレーム又は印刷回路基板などの部材表面に少なくとも1つ以上の半導体チップをダイボンディング(Die Bonding)し、リードフレームのリード又は印刷回路基板の端子を前記半導体チップと電気的に連結させるために、ワイヤボンディング(Wire Bonding)やソルダリング(soldering)した後、前記半導体チップを絶縁性封止材で覆って密封する工程を通じて完成される。
【0003】
一方、半導体パッケージのワイヤボンディング時には、電気的接続を得るために、導電性ワイヤの先端部にトーチチップ(torch tip)を用いて電気的放電を起こして球状のボールを形成し、形成された前記ボールを半導体チップのボンディングパッド上にボンディングする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、このようなトーチチップを用いた電気的放電によるよりも、小型で精密かつ均一な形状のボールを速やかに形成し、その結果、ワイヤのループ高を最小化すると共に、ワイヤボンディング用の各種消耗部品の取替え費用及び取替え時間を節約可能にする半導体パッケージのワイヤボンディングシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための本発明の一側面による半導体パッケージのワイヤボンディングシステムは、ワイヤをボール形成位置に供給するワイヤ供給装置と、二酸化炭素レーザビームを出力するレーザビーム出力装置と、前記レーザビーム出力装置から出力されるレーザビームを前記ボール形成位置に案内するレーザビーム案内装置と、を含む。
【0006】
また、一実施例によれば、前記レーザビーム出力装置は、高出力レーザビーム出力装置である。
また、一実施例によれば、前記レーザビーム出力装置は、密閉型共振管と、前記共振管内部に注入される少なくとも二酸化炭素成分を含む共振ガスと、前記共振管の内部一側に設けられる全反射体と、前記共振管の内部他側に設けられる部分反射体と、前記共振管の内部に閃光エネルギを印加する電極対と、前記電極対に電源を供給する電源装置と、を含んでなる第1二酸化炭素レーザ共振装置を含む。
また、一実施例によれば、前記レーザビーム出力装置は、密閉型共振管と、前記共振管内部に注入される少なくとも二酸化炭素成分を含む共振ガスと、前記共振管の内部一側に設けられる全反射鏡と、前記共振管の内部他側に設けられる部分反射鏡と、前記共振管の内部に閃光エネルギを印加する電極対と、前記電極対に電源を供給する電源装置と、を含んでなる第2二酸化炭素レーザ共振装置を含む。
また、一実施例によれば、前記レーザビーム出力装置は、前記第1二酸化炭素レーザ共振装置から発射された第1レーザビームと前記第2二酸化炭素レーザ共振装置から発射された第2レーザビームとを合射する少なくとも1つ以上の高出力化装置と、をさらに含む。
【0007】
また、一実施例によれば、前記高出力化装置は、傾斜全反射体及び傾斜部分反射体を含む。
また、本発明の思想による半導体パッケージのワイヤボンディングシステムは、前記レーザビーム案内装置に設けられ、前記レーザビーム案内装置から前記ボール形成位置に発射されるレーザビームの照射角度を調整する角度調整装置をさらに含む。
また、一実施例によれば、前記角度調整装置は、ヒンジ軸を有する関節部を含む。
また、一実施例によれば、前記照射角度は、ワイヤの軸方向を基準に40°乃至50°である。
また、一実施例によれば、前記レーザビーム案内装置は、前記レーザビーム出力装置から延設される光ファイバラインと、前記光ファイバラインの先端に設けられて少なくとも1つの光ファイバ、レンズ及びそれらの組合わせのうち、いずれか1つ以上を含むレーザビーム発射部と、前記光ファイバラインに設けられ、前記レーザビーム発射部の垂直位置を調整する垂直位置調整部と、前記光ファイバラインに設けられ、前記レーザビーム発射部の水平位置を調整する水平位置調整部と、を含む。
また、一実施例によれば、前記レーザビーム発射部は、ワイヤの軸方向を基準に40°乃至50°の照射角度を有する第1レーザビーム発射部を含む。
【0008】
また、本一実施例によれば、前記レーザビーム発射部は、ワイヤの軸方向を基準に40°乃至50°の照射角度を有する第2レーザビーム発射部をさらに含む。
また、一実施例によれば、前記レーザビーム発射部は、ワイヤの軸方向を基準に85°乃至95°の照射角度を有する第3レーザビーム発射部を含む。
【0009】
また、一実施例によれば、前記ワイヤ供給装置は、ワイヤが巻き取られたワイヤスプールと、前記ワイヤスプールから放出されたワイヤを垂直状態に保持させるワイヤテンション装置と、垂直状態の前記ワイヤを選択的に把持するワイヤクランプと、前記ワイヤに微細振動を印加するトランスデューサと、前記ワイヤの先端部位置を固定させてワイヤのボンディングを行うキャピラリと、を含む。
一方、前記課題を解決するための本発明の他の一側面による半導体パッケージのワイヤボンディングシステムは、ワイヤをボール形成位置に供給するワイヤ供給装置と、二酸化炭素レーザビームを出力するレーザビーム出力装置と、前記レーザビーム出力装置から出力されるレーザビームを、ワイヤ軸方向を基準に40°〜50°傾斜して前記ボール形成位置に案内するレーザビーム案内装置と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明の思想による半導体パッケージのワイヤボンディングシステムは、高出力二酸化炭素レーザビームを、好ましくは傾斜した照射角度を有する高出力二酸化炭素レーザビームを、ワイヤ先端部に向かって発射するので、トーチチップを用いた電気的放電による従来技術の場合よりも、さらに小型であり、精密かつ均一な形状の球状のボールを速やかにワイヤの先端部に形成してボールの成形性を向上し、従来のトーチチップの電気衝撃によって発生したワイヤの電気的物性変形区間を除去して、ワイヤの軟性をそのまま保持させることによって、ワイヤのループ高を最小化すると共に、従来技術による電気スパーク時に発生したすすや異物の吸着などによる不良形状のボールの形成と、該スパークの発生に伴う各種の誤動作とを防止でき、長時間の使用時にも、従来技術によるトーチチップの取替えなどの不都合を防止して、各種消耗部品の取替え費用及び取替え時間を節約できる。また、レーザビーム発射部とボールとの距離を十分に保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の思想の一部実施例による半導体パッケージのワイヤボンディングシステムを示す概略図である。
【図2】図1のレーザビーム発射部の一部実施例を拡大して示す拡大図である。
【図3】図1のレーザビーム発射部の他の実施例を示す拡大図である。
【図4】図1のレーザビーム発射部のさらに他の実施例を示す拡大図である。
【図5】図1のレーザビーム発射部のさらに他の実施例を示す拡大図である。
【図6】図1のレーザビーム発射部のさらに他の実施例を示す拡大図である。
【図7】図1のレーザビーム案内装置の一部実施例を拡大して示す拡大図である。
【図8】図1のレーザビーム出力装置の一部実施例を示す概略図である。
【図9】図1のレーザビーム出力装置の他の実施例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して本発明の望ましい多様な実施例を詳細に説明する。
本発明の実施例は、当該技術分野で通常の知識を有する者に本発明をさらに完全に説明するために提供されるものであり、下記実施例は、多様な他の形態に変形可能であって、本発明の範囲が下記実施例に限定されるものではない。むしろ、それらの実施例は本開示をさらに充実かつ完全にし、当業者に本発明の思想を完全に伝達するために提供される。また、図面において、各層の厚さや大きさは、説明の便宜及び明確性のために誇張される場合がある。
【0013】
明細書全体にわたって、膜、領域、又は基板のような1つの構成要素が、他の構成要素“上に”、“連結され”、“積層され”、又は“カップリングされて”位置すると言及される場合は、前記1つの構成要素が直接、前記他の構成要素“上に”、“連結され”、“積層され”、又は“カップリングされて”接触するか、若しくは、その間に第3の構成要素が介在すると解釈されうる。一方、1つの構成要素が他の構成要素“直接上に”、“直接連結され”、又は“直接カップリングされて”位置すると言及される場合は、その間に第3の構成要素が介在しないと解釈される。
また、同じ符号は、同じ要素を指し、本明細書で使われる用語“及び/又は”は、当該列挙された項目のうち、いずれか1つ又は2つ以上のあらゆる組合わせを含む。
【0014】
本明細書において、第1、第2などの用語が多様な部材、部品、領域、層、及び/又は、部分を説明するために使われる場合、それら部材、部品、領域、層、及び/又は、部分は、これらの用語により限定されてはならないということは自明である。これらの用語は、1つの部材、部品、領域、層、又は部分を、他の領域、層、又は部分と区別するためにのみ使われる。従って、以下、後述する第1部材、部品、領域、層、又は部分は、本発明の開示内において、第2部材、部品、領域、層、又は部分と各々交換できる。
【0015】
また、“上の”及び“下の”のような相対的な用語は、他の要素に対する、ある要素の関係を参照している図面上の表示に従って記述するために使われうる。これらの相対的な用語は、図面で描写される方向の他に、さらに素子の他の方向を含む場合を意図すると理解される。例えば、図面において、素子が裏返されれば(turned over)、他の要素の上面上に存在すると描写される要素は、前記他の要素の下面上に存在するようになる。従って、ここで例として挙げた、“上の”という用語は、図面の特定の方向に依存して“下の”及び“上の”方向をいずれも含むことができる。素子が異なる方向に向かう(例えば、図面上で90°回転)場合も、本明細書に用いられる相対的な用語は、これに準じて解釈される。
【0016】
本明細書で用いられた用語は、特定の実施例を説明するために使われ、本発明を制限するためのものではない。本明細書で使われたように、単数形態は、文脈上、他の場合、即ち、複数形態の場合を明確に排除するものでなければ、複数の形態を含む。また、本明細書で使われる場合、“包含する(comprise)”、及び/又は、“包含している(comprising)”は、言及した形状、数、段階、動作、部材、要素、及び/又は、これらからなるグループの存在を特定するものであり、1つ以上の他の形状、段階、数、動作、部材、要素、及び/又は、これらからなるグループの存在又は付加を排除するものではない。
【0017】
以下、本発明の理想的な実施例を、本発明の実施例を概略的に示す図面を参照して説明する。図面において、例えば、製造技術、及び/又は、公差(tolerance)によって、図示された形状の変形が予想される。従って、本発明の思想の実施例が本明細書に示された領域の特定形状に制限されるものと解釈されてはならず、例えば、製造時に生じうる形状の変化を含めなければならない。
【0018】
図1は、本発明の一実施例による半導体パッケージのワイヤボンディングシステムを示す概略図であり、図2は、図1のレーザビーム発射部22とワイヤWの先端とを含む部分の拡大図である。
まず、図1及び図2に示したように、本実施例による半導体パッケージのワイヤボンディングシステムは大きく見て、ワイヤ供給装置100と、レーザビーム出力装置10と、レーザビーム案内装置20と、を含む。
【0019】
ここで、図1に示したように、ワイヤ供給装置100は、ワイヤWをボール形成位置BPに供給するものであって、スプール1と、ワイヤテンション装置2と、ワイヤクランプ3と、トランスデューサ4及びキャピラリ5を含む。
【0020】
スプール1は、伝導性材質のワイヤWを巻き取って一時的に保存する所であって、モータ(図示せず)により回転すると、ワイヤWを適当な長さにリリースして、ボール形成位置BPに供給する。
【0021】
また、ワイヤテンション装置2は、ワイヤスプール1から巻き戻されたワイヤWにバネなど弾性装置又は錘などを利用して張力を印加することによって、ワイヤを垂直状態に保持する。
【0022】
また、ワイヤクランプ3は、開動作と閉動作とを繰り返しつつ、垂直状態のワイヤWを選択的に把持して、ボール形成位置BPにワイヤWを選択的に供給可能にする。
【0023】
また、トランスデューサ4は、超音波振動子など(図示せず)をワイヤ供給装置100に連結して超音波振動などの微細振動エネルギをワイヤWに印加して、ワイヤボンディング時にワイヤの接合性を向上する。
【0024】
また、キャピラリ5は、ワイヤWの供給経路となる微細な貫通ホールがその内部に形成されており、該貫通ホールの終端にワイヤWが引き出されるようにして、ワイヤWの先端部位置を確定することによって、ワイヤボンディング前にワイヤW及びボールBを整列し、また、ボンディングの後、ワイヤWを切断する。
【0025】
また、ワイヤWの先端部に形成されるボールBは、半導体チップCのボンディングパッドPにボンディングされるものであって、上述のワイヤボンディング作業により、図1に破線で示すように、半導体チップCのボンディングパッドPと、基板SのリードL又は基板パッドとを電気的に互いに連結する。また、ワイヤボンディング作業時、ボールBは、後述するようにトランスデューサ4から超音波微細振動エネルギを伝達されると同時に、ヒートブロックH上に搭載された基板Sから熱エネルギを伝達されてボンディングが円滑になされる。
【0026】
ここで、ワイヤWは、半導体チップCのボンディングパッドPと、基板SのリードL又は基板パッドとを電気的に連結する信号伝達媒体の一種であって、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、チタン(Ti)などの伝導性材質からなり、ワイヤ製造装置によって製造される。しかし、ワイヤWは、このような材質や方法に限定されるものではない。
【0027】
また、半導体チップCは、各種の、単数又は複数の、メモリチップ、コントロールチップ、ドライバチップ、及びマイクロプロセッサチップなどはもとより、LCD素子、LED素子などのディスプレイ素子を含み、半導体工程が必要なあらゆる種類の半導体工程を用いて製作される。
基板Sは、通常のメモリ基板、コントロール基板はもとより、メモリスティックカード(memory stick card)、スマートメディアカード(smart media card、SM)、セキュアデジタルカード(secure digital card、SD)、ミニセキュアデジタルカード(minisecure digital card、mini SD)、又はマルチメディアカード(multimedia card、MMC)のようなメモリ装置に用いられる基板に適用される。また、本発明に係るワイヤボンディングは、各種制御器、入/出力装置、メモリ及びインタフェース装置などの電子システムの製作に適用可能であって、ここでいう電子システムは、PDA、携帯用コンピュータ(portable computer)、ウェブタブレット(web tablet)、無線フォン(wireless phone)、モバイルフォン(mobile phone)、デジタルミュージックプレーヤ(digital music player)、又はメモリカード(memory card)などのモバイル装置を含み、それ以外にも、この電子システムは、MP3プレーヤ、ナビゲーション(navigation)、携帯用マルチメディア再生器(portable multimedia player、PMP)、ソリッドステートディスク(solid state disk、SSD)、又は家電製品(household appliances)に用いられる。
【0028】
ここで、本発明による半導体パッケージのワイヤボンディングシステムは、レーザビーム出力装置10及びレーザビーム案内装置20を用いて、ワイヤの電気的物性変性を発生しないか、又は、その発生を最小限の区間(例えば、250μm以下)に抑制して、残りの区間におけるでワイヤの延性(ductility)をそのまま保たせて、図1に示すワイヤWのループ高LHを最小化できる。かようなレーザビーム出力装置10及びレーザビーム案内装置20について、以下でさらに詳細に説明する。
【0029】
図8は、図1のレーザビーム出力装置10の一実施例を示す概略図であり、図9は、図1のレーザビーム出力装置10の他の実施例を示す概略図である。
【0030】
図1及び図8に示すように、レーザビーム出力装置10は、二酸化炭素レーザビームLBを出力する装置であって、略30W(watt)以上の高出力レーザビーム出力装置に適用しうる。
【0031】
ここで、図8に示すように、レーザビーム出力装置10は、第1二酸化炭素レーザ共振装置11を含み、第1二酸化炭素レーザ共振装置11は、内部に収容空間が形成される密閉型共振管111と、共振管111内に注入される少なくとも二酸化炭素成分を含む共振ガス112と、共振管111の内部一側に設けられる全反射体113と、共振管111の内部他側に設けられる部分反射体114と、共振管111の内部に閃光エネルギ(flash_light_energy)を印加する電極対115、116と、電極対115、116に電源を供給する電源装置117と、共振管111で発生した二酸化炭素レーザビームLB1の波長を変換する波長変換装置118と、二酸化炭素レーザビームLB1を案内する光ファイバ(optical_fiber)119と、レーザビームLB1を選択的に断続するレーザシャッタ13と、を含む。
【0032】
ここで、レーザシャッタ13の開放時間を調節して、ワイヤWに形成されるボールBの大きさを決定できる。即ち、ワイヤWに、比較的短時間レーザビームLB1が照射されるように、レーザシャッタ13の開放時間を短くすれば、ボールBの大きさを小さくでき、逆に、ワイヤWに、長時間レーザビームLB1が照射されるように、レーザシャッタ13の開放時間を長くすれば、ボールBの大きさを大きくできる。
【0033】
また、図示していないが、レーザビーム出力装置10は、加熱された共振管111を冷却させる冷却装置をさらに含みうる。
【0034】
従って、電極対115、116に直流電源を印加すると、電極対115、116の間でアーク放電が発生し、該アーク放電によって内部の共振ガス112(二酸化炭素、ヘリウム、窒素などが一定割合で混合されたガス)は、エネルギ転移及び励起と遷移で、例えば、波長10.6μmの光を作り、電子同士の衝突によって、光が共振管111内にさらに充満すると、全反射体113と部分反射体114との間で、反射と再反射をくり返して、共振現象により一部の電磁波が出射され、かような現象が反復されつつ、レーザビームの出力が得られる。
ここで、かようなレーザビームの出力を、略30W以上の高出力に増大するためには、電極対115、116に電源を供給する電源装置117の出力を高めるか、共振管111を大きくするか、若しくは、電極対115、116及び全反射体113と、部分反射体114の大きさと性能及び位置を最適化する。
【0035】
図9に示したのは、レーザビーム出力装置の他の実施例であって、レーザビーム出力装置30は、高出力レーザビーム出力装置を得るために、第1二酸化炭素レーザ共振装置11と、第2二酸化炭素レーザ共振装置12及び高出力化装置40を含む。
【0036】
ここで、第1二酸化炭素レーザ共振装置11は、図8に示したのと同様に、内部に収容空間が形成される密閉型共振管111と、共振管111内の収容空間に注入される少なくとも二酸化炭素成分を含む共振ガス112と、共振管111の内部一側に設けられる全反射体113と、共振管111の内部他側に設けられる部分反射体114と、共振管111の内部に閃光エネルギを印加する電極対115、116と、電極対115、116に電源を供給する電源装置117と、共振管111で発生した二酸化炭素レーザビームLB1の波長を変換する波長変換装置118と、二酸化炭素レーザビームLB1を案内する光ファイバ119と、を含む。
【0037】
また、第2二酸化炭素レーザ共振装置12は第1二酸化炭素レーザ共振装置11と同様に、内部に収容空間が形成される密閉型共振管121と、共振管121内の収容空間に注入される少なくとも二酸化炭素成分を含む共振ガス122と、共振管121の内部一側に設けられる全反射体123と、共振管121の内部他側に設けられる部分反射体124と、共振管121の内部に閃光エネルギを印加する電極対125、126と、電極対125、126に電源を供給する電源装置127と、共振管121で発生した二酸化炭素レーザビームLB2の波長を変換する波長変換装置128と、二酸化炭素レーザビームLB2を案内する光ファイバ129と、を含む。
【0038】
また、高出力化装置40は、第1二酸化炭素レーザ共振装置11から発射された第1レーザビームLB1と、第2二酸化炭素レーザ共振装置12から発射された第2レーザビームLB2とを合射(combine)する装置であって、高出力化装置40は、第1レーザビームLB1を反射してシャッタ13への合射経路に向かわせるように傾斜した(inclined)全反射体41、及び前記合射経路に設けられて、第1レーザビームLB1は通過させ、第2レーザビームLB2を反射して前記合射経路に向かわせるように傾斜した部分反射体42を含む。
【0039】
従って、第1二酸化炭素レーザ共振装置11から発射された第1レーザビームLB1は、傾斜した全反射体41により反射されて合射経路を進行し、第2二酸化炭素レーザ共振装置12から発射された第2レーザビームLB2は、傾斜した部分反射体42により反射されて前記合射経路を進行し、結果的に、前記合射経路に第1レーザビームLB1と第2レーザビームLB2とが合射されて、高出力のレーザビームLBが出力される。
【0040】
一方、レーザビーム出力装置30は、かように合射されたレーザビームLBを選択的に断続するレーザシャッタ13をさらに含みうる。ここで、レーザシャッタ13の開放時間を調節して、ワイヤWに形成されるボールBの大きさを決定できる。即ち、合射されたレーザビームLBがワイヤWに比較的短時間照射されるように、レーザシャッタ13の開放時間を短くすれば、ボールBを小さくでき、逆に、合射されたレーザビームLBがワイヤWに比較的長時間照射されるように、レーザシャッタ13の開放時間を長くすれば、ボールBを大きくできる。
【0041】
図7は、図1のレーザビーム案内装置20の拡大図である。
【0042】
図1及び図7に示したように、レーザビーム案内装置20は、レーザビーム出力装置10から出力されるレーザビームLBをボール形成位置BPに案内する装置であって、光ファイバライン21と、レーザビーム発射部22と、垂直位置調整部23と、水平位置調整部24と、角度調整装置25と、を含む。
【0043】
ここで、光ファイバライン21は、レーザビーム出力装置10からレーザビーム発射部22まで延設され、レーザビームLBの経路を形成する。
【0044】
また、レーザビーム発射部22は、光ファイバライン21の先端に設けられて少なくとも1つの光ファイバ、レンズ及びそれらの組合わせのうち、いずれか1つ以上を含むものであって、レーザビームLBの照射方向を決定する一種の光学的ノズルの役割を果たせる。
【0045】
また、垂直位置調整部23は、光ファイバライン21に設けられて、レーザビーム発射部22の垂直位置を調整するものであって、各種調節ねじやボルトなどを用いて、レーザビーム発射部22組立体の位置又は長さを調節できる手動調節式構造体を含む。該手動調節式構造体の代わりにモータ、空圧/油圧シリンダなどを用いて、自動的に垂直位置を調整する自動調整式アクチュエータなどを適用できる。
【0046】
また、水平位置調整部24は、光ファイバライン21に設けられて、レーザビーム発射部22の水平位置を調整するものであって、各種調節ねじやボルトなどを用いてレーザビーム発射部22組立体の位置又は長さを調節できる手動調節式構造体を含む。該手動調節式構造体の代わりにモータ、空圧/油圧シリンダなどを用いて自動的に水平位置を調整する自動調整式アクチュエータなどを適用できる。
【0047】
ここで、レーザビーム案内装置20は、垂直位置調整部23と水平位置調整部24とのいずれにも自動調整式アクチュエータを適用するレーザビーム案内ロボットを含みうる。
【0048】
また、角度調整装置25は、レーザビーム案内装置20に設けられて、レーザビーム案内装置20から、ボール形成位置BPに発射されるレーザビームLBの照射角度K1を調整するものであって、図1、図7及び図2に示したように、角度調整装置25は、レーザビーム発射部22の照射角度K1(図2を参照)を調整するヒンジ軸251を有する関節部252を含むことができる。
ここで、図2に示したように、照射角度K1は、ワイヤWの軸方向を基準に40°〜50°でありうる。
即ち、レーザビーム発射部22は、ワイヤWの軸方向を基準に例えば40°〜50°の照射角度K1を有する第1レーザビーム発射部221を含む。
【0049】
従って、第1レーザビーム発射部221から発射されたレーザビームLBは、ワイヤWに傾斜して照射されてワイヤWの側面とワイヤWの下面とを同時に照射し、これによってワイヤWの側面と下面とが均一に加熱されてボールBの形成を迅速にし、形成されたボールBが一方に偏って形成されず、さらに完全に球状をなすようにする。
【0050】
図3は、図1のレーザビーム発射部22の他の、第2の実施例であり、図4は、図1のレーザビーム発射部22のさらに他の、第3の実施例であり、図5は、図1のレーザビーム発射部22のさらに他の、第4の実施例であり、図6は、図1のレーザビーム発射部22のさらに他、第5実施例である。
【0051】
図3に示したように第2の実施例では、レーザビーム発射部22は、ワイヤWの軸方向を基準に40°〜50°の照射角度K1を有する第1レーザビーム発射部221及びワイヤWの軸方向を基準に第1レーザビーム発射部221と反対側から40°〜50°の照射角度K2を有する第2レーザビーム発射部222を含む。
【0052】
従って、第1レーザビーム発射部221及び第2レーザビーム発射部222から各々発射されたレーザビームLBは、ワイヤWの両側に傾斜して照射されて、ワイヤWの両側面とワイヤWの下面とを同時に照射し、これによってワイヤWの両側面と下面とが均一に加熱されてボールBの形成を速かにし、形成されたボールBが一方に偏って形成されず、さらに完全に球状をなすようにする。また、2本のレーザビームLB、LBによってさらに速かにボールBが形成される。
【0053】
一方、図4に示したように第3の実施例では、レーザビーム発射部22は、ワイヤWの軸方向を基準に85°〜95°の照射角度K3を有する第3レーザビーム発射部223を含む。
【0054】
従って、第3レーザビーム発射部223から発射されたレーザビームLBが、ワイヤWに傾斜して照射されてワイヤWの側面を照射し、これによってワイヤWの側面が加熱されてボールBの形成を速かにしうる。
【0055】
一方、図5に示したように第4の実施例では、レーザビーム発射部22は、ワイヤWの軸方向を基準に40°〜50°の照射角度K1を有する第1レーザビーム発射部221及びワイヤWの軸方向を基準に85°〜95°の照射角度K3を有する第3レーザビーム発射部223を含む。
【0056】
従って、第1レーザビーム発射部221及び第3レーザビーム発射部223から各々発射されたレーザビームLBが、ワイヤWの一側に傾斜して照射されて、ワイヤWの一側面とワイヤWの下面とを同時に照射し、これによってワイヤWの一側面と下面とが均一に加熱されてボールBの形成を速かにし、形成されたボールBが一方に偏って形成されず、さらに完全に球状をなすようにする。また、2本のレーザビームLB、LBによってさらに速かにボールBを形成できる。
【0057】
一方、図6に示したように第5の実施例では、レーザビーム発射部22は、ワイヤWの軸方向を基準に40°〜50°の照射角度K2を有する第2レーザビーム発射部222及びワイヤWの軸方向を基準に85°〜95°の照射角度K3を有する第3レーザビーム発射部223を含む。
【0058】
従って、第2レーザビーム発射部222及び第3レーザビーム発射部223から各々発射されたレーザビームLBが、ワイヤWの両側に傾斜して照射されて、ワイヤWの両側面とワイヤWの下面とを同時に照射し、これによってワイヤWの両側面と下面とが均一に加熱されてボールBの形成を速かにし、形成されたボールBが一方に偏って形成されず、さらに完全に球状をなすようにする。また、2本のレーザビームLB、LBによってさらに速かにボールBを形成できる。
【0059】
ここで、上述したような第1レーザビーム発射部221、第2レーザビーム発射部222、及び第3レーザビーム発射部223を含むレーザビーム発射部22の設置数、及び設置位置は、経済性とボールBの成形性及び空間上の制約などを考慮して最適化できるものであって、上述した図面に限定されるものではない。
【0060】
従って、本発明の思想による半導体パッケージのワイヤボンディングシステムは、ワイヤの先端部に、例えば、ワイヤWの側面と下面とを同時に照射できるように、略45°傾斜した照射角度を有する略30W以上の高出力二酸化炭素レーザビームを少なくとも1本以上発射して、ワイヤWの先端部により小さく、精密かつ均一な形状で球状のボールBを速かに形成することにより、ボールBの成形性を大きく向上できる。即ち、ボールBの形成時間を短縮させて生産性を向上し、さらに球状に近いボールBを均一に形成し、さらにレーザシャッタ13の開放時間を調節してボールBの大きさを精密に調整できる。特に、本発明の半導体パッケージのワイヤボンディングシステムは、30W以上の高出力二酸化炭素レーザビームを使用する場合、レーザシャッタ13の開放時間を、例えば、100ms以下にでき、ここで、レーザシャッタ13の開放時間は、出力が高いほど短くなって、生産性をさらに向上できる。
【0061】
また、従来既存のトーチチップの場合に生じうる、電気スパーク時に発生したすすや異物の吸着などによって不良な形態のボールが形成されるか、又は、スパークが発生しないなどの各種の誤動作を防止し、長時間の使用時にも既存のトーチチップの場合に必要な取替えの煩わしさを防止して、各種消耗部品の取替え費用及び取替え時間を節約できる。即ち、レーザビーム発射部22は、単にレーザビームを照射するだけであるので、すす、変色、及び摩耗現象が起こらず、永久的又は半永久的に使用でき、これによって、不要な部品取替え時間及び取替え費用の発生を基本的に防止できる。
【0062】
一方、既存のトーチチップの場合、その電気スパーク衝撃により、ワイヤWに電気的物性変性(例えば、250μm〜300μmの区間)が発生して、ワイヤが硬化し、これによって、硬化したワイヤ部分がワイヤのループの高さの下限を決定したが、本発明による半導体パッケージのワイヤボンディングシステムは、かような電気的物性変性が発生しないか、発生しても最小限の区間(例えば、250μm以下)に限られ、残りの区間におけるワイヤの延性をそのまま保持させることによって、図1に示すワイヤWのループ高LHを最小化できる。
【0063】
また、既存のトーチチップは、ワイヤWと近いほど、電気スパークがよくなされるために、前記トーチチップとワイヤとの距離に余裕がなく、互いに衝突するか、過放電、又は未放電現象が頻繁に発生したが、本発明のレーザビーム発射部22とボールBとの距離は、必ずしも近い必要はないので、十分な余裕度(100〜150μm以上)を保持しうる。
【0064】
本発明は、前述した実施例に限定されず、本発明の思想を外れない範囲内で当業者による変形が可能であることはいうまでもない。
従って、本発明で権利を請求する範囲は、詳細な説明の範囲内で決まるものではなく、後述する特許請求の範囲とその技術的思想によって限定されるものである。
【符号の説明】
【0065】
1 スプール
2 ワイヤテンション装置
3 ワイヤクランプ
4 トランスデューサ
5 キャピラリ
10、30 レーザビーム出力装置
11 第1二酸化炭素レーザ共振装置
12 第2二酸化炭素レーザ共振装置
13 レーザシャッタ
20 レーザビーム案内装置
21 光ファイバライン
22 レーザビーム発射部
23 垂直位置調整部
24 水平位置調整部
25 角度調整装置
40 高出力化装置
41 傾斜全反射体
42 傾斜部分反射体
100 ワイヤ供給装置
111、121 密閉型共振管
112、122 共振ガス
113、123 全反射体
114、124 部分反射体
115、116、125、126 電極対
117、127 電源装置
118、128 波長変換装置
119、129 光ファイバ
221 第1レーザビーム発射部
222 第2レーザビーム発射部
223 第3レーザビーム発射部
251 ヒンジ軸
252 関節部
B ボール
BP ボール形成位置
C 半導体チップ
H ヒートブロック
K1、K2、K3 照射角度
L リード
LB レーザビーム
LB1 第1レーザビーム
LB2 第2レーザビーム
LH ループ高
P ボンディングパッド
S 基板
W ワイヤ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤをボール形成位置に供給するワイヤ供給装置と、
二酸化炭素レーザビームを少なくとも1本以上出力するレーザビーム出力装置と、
前記レーザビーム出力装置から出力されるレーザビームを前記ボール形成位置に案内するレーザビーム案内装置と、
を含むことを特徴とする半導体パッケージのワイヤボンディングシステム。
【請求項2】
前記レーザビーム出力装置は、
密閉型共振管と、
前記共振管内部に注入される少なくとも二酸化炭素成分を含む共振ガスと、
前記共振管の内部一側に設けられる全反射体と、
前記共振管の内部他側に設けられる部分反射体と、
前記共振管の内部に閃光エネルギを印加する電極対と、
前記電極対に電源を供給する電源装置と、を含んでなる第1二酸化炭素レーザ共振装置を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体パッケージのワイヤボンディングシステム。
【請求項3】
前記レーザビーム出力装置は、
密閉型共振管と、
前記共振管内部に注入される少なくとも二酸化炭素成分を含む共振ガスと、
前記共振管の内部一側に設けられる全反射鏡と、
前記共振管の内部他側に設けられる部分反射鏡と、
前記共振管の内部に閃光エネルギを印加する電極対と、
前記電極対に電源を供給する電源装置と、を含んでなる第2二酸化炭素レーザ共振装置を含むことを特徴とする請求項2に記載の半導体パッケージのワイヤボンディングシステム。
【請求項4】
前記第1二酸化炭素レーザ共振装置から発射された第1レーザビームと前記第2二酸化炭素レーザ共振装置から発射された第2レーザビームとを合射する少なくとも1つ以上の高出力化装置をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の半導体パッケージのワイヤボンディングシステム。
【請求項5】
前記レーザビーム案内装置に設けられ、前記レーザビーム案内装置から前記ボール形成位置に発射されるレーザビームの照射角度を調整する角度調整装置をさらに含んでなることを特徴とする請求項1に記載の半導体パッケージのワイヤボンディングシステム。
【請求項6】
前記角度調整装置は、ヒンジ軸を有する関節部を含むことを特徴とする請求項5に記載の半導体パッケージのワイヤボンディングシステム。
【請求項7】
前記照射角度は、ワイヤの軸方向を基準に40°乃至50°であることを特徴とする請求項6に記載の半導体パッケージのワイヤボンディングシステム。
【請求項8】
前記レーザビーム案内装置は、
前記レーザビーム出力装置から延設される光ファイバラインと、
前記光ファイバラインの先端に設けられて、少なくとも1つの光ファイバ、レンズ及びそれらの組合わせのうち、いずれか1つ以上を含むレーザビーム発射部と、
前記光ファイバラインに設けられ、前記レーザビーム発射部の垂直位置を調整する垂直位置調整部と、
前記光ファイバラインに設けられ、前記レーザビーム発射部の水平位置を調整する水平位置調整部と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体パッケージのワイヤボンディングシステム。
【請求項9】
前記レーザビーム発射部は、ワイヤの軸方向を基準に40°乃至50°の照射角度を有する第1レーザビーム発射部を含むことを特徴とする請求項8に記載の半導体パッケージのワイヤボンディングシステム。
【請求項10】
前記レーザビーム発射部は、ワイヤの軸方向を基準に85°乃至95°の照射角度を有する第3レーザビーム発射部を含むことを特徴とする請求項9に記載の半導体パッケージのワイヤボンディングシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−58752(P2013−58752A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−195314(P2012−195314)
【出願日】平成24年9月5日(2012.9.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.MEMORY STICK
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung−ro,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】