半導体光変調素子及びその製造方法
【課題】メサ部上の樹脂領域の開口が狭い場合であっても、AuZn膜を含む金属膜をメサ部上に容易に形成することが可能な半導体光変調素子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】メサ部32を保護膜22によって覆う第1の絶縁膜形成工程と、メサ部32を樹脂領域20によって埋め込むとともに、メサ部32上の該樹脂領域20の部分に開口20cを形成する工程と、開口20cにおいて露出した保護膜22、及び樹脂領域20を保護膜24によって覆う第2の絶縁膜形成工程と、メサ部32上の保護膜22,24の部分に開口を形成する工程と、Ti膜を含む金属膜26aを、該Ti膜と保護膜24とが互いに接触するように開口20c内を除く樹脂領域20上に形成する工程と、Au膜を含む金属膜26bを、該Au膜とメサ部32とが互いに接触するようにメサ部32上から金属膜26a上に亘って形成する工程とを含む。
【解決手段】メサ部32を保護膜22によって覆う第1の絶縁膜形成工程と、メサ部32を樹脂領域20によって埋め込むとともに、メサ部32上の該樹脂領域20の部分に開口20cを形成する工程と、開口20cにおいて露出した保護膜22、及び樹脂領域20を保護膜24によって覆う第2の絶縁膜形成工程と、メサ部32上の保護膜22,24の部分に開口を形成する工程と、Ti膜を含む金属膜26aを、該Ti膜と保護膜24とが互いに接触するように開口20c内を除く樹脂領域20上に形成する工程と、Au膜を含む金属膜26bを、該Au膜とメサ部32とが互いに接触するようにメサ部32上から金属膜26a上に亘って形成する工程とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に光ファイバ通信システムに使用される半導体光変調素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光変調器を含む半導体装置及びその製造方法が記載されている。この半導体装置は、InP系の半導体によって構成されており、アノード電極及びカソード電極を有する。アノード電極はTi/Auからなり、アノード電極のTi側の面がInGaAsPコンタクト層に接触している。
【0003】
特許文献2には、半導体光変調素子が記載されている。この半導体光変調素子は、入射された光を伝搬するInGaAsP光導波路層と、InGaAsP光導波路層の下面を覆うn型InPバッファー層と、InGaAsP光導波路層の上面、及びInGaAsP光導波路層の側面を覆う半絶縁性InP層と、半絶縁性InP層上に設けられたn型InP層とを備える。そして、InGaAsP光導波路層に電界を印加する一対の電極のうち一方がn型InPバッファー層に接触しており、他方がn型InP層上に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−329937号公報
【特許文献2】特開2009−244648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図9は、一般的な構成を備える半導体光変調素子100Aを示す斜視図である。図9に示されるように、半導体光変調素子100Aは、n型InPからなる半導体基板112と、n型InPからなるバッファ層114と、多重量子井戸構造(MQW)を有するコア層116と、p型InPからなる上部クラッド層118と、p型InGaAsPまたはp型InGaAsからなるコンタクト層119とを備える。また、半導体光変調素子100Aは、これらの層を貫通する溝130a及び130bによって形成されたメサ部132を有しており、メサ部132の側面を埋め込むように樹脂領域120が形成されている。なお、メサ部132と樹脂領域120との間には絶縁性の保護膜122が設けられており、樹脂領域120の表面には絶縁性の保護膜124が設けられている。
【0006】
そして、樹脂領域120はメサ部132上に開口120cを有しており、開口120cの内側にはアノード電極構造体126が配置されている。アノード電極構造体126は、メサ部132上から樹脂領域120の表面120a上に亘って設けられており、金属膜126a、126b及びボンディングパッド126cを有する。
【0007】
金属膜126aは、例えばAuZn/Au膜からなり、樹脂領域120の開口120cの内部におけるメサ部132上に設けられている。メサ部132上において、金属膜126bのAuZn膜とメサ部132のコンタクト層119とが互いに接触することにより、アノード電極構造体126とコンタクト層119とがオーミック接触を成す。また、金属膜126bは、いわゆるバリア金属膜であり、例えばTi/Pt/Au膜からなる。金属膜126bは、金属膜126aより外側の領域において、保護膜124と接している。ボンディングパッド126cは、例えばAuメッキによって、金属膜126b上に形成されている。
【0008】
このような構成を備える半導体光変調素子100Aを製造する際には、まず半導体基板112上にバッファ層114、コア層116、上部クラッド層118、及びコンタクト層119を成長させ、これらの半導体層をエッチングすることによって溝130a及び130bを形成する。そして、保護膜122を成膜したのち、樹脂領域120のための樹脂を塗布し、この樹脂のメサ部132上の部分に開口120cを形成して、保護膜122を露出させる。その後、保護膜124を成膜する。
【0009】
以上の工程ののち、図10(a)に示されるように、保護膜122及び124にエッチングを施し、メサ部132上の保護膜122及び124の各部分に開口122a及び124a(コンタクトホール)をそれぞれ形成することにより、メサ部132の上面を露出させる。そして、図10(b)に示されるように、メサ部132上に金属膜126aを形成する。この金属膜126aは、例えば蒸着やスパッタリングにより形成された金属膜の不要部分をリフトオフによって除去することにより形成される。更に、図10(c)に示されるように、半導体基板112の全面にわたって、金属膜126bを形成する。この後、メサ部132上を含む半導体基板112の所定の領域上にボンディングパッド126cを形成することにより、図9に示された半導体光変調素子100Aが製造される。
【0010】
このような半導体光変調素子100Aの製造工程において、樹脂領域120は比較的厚く形成されることが好ましく、例えば、コンタクト層119より上方の樹脂領域120の厚さは2μm以上となる。これは、ボンディングパッド126cとその下方の導電層との間に形成される浮遊容量に起因する、半導体光変調素子100Aの高周波特性の劣化を防ぐためである。
【0011】
しかしながら、これによって樹脂領域120の開口120cが深くなるので、保護膜124の表面からメサ部132のコンタクト層119の表面までの距離が長くなり、このことがアノード電極構造体126の金属膜126aを形成する際に問題となる。すなわち、保護膜124の表面からメサ部132のコンタクト層119の表面までの距離は、この樹脂領域120の厚さに保護膜122及び124の厚さを加えたものとなる。コンタクト層119上の樹脂領域120の厚さが2〜3μmである場合、この距離は2.5〜3.5μmにも達する。更に、アノード電極構造体126を形成する際にはこの上にリフトオフ用のレジスト(厚さ1〜2μm)が形成されるので、レジスト表面からコンタクト層119の表面までの距離は更に遠くなる。一方、開口120cの横幅(例えば1〜2μm)は、メサ部132の横幅によって決定されるので、拡げることはできない。従って、金属膜126aをリフトオフ法により形成する際の開口のアスペクト比(開口の横幅Wと深さDとの比D/W)が大きくなるので、レジストを形成する際のフォトリソグラフィーに極めて高い精度が要求される。しかも、このような厚さを有するレジストを安定的に露光し現像することは容易ではない。
【0012】
このような問題点に対し、例えば次のような半導体光変調素子の構造も考えられる。図11は、図9とは別の構成を備える半導体光変調素子100Bを示す斜視図である。この半導体光変調素子100Bと図9に示された半導体光変調素子100Aとの相違点は、アノード電極構造体126の金属膜の形状である。すなわち、この半導体光変調素子100Bにおいては、例えばAuZn/Au膜からなる金属膜126dが、メサ部132上だけでなく、その周りの樹脂領域120の表面120a上にわたって形成されている。
【0013】
このような構成を備える半導体光変調素子100Bを製造する際には、上述した半導体光変調素子100Aと同様の工程によって保護膜124まで形成したのち、図12(a)に示されるように、保護膜122及び124にエッチングを施し、メサ部132上の保護膜122及び124の各部分に開口122a及び124a(コンタクトホール)をそれぞれ形成することにより、メサ部132の上面を露出させる。そして、図12(b)に示されるように、メサ部132上、樹脂領域120の開口120cの内側面上、及び表面120a上に亘って金属膜126dを形成する。この金属膜126dは、図9に示された金属膜126aを形成するときよりも広い開口(例えば幅4〜6μm)を有するレジストを用いたリフトオフ法によって、好適に形成される。その後、図12(c)に示されるように、半導体基板112の全面にわたって、金属膜126bを形成する。以降の製造方法は、上述した半導体光変調素子100Bと同様である。
【0014】
この半導体光変調素子100Bによれば、金属膜126dを形成する際のリフトオフ用のレジストの開口を広くすることができるので、該開口のアスペクト比を小さくでき、レジストを形成する際のフォトリソグラフィーに要求される精度を低くすることができる。しかし、Auを含む膜と絶縁性の保護膜124との密着性は極めて低いので、金属膜126dがAuZn/Au膜からなる場合、金属膜126dが保護膜124から剥がれてしまうおそれがある。
【0015】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、メサ部上の樹脂領域の開口が狭い場合であっても、AuZn膜を含む金属膜をメサ部上に容易に形成することが可能な半導体光変調素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決するために、本発明による半導体光変調素子の製造方法は、光導波路を構成するメサ部の上面および両側面を第1の絶縁膜によって覆う第1の絶縁膜形成工程と、メサ部の両側面を樹脂領域によって埋め込むとともに、メサ部上の該樹脂領域の部分に第1の開口を形成して第1の絶縁膜を露出させる工程と、第1の開口において露出した第1の絶縁膜、及び樹脂領域を第2の絶縁膜によって覆う第2の絶縁膜形成工程と、メサ部上の第1及び第2の絶縁膜の部分に第2の開口を形成してメサ部の上面を露出させる工程と、Ti膜を含む第1の金属膜を、該Ti膜と第2の絶縁膜とが互いに接触するように第1の開口内を除く樹脂領域上に形成する工程と、Au膜を含む第2の金属膜を、該Au膜とメサ部とが互いに接触するようにメサ部上から第1の金属膜上に亘って形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明による別の半導体光変調素子の製造方法は、半導体光変調素子の製造方法であって、光導波路を構成するメサ部の上面および両側面を第1の絶縁膜によって覆う第1の絶縁膜形成工程と、メサ部の両側面を樹脂領域によって埋め込むとともに、メサ部上の該樹脂領域の部分に第1の開口を形成して第1の絶縁膜を露出させる工程と、第1の開口において露出した第1の絶縁膜、及び樹脂領域を第2の絶縁膜によって覆う第2の絶縁膜形成工程と、Ti膜を含む第1の金属膜を、該Ti膜と第2の絶縁膜とが互いに接触するように第1の開口内を除く樹脂領域上に形成する工程と、メサ部上の第1及び第2の絶縁膜の部分に第2の開口を形成してメサ部の上面を露出させる工程と、Au膜を含む第2の金属膜を、該Au膜とメサ部とが互いに接触するようにメサ部上から第1の金属膜上に亘って形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明による半導体光変調素子は、光導波路を構成するメサ部と、メサ部の両側面を埋め込むとともに、メサ部上に第1の開口が形成された樹脂領域と、樹脂領域を覆う絶縁膜と、メサ部上から樹脂領域上に亘って設けられた第2の金属膜と、第1の開口内を除く樹脂領域と第2の金属膜との間に設けられた第1の金属膜とを備え、第2の金属膜がAu膜を含み、該Au膜とメサ部とが互いに接触しており、第1の金属膜がTi膜を含み、該Ti膜と絶縁膜とが互いに接触していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明による半導体光変調素子及びその製造方法によれば、メサ部上の樹脂領域の開口が狭い場合であっても、AuZn膜を含む金属膜をメサ部上に容易に形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る半導体光変調素子の構造(ウェハをチップ化する直前の形態)を示す斜視図である。
【図2】図2は、半導体光変調素子の製造方法を示すフローチャートである。
【図3】図3は、製造方法の一工程における断面図であり、半導体光変調素子の光導波方向に垂直な断面を示している。
【図4】図4は、製造方法の一工程における断面図であり、半導体光変調素子の光導波方向に垂直な断面を示している。
【図5】図5は、製造方法の一工程における断面図であり、半導体光変調素子の光導波方向に垂直な断面を示している。
【図6】図6は、製造方法の一工程における断面図であり、半導体光変調素子の光導波方向に垂直な断面を示している。
【図7】図7は、一変形例に係る半導体光変調素子の製造方法を示すフローチャートである。
【図8】図8は、変形例の各工程のうち、実施形態とは異なる工程を示す断面図であり、半導体光変調素子の光導波方向に垂直な断面を示している。
【図9】図9は、一般的な構成を備える半導体光変調素子を示す斜視図である。
【図10】図10は、図9に示された半導体光変調素子の製造工程の一部を示す断面図である。
【図11】図11は、図9とは別の構成を備える半導体光変調素子を示す斜視図である。
【図12】図12は、図11に示された半導体光変調素子の製造工程の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら本発明による半導体光変調素子及びその製造方法の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体光変調素子10の構造(ウェハをチップ化する直前の形態)を示す斜視図である。図1に示されるように、この半導体光変調素子10は、半導体基板12と、バッファ層14と、コア層16と、上部クラッド層18と、コンタクト層19と、樹脂領域20と、保護膜22及び24と、アノード電極構造体26と、カソード電極28とを備える。
【0023】
半導体基板12は、第1導電型(例えばn型)のIII−V族化合物半導体からなる基板であり、一実施例ではn型InPからなる。n型半導体基板12は、半導体光変調素子10の機械的強度を保持するための支持基板として機能する。n型半導体基板12は、主面12a及び裏面12bを有する。
【0024】
バッファ層14は、半導体基板12の主面12a上に設けられている。バッファ層14は、第1導電型のIII−V族化合物半導体からなり、一実施例ではn型InPからなる。バッファ層14は、コア層16の結晶性を良好にするために設けられ、主面12a上においてエピタキシャル成長により形成される。
【0025】
コア層16は、半導体基板12の主面12a上に設けられ、本実施形態ではバッファ層14上に設けられている。コア層16は、例えば複数の井戸層および障壁層が交互に積層された多重量子井戸構造(MQW)を有するとよい。或いは、コア層16は、一つの井戸層が上下の障壁層に挟まれた量子井戸構造を有しても良く、単一の半導体材料からなる層であってもよい。コア層16は、アンドープのIII−V族化合物半導体からなり、一実施例ではAlGaInAs井戸層及びAlInAs障壁層からなる。
【0026】
上部クラッド層18は、コア層16上に設けられている。上部クラッド層18は、第2導電型(例えばp型)のIII−V族化合物半導体からなり、一実施例ではp型InPからなる。上部クラッド層18は、コア層16を導波する光をコア層16に閉じ込めるためのクラッドとして機能する。コンタクト層19は、上部クラッド層18上に設けられている。コンタクト層19は、第2導電型のIII−V族化合物半導体からなり、一実施例ではp型InGaAsPまたはp型InGaAsからなる。コンタクト層19は、アノード電極構造体26とのオーミック接触のために設けられる。
【0027】
図1に示されるように、半導体光変調素子10には、溝30a及び30bが形成されている。溝30a及び30bは、メサ部32を形成するために設けられた溝である。溝30a及び30bは、所定方向(光導波方向)に沿って延びた平面形状を有する。また、溝30a及び30bの深さは、半導体基板12に達している。換言すれば、溝30a及び30bは、コンタクト層19、上部クラッド層18、コア層16、及びバッファ層14を貫通するエッチングにより形成され、その底面は半導体基板12により構成されている。溝30a及び30bの各一方の内壁は、メサ部32の両側面32a,32bを構成している。
【0028】
メサ部32は、光導波路を構成する。すなわち、メサ部32の内部において、導波光は主にコア層16を導波し、メサ部32の両側面32a及び32bとその外側との屈折率差によって左右方向に閉じ込められ、上部クラッド層18及びバッファ層14とコア層16との屈折率差によって上下方向に閉じ込められる。
【0029】
樹脂領域20は、メサ部32の両側面32a及び32bを埋め込み、後述するアノード電極構造体26のボンディングパッド26dを設置するために設けられる領域である。このように樹脂領域20によってメサ部32の両側面32a及び32bを埋め込むことによって、側面32a又は32bへの電極(配線)の形成を回避し、光導波路を伝播する光の散乱や吸収を抑えることができる。本実施形態では、樹脂領域20は溝30a及び30bを埋め込んでいる。更に、樹脂領域20は、ボンディングパッド26dによる浮遊容量を低減するために、溝30a及び30bの深さよりも厚く形成されており、溝30a及び30bより外側の領域に亘って設けられた部分20bを有する。なお、メサ部32の上面を基準とする樹脂領域20の表面20aの高さ(すなわち樹脂領域20の部分20bの厚さ)h1は、2μm以上であることが好ましく、その上限は例えば3μmである。一実施例では、樹脂領域20は、BCB樹脂、ポリイミド、或いは旭硝子株式会社製のALポリマーといった感光性の樹脂からなる。
【0030】
また、樹脂領域20は、開口20c及び20dを有する。開口20cは、本実施形態における第1の開口であり、樹脂領域20のメサ部32上の部分に形成されている。開口20cの内側には、アノード電極構造体26が配置される。開口20dは、n型半導体基板12上において半導体光変調素子10となるべき領域と、これに隣接する領域との境(スクライブライン上)に形成されている。この開口20dの底面にはコンタクト層19が露出しており、半導体光変調素子10が作製される際に、開口20dに沿ってn型半導体基板12が切断されることにより半導体光変調素子10のチップ化が行われる。
【0031】
保護膜22は、例えばSiO2、SiON、或いはSiNといった絶縁性材料からなる第1の絶縁膜である。保護膜22は、メサ部32などの半導体領域を外部から絶縁して保護するために設けられる。本実施形態において、保護膜22は、メサ部32の両側面32a及び32b上、溝30a及び30bの内壁上及び底面上、並びに溝30a及び30bより外側に位置する領域におけるコンタクト層19上において、これらと樹脂領域20との間に設けられている。
【0032】
保護膜24は、例えばSiO2、SiON、或いはSiNといった絶縁性材料からなる第2の絶縁膜である。保護膜24は、樹脂領域20を覆うように樹脂領域20の表面20a上および開口20cの内側面上に設けられている。保護膜24は、樹脂領域20を保護し、樹脂領域20の表面からの吸湿を防ぐ。
【0033】
保護膜22及び24は、開口(第2の開口)をそれぞれ有する。該開口は、いわゆるコンタクトホールである。すなわち、開口は、メサ部32の上面を露出させてメサ部32のコンタクト層19とアノード電極構造体26との接触を可能とするために、保護膜22及び24のうちメサ部32上の部分に形成されている。
【0034】
アノード電極構造体26は、メサ部32上から樹脂領域20の表面20a上に亘って設けられている。本実施形態のアノード電極構造体26は、金属膜26a〜26c及びボンディングパッド26dを有する。
【0035】
金属膜26aは、本実施形態における第1の金属膜であり、Ti膜を含む。例えば、金属膜26aは、Ti膜、Ti/Pt膜、Ti/Au膜、或いはTi/Pt/Au膜からなる。金属膜26aは、開口20c内を除く樹脂領域20の表面20a上に設けられている。より詳細には、金属膜26aは、樹脂領域20の表面20aのうち、開口20cの近傍に位置する一部の領域上に設けられている。そして、金属膜26aのTi膜と保護膜24とが互いに接触することによって、金属膜26aと保護膜24との接合強度(密着性)が高められている。
【0036】
金属膜26bは、本実施形態における第2の金属膜であり、AuZn膜を含む。例えば、金属膜26bは、AuZn/Au膜からなる。金属膜26bは、樹脂領域20の開口20cの内部におけるメサ部32上から、樹脂領域20の開口20cの外部における金属膜26a上に亘って設けられている。メサ部32上において、金属膜26bのAuZn膜とメサ部32のコンタクト層19とが互いに接触することにより、アノード電極構造体26とコンタクト層19とがオーミック接触を成す。
【0037】
金属膜26cは、いわゆるバリア金属膜であり、Ti膜を含む。例えば、金属膜26cは、Ti/Pt/Au膜またはTiW/Au膜からなる。金属膜26cは、樹脂領域20の表面20aのうち金属膜26aより外側の表面において樹脂領域20と接している。そして、金属膜26cのTi膜と保護膜24とが互いに接触することによって、金属膜26cと保護膜24との接合強度(密着性)が高められている。
【0038】
ボンディングパッド26dは、アノード電極構造体26と外部回路とを電気的に接続するボンディングワイヤが接合される部分である。ボンディングパッド26dは、金属膜26c上に設けられている。ボンディングパッド26dは、例えばAuメッキによって形成される。
【0039】
カソード電極28は、n型半導体基板12の裏面12b上に設けられている。カソード電極28は、例えばAuGe/Au膜またはAuGe/Ti/Pt/Au膜からなる。カソード電極28は、AuGeが裏面12bに接触することによって、n型半導体基板12とオーミック接触を成す。なお、裏面12bのうち樹脂領域20の開口20dの直下に位置する領域では、n型半導体基板12を切断するためカソード電極28は除去されている。
【0040】
以上の構成を備える半導体光変調素子10の製造方法について、以下に説明する。図2は、半導体光変調素子10の製造方法を示すフローチャートである。また、図3〜図6は、製造方法の各工程における断面図であり、半導体光変調素子10の光導波方向に垂直な断面を示している。
【0041】
まず、図3(a)に示されるように、主面12a及び裏面12bを有するn型半導体基板12(例えばn型InP基板)を準備する。そして、このn型半導体基板12の主面12a上に、バッファ層14、コア層16、上部クラッド層18、及びコンタクト層19を成長させる(半導体層成長工程、S11)。次に、図3(b)に示されるように、コンタクト層19上にエッチングマスク50を形成する。エッチングマスク50は、例えばSiO2といった絶縁膜によって好適に構成され、図1に示された溝30a及び30bに対応する開口50aを有する。このようなエッチングマスク50は、絶縁膜を成膜したのち一般的なフォトリソグラフィ技術によってこの絶縁膜をエッチングすることにより好適に形成される。
【0042】
続いて、図3(c)に示されるように、エッチングマスク50を介したエッチングによって、コンタクト層19、上部クラッド層18、コア層16、及びバッファ層14を貫通する溝30a及び30bを形成する。これにより、側面32a及び32bを有し光導波路を構成するメサ部32が形成される(メサ部形成工程、S12)。なお、この工程では、ドライエッチングを行うことが好ましい。ドライエッチングによって、垂直性が高く且つ平滑な側面32a、32bを形成し、光の伝搬特性を良好にすることができる。特に、本実施形態のように各層がInP系の半導体からなる場合には、誘導結合プラズマエッチングを行うことが好ましい。この工程において、メサ部32における光導波方向と直交する方向の幅は例えば1μm以上2μm以下であり、メサ部32の高さ(すなわち溝30a及び30bの深さ)は例えば3μm以上4μm以下である。
【0043】
続いて、図3(d)に示されるように、絶縁性の保護膜22(第1の絶縁膜)を形成する(第1の絶縁膜形成工程、S13)。上述したように、保護膜22は例えばSiO2、SiON、或いはSiNといった絶縁性材料からなり、メサ部32の上面、側面32a及び32b、溝30a及び30bの内壁及び底面、並びに他の領域におけるコンタクト層19を覆うように形成される。
【0044】
続いて、樹脂領域20を形成する(樹脂領域形成工程、S14)。まず、図4(a)に示されるように、樹脂領域20のための樹脂をn型半導体基板12の主面12a上に塗布する。これにより、メサ部32の両側面32a、32bが樹脂領域20によって埋め込まれるとともに、溝30a及び30bより外側の領域に亘って部分20bが形成される。また、樹脂領域20の平坦な表面20aが形成される。次に、図4(b)に示されるように、この樹脂領域20のうちメサ部32上の部分に開口20c(第1の開口)を形成し、保護膜22を露出させる(樹脂領域形成工程、S15)。開口20cは、樹脂領域20に対して例えばCF4やO2ガスを用いたドライエッチングを行うことにより、好適に形成される。また、このとき、開口20dを同時に形成するとよい。なお、光導波方向と直交する方向における開口20cの幅は、該方向におけるメサ部32の幅より若干広く形成される。また、スクライブ方向と直交する方向における開口20dの幅は、例えば100μmである。
【0045】
続いて、図4(c)に示されるように、絶縁性の保護膜24(第2の絶縁膜)を形成する(第2の絶縁膜形成工程、S16)。上述したように、保護膜24は例えばSiO2、SiON、或いはSiNといった絶縁性材料からなり、開口20cにおいて露出した保護膜22、及び樹脂領域20を覆うように形成される。
【0046】
続いて、保護膜22及び24にエッチングを施し、図4(d)に示されるように、メサ部32上の保護膜22及び24の各部分に開口22a及び24a(第2の開口)をそれぞれ形成することにより、メサ部32の上面を露出させる(コンタクトホール形成工程、S17)。このとき、光導波方向と直交する方向における開口22a及び24aの幅を、メサ部32の当該幅より狭くすることが好ましい。
【0047】
続いて、図5(a)に示されるように、開口20c内を除く樹脂領域20の表面20a上に金属膜26aを形成する(第1の金属膜形成工程、S18)。具体的には、樹脂領域20の表面20aのうち、開口20cの近傍に位置する一部の領域上にTi膜を成膜し、必要に応じて、その上にPt膜を成膜する。更に、その上にAu膜を成膜してもよい。これらの膜の形成は、例えば蒸着やスパッタリングにより形成された膜の不要部分をリフトオフによって除去することにより好適に行われる。なお、この工程により形成される金属膜26aのTi膜は、保護膜22と接触する。
【0048】
そして、図5(b)に示されるように、メサ部32上から金属膜26a上にわたり、金属膜26bを形成する(第2の金属膜形成工程、S19)。具体的には、樹脂領域20の開口20cの内部におけるメサ部32上から、開口20cの内側面、及び開口20cの外部における金属膜26a上に亘ってAu膜を成膜し、その上にZn膜を成膜することにより、AuZn膜を形成する。更に、その上にAu膜を成膜する。これらの膜の形成は、例えば蒸着やスパッタリングにより形成された膜の不要部分をリフトオフによって除去することにより好適に行われる。なお、この工程により形成される金属膜26bのAuZn膜は、コンタクト層19とオーミック接触を成す。
【0049】
更に、図5(c)に示されるように、n型半導体基板12の主面12aの全面にわたり、金属膜26cを形成する(バリア金属膜形成工程、S20)。具体的には、Ti膜を成膜し、その上にPt膜を成膜し、その上にAu膜を成膜する。或いは、TiW膜を形成し、更にその上にAu膜を成膜してもよい。これらの金属膜の形成は、例えば蒸着やスパッタリングにより好適に行われる。
【0050】
続いて、図6(a)に示されるように、メサ部32上を含むn型半導体基板12の所定の領域上に、ボンディングパッド26dを形成する(ボンディングパッド形成工程、S21)。この工程では、ボンディングパッド26dを、例えばAuメッキによって金属膜26c上に形成する。
【0051】
続いて、図6(b)に示されるように、金属膜26cのうちボンディングパッド26dから露出した部分を除去する。更に、図6(c)に示されるように、保護膜22及び24のうちスクライブライン上の部分(具体的には、開口20dによって露出したコンタクト層19上に形成された部分)を除去する。
【0052】
続いて、n型半導体基板12の裏面12b上にカソード電極28を形成する(カソード電極形成工程、S22)。具体的には、AuGe膜を成膜し、その上にAu膜を成膜する。或いは、AuGe膜を成膜し、その上にTi膜、Pt膜、及びAu膜を順に成膜してもよい。これらの金属膜の形成は、例えば蒸着やスパッタリングにより好適に行われる。なお、この工程により形成されるカソード電極28のAuGe膜は、n型半導体基板12とオーミック接触を成す。その後、カソード電極28のうち樹脂領域20の開口20dの直下に形成された部分を除去する。
【0053】
以上の工程を経て、図1に示された構造体が完成する。そして、n型半導体基板12をスクライブライン(開口20d)に沿って切断することにより、半導体光変調素子10が完成する。
【0054】
以上説明したように、本実施形態の半導体光変調素子10及びその製造方法においては、樹脂領域20の開口20c付近の保護膜24上に、金属膜26aを配置する。この金属膜26aはTi膜を含み、このTi膜と保護膜24とが互いに接触する。Ti膜はAuZn膜との密着性が良いだけでなく、SiO2といった絶縁膜に対しても良好な密着性を有する。したがって、保護膜24上に金属膜26aを形成し、AuZn膜を含む金属膜26bをその上に形成することによって、金属膜26bと保護膜24との接合強度を高め、保護膜24から金属膜26bが剥がれることを抑制できる。
【0055】
また、このような効果によって、AuZn膜(金属膜26b)をメサ部32上だけでなくその周囲の保護膜24上に亘って形成することが可能となるので、リフトオフ法によって金属膜26bを形成する際(図5(b)を参照)に、レジストの開口幅を広くすることができる。したがって、レジストを形成する際のフォトリソグラフィーの要求精度を低くできるので、メサ部32上の樹脂領域20の開口20cが狭い場合であっても、AuZn膜を含む金属膜26bをメサ部32上に容易に形成することが可能となる。そして、半導体光変調素子の高周波特性を向上させることができ、また、半導体光変調素子の製造に使用されるウエハの大径化による量産性の向上に著しく寄与できる。
【0056】
また、本実施形態の金属膜26aは、樹脂領域20の開口20cを除く領域上(すなわち、メサ部32の直上を除く領域上)に形成されているので、AuZn膜を含む金属膜26bが、メサ部32のコンタクト層19と好適に接触することができる。したがって、アノード電極構造体26とコンタクト層19とをオーミック接触させることができる。
【0057】
なお、上述した第1の金属膜形成工程S18及び第2の金属膜形成工程S19は、成膜装置内において連続して行われることが好ましい。すなわち、蒸着やスパッタリングによって金属膜26a及び26bを形成する際に、最初に成膜された金属膜26aを大気に晒すことなく金属膜26bの成膜を開始するとよい。これにより、Ti膜とAuZn膜との界面の密着力が増し、金属膜26bの剥離を更に効果的に抑制できる。
【0058】
或いは、第1の金属膜形成工程S18ののち、金属膜26aを大気に晒す場合であっても、第2の金属膜形成工程S19によって金属膜26bをその上に形成する前に、金属膜26aの表面に対して特別な前処理を行うこととしてもよい。このような前処理の一例としては、金属膜26aが形成されて一度大気に晒されたウエハを金属膜26bの形成のために反応室内に収容したのち、その表面に対してスパッタリングを施し、金属膜26aの表層部を除去するような処理が挙げられる。
【0059】
(変形例)
上記実施形態に係る製造方法の一変形例について説明する。図7は、半導体光変調素子10の製造方法を示すフローチャートである。また、図8は、本変形例の各工程のうち、上記実施形態とは異なる工程を示す断面図であり、半導体光変調素子10の光導波方向に垂直な断面を示している。
【0060】
本変形例と上記実施形態との相違点は、コンタクトホール形成工程と第1の金属膜形成工程との順序が入れ替わっている点である。すなわち、本変形例では、上記実施形態と同様に、n型半導体基板12上にバッファ層14、コア層16、上部クラッド層18、及びコンタクト層19を成長させたのち(半導体層成長工程、S11)、エッチングによってメサ部32を形成する(メサ部形成工程、S12)。そして、メサ部32の上面、側面32a及び32b等を覆うように保護膜22を形成し(第1の絶縁膜形成工程、S13)、開口20cを有する樹脂領域20をその上に形成する(樹脂領域形成工程、S14,S15)。その後、開口20cにおいて露出した保護膜22、及び樹脂領域20を覆うように保護膜24を形成する(第2の絶縁膜形成工程、S16)。
【0061】
ここで、本変形例では、保護膜22及び24の開口22a及び24a(第2の開口)を形成する前に、図8(a)に示されるように金属膜26aを形成する(第1の金属膜形成工程、S18)。なお、金属膜26aを形成する位置や金属膜26aの構成材料は、上述した実施形態と同様である。
【0062】
その後、保護膜22及び24にエッチングを施し、図8(b)に示されるように、メサ部32上の保護膜22及び24の各部分に開口22a及び24aをそれぞれ形成することにより、メサ部32の上面を露出させる(コンタクトホール形成工程、S17)。
【0063】
以降、上記実施形態と同様にして、金属膜26b及び26c、並びにボンディングパッド26dを形成する(第2の金属膜形成工程S19、バリア金属膜形成工程S20、及びボンディングパッド形成工程S21)。そして、n型半導体基板12の裏面12b上にカソード電極28を形成する(カソード電極形成工程、S22)。最後に、n型半導体基板12をスクライブライン(開口20d)に沿って切断することにより、半導体光変調素子10が完成する。
【0064】
本変形例に係る半導体光変調素子の製造方法によれば、樹脂領域20の開口20c付近の保護膜24上に金属膜26aを配置するので、上述した実施形態と同様に、金属膜26bと保護膜24との接合強度を高め、保護膜24から金属膜26bが剥がれることを抑制できる。そして、メサ部32上の樹脂領域20の開口20cが狭い場合であっても、AuZn膜を含む金属膜26bをメサ部32上に容易に形成することが可能となる。
【0065】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において様々な変形が可能である。例えば、上述した実施形態及び変形例では、保護膜24の構成材料としてSiO2やSiNを例示したが、保護膜24の構成材料はこれらに限定されるものではない。例えば、シリコン、アルミニウム、又はチタンなどのフッ化物、酸化物、或いは窒化物によって保護膜24が構成されてもよい。
【符号の説明】
【0066】
10…半導体光変調素子、12…半導体基板、14…バッファ層、16…コア層、18…上部クラッド層、19…コンタクト層、20…樹脂領域、20a…表面、20c,20d…開口、22,24…絶縁膜、24…保護膜、26…アノード電極構造体、26a〜26c…金属膜、26d…ボンディングパッド、28…カソード電極、30a,30b…溝、32…メサ部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に光ファイバ通信システムに使用される半導体光変調素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光変調器を含む半導体装置及びその製造方法が記載されている。この半導体装置は、InP系の半導体によって構成されており、アノード電極及びカソード電極を有する。アノード電極はTi/Auからなり、アノード電極のTi側の面がInGaAsPコンタクト層に接触している。
【0003】
特許文献2には、半導体光変調素子が記載されている。この半導体光変調素子は、入射された光を伝搬するInGaAsP光導波路層と、InGaAsP光導波路層の下面を覆うn型InPバッファー層と、InGaAsP光導波路層の上面、及びInGaAsP光導波路層の側面を覆う半絶縁性InP層と、半絶縁性InP層上に設けられたn型InP層とを備える。そして、InGaAsP光導波路層に電界を印加する一対の電極のうち一方がn型InPバッファー層に接触しており、他方がn型InP層上に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−329937号公報
【特許文献2】特開2009−244648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図9は、一般的な構成を備える半導体光変調素子100Aを示す斜視図である。図9に示されるように、半導体光変調素子100Aは、n型InPからなる半導体基板112と、n型InPからなるバッファ層114と、多重量子井戸構造(MQW)を有するコア層116と、p型InPからなる上部クラッド層118と、p型InGaAsPまたはp型InGaAsからなるコンタクト層119とを備える。また、半導体光変調素子100Aは、これらの層を貫通する溝130a及び130bによって形成されたメサ部132を有しており、メサ部132の側面を埋め込むように樹脂領域120が形成されている。なお、メサ部132と樹脂領域120との間には絶縁性の保護膜122が設けられており、樹脂領域120の表面には絶縁性の保護膜124が設けられている。
【0006】
そして、樹脂領域120はメサ部132上に開口120cを有しており、開口120cの内側にはアノード電極構造体126が配置されている。アノード電極構造体126は、メサ部132上から樹脂領域120の表面120a上に亘って設けられており、金属膜126a、126b及びボンディングパッド126cを有する。
【0007】
金属膜126aは、例えばAuZn/Au膜からなり、樹脂領域120の開口120cの内部におけるメサ部132上に設けられている。メサ部132上において、金属膜126bのAuZn膜とメサ部132のコンタクト層119とが互いに接触することにより、アノード電極構造体126とコンタクト層119とがオーミック接触を成す。また、金属膜126bは、いわゆるバリア金属膜であり、例えばTi/Pt/Au膜からなる。金属膜126bは、金属膜126aより外側の領域において、保護膜124と接している。ボンディングパッド126cは、例えばAuメッキによって、金属膜126b上に形成されている。
【0008】
このような構成を備える半導体光変調素子100Aを製造する際には、まず半導体基板112上にバッファ層114、コア層116、上部クラッド層118、及びコンタクト層119を成長させ、これらの半導体層をエッチングすることによって溝130a及び130bを形成する。そして、保護膜122を成膜したのち、樹脂領域120のための樹脂を塗布し、この樹脂のメサ部132上の部分に開口120cを形成して、保護膜122を露出させる。その後、保護膜124を成膜する。
【0009】
以上の工程ののち、図10(a)に示されるように、保護膜122及び124にエッチングを施し、メサ部132上の保護膜122及び124の各部分に開口122a及び124a(コンタクトホール)をそれぞれ形成することにより、メサ部132の上面を露出させる。そして、図10(b)に示されるように、メサ部132上に金属膜126aを形成する。この金属膜126aは、例えば蒸着やスパッタリングにより形成された金属膜の不要部分をリフトオフによって除去することにより形成される。更に、図10(c)に示されるように、半導体基板112の全面にわたって、金属膜126bを形成する。この後、メサ部132上を含む半導体基板112の所定の領域上にボンディングパッド126cを形成することにより、図9に示された半導体光変調素子100Aが製造される。
【0010】
このような半導体光変調素子100Aの製造工程において、樹脂領域120は比較的厚く形成されることが好ましく、例えば、コンタクト層119より上方の樹脂領域120の厚さは2μm以上となる。これは、ボンディングパッド126cとその下方の導電層との間に形成される浮遊容量に起因する、半導体光変調素子100Aの高周波特性の劣化を防ぐためである。
【0011】
しかしながら、これによって樹脂領域120の開口120cが深くなるので、保護膜124の表面からメサ部132のコンタクト層119の表面までの距離が長くなり、このことがアノード電極構造体126の金属膜126aを形成する際に問題となる。すなわち、保護膜124の表面からメサ部132のコンタクト層119の表面までの距離は、この樹脂領域120の厚さに保護膜122及び124の厚さを加えたものとなる。コンタクト層119上の樹脂領域120の厚さが2〜3μmである場合、この距離は2.5〜3.5μmにも達する。更に、アノード電極構造体126を形成する際にはこの上にリフトオフ用のレジスト(厚さ1〜2μm)が形成されるので、レジスト表面からコンタクト層119の表面までの距離は更に遠くなる。一方、開口120cの横幅(例えば1〜2μm)は、メサ部132の横幅によって決定されるので、拡げることはできない。従って、金属膜126aをリフトオフ法により形成する際の開口のアスペクト比(開口の横幅Wと深さDとの比D/W)が大きくなるので、レジストを形成する際のフォトリソグラフィーに極めて高い精度が要求される。しかも、このような厚さを有するレジストを安定的に露光し現像することは容易ではない。
【0012】
このような問題点に対し、例えば次のような半導体光変調素子の構造も考えられる。図11は、図9とは別の構成を備える半導体光変調素子100Bを示す斜視図である。この半導体光変調素子100Bと図9に示された半導体光変調素子100Aとの相違点は、アノード電極構造体126の金属膜の形状である。すなわち、この半導体光変調素子100Bにおいては、例えばAuZn/Au膜からなる金属膜126dが、メサ部132上だけでなく、その周りの樹脂領域120の表面120a上にわたって形成されている。
【0013】
このような構成を備える半導体光変調素子100Bを製造する際には、上述した半導体光変調素子100Aと同様の工程によって保護膜124まで形成したのち、図12(a)に示されるように、保護膜122及び124にエッチングを施し、メサ部132上の保護膜122及び124の各部分に開口122a及び124a(コンタクトホール)をそれぞれ形成することにより、メサ部132の上面を露出させる。そして、図12(b)に示されるように、メサ部132上、樹脂領域120の開口120cの内側面上、及び表面120a上に亘って金属膜126dを形成する。この金属膜126dは、図9に示された金属膜126aを形成するときよりも広い開口(例えば幅4〜6μm)を有するレジストを用いたリフトオフ法によって、好適に形成される。その後、図12(c)に示されるように、半導体基板112の全面にわたって、金属膜126bを形成する。以降の製造方法は、上述した半導体光変調素子100Bと同様である。
【0014】
この半導体光変調素子100Bによれば、金属膜126dを形成する際のリフトオフ用のレジストの開口を広くすることができるので、該開口のアスペクト比を小さくでき、レジストを形成する際のフォトリソグラフィーに要求される精度を低くすることができる。しかし、Auを含む膜と絶縁性の保護膜124との密着性は極めて低いので、金属膜126dがAuZn/Au膜からなる場合、金属膜126dが保護膜124から剥がれてしまうおそれがある。
【0015】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、メサ部上の樹脂領域の開口が狭い場合であっても、AuZn膜を含む金属膜をメサ部上に容易に形成することが可能な半導体光変調素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決するために、本発明による半導体光変調素子の製造方法は、光導波路を構成するメサ部の上面および両側面を第1の絶縁膜によって覆う第1の絶縁膜形成工程と、メサ部の両側面を樹脂領域によって埋め込むとともに、メサ部上の該樹脂領域の部分に第1の開口を形成して第1の絶縁膜を露出させる工程と、第1の開口において露出した第1の絶縁膜、及び樹脂領域を第2の絶縁膜によって覆う第2の絶縁膜形成工程と、メサ部上の第1及び第2の絶縁膜の部分に第2の開口を形成してメサ部の上面を露出させる工程と、Ti膜を含む第1の金属膜を、該Ti膜と第2の絶縁膜とが互いに接触するように第1の開口内を除く樹脂領域上に形成する工程と、Au膜を含む第2の金属膜を、該Au膜とメサ部とが互いに接触するようにメサ部上から第1の金属膜上に亘って形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明による別の半導体光変調素子の製造方法は、半導体光変調素子の製造方法であって、光導波路を構成するメサ部の上面および両側面を第1の絶縁膜によって覆う第1の絶縁膜形成工程と、メサ部の両側面を樹脂領域によって埋め込むとともに、メサ部上の該樹脂領域の部分に第1の開口を形成して第1の絶縁膜を露出させる工程と、第1の開口において露出した第1の絶縁膜、及び樹脂領域を第2の絶縁膜によって覆う第2の絶縁膜形成工程と、Ti膜を含む第1の金属膜を、該Ti膜と第2の絶縁膜とが互いに接触するように第1の開口内を除く樹脂領域上に形成する工程と、メサ部上の第1及び第2の絶縁膜の部分に第2の開口を形成してメサ部の上面を露出させる工程と、Au膜を含む第2の金属膜を、該Au膜とメサ部とが互いに接触するようにメサ部上から第1の金属膜上に亘って形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明による半導体光変調素子は、光導波路を構成するメサ部と、メサ部の両側面を埋め込むとともに、メサ部上に第1の開口が形成された樹脂領域と、樹脂領域を覆う絶縁膜と、メサ部上から樹脂領域上に亘って設けられた第2の金属膜と、第1の開口内を除く樹脂領域と第2の金属膜との間に設けられた第1の金属膜とを備え、第2の金属膜がAu膜を含み、該Au膜とメサ部とが互いに接触しており、第1の金属膜がTi膜を含み、該Ti膜と絶縁膜とが互いに接触していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明による半導体光変調素子及びその製造方法によれば、メサ部上の樹脂領域の開口が狭い場合であっても、AuZn膜を含む金属膜をメサ部上に容易に形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る半導体光変調素子の構造(ウェハをチップ化する直前の形態)を示す斜視図である。
【図2】図2は、半導体光変調素子の製造方法を示すフローチャートである。
【図3】図3は、製造方法の一工程における断面図であり、半導体光変調素子の光導波方向に垂直な断面を示している。
【図4】図4は、製造方法の一工程における断面図であり、半導体光変調素子の光導波方向に垂直な断面を示している。
【図5】図5は、製造方法の一工程における断面図であり、半導体光変調素子の光導波方向に垂直な断面を示している。
【図6】図6は、製造方法の一工程における断面図であり、半導体光変調素子の光導波方向に垂直な断面を示している。
【図7】図7は、一変形例に係る半導体光変調素子の製造方法を示すフローチャートである。
【図8】図8は、変形例の各工程のうち、実施形態とは異なる工程を示す断面図であり、半導体光変調素子の光導波方向に垂直な断面を示している。
【図9】図9は、一般的な構成を備える半導体光変調素子を示す斜視図である。
【図10】図10は、図9に示された半導体光変調素子の製造工程の一部を示す断面図である。
【図11】図11は、図9とは別の構成を備える半導体光変調素子を示す斜視図である。
【図12】図12は、図11に示された半導体光変調素子の製造工程の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら本発明による半導体光変調素子及びその製造方法の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体光変調素子10の構造(ウェハをチップ化する直前の形態)を示す斜視図である。図1に示されるように、この半導体光変調素子10は、半導体基板12と、バッファ層14と、コア層16と、上部クラッド層18と、コンタクト層19と、樹脂領域20と、保護膜22及び24と、アノード電極構造体26と、カソード電極28とを備える。
【0023】
半導体基板12は、第1導電型(例えばn型)のIII−V族化合物半導体からなる基板であり、一実施例ではn型InPからなる。n型半導体基板12は、半導体光変調素子10の機械的強度を保持するための支持基板として機能する。n型半導体基板12は、主面12a及び裏面12bを有する。
【0024】
バッファ層14は、半導体基板12の主面12a上に設けられている。バッファ層14は、第1導電型のIII−V族化合物半導体からなり、一実施例ではn型InPからなる。バッファ層14は、コア層16の結晶性を良好にするために設けられ、主面12a上においてエピタキシャル成長により形成される。
【0025】
コア層16は、半導体基板12の主面12a上に設けられ、本実施形態ではバッファ層14上に設けられている。コア層16は、例えば複数の井戸層および障壁層が交互に積層された多重量子井戸構造(MQW)を有するとよい。或いは、コア層16は、一つの井戸層が上下の障壁層に挟まれた量子井戸構造を有しても良く、単一の半導体材料からなる層であってもよい。コア層16は、アンドープのIII−V族化合物半導体からなり、一実施例ではAlGaInAs井戸層及びAlInAs障壁層からなる。
【0026】
上部クラッド層18は、コア層16上に設けられている。上部クラッド層18は、第2導電型(例えばp型)のIII−V族化合物半導体からなり、一実施例ではp型InPからなる。上部クラッド層18は、コア層16を導波する光をコア層16に閉じ込めるためのクラッドとして機能する。コンタクト層19は、上部クラッド層18上に設けられている。コンタクト層19は、第2導電型のIII−V族化合物半導体からなり、一実施例ではp型InGaAsPまたはp型InGaAsからなる。コンタクト層19は、アノード電極構造体26とのオーミック接触のために設けられる。
【0027】
図1に示されるように、半導体光変調素子10には、溝30a及び30bが形成されている。溝30a及び30bは、メサ部32を形成するために設けられた溝である。溝30a及び30bは、所定方向(光導波方向)に沿って延びた平面形状を有する。また、溝30a及び30bの深さは、半導体基板12に達している。換言すれば、溝30a及び30bは、コンタクト層19、上部クラッド層18、コア層16、及びバッファ層14を貫通するエッチングにより形成され、その底面は半導体基板12により構成されている。溝30a及び30bの各一方の内壁は、メサ部32の両側面32a,32bを構成している。
【0028】
メサ部32は、光導波路を構成する。すなわち、メサ部32の内部において、導波光は主にコア層16を導波し、メサ部32の両側面32a及び32bとその外側との屈折率差によって左右方向に閉じ込められ、上部クラッド層18及びバッファ層14とコア層16との屈折率差によって上下方向に閉じ込められる。
【0029】
樹脂領域20は、メサ部32の両側面32a及び32bを埋め込み、後述するアノード電極構造体26のボンディングパッド26dを設置するために設けられる領域である。このように樹脂領域20によってメサ部32の両側面32a及び32bを埋め込むことによって、側面32a又は32bへの電極(配線)の形成を回避し、光導波路を伝播する光の散乱や吸収を抑えることができる。本実施形態では、樹脂領域20は溝30a及び30bを埋め込んでいる。更に、樹脂領域20は、ボンディングパッド26dによる浮遊容量を低減するために、溝30a及び30bの深さよりも厚く形成されており、溝30a及び30bより外側の領域に亘って設けられた部分20bを有する。なお、メサ部32の上面を基準とする樹脂領域20の表面20aの高さ(すなわち樹脂領域20の部分20bの厚さ)h1は、2μm以上であることが好ましく、その上限は例えば3μmである。一実施例では、樹脂領域20は、BCB樹脂、ポリイミド、或いは旭硝子株式会社製のALポリマーといった感光性の樹脂からなる。
【0030】
また、樹脂領域20は、開口20c及び20dを有する。開口20cは、本実施形態における第1の開口であり、樹脂領域20のメサ部32上の部分に形成されている。開口20cの内側には、アノード電極構造体26が配置される。開口20dは、n型半導体基板12上において半導体光変調素子10となるべき領域と、これに隣接する領域との境(スクライブライン上)に形成されている。この開口20dの底面にはコンタクト層19が露出しており、半導体光変調素子10が作製される際に、開口20dに沿ってn型半導体基板12が切断されることにより半導体光変調素子10のチップ化が行われる。
【0031】
保護膜22は、例えばSiO2、SiON、或いはSiNといった絶縁性材料からなる第1の絶縁膜である。保護膜22は、メサ部32などの半導体領域を外部から絶縁して保護するために設けられる。本実施形態において、保護膜22は、メサ部32の両側面32a及び32b上、溝30a及び30bの内壁上及び底面上、並びに溝30a及び30bより外側に位置する領域におけるコンタクト層19上において、これらと樹脂領域20との間に設けられている。
【0032】
保護膜24は、例えばSiO2、SiON、或いはSiNといった絶縁性材料からなる第2の絶縁膜である。保護膜24は、樹脂領域20を覆うように樹脂領域20の表面20a上および開口20cの内側面上に設けられている。保護膜24は、樹脂領域20を保護し、樹脂領域20の表面からの吸湿を防ぐ。
【0033】
保護膜22及び24は、開口(第2の開口)をそれぞれ有する。該開口は、いわゆるコンタクトホールである。すなわち、開口は、メサ部32の上面を露出させてメサ部32のコンタクト層19とアノード電極構造体26との接触を可能とするために、保護膜22及び24のうちメサ部32上の部分に形成されている。
【0034】
アノード電極構造体26は、メサ部32上から樹脂領域20の表面20a上に亘って設けられている。本実施形態のアノード電極構造体26は、金属膜26a〜26c及びボンディングパッド26dを有する。
【0035】
金属膜26aは、本実施形態における第1の金属膜であり、Ti膜を含む。例えば、金属膜26aは、Ti膜、Ti/Pt膜、Ti/Au膜、或いはTi/Pt/Au膜からなる。金属膜26aは、開口20c内を除く樹脂領域20の表面20a上に設けられている。より詳細には、金属膜26aは、樹脂領域20の表面20aのうち、開口20cの近傍に位置する一部の領域上に設けられている。そして、金属膜26aのTi膜と保護膜24とが互いに接触することによって、金属膜26aと保護膜24との接合強度(密着性)が高められている。
【0036】
金属膜26bは、本実施形態における第2の金属膜であり、AuZn膜を含む。例えば、金属膜26bは、AuZn/Au膜からなる。金属膜26bは、樹脂領域20の開口20cの内部におけるメサ部32上から、樹脂領域20の開口20cの外部における金属膜26a上に亘って設けられている。メサ部32上において、金属膜26bのAuZn膜とメサ部32のコンタクト層19とが互いに接触することにより、アノード電極構造体26とコンタクト層19とがオーミック接触を成す。
【0037】
金属膜26cは、いわゆるバリア金属膜であり、Ti膜を含む。例えば、金属膜26cは、Ti/Pt/Au膜またはTiW/Au膜からなる。金属膜26cは、樹脂領域20の表面20aのうち金属膜26aより外側の表面において樹脂領域20と接している。そして、金属膜26cのTi膜と保護膜24とが互いに接触することによって、金属膜26cと保護膜24との接合強度(密着性)が高められている。
【0038】
ボンディングパッド26dは、アノード電極構造体26と外部回路とを電気的に接続するボンディングワイヤが接合される部分である。ボンディングパッド26dは、金属膜26c上に設けられている。ボンディングパッド26dは、例えばAuメッキによって形成される。
【0039】
カソード電極28は、n型半導体基板12の裏面12b上に設けられている。カソード電極28は、例えばAuGe/Au膜またはAuGe/Ti/Pt/Au膜からなる。カソード電極28は、AuGeが裏面12bに接触することによって、n型半導体基板12とオーミック接触を成す。なお、裏面12bのうち樹脂領域20の開口20dの直下に位置する領域では、n型半導体基板12を切断するためカソード電極28は除去されている。
【0040】
以上の構成を備える半導体光変調素子10の製造方法について、以下に説明する。図2は、半導体光変調素子10の製造方法を示すフローチャートである。また、図3〜図6は、製造方法の各工程における断面図であり、半導体光変調素子10の光導波方向に垂直な断面を示している。
【0041】
まず、図3(a)に示されるように、主面12a及び裏面12bを有するn型半導体基板12(例えばn型InP基板)を準備する。そして、このn型半導体基板12の主面12a上に、バッファ層14、コア層16、上部クラッド層18、及びコンタクト層19を成長させる(半導体層成長工程、S11)。次に、図3(b)に示されるように、コンタクト層19上にエッチングマスク50を形成する。エッチングマスク50は、例えばSiO2といった絶縁膜によって好適に構成され、図1に示された溝30a及び30bに対応する開口50aを有する。このようなエッチングマスク50は、絶縁膜を成膜したのち一般的なフォトリソグラフィ技術によってこの絶縁膜をエッチングすることにより好適に形成される。
【0042】
続いて、図3(c)に示されるように、エッチングマスク50を介したエッチングによって、コンタクト層19、上部クラッド層18、コア層16、及びバッファ層14を貫通する溝30a及び30bを形成する。これにより、側面32a及び32bを有し光導波路を構成するメサ部32が形成される(メサ部形成工程、S12)。なお、この工程では、ドライエッチングを行うことが好ましい。ドライエッチングによって、垂直性が高く且つ平滑な側面32a、32bを形成し、光の伝搬特性を良好にすることができる。特に、本実施形態のように各層がInP系の半導体からなる場合には、誘導結合プラズマエッチングを行うことが好ましい。この工程において、メサ部32における光導波方向と直交する方向の幅は例えば1μm以上2μm以下であり、メサ部32の高さ(すなわち溝30a及び30bの深さ)は例えば3μm以上4μm以下である。
【0043】
続いて、図3(d)に示されるように、絶縁性の保護膜22(第1の絶縁膜)を形成する(第1の絶縁膜形成工程、S13)。上述したように、保護膜22は例えばSiO2、SiON、或いはSiNといった絶縁性材料からなり、メサ部32の上面、側面32a及び32b、溝30a及び30bの内壁及び底面、並びに他の領域におけるコンタクト層19を覆うように形成される。
【0044】
続いて、樹脂領域20を形成する(樹脂領域形成工程、S14)。まず、図4(a)に示されるように、樹脂領域20のための樹脂をn型半導体基板12の主面12a上に塗布する。これにより、メサ部32の両側面32a、32bが樹脂領域20によって埋め込まれるとともに、溝30a及び30bより外側の領域に亘って部分20bが形成される。また、樹脂領域20の平坦な表面20aが形成される。次に、図4(b)に示されるように、この樹脂領域20のうちメサ部32上の部分に開口20c(第1の開口)を形成し、保護膜22を露出させる(樹脂領域形成工程、S15)。開口20cは、樹脂領域20に対して例えばCF4やO2ガスを用いたドライエッチングを行うことにより、好適に形成される。また、このとき、開口20dを同時に形成するとよい。なお、光導波方向と直交する方向における開口20cの幅は、該方向におけるメサ部32の幅より若干広く形成される。また、スクライブ方向と直交する方向における開口20dの幅は、例えば100μmである。
【0045】
続いて、図4(c)に示されるように、絶縁性の保護膜24(第2の絶縁膜)を形成する(第2の絶縁膜形成工程、S16)。上述したように、保護膜24は例えばSiO2、SiON、或いはSiNといった絶縁性材料からなり、開口20cにおいて露出した保護膜22、及び樹脂領域20を覆うように形成される。
【0046】
続いて、保護膜22及び24にエッチングを施し、図4(d)に示されるように、メサ部32上の保護膜22及び24の各部分に開口22a及び24a(第2の開口)をそれぞれ形成することにより、メサ部32の上面を露出させる(コンタクトホール形成工程、S17)。このとき、光導波方向と直交する方向における開口22a及び24aの幅を、メサ部32の当該幅より狭くすることが好ましい。
【0047】
続いて、図5(a)に示されるように、開口20c内を除く樹脂領域20の表面20a上に金属膜26aを形成する(第1の金属膜形成工程、S18)。具体的には、樹脂領域20の表面20aのうち、開口20cの近傍に位置する一部の領域上にTi膜を成膜し、必要に応じて、その上にPt膜を成膜する。更に、その上にAu膜を成膜してもよい。これらの膜の形成は、例えば蒸着やスパッタリングにより形成された膜の不要部分をリフトオフによって除去することにより好適に行われる。なお、この工程により形成される金属膜26aのTi膜は、保護膜22と接触する。
【0048】
そして、図5(b)に示されるように、メサ部32上から金属膜26a上にわたり、金属膜26bを形成する(第2の金属膜形成工程、S19)。具体的には、樹脂領域20の開口20cの内部におけるメサ部32上から、開口20cの内側面、及び開口20cの外部における金属膜26a上に亘ってAu膜を成膜し、その上にZn膜を成膜することにより、AuZn膜を形成する。更に、その上にAu膜を成膜する。これらの膜の形成は、例えば蒸着やスパッタリングにより形成された膜の不要部分をリフトオフによって除去することにより好適に行われる。なお、この工程により形成される金属膜26bのAuZn膜は、コンタクト層19とオーミック接触を成す。
【0049】
更に、図5(c)に示されるように、n型半導体基板12の主面12aの全面にわたり、金属膜26cを形成する(バリア金属膜形成工程、S20)。具体的には、Ti膜を成膜し、その上にPt膜を成膜し、その上にAu膜を成膜する。或いは、TiW膜を形成し、更にその上にAu膜を成膜してもよい。これらの金属膜の形成は、例えば蒸着やスパッタリングにより好適に行われる。
【0050】
続いて、図6(a)に示されるように、メサ部32上を含むn型半導体基板12の所定の領域上に、ボンディングパッド26dを形成する(ボンディングパッド形成工程、S21)。この工程では、ボンディングパッド26dを、例えばAuメッキによって金属膜26c上に形成する。
【0051】
続いて、図6(b)に示されるように、金属膜26cのうちボンディングパッド26dから露出した部分を除去する。更に、図6(c)に示されるように、保護膜22及び24のうちスクライブライン上の部分(具体的には、開口20dによって露出したコンタクト層19上に形成された部分)を除去する。
【0052】
続いて、n型半導体基板12の裏面12b上にカソード電極28を形成する(カソード電極形成工程、S22)。具体的には、AuGe膜を成膜し、その上にAu膜を成膜する。或いは、AuGe膜を成膜し、その上にTi膜、Pt膜、及びAu膜を順に成膜してもよい。これらの金属膜の形成は、例えば蒸着やスパッタリングにより好適に行われる。なお、この工程により形成されるカソード電極28のAuGe膜は、n型半導体基板12とオーミック接触を成す。その後、カソード電極28のうち樹脂領域20の開口20dの直下に形成された部分を除去する。
【0053】
以上の工程を経て、図1に示された構造体が完成する。そして、n型半導体基板12をスクライブライン(開口20d)に沿って切断することにより、半導体光変調素子10が完成する。
【0054】
以上説明したように、本実施形態の半導体光変調素子10及びその製造方法においては、樹脂領域20の開口20c付近の保護膜24上に、金属膜26aを配置する。この金属膜26aはTi膜を含み、このTi膜と保護膜24とが互いに接触する。Ti膜はAuZn膜との密着性が良いだけでなく、SiO2といった絶縁膜に対しても良好な密着性を有する。したがって、保護膜24上に金属膜26aを形成し、AuZn膜を含む金属膜26bをその上に形成することによって、金属膜26bと保護膜24との接合強度を高め、保護膜24から金属膜26bが剥がれることを抑制できる。
【0055】
また、このような効果によって、AuZn膜(金属膜26b)をメサ部32上だけでなくその周囲の保護膜24上に亘って形成することが可能となるので、リフトオフ法によって金属膜26bを形成する際(図5(b)を参照)に、レジストの開口幅を広くすることができる。したがって、レジストを形成する際のフォトリソグラフィーの要求精度を低くできるので、メサ部32上の樹脂領域20の開口20cが狭い場合であっても、AuZn膜を含む金属膜26bをメサ部32上に容易に形成することが可能となる。そして、半導体光変調素子の高周波特性を向上させることができ、また、半導体光変調素子の製造に使用されるウエハの大径化による量産性の向上に著しく寄与できる。
【0056】
また、本実施形態の金属膜26aは、樹脂領域20の開口20cを除く領域上(すなわち、メサ部32の直上を除く領域上)に形成されているので、AuZn膜を含む金属膜26bが、メサ部32のコンタクト層19と好適に接触することができる。したがって、アノード電極構造体26とコンタクト層19とをオーミック接触させることができる。
【0057】
なお、上述した第1の金属膜形成工程S18及び第2の金属膜形成工程S19は、成膜装置内において連続して行われることが好ましい。すなわち、蒸着やスパッタリングによって金属膜26a及び26bを形成する際に、最初に成膜された金属膜26aを大気に晒すことなく金属膜26bの成膜を開始するとよい。これにより、Ti膜とAuZn膜との界面の密着力が増し、金属膜26bの剥離を更に効果的に抑制できる。
【0058】
或いは、第1の金属膜形成工程S18ののち、金属膜26aを大気に晒す場合であっても、第2の金属膜形成工程S19によって金属膜26bをその上に形成する前に、金属膜26aの表面に対して特別な前処理を行うこととしてもよい。このような前処理の一例としては、金属膜26aが形成されて一度大気に晒されたウエハを金属膜26bの形成のために反応室内に収容したのち、その表面に対してスパッタリングを施し、金属膜26aの表層部を除去するような処理が挙げられる。
【0059】
(変形例)
上記実施形態に係る製造方法の一変形例について説明する。図7は、半導体光変調素子10の製造方法を示すフローチャートである。また、図8は、本変形例の各工程のうち、上記実施形態とは異なる工程を示す断面図であり、半導体光変調素子10の光導波方向に垂直な断面を示している。
【0060】
本変形例と上記実施形態との相違点は、コンタクトホール形成工程と第1の金属膜形成工程との順序が入れ替わっている点である。すなわち、本変形例では、上記実施形態と同様に、n型半導体基板12上にバッファ層14、コア層16、上部クラッド層18、及びコンタクト層19を成長させたのち(半導体層成長工程、S11)、エッチングによってメサ部32を形成する(メサ部形成工程、S12)。そして、メサ部32の上面、側面32a及び32b等を覆うように保護膜22を形成し(第1の絶縁膜形成工程、S13)、開口20cを有する樹脂領域20をその上に形成する(樹脂領域形成工程、S14,S15)。その後、開口20cにおいて露出した保護膜22、及び樹脂領域20を覆うように保護膜24を形成する(第2の絶縁膜形成工程、S16)。
【0061】
ここで、本変形例では、保護膜22及び24の開口22a及び24a(第2の開口)を形成する前に、図8(a)に示されるように金属膜26aを形成する(第1の金属膜形成工程、S18)。なお、金属膜26aを形成する位置や金属膜26aの構成材料は、上述した実施形態と同様である。
【0062】
その後、保護膜22及び24にエッチングを施し、図8(b)に示されるように、メサ部32上の保護膜22及び24の各部分に開口22a及び24aをそれぞれ形成することにより、メサ部32の上面を露出させる(コンタクトホール形成工程、S17)。
【0063】
以降、上記実施形態と同様にして、金属膜26b及び26c、並びにボンディングパッド26dを形成する(第2の金属膜形成工程S19、バリア金属膜形成工程S20、及びボンディングパッド形成工程S21)。そして、n型半導体基板12の裏面12b上にカソード電極28を形成する(カソード電極形成工程、S22)。最後に、n型半導体基板12をスクライブライン(開口20d)に沿って切断することにより、半導体光変調素子10が完成する。
【0064】
本変形例に係る半導体光変調素子の製造方法によれば、樹脂領域20の開口20c付近の保護膜24上に金属膜26aを配置するので、上述した実施形態と同様に、金属膜26bと保護膜24との接合強度を高め、保護膜24から金属膜26bが剥がれることを抑制できる。そして、メサ部32上の樹脂領域20の開口20cが狭い場合であっても、AuZn膜を含む金属膜26bをメサ部32上に容易に形成することが可能となる。
【0065】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において様々な変形が可能である。例えば、上述した実施形態及び変形例では、保護膜24の構成材料としてSiO2やSiNを例示したが、保護膜24の構成材料はこれらに限定されるものではない。例えば、シリコン、アルミニウム、又はチタンなどのフッ化物、酸化物、或いは窒化物によって保護膜24が構成されてもよい。
【符号の説明】
【0066】
10…半導体光変調素子、12…半導体基板、14…バッファ層、16…コア層、18…上部クラッド層、19…コンタクト層、20…樹脂領域、20a…表面、20c,20d…開口、22,24…絶縁膜、24…保護膜、26…アノード電極構造体、26a〜26c…金属膜、26d…ボンディングパッド、28…カソード電極、30a,30b…溝、32…メサ部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光導波路を構成するメサ部の上面および両側面を第1の絶縁膜によって覆う第1の絶縁膜形成工程と、
前記メサ部の両側面を樹脂領域によって埋め込むとともに、前記メサ部上の該樹脂領域の部分に第1の開口を形成して前記第1の絶縁膜を露出させる工程と、
前記第1の開口において露出した前記第1の絶縁膜、及び前記樹脂領域を第2の絶縁膜によって覆う第2の絶縁膜形成工程と、
前記メサ部上の前記第1及び第2の絶縁膜の部分に第2の開口を形成して前記メサ部の上面を露出させる工程と、
Ti膜を含む第1の金属膜を、該Ti膜と前記第2の絶縁膜とが互いに接触するように前記第1の開口内を除く前記樹脂領域上に形成する工程と、
AuZn膜を含む第2の金属膜を、該AuZn膜と前記メサ部とが互いに接触するように前記メサ部上から前記第1の金属膜上に亘って形成する工程と、
を含むことを特徴とする、半導体光変調素子の製造方法。
【請求項2】
光導波路を構成するメサ部の上面および両側面を第1の絶縁膜によって覆う第1の絶縁膜形成工程と、
前記メサ部の両側面を樹脂領域によって埋め込むとともに、前記メサ部上の該樹脂領域の部分に第1の開口を形成して前記第1の絶縁膜を露出させる工程と、
前記第1の開口において露出した前記第1の絶縁膜、及び前記樹脂領域を第2の絶縁膜によって覆う第2の絶縁膜形成工程と、
Ti膜を含む第1の金属膜を、該Ti膜と前記第2の絶縁膜とが互いに接触するように前記第1の開口内を除く前記樹脂領域上に形成する工程と、
前記メサ部上の前記第1及び第2の絶縁膜の部分に第2の開口を形成して前記メサ部の上面を露出させる工程と、
AuZn膜を含む第2の金属膜を、該AuZn膜と前記メサ部とが互いに接触するように前記メサ部上から前記第1の金属膜上に亘って形成する工程と、
を含むことを特徴とする、半導体光変調素子の製造方法。
【請求項3】
光導波路を構成するメサ部と、
前記メサ部の両側面を埋め込むとともに、前記メサ部上に第1の開口が形成された樹脂領域と、
前記樹脂領域を覆う絶縁膜と、
前記メサ部上から前記樹脂領域上に亘って設けられた第2の金属膜と、
前記第1の開口内を除く前記樹脂領域と前記第2の金属膜との間に設けられた第1の金属膜と
を備え、
前記第2の金属膜がAuZn膜を含み、該AuZn膜と前記メサ部とが互いに接触しており、
前記第1の金属膜がTi膜を含み、該Ti膜と前記絶縁膜とが互いに接触している
ことを特徴とする、半導体光変調素子。
【請求項1】
光導波路を構成するメサ部の上面および両側面を第1の絶縁膜によって覆う第1の絶縁膜形成工程と、
前記メサ部の両側面を樹脂領域によって埋め込むとともに、前記メサ部上の該樹脂領域の部分に第1の開口を形成して前記第1の絶縁膜を露出させる工程と、
前記第1の開口において露出した前記第1の絶縁膜、及び前記樹脂領域を第2の絶縁膜によって覆う第2の絶縁膜形成工程と、
前記メサ部上の前記第1及び第2の絶縁膜の部分に第2の開口を形成して前記メサ部の上面を露出させる工程と、
Ti膜を含む第1の金属膜を、該Ti膜と前記第2の絶縁膜とが互いに接触するように前記第1の開口内を除く前記樹脂領域上に形成する工程と、
AuZn膜を含む第2の金属膜を、該AuZn膜と前記メサ部とが互いに接触するように前記メサ部上から前記第1の金属膜上に亘って形成する工程と、
を含むことを特徴とする、半導体光変調素子の製造方法。
【請求項2】
光導波路を構成するメサ部の上面および両側面を第1の絶縁膜によって覆う第1の絶縁膜形成工程と、
前記メサ部の両側面を樹脂領域によって埋め込むとともに、前記メサ部上の該樹脂領域の部分に第1の開口を形成して前記第1の絶縁膜を露出させる工程と、
前記第1の開口において露出した前記第1の絶縁膜、及び前記樹脂領域を第2の絶縁膜によって覆う第2の絶縁膜形成工程と、
Ti膜を含む第1の金属膜を、該Ti膜と前記第2の絶縁膜とが互いに接触するように前記第1の開口内を除く前記樹脂領域上に形成する工程と、
前記メサ部上の前記第1及び第2の絶縁膜の部分に第2の開口を形成して前記メサ部の上面を露出させる工程と、
AuZn膜を含む第2の金属膜を、該AuZn膜と前記メサ部とが互いに接触するように前記メサ部上から前記第1の金属膜上に亘って形成する工程と、
を含むことを特徴とする、半導体光変調素子の製造方法。
【請求項3】
光導波路を構成するメサ部と、
前記メサ部の両側面を埋め込むとともに、前記メサ部上に第1の開口が形成された樹脂領域と、
前記樹脂領域を覆う絶縁膜と、
前記メサ部上から前記樹脂領域上に亘って設けられた第2の金属膜と、
前記第1の開口内を除く前記樹脂領域と前記第2の金属膜との間に設けられた第1の金属膜と
を備え、
前記第2の金属膜がAuZn膜を含み、該AuZn膜と前記メサ部とが互いに接触しており、
前記第1の金属膜がTi膜を含み、該Ti膜と前記絶縁膜とが互いに接触している
ことを特徴とする、半導体光変調素子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−123184(P2012−123184A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273700(P2010−273700)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]