半導体加速度センサ
【課題】半導体加速度センサに製造上の加工バラツキが生じたとしても他軸感度を抑制して加速度の検出精度を向上させる手段を提供する。
【解決手段】外枠部と、外枠部の中心部に配置された重錘部と、外枠部と重錘部とを接続する少なくとも一対の可撓部を有し、一対の可撓部は一の可撓部の外枠部と重錘部との延在方向に他の可撓部が配置される半導体加速度センサであって、Y軸可撓部のY軸上に一直線状に、Y軸可撓部の一方の外枠部側から重錘部側に向かって第1のY軸抵抗素子、第1のZ軸抵抗素子、第2のZ軸抵抗素子、第2のY軸抵抗素子の順にこれらを並べて配置し、Y軸可撓部の他方の重錘部側から外枠部側に向かって第3のY軸抵抗素子、第3のZ軸抵抗素子、第4のZ軸抵抗素子、第4のY軸抵抗素子の順にこれらを並べて配置する。
【解決手段】外枠部と、外枠部の中心部に配置された重錘部と、外枠部と重錘部とを接続する少なくとも一対の可撓部を有し、一対の可撓部は一の可撓部の外枠部と重錘部との延在方向に他の可撓部が配置される半導体加速度センサであって、Y軸可撓部のY軸上に一直線状に、Y軸可撓部の一方の外枠部側から重錘部側に向かって第1のY軸抵抗素子、第1のZ軸抵抗素子、第2のZ軸抵抗素子、第2のY軸抵抗素子の順にこれらを並べて配置し、Y軸可撓部の他方の重錘部側から外枠部側に向かって第3のY軸抵抗素子、第3のZ軸抵抗素子、第4のZ軸抵抗素子、第4のY軸抵抗素子の順にこれらを並べて配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や航空機等の輸送機器や携帯端末等に搭載され、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸からなる3軸の加速度を検出する半導体加速度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の3軸の加速度を検出する半導体加速度センサは、シリコンからなる外枠部の中心部に厚肉の重錘部を配置し、該重錘部の中心である錘中心で、互いに直交するX軸およびY軸を幅方向の中心線として外枠部と重錘部とを接続する一対のX軸可撓部および一対のY軸可撓部を設け、Y軸方向の加速度成分を検出するために、Y軸可撓部の一方の中心線上の外枠部側に第1のY軸抵抗素子を、重錘部側に第2のY軸抵抗素子を、他方の中心線上の重錘部側に第3のY軸抵抗素子を、外枠部側に第4のY軸抵抗素子を1列に並べて配置すると共に、X軸およびZ軸方向の加速度成分を検出するために、X軸可撓部の一方の外枠部側に第1のX軸抵抗素子および第1のZ軸抵抗素子を、重錘部側に第2のX軸抵抗素子および第2のZ軸抵抗素子を、他方の重錘部側に第3のX軸抵抗素子および第3のZ軸抵抗素子を、外枠部側に第4のX軸抵抗素子および第4のZ軸抵抗素子を配置し、これら第1ないし第4のX軸抵抗素子と、第1ないし第4のZ軸抵抗素子とをそれぞれ中心線の両側に1列に並べ、各X軸抵抗素子、各Y軸抵抗素子、各Z軸抵抗素子によりそれぞれブリッジ回路を構成してX軸、Y軸、Z軸方向の加速度成分を検出している(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−279592号公報(第2頁段落0002−0004、第4頁段落0022−0024、第1図、第7図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、X軸可撓部に、第1ないし第4のX軸抵抗素子と、第1ないし第4のZ軸抵抗素子とをそれぞれ中心線の両側に1列に並べて配置しているため、Y軸方向だけに加速度が印加された場合に、各Y軸抵抗素子により構成されたホイーストンブリッジ回路(以下、単にブリッジ回路という。)からの出力されるY軸方向成分の他に、そのY軸方向の加速度により捻られるX軸可撓部に配置された各Z軸抵抗素子により構成されたブリッジ回路からもZ軸方向成が出力される、いわゆる他軸感度(Y軸方向成分に対するZ方向成分の比をいう。)が発生し、本来検出されるはずのない他軸感度によるZ軸方向成分の影響を受けてベクトル方向の誤差等が生じ、加速度の検出精度が低下するという問題がある。
【0005】
以下に、上記の他軸感度による問題点について説明する。
【0006】
図12は従来の半導体加速度センサの上面を示す説明図、図13は図12のA−A断面を示す説明図、図14は従来の可撓部の上面を示す説明図である。
【0007】
図12、図13において、1は半導体加速度センサであり、後述する半導体ウェハ11を個片に分割して形成される。
【0008】
2は半導体加速度センサ1の外枠部であり、シリコン(Si)により形成された平面視が正方形の枠状部材である。
【0009】
3は重錘部であり、外枠部2の中心部に配置されたシリコンからなる厚肉の正方形部材であって、その厚さは図13に示すように外枠部2の厚さより僅かに薄く形成され、その各辺は図12に示すように外枠部2の内側の各辺とそれぞれ平行に配置されている。
【0010】
また、半導体加速度センサ1の上面1aには、重錘部3の上面1aの幾何学的な中心である錘中心Woを通り重錘部3の一辺およびその対辺に直交するX軸5、および錘中心WoでX軸5に直交するY軸6が設定されている。
【0011】
7a、7bは一対のX軸可撓部であり、X軸5を図14に示す幅方向の中心線として、外枠部2と重錘部3との間を接続するシリコンからなる厚さの薄い可撓性を有する梁部材であって、重錘部3をその可撓性により揺動自在に支持する機能を有している。
【0012】
7c、7dは一対のY軸可撓部であり、Y軸6を幅方向の中心線として、X軸可撓部7a、7bと同様に形成された梁部材であって、X軸可撓部7a、7bと同様の機能を有している。
【0013】
9は抵抗素子であり、シリコンで形成された可撓部7のそれぞれの表層に不純物を注入拡散させて形成されたピエゾ抵抗素子であって、重錘部3が揺動したときに比較的大きな応力が発生する箇所である外枠部2および重錘部3との付け根の近傍に形成されており、4つの抵抗素子9を組合せて構成されるブリッジ回路により可撓部7の変位を電位差に変換して加速度成分として検出する機能を有している。
【0014】
以下の説明において、各軸の抵抗素子9を区別するときは、X軸方向の加速度成分を検出するためのブリッジ回路を構成する4つの抵抗素子9を、第1のX軸抵抗素子Rx1、第2のX軸抵抗素子Rx2、第3のX軸抵抗素子Rx3、第4のX軸抵抗素子Rx4という。
【0015】
また、Y軸方向の加速度成分を検出するためのブリッジ回路を構成する4つの抵抗素子9を、第1のY軸抵抗素子Ry1、第2のY軸抵抗素子Ry2、第3のY軸抵抗素子Ry3、第4のY軸抵抗素子Ry4という。
【0016】
更に、X軸5およびY軸6にそれぞれ直交する方向、つまりX軸5およびY軸6により形成される面(上面1aと同義)の鉛直方向であるZ軸方向の加速度成分を検出するめのブリッジ回路を構成する4つの抵抗素子9を、第1のZ軸抵抗素子Rz1、第2のZ軸抵抗素子Rz2、第3のZ軸抵抗素子Rz3、第4のZ軸抵抗素子Rz4という。
【0017】
なお、Z軸抵抗素子Rzを図示する場合には区別のために網掛けを付して示す。
【0018】
これら第1ないし第4のX軸抵抗素子Rx、第1ないし第4のY軸抵抗素子Ry、第1ないし第4のZ軸抵抗素子Rzは図12に示すように配置される。
【0019】
すなわち、X軸可撓部7a、7bの一方のX軸可撓部7aには、その外枠部2側に第1のX軸抵抗素子Rx1が、重錘部3側に第2のX軸抵抗素子Rx2が、他方のX軸可撓部7bには、その重錘部3側に第3のX軸抵抗素子Rx3が、外枠部2側に第4のX軸抵抗素子Rx4が配置され、各X軸抵抗素子Rxは幅方向の中心線であるX軸5上に1列に並べて配置されている。
【0020】
また、Y軸可撓部7c、7dの一方のY軸可撓部7cには、図14に示すように、その外枠部2側に第1のY軸抵抗素子Ry1と第1のZ軸抵抗素子Rz1が、重錘部3側に第2のY軸抵抗素子Ry2と第2のZ軸抵抗素子Rz2が、他方のY軸可撓部7dには、その重錘部3側に第3のY軸抵抗素子Ry3と第3のZ軸抵抗素子Rz3が、外枠部2側に第4のY軸抵抗素子Ry4と第4のZ軸抵抗素子Rz4が、幅方向の中心線であるY軸6を挟んで中心線からZ軸抵抗素子Rz、Y軸抵抗素子Ryのぞれぞれの中心までの幅方向の距離B(隔置距離Bという。)離して対向配置されている。
【0021】
各可撓部7に配置されている抵抗素子9は、図14に示すように、両側の抵抗素子9の片端から、可撓部7の付け根まで、つまり可撓部7と外枠部2との境界まで、または可撓部7と重錘部3との境界までの長さ方向の距離C(付け根距離Cという。付け根距離Cは0〜20μm程度)離して形成されている。
【0022】
このように配置された半導体加速度センサ1にZ軸方向の加速度が印加された場合は、図15に示すように、重錘部3はZ軸方向に平行移動し、外枠部2側に配置された第1のZ軸抵抗素子Rz1および第4のZ軸抵抗素子Rz4には引張応力が、重錘部3側に配置された第2のZ軸抵抗素子Rz2および第3のZ軸抵抗素子Rz3には圧縮応力が作用し、ぞれぞれの応力状態に応じて各Z軸抵抗素子Rzの抵抗値が変化する。
【0023】
このとき、図16(a)に示すように、第1のZ軸抵抗素子Rz1と第2のZ軸抵抗素子Rz2との間に電源電圧(Vdd)が接続され、第3のZ軸抵抗素子Rz3と第4のZ軸抵抗素子Rz4との間にアース(Vss)が接続されたブリッジ回路の、第1のZ軸抵抗素子Rz1と第3のZ軸抵抗素子Rz3との間の電圧V1と、第2のZ軸抵抗素子Rz2と第4のZ軸抵抗素子Rz4との間の電圧V2とが応力により変化した抵抗値に応じて変化し、その電圧差がZ軸方向の加速度成分として検出される。逆方向の加速度が印加された場合は、上記の応力状態が逆になり、逆向きの加速度成分が検出される。
【0024】
X軸方向の加速度が印加された場合は、図17に示すように、重錘部3はX軸方向の加速度により回動し、外枠部2側に配置された第1のX軸抵抗素子Rx1および重錘部3側に第3のX軸抵抗素子Rx3には引張応力が、重錘部3側に配置された第2のX軸抵抗素子Rx2および外枠部2側に配置された第4のX軸抵抗素子Rx4には圧縮応力が作用し、ぞれぞれの応力状態に応じて各X軸抵抗素子Rxの抵抗値が変化する。
【0025】
このとき、図16(b)に示すように、第1のX軸抵抗素子Rx1と第2のX軸抵抗素子Rx2との間に電源電圧(Vdd)が接続され、第4のX軸抵抗素子Rx4と第3のX軸抵抗素子Rx3との間にアース(Vss)が接続されたブリッジ回路の、第1のX軸抵抗素子Rx1と第4のX軸抵抗素子Rx4との間の電圧V1と、第2のX軸抵抗素子Rx2と第3のX軸抵抗素子Rx3との間のV2とが応力により変化した抵抗値に応じて変化し、その電圧差がX軸方向の加速度成分として検出される。逆方向の加速度が印加された場合は、上記の応力状態が逆になり、逆向きの加速度成分が検出される。
【0026】
Y軸方向の加速度が印加されたときも、X軸方向の場合と同様である。
【0027】
このX軸方向に加速度が印加された場合には、重錘部3の回動に伴ってY軸可撓部7c、7dが捻られ、そのY軸可撓部7c、7dに中心線から隔置距離B離して配置されている各Z軸抵抗素子Rzには捻り応力が作用し、ブリッジ回路の回路構成の相違、つまり第3および第4のZ軸抵抗素子Rz3、Rz4と、第3および第4のY軸抵抗素子Ry3、Ry4の配置の相違に基づいて他軸感度が発生する。
【0028】
このときの他軸感度の発生の様子を知るために、発明者は、図12に示す半導体加速度センサ1をモデル化して有限要素法を用いたシミュレーション計算を行った。図18にそのシミュレーション結果に示す。
【0029】
図18は、X軸方向に1Gの加速度を印加した場合のZ軸方向成分のシミュレーション計算結果である。
【0030】
図18において、横軸は図14に示す隔置距離B、縦軸はZ軸方向成分とX軸方向成分との比(Z/X)をパーセントで示したものである。
【0031】
計算に用いた半導体加速度センサ1のモデルの主要諸元は、隔置距離Bは2、6、12μmの3水準、可撓部7の長さ370μm、幅86μm、厚さ6.5μm、重錘部3の厚さ340μm、重さ2.4mg、抵抗素子9の長さ45μm、幅3μm、付け根距離C=10μmである。
【0032】
図18(a)に示すように、隔置距離Bが大きくなるほど他軸感度が高くなり、例えば抵抗素子9間の間隔を4μm(隔置距離B=2μm)、つまりY軸抵抗素子RyとZ軸抵抗素子Rzとの対向する辺の間の間隔を1μmにしたとしても、0.5%程度の他軸感度が発生することが判る。
【0033】
図18(b)は、上記と同じ半導体加速度センサ1の重錘部3の形成工程において、重錘部3の形成位置がレジストマスクの位置ずれによってX軸方向(図12において上方)に15μmずれたと仮定した場合のシミュレーション結果である。
【0034】
この場合も、隔置距離Bが大きくなるほど他軸感度が高くなり、隔置距離Bを2μmにしたとしても、3%より大きい他軸感度が発生することが判る。
【0035】
このことは、Z軸抵抗素子Rzを、X軸抵抗素子RxとともにX軸可撓部7a、7bに形成した場合も同様である。
【0036】
つまり、従来の半導体加速度センサのように、X軸可撓部に、第1ないし第4のX軸抵抗素子と、第1ないし第4のZ軸抵抗素子とをそれぞれ中心線の両側に1列に並べて配置すると、製造上の加工バラツキにより隔置距離Bや重錘部の形成位置にずれが生じた場合には、高い他軸感度が発生しやすくなり、X軸方向成分と同時に本来出力されない他軸感度によるZ軸方向成分が出力され、加速度の検出精度が低下するという問題がある。
【0037】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、半導体加速度センサに製造上の加工バラツキが生じたとしても他軸感度を抑制して加速度の検出精度を向上させる手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0038】
本発明は、上記課題を解決するために、外枠部と、該外枠部の中心部に配置された重錘部と、該重錘部の中心である錘中心で、互いに直交するX軸およびY軸と、X軸方向の加速度成分を検出する第1ないし第4のX軸抵抗素子と、Y軸方向の加速度成分を検出する第1ないし第4のY軸抵抗素子と、前記X軸およびY軸にそれぞれ直交するZ軸方向の加速度成分を検出する第1ないし第4のZ軸抵抗素子と、前記X軸およびY軸を幅方向の中心線として、前記外枠部と重錘部とを接続する一対のX軸可撓部および一対のY軸可撓部とを備え、前記X軸可撓部の、一方の前記外枠部側に第1のX軸抵抗素子を、前記重錘部側に第2のX軸抵抗素子を、他方の前記重錘部側に第3のX軸抵抗素子を、前記外枠部側に第4のX軸抵抗素子を配置し、前記Y軸可撓部の、一方の前記外枠部側に第1のY軸抵抗素子を、前記重錘部側に第2のY軸抵抗素子を、他方の前記重錘部側に第3のY軸抵抗素子を、前記外枠部側に第4のY軸抵抗素子を配置した半導体加速度センサであって、前記Y軸可撓部の前記Y軸上に一直線状に、前記Y軸可撓部の一方の前記外枠部側から前記重錘部側に向かって前記第1のY軸抵抗素子、前記第1のZ軸抵抗素子、前記第2のZ軸抵抗素子、前記第2のY軸抵抗素子の順にこれらを並べて配置し、前記Y軸可撓部の他方の前記重錘部側から前記外枠部側に向かって前記第3のY軸抵抗素子、前記第3のZ軸抵抗素子、前記第4のZ軸抵抗素子、前記第4のY軸抵抗素子の順にこれらを並べて配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0039】
これにより、本発明は、半導体加速度センサに製造上の加工バラツキが生じたとしても、加工バラツキを吸収して隔置距離Bに関わらず他軸感度を一定に保つことができると共に他軸感度を抑制することができ、半導体加速度センサの加速度の検出精度を向上させることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施例1の半導体加速度センサの上面を示す説明図
【図2】実施例1の他軸感度のシミュレーション結果を示すグラフ
【図3】実施例1の半導体加速度センサの製造方法を示す説明図
【図4】実施例2の半導体加速度センサの上面を示す説明図
【図5】実施例2の他軸感度のシミュレーション結果を示すグラフ
【図6】実施例2の半導体加速度センサの他の形態を示す説明図
【図7】実施例3の半導体加速度センサの上面を示す説明図
【図8】実施例3の半導体加速度センサの他の形態を示す説明図
【図9】実施例3の半導体加速度センサの他の形態を示す説明図
【図10】実施例4の半導体加速度センサの上面を示す説明図
【図11】実施例4の半導体加速度センサのY軸方向の可撓部の拡大図
【図12】従来の半導体加速度センサの上面を示す説明図
【図13】図10のA−A断面を示す説明図
【図14】従来の可撓部の上面を示す説明図
【図15】Z軸方向の加速度の検出状態を示す説明図
【図16】ブリッジ回路を示す説明図
【図17】X軸方向の加速度の検出状態を示す説明図
【図18】従来の他軸感度のシミュレーション結果を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下に、図面を参照して本発明による半導体加速度センサの実施例について説明する。
【実施例1】
【0042】
図1は実施例1の半導体加速度センサの上面を示す説明図である。
【0043】
なお、上記従来技術と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0044】
図1に示す本実施例の各抵抗素子9の配置は、X軸可撓部7a、7bには、図10に示したと同様に、各X軸抵抗素子Rxは幅方向の中心線(X軸5)上に1列に並べて配置される。
【0045】
Y軸可撓部7c、7dには、その一方のY軸可撓部7cの外枠部2側に第1のY軸抵抗素子Ry1と第1のZ軸抵抗素子Rz1が、重錘部3側に第2のY軸抵抗素子Ry2と第2のZ軸抵抗素子Rz2が、幅方向の中心線(Y軸6)を挟んで中心線から隔置距離B離して対向配置される。
【0046】
他方のY軸可撓部7dに配置される第3および第4のY軸抵抗素子Ry3、Ry4並びに第3および第4のZ軸抵抗素子Rz3、Rz4と、Y軸可撓部7cに配置した第1および第2のY軸抵抗素子Ry1、Ry2並びに第1および第2のZ軸抵抗素子Rz1、Rz2とは、重錘部3の錘中心Woを対称点として点対象に配置される。
【0047】
つまり、Y軸可撓部7dの重錘部3側には、中心線の図1において上側(X軸可撓部7a側)を第3のZ軸抵抗素子Rz3とし、下側(X軸可撓部7b側)を第3のY軸抵抗素子Ry3として中心線から隔置距離B離して対向配置され、外枠部2側には、中心線の上側を第4のZ軸抵抗素子Rz4とし、下側を第4のY軸抵抗素子Ry4として中心線から隔置距離B離して対向配置されている。
【0048】
抵抗素子9を上記のように配置した本実施例の半導体加速度センサ1における他軸感度のシミュレーション計算の結果を図2に示す。
【0049】
本計算においては、第1ないし第4のZ軸抵抗素子Rzと、第1ないし第4のY軸抵抗素子Ryの配置を本実施例の配置とした以外は、上記図18と同じ計算条件、主要諸元である。
【0050】
また、図2における縦軸、横軸は図18の場合と同様である。
【0051】
図2(a)に示すように、本実施例の抵抗素子9の配置においては、重錘部3の位置ずれがないときは、隔置距離Bが変化しても、その他軸感度は、ほぼ「0」で一定であり、図2(b)に示すように、重錘部3の形成位置がX軸方向に15μmずれたとしても、隔置距離Bに関わらず、他軸感度は3%以下で一定になることが判る。
【0052】
上記の半導体加速度センサ1の製造方法について、図3にPで示す工程に従って、以下に説明する。
【0053】
P1、シリコンからなる半導体ウェハ11を準備する。
【0054】
P2、半導体ウェハ11の上面11aに、フォトリソグラフィにより抵抗素子9の形成領域に開口部を有するレジストマスクを形成し、所定の不純物を注入して半導体ウェハ11の表層に抵抗素子9を形成する。
【0055】
そして、前記のレジストマスクを除去し、配置が変更された各抵抗素子9を組合せて図14に示すブリッジ回路を形成するための図示しない配線パターンを形成する。
【0056】
P3、フォトリソグラフィにより半導体ウェハ11の上面11aの外枠部2、可撓部7、重錘部3の形成領域を覆うレジストマスクを形成し、異方性エッチング等により半導体ウェハ11をエッチングして、可撓部7の厚さ以上に掘り込み、外枠部2、可撓部7、重錘部3の上面パターン12を形成する。
【0057】
P4、工程P3で形成したレジストマスクを除去し、半導体ウェハ11を反転させ、半導体ウェハ11の裏面11bにフォトリソグラフィにより、外枠部2の内側の領域を露出させたレジストマスクを形成し、異方性エッチング等により半導体ウェハ11の裏面11bをエッチングして重錘部3の厚さを所定の厚さに形成する。
【0058】
次いで、フォトリソグラフィにより重錘部3の形成領域を覆うレジストマスクを形成し、外枠部2の内側と重錘部3との間を更にエッチングして、裏面パターンを上面パターン12に貫通させ、可撓部7を所定の厚さにエッチングして可撓部7を形成する。
【0059】
そして、レジストマスクの除去後に、図示しないダイシングブレードにより、半導体ウェハ11を個片に分割して外枠部2の外形形状を形成し、本実施例の半導体加速度センサ1を製造する。
【0060】
上記のように、本実施例のZ軸抵抗素子Rzの配置を用いれば、Y軸可撓部7c、7dに捻れが生じても、ブリッジ回路における各Z軸抵抗素子Rzの抵抗のバランスが保たれ、隔置距離Bのバラツキや、重錘部3の形成工程における上面パターン12と裏面パターンとの位置ずれ等による重錘部3の形成位置に位置ずれが生じた場合においても、隔置距離Bの大小に関わらず、他軸感度を3%以下に抑制することが可能になり、加速度の検出精度を向上させた半導体加速度センサ1を得ることができる。
【0061】
また、抵抗素子9の隔置距離Bに依存せずに、他軸感度を一定に保つ特性が得られるので、他の特性要因、例えば感度や温度特性等を考慮して抵抗素子9の形成位置を決定することが可能になる。
【0062】
更に、本実施例の半導体加速度センサ1の製造工程においては、特別な工程設備を導入することなく、各抵抗素子9を接続してブリッジ回路を構成する配線パターンのみを変更すれば、工程設備をそのまま用いて製造効率を悪化させることなく他軸感度を抑制した半導体加速度センサ1を製造することができる。
【0063】
なお、本実施例では、Z軸抵抗素子Rzを一対のY軸可撓部7c、7dに形成する場合を例に説明したが、Z軸抵抗素子Rzを一対のX軸可撓部7a、7bに形成する場合も同様である。
【0064】
以上説明したように、本実施例では、X軸可撓部およびY軸可撓部のいずれか一対の可撓部、例えばY軸可撓部に配置された第1ないし第4のY軸抵抗素子Ryと、第1ないし第4のZ軸抵抗素子Rzとを、それぞれ中心線を挟んで幅方向に対向配置し、第1および第2のZ軸抵抗素子Rzと、第3および第4のZ軸抵抗素子Rzとを錘中心Woを対称点として点対称に配置したことによって、半導体加速度センサに製造上の加工バラツキが生じたとしても、加工バラツキを吸収して隔置距離Bに関わらず他軸感度を一定に保つことができると共に他軸感度を抑制することができ、半導体加速度センサの加速度の検出精度を向上させることができる。
【実施例2】
【0065】
図4は実施例2の半導体加速度センサの上面を示す説明図である。
【0066】
なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0067】
図4に示す本実施例の各抵抗素子9の配置は、X軸可撓部7a、7bには、上記実施例1と同様に、各X軸抵抗素子Rxは幅方向の中心線(X軸5)上に1列に並べて配置される。
【0068】
Y軸可撓部7c、7dには、その一方のY軸可撓部7cに、第1および第2のY軸抵抗素子Ry1、Ry2と、第1および第2のZ軸抵抗素子Rz1、Rz2とが、それぞれ中心線(Y軸6)を挟んで幅方向に対向させて交互に配置され、他方のY軸可撓部7dに配置される第3および第4のY軸抵抗素子Ry3、Ry4と、第3および第4のZ軸抵抗素子Rz3、Rz4とが、それぞれ中心線を挟んで幅方向に対向させて交互に配置されている。
【0069】
つまり、Y軸可撓部7cの外枠部2側には、中心線の図4において上側(X軸可撓部7a側)を第1のY軸抵抗素子Ry1とし、下側(X軸可撓部7b側)を第1のZ軸抵抗素子Rz1として中心線から隔置距離B離して対向配置され、重錘部3側には、中心線の上側を第2のZ軸抵抗素子Rz2とし、下側を第2のY軸抵抗素子Ry2として中心線から隔置距離B離して対向配置されている。
【0070】
また、Y軸可撓部7dの重錘部3側には、中心線の上側を第3のZ軸抵抗素子Rz3とし、下側を第3のY軸抵抗素子Ry3として中心線から隔置距離B離して対向配置され、外枠部2側には、中心線の上側を第4のY軸抵抗素子Ry4とし、下側を第4のZ軸抵抗素子Rz4として中心線から隔置距離B離して対向配置されている。
【0071】
すなわち、本実施例の抵抗素子9の配置は、Y軸可撓部7a、7bにそれぞれY軸抵抗素子RyとZ軸抵抗素子Rzとを交互に配置すると共に、Y軸可撓部7dに配置される第3および第4のY軸抵抗素子Ry3、Ry4並びに第3および第4のZ軸抵抗素子Rz3、Rz4と、Y軸可撓部7cに配置した第1および第2のY軸抵抗素子Ry1、Ry2並びに第1および第2のZ軸抵抗素子Rz1、Rz2とは、中心線であるY軸6に重錘部3の錘中心Woで直交するX軸5を対称線として線対象に配置されている。
【0072】
抵抗素子9を上記のように配置した本実施例の半導体加速度センサ1における他軸感度のシミュレーション計算の結果を図5に示す。
【0073】
本計算においては、第1ないし第4のZ軸抵抗素子Rzと、第1ないし第4のY軸抵抗素子Ryの配置を本実施例の配置とした以外は、上記図18と同じ計算条件、主要諸元である。
【0074】
また、図5における縦軸、横軸は図18の場合と同様である。
【0075】
図5(a)、(b)に示すように、本実施例の抵抗素子9の配置においても、上記実施例1と同様に、重錘部3の位置ずれがないときは、隔置距離Bが変化しても、その他軸感度は、ほぼ「0」で一定であり、重錘部3の形成位置がX軸方向に15μmずれたとしても、隔置距離Bに関わらず他軸感度は3%以下で一定となる。
【0076】
本実施例の製造方法は、上記実施例1の製造工程と同様であるので、その説明を省略する。この場合に工程P2において、本実施例の配置に変更された各抵抗素子9を組合せてブリッジ回路を形成するための配線パターンが形成される。
【0077】
このように、抵抗素子の配置を、X軸可撓部およびY軸可撓部のいずれか一対の可撓部、例えばY軸可撓部の一方に配置された第1および第2のY軸抵抗素子Ryと、第1および第2のZ軸抵抗素子Rzとを、それぞれ中心線を挟んで幅方向に対向させて交互に配置し、第1および第2のZ軸抵抗素子Rzと、第3および第4のZ軸抵抗素子Rzとを錘中心Woで直交するX軸を対称線として線対称に配置したことによっても、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0078】
なお、本実施例においては、それぞれのY軸可撓部7c、7dに交互に配置したY軸抵抗素子RyとZ軸抵抗素子Rzとを錘中心Woで直交するX軸5を対称線として線対称に配置するとして説明したが、図6に示すように、交互に配置したY軸抵抗素子RyとZ軸抵抗素子Rzとを錘中心Woを対称点として点対称に配置するようにしても、上記と同様の効果を得ることができる。
【実施例3】
【0079】
図7は実施例3の半導体加速度センサの上面を示す説明図である。
【0080】
なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0081】
図7に示す本実施例の各抵抗素子9の配置は、X軸可撓部7a、7bには、上記実施例1と同様に、各X軸抵抗素子Rxは幅方向の中心線(X軸5)上に1列に並べて配置される。
【0082】
Y軸可撓部7c、7dには、その一方のY軸可撓部7cの外枠部2側に第1のZ軸抵抗素子Rz1が、重錘部3側に第2のZ軸抵抗素子Rz2が、他方のY軸可撓部7dの重錘部3側に第3のZ軸抵抗素子Rz3が、外枠部2側に第4のZ軸抵抗素子Rz4が配置され、第1ないし第4のZ軸抵抗素子Rzは幅方向の中心線であるY軸6上に1列に並べて配置されている。
【0083】
また、Y軸可撓部7c、7dには、中心線上に1列に並べて配置された第1ないし第4のZ軸抵抗素子Rzの図7において上側(X軸可撓部7a側)に第1ないし第4のY軸抵抗素子Ryが、それぞれ幅方向に対向して1列に並べて配置されている。
【0084】
つまり、本実施例の抵抗素子9の配置は、Y軸可撓部7c、7dの中心線上に第1ないし第4のZ軸抵抗素子Rzを並べて配置し、これに第1ないし第4のY軸抵抗素子Ryをそれぞれ幅方向に対向配置し、Y軸可撓部7dに配置される第3および第4のY軸抵抗素子Ry3、Ry4と、Y軸可撓部7cに配置した第1および第2のY軸抵抗素子Ry1、Ry2とが、Y軸6に重錘部3の錘中心Woで直交するX軸5を対称線として線対象に配置されている。
【0085】
Z軸抵抗素子Rzを上記のように中心線上に1列に並べて配置すれば、Y軸可撓部7c、7dに捻れ応力が発生しても第1ないし第4のZ軸抵抗素子Rzに生ずる捻れ応力の応力状態が同じになり、図18に示した他軸感度を参照すれば、その隔置距離Bが「0」のときに相当する他軸感度、つまり重錘部3の位置ずれがないときは他軸感度は、ほぼ「0」で、重錘部3の位置ずれが15μmのときは他軸感度は3%以下で一定になる。
【0086】
本実施例の製造方法は、上記実施例1の製造工程と同様であるので、その説明を省略する。この場合に工程P2において、本実施例の配置に変更された各抵抗素子9を組合せてブリッジ回路を形成するための配線パターンが形成される。
【0087】
このように、抵抗素子の配置を、X軸可撓部およびY軸可撓部のいずれか一対の可撓部、例えばY軸可撓部の中心線上に第1ないし第4のZ軸抵抗素子Rzを1列に並べて配置し、第1および第2のY軸抵抗素子Ryと、第3および第4のY軸抵抗素子Ryとを錘中心Woで直交するX軸を対称線として線対称に配置したことによっても、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0088】
なお、本実施例においては、それぞれのY軸可撓部7c、7dに配置したY軸抵抗素子Ryを錘中心Woで直交するX軸5を対称線として線対称に配置するとして説明したが、線対称の配置は前記に限らず、図7とは逆に、つまり各Z軸抵抗素子Rzの下側に1列に並べて配置しても、図8に示すようにZ軸抵抗素子Rzに対して上側、下側に交互に配置しても、図8とは逆に交互に配置してもよい。このように配置しても上記と同様の効果を得ることができる。
【0089】
また、図9に示すように、Y軸抵抗素子Ryを、錘中心Woを対称点として点対称に配置するようにしても、図9とは逆の点対象に配置しても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0090】
上記各実施例においては、各軸の抵抗素子は、可撓部と外枠部との境界、または可撓部と重錘部との境界から0〜20μm程度の付け根距離Cを離して形成するとして説明したが、その一方または両方を外枠部および/もしくは重錘部上に延在させるようにしてもよい。
【実施例4】
【0091】
図10は実施例4の半導体加速度センサの上面図を示す説明図である。
【0092】
なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0093】
図10に示す本実施例の各抵抗素子9の配置は、X軸可撓部7a、7bには、上記実施例1と同様に、各X軸抵抗素子Rxは幅方向の中心線(X軸5)上に1列に並べて配置される。
【0094】
Y軸可撓部7c、7dには、その一方のY軸可撓部7cの外枠部2側から重錘部3側に向かって第1のY軸抵抗素子Ry1、第1のZ軸抵抗素子Rz1、第2のZ軸抵抗素子Rz2、第2のY軸抵抗素子Ry2の順に配置され、他方のY軸可撓部7dの重錘部3側から外枠部2側に向かって第3のY軸抵抗素子Ry3、第3のZ軸抵抗素子、第4のZ軸抵抗素子、第4のY軸抵抗素子の順に配列され、第1ないし第4のY軸抵抗素子Ry及び第1ないし第4のZ軸抵抗素子Rzは全て幅方向の中心線であるY軸6上に一直線状に並べて配列されている。
【0095】
つまり、本実施例の抵抗素子9の配置は、Y軸可撓部7c、7dの中心線上に第1ないし第4のY軸抵抗素子Ry及び第1ないし第4のZ軸抵抗素子Rzを1列に並べて配置されており、第1のY軸抵抗素子Ry1および第1のZ軸抵抗素子Rz1、第2のY軸抵抗素子Ry2および第2のZ軸抵抗素子Rz2、第3のY軸抵抗素子Ry3および第3のZ軸抵抗素子Rz3、第4のY軸抵抗素子Ry4および第4のZ軸抵抗素子Rz4がそれぞれ中心線上で対向するように形成されている。さらに、本実施例の抵抗素子9は、Y軸可撓部7cに配置されるそれぞれの抵抗素子が第1のY軸抵抗素子Ry1、第1のZ軸抵抗素子Rz1、第2のZ軸抵抗素子Rz2、第2のY軸抵抗素子Ry2の順で配置され、Y軸可撓部7dに配置されるそれぞれの抵抗素子が第3のY軸抵抗素子Ry3、第3のZ軸抵抗素子Rz3、第4のZ軸抵抗素子Rz4、第4のY軸抵抗素子Ry4の順で配置されるため、Y軸6に重錘部3の錘中心Woで直交するX軸5を対称線として線対象、かつ錘中心Woについて点対象に配置されている。
【0096】
このようにY軸抵抗素子Ry、Z軸抵抗素子Rzを全て可撓部の幅の中心線(X軸5)上に配置することにより、例えばX軸方向へ加速度が印加された場合においてもY軸抵抗素子Ry,Z軸抵抗素子Rzは可撓部の中心線から離れている場合に比べて受ける応力が少なくなるため、他軸感度を向上させることができる。
【0097】
図11は、図10のY軸可撓部7cの拡大図であって、第1のY軸抵抗素子Ry1、第2のY軸抵抗素子Ry2、第1のZ軸抵抗素子Rz1、第2のZ軸抵抗素子Rz2の具体的な配置例を示したものである。
Y軸可撓部7cに配置される第1のY軸抵抗素子Ry1、第2のY軸抵抗素子Ry2、第1のZ軸抵抗素子Rz1、第2のZ軸抵抗素子Rz2はそれぞれY軸可撓部7cの重錘部から外枠部に向かう方向の長さの半分の点であって、重錘部から外枠部に向かう方向に垂直な線について線対象に配置されている。
また、可撓部の端部とY軸抵抗素子Ryとの距離aは0〜50μm、可撓部の端部とZ軸抵抗素子Rzとの距離bは40〜180μmに設定される。
【0098】
可撓部は端部に近いほど応力が大きくなり、また、図11における可撓部端部とY軸抵抗素子Ry及びZ軸抵抗素子Rzとの距離がa=bである場合に加速度を検知したときはZ軸の出力電流がY軸の出力電流よりも大きくなる。このように各出力電流がばらつく場合にはそれらを揃えるためにアンプ等を配置して調節することが必要な場合が出てくる。本実施例では、上述のように配置することによって、Z軸方向の応力を抑え、Z軸の出力電流とY軸の出力電流の差を縮めることができる。これによって、前述の場合のような各軸の出力電流を調整するためのアンプ等を配置、調整することが不要となり、より容易に各軸の出力電流を調整することができる。
【0099】
本実施例の製造方法は、上記実施例1の製造工程と同様であるので、その説明を省略する。この場合に工程P2において、本実施例の配置に変更された悪抵抗素子9を組み合わせてブリッジ回路を形成するための配線パターンが形成される。
【0100】
このように、抵抗素子の配置を、X軸可撓部およびY軸可撓部のいずれか一対の可撓部、例えばY軸可撓部の中心線上に第1ないし第4のX軸抵抗素子RxまたはY軸抵抗素子および第1ないし第4のZ軸抵抗素子Rzを1列に並べて配置し、第1ないし第4のX軸抵抗素子RxまたはY軸抵抗素子RyとZ軸抵抗素子Rzとを対向配置させることによって、各軸の出力調整を容易なものとするとともに他軸感度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0101】
1 半導体加速度センサ
1a、11a 上面
2 外枠部
3 重錘部
5 X軸
6 Y軸
7 可撓部
7a、7b X軸可撓部
7c、7d Y軸可撓部
9 抵抗素子
Rx X軸抵抗素子
Rx1〜Rx4 第1〜第4のX軸抵抗素子
Ry Y軸抵抗素子
Ry1〜Ry4 第1〜第4のY軸抵抗素子
Rz Z軸抵抗素子
Rz1〜Rz4 第1〜第4のZ軸抵抗素子
11 半導体ウェハ
11b 裏面
12 上面パターン
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や航空機等の輸送機器や携帯端末等に搭載され、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸からなる3軸の加速度を検出する半導体加速度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の3軸の加速度を検出する半導体加速度センサは、シリコンからなる外枠部の中心部に厚肉の重錘部を配置し、該重錘部の中心である錘中心で、互いに直交するX軸およびY軸を幅方向の中心線として外枠部と重錘部とを接続する一対のX軸可撓部および一対のY軸可撓部を設け、Y軸方向の加速度成分を検出するために、Y軸可撓部の一方の中心線上の外枠部側に第1のY軸抵抗素子を、重錘部側に第2のY軸抵抗素子を、他方の中心線上の重錘部側に第3のY軸抵抗素子を、外枠部側に第4のY軸抵抗素子を1列に並べて配置すると共に、X軸およびZ軸方向の加速度成分を検出するために、X軸可撓部の一方の外枠部側に第1のX軸抵抗素子および第1のZ軸抵抗素子を、重錘部側に第2のX軸抵抗素子および第2のZ軸抵抗素子を、他方の重錘部側に第3のX軸抵抗素子および第3のZ軸抵抗素子を、外枠部側に第4のX軸抵抗素子および第4のZ軸抵抗素子を配置し、これら第1ないし第4のX軸抵抗素子と、第1ないし第4のZ軸抵抗素子とをそれぞれ中心線の両側に1列に並べ、各X軸抵抗素子、各Y軸抵抗素子、各Z軸抵抗素子によりそれぞれブリッジ回路を構成してX軸、Y軸、Z軸方向の加速度成分を検出している(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−279592号公報(第2頁段落0002−0004、第4頁段落0022−0024、第1図、第7図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、X軸可撓部に、第1ないし第4のX軸抵抗素子と、第1ないし第4のZ軸抵抗素子とをそれぞれ中心線の両側に1列に並べて配置しているため、Y軸方向だけに加速度が印加された場合に、各Y軸抵抗素子により構成されたホイーストンブリッジ回路(以下、単にブリッジ回路という。)からの出力されるY軸方向成分の他に、そのY軸方向の加速度により捻られるX軸可撓部に配置された各Z軸抵抗素子により構成されたブリッジ回路からもZ軸方向成が出力される、いわゆる他軸感度(Y軸方向成分に対するZ方向成分の比をいう。)が発生し、本来検出されるはずのない他軸感度によるZ軸方向成分の影響を受けてベクトル方向の誤差等が生じ、加速度の検出精度が低下するという問題がある。
【0005】
以下に、上記の他軸感度による問題点について説明する。
【0006】
図12は従来の半導体加速度センサの上面を示す説明図、図13は図12のA−A断面を示す説明図、図14は従来の可撓部の上面を示す説明図である。
【0007】
図12、図13において、1は半導体加速度センサであり、後述する半導体ウェハ11を個片に分割して形成される。
【0008】
2は半導体加速度センサ1の外枠部であり、シリコン(Si)により形成された平面視が正方形の枠状部材である。
【0009】
3は重錘部であり、外枠部2の中心部に配置されたシリコンからなる厚肉の正方形部材であって、その厚さは図13に示すように外枠部2の厚さより僅かに薄く形成され、その各辺は図12に示すように外枠部2の内側の各辺とそれぞれ平行に配置されている。
【0010】
また、半導体加速度センサ1の上面1aには、重錘部3の上面1aの幾何学的な中心である錘中心Woを通り重錘部3の一辺およびその対辺に直交するX軸5、および錘中心WoでX軸5に直交するY軸6が設定されている。
【0011】
7a、7bは一対のX軸可撓部であり、X軸5を図14に示す幅方向の中心線として、外枠部2と重錘部3との間を接続するシリコンからなる厚さの薄い可撓性を有する梁部材であって、重錘部3をその可撓性により揺動自在に支持する機能を有している。
【0012】
7c、7dは一対のY軸可撓部であり、Y軸6を幅方向の中心線として、X軸可撓部7a、7bと同様に形成された梁部材であって、X軸可撓部7a、7bと同様の機能を有している。
【0013】
9は抵抗素子であり、シリコンで形成された可撓部7のそれぞれの表層に不純物を注入拡散させて形成されたピエゾ抵抗素子であって、重錘部3が揺動したときに比較的大きな応力が発生する箇所である外枠部2および重錘部3との付け根の近傍に形成されており、4つの抵抗素子9を組合せて構成されるブリッジ回路により可撓部7の変位を電位差に変換して加速度成分として検出する機能を有している。
【0014】
以下の説明において、各軸の抵抗素子9を区別するときは、X軸方向の加速度成分を検出するためのブリッジ回路を構成する4つの抵抗素子9を、第1のX軸抵抗素子Rx1、第2のX軸抵抗素子Rx2、第3のX軸抵抗素子Rx3、第4のX軸抵抗素子Rx4という。
【0015】
また、Y軸方向の加速度成分を検出するためのブリッジ回路を構成する4つの抵抗素子9を、第1のY軸抵抗素子Ry1、第2のY軸抵抗素子Ry2、第3のY軸抵抗素子Ry3、第4のY軸抵抗素子Ry4という。
【0016】
更に、X軸5およびY軸6にそれぞれ直交する方向、つまりX軸5およびY軸6により形成される面(上面1aと同義)の鉛直方向であるZ軸方向の加速度成分を検出するめのブリッジ回路を構成する4つの抵抗素子9を、第1のZ軸抵抗素子Rz1、第2のZ軸抵抗素子Rz2、第3のZ軸抵抗素子Rz3、第4のZ軸抵抗素子Rz4という。
【0017】
なお、Z軸抵抗素子Rzを図示する場合には区別のために網掛けを付して示す。
【0018】
これら第1ないし第4のX軸抵抗素子Rx、第1ないし第4のY軸抵抗素子Ry、第1ないし第4のZ軸抵抗素子Rzは図12に示すように配置される。
【0019】
すなわち、X軸可撓部7a、7bの一方のX軸可撓部7aには、その外枠部2側に第1のX軸抵抗素子Rx1が、重錘部3側に第2のX軸抵抗素子Rx2が、他方のX軸可撓部7bには、その重錘部3側に第3のX軸抵抗素子Rx3が、外枠部2側に第4のX軸抵抗素子Rx4が配置され、各X軸抵抗素子Rxは幅方向の中心線であるX軸5上に1列に並べて配置されている。
【0020】
また、Y軸可撓部7c、7dの一方のY軸可撓部7cには、図14に示すように、その外枠部2側に第1のY軸抵抗素子Ry1と第1のZ軸抵抗素子Rz1が、重錘部3側に第2のY軸抵抗素子Ry2と第2のZ軸抵抗素子Rz2が、他方のY軸可撓部7dには、その重錘部3側に第3のY軸抵抗素子Ry3と第3のZ軸抵抗素子Rz3が、外枠部2側に第4のY軸抵抗素子Ry4と第4のZ軸抵抗素子Rz4が、幅方向の中心線であるY軸6を挟んで中心線からZ軸抵抗素子Rz、Y軸抵抗素子Ryのぞれぞれの中心までの幅方向の距離B(隔置距離Bという。)離して対向配置されている。
【0021】
各可撓部7に配置されている抵抗素子9は、図14に示すように、両側の抵抗素子9の片端から、可撓部7の付け根まで、つまり可撓部7と外枠部2との境界まで、または可撓部7と重錘部3との境界までの長さ方向の距離C(付け根距離Cという。付け根距離Cは0〜20μm程度)離して形成されている。
【0022】
このように配置された半導体加速度センサ1にZ軸方向の加速度が印加された場合は、図15に示すように、重錘部3はZ軸方向に平行移動し、外枠部2側に配置された第1のZ軸抵抗素子Rz1および第4のZ軸抵抗素子Rz4には引張応力が、重錘部3側に配置された第2のZ軸抵抗素子Rz2および第3のZ軸抵抗素子Rz3には圧縮応力が作用し、ぞれぞれの応力状態に応じて各Z軸抵抗素子Rzの抵抗値が変化する。
【0023】
このとき、図16(a)に示すように、第1のZ軸抵抗素子Rz1と第2のZ軸抵抗素子Rz2との間に電源電圧(Vdd)が接続され、第3のZ軸抵抗素子Rz3と第4のZ軸抵抗素子Rz4との間にアース(Vss)が接続されたブリッジ回路の、第1のZ軸抵抗素子Rz1と第3のZ軸抵抗素子Rz3との間の電圧V1と、第2のZ軸抵抗素子Rz2と第4のZ軸抵抗素子Rz4との間の電圧V2とが応力により変化した抵抗値に応じて変化し、その電圧差がZ軸方向の加速度成分として検出される。逆方向の加速度が印加された場合は、上記の応力状態が逆になり、逆向きの加速度成分が検出される。
【0024】
X軸方向の加速度が印加された場合は、図17に示すように、重錘部3はX軸方向の加速度により回動し、外枠部2側に配置された第1のX軸抵抗素子Rx1および重錘部3側に第3のX軸抵抗素子Rx3には引張応力が、重錘部3側に配置された第2のX軸抵抗素子Rx2および外枠部2側に配置された第4のX軸抵抗素子Rx4には圧縮応力が作用し、ぞれぞれの応力状態に応じて各X軸抵抗素子Rxの抵抗値が変化する。
【0025】
このとき、図16(b)に示すように、第1のX軸抵抗素子Rx1と第2のX軸抵抗素子Rx2との間に電源電圧(Vdd)が接続され、第4のX軸抵抗素子Rx4と第3のX軸抵抗素子Rx3との間にアース(Vss)が接続されたブリッジ回路の、第1のX軸抵抗素子Rx1と第4のX軸抵抗素子Rx4との間の電圧V1と、第2のX軸抵抗素子Rx2と第3のX軸抵抗素子Rx3との間のV2とが応力により変化した抵抗値に応じて変化し、その電圧差がX軸方向の加速度成分として検出される。逆方向の加速度が印加された場合は、上記の応力状態が逆になり、逆向きの加速度成分が検出される。
【0026】
Y軸方向の加速度が印加されたときも、X軸方向の場合と同様である。
【0027】
このX軸方向に加速度が印加された場合には、重錘部3の回動に伴ってY軸可撓部7c、7dが捻られ、そのY軸可撓部7c、7dに中心線から隔置距離B離して配置されている各Z軸抵抗素子Rzには捻り応力が作用し、ブリッジ回路の回路構成の相違、つまり第3および第4のZ軸抵抗素子Rz3、Rz4と、第3および第4のY軸抵抗素子Ry3、Ry4の配置の相違に基づいて他軸感度が発生する。
【0028】
このときの他軸感度の発生の様子を知るために、発明者は、図12に示す半導体加速度センサ1をモデル化して有限要素法を用いたシミュレーション計算を行った。図18にそのシミュレーション結果に示す。
【0029】
図18は、X軸方向に1Gの加速度を印加した場合のZ軸方向成分のシミュレーション計算結果である。
【0030】
図18において、横軸は図14に示す隔置距離B、縦軸はZ軸方向成分とX軸方向成分との比(Z/X)をパーセントで示したものである。
【0031】
計算に用いた半導体加速度センサ1のモデルの主要諸元は、隔置距離Bは2、6、12μmの3水準、可撓部7の長さ370μm、幅86μm、厚さ6.5μm、重錘部3の厚さ340μm、重さ2.4mg、抵抗素子9の長さ45μm、幅3μm、付け根距離C=10μmである。
【0032】
図18(a)に示すように、隔置距離Bが大きくなるほど他軸感度が高くなり、例えば抵抗素子9間の間隔を4μm(隔置距離B=2μm)、つまりY軸抵抗素子RyとZ軸抵抗素子Rzとの対向する辺の間の間隔を1μmにしたとしても、0.5%程度の他軸感度が発生することが判る。
【0033】
図18(b)は、上記と同じ半導体加速度センサ1の重錘部3の形成工程において、重錘部3の形成位置がレジストマスクの位置ずれによってX軸方向(図12において上方)に15μmずれたと仮定した場合のシミュレーション結果である。
【0034】
この場合も、隔置距離Bが大きくなるほど他軸感度が高くなり、隔置距離Bを2μmにしたとしても、3%より大きい他軸感度が発生することが判る。
【0035】
このことは、Z軸抵抗素子Rzを、X軸抵抗素子RxとともにX軸可撓部7a、7bに形成した場合も同様である。
【0036】
つまり、従来の半導体加速度センサのように、X軸可撓部に、第1ないし第4のX軸抵抗素子と、第1ないし第4のZ軸抵抗素子とをそれぞれ中心線の両側に1列に並べて配置すると、製造上の加工バラツキにより隔置距離Bや重錘部の形成位置にずれが生じた場合には、高い他軸感度が発生しやすくなり、X軸方向成分と同時に本来出力されない他軸感度によるZ軸方向成分が出力され、加速度の検出精度が低下するという問題がある。
【0037】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、半導体加速度センサに製造上の加工バラツキが生じたとしても他軸感度を抑制して加速度の検出精度を向上させる手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0038】
本発明は、上記課題を解決するために、外枠部と、該外枠部の中心部に配置された重錘部と、該重錘部の中心である錘中心で、互いに直交するX軸およびY軸と、X軸方向の加速度成分を検出する第1ないし第4のX軸抵抗素子と、Y軸方向の加速度成分を検出する第1ないし第4のY軸抵抗素子と、前記X軸およびY軸にそれぞれ直交するZ軸方向の加速度成分を検出する第1ないし第4のZ軸抵抗素子と、前記X軸およびY軸を幅方向の中心線として、前記外枠部と重錘部とを接続する一対のX軸可撓部および一対のY軸可撓部とを備え、前記X軸可撓部の、一方の前記外枠部側に第1のX軸抵抗素子を、前記重錘部側に第2のX軸抵抗素子を、他方の前記重錘部側に第3のX軸抵抗素子を、前記外枠部側に第4のX軸抵抗素子を配置し、前記Y軸可撓部の、一方の前記外枠部側に第1のY軸抵抗素子を、前記重錘部側に第2のY軸抵抗素子を、他方の前記重錘部側に第3のY軸抵抗素子を、前記外枠部側に第4のY軸抵抗素子を配置した半導体加速度センサであって、前記Y軸可撓部の前記Y軸上に一直線状に、前記Y軸可撓部の一方の前記外枠部側から前記重錘部側に向かって前記第1のY軸抵抗素子、前記第1のZ軸抵抗素子、前記第2のZ軸抵抗素子、前記第2のY軸抵抗素子の順にこれらを並べて配置し、前記Y軸可撓部の他方の前記重錘部側から前記外枠部側に向かって前記第3のY軸抵抗素子、前記第3のZ軸抵抗素子、前記第4のZ軸抵抗素子、前記第4のY軸抵抗素子の順にこれらを並べて配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0039】
これにより、本発明は、半導体加速度センサに製造上の加工バラツキが生じたとしても、加工バラツキを吸収して隔置距離Bに関わらず他軸感度を一定に保つことができると共に他軸感度を抑制することができ、半導体加速度センサの加速度の検出精度を向上させることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施例1の半導体加速度センサの上面を示す説明図
【図2】実施例1の他軸感度のシミュレーション結果を示すグラフ
【図3】実施例1の半導体加速度センサの製造方法を示す説明図
【図4】実施例2の半導体加速度センサの上面を示す説明図
【図5】実施例2の他軸感度のシミュレーション結果を示すグラフ
【図6】実施例2の半導体加速度センサの他の形態を示す説明図
【図7】実施例3の半導体加速度センサの上面を示す説明図
【図8】実施例3の半導体加速度センサの他の形態を示す説明図
【図9】実施例3の半導体加速度センサの他の形態を示す説明図
【図10】実施例4の半導体加速度センサの上面を示す説明図
【図11】実施例4の半導体加速度センサのY軸方向の可撓部の拡大図
【図12】従来の半導体加速度センサの上面を示す説明図
【図13】図10のA−A断面を示す説明図
【図14】従来の可撓部の上面を示す説明図
【図15】Z軸方向の加速度の検出状態を示す説明図
【図16】ブリッジ回路を示す説明図
【図17】X軸方向の加速度の検出状態を示す説明図
【図18】従来の他軸感度のシミュレーション結果を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下に、図面を参照して本発明による半導体加速度センサの実施例について説明する。
【実施例1】
【0042】
図1は実施例1の半導体加速度センサの上面を示す説明図である。
【0043】
なお、上記従来技術と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0044】
図1に示す本実施例の各抵抗素子9の配置は、X軸可撓部7a、7bには、図10に示したと同様に、各X軸抵抗素子Rxは幅方向の中心線(X軸5)上に1列に並べて配置される。
【0045】
Y軸可撓部7c、7dには、その一方のY軸可撓部7cの外枠部2側に第1のY軸抵抗素子Ry1と第1のZ軸抵抗素子Rz1が、重錘部3側に第2のY軸抵抗素子Ry2と第2のZ軸抵抗素子Rz2が、幅方向の中心線(Y軸6)を挟んで中心線から隔置距離B離して対向配置される。
【0046】
他方のY軸可撓部7dに配置される第3および第4のY軸抵抗素子Ry3、Ry4並びに第3および第4のZ軸抵抗素子Rz3、Rz4と、Y軸可撓部7cに配置した第1および第2のY軸抵抗素子Ry1、Ry2並びに第1および第2のZ軸抵抗素子Rz1、Rz2とは、重錘部3の錘中心Woを対称点として点対象に配置される。
【0047】
つまり、Y軸可撓部7dの重錘部3側には、中心線の図1において上側(X軸可撓部7a側)を第3のZ軸抵抗素子Rz3とし、下側(X軸可撓部7b側)を第3のY軸抵抗素子Ry3として中心線から隔置距離B離して対向配置され、外枠部2側には、中心線の上側を第4のZ軸抵抗素子Rz4とし、下側を第4のY軸抵抗素子Ry4として中心線から隔置距離B離して対向配置されている。
【0048】
抵抗素子9を上記のように配置した本実施例の半導体加速度センサ1における他軸感度のシミュレーション計算の結果を図2に示す。
【0049】
本計算においては、第1ないし第4のZ軸抵抗素子Rzと、第1ないし第4のY軸抵抗素子Ryの配置を本実施例の配置とした以外は、上記図18と同じ計算条件、主要諸元である。
【0050】
また、図2における縦軸、横軸は図18の場合と同様である。
【0051】
図2(a)に示すように、本実施例の抵抗素子9の配置においては、重錘部3の位置ずれがないときは、隔置距離Bが変化しても、その他軸感度は、ほぼ「0」で一定であり、図2(b)に示すように、重錘部3の形成位置がX軸方向に15μmずれたとしても、隔置距離Bに関わらず、他軸感度は3%以下で一定になることが判る。
【0052】
上記の半導体加速度センサ1の製造方法について、図3にPで示す工程に従って、以下に説明する。
【0053】
P1、シリコンからなる半導体ウェハ11を準備する。
【0054】
P2、半導体ウェハ11の上面11aに、フォトリソグラフィにより抵抗素子9の形成領域に開口部を有するレジストマスクを形成し、所定の不純物を注入して半導体ウェハ11の表層に抵抗素子9を形成する。
【0055】
そして、前記のレジストマスクを除去し、配置が変更された各抵抗素子9を組合せて図14に示すブリッジ回路を形成するための図示しない配線パターンを形成する。
【0056】
P3、フォトリソグラフィにより半導体ウェハ11の上面11aの外枠部2、可撓部7、重錘部3の形成領域を覆うレジストマスクを形成し、異方性エッチング等により半導体ウェハ11をエッチングして、可撓部7の厚さ以上に掘り込み、外枠部2、可撓部7、重錘部3の上面パターン12を形成する。
【0057】
P4、工程P3で形成したレジストマスクを除去し、半導体ウェハ11を反転させ、半導体ウェハ11の裏面11bにフォトリソグラフィにより、外枠部2の内側の領域を露出させたレジストマスクを形成し、異方性エッチング等により半導体ウェハ11の裏面11bをエッチングして重錘部3の厚さを所定の厚さに形成する。
【0058】
次いで、フォトリソグラフィにより重錘部3の形成領域を覆うレジストマスクを形成し、外枠部2の内側と重錘部3との間を更にエッチングして、裏面パターンを上面パターン12に貫通させ、可撓部7を所定の厚さにエッチングして可撓部7を形成する。
【0059】
そして、レジストマスクの除去後に、図示しないダイシングブレードにより、半導体ウェハ11を個片に分割して外枠部2の外形形状を形成し、本実施例の半導体加速度センサ1を製造する。
【0060】
上記のように、本実施例のZ軸抵抗素子Rzの配置を用いれば、Y軸可撓部7c、7dに捻れが生じても、ブリッジ回路における各Z軸抵抗素子Rzの抵抗のバランスが保たれ、隔置距離Bのバラツキや、重錘部3の形成工程における上面パターン12と裏面パターンとの位置ずれ等による重錘部3の形成位置に位置ずれが生じた場合においても、隔置距離Bの大小に関わらず、他軸感度を3%以下に抑制することが可能になり、加速度の検出精度を向上させた半導体加速度センサ1を得ることができる。
【0061】
また、抵抗素子9の隔置距離Bに依存せずに、他軸感度を一定に保つ特性が得られるので、他の特性要因、例えば感度や温度特性等を考慮して抵抗素子9の形成位置を決定することが可能になる。
【0062】
更に、本実施例の半導体加速度センサ1の製造工程においては、特別な工程設備を導入することなく、各抵抗素子9を接続してブリッジ回路を構成する配線パターンのみを変更すれば、工程設備をそのまま用いて製造効率を悪化させることなく他軸感度を抑制した半導体加速度センサ1を製造することができる。
【0063】
なお、本実施例では、Z軸抵抗素子Rzを一対のY軸可撓部7c、7dに形成する場合を例に説明したが、Z軸抵抗素子Rzを一対のX軸可撓部7a、7bに形成する場合も同様である。
【0064】
以上説明したように、本実施例では、X軸可撓部およびY軸可撓部のいずれか一対の可撓部、例えばY軸可撓部に配置された第1ないし第4のY軸抵抗素子Ryと、第1ないし第4のZ軸抵抗素子Rzとを、それぞれ中心線を挟んで幅方向に対向配置し、第1および第2のZ軸抵抗素子Rzと、第3および第4のZ軸抵抗素子Rzとを錘中心Woを対称点として点対称に配置したことによって、半導体加速度センサに製造上の加工バラツキが生じたとしても、加工バラツキを吸収して隔置距離Bに関わらず他軸感度を一定に保つことができると共に他軸感度を抑制することができ、半導体加速度センサの加速度の検出精度を向上させることができる。
【実施例2】
【0065】
図4は実施例2の半導体加速度センサの上面を示す説明図である。
【0066】
なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0067】
図4に示す本実施例の各抵抗素子9の配置は、X軸可撓部7a、7bには、上記実施例1と同様に、各X軸抵抗素子Rxは幅方向の中心線(X軸5)上に1列に並べて配置される。
【0068】
Y軸可撓部7c、7dには、その一方のY軸可撓部7cに、第1および第2のY軸抵抗素子Ry1、Ry2と、第1および第2のZ軸抵抗素子Rz1、Rz2とが、それぞれ中心線(Y軸6)を挟んで幅方向に対向させて交互に配置され、他方のY軸可撓部7dに配置される第3および第4のY軸抵抗素子Ry3、Ry4と、第3および第4のZ軸抵抗素子Rz3、Rz4とが、それぞれ中心線を挟んで幅方向に対向させて交互に配置されている。
【0069】
つまり、Y軸可撓部7cの外枠部2側には、中心線の図4において上側(X軸可撓部7a側)を第1のY軸抵抗素子Ry1とし、下側(X軸可撓部7b側)を第1のZ軸抵抗素子Rz1として中心線から隔置距離B離して対向配置され、重錘部3側には、中心線の上側を第2のZ軸抵抗素子Rz2とし、下側を第2のY軸抵抗素子Ry2として中心線から隔置距離B離して対向配置されている。
【0070】
また、Y軸可撓部7dの重錘部3側には、中心線の上側を第3のZ軸抵抗素子Rz3とし、下側を第3のY軸抵抗素子Ry3として中心線から隔置距離B離して対向配置され、外枠部2側には、中心線の上側を第4のY軸抵抗素子Ry4とし、下側を第4のZ軸抵抗素子Rz4として中心線から隔置距離B離して対向配置されている。
【0071】
すなわち、本実施例の抵抗素子9の配置は、Y軸可撓部7a、7bにそれぞれY軸抵抗素子RyとZ軸抵抗素子Rzとを交互に配置すると共に、Y軸可撓部7dに配置される第3および第4のY軸抵抗素子Ry3、Ry4並びに第3および第4のZ軸抵抗素子Rz3、Rz4と、Y軸可撓部7cに配置した第1および第2のY軸抵抗素子Ry1、Ry2並びに第1および第2のZ軸抵抗素子Rz1、Rz2とは、中心線であるY軸6に重錘部3の錘中心Woで直交するX軸5を対称線として線対象に配置されている。
【0072】
抵抗素子9を上記のように配置した本実施例の半導体加速度センサ1における他軸感度のシミュレーション計算の結果を図5に示す。
【0073】
本計算においては、第1ないし第4のZ軸抵抗素子Rzと、第1ないし第4のY軸抵抗素子Ryの配置を本実施例の配置とした以外は、上記図18と同じ計算条件、主要諸元である。
【0074】
また、図5における縦軸、横軸は図18の場合と同様である。
【0075】
図5(a)、(b)に示すように、本実施例の抵抗素子9の配置においても、上記実施例1と同様に、重錘部3の位置ずれがないときは、隔置距離Bが変化しても、その他軸感度は、ほぼ「0」で一定であり、重錘部3の形成位置がX軸方向に15μmずれたとしても、隔置距離Bに関わらず他軸感度は3%以下で一定となる。
【0076】
本実施例の製造方法は、上記実施例1の製造工程と同様であるので、その説明を省略する。この場合に工程P2において、本実施例の配置に変更された各抵抗素子9を組合せてブリッジ回路を形成するための配線パターンが形成される。
【0077】
このように、抵抗素子の配置を、X軸可撓部およびY軸可撓部のいずれか一対の可撓部、例えばY軸可撓部の一方に配置された第1および第2のY軸抵抗素子Ryと、第1および第2のZ軸抵抗素子Rzとを、それぞれ中心線を挟んで幅方向に対向させて交互に配置し、第1および第2のZ軸抵抗素子Rzと、第3および第4のZ軸抵抗素子Rzとを錘中心Woで直交するX軸を対称線として線対称に配置したことによっても、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0078】
なお、本実施例においては、それぞれのY軸可撓部7c、7dに交互に配置したY軸抵抗素子RyとZ軸抵抗素子Rzとを錘中心Woで直交するX軸5を対称線として線対称に配置するとして説明したが、図6に示すように、交互に配置したY軸抵抗素子RyとZ軸抵抗素子Rzとを錘中心Woを対称点として点対称に配置するようにしても、上記と同様の効果を得ることができる。
【実施例3】
【0079】
図7は実施例3の半導体加速度センサの上面を示す説明図である。
【0080】
なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0081】
図7に示す本実施例の各抵抗素子9の配置は、X軸可撓部7a、7bには、上記実施例1と同様に、各X軸抵抗素子Rxは幅方向の中心線(X軸5)上に1列に並べて配置される。
【0082】
Y軸可撓部7c、7dには、その一方のY軸可撓部7cの外枠部2側に第1のZ軸抵抗素子Rz1が、重錘部3側に第2のZ軸抵抗素子Rz2が、他方のY軸可撓部7dの重錘部3側に第3のZ軸抵抗素子Rz3が、外枠部2側に第4のZ軸抵抗素子Rz4が配置され、第1ないし第4のZ軸抵抗素子Rzは幅方向の中心線であるY軸6上に1列に並べて配置されている。
【0083】
また、Y軸可撓部7c、7dには、中心線上に1列に並べて配置された第1ないし第4のZ軸抵抗素子Rzの図7において上側(X軸可撓部7a側)に第1ないし第4のY軸抵抗素子Ryが、それぞれ幅方向に対向して1列に並べて配置されている。
【0084】
つまり、本実施例の抵抗素子9の配置は、Y軸可撓部7c、7dの中心線上に第1ないし第4のZ軸抵抗素子Rzを並べて配置し、これに第1ないし第4のY軸抵抗素子Ryをそれぞれ幅方向に対向配置し、Y軸可撓部7dに配置される第3および第4のY軸抵抗素子Ry3、Ry4と、Y軸可撓部7cに配置した第1および第2のY軸抵抗素子Ry1、Ry2とが、Y軸6に重錘部3の錘中心Woで直交するX軸5を対称線として線対象に配置されている。
【0085】
Z軸抵抗素子Rzを上記のように中心線上に1列に並べて配置すれば、Y軸可撓部7c、7dに捻れ応力が発生しても第1ないし第4のZ軸抵抗素子Rzに生ずる捻れ応力の応力状態が同じになり、図18に示した他軸感度を参照すれば、その隔置距離Bが「0」のときに相当する他軸感度、つまり重錘部3の位置ずれがないときは他軸感度は、ほぼ「0」で、重錘部3の位置ずれが15μmのときは他軸感度は3%以下で一定になる。
【0086】
本実施例の製造方法は、上記実施例1の製造工程と同様であるので、その説明を省略する。この場合に工程P2において、本実施例の配置に変更された各抵抗素子9を組合せてブリッジ回路を形成するための配線パターンが形成される。
【0087】
このように、抵抗素子の配置を、X軸可撓部およびY軸可撓部のいずれか一対の可撓部、例えばY軸可撓部の中心線上に第1ないし第4のZ軸抵抗素子Rzを1列に並べて配置し、第1および第2のY軸抵抗素子Ryと、第3および第4のY軸抵抗素子Ryとを錘中心Woで直交するX軸を対称線として線対称に配置したことによっても、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0088】
なお、本実施例においては、それぞれのY軸可撓部7c、7dに配置したY軸抵抗素子Ryを錘中心Woで直交するX軸5を対称線として線対称に配置するとして説明したが、線対称の配置は前記に限らず、図7とは逆に、つまり各Z軸抵抗素子Rzの下側に1列に並べて配置しても、図8に示すようにZ軸抵抗素子Rzに対して上側、下側に交互に配置しても、図8とは逆に交互に配置してもよい。このように配置しても上記と同様の効果を得ることができる。
【0089】
また、図9に示すように、Y軸抵抗素子Ryを、錘中心Woを対称点として点対称に配置するようにしても、図9とは逆の点対象に配置しても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0090】
上記各実施例においては、各軸の抵抗素子は、可撓部と外枠部との境界、または可撓部と重錘部との境界から0〜20μm程度の付け根距離Cを離して形成するとして説明したが、その一方または両方を外枠部および/もしくは重錘部上に延在させるようにしてもよい。
【実施例4】
【0091】
図10は実施例4の半導体加速度センサの上面図を示す説明図である。
【0092】
なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0093】
図10に示す本実施例の各抵抗素子9の配置は、X軸可撓部7a、7bには、上記実施例1と同様に、各X軸抵抗素子Rxは幅方向の中心線(X軸5)上に1列に並べて配置される。
【0094】
Y軸可撓部7c、7dには、その一方のY軸可撓部7cの外枠部2側から重錘部3側に向かって第1のY軸抵抗素子Ry1、第1のZ軸抵抗素子Rz1、第2のZ軸抵抗素子Rz2、第2のY軸抵抗素子Ry2の順に配置され、他方のY軸可撓部7dの重錘部3側から外枠部2側に向かって第3のY軸抵抗素子Ry3、第3のZ軸抵抗素子、第4のZ軸抵抗素子、第4のY軸抵抗素子の順に配列され、第1ないし第4のY軸抵抗素子Ry及び第1ないし第4のZ軸抵抗素子Rzは全て幅方向の中心線であるY軸6上に一直線状に並べて配列されている。
【0095】
つまり、本実施例の抵抗素子9の配置は、Y軸可撓部7c、7dの中心線上に第1ないし第4のY軸抵抗素子Ry及び第1ないし第4のZ軸抵抗素子Rzを1列に並べて配置されており、第1のY軸抵抗素子Ry1および第1のZ軸抵抗素子Rz1、第2のY軸抵抗素子Ry2および第2のZ軸抵抗素子Rz2、第3のY軸抵抗素子Ry3および第3のZ軸抵抗素子Rz3、第4のY軸抵抗素子Ry4および第4のZ軸抵抗素子Rz4がそれぞれ中心線上で対向するように形成されている。さらに、本実施例の抵抗素子9は、Y軸可撓部7cに配置されるそれぞれの抵抗素子が第1のY軸抵抗素子Ry1、第1のZ軸抵抗素子Rz1、第2のZ軸抵抗素子Rz2、第2のY軸抵抗素子Ry2の順で配置され、Y軸可撓部7dに配置されるそれぞれの抵抗素子が第3のY軸抵抗素子Ry3、第3のZ軸抵抗素子Rz3、第4のZ軸抵抗素子Rz4、第4のY軸抵抗素子Ry4の順で配置されるため、Y軸6に重錘部3の錘中心Woで直交するX軸5を対称線として線対象、かつ錘中心Woについて点対象に配置されている。
【0096】
このようにY軸抵抗素子Ry、Z軸抵抗素子Rzを全て可撓部の幅の中心線(X軸5)上に配置することにより、例えばX軸方向へ加速度が印加された場合においてもY軸抵抗素子Ry,Z軸抵抗素子Rzは可撓部の中心線から離れている場合に比べて受ける応力が少なくなるため、他軸感度を向上させることができる。
【0097】
図11は、図10のY軸可撓部7cの拡大図であって、第1のY軸抵抗素子Ry1、第2のY軸抵抗素子Ry2、第1のZ軸抵抗素子Rz1、第2のZ軸抵抗素子Rz2の具体的な配置例を示したものである。
Y軸可撓部7cに配置される第1のY軸抵抗素子Ry1、第2のY軸抵抗素子Ry2、第1のZ軸抵抗素子Rz1、第2のZ軸抵抗素子Rz2はそれぞれY軸可撓部7cの重錘部から外枠部に向かう方向の長さの半分の点であって、重錘部から外枠部に向かう方向に垂直な線について線対象に配置されている。
また、可撓部の端部とY軸抵抗素子Ryとの距離aは0〜50μm、可撓部の端部とZ軸抵抗素子Rzとの距離bは40〜180μmに設定される。
【0098】
可撓部は端部に近いほど応力が大きくなり、また、図11における可撓部端部とY軸抵抗素子Ry及びZ軸抵抗素子Rzとの距離がa=bである場合に加速度を検知したときはZ軸の出力電流がY軸の出力電流よりも大きくなる。このように各出力電流がばらつく場合にはそれらを揃えるためにアンプ等を配置して調節することが必要な場合が出てくる。本実施例では、上述のように配置することによって、Z軸方向の応力を抑え、Z軸の出力電流とY軸の出力電流の差を縮めることができる。これによって、前述の場合のような各軸の出力電流を調整するためのアンプ等を配置、調整することが不要となり、より容易に各軸の出力電流を調整することができる。
【0099】
本実施例の製造方法は、上記実施例1の製造工程と同様であるので、その説明を省略する。この場合に工程P2において、本実施例の配置に変更された悪抵抗素子9を組み合わせてブリッジ回路を形成するための配線パターンが形成される。
【0100】
このように、抵抗素子の配置を、X軸可撓部およびY軸可撓部のいずれか一対の可撓部、例えばY軸可撓部の中心線上に第1ないし第4のX軸抵抗素子RxまたはY軸抵抗素子および第1ないし第4のZ軸抵抗素子Rzを1列に並べて配置し、第1ないし第4のX軸抵抗素子RxまたはY軸抵抗素子RyとZ軸抵抗素子Rzとを対向配置させることによって、各軸の出力調整を容易なものとするとともに他軸感度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0101】
1 半導体加速度センサ
1a、11a 上面
2 外枠部
3 重錘部
5 X軸
6 Y軸
7 可撓部
7a、7b X軸可撓部
7c、7d Y軸可撓部
9 抵抗素子
Rx X軸抵抗素子
Rx1〜Rx4 第1〜第4のX軸抵抗素子
Ry Y軸抵抗素子
Ry1〜Ry4 第1〜第4のY軸抵抗素子
Rz Z軸抵抗素子
Rz1〜Rz4 第1〜第4のZ軸抵抗素子
11 半導体ウェハ
11b 裏面
12 上面パターン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外枠部と、該外枠部の中心部に配置された重錘部と、該重錘部の中心である錘中心で、互いに直交するX軸およびY軸と、X軸方向の加速度成分を検出する第1ないし第4のX軸抵抗素子と、Y軸方向の加速度成分を検出する第1ないし第4のY軸抵抗素子と、前記X軸およびY軸にそれぞれ直交するZ軸方向の加速度成分を検出する第1ないし第4のZ軸抵抗素子と、前記X軸およびY軸を幅方向の中心線として、前記外枠部と重錘部とを接続する一対のX軸可撓部および一対のY軸可撓部とを備え、
前記X軸可撓部の、一方の前記外枠部側に第1のX軸抵抗素子を、前記重錘部側に第2のX軸抵抗素子を、他方の前記重錘部側に第3のX軸抵抗素子を、前記外枠部側に第4のX軸抵抗素子を配置し、前記Y軸可撓部の、一方の前記外枠部側に第1のY軸抵抗素子を、前記重錘部側に第2のY軸抵抗素子を、他方の前記重錘部側に第3のY軸抵抗素子を、前記外枠部側に第4のY軸抵抗素子を配置した半導体加速度センサであって、
前記Y軸可撓部の前記Y軸上に一直線状に、前記Y軸可撓部の一方の前記外枠部側から前記重錘部側に向かって前記第1のY軸抵抗素子、前記第1のZ軸抵抗素子、前記第2のZ軸抵抗素子、前記第2のY軸抵抗素子の順にこれらを並べて配置し、前記Y軸可撓部の他方の前記重錘部側から前記外枠部側に向かって前記第3のY軸抵抗素子、前記第3のZ軸抵抗素子、前記第4のZ軸抵抗素子、前記第4のY軸抵抗素子の順にこれらを並べて配置したことを特徴とする半導体加速度センサ。
【請求項1】
外枠部と、該外枠部の中心部に配置された重錘部と、該重錘部の中心である錘中心で、互いに直交するX軸およびY軸と、X軸方向の加速度成分を検出する第1ないし第4のX軸抵抗素子と、Y軸方向の加速度成分を検出する第1ないし第4のY軸抵抗素子と、前記X軸およびY軸にそれぞれ直交するZ軸方向の加速度成分を検出する第1ないし第4のZ軸抵抗素子と、前記X軸およびY軸を幅方向の中心線として、前記外枠部と重錘部とを接続する一対のX軸可撓部および一対のY軸可撓部とを備え、
前記X軸可撓部の、一方の前記外枠部側に第1のX軸抵抗素子を、前記重錘部側に第2のX軸抵抗素子を、他方の前記重錘部側に第3のX軸抵抗素子を、前記外枠部側に第4のX軸抵抗素子を配置し、前記Y軸可撓部の、一方の前記外枠部側に第1のY軸抵抗素子を、前記重錘部側に第2のY軸抵抗素子を、他方の前記重錘部側に第3のY軸抵抗素子を、前記外枠部側に第4のY軸抵抗素子を配置した半導体加速度センサであって、
前記Y軸可撓部の前記Y軸上に一直線状に、前記Y軸可撓部の一方の前記外枠部側から前記重錘部側に向かって前記第1のY軸抵抗素子、前記第1のZ軸抵抗素子、前記第2のZ軸抵抗素子、前記第2のY軸抵抗素子の順にこれらを並べて配置し、前記Y軸可撓部の他方の前記重錘部側から前記外枠部側に向かって前記第3のY軸抵抗素子、前記第3のZ軸抵抗素子、前記第4のZ軸抵抗素子、前記第4のY軸抵抗素子の順にこれらを並べて配置したことを特徴とする半導体加速度センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−83363(P2012−83363A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−6577(P2012−6577)
【出願日】平成24年1月16日(2012.1.16)
【分割の表示】特願2007−177211(P2007−177211)の分割
【原出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(308033711)ラピスセミコンダクタ株式会社 (898)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年1月16日(2012.1.16)
【分割の表示】特願2007−177211(P2007−177211)の分割
【原出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(308033711)ラピスセミコンダクタ株式会社 (898)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]