説明

半導体回路及び半導体回路の信号取込方法

【課題】異なる入力方式で入力される信号を入力方式に応じて適切に取り込むことができる、半導体回路及び半導体回路の信号取込方法を提供する。
【解決手段】差動入力方式の場合には、差動入力回路16は、P側入力端子12に入力されたデータ信号及びN側入力端子14に入力されたデータ信号が入力される差動アンプ30の出力信号outから、DFFN32がクロック信号の立ち下がりのタイミングでEVENデータを取り込む。また、出力信号outから、DFF34がクロック信号の立ち上がりのタイミングでODDデータを取り込む。シングル入力方式の場合には、シングル入力回路18は、P側入力端子12に入力されたODDデータを取り込むためのデータ信号からDFF44がODDデータを取り込むと共に、N側入力端子14に入力されたEVENデータを取り込むためのデータ信号からDFF45がEVENデータを取り込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体回路及び半導体回路の信号取込方法、特に差動入力方式及びシングル入力方式の両方の入力方式に対応した入力回路である半導体回路及び当該半導体回路の信号取込方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、液晶ディスプレイが広く使用されている。液晶パネルとしては、例えばTFT(Thin Film Transistor)を用いた液晶ディスプレイが挙げられる。
【0003】
液晶ディスプレイに画像を表示させるための駆動回路として、ソースドライバがある。ソースドライバは、タイミングコントローラから液晶ディスプレイに画像を表示させるためのデータ信号及び制御信号を受信し、液晶ディスプレイの信号線に出力する、液晶ディスプレイの駆動回路である。
【0004】
ソースドライバの出力は、液晶ディスプレイの焼きつきを防止するために、液晶ディスプレイにデータ信号を出力する出力端子の極性を、1端子おきに切り替えている。そのため、偶数端子をEVEN、奇数端子をODDとしてグループ分けし、グループ毎に出力制御を行っている。当該出力制御に対応するために、入力信号もEVEN、ODDで区別される。
【0005】
ソースドライバの信号の入力方式には、大別して2種類の入力方式がある。RSDS入力方式のような差動入力方式と、CMOS入力方式のようなシングル入力方式が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
従来のソースドライバの入力回路における差動入力方式(RSDS入力方式)でのデータ取り込みの一例のタイムチャートを図2に示す。差動入力方式では、クロック(CLK)信号の立ち下がりで入力信号からEVEV信号を取り込むと共に、CLK信号の立ち上がりでODD信号を取り込む。P側入力信号が入力されるP端子と、N側入力信号(例えば、P側入力信号が反転された信号)が入力されるN端子と、2つの入力系統を持ち、P側入力信号とN側入力信号との電圧差で入力信号の「L」レベル及び「H」レベルを認識する。そのため、P側入力信号及びN側入力信号の振幅が小さいため、ノイズの発生を低減できるというメリットがある。その一方、1つのデータ入力に対し、入力端子が2個(P端子及びN端子)必要というデメリットがある。
【0007】
一方、従来のソースドライバの入力回路におけるシングル入力方式(CMOS入力方式)でのデータ取り込みの一例のタイムチャートを図7に示す。シングル入力方式では、CLK信号の最初の立ち上がりで入力信号からEVEN信号を取り込むと共に、CLK信号の次の立ち上がりで入力信号からODD信号を取り込む。入力信号の電圧レベルで入力信号の「L」レベル及び「H」レベルを認識する。そのため、1つのデータ入力に対し、入力端子は、1個でよいというメリットがある。その一方、入力信号の振幅が大きくなるため、発生するノイズが差動入力方式に比べて、大きくなる場合があるというデメリットがある。
【0008】
差動入力方式及びシングル入力方式のいずれの入力方式を採用するかは、使用目的によって異なる。ソースドライバの入力方式は、タイミングコントローラの出力方式に合わせて設計する必要があるが、ソースドライバに汎用性を持たせるためには、差動入力方式及びシングル入力方式のいずれにも対応できるよう、両方式の入力回路を備え、モード(差動入力方式またはシングル入力方式)の切り替えで入力方式を選択できるようなソースドライバの入力回路が必要とされている。
【0009】
差動入力方式及びシングル入力方式の両方に対応できる入力回路としては、例えば特許文献2に記載の技術が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−338727号公報
【特許文献2】特開2009−111794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
一般に従来のソースドライバの入力回路では、上述のように差動入力方式では1つのデータ入力に対して2個の入力端子が必要となるが、シングル入力方式では1個の入力端子でよい。このような方式が異なる2種類の入力方式に入力回路を対応させるには、以下の2つの手段が挙げられる。
【0012】
1.差動入力方式の場合に入力信号が入力される差動用入力端子と、シングル入力方式の場合に入力信号が入力されるシングル用入力端子を別個に設ける。
【0013】
2.差動入力方式の場合とシングル入力方式の場合とで入力信号が入力される入力端子を共用させる。
【0014】
上記1.に示した手段では、入力端子数が増加し、チップサイズが増加するという問題がある。一方、上記2.に示した手段では、シングル入力方式の場合に、未使用となる入力端子が出てくるため、未使用となる入力端子に対する処理(基板上での配線処理、デバイス内部での入力固定化)が必要となる。そのため、入力方式によって基板の配線を変更する必要が生じてしまうという問題がある。また入力固定化により、P側入力端子とN側入力端子とでは、負荷が異なってくるため、差動入力方式の場合の特性に影響が生じるという問題がある。
【0015】
本発明は、上述した問題を解決するために提案されたものであり、異なる入力方式で入力される信号を入力方式に応じて適切に取り込むことができる、半導体回路及び半導体回路の信号取込方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の半導体回路は、入力方式が差動入力方式の場合には第1の差動信号が入力され、かつ入力方式がシングル入力方式の場合には第1の出力用の信号が入力される第1の端子と、入力方式が前記差動入力方式の場合には前記第1の差動信号と異なる第2の差動信号が入力され、かつ入力方式が前記シングル入力方式の場合には第2の出力用の信号が入力される第2の端子と、入力方式が前記差動入力方式か前記シングル入力方式かを表す方式信号に基づいて、入力方式が前記シングル入力方式の場合には、信号の取り込みタイミングを表すクロック信号に基づいたタイミングで前記第1の端子から入力された前記第1の出力用の信号を取り込んで、第1の出力信号として出力すると共に、前記クロック信号に基づいた前記タイミングで前記第2の端子から入力された前記第2の出力用の信号を取り込んで第2の出力信号として出力するシングル入力回路と、入力方式が前記差動入力方式の場合には、前記第1の端子から入力された前記第1の差動信号と、前記第2の端子から入力された前記第2の差動信号との差に応じて差動電圧信号を出力する差動アンプを備え、前記差動アンプから出力された前記差動電圧信号を、前記クロック信号に基づいた第1のタイミングで取り込んで前記第1の出力信号として出力し、かつ前記クロック信号に基づいた前記第1のタイミングと異なる第2のタイミングで前記差動電圧信号を取り込んで前記第2の出力信号として出力する差動入力回路と、を備えた。
【0017】
請求項2に記載の半導体回路は、請求項1に記載の半導体回路において、前記シングル入力回路は、前記クロック信号の立ち上がりに基づいたタイミングで、前記第1の端子から入力された前記第1の出力用の信号を取り込んで、前記第1の出力信号として出力すると共に、前記第2の端子から入力された前記第2の出力用の信号を取り込んで前記第2の出力信号として出力する。
【0018】
請求項3に記載の半導体回路は、請求項1または請求項2に記載の半導体回路において、前記差動入力回路は、前記クロック信号の立ち上がりに基づいた前記第1のタイミングで取り込んで前記第2の出力信号として出力し、かつ前記クロック信号の立ち下がりに基づいた前記第2のタイミングで前記差動電圧信号を取り込んで前記第1の出力信号として出力する。
【0019】
請求項4に記載の半導体回路は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体回路において、前記方式信号に基づいて、入力方式が前記差動入力方式の場合には、前記差動入力回路から出力された前記第1の出力信号及び前記第2の出力信号を選択し、入力方式が前記シングル入力方式の場合には、前記シングル入力回路から出力された前記第1の出力信号及び前記第2の出力信号を選択する選択回路を備えた。
【0020】
請求項5に記載の半導体回路の信号取込方法は、入力方式がシングル入力方式の場合には、第1の端子に第1の出力用の信号が入力されると共に、第2の端子に第2の出力用の信号が入力され、かつ、シングル入力回路が、信号の取り込みタイミングを表すクロック信号に基づいたタイミングで前記第1の端子から入力された前記第1の出力用の信号を取り込んで、第1の出力信号として出力すると共に、前記クロック信号に基づいた前記タイミングで前記第2の端子から入力された前記第2の出力用の信号を取り込んで第2の出力信号として出力し、入力方式が前記差動入力方式の場合には、前記第1の端子に第1の差動信号が入力されると共に、前記第2の端子に前記第1の差動信号と異なる第2の差動信号が入力され、かつ、前記第1の端子から入力された前記第1の差動信号と、前記第2の端子から入力された前記第2の差動信号との差に応じて差動電圧信号を出力する差動アンプを備えた差動入力回路が、前記差動アンプから出力された前記差動電圧信号を、前記クロック信号に基づいた第1のタイミングで取り込んで前記第1の出力信号として出力し、かつ前記クロック信号に基づいた前記第1のタイミングと異なる第2のタイミングで前記差動電圧信号を取り込んで前記第2の出力信号として出力する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、異なる入力方式で入力される信号を入力方式に応じて適切に取り込むことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施の形態に係る入力回路の概略構成の一例を示す概略構成図である。
【図2】本実施の形態に係る入力回路における差動入力方式でのデータ取り込みの一例を説明するためのタイムチャートである。
【図3】本実施の形態に係る入力回路におけるシングル入力方式でのデータ取り込みの一例を説明するためのタイムチャートである。
【図4】本実施の形態に係る入力回路の差動入力回路のDFFNの一例を示す回路図である。
【図5】本実施の形態に係る入力回路の差動入力回路及びシングル入力回路のDFFの一例を示す回路図である。
【図6】本実施の形態に係る入力回路のセレクタの一例を示す回路図である。
【図7】従来のソースドライバの入力回路におけるシングル入力方式でのデータ取り込みの一例を説明するためのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の半導体回路について詳細に説明する。なお、本実施の形態では、液晶ディスプレイのソースドライバに入力信号を取り込むための入力回路である半導体回路について詳細に説明する。
【0024】
本実施の形態の入力回路の概略構成の一例の概略構成図を図1に示す。また、本実施の形態の入力回路10における差動入力方式でのデータ取り込みの一例のタイムチャートを図2に、シングル入力方式でのデータ取り込みの一例のタイムチャートを図3に示す。
【0025】
図1に示した本実施の形態の入力回路10は、P側入力端子12、N側入力端子14、差動入力回路16、シングル入力回路18、及びセレクタ20、21を備えて構成されている。入力回路10には、図示を省略したタイミングコントローラからデータ信号及び制御信号(rsds_clk、cmos_clk、ifsel)が入力される。なお制御信号rsds_clk及びcmos_clkは、それぞれデータを差動入力回路16及びシングル入力回路18に取り込むためのタイミングを規定するためのクロック信号である。また、制御信号ifselは、入力方式が差動入力方式及びシングル入力方式のいずれであるかを示す方式信号であり、本実施の形態では、具体的一例として、方式信号ifselが「L」レベルの場合は、差動入力方式を示しており、一方、方式信号ifselが「H」レベルの場合は、シングル入力方式を示している。
【0026】
本実施の形態の入力回路10は、タイミングコントローラから入力されたデータ信号から液晶ディスプレイ(図示省略)のEVEN(偶数)端子に印加するためのEVENデータ、及びODD(奇数)端子に印加するためのODDデータを取り込み、ソースドライバの後段の回路に出力する機能を有している。
【0027】
本実施の形態のP側入力端子12は、差動入力方式の場合には、図2に示したような差動信号がタイミングコントローラから入力される。また、シングル入力方式の場合には、図3に示したようなODDデータを取り込むためのデータ信号が入力される。
【0028】
一方、本実施の形態のN側入力端子14は、差動入力方式の場合には、図2に示したような差動信号がタイミングコントローラから入力される。また、シングル入力方式の場合には、図3に示したようなEVENデータを取り込むためのデータ信号が入力される。
【0029】
差動入力回路16は、差動入力方式に対応するインターフェースであり、差動入力方式の場合に、データ信号からODDデータ及びEVENデータを取り込む機能を有している。
【0030】
本実施の形態の差動入力回路16は、差動アンプ30、DFFN32、及びDFF34を備えて構成されている。差動アンプ30は、差動入力方式の場合に、P側入力端子12から入力されたデータ信号(図2、入力データP側参照)と、N側入力端子14から入力されたデータ信号(図2、入力データN側参照)と、から差動電圧信号out(図2、差動アンプ出力out)を生成し、出力する機能を有している。
【0031】
DFFN32は、差動アンプ30から出力された差動アンプ出力outから、クロック信号(rsds_clk、図2、入力CLK参照)に基づいて、クロック信号の立ち下がりのタイミングでEVENデータを取り込む機能を有している。また、取り込んだEVENデータ(図1、rsds_e)をセレクタ20に出力する機能を有している。
【0032】
本実施の形態のDFFN32の具体的一例の回路図を図4に示す。本実施の形態のDFFN32は、フリップフロップ回路であり、インバータ50、51、52、53、54、62、63、64、65、及びPMOS、NMOS一対のMOSトランジスタ56、58、60を含んで構成されている。
【0033】
MOSトランジスタ56のPMOSのゲートは、クロック信号のレベルがインバータ50で反転された反転信号が出力される信号線66に接続されており、一方NMOSのゲートは、クロック信号のレベルがインバータ50で反転された反転信号がさらにインバータ51で反転された、すなわちクロック信号と同じレベルの信号が出力される信号線67に接続されている。MOSトランジスタ58のPMOSのゲートは、信号線67に接続されており、一方NMOSのゲートは、信号線66に接続されている。また、MOSトランジスタ60のPMOSのゲートは、信号線66に接続されており、一方NMOSのゲートは、信号線67に接続されている。
【0034】
インバータ52の入力はインバータ62の出力に接続されており、また、インバータ52の出力はインバータ62の入力に接続されている。インバータ52は、信号線66、67に接続されており、信号線66を流れる信号、及び信号線67を流れる信号の反転信号によって駆動が制御される。インバータ53の入力はインバータ63の出力に接続されており、また、インバータ53の出力はインバータ63の入力に接続されている。インバータ53は、信号線66、67に接続されており、信号線66を流れる信号の反転信号、及び信号線67を流れる信号によって駆動が制御される。また、インバータ54の入力はインバータ64の出力に接続されており、また、インバータ54の出力はインバータ64の入力に接続されている。インバータ54は、信号線66、67に接続されており、信号線66を流れる信号、及び信号線67を流れる信号の反転信号によって駆動が制御される。
【0035】
一方、DFF34は、差動アンプ30から出力された差動アンプ出力outから、クロック信号(rsds_clk、図2、入力CLK参照)に基づいて、クロック信号の立ち上がりのタイミングでODDデータを取り込む機能を有している。また、取り込んだODDデータ(図1、rsds_o)をセレクタ20に出力する機能を有している。
【0036】
本実施の形態のDFF34の具体的一例の回路図を図5に示す。本実施の形態のDFF34は、フリップフロップ回路であり、インバータ70、71、73、74、83、84、及びPMOS、NMOS一対のMOSトランジスタ76、78を含んで構成されている。
【0037】
MOSトランジスタ78のNMOSのゲートは、クロック信号のレベルがインバータ70で反転された反転信号が出力される信号線86に接続されており、一方PMOSのゲートは、クロック信号のレベルがインバータ70で反転された反転信号がさらにインバータ71で反転された、すなわちクロック信号と同じレベルの信号が出力される信号線87に接続されている。また、MOSトランジスタ80のNMOSのゲートは、信号線87に接続されており、一方PMOSのゲートは、信号線86に接続されている。
【0038】
インバータ73の入力はインバータ83の出力に接続されており、また、インバータ73の出力はインバータ83の入力に接続されている。インバータ83は、信号線86、87に接続されており、信号線86を流れる信号の反転信号、及び信号線87を流れる信号によって駆動が制御される。また、インバータ74の入力はインバータ84の出力に接続されており、また、インバータ74の出力はインバータ84の入力に接続されている。インバータ74は、信号線86、87に接続されており、信号線86を流れる信号、及び信号線87を流れる信号の反転信号によって駆動が制御される。
【0039】
差動入力回路16における差動入力方式の場合のデータ信号の取り込み動作について図2、4、5を参照して説明する。
【0040】
DFFN32では、クロック信号が「H」レベルの場合、信号線66を流れる信号のレベルは「L」であり、信号線67を流れる信号のレベルは「H」になる。これにより、MOSトランジスタ56、60はオン状態になり、MOSトランジスタ58はオフ状態になる。また、インバータ52、54の駆動が抑えられ、インバータ53が駆動する。一方、クロック信号が「L」レベルの場合、信号線66を流れる信号のレベルは「H」であり、信号線67を流れる信号のレベルは「L」になる。これにより、MOSトランジスタ56、60はオフ状態になり、MOSトランジスタ58はオン状態になる。また、インバータ52、54が駆動し、インバータ53の駆動が抑えられる。従って、DFFN32では、クロック信号が「H」レベルから「L」レベルになる立ち下がりの際に、データ信号が取り込まれる。
【0041】
一方、DFF34では、クロック信号が「L」レベルの場合、信号線86を流れる信号のレベルは「H」であり、信号線87を流れる信号のレベルは「L」になる。これにより、MOSトランジスタ78はオン状態になり、MOSトランジスタ80はオフ状態になる。また、インバータ73の駆動が抑えられ、インバータ74が駆動する。一方、クロック信号が「H」レベルの場合、信号線86を流れる信号のレベルは「L」であり、信号線87を流れる信号のレベルは「H」になる。これにより、MOSトランジスタ78はオフ状態になり、MOSトランジスタ80はオン状態になる。また、インバータ73が駆動し、インバータ74の駆動が抑えられる。従って、DFF34では、クロック信号が「L」レベルから「H」レベルになる立ち上がりの際に、データ信号が取り込まれる。
【0042】
このように、図2に示すように、本実施の形態では、クロック信号の立ち下がりの際に、差動アンプ出力outからEVENデータが取り込まれる。また、クロック信号の立ち上がりの際に、差動アンプ出力outからODDデータが取り込まれる。また、ODDデータ及びEVENデータ、一対のデータ(図2、1stデータ等参照)を本実施の形態では、クロック信号の1周期分で取り込む。
【0043】
一方、シングル入力回路18は、シングル入力方式に対応するインターフェースであり、シングル入力方式の場合に、ODDデータを取り込むためのデータ信号からODDデータを取り込むと共に、EVENデータを取り込むためのデータ信号からEVENデータを取り込む機能を有している。
【0044】
本実施の形態のシングル入力回路18は、NAND回路40、41、インバータ42、43、及びDFF44、45を備えて構成されている。
【0045】
NAND回路40には、P側入力端子12から入力されたODDデータを取り込むためのデータ信号と、制御信号ifselとが入力される。従って、シングル入力方式の場合(制御信号ifselが「H」レベルの場合)は、入力されたデータ信号の反転信号が出力される。当該反転信号はインバータ42により反転され、P側入力端子12に入力されたデータ信号と同じレベルの信号outpがDFF44に入力される。同様に、NAND回路41には、N側入力端子14から入力されたEVENデータを取り込むためのデータ信号と、制御信号ifselとが入力される。従って、シングル入力方式の場合(制御信号ifselが「H」レベルの場合)は、入力されたデータ信号の反転信号が出力される。当該反転信号はインバータ43により反転され、N側入力端子14に入力されたデータ信号と同じレベルの信号outnがDFF45に入力される。なお、NAND回路40、41いずれも、差動入力方式の場合(制御信号ifselが「L」レベルの場合)は、入力されたデータ信号のレベルにかかわらず、「H」レベルの信号が出力される。従って、入力されたデータ信号のレベルにかかわらず、信号outp、outnはいずれも「L」レベルの信号となる。
【0046】
DFF44は、信号outpから、クロック信号(cmos_clk、図3、入力CLK参照)に基づいて、クロック信号の立ち上がりのタイミングでODDデータを取り込む機能を有している。また、取り込んだODDデータ(図1、cmos_o)をセレクタ21に出力する機能を有している。同様に、DFF45は、信号outnから、クロック信号(cmos_clk、図3、入力CLK参照)に基づいて、クロック信号の立ち上がりのタイミングでEVENデータを取り込む機能を有している。また、取り込んだEVENデータ(図1、cmos_e)をセレクタ20に出力する機能を有している。
【0047】
本実施の形態では、DFF44、45はいずれも同一構造のフリップフロップ回路として構成しており、また、差動入力回路16のDFF34と同一構造(図5参照)としている。なお、これに限らず、例えばDFF44、45とDFF34とは構造が異なる回路であってもよい。
【0048】
シングル入力回路18におけるシングル入力方式の場合のデータ信号の取り込み動作について図3、5を参照して説明する。
【0049】
DFF44、45では、クロック信号が「L」レベルの場合、信号線86を流れる信号のレベルは「H」であり、信号線87を流れる信号のレベルは「L」になる。これにより、MOSトランジスタ78はオン状態になり、MOSトランジスタ80はオフ状態になる。また、インバータ73の駆動が抑えられ、インバータ74が駆動する。一方、クロック信号が「H」レベルの場合、信号線86を流れる信号のレベルは「L」であり、信号線87を流れる信号のレベルは「H」になる。これにより、MOSトランジスタ78はオフ状態になり、MOSトランジスタ80はオン状態になる。また、インバータ73が駆動し、インバータ74の駆動が抑えられる。従って、DFF34では、クロック信号が「L」レベルから「H」レベルになる立ち上がりの際に、データ信号が取り込まれる。
【0050】
このように、本実施の形態では、DFF44では、クロック信号の立ち上がりの際に、P側入力端子12から入力されたデータ信号からODDデータが取り込まれる。また、DFF45では、クロック信号の立ち上がりの際、に、N側入力端子14から入力されたデータ信号からEVENデータが取り込まれる。すなわち、本実施の形態のシングル入力回路18では、同一タイミングでODDデータ及びEVENデータの両方共が取り込まれる。また、ODDデータ及びEVENデータ、一対のデータ(図3、1stデータ等参照)を本実施の形態では、クロック信号が立ち上がるタイミング毎に取り込む。従来のソースドライバの入力回路では、図7に示したタイミングチャートから分かるように、差動入力方式と同様にクロック信号が立ち上がるタイミング2回で一対のデータを取得していたが、本実施の形態のシングル入力回路18では、上述のように、クロック信号が立ち上がるタイミング毎に一対のデータが取得できるため、従来の入力回路に比べて、データ信号の取り込み時間を短縮することができる。例えば、従来に比べて約2倍の速度でデータ信号の取り込みが可能となる。
【0051】
さらに、本実施の形態の入力回路10では、上述のようにセレクタ20、セレクタ21を備えている。セレクタ20により制御信号ifselに基づいて、差動入力方式の場合には差動入力回路16の出力が選択され、かつ、シングル入力方式の場合にはシングル入力回路18の出力が選択され、EVENデータとして出力される。セレクタ21により制御信号ifselに基づいて、差動入力方式の場合には差動入力回路16の出力が選択され、かつ、シングル入力方式の場合にはシングル入力回路18の出力が選択され、ODDデータとして出力される。
【0052】
本実施の形態のセレクタ20、21の具体的一例の回路図を図6に示す。本実施の形態ではセレクタ20、21は同一構造としており、セレクタ20、21は、PMOS、NMOS一対のMOSトランジスタ90、92、及びインバータ93、94、95を含んで構成されている。MOSトランジスタ90のPMOSのゲート及びMOSトランジスタ92のNMOSのゲートには、制御信号ifselが印加される。一方、MOSトランジスタ90のNMOSのゲート及びMOSトランジスタ92のPMOSのゲートには、制御信号ifselがインバータ85で反転された反転信号が印加される。
【0053】
従って、差動入力方式の場合(制御信号ifselが「L」レベルの場合)には、MOSトランジスタ90がオン状態になり、MOSトランジスタ92がオフ状態になるため、差動入力回路16からの出力が選択され、インバータ93、94を介して出力される。一方、シングル入力方式の場合(制御信号ifselが「H」レベルの場合)には、MOSトランジスタ90がオフ状態になり、MOSトランジスタ92がオン状態になるため、シングル入力回路18からの出力が選択され、インバータ93、94を介して出力される。
【0054】
以上説明したように、本実施の形態の入力回路10は、P側入力端子12、N側入力端子14、差動入力回路16、シングル入力回路18、及びセレクタ20を備えて構成されている。差動入力方式の場合(制御信号ifselが「L」レベルの場合)には、差動入力回路16は、P側入力端子12に入力されたデータ信号が非反転端子に入力されると共に、N側入力端子14に入力されたデータ信号が反転端子に入力される差動アンプ30の出力信号outから、DFFN32がクロック信号(rsds_clk)の立ち下がりのタイミングでEVENデータを取り込む。また、出力信号outから、DFF34がクロック信号(rsds_clk)の立ち上がりのタイミングでODDデータを取り込む。
【0055】
一方、シングル入力方式の場合(制御信号ifselが「L」レベルの場合)には、シングル入力回路18は、P側入力端子12に入力されたODDデータを取り込むためのデータ信号からDFF44がODDデータを取り込むと共に、N側入力端子14に入力されたEVENデータを取り込むためのデータ信号からDFF45がEVENデータを取り込む。
【0056】
このように、本実施の形態の入力回路10では、差動入力方式及びシングル入力方式のように異なる入力方式であっても、いずれも、P側入力端子12及びN側入力端子14を使用するため、入力方式にかかわらず、使用する入力端子が同じになる。
【0057】
これにより、入力回路10を備えるソースドライバを使用するユーザ側としては、異なる入力方式(差動入力方式及びシングル入力方式)であっても、基板を共通化して使用できる。
【0058】
また、ソースドライバを設計する設計者側としては、入力端子を差動入力方式とシングル入力方式とで別個に設けた場合では、差動入力回路16及びシングル入力回路18を近くに配置することが困難であったものを、使用する入力端子を共通化したことにより、近くに配置することができるようになり、デバイス内部における配線負荷も合わせ易くなり、タイミングの調整が容易になる。
【0059】
また、使用する入力端子を差動入力方式とシングル入力方式とで共通化したことにより、入力端子を差動入力方式とシングル入力方式とで別個に設けた場合に比べて、チップサイズが縮小できる。
【0060】
さらに、従来のようにシングル入力方式の場合に、差動入力方式の際に使用する2つの入力端子(P側入力端子12、N側入力端子14)のいずれかの入力端子のみを使用してデータ信号が入力されるものではなく、2つの入力端子共にデータ信号が入力されるため、未使用の入力端子が無くなる。未使用の入力端子が無くなることにより、未使用入力端子に対する処理(基板上での配線処理、デバイス内部での入力固定化)が不要となる。従って、チップサイズが縮小できる。また、配線負荷が減るため高速動作につながる。さらに、P側の入力負荷とN側の入力負荷が同等になるため、差動入力方式の場合の調整が容易になる。
【0061】
またさらに、シングル入力方式の場合では、同一のタイミングでODDデータ及びEVENデータの両方共に取り込むため、従来に比べて、データの取り込み時間が短くなる。
【0062】
なお、上述した差動入力回路16、シングル入力回路18の構成、特にDFFN32、DFF34、44、45の具体的構成は、一例であり、当該構成に限定されない。
【0063】
また、データを取り込むタイミングも上述のタイミングに限らない。例えば、上述では、差動入力方式の場合では、クロック信号が立ち上がるタイミングでODDデータを取り込み、立ち下がるタイミングでEVENデータを取り込んでいるが、逆に、クロック信号が立ち下がるタイミングでODDデータを取り込み、立ち上がるタイミングでEVENデータを取り込むものであってもよい。また、例えば、上述では、シングル入力方式の場合では、クロック信号が立ち上がるタイミングでODDデータ及びEVENデータを取り込んでいるが、クロック信号が立ち下がるタイミングでODDデータ及びEVENデータを取り込むようにしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
10 入力回路
12 P側入力端子
14 N側入力端子
16 差動入力回路
18 シングル入力回路
20、21 セレクタ
30 差動アンプ
32 DFFN(フリップフロップ回路)
34、44、45 DFF(フリップフロップ回路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力方式が差動入力方式の場合には第1の差動信号が入力され、かつ入力方式がシングル入力方式の場合には第1の出力用の信号が入力される第1の端子と、
入力方式が前記差動入力方式の場合には前記第1の差動信号と異なる第2の差動信号が入力され、かつ入力方式が前記シングル入力方式の場合には第2の出力用の信号が入力される第2の端子と、
入力方式が前記差動入力方式か前記シングル入力方式かを表す方式信号に基づいて、入力方式が前記シングル入力方式の場合には、信号の取り込みタイミングを表すクロック信号に基づいたタイミングで前記第1の端子から入力された前記第1の出力用の信号を取り込んで、第1の出力信号として出力すると共に、前記クロック信号に基づいた前記タイミングで前記第2の端子から入力された前記第2の出力用の信号を取り込んで第2の出力信号として出力するシングル入力回路と、
入力方式が前記差動入力方式の場合には、前記第1の端子から入力された前記第1の差動信号と、前記第2の端子から入力された前記第2の差動信号との差に応じて差動電圧信号を出力する差動アンプを備え、前記差動アンプから出力された前記差動電圧信号を、前記クロック信号に基づいた第1のタイミングで取り込んで前記第1の出力信号として出力し、かつ前記クロック信号に基づいた前記第1のタイミングと異なる第2のタイミングで前記差動電圧信号を取り込んで前記第2の出力信号として出力する差動入力回路と、
を備えた半導体回路。
【請求項2】
前記シングル入力回路は、前記クロック信号の立ち上がりに基づいたタイミングで、前記第1の端子から入力された前記第1の出力用の信号を取り込んで、前記第1の出力信号として出力すると共に、前記第2の端子から入力された前記第2の出力用の信号を取り込んで前記第2の出力信号として出力する、請求項1に記載の半導体回路。
【請求項3】
前記差動入力回路は、前記クロック信号の立ち上がりに基づいた前記第1のタイミングで取り込んで前記第2の出力信号として出力し、かつ前記クロック信号の立ち下がりに基づいた前記第2のタイミングで前記差動電圧信号を取り込んで前記第1の出力信号として出力する、請求項1または請求項2に記載の半導体回路。
【請求項4】
前記方式信号に基づいて、入力方式が前記差動入力方式の場合には、前記差動入力回路から出力された前記第1の出力信号及び前記第2の出力信号を選択し、入力方式が前記シングル入力方式の場合には、前記シングル入力回路から出力された前記第1の出力信号及び前記第2の出力信号を選択する選択回路を備えた、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体回路。
【請求項5】
入力方式がシングル入力方式の場合には、第1の端子に第1の出力用の信号が入力されると共に、第2の端子に第2の出力用の信号が入力され、かつ、シングル入力回路が、信号の取り込みタイミングを表すクロック信号に基づいたタイミングで前記第1の端子から入力された前記第1の出力用の信号を取り込んで、第1の出力信号として出力すると共に、前記クロック信号に基づいた前記タイミングで前記第2の端子から入力された前記第2の出力用の信号を取り込んで第2の出力信号として出力し、
入力方式が前記差動入力方式の場合には、前記第1の端子に第1の差動信号が入力されると共に、前記第2の端子に前記第1の差動信号と異なる第2の差動信号が入力され、かつ、前記第1の端子から入力された前記第1の差動信号と、前記第2の端子から入力された前記第2の差動信号との差に応じて差動電圧信号を出力する差動アンプを備えた差動入力回路が、前記差動アンプから出力された前記差動電圧信号を、前記クロック信号に基づいた第1のタイミングで取り込んで前記第1の出力信号として出力し、かつ前記クロック信号に基づいた前記第1のタイミングと異なる第2のタイミングで前記差動電圧信号を取り込んで前記第2の出力信号として出力する、
半導体回路の信号取込方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−44256(P2012−44256A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180979(P2010−180979)
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(308033711)ラピスセミコンダクタ株式会社 (898)
【Fターム(参考)】