説明

半導体基板用クランプ機構及び基板搬送方法

【課題】ウエハの背面及び外周への不所望な膜形成を効果的に防止するクランプ機構を与える。
【解決手段】半導体基板用のクランプ機構は、C形ピックアッププレート、該C形ピックアッププレートの内周部を受けて支持するように適応された外周を有するサセプタトッププレートと、(i)トップリング部とサセプタトッププレートとの間で基板の外周をサンドイッチすることにより基板をクランプするためのトップリング部と、(ii)C形ピックアッププレートの外周部を支持するよう適応されたピックアッププレート支持部とを含むクランプ部材であって、C形ピックアッププレートはトップリング部とピックアッププレート支持部との間で移動可能であり、クランプ部材はC形ピックアッププレート及びサセプタトッププレートとともに上方に移動可能であるところのクランプ部材と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、概して、半導体基板のクランプ機構及びそれを使って半導体基板を搬送するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエハクランプ機構の無い従来のウエハピン搬送方法または装置を使って、薄膜を形成する際、励起されたガスがウエハのエッジ及び背面に接触し、これらの領域に膜が形成される。ウエハの背面または他の不所望な領域に膜が形成されると、次の工程での装置の汚染を防止するために膜が形成された後にウエハの背面等をクリーニングしなければならず、このクリーニングは金属膜が形成される処理において特に重要となる。このクリーニング処理のために、生産性の低下は不可避となる。
【0003】
図7(a)から図7(c)は、ウエハピン搬送方法を使った従来の構造の拡大略示図である。図7(c)は、ウエハが搬入される際の状態を示し、ここでウエハ15はロボットハンド20上に載置され、サセプタ34上の特定の位置まで搬送される。ウエハリフトピン35(通常、3本のリフトピンが存在する)はサセプタ34内に設けられたピンホール(貫通孔)を貫通し、突出する。図7(b)はウエハの搬入が終了したときの状態を示しており、ここでロボットハンド20は下降し、ウエハ15をリフトピン35の上端部に配置し、一方サセプタ34は上昇し、ウエハはリフトピン35の上端部が下方に残ったままでサセプタ34上に載置され、ウエハの搬送が完了する。図7(a)は、処理中の状態を示しており、ここでウエハ15はサセプタ34上に載置された状態で処理位置まで上昇し、チャンバ壁31の突起部に配置されたガイドリング32上のクランプ33がウエハ15の外周部と接触し、この状態でクランプ33が持ち上げられてウエハ15の外周部がクランプされる。ガイドリング32から分離されているとき、クランプ33はサセプタの外周及びウエハの外周に配置され、ウエハのエッジ及び背面への膜の形成を減少させるためにウエハを外周部でクランプする。処理の終了からウエハ搬出までは、同じ工程が逆の順序で行われる。
【0004】
しかし、膜を形成するために複数のプロセスガスが連続して変更されるところの原子層堆積処理において、ガス変更及びパージ工程の各々において圧力変化が特に大きく、ウエハリフトピン用の貫通孔を通じて搬送チャンバから反応チャンバへ流れるガスを防止することができない。このため、ガスが素早く変更されなければならないところのALD装置において、ガス変更に要する時間が増加し、パーティクルが生成される。また、従来のクランプを使用する際、ウエハをサセプタ上の適切な位置に配置するためには、A(チャンバ壁とガイドリングに対するマージン)+B(ガイドリングとクランプに対するマージン)+C(クランプとサセプタに対するマージン)+D(サセプタ上面とウエハに対するマージン)+E(ロボットの搬送精度)を考慮する必要がある。各部品は異なる材料で作られ、異なる温度に晒されるため、各部品の膨張係数、加工精度及び安全ファクタを考慮すると、約1mmのマージンが必要である。したがって、ウエハの背面への膜形成を完全に防止するにはウエハの外周部が1.5mmまたはそれ以上だけクランプされるような構造が必要となる。この場合、最悪のレベルの位置ずれは、ウエハの外周部周辺において最大で2.5mm最小で0.5mmの寸法の膜が形成されない領域を作りだし、これが面内均一性を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の点を鑑み、本願発明の目的は、ウエハのエッジ及び背面への不所望な膜の堆積を効果的に防止するクランプ機構を与えることである。
【0006】
本願発明の他の目的は、ウエハがサセプタ上にクランプされる度に位置ずれが最小となるように、ウエハを正確にクランプすることができるクランプ機構を与えることである。
【0007】
本願発明の他の目的は、膜が形成されないところの周辺領域を最小化する(すなわち、膜が形成されるところの領域を最大化する)クランプ機構を与えることである。
【0008】
本願発明の他の目的は、単純な構造によりクランプを達成するクランプ機構を与えることである。
【0009】
本願発明の他の目的は、上記したクランプ機構のいずれかを使ってウエハを搬送するための方法を与えることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するひとつの態様において、本願発明は半導体基板用のクランプ機構を与え、当該機構は、(I)内周部、外周部及び切欠き部を有するC形ピックアッププレートと、(II) 該C形ピックアッププレートとともに上方に移動するようにC形ピックアッププレートの内周部を受けて支持するように適応された周辺部を有するサセプタトッププレートであって、半導体基板を載置するための基板支持面はC形ピックアッププレートの上面及びトッププレートの上面により構成されているところのサセプタトッププレートと、(III)(i)トップリング部分と基板支持面との間で基板の周辺部をサンドイッチすることにより基板をクランプするためのトップリング部と、(ii)C形ピックアッププレートの外周部を支持するよう適応されたピックアッププレート支持部とを含み、C形ピックアッププレートはトップリング部とピックアッププレート支持部との間で移動可能であり、クランプ部材はC形ピックアッププレート及びサセプタトッププレートとともに上方に移動可能であるところのクランプ部材と、を備える。
【0011】
上記課題を解決する他の態様において、本願発明は半導体処理装置を与え、当該装置は、(i)反応チャンバと搬送チャンバを含むチャンバと、(ii)該チャンバ内部に配置されたシャワーヘッドと、(iii)垂直方向に移動可能であり、シャワーヘッドに対向するようにチャンバ内部に設置されたサセプタヒータと、(iv)上記したクランプ機構であって、サセプタトッププレートがサセプタヒータの上部に取付けられているところのクランプ機構と、を備える。
【0012】
上記課題を解決するさらに他の態様において、本願発明は上記クランプ機構を使って基板を搬送するための方法を与え、当該方法は、(a)C形ピックアッププレート及びサセプタトッププレートにより構成される基板支持面上に載置された基板を処理する工程であって、基板はトップリング部により基板の周辺部をクランプすることによりトップリング部と基板支持面との間でクランプされ、クランプ部材はぶら下がり、それ自身の重量が基板の周辺に加えられる、ところの工程と、(b) クランプ部材がその最低位置に達するまで、クランプ部材、基板及びC形ピックアッププレートとともにサセプタトッププレートを降下させる工程と、(c) C形ピックアッププレートがその最低位置に達するまで、クランプ部材を除いた基板及びC形ピックアッププレートとともにサセプタトッププレートを降下させ続ける工程であって、それによりクランプ部材のトップリング部と基板との間にギャップが形成されるところの工程と、(d)サセプタトッププレートがその最低位置に達するまで、サセプタトッププレートのみを降下させ続ける工程であって、それにより基板とサセプタトッププレートとの間にギャップが形成され、基板はサセプタトッププレートと接触することなくC形ピックアッププレート上に支持される、ところの工程と、(e)基板とサセプタトッププレートとの間にロボットハンドを挿入する工程と、(f)C形ピックアッププレートからロボットハンドにより基板をピックアップし、基板を後退させる工程と、を備える。
【0013】
上記課題を解決するさらに他の態様において、本願発明は、上記クランプ機構を使って基板を搬送する方法を与え、当該方法は、(A)ロボットハンドの上に基板を載置し、C形ピックアッププレートの上方に基板を移動する工程であって、クランプ部材、C形ピックアッププレート及びサセプタトッププレートがそれらの最低位置に配置されるところの工程と、(B)基板をC形ピックアッププレート上に載置し、ロボットハンドを後退させる工程と、(C)サセプタトッププレートがC形ピックアッププレートと接触するまで、サセプタトッププレートを上昇させる工程であって、それにより、基板が基板支持面で支持されるところの工程と、(D)基板がクランプのトップリング部と接触するまで、基板及びC形ピックアッププレートとともにサセプタトッププレートを上昇させ続ける工程であって、それにより、クランプ部材からC形ピックアッププレートを離す工程と、(E)サセプタトッププレートがその最高位置に達するまで、基板、C形ピックアッププレート及びクランプ部材とともにサセプタトッププレートを上昇させ続ける工程であって、それにより、基板が基板支持面で支持されるところの工程と、を備える。
【0014】
本願発明及び従来技術に対する利点を要約する目的で、本願発明のいくつかの目的及び利点が本明細書で説明される。もちろん、これらの目的または利点のすべてが本願発明の特定の実施形態に従って必ずしも達成されるものではない。よって、本願発明は、ここに教示されまたは示唆されるような他の目的または利点を必ずしも達成することなく、ここに教示されるような利点のひとつまたは複数を達成し若しくは最適化する方法で実施若しくは実行されることは、当業者の知るところである。
【0015】
本願発明の他の態様、特徴及び利点は、以下の好適実施形態の詳細な説明より明らかとなる。
【0016】
本願発明のこれらまたは他の特徴は好適実施形態の図面を参照して説明されるが、それは本願発明を例示するものであり、限定することを意図したものではない。図面は例示の目的で単純化されており、スケールも統一されていない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本願発明の実施形態に従う、基板処理装置の略示図である。
【図2】図2(a)から図2(f)は、本願発明のひとつの実施形態に従う、ウエハ搬送工程を概略的に示したものである。
【図3】図3(a)及び図3(b)は、本願発明の他の実施形態に従う、クランプ機構を概略的に示したものである。
【図4】図4は、本願発明のひとつの実施形態に従う、サセプタを概略的に示したものである。
【図5】図5(a)は、本願発明のひとつの実施形態に従う、サセプタトッププレートを概略的に示したものであり、図5(b)は、本願発明のひとつの実施形態に従う、C形ピックアッププレートを概略的に示したものであり、図5(c)は、本願発明のひとつの実施形態に従う、サセプタトッププレート内に取付けられたC形ピックアッププレートを概略的に示したものである。各図は平面図、正面図及び側方断面図を含む。
【図6】図6は、本願発明のひとつの実施形態に従う、C形ピックアッププレート、クランプ、及びピンを概略的に示したものである。
【図7】図7(a)から図7(c)は、従来のウエハ搬送工程を概略的に示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本願発明は、好適実施形態及び図面を参照して、詳細に説明される。しかし、好適実施形態及び図面は本願発明を限定するものではない。
【0019】
図1、図4、図5(a)から図5(c)、及び図6を参照して、ひとつの実施形態において、本願発明は半導体基板用のクランプ機構を与え、当該機構は、(I)内周部13a、外周部13b及び切欠き部133を有するC形ピックアッププレート(半円形プレート13)と、(II)C形ピックアッププレートとともに上方に移動するように、C形ピックアッププレートの内周部13aを受けて支持するよう適応された周辺部141を有するサセプタトッププレート14aであって、半導体基板15を載置するための基板支持面16はC形ピックアッププレート13の上面及びサセプタトッププレート14aの上面により構成されているところのサセプタトッププレートと、(III) (i)トップリング部12aと基板支持面16との間で基板の周辺をサンドイッチすることにより基板をクランプするためのトップリング部12aと、(ii)C形ピックアッププレート13の外周部を支持するよう適応されたピックアッププレート支持部12cとを有するクランプ部材12であって、C形ピックアッププレート13はトップリング部12aとピックアッププレート支持部12cとの間で移動可能であり、クランプ部材12はC形ピックアッププレート13及びサセプタトッププレート14aとともに上方に移動可能であるところのクランプ部材12と、を備える。サセプタトッププレート14aはウエハリフトピン用の貫通孔を有していない。
さらに上記実施形態は、これに限定しないが、以下の実施形態を含む。
【0020】
サセプタトッププレート14aの周辺は、C形ピックアッププレートの内周部13aを受けて支持するよう適応されたC形周辺リセス141である。他の実施形態において、リセスは形成されなくてもよい。C形周辺リセス141はC形ピックアッププレート13の内周部13aの厚さに等しい高さ(例えば、3〜7mm)を有し、その結果、サセプタトッププレート14aの上面はC形ピックアッププレート13の上面と同じ高さとなり、基板支持面16を構成する。C形ピックアッププレート13の切欠き部133に対応するサセプタトッププレート14aの部分142が形成され(図5(a)参照)、その結果、基板と基板支持面16との間には実質的にまたはほとんどギャップが形成されない。ひとつの実施形態において、サセプタトッププレート14aの上面は曲面(例えば、凹面)であってもよい。ひとつの実施形態において、リセス141の深さ(C形ピックアッププレートが支持される)は、3〜5mmである。ひとつの実施形態において、C形ピックアッププレートの幅(内径と外径との差)は、15〜20mmである。さらに、ひとつの実施形態において、クランプのトップリング部により覆われるため膜の堆積が生じない、基板の外周からの領域の幅は、0.8〜1.2mmほどしかない。ひとつの実施形態において、クランプ部材のトップリング部の厚さは、1〜4mmである。
【0021】
C形ピックアッププレート13の外周部13bの厚さは、C形ピックアッププレート13の内周部13aの厚さより厚い。この構成により、C形ピックアッププレート13はサセプタトッププレート14に正確に取付け可能となる。ひとつの実施形態において、C形ピックアッププレートの外周部がクランプ部材12のピックアッププレート支持部12cにより持ち上げられれば、C形ピックアッププレートの外周部の厚さはC形ピックアッププレートの内周部の厚さと等しくてもよい。図4に示すひとつの実施形態において、トッププレート14a及びヒータ14bは結合されてサセプタを構成するが、サセプタは一体的に構成されてもよい。他の実施形態において、トッププレートの直径はヒータの直径より小さくてもよく、その結果、ヒータはC形ピックアッププレートを受けて支持することができる。
【0022】
C形ピックアッププレート13の内径はクランプ部材12のトップリング部12aの内径と等しい。その結果、基板15はC形ピックアッププレートの内周部とクランプ部材のトップリング部の間で基板周辺をサンドイッチすることにより確実にクランプされる。
【0023】
C形ピックアッププレート13の外周部13bは少なくともひとつの凸部131を含む底面を有し、クランプ部材12のピックアッププレート支持部12cは少なくともひとつの凸部131に対応しかつ嵌合する少なくともひとつの凹部121を含む上面を有し、C形ピックアッププレート13及びピックアッププレート支持部12cが着脱される際に(図6参照)、C形ピックアッププレート13及びクランプ部材12のピックアッププレート支持部12cは所定の相対位置を維持することができる。これは自己位置決めシステムと呼ばれる。典型的に、ひとつ以上の凸部及びひとつ以上の凹部が必要である。しかし、凸部及び凹部の形状によっては、ひとつでも充分である(例えば、三角錐の場合)。また、凸部及び凹部は連続する凸部及び溝であってもよい。さらに、凸部及び凹部は、それぞれ、ピックアッププレート支持部12a及びC形ピックアッププレート13の外周部上に形成されてもよい。
【0024】
上記した凸部及び凹部の替わりに、図3(a)及び図3(b)に示すように、C形ピックアッププレート13’は、ピックアッププレート支持部上に形成されたピン21が挿入されるところの貫通孔を有し、その結果、C形ピックアッププレート及びピックアッププレート支持部の所定位置が正確に維持される。同様に、クランプ部材12’はピン11’上に形成されたピン22が挿入されるところの貫通孔を有する。
【0025】
クランプ機構は、さらに、クランプ部材12の底部にクランプ部材12を支持するための複数のピン11を含む。クランプ部材12の底部は少なくともひとつの凸部122を有し、ピン11は少なくともひとつの凸部に対応する少なくともひとつの凹部111を有し、クランプ部材及びピンが着脱される際に(図6参照)、クランプ部材及びピンは所定の相対位置を維持することができる。これも自己位置決めシステムである。C形ピックアッププレート及びピックアッププレート支持部の構成に関して、凸部及び凹部の形状によっては、ひとつの凸部及びひとつの凹部で充分である(例えば、三角錐の場合)。また、凸部及び凹部は連続した凸部及び溝であってもよい。さらに、凸部及び凹部はそれぞれ、ピン11及びクランプ部材12上に形成されてもよい。
【0026】
自己位置決めシステムにより、基板の周辺に関するクランプ部材12のトップリング部12aの位置ずれは効果的に防止され、その結果、基板の周辺はプロセスガスに晒されず、それにより基板裏面へのプロセスガスの進入が禁止される。
【0027】
ピン11として、3本またはそれ以上のピンが使用されてもよい。ピンはクランプ部材を上昇させるよう移動可能である。しかし、ピンは移動可能である必要はなく、サセプタが垂直方向に移動すればクランプ部材が単純にぶら下がるため、チャンバの底部に固定されてもよい。
【0028】
クランプ部材はF形状の垂直断面を有し、F形状の長い水平部分はトップリング部12aに対応し、F形状の短い水平部分はピックアッププレート支持部12cに対応する。ピックアッププレート支持部12cはリング形状であってもよいが、ピックアッププレート支持部がC形ピックアッププレート13を支持できれば、内側に伸長する複数の突起部から構成されてもよい。
【0029】
C形ピックアッププレート13の切欠き部133は、ロボットハンド20がC形ピックアッププレート13上に基板15を配置し、そこから基板をピックアップすることができるように構成されている。
【0030】
図1を参照して、他の態様において、本願発明は半導体処理装置を与え、当該装置は、(i)反応チャンバ1及び搬送チャンバ2を含むチャンバ4と、(ii)該チャンバ内部に配置されたシャワーヘッド9と、(iii)垂直方向に移動可能であって、シャワーヘッド9に対向するようにチャンバ内部に設置されたサセプタヒータ14bと、(iv)上記クランプ機構のいずれかであって、サセプタトッププレート14aがサセプタヒータ14bの上面に取付けられるところのクランプ機構と、を備える。当該半導体処理装置はさらに、反応チャンバ1と搬送チャンバ2とを分離する分離プレート3を含む。ここで、クランプ部材12のトップリング部12aの上面は基板の処理中に分離プレート3の上面と実質的にまたはほぼ同じ高さとなり、図1に示すようにプロセスガスまたはパージガス(実線矢印で示す)がシャワーヘッド9を通じて反応チャンバ1内に導入された後に、ガスはトップリング部12aの上面及び分離プレート3の上面の上を連続的に流れることができる。ガスは排気ダクト6から排気システム7へ放出される。図1の構成において、分離プレート3とクランプ部材12との間にはギャップが存在し、その結果、パージガス(破線矢印で示す)がギャップを通過し、反応ガスの搬送チャンバへの進入が防止される。
【0031】
図2(a)から図2(f)を参照して、他の態様において、本願発明は上記クランプ機構のいずれかを使って基板を搬送する方法を与え、当該方法は、(a)C形ピックアッププレート13とサセプタトッププレート14により構成される基板支持面上に載置された基板15を処理する工程であって、基板15はクランプ部材12のリング部により基板15の周辺をクランプすることにより、トップリング部12と基板支持面との間でクランプされ、クランプ部材がぶら下がり、クランプそれ自身の重量が基板15の周辺に加えられるところの工程と(図2(a))、(b)クランプ部材12がその最低位置(クランプ部材12がピン11と接触するところ)に達するまで、クランプ部材12、基板15及びC形ピックアッププレート13とともにサセプタトッププレート14を降下させる工程と(図2(b))、(c)C形ピックアッププレート13がその最低位置(C形ピックアッププレートの下端がクランプ部材12のピックアッププレート支持部と接触するところ)に達するまで、クランプ部材を除いた基板15及びC形ピックアッププレートとともにサセプタトッププレート14を降下させ続ける工程であって、それにより、クランプ部材12のトップリング部と基板15との間にギャップが形成されるところの工程と(図2(c))、(d)サセプタトッププレート14がその最低位置に達するまでサセプタトッププレート14のみを降下させ続ける工程であって、それにより、基板15とサセプタトップレート14との間にギャップが形成され、基板15はサセプタトッププレート14と接触せずにC形ピックアッププレート13上で支持されるところの工程と(図2(d))、(e)基板15とサセプタトッププレート14との間のギャップにロボットハンド20を挿入する工程と(図2(e))、(f)ロボットハンド20によりC形ピックアッププレート13から基板15をピックアップし基板15を後退させる工程と(図2(f))、を備える。ひとつの実施形態において、C形ピックアッププレート及びクランプ部材はセラミックから成る。サセプタトッププレートはアルミニウムから成る。
【0032】
さらに他の態様において、本願発明は上記したいずれかのクランプ機構を使って基板を搬送するための方法を与え、その方法は逆方向、すなわち、図2(a)から図2(f)に示されるウエハをアンロードする方向に対して、ウエハをロードする方向に関する。典型的に、工程が単純に逆になる。例えば、当該方法は、(A)ロボットハンド上に基板を載置し、C形ピックアッププレートの上方へ基板を移動させる工程と、(B)基板をC形ピックアッププレート上に載置し、ロボットハンドを後退させる工程と、(C)サセプタトッププレートがC形ピックアッププレートと接触するまで、サセプタトッププレートを上昇させる工程であって、それにより基板支持面上で基板が支持されるところの工程と、(D)基板がクランプ部材のトップリング部と接触するまで、基板及びC形ピックアッププレートとともにサセプタトッププレートを上昇させ続ける工程であって、それによりC形ピックアッププレートがクランプ部材から離れるところの工程と、(E)サセプタトッププレートがその最高位置に達するまで、基板、C形ピックアッププレート及びクランプ部材とともにサセプタトッププレートを上昇させ続ける工程であって、それにより基板が基板支持面でクランプされるところの工程と、を備える。
【0033】
上記実施形態のいずれかに従い、基板の背面及びエッジ部への膜の不所望な堆積を効果的に防止することができる。また、リフトピン用の貫通孔がサセプタ内部に形成されないため、プロセスガスの基板背面への進入が効果的に禁止され、それにより基板背面への膜の不所望な堆積が防止される。さらに、リフトピンなしで、基板の搬送が可能となる。さらにまた、クランプ部材とC形ピックアッププレートの正確な位置決めにより、堆積が生じない領域が最小となり、膜が形成される領域が最大となる。
【0034】
上記したように、従来の方法、特に、連続してプロセスガスを変更することにより膜が形成されるところの原子層堆積プロセスにおいて、ガス変更及びパージ工程の各々における大きな圧力変動により、ウエハリフトピン用の貫通孔を通じてガスは搬送チャンバから反応チャンバへ流入する。その結果、ガスを素早く変更する必要があるところのALD装置において、ガス変更に要する時間の増大及びパーティクルの生成などの問題が生じる。しかし、本願発明の実施形態に従い、これらの問題は効果的に解決される。また、上記したように、従来のクランプを使用する際、ウエハをサセプタ上の適切な位置に配置するためには、A(チャンバ壁とガイドリングに対するマージン)+B(ガイドリングとクランプに対するマージン)+C(クランプとサセプタに対するマージン)+D(サセプタ上面とウエハに対するマージン)+E(ロボットの搬送精度)を考慮する必要がある。したがって、それぞれの部品の材料、温度、膨張係数、加工精度、及び安全ファクタを考慮すると、約1mmのマージンが必要となる。したがって、背面への膜の形成を完全に防止するためには、ウエハの外周が1.5mmだけクランプされるところの構造が必要となる。この場合、最悪レベルの位置ずれは、膜が形成されないところのウエハの外周部周辺で最大2.5mmから最小0.5mmまでの寸法を有する領域を作りだし、これは面内均一性を低下させる。これに対して、本願発明のひとつの実施形態において、ウエハはクランプ機構に設けられたピックアッププレートに直接搬送される。したがって、上記ファクタ中、C(サセプタとピックアッププレートに対するマージン)及びEのみを考慮すればよい。このことは、各部品の膨張係数、加工精度、及び安全ファクタが考慮される場合でも、約0.3mmのマージンのみで充分であり、結果として、ウエハの外周部において約0.8mmを覆うことができる任意のクランプが使用可能であることを意味している。この場合、最悪レベルの位置ずれでさえ、膜が形成されないところのウエハの外周部周辺において最大1.1mmから最小0.5mmの寸法の領域を作り出すだけである。このことは、好ましい面内均一性をもって膜が形成されることを意味する。
【0035】
本願明細書において、条件及び/または構造が特定されていない場合であっても、本願明細書を勘案すれば当業者は通常の経験的事項としてこの条件及び/または構造を容易に与えることができる。また、本明細書において、実施形態で使用された数値は、他の実施形態において少なくとも±50%の範囲だけ修正可能であり、実施形態に適用された範囲は終点を含んでも含まなくてもよい。
【0036】
本発明の思想から離れることなくさまざまな修正が可能であることは当業者の知るところである。したがって、本願発明の形式は例示に過ぎず、本願発明の態様を制限することを意図したものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板用のクランプ機構であって、
内周部、外周部、及び切欠き部を有するC形ピックアッププレートと、
前記C形ピックアッププレートとともに上方に移動するように、前記C形ピックアッププレートの前記内周部を受けて支持するよう適応された周辺部を有するサセプタトッププレートであって、半導体基板を載置するための基板支持面は前記C形ピックアッププレートの上面と前記サセプタトッププレートの上面により構成されるところのサセプタトッププレートと、
(i)トップリング部と基板支持面との間で前記半導体基板の周辺をサンドイッチすることにより前記半導体基板をクランプするためのトップリング部と、(ii)C形ピックアッププレートの外周部を支持するように適用されたピックアッププレート支持部とを含むクランプ部材であって、前記C形ピックアッププレートは前記トップリング部と前記ピックアッププレート支持部との間で移動可能であり、前記クランプ部材はC形ピックアッププレート及び前記サセプタトッププレートとともに上方に移動可能であるところのクランプ部材と、
を備えたことを特徴とするクランプ機構。
【請求項2】
前記サセプタトッププレートの周辺は前記C形ピックアッププレートの前記内周部を受けて支持するよう適応されたC形周辺リセスである、
ことを特徴とする請求項1記載のクランプ機構。
【請求項3】
前記C形周辺リセスは、前記C形ピックアッププレートの前記内周部の厚さと等しい高さを有する、
ことを特徴とする請求項2記載のクランプ機構。
【請求項4】
前記C形ピックアッププレートの外周部の厚さは前記C形ピックアッププレートの内周部の厚さより厚い、
ことを特徴とする請求項1記載のクランプ機構。
【請求項5】
前記C形ピックアッププレートは前記クランプ部材の前記トップリング部の内径と等しい内径を有する、
ことを特徴とする請求項1記載のクランプ機構。
【請求項6】
前記C形ピックアッププレート及び前記ピックアッププレート支持部が着脱する際に、前記C形ピックアッププレートと前記クランプ部材の前記ピックアッププレート支持部の相対位置を維持するために、前記C形ピックアッププレートの外周部は少なくともひとつの凸部を含む底面を有し、前記クランプ部材の前記ピックアッププレート支持部は前記少なくともひとつの凸部に対応し嵌合する少なくともひとつの凹部を含む上面を有する、
ことを特徴とする請求項1記載のクランプ機構。
【請求項7】
前記クランプ部材はF形状垂直断面を有し、前記F形状の長い水平部は前記トップリング部に対応し、F形状の短い水平部はピックアッププレート支持部に対応する、
ことを特徴とする請求項1記載のクランプ機構。
【請求項8】
さらに、前記クランプ部材の底部において前記クランプ部材を支持するための複数のピンを含む、
ことを特徴とする請求項1記載のクランプ機構。
【請求項9】
前記クランプ部材及び前記ピンが着脱する際に、前記クランプ部材と前記ピンの相対位置を維持するために、前記クランプ部材の前記底部は少なくともひとつの凸部を有し、前記ピンは前記少なくともひとつの凸部に対応する少なくともひとつの凹部を有する、
ことを特徴とする請求項8記載のクランプ機構。
【請求項10】
前記C形ピックアッププレートの前記切欠き部は、ロボットハンドが前記C形ピックアッププレート上に前記半導体基板を載置し、前記C形ピックアッププレートから前記半導体基板をピックアップすることができるように構成されている、
ことを特徴とする請求項1記載のクランプ機構。
【請求項11】
前記サセプタトッププレートはウエハリフトピン用の貫通孔を有しない、
ことを特徴とする請求項1記載のクランプ機構。
【請求項12】
半導体処理装置であって、
反応チャンバ及び搬送チャンバから成るチャンバと、
前記チャンバ内部に設置されたシャワーヘッドと、
垂直方向に移動可能で、前記チャンバ内部に前記シャワーヘッドと対向して設置されたサセプタヒータと、
請求項1記載のクランプ機構であって、サセプタトッププレートが前記サセプタヒータの上面に取付けられるところのクランプ機構と、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項13】
さらに、前記反応チャンバと前記搬送チャンバとを分離する分離プレートを含み、前記トップリング部の上面及び前記分離プレートの上面の上をガスが連続的に流れるように、前記クランプ部材のトップリング部の上面は前記半導体基板を処理中に前記分離プレートの上面と実質的にまたはほぼ同じ高さである、
ことを特徴とする請求項12記載の装置。
【請求項14】
請求項1記載のクランプ機構を使って基板を搬送するための方法であって、
C形ピックアッププレート及びサセプタトッププレートにより構成される基板支持面上に載置された前記基板を処理する工程であって、前記基板はトップリング部により前記基板の周辺をクランプすることにより前記」トップリング部と前記基板支持面との間でクランプされ、クランプ部材はぶらさがり、前記クランプ部材それ自身の重量が前記基板の周辺に加えられるところの工程と、
前記クランプ部材がその最低位置に達するまで、前記クランプ部材、前記基板、及び前記C形ピックアッププレートとともに前記サセプタトッププレートを降下させる工程と、
前記C形ピックアッププレートがその最低位置に達するまで、前記クランプ部材を除いた前記基板及び前記C形ピックアッププレートとともに前記サセプタトッププレートを降下させ続ける工程と、
前記サセプタトッププレートがその最低位置に達するまで、前記サセプタトッププレートのみを降下させ続ける工程であって、それにより、前記基板と前記サセプタトッププレートとの間にギャップが形成され、前記基板は前記サセプタトッププレートと接触することなくC形ピックアッププレート上で支持されるところの工程と、
前記基板と前記サセプタトッププレートとの間のギャップにロボットハンドを挿入する工程と、
前記C形ピックアッププレートから前記ロボットハンドにより前記基板をピックアップし、前記基板を後退させる工程と、
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1に記載のクランプ機構を使って基板を搬送するための方法であって、
ロボットハンド上に基板を載置し、前記基板をC形ピックアッププレートの上方に移動する工程であって、クランプ部材、前記C形ピックアッププレート、及びサセプタトッププレートがそれらの最低位置に配置されるところの工程と、
前記基板をC形ピックアッププレート上に載置し、前記ロボットハンドを後退させる工程と、
前記サセプタトッププレートが前記C形ピックアッププレートに接触するまで、前記サセプタトッププレートを上昇させる工程であって、それにより前記基板が基板支持面上で支持されるところの工程と、
前記基板が前記クランプ部材のトップリング部と接触するまで、前記基板及び前記C形ピックアッププレートとともに前記サセプタトッププレートを上昇させ続ける工程であって、それにより前記C形ピックアッププレートが前記クランプ部材から離れるところの工程と、
前記サセプタトッププレートがその最高位置に達するまで、前記基板、前記C形ピックアッププレート、及び前記クランプ部材とともに前記サセプタトッププレートを上昇させ続ける工程であって、それにより前記基板が前記基板支持面上でクランプされるところの工程と、
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項16】
さらに、
前記C形ピックアッププレート及び前記サセプタトッププレートにより構成される基板支持面上に載置された基板を処理する工程であって、前記基板はトップリング部により前記基板の周辺をクランプすることで前記トップリング部と前記基板支持面との間でクランプされるところの工程と、
クランプ部材がその最低位置に達するまで、前記クランプ部材、前記基板、及び前記C形ピックアッププレートとともに前記サセプタトッププレートを降下させる工程と、
前記C形ピックアッププレートがその最低位置に達するまで、前記クランプ部材を除いた前記基板及び前記C形ピックアッププレートとともに前記サセプタトッププレートを降下させ続ける工程であって、それにより、前記クランプ部材の前記トップリング部と前記基板との間にギャップが形成されるところの工程と、
前記サセプタトッププレートがその最低位置に達するまで、前記サセプタトッププレートのみを降下させ続ける工程であって、前記基板は前記サセプタトッププレートと接触することなく、前記C形ピックアッププレート上に支持されるところの工程と、
前記基板と前記サセプタトッププレートとの間のギャップにロボットハンドを挿入する工程と、
前記ロボットハンドにより、前記C形ピックアッププレートから前記基板をピックアップし、前記基板を後退させる工程と、
を含むことを特徴とする請求項15記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−188399(P2009−188399A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−10608(P2009−10608)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(000227973)日本エー・エス・エム株式会社 (68)
【Fターム(参考)】