説明

半導体発光素子の製造方法

【課題】高いボンディング性と高い効率とを有する半導体発光素子の製造方法を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、第2半導体層の上に、透過性で100nm以上250nm以下の厚さの第1導電層を形成し、第1導電層の一部と、第1半導体層の上に高反射導電膜を形成する。高反射導電膜を加工して、第1導電層の第2半導体層とは反対の側の第1主面に沿って延在する延在部を有し、アルミニウム、銀及びロジウムの少なくともいずれかを含む第3導電層を形成する。第1導電層の一部の上に、第3導電層の延在部の少なくとも一部を露出させ第1導電層に対する密着力が第3導電層の第1導電層に対する密着力よりも大きく、第1主面に対して平行な方向に沿った幅が30μm以上80μm以下の第2導電層を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体発光素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化ガリウム(GaN)などの窒化物半導体は、ワイドバンドギャップを有する特徴を活かし、紫外、青色または緑色の発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)、及び、青紫色または青色のレーザダイオード(LD:Laser Diode)などに応用されている。
【0003】
半導体発光素子において、透光性電極の上に設けられる電極が、台座電極と、台座電極から延長する補助電極と、を有する構成がある。台座電極は、例えばボンディングパッド電極として用いることができる。補助電極は、例えば電流を均一に分配する機能を有する。
【0004】
半導体発光素子において、高いボンディング性と、高い効率と、を得ることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−345480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態は、高いボンディング性と高い効率とを有する半導体発光素子の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態によれば、積層構造体と、第1電極と、第2電極と、を含む半導体発光素子の製造方法が提供される。前記積層構造体は、窒化物半導体を含む第1導電形の第1半導体層と、窒化物半導体を含む第2導電形の第2半導体層と、前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に設けられ、窒化物半導体層を含む発光層と、を含む。前記積層構造体の前記第2半導体層の側の第2主面において前記第1半導体層の一部が露出している。前記第1電極は、前記第2主面の側において前記第1半導体層に接する。前記第2電極は、前記第2主面の側において前記第2半導体層に接し、第1導電層、第2導電層及び反射性の第3導電層を含む。前記製造方法は、前記第2半導体層の上に、前記発光層から放出される発光に対して透過性を有し、100ナノメートル以上250ナノメートル以下の厚さを有する第1導電層を形成することを含む。前記製造方法は、前記第1導電層の一部と、前記第1半導体層の前記露出された前記一部と、の上に、前記発光に対する前記第2導電層の反射率よりも高い反射率を有する高反射導電膜を形成し、前記高反射導電膜を加工して、前記第1電極の少なくとも一部と、前記第1導電層の前記第2半導体層とは反対の側の第1主面に沿って延在し、延在方向に対して垂直で前記第1主面に対して平行な方向に沿った幅が1マイクロメートル以上50マイクロメートル以下の延在部を有し、アルミニウム、銀及びロジウムの少なくともいずれかを含む前記第3導電層と、を形成することを含む。前記製造方法は、前記第1導電層の一部の上に、前記第3導電層の前記延在部の少なくとも一部を露出させ、前記第1導電層に対する密着力が前記第3導電層の前記第1導電層に対する密着力よりも大きく、前記第1主面に対して平行な方向に沿った幅が30マイクロメートル以上80マイクロメートル以下の前記第2導電層を形成することをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1(a)及び図1(b)は、実施形態に係る半導体発光素子を示す模式図である。
【図2】図2(a)〜図2(e)は、実施形態に係る半導体発光素子の製造方法を示す工程順模式的断面図である。
【図3】図3(a)〜図3(c)は、実施形態に係る別の半導体発光素子を示す模式的平面図である。
【図4】図4(a)及び図4(b)は、実施形態に係る別の半導体発光素子を示す模式的平面図である。
【図5】実施形態に係る別の半導体発光素子を示す模式的断面図である。
【図6】図6(a)及び図6(b)は、実施形態に係る半導体発光素子の別の製造方法を示す工程順模式的断面図である。
【図7】実施形態に係る半導体発光素子の製造方法を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0010】
(第1の実施の形態)
図1(a)及び図1(b)は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の構成を例示する模式図である。
すなわち、図1(b)は模式的平面図であり、図1(a)は図1(b)のA1−A2線断面図である。
【0011】
図1に表したように、本実施形態に係る半導体発光素子110は、積層構造体10sと、第1導電層51と、第2導電層52と、第3導電層53と、を備える。
【0012】
積層構造体10sは、窒化物半導体を含む第1導電形の第1半導体層10と、窒化物半導体を含む第2導電形の第2半導体層20と、第1半導体層10と第2半導体層20との間に設けられ、窒化物半導体層を含む発光層30と、を含む。
【0013】
例えば、第1半導体層10はn形であり、第2半導体層20はp形である。ただし、実施形態はこれに限らず、第1半導体層10がp形で、第2半導体層20がn形でも良い。以下では第1半導体層10がn形で、第2半導体層20がp形である場合として説明する。
【0014】
半導体発光素子110の積層構造体10sにおいては、第1半導体層10、発光層30及び第2半導体層20が積層される。第1半導体層10から第2半導体層20に向かう方向をZ軸方向(第1方向)とする。
ここで、本願明細書において、「積層」とは、互いに接して重ねられる場合の他に、間に他の層が挿入されて重ねられる場合も含む。
【0015】
発光層30は、複数の障壁層31と、複数の障壁層31どうしの間に設けられた井戸層32と、を含む。例えば、発光層30は、2つの障壁層31と、その障壁層31の間に設けられた井戸層32と、を含む単一量子井戸(SQW:Single Quantum Well)構造を有することができる。例えば、発光層30は、3つ以上の障壁層31と、障壁層31どうしのそれぞれの間に設けられた井戸層32と、を含む多重量子井戸(MQW:Multi Quantum Well)構造を有することができる。
【0016】
すなわち、発光層30は、例えば、(n+1)個の障壁層31と、n個の井戸層32と、を含む(nは、1以上の整数)。第i番目の障壁層BLiは、第1半導体層10と第i番目の井戸層WLiとの間に設けられる(iは1以上n以下の整数)。第i番目の井戸層WLiは、第i番目の障壁層と第(i+1)番目の障壁層BL(n+1)との間に設けられる。第(n+1)番目の障壁層は、第n番目の井戸層WLnと第2半導体層20との間に設けられる。
【0017】
井戸層32は、例えば、インジウム(In)とガリウム(Ga)とを含む窒化物半導体を含む。障壁層31のバンドギャップエネルギーは、井戸層32のバンドギャップエネルギーよりも大きい。障壁層31は、Inを含んでも良く、含まなくても良い。障壁層31がInを含む場合は、障壁層31のIII族元素中におけるInの組成比は、井戸層32のIII族元素中におけるInの組成比よりも低い。
【0018】
障壁層31として、例えば、In0.02Ga0.98N層が用いられる。障壁層31の厚さは例えば12.5ナノメートル(nm)とされる。井戸層32として、アンドープのIn0.2Ga0.8N層が用いられる。井戸層32の厚さは、例えば2.5nmとされる。本具体例の発光層30は、室温における発光層30のフォトルミネッセンスの波長が450nmになるように設計されている。
【0019】
第1半導体層10には、例えばn形不純物がドープされたn形GaN層が用いられる。n形不純物には、Si、Ge及びSnの少なくともいずれかが用いられる。本具体例では、n形不純物としてSiが用いられる。第1半導体層10におけるSiの濃度(ドーピング量)は、例えば、2×1018cm−3程度とされる。
【0020】
第2半導体層20は、例えば、第1p形半導体層21と、第1p形半導体層21と発光層30との間に設けられた第2p形半導体層22と、を含む。第2p形半導体層22には、例えばp形GaN層が用いられる。第2p形半導体層22の厚さは、例えば約90nm程度とされる。p形不純物には、Mg及びZnの少なくともいずれかを用いることができる。本具体例では、p形不純物としてMgが用いられる。第2形半導体層22におけるMgの濃度は、例えば4×1018cm−3とされる。第1p形半導体層21には、例えばp形GaN層が用いられる。第1p形半導体層21は、コンタクト層として機能する。第1p形半導体層21の厚さは、例えば約10nmとされる。第1p形半導体層21におけるMgの濃度は、例えば、約1×1020cm−3とされる。
【0021】
第1半導体層10、発光層30及び第2半導体層20を含む積層構造体10sの第2半導体層20の側の第2主面10aにおいて、第1半導体層10の一部、並びに、その一部に対応する発光層30の一部及び第2半導体層20の一部が除去されている。積層構造体10sの、第2半導体層20の側の第2主面10aの側において、第1半導体層10が露出している。
【0022】
積層構造体10sの第2半導体層20の側の第2主面10aの側において、第1半導体層10に接する第1電極40が設けられている。
【0023】
本具体例では、第1電極40は、第1n側導電膜41と、第1n側導電膜41と第1半導体層10との間に設けられた第2n側導電膜42と、第2n側導電膜42と第1半導体層10との間に設けられた第3n側導電膜43と、を含む。第1n側導電膜41には、例えば金膜(Au膜)が用いられる。第1n側導電膜41の厚さは例えば約0.2マイクロメートル(μm)とされる。第2n側導電膜42には、例えば白金膜(Pt膜)が用いられる。第2n側導電膜42の厚さは、例えば約0.05μmとされる。第3n側導電膜43には、例えばチタン膜(Ti膜)が用いられる。第3n側導電膜43の厚さは例えば約0.05μmとされる。第1n側導電膜41は、例えば、第1電極40のうちのパッド部となる。
【0024】
一方、積層構造体10sの第2半導体層20の側の第2主面10aの側において、第2半導体層20に接する第2電極50が設けられている。第1導電層51と、第2導電層52と、第3導電層53と、は、第2電極50に含まれる。
【0025】
第1導電層51は、第2半導体層20の第1半導体層10とは反対の側に設けられる。第1導電層51は、発光層30から放出される発光光に対して透過性を有する。第1導電層51は、In、Sn、Zn及びTiよるなる群から選ばれた少なくとも1つの元素を含む酸化物を含む。第1導電層51には、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)が用いられる。
【0026】
第2導電層52は、第1導電層51の第2半導体層20とは反対の側の第1主面51aに接する。例えば、第2導電層52は、第2電極50のボンディングパッド部となる。第2導電層52は、第1導電層51に電気的に接続されている。
【0027】
第3導電層53は、第1導電層51の上記の第1主面51aに接する。第3導電層53は、発光光に対する第2導電層52の反射率よりも高い反射率を有する。第3導電層53は、延在部53pを含む。延在部53pの少なくとも一部は第2導電層52に覆われていない。延在部53pは、第1主面51aに対して平行に延在する。すなわち、延在部53pは、Z軸方向に対して垂直な方向に延在する。
【0028】
本具体例では、第3導電層53の延在部53pは、第2導電層52から第1電極40に向かう方向に沿って延在する。延在部53pは細長い形状を有している。第3導電層53は、電流を広げる機能を有する。
【0029】
なお、図1(a)及び図1(b)に示した例では、第2導電層52が第3導電層53の一部を覆っている。実施形態はこれに限らず、第2導電層52の一部が第3導電層53の一部と接していても良い。また、第3導電層53が第2導電層52の一部を覆っても良い。
【0030】
第2導電層52の第1導電層51に対する密着力は、第3導電層53の第1導電層51に対する密着力よりも大きい。すなわち、ボンディングパッド部として機能する第2導電層52の密着力を大きく設定することで、ボンディングパッド部における高いボンディング性が確保できる。
【0031】
一方、電流を均一化させる機能を有する第3導電層53には、高い密着力は必ずしも必要とされない。このため、第3導電層53の第1導電層51との密着力に対する要求が緩和される。これにより、第3導電層53には、第2導電層52に用いられる材料よりも高い反射率を有する材料を用いることができる。このような第3導電層53を用いることで、電流が均一化され高い発光効率が得られると同時に、高反射率による高い光取り出し効率が得られる。すなわち、高い効率が得られる。
【0032】
これにより、第2導電層52によって高いボンディング性が得られると共に、第3導電層53によって高発光効率と高光取り出し効率が得られる。すなわち、高い効率が得られる。
【0033】
第2導電層52は、第1導電層51に接し、ニッケル、チタン、バナジウム、白金及び金の少なくともいずれかを含む層を含むことができる。上記のニッケル、チタン、バナジウム、白金及び金の少なくともいずれかを含む層は、ニッケル、チタン、バナジウム、白金及び金の少なくともいずれか2つ以上を含む合金を含むことができる。例えば、ニッケルはITOに対する密着力が高い。これにより、第2導電層52と第1導電層51との高い密着力が確保できる。なお、ニッケルの青色光に対する反射率は約40%と比較的低い。
【0034】
第3導電層53は、アルミニウム、銀、白金及びロジウムの少なくともいずれかを含むことができる。第3導電層53は、アルミニウム、及び銀、白金及びロジウムの少なくともいずれか2つ以上を含む合金を含むことができる。例えば、Alの紫外及び青色光に対する反射率は、89%と高い。Agの紫外及び青色光に対する反射率は、98%とさらに高い。これにより、このような高い反射率を有する材料を第3導電層53に用いることで、高い光取り出し効率が得られる。なお、例えばAl及びAgのITOに対する密着力は、例えばニッケルよりも小さい。
【0035】
このように、第2導電層52及び第3導電層53に互いに異なる材料を用いることで、第2導電層52及び第3導電層53のそれぞれに要求される性能が十分に満足される。
本実施形態に係る半導体発光素子110によれば、高いボンディング性と高い効率とを有する半導体発光素子が提供できる。
【0036】
なお、半導体層の上に形成された透光性電極、及び、その透光性電極上に形成されたボンディングパッド電極と、を含む正極において、ボンディングパッド電極が透光性電極と接する面に反射層を有する構成が知られている。これにより、ボンディングパッド部の光吸収を抑制することが提案されている。しかしながら、この構成においては、上記の反射層はボンディングパッド電極の一部である。従って、反射層をZ軸方向からみたときの形状は、ボンディングパッド電極をZ軸方向に沿ってみたときの形状に一致する。すなわち、反射層は、透光性電極の主面に沿ってボンディングパッド電極から延在する部分を有していない。このため、この構成においては、電流を均一化する効果は得られない。
【0037】
これに対し、実施形態に係る半導体発光素子110においては、高反射率を有する第3導電層53は、第1導電層51の第1主面51aに沿って延在する延在部53pを有する。この延在部53pにより、第2導電層52と第1電極40との間に流れる電流を均一化し発光効率を向上することができる。
すなわち、実施形態によれば、電流の均一化によって発光効率を向上しつつ、光吸収を抑制し、高いボンディング性を確保する。
【0038】
なお、透光性電極の上に設けられる電極が、台座電極と、台座電極から延長した補助電極と、を有する構成において、例えば、台座電極と補助電極とに同じ材料を用いた場合は、ボンディング性が低いか、または、光吸収が大きく効率が低くなる。
【0039】
例えば、第2導電層52が、延在部53pと同じパターン形状を有する場合においては、光取り出し効率を向上するために延在部53pを細くすると第2導電層52の加工が困難になる。また、第2導電層52が延在部53pの全体を覆う幅が広いパターン形状を有する場合は、反射率の低い第2導電層52が発光層30に対向することになるので、光の吸収が大きくなり、光取り出し効率が低下する。
【0040】
これに対し、本実施形態に係る半導体発光素子110においては、第2導電層52のパターン形状と、第3導電層53の延在部53pのパターン形状と、を互いに異ならせる。すなわち、ボンディングパッド部として機能する第2導電層52は、ボンディングパッド部として適正な特性が発揮できるパターン形状とされる。例えば、第2導電層52のパターン形状は、例えば、略円形、略扁平円形、略矩形及び略多角形などとされる。一方、第3導電層53のパターン形状は、電流を均一化しつつ、高い光取り出し効率が得られるように、例えば、線状の形状とされる。そして、このように形状が互いに異なる第2導電層52と第3導電層53とに、それぞれに適正な特性の材料が用いられる。すなわち、第2導電層52には、第1導電層51に対するボンディング性が良好な材料が用いられる。第3導電層53には、高反射率の材料が用いられる。これにより、高いボンディング性と高い効率とを有する半導体発光素子が提供できる。
【0041】
実施形態において、第1導電層51の厚さは、例えば、50nm以上300nm以下とされる。第1導電層51の厚さが50nmよりも薄いと第1導電層51のシート抵抗が高すぎ、電流が広がり難くなり、効率が低下し易い。第1導電層51の厚さが300nmよりも厚いと、光取り出し特性が劣化し易くなる。第1導電層51は、100nm以上250nm以下がさらに好ましい。
【0042】
図1(a)に表したように、半導体発光素子110は、第1半導体層10の第2半導体層20とは反対の側に設けられた基板5をさらに備えることができる。基板5には、サファイア、GaN、SiC、Si及びGaAsの少なくともいずれかを用いることができる。本具体例では、基板5には、サファイア基板が用いられる。半導体発光素子110は、基板5と第1半導体層10との間に設けられたバッファ層6をさらに備えることができる。基板5の上にバッファ層6が形成され、バッファ層6の上に第1半導体層10、発光層30及び第2半導体層20を含む積層構造体10sが形成される。積層構造体10sが形成された後に、基板5と、バッファ層6(の少なくとも一部)と、は除去されても良い。すなわち、半導体発光素子110において、基板5及びバッファ層6は必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0043】
なお、第1半導体層10と発光層30との間に図示しない多層構造体をさらに設けても良い。多層構造体は、Z軸方向に積層された複数の第1層(図示しない)と、第1層どうしの間のそれぞれに設けられた第2層と、を含む。すなわち、多層構造体は、Z軸方向に交互に積層された複数の第1層と複数の第2層とを含む。多層構造体は、例えば超格子層である。多層構造体は必要に応じて設けられ、省略しても良い。多層構造体は、第1半導体層10に含まれるものと見なすこともできる。
【0044】
また、後述するように、第1電極40の一部を除き、第2導電層52の一部を除き、積層構造体10sを覆う絶縁膜(図1(a)及び図1(b)では図示しない)をさらに設けても良い。この絶縁膜は、第1導電層51及び第2導電層52を覆うことができる。
【0045】
ここで、第2導電層52から第1電極40向かう方向をX軸方向(第2方向)とする。Z軸方向に対して垂直でX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向(第3方向)とする。
【0046】
以下、半導体発光素子110の製造方法の例について説明する。
図2(a)〜図2(e)は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図2(a)に表したように、例えば、サファイアからなる基板5の主面上に、バッファ層6を形成した後、第1半導体層10として、n形不純物がドープされたn形GaN層の結晶を成長させる。
【0047】
結晶成長には、例えば有機金属気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)が用いられる。結晶成長には、分子線エピタキシー法(MBE:Molecular Beam Epitaxy)を用いても良い。
【0048】
第1半導体層10の上に、発光層30の結晶を成長させる。例えば、障壁層31を形成する。その上に、井戸層32と障壁層31とを交互に成長させる。最後に成長された井戸層32の上に障壁層31が成長される。これより、MQW構造の発光層30が形成される。障壁層31及び井戸層32の成長温度は、例えば700℃以上800℃以下とされる。
【0049】
発光層30の上に、第2半導体層20の結晶を成長させる。第2p形半導体層22となるp形GaN層の結晶を成長させ、その上に、第1p形半導体層21となるp形GaN層の結晶を成長させる。これらのp形GaN層の成長温度は、例えば1000℃以上1100℃以下とされる。
これにより、図2(a)に例示する積層構造体10sが形成される。
【0050】
図2(b)に表したように、第2半導体層20(具体的には第1p形半導体層21)の上に、第1導電層51を形成する。すなわち、第1導電層51となるITO膜を第2半導体層20の上に形成し、ITO膜を所定の形状に加工することで、第1導電層51が得られる。本具体例では、第1導電層51の厚さは、170nmとされる。
【0051】
図2(c)に表したように、積層構造体10sを例えばドライエッチングにより加工し、第1半導体層10(例えばn形GaN層)を露出させる。露出した第1半導体層10の上に第1電極40を形成する。すなわち、第1半導体層10の上に第3n側導電膜43となるTi膜を形成し、その上に第2n側導電膜42となるPt膜を形成し、その上に、第1n側導電膜41となるAu膜を形成する。
【0052】
第1導電層51の第1主面51aの上に、第3導電層53として、Al膜を形成する。Al膜の厚さは例えば約0.5μmとされる。Al膜が所定の形状に加工され、第3導電層53が得られる。このとき、第1導電層51の一部は露出している。
【0053】
図2(d)に表したように、露出している第1導電層51の上に第2導電層52を形成する。すなわち、第2導電層52となるNi膜を形成する。さらに、Ni膜の上にAu膜を形成しても良い。これらのNi膜(及びAu膜)を所定の形状に加工することで、第2導電層52が得られる。
【0054】
図2(e)に表したように、被加工体の全面に、例えばSiO膜を形成し、このSiO膜を加工して絶縁膜60を形成する。絶縁膜60は、第1電極40の一部を除き、第2導電層52の一部を除き、積層構造体10sを覆う。絶縁膜60は、第1導電層51及び第2導電層52を覆っている。絶縁膜60は、パッシベーション膜として機能する。
このようにして、実施形態に係る半導体発光素子110が得られる。
【0055】
半導体発光素子110においては、第3導電層53として、青色光に対する反射率が高いAl膜が用いられる。第3導電層53として、青色光に対する反射率が高いAg膜を用いても良い。ただし、第3導電層53の第1導電層51に対する密着力は、第2導電層52の第1導電層51に対する密着力よりも低い。一方、ボンディングパッド部となる第2導電層52には、密着力が強いNi膜が用いられている。
【0056】
このように、半導体発光素子110においては、透光性の第1導電層51の上に、ボンディング強度が高い第2導電層52と、反射率が高い第3導電層53と、をそれぞれ別の材料で形成する。これにより、ボンディングパッド部となる第2導電層52において高いボンディング強度が確保でき、電流を拡散し発光層30に効率的に電流を供給する機能を有する第3導電層53において高反射性による高い光取り出し効率を得る。
【0057】
第1導電層51の上に、第3導電層53とは別の材料によって、ボンディングパッド部となる第2導電層52を形成することで、ワイヤーボンディング時のパッド電極剥れを抑制することができる。
【0058】
図1(b)に表したように、第3導電層53の延在部53pは、第1電極40(第1電極40のうちの特にパッド部)との距離が、第2導電層52と第1電極40(第1電極40のうちの特にパッド部)との距離よりも短い部分(近接部分53q)を有する。この近接部分53qは、例えば、延在部53pの先端である。近接部分53qと第1電極40(第1電極40のうちの特にパッド部)との距離は、第2導電層52と第1電極40(第1電極40のうちの特にパッド部)との距離よりも長い。これにより、第2電極50と第1電極40との間に流れる電流を平均化できる。これにより発光効率を向上できる。
【0059】
半導体発光素子110においては、延在部53pは、X軸方向に沿って延在している。すなわち、延在部53pは、Z軸方向に対して垂直で、第2導電層52から第1電極40に向かうX軸方向に沿って延在する部分(第1部分53a)を含む。
【0060】
電流を均一化するための延在部53pの幅は、ボンディングパッド部となる第2導電層52の幅よりも狭い。
すなわち、図1(b)に表したように、延在部53pの延在方向に対して垂直で第1主面51aに対して平行な方向に沿った幅w3は、第2導電層52の第1主面51aに対して平行な方向に沿った幅w2よりも狭い。すなわち、延在部53pは、細線である。これにより、遮光性の第3導電層53の面積を小さくしたまま、第2導電層52と第1導電層51との間に効率的に電流を流すことができる。これにより、光取り出し効率の低下を抑制しつつ高い発光効率が得られる。
【0061】
延在部53pの、延在方向に対して垂直で第1主面51aに対して平行な方向に沿った幅w3は、1μm以上50μm以下であることが望ましい。幅w3が1μmより小さいと、例えば延在部53pの加工が難しくなり、また、延在部53pの抵抗が上昇する。幅w3が50μmよりも大きいと、延在部53pによって遮蔽される発光光の割合が増し、光取り出し効率が低下する。
【0062】
第2導電層52の第1主面51aに対して平行な方向に沿った幅w2は、30μm以上80μm以下であることが望ましい。幅w2が30μmより小さいと、例えばボンディング作業が難しくなり、また、ボンディングワイヤの密着力が低下する。幅w2が80μmよりも大きいと、反射率の低い第2導電層52の面積が大きくなるため、光取り出し効率が低下する。なお、このときも、延在部53pの幅w3が第2導電層52の幅w2よりも狭いという関係は維持される。
【0063】
なお、延在部53pの延在方向に沿った長さL3は、延在部53pの延在方向に対して垂直な方向に沿った幅w3よりも長い。すなわち、延在部53pは細線である。これにより、第2導電層52と第1電極40との間を流れる電流を均一化しつつ、延在部53pの面積を小さくでき光取り出し効率を向上させることができる。
【0064】
図3(a)〜図3(c)は、第1の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的平面図である。
図3(a)に表したように、実施形態に係る半導体発光素子111の第3導電層53においては、延在部53pが3つの部分(第1部分53a、第2部分53b及び第3部分53c)を有する。第1部分53aは、第2導電層52から第1電極40に向かうX軸方向に沿って延在する。第2部分53bは、第2導電層52からY軸方向の正の方向に延在した後にX軸方向に沿って第1電極40に向かう方向に延在する。第3部分53cは、第2導電層52からY軸方向の負の方向に延在した後にX軸方向に沿って第1電極40に向かう方向に延在する。このように、延在部53pは複数の部分を含むことができる。
【0065】
図3(b)に表したように、実施形態に係る半導体発光素子112の第3導電層53においては、延在部53pの延在方向に沿った長さL3は、延在部53pの延在方向に対して垂直な方向に沿った幅w3と、実質的に同じである。このように延在部53pの延在方向に沿った長さL3は、延在部53pの延在方向に対して垂直な方向に沿った幅w3以上であれば良い。半導体発光素子112のように、延在部53pの長さL3が比較的短い場合も、第3導電層53の延在部53pは、第1電極40との距離が、第2導電層52と第1電極40との距離よりも短い近接部分53qを有する。このような延在部53pを有する第3導電層53の場合も、第3導電層53を設けず第1導電層51と第2導電層52とを設ける構成に比べて第2導電層52と第1電極40との間を流れる電流が均一化できる。このとき、第3導電層53に、第2導電層52よりも反射率が高い材料を用いることで、第3導電層53における光の損失を抑制でき、効率が向上できる。
【0066】
図3(c)に表したように、実施形態に係る半導体発光素子113においては、第2導電層52と、第1電極40の第1n側導電膜41(パッド部)と、が、積層構造体10sの主面の互いに対向する角に設けられている。第3導電層53の延在部53pは、積層構造体10sの1つの辺に沿って延在している。第1電極40の第2n側導電膜42及び第3n側導電膜43は、第1n側導電膜41から、積層構造体10sの主面の1つの辺に沿って延在している。すなわち、第2n側導電膜42及び第3n側導電膜43は、第1n側導電膜41から延在するn側延在部40pを有する。
【0067】
第3導電層53の延在部53pの延在方向と、n側延在部40pの延在方向と、は、互いに実質的に平行である。このような構成においても、延在部53pとn側延在部40pとが設けられることで、電流が均一化でき発光効率が向上する。そして、第3導電層53に、第2導電層52よりも反射率が高い材料を用いることで、高いボンディング性と高い効率とが得られる。
【0068】
図4(a)及び図4(b)は、第1の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的平面図である。
図4(a)に表したように、実施形態に係る半導体発光素子114の第3導電層53においては、延在部53pが2つの部分(第2部分53b及び第3部分53c)を有する。第2部分53bは、第2導電層52からY軸方向の正の方向に延在した後にX軸方向に沿って第1電極40に向かう方向に延在する。第3部分53cは、第2導電層52からY軸方向の負の方向に延在した後にX軸方向に沿って第1電極40に向かう方向に延在する。
【0069】
一方、第1電極40の第2n側導電膜42及び第3n側導電膜43は、第1n側導電膜41から、第2導電層52に向かうX軸方向に沿って延在するn側延在部40pを有する。n側延在部40pは、Y軸方向において、延在部53pの2つの部分(第2部分53b及び第3部分53c)どうしの間に配置される。このような構成においても、延在部53pとn側延在部40pとが設けられることで、電流が均一化でき発光効率が向上する。そして、第3導電層53に、第2導電層52よりも反射率が高い材料を用いることで、高いボンディング性と高い効率とが得られる。
【0070】
図4(b)に表したように、実施形態に係る半導体発光素子115においては、第2導電層52と、第1電極40の第1n側導電膜41と、が、積層構造体10sの主面の互いに対向する角に設けられている。第3導電層53の延在部53pは2つの部分(第4部分53d及び第5部分53e)を有する。この2つの部分は、第2導電層52から、積層構造体10sの交差する2つの辺に沿ってそれぞれ延在している。このような構成においても、第3導電層53に延在部53pが設けられることで、電流が均一化でき発光効率が向上する。そして、第3導電層53に、第2導電層52よりも反射率が高い材料を用いることで、高いボンディング性と高い効率とが得られる。
このように、実施形態に係る半導体発光素子は種々の変形が可能である。
【0071】
図5は、第1の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
図5に表したように、実施形態に係る別の半導体発光素子120においては、第3導電層53と第2導電層52とが互いに接していない。例えば、第1導電層51のシート抵抗が比較的低く、第3導電層53と第2導電層52との間隔が比較的短い場合には、第3導電層53と第2導電層52とが互いに接していなくても良い。すなわち、第2導電層52は第1導電層51に接しており、第3導電層53が第1導電層51に接していれば良い。この場合にも、高いボンディング性と高い効率とが得られる。
【0072】
実施形態に係る半導体発光素子(例えば半導体発光素子110など)において、第1n側導電膜41にAu膜を用い、第2n側導電膜42にAl膜を用い、第3n側導電膜43にTi膜を用いることができる。このときに、第3導電層53としてAl膜を用いることができる。第2n側導電膜42のAl膜と、第3導電層53のAl膜と、は同時に形成することができる。
【0073】
図6(a)及び図6(b)は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の別の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図6(a)は、図2(a)に関して説明した工程の後の工程に対応する。
第1導電層51を形成した後に、図6(a)に表したように、積層構造体10sを加工し、第1半導体層10を露出させ、露出した第1半導体層10の上、及び、第1導電層51の上に、Al膜を形成する。そして、このAlを所定の形状に加工する。このAl膜が、第3n側導電膜43及び第3導電層53となる。
【0074】
図6(b)に表したように、第1導電層51及び第3n側導電膜43の上にNi膜を形成し、所定の形状に加工する。このNi膜が、第2導電層52及び第2n側導電膜42となる。
【0075】
ならに、この第2導電層52及び第2n側導電膜42の上に、Au膜(図示しない)を形成する。第2n側導電膜42の上のAu膜が第1n側導電膜41となる。
これにより、本実施形態に係る半導体発光素子が得られる。
【0076】
この構成においては、第1半導体層10のn形GaN層に接して、第2n側導電膜42のAl膜が設けられている。Alはn形GaN層に対してオーミック性を示すため、第1半導体層10と第1電極40(すなわち第2n側導電膜42)とのオーミック接触が確保できる。この場合には、半導体発光素子の構成がさらに簡略化される。すなわち、第3導電層53と、第1電極40の少なくとも一部と、を同時に形成でき、生産性が向上できる。
【0077】
このように、実施形態に係る半導体発光素子は、積層構造体10sの第2半導体層20の側の第2主面10aの側において、第1半導体層10上に設けられた第1電極40をさらに備え、第1電極40は、第3導電層53に用いられる材料を含む層を含むことができる。例えば、第3導電層は、アルミニウム、銀、白金及びロジウムの少なくともいずれかを含み、第1電極40は、アルミニウム、銀、白金及びロジウムの上記の少なくともいずれかを含む層を含む。
【0078】
(第2の実施の形態)
第2の実施形態は、半導体発光素子の製造方法である。
すなわち、本製造方法は、窒化物半導体を含む第1導電形の第1半導体層10と、窒化物半導体を含む第2導電形の第2半導体層20と、第1半導体層10と第2半導体層20との間に設けられ、窒化物半導体層を含む発光層30と、を含む積層構造体10sであって、積層構造体10sの第2半導体層20の側の第2主面10aに第1半導体層10の一部が露出している積層構造体10sと、第2主面10aの側において第1半導体層10に接する第1電極40と、第2主面10aの側において第2半導体層20に接し、第1導電層51、第2導電層52及び第3導電層53を含む第2電極50と、を有する半導体発光素子の製造方法である。
【0079】
図7は、第2の実施形態に係る半導体発光素子の製造方法を例示するフローチャート図である。
図7に表したように、本製造方法においては、第2半導体層20の上に、発光層30から放出される発光光に対して透過性を有する第1導電層51を形成する(ステップS110)。例えば、図2(a)に関して説明した処理を行う。
【0080】
第1導電層51の一部と、第1半導体層10の露出された一部と、の上に、発光光に対する第2導電層52の反射率よりも高い反射率を有する高反射導電膜を形成する(ステップS120)。例えば、高反射導電膜として、図6(a)に関して説明したAl膜を形成する。
【0081】
この高反射導電膜を加工して、第1電極40の少なくとも一部(例えば第3n側導電膜43)と、第1導電層51の第2半導体層20とは反対の側の第1主面51aに沿って延在する延在部53pを有する第3導電層53と、を形成する(ステップS130)。例えば、図6(a)に関して説明した処理を行う。
【0082】
第1導電層51の一部の上に、第3導電層53の延在部53pの少なくとも一部を露出させる第2導電層52を形成する(ステップS140)。例えば、図6(b)に関して説明した処理を行う。
【0083】
本実施形態に係る半導体発光素子の製造方法によれば、高いボンディング性と高い効率とを有する半導体発光素子を高い生産性で製造できる。
【0084】
なお、上記のステップS110〜ステップS140の順序は、技術的に可能な限り入れ替えが可能である。また、ステップS110〜ステップS140のいずれか2つは、技術的に可能な限り同時に実施しても良い。例えば、ステップS130とステップS140との順序は入れ替えても良い。また、ステップS120とステップS130とは同時に実施することもできる。例えば、高反射導電膜をマスクを用いて成膜する場合は、高反射導電膜の形成(ステップS120)と、高反射導電膜の加工(ステップS130)と、が同時に実施される。
【0085】
実施形態に係る窒化物半導体の製造方法は、青緑色〜緑色〜赤色のLEDの他、青緑色〜緑色〜赤色のレーザダイオード(LD:Laser Diode)などに応用できる。
【0086】
実施形態によれば、高いボンディング性と高い効率とを有する半導体発光素子及びその製造方法が提供できる。
【0087】
なお、本明細書において「窒化物半導体」とは、BInAlGa1−x−y−zN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦1,x+y+z≦1)なる化学式において組成比x、y及びzをそれぞれの範囲内で変化させた全ての組成の半導体を含むものとする。またさらに、上記化学式において、N(窒素)以外のV族元素もさらに含むもの、導電型などの各種の物性を制御するために添加される各種の元素をさらに含むもの、及び、意図せずに含まれる各種の元素をさらに含むものも、「窒化物半導体」に含まれるものとする。
【0088】
なお、本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0089】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体発光素子に含まれる基板、バッファ層、半導体層、発光層、障壁層、井戸層、積層構造体、導電層、電極及び絶縁膜などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。例えば、上記実施形態の中で説明した組成や膜厚なども一例であり、種々の選択が可能である。
【0090】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0091】
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体発光素子及びその製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体発光素子及びその製造方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0092】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0093】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0094】
5…基板、 6…バッファ層、 10…第1半導体層、 10a…第2主面、 10s…積層構造体、 20…第2半導体層、 21…第1p形半導体層、 22…第2p形半導体層、 30…発光層、 31…障壁層、 32…活性層、 40…第1電極、 40p…n側延在部、 41…第1n側導電膜、 42…第2n側導電膜、 43…第3n側導電膜、 50…第2電極、 51…第1導電層、 51a…第1主面、 52…第2導電層、 53…第3導電層、 53a、53b、53c、53d、53e…第1〜第5部分、 53p…延在部、 53q…近接部分、 60…絶縁膜、 110、111、112、113、114、115、120…半導体発光素子、 L3…長さ、 w2、w3…幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化物半導体を含む第1導電形の第1半導体層と、窒化物半導体を含む第2導電形の第2半導体層と、前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に設けられ、窒化物半導体層を含む発光層と、を含む積層構造体であって、前記積層構造体の前記第2半導体層の側の第2主面において前記第1半導体層の一部が露出している前記積層構造体と、前記第2主面の側において前記第1半導体層に接する第1電極と、前記第2主面の側において前記第2半導体層に接し、第1導電層、第2導電層及び反射性の第3導電層を含む第2電極と、を有する半導体発光素子の製造方法であって、
前記第2半導体層の上に、前記発光層から放出される発光に対して透過性を有し、100ナノメートル以上250ナノメートル以下の厚さを有する第1導電層を形成し、
前記第1導電層の一部と、前記第1半導体層の前記露出された前記一部と、の上に、前記発光に対する前記第2導電層の反射率よりも高い反射率を有する高反射導電膜を形成し、前記高反射導電膜を加工して、前記第1電極の少なくとも一部と、前記第1導電層の前記第2半導体層とは反対の側の第1主面に沿って延在し、延在方向に対して垂直で前記第1主面に対して平行な方向に沿った幅が1マイクロメートル以上50マイクロメートル以下の延在部を有し、アルミニウム、銀及びロジウムの少なくともいずれかを含む前記第3導電層と、を形成し、
前記第1導電層の一部の上に、前記第3導電層の前記延在部の少なくとも一部を露出させ、前記第1導電層に対する密着力が前記第3導電層の前記第1導電層に対する密着力よりも大きく、前記第1主面に対して平行な方向に沿った幅が30マイクロメートル以上80マイクロメートル以下の前記第2導電層を形成することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
【請求項2】
前記半導体発光素子は、前記積層構造体の前記第2半導体層の側の第2主面の側において前記第1半導体層に接する第1電極をさらに含み、
前記延在部は、前記第1電極との距離が、前記第2導電層と前記第1電極との距離よりも短い部分を有することを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項3】
前記延在部の、延在方向に対して垂直で前記第1主面に対して平行な方向に沿った幅は、前記第2導電層の前記第1主面に対して平行な方向に沿った幅よりも狭いことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項4】
前記第2導電層は、前記第1導電層に接し、ニッケル、チタン及びバナジウムの少なくともいずれかを含む層を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項5】
前記第1導電層は、In、Sn、Zn及びTiよりなる群から選ばれた少なくとも1つの元素を含む酸化物を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項6】
前記半導体層は、前記積層構造体の前記第2半導体層の側の第2主面の側において、前記第1半導体層上に設けられ、前記第3導電層に用いられる材料を含む層を含む第1電極をさらに含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の半導体発光素子の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−129574(P2012−129574A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−85945(P2012−85945)
【出願日】平成24年4月4日(2012.4.4)
【分割の表示】特願2010−178405(P2010−178405)の分割
【原出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】