説明

半導体発光素子の製造方法

【課題】簡単な工程で光抽出効率を向上させた半導体発光素子の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の半導体発光素子の製造方法は、互いに対向する第1及び第2の主面を有する基板を設ける段階と、基板の第1の主面に柱状を有する複数の凸部を形成する段階と、凸部が形成された第1の主面上に第1の導電型半導体層、活性層、及び第2の導電型半導体層を含む発光積層体を形成する段階と、発光積層体のうちの凸部の周囲の溝部に対応する領域に形成された部分を除去して複数の発光構造物を形成する段階と、基板上に形成された複数の発光構造物から個別素子が得られるように溝部に沿って基板を分離する段階と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、発光ダイオード(light emitting diode:LED)は、化合物半導体の特性を用いて、電気エネルギーを赤外線、可視光線又は光の形に変換させた信号を発するのに用いられる素子である。発光ダイオードはELの一種であり、現在、III−V族化合物半導体を用いた発光ダイオードが実用化されている。III族窒化物系化合物半導体は、直接遷移型半導体であり、他の半導体を用いた素子より高温で安定した動作が得られるため、発光ダイオード(LED)やレーザーダイオード(laser diode:LD)等の発光素子に広く応用されている。
【0003】
このような発光素子を構成するそれぞれのチップ(Chip)は、一般に、一つのウエハー上に半導体層を成長させた後、切断工程によりウエハーをチップ単位に分離することにより製造される。この際、チップ単位分離工程には、チップ(tip)又はブレード(blade)を用いたスクライビング(scribing)、ブレイキング(breaking)、レーザー(laser)を用いたスクライビング、ブレイキング工程等が適用される。レーザーを用いるスクライビング工程は、既存より作業速度を高めて生産性が向上する効果があるが、チップ(電極又は活性層)に損傷を与えて半導体発光素子の特性が劣化するという問題があり、ステルスレーザー(stealth laser)を用いる場合は改質層(modified layer)が外部光抽出を妨害する問題が発生することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、簡単な工程で光抽出効率を向上させた半導体発光素子の製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、素子の信頼性を改善させた半導体発光素子の製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、素子の集積度を向上させた半導体発光素子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた本発明の一特徴による半導体発光素子の製造方法は、互いに対向する第1及び第2の主面を有する基板を設ける段階と、前記基板の第1の主面に柱状を有する複数の凸部を形成する段階と、前記凸部が形成された第1の主面上に第1の導電型半導体層、活性層、及び第2の導電型半導体層を含む発光積層体を形成する段階と、前記発光積層体のうちの前記凸部の周囲の溝部に対応する領域に形成された部分を除去して複数の発光構造物を形成する段階と、前記基板上に形成された複数の発光構造物から個別素子が得られるように前記溝部に沿って前記基板を分離する段階と、を有する。
【0006】
前記発光積層体のうちの前記凸部の周囲の溝部に対応する領域に形成された部分を除去する段階で、前記溝部は外部に露出し得る。
前記第1の主面上に前記発光積層体を形成する段階で、前記溝部の少なくとも一部は空いている空間として維持され得る。
前記溝部は10μm〜50μmの幅を有し得る。
前記半導体発光素子の製造方法は、前記溝部の少なくとも一部を充填物質で満たす段階を更に含み得る。
前記充填物質は樹脂又は金属であり得る。
この場合、前記充填物質は前記基板に対して大きい選択的エッチング比を有し得る。
前記半導体発光素子の製造方法は、前記第2の主面から前記基板の一部を除去して溝部内の充填物質を外部に露出させる段階を更に含み得る。
この場合、前記溝部に沿って前記基板を分離する段階で、前記外部に露出した充填物質を除去し得る。前記充填物質を除去する際に、湿式エッチングが適用され得る。
前記半導体発光素子の製造方法は、前記複数の発光構造物上に電極を形成する段階を更に含み得る。
前記半導体発光素子の製造方法は、前記凸部の表面に凹凸を形成する段階を更に含み得る。
この場合、前記発光構造物は前記凹凸の凹部の側面から成長し得る。
前記溝部に沿って前記基板を分離する段階で、前記第2の主面から前記基板の一部が除去され得る。
前記半導体発光素子の製造方法は、前記発光積層体のうちの前記溝部に対応する領域に形成された部分を除去した後に、前記第1の主面上に支持基板を付着する段階を更に含み得る。
この場合、前記支持基板を付着した後に、研磨工程により前記第2の主面から前記基板の一部を除去し得る。
【発明の効果】
【0007】
本発明の半導体発光素子の製造方法によると、多様な形状を有することにより光放出面である発光素子の側面での臨界角が変わって外部光抽出効率を向上させることができる。
また、ウエハー上に形成された発光構造物を個別チップ単位に分離する工程のうちのレーザー照射工程を省略することができるため、レーザー照射による発光構造物の表面損傷を抑制して素子の信頼性を改善させることができる。
また、溝によって形成された複数の凸部を含むウエハーの全面に発光構造物を積層した後、個別チップ単位に分離することにより、一つのウエハー上で製造される素子の集積度(net die)を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の多様な実施形態による半導体発光素子の製造方法を示す概略図である。
【図2】本発明の多様な実施形態による半導体発光素子の製造方法を示す概略図である。
【図3】本発明の多様な実施形態による半導体発光素子の製造方法を示す概略図である。
【図4】本発明の多様な実施形態による半導体発光素子の製造方法を示す概略図である。
【図5】本発明の多様な実施形態による半導体発光素子の製造方法を示す概略図である。
【図6】本発明の多様な実施形態による半導体発光素子の製造方法を示す概略図である。
【図7】は本発明の一実施形態により製造された半導体発光素子の光出力を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の半導体発光素子の製造方法を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
しかし、本発明の実施形態は多様な他の形態に変形することができ、本発明の範囲が後述する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は当該技術分野における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供するものである。従って、図面での要素の形状及びサイズなどは明確な説明のために誇張することがあり、図面上の同一の符号で表示する要素は同一の要素である。
【0011】
図1〜図6は、本発明の多様な実施形態による半導体発光素子の製造方法を示す概略図である。
【0012】
先ず、図1(a)に示したように、互いに対向する第1及び第2の主面10a、10bを有する基板10を設け、基板10の第1の主面10aに柱状の凸部cを形成する。本実施形態の場合、第1の主面10a上に六角柱状の凸部cが形成されることを示しているが、これに制限されず、四角柱、五角柱、六角柱、円柱などの多様な形状を有するように凸部cを形成することができる。
【0013】
本実施形態において、一つの凸部cは素子の単位領域に対応するため、凸部c上に形成される発光素子は凸部cに対応する形状を有する。この場合、凸部c上に形成される発光素子は多角柱又は円柱の形状を有することにより、空気と発光素子との界面での臨界角が変わって外部光抽出効率を向上させることができる。特に、本実施形態のように発光素子が六角柱状を有する場合、臨界角の変更によって外部光抽出効率が向上すると共にウエハー上で素子間の間隔が最小化されて素子の集積度(net−die)を向上させることができる。
【0014】
基板10は半導体成長用基板であり、具体的に、基板10としては、サファイア、SiC、MgAl、MgO、LiAlO、LiGaO、GaN等の物質からなる基板を用いることができる。この場合、サファイアは、六角−菱形(Hexa−Rhombo R3c)の対称性を有する結晶体で、c軸及びa軸方向の格子定数がそれぞれ13.001Åと4.758Åであり、C(0001)面、A(1120)面、R(1102)面等を有する。この場合、C面は、比較的窒化物薄膜の成長が容易であり、高温で安定するため、窒化物成長用基板に主に用いられる。
【0015】
基板10上に凸部cを形成する段階は、基板10の第1の主面10a上にUVレーザー、ダイシング、スクライビング、エッチング工程等により溝部gを形成して行われる。或いは、基板10の第1の主面10a上に凸領域cを形成することもできる。これとは異なり、必要に応じて、基板の第1の主面に別途の凸部を形成することもできる。
【0016】
溝部gは、チップ単位分離領域に形成されるが、これに制限されず、約100μm〜170μmの深さと約10μm〜50μmの幅を有するように形成することができる。溝部gが約10μm〜50μmの幅tを有する場合は、基板10の第1の主面10aに半導体層が積層される工程が行われる間にも溝部gの少なくとも一部が空いている空間として維持され、その結果、溝部g内にはエアギャップ(air gap)が形成される。
【0017】
例えば、基板10の第1の主面10a上に、溝部gが形成されるべき領域に対応する開放領域を有するフォトレジストパターンを形成した後、乾式又は湿式エッチング工程を用いて溝部gを形成する。溝部gは、基板10の中央領域のみならず、基板10上にできるだけ多くの素子が製造されるように基板10の外側領域を含む全面に形成される。乾式エッチング工程を用いる場合、CF、SF等のフルオリン(Fluorine)系列、Cl、BCl等の塩素(Chlorine)系列、アルゴン(Ar)等のエッチングガスを用いることができるが、これに制限されず、公知の多様なエッチングガスを用いることもできる。
【0018】
図1(b)は、本発明の他の実施形態による半導体発光素子の製造方法の工程を説明するための図である。
【0019】
本実施形態の場合、基板11の第1の主面11a上に形成された凸部cの周囲の溝部gの少なくとも一部を充填物質40で満たす段階を更に含む。充填物質40で第1の主面11a上に形成された溝部gを完全に満たす必要はなく、その一部のみを満たしても良い。本実施形態において溝部gの幅は特に制限されず、できるだけ狭い幅を有するように形成してウエハー上で素子の集積度を向上させることができる。
【0020】
充填物質40は樹脂又は金属であり、充填物質40としては、MOCVD、MBE、HVPE等のような半導体層成長工程で熱的安定性に優れた物質を用いる。また、充填物質40としては、基板11及びその上部に形成される半導体層(図示せず)に対して大きい選択的エッチング比を有する物質、例えば、SiO、Si等を含む合成樹脂、W、Ti、Znのような高融点金属、又はSOG(Spin−On−Glass)等を用いる。
【0021】
次いで、図1(c)に示したように、柱状の凸部cが形成された基板12の第1の主面12a上に凹凸パターンpを形成する工程を更に行うことができる。
【0022】
具体的には、凹凸パターンpは凸部c上に形成され、これにより、基板12とその上面に形成される半導体層(図示せず)の間で光散乱比率を増加させて外部光抽出効率を向上させることができる。また、凹凸パターンpは、図1(c)に示したように表面の少なくとも一部が曲面を有するように形成され、その上面に形成される半導体層が凹凸パターンpの凹部の側面から成長するようにすることにより、転位欠陥が上部に伝播することを防止することができる。上述した光散乱効果と転位欠陥の伝播防止機能を考慮すると、凹凸パターンpの凹部の下面の直径は10nm〜20μm、高さは10nm〜10μm、凹部間の間隔は1nm〜10μmである。ここで、直径という用語で凹部の下面の形状を円形に制限するのではなく、凹部の下面は多様な形状を有することができる。この場合、凹部の下面は平均10nm〜20μmの幅を有するように形成される。
【0023】
一方、図1(c)には溝部gが外部に露出した状態で凹凸パターンpを形成することを示しているが、図1(b)のように充填物質40を溝部gに充填する工程を適用した後に基板12の第1の主面12aに凹凸パターンpを形成することもできる。但し、図1(c)に示した工程は、本発明において必ずしも要求されるものではなく、必要に応じて選択的に適用可能である。
【0024】
次いで、図2に示したように、第1の主面10aに凸部cが形成された基板10上に、MOCVD、MBE、HVPE等のような半導体層成長工程を用いて、第1の導電型半導体層21、活性層22、及び第2の導電型半導体層23を含む発光積層体20を形成する。具体的に図示していないが、基板10上に成長する発光積層体20の格子欠陥の緩和のために、窒化物等からなるアンドープ半導体層からなるバッファ層(図示せず)を介在させることができる。本実施形態の場合、基板10上に発光積層体20が形成される段階において、基板10の第1の主面10a上に形成された溝部gの少なくとも一部は空いている空間として維持されてエアギャップ(air gap)を形成する。或いは、図1(b)に示したように、溝部gが別途の充填物質40で充填された状態で、その上部に発光積層体20を形成することができる。
【0025】
発光積層体20を構成する第1及び第2の導電型半導体層21、23は、それぞれn型及びp型半導体層となり、窒化物半導体からなる。従って、本実施形態の場合、第1及び第2の導電型は、それぞれn型及びp型を意味するものと理解されるが、これに制限されるものではない。第1及び第2の導電型半導体層21、23は、AlInGa(1−x−y)Nの組成式(ここで、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1である)を有し、例えば、GaN、AlGaN、InGaN等の物質がこれに該当する。第1及び第2の導電型半導体層21、23の間に形成される活性層22は、電子と正孔との再結合によって所定のエネルギーを有する光を放出し、量子井戸層と量子障壁層が交互に積層された多重量子井戸(MQW)構造からなることができる。多重量子井戸構造の場合、例えば、InGaN/GaN構造が適用される。
【0026】
次いで、図3に示したように、凸部cの周囲の溝部gに対応する領域に形成された発光積層体20を除去して複数の発光構造物を形成する。複数の発光構造物上にはそれぞれ電極21a、23aが形成される。溝部gが形成された領域は素子分離領域に対応し、基板10の第1の主面10aに形成された溝部gが空いている空間を有する場合、発光積層体20の一部が除去されて溝部gが外部に露出する。但し、これとは異なり、溝部gの内部が別途の充填物質40で満たされた場合は、発光積層体20のうちから溝部gに対応する部分が除去されて充填物質40が露出する。
【0027】
発光積層体20が分離されて形成される複数の発光構造物のそれぞれに形成される第1及び第2の電極21a、23aは、Au、Ni、Al、Cu、W、Si、Se、GaAsのうちのいずれか一つを含む物質からなり、メッキ、スパッタリング、蒸着等の工程を用いて形成される。第1及び第2の電極21a、23aはそれぞれ第1及び第2の導電型半導体層21、23と電気的に連結されて外部から電気信号が印加される。本実施形態の場合、第2の導電型半導体層23、活性層22、及び第1の導電型半導体層21の一部を除去して露出した第1の導電型半導体層21上に第1の電極21aを形成することを示しているが、電極の個数、形状、位置などは必要に応じて多様に変更することができる。
【0028】
次いで、図4に示したように、発光積層体20のうちから凸部cの周囲の溝部gに対応する部分が除去された後に、第1の主面10a上に支持基板30を付着する。支持基板30は、後述する基板10の研磨工程で複数の発光構造物を支持する支持体の役割を行う。支持基板30を構成する物質は特に制限されず、例えば、ガラス又は金属等に塗布された接着物質(図示せず)を用いて複数の発光構造物の上面と付着される。
【0029】
次いで、図5(a)に示したように、基板10上に形成された複数の発光構造物から個別の発光素子20’が得られるように溝部gに沿って基板10を分離する。例えば、基板10の第2の主面10bから基板10の一部を除去し、溝部gで発光構造物が形成された基板10が発光素子単位に分離されるようにする。基板10の一部を除去する段階には、ラッピング(lapping)、グラインディング(Grinding)、ポリシング(polishing)等の研磨工程が適用される。このような研磨工程等により基板10の厚さを減少させ、エアギャップ(air gap)を形成する溝部gが外部に露出するまで研磨工程を行うことにより、図5(a)に示したように基板10上に形成された複数の発光構造物は個別の発光素子20’単位に分離される。
【0030】
この場合、個別の発光素子20’は、基板10の第1の主面10aに形成される凸部cと対応する形状、即ち本実施形態の場合、六角柱と類似する形状を有する。但し、溝部gに沿って基板10を分離する方法はこれに制限されず、溝部gに沿ってブレイキング(breaking)又はダイシング(dicing)工程を適用して個別の発光素子20’が得られるようにすることができる。
【0031】
一方、図5(b)を参照すると、溝部gに別途の充填物質40が満たされた実施形態の場合、溝部gに満たされた充填物質40が外部に露出するようにできる。充填物質40が外部に露出するようにするために、基板11の第2の主面11bから基板11の一部を除去する。但し、この場合にも、基板11の溝部gに沿ってブレイキング又はダイシング工程を適用することができる。充填物質40としては、基板11及びその上部に形成される発光構造物に対して大きい選択的エッチング比を有する物質、例えば、SiO、Si等を含む樹脂、W、Ti、Znのような高融点金属、又はSOG(Spin−On−Glass)等を用いることができる。本実施形態の場合、溝部gが露出した状態でも基板10が完全に分離されることはないが、溝部g内の充填物質40を除去することにより、基板10が溝部gで分離されて個別の発光素子20”が得られる。
【0032】
溝部gに満たされた充填物質40は基板11及び発光構造物に対して大きい選択的エッチング比を有するため、第2の主面11bから基板11の一部を除去して露出した溝部g内の充填物質40を除去する段階はエッチング溶液を用いた湿式エッチングにより行われる。この際に用いられるエッチング溶液は充填物質40の種類及び厚さに応じて変わり、例えば、HF、HNO、KOH等の酸(acid)又は塩基(base)系列の化学薬品が適用される。
【0033】
次いで、図6に示したように複数の発光構造物から支持基板30を除去して複数の発光素子20’を製造する。本実施形態による半導体発光素子の製造方法の場合、第1の主面に複数の凸部を有するウエハー上で行われ、この際、それぞれの凸部は個別素子の単位領域のそれぞれに対応する。一方、具体的に図示していないが、支持基板30を除去する前に発光素子20’の位置を固定するために基板10の第2の主面10bにテープを付着することができる。テープにはポリエチレン、PET等が適用されるが、テープ付着工程は必須ではなく、必要に応じて省略することができる。
【0034】
本実施形態によると、基板の一面に柱状の凸部を形成し、凸部が形成された基板の一面に発光構造物を形成することにより、簡単な工程で凸部と対応する形状の半導体発光素子を製造することができる。半導体発光素子が多様な表面角度を有する柱状に構成される場合、光放出面である発光素子の側面での臨界角が変わって内部で光が全反射される比率を減少させることにより外部光抽出効率を向上させることができる。また、本実施形態の場合、ウエハー上に形成された発光構造物を個別チップ単位に分離する工程のうちのレーザー照射工程を省略することができるため、レーザー照射による発光構造物の表面損傷を抑制して素子の信頼性を改善することができる。
【0035】
図7は、本発明の一実施形態により製造された半導体発光素子の光出力を示すグラフである。具体的に、図7(a)はそれぞれ異なる形状を有する発光素子への注入電流の増加に対する光出力の変化を示したグラフであり、図7(b)は発光素子の側壁をなす面の数に対する光出力の変化を示したものである。
【0036】
先ず、図7(a)を参照すると、上面が四角形である発光素子が、上面が三角形、五角形、六角形、七角形の発光素子に比べて注入電流に関係なく最も低い光出力を示すことが分かる。これは、発光構造物の活性層から放出された光が四角形のチップの表面から臨界角以下に入射してチップの内部に全反射される比率が相対的に高いためである。チップが四角柱状ではなく多角柱状又は円柱状のときには臨界角が変化して外部光抽出効率が増加する。
【0037】
本実施形態の場合、柱状の凸部を有する半導体成長用基板の上面に発光構造物を形成することにより、凸部に対応する形状を有する発光素子を製造することができるため、簡単な方法で外部光抽出効率を向上させた半導体発光素子を製造することができる。また、発光構造物をチップ単位に分離するためのレーザー照射工程が省略されるため、レーザー照射によるチップの側面損傷を抑制して発光素子の特性劣化を防止することができ、円形のウエハーを用いる場合に発光構造物が形成されない領域を最小化してチップの集積度(net die)を向上させることができる。具体的には、レーザーを用いて円形のウエハー上に形成された発光構造物を四角形の個別チップ単位に分離する場合、ウエハーの外側に隣接する曲線領域の殆どは捨てられる。しかし、本実施形態の場合、溝によって形成された複数の凸部を含むウエハー全体に発光構造物を積層した後、個別チップ単位に分離することにより、一つのウエハーで製造されるチップの集積度(net die)を向上させることができる。
【0038】
図7(b)は、発光素子を構成する側壁の数による発光素子の光出力とこれを用いたシミュレーション結果を示したものである。図7(a)に示したように、発光素子の上面が三角形、四角形、五角形、六角形、七角形の場合のうち、四角形の場合が最も低い光出力を示し、シミュレーションの結果、7個以上の側壁(七角形)を有する場合も、四角形の場合に比べてより大きい光出力が得られることが分かる。但し、図7(a)及び図7(b)は、多角柱又は円柱等の多様な形状の発光構造物において外部光抽出効率が向上する効果が得られ、本実施形態による場合、外部光抽出効率を向上させた発光構造物を簡単且つ効率的に製造することができる方法を提供することができることを示すためのものであり、四角柱状の発光構造物を本発明から除外しようとするものではない。
【0039】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0040】
10、11、12 基板
10a、11a、12a 第1の主面
10b、11b、12b 第2の主面
20 発光積層体
20’、20” 発光素子
21 第1の導電型半導体層
21a 第1の電極
22 活性層
23 第2の導電型半導体層
23a 第2の電極
30 支持基板
40 充填物質
g 溝部
c 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1及び第2の主面を有する基板を設ける段階と、
前記基板の第1の主面に柱状を有する複数の凸部を形成する段階と、
前記凸部が形成された第1の主面上に第1の導電型半導体層、活性層,及び第2の導電型半導体層を含む発光積層体を形成する段階と、
前記発光積層体のうちの前記凸部の周囲の溝部に対応する領域に形成された部分を除去して複数の発光構造物を形成する段階と、
前記基板上に形成された複数の発光構造物から個別素子が得られるように前記溝部に沿って前記基板を分離する段階と、を有することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
【請求項2】
前記発光積層体のうちの前記凸部の周囲の溝部に対応する領域に形成された部分を除去する段階で、前記溝部は外部に露出することを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項3】
前記第1の主面上に前記発光積層体を形成する段階で、前記溝部の少なくとも一部は空いている空間として維持されることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項4】
前記溝部は10μm〜50μmの幅を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項5】
前記溝部の少なくとも一部を充填物質で満たす段階を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項6】
前記充填物質は樹脂又は金属であることを特徴とする請求項5に記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項7】
前記充填物質は前記基板に対して大きい選択的エッチング比を有することを特徴とする請求項5に記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項8】
前記第2の主面から前記基板の一部を除去して溝部内の充填物質を外部に露出させる段階を更に含むことを特徴とする請求項5に記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項9】
前記溝部に沿って前記基板を分離する段階で、前記外部に露出した充填物質を除去することを特徴とする請求項8に記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項10】
前記充填物質を除去する際に、湿式エッチングが適用されることを特徴とする請求項9に記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項11】
前記複数の発光構造物上に電極を形成する段階を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項12】
前記凸部の表面に凹凸を形成する段階を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項13】
前記発光積層体は前記凹凸の凹部の側面から成長することを特徴とする請求項12に記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項14】
前記溝部に沿って前記基板を分離する段階で、前記第2の主面から前記基板の一部が除去されることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項15】
前記発光積層体のうちの前記溝部に対応する領域に形成された部分を除去した後に、前記第1の主面上に支持基板を付着する段階を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項16】
前記支持基板を付着した後に、研磨工程により前記第2の主面から前記基板の一部を除去することを特徴とする請求項15に記載の半導体発光素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−26628(P2013−26628A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−164079(P2012−164079)
【出願日】平成24年7月24日(2012.7.24)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung−ro,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】